説明

有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子

【課題】高屈折率で透明性、分散性、耐光性、耐候性等に優れた無機酸化物超微粒子及び該超微粒子が高濃度に分散した高屈折率かつ透明な樹脂組成物及び光学部材を提供する。
【解決手段】ルチル型酸化チタンを少なくとも含む無機酸化物超微粒子を、片末端がアルコキシシリル基である有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤で修飾した有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面修飾無機酸化物超微粒子が分散し、高屈折率で透明性、分散性、耐光性、耐熱性等に優れた樹脂組成物、及びそれを含んでなる光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にディスプレイ、バックライト、表示板等に使用されている発光ダイオード(LED)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)等の半導体発光素子を封止する組成物としてビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等の透明な樹脂が用いられている。これによって、空気中に直接取り出す場合に比べて、発光素子からの光取り出し効率を約2倍にすることができる。
【0003】
発光ダイオード(LED)を形成させる場合は、まず、発光素子を電気的に接続し、その後所望に応じて発光素子などを前記透明な樹脂によりモールドさせる。そして電極間に電力を供給させると発光素子の発光面などから光を取り出すことができる。
【0004】
近年、青色LEDの実用化に伴い、フルカラーLED表示装置、光ディスクなどが開発されている。また、高効率の白色LEDが得られるようになり、電球、蛍光灯に比べて低電力で高効率を実現できるとして、次世代照明用光源としても期待されている。この用途では高輝度のために発光素子が高温になるため、封止材にも耐熱性が求められ、シリコーン樹脂が使用されるようになってきた。
【0005】
一般に発光ダイオード(LED)を構成している発光素子の屈折率は非常に高く、発生した光は、発光素子と封止材との界面において、臨界角を超える光は、界面での全反射によって、封止材内に進入することができず、内部において吸収され消滅する。一般的に用いられている透明樹脂の屈折率は低いため、臨界角も小さくなり全反射が起こりやすく、結果として光の取り出し効率が低い問題があった。例えばエポキシ樹脂では屈折率が1.5程度であり、空気に比べて向上はするものの、熱変換される光の割合は依然大きい。シリコーン樹脂になるとさらに屈折率は低下し、1.4程度になる。高屈折率化したシリコーン樹脂を得るためにベンゼン環などの高屈折率置換基を導入することが行われているが、屈折率は1.5程度であり、発光素子自体の屈折率、例えばGaNの2.3に比較しても著しく小さい。
【0006】
また、樹脂に無機充填剤を含有させることにより熱膨張係数を下げ、発光素子の耐冷熱サイクル特性等を向上させる手法をとる場合がある。しかしながら、前記目的で添加した無機酸化物微粒子(シリカ粒子等)は、樹脂(エポキシ樹脂等)との親和性が低く、樹脂中で容易に大きな凝集体を形成し、この凝集体と樹脂との界面で光が乱反射し、光透過性が著しく低下する問題があった。この分散性については特に耐熱性、耐光性に優れるシリコーン樹脂については、従来一般に用いられるアルキル鎖を有するシランカップリング剤で無機酸化物超微粒子を修飾したものは分散が良好ではなかった。この原因はメチレン結合鎖とシロキサン結合鎖の親和性の低さに起因するものと考えられている。
【0007】
一方、透明光学用樹脂の開発がガラスに代わる素材として盛んに行われている。アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂に代表される非晶性熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の硬化性樹脂は、可視領域波長における良好な透明性を有し、可撓性、強靱性、耐衝撃性等の優れた特徴を有する汎用透明樹脂材料である。このような透明樹脂材料に高い屈折率を付与することによって、半導体用封止材料だけでなく、光学レンズ(メガネレンズ、フレネルレンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)、光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、回折格子、導光板、液晶基板、光反射板、反射防止材等の高屈折光学部材の材料等への展開が期待されている。しかしながら、有機樹脂の屈折率は使用される元素、分子構造により決まるため、ハロゲン元素あるいは硫黄元素の導入によっても高くなるが、通常1.4〜1.7程度の範囲が限度である。
【0008】
このような樹脂の高屈折率化を目的として、Zr、Sn、Sb、Mo、In、Zn、Ti等の結晶構造を有する屈折率の高い透明性無機酸化物微粒子あるいはそれらの複合酸化物を、分散状態を保ったまま樹脂中に導入して、無色透明な高屈折率樹脂を形成する技術が提案されている。このような用途に用いるためには高分散性や透明性が要求されるため、無機酸化物は超微粒子であることが望ましい。
【0009】
しかしながら、上記技術では、強度などを保持できるマトリックス量を用いながら高い屈折率の樹脂を設計することは未だ不十分であった。屈折率を上げるために微粒子の含有量を過剰とすると、樹脂が脆弱となってしまうからである。また、無機酸化物を粉砕してなる微粒子などでは透明性を得るに十分な分散性を得ることができず、樹脂が白濁化する傾向があった。
【0010】
そこで酸化チタン超微粒子及び/又はそのゾル液を用いる方法が提案されている。酸化チタンは特に屈折率が高く、かつ透明性も高いため、他の無機酸化物微粒子に比べて少ない量で樹脂の高屈折率化が可能である。酸化チタンには代表的な結晶型としてルチル型とアナターゼ型とがある。これまで高屈折率用の金属酸化物超微粒子ゾル液として、屈折率no=2.56、ne=2.49(no:常光線に対する屈折率、ne:異常光線に対する屈折率)(実験化学講座 日本化学会編)を有するアナターゼ型酸化チタン超微粒子を主成分とした材料が、主に用いられている。これに対し、ルチル型酸化チタンはその屈折率が屈折率no=2.61、ne=2.9であり、アナターゼ型に比べて高屈折率、紫外線吸収といった光学特性などに優れていることが知られており、このルチル型酸化チタン超微粒子、及びゾル液を合成する試みが積極的に行われている。しかしながら、産業的に用い得るルチル型酸化チタン超微粒子、及びゾル液は未だ得られていないのが現状である。例えば非特許文献1(Jpn.J.Appl.Phys.,37,4603(1998))に報告されているように長繊維状のルチル型酸化チタンが寄せ集まった凝集粒子径200〜400nmの凝集体が生成する。また、特許文献1には、ケイ素酸化物を被覆したルチル型酸化チタンを内核として、スズ化合物を表面に修飾したスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子及び該超微粒子を分散したゾルが開示されているが、樹脂中への分散性の向上の観点から更なる改良が望まれる。
【0011】
一方、有機マトリックスと酸化チタン微粒子からなる樹脂は、その耐光性が低下するという欠点があった。すなわち、酸化チタンの光触媒作用により、光吸収で発生した電子−ホールによる有機物分解を起こし、透明性、耐光性、耐候性、耐熱性等が大きな問題となっている。
【0012】
現在ではこのようなアナターゼ型酸化チタン超微粒子を含有する樹脂組成物の耐光性を改善させる目的で、例えば特許文献2記載のようなアナターゼ型酸化チタンと無機酸化物を複合した超微粒子、あるいはアナターゼ型酸化チタンを無機酸化物で被覆した超微粒子及びそのゾル液が適用されている。
【0013】
これらはいずれも無機酸化物被覆によるアナターゼ型酸化チタン超微粒子の不活性化を目標としたものである。このように酸化チタン超微粒子を無機酸化物で被覆することで耐光性は改善される。しかし、周辺有機物劣化による変色や退色、硬度の低下等、長期間にわたる耐光安定性を満足し得るものではなかった。さらには用いる金属によっては着色が見られる問題があった。また、使用されている酸化チタンはアナターゼ型であるために、屈折率が約2.5であり、耐光性向上のために他の金属酸化物で被覆した場合には大幅に屈折率が低下してしまい、本来のアナターゼ型酸化チタンの屈折率よりは低くなり、屈折率を向上させる効果は低い。また、被覆する金属酸化物の量を減らし屈折率を上げたとしても耐光性が不十分となり、樹脂組成物の透明性、耐光性、耐候性、耐熱性等が問題となっている。
【0014】
これに対して従来のアナターゼ型酸化チタンより屈折率の高いルチル型酸化チタンは、前述した通り、用い得る超微粒子、ゾル液が無いのが現状であった。
【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys.,37,4603(1998)
【特許文献1】特開2007−197278号公報
【特許文献2】特開2001−123115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、高屈折率で透明性、分散性、耐光性、耐候性等に優れた無機酸化物超微粒子及び該超微粒子が高濃度に分散した高屈折率かつ透明な樹脂組成物及び光学部材を提供することにある。特に半導体発光素子封止材料の少なくとも一部を構成して、光の取り出し効率を更に高めることのできる高屈折率かつ透明な半導体発光素子用封止材、及び該封止材で封止された半導体発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、下記本発明に係る有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子を見出した。
【0017】
即ち、
[1]ルチル型酸化チタンを少なくとも含む無機酸化物超微粒子を、片末端がアルコキシシリル基である有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤で修飾した有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
【0018】
[2]前記有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤が、下記一般式(1)で示される有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤である[1]に記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、R1、R2、R3、R1’、R2’、R1’’、R2’’は置換又は未置換の脂肪族炭化水素基又は置換又は未置換の不飽和炭化水素基であり、R4は炭素数1〜8の置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルコキシアルキル基又は置換又は未置換のアシル基である。また、Xは−Si(R1’)(R2’)−R−(Rは、置換又は未置換のアルキレン基)又は単結合を表す。a、b、c、d、e、f、nは整数であり、a+b+c=3;f≧1、d+e=3−f;n≧0である。)。
【0021】
[3]前記無機酸化物超微粒子におけるルチル型酸化チタンの含有量が、5〜100質量%である[1]又は[2]に記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
【0022】
[4]前記無機酸化物超微粒子が、スズ含有ルチル型酸化チタンであって、チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2のスズ化合物共存下、Ti濃度が0.07〜5mol/lのチタン化合物水溶液をpHが−1〜3の範囲で反応させて得られ、Sn/Ti組成モル比が0.001〜0.5であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子である[1]から[3]のいずれかに記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
【0023】
[5]前記無機酸化物超微粒子が、前記無機酸化物超微粒子を内核として、ケイ素酸化物をそれぞれ含む二層の被覆層で被覆されたものであり、該二層の被覆層のうち、内層は下記工程(1)、外層は下記工程(2)によって形成され、該内核の無機酸化物超微粒子に対する該二層の被覆層の質量比が、SiO2換算で0.001〜20である二層ケイ素酸化物被覆無機酸化物超微粒子である[1]から[4]のいずれかに記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
(1)前記内核の無機酸化物超微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH<7の条件下で、該内核の無機酸化物超微粒子と反応させる工程。
(2)前記内核の無機酸化物超微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH≧7の条件下で、前記工程(1)で得られた超微粒子と反応させる工程。
【0024】
[6][1]から[5]のいずれかに記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子を樹脂成分に分散してなる樹脂組成物。
【0025】
[7]前記樹脂成分がシリコーン樹脂からなる[6]に記載の樹脂組成物。
【0026】
[8][6]又は[7]に記載の樹脂組成物を含んでなる光学部材。
【0027】
[9][6]又は[7]に記載の樹脂組成物からなる半導体発光素子用封止材。
【0028】
[10]屈折率が1.5〜2.0である[9]に記載の半導体発光素子用封止材。
【0029】
[11][9]又は[10]に記載の封止材で封止された半導体発光素子。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物は、無機酸化物超微粒子を有機シロキサンオリゴマーで修飾することにより、樹脂、とりわけシリコーン樹脂への分散性が実現され、透明性が実現できる。さらに、従来のアナターゼ型酸化チタンを用いた場合には得られない、高屈折率、透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、成形加工性等に優れた樹脂組成物、特に半導体発光素子封止材料の少なくとも一部を構成して、光の取り出し効率を更に高めることの出来る高屈折率かつ透明な半導体発光素子封止用組成物、及びそれを用いた光学部材を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0032】
本発明の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子は、ルチル型酸化チタンを少なくとも含む無機酸化物超微粒子を、片末端がアルコキシシリル基である有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤で修飾したものである。無機酸化物超微粒子を有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤で修飾することにより、有機溶媒、樹脂あるいはそのモノマー中への分散性、相溶性が向上し、組成物の透明性等が向上する。
【0033】
(有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤)
本発明においては、片末端がアルコキシシリル基である有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤を用いる。有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤としては、前記一般式(1)で示されるものを用いることが好ましい。
【0034】
前記一般式(1)中、R1、R2、R3、R1’、R2’、R1’’、R2’’で表される置換脂肪族炭化水素基あるいは置換不飽和炭化水素基における置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、アリル基、アシル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基又はエポキシ基等が挙げられる。R4は炭素数1〜8の置換又は未置換のアルキル基、アルコキシアルキル基又はアシル基である。また、Rで表されるアルキレン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキレン基が挙げられる。
【0035】
1、R2、R3、R1’、R2’、R1’’、R2’’としては、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基等が挙げられる。また、R4としては、具体的には、メチル基、エチル基等が挙げられる。nは1〜10が好ましく、fは1〜3が好ましい。なお、本発明においては、n=0の場合にもオリゴマーと称することとする。
【0036】
前記有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤には、複数種類のシランカップリング剤を用いることも所望により行われる。
【0037】
前記一般式(1)の有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤において、(OR4)基が加水分解した後、無機酸化物超微粒子表面の−OH基と脱水反応を起こしSi−O−M(Mは金属原子)の結合を生じることが好ましいが、(OR4)基の一部が残存していてもかまわない。
【0038】
前記有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤の無機酸化物超微粒子への修飾方法としては、無機物のシランカップリング剤による一般的な処理方法が採用される。例えば、有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤を含む溶媒に無機酸化物超微粒子ゾル液を混合し、必要に応じて触媒を加えた後、室温放置や一定時間加熱、超音波処理、溶媒除去後加熱などを行うことにより、修飾することができる。また、必要に応じて限外ろ過、遠心分離などの方法で、混合液中の未反応分を除去することができる。
【0039】
なお、本発明は、有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤を無機酸化物超微粒子に修飾した有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子であるが、有機ケイ素酸化物等の表面処理剤を無機酸化物超微粒子表面に化学結合、化学吸着、物理吸着等させたものでも、有機溶媒、樹脂あるいはそのモノマー中への分散性、相溶性の向上、組成物の透明性等の向上の効果が得られる。しかし、本発明に係る有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子では、より高い効果が得られる。
【0040】
(無機酸化物超微粒子)
本発明における無機酸化物超微粒子は、ルチル型酸化チタンを少なくとも含む。前述の通り、ルチル型酸化チタンはアナターゼ型酸化チタンに比べてより高い屈折率を有するため、無機酸化物超微粒子として超微粒子化したルチル型酸化チタンを用いることで、より高屈折率化が可能となる。さらに、樹脂の透明性等を損なわないためには、ルチル型酸化チタンは超微粒子である必要がある。
【0041】
本発明における、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを少なくとも含む無機酸化物超微粒子とは、超微粒子化したルチル型酸化チタンを少なくとも含んでいればよく、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンと他の無機酸化物との複合体であっても、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを他の無機酸化物超微粒子の表面に被覆するような形状であってもよく、特に制限はない。
【0042】
当該無機酸化物超微粒子中のルチル型酸化チタンの割合は5〜100質量%が高屈折率の観点から好ましい。より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%である。
【0043】
無機酸化物超微粒子中のルチル型酸化チタン以外の成分については、本発明の樹脂の透明性を損なわないものであればよく、特に制限はない。具体的には、例えば、Al、Si、V、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Sn、Sb、W等の酸化物が挙げられ、好ましくは、Al、Si、Zr、Sn、Sbの酸化物である。
【0044】
前記無機酸化物超微粒子の結晶径の短軸、長軸は、それぞれ2〜20nmであることが低光散乱性の観点から好ましい。また、無機酸化物超微粒子凝集体の結晶の平均凝集粒子径は、10〜100nmであることが同様に低光散乱性の観点から好ましい。
【0045】
なお、ここで言う結晶径とは、いわゆる一次粒子径のことであって、化学便覧改訂3版(基礎編 丸善株式会社)記載のようにa、c軸方向長さで表現される。本明細書ではそれぞれ短軸、長軸と呼ぶ。また、平均凝集粒子径とは、一次粒子が凝集してなる粒子径を表す。
【0046】
(スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子)
前記無機酸化物超微粒子は、スズ含有ルチル型酸化チタンであって、チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2のスズ化合物共存下、Ti濃度が0.07〜5mol/lのチタン化合物水溶液をpHが−1〜3の範囲で反応させて得られ、Sn/Ti組成モル比が0.001〜0.5であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子であることが好ましい。焼結防止剤として用いられるスズ化合物を酸化チタンに修飾させることにより、酸化チタンの長繊維化を防止すると共に、凝集を防止する効果がある。
【0047】
以下に、スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の調製方法について説明する。
【0048】
本発明において用いられるスズ化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には例えば塩化スズ、硝酸スズ、硫酸スズ、スズ酸塩などのスズ塩化合物あるいは酸化物、水酸化物、金属スズ等から選ばれるスズ化合物等が好ましいものとして挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用することもできる。
【0049】
本発明において用いられるチタン化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には例えば、塩化酸化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、チタンアルコキシド、水和酸化チタン(あらかじめチタン化合物をアルカリ条件で加水分解させたものも含む)等から選ばれるチタン化合物等が好ましいものとして挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用することもできる。
【0050】
まず、スズ化合物を水溶液に添加しておき、これにチタン化合物を加える。スズ化合物とチタン化合物は同時に加えてもよいし、どちらが先であってもよい。また、混合化合物の形態であってもよい。反応溶媒は水が望ましいが、アルコール等の有機溶剤あるいは水と有機溶媒の混合溶媒でもよい。
【0051】
ルチル型酸化チタンの結晶成長制御のための修飾剤として反応に用いるスズ化合物の量は、チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1である。スズ量を上記範囲より少なくしていくとルチル型酸化チタン超微粒子は生成するが、結晶径、凝集粒子径が大きくなり、したがって分散性が低下する可能性がある。また、樹脂組成物の透明性が低下する可能性がある。また、上記範囲より多くした場合、ルチル型を有する酸化チタン超微粒子の合成は可能であるが、反応に要する時間が長くなり、ルチル型酸化チタン超微粒子に多量のスズ化合物が付着したものが得られる可能性がある。また、残存スズ化合物量が多くなり、粒子屈折率が低下する可能性がある。
【0052】
反応液中のTi濃度は0.07〜5mol/lであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1mol/lである。上記範囲より低いTi濃度では、Sn/Ti(モル比)として0.01〜0.03の範囲でスズ化合物を添加した場合アナターゼ型とルチル型の混合酸化チタン超微粒子が生成する可能性がある。同様に上記範囲より低いTi濃度では、Sn/Ti(モル比)として0.03より大きい範囲でスズ化合物を添加すると、ルチル型酸化スズを有する酸化チタン酸化スズ混合超微粒子が生成する可能性がある。
【0053】
反応液のpHは−1〜3が好ましい。pHは必要に応じて塩酸や硝酸などで調節することができる。pHが3より大きい条件で反応させると、スズ化合物を加えない場合ではアナターゼ型酸化チタンになり、これを避けるためにスズ化合物を添加してルチル構造を得ようとすると、酸化スズなどのルチル型酸化チタンではない異種物質が生成する可能性がある。
【0054】
反応温度に関しては、Ti濃度とpHが上記範囲であれば良く、特に制限は無いが、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは20〜60℃である。反応時間は反応温度に応じて適宜決定されるが、通常は0.5〜10時間で実施する。
【0055】
上記の反応により生成したスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子中に含まれるスズ化合物量として、Sn/Tiモル比=0.001〜0.5であることが好ましい。スズ量を上記範囲より少なくしていくとルチル型酸化チタン超微粒子の粒子径が大きくなり、分散性が低下する可能性がある。また、上記範囲より多くしていくと、より効率よく結晶成長及び凝集を制御し、粒子径の小さな超微粒子が得られるが、ルチル型酸化チタン超微粒子に多量のスズ化合物が付着したものが得られ、結果として屈折率の低い超微粒子が得られる可能性がある。
【0056】
この方法により得られるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の結晶径の短軸、長軸は2〜20nm、平均凝集粒子径は10〜100nmであり、上述した範囲を満たす。
【0057】
本発明のスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子が得られる反応機構(反応メカニズム)は現在十分に明らかではないが、表面がスズ化合物で修飾されていることが特徴である。原料に用いたスズ化合物、あるいは溶液中で解離したスズイオン、あるいは加水分解等により溶液中で生成したスズ化合物が、酸化チタン表面に配位、吸着、化学結合等により付着したものと推測される。また、元々アナターゼ型ではなくルチル型酸化チタン生成条件でスズ化合物を修飾剤として添加したもので、長軸方向への結晶成長が阻止された結果生じたものと推測される。このことは超微粒子の結晶径が2〜20nmであるスズ修飾酸化チタン超微粒子を得るために必要な修飾スズ化合物量が、酸化チタンを隙間無く被覆する量には程遠い、チタンに対するモル比が0.001〜0.5という少量であることからも窺える。
【0058】
上記方法により得られた反応生成物は、その後の処理において、そのままスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液として用いてもよいし、所望の後処理を施してもよい。すなわち、エバポレーターによる減圧濃縮、限外ろ過などの公知の方法で精製、適当な濃度に濃縮することも可能である。遠心分離して白色沈殿物を得て、水、その他所望の有機溶媒に対して再分散させることも可能である。スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子を水に分散させたゾル液は、メタノールなどのアルコール類、2−メトキシエタノールなどのセロソルブ類といった有機溶媒に溶媒置換して、有機溶媒分散スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液として用いることも可能である。
【0059】
(被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子)
本発明においては、酸化チタンの光触媒性による周辺有機物の劣化を防止するため、耐光性を付与することが必要になる。この目的のため、前記スズ修飾ルチル型酸化チタン微粒子を無機酸化物で被覆した被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子をとすることが好ましい。なお、被覆とは微粒子表面を完全に覆った形態、あるいは隙間が空いた形態両方を意味する。
【0060】
前記被覆に用いられる無機酸化物としては、Zr、Si、Al、Sb、Sn、Mo、Nb、Zn、Ta、Fe、W、Bi、Ce、Pb、Cu、Y、In、V、Mg、La等の酸化物が好ましい。これらを一種のみで被覆して用いることも、2種以上用いて被覆することも可能である。無機酸化物同士が個々に被覆した形態、複合化して被覆した形態、固溶体となって被覆した形態、あるいは一種で被覆した後、さらにもう一種で被覆した形態であってもよい。また、無定形の酸化物、結晶性の酸化物、あるいは水和した状態であってもよい。また、ケイ酸、アンチモン酸などの酸、それらのオリゴマーあるいはそれらの塩の形態でスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子表面に吸着、結合した状態であってもよい。
【0061】
このようにして得られる無機酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子は、被覆層に選ばれる無機酸化物種とその量により、超微粒子自体の屈折率と耐光性を調節することができる。また耐光性を付与することができ、かつ屈折率が1.5〜2.8で調節することができ、好ましくは2.0〜2.8の範囲で調節することができる。
【0062】
なお、ここではスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子を無機酸化物で被覆した形態を示したが、スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子に限らず、前述したスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子以外の無機酸化物超微粒子に被覆することもできる。これは、後述する二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子についても同様である。
【0063】
(二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子)
本発明においては、前記被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の中でも、前記スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子を内核として、ケイ素酸化物をそれぞれ含む二層の被覆層で被覆されており、該二層の被覆層のうち、内層は(1)の工程、外層は(2)の工程によって形成され、該内核のスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子に対する該二層の被覆層の質量比が、SiO2換算で0.001〜20である二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子が好ましい。
(1)内核のスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH<7の条件下で、該内核のスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子と反応させる工程。
(2)内核のスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH≧7の条件下で、(1)で得られたスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子と反応させる工程。
【0064】
前述したように、スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子あるいはそのゾル液を樹脂組成物等に用いる場合、酸化チタンの光触媒性による周辺有機物の劣化を防止するため、耐光性を付与することが必要になる。この目的のため、ケイ素酸化物を含む被覆層を二層ルチル型酸化チタン超微粒子表面に設けることにより、より耐光性を向上させることができる。
【0065】
前記被覆に用いられるケイ素酸化物としては、コロイダルシリカ、ケイ酸ゾル、ケイ酸ナトリウム、あるいはケイ酸カリウムなどのケイ酸塩を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を併用することができる。ここでいうケイ素酸化物とは無定形の酸化物、結晶性の酸化物、あるいは水和した状態であってもよい。また、ケイ酸、ケイ酸オリゴマーあるいはそれらの塩であってもよく、それらがスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子表面に吸着、結合した状態であってもよい。
【0066】
被覆層の形成方法としては、まず、前述した方法によりスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子のゾル液を調製する。前記調製したゾル液を希釈あるいは濃縮し、固形分として0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にすることが望ましい。ゾル液の固形分濃度が0.01質量%未満の場合は生産性が低く工業的に有効でなく、ゾル液の固形分濃度が20質量%をこえると得られる超微粒子が凝集体となる可能性がある。以下に工程(1)及び(2)の詳細を示す。
【0067】
[工程(1)]
まず、スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子(以下、核微粒子と示す場合あり)と、該核微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH<7の条件下で反応させる。
【0068】
ここで用いられるケイ素酸化物としては特に制限はないが、上述したケイ素酸化物を用いることができ、コロイダルシリカ、ケイ酸ゾルが好ましい。用いる量としては、核微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10が好ましく、0.01〜0.5であることがより好ましい。この範囲、即ち10より大きいと十分な屈折率が得られない可能性がある。また、0.001より小さいと分散安定性が低くなる可能性がある。
【0069】
反応液のpHは7より小さいことが好ましく、さらには2〜4がより好ましい。pHが7以上だと核微粒子であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子が凝集、ゲル化を引き起こす可能性がある。さらにpHが1よりも小さすぎると、核微粒子のもつ電気二重層が過剰のプラスイオンによって遮蔽され、凝集を引き起こす可能性がある。pHは必要に応じて酸性化合物あるいは塩基性化合物を加えて調整してもよい。例えば酸性化合物としては塩酸、硫酸、硝酸などが、塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0070】
本工程では、核微粒子を含む反応液にケイ素酸化物を水及び/又は有機溶媒に溶解した溶液を連続的あるいは断続的に添加して核微粒子表面において反応させる。反応は、0.1〜100時間かけて核微粒子ゾル液がゲル化しない程度に滴下することが好ましい。これより長いと経済的に効率的でない。また、これより短いと反応が不十分となる可能性がある。
【0071】
反応液中でのケイ素酸化物の滴下終了後の濃度はSiO2換算で0.01〜5質量%が好ましい。これより小さいと生産性が低く工業的に有効でなく、これより大きいと(ケイ素酸化物のみで)重合が進行しすぎ、ケイ素酸化物の不溶物が生成する可能性がある。
【0072】
反応温度は特に制限はないが、0〜200℃が好ましく、30〜100℃がより好ましい。この範囲、即ち200℃より大きいと超微粒子が凝集する可能性がある。また、0℃より小さいと反応が十分に進行しない可能性がある。
【0073】
[工程(2)]
工程(1)で得られた被覆超微粒子あるいはゾル液を必要に応じて解こうした後、続いて、工程(1)で得られた被覆超微粒子と、核微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH≧7の条件下で反応させる。
【0074】
ここで用いられるケイ素酸化物としては特に制限はないが、工程(1)同様上述したケイ素酸化物を用いることができ、コロイダルシリカ、ケイ酸ゾルが好ましい。用いる量としては、核(A)に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10が好ましく、0.1〜1であることがより好ましい。この範囲、即ち10より大きいと十分な屈折率が得られなくなる可能性がある。また、0.001より小さいと十分な耐光性が得られなくなる可能性がある。
【0075】
反応液のpHは7以上であることが好ましく、さらには8〜11がより好ましい。pHが7より小さいと緻密な被覆層が形成できない可能性がある。pHは塩基性化合物を加えて適宜調整すればよい。該塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0076】
本工程では、核微粒子を含む反応液にケイ素酸化物を水及び/又は有機溶媒に溶解した溶液を連続的あるいは断続的に添加して核微粒子表面において反応させる。反応は、0.1〜100時間かけて添加することが好ましい。これより長いと経済的に効率的でない。また、これより短いと反応が不十分となる可能性がある。
【0077】
反応液中でのケイ素酸化物の滴下終了後の濃度はSiO2換算で0.01〜5質量%が好ましい。これより小さいと生産性が低く工業的に有効でなく、これより大きいと(ケイ素酸化物のみで)重合が進行しすぎ、ケイ素酸化物の不溶物が生成する可能性がある。
【0078】
反応温度は特に制限はないが、0〜200℃が好ましく、80〜200℃がより好ましい。この範囲、即ち200℃より大きいと微粒子が凝集する可能性がある。また、0℃より小さいと反応が十分に進行しない可能性がある。
【0079】
なお、ケイ素酸化物を含む被覆層に含まれるその他の無機酸化物としては、得られる超微粒子の耐光性、分散性、保存安定性を損なうものでなければ特に制限はない。具体的には、例えば、Al、Si、V、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Sn、Sb、W等の酸化物が挙げられ、好ましくは、Al、Si、Zr、Sn、Sbの酸化物が挙げられる。
【0080】
また、被覆層としては二層のケイ素酸化物からなる被覆層のみが好ましいが、他の無機酸化物の被覆層を設けても良い。この場合、該二層のケイ素酸化物からなる被覆層の内側に設けることが好ましい。
【0081】
本発明により得られた二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の結晶径の短軸、長軸は2〜20nm、平均凝集粒子径は10〜100nmであることが好ましい。結晶径が2nmより小さいと、本来得られる屈折率が得られなくなる可能性がある。20nmより大きいと、光の散乱が生じる可能性がある。平均凝集粒子径が100nmより大きいと、ゾル液、得られる樹脂組成物等が白濁し、不透明となる可能性がある。
【0082】
上記手法によって得られる二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子における、核微粒子に対するケイ素酸化物被覆層の質量比はSiO2換算で0.001〜20であることが好ましい。被覆層の量により、超微粒子自体の屈折率と耐光性を調節することができる。これにより所望の耐光性を付与でき、かつ屈折率が1.5〜2.8で調節可能である。
【0083】
上記により得られた反応生成物は、そのまま無機酸化物超微粒子水ゾル、即ち二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子水ゾルとして用いてもよいし、所望の後処理を施してもよい。すなわち、エバポレーターによる減圧濃縮、限外ろ過などの公知の方法で精製、適当な濃度に濃縮することも可能である。遠心分離して白色沈殿物を得て、水、その他所望の溶媒に対して再分散させることも可能である。特に限外ろ過を行うことにより、超微粒子周りの電気二重層を遮蔽して超微粒子の凝集を引き起こす原因となるイオン分を取り除くことが出来るため、分散安定性が向上する。二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子を分散させた水ゾルは、メタノールなどのアルコール類、2−メトキシエタノールなどのセロソルブ類といった有機溶媒に溶媒置換して、有機溶媒に分散したゾル液として用いることも可能である。
【0084】
従来の調製方法で調製した酸化チタン超微粒子は、通常中性域に等電位点を持ち、酸性領域で安定なゾル液である。そのため従来の手法で調製した酸化チタン超微粒子ゾル液は、中性〜塩基性では凝集、ゲル化を引き起こし、使用範囲が限定される問題があった。また有機溶媒に置換しようとすると凝集、ゲル化を引き起こし、安定性を損なう問題があった。さらには分散媒が水の場合でも10質量%以上に濃縮しようとするとゲル化を引き起こし、高濃度に分散したゾル液を得るのは困難であり、生産性が低い問題があった。本発明に係る二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の調製方法では、工程(1)においてケイ素酸化物をpH<7の範囲で反応させることによって、広範囲pH、特に3<pH<14の条件において、凝集、ゲル化を生じず、分散性、保存安定性に優れた薄層のケイ素酸化物で被覆された酸化チタン超微粒子ゾル液が得られ、かつ、工程(2)においてpH≧7の範囲で反応させることによって緻密で厚いケイ素酸化物被覆層を設けることができる。
【0085】
酸性領域において安定な酸化チタン超微粒子ゾル液はその表面がプラスに帯電している。そこに上記条件において反応させることによって反対符号の電荷を持ち、かつ核微粒子よりもサイズの小さな超微粒子を選択することによって核微粒子表面でヘテロ凝集を引き起こし、より効果的に一様に薄層のケイ素酸化物被膜が形成され、これにより、核微粒子表面にSiO2の特性が付与され、本発明に係る二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子はpH=3〜14という広範囲のpH領域において安定となると考えられる。さらに、pH≧7の塩基性条件下で、緻密で厚いケイ素酸化物層に成長させることによって高分散性を保ちながら耐光性、耐候性を有する超微粒子が得られる。すなわち、pH<7で形成される被覆内層及びpH≧7で形成される被覆外層の二層構造を持つ透明性、分散性、保存安定性、耐光性、耐候性等に優れた酸化チタン超微粒子、ゾル液である。
【0086】
前記ケイ素酸化物による被覆により、ゾル液の濃度を固形分換算で20質量%以上、さらには35質量%以上の高濃度にした場合でも、広範囲のpHで安定に存在し、有機溶媒に置換した際にも高濃度において安定に存在する。
【0087】
本発明において有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子を分散するのに用いられる分散媒としては、表面有機修飾度に応じて選定すればよいため、特に制限はない。具体的には、例えば水や、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、クロロホルムなどのハロゲン炭化水素類、トルエン、ヘプタンなどの炭化水素類などの有機溶媒が挙げられ、2種以上混合して用いてもよい。
【0088】
さらには、上記分散媒以外にも樹脂モノマーなどの有機物質を分散媒として、超微粒子を分散させることも可能である。この場合、これを直接硬化させることが可能となる。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂や、シリコーン樹脂前駆反応性シリコーンなどが挙げられる。無機酸化物超微粒子に修飾される有機シロキサンオリゴマーの種類、量は、樹脂モノマーの極性に応じて適宜設定される。
【0089】
(樹脂組成物)
本発明に係る樹脂組成物は、前記有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子を含む。本発明の樹脂組成物は、特に半導体発光素子の製造の際に封止材として用いる半導体発光素子用封止材として用いることが好ましい。半導体発光素子用封止材には、無色透明で、吸湿性が小さく吸湿変形しないこと、製造工程や使用環境での耐熱性が高いこと、成形性が優れていることなどの特性が要求される。本発明の樹脂組成物を半導体発光素子用封止材に用いる場合、樹脂成分としては、前記特性を満たすものであれば特に限定されず、従来の半導体発光素子用封止材に用いられているものでかまわない。例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式アクリル樹脂、脂環式オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂に代表される非晶性熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられ、この中でもビスフェノール型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂、シリコーン樹脂が好ましい。
【0090】
本発明に係る半導体発光素子用封止材の屈折率は、1.5〜2.0であることが、半導体発光素子の屈折率とのマッチングの観点から好ましい。
【0091】
本発明における半導体発光素子用封止材等の樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、本発明に係る有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子と樹脂を均一に混合するのに用いられる方法であれば良く、通常用いられる従来公知の方法で何ら構わない。
【0092】
すなわち、具体的には例えば、樹脂成分と超微粒子ゾル液あるいは超微粒子粉末をそれぞれ独立して調製し、その後に両者を混合させる、あるいは混練する方法、予め調製した超微粒子が存在する条件で樹脂を重合する方法、予め調製した樹脂が存在する条件で超微粒子を調製する方法など、いずれの方法も採用できる。
【0093】
超微粒子の分散安定性の観点からは、超微粒子ゾル液と樹脂が溶解した溶液を均一に混合し、溶剤を除去することで樹脂組成物を得る方法、あるいは樹脂モノマー、反応性シリコーンなどの中に超微粒子を分散させ重合させて直接樹脂組成物を調製する方法などが好ましく挙げられる。
【0094】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性である場合、押し出し成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、圧縮成形等の従来公知の成型加工が可能であり、ディスク、フィルム等種々の成形体を得ることができる。
【0095】
本発明において用いられる半導体発光素子用封止材等の樹脂組成物に含まれる超微粒子含有量は、特に制限はなく、用途に応じて適宜設定されるが、0.1〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜70質量%である。これより小さいと高屈折率化など超微粒子の特性が付与されない可能性がある。これより大きいと脆くなる可能性がある。
【0096】
本発明の樹脂組成物に含まれる超微粒子は、好ましくは二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子のみであるが、本発明の効果を阻害しない範囲で、屈折率調整のため他の無機酸化物超微粒子と併用することも可能である。Zr、Ti、Sn、Si、Al、Fe、Ni、Co、Zn、Mo、Nb、W、In、Ta、Bi、Pb、Ce、Sb、Cuなどの無機酸化物超微粒子あるいはこれらの混合無機酸化物超微粒子が挙げられる。
【0097】
また、本発明に係る超微粒子以外に、樹脂成分の種類に応じて、硬化剤や硬化触媒を適宜配合することが好ましい。
【0098】
また、本発明の樹脂組成物に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、分散染料、顔料、色素、染色向上剤等、必要に応じて任意の添加物を添加することも可能である。
【0099】
(光学部材)
本発明に係る光学部材は、前記樹脂組成物を含む。前記光学部材には特に制限はなく、例えば部材の全部あるいは一部に使用することが出来る。
【0100】
前記樹脂組成物は半導体発光素子用封止材としてだけでなく、有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子を含んでなるアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式アクリル樹脂、脂環式オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂シリコーン樹脂に代表される熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂は、光学レンズ(メガネレンズ、フレネルレンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)、光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、回折格子、導光板、液晶基板、光反射板、反射防止材等の高屈折率光学部材の材料等へも好適に用いることが可能である。
【実施例】
【0101】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0102】
[製造例1]
(二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液の調製)
四塩化スズ五水和物0.27gを100mlナス型フラスコに仕込み、イオン交換水50mlに溶解し、酸化塩化チタンの塩酸水溶液(Ti15質量%含有)5mlを加えた(仕込みTi濃度=0.45(mol/l)、Sn/Ti=0.03)。溶液のpHは−0.1であった。マグネチックスターラーで攪拌し、50℃で1時間加熱したところ、白色の沈殿を得た。遠心分離を行い、白色沈殿を回収、イオン交換水に再分散させた。限外ろ過を行い、固形分2質量%のスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液を得た。この固形分の粉末X線回折測定、電子顕微鏡観察を行った。120℃で2時間熱風乾燥を行った後、粉末X線回折測定を行ったところ、酸化チタンルチル型であった。結晶径は回折ピークの半値幅からDebye−Sherrerの式を用いて計算した。その結果、平均結晶径はそれぞれ短軸5nm、長軸8nmであった。電子顕微鏡観察は透過型電子顕微鏡を用い、メッシュに希薄ゾル液を滴下したものを倍率20万倍、200万倍で観察した。その結果、平均凝集粒子径が23nmのルチル型酸化チタンであった。誘導結合プラズマ法分析によるSn/Tiの元素モル比は0.02であった。
【0103】
前記スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液2500gをpH=3に調整した後、80℃に加熱した。2質量%のケイ素酸化物水溶液125gを1時間かけて滴下し、さらに30分加熱した。室温にまで冷却した後、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液を加えてゾル液にした。80℃に昇温し、pH=9に維持しながら、2質量%ケイ素酸化物水溶液625gを2時間かけて滴下し、さらに4時間加熱した。限外ろ過を行い精製し、2質量%二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液を得た。誘導結合プラズマ法分析による被覆層/微粒子の質量比は=0.13/1であった。このようにして得られた二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子水ゾルをエバポレーターで濃縮し、5質量%水ゾルを調製した。
【0104】
[製造例2]
(有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤の調製)
D3(シクロヘキサメチルトリシロキサン)20.4gをシクロヘキサン22mlに溶解させ、CaH2を加え、窒素気流下、オイルバスを用い、30分還流した。乾燥三口フラスコに移し変え、還流下、1.6Mブチルリチウムヘキサン溶液を14ml滴下した後、ジグリム6mlを加え、攪拌還流を2.5時間行った。室温に戻して、冷水で冷やしながらジメチルクロロシラン10mlを滴下した。2時間室温で攪拌後、溶媒、残存ジメチルクロロシランを減圧留去した。塩化リチウムを濾別した。これを乾燥三口フラスコに移し、ビニルトリメトキシシラン9gを加え、次いで白金触媒(Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex 0.1M solution in poly(dimethylsiloxa),vinylterminated, Aldritch社)を1.5mlのポリ(ジメチルシロキサン)poly(dimethylsiloxa)で10倍に薄めたものを0.1ml加え、24時間室温で、乾燥空気通気下攪拌反応させた。未反応ビニルトリメトキシシランを減圧留去し、片末端メトキシ有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤26gを得た。生成物はマススペクトル、NMRで構造を確認した。
【0105】
(有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子ならびに樹脂組成物の調製)
[実施例1]
製造例1で得られた水ゾル100gに2mol/l塩酸水溶液を加えてpHを約4にし、2時間超音波処理した後、透析膜を用いて外部にイオン交換水を入れ、12時間透析した。途中、外部イオン交換水は交換した。得られた透析後の水ゾルのpHは約7であった。この水ゾル2.5mlをとり、UVオゾン処理を10分施し、メタノール10ml、エタノール10mlを加え攪拌した。この溶液に、あらかじめ製造例2で調製した片末端メトキシ有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤0.05mlにメタノール5ml、エタノール5ml、水0.03ml加えたものを酢酸でpHを約4に調整し、5分間置いたものにヘプタン5mlを加えた溶液を添加した。10分間超音波攪拌した後、ナトリウムメトキシドのメタノール・エタノール混合溶液をpH>9になるまで加え、縮合反応を開始した。4時間超音波攪拌した後、ヘプタンを加え、表面が有機シロキサンオリゴマーで修飾された二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子をヘプタン層に抽出した。メタノール、水で洗浄した後70℃30分、150℃20分で乾燥した。これにより、有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤修飾二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子粉末0.15gを得た。この粉末0.1gに信越シリコーン社製シリコーン樹脂「SCR−1011」(商品名)B液0.05gを加え、混合した。これを減圧脱気したのち、A液0.05gを加え脱気した。薄膜状に成形し、これを70℃1時間、150℃5時間で加熱した。この透明薄膜についてアッベ屈折計で測定したところ、屈折率は1.60であった。なお、上記シリコーン樹脂「SCR−1011」B液、A液を同様に超微粒子を添加せずに薄膜状に成形した場合、該薄膜の屈折率は1.53であった。
【0106】
[比較例1]
実施例1において調製した有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤の代わりにドデシルトリメトキシシランをシランカップリング剤に用いた以外は実施例1と同様にして、表面修飾二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子、ならびに樹脂組成物の調製を行った。しかし、得られた樹脂組成物からなる薄膜は不透明で屈折率は測定できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明によれば、優れた耐光性、耐候性、透明性、高い屈折率を有し、光学部材として用いられる新規な樹脂組成物が提供できる。
【0108】
上記により得られる当該樹脂組成物は、光学材料に適用した場合に高屈折率、透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、成形加工性等に優れた樹脂組成物、特に半導体発光素子封止材料の少なくとも一部を構成して、光の取り出し効率を更に高めることのできる高屈折率かつ透明な半導体発光素子封止用組成物、及びそれを用いた光学部材を提供することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルチル型酸化チタンを少なくとも含む無機酸化物超微粒子を、片末端がアルコキシシリル基である有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤で修飾した有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
【請求項2】
前記有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤が、下記一般式(1)で示される有機シロキサンオリゴマーシランカップリング剤である請求項1に記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R1’、R2’、R1’’、R2’’は置換又は未置換の脂肪族炭化水素基又は置換又は未置換の不飽和炭化水素基であり、R4は炭素数1〜8の置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルコキシアルキル基又は置換又は未置換のアシル基である。また、Xは−Si(R1’)(R2’)−R−(Rは、置換又は未置換のアルキレン基)又は単結合を表す。a、b、c、d、e、f、nは整数であり、a+b+c=3;f≧1、d+e=3−f;n≧0である。)
【請求項3】
前記無機酸化物超微粒子におけるルチル型酸化チタンの含有量が、5〜100質量%である請求項1又は2に記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
【請求項4】
前記無機酸化物超微粒子が、スズ含有ルチル型酸化チタンであって、チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2のスズ化合物共存下、Ti濃度が0.07〜5mol/lのチタン化合物水溶液をpHが−1〜3の範囲で反応させて得られ、Sn/Ti組成モル比が0.001〜0.5であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子である請求項1から3のいずれか1項に記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
【請求項5】
前記無機酸化物超微粒子が、前記無機酸化物超微粒子を内核として、ケイ素酸化物をそれぞれ含む二層の被覆層で被覆されたものであり、該二層の被覆層のうち、内層は下記工程(1)、外層は下記工程(2)によって形成され、該内核の無機酸化物超微粒子に対する該二層の被覆層の質量比が、SiO2換算で0.001〜20である二層ケイ素酸化物被覆無機酸化物超微粒子である請求項1から4のいずれか1項に記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子。
(1)前記内核の無機酸化物超微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH<7の条件下で、該内核の無機酸化物超微粒子と反応させる工程。
(2)前記内核の無機酸化物超微粒子に対する質量比がSiO2換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH≧7の条件下で、前記工程(1)で得られた超微粒子と反応させる工程。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の有機シロキサンオリゴマー修飾無機酸化物超微粒子を樹脂成分に分散してなる樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂成分がシリコーン樹脂からなる請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の樹脂組成物を含んでなる光学部材。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の樹脂組成物からなる半導体発光素子用封止材。
【請求項10】
屈折率が1.5〜2.0である請求項9に記載の半導体発光素子用封止材。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の封止材で封止された半導体発光素子。

【公開番号】特開2010−95392(P2010−95392A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265099(P2008−265099)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】