説明

有機モリブデン化合物の調製方法

【課題】工程時間の短縮、濾過の省略、および連続工程の適合性(バッチ処理に対して)の利点を有するモリブデン化合物の調製方法を提供する。
【解決手段】ジオール−、ジアミノ、チオール−アルコール−およびアミノ−アルコール−化合物と以下の試薬、すなわち、モリブデン源としてのモリブデン酸アンモニウム(またはアンモニアと三酸化モリブデンまたはモリブデン酸との反応によってインサイチュで製造されたモリブデン酸アンモニウム)と、NH:Moのモル比(モリブデン源中のモリブデン量)が、≧1:1、好ましくは1〜3:1、さらに好ましくは2〜3:1、および最も好ましくは2.2〜2.65:1である、追加のまたは二次的な試薬もしくは促進剤としてのアンモニアと、を反応させて、2,4−ヘテロ原子置換モリブデナ−3,3−ジオキソシクロアルカン化合物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジオール−、ジアミノ、チオール−アルコール−およびアミノ−アルコール−化合物の反応による、2,4−ヘテロ原子置換モリブデナ−3,3−ジオキソシクロアルカン化合物の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,412,130号(Karol)は、意図している基質とモリブデン源とを任意の割合のイミダゾリン型相移動剤の存在下で反応させることによる、モリブデン酸塩(2,4−ヘテロ原子置換モリブデナ−3,3−ジオキソシクロアルカン化合物)の調製方法について記載している。モリブデン酸塩の元の組成物特許は米国特許第4,889,647号(Rowan、Karol、およびFarmer)である。
【0003】
米国特許第3,285,942号(Priceら)は、アリール、N−ジアルキルアミド、アジンおよびオキサジンから選択される少なくとも6個の炭素を有するアルキルアミンから選択される「有機窒素塩基」とモノグリセリドとのモリブデン錯体の改善された製造方法を記載しており、前記窒素塩基は、反応に用いられるモリブデン化合物の1〜50重量%の量で反応材料に加えられている。また、ジメチルホルムアミドも特許請求されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,412,130号(Karol)
【0005】
【特許文献2】米国特許第4,889,647号(Rowan、Karol、およびFarmer)
【0006】
【特許文献3】米国特許第3,285,942号(Priceら)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、工程時間は化学品製造において重要な要件であり、化学品の工程時間が短い(製造が速い)ほどコスト要件において望ましい、すなわち、より速い製造方法は典型的にコストを低減する。本発明は、工程時間の短縮、濾過の省略、および連続工程の適合性(バッチ処理に対して)の利点を有するモリブデン化合物の調製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
過剰のアンモニアまたはアルキルアミンを少量添加したモリブデン酸アンモニウムをモリブデン源として用いることによって、イミダゾールのレベルを最小にする、または排除することができることが予期せずに発見されている。さらに、加えた試薬の総重量に対して1〜5%の過酸化水素は本発明の方法を向上させることができる。
【0009】
したがって、本発明は、ジオール−、ジアミノ、チオール−アルコール−、およびアミノ−アルコール化合物を以下の試薬、すなわち、
モリブデン源としてのモリブデン酸アンモニウム(またはアンモニアと三酸化モリブデンまたはモリブデン酸との反応によってインサイチュで製造されたモリブデン酸アンモニウム)と、
NH:Moのモル比(モリブデン源中のモリブデン量)が、≧1:1、好ましくは1〜3:1、さらに好ましくは2〜3:1、および最も好ましくは2.2〜2.65:1である、追加のまたは二次的な試薬もしくは促進剤としてのアンモニア
と、
を反応させてモリブデン酸誘導体を生成することによって、複素環式モリブデン酸塩を調製する方法である。
【0010】
これは、NH:Moの比が0.86:1である従来技術(米国特許第5412130号)のモリブデン酸アンモニウムよりもかなり多いアンモニアであろう。追加の二次的な試薬/促進剤として作用するとき、アンモニアは反応プロセスを大きく促進する働きをするものと推測される。
【0011】
本発明の方法は、米国特許第5,412,130号(Karol)に記述されたイミダゾリン誘導反応促進剤/相移動剤の使用と比肩し得るが、本発明の方法はこれらの作用剤を必要としない。本発明の方法のためのイミダゾリン型相移動剤の最適量は、8%まで、さらに好ましくは6〜8%である。
【0012】
アルキルアミンをアンモニアとともに用いることができる(しかし、アミンとしての追加の費用はさらに高価である)。したがって、同様にアンモニアとアミンの混合物は化学的に適用可能である。
【0013】
米国特許第5,412,130号および本明細書に用いられる用語「ジオール−、ジアミノ−、チオール−、アルコール−およびアミノ−アルコール化合物」は、トリグリセリド、ポリ−アルファ−オレフィン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、脂肪酸、脂肪油、および脂肪アミドから誘導される化合物を指す。本明細書の用語「2,4−ヘテロ原子置換モリブデナ−3,3−ジオキソシクロアルカン−脂肪酸−誘導化合物」は、一般にジオール−、ジアミノ、チオール−アルコール−、およびアミノ−アルコール−トリグリセリド化合物をモリブデン酸アンモニウムまたはモリブデン酸トリアルキルアンモニウムまたはその混合物と、イミダゾリン誘導相移動剤なしで、またはその最少量とともに反応させることによって得られる複素環式化合物を指す。したがって、本発明は、イミダゾリン誘導相移動剤なしで実施する方法も含むこともできるが、本発明は任意の量のイミダゾリン、例えば、最大約20%以上、好ましくは約8%未満のそれらの薬品を用いることもできる。
【0014】
モリブデン酸アンモニウムまたはモリブデン酸トリアルキルアンモニウムまたはその混合物は、三酸化モリブデンと水またはモリブデン酸から作ることができる。三酸化モリブデンと水が緩やかな加熱でモリブデン酸を形成することは化学的に既知である。モリブデン酸はアンモニアと反応して、モリブデン酸アンモニウムを急速かつ発熱しながら形成する。したがって、酸化モリブデンまたはモリブデン酸をアンモニアおよび/またはトリアルキルアミンとともにインサイチュで用いてモリブデン酸アンモニウムを形成することができる。
【0015】
本明細書の用語「2,4−ヘテロ原子置換モリブデナ−3,3−ジオキソシクロアルカン−ポリマー誘導化合物」は、一般にジオール−、ジアミノ、チオール−アルコール−、およびアミノ−アルコール置換ポリ−アルファ−オレフィン、ポリプロピレン、ポリブチレン、またはポリイソブチレンを、モリブデン酸アンモニウムの存在下で、ある量の相移動剤とともにまたは相移動剤なしで反応させることによって得られる複素環式化合物を指す。
【0016】
本発明は、構造式(A)
【化4】

【0017】
(式中、XおよびXはO、S、またはNからなる群から選択され、XおよびXがOまたはSであるときnまたはm=1であり、XおよびXがNであるときnまたはm=2であり、y=0または1であり、R、R、R、R、およびRは独立に水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール炭化水素基、または1〜50個の炭素原子を含む脂肪残基、または分子量150〜1200を有しポリ−アルファ−オレフィン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびポリイソブチレンから選択されるポリマーからなる群から選択される)を有する材料を、場合によって
【0018】
【化5】

【0019】
の相移動剤の最少量の存在下で、モリブデン源としての(B)モリブデン酸アンモニウムと反応させることによる、2,4−ヘテロ原子置換−モリブデナ−3,3−ジオキソシクロアルカン化合物の調製を開示する。
【0020】
さらに、痕跡量(0.3〜0.5%)の過酸化水素はこの方法を改善することが見出された。
【0021】
これらのモリブデン酸プロセス(本発明と同様に従来技術も)の生成物は錯体混合物であると考えられる。従来の参考文献は、想定される最も簡単なエステル(環状のモリブデン酸のジエステル)として構造VおよびVIを用いることによって、しばしば錯体混合物を簡略化した。
【0022】
【化6】

【0023】
アルコールは二官能性(ジオール)でありモリブデン部分は多官能性であるので、反応で形成されたオリゴマーまたはポリマーを含む、高度に錯化した生成物を形成することが可能である。ゲル浸透分析は、オリゴマー重合の徴候によってモリブデン酸生成物が錯体混合物であることを示唆する。分子量プロファイル(ゲル浸透クロマトグラフィー)としてのオリゴマー形成の程度は、処理時間および温度によって影響を受ける。米国特許第5,412,130号(Karol)および米国特許第4,889,647号(Rowan、Karol、およびFarmer)の従来技術の生成物は本発明で本質的に正確に複製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
モリブデン酸アンモニウムは(NHMo24・4HOとして市販されており、用語「モリブデン酸アンモニウム」は当業界でこの構造を指す。これは、モリブデン酸アンモニウム塩中の高含有量のアンモニアが典型的に安定ではなく、容易に解離してアンモニアガスを放出し(NHMo24・4HOを生成するからである。アンモニアは本発明において二次的な試薬または促進剤として用いられる。この試薬/促進剤は化学的な平衡を移動させてより高度にアンモニア化されたモリブデン酸塩を形成し、これは過剰のアンモニア溶液中でのみ安定であり、有機モリブデン酸塩の変換方法を大きく改善することが見出された。
【0025】
本発明は、三酸化モリブデン反応とアンモニアからインサイチュで作ることのできる(アルコール基質の添加の前にモリブデン酸アンモニウムへ変換する)モリブデン酸アンモニウムを用いる。アンモニアはこの方法を促進するので、本発明の部分として過剰のアンモニアが必要である。したがって、本発明の方法は、≧1:1、好ましくは1〜3:1、さらに好ましくは2〜3:1、および最も好ましくは2.2〜2.65:1のNH:Moのモル比(モリブデン源中のモリブデン量)を用いる。
【0026】
約2.07モル未満のアンモニア対Moは反応を改善させるであろうが、濾過を必要としない生成物を得るためには変換レベルは十分高くない。それでもなお、1〜2.07:1のレベルは、NH:Moのモル比が0.86:1である市販のモリブデン酸アンモニウム(NHMo24・4HOよりも高いアンモニア含有量である。したがって、さらに好ましいモル比は、NH:Moが2.07〜2.95:1であり、良好な変換と濾過の不要性の両方を満足する。最も好ましいモル量は、反応の再現性を保証するので、2.2〜2.65:1のNH:Moである。2.07:1の比は基本的な化学量論的モリブデン酸アンモニア(NHMo24・4HOに比べて約40%過剰のアンモニアに等しい。過剰のアンモニアは本明細書において二次的な試薬または促進剤として用いられ、好ましいレベルよりも高い量は、同じ方法発明の結果を達成するであろうが、追加のアンモニア促進剤/試薬からのさらなる利益を得ることはない。したがって、例えばモリブデンに対する比が≧1:1のいずれの高いアンモニアレベルは本方法で機能することが考えられ、したがって開示される発明の部分であると考えられるが、過度な過剰量は変換の利点をさらに与えるものではない。アンモニアは再使用することができると考えられ、この意味においてさらに過剰のアンモニアは経済的な欠点とはなり得ない。本方法発明は、工程時間を最小にし濾過を回避する、顕著なバッチ変換(または低い無機残渣による、低いヘキサン不溶分含有量)を達成する。
【0027】
【表1】

【0028】
上の表は、濾過を必要としない生成物(<0.1%のヘキサン不溶分は「良好」の表示を有する)を得るためのNH:Moの比を示す。
【0029】
米国特許第5,412,130号(Karol)における方法技術は、水除去の遅い段階中に固体の蓄積によって失敗することがある。モリブデン源としてモリブデン酸アンモニウムを用いるとき、固体の沈殿物は常に注目された。しかし、Karol方法とは異なり、この固体は新しい方法の反応段階で再溶解する。濾過は方法にとって大きな時間の遅れである。新しい発明は濾過を完全に回避する性能を提供する。
【0030】
以下は新しい方法を用いて製造されたバッチのリストである。従来技術の観点からは予測できないが、この新しい方法発明は一貫して濾過を必要としない。したがって、本発明は濾過ステップのない有機モリブデン生成物の製造方法を特徴とする発明とすることもできる。
【0031】
【表2】

【0032】
試薬=92〜94%の(ココナッツ油とジエタノールアミンの反応によって調製されたココジエタノールアミドおよびココモノグリセリド)および6〜8%の1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリントール油を含む試薬混合物。「油」は希釈剤として存在することができ、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,412,130号(Karol)に記載された種類のものとすることができる。
【0033】
イミダゾリンは従来技術の米国特許第5,412,130号(Karol)にモリブデンの水性から有機相への相移動を向上させる重要な促進剤として記述されており、全ての割合が特許請求されている。この用途における本発明は、温度上昇の前に、水の除去と水除去中の有害な加水分解を回避するのに十分な真空下に置けば、少量のイミダゾリンまたはイミダゾリンなしで首尾よく変換が行われた。
【0034】
ココジエタノールアミドとココモノグリセリド(ココナツ油ジエタノールアミンから誘導された誘導体)の混合物のためのこの改善された方法は、10%以上の高いモリブデン含有量を達成することができる。
【0035】
痕跡量の過酸化水素のない方法は濾過を必要としない生成物(低ヘキサン不溶性材料は、通常低ヘキサン「不溶分」と呼ばれる)を与えるが、できるかぎり最少量のヘキサン不溶分を生じることが望ましい(無機ヘキサン不溶材料をヘキサン可溶性の生成物に変換することによって、完全な変換反応に努める)。本発明の方法において、過酸化水素はヘキサン不溶分(0.025%)が例外的に低い変換を可能にするであろう。過酸化水素は方法中にモリブデン酸アンモニウムを安定化すると考えられる。
【0036】
工程時間は化学品製造において重要な要件であり、化学品の工程時間が短い(製造が速い)ほどコスト要件において望ましい(より速い方法は典型的にコストが低減される)。本発明の工程時間は従来技術よりも顕著に短いことが見出された。
【0037】
【表3】

【0038】
上記表に示した本発明に使用されたモリブデン酸アンモニウムは、最初に水、アンモニア、および三酸化モリブデンを装填することによってインサイチュで調製され、これは過剰のアンモニア(1分間の攪拌)で急速に発熱してモリブデン酸アンモニウムへ変換する。従来技術において反応水はゆっくり生成し、モリブデンの組み込みはヘキサン不溶性材料(通常「ヘキサン不溶分」と呼ばれる)によって測定される。反応変換が良好でフィルターの詰まりの少ない濾過と考えるには、無機モリブデンは0.20%未満でなければならない。0.10%未満のヘキサン不溶分のレベルは、この低いレベルが「濾過」生成物の仕様を満足するので、典型的に濾過を必要としない。したがって、上記表で比較すれば、従来技術の方法は本発明の方法に比べて長い反応時間を必要とする。さらに、本発明は例外的に低いヘキサン不溶性材料を提供し、例外的な変換を示唆し、したがって濾過ステップを必要としない。
【0039】
本発明の方法の他の利点は、円滑な水除去が明白なことである。観察された方法の蒸留物と温度プロファイルを図3のグラフに示す。反応が54℃に達すると、水の蒸留除去は大部分の水が上部で集められるまで急速に進んだ。
【0040】
水はモリブデン酸アンモニウムと前駆体ジオールの反応中に生成する。低い温度では過剰の水と生成した水を区別することが困難であるので、反応モデルの水は全体の温度が136℃に達したときに開始した。モデルは温度変化を考慮していない。図4のチャートは、反応の速度定数kを見出すための反応物濃度対時間の自然対数を示す。一次反応の速度定数は傾斜である。
【0041】
この速度定数値−0.1237min−1を用いて、変換について図5のグラフを作成した。時間尺度はこのチャートでは再設定した。
【0042】
新しい本発明の方法の他の利点は、前のバッチからの蒸留物を再循環できることである。3回の繰り返し実験は、前のバッチからの蒸留物を水として用いることによって蒸留物を廃棄せずに変換できることを示した。
【0043】
本発明方法の他の予期しない有用性および利点は、連続工程への適用性である。典型的に、化学的バッチは、所定量の材料がバッチごとに所望の生成物に変換されるロットにした。連続工程への適用において、簡単に言えば、試薬はこの方法の一方の端で投入され、生成物は他端で現れる。
【0044】
連続工程は、プラグフロー(plug flow)反応器PFR(管状反応器とも呼ばれる)(図1参照)、連続フロー攪拌タンク反応器CSTR(図2参照)またはPFRとCSTRの組み合わせからなるであろう。
【0045】
この方法は水と過剰のアンモニアが反応物から除去される蒸発(または除去)段階を有するであろう。これはPFRまたはCSTRを用いて行うことができるであろう。除去段階に続いて、反応物はそれらが反応するであろう他の反応器へ入る。再び、これはPFRまたはCSTR中で行うことができるであろう。CSTRプロセスにおいて、反応物が反応器に装填され、生成物は反応器から連続的に取り出される。投入反応物は高速攪拌によって急速に分散し、組成物はあらゆる場所で系の平均組成物に等しくなる。反応または蒸発が起きるために必要な時間は滞留時間と呼ばれる。したがって、反応器のサイズは滞留時間の生成物と投入流量よりも大きくなければならない。長い滞留時間では、反応器は非常に大きくなければならないであろう。PFRにおいて、反応物は長い管の一端に入り、生成物は他の端を流出する。この場合、混合は流体、管のサイズ、および流量に依存する。PFRでは、滞留時間は流体が一端に入り他端を出るのに要する時間である。したがって、長い滞留時間ではより長いまたはより太い管を使用しなければならないであろう。
【0046】
CSTR法がPFRよりも有利な点は、古いバッチ装置から容易に改造されることである。他方、製造を増加するために管の長さ、サイズ、流量、および管の数を全て変更することができるので、PFRは規模を拡大するときに大きな可能性を有する。
【0047】
正しく設計すれば、1個または複数の反応器中で両方の段階を行うことができるが、各反応器は方法の1段階に用いられるので、この二反応器プロセスは制御が容易であろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明で使用することのできるプラグフロー反応器(PFR)を示す図である。
【図2】本発明で使用することのできる連続−フロー攪拌タンク反応器(CSTR)を示す図である。
【図3】工程時間による温度と蒸留物を示すグラフである。
【図4】反応物濃度対時間の自然対数を示すグラフである。
【図5】時間と温度の関数としての変換を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)構造式
【化1】

(式中、XおよびXはO、S、またはNからなる群から選択され、XまたはXがOまたはSであるときnまたはm=1であり、XまたはXがNであるときnまたはm=2であり、y=0または1であり、R、R、R、R、およびRは独立に水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール炭化水素基、または1〜50個の炭素原子を含む脂肪残基、または分子量150〜1200を有しポリ−アルファ−オレフィン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびポリイソブチレンから選択されるポリマー残基からなる群から選択される。)を有する出発材料と、
(B)モリブデン源として、水の存在下で、モリブデン化合物の重量に対して約2〜20%のモリブデンを生成するのに十分なモリブデン酸アンモニウムと、
(C)Z:Mo(式中、Zは(i)アンモニアおよび(ii)アルキルアミン(アルキル基は独立にC1〜C6の直鎖または分岐鎖から選択される)の一方または組み合わせて両方である。)のモル量が≧1:1である追加のまたは二次的な試薬もしくは促進剤とを反応させるステップと、
水を除去するステップと、
モリブデン化合物を回収するステップと
を含む2,4−ヘテロ原子置換モリブデナ−3,3−ジオキソシクロアルカン化合物の調製方法。
【請求項2】
回収されたモリブデン化合物が一般式
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、X、X、nおよびmは、式(I)および(II)の出発材料で定義されこれに一致する)で表される錯体混合物を含み、試薬の多官能性質によってオリゴマーおよびポリマーを場合によって含むこともできる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
追加の試薬として式、
【化3】

(Rはアルキル基または8〜22個の炭素原子を有する脂肪残基であり、Xはヒドロキシまたはアミノ基である。)の相移動剤を20%まで加えることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記相移動剤が8%までの量加えられる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
追加の試薬として35%過酸化水素を1〜5%またはその等量の過酸化水素を加えることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記相移動剤が1−(2−ヒドロキシエチル)−2−オクタデシルイミダゾリンである請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記式Iの出発材料がエポキシ化脂肪油または脂肪酸から誘導される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記式Iの出発材料がトリグリセリドから誘導される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記式Iの出発材料が、分子量150〜1200の範囲のエポキシ化ポリマーから誘導され、ポリ−アルファ−オレフィン、ポリプロピレン、ポリブチレン、およびポリイソブチレンから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記モリブデン酸アンモニウムが三酸化モリブデンまたはモリブデン酸とアンモニアからインサイチュで製造される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
反応比が1〜3:1であり、比が2.06:1未満のレベルである濾過ステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
R6がトール油(50:50のオレイン酸:リノール酸)から誘導される請求項4に記載の方法。
【請求項13】
イミダゾリン誘導体が、6〜8質量%の、50:50のオレイン酸:リノール酸から誘導される1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリンである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応比が1〜3:1である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記反応比が2.07〜2.95:1である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記反応比が2.2〜2.65:1である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
Zがアンモニアである請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記反応が60〜150℃で起きる請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−84545(P2007−84545A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255555(P2006−255555)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(501230292)アール.ティー.ヴァンダービルト カンパニー,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】