説明

有機光起電力装置におけるインダントレン化合物の使用

少なくとも1つのフラーレン化合物と接触する少なくとも1つのインダントレン化合物を含む、少なくとも1つの光活性領域を有する有機太陽電池、及び特にタンデム型セルの構成セルの形での有機光起電力装置におけるインダントレン化合物の使用が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の対象
本発明は、少なくとも1つのフラーレン化合物と接触する少なくとも1つのインダントレン化合物を含む少なくとも1つの光活性領域を有する有機太陽電池、及び有機光起電力装置におけるインダントレン化合物の使用に関する。
【0002】
発明の背景
化石原料が減少しており、また化石原料の燃焼時に形成されるCO2が温室効果ガスとして作用するため、太陽光からエネルギーを直接生成することが、ますます重要になっている。"光起電力"とは、照射エネルギーの直接変換であると理解され、原則的には、太陽エネルギーを電気エネルギーに変える。
【0003】
無機太陽電池とは対照的に、光は自由電荷担体を有機太陽電池で直接的には生成せず、むしろ励起子が最初に、すなわち、電気的に中性の励起状態が電子−正孔のペアの形で形成される。これらの励起子は、非常に高い電界によって、又は適切なインターフェースでのみ分離できる。有機太陽電池では、充分に高い電界は利用できず、このため有機太陽電池についてのあらゆる既存概念は、光活性インターフェースでの励起分離に基づいている(ドナーアクセプターインターフェース、又は無機半導体に対するインターフェース)。この目的のため、有機材料の体積で生成した励起子を、この光活性インターフェースへと拡散させることができる。よって、活性インターフェースへの励起子の拡散は、有機太陽電池で決定的に重要な役割を果たす。光電流に貢献させるため、良好な有機太陽電池における励起子拡散長は、少なくとも通常の光浸透深さのオーダーである必要があり、これにより光の主要な部分が利用可能になる。有機太陽電池の効率は、その開路電圧(VOC)によって特徴付けられる。さらに重要な特徴は、短絡電流ISC、充填率FF、及び得られた効率ηである。
【0004】
パーセント範囲での効率を有する第一の有機太陽電池は、1986年のTang et al.によって記載されていた(CW. Tang et al., Appl. Phys. Lett. 48, 183 (1986))。それは、ドナー材料(p−半導体)としての銅フタロシアニン(CuPc)と、アクセプター材料(n−半導体)としてのペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミダゾール(PTCBI)との二層系からなった。
【0005】
有機光起電力装置における最新のねらいは、シリコンからなる太陽電池又は他の無機半導体、例えばカドミウムインジウムセレニドもしくはテルル化カドミウムよりも著しく高価ではない、太陽電池の新素材を提供することである。この目的のために、それらがさらに適した半導体型光吸収材料のために要求される。大量の光を吸収すること、及び良好な効率を得ることの1つの意味は、例えば短波吸収n−半導体及び長波吸収p−半導体を含む、光吸収に関して相補的である一対の半導体材料を使用することである。この概念は、Tang cellとして公知である前記の第一の有機太陽電池にも基づく。多くのフラーレン化合物が弱い光のみを吸収するにもかかわらず、効率的な太陽電池は、フラーレン又はフラーレン誘導体、例えばC60又はC72がn−半導体として使用される場合に、製造されうることが見出されている。弱い吸収半導体材料を使用する場合に、他方の頂部で二つの太陽電池を製造することがさらに公知である。この場合において、前記電池は、弱い吸収半導体と、短波放射を吸収するそれらに相補的な半導体との組合せ、及び弱い吸収半導体と、長波放射を吸収するそれらに相補的な半導体との他の組合せを含む。フラーレン又はフラーレン誘導体との組合せのためのかかるタンデム型セルに関して、二つの適したp−半導体が要求され、1つは短波放射を吸収し、もう1つは長波放射を吸収する。適した半導体の組合せの発見は、とるにたりない。タンデム型セルにおいて、個々の構成の開路電圧Vocを追加する。合計の電流は、最も低い短絡電流Iscを有する構成セルによって制限される。個々のセルの2つの半導体材料は、従って、互いに関して正確に調整される必要がある。従って、高い開路電圧及び許容できる短絡電流で、フラーレン又はフラーレン誘導体との組合せでの有機太陽電池において、及び特にタンデム型セルにおいて使用するための、長波吸収を有するp−半導体の有機吸収体材料のための重要な要求がある。
【0006】
第一のインダントレン染料、Indanthrene Blue RSは、1901年にBohnによってBASFで合成され、かつアントラキノンバット染料の第一の代表であった。インダントレンは、インダントロン又はC.I. Pigment Blue 60ともいわれる。
【0007】
JP 5102506 Aは、光活性領域を有する光セルを記載しており、その際有機ドナー材料を含む層は、有機アクセプター材料を含む層と接触される。光活性領域は、少なくとも1つのインダントレン染料及び/又はアントラキノンアクリドン染料を含むが、しかし電子アクセプター(n−半導体、電子導体)は除く。記載された適したインダントレン染料は、一般式(A)
【化1】

[式中、
m及びnは、それぞれ0〜4であり、
1及びR2は、それぞれハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、アセチル、カルボキシル、ニトロ又はシアノであり、かつ
3及びR4は、それぞれハロゲン又はアルキルである]の染料である。
【0008】
この文献に記載された適した有機電子ドナーは、種々のフタロシアニン、及び共役π−システムを有するポリマー、例えばポリアセチレンである。
【0009】
驚くべきことに、インダントレン化合物は、有利には、有機光起電力装置における電子ドナー(p−半導体、正孔導体)として適していることが見出されている。それらは、特に、電子ドナー(n−半導体、電子導体)として少なくとも1つのフラーレン化合物、例えばC60との組合せに適している。特に、インダントレン化合物は、タンデム型セルにおける使用のために適している。それというのも、それらは長波吸収を有しており、かつフラーレン化合物、例えばC60との組合せて高い開路電圧を呈するからである。
【0010】
発明の要旨
本発明は、第一に、少なくとも1つのフラーレン化合物と接触する少なくとも1つのインダントレン化合物を含む、少なくとも1つの光活性領域を有する有機太陽電池に関し、その際、インダントレン化合物は、一般式(I)
【化2】

[式中、
a及びRbは、それぞれ独立して、水素、重水素、非置換又は置換されたアルキル、非置換又は置換されたシクロアルキル、及び非置換又は置換されたアリールから選択され、
1〜R12基は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、Neab、及びそれぞれの場合において非置換又は置換されたアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、オリゴ(ヘテロ)アリール、オリゴ(ヘテロ)アリールオキシ及びオリゴ(ヘテロ)アルキルチオから選択され、その際Ea及びEbは、それぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールである]の化合物から選択される。
【0011】
本発明は、さらに、前記及び以下のように、有機光起電力装置における電子ドナー(p−半導体、正孔導体)としての一般式(I)の化合物の使用を提供する。
【0012】
本発明は、さらに、式Iの新規の化合物、すなわち、式中、R1〜R12が全て水素であり、かつRa及びRbが双方とも重水素である、式Iの化合物を提供する。
【0013】
本発明は、さらに、式Iの新規の化合物、すなわち、式中、R1及びR9は、双方ともフェノキシであり、かつRa、Rb、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11及びR12基は全て水素であり、又はR5及びR8は、双方ともメトキシであり、かつRa、Rb、R1、R2、R3、R4、R6、R7、R9、R10、R11及びR12基は、全て水素である、式Iの化合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、インダントレン化合物の使用に適し、かつ通常の構造を有する太陽電池を示す。
【図2】図2は、逆構造を有する太陽電池を示す。
【図3】図3は、通常の構造、及びバルクヘテロ接合の形でのドナー−アクセプターインターフェースを有する太陽電池の構造を示す。
【図4】図4は、逆構造、及びバルクヘテロ接合の形でのドナー−アクセプターインターフェースを有する太陽電池の構造を示す。
【図5】図5は、タンデム型セルの構造を示す。
【図6】図6は、勾配で形成されるバルクヘテロ接合の形でのドナー−アクセプターインターフェースを有する太陽電池の構造を示す。
【図7】図7は、インダントレン ブルーの蒸着膜の吸収スペクトルを示す。
【化3】

【図8】図8は、4,4’−ジメトキシインダントロンの蒸着膜の吸収スペクトルを示す。
【化4】

【図9】図9は、5,5’−ジフェノキシインダントロンの蒸着膜の吸収スペクトルを示す。
【化5】

【0015】
発明の詳細な説明
本発明の記載内容において、"光活性領域"という表現は、少なくとも1つの電子導電性有機材料及び少なくとも1つの正孔導電性有機材料によって形成される光活性ヘテロ接合を示す。
【0016】
本明細書の記載内容において、有機材料は、ヘテロ接合で光吸収及び電荷分離の結果として形成される電荷キャリヤー("光発生電荷キャリヤー")が、正孔の形で材料内に輸送される場合に、"正孔導電性"といわれる。従って、有機材料は、光発生電荷キャリヤーが、電子の形で材料内に輸送される場合に、"電子導電性"といわれる。
【0017】
"ヘテロ接合"は、電子導電性材料及び正孔導電性材料との間のインターフェース領域をいう。
【0018】
"光活性ヘテロ接合"は、個々の電荷キャリヤー、すなわち電子及び正孔中のヘテロ接合の領域において分離され、そして、次に電子導電性材料/正孔導電性材料を介して電気エネルギーを抜くことができる電気接点に輸送される、電子導電性及び/又は光導電性材料における光吸収によって形成された励起された状態("励起子")である場合に、電子導電性及び光導電性材料との間のヘテロ接合をいう。
【0019】
"フラットヘテロ接合"は、電子導電性及び正孔導電性材料との間のインターフェースが、実質的に2つの材料の領域、すなわち電子導電性材料の1つの領域及び正孔導電性材料の1つの領域の間の接着表面として形成される場合に、電子導電性及び正孔導電性材料との間のヘテロ接合をいう(C. W. Tang, Appl. Phys. Lett, 48 (2), 183−185 (1986)又はN. Karl et al., Mol. Cryst. Liq. Cryst, 252, 243−258 (1994)を参照)。
【0020】
"バルクヘテロ接合"は、少なくとも部分的に互いに混合されて、電子導電性と正孔導電性材料との間のインターフェースが、材料混合物の体積に分配される多数のインターフェース区画を含む場合に、電子導電性及び正孔導電性材料とのヘテロ接合をいう(例えばC.J. Brabec et al., Adv. Funct. Mater., 1 1 (1), 15 (2001)を参照)。
【0021】
以下で、本発明に従って使用されるインダントレン化合物に関して、インダントレン化合物及びインダントロン化合物の用語は、同義的に使用される。
【0022】
本発明に従って使用されるインダントレン化合物は、太陽スペクトルの長い波長の範囲における高い吸収係数を有する光活性材料である。それらは、特に、高電圧で合される最大の光収率を得るための、タンデム型セルの構成セルにおける使用に適している。従って、有機太陽電池の効率をさらに改良することが可能である。
【0023】
本発明の記載内容において、"非置換又は置換されたアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、オリゴ(ヘテロ)アリール、オリゴ(ヘテロ)アリールオキシ及びオリゴ(ヘテロ)アルキルチオ"は、非置換又は置換されたアルキル、非置換又は置換されたアルコキシ、非置換又は置換されたアルキルチオ、非置換又は置換されたシクロアルキル、非置換又は置換されたアリール、非置換又は置換されたアリールオキシ、非置換又は置換されたアリールチオ、非置換又は置換されたヘテロアリール、非置換又は置換されたヘテロアリールオキシ、非置換又は置換されたヘテロアリールチオ、非置換又は置換されたオリゴ(ヘテロ)アリール、非置換又は置換されたオリゴ(ヘテロ)アリールオキシ、及び非置換又は置換されたオリゴ(ヘテロ)アリールチオを示す。
【0024】
本発明の記載内容において、"アルキル"は、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を含む。アルキルは、有利には、C1〜C30−アルキル、特にC1〜C20−アルキル及び最も有利にはC1〜C12−アルキルである。アルキル基の例は、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、及びn−エイコシルである。
【0025】
"アルキル"は、炭素鎖が、−O−、−S−、−NRc、−C(=O)−、−S(=O)−、及び/又は−S(=O)2−から選択される1つ以上の隣接しない基によって中断されていてよいアルキル基も含む。Rcは、有利には、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。
【0026】
置換されたアルキル基は、アルキル鎖の鎖長に依存して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5又は5以上)の置換基を有してよい。それらは、有利にはそれぞれ独立して、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE12(式中、E1及びE2は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである)から選択される。アルキル基のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール置換基は、順に非置換又は置換されてよく、適した置換基は、以下で挙げられる置換基である。
【0027】
カルボキシレート及びスルホネートは、それぞれカルボン酸及びスルホン酸官能基、特に金属カルボキシレートもしくはスルホネート、カルボン酸エステルもしくはスルホン酸エステル官能基、又はカルボキシアミド又はスルホンアミド官能基の誘導体を示す。
【0028】
アリール置換されたアルキル基("アラルキル"、以下でアリールアルキルともいう)は、以下で定義されたような少なくとも1つの非置換又は置換されたアリール基を有する。"アラルキル"におけるアルキル基は、少なくとも1つの他の置換基を有してよく、かつ/又は−O−、−S−、−NRd、−C(=O)−、−S(=O)−、及び/又は−S(=O)2−から選択される1つ以上の隣接しない基によって中断されていてよい。Rdは、有利には、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。アラルキルは、有利にはフェニル−C1〜C10−アルキル、より有利にはフェニル−C1〜C4−アルキル、例えばベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1−フェンプロプ−1−イル、2−フェンプロプ−1−イル、3−フェンプロプ−1−イル、1−フェンブト−1−イル、2−フェンブト−1−イル、3−フェンブト−1−イル、4−フェンブト−1−イル、1−フェンブト−2−イル、2−フェンブト−2−イル、3−フェンブト−2−イル、4−フェンブト−2−イル、1−(フェンメタ)エタ−1−イル、1−(フェンメチル)−1−(メチル)エタ−1−イル又は1−(フェンメチル)−1−(メチル)プロプ−1−イル、有利にはベンジル及び2−フェネチルである。
【0029】
ハロゲンで置換されたアルキル基("ハロアルキル")は、少なくとも1つの水素原子又は全ての水素原子がハロゲンによって置換されている、直鎖又は分枝鎖状のアルキル基を含む。ハロゲン原子は、有利には、フッ素、塩素及び臭素、特にフッ素及び塩素から選択される。ハロアルキル基の例は、特に、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3−フルオロプロピル、2,2−ジフルオロプロピル、2,3−ジフルオロプロピル、2−クロロプロピル、3−クロロプロピル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブロモプロピル、3−ブロモプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,3−トリクロロプロピル、CH2−C25、CF2−C25、CF(CF32、1−(フルオロメチル)−2−フルオロエチル、1−(クロロメチル)−2−クロロエチル、1−(ブロモメチル)−2−ブロモエチル、4−フルオロブチル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル、ノナフルオロブチル、5−フルオロ−1−ペンチル、5−クロロ−1−ペンチル、5−ブロモ−1−ペンチル、5−ヨード−1−ペンチル、5,5,5−トリクロロ−1−ペンチル、ウンデカフルオロペンチル、6−フルオロ−1−ヘキシル、6−クロロ−1−ヘキシル、6−ブロモ−1−ヘキシル、6−ヨード−1−ヘキシル、6,6,6−トリクロロ−1−ヘキシル、又はドデカフルオロヘキシルである。
【0030】
非置換又は置換されたアルキルに関する前記のものは、非置換又は置換されたアルコキシ、非置換又は置換されたアルキルアミノ、非置換又は置換されたアルキルチオ(アルキルスルファニル)等にも適用される。
【0031】
本発明の記載内容において、"シクロアルキル"は、有利には3〜10個の、より有利には5〜8個の炭素原子を有する脂環式基を意味する。シクロアルキル基の例は、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルである。
【0032】
置換されたシクロアルキル基は、環サイズに依存して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5又は5以上)の置換基を有してよい。それらは、有利にはそれぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE34(式中、E3及びE4は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである)から選択される。置換の場合において、シクロアルキル基は、有利には、1つ以上の、例えば1、2、3、4又は5個の、C1〜C6−アルキル基を有する。置換されたシクロアルキル基の例は、特に、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、2−、3−及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−エチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−プロピルシクロヘキシル、2−、3−及び4−イソプロピルシクロヘキシル、2−、3−及び4−ブチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−sec.−ブチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−tert−ブチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−メチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−エチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−プロピルシクロヘプチル、2−、3−及び4−イソプロピルシクロヘプチル、2−、3−及び4−ブチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−sec−ブチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−tert−ブチルシクロヘプチル、2−、3−、4−及び5−メチルシクロオクチル、2−、3−、4−及び5−エチルシクロオクチル、2−、3−、4−及び5−プロピルシクロオクチルである。
【0033】
本発明の記載内容において、"アリール"は、6〜18個、有利には6〜14個、より有利には6〜10個の炭素原子を有する一環式又は多環式芳香族炭化水素を含む。アリールの例は、特に、フェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニル等であり、特に、フェニル又はナフチルである。
【0034】
置換されたアリール基は、それらの環系の数及びサイズに依存して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5又は5以上)の置換基を有してよい。それらは、有利にはそれぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE56(式中、E5及びE6は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである)から選択される。アリール上のアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール置換基は、非置換又は置換されていてよい。それらの基に関してあげられた置換基が好ましい。アリール上の置換基は、有利には、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、フッ素、塩素、臭素、シアノ及びニトロから選択される。
【0035】
置換されたアリールは、より有利には、一般に1、2、3、4又は5個、有利には1、2又は3個の置換基を有するフェニルで置換される。
【0036】
置換されたアリールは、有利には少なくとも1つのアルキル基("アルカリール"、以下でアルキルアリールともいう)によって置換される。アルカリール基は、芳香族環系のサイズに依存して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は9以上)のアルキル置換基を有してよい。アルキル置換基は、非置換又は置換されてよい。これに関して、非置換及び置換されたアルキルに関する前記記載が好ましい。好ましい一実施態様において、アルカリール基は、専ら非置換のアルキル置換基を有する。アルカリールは、有利には、1、2、3、4又は5個、有利には1、2又は3個、より有利には1又は2個のアルキル置換基を有するフェニルである。
【0037】
1つ以上の基を有するアリールは、例えば、2−,3−及び4−メチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−及び4−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−及び4−イソブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−及び4−sec−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジ−sec−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−sec−ブチルフェニル、2−、3−及び4−tert−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジ−tert−ブチルフェニル及び2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル;2−、3−及び4−メトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−、3−及び4−エトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−及び4−プロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロポキシフェニル、2−、3−及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル及び2−、3−及び4−ブトキシフェニル;2−、3−及び4−シアノフェニルである。
【0038】
非置換又は置換されたアリールに関する前記のものは、非置換又は置換されたアリールオキシ及び非置換又は置換されたアリールチオにも適用される。アリールオキシの例は、フェノキシ、ナフチルオキシ又はアントラセニルオキシである。アリールチオの例は、フェニルチオ、ナフチルチオ又はアントラセニルチオである。
【0039】
本発明の記載内容において、"ヘテロシクロアルキル"は、例えば5〜8員環原子、有利には5又は6員環の原子を有する、非芳香族の、不飽和又は完全に飽和した脂環式基を含む。ヘテロシクロアルキル基において、対応するシクロアルキル基と比較して、1、2、3、4又は4以上の環炭素原子が、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基で置き換えられる。ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基は、有利には、−O−、−S−、−NRe、−C(=O)−、−S(=O)−、及び/又は−S(=O)2−から選択される。Reは好ましくは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。ヘテロシクロアルキルは、非置換であるか、又は場合により1つ以上の、例えば1、2、3、4、5、6又は7個の同一の又は異なる基を有する。それらは、有利にはそれぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE56(式中、E5及びE6は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである)から選択される。ヘテロシクロアルキル基の例は、特に、ピロリジニル、ピペリジニル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラニル、1,2−オキサゾリン−5−イル、1,3−オキサゾリン−2−イル及びジオキサニルである。
【0040】
置換されたヘテロシクロアルキル基は、環サイズに依存して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5又は5以上)の置換基を有してよい。それらは、有利にはそれぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE78(式中、E7及びE8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである)から選択される。置換の場合において、ヘテロシクロアルキル基は、有利には、1つ以上の、例えば1、2、3、4又は5個の、C1〜C6−アルキル基を有する。
【0041】
本発明の記載内容において、"ヘテロアリール"(hetaryl)という言葉は、ヘテロ芳香族の一環式又は多環式基を含む。環炭素原子に加えて、これらは、1、2、3、4又は4以上の環ヘテロ原子を有する。前記ヘテロ原子は、有利には、酸素、窒素、セレン及び硫黄から選択される。ヘテロアリール基は、有利には、5〜18個、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14個の環原子を有する。
【0042】
一環式ヘテロアリール基は、有利には、5員環又は6員環のヘテロアリール基、例えば2−フリル(フラン−2−イル)、3−フリル(フラン−3−イル)、2−チエニル(チオフェン−2−イル)、3−チエニル(チオフェン−3−イル)、セレノフェン−2−イル、セレノフェン−3−イル、1H−ピロール−2−イル、1H−ピロール−3−イル、ピロール−1−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−1−イル、イミダゾール−4−イル、ピラゾール−1−イル、ピラゾール−3−イル、ピラゾール−4−イル、ピラゾール−5−イル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、4H−[1,2,4]−トリアゾール−3−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、及び1,2,4−トリアジン−3−イルである。
【0043】
多環式ヘテロアリール基は、2、3、4又は4以上の縮合環を有する。この縮合型の環は、芳香族、飽和、又は部分的不飽和であってよい。多環式ヘテロアリール基の例は、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル;ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジニル、ベンゾセレノフェニル、チエノチオフェニル、チエノピリミジル、チアゾロチアゾリル、ジベンゾピロール(カルバゾリル)、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ナフト[2−3−b]チオフェニル、ナフタ[2−3ーb]フリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロインドリジニル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニルである。
【0044】
置換されたヘテロアリール基は、それらの環系の数及びサイズに依存して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5又は5以上)の置換基を有してよい。それらは、有利にはそれぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ニトロソ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、アルキルカルボニルオキシ、カルバモイル、SO3H、スルホネート、スルファミノ、スルファミド、アミジノ、NE910(式中、E9及びE10は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである)から選択される。ハロゲン置換基は、有利にはフッ素、塩素又は臭素である。置換基は、有利にはC1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン及びシアノから選択される。
【0045】
非置換又は置換されたヘテロアリールに関する前記のものは、非置換又は置換されたヘテロアリールオキシ及び非置換又は置換されたヘテロアリールチオにも適用される。
【0046】
本発明の記載内容において、"オリゴ(ヘテロ)アリール"という言葉は、少なくとも2つの繰返単位を有する、非置換又は置換された基を意味する。繰返単位は、全て、同様の定義を有してよく、繰返単位のいくつかは、異なる定義を有してよく、又は全ての繰返単位は、異なる定義を有してよい。繰返単位は、アリールジイル基、ヘテロアリールジイル基及びそれらの組合せから選択される。アリールジイル基は、芳香族に由来する二価の基、有利にはベンゼン又はナフタレンに由来する基、例えば1,2−フェニレン(o−フェニレン)、1,3−フェニレン(m−フェニレン)、1,4−フェニレン(p−フェニレン)、1,2−ナフチレン、2,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン等である。ヘテロアリールジイル基は、ヘテロ芳香族に由来する二価の基、有利にはチオフェン又はフランに由来する基である。オリゴ(ヘテロ)アリールの末端基は、一価の基である。これは、有利には、同様に前記の繰返単位に由来する。オリゴ(ヘテロ)アリール基は、非置換又は置換されていてよい。置換されたオリゴ(ヘテロ)アリール基は、それらの環系の数及びサイズに依存して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は9以上)の置換基を有してよい。これらの置換基は、有利には、それぞれ独立して、非置換のアルキル、ハロアルキル、フッ素又は塩素から選択される。
【0047】
適した繰返単位は、以下である:
【化6】

[式中、Rf基は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、フッ素又は塩素であり、yは0、1、2、3又は4であり、かつxは0、1又は2である]。
【0048】
好ましいオリゴアリール基は、ビフェニルイル、p−テルフェニルイル、m−テルフェニルイル、o−テルフェニルイル、クアテルフェニルイル、例えばp−クアテルフェニルイル、キンクフェニルイル、例えばp−キンクフェニルイルである。
【0049】
好ましいオリゴヘテロアリール基は、
【化7】

[式中、#は、分子の残基に対する結合部位を示し、かつ
aは、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、
nは、1〜12、有利には1〜6である]である。
【0050】
aは、有利には1又は2である。
【0051】
nn+1基は、有利にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、又はn−ヘキシルである。
【0052】
オリゴヘテロアリール基の例は、2,2−ビチオフェン−5−イル及び5''−ヘキシル−2,2''−ビチオフェン−5−イルである。
【0053】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。ハロゲンは、有利にはフッ素又は塩素を示す。
【0054】
1〜R12基の、及び前記定義に従って、前記式(I)において定義されたRa及びRb特定の例は、以下である:
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−プロポキシエチル、2−ブトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、3−プロポキシプロピル、3−ブトキシプロピル、4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、4−プロポキシブチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、4,8−ジオキサノニル、3,7−ジオキサオクチル、3,7−ジオキサノニル、4,7−ジオキサオクチル、4,7−ジオキサノニル、2−及び4−ブトキシブチル、4,8−ジオキサデシル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9−トリオキサドデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
2−メチルチオエチル、2−エチルチオエチル、2−プロピルチオエチル、2−ブチルチオエチル、3−メチルチオプロピル、3−エチルチオプロピル、3−プロピルチオプロピル、3−ブチルチオプロピル、4−メチルチオブチル、4−エチルチオブチル、4−プロピルチオブチル、3,6−ジチアヘプチル、3,6−ジチアオクチル、4,8−ジチアノニル、3,7−ジチアオクチル、3,7−ジチアノニル、2−及び4−ブチルチオブチル、4,8−ジチアデシル、3,6,9−トリチアデシル、3,6,9−トリチアウンデシル、3,6,9−トリチアドデシル、3,6,9,12−テトラチアトリデシル及び3,6,9,12−テトラチアテトラデシル;
2−モノメチルアミノエチル及び2−モノエチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−及び3−ジメチルアミノプロピル、3−モノイソプロピルアミノプロピル、2−及び4−モノプロピルアミノブチル、2−及び4−ジメチルアミノブチル、6−メチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジアザオクチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル、9−メチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリアザウンデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザウンデシル、12−メチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル及び3,6,9,12−テトラメチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル;
(1−エチルエチリデン)アミノエチレン、(1−エチルエチリデン)アミノプロピレン、(1−エチルエチリデン)アミノブチレン、(1−エチルエチリデン)アミノデシレン及び(1−エチルエチリデン)アミノドデシレン;
プロパン−2−オン−1−イル、ブタン−3−オン−1−イル、ブタンn−3−オン−2−イル及び2−エチルペンタン−3−オン−1−イル;
2−メチルスルフィニルエチル、2−エチルスルフィニルエチル、2−プロピルスルフィニルエチル、2−イソプロピルスルフィニルエチル、2−ブチルスルフィニルエチル、2−及び3−メチルスルフィニルプロピル、2−及び3−エチルスルフィニルプロピル、2−及び3−プロピルスルフィニルプロピル、2−及び3−ブチルスルフィニルプロピル、2−及び4−メチルスルフィニルブチル、2−及び4−エチルスルフィニルブチル、2−及び4−プロピルスルフィニルブチル並びに4−ブチルスルフィニルブチル;
2−メチルスルホニルエチル、2−エチルスルホニルエチル、2−プロピルスルホニルエチル、2−イソプロピルスルホニルエチル、2−ブチルスルホニルエチル、2−及び3−メチルスルホニルプロピル、2−及び3−エチルスルホニルプロピル、2−及び3−プロピルスルホニルプロピル、2−及び3−ブチルスルホニルプロピル、2−及び4−メチルスルホニルブチル、2−及び4−エチルスルホニルブチル、2−及び4−プロピルスルホニルブチル並びに4−ブチルスルホニルブチル;
カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、8−カルボキシオクチル、10−カルボキシデシル、12−カルボキシドデシル及び14−カルボキシル−テトラデシル;
スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、5−スルホペンチル、6−スルホヘキシル、8−スルホオクチル、10−スルホデシル、12−スルホドデシル及び14−スルホテトラデシル;
2−ヒドロキシエチル、2−及び3−ヒドロキシプロピル、3−及び4−ヒドロキシブチル並びに8−ヒドロキシル−4−オキサオクチル;
2−シアノエチル、3−シアノプロピル、3−及び4−シアノブチル;
2−クロロエチル、2−及び3−クロロプロピル、2−,3−及び4−クロロブチル、2−ブロモエチル、2−及び3−ブロモプロピル並びに2−、3−及び4−ブロモブチル;
2−ニトロエチル、2−及び3−ニトロプロピル並びに2−、3−及び4−ニトロブチル;
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ及びヘキソキシ;
メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ及びヘキシルチオ;
メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘプチルアミノ、ジフェニルアミノ及びジベンジルアミノ;
ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ及びベンゾイルアミノ;
カルバモイル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニル、ヘプチルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、ノニルアミノカルボニル、デシルアミノカルボニル及びフェニルアミノカルボニル;
アミノスルホニル、n−ドデシルアミノスルホニル、N,N−ジフェニルアミノスルホニル及びN,N−ビス(4−クロロフェニル)アミノスルホニル;
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ヘキソキシカルボニル、ドデシルカルボニル、オクタデシルカルボニル、フェノキシカルボニル、(4−tert−ブチルフェノキシ)カルボニル及び(4−クロロフェノキシ)カルボニル;
メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、プロポキシスルホニル、ブトキシスルホニル、ヘキソキシスルホニル、ドデシルオキシスルホニル、オクタデシルオキシスルホニル、1−及び2−ナフチルオキシスルホニル、(4−tert−ブチルフェノキシ)スルホニル及び(4−クロロフェノキシ)スルホニル;
ジフェニルホスフィノ、ジ(o−トリル)ホスフィノ及びジフェニルホスフィンオキシド;
フッ素、塩素、臭素及びヨウ素;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−、3−及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−エチルシクロヘキシル、3−及び4−プロピルシクロヘキシル、3−及び4−イソプロピルシクロヘキシル、3−及び4−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−sec−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−tert−ブチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−メチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−エチルシクロヘプチル、3−及び4−プロピルシクロヘプチル、3−及び4−イソ−プロピルシクロヘプチル、3−及び4−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−sec−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−tert−ブチルシクロヘプチル、シクロオクチル、2−、3−、4−及び5−メチルシクロオクチル、2−、3−、4−及び5−エチルシクロオクチル並びに3−、4−及び5−プロピルシクロオクチル;3−及び4−ヒドロキシシクロヘキシル、3−及び4−ニトロシクロヘキシル並びに3−及び4−クロロシクロヘキシル;
1−、2−及び3−シクロペンテニル、1−、2−、3−及び4−シクロヘキセニル、1−、2−及び3−シクロヘプテニル並びに1−、2−、3−及び4−シクロオクテニル;
2−ジオキサニル、4−モルホリニル、4−チオモルホリニル、2−及び3−テトラヒドロフリル、1−、2−及び3−ピロロジニル、1−ピペラジル、1−ジケトピペラジル並びに1−、2−、3−及び4−ピペリジル;
フェニル、2−ナフチル、2−及び3−ピリル、2−、3−及び4−ピリジル、2−、4−及び5−ピリミジル、3−、4−及び5−ピラゾールイル、2−、4−及び5−イミダゾールイル、2−、4−及び5−チアゾールイル、3−(1,2,4−トリアジル)、2−(1,3,5−トリアジル)、キナルジン−6−イル、3−、5−、6−及び8−キノリニル、2−ベンゾキサゾイル、2−ベンゾチアゾールイル、5−ベンゾチアジアゾールイル、2−及び5−ベンジミダゾール並びに1−及び5−イソキノリル;
1−、2−、3−、4−、5−、6−及び7−インドールイル、1−、2−、3−、4−、5−、6−及び7−イソインドールイル、5−(4−メチルイソインドールイル)、5−(4−フェニルイソインドールイル)、1−、2−、4−、6−、7−及び8−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、3−(5−フェニル)−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、5−(3−ドデシル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−(1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル)並びに2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−クロマニル、2−、4−及び7−キノリニル、2−(4−フェニルキノリニル)並びに2−(5−エチルキノリニル);
2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−及び4−ブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−及び4−イソブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−及び4−sec−ブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジ−sec−ブチルフェニル及び2,4,6−トリ−sec−ブチルフェニル;2−、3−及び4−メトキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシ−フェニル、2−、3−及び4−エトキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−及び4−プロポキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジプロポキシフェニル、2−、3−及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル並びに2−、3−及び4−ブトキシ−フェニル;2−、3−及び4−クロロフェニル並びに2,4−、3,5−及び2,6−ジクロロフェニル;2−、3−及び4−ヒドロキシフェニル並びに2,4−、3,5−及び2,6−ジヒドロキシフェニル;2−、3−及び4−シアノフェニル;3−及び4−カルボキシフェニル;3−及び4−カルボキサミドフェニル、3−及び4−N−メチルカルボキサミド−フェニル並びに3−及び4−N−エチルカルボキサミドフェニル;3−及び4−アセチルアミノフェニル、3−及び4−プロピオニルアミノフェニル並びに3−及び4−ブチリルアミノフェニル;3−及び4−N−フェニルアミノ−フェニル、3−及び4−N−(o−トリル)アミノフェニル、3−及び4−N−(m−トリル)アミノフェニル並びに3−及び4−(p−トリル)アミノフェニル;3−及び4−(2−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(3−ピリジル)アミノ−フェニル、3−及び4−(4−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(2−ピリミジル)アミノフェニル並びに4−(4−ピリミジル)アミノフェニル;
4−フェニルアゾフェニル、4−(1−ナフチルアゾ)フェニル、4−(2−ナフチルアゾ)フェニル、4−(4−ナフチルアゾ)フェニル、4−(2−ピリルアゾ)フェニル、4−(3−ピリジルアゾ)フェニル、4−(4−ピリジルアゾ)フェニル、4−(2−ピリミジルアゾ)フェニル、4−(4−ピリミジルアゾ)フェニル及び4−(5−ピリミジルアゾ)フェニル;
フェノキシ、フェニルチオ、2−ナフトキシ、2−ナフチルチオ、2−、3−及び4−ピリジルオキシ、2−、3−及び4−ピリジルチオ、2−、4−及び5−ピリミジルオキシ並びに2−、4−及び5−ピリミジルチオ。
【0055】
好ましいフッ素化Ra、Rb及びR1〜R12基は、以下である:
2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタ−フルオロブチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、1H,1H−ペンタデカフルオロオクチル、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル、3−(ペルフルオロオクチル)プロピル、4,4−ジフルオロブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、5,5,6,6,6−ペンタフルオロヘキシル、2,2−ジフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチルアミノ、1−ベンジル−2,2,2−トリフルオロエチル、2−ブロモ−2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−ピリジン−2−イルエチル、2,2−ジフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミノ、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチル、2,2−ジフルオロ−1−フェニルエチル、1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルアミノ、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、1Η,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル、3−(ペルフルオロオクチル)プロピル、ペンタフルオロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、4−シアノ(2,3,5,6)−テトラフルオロフェニル、4−カルボキシル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−5−ニトロフェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、2−フルオロ−5−メチルフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、4−カルボキサミド−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2−ブロモ−4,6−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−ヨードフェニル、4−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,3,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−3,4,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−4,5,6−トリフルオロフェニル、4−ブロモ−2,6−ジフルオロフェニル、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル、2,4−ジフルオロ−6−ニトロフェニル、2−フルオロ−4−ニトロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジブロモ−6−フルオロフェニル、3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル、4−シアノ−1−フルオロフェニル、1−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、2−トリフルオロメチル−6−フルオロフェニル、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル、3−クロロ−2−フルオロフェニル、5−クロロ−2−フルオロフェニル、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロフェニル、2,3−ジシアノ−4,5,6−トリフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロ−3−カルボキシフェニル、2,3,4−トリフルオロ−6−カルボキシフェニル、2,3,5−トリフルオロフェニル、4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、1−フルオロ−5−カルボキシフェニル、2−クロロ−4,6−ジフルオロフェニル、6−ブロモ−3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロ−6−ニトロフェニル、2,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル、2,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル、4−トリフルオロメチル−2,3−ジフルオロフェニル、2−ブロモ−4,6−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2−ニトロテトラフルオロフェニル、2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニル、2−ニトロ−3,5,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−6−フルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロ−6−ヨードフェニル、2−フルオロ−6−カルボキシフェニル、2,4−ジフルオロ−3−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−カルボキシフェニル、4−ブロモ−2,5−ジフルオロフェニル、2,5−ジブロモ−3,4,6−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−5−メチルスルホニルフェニル、5−ブロモ−2−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−ヒドロキシメチルフェニル、3−フルオロ−4−ブロモメチルフェニル、2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−6−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロフェニル、2,6−ジブロモ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,3−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル、5−クロロ−2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル、3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、2−ヨード−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ニトロ−4,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2−メチル−4−(トリフルオロメチル)フェニル、3,5−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,3,6−トリクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)ベンジル、2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、4−フルオロフェネチル、3−(トリフルオロメチル)フェネチル、2−クロロ−6−フルオロフェネチル、2,6−ジクロロフェネチル、3−フルオロフェネチル、2−フルオロフェネチル、(2−トリフルオロメチル)フェネチル、4−フルオロフェネチル、3−フルオロフェネチル、4−トリフルオロメチルフェネチル、2,3−ジフルオロフェネチル、3,4−ジフルオロフェネチル、2,4−ジフルオロフェネチル、2,5−ジフルオロフェネチル、3,5−ジフルオロフェネチル、2,6−ジフルオロフェネチル、4−(4−フルオロフェニル)フェネチル、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェネチル、ペンタフルオロフェネチル、2,4−ジ(トリフルオロメチル)フェネチル、2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル)フェネチル、(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−6−トリフルオロメチル)フェネチル、(2,3,6−トリフルオロ)フェネチル、(2,4,5−トリフルオロ)フェネチル、(2,4,6−トリフルオロ)フェネチル、(2,3,4−トリフルオロ)フェネチル、(3,4,5−トリフルオロ)フェネチル、(2,3,5−トリフルオロ)フェネチル、(2−クロロ−5−フルオロ)フェネチル、(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−クロロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−クロロ)フェネチル、(4−フルオロ−3−クロロ)フェネチル、(2−フルオロ−4−クロロ)フェネチル、(2,3−ジフルオロ−4−メチル)フェネチル、2,6−ジフルオロ−3−クロロフェネチル、(2,6−ジフルオロ−3−メチル)フェネチル、(2−トリフルオロメチル−5−クロロ)フェネチル、(6−クロロ−2−フルオロ−5−メチル)フェネチル、(2,4−ジクロロ−5−フルオロ)フェネチル、5−クロロ−2−フルオロフェネチル、(2,5−ジフルオロ−6−クロロ)フェネチル、(2,3,4,5−テトラフルオロ)フェネチル、(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、2,3−(ジフルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、(2,5−ジ(トリフルオロメチル))フェネチル、2−フルオロ−3,5−ジブロモフェネチル、(3−フルオロ−4−ニトロ)フェネチル、(2−ブロモ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、2−(ブロモ−5−フルオロ)フェネチル、(2,6−ジフルオロ−4−ブロモ)フェネチル、(2,6−ジフルオロ−4−クロロ)フェネチル、(3−クロロ−5−フルオロ)フェネチル、(2−ブロモ−5−トリフルオロメチル)フェネチル等。
【0056】
前記式(I)及び続く式において記載されたRa、Rb及びR1〜R12基の特定の例は、以下である:
1H,1H−ペルフルオロ−C2−C30−アルキル又は1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−C3−C30−アルキル、有利には1H,1H−ペルフルオロ−C2−C20−アルキル又は1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−C3−C20−アルキル、特に1H,1H−ペルフルオロ−C2−C10−アルキル又は1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−C3−C10−アルキル、例えば2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、1H,1H−ペルフルオロペンチル、1H,1H−ペルフルオロヘキシル、1H,1H−ペルフルオロヘプチル、1Η,1H−ペンタデカフルオロオクチル、1H,1H−ペルフルオロノニル、1H,1H−ペルフルオロデシル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロペンチル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロヘキシル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロヘプチル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクチル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロノニル。
【0057】
一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基は、有利には、それぞれ独立して、水素、重水素、非置換アルキル、アラルキル、シクロアルキル、非置換アリール及びアルカリールから選択される。
【0058】
一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基は、より有利には、それぞれ独立して、水素、重水素、C1〜C12−アルキル、C7〜C22−アラルキル、C4〜C7−シクロアルキル、C6〜C10−アリール及びC7〜C22−アルカリールから選択される。
【0059】
一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基は、有利には、同様の定義を有する。
【0060】
特定の一実施態様において、一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基は、双方とも水素である。
【0061】
他の特定の一実施態様において、一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基は、双方とも重水素である。
【0062】
他の特定の実施態様において、一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基は、双方ともC1〜C6−アルキル、より特定すれば、双方ともメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルである。
【0063】
他の特定の一実施態様において、一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基は、双方ともフェニルであり、又は双方ともC1〜C12−アルキルフェニル、特にC1〜C6−アルキルフェニル、又は双方ともナフチルである。
【0064】
有利には、一般式(I)の化合物において、R1〜R12基は、それぞれ独立して、水素、F、Cl、ヒドロキシル、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、C7〜C22−アラルキル、C7〜C22−アラルキルオキシ、C7〜C22−アラルキルチオ、C4〜C7−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C22−アルカリール、C7〜C22−アルカリールオキシ、C7〜C22−アルカリールチオ、アミノ、モノ(C1〜C12−アルキル)アミノ、ジ(C1〜C12−アルキル)アミノ、NH(C6〜C10−アリール)、N(C6〜C10−アリール)2、ヘテロアリール及びオリゴヘテロアリールから選択され、その際、ヘテロアリール、及びオリゴヘテロアリールのヘテロアリール基は、それぞれ独立して、非置換であるか、又はC1〜C12−アルキル及びC1〜C12−アルコキシから選択された1、2、3又は4個の基によって置換されてよい。
【0065】
一般式(I)の化合物において、R1〜R12基は、有利には、それぞれ独立して、水素、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、フェニル、ナフチル、フェニルオキシ、ナフチルオキシ及びオリゴチオフェニルから選択され、その際、フェニル、ナフチル、フェニルオキシ、ナフチルオキシ及びオリゴチオフェニルは、非置換であるか、又はC1〜C12−アルキル及びC1〜C12−アルコキシから選択された1又は2個の基によって置換されてよい。
【0066】
一般式(I)の化合物において、R1〜R12基の0、1、2、3又は4個は、有利には、水素以外の定義を有する。特定の実施態様において、一般式(I)の化合物において、R1〜R12基の2個は、水素以外の定義を有する。
【0067】
一般式(I)の化合物において、少なくとも1つのR1、R5、R8及びR9基は、水素以外の定義を有する。
【0068】
一般式(I.1)
【化8】

[式中、
a及びRbは、それぞれ独立して、水素、重水素、C1〜C6−アルキル、フェニル及びナフチルから選択され、
1及びR9は、それぞれ独立して、フェニル、フェニルオキシ、フェニルチオ、ナフチル、ナフチルオキシ、ナフチルチオ、(C1〜C12−アルキル)フェニル、(C1〜C12−アルキル)フェニルオキシ、(C1〜C12−アルキル)フェニルチオ、(C1〜C12−アルキル)ナフチル、(C1〜C12−アルキル)ナフチルオキシ及び(C1〜C12−アルキル)ナフチルチオから選択され、
5及びR8は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル及びC1〜C12−アルコキシから選択される]の化合物が好ましい。
【0069】
好ましくは有機太陽電池における使用のために適したインダントレン化合物の例を以下に示す:
【化9−1】

【化9−2】

【0070】
本発明の太陽電池において使用されるインダントレン化合物(I)は、当業者に公知の通常の方法によって製造されうる。
【0071】
非置換のインダントレン(インダントレンブルー、インダントロンブルー)は、例えば、BASF SE社からPaliogen(登録商標)Blue L 6480の名前で市販されている。多くの他のインダントレン誘導体も市販されている。
【0072】
窒素原子上で、対応するプロトン化化合物から、D2SO4と反応し、そしてD2Oで沈澱することによって、部分的に又は完全に重水素化した化合物を製造することが可能である。重水素化の所望の程度によって、これは、1回又は2回以上繰り返されうる。
【0073】
窒素原子上で、対応するプロトン化化合物によって、通常の方法によって置換された化合物を製造することができる。
【0074】
アルキル化のために、この目的のための通常のアルキル化剤、例えばハロゲン化アルキル、アルキルスルフェート又はアルキルスルホネート(例えばトシレート)を使用することができる。
【0075】
対応するプロトン化化合物をアリール化するために適した方法は、C−N Ullmann結合の方法で、ハロゲン化アリールと触媒結合することによって行う。例えば、臭化アリール、例えばブロモベンゼンでインダントレン化合物をアリール化することが可能である。適した触媒は、銅触媒、例えばCuI及び酢酸Cu(I)である。
【0076】
有機太陽電池において使用する前に、インダントレン化合物を精製させることができる。精製を、当業者に公知の通常の方法、例えば適した固定相上での分離、昇華、抽出、蒸留、再結晶又は少なくとも2つのこれらの方法の組合せによって実施することができる。それぞれの精製は、一工程又は多工程構成を有してよい。個々の精製操作を、2回以上繰り返すことができる。種々の精製操作を、互いに組合せることができる。
【0077】
特定の一実施態様において、精製は、カラムクロマトグラフィー法を含む。このために、溶剤又は溶剤混合物中に存在する出発材料を、シリカゲル上で分離又は濾過させうる。最終的に、溶剤は、例えば減圧下での蒸発によって取り除かれる。適した溶剤は、芳香族、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン、炭化水素及び炭化水素混合物、例えばペンタン、ヘキサン、リグロイン及び石油エーテル、水素化炭化水素、例えばクロロホルム又はジクロロメタン、並びに前記溶剤の混合物である。クロマトグラフィーのために、少なくとも2つの種々の溶剤の勾配、例えばトルエン/石油エーテル勾配を使用することも可能である。
【0078】
他の特定の実施態様において、精製は、昇華を含む。これは、有利には、分別昇華であってよい。分別昇華のために、置換したインダントレンの昇華及び/又は堆積における温度勾配を使用することができる。さらに、精製は、キャリヤーガス流を利用する昇華によって実施されうる。適したキャリヤーガスは、不活性ガス、例えば窒素、アルゴン又はヘリウムである。化合物を負荷したガス流を、続いて、分離チャンバー中を通過してよい。適した分離チャンバーは、種々の温度で操作させることができる多数の分離域を有してよい。例えば、いわゆる三領域昇華装置が好ましい。分別昇華のための他の方法及び装置は、US 4,036,594において記載されている。
【0079】
有機太陽電池は一般的に層構造を有し、一般的に、少なくとも1つの以下の層、すなわち陽極、光活性層、及び陰極を有する。これらの層は、一般に、この目的に適した基材に適用される。有機太陽電池の構造は、例えば、US 2005/0098726及びUS 2005/0224905に記載されている。
【0080】
本発明は、少なくとも1つの陰極、少なくとも1つの陽極、及び光活性材料として前記で定義した少なくとも1つの一般式(I)の化合物を有する基材を含む有機太陽電池を提供する。本発明の有機太陽電池は、少なくとも1つの光活性領域を含む。光活性領域は、それぞれ均一な組成物を有し、かつドナー−アクセプターヘテロ接合を形成する2つの層を含んでよい。光活性領域は、混合層を含み、かつドナー−アクセプターバルクヘテロ接合の形で、ドナー−アクセプターヘテロ接合を形成してもよい。ブルクヘテロ接合の形での光活性ドナー−アクセプター遷移を有する有機太陽電池は、本発明の好ましい一実施態様である。
【0081】
有機太陽電池のために適した基材は、例えば酸性材料、ポリマー及びそれらの組合せである。好ましい酸性材料は、ガラス、セラミック、SiO2、石英などから選択される。好ましいポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポリプロピレン)ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、塩化ポリビニル並びに混合物及び複合材料から選択される。
【0082】
適した電極(陰極、陽極)は、主に、半導体、金属合金、半導体合金及びそれらの組合せである。好ましい金属は、周期律表の2、8、9、10、11又は13族のもの、例えばPt、Au、Ag、Cu、Al、In、Mg又はCaである。
【0083】
好ましい半導体は、例えば、ドープSi、ドープGe、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素化酸化スズ、酸化ガリウムインジウムスズ(GITO)、酸化亜鉛インジウム(ZITO)等である。好ましい金属合金は、例えばPt、Au、Ag、Cu等に基づく合金である。特定の一実施態様は、Mg/Ag合金である。
【0084】
光に面する電極のために使用される材料(通常の構造における陽極、逆構造における陰極)は、有利には、入射光に対して少なくとも部分的に透過する材料である。これは、有利には、キャリヤー材料としてガラス及び/又は透過ポリマーを有する電極を含む。キャリヤーとして適している透過ポリマーは、前記のもの、例えばポリエチレンテレフタレートである。電気的接触の接合は、一般に、金属層及び/又は透明導電性酸化物(TCO)によって実施される。これらは、有利には、ITO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化スズ)、ZnO、TiO2、Ag、Au、Ptを含む。電気的接触接合のために、導電性ポリマー、例えばポリ−3,4−アルキレンジオキシ−チオフェン、例えばポリ−3,4−エチレンオキシチオフェン(PEDOT)を使用することができる。
【0085】
光に面している電極は、およそ最小の光吸収のみをもたらすために十分な厚さであるが、しかし抽出された電荷キャリヤーの良好な電荷輸送を可能にするために十分な厚さであるように構成される。(キャリヤー材料を有さない)電極層の厚さは、有利には、20〜200nmの範囲内である。
【0086】
特定の一実施態様において、光から離れて面した電極(通常の構造での陰極、逆構造での陽極)のための材料は、入射光を少なくとも部分的に反射する材料である。これは、例えばAg、Au、Al、Ca、Mg、In及びそれらの混合物の金属膜を含む。好ましい混合物は、Mg/Alである。電極層の厚さは、有利には、50〜300nmの範囲内である。
【0087】
光活性領域は、前記で定義された一般式(I)の少なくとも1つのインダントレン化合物を含む少なくとも1つの層を含むか、その層からなる。さらに、光活性領域は、1つ以上のさらなる層を有してよい。これらの層は、例えば、
− 電子導電性を有する層(電子輸送層、ETL)、
− 正孔導電性材料を有する層(正孔輸送層、HTL、吸光性でなくてもよい)、
− 励起子及び正孔ブロック層(例えばEBL、吸光性であってはならない)、及び
− 増倍層
から選択される。
【0088】
これらの層に適した材料は、以下で詳細に記載される。適した励起子及び正孔ブロック層は、例えばUS 6,451,415において記載されている。励起子ブロック層に適した材料は、例えばバソクプロイン(BCP)、4,4’4’’−トリス[3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、又はポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である。
【0089】
本発明の太陽電池は、少なくとも1つの光活性ドナー−アクセプターヘテロ接合を含む。有機材料の光学励起は、励起子を生じる。光電流が生じるために、電子−正孔のペアが典型的には、2つの異なる接触材料の間の、ドナー−アクセプター−インターフェースで分離されなければならない。このようなインターフェースでは、ドナー材料がアクセプター材料とヘテロ接合を形成する。電荷が分離されていない場合、電荷は、入射光より低いエネルギーの光の放出によって照射的に、又は熱の発生により非照射的に、"クエンチング(quenching)"としても公知である方法で再結合することができる。双方の方法は所望されない。本発明によって、少なくとも1つの置換された一般式(I)のインダントレンを、電荷発生体(ドナー)として使用することができる。適切な電子アクセプター材料(ETM、電子輸送材料)との組合せで、照射性励起は、ETMへの急速な電子輸送に従う。本発明のETMは、C60及び他のフラーレンである。
【0090】
第一の実施態様において、ヘテロ接合は平坦な構成を有する(Two layer organic photovoltaic cell, C. W. Tang, Appl. Phys. Lett., 48 (2), 183−185 (1986)又はN. Karl, A. Bauer, J. Holzaepfel, J. Marktanner, M. Moebus, F. Stoelzle, Mol. Cryst. Liq. Cryst, 252, 243−258 (1994))。
【0091】
第二の実施態様において、ヘテロ接合は、相互貫入ドナー−アクセプターネットワークとも言われるバルク(混合された)ヘテロ接合として構成される。バルクヘテロ接合を有する光起電性有機セルは、例えば、C. J. Brabec, N. S. Sariciftci, J. C. Hummelen、 Adv. Funct. Mater., 11 (1), 15 (2001)、又はJ. Xue, B. P. Rand, S. Uchida and S. R. Forrest、 J. Appl. Phys. 98, 124903 (2005)に記載されている。バルクヘテロ接合を、以下で詳細に説明する。
【0092】
式(I)の化合物は、MiM、pin、pn、Mip又はMin構造(M=金属、p=p−ドープした有機半導体又は無機半導体、n=n−ドープした有機半導体又は無機半導体、i=有機層の本質的な導電性システム;例えばJ. Drechsel et al., Org. Electron., 5 (4), 175 (2004)又はMaennig et al., Appl. Phys. A 79, 1 −14 (2004)を参照)。
【0093】
式(I)の化合物はまた、タンデム型セルにおける光活性材料としても使用できる。適したタンデム型セルは、例えば、P. Peumans, A. Yakimov, S. R. Forrest、J. Appl. Phys, 93 (7), 3693−3723 (2003)(US 4,461,922、US 6,198,091、及びUS 6,198,092も参照)に記載されており、以下で詳細に説明する。一般式(I)のインダントレン化合物の使用は、本発明の好ましい一実施態様である。
【0094】
式(I)の化合物は、相互にスタックされた2つ又は2つより多くのMiM、pin、Mip、又はMinダイオードから構成されるタンデム型セルで光活性材料として使用することができる(DE 103 13 232.5及びJ. Drechsel et al., Thin Solid Films, 451452, 515−517 (2004)を参照)。
【0095】
M層、n層、i層、及びp層の層の厚さは、典型的に10〜1000nm、有利には10〜400nmの範囲内である。太陽電池を形成する層は、当業者に公知の通常の方法によって製造されうる。この方法には、減圧下、又は不活性ガス雰囲気下での蒸着、レーザー切除、又は溶液もしくは分散液加工法、例えばスピンコート、ブレードコート、キャスティング法、スプレー、ディップコート、又は印刷(例えばインクジェット、フレキソグラフィー、オフセット、グラビア;凹版、ナノインプリント)が含まれる。特定の一実施態様において、全体の太陽電池は、ガス相堆積法によって製造される。
【0096】
有機太陽電池の効率を改良するために、励起が、次のドナー−アクセプターインターフェースに達するために拡散しなければならない平均距離を短くすることができる。この目的のために、内部のドナー−アクセプターヘテロ接合が可能になる相互貫入ネットワークを形成する、ドナー材料及びアクセプター材料の混合層を使用することができる。このバルクヘテロ接合は、混合層の特定の形であり、生じた励起は、単に、それらがドメイン境界に達する前に、分離された、非常に短い距離を移動する必要がある。
【0097】
好ましい一実施態様において、バルクヘテロ接合の形での光活性ドナー−アクセプター遷移は、ガス相堆積法(物理蒸着法(PVD))によって製造される。適した方法は、例えば、US 2005/0227406に記載されており、これについてはここで指摘しておく。この目的のために、一般式(I)のインダントレン化合物及び相補的な半導体材料は、共昇華の方法でガス相堆積をうけうる。PVD法は高真空条件下で行われ、かつ、次の工程:蒸発、輸送、堆積を含む。堆積は、有利には10-2mbar〜10-7mbarm、例えば10-5〜10-7mbarの範囲内での圧力で実施される。堆積速度は、有利には0.01〜10nm/sの範囲内である。堆積は、不活性ガス雰囲気中で、例えば窒素、ヘリウム又はアルゴン下で実施されうる。堆積中の基材の温度は、有利には約−100〜300℃、より有利には−50〜250℃の範囲内である。
【0098】
有機太陽電池の他の層は、公知の方法によって製造できる。この方法には、減圧下、又は不活性ガス雰囲気下での蒸着、レーザー切除、又は溶液もしくは分散液加工法、例えばスピンコート、ブレードコート、キャスティング法、スプレー、ディップコート、又は印刷(例えばインクジェット、フレキソグラフィー、オフセット、グラビア;凹版、ナノインプリント)が含まれる。特定の一実施態様において、全体の太陽電池は、ガス相堆積法によって製造される。
【0099】
光活性層(均一な層又は混合層)は、直接的に、それらの製造後、又は太陽電池を形成する他の層の製造後に熱処理をうけてよい。かかる熱処理は、多くの場合において、さらに、光活性層の形態学を改良しうる。温度は、有利には、約60〜300℃の範囲内である。処理時間は、有利には、1分〜3時間の範囲内である。熱処理に加えて、又は熱処理の代わりに、光活性層(混合層)は、直接的に、それらの製造後、又は太陽電池を形成する他の層の製造後に、溶剤を含有するガスでの処理をうけてよい。適した実施態様において、空気中での飽和溶剤上記が、周囲温度で使用される。適した溶剤は、トルエン、キシレン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、クロロベンゼン、ジクロロメタン及びそれらの混合物である。処理時間は、有利には、1分〜3時間の範囲内である。
【0100】
好ましい実施態様において、本発明の太陽電池は、平坦なヘテロ接合の通常の構造を有する個々のセルを有する。図1は、通常の構造を有する本発明の太陽電池を示す。特定の一実施態様において、前記セルは以下の構造を有する:
− 少なくとも部分的に透明な導電性層(トップ電極、陽極)(11)
− 正孔導電性層(正孔輸送層、HTL)(12)
− ドナー材料を含む層(13)
− アクセプター材料を含む層(14)
− 励起子ブロック層及び/又は電子導電性層(15)
− 第二の導電性層(バック電極、陰極)(16)。
【0101】
ドナー材料は、有利には、式(I)の少なくとも1つを含むか、又は式(I)の化合物からなる。本発明に従って、アクセプター材料は、少なくとも1つのフラーレンもしくはフラーレン誘導体を含み、又はフラーレンもしくはフラーレン誘導体からなる。アクセプター材料は、有利には、C60又はPCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)を含む。
【0102】
実質的に、透明な導電性層(11)(陽極)は、キャリヤー、例えばガラス、又はポリマー(例えばポリエチレンテレフタレート)、及び前記のような導電材料を含む。例として、ITO、ドープITO、FTO、ZnO、AZO等を含む。陽極材料は、例えばUV光、オゾン、酸素プラズマ、Br2等での表面処理をうけうる。前記層(11)は、最大の光吸収を可能にするために十分に薄い必要があるが、しかし、良好な電荷輸送を可能にするために十分に厚くもある。透過導電性層(11)の層の厚さは、有利には、20〜200nmの範囲内である。
【0103】
図1に従った通常の構造を有する太陽電池は、場合により正孔輸送層(HLT)を有する。この層は、少なくとも1つの正孔導電性材料(正孔輸送材料、HTM)を含む。層(12)は、実質的に均一な組成物の個々の層であってよく、又は2つ以上の下層を含んでよい。
【0104】
正孔導電特性(HTL)を有する層を形成するために適した正孔導電性材料(HTM)は、有利には、高いイオン化エネルギーを有する少なくとも1つの材料を含む。イオン化エネルギーは、有利には、少なくとも5.0eV、より有利には少なくとも5.5eVである。材料は、有機又は無機材料であってよい。正孔導電特性を有する層における使用に適した有機材料は、有利にはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT−PSS)、Ir−DPBIC(トリス−N,N’−ジフェニルベンゾイミダゾール−2−イリデンイリジウム(III))、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレン(スピロ−MeOTAD)等、及びそれらの混合物から選択される。有機材料は、所望される場合に、正孔導電性材料のHOMOと同様の範囲内、又はそれよりも低いLUMOを有するp−ドーパントでドープされてよい。適したドーパントは、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、WO3、MoO3等である。正孔導電投句性を有する層にける使用に適した無機材料は、有利には、WO3、MoO3等から選択される。
【0105】
存在する場合に、正孔導電特性を有する層の厚さは、有利には、5〜200nm、より有利には10〜100nmの範囲内である。
【0106】
層(13)は、一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含む。前記層の厚さは、光の最大量を吸収するのに十分であるべきであるが、しかし十分に効率的な電荷の損失を可能にする薄さでもある。層(13)の厚さは、有利には5nm〜1μm、より有利には5〜80nmの範囲内である。
【0107】
層(14)は、少なくとも1つのアクセプター材料を有する。本発明によって、アクセプター材料は、少なくとも1つのフラーレン又はフラーレン誘導体を有する。前記層の厚さは、光の最大量を吸収するのに十分であるべきであるが、しかし十分に効率的な電荷の損失を可能にする薄さでもある。層(14)の厚さは、有利には5nm〜1μm、より有利には5〜80nmの範囲内である。
【0108】
図1に従った通常の構造を有する太陽電池は、場合により、励起子ブロック層及び/又は電子導電性層(15)(EBL/ETL)を有する。励起子ブロック層に適した材料は、一般に、層(13)及び/又は(14)の材料よりも大きいバンドギャップを有する。それらは、第一に、励起子を反射することができ、かつ第二に、層を通過する良好な電子輸送を可能にする。層(15)のための材料は、有機又は無機材料を含んでよい。適した有機材料は、有利には、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(BPY−OXD)等から選択される。有機材料は、所望される場合に、電子導電性材料のLUMOと同様の範囲内、又はそれよりも低いHOMOを有するn−ドーパントでドープされてよい。適したドーパントは、Cs2CO3、Pyronin B(PyB)、Rhodamine B、コバルトセン等である。電子導電特性を有する層における使用に適した無機材料は、有利には、ZnO等から選択される。存在する場合に、層(15)の厚さは、有利には5〜500nm、より有には10〜100nmの範囲内である。
【0109】
層16は陰極であり、かつ有利には、低い作業機能を有する少なくとも1つの化合物、より有利には金属、例えばAg、Al、Mg、Ca等を含む。層(16)の厚さは、有利には約10nm〜10μm、例えば10nm〜60nmの範囲内である。
【0110】
好ましい実施態様において、本発明の太陽電池は、平坦なヘテロ接合及び逆構造を有する個々のセルを有する。図2は、逆構造を有する太陽電池を示す。特定の一実施態様において、前記セルは以下の構造を有する:
− 少なくとも部分的に透明な導電性層(陰極)(11)
− 励起子ブロック層及び/又は電子導電性層(12)
− アクセプター材料を含む層(13)
− ドナー材料を含む層(14)
− 正孔導電性層(正孔輸送層、HTL)(15)
− 第二の導電性層(後部の電極、陽極)(16)。
【0111】
層(11)〜(16)に適した及び好ましい材料に関して、通常の構造を有する太陽電池における層に対応する層に関する前記のものが好ましい。
【0112】
好ましい他の実施態様において、本発明の太陽電池は、通常の構造を有する個々の太陽電池を有し、かつバルクヘテロ接合を有する。図3は、バルクヘテロ接合を有する太陽電池を示す。特定の一実施態様において、前記セルは、次の構造を有する:
− 少なくとも部分的に透明な導電性層(陽極)(21)
− 正孔導電性層(正孔輸送層、HTL)(22)
− バルクヘテロ接合の形でドナー−アクセプターヘテロ接合を形成する、ドナー材料及びアクセプター材料を含む混合層(23)
− 電子導電性層(24)
− 励起子ブロック層及び/又は電子導電性層(25)
− 第二の導電性層(後部の電極、陰極)(26)。
【0113】
層(23)は、光活性材料として、特にドナー材料として、一般式(I)の少なくとも1つのインダントレン化合物を有する。層(23)は、さらに、有利には、アクセプター材料として、少なくとも1つのフラーレン又はフラーレン誘導体を有する。層(23)は、特に、アクセプター材料として、C60又はPCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)を含む。
【0114】
層(21)に関して、完全に層(11)に関する前記のものが好ましい。
【0115】
層(22)に関して、完全に層(12)に関する前記のものが好ましい。
【0116】
層(23)は、ドナー材料として少なくとも1つの一般式(I)の化合物、すなわちフラーレン又はフラーレン誘導体を含む混合層である。さらに、層(23)は、少なくとも1つのアクセプター材料を有する。前記のように、層(23)は、同時蒸発によって又は通常の溶剤を使用する溶液法によって製造されうる。混合層は、混合層の合計質量に対して、一般式(I)の少なくとも1つの化合物の、有利には10〜90質量%、より有利には20〜80質量%を含む。混合層は、混合層の合計質量に対して、少なくとも1つアクセプター材料の、有利には10〜90質量%、より有利には20〜80質量%を含む。前記層(23)の厚さは、光の最大量を吸収するのに十分であるべきであるが、しかし十分に効率的な電荷の損失を可能にする薄さでもある。層(23)の厚さは、有利には5nm〜1μm、より有利には5〜200nm、特に5〜80nmの範囲内である。
【0117】
図3に従ったバルクヘテロ接合を有する太陽電池は、電子導電性層(24)(ETL)を有する。この層は、少なくとも1つの電子輸送材料(ETM)を有する。層(24)は、実質的に均一な組成物の単一の層であってよく、又は2つ以上の下層を含んでよい。電子導電性層に適した材料は、一般に、低い機能又はイオン化エネルギーを有する。イオン化エネルギーは、有利には、3.5eV未満である。適した有機材料は、有利には、前記のフラーレン及びフラーレン誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(BPY−OXD)等から選択される。層(24)において使用される有機材料は、所望される場合に、電子導電性材料のLUMOと同様の範囲内、又はそれよりも低いHOMOを有するn−ドーパントでドープされてよい。適したドーパントは、Cs2CO3、Pyronin B(PyB)、Rhodamine B、コバルトセン等である。層(23)の厚さは、存在する場合に、有利には1nm〜1μm、特に5〜60nmの範囲内である。
【0118】
層(25)に関して、完全に層(15)に関する前記のものが好ましい。
【0119】
層(26)に関して、完全に層(16)に関する前記のものが好ましい。
【0120】
バルクヘテロ接合の形でドナー−アクセプターヘテロ接合を有する太陽電池は、前記のようなガス相堆積法によって製造されうる。堆積速度、堆積中の基材温度及び熱後処理に関しては、前記が好ましい。
【0121】
好ましい他の実施態様において、本発明の太陽電池は、逆構造を有する個々の太陽電池を有し、かつバルクヘテロ接合を有する。図4は、バルクヘテロ接合及び逆構造を有する太陽電池を示す。
【0122】
他の特定の好ましい実施態様において、本発明の太陽電池は、タンデム型セルである。
【0123】
タンデム型セルは、2つ以上(例えば3、4、5等)のサブセルを有する。1つのサブセル、いくつかのサブセル又は全てのサブセルは、光活性ドナー−アクセプターヘテロ接合を有してよい。それぞれのドナー−アクセプターヘテロ接合は、平坦なヘテロ接合の形で、又はバルクヘテロ接合の形であってよい。有利には、少なくとも1つのドナー−アクセプターヘテロ接合は、バルクヘテロ接合の形である。本発明によって、少なくとも1つのサブセルの光活性層は、一般式(I)のインダントレン化合物を含む。有利には、少なくとも1つのサブセルの光活性層は、一般式(I)のインダントレン化合物及び少なくとも1つのフラーレン又はフラーレン誘導体を含む。より詳述すれば、少なくとも1つのサブセルの光活性層において使用される半導体混合物は、式(I)のインダントレン化合物及びC60又は[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステルからなる。
【0124】
タンデム型セルを形成するサブセルは、並列で又は直列で接続されていてよい。タンデム型セルを形成するサブセルは、有利には、直列で接続される。有利には、個々のサブセル間でそれぞれの場合において追加の組合せの層がある。個々のサブセルは、同様の極性を有し、すなわち、一般に通常の構造を有するセルのみ、又は逆構造を有するセルのみが、互いに組み合わされる。
【0125】
図5は、本発明のタンデム型セルの基本構造を示す。層31は、透明導電性層である。適した材料は、前記の個々のセルに関するものである。
【0126】
層32及び34は、サブセルを構成する。"サブセル"は、本明細書で陰極及び陽極を有さない前記のようなセルをいう。サブセルは、例えば、光活性層における本発明に従って使用される式(I)のインダントレン化合物を全て有するか(特にフラーレン又はフラーレン誘導体、特にC60との組合せで)、又は半導体材料の他の組合せ、例えばC60と亜鉛フタロシアニン、C60とオリゴチオフェン(例えばDCV5T)を有する。さらに、個々のサブセルは、染料感作太陽電池又はポリマーセルとして構成されてもよい。全ての場合において、入射光の、例えば自然日光のスペクトルの異なる領域を活用する材料の組合せが好ましい。例えば、一般式(I)のインダントレン化合物と本発明に従って使用されるフラーレン又はフラーレン誘導体の組合せは、日光の長波領域において吸収する。ジベンゾペリフランテン(DBP)−C60は、主に、400nm〜600nmの範囲で吸収する。亜鉛フタロシアニン−C60セルは、主に、600nm〜800nmの範囲で吸収する。従って、それらのサブセルの組合せからなるタンデム型セルは、400nm〜80nmの範囲での放射を吸収する。サブセルの適した組合せは、従って、拡張されるために使用されるスペクトル範囲を可能にするべきである。最適の性能特性のために、光学インターフェースが、考えられる。例えば、比較的短い波長を吸収するサブセルは、より長い波長の吸収を有するサブセルよりも、より近い金属の頂部接触に配置される。
【0127】
層(31)に関して、完全に層(11)及び(21)に関する前記のものが好ましい。
【0128】
層(32)及び(34)に関して、平坦なヘテロ接合に関する層(12)〜(15)、及びバルクヘテロ接合に関する(22)〜(25)に関する前記のものが好ましい。
【0129】
層33は、再結合層である。再結合層は、1つのサブセルから電荷キャリヤーを、隣接するサブセルのものと組合せることを可能にする。小さい金属クラスター、例えばAg、Au又は高いn−ドープ層及びp−ドープ層の組合せが適している。金属クラスターの場合において、層の厚さは、有利には0.5〜5nmの範囲内である。より高いn−ドープ層及びp−ドープ層の場合において、層の厚さは、有利には5〜40nmの範囲内である。再結合層は、一般に、サブセルの電子導電性層をサブセルに隣接する正孔導電性層に連結する。この方法において、他のセルは、タンデム型セルを形成するために結合されうる。
【0130】
層36は、トップ電極である。材料は、サブセルの極性に依存する。通常の構造を有するサブセルに関して、低い作業機能を有する金属、例えばAg、Al、Mg、Ca等を使用することが好ましい。逆構造を有するサブセルに関して、高い作業機能、例えばAuもしくはPt、又はPEDOT−PSSを使用することが好ましい。
【0131】
直列に接続したサブセルの場合において、全体の電圧は、全てのサブセルの個々の電圧の合計に対応する。対照的に、全体の電流は、1つのサブセルの最も低い電流によって制限される。この理由のため、それぞれのサブセルの厚さは、全てのサブセルが実質的に同様の電流を有するように最適化すべきである。
【0132】
ドナー−アクセプターヘテロ接合の種々の種類の例は、平坦なヘテロ接合を有するドナー−アクセプター二重層であり、又はヘテロ接合は、混成平面状混合ヘテロ接合もしくは勾配バルクヘテロ接合もしくはアニールされたバルクヘテロ接合として構成される。
【0133】
混成平面状混合ヘテロ接合の製造は、Adv. Mater. 17, 66−70 (2005)に記載されている。この構造において、アクセプター材料及びドナー材料の同時蒸発によって形成された混合ヘテロ接合層は、均一なドナー材料とアクセプター材料との間に存在する。
【0134】
本発明の特定の一実施態様において、ドナー−アクセプターヘテロ接合は、勾配バルクヘテロ接合の形である。ドナー材料及びアクセプター材料からなる混合層において、ドナー−アクセプター比は、段階的に変化する。勾配の形は、段階的(図6(a))又は直線的(図6(b))であってよい。図6(a)において、層01は100%ドナーからなり、層02はドナー/アクセプター比が>1であり、層03はドナー/アクセプター比が1であり、層04がドナー/アクセプター比が<1であり、かつ層05は100%アクセプターからなる。図6(b)において、層01は100%ドナーからなり、層02はドナー/アクセプター比の減少比を有し、すなわちドナー材料の割合は、層03の方向において直線的な方法で減少し、かつ層03は100%アクセプターからなる。種々のドナー−アクセプター比は、それぞれ及び全ての材料の堆積速度によって制御されうる。かかる構造は、電荷に関するパーコレーションパスを強化することができる。
【0135】
本発明の他の特定の実施態様において、ドナー−アクセプター−ヘテロ接合は、アニールされたバルクヘテロ接合として構成される(例えば、Nature 425, 158−162, 2003を参照)。かかる太陽電池を製造するための方法は、金属メッキの前又は後に、アニーリング工程を含む。アニーリングの結果として、ドナー及びアクセプター材料は、分離することができ、より延びたパーコレーションパスを導く。
【0136】
本発明の他の特定の一実施態様において、有機太陽電池は、平面の又は制御されたヘテロ接合構成を有する、有機蒸気相堆積によって製造される。この種類の太陽電池は、Materials, 4, 2005, 37に記載されている。
【0137】
特定の一実施態様において、少なくとも1つの置換された一般式(I)のインダントレンは、単独の電子ドナー材料として使用される。
【0138】
本発明の有機太陽電池は、ドナーとして少なくとも1つのインダントレン化合物を含み、アクセプターとして少なくとも1つのフラーレン化合物と接触する。フラーレン及びフラーレン誘導体は、有利には、C60、C70、C84、フェニル−C61−酪酸メチルエステル([60]PCBM)、フェニル−C71−酪酸メチルエステル([71]PCBM)、フェニル−C84−酪酸メチルエステル([84]PCBM)、フェニル−C61−酪酸ブチルエステル([60]PCBB)、フェニル−C61−酪酸オクチルエステル([60]PCBO)、チエニル−C61−酪酸メチルエステル([60]ThCBM)及びそれらの混合物から選択される。C60、[60]PCBM及びそれらの混合物が特に好ましい。
【0139】
インダントレン化合物及びフラーレンに加えて、以下で挙げた半導体材料が、主に本発明の太陽電池における使用に適している。それらは、本発明に従って使用されるインダントレン/フラーレンサブセルと組み合わされる、タンデム型セルのサブセルのためのドナー又はアクセプターとして供給する。
【0140】
適した他の半導体は、フタロシアニンである。これに含まれるのは、ハロゲン化されていないフタロシアニン、又は1〜16個のハロゲン原子を有するフタロシアニンである。フタロシアニンは、金属を有さなくてよく、又は二価金属もしくは金属原子含有基を含んでよい。
【0141】
亜鉛、銅、鉄、チタニルオキシ、バナジルオキシ等を基礎としたフタロシアニンが好ましい。銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、金属を有さないフタロシアニンが特に好ましい。特定の一実施態様において、ハロゲン化フタロシアニンが使用される。これらは、
2,6,10,14−テトラフルオロフタロシアニン、例えば銅、2,6,10,14−テトラフルオロフタロシアニン及び亜鉛2,6,10,14−テトラフルオロフタロシアニン;
1,5,9,13−テトラフルオロフタロシアニン、例えば銅1,5,9,13−テトラフルオロフタロシアニン及び亜鉛1,5,9,13−テトラフルオロフタロシアニン;
2,3,6,7,10,11,14,15−オクタフルオロフタロシアニン、例えば銅2,3,6,7,10,11,14,15−オクタフルオロフタロシアニン及び亜鉛2,3,6,7,10,11,14,15−オクタフルオロフタロシアニン;
を含み、
アクセプターとして適したフタロシアニンは、例えば、ヘキサデカクロロフタロシアニン及びヘキサデカフルオロフタロシアニン、例えば銅ヘキサデカクロロフタロシアニン、亜鉛ヘキサデカクロロフタロシアニン、金属を有さないヘキサデカクロロフタロシアニン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン、ヘキサデカフルオロフタロシアニン又は金属を有さないヘキサデカフルオロフタロシアニンである。
【0142】
大部分はアクセプターとして適している、適した他の半導体は、リレンである。本発明の記載内容において、リレンは、一般に、ペリ結合したナフタレン単位の分子構造を有する化合物を意味することを理解する。ナフタレン単位の数によって、前記化合物は、例えば、ペリレン(n=2)、テリレン(n=3)、クアテリレン(n=4)、又はより高位のリレンであってよい。従って、それらは、以下の式のペリレン、テリレン、又はクアテリレンであってよい。
【化10】

[式中、
n1、Rn2、Rn3、及びRn4基(n=1〜4である)は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、又はハロゲン以外の基であり、
1は、O、又はORa、ここで、Raは水素又はオルガニル基であり、
2は、O、又はORb、ここで、Rbは水素又はオルガニル基であり、
1、Z2、Z3、及びZ4は、それぞれOであり、
ここでY1がNRaの場合、基Z1及びZ2の一方もNRcであってよく、ここで基Ra及びRcはともに、側方結合の間に2〜5個の原子を有する架橋性の基であり、
ここでY2がNRbの場合、基Z3及びZ4の一方もNRdであってよく、ここで基Rb及びRdはともに、側方結合の間に2〜5個の原子を有する架橋性の基である]。
【0143】
適したリレンは、例えば、WO 2007/074137、WO 2007/093643、及びWO 2007/116001に記載されており、これについては、ここで指摘しておく。
【0144】
インダントレン化合物(I)の代わりに他のサブセルにおいて、例えば以下に記載されているタンデム型セルにおいて使用することができるドナー半導体材料も好ましい。
【0145】
ドナーとして適している半導体は、ポルフィリン、例えば5,10,15,20−テトラ(3−ピリジル)ポルフィリン(TpyP)又はテトラベンゾポルフィリン、例えば金属を有さないテトラベンゾポルフィリン、銅テトラベンゾポルフィリンもしくは亜鉛テトラベンゾポルフィリンである。テトラベンゾポルフィリンが特に好ましい。これらは、可溶性前駆体として溶液から製造され、かつ光活性成分に基材上での加熱分解によって変換することができる。
【0146】
ドナーとして適している他の半導体は、アセンである。これらは、有利には、それぞれ野場合において、非置換又は置換されたアントラセン、テトラセン又はペンタセンから選択される。置換されたアセンは、有利には、電子を供与する置換基、電子を取り出す置換基、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1つの置換基を含む。適した電子を供与する置換基は、例えば、アルキル、アルコキシ、エステル、カルボキシレート又はチオアルキルである。適した電子を取り出す置換基は、例えばハロゲン、窒素又はシアノである。好ましいアセンは、2,9−ジアルキルペンタセン、2,10−ジアルキルペンタセン、2,10−ジアルコキシペンタセン、1,4,8,11−テトラアルコキシペンタセン及びルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)から選択される。適した置換されたペンタセンは、US 2003/0100779、及びUS 6,864,396に記載されており、参照をもって本発明に組み込まれたものとする。特に好ましいアセンはルブレンである。
【0147】
ドナーとして適している他の半導体は、液晶材料(LC材料)である。それらは、有利には、コロネン及びトリフェニレンから選択される。好ましい液晶材料は、ヘキサベンゾコロネン(HBC−PhC12)、コロネンジイミド、2,3,6,7,10,11−ヘキサヘキシルチオトリフェニレン(HTT6)、2,3,6,7,10,11−ヘキサキス−(4−n−ノニルフェニル)トリフェニレン(PTP9)又は2,3,6,7,10,11−ヘキサキス(ウンデシルオキシ)トリフェニレン(HAT11)である。ディスコチックである、液晶材料が特に好ましい。
【0148】
ドナーとして適している他の半導体は、チオフェン化合物である。これらは、チオフェン、オリゴチオフェン及びそれらの置換された誘導体から選択される。適したオリゴチオフェンは、クアテルチオフェン、キンクチオフェン、セキシチオフェン、α,ω−ジ(C1〜C8)アルキルオリゴチオフェン、例えばα,ω−ジヘキシルクアテルチオフェン、α,ω−ジヘキシルキンクチオフェン、及びα,ω−ジヘキシルセキシチオフェン、ポリ(アルキルチオフェン)、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ビス(ジチエノチオフェン)、アントラジチオフェン、及びジアルキルアントラジチオフェン、例えばジヘキシルアントラジチオフェン、フェニレン−チオフェン(P−T)オリゴマー、及びこれらの誘導体であり、特にα,ω−アルキル置換されたフェニレン−チオフェンオリゴマーである。
【0149】
半導体として適している他のチオフェン化合物は、有利には、
α,α’−ビス(2,2−ジシアノビニル)キンクチオフェン(DCV5T)、
(3−(4−オクチルフェニル)−2,2’−ビチオフェン(PTOPT)、
ポリ−3−(4’−(1,4,7−トリオキサオクチル)−フェニル)チオフェン(PEOPT)、
(ポリ(3−(2’−メトキシ−5’−オクチルフェニル)チオフェン))(POMeOPT)、
ポリ(3−オクチルチオフェン)(P3OT)、
ポリ[2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1 b;3,4 b’]ジチオフェン)−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)(PCPCTBT)]、及び
ポリ(ピリドピラジンビニレン)−ポリチオフェンの混合物、例えばEHH−PpyPz、PTPTBコポリマー、BBL、F8BT、PFMO(Brabec C., Adv. Mater., 2996, 18, 2884を参照)
のような化合物から選択される。
【0150】
ドナーとして適している他の半導体は、パラフェニレンビニレン、及びパラフェニレンビニレン単位を含むオリゴマー又はポリマーである。これらは、有利には、ポリパラフェニレンビニレン、MEH−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン、MDMO−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン))、PPV、CN−PPV(種々のアルキルオキシ誘導体を有する)、及びフェニレンエチニレン/フェニレンビニレン混成ポリマー(PPE−PPV)から選択される。
【0151】
ドナーとして適している他の半導体は、ポリフルオレン及び代わりのポリフルオレンコポリマーである。これらは、有利には、
4,7−ジチエン−2’−イル−2,1,3−ベンゾチアジアゾール、
ポリ(9,9’−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、及び
ポリ(9,9’−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−ブチルフェニル)−ビス−N,N’−フェニルl−1,4−フェニレンジアミン(PFB)から選択される。
【0152】
ドナーに適している他の半導体は、ポリカルバゾール、すなわちカルバゾールを含有するオリゴマー及びポリマーである。
【0153】
ドナーに適している他の半導体は、ポリアニリン、すなわちアニリンを含有するオリゴマー及びポリマーである。
【0154】
ドナーに適している他の半導体は、トリアリールアミン、ポリトリアリールアミン、ポリシクロペンタジエン、ポリピロール、ポリフラン、ポリシロール、ポリホスホール、TPD、CBD、CBP、スピロ−MeOTADである。
【0155】
好ましい一実施態様において、本発明の太陽電池は、次の層を含む:
ITO
式(I)のインダントレン化合物
C60
BPhen(=4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)
Ag。
【0156】
本発明の太陽電池は、より有利には、タンデム型セルであり、その際1つのサブセルは、式(I)の少なくとも1つのインダントレン化合物及びC60を有する光活性領域を有する。
【0157】
前記半導体は、ドープされてよい。半導体の導電性は、ドーパントを使用する化学ドーピング技術によって増加しうる。有機半導体材料は、電子導電性材料のLUMOエネルギーレベルに近い、又はそれより高いHOMOエネルギーレベルを有するn−ドーパントでドープされてよい。有機半導体材料は、正孔導電性材料のHOMOエネルギーレベルに近い、又はそれより高いLUMOエネルギーレベルを有するp−ドーパントでドープされてよい。言い換えると、n−ドーピングの場合、電子がドナーとして作用するドーパントから放出される一方で、p−ドーピングの場合、アクセプターとして作用するドーパントが、電子を受け取る。
【0158】
本発明によって使用されるインダントレン化合物に、及び一般のp−半導体に適しているドーパントは、例えば、WO3、MoO3、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、3,6−ジフルオロ−2,5,7,7,8,8−ヘキサシアノキノジメタン、ジクロロジシアノキノン(DDQ)又はテトラシアノキノジメタン(TCNQ)から選択される。好ましいドーパントは、3,6−ジフルオロ−2,5,7,7,8,8−ヘキサシアノキノジメタンである。
【0159】
本発明によって使用されるp−半導体に適したドーパントは、例えば、Cs2CO3、LiF、ピロニンB(PyB)、ローダミン誘導体、コバルトセン等から選択される。好ましいドーパントは、ピロニンB及びローダミン誘導体、特にローダミンBである。
【0160】
ドーパントは、典型的には、ドープされるべき半導体の質量に対して、10mol%まで、有利には5mol%までの量で使用される。
【0161】
本発明を、以下の実施例を参考にして詳細に説明するが、それに制限されるものではない。
【0162】
実施例
I)製造例
実施例1:重水素化インダントレンブルー
【化11】

【0163】
3.0gのインダントレンブルーを、室温で、30mlのD2SO4中で20時間撹拌した。続いて、溶液を、100mlのD2Oに添加して、生成物を沈澱し、濾過し、そしてD2Oで中性まで洗浄した。2.98gの生成物を得た。これを、30mlのD2SO4中に再度溶解し、そして室温で20時間撹拌した。その後、50mlのD2Oを滴加し、得られた沈殿物を濾過し、そして残りを、D2Oで洗浄し、乾燥させた。2.9gの重水素化生成物を得た。
【0164】
太陽電池を製造するために、2.0gのこの材料を、3時間、375℃/325℃/250℃で、勾配昇華させた。
【0165】
実施例2:N,N’−ジフェニルインダントレン
【化12】

【0166】
20.0g(45.2mmol)のインダントレンブルー、28.5g(182mmol)のブロモベンゼン、19.25g(182mmol)の炭酸ナトリウム、0.2g(3.18mmol)のヨウ化銅(I)、及び0.34g(1.8mmol)の酢酸銅(I)を、50mlのニトロベンゼン中で18時間195℃まで加熱した。その反応混合物を冷却し、そしてシリカゲルで濾過した濾紙を介した吸入で濾過した。アセトンとジクロロメタンの混合物を使用して、生成物を溶出した。そして得られた生成物を、再度、シクロヘキサン/酢酸エチル(2:1)でクロマトグラフィーによって精製した。1.8g(7%)の青い固体を得た。
【0167】
この生成物630mgを、265℃/200℃/150℃で、勾配昇華させた。160mgの青い材料を得て、太陽電池を製造するために使用した。
【0168】
実施例3:N,N’−ジメチルインダントレン
【化13】

【0169】
1.4lのトリクロロベンゼン中での160g(856mmol)のメチル−p−トルエンスルホネート及び120g(872mmol)の炭酸カリウムの混合物に、40.0g(90.4mmol)のインダントレンブルーを添加し、そして、その混合物を加熱して、120時間還流した。その反応混合物を、120℃まで冷却し、この温度で濾過した。その溶剤を蒸留し、そして粗生成物を、シリカゲルを使用してトルエン/ジクロロメタン(10:1)で、そして純粋なジクロロメタンでクロマトグラフィーで精製した。4.96gの生成物を得て、勾配昇華させた。
【0170】
実施例4:4,4’−ジメトキシインダントロン
【化14】

【0171】
4.1 1−メトキシ−4−ニトロアントラキノン
60mlのジクロロベンゼン中で、10.77g(40mmol)の1−ヒドロキシ−4−ニトロアントラキノン、3.8g(27.5mmol)の炭酸カリウム、9.28g(50mmol)のメチルp−トルエンスルホネートの混合物を、178℃まで4時間加熱した。続いて、その反応混合物を冷却し、そして200mlの氷水上に置き、二相の混合物の残留物を濾過し、脱塩水で撹拌しながら抽出し、そして減圧下で乾燥した。10.5g(93%)のベージュの生成物を得て、次の工程においてさらに精製することなしに使用した。
【0172】
4.2 1−メトキシ−4−アミノアントラキノン
240mlの水中での7.5g(26mmol)の1−メトキシ−4−ニトロアントラキノン、19.96g(154mmol)の硫化ナトリウムの混合物を、30分間の還流下で加熱した。その反応混合物を冷却し、そして500mlの飽和塩化ナトリウム溶液を添加した。残留物を吸入で濾過し、そして希釈塩酸で洗浄した。6.5g(90%)の赤い固体を得て、次の工程においてさらに精製することなしに使用した。
【0173】
4.3 4,4’−ジメトキシインダントロン
4.0g(16mmol)の1−メトキシ−4−アミノアントラキノン、12.17g(107mmol)のN,N’−ジメチルプロピレンウレア及び3.5gの50%KOH溶液を、空気を導入しながら130℃まで加熱した。その混合物を、反応物が、もはや薄膜クロマトグラムで検出されなくなるまで、加熱した。その反応混合物を冷却し、水上に置き、そして残留物を濾過した。その生成物を、N−メチルピロリドンからの結晶化によって精製した。表題の化合物を、その固体状態のスペクトルに基づいて(図8を参照)、及びMALDI−MSによって認識した。
MALDI−MS:503.051[M+H]+, 489.045, 475.030。
【0174】
実施例5:5,5’−ジフェノキシインダントレン
【化15】

【0175】
5.1 1−フェノキシ−5−ニトロアントラキノン
200mlのN−メチルピロリドン中での10.0g(33.5mmol)の1,5−ジニトロアントラキノン、3.16g(33.5mmol)のフェノール、及び27.8g(201mmol)の炭酸カリウムの混合物を、40℃で2時間撹拌した。その反応混合物を5%硫酸上に置き、そして1時間撹拌し、沈澱したベージュの沈殿物を、吸入によって濾過し、水で洗浄して乾燥した。10.3g(89%)の粗生成物を得て、再結晶によって精製した。この目的ために、その粗生成物を、酢酸エチルで溶解し、残留物を濾過し、そしてその生成物を、石油エーテルを添加することによって溶液から沈澱させた。1.67g(15%)を得た。
【0176】
5.2 1−フェノキシ−5−アミノアントラキノン
反応を、実施例4.2において記載されているように実施した。表題の化合物を、収率91%で得た。
【0177】
5.3 4,4’−ジフェノキシインダントレン
表題の化合物を、実施例4.3において記載されているように合成した。表題の化合物を、エタノール及びクロロベンゼンからSoxhlet抽出によって精製し、そして硫酸から分別結晶化させた。表題の化合物を、その固体状態のスペクトルに基づいて(図9を参照)、及びMALDI−MSによって認識した。
MALDI−MS:826.236, 649. 137 [M+Na]-, 627.156 [M+H]+, 61 1.158, 550.143, 455.329及び441 .309。
【0178】
II)性能特性
勾配昇華によるインダントレンブルーの精製:
【化16】

【0179】
2.0gの材料を、勾配昇華によって精製した。この目的のために、不純物を、最初に250℃/225℃/200℃での昇華によって取り出した。昇華した不純物を取り出し、そして得られた材料を、さらに350℃/325℃/300℃で昇華させた。1.1gの生成物を得て、同様の温度勾配(350℃/325℃/300℃)で再度昇華した。916mgの生成物を得て、500mgを同様の温度勾配(350℃/325℃/300℃)で昇華させ、420mgの生成物を得た。この材料を使用して、太陽電池を製造した。
【0180】
図7は、インダントレン ブルーの蒸着膜の吸収スペクトルを示す。良好な電圧VOCを連想させる長い波長の吸収を観察した。
【0181】
基材:
ITOを、100nmの厚さでガラス基材上にスパッタした。比抵抗率は200μΩcmであり、平均粗度(RMS;二乗平均)は、5nm未満であった。他の層の堆積の前に、基材を、UV光下で20分間オゾンで処理した(UV−オゾン洗浄)。
【0182】
セルの製造:
二層セル(二層構造のセル)及びバルクヘテロ接合セル(BHJセル)を、高圧(圧力<10-6mbar)下で製造した。
【0183】
二層セル(ITO/インダントレン化合物/C60/Bphen/Ag):
二層セルを、ITO基材上へのインダントレン化合物及びC60の逐次堆積によって製造した。双方の層に関する堆積速度は、0.1nm/秒であった。インダントレン化合物の蒸発温度を、以下の表1において示す。
【0184】
【表1】

【0185】
60を、410℃で堆積させる。一度Bphen層(層の厚さ6nm)を適用し、100nmの厚さのAg層を、最終的に、トップ電極として蒸着によって適用した。そのセルは、面積0.031cm2を有した。
【0186】
BHJセル(ITO/(インダントロン化合物:C60 − 1:1(質量比))/C60/Bphen/Ag):
BHJセル(バルクヘテロ接合セル)を製造するために、インダントレン化合物及びC60を、共に蒸発し、そして同様の堆積速度0.1nm/秒でITOに適用し、その結果それらは、混合した活性層において質量比1:1であった。Bphen及びAg層を、二層セルに関して記載されたように蒸着によって適用した。その層の厚さは、Bphenに関して6nmであり、Agに関しては100nmであった。
【0187】
試験:
使用した太陽模擬装置は、キセノンランプ(モデル16S−150 V3)を備えたSolar Light Co. Inc.社製のAM 1.5 Simulatorであった。415nm未満のUV範囲を浸透させ、そして電流−電圧測定を、周囲条件下で実施した。太陽模擬装置の強度を、単結晶FZ太陽電池(Fraunhofer ISE)で検量し、そして偏差因子を、約1.0に決定した。
【0188】
結果:
【化17】

【表2】

【表3】

η 効率
FF 充填率
sc 短路電流
oc 開路電圧
【0189】
C60とインダントレン化合物A、B、C及びDとの組合せを有するセルは、高い開路電圧を有する。フラーレン化合物、例えばC60との組合せにおいて、インダントレン化合物は、特に、それらの長い波長を吸収するためのタンデム型セルにおける使用に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフラーレン化合物と接触する少なくとも1つのインダントレン化合物を含む、少なくとも1つの光活性領域を有する有機太陽電池であって、その際、インダントレン化合物が、一般式(I)
【化1】

[式中、
a及びRbは、それぞれ独立して、水素、重水素、非置換又は置換されたアルキル、非置換又は置換されたシクロアルキル、及び非置換又は置換されたアリールから選択され、
1〜R12基は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、Neab、及びそれぞれの場合において非置換又は置換されたアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、オリゴ(ヘテロ)アリール、オリゴ(ヘテロ)アリールオキシ及びオリゴ(ヘテロ)アルキルチオから選択され、その際Ea及びEbは、それぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールである]の化合物から選択される、有機太陽電池。
【請求項2】
タンデム型セルの構成セルの形での、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基が、それぞれ独立して、水素、重水素、C1〜C12−アルキル、C7〜C22−アラルキル、C4〜C7−シクロアルキル、C6〜C10−アリール及びC7〜C22−アルカリールから選択される、請求項1に記載の有機太陽電池。
【請求項4】
前記一般式(I)の化合物において、Ra及びRb基が、双方とも水素であるか、又は双方とも重水素であるか、又は双方ともC1〜C6−アルキルであるか、又は双方ともフェニルであるか、又は双方ともC1〜C12−アルキルフェニルであるか、又は双方ともナフチルである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項5】
前記一般式(I)の化合物において、R1〜R12基が、それぞれ独立して、水素、F、Cl、ヒドロキシル、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、C7〜C22−アラルキル、C7〜C22−アラルキルオキシ、C7〜C22−アラルキルチオ、C4〜C7−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C22−アルカリール、C7〜C22−アルカリールオキシ、C7〜C22−アルカリールチオ、アミノ、モノ(C1〜C12−アルキル)アミノ、ジ(C1〜C12−アルキル)アミノ、NH(C6〜C10−アリール)、N(C6〜C10−アリール)2、ヘテロアリール及びオリゴヘテロアリールから選択され、その際、ヘテロアリール、及びオリゴヘテロアリールのヘテロアリール基が、それぞれ独立して、非置換であるか、又はC1〜C12−アルキル及びC1〜C12−アルコキシから選択された1、2、3又は4個の基によって置換されてよい、請求項1から4までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項6】
前記一般式(I)の化合物において、R1〜R12基が、それぞれ独立して、水素、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、フェニル、ナフチル、フェニルオキシ、ナフチルオキシ及びオリゴチオフェニルから選択され、その際、フェニル、ナフチル、フェニルオキシ、ナフチルオキシ及びオリゴチオフェニルが、非置換であるか、又はC1〜C12−アルキル及びC1〜C12−アルコキシから選択された1又は2個の置換基を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項7】
前記一般式(I)の化合物において、R1〜R12基の0、1、2、3又は4個が、水素以外の定義を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項8】
前記インダントレン化合物が、一般式(I.1)
【化2】

[式中、
a及びRbは、それぞれ独立して、水素、重水素、C1〜C6−アルキル、フェニル及びナフチルから選択され、
1及びR9は、それぞれ独立して、フェニル、フェニルオキシ、フェニルチオ、ナフチル、ナフチルオキシ、ナフチルチオ、(C1〜C12−アルキル)フェニル、(C1〜C12−アルキル)フェニルオキシ、(C1〜C12−アルキル)フェニルチオ、(C1〜C12−アルキル)ナフチル、(C1〜C12−アルキル)ナフチルオキシ及び(C1〜C12−アルキル)ナフチルチオから選択され、
5及びR8は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル及びC1〜C12−アルコキシから選択される]の化合物から選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項9】
前記光活性領域が、フラーレン化合物として、少なくとも1つのフラーレン及び/又はフラーレン誘導体を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項10】
前記光活性領域が、フラーレン化合物として、C60又は[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステルを有する、請求項8に記載の有機太陽電池。
【請求項11】
少なくとも1つの光活性ドナー−アクセプター遷移が、バルクヘテロ接合の形で存在する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の有機太陽電池。
【請求項12】
有機光起電力装置における電子ドナーとしての、請求項1から7までのいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
有機太陽電池における光活性材料としての、請求項1から7までのいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の一般式(I)の少なくとも1つの化合物及び少なくとも1つのフラーレン化合物を含む少なくとも1つの光活性領域を有する有機太陽電池における、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
使用されるフラーレン化合物が、C60又は[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステルである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
タンデム型セルにおける、請求項12から15までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】

【化3】

の化合物。
【請求項18】
式I、
【化4】

[式中、
1及びR9は、双方ともフェノキシであり、かつRa、Rb、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11及びR12基は全て水素であり、又は
5及びR8は、双方ともメトキシであり、かつRa、Rb、R1、R2、R3、R4、R6、R7、R9、R10、R11及びR12基は、全て水素である]の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−520791(P2013−520791A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553437(P2012−553437)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050677
【国際公開番号】WO2011/101810
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】