説明

有機化合物およびシリカナノ粒子からなる組成物。

【課題】蛍光量子効率が高い有機薄膜を与えることができる組成物を提供する
【解決手段】下記式(1)で示される繰り返し単位を1種以上有する有機化合物(A)とシリカナノ粒子とを含有する組成物。



(式中、Ar1はアリーレン基又は2価の複素環基を表す。R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。nは0又は1を表す。)
上記組成物から得られる有機薄膜。
陽極と
陰極と
正孔と電子の再結合で発光する発光層とを含有し、
該陽極および該陰極の少なくとも一方が透明または半透明であり、
該発光層が該陽極および該陰極の間に設けられた
有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
該発光層が上記有機薄膜からなる有機エレクトロルミネッセンス素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物およびシリカナノ粒子からなる組成物、該組成物を用いた有機薄膜、該有機薄膜を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ということがある。)、および該素子を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、次世代のディスプレイの部材として注目されている。
そして、発光層として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(特許文献1)、ポリフルオレン(非特許文献1)、ポリパラフェニレン誘導体(特許文献2)等の高分子量の発光材料を用いた有機薄膜を有する有機EL素子が知られている。
【特許文献1】国際公報90/13148号パンフレット
【特許文献2】特表平10−508979号公報
【非特許文献1】ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)第30巻、L1941頁(1991年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、有機薄膜を有機EL素子の発光層として用いる場合、その有機薄膜は、蛍光量子効率が大きいことが好ましい。
しかしながら上記公知の有機薄膜は、未だその蛍光量子効率が十分でなかった。本発明の目的は、蛍光量子効率が高い有機薄膜を与えることができる組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち本発明は第一に、下記式(1)で示される繰り返し単位を1種以上有する有機化合物(A)とシリカナノ粒子とを含有する組成物を提供する。


(式中、Ar1はアリーレン基又は2価の複素環基を表す。R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。nは0又は1を表す。)
【0005】
本発明は第二に、前記組成物から得られる有機薄膜を提供する。
【0006】
本発明は第三に、
陽極と
陰極と
正孔と電子の再結合で発光する発光層とを含有し、
該陽極および該陰極の少なくとも一方が透明または半透明であり、
該発光層が該陽極および該陰極の間に設けられた
有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
該発光層が前記有機薄膜からなる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0007】
本発明は第四に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を含む面状光源を提供する。
本発明は第五に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を含むセグメント表示装置を提供する。
本発明は第六に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を含むドットマトリックス表示装置を提供する。
本発明は第七に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子からなるバックライトを含む液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物は、蛍光量子効率が高い有機薄膜を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[有機化合物(A)]
本発明の組成物は前記式(1)で示される繰り返し単位を1種以上有する有機化合物(A)を含有する。
有機化合物(A)の中では、前記式(1)で示される繰り返し単位を1種以上有する重合体が好ましい。重合体には、オリゴマーも含まれる。
この重合体は、前記式(1)で示される繰り返し単位1種からなる単独重合体であってもよいし、前記式(1)で示される繰り返し単位を2種以上含む共重合体であってもよく、前記式(1)で示される繰り返し単位を1種以上と、それ以外の繰り返し単位とを有する共重合体であってもよい。共重合体の例としては、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、それらの中間的な構造を有する重合体、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体等があげられる。
【0010】
式(1)中、Ar1はアリーレン基又は2価の複素環基を表す。R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。nは0又は1を表す。
ここに、アリーレン基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは6〜20であり、置換基を有していてもよい。
置換基の種類は特には限定されないが、溶解性、蛍光特性、合成の行いやすさ、素子にした場合の特性等の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基またはニトロ基が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下図の式1〜3)、ナフタレンジイル基(下図の式4〜13)、アントラセニレン基(下図の式14〜19)、ビフェニレン基(下図の式20〜25)、トリフェニレン基(下図の式26〜28)、縮合環化合物基(下図の式29〜38)等が例示される。
なおアリーレン基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0011】


【0012】

【0013】

【0014】

【0015】


【0016】
上記式(1〜38)中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
【0017】
また、2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、該基は置換基を有していてもよい。
ここに複素環化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。2価の複素環基の中では、芳香族複素環基が好ましい。
置換基の種類は特には限定されないが、溶解性、蛍光特性、合成の行いやすさ、素子にした場合の特性等の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基またはニトロ基が好ましい。
【0018】
2価の複素環基は、炭素数が通常3〜60程度であり、その具体例としては、以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基:ピリジンージイル基(下式101〜106)、ジアザフェニレン基(下式107〜110)、キノリンジイル基(下式111〜125)、キノキサリンジイル基(下式126〜130)、アクリジンジイル基(下式131〜134)、ビピリジルジイル基(下式135〜137)、フェナントロリンジイル基(下式138〜140)、トリアジンージイル基。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレン、ホウ素、リンなどを含む5員環複素環基(下式141〜145)。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、セレンなどを含む5員環縮合複素基(下式146〜157)。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基(下式158〜159)。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下式160〜166)。
ヘテロ原子として酸素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基(下式167〜172)。
【0019】


【0020】


【0021】



【0022】


【0023】


【0024】


【0025】


【0026】



【0027】



【0028】

【0029】


【0030】


【0031】
上記式(101〜172)中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
【0032】
ここで、アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。アルキル基は、炭素数が通常1〜20程度であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、 i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが例示される。
アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。アルキル基は、炭素数が通常1〜20程度であり、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが例示される。
【0033】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは炭素数3〜20であり、その具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、 i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、 i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0034】
アリール基は、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリール基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
1〜C12アルコキシフェニル基として具体的には、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、i−プロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、i−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基などが例示される。
1〜C12アルキルフェニル基として具体的にはメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
【0035】
アリールオキシ基は、炭素数が通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルフェノキシ基として具体的にはメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。
【0036】
アリールチオ基は、炭素数が通常3〜60程度であり、その具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0037】
アリールアルキル基は、炭素数が通常7〜60程度であり、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0038】
アリールアルコキシ基は、炭素数が通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48であり、その具体例としては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基などのフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0039】
アリールアルキルチオ基は、炭素数が通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48であり、その具体的としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0040】
アリールアルケニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体的としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0041】
アリールアルキニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体的としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0042】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常2〜30程度、好ましくは2〜15程度である。なお、複素環基上に置換基を有していてもよいが、炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。具体的には、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0043】
置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基から選ばれる1または2個の基で置換されたアミノ基があげられ、該アルキル基、アリール基またはアリールアルキル基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は該置換基の炭素数を含めないで通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48である。
具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基などが例示される。
【0044】
置換シリル基としては、アルキル基、アリール基または、アリールアルキル基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリル基があげられる。置換シリル基の炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピリシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。
【0045】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が例示される。
【0046】
アシル基は、炭素数が通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
【0047】
アシルオキシ基は、炭素数が通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
【0048】
アミド基は、炭素数が通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基、などが例示される。
【0049】
酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられ、炭素数が4〜20程度であり、具体的には以下に示す基などが例示される。

【0050】
置換カルボキシル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基で置換されたカルボキシル基があげられ、炭素数が通常2〜30程度、好ましくは炭素数2〜15程度であり、その具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、などが挙げられる。なお該アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基は置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。
【0051】
式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。
1及びR2におけるアルキル基、アリール基、1価の複素環基の定義、具体例等は、上記Ar1の説明におけるそれらの定義、具体例等と同様である。
【0052】
上記式(1)で表される繰返し単位の中では、nが0である場合が好ましく、Ar1がアリーレン基の場合、より好ましい。
【0053】
上記式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(3)で表される構造であることが蛍光量子効率の観点から好ましい。



(式中、C1環及びC2環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、2つの結合手はそれぞれC1環及び/又はC2環上に存在し、RwおよびRxはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基又は置換カルボキシル基を表す。)
【0054】
芳香族炭化水素環は炭素数が通常6〜30程度、好ましくは6〜15程度であり、ベンゼン環又は縮合した芳香族炭化水素環を表す。なお、芳香族炭化水素環の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。具体的にはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フェナレン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ビフェニレン環、フルオレン環、アセナフチレン環などが例示される。
【0055】
RwおよびRxにおけるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、置換カルボキシル基の定義、具体例等は、上記Ar1の説明におけるそれらの定義、具体例等と同様である。
【0056】
上記式(3)で表される繰返し単位としては、具体的には下記のもの及び下記のものにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、置換カルボキシル基等から選ばれる置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素における結合手は任意の位置をとり得ることを表す。


【0057】
中でも、4−0、4−1、4−2及び4−3で表される繰返し単位が好ましく、4−0がより好ましく、式(4)で表される繰返し単位がさらに好ましい。
【0058】



(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜26のフェニルアルキル基、炭素原子数7〜26のフェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数7〜26のアルキル基置換フェニル基、炭素原子数7〜26のアルコキシ基置換フェニル基、炭素原子数2〜21のアルキルカルボニル基、又は炭素原子数2〜21のアルコキシカルボニル基を表す。高蛍光量子効率の観点から炭素原子数1〜20のアルキル基であることが好ましい。
【0059】
上記式(4)で表される繰り返し単位の具体例としては、


が挙げられる。
【0060】
蛍光量子効率が高いという点から、前記有機化合物(A)が、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を該有機化合物(A)中の全繰り返し単位に対して50モル%以上100モル%以下含有することが好ましく、より好ましくは70モル%以上100モル%以下含有することが成膜性の観点から好適である。
【0061】
上記式(1)で表される繰り返し単位の含有量が有機化合物(A)中の全繰り返し単位に対して100モル%未満である場合、上記一般式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、2価の複素環基からなる繰り返し単位、下式(5)で示される繰り返し単位等が挙げられる。
【0062】
ここに、2価の複素環基の定義、具体例は、上記Ar1の説明におけるこれの定義、具体例と同様である。
【0063】



(式中、Ar3、Ar4、Ar5及びAr6は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar7、Ar8、及びAr9は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。o及びpは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
Ar3、Ar4、Ar5及びAr6におけるアリーレン基又は2価の複素環基、Ar7、Ar8、及びAr9におけるアリール基又は1価の複素環基の定義、具体例等は、上記Ar1の説明におけるそれらの定義、具体例等と同様である。
【0064】
前記式(5)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0065】


【0066】
前記式(5)で表される繰り返し単位の具体例として上記した構造式中、芳香環上の水素原子は独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜26のフェニルアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜26のフェニルアルキル基、炭素原子数7〜26のフェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数7〜26のアルキル基置換フェニル基、炭素原子数7〜26のアルコキシ基置換フェニル基、炭素原子数2〜21のアルキルカルボニル基、ホルミル基、炭素原子数2〜21のアルコキシカルボニル基、又はカルボキシル基で置換されていてもよい。これらの基は、具体的には、前記式(101〜172)中、Rで表される基として具体的に説明し例示したものと同様である。また、芳香環の隣接位に2つの置換基が存在する場合、それらが互いに結合して環を形成していてもよい。
【0067】
本発明に用いる有機化合物(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は通常1×104〜1×108であり、好ましくは、2×104〜1×107であり、より好ましくは5×104〜6×106である。該重量平均分子量がこの範囲内にあると、該有機化合物は、溶媒への溶解性が良くなる傾向にあり、薄膜にしたときの成膜性がよくなる傾向にある。
【0068】
本発明において、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求める。また、GPC測定の際には、(株)東ソー製のTSKgel SuperHM-H(商品名)2本と(株)東ソー製のTSKgel SuperH2000(商品名)(4.6mm I.d.×15cm)1本とをカラムとして用い、ポリマー溶出時間の検出には、示差屈折率計(島津製作所製、商品名:SHIMADZU RID-10A)を用い、移動相にはテトラヒドロフラン(THF)を用いる。
【0069】
[有機化合物(A)の合成方法]
有機化合物(A)の合成方法としては、特に限定されないが、例えば、所望の有機化合物(A)に応じたモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、適切な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法等が挙げられる。これらのうち、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が、反応制御が容易である点で好ましい。
【0070】
前記反応においては、反応促進のために、適宜、アルカリ、適切な触媒を添加することができる。これらアルカリ、適切な触媒は、反応の種類に応じて選択すればよいが、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。アルカリとしては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の有機塩基;フッ化セシウム等の無機塩が挙げられる。触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート類が挙げられる。
【0071】
前記有機化合物(A)を有機EL素子用の材料として用いる場合、その純度が素子特性に影響を与えるので、反応前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製した後に重合(反応)させることが好ましく、また、有機化合物の合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0072】
前記反応に用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;メタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類;塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸等が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0073】
反応後は、例えば、水でクエンチした後に有機溶媒で抽出し、該有機溶媒を留去する等の通常の後処理で、粗製の有機化合物を得ることができる。また、上記のとおり、有機化合物の単離及び精製はクロマトグラフィーによる分取、再結晶等の方法により行うことができる。
【0074】
前記有機化合物(A)の合成方法の具体例としては、下記式(6)で表される化合物を単独で、または、下記式(6)で表される化合物と下記式(7)で表される化合物とを、上記の方法により重合させる方法が挙げられる。
【0075】






(式中、Ar1、R1、およびR1は前記と同じ意味を表し、X1〜X4はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホ基、アリールスルホ基、アリールアルキルスルホ基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(−B(OH)2)、ホルミル基、又はビニル基を表す。)
【0076】
前記式(6)または(7)で表される化合物の合成上の観点及び反応のし易さの観点から、X1〜X4は独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホ基、アリールスルホ基、アリールアルキルスルホ基、ホウ酸エステル残基、又はホウ酸残基であることが好ましい。
【0077】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が例示される。
【0078】
アルキルスルホ基としては、メタンスルホ基、エタンスルホ基、トリフルオロメタンスルホ基などが例示される。アリールスルホ基としては、ベンゼンスルホ基、p−トルエンスルホ基などが例示される。アリールアルキルスルホ基としては、ベンジルスルホ基などが例示される。
【0079】
ホウ酸エステル残基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
【0080】


(式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示す。)
【0081】
スルホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CH2+Me2-、−CH2+Ph2-
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示す。)
【0082】
ホスホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CH2+Ph3-
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Phはフェニル基を示す。)
【0083】
ホスホネートメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CH2PO(OR’)2-
(式中、R’はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基を示す。)
【0084】
モノハロゲン化メチル基としては、フッ化メチル基、塩化メチル基、臭化メチル基またはヨウ化メチル基が例示される。
【0085】
[シリカナノ粒子]
本発明の組成物は、上記式(1)で示される繰り返し単位を有する有機化合物(A)に加え、シリカナノ粒子を含有する。
【0086】
本発明で使用可能なシリカナノ粒子としては、ナノオーダーの粒子径であれば特に制限されない。種々の粒子径、粒子分布、形状を有するシリカナノ粒子の製造方法が知られており、市販もされている。かかるシリカナノ粒子材料は、固形物(粉末状)や適当な溶媒分散物として入手可能であるが、本発明においては有機化合物(A)との混合分散性を良好に保つためには、有機溶媒に分散させたシリカナノ粒子を使用することが好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、酢酸エチル、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、DMFなどが挙げられる。
【0087】
本発明で使用可能なシリカナノ粒子は公知の方法により製造することができる。例えば水ガラスの酸中和方法や、アルコキシシランを用いたゾルゲル法により得られる(特開2004-091220)。
【0088】
本発明のシリカナノ粒子は、該粒子表面が下記式(2)で表される基により化学修飾されていることが、有機溶媒への分散性の観点から好ましい。



(式中、Ar2は、アリール基又は1価の複素環基を表す。)
【0089】
シリカナノ粒子、式(2)で表される基を有する表面改質剤で表面改質することにより、粒子表面が式(2)で表される基により化学修飾されたシリカナノ粒子を得ることができる。
表面改質剤としては、式(2)で表される基とシリカナノ粒子表面上のシラノール基に対して反応可能な官能基とを持つシランカップリング剤を例示することができる。シラノール基に対して反応可能な官能基としては、ハロゲン、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、アルコキシル基等を例示することができる。
【0090】
有機化合物(A)から高効率な発光を得るためには、Ar2が、フェニル基であることが好ましい。
【0091】
本発明においては、特に断りのない限り、平均粒径とは数平均径をいう。ナノ粒子(一次粒子)の平均粒径はナノメートルサイズである。
平均粒径は通常1〜100nm程度であり、1〜40nmであることが好ましい。なお本発明の粒子は結晶質粒子でも非晶質粒子でもよく、またはこれらの混合物でもよい。
【0092】
有機粒子の平均粒径は、顕微鏡法により測定することができる。
【0093】
〔組成物〕
本発明の組成物中のシリカナノ粒子の量は、有機化合物(A)を100重量部としたときに、通常1〜100重量部の範囲であり、10〜90重量部であることが好ましく、20〜90重量部であることがより好ましく、30〜50重量部であることがより好ましい。本発明の組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒の量は、シリカナノ粒子と有機化合物との合計を100重量部としたとき、通常1〜10000重量部の範囲である。
【0094】
[有機薄膜およびその製造方法]
本発明の有機薄膜の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、発光効率が最適な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、逆に、あまり厚いと、エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧が高くなる傾向がある。従って、該層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0095】
本発明の有機薄膜の分散液からの成膜に用いる有機溶媒としては、有機化合物を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、n−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、デカリン等の飽和単価水素系溶液、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。高分子の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの有機溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0096】
分散液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0097】
本発明の有機薄膜は、上記有機化合物(A)と上記シリカナノ粒子を含み、通常、発光性を有する。
本発明の有機薄膜は、発光効率が高いことが好ましい。すなわち、該有機薄膜は、PL量子効率が50〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがさらに好ましい。
【0098】
[有機エレクトロルミネッセンス素子]
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、
陽極と
陰極と
正孔と電子の再結合で発光する発光層とを含有し、
該陽極および該陰極の少なくとも一方が透明または半透明であり、
該発光層が該陽極および該陰極の間に設けられた
有機エレクトロルミネッセンス素子であて、
該発光層が前記有機薄膜からなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0099】
正孔注入する電極(陽極と呼ぶ)と電子注入する電極(陰極と呼ぶ)との間の有機層としては、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層から適宜選定して積層することが例示される。以下に代表的な素子構造を例示するが、これに限定されるものではなく、他の有機層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子注入層、正孔注入層などをそれぞれ効果的な積層構造の位置に挿入することができる。
陽極/発光層/陰極
陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
陽極/発光層/電子輸送層/陰極
陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
陽極/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/陰極
ここで、/は積層したことを示す。さらに、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、正孔ブロック層は一層でもよいし、同じ機能を有する層を2層以上積層してもよい。
【0100】
本発明の有機層に用いることのできる材料として、低分子型有機EL素子や高分子型有機EL素子に用いられる電荷輸送材料が例示される。発光色としては、赤、青、緑の3原色の発光以外に、中間色や白色の発光が例示される。フルカラー素子には、3原色の発光色が、平面光源では白色や中間色の発光を示す材料が好適に使用される。
【0101】
これらの各層の厚みとしては、発光効率や駆動電圧が望みの値になるように、適宜選択されるが、5nmから200nmが一般的である。正孔輸送層としては、10〜100nmが例示され、好ましくは20〜80nmである。正孔ブロック層では、5〜50nmが例示され、10nmから30nmが好ましい。電子注入層としては、10〜100nmが例示され、20〜80nmが好ましい。
これらの層の製膜方法としては、真空蒸着、クラスター蒸着、分子線蒸着などの真空プロセス以外に、溶解性やエマルジョンを形成できるものは、後述のコーティング法や印刷法にて製膜する方法が例示される。
【0102】
高分子型有機EL素子用の材料では、「高分子EL材料」(大西敏博、小山珠美 共著 共立出版 2004年刊 初版版第1刷発行)33ページから58ページに記載の材料が例示され、電荷注入層や電荷輸送層と積層した構造で有機エレクトロルミネッセンス素子が構築することができる。より具体的には、有機化合物の正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光材料としては、WO99/13692号公開明細書、WO99/48160公開明細書、GB2340304A、WO00/53656公開明細書、WO01/19834公開明細書、WO00/55927公開明細書、GB2348316、WO00/46321公開明細書、WO00/06665公開明細書、WO99/54943公開明細書、WO99/54385公開明細書、US5777070、WO98/06773公開明細書、WO97/05184公開明細書、WO00/35987公開明細書、WO00/53655公開明細書、WO01/34722公開明細書、WO99/24526公開明細書、WO00/22027公開明細書、WO00/22026公開明細書、WO98/27136公開明細書、US573636、WO98/21262公開明細書、US5741921、WO97/09394公開明細書、WO96/29356公開明細書、WO96/10617公開明細書、EP0707020、WO95/07955公開明細書、特開2001−181618号公報、特開2001−123156号公報、特開2001−3045号公報、特開2000−351967号公報、特開2000−303066号公報、特開2000−299189号公報、特開2000−252065号公報、特開2000−136379号公報、特開2000−104057号公報、特開2000−80167号公報、特開平10−324870号公報、特開平10−114891号公報、特開平9−111233号公報、特開平9−45478号公報等に開示されているポリフルオレン、その誘導体および共重合体、ポリアリーレン、その誘導体および共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体および共重合体、芳香族アミンおよびその誘導体の(共)重合体が例示される。発光材料や電荷輸送材料には上述の低分子型有機EL素子用の発光材料や電荷輸送材料を混合して用いてもよい。
【0103】
前記の有機化合物である発光材料や電荷輸送材料には、低分子型有機EL素子用の発光材料や電荷輸送材料を混合して用いてもよい。低分子型有機EL素子用の材料としては、例えば、正孔輸送性材料としてピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が挙げられる。電子輸送性材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属等が挙げられる。特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されている正孔輸送性材料や電子輸送材料等が好適に利用できる。蛍光材料としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体、8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体等を挙げることができる。より具体的には、例えば、特開昭57-51781号公報、特開昭59-194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0104】
これらの低分子化合物や有機化合物である発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料はそれぞれ併用することができる。
【0105】
陰極に接して10nm以下の絶縁層を設けてもよい。絶縁層の材料としては、金属フッ化物や金属酸化物、または有機絶縁材料等が挙げられ、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属等の金属フッ化物や金属酸化物が好ましい。
絶縁層に用いる無機化合物の成膜方法には真空蒸着法が例示される。
【0106】
本発明の有機EL素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極や該素子の各層を形成する際に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、該基板により近い電極に対して反対側の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明または半透明であることが好ましい。
【0107】
次に本発明の有機EL素子が有する陽極および陰極について説明する。
本発明の有機EL素子においては、陽極又は陰極の少なくともいずれか一方が透明又は半透明であれば、発光を透過するため、発光の取出し効率がよく好都合である。
【0108】
本発明において、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物、半透明の金属等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラス(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0109】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0110】
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
【0111】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、陰極は、通常、透明又は半透明である。このような陰極の材料としては、仕事関数の小さいものが好ましく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物等が用いられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。なお、陰極は、一層であっても二層以上であってもよい。また、前記陰極の材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0112】
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜調整することができるが、例えば、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0113】
陰極の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等の方法が用いられる。また、陰極と第2の有機層との間に、導電性高分子からなる層、金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層(通常、平均膜厚2nm以下の層である)を設けてもよい。
【0114】
陰極作製後、該有機EL素子を保護する保護層を装着していてもよい。該有機EL素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
【0115】
該保護層としては、有機化合物、金属酸化物、金属窒化物、金属窒酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子が破損するのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム、酸化カルシウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子の性能を低下させるのを制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0116】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。
【0117】
本発明の組成物を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる重合体を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動でも、アモルファスシリコンや低温ポリシリコンを用いた薄膜トランジスタなどと組み合わせたアクティブ駆動でもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0118】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0119】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0120】
[実施例1〜9](有機薄膜の作製)
ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(F8と略す)は、WO00/53656記載の方法で合成した。得られたF8の重量平均分子量は120000であった。
シリカナノ粒子の分散液としては、扶桑化学工業株式会社製のQuartron PL−1−tol(フェニル基修飾)を用いた。この分散液は、ゾルゲル法で合成した超高純度コロイダルシリカを原料に、その粒子表面をフェニル基で化学修飾して得られたシリカナノ粒子(一次粒子径約12nm:フェニル基修飾)をトルエンに安定分散させたものである。
トルエンに溶解したF8と、該シリカナノ粒子のトルエン分散液(Quartron PL−1−tol)を混合し、該シリカナノ粒子のF8に対する割合を10、20、30、40、50、60、70、80および90wt%となるように調整した。該混合液は、成膜後に膜厚が約100nmとなるようにトルエン溶媒によりさらに濃度を調整した後に、該溶液を石英ガラス上にスピンコートした。その後これを大気中にて乾燥することで、有機薄膜を得た。
【0121】
<有機薄膜の評価>
上記で得られた有機薄膜にHe−Cdレーザーを照射することにより、430―440nmにピークを有する青色蛍光が観測された。蛍光スペクトルより、F8からの発光であることが確認できた。
有機薄膜の蛍光量子効率を測定したところ、下記に示す蛍光量子効率となった。

【表1】

【0122】
<比較例1>
シリカナノ粒子と混合しなかった以外は実施例1と同様にしてF8を含有する有機薄膜を作製した。得られた有機薄膜の蛍光量子効率の測定を行ったところ、37%であった。
【0123】
実施例1〜9と比較例1から、F8およびシリカナノ粒子とを含有する組成物を用いて作製した有機薄膜からの、高い蛍光量子効率が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される繰り返し単位を1種以上有する有機化合物(A)とシリカナノ粒子とを含有する組成物。


(式中、Ar1はアリーレン基又は2価の複素環基を表す。R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。nは0又は1を表す。)
【請求項2】
シリカナノ粒子が、下記式(2)で表される基を有する表面改質剤により表面改質されているシリカナノ粒子である請求項1に記載の組成物。



(式中、Ar2は、アリール基又は1価の複素環基を表す。)
【請求項3】
式(1)で示される繰り返し単位が、下記式(3)で示される繰り返し単位である請求項1又は2に記載の組成物。


(式中、C1環及びC2環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、2つの結合手はそれぞれC1環及び/又はC2環上に存在し、RwおよびRxはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基又は置換カルボキシル基を表す。)
【請求項4】
式(3)で示される繰り返し単位が下記式(4)で表される繰り返し単位である請求項3に記載の組成物。

(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜26のフェニルアルキル基、炭素原子数7〜26のフェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数7〜26のアルキル基置換フェニル基、炭素原子数7〜26のアルコキシ基置換フェニル基、炭素原子数2〜21のアルキルカルボニル基、又は炭素原子数2〜21のアルコキシカルボニル基を表す。)
【請求項5】
シリカナノ粒子の量が、有機化合物(A)を100重量部としたときに、1〜100重量部である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物から得られる有機薄膜。
【請求項7】
陽極と
陰極と
正孔と電子の再結合で発光する発光層とを含有し、
該陽極および該陰極の少なくとも一方が透明または半透明であり、
該発光層が該陽極および該陰極の間に設けられた
有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
該発光層が請求項6に記載の有機薄膜からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とする面状光源。
【請求項9】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とするセグメント表示装置。
【請求項10】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
【請求項11】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子からなるバックライトを含むことを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2009−120779(P2009−120779A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298958(P2007−298958)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】