説明

有機塩素化合物の分解処理方法および装置

【課題】クロロ酢酸類などの分解副生成物を分解することができ、分解で生成した塩素を有効に利用することができ、酸性廃液の発生を抑制できる、効率的な有機塩素化合物の分解処理方法および装置を提供することである。
【解決手段】塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物の分解処理方法であって、気体状の有機塩素化合物と塩素ガスを含む混合ガスをつくる混合ガス製造工程;混合ガスに光を照射して前記有機塩素化合物を分解する有機塩素化合物分解工程;有機塩素化合物分解工程から得られるガスから、有機塩素化合物分解工程で生じた分解副生成物を分離する分離工程;分離工程で分離された分解副生成物を電気分解により分解する電気分解工程;電気分解工程で発生した塩素ガスを、該混合ガス製造工程に供給する工程を有する有機塩素化合物の分解処理方法。このための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素化エチレンなどの、気体状の有機塩素化合物を分解する分解処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに気体状の有機塩素化合物、例えばトリクロロエチレン等の塩素化エチレンや塩素化メタン等を、塩素ガスと混合し光照射することで分解させる方法が例えば特許文献1に紹介されてきた。
【0003】
このような方法では、分解によってクロロ酢酸類などの分解副生成物が生じる。クロロ酢酸類は強い酸性を呈し水に吸収されやすく溶解度も高いため、簡単に気体から除去されて液中で高濃度に濃縮される。
【0004】
一方、溶液中の溶質の分解処理方法として、導電性ダイヤモンド電極を使用する電気分解法方法がある。例えば、特許文献2には、電導性結晶性ドーピング化ダイヤモンドを含む陽極を用いて溶液溶質を電気分解する方法が開示されている。
【0005】
また、非特許文献1には、ホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極の電位窓が極めて広く、強い腐食性の水溶液中においても安定に動作することが報告されている。
【特許文献1】特開2001−137697号公報
【特許文献2】特開平7−299467号公報
【非特許文献1】藤嶋ら、「Electrochemistry」,Vol,67(1999)389
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トリクロロエチレン等の有機塩素化合物を、塩素ガスと混合し光照射することで分解させる方法では、分解によってクロロ酢酸類などの分解副生成物が生じる。このクロロ酢酸類は、最近、上水道で基準が制定され、人の健康への影響といった点で話題になりつつある。また、有機塩素化合物の分解では、塩酸が生成し酸性の廃液が発生する。
【0007】
本発明の目的は、クロロ酢酸類などの分解副生成物を分解することができ、分解で生成した塩素を有効に利用することができ、酸性廃液の発生を抑制できる、効率的な有機塩素化合物の分解処理方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により、塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物の分解処理方法であって、
該気体状の有機塩素化合物と塩素ガスを含む混合ガスをつくる混合ガス製造工程;
該混合ガスに光を照射して前記有機塩素化合物を分解する有機塩素化合物分解工程;
該有機塩素化合物分解工程から得られるガスから、該有機塩素化合物分解工程で生じた分解副生成物を分離する分離工程;
該分離工程で分離された分解副生成物を電気分解により分解する電気分解工程;および
該電気分解工程で発生した塩素ガスを、該混合ガス製造工程に供給する工程
を有する有機塩素化合物の分解処理方法が提供される。
【0009】
前記塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物が、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1つであることができる。
【0010】
前記分解副生成物がクロロ酢酸類であることができる。
【0011】
前記電気分解工程において、導電性ダイヤモンド電極を陽極に用いることが好ましい。
【0012】
前記電気分解工程において、塩酸を含んだ酸性の電解質液を用いることができる。
【0013】
前記分離工程において、前記有機塩素化合物分解工程から得られるガスを吸収液に接触させ、前記分解副生成物を吸収した吸収液と、吸収液に吸収されなかったガスとを得ることができる。
【0014】
前記吸収液に吸収されなかったガスの一部を、前記混合ガス製造工程に供給する工程を有することができる。
【0015】
本発明により、塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物の分解処理装置であって、
該気体状の有機塩素化合物と塩素ガスを含む混合ガスをつくる混合ガス製造手段;
該混合ガスに光を照射して前記有機塩素化合物を分解する有機塩素化合物分解手段;
該有機塩素化合物分解手段から得られるガスから、該有機塩素化合物分解手段で生じた分解副生成物を分離する分離手段;
該分離手段で分離された分解副生成物を電気分解により分解する電気分解手段;および
該電気分解手段で発生した塩素ガスを、該混合ガス製造手段に供給する移送手段
を有する有機塩素化合物の分解処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物を分解でき、クロロ酢酸類などの分解副生成物も分解できる、新たな分解副生成物のない有機塩素化合物の分解処理方法が示された。さらに、分解副生成物の分解で生成する塩素を、有機塩素化合物の分解の中に取り込み再利用することによって、酸性廃液の発生を抑制でき、薬品使用量を抑えた効率的な有機塩素化合物の分解処理方法および装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物としては、例えば、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレンなどの塩素化エチレンが挙げられる。
【0018】
以下図面を用いて本発明の形態について説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0019】
図1は本発明の有機塩素化合物の分解処理方法の一形態を説明するためのプロセスフロー図である。
【0020】
図1において、塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物は、導入手段1によって導入され、合流点2において電気分解手段12からの塩素ガスと混合された後、有機塩素化合物分解手段3に導かれる。実際には前記気体状の有機塩素化合物を含むガスを被処理ガスとし、この被処理ガスを合流点2に導けばよい。また、塩素ガスについても、塩素ガスを含有するガス(塩素含有ガス)を合流点2に導けばよい。
【0021】
このような被処理ガスは、有機塩素化合物を使用する工場や塗装工程等からの排気ガスであってもよいし、有機塩素化合物を含む排水や地下水等を曝気処理したときに発生する排気であってもよく、固体あるいは液体の有機塩素化合物含有廃棄物より気化させたものであってもよい。また、汚染地盤からの吸引ガスであってもよい。いずれの場合も有機塩素化合物分解手段3に導入されるガスには有機塩素化合物のほかに酸素が含有されている状態であり、つまり、被処理ガスは有機塩素化合物が空気との混合状態であるか、あるいは有機塩素化合物が酸素を含む気体との混合状態である。なお、被処理ガスが、還元性物質を多く含むような、汚染地盤からの吸引ガスや工場排ガス等である場合は、酸素を別途混合させてもよい。このときの酸素量は分解する有機塩素化合物と等モル以上であって、かつ、流入する還元物質を酸化するのに必要な量をそれに加えた量となる。
【0022】
酸素の導入は必ずしも行われるものではないが、酸素導入を行う場合は酸素導入手段1aと合流点2aとによることができる。
【0023】
酸素導入手段1aは、酸素ボンベを接続しておこなってもよいし、PSA(Pressure Swing Adsorption:圧力変動吸着)によってもよい。PSAは吸着剤のガスに対する吸着特性の違いを利用して、加圧と減圧の操作を交互に繰り返しながら、目的とするガスを連続的に分離する方法で、ここで用いるPSAは空気から酸素を取り出すものである。ここで導入された酸素は合流点2aにおいて先の被処理ガス等と混合される。合流点2と合流点2aの、どちらが後先という位置関係は特になく、合流点2aが合流点2の前にあってもかまわない。
【0024】
有機塩素化合物分解手段3は、内部で有機塩素化合物の分解反応をさせる反応容器3aと、有機塩素化合物に光を照射する光照射手段3bを有する。反応容器3a内で光の照射を受けて有機塩素化合物は分解する。分解反応後の気体はダクト5を通り、分離手段6に導かれる。
【0025】
本発明では、分離手段に導かれたガスから有機塩素化合物が分解して生成する分解副生成物を分離手段6において分離する。そして分離した分解副生成物を電気分解手段12で分解し、発生する塩素ガスを有機塩素化合物分解手段3で再利用する。
【0026】
塩素ガスと気体状の有機塩素化合物を含む混合ガスに光を照射する有機塩素化合物分解手段においては、本発明では紫外線照射である必要がないため、光照射手段3bとして使用する光源は300nm以上500nm以内の波長でよく、より望ましくは350nm以上450nm以内の波長を用いる。
【0027】
ここで、図2を用いて有機塩素化合物分解手段の一例について詳しく説明する。図2において、光照射手段である円筒形状のランプ13は、ここで示した形では直管型蛍光灯と同じ形のものである。このランプ13を中心にして円筒形状の反応容器14でランプ13を囲い、反応容器14の内側に、反応容器入口15から導かれたガスを滞留させ、ランプ13により光照射を行う。その後、ガスは反応容器出口16から排出される。ここで反応容器14とランプ13は一体化しており、密閉された構造となっている。
【0028】
反応容器の材質は、容器を構成する材料の腐食防止といった観点から塩化ビニール、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂やハステロイ等の耐食性金属、ガラス、セラミック、FRPが好ましい。また、ステンレスや鋼材に上記の樹脂材料をコーティングしたものを用いてもよい。光照射手段のガスと接する面は、ガラス、石英等で形成することができる。光照射手段には、例えば蛍光灯やブラックライトを用いることができる。反応容器の大きさは、反応時に存在させる塩素ガスの濃度や光照射手段の光照射強度等によっても異なるが、ガスの滞留時間にして20秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましい。
【0029】
再び図1に戻って説明を続ける。
【0030】
有機塩素化合物分解手段3による分解反応後の気体には、分解反応で消費されていない余剰塩素ガスと、有機塩素化合物分解により生成したクロロ酢酸等や塩酸の酸性液体がミスト化したものが含まれる。
【0031】
ここで、クロロ酢酸類とは、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸をいう。
【0032】
分離手段6においては、有機塩素化合物分解手段から導かれたガスを吸収液に接触させ、クロロ酢酸類等の分解副生物を吸収した吸収液と、吸収液に吸収されなかったガスとを得ることにより、有機塩素化合物分解手段から得られるガスから、分解副生成物を分離することができる。あるいは、分解反応後の気体を冷却して分解副生成物を凝縮分離する方法等によって分離を行ってもよい。
【0033】
上記吸収液としては、水、塩酸水溶液またはアルカリ水溶液を用いることができる。後述のように、吸収液中からの塩素ガス回収において吸収液は酸性であるほうが望ましく、そのため吸収液は水または塩酸水溶液が好ましく、しかも水であれば十分である。というのは、分解に利用されなかった余剰の塩素ガスが、初期には水に吸収し、塩酸水溶液となるのと、クロロ酢酸類の吸収によっても水が酸性となるためである。
【0034】
クロロ酢酸類の水への溶解度は高いため水を主成分とする吸収液に多く吸収させることができる。例えばモノクロロ酢酸の水への溶解度は6140g/L(25℃)であり、また、トリクロロ酢酸ナトリウムでは1200g/L(25℃)である。他のクロロ酢酸類もこのような高い溶解度であると考えられる。したがって、有機塩素化合物が希薄な有機塩素化合物含有気体を処理する場合、クロロ酢酸類を少ない量の吸収液に吸収させて高濃度に濃縮することができ、後段の電気分解手段を小型化することができ、装置を小型化させることができる。
【0035】
初期において吸収液が水である場合、余剰の塩素も水に吸収され吸収液は塩酸水溶液となる。クロロ酢酸類の吸収はpHによって大きく影響されることはないため、クロロ酢酸類は吸収液が水であっても塩酸水溶液であっても吸収される。すなわち、吸収液は塩酸水溶液等pHの低いものであってもかまわない。
【0036】
水にクロロ酢酸類を吸収させる方法では、吸収液のpHが低下するにともない塩素ガスは吸収されにくくなり分離手段6から排出される。塩酸水溶液を吸収液として用いる場合は水を吸収液として用いる場合に比べて初期において塩素ガスは吸収されにくい。分離手段6から排出される処理ガスは、ダクト7によって、塩素ガス吸収手段8に導かれ、塩素ガスを取除かれ浄化気体排出手段9によって大気放出される。
【0037】
塩素ガス吸収手段8としては、塩素ガスを吸収除去できる公知の技術を適宜利用できる。例えばアルカリスクラバーであってもよいし、水スクラバーであってもいいが、pHが低下しないようにアルカリスクラバーであればアルカリ剤をいれて調整することが好ましく、また水スクラバーであれば吸収液を排水して新水に交換するか、アルカリ剤をいれてpH調整等の管理をおこなうことが好ましい。
【0038】
分離手段6において、分解副生成物を吸収した吸収液(塩素ガスを吸収していてもよい)は、タンク10に貯留される。タンク10は分離手段6の一部であってもよく、特には分離手段6と一体化していても構わない。例えば、分離手段としてスクラバーを用いる場合ではスクラバー下部をタンク10として用いることができる。
【0039】
吸収液を用いて分離を行う場合、吸収液に吸収されなかったガス(分離手段から排出されるガス)の一部を有機塩素化合物分解手段に供給する混合ガスに混ぜてもよい。例えばダクト7の途中でガスを分岐し、分岐したガスを合流点2に合流させることができる。これにより、電気分解手段12での電気量を増加させること無く、有機塩素化合物分解手段3における塩素ガスの総量を増加させることができる。
【0040】
浄化気体排出手段9はダクトおよびファンなどを用いて適宜構成することができる。ダクトおよびファン等の材質は鋼製であってもかまわないが、スクラバー等からのミストが塩分およびアルカリ分を含むため腐食を考慮して塩ビ等の樹脂、ステンレス、あるいは樹脂を表面にコーティングした鋼製などが好ましい。
【0041】
ここで図3を用い、分離手段6としてスクラバーの構造の例について詳しく説明する。
【0042】
スクラバー本体17は、円筒形の塔であり、充填材を投入して形成した充填層18を有する。使われる充填材としては、例えば、ラヒシリング、ベルルサドル、インタロックサドル、テラレット(商品名、日鉄化工機株式会社製)、ラヒシスーパーリング(商品名、日鉄化工機株式会社製)などがある。
【0043】
ここでは、スクラバー本体内部の上部であって充填層18より上の位置に、ディストリビューター19を設置し水を導き塔内を流下させる構造としている。導入口20からのディストリビューター19への液体の導入は配管による。スクラバー上部には気体取出口21を設け、その下部にミストセパレーター22が設置される。また充填材が落下しないよう充填材落下防止網23が敷かれ、その直下には集水タンク24が設置される。また、集水タンク24には処理水取出し口25と気体取入口26が設けられる。図示しないが、処理水取出し口25と循環ポンプ吸込口とを接続する配管、および循環ポンプ吐出口と導入口20とを接続する配管を設けることにより、集水タンク24内の液体はスクラバーの内部を通って循環する。すなわち集水タンク24から循環ポンプによって昇圧された液体はディストリビューター19で散水され、スクラバーの内部を上から下に、充填層18を通過して落下し、集水タンク24にもどる。また、気体取入口26からの気体はスクラバーの内部を下から上に移動する。このとき、液体は気体取入口26からの気体と接触し気体を吸収する。
【0044】
再び図1に戻って説明を続ける。
【0045】
分離手段6における吸収液はタンク10より引き抜かれ電気分解手段12により処理される。
【0046】
電気分解手段12への移送手段11は、適宜配管、ポンプ、バルブなどを用いて形成することができる。ポンプあるいはバルブを自動的に操作し、タンク10や電気分解手段12の液面を自動制御してもよい。この電気分解手段12による処理は連続処理とすることができるが、導入手段1を停止して、移送をおこない、移送後再度導入手段を運転し電気分解を行ってもよい。
【0047】
電気分解手段12として、一方を陽極、もう一方を陰極とする二枚の電極が入れられたタンクによるものを用いることができる。二枚の電極の形状についてはどのようなものでもよく、板状のものでも網目状の板でも使用でき、同筒状あるいは棒状とすることもできる。材質については導電性ダイヤモンド、鉛等が挙げられる。必ずしも両極が同一形状、同一素材である必要はなく、両極で異なる形状であってもよく、両極が異なる素材からなるものであってもよい。
【0048】
図5には、ジクロロ酢酸の濃度3500mg/Lの水溶液20Lについて、電気分解をバッチテストで試みた結果を示す。陰極の材質はチタンとし、陽極にはチタン、鉛、導電性ダイヤモンドを用いた。電極の大きさは陰極陽極とも8cm×24cmとし、それに直流電源より20Aを流した。図6には、同様の条件でトリクロロ酢酸の濃度3500mg/Lの電気分解を試みた結果を示す。
【0049】
陽極をチタン電極とするとき、ジクロロ酢酸は分解せず濃度の上昇さえ見られているが、他の場合は全て分解される傾向が見られた。しかし、導電性ダイヤモンド電極においての分解が速やかに行われており、陽極に導電性ダイヤモンド電極用いることが有利であることがわかる。
【0050】
導電性ダイヤモンド電極は、従来の白金等の金属電極に比べると、電位窓が極めて広く水の電気分解による水素発生や酸素発生を抑えながら、有機化合物のみを効率的に酸化分解処理できる。さらに導電性ダイヤモンド電極は化学的安定性に優れているため、塩酸やクロロ酢酸が高濃度に濃縮した液体の処理においても腐食の心配が少ない。
【0051】
本発明で使用可能な導電性ダイヤモンド電極は、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン等の金属材料や炭素、シリコンウエハ等を母材として、これらの母材表面にダイヤモンド薄膜を析出させ、あるいは、合成させてつくることができる。さらに、基板を用いない条件で板状等の形状に析出合成した多結晶ダイヤモンドを用いることもできる。ダイヤモンドには、ボロン、ホウ素等をドープして所望の導電性を付与させたものを用いることができる。
【0052】
本発明において、電気分解手段12として、2枚の電極を収めた一つの容器を用い、この容器の中に電解質として分解副生成物を含む液体(クロロ酢酸溶液等)を導いて電気分解を行うことができる。また、2枚の電極を収めた容器(電解反応室)とは別の容器(反応液滞留室)を設けて2室構成とした電気分解手段を用いることもできる。
【0053】
ここで図4を用いて電気分解手段である電気分解装置の一例について詳しく説明する。
【0054】
電解反応槽27の内部に、導電性ダイヤモンド板を陽極28として、チタン板またはステンレス板を陰極29として、これら2枚の板を向かい合わせて配置する。陽極28および陰極29には直流電源30が接続されており、陽極28に電源30の正極が接続され、陰極29に電源30の負極が接続されている。
【0055】
電解反応槽27は反応液滞留槽31の上に設置されており、電解反応槽27の上部側面には孔があって下方の反応液滞留槽31に向かって配管32によって接続されている。また、反応液滞留槽31には側面あるいは底部に孔があって配管33により循環ポンプ34の吸引側と接続され、ポンプ吐出側は配管35の一方の端が接続され、配管35の途中には逆止弁(不図示)があり、配管35のもう一方の端は上方の電解反応槽27の底部にある孔と接続されている。分解副生成物を含む液体は、循環ポンプ34によって、下部の反応液滞留槽31と上部の電解反応槽27を循環する。この循環によって電解反応槽27内部に流れが生じ、電極表面にも生じた流れによって電極表面の塩素ガス等が剥離されやすくなり、塩素ガス等が分離し効率的な塩素発生が起こる。電解反応槽27及び反応液滞留槽31の少なくとも一方には、塩素ガスを排気するための孔があり、この孔に接続された配管が光反応槽の手前の配管と接続され、電気分解手段で発生する塩素が処理対象の気体状有機塩素化合物含有ガスと混合する。ここでは両者にそれぞれ塩素ガスを排気するための孔36及び37が設けられ、孔37が図1の合流点2に接続される。
【0056】
分解副生成物を含む液体は、分解副生成物を含む液体の供給孔32aから供給されるが、これは、電解反応槽の上部から供給されてもかまわない。
【0057】
反応液滞留槽31では、ブロワによって気体の吹き込みと液の攪拌をおこなってもよい。すなわち、塩素ガスを排気するための孔36から配管38でブロワ39の吸引側と接続し、ブロワ39の吐出側は配管41によって反応液滞留槽31にあけられた孔42を貫通し散気管43に接続される。散気管は微細な孔が多数ある管状のものであり、孔から反応液滞留槽内部の液に気体を放出するもので、散気板等の形状のものであってもかまわない。電解反応槽27で発生する塩素を含む気体は反応液滞留槽31にまわされ、槽内の液を攪拌したのち、塩素ガスを排気するための孔37より排出されて後、気体状有機塩素化合物の分解に利用される。電解反応槽27での塩素ガス含有気体発生流量とブロワ39の風量とのバランスをとるために、配管38に空気流入口40が設けられている。配管38や配管41、空気流入口40から配管38までの配管等に流量を調整するためのバルブを設けてもよい。また、ブロワ39にインバータ等の風量制御機構を設け、塩素ガス含有気体発生流量によってブロワ39の風量を調整する方法をとってもよい。
【0058】
電解反応槽27内においてクロロ酢酸溶液などの分解副生成物を含む液体は電気分解をうけ、塩素が発生する。孔37から排出される塩素ガス含有気体中の塩素濃度は溶液のpHによって異なる。
【0059】
電解反応槽27に導かれる、クロロ酢酸溶液などの、分解副生成物を含む液体は、前段の分離手段6において塩素を吸収することによって塩酸を含んだ酸性の液体となっており、また、ここでの電気分解作用によってもpHの低下は進行する。分解副生成物を含む液体のpHは、分解で生ずる塩素を塩素ガスとして速やかに電解反応槽27外へ追い出す観点から、3以下が好ましく、1前後がより好ましい。また循環ポンプ34による電解反応槽27と反応液滞留槽31の間に生じる液体の流れの存在も、電解反応槽27に発生するガスの除去を促進するために効果的である。
【0060】
図7及び図8は、導電性ダイヤモンド電極による電気分解装置を用いて、クロロ酢酸分解と塩素発生に関するバッチテストを行った結果を示すものである。実験では図4の装置を用いて、循環ポンプ流量を5L/分、ブロワ流量3L/分、ブロワ昇圧幅0.1MPa、電解反応槽容量3L、反応液滞留槽容量7L、電解反応槽及び反応液滞留槽の材質は塩化ビニールとした。陽極には導電性ダイヤモンドをコートした網目状の板を用い陰極の材質はチタン平板とした。電極の外形は陰極陽極とも8cm×24cmで、それに直流電源より20Aを流した。
【0061】
図7のテストでは、テトラクロロエチレン含有空気を塩素ガスの存在下で光照射させたものを純水に吸収させ、苛性ソーダによって中和した水溶液を用いた。この水溶液はトリクロロ酢酸濃度が8200mg/Lで、中和によってpHは7.3であった。図8のテストでは、同様の操作によって、トリクロロ酢酸濃度76000mg/L、中和によるpHは5.5であった。用意した水溶液はどちらもを20Lである。図7及び図8のテストのどちらにおいても、6時間後のトリクロロ酢酸分解率は70%前後であるが、発生した塩素の濃度(孔37から排出されるガス中の塩素濃度)は図7のテストでは数百volppm(volppmは体積百万分率を表す)であるのに対して、図8のテストの方が2時間経過後より15000volppmを超えている。図8のテストの方では分解開始後1時間でpHが2未満と下がっている。液のpHは分解の成り行きではあるが、液中より塩素を除去し塩素ガスを発生させるためには、pHが低いほうが有利であることを示している。pHによるトリクロロ酢酸分解への影響はほとんど見られなかった。
【0062】
電気分解手段12から発生する塩素含有ガスは、図1における導入手段1から導入される有機塩素化合物含有ガスと、合流点2において混合された後、有機塩素化合物分解手段3に導かれ、分解処理される。
【0063】
本発明の分解処理方法は、塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物の分解処理装置であって、
該気体状の有機塩素化合物と塩素ガスを含む混合ガスをつくる混合ガス製造手段;
該混合ガスに光を照射して前記有機塩素化合物を分解する有機塩素化合物分解手段;
該有機塩素化合物分解手段から得られるガスから、該有機塩素化合物分解手段で生じた分解副生成物を分離する分離手段;
該分離手段で分離された分解副生成物を電気分解により分解する電気分解手段;
該電気分解手段で発生した塩素ガスを、該混合ガス製造手段に供給する移送手段
を有する有機塩素化合物の分解処理装置によって好適に実施できる。
【0064】
混合ガス製造手段としては、導入手段1、合流点2、電気分解手段12から合流点2に塩素含有ガスを導くライン、合流点から有機塩素化合物分解手段3に混合ガスを導くラインを適宜ダクト等を用いて形成すればよい。有機塩素化合物分解手段、分離手段、電気分解手段、移送手段については既に説明したとおりである。
【実施例】
【0065】
図9に実施例に用いた装置を示す。
【0066】
被処理気体である有機塩素化合物含有気体としてテトラクロロエチレンを750volppm含む空気を用い、その風量は120L/分とした。
【0067】
上記テトラクロロエチレン含有空気は導入手段1である配管から導入され、合流点2において塩素濃度5300volppm、風量10L/分の塩素含有気体と混合された後、有機塩素化合物分解手段へと導かれる。
【0068】
塩素の発生は電気分解槽による。ここで、電気分解槽は図4の装置を用いた。ここで陽極28は8cm×24cm×0.1cmの導電性ダイヤモンドの網目状板を、陰極29は同サイズのチタン板を電極とし、陰極および陽極の極間距離は1cmに設定した。このとき使用した導電性ダイヤモンド電極は、ボロンをドーピングしマイクロ波CVD法によりニオブの母材にダイヤモンド薄膜を析出合成させたものを使用した。
【0069】
陽極28および陰極29に接続した直流電源30は、菊水電子(株)製直流安定化電源(商品名:PAS20−36)を使用し、電流値を20Aとした。また、電解反応槽27の容量は3L、反応液滞留槽31のそれは40Lとし、循環ポンプ34の能力を5L/分とした。また、ブロワ39の流量は10L/分、昇圧幅0.1MPaとした。電解反応室内及び反応液滞留室にある塩素ガス排気孔より塩素ガスを含む気体が排気され、これに接続された配管55が配管1との接続点2で接続し、テトラクロロエチレン含有気体(被処理気体)と混合し、反応容器14へと導がれている。
【0070】
塩素含有気体の発生方法は、運転開始時の初期運転と本運転および後処理運転からなる。
【0071】
運転開始時には初期運転をおこなう。初期運転では、移送ポンプ54を完全に停止し、弁49bを閉じて弁49Cと弁49aを開けた。反応液滞留槽31に10質量%塩酸水溶液4.5Lとトリクロロ酢酸500mLを入れて純水で稀釈し10Lとし、これを循環ポンプ34で電解反応槽27に送り循環させた。さらに、反応液滞留槽31は、ブロワ39によって弁49Cからの外気吹き込みと液の攪拌を行った。
【0072】
初期運転は24時間これを継続した後、本運転を開始した。本運転では、移送ポンプ54を運転し、弁49bと弁49aを調整開とし弁49Cを完全に閉じた。移送ポンプ54の運転は定量送液である。
【0073】
有機塩素化合物分解手段は図2と同形のものを6連直列に接続し配置したもので、反応容器14は内径200mm×長さ1000mmの円筒管で材質を塩化ビニールとし、ランプ13はブラックライト(東芝ライテック株式会社製、商品名:FHF32BLB)を各反応容器に1本ずつ配置した。初期運転および本運転のどちらにおいても、テトラクロロエチレン含有気体(被処理気体)と塩素ガスとの混合気体は、この有機塩素化合物分解手段を通過する。
【0074】
最終の反応容器を出た気体(ミスト状の凝縮液を含む)は配管44によって分離手段に移送される。
【0075】
分離手段には純水によるスクラバーを用いた。初期運転では、ドレイン(移送手段11によって集水タンク24から抜き出す液体)を排出せず運転するが、本運転に入ると移送ポンプ54によって60mL/hでドレインが電解反応槽27に定量的に移送される。
【0076】
分離手段は図3に示すものと同形であり、スクラバ−本体17には内径200mm長さ1.5mの円筒缶を用い、これに充填材(日鉄化工機株式会社製、商品名:テラレットS・II型)を充填して充填層を形成した。集水タンク24の容量は20Lとし、この集水タンクには最初10Lの純水を入れ内部循環液とした。内部循環液は循環ポンプ46及び配管によってスクラバー本体と集水タンクを循環する。また、連続ドレインと蒸発、飛散による液の減少分を補うためボールタップ弁45を介して純水が補給されるようにした。
【0077】
当初、純水である内部循環液にはおもにトリクロロ酢酸が吸収され濃縮される。24時間連続運転したときのトリクロロ酢酸濃度は約70,000mg/Lとなった。
【0078】
分離手段で吸収液に補足されなかった塩素ガスは、ファン47及びダクトによって水酸化ナトリウム水溶液を吸収液としたアルカリスクラバー50に移動される。ここでアルカリスクラバー50は図3の分離手段と同形の構造であり、内部に水酸化ナトリウム水溶液(5質量%)が収容され、pH計(不図示)と水酸化ナトリウム追加手段(不図示)によってpHが11以下にならないよう制御されている。ここで塩素ガスを吸収し、塩素除去後のガスをファン51及びダクトにより吸引し大気放出する。
【0079】
初期運転および本運転のどちらにおいても、反応容器14を出た気体(ミスト状の凝縮液を含む)はこのスクラバー17とアルカリスクラバー50を通過する。ただし、ファン47の下流のダクトの途中には分岐点48があり、本運転以後は、ここで、塩素ガスを含む気体の一部10L/分は配管52を通して混合点53に移動する。分岐させる塩素ガスを含む気体の移動量は弁49aと弁49bの開度によって調整した。
【0080】
なお、反応液滞留槽31には光分解反応を好適に行うための塩素ガス濃度が不足した場合のことを考えて、塩酸注入装置(不図示)を付加させたが、本実施例においては実際には使用しなかった。
【0081】
本実施例では、初期運転に続いて本運転を120時間おこなった。そのときの電気分解槽内における水溶液は約20L、トリクロロ酢酸濃度は約80000mg/Lであり、電解反応槽内から発生する塩素ガス濃度(配管55を流れる気体中の塩素濃度)は、約5300volppmであった。
【0082】
本運転後に後処理運転をおこなった。
【0083】
後処理運転では、テトラクロロエチレン含有空気の導入を停止して、まず、電気分解槽内水溶液を10L抜き取ってこれを容器(不図示)に確保し、残り10Lのトリクロロ酢酸水溶液を導電性ダイヤモンド電極で電気分解した。このときの、運転条件は、ランプ13を消灯させ、移送ポンプ54を完全に停止し、弁49bを閉じて弁49Cと弁49aを開けた状態である。また、このとき、ファン47およびファン51は風量調整をおこなって運転した。この状態での運転を8時間行い、電気分解槽に純水を10L追加してさらに8時間運転後、再度、純水を10L追加してまた8時間運転して後処理運転を終了した。
【0084】
後処理運転では、電気分解槽内のトリクロロ酢酸水溶液を導電性ダイヤモンド電極で分解し、発生する塩素ガスをアルカリスクラバー50で吸収するもので、最終的な電気分解槽におけるトリクロロ酢酸濃度は0.16mg/Lであった。後処理運転後の電気分解槽内水溶液は排水可能な濃度であるため、pH調整し排水した。
【0085】
その後、先の容器に確保した水溶液10Lを電気分解槽にもどして、初期運転をせずに、再度、本運転を開始することができた。
【0086】
このとき、電気分解槽内のトリクロロ酢酸水溶液は再度の本運転で使用されリサイクルされる。また、前回の本運転で消費した塩素ガス量は1.2kgであり、これを塩酸で換算すると20質量%塩酸水溶液10L以上となる。すなわち、10L/120hの廃液が回収され同量の塩酸が節約されたと考えられる。
【0087】
また、本実施例では処理後のガス(ファン51を経て排気されるガス)中のテトラクロロエチレン濃度は、初期運転および本運転のいずれにおいても1volppm未満となった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、例えば土壌や地下水を浄化するために好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の有機塩素化合物の分解処理方法の一実施形態を説明するためのプロセスフロー図である。
【図2】有機塩素化合物分解手段の一例の構造を示す概略図である。
【図3】酸性液体分離手段の一例であるスクラバーの構造を示す概略図である。
【図4】電気分解手段の一例である電気分解装置の構造を示す概略図である。
【図5】ジクロロ酢酸水溶液の電気分解バッチテスト結果を示すグラフである。
【図6】トリクロロ酢酸水溶液の電気分解バッチテスト結果を示すグラフである。
【図7】導電性ダイヤモンド電極によるトリクロロ酢酸分解と塩素発生に関するバッチテストの結果を示すグラフである。
【図8】導電性ダイヤモンド電極によるトリクロロ酢酸分解と塩素発生に関するバッチテストの結果を示すグラフである。
【図9】実施例に用いた装置の概略を示すプロセスフロー図である。
【符号の説明】
【0090】
1 導入手段
1a 酸素導入手段
2 合流点
2a 酸素合流点
3 有機塩素化合物分解手段
3a 反応容器
3b 光照射手段
5 ダクト
6 分離手段
7 ダクト
8 塩素ガス吸収手段
9 浄化気体排出手段
10 タンク
11 移送手段
12 電気分解手段
13 ランプ
14 反応容器
15 反応容器入口
16 反応容器出口
17 スクラバー本体
18 充填層
19 ディストリビューター
20 導入口
21 気体取出口
22 ミストセパレーター
23 充填材落下防止網
24 集水タンク
25 処理水取出し口
26 気体取入口
27 電解反応槽
28 陽極
29 陰極
30 直流電源
31 反応液滞留槽
32 配管
32a 分解副生成物を含む液体の供給孔
33 配管
34 循環ポンプ
35 配管
36 塩素ガスを排気するための孔
37 塩素ガスを排気するための孔
38 配管
39 ブロワ
40 空気流入口
41 配管
42 孔(散気管接続用)
43 散気管
44 配管
45 ボールタップ弁
46 循環ポンプ
47 ファン
48 分岐点
49a 弁
49b 弁
49c 弁
50 アルカリスクラバー
51 ファン
52 配管
53 混合点
54 移送ポンプ
55 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物の分解処理方法であって、
該気体状の有機塩素化合物と塩素ガスを含む混合ガスをつくる混合ガス製造工程;
該混合ガスに光を照射して前記有機塩素化合物を分解する有機塩素化合物分解工程;
該有機塩素化合物分解工程から得られるガスから、該有機塩素化合物分解工程で生じた分解副生成物を分離する分離工程;
該分離工程で分離された分解副生成物を電気分解により分解する電気分解工程;および
該電気分解工程で発生した塩素ガスを、該混合ガス製造工程に供給する工程
を有する有機塩素化合物の分解処理方法。
【請求項2】
前記塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物が、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記分解副生成物がクロロ酢酸類である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記電気分解工程において、導電性ダイヤモンド電極を陽極に用いる請求項1〜3の何れか一項記載の方法。
【請求項5】
前記電気分解工程において、塩酸を含んだ酸性の電解質液を用いる請求項1〜4の何れか一項記載の方法。
【請求項6】
前記分離工程において、前記有機塩素化合物分解工程から得られるガスを吸収液に接触させ、前記分解副生成物を吸収した吸収液と、吸収液に吸収されなかったガスとを得る請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記吸収液に吸収されなかったガスの一部を、前記混合ガス製造工程に供給する工程を有する請求項6記載の方法。
【請求項8】
塩素ガスの存在下で光を照射することで分解しうる気体状の有機塩素化合物の分解処理装置であって、
該気体状の有機塩素化合物と塩素ガスを含む混合ガスをつくる混合ガス製造手段;
該混合ガスに光を照射して前記有機塩素化合物を分解する有機塩素化合物分解手段;
該有機塩素化合物分解手段から得られるガスから、該有機塩素化合物分解手段で生じた分解副生成物を分離する分離手段;
該分離手段で分離された分解副生成物を電気分解により分解する電気分解手段;および
該電気分解手段で発生した塩素ガスを、該混合ガス製造手段に供給する移送手段
を有する有機塩素化合物の分解処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−289231(P2006−289231A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111810(P2005−111810)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】