説明

有機性汚泥の脱臭方法および有機性汚泥用脱臭剤

【課題】有機性汚泥の含水率に関わらず、有機性汚泥からの臭気の発生を抑制できる脱臭方法を提供する。前記脱臭方法に用いることができる有機性汚泥用の脱臭剤を提供する。
【解決手段】第1工程:有機性汚泥と揮発性脂肪酸分解性糸状菌とを配合する工程、第2工程:前記第1工程で有機性汚泥と配合された前記糸状菌を培養する工程を有することを特徴とする有機性汚泥の脱臭方法。揮発性脂肪酸分解性糸状菌を含有することを特徴とする有機性汚泥用脱臭剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性汚泥の脱臭方法、および有機性汚泥用の脱臭剤に関する。また、前記脱臭方法により得られる汚泥を含有する固形燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理、し尿処理、食品工場や紙パルプ工場等から発生する有機性排水処理、家畜糞尿等の畜産廃棄物処理等では、処理に伴い汚泥が発生する。汚泥は通常、前記各処理の水処理工程からスラリー状の汚泥として排出され、その後種々の工程を経て水分が除去され、減容される。下水処理を例にとれば、スラリー状の汚泥は濃縮処理および脱水処理によりケーキ状の脱水汚泥となる。脱水汚泥は、さらに乾燥処理される場合は乾燥汚泥となり、焼却処理される場合は焼却灰となる。脱水汚泥や乾燥汚泥は、埋立処分されたり、肥料や堆肥として用いられたり、セメント資源化されたりしている。また、焼却灰は、埋立処分されたり、種々の建材原料として用いられたりしている。
【0003】
近年、二酸化炭素排出抑制の社会ニーズを背景として、有機性汚泥のバイオマスとしての利用価値が注目されている。バイオマスのカーボンニュートラルの性質に基づき、特に乾燥汚泥の燃料としての価値に注目がされている。下水乾燥汚泥については、実際に化石燃料の代替品として利用され始めている。
【0004】
脱水汚泥や乾燥汚泥は、汚泥中の有機分に由来して、様々な臭気を発生する。そのため、脱水汚泥や乾燥汚泥を取り扱う際には、汚泥から発生する臭気を低減することが求められている。特に、乾燥汚泥については、その有効利用用途の新たな広がりから、脱臭技術の開発が強く求められている。
【0005】
脱水汚泥や乾燥汚泥から発生する臭気物質としては、例えば、吉草酸、酪酸、プロピオン酸等の有機酸;アンモニア、アミン類等の窒素化合物;硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル等の硫黄化合物等が挙げられる。また、乾燥汚泥から発生する臭気物質としては、汚泥の乾燥処理により新たに発生するアセトアルデヒド等のアルデヒド類も挙げられる。
【0006】
従来、脱水汚泥用の脱臭剤や脱水汚泥の脱臭方法については、様々検討がされてきた。脱水汚泥は含水率が高いため、様々な脱臭方法を比較的容易に適用することが可能である。一方、乾燥汚泥用の脱臭剤や乾燥汚泥の脱臭方法については、脱水汚泥の場合に比べ、検討されている例が圧倒的に少ない。
【0007】
例えば、過酸化水素、過硫酸アルカリ、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩等の酸化剤を用いる脱臭方法が知られている。これらの酸化剤を用いる方法は、脱水汚泥に対して適用できるものの、短時間で脱臭効果が失効する。酸化剤等の薬剤を添加して脱臭する方法では、多くの場合、薬剤を水等の溶媒に溶解させた溶液として脱水汚泥や脱水前の汚泥に添加するが、乾燥汚泥に脱臭用の薬剤を溶液として添加する場合は、乾燥汚泥の含水率が増加することにより乾燥汚泥の性状が変化し、乾燥汚泥の利用に影響を及ぼす可能性がある。また、加熱をして汚泥から水分を蒸発除去して乾燥汚泥を製造しているところ、そこに薬剤添加のために水分を加えること自体が、そもそも非効率的であるとも言える。そのため、乾燥汚泥に脱臭用の薬剤を溶液として添加する方法はほとんど検討されていない。なお、乾燥汚泥に酸化剤を添加する場合は、酸化剤の種類によってはアルデヒド類の臭気発生量が増加するという問題もある。
【0008】
脱水汚泥の脱臭方法として、微生物を用いる方法も知られている。特許文献1には、脱水汚泥の好気性発酵を行うに際し、脱水汚泥に粉末貝殻と破砕古紙を添加し、古紙繊維に糸状菌や放線菌等の好気性微生物を繁殖させて、微生物により有機物の分解と悪臭の吸収を行う方法が開示されている。特許文献2には、脱水汚泥と木材チップを混合した後、主として乳酸桿菌と酵母菌とからなる発酵菌を散布して、悪臭を発生させることなく汚泥を発酵処理する方法が開示されている。しかし、特許文献1,2に開示された方法はいずれも脱水汚泥を対象としたものであり、これら開示された方法を、乾燥汚泥にそのまま適用することは難しい。脱水汚泥は含水率が高いため、微生物の活動が活発となり、微生物による臭気の除去が可能となるが、乾燥汚泥は含水率が低いため、一般に微生物の活動が十分行われないためである。さらに、乾燥汚泥は、脱水汚泥にない揮発性のアルデヒド類の臭気も発生するため、この点からも、脱水汚泥の脱臭方法をそのまま適用することは難しい。
【特許文献1】特開2001−302377号公報
【特許文献2】特開2000−169270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機性汚泥の含水率に関わらず、有機性汚泥からの臭気の発生を抑制できる脱臭方法を提供することにある。また、前記脱臭方法に用いることができる有機性汚泥用の脱臭剤を提供することにある。さらに、前記脱臭方法により得られる汚泥を含有する固形燃料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、有機性汚泥の含水率に関わらず有機性汚泥からの臭気を抑制できる脱臭方法を検討したところ、揮発性脂肪酸分解性糸状菌が乾燥汚泥のような低含水率の環境下でも優れた脱臭効果を発揮することを見出して、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明の脱臭方法とは、第1工程:有機性汚泥と揮発性脂肪酸分解性糸状菌とを配合する工程、第2工程:前記第1工程で有機性汚泥と配合された前記糸状菌を培養する工程を有するところに特徴を有する。前記構成によれば、有機性汚泥の含水率に関わらず有機性汚泥の脱臭が可能となり、特に、有機酸や、乾燥汚泥に特有なアルデヒド類の臭気の発生を抑制できる。
【0012】
本発明の脱臭方法は、前記揮発性脂肪酸分解性糸状菌としてマイクロアスカス・サイロサスを用いることが好ましい。マイクロアスカス・サイロサスは、有機酸やアルデヒド類の臭気の発生を特に効果的に抑制できるため、好ましく用いられる。
【0013】
本発明の脱臭方法は、有機性汚泥のpHを5〜10の範囲、有機性汚泥の含水率を15質量%〜90質量%とすることが好ましい。また、第2工程において、15℃〜45℃の範囲で培養することが好ましい。前記条件下では、糸状菌の活性を高くすることができ、優れた脱臭効果が得られるようになる。
【0014】
本発明の脱臭方法の第2工程では、培養期間を1日以上とすることが好ましい。培養期間を1日以上とすることで、優れた脱臭効果が得られるようになる。
【0015】
本発明の脱臭方法は、さらに、第3工程として、前記第2工程で得られた汚泥を加熱する工程を有することも好ましい形態である。さらに汚泥を加熱する工程を付加することで、得られる汚泥の臭気がさらに低減するとともに、汚泥の含水率が低減することにより、汚泥の用途範囲が広がる。
【0016】
本発明の脱臭方法により得られた脱臭汚泥は、臭気が大幅に低減されているため、汚泥の取り扱い性や作業環境が改善される。また、本発明の脱臭方法では、脱臭剤として用いられる揮発性脂肪酸分解性糸状菌の添加量が少量ですむため、脱臭処理により脱臭汚泥は含水率がほとんど増加せず、汚泥発熱量の低下に結び付く大幅な無機成分量の増加や大幅な有機成分量の減少がなく、燃焼の際に設備腐食の原因となる塩素等のハロゲン元素含有量の増加もない。従って、本発明の脱臭方法により得られる脱臭汚泥は、固形燃料として特に好適に用いることができる。
【0017】
本発明の脱臭剤は、揮発性脂肪酸分解性糸状菌を含有するところに特徴を有する。また、前記揮発性脂肪酸分解性糸状菌はマイクロアスカス・サイロサスであることが特に好ましい。前記構成によれば、有機性汚泥の含水率に関わらず有機性汚泥の脱臭が可能となり、特に、有機酸や、乾燥汚泥に特有なアルデヒド類の臭気の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の脱臭方法および脱臭剤は、有機性汚泥の含水率に関わらず、有機性汚泥からの臭気の発生、特に、有機酸や、乾燥汚泥に特有なアルデヒド類の臭気の発生を抑制できる。本発明の脱臭方法により得られる脱臭汚泥は、臭気の少ない高品質な固形燃料として特に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
まず、本発明の脱臭剤について説明する。本発明の脱臭剤は、揮発性脂肪酸分解性糸状菌を含有するところに特徴を有する。
【0020】
本発明の脱臭剤に含有される糸状菌が分解できる揮発性脂肪酸としては、プロピオン酸、n−酪酸、n−吉草酸、i−吉草酸等が示され、前記糸状菌はこれらから選ばれる少なくとも1種を分解できることが好ましい。本発明の脱臭剤に含有される糸状菌は、さらに、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、i−ブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、i−バレルアルデヒドから選ばれる少なくとも1種のアルデヒドを分解できることが好ましい。
【0021】
本発明の脱臭剤に含有される糸状菌としては、例えば、マイクロアスカス(Microascus)属、シューダルスヘリア(Pseudallescheria)属、スコプァリオプシス(Scopulariopsis)属、ペトリエラ(Petriella)属等が示され、これらは1種類のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。本発明の脱臭剤に含有される糸状菌として、さらに詳しくは、例えば、マイクロアスカス・サイロサス(Microascus cirrosus)、シューダルスヘリア・ボイディ(Pseudallescheria boydii)、スコプァリオプシス・ブレビカウリス(Scopulariopsis brevicaulis)、ペトリエラ・セチフェラ(Petriella setifera)等が示され、これらは1種類のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。マイクロアスカス・サイロサスとしては、特に、低含水率の環境下であっても優れた脱臭効果を発揮することが実証されているDC2b株を好適に用いることができる。
【0022】
本発明者らが、真核生物の18SリボソームRNAをコードする遺伝子が含まれる部分をPCRにより増幅して相同性を検証したところ、優れた脱臭効果を示すマイクロアスカス・サイロサスと、シューダルスヘリア・ボイディ、スコプァリオプシス・ブレビカウリス、およびペトリエラ・セチフェラ等は、98%以上という高い相同性を示すことが明らかにされている。従って、シューダルスヘリア・ボイディ、スコプァリオプシス・ブレビカウリス、およびペトリエラ・セチフェラ等は、マイクロアスカス・サイロサスと同様に、優れた脱臭効果を発揮できると考えられる。
【0023】
本発明に係る糸状菌であるマイクロアスカス属の糸状菌のうち、DC2b株は、下記の通り寄託機関に寄託されている。
(i)寄託機関の名称・住所
名称:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8
(ii)受託日:平成19年3月14日
(iii)受託番号:NITE P−337
【0024】
本発明の脱臭剤は、揮発性脂肪酸分解性糸状菌のみからなるものでもよく、さらに水等の溶媒が含まれていてもよい。
【0025】
本発明の脱臭剤を用いれば、有機性汚泥の含水率に関わらず有機性汚泥の脱臭が可能となる。特に、有機酸や、乾燥汚泥に特有なアルデヒド類の臭気の発生を抑制できる。本発明の脱臭剤は、極めて少量を有機性汚泥に添加するだけで脱臭効果を発揮するため、有機性汚泥と脱臭剤との配合により有機性汚泥の含水率をほとんど増加させない。また、汚泥発熱量の低下に結び付く有機性汚泥中の無機成分量の大幅な増加や有機成分量の大幅な減少をもたらさず、燃焼の際に設備腐食の原因となる塩素等のハロゲン元素含有量も増加させない。
【0026】
次に、本発明の脱臭方法について説明する。本発明の脱臭方法とは、第1工程:有機性汚泥と揮発性脂肪酸分解性糸状菌とを配合する工程、第2工程:前記第1工程で汚泥と配合された糸状菌を培養する工程を有するところに特徴を有する。
【0027】
本発明の脱臭方法で用いられる糸状菌としては、例えば、本発明の脱臭剤に含有される糸状菌を挙げることができる。前記例示した糸状菌のうち、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0028】
本発明で用いられる有機性汚泥とは、有機物を含むものであれば特に制限されず、有機物のほかに無機物を含んでいてもよい。有機性汚泥としては、例えば、下水処理、し尿処理、食品工場や紙パルプ工場等から発生する有機性排水の処理、家畜糞尿等の畜産廃棄物の処理等により発生する汚泥が挙げられる。これらの汚泥は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0029】
前記各処理では、処理プロセスに応じて様々な種類の汚泥が発生するが、本発明に用いられる有機性汚泥は処理プロセスに制限を受けるものではなく、例えば、初沈汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、活性汚泥、消化汚泥等を用いることができる。これらの汚泥には凝集剤等の各種薬剤が添加されていてもよい。これらの汚泥は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0030】
前記各汚泥は、種々の固液分離処理や熱処理が施されることにより、含水率が低減されていてもよい。例えば、濃縮処理により得られる濃縮汚泥、脱水処理により得られる脱水汚泥、乾燥処理により得られる乾燥汚泥等を用いることができる。前記各処理では、凝集剤等の各種薬剤が汚泥に添加されてもよい。しかしながら、本発明に用いられる有機性汚泥は固形であるものが好ましく、例えば、脱水汚泥および乾燥汚泥を用いることが好ましい。
【0031】
本発明で用いられる有機性汚泥の含水率は、15質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。含水率が15質量%以上であれば、糸状菌の活性を高くすることができ、優れた脱臭効果が得られやすくなる。含水率の上限は特に制限されるものではないが、固形性の汚泥が得やすい点で、含水率は90質量%以下が好ましい。なお、本発明の脱臭方法は、乾燥汚泥等のように含水率が低い汚泥でも脱臭効果を発揮し、乾燥処理により新たに発生するアルデヒド類の臭気も抑制できる点に特徴を有するものである。本発明の脱臭方法を、そのような汚泥の脱臭に特化するのであれば、含水率は70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。なお、含水率は、JIS K 0068の乾燥減量法により測定される。
【0032】
本発明で用いられる有機性汚泥のpHは、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、6.5以上がさらに好ましい。また、pHは、10以下が好ましく、9.5以下がより好ましく、9以下がさらに好ましい。pHが5以上10以下の範囲にあれば、糸状菌の活性を高くすることができ、優れた脱臭効果が得られやすくなる。
【0033】
なお、汚泥のpHは次のように測定する。汚泥に、汚泥質量(湿潤状態)の10倍の質量の蒸留水を添加し、1時間撹拌した後、6000G、4℃の条件で10分間遠心分離し、上澄み液を得る。得られた上澄み液のpHを、ガラス電極を用いたpH計により測定し、その値を汚泥のpHとする。
【0034】
有機性汚泥のpHは、排水および汚泥の発生源、処理プロセスの組み合わせ、各処理プロセスでの処理方法等により変化する。例えば、脱水処理において石灰等の塩基性の薬剤が汚泥に添加される場合は、得られる脱水汚泥はアルカリ性となりやすい。一方、脱水処理においてポリ鉄等の酸性の薬剤が添加される場合は、得られる脱水汚泥は酸性となりやすい。従って、pH調整をしなくても有機性汚泥のpHが5〜10の範囲にある場合は、特にpH調整を行わなくてもよい。
【0035】
有機性汚泥のpHが10を超える場合は、有機性汚泥に酸性の薬剤を添加すればよい。前記酸性薬剤としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ホウ酸等が挙げられる。有機性汚泥のpHが5を下回る場合は、有機性汚泥に塩基性の薬剤を添加すればよい。前記塩基性薬剤としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0036】
有機性汚泥のpH調整は、有機性汚泥が得られるまでの任意の処理プロセスでpH調整のための薬剤を添加したり、既に添加されている薬剤の種類や添加率を変更したり、薬剤の添加を止めることにより、行ってもよい。また、pHの異なる複数種類の汚泥を適宜混合して、pHを5〜10の範囲に調整してもよい。処理プロセスを変更したり、水処理に供される排水の種類や量を適宜選択することで、得られる有機性汚泥のpHを調整してもよい。従って、本発明で用いられる有機性汚泥のpHの調整方法は特に制限されるものでなく、本発明の脱臭方法を行う前段において、必要に応じて適当な方法を実施すればよい。
【0037】
第1工程において、有機性汚泥と糸状菌とを配合する方法は特に限定されず、例えば、有機性汚泥に糸状菌を添加する方法が示される。糸状菌を添加する際、添加される糸状菌の形態は特に限定されず、例えば、糸状菌を固体として添加してもよく、糸状菌を水等の溶媒に懸濁させた懸濁液として添加してもよい。
【0038】
有機性汚泥と糸状菌とを配合する方法として、有機性汚泥と、揮発性脂肪酸分解性糸状菌を含有する汚泥とを配合する方法を採用してもよい。例えば、既に有機性汚泥と糸状菌とが配合されている汚泥を種汚泥として用い、種汚泥を有機性汚泥に添加する方法、種汚泥に有機性汚泥と糸状菌とを添加する方法等が挙げられる。この場合、糸状菌を単離した状態で有機性汚泥に加えなくてもよいため、脱臭処理の際の操作が容易となる。
【0039】
糸状菌を懸濁液として有機性汚泥に加える場合、有機性汚泥100質量部に対し糸状菌懸濁液を例えば1質量部未満しか添加しなくても、脱臭効果が発揮される。また、種汚泥に有機性汚泥を添加する場合では、有機性汚泥の含水率は実質上変化しない。従って、本発明の脱臭方法では、脱臭剤の添加により汚泥の含水率がほとんど増加しないか実質上変化しない。
【0040】
本発明の脱臭方法は、回分処理、連続処理等、いずれの処理方式で行ってもよい。
【0041】
回分処理で行う場合、有機性汚泥と糸状菌とを配合する方法は、例えば、有機性汚泥に糸状菌を添加する方法、既に有機性汚泥と糸状菌とが配合されている汚泥を種汚泥として用い、種汚泥を有機性汚泥に添加する方法等が挙げられる。この場合、有機性汚泥と糸状菌とを配合した後、有機性汚泥に配合された糸状菌を所定期間培養することで、脱臭汚泥を得ることができる。有機性汚泥と糸状菌とが配合された汚泥は、培養時、何もせずにそのまま放置してもよく、適宜撹拌等行ってもよい。
【0042】
連続処理で行う場合、有機性汚泥と糸状菌とを配合する方法は、例えば、既に有機性汚泥と糸状菌とが配合されている汚泥を種汚泥として用い、種汚泥に有機性汚泥を添加する方法、種汚泥に有機性汚泥と糸状菌とを添加する方法等が挙げられる。この場合、糸状菌を培養する培養系には種汚泥が常に存在していることが好ましい。例えば、種汚泥の存在下、有機性汚泥を培養系に一定量加え、培養系から一定量の汚泥を脱臭汚泥として引き抜く方法が示される。
【0043】
連続処理で行う場合、培養系に有機性汚泥を加える操作と培養系から汚泥を引き抜く操作は、同時に行ってもよく、異なるタイミングで行ってもよい。また、培養系に有機性汚泥を加える操作と培養系から汚泥を引き抜く操作は、各々、連続的に行ってもよく、必要なタイミングで適宜行ってもよい。
【0044】
連続処理で行う場合、培養系が完全混合されるような条件で培養を行ってもよく、培養系に加えられた汚泥が順次排出側に移動して培養系から引き抜かれるような、いわゆるプラグフローの条件で培養を行ってもよい。また、完全混合とプラグフローの中間的な条件、例えば、全体的にはプラグフローではあるが、部分的な撹拌等が適宜行われることにより、部分的には混合されているような条件等で培養を行ってもよい。
【0045】
培養温度は、15℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましい。また、培養温度は、45℃以下が好ましく、42℃以下がより好ましく、37℃以下がさらに好ましい。培養温度が15℃以上45℃以下であれば、糸状菌の活性を高くすることができ、優れた脱臭効果が得られやすくなる。なお、培養温度とは、培養時の有機性汚泥の温度を意味する。
【0046】
培養温度が15℃未満となる場合は、加熱手段を用いて培養温度を適宜調整すればよい。例えば、有機性汚泥内部に加熱手段を配置したり、培養時に有機性汚泥が置かれる容器の外部に加熱手段を配置して、外部から汚泥を間接加熱したり、培養時に有機性汚泥が置かれる雰囲気に加熱空気を導入したりして、培養温度を上げればよい。培養温度が45℃を超える場合は、冷却手段を用いて培養温度を適宜調整すればよい。例えば、有機性汚泥内部に冷却手段を配置したり、培養時に有機性汚泥が置かれる容器の外部に冷却手段を配置して、外部から汚泥を間接的に冷却したり、培養時に有機性汚泥が置かれる雰囲気に冷却空気や外部空気を導入したりして、培養温度を下げればよい。
【0047】
培養時に、糸状菌と有機性汚泥とが配合された汚泥が置かれる環境は特に限定されない。糸状菌と有機性汚泥とが配合された汚泥は、例えば、大気に開放されるように配置してもよく、密閉容器内に有機性汚泥を配置してもよい。密閉容器内に前記汚泥を配置する場合は、容器内の空気は通気等により適宜入れ替えてもよい。
【0048】
培養期間は、有機性汚泥の含水率、有機性汚泥のpH、有機性汚泥と糸状菌との配合割合、培養温度、所望する脱臭効果等に応じて適宜調整すればよい。しかしながら、培養期間は、1日以上が好ましく、2日以上がより好ましく、4日以上がさらに好ましい。培養期間を1日以上とすることで、優れた脱臭効果が得られやすくなる。培養期間とは、回分処理においては、有機性汚泥と糸状菌とが配合されてから、培養装置や培養設備等といった培養するための領域から出るまでの時間を意味する。連続処理においては、培養期間とは、前記培養するための領域における汚泥の滞留時間を意味する。なお、汚泥の滞留時間は、(培養するための領域中の汚泥量)÷(培養するための領域から引き抜かれる1日当たりの汚泥量)から算出される。
【0049】
本発明の脱臭方法は、さらに、第3工程として、前記第2工程で得られた汚泥を加熱する工程を有してもよい。汚泥を加熱する工程を付加することで、得られる汚泥の臭気がより低減するとともに、汚泥の含水率が低減することにより、汚泥の用途範囲が広がる。
【0050】
第3工程で得られる汚泥の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。含水率が10質量%以下であれば、得られる汚泥の臭気がさらに低減するとともに、汚泥の用途範囲が広がる。例えば、本発明の脱臭方法により得られる脱臭汚泥を固形燃料に利用する場合は、汚泥の含水率が低い方が、汚泥質量(湿潤状態)ベースでの発熱量が増加するため特に好ましい。
【0051】
汚泥を加熱する方法は特に制限されず、公知の汚泥乾燥方法を用いることができる。
【0052】
加熱温度や加熱時間は、汚泥の含水率を低減できる条件であれば、特に制限されない。しかしながら、加熱温度は60℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。また、加熱温度は250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。加熱温度が60℃以上であれば、汚泥から水分を効率的に除去でき、得られる汚泥の臭気をさらに抑制しやすくなる。加熱温度が250℃以下であれば、汚泥の炭化や燃焼を引き起こすことなく汚泥から水分を除去することが容易となる。なお、加熱時間は、加熱温度や、得られる汚泥の所望する含水率等に応じて、適宜調整すればよい。
【0053】
本発明の脱臭方法により得られる脱臭汚泥は、臭気が大幅に低減されているため、汚泥の取り扱い性や作業環境が改善される。また、脱臭処理により汚泥の含水率がほとんど増加せず、第3工程の加熱処理を組み合わせれば含水率の低下した汚泥を得ることができる。さらに、有機性汚泥のpH調整が不要な場合、あるいはpH調整が必要な場合でも適当な薬剤を選定すれば、汚泥発熱量の低下に結び付く大幅な無機成分量の増加や大幅な有機成分量の減少がないとともに、燃焼の際に設備腐食の原因となる塩素等のハロゲン元素含有量の増加がない脱臭汚泥を得ることができる。従って、本発明の脱臭方法により得られる脱臭汚泥は、固形燃料として特に好適に用いることができる。
【0054】
本発明の脱臭方法により得られた脱臭汚泥を含有する固形燃料は、単独で燃料として用いてもよいし、他の燃料と混合して用いてもよい。本発明の固形燃料は、カーボンニュートラルという性質を有することから、特に化石燃料の代替品として用いることが効果的である。例えば、固形性の化石燃料である石炭の代替品として、石炭火力発電所や石炭を燃料として用いる産業用ボイラ等で用いることができる。
【実施例】
【0055】
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0056】
<分析方法>
[汚泥の含水率の測定方法]
汚泥の含水率は、JIS K 0068の乾燥減量法により測定した。すなわち、汚泥を送風式定温乾燥機により105℃で乾燥させ、その際の質量減少割合を含水率とした。なお、乾燥時間は14時間とした。
【0057】
[汚泥の強熱減量の測定方法]
汚泥の強熱減量は、JIS K 0067により測定した。すなわち、105℃で乾燥処理した汚泥をマッフル炉により600℃で2時間加熱し、その際の重量減少割合を強熱減量とした。
【0058】
[汚泥のpHの測定方法]
汚泥に、汚泥質量(湿潤状態)の10倍の質量の蒸留水を添加し、1時間撹拌した後、6000G、4℃の条件で10分間遠心分離し、上澄み液を得た。得られた上澄み液のpHを、ガラス電極を用いたpH計により測定し、その値を汚泥のpHとした。
【0059】
[汚泥中の有機酸およびアルデヒド含有量の測定方法]
汚泥に、汚泥質量(湿潤状態)の10倍の質量の蒸留水を添加し、1時間撹拌した後、6000G、4℃の条件で10分間遠心分離し、上澄み液を得た。得られた上澄み液を0.22μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、ろ液を得た。実験1では、ろ液中に含まれる有機酸を、検出器として電気伝導度検出器を備えた高速液体クロマトグラフィーにより測定した。なお、高速液体クロマトグラフィー分析は、JIS K 0124に従い行った。実験2では、ろ液中に含まれる有機酸を、検出器として水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフにより測定した。なお、ガスクロマトグラフ分析は、JIS K 0114に従い行った。ろ液中に含まれるアルデヒドは、ガスクロマトグラフ質量分析により測定した。なお、ガスクロマトグラフ質量分析は、JIS K 0123に従い行った。
【0060】
[汚泥の嗅覚試験方法]
容量50mLのプラスチック容器に2gの汚泥をとり、鼻から3cm離れたところに汚泥の入ったプラスチック容器を置き、臭いをかいだ。
【0061】
(1)実験1:バッチ実験
[製造例1]
下水処理により発生した混合生汚泥を脱水して得られた含水率82.4質量%、強熱減量81.8質量%の脱水汚泥を、送風式定温乾燥機により60℃で6時間乾燥させて、含水率43.4質量%の乾燥汚泥を得た。一方、マイクロアスカス・サイロサス(Microascus cirrosus)[独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター受託番号:NITE P−337]をYM(0.3% Yeast extract, 0.3% Malt extract, 0.5% Peptone, 1% Glucose)寒天培地にて培養して得られた糸状菌を、OD600が1.0となるように蒸留水10mLに懸濁させ、糸状菌懸濁液を調製した。前記乾燥汚泥30gを卓上ミルにより軽く破砕し、そこに糸状菌懸濁液200μLを添加し、それを汚泥1とした。なお、汚泥1を送風式定温乾燥機により60℃で6時間乾燥させて含水率2.4質量%としたものを、汚泥1の嗅覚試験用の試料とした。
【0062】
[製造例2]
前記汚泥1を500mLのプラスチック容器に仕込み、容器に蓋をして、30℃で4日間培養し、得られた汚泥を汚泥2とした。培養の間、1日1回容器の蓋を開けて空気の入れ換えをするとともに、汚泥を軽くかき混ぜた。汚泥2はそのまま有機酸およびアルデヒド含有量の測定用の試料として用いるとともに、汚泥2を送風式定温乾燥機により60℃で6時間さらに乾燥させて含水率2.0質量%としたものを嗅覚試験用の試料として用いた。
【0063】
[製造例3]
製造例1において、脱水汚泥に生石灰を汚泥質量(湿潤状態)に対し0.63質量%添加して混合し、それを送風式定温乾燥機により60℃で6時間乾燥させた以外は、製造例1,2と同様の操作を行い汚泥3を得た。生石灰は、汚泥のpH調整剤として用いた。汚泥3の嗅覚試験では、製造例2と同様に汚泥3を乾燥処理して含水率1.9質量%としたものを、試験用の試料として用いた。
【0064】
[製造例4]
製造例1において、脱水汚泥に生石灰を汚泥質量(湿潤状態)に対し1.25質量%添加して混合し、それを送風式定温乾燥機により60℃で6時間乾燥させた以外は、製造例1,2と同様の操作を行い汚泥4を得た。生石灰は、汚泥のpH調整剤として用いた。汚泥4の嗅覚試験では、製造例2と同様に汚泥4を乾燥処理して含水率2.2質量%としたものを、試験用の試料として用いた。
【0065】
<測定結果>
汚泥1〜4の有機酸およびアルデヒド含有量の測定結果を表1に示す。なお、表1において、有機酸およびアルデヒド含有量は、汚泥乾燥質量当たりの含有量を表す。汚泥乾燥質量とは、送風式定温乾燥機にて105℃で14時間以上乾燥させた汚泥の質量を意味する。
【0066】
汚泥1は、有機性汚泥に糸状菌を配合しただけの汚泥で、培養日数は0日である。汚泥1を用いて4日間培養した汚泥2では、有機酸およびアルデヒド類の含有量が一部低下した。pH調整をした上で培養した汚泥3,4では、有機酸およびアルデヒド類の含有量が大幅に低下した。
【0067】
汚泥1〜4の嗅覚試験測定結果を表2に示す。汚泥の嗅覚試験を行った結果、汚泥1,2では明らかな臭気の発生が認められたが、汚泥3,4では臭覚で感知できる臭気は大幅に低減していた。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
(2)実験2:連続実験
[製造例5]
下水処理により発生した混合生汚泥を脱水して得られた含水率80.3質量%、強熱減量82.9質量%、pH5.4の脱水汚泥に、生石灰を汚泥質量(湿潤状態)に対し1.0質量%添加して混合し、送風式定温乾燥機により105℃で4.0時間乾燥させて、含水率33.2質量%、pH8.1の乾燥汚泥を得た。得られた乾燥汚泥100gを卓上ミルにより軽く破砕し、そこに汚泥3を種汚泥として10g加えて混合して種汚泥混合乾燥汚泥を得て、それを円筒形ガラスカラム(φ50mm×500mm)に充填高さ約120mmとなるように充填した。種汚泥混合乾燥汚泥を充填したカラムを、30℃に保持された培養器に入れ、適宜カラムから汚泥を分析用に採取しながら、最大112時間培養した。培養中、カラム底部より、水中を通過させることにより得た湿潤空気を、100mL/minの風量で1分間送風、1分間停止を繰り返し、送風した。培養期間中、種汚泥混合乾燥汚泥の含水率は、ほとんど変化しなかった。
【0071】
[製造例6]
製造例5において、乾燥汚泥に汚泥3を種汚泥として加えなかった以外は、製造例5と同様の操作を行った。
【0072】
[製造例7]
製造例5において、送風式定温乾燥機により105℃で4.5時間乾燥させて、含水率27.8質量%、pH8.1の乾燥汚泥を得て、得られた乾燥汚泥を種汚泥と混合して最大136時間培養した以外は、製造例5と同様の操作を行った。
【0073】
[製造例8]
製造例7において、乾燥汚泥に汚泥3を種汚泥として加えなかった以外は、製造例7と同様の操作を行った。
【0074】
<測定結果>
製造例5,6で得た汚泥の有機酸含有量測定結果を図1に、製造例7,8で得た汚泥の有機酸含有量測定結果を図2に示す。なお、各図において、有機酸含有量は、汚泥乾燥質量当たりの含有量を表す。汚泥乾燥質量とは、送風式定温乾燥機にて105℃で14時間以上乾燥させた汚泥の質量を意味する。
【0075】
図1の結果より、種汚泥を加えた製造例5で得た汚泥では、培養時間16時間で、種汚泥を加えない製造例6で得た汚泥よりも、有機酸含有量が減少した。製造例6で得た汚泥では、培養時間112時間でも、汚泥中の有機酸含有量はほとんど変化しなかったが、製造例5で得た汚泥では、培養時間64時間で、汚泥中の有機酸がほとんど分解された。
【0076】
図2の結果より、種汚泥を加えた製造例7で得た汚泥では、培養時間40時間で、種汚泥を加えない製造例8で得た汚泥よりも、有機酸含有量が減少した。製造例8で得た汚泥では、培養時間136時間でも、汚泥中の有機酸含有量はほとんど変化しなかったが、製造例7で得た汚泥では、培養時間136時間で、汚泥中の有機酸がほとんど分解された。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の脱臭方法および脱臭剤は、下水処理、し尿処理、食品工場や紙パルプ工場等から発生する有機性排水の処理、家畜糞尿等の畜産廃棄物の処理等により発生する有機性汚泥の脱臭に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】製造例5,6で得た汚泥の有機酸含有量測定結果(培養時間ごとの有機酸含有量の変化)である。
【図2】製造例7,8で得た汚泥の有機酸含有量測定結果(培養時間ごとの有機酸含有量の変化)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1工程:有機性汚泥と揮発性脂肪酸分解性糸状菌とを配合する工程、
第2工程:前記第1工程で有機性汚泥と配合された前記糸状菌を培養する工程
を有することを特徴とする有機性汚泥の脱臭方法。
【請求項2】
前記揮発性脂肪酸分解性糸状菌として、マイクロアスカス・サイロサス(Microascus cirrosus)を用いる請求項1に記載の脱臭方法。
【請求項3】
前記有機性汚泥の含水率が15質量%〜90質量%である請求項1または2に記載の脱臭方法。
【請求項4】
前記有機性汚泥のpHを5〜10の範囲とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱臭方法。
【請求項5】
前記第2工程において、前記第1工程で有機性汚泥と配合された前記糸状菌を1日以上培養する請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱臭方法。
【請求項6】
前記第2工程において、15℃〜45℃の範囲で培養する請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱臭方法。
【請求項7】
さらに、第3工程:前記第2工程で得られた汚泥を加熱する工程を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱臭方法。
【請求項8】
前記第1工程において、有機性汚泥と、揮発性脂肪酸分解性糸状菌を含有する汚泥とを配合する請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱臭方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法で得られた脱臭汚泥を含有することを特徴とする固形燃料。
【請求項10】
揮発性脂肪酸分解性糸状菌を含有することを特徴とする有機性汚泥用脱臭剤。
【請求項11】
前記揮発性脂肪酸分解性糸状菌がマイクロアスカス・サイロサス(Microascus cirrosus)である請求項10に記載の有機性汚泥用脱臭剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−246326(P2008−246326A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88975(P2007−88975)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】