説明

有機材料の均質な混合物

有機発光デバイスで使用する基板上の有機層を発生する熱物理蒸着で使用するペレットを形成するため、粉末有機材料を混合し、少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む均質な混合物を形成する。混合する方法は、粉末形態の有機材料を結合し粉末有機材料を容器内に配置するステップと、湿気を除去するため10-1〜10-3トールの範囲内の低い圧力まで容器内の雰囲気をパージしながら、40〜100℃の温度範囲で30〜100分間容器を加熱するステップと、容器に不活性雰囲気を充填するステップと、粉末有機材料の均質な混合物を形成するため不活性雰囲気中で粉末有機材料を混合するステップと、ペレットを形成するため粉末有機材料の均質な混合物を圧密化するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLEDディスプレイの一部を形成する基板上に物理蒸着によって有機層を製造する際使用する2つかそれ以上の粉末有機材料成分の均質な混合物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電場発光デバイスとしても知られる、有機発光ダイオード(OLED)は、第1及び第2の基板の間に2つかそれ以上の有機層を挟むことによって構成することができる。
【0003】
有機発光デバイスを構成する際有用な有機材料、蒸着した有機層の厚さ、及び層の構成は、その開示を引用によって本出願の記載に援用する、同じ譲受人に譲受された米国特許第4,356,429号、第4,539,507号、第4,720,432号、及び第4,769,292号に記載されている。
【0004】
例えば、正孔輸送材料、有機ドーパントを伴う有機発光材料、及び有機電子輸送材料といった、OLEDディスプレイを製造する際有用な有機材料は、分子結合力が比較的弱い、比較的複雑な分子構造を有することがあるので、物理蒸着の際有機材料の分解を避けるよう注意を払わなければならない。
【0005】
上記の有機材料は比較的高純度に合成され、粉末、フレークまたは顆粒の形態で提供される。こうした粉末またはフレークはこれまで物理蒸着源に配置するために使用されており、そこでは粉末有機材料の昇華または蒸発によって蒸気を形成するため熱が印加され、蒸気は基板上に凝結して有機層を形成する。ホスト及びドーパントの成分といった、1つより多い有機成分を有する層を形成するためには、有機成分が基板上に層を形成する前に蒸気の状態で混合するように、2つの隣接する蒸着源から同時蒸着することが望ましい。
【0006】
同時蒸着処理は、(a)ドーパント及びホスト両方の成分の有機材料の蒸着源を収容するため蒸着チャンバが大型でなければならない、(b)蒸着を完了するために必要な大型のチャンバは高価である、(c)チャンバが大きくなればなるほど、蒸発の前にチャンバの圧力を下げるために必要な時間が長くなる、及び(d)ホストまたはドーパントの成分の材料を含む各蒸着源は独立した電源によって気化しなければならないので、同時蒸着処理の費用が増大する、を含むいくつかの欠点を有する。
【0007】
個々の蒸着源各々の蒸発率は、基板上に蒸着する有機層の化学組成を決定するため極めて重要である。別言すれば、蒸着率は、所与の長さの時間に基板上に蒸着する蒸気の量を決定する。有機層中のドーパント成分の質量比率はホスト成分より低いので、ドーパント成分の蒸着率を相応に調整することは絶対必要である。個々の蒸着源の蒸発率が正確に制御されないならば、基板上に蒸着する蒸気の化学組成は効率の高いOLEDディスプレイを形成するために必要なものと異なってしまうだろう。
【0008】
また、粉末有機材料、フレークまたは顆粒の同時蒸着に関連するいくつかの問題が発見されている。そうした問題は下記のものを含む。
(i)粉末、フレーク、または顆粒は、摩擦帯電と呼ばれる作用によって静電荷を帯びることがあるので、取り扱いが困難である。
(ii)有機材料の粉末、フレーク、または顆粒は一般に、約1g/cm3という理想的な固体有機材料の物理的密度(単位体積当たりの質量によって表す)と比較して、およそ0.05〜0.2g/cm3という比較的低い物理的密度を有する。
(iii)有機材料の粉末、フレーク、または顆粒は、特に、10-6トール程度の低い圧力まで排気したチャンバ内に配置した物理蒸着源内にある時望ましくない低い熱伝導率を有する。その結果、粉末粒子、フレーク、または顆粒は、熱源からの放射加熱、及び熱源の加熱した表面に直接接触する粒子またはフレークの伝導加熱のみによって加熱される。熱源の加熱した表面に接触しない粉末粒子、フレーク、または顆粒は、粒子と粒子の接触面積が比較的小さいため有効に加熱されない。
(iv)粉末、フレーク、または顆粒は通常、高い表面積/体積の比を有し、それに対応して、周囲条件下で粒子の間に空気及び湿気を捕える強い傾向を有する。その結果、一旦チャンバを排気して減圧したら、チャンバ内に配置した物理蒸着源に装填した有機粉末、フレーク、または顆粒は蒸着源を予熱することによって完全にガス抜きしなければならない。
【0009】
ガス抜きを省略したり不完全であったりするならば、物理蒸着処理中粒子が蒸着源から放出されることがある。多数の有機層を有するOLEDは、有機層が粒子または微粒子を含む場合機能しなくなることがある。物理蒸着法を使用してOLEDディスプレイを製造する粉末有機材料の圧密化は、その開示を引用によって本出願の記載に援用する、同じ譲受人に譲受された米国特許出願公開第2003/0008071号でヴァン・スライク(Van Slyke)他が記載している。
【0010】
有機粉末、フレーク、または顆粒の上記の態様の各々、またはそれらの組み合わせは、物理蒸着源内でのこうした有機材料の不均一な加熱と、それに付随する有機材料の空間的に不均一な蒸発を生じることがあり、その結果、構造上に形成された蒸着有機層が不均一になる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、OLEDディスプレイの一部を形成する構造上に有機層を製造するために適応可能な粉末有機材料を混合する方法及び機構を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、OLEDディスプレイの一部を形成する構造上に有機層を製造するために適応可能な少なくとも1つのホストと少なくとも1つのドーパントとを含む粉末有機材料の均質な混合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、有機発光デバイスで使用するための基板上に有機層を発生するため熱物理蒸着で使用するペレットを形成する少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む粉末有機材料の均質な混合物を形成する方法であって、
a)少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む粉末形態の有機材料を結合し、粉末有機材料を容器内に配置するステップと、
b)容器の雰囲気から湿気を除去するため、雰囲気が10-1〜10-3トールの範囲内の低い圧力に達するように容器内の雰囲気をパージしながら、粉末有機材料を有する容器を40〜100℃の温度範囲で30〜100分間加熱するステップと、
c)容器に不活性雰囲気を充填するステップと、
d)粉末有機材料の均質な混合物を形成するため混合機構を使用して不活性雰囲気中で粉末有機材料を混合するステップと、
e)有機発光デバイスで使用するための基板上に有機層を発生するため熱物理蒸着に適したペレットを形成するため粉末有機材料の均質な混合物を圧密化するステップとを含む方法によって達成される。
【0014】
これらの目的はさらに、有機発光デバイスで使用するための基板上に有機層を発生する熱物理蒸着のためのペレットを形成する際使用する均質な混合物を提供するため少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む粉末有機材料を混合する装置であって、
a)少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む粉末有機材料の混合物を収容する容器と、
b)粉末有機材料の混合物を混合するため容器内に配置した混合機構と、
c)容器から湿気を除去する手段と、
d)不活性雰囲気を容器に提供する手段と、
e)第1の周期運動によって混合機構を移動させる第1の周期運動手段と、
f)有機発光デバイスで使用するための基板上に有機層を発生する熱物理蒸着のためのペレットを形成する際使用する均質な混合物を提供するため、第2の周期運動によって容器を移動させる第2の周期運動手段とを備える装置によって達成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の特徴は、乾燥混合の上記の方法は非常に高速で費用効果が高いことである。
【0016】
乾燥混合の別の特徴は、有機混合物を汚染する可能性のある化学物質の追加がないことである。
【0017】
本発明の別の特徴は、単一の蒸発源から蒸発することができる有機材料の均質な混合物を提供し、それによって単一成分材料の同時蒸着に関連する問題を回避する有効な方法である。
【0018】
本発明の別の特徴は、有機材料の均質な混合物から圧密化したペレットを形成し、それによって有機粉末、フレークまたは顆粒の蒸発に関連する問題を回避できることである。
【0019】
本発明の別の特徴は、有機材料の均質な混合物から形成した圧密化したペレットが、単一成分材料の場合のように、多数の蒸着源からの同時蒸着ではなく単一の蒸着源からより長い持続期間にわたって気化できることである。
【0020】
「粉末」という用語は、本出願では、単一または複数の分子種を含む多様な粒子及び形状のフレーク、顆粒、または混合物でもよい、ある量の個々の粒子を示すために使用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
OLEDディスプレイの有機層は、層内の電子−正孔再結合の結果、電場発光(EL)として知られる光を発生する有機または有機金属材料を含む。以下、「有機」という用語は純粋な有機材料及び有機金属材料の両方を含むものとする。
【0022】
ここで図1を参照すると、概略フローチャートは乾燥混合処理100を示す。乾燥混合処理100は、粉末有機材料の混合物125を形成するためホスト成分有機粉末110とドーパント成分有機粉末120とを有する粉末形態の有機材料を結合するステップと、混合物を容器135内に配置するステップとを含む。粉末有機材料の混合物125の用途及び機能に応じて、ドーパント成分120は、総混合物質量の0.1質量%から20質量%まで変化してもよい。本発明でホスト成分110として使用する有機粉末はAlq3、NPB及びTBADNである。本発明で使用するいくつかの有機ドーパント成分120の例はDCJTP、ルブレン、OP31、DPQA及びDBzRである。
【0023】
粉末有機材料の混合物125を収容する容器135を真空炉内に配置する。粉末有機材料125を有する容器135は、粉末有機材料125の湿度を低下させるため雰囲気を10-1〜10-3トールの範囲内の低い圧力までパージしながら、40〜100℃の温度範囲で30〜100分間加熱する。混合を促進しむらのない化学成分を維持するため粉末有機材料125から湿気を除去することが重要である。粉末有機材料の混合物125は、混合するまで10-1〜10-3トールの低い圧力で貯蔵すればよい。
【0024】
混合は通常プロペラ混合によって達成し、その際プロペラまたはタービンブレード140を使用して粉末有機材料の混合物125を混合し、粉末有機材料の均質な混合物180を形成する。また、超音波ホーン130を使用して超音波混合を完了してもよい。気化及び加熱によって湿気を除去した後、通常プロペラまたはタービンブレード140である混合機構を容器135内に配置する。容器135は、気密シールを保持しながら、プロペラまたはタービンブレード140を通過させる少なくとも1つの密閉式開口を有する容器カバー(図示せず)を使用して密閉する。
【0025】
容器135を密閉した後、周囲雰囲気を容器135から排気し、容器135に、窒素ガス、アルゴンガスまたはそれらの混合物といった不活性雰囲気を充填する。容器135は、容器135へのガスの流れを制御する吸気圧力制御装置253(図2参照)と、容器135からのガスの排気を制御する排気圧力制御装置254(図2参照)とを装備している。容器135を密閉し不活性雰囲気を容器内に提供した後、粉末有機材料の混合物125を混合し粉末有機材料の均質な混合物180を形成する。粉末有機材料を混合する装置は図2の詳細な説明で説明する。
【0026】
粉末有機材料の均質な混合物180を得た後、それを容器135から取り出し、圧密化して有機発光デバイスで使用する基板上の有機層を発生する物理蒸着に適したペレットを形成する。ペレットは3,000〜20,000ポンド/平方インチの範囲内の圧力で圧密化する。
【0027】
図2を参照すると、粉末有機材料を混合する装置200の断面図が示される。装置は、混合中粉末有機材料の混合物を収容する容器250と、粉末有機材料の混合物を混合するため容器250内に配置した混合機構205とを含む。混合機構205は通常、第1の回転式シャフト220に取り付けたプロペラまたはタービンブレード210である。プロペラ210は高速で回転し、粉末有機材料を混合して均質な混合物を得る。容器250は、好適には混合処理を目視するため透明なガラス容器であり、気密容器カバー240と嵌合する。粉末有機材料の均質な混合物が得られたことを監視者が決定できるように、透明な容器250を通じて混合処理を視覚的に監視すればよい。容器カバー240は容器250内の密閉した雰囲気を提供し、プロペラまたはタービンブレード210を容器250内に挿入して粉末を混合するように第1の回転式シャフト220を挿入できる少なくとも1つの密閉式開口を有する。
【0028】
また、容器250は、2つの圧力制御装置を装備している。1つの吸気圧力制御装置253は、容器内に不活性雰囲気を提供する流れ弁及び放出弁を有する。排気圧力制御装置255は、容器から湿気を除去する流れ弁及び放出弁を有する。第2の圧力制御装置は、混合の前に不活性雰囲気に置き換えられる、周囲雰囲気を容器250からパージするため、負の圧力勾配を提供することができる真空ポンプ(図示せず)に結合される。不活性雰囲気は通常、窒素ガス、アルゴンガスまたはそれらの混合物である。混合後、不活性雰囲気をパージしてもよい。不活性雰囲気は、何らかの吸湿性粉末有機材料の化学的性質を変化させることのある水分の導入を回避する乾燥雰囲気を提供し、混合を支援する。
【0029】
モータ260は回転方向230に第1の回転式シャフト220を駆動する。第1の回転式シャフトは20,000〜50,000回転/分の範囲内の速度で回転する。モータ260は横行ブラケット280の上に設置され、横行ブラケット280はベースプレート284の上に固定される。空気圧シリンダ270は、混合機構が混合処理中に容器250の一方の端部からもう一方まで横行するように、横行ブラケット280を往復運動272させる。往復運動272は、容器250の長さほど大きくない。混合機構は、30〜60サイクル/分の範囲内の速度で往復運動する。
【0030】
第2の回転式シャフト268は、ベルトプーリ機構264を介して電動モータ262によって駆動される。電動モータ262は、10〜60回転/分の範囲内の速度で、容器250に結合した第2の回転式シャフト268を回転させる。混合中、第2の回転式シャフト268は、第1の回転式シャフト220及び混合機構210の回転方向230と反対の回転方向232に回転してもよい。また、第2の回転式シャフト268は、第1の回転式シャフト220の回転方向230に対応する方向に回転してもよい。第1の回転式シャフト220と第2の回転式シャフト268とは、軸受支え290によって支持されたすべり軸受(図示せず)と結合する。
【実施例】
【0031】
例1:青色発光層
まず、2.0グラムの有機ドーパント粉末TBPと8.0グラムの有機ホスト粉末TBADNを気密ガラス容器内に配置した。容器を、図2について提供した詳細な説明で説明したような粉末有機材料を混合する装置と共に使用した。プロペラは、有機材料の均質な混合物が得られるまで、5〜7分間、約25,000回転/分で動作し、粉末有機材料を混合した。混合後、風媒性粒子を容器の内部に沈降させ、容器を開いて2.0グラムの有機材料の均質な混合物を圧密化のため分取した。
【0032】
粉末有機材料の均質な混合物を圧密化して物理蒸着に適したペレットにした。圧密化したペレットを石英ボート内に配置し、参照のため本出願の記載に援用する、ヴァン・スライク他、SID2002摘要、886〜889ページ、2002年によって説明される先行技術によるTaヒータを使用して上部から加熱した。以下の構造を有するいくつかのOLEDディスプレイを、インジウム−スズ酸化物アノードでコーティングしたガラス基板上に形成した。
正孔注入層:CFx:厚さ=5nm
HTL:NPB。厚さ=75nm
EML:TBADN+2%TBP。厚さ=:20nm
ETL:Alq3。厚さ=35nm
カソード:MgAg。厚さ=200nm
【0033】
初めに、5つのOLEDディスプレイを製造したが、その際質量が約2.0グラムの圧密化ペレットを使用することによってEMLを形成し、有機材料と上部を加熱した石英ボートとを使用してHTL及びETLといった他の有機層を形成した。1時間の連続気化の後、別の1組の5つのOLEDディスプレイを製造した。圧密化したペレットを、ペレットが完全に消費されるまで約200分間連続して加熱し、30分の間隔で1組の5つのOLEDディスプレイを製造した。シャッタは連続蒸着処理中基板を保護し、シャッタは、発光層を蒸着しOLEDディスプレイを形成する時だけ開いた。
【0034】
各組の5つのOLEDディスプレイの平均EL結果を表1に示す。グループAのOLEDディスプレイは、蒸着処理の初めに製造した5つのOLEDディスプレイの平均性能を示し、グループBのOLEDディスプレイは、120分の連続蒸着の後に製造した5つのディスプレイの平均性能を示し、グループCのOLEDディスプレイは、180分の蒸着の後に製造した5つのOLEDディスプレイを示す。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に要約される実験結果は、本発明によって形成した青色発光層の駆動電圧、輝度効率、及び色座標CIEx,yといったEL特性は蒸着処理の全期間を通じて均一であることを示しており、これは、98%のTBADN(ホスト)と2%のTBP(ドーパント)を含む有機材料の組成が変化しなかったことを示している。
【0037】
例2:赤色発光層
まず、0.5gの有機ドーパント粉末ルブレン、0.15gの別の有機ドーパント粉末DCJTB、4.675gの別の有機ホスト粉末Alq3を、高速プロペラ混合装置に取り付けたガラス容器内に配置した。高速プロペラは、有機材料の均質な混合物が得られるまで約5〜7分間、約25,000rpmで動作し、粉末有機材料を混合した。混合処理中乾燥アルゴンガスを容器内にパージし、Alq3が周囲の湿気にさらされないようにした。
【0038】
混合後、風媒性粒子をガラス容器の内部に沈降させ、容器を開いて2.0グラムの有機材料の均質な混合物を圧密化のため分取した。粉末有機材料の均質な混合物を圧密化して物理蒸着処理用のペレットにした。圧密化したペレットを石英ボート内に配置し、その際ペレットを、参照のため本出願の記載に援用する、ヴァン・スライク他、SID2002摘要、886〜889ページ、2002年によって説明される先行技術によるTaヒータを使用して上部から加熱した。以下の構造を有するいくつかのOLEDディスプレイを、インジウム−スズ酸化物アノードでコーティングしたガラス基板上に形成した。
正孔注入層:CFx:厚さ=5nm
HTL:NPB。厚さ=75nm
EML:ホスト−[TBADN+Alq3(1:1)]/ドーパント−5%ルブレン+1.5%DCJBT。厚さ=35nm
ETL:Alq3。厚さ=35nm
カソード:MgAg。厚さ=200nm
【0039】
初めに、5つのOLEDディスプレイを製造したが、その際質量が約2.0グラムの圧密化ペレットを使用することによってEMLを形成し、有機材料と上部を加熱した石英ボートとを使用してHTL及びETLといった他の有機層を形成した。1時間の連続気化の後、別の1組の5つのOLEDディスプレイを製造した。圧密化したペレットを、ペレットが完全に消費されるまで約200分間連続して加熱し、30分の間隔で5つのOLEDディスプレイを製造した。シャッタは連続蒸着処理中基板を保護し、シャッタは、発光層を蒸着しOLEDディスプレイを形成する時だけ開いた。
【0040】
各組の5つのOLEDディスプレイの平均EL結果を表1に示す。グループAのOLEDディスプレイは、蒸着処理の初めに製造した5つのOLEDディスプレイの平均性能を示し、グループBのOLEDディスプレイは、120分の連続蒸着の後に製造した5つのディスプレイの平均性能を示し、グループCのOLEDディスプレイは、180分の蒸着の後に製造した5つのOLEDディスプレイを示す。
【0041】
【表2】

【0042】
表2に要約される実験結果は、本発明によって形成した赤色発光層のEL特性は蒸着処理の全期間を通じてかなり均一であることを示しており、これは、5%のルブレンと1.5%のDCJTBでドーピングした、1:1TBADN:Alq3をホストとして含む粉末有機材料の組成が蒸着処理を通じて変化しなかったことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】超音波式またはプロペラ式混合機の何れかを使用して、乾燥状態の粉末有機材料を混合する概略フローチャートを示す。
【図2】粉末有機材料を混合する装置の横断面図を示す。
【符号の説明】
【0044】
100 乾燥混合処理
110 ホスト成分有機粉末
120 ドーパント成分有機粉末
125 粉末有機材料の混合物
130 超音波ホーン
135 容器
140 高速プロペラまたはタービンブレード
180 粉末有機材料の均質な混合物
200 粉末有機材料を混合する装置
205 混合機構
210 プロペラまたはタービンブレード
220 第1の回転式シャフト
230 第1の回転式シャフトの回転の方向
232 第2の回転式シャフトの回転の方向
240 容器カバー
250 容器
253 吸気圧力制御装置
254 排気圧力制御装置
260 モータ
262 電動モータ
264 ベルトプーリ機構
268 第2の回転式シャフト
270 空気圧シリンダ
272 往復運動
280 横行ブラケット
284 ベースプレート
290 軸受支え

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光デバイスで使用するための基板上に有機層を発生するため熱物理蒸着で使用するペレットを形成する少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む粉末有機材料の均質な混合物を形成する方法であって、
a)少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む粉末形態の有機材料を結合し、前記粉末有機材料を容器内に配置するステップと、
b)前記容器の雰囲気から湿気を除去するため、雰囲気が10-1〜10-3トールの範囲内の低い圧力に達するように前記容器内の雰囲気をパージしながら、前記粉末有機材料を有する前記容器を40〜100℃の温度範囲で30〜100分間加熱するステップと、
c)前記容器に不活性雰囲気を充填するステップと、
d)粉末有機材料の均質な混合物を形成するため混合機構を使用して前記不活性雰囲気中で前記粉末有機材料を混合するステップと、
e)有機発光デバイスで使用するための基板上に有機層を発生するため熱物理蒸着に適したペレットを形成するため前記粉末有機材料の均質な混合物を圧密化するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記混合機構がプロペラまたはタービンブレードを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドーパント成分の量が、前記混合物の総質量の0.1〜20質量%の間で変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性雰囲気が、窒素ガス、アルゴンガス、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記粉末有機材料の均質な混合物が、3,000〜20,000ポンド/平方インチの範囲内の圧力で圧密化される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、混合の前に、10-1〜10-3トールの範囲内の低い圧力の雰囲気内で前記容器を貯蔵するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記混合機構を使用して混合する前記ステップが、20,000〜50,000回転/分の範囲内の速度の第1の周期運動で前記混合機構を回転させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
混合する前記ステップが、10〜60回転/分の範囲内の速度の第2の周期運動で前記容器を回転させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合機構を使用して混合する前記ステップが、30〜60サイクル/分の範囲内の速度の第3の周期運動で前記混合機構を往復運動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合機構の第3の周期運動が、空気圧シリンダ及び横行ブラケットによる密閉した前記容器の内部の長さの横行を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第2の周期運動で前記混合機構を移動させるステップが、前記容器を回転または旋回させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記混合機構が、前記容器の第2の周期方向と反対の第1の周期方向に移動する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記混合機構が、前記容器の第2の周期方向に対応する第1の周期方向に移動する、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
有機発光デバイスで使用するための基板上に有機層を発生する熱物理蒸着のためのペレットを形成する際使用する均質な混合物を提供するため少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む粉末有機材料を混合する装置であって、
a)少なくとも1つのドーパント成分と1つのホスト成分とを含む粉末有機材料の混合物を収容する容器と、
b)前記粉末有機材料の混合物を混合するため前記容器内に配置した混合機構と、
c)前記容器から湿気を除去する手段と、
d)不活性雰囲気を前記容器に提供する手段と、
e)第1の周期運動によって前記混合機構を移動させる第1の周期運動手段と、
f)有機発光デバイスで使用するための基板上に有機層を発生する熱物理蒸着のためのペレットを形成する際使用する均質な混合物を提供するため、第2の周期運動によって前記容器を移動させる第2の周期運動手段とを備える装置。
【請求項15】
前記混合機構がプロペラまたはタービンブレードを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記混合機構が、前記プロペラまたはタービンブレードに接続したシャフトを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記混合機構を移動させる前記第1の周期運動手段が、20,000〜50,000回転/分の範囲内の速度の第1の周期運動で前記混合機構を回転させる第1の回転式シャフトを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記容器を移動させる前記第2の周期運動手段が、10〜60回転/分の範囲内の速度の第2の周期運動で前記容器を回転させるため前記容器に結合した第2の回転式シャフトを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
さらに、30〜60サイクル/分の範囲内の速度の往復運動で前記混合機構を移動させる往復運動手段を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記往復運動手段が空気圧シリンダ及び横行ブラケットを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記不活性雰囲気を提供する前記手段が、流れ弁及び放出弁を有する吸気圧力制御装置を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記不活性雰囲気が、窒素ガス、アルゴンガス、またはそれらの混合物を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記混合機構が、前記容器の前記第2の周期運動に対応する第1の周期運動で移動する、請求項14に記載の装置。
【請求項24】
前記混合機構が、前記容器の前記第2の周期運動と反対の第1の周期運動で移動する、請求項14に記載の装置。
【請求項25】
前記容器から湿気を除去する前記手段が、流れ弁及び放出弁を有する排気圧力制御装置を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記排気圧力制御装置が真空ポンプに接続される、請求項25に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−506249(P2007−506249A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526917(P2006−526917)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/028510
【国際公開番号】WO2005/033354
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】