説明

有機殺生性除染組成物

実質的に非水溶性の担体に分散し、およそ10重量%未満の水分を有する殺生剤を含有する有機除染組成物とその使用方法。殺生剤は殺生性が有効である有機過酸化物、酸化物、アルデヒド、フェノール、ナフサおよび酸、第4級アンモニウム組成物、遷移金属およびこれらの塩、ハロゲン、ハロゲンを含有する化合物、N、S、またはB原子を含有する化合物、オゾン、およびこれらの混合物から成る群より選択されることが好ましい。担体は殺生剤とは異なる成分であって、直鎖または分岐鎖、置換または非置換のハロゲン化C3〜C15炭化水素、C1〜C12直鎖または分岐鎖アルキルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される成分を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広くは、生物兵器(BW)剤などの生物剤、および環境上発生する好ましくない生物剤(例えば、胞子、バクテリア、ウイルス、細菌、およびカビなど)の中和または除染に有効な除染組成物および方法に関する。詳細には、本発明は例えば散布または発泡可能な製品として液状で、殺生剤と担体とを含有する組成物および方法に関するものであり、これらの組成物は好ましくは有機性で、水分量が少ない。
【背景技術】
【0002】
近年、世界中で生物兵器剤および他の危険物質の影響に対する関心が高まっており、特に最近のテロ危険度上昇を考慮して各国政府の懸念は増大している。人口密度が高い地域がそのような生物兵器剤に曝された場合には、大惨事になる可能性があることは災害専門家にはよく知られていることである。加えて、環境上の生物学的汚染物質に対する懸念は、公衆安全に対する懸念を増大させる。特に、洪水や水害の後に発生するカビや細菌による建物の生物学的汚染への懸念や問題がそこで働き生活する個人の健康に関する不安を増大させる。
【0003】
生物剤に対する除染方法としては、化学的消毒および物理的除染の主に2つの方法がある。次亜塩素酸塩を用いる方法などの化学的消毒は有用であるが、大部分の金属や繊維、また人間の皮膚に対して腐蝕性がある。液状の気泡の消毒剤も用いられているが、効果的に適用するには、通常水や圧縮ガスなどを必要とする。また、オゾン、過酸化水素、または二酸化塩素などの気体状の消毒剤も用いることができるが、通常用いる際には封じ込め手段が必要となり、また建物の建設資材や中味によって不活性化されやすい。物理的除染は、通常、160℃で2時間加熱する、または蒸気、または加熱した蒸気に20分間曝して行う。紫外線が有効な場合もあるが、通常は、実用に用いるのは難しく、シャドウイングが発生すると効果がなくなる。
【0004】
米国特許第5,914,436号にはクロロカーボン、クロロフルオロカーボン、およびPCBなどの好ましくない組成物を、金属酸化物組成物を吸着剤として用いて、除染する方法が記載されている。また、特許第6,057,488号には、生物学的および化学的兵器剤および環境上汚染物質を含む生物学的および化学的汚染物質の除染吸着に金属酸化物ナノ粒子を用いることが記載されている。
【0005】
サンディア国立研究所は、最近、「Sandia Decon Formulation」と呼ばれる、陽イオン界面活性剤などの可溶化組成物と、屈水性誘発物質と、求核性および酸化組成物などの反応性組成物とを含む泡状の除染製品を開発した。サンディアの泡状製品はEnviroFoam Technologies社(Huntsville, Alabama州)およびModec,Inc.社(Denver, Colorado州)から入手可能であり、2002年1月10日公開され、ここに参考として引用されるPCT公開番号 WO 02/02192に記載されている。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、含水量が比較的低い(およそ10重量%未満、より好ましくはおよそ2重量%未満、更に好ましくは0.1重量%未満)除染組成物であって、殺生剤と担体とを含む除染組成物に関する。担体は、殺生剤のどの成分とも異なる成分を含み、直鎖または分岐鎖、置換または非置換のハロゲン化C3〜C15炭化水素、C1〜C12直鎖または分岐鎖アルキルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から広範囲に選択される成分を含有する除染組成物である。本発明の組成物は生物兵器剤および環境汚染物質などの生物剤の中和または除染に有用である。本発明の製品は、液体でスプレー可能な製品の形、または霧、ミスト、蒸気、ゲル、ペースト、または塗り付け用布の形で用いることができる。ここでは、「塗り付け用布」は、天然または人造繊維で形成される織布または不織布材のシートであり、その上に一定量の本発明の組成物を吸収させるものである。
【0007】
殺生剤は好ましくは、殺生性が有効である有機過酸化物、酸化物、アルデヒド、フェノール、ナフサおよび酸、第4級アンモニウム組成物、遷移金属およびこれらの塩、ハロゲン、ハロゲンを含有する化合物、N、S、またはB原子を含有する化合物、オゾン、およびこれらの混合物から成る群より選択される。特に好ましい殺生剤は有機過酸化物ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ペルオキシ酢酸、オゾン、アルカリ金属亜塩素酸塩、および次亜塩素酸塩(例えば、亜塩素酸、または次亜塩素酸ナトリウムまたはカリウム)、塩素、二酸化塩素、アルキレン オキシド(例えば、エチレンおよびプロピレン オキシド)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、2、4、4−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル、l−(4−クロロフェニル)−3−(3、4−ジクロロフェニル)尿素、亜鉛塩、ペンタクロロフェノール、ナフテン酸銅、酸化トリブチルスズ、ジクロロフェン、p−ニトロフェノール、p−クロロ−m−キシレノール、β−ナフトール、2、3、5、6−テトラクロロ−4−(メチル スルホニル)−ピリジン、サリチルアニリド、ブロモ酢酸、アルキル第4級酢酸アンモニウム、ナトリウム エチル チオサリチル酸水銀、ナトリウム オルトフェニル フェナート、n−アルキル(C12〜C18)ジメチル ベンジル 塩化アンモニウム、有機ホウ酸塩、2、2−(l−メチルトリメチレンジオキシ)−ビス−(4−メチル−l、3、2−ジオキサボリナン)、2、2−オキシビス(4、4、6−トリメチル)−1、3、2−ジオキサボリナン、エチレングリコール モノメチル エーテル、パラヒドロキシ ベンゾエート、有機ホウ素化合物、8−ヒドロキシキノリン、ナトリウム ペンタクロロフェナート、ジメチルエチルアルキルベンジル塩化アンモニウム、2−ピリジンチオール−1−オキシドのアルキルアンモニウム塩、1、3、5−トリエチルヘキサヒドロ−1、3、5−トリアジン、クロム酸ストロンチウム、ハロゲン化フェノール(例えば、2−ブロモ−4−フェニルフェノール)、銀、銀塩(例えば、硝酸銀、塩化銀、酸化銀)、銀スルファジアジン、元素の銅、銅塩(硝酸銅、硫化銅、酸化銅)、ナトリウム ジクロロ−s−トリアジントリオン、置換パラフィン(例えば、3−クロロ−3−ニトロ−2−ブタノール、2−クロロ−2−ニトロ−l−ブタノール ステアラート、2−クロロ−2−ニトロブチル アセテート、4−クロロ−4−ニトロ−3−ヘキサノール、1−クロロ−l−ニトロ−l−プロパノール、2−クロロ−2−ニトロ−l−プロパノール)、トリエチル塩化スズ、2、4、5−トリクロロフェノール、2、4、6−トリクロロフェノール、2、2−チオビス(3、4、6−トリクロロフェノール)、l、3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン、トリス(ヒドキシ−メチル)ニトロメタン、ニトロパラフィン、ヘキサヒドロ−1、3、5−トリス(2−ヒドロキシ−エチル)−s−トリアジン、1、3、5−トリス(テトラヒドロ−2−フラニル)−メチル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、メチル ビスチオシアネート、2、2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、β−ブロモ−β−ニトロスチレン、フッ化化合物(例えば、N−エチル−N−メチル−4−(トリフルオロメチル)−2−(3、4−ジメトキシフェニル)ベンズアミド)、ペンタクロロフェノール、ジクロロフェン、オルトフェニル フェノール、ジ−ビシクロ−(3、l、1または2、2、1)−ヘプチルおよびジ−ビシクロ−(3、1、1または2、2、1)−ヘプテニル ポリアミン、およびこれらの混合物から成る群から選択される。組成物中に公知の抗菌化合物を用いることができる。公知の抗菌化合物には、例えば、ペルオキシ酢酸0.06%と組み合わせた過酸化水素0.8%;亜塩素酸ナトリウム1.52%;アミルフェノール7.6%;エチレン オキシド8.5%;次亜塩素酸ナトリウム12.5%;亜塩素酸ナトリウム72.8%;ペルオキシ酢酸4.4%と組み合わせた過酸化水素6.9%;およびオクタン酸3.3%;4.5%のペルオキシ酢酸4.5%と組み合わせた過酸化水素22%;ペルオキシ酢酸 35%;および過酸化水素31%などがある。殺生剤は組成物全体に対しておよそ0.01〜10重量%で存在することが好ましく、およそ1〜5重量%のレベルで存在することがより好ましい。
【0008】
最も好適なクラスの担体は、置換フッ化C3〜C15炭化水素であり、特に、このクラスのアルコキシ置換炭化水素である。担体の例としてはHFE7100(メトキシノナフルオロブタン)などのHFE溶剤、71DA(HFE7100、トランス−1、2−ジクロロエチレンおよびエタノール共沸物)、71IPA(HFE7100およびエタノール共沸物)、および7500(2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサン)およびこれらの混合物が挙げられる。フッ化炭化水素は高度にフッ化されることが好ましく、その炭化水素鎖置換個所の全てにおいてフッ化されることがより好ましい。上述のフッ化炭化水素の1つまたはそれ以上の混合物と、エタノールなどのC1〜C6アルキルアルコールとを組み合わせた形の担体を準備することによっても良好な結果が得られる。このような組み合わせにおいては、アルコールはおよそ20重量%以下のレベルで存在するものとし、およそ5重量%未満のレベルで存在することがより好ましい。特に、有効な殺胞子剤は、このタイプのフッ化炭化水素/アルキルアルコール組み合わせ担体を、亜硝酸銀などの殺生剤としての銀塩、または過酸化水素、ペルオキシ酢酸、または次亜塩素酸塩と共に用いて調製される。
【0009】
いくつかの例では、担体中における殺生剤の分散性を向上させるために本発明の組成物中に界面活性剤を含むことが有用である場合もある。その最終用途に応じて、多種類の界面活性剤が好適に用いられる。このように組成物中に、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、または両性界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を用いる場合は通常組成物中におよそ0.1〜20重量%のレベルで存在し、より好ましくはおよそ3重量%未満である。
【0010】
本発明の組成物は、区域、およびその近傍に組成物を分散して、その区域を除染するために用いることができる。すなわち、この組成物を建物、壁、または他の構造物、装置、家具備品、および土壌などの表面を除染するために用いることができる。また、この組成物を霧、ミスト、蒸気、またはスプレー状で散布して汚染された周囲大気を除染するために用いることもでき、または、ゲル、ペースト、および布に含ませて無生物や生物を除染することもできる。この場合、組成物を適用するための装置や技術としては様々なものを用いることができる。例えば、圧縮して一斉に適用する、または、表面に層状に適用するなどの装置がある。選択された殺生剤に応じて、この組成物を細菌胞子、増殖バクテリア、ウイルス、菌類、およびカビ、またはその他の細菌性または感染性の物質の中和または駆除に用いることができる。
【0011】
いくつかの例では、除染するべき区域または表面は本発明で用いられる殺生剤の組成物と不適合であってもよい。その場合は、その区域の生物剤を集めて、除去するために担体組成物(殺生剤を含まない)を用いてもよい。次に、その生物剤を含む担体に殺生剤を添加してその生物剤を不活性化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の実施例では好適な除染組成物、ならびにその配合および使用方法を記載する。なお、これらの実施例は説明のために示されるものであり、本発明の全体の範囲を限定するものではない。
【0013】
(実施例1)
このテストでは、一連の配合物(総容積各5ml)を、ガラススクリーニングバイアル中に載置して評価した。コントロールとして、別のスクリーニングバイアルに5mlの蒸留水を添加した。濃度10CFU/100μlまたは1.5×10CFU/100μlの細菌胞子(枯草菌)を、濃度がおよそ3×10CFU/ml(より高い攻撃の場合)になるように各バイアルに添加した。バイアルにキャップをして30秒間ボルテックス(激しく渦動)し、その後74.5分間静置した。74.5分間経過した後、各バイアルを再度30秒間ボルテックスした。次に、膜フィルタをフィルタ装置の上に載置して懸濁物を濾過し、各フィルタに50mlの蒸留水を加えて、その後、1つのスクリーニングバイアル(より高い濃度の攻撃に適切な希釈を施したもの)から溶液100μlを添加した。初期の濾過の後、フィルタを25mlの蒸留水で2回洗浄した。フィルタは、液体を除去した後、装置から外して、栄養寒天プレート上に載置し、37℃で24時間培養した。全ての実験は室温で3回試料を採取した。
【0014】
この実験で用いられた殺生剤候補は:HFE溶剤(配合1および2);銀化合物(配合3〜7);過酸化ジクミル(配合8〜10);ナトリウム次亜塩素酸塩/漂白剤(配合11〜18);ペルオキシ酢酸(配合19〜24);および過酸化水素(配合25〜26)であった。各種の担体が、表1に示す各々の配合において用いられた。
【0015】
【表1】

【0016】
予想した通り、好適な担体材料(HFE溶剤)のみでは非常に弱い殺胞子性しか示さなかった(配合1および2)。銀塩は、HFE担体、特にエタノールとHFE溶剤とで形成された担体と共に用いると、有効な殺胞子剤であることが示された。HFE溶剤の代わりに水を用いると(配合7)、2対数減少しか観察されなかった。したがってエタノールとHFE溶剤の組み合わせを採用した(配合3〜6)ことによる相乗効果であると推察される。
有機過酸化物および次亜塩素酸ナトリウム、または市販の家庭用漂白剤(6%次亜塩素酸塩含有)(配合8〜18)を用いた場合に良好な結果が得られた。ペルオキシ酢酸をHFE―7500(総質量の1.25重量%)またはHFE−7100(総質量の0.64重量%)に添加すると、6対数減少以上達成することができた(配合19,21、および23)。同様に、過酸化水素(総質量の1.25重量%)を含有するこれらのHFE溶剤は6.6の対数減少を示した(配合25〜26)。
【0017】
(実施例2)
この試験では、本発明に従ったいくつかの組成物の表面除染特性をテストした。最初に、1インチ平方のスライドガラスに、40%エタノール中でおよそ1.5´10CFU/ml溶液の枯草菌胞子を100μl接種し、2〜3時間乾燥した。評価される殺生組成物は使用する数分前に調製した。スライドガラスをそれぞれ、容量およそ30mlの小型のプラスチックジャー内に載置した。殺生剤を受ける各テストスライドに、テスト組成物を2.27mlスプレー散布した。他のガラススライドはドライコントロール(組成物を添加していないもの)として用いて、第3のスライドには2.27mlの蒸留水をスプレー散布した(ウエットコントロール)。すべてのスライドを、75分間ジャー内で蓋をせずに放置した。75分経過後、20mlの蒸留水を各ジャーに添加して、その後ジャーに蓋をし、30秒間ボルテックスし、10分間静置し、胞子を溶離させた。10分経過後、ジャーを数秒間ボルテックスし、100μlの溶液を取り出し、1.9mlの蒸留水中に希釈した。希釈混合物は、次に、濾過装置上に膜フィルタを載置して濾過し、50mlの蒸留水を各フィルタに添加した、その後、100μlのテスト溶液(コントロールの場合は25μ)を添加した。初期の濾過の後、フィルタを25mlの蒸留水で2回洗浄した。すべての液体を除去した後、フィルタを装置から外し、寒天培地プレートの上に載置し、37℃で24時間培養した。実験はすべて室温で3回行った。
【0018】
テスト溶液は13重量%のエタノールおよび、0.22重量%の硝酸銀を添加して補足したHFE−7100およびHFE−7500溶剤を含有した。これらのテスト組成物は最初に、エタノール中に硝酸銀を分散させ、それらをHFE溶剤に添加することによって調製した。これらの工程は室温で実施し、培養液に添加する前には組成物を適宜混合した。このテストの結果を下記の表に示す。
【0019】
【表2】

【0020】
前述の結果は、エタノール中の硝酸銀を、いずれかのタイプのHFE溶剤に添加することによって、高い対数減少および表面除染を達成するということを確認するものである。硝酸銀/エタノール/HFE−7500を用いる配合#30では、3つの試料のうち、1つのコロニーしか存在しなかったということは、この組成物もまた、非常に有効であるということを示唆している。
【0021】
(実施例3)
この実施例では、菌糸型および胞子型のスタキボトリス種(ATCC#9182、American Type Culture Collectionから購入)に対するHFE−7500担体中に分散したペルオキシ酢酸(配合21)の殺菌性をテストした。保存試料の胞子懸濁液は、菌糸培養については、およそ1ヶ月間、ポテトデキストロース寒天培地(PDA)上で培養し、胞子培養については、5週間、コーンミール培地(CMA)上で培養した。すべてヒューム(煙)フードの暗所側で、室温で培養した。ペトリ皿はパラフィルムで密封した。
【0022】
培養した後、これらのプレートを用いて、菌糸型(PDA)および胞子型(CMA)に対する組成物の有効性をテストした。垂直フローのあるバイオセーフティキャビネット内で、それぞれの組成物を5ml、各プレートの表面積全体を均等に覆うようにスプレーした。
【0023】
菌糸体の実験では、組成物を試料に75分間接触した。接触時間の後、各処理済みプレートおよびコントロールプレートから、各々6個のプラグを取り出し、新しいPDAプレートに移植した。これらのプレートを、およそ1〜2週間室温で、ヒュームフードの暗所側で培養した。各プラグの再生が目視で確認された場合は、それを新生の菌糸と判断した。未処理のコントロールは、十分な成長が達成されたことを判断するゲージとして用いられた。すべての実験を3回行い試料を採取した。
【0024】
各PDAプレートを、再生したプラグの数について、0〜6のスケール(0は低レベルの活動を示し、6は高レベルの活動を示す)を用いて定性的に評価した。これらのプレートを、ポジティブ再生数、死滅数、抑制数としてスコアをつけた。再生数のベースラインを決定し、成長が抑止されたかどうかの判断を行うための比較としてポジティブコントロールおよび蒸留水を用いた。滅菌蒸留水、担体溶剤、および馬鈴薯粉処理剤について、処理状態に依存する成長の妨げがなかったかどうかを評価した。その結果すべて完全な再生が達成されていることを示した。全強度の漂白剤を用いたネガティブコントロールは、0/6の再生および6/6の死滅を示した。これらの結果を表3に示す。
【0025】
【表3】

【0026】
スタキボトリス胞子の除染実験では、CMAプレートを、スタキボトリス菌糸テスト用のPDAプレートと同様に処理した。垂直フローのあるバイオセーフティキャビネット(クラスII)内で、組成物を均等に培養プレートにスプレーし、パラフィルムで75分間密封した。75分経過後、0.1%のTween80が入った10mlの滅菌脱イオン水をCMAプレートに添加し、穏やかに撹拌した。胞子を含んだ150μlの回収滅菌蒸留水をPDA上に植付け、それを3回繰り返した。プレートを室温で、ヒュームフード内で1〜2週間培養し、発生したコロニーの数を数えた。その結果を表4に示す。
【0027】
【表4】

【0028】
HFE−7500とペルオキシ酢酸との組み合わせは、成長の抑制および死滅効果を示した。菌糸実験の場合は成長を抑制し、胞子実験では完全な死滅効果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に非水溶性の担体に分散する殺生剤を含有する除染組成物であって、前記組成物はおよそ10重量%未満の水分を有し、前記担体は前記殺生剤とは異なる成分であって、直鎖または分岐鎖、置換または非置換のハロゲン化C3〜C15炭化水素、C1〜C12直鎖または分岐鎖アルキルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される成分を含有する、除染組成物。
【請求項2】
前記殺生剤は、殺生性が有効である有機過酸化物、 酸化物、 アルデヒド、フェノール、ナフサおよび酸、第4級アンモニウム組成物、遷移金属およびこれらの塩、ハロゲン、ハロゲンを含有する化合物、N、S、またはB原子を含有する化合物、オゾン、およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項1の組成物。
【請求項3】
前記殺生剤は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ペルオキシ酢酸、オゾン、アルカリ金属次亜塩素酸塩、塩素、二酸化塩素、アルキレン オキシド、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、2、4、4−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル、l−(4−クロロフェニル)−3−(3、4−ジクロロフェニル)尿素、亜鉛塩、ペンタクロロフェノール、ナフテン酸銅、酸化トリブチルスズ、ジクロロフェン、p−ニトロフェノール、p−クロロ−m−キシレノール、β−ナフトール、2、3、5、6−テトラクロロ−4−(メチル スルホニル)−ピリジン、サリチルアニリド、ブロモ酢酸、アルキル第4級酢酸アンモニウム、ナトリウム エチル チオサリチル酸水銀、ナトリウム オルトフェニル フェナート、n−アルキル(C12〜C18)ジメチル ベンジル 塩化アンモニウム、有機ホウ酸塩、2、2−(l−メチルトリメチレンジオキシ)−ビス−(4−メチル−l、3、2−ジオキサボリナン)、2、2−オキシビス(4、4、6−トリメチル)−1、3、2−ジオキサボリナン、エチレングリコール モノメチル エーテル、パラヒドロキシ ベンゾエート、有機ホウ素化合物、8−ヒドロキシキノリン、ナトリウム ペンタクロロフェナート、ジメチルエチルアルキルベンジル塩化アンモニウム、2−ピリジンチオール−1−オキシドのアルキルアンモニウム塩、1、3、5−トリエチルヘキサヒドロ−1、3、5−トリアジン、クロム酸ストロンチウム、ハロゲン化フェノール、銀塩、酸化銀、銀、 銀スルファジアジン、銅、銅塩、ナトリウム ジクロロ−s−トリアジントリオン、置換パラフィン、トリエチル塩化スズ、2、4、5−トリクロロフェノール、2、4、6−トリクロロフェノール、2、2−チオビス(3、4、6−トリクロロフェノール)、l、3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン、トリス(ヒドキシ−メチル)ニトロメタン、ニトロパラフィン、ヘキサヒドロ−1、3、5−トリス(2−ヒドロキシ−エチル)−s−トリアジン、1、3、5−トリス(テトラヒドロ−2−フラニル)−メチル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、メチル ビスチオシアネート、2、2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、β−ブロモ−β−ニトロスチレン、フッ化化合物、ペンタクロロフェノール、ジクロロフェン、オルトフェニル フェノール、ジ−ビシクロ−(3、l、1または2、2、1)−ヘプチルおよびジ−ビシクロ−(3、1、1または2、2、1)−ヘプテニル ポリアミン、およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項2の組成物。
【請求項4】
およそ2重量%未満の水を有する請求項1の組成物。
【請求項5】
およそ0.1重量%未満の水を有する請求項1の組成物。
【請求項6】
前記殺生剤は前記組成物中におよそ0.01〜10重量%のレベルで存在する請求項1の組成物。
【請求項7】
前記殺生剤は前記組成物中におよそ1〜5重量%のレベルで存在する請求項6の組成物。
【請求項8】
前記担体は、置換フッ化C3〜C15炭化水素を含有する請求項1の組成物。
【請求項9】
前記置換フッ化C3〜C15炭化水素は、その炭化水素鎖置換個所の全てにおいて、フッ化原子を有する請求項8の組成物。
【請求項10】
前記置換フッ化C3〜C15炭化水素は、アルコキシ基で置換されている請求項8の組成物。
【請求項11】
前記担体はメトキシノナフルオロブタンおよび2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサンから成る群から選択される請求項10の組成物。
【請求項12】
前記担体はCl〜C6アルキルアルコールと置換フッ化C3〜C15炭化水素との混合物を含有する請求項1の組成物。
【請求項13】
前記Cl〜C6アルキルアルコールは前記担体中に、最大およそ20重量%のレベルで存在する請求項12の組成物。
【請求項14】
前記レベルは前記担体中のおよそ5重量%未満である請求項12の組成物。
【請求項15】
前記置換フッ化C3〜C15炭化水素はメトキシノナフルオロブタンおよび2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサンから成る群から選択される請求項12の組成物。
【請求項16】
前記殺生剤は銀塩を含有する請求項15の組成物。
【請求項17】
界面活性剤を含有する請求項1の組成物。
【請求項18】
前記界面活性剤は陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、または両性界面活性剤からなる群から選択される請求項17の組成物。
【請求項19】
前記界面活性剤は前記組成物中におよそ0.1〜20重量%のレベルで存在する請求項17の組成物。
【請求項20】
前記界面活性剤は前記組成物中におよそ3重量%未満のレベルで存在する請求項17の組成物。
【請求項21】
実質的に非水性の担体中に分散した銀、または銀塩を含有する除染組成物であって、該組成物はおよそ10重量%以下の水を有し、前記担体はCl〜C6アルキルアルコールと置換フッ化C3〜C15炭化水素との混合物を含有する除染組成物。
【請求項22】
前記Cl〜C6アルキルアルコールは前記担体中に、最大およそ20重量%のレベルで存在する請求項21の組成物。
【請求項23】
前記レベルは前記担体中のおよそ5重量%未満である請求項21の組成物。
【請求項24】
前記置換フッ化C3〜C15炭化水素はメトキシノナフルオロブタンおよび2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサンから成る群から選択される請求項21の組成物。
【請求項25】
前記銀塩は硝酸銀である請求項21の組成物。
【請求項26】
界面活性剤を含有する請求項21の組成物。
【請求項27】
前記界面活性剤は陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、または両性界面活性剤からなる群から選択される請求項26の組成物。
【請求項28】
前記界面活性剤は前記組成物中におよそ0.1〜20重量%のレベルで存在する請求項27の組成物。
【請求項29】
前記界面活性剤は前記組成物中におよそ3重量%未満のレベルで存在する請求項27の組成物。
【請求項30】
区域を除染する方法であって、請求項1に記載の組成物を前記区域またはその近傍に分布する工程を備える方法。
【請求項31】
前記組成物は液状であり、前記分布工程は前記組成物をスプレー、霧、ミスト、蒸気、または層として前記区域またはその近傍に適用する工程を備える請求項30の方法。
【請求項32】
前記組成物はゲルまたはペースト状であり、前記分布工程は前記組成物を層として前記区域またはその近傍に適用する請求項30の方法。
【請求項33】
前記組成物は塗り付け用布に吸収され、前記分布工程は前記塗り付け用布を前記区域またはその近傍に接触することにより前記組成物を適用する工程を備える請求項30の方法。
【請求項34】
区域を除染する方法であって、請求項21に記載の組成物を前記区域またはその近傍に適用する工程を含む方法。
【請求項35】
前記組成物は液状であり、前記分布工程は前記組成物をスプレー、霧、ミスト、蒸気または層として前記区域またはその近傍に適用する工程を備える請求項34の方法。
【請求項36】
前記組成物はゲルまたはペースト状であり、前記分布工程は前記組成物を層として前記区域またはその近傍に適用する請求項34の方法。
【請求項37】
前記組成物は塗り付け用布に吸収され、前記分布工程は前記塗り付け用布を前記区域またはその近傍に接触することにより前記組成物を適用する工程を備える請求項34の方法。
【請求項38】
生物剤を含む区域を除染する方法であって、
およそ10重量%未満の水を有する担体組成物を準備する工程と、
前記生物剤を集めるために前記担体組成物を汚染区域またはその近傍に分布する工程と、
前記担体に殺生剤を添加することにより前記生物剤を非活性化する工程とを含み、
前記担体は前記殺生剤とは異なる成分であって、直鎖または分岐鎖、置換または非置換のハロゲン化C3〜C15炭化水素、C1〜C12直鎖または分岐鎖アルキルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される成分を含有する、方法。
【請求項39】
前記殺生剤は、殺生性が有効である有機過酸化物、 酸化物、アルデヒド、フェノール、ナフサおよび酸、第4級アンモニウム組成物、遷移金属およびこれらの塩、ハロゲン、ハロゲンを含有する化合物、N、S、またはB原子を含有する化合物、オゾン、およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項38の方法。
【請求項40】
前記殺生剤は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ペルオキシ酢酸、オゾン、アルカリ金属次亜塩素酸塩、塩素、二酸化塩素、アルキレン オキシド、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、 臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、2、4、4−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル、l−(4−クロロフェニル)−3−(3、4−ジクロロフェニル)尿素、 亜鉛塩、 ペンタクロロフェノール、ナフテン酸銅、酸化トリブチルスズ、ジクロロフェン、p−ニトロフェノール、p−クロロ−m−キシレノール、β−ナフトール、2、3、5、6−テトラクロロ−4−(メチル スルホニル)−ピリジン、サリチルアニリド、ブロモ酢酸、アルキル第4級酢酸アンモニウム、ナトリウム エチル チオサリチル酸水銀、ナトリウム オルトフェニル フェナート、n−アルキル(C12〜C18)ジメチル ベンジル 塩化アンモニウム、有機ホウ酸塩、2、2−(l−メチルトリメチレンジオキシ)−ビス−(4−メチル−l、3、2−ジオキサボリナン)、2、2−オキシビス(4、4、6−トリメチル)−1、3、2−ジオキサボリナン、エチレングリコール モノメチル エーテル、パラヒドロキシ ベンゾエート、有機ホウ素化合物、8−ヒドロキシキノリン、ナトリウム ペンタクロロフェナート、ジメチルエチルアルキルベンジル塩化アンモニウム、2−ピリジンチオール−1−オキシドのアルキルアンモニウム塩、1、3、5−トリエチルヘキサヒドロ−1、3、5−トリアジン、クロム酸ストロンチウム、ハロゲン化フェノール、銀塩、酸化銀、銀、 銀 スルファジアジン、銅、銅塩、 ナトリウム ジクロロ−s−トリアジントリオン、置換パラフィン、トリエチル塩化スズ、2、4、5−トリクロロフェノール、2、4、6−トリクロロフェノール、2、2−チオビス(3、4、6−トリクロロフェノール)、l、3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン、トリス(ヒドキシ−メチル)ニトロメタン、ニトロパラフィン、ヘキサヒドロ−1、3、5−トリス(2−ヒドロキシ−エチル)−s−トリアジン、1、3、5−トリス(テトラヒドロ−2−フラニル)−メチル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、メチル ビスチオシアネート、2、2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、β−ブロモ−β−ニトロスチレン、フッ化化合物、ペンタクロロフェノール、ジクロロフェン、オルトフェニル フェノール、ジ−ビシクロ−(3、l、1または2、2、1)−ヘプチルおよびジ−ビシクロ−(3、1、1または2、2、1)−ヘプテニル ポリアミン、およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項39の方法。
【請求項41】
前記担体は、置換フッ化C3〜C15炭化水素を含有する請求項38の方法。
【請求項42】
前記担体はメトキシノナフルオロブタンおよび2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサンから成る群から選択される請求項41の方法。
【請求項43】
前記担体はCl〜C6アルキルアルコールと置換フッ化C3〜C15炭化水素との混合物を含有する請求項38の方法。
【請求項44】
前記Cl〜C6アルキルアルコールは前記担体中に、最大およそ20重量%のレベルで存在する請求項43の方法。

【公表番号】特表2008−505123(P2008−505123A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519540(P2007−519540)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/023823
【国際公開番号】WO2006/085975
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(504450626)ナノスケール マテリアルズ アイエヌシー. (11)
【Fターム(参考)】