説明

有機溶媒中のナノ粒子分散液

有機溶媒中のアンチモン又はインジウムドープ酸化スズナノ粒子の分散液であって、5〜75重量%の1〜100nmの算術平均大きさを有するナノ粒子と、ヒドロキシル基及びエーテル基を有する溶媒と、15重量%より少ない水と、0.1重量%より少ない分散剤とを含む。また、このような分散液を作製する方法であって、I.1〜100nmの平均大きさを有するアンチモン等の水性分散液と、水とともに共沸混合物を形成するヒドロキシル基及びエーテル基を有する溶媒と、グラフト剤との混合物を作製するステップと、II.前記混合物を20〜150℃の温度で撹拌しながら加熱するステップと、III.前記溶媒/水混合物を少なくとも部分的に除去するステップと、IV.任意に、水とともに共沸混合物を形成するヒドロキシル基及びエーテル基を有する溶媒を更に加えるステップと、V.得られた分散液の水含有量が所望の値よりも低く固体濃度が5〜70重量%になるまでステップIIIおよびIVを繰り返すステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶媒中のアンチモン又はインジウムドープ酸化スズナノ粒子の分散液と、コーティング組成物の作製における該ナノ分散液の使用と、帯電防止及び/又は熱吸収特性を持ったナノ粒子を含むコーティングを有する上記組成物、硬化したフィルム及び物品の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
有機溶媒中のナノ粒子の分散液は、当技術分野で知られている。これらの分散液は、ナノ粒子へ種々の分散剤を加えることによって作製される。EP1008564 A2/WO2006-016729 (住友大阪セメント)は、1〜10重量%の分散剤を用いたITO及びATO粉末を含むナノ粒子の作製を開示している。JP9108621(日本化薬)は、ATO及びITOナノ粉末に対する分散剤としてのカルボキシル酸の使用を示している。WO2004-039891(JSR)は、有機溶剤中でTiO2でコーティングされたSiO2を分散させるためのポリビニルブチラールの使用を教示する。JP08067837 A(三菱マテリアル株式会社)は、ATOに対する分散剤として亜リン酸ジアルキルチタン酸塩の適用を教示する。
【0003】
更なるステップにおいて、分散剤の存在下で、反応基を有する化合物でナノ粒子をグラフト化することは可能でありうる。例えば、WO2006-054888 A2(JSR/DSM)において、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン及び亜鉛ドープ酸化アンチモンが、シランカップリング剤でグラフト化され、紫外線硬化性樹脂に分散性及び反応性を与える。
【0004】
当技術分野で知られている有機溶剤中のナノ粒子からのすべての分散液は、かなりの量の分散剤を有している。これらの分散剤は多くの不都合な点を示す。これらの分散剤は、表面活性化合物であり、コーティング剤(coating formulation)に望ましくない特性を与えうる。例えば、分散剤は、表面にブルーミングしえ、基板へのコーティングの接着性又はコーティングがなされた製品の光学的品質に影響しうる。
【0005】
また、ミリングステップが、ナノ分散を生じるために一般に用いられる。このミリングステップは、時間がかかると共に、ナノ分散の低品質を導く可能性がある、すなわち、ミリングステップの後で、大量のミクロンサイズの粒子が存在しうるしうる。ミクロンサイズの粒子の存在は、コーティングがなされた基板の欠陥及び低光学的品質をもたらすことになる。
【0006】
グラフト化された表面基を持った金属酸化物を含む紫外線硬化性コーティングは、当該技術分野で知られている(例えばUS2005/059766)。このようなコーティングは、強いひっかき耐性と共に高光学的透明度を与えるために、酸化ケイ素、酸化スズ又は酸化ジリコニウムを有することができる。しかしながら、このようなコーティングは、電気伝導性又は熱吸収特性のような、付加的な機能をもたらすものではない。このような機能に対しては、他のナノ粒子及び分散技術が必要とされる。例えば、カーボンナノチューブ又はグラファイトである。金属酸化物の光学的透明性と電気的又は熱吸収機能との組み合わせは、しばしば扱いにくいものであり、単層コーティング組成物では、容易なことではない。
【0007】
ナノ粒子を含むコーティングにおいて複数の機能が望まれる場合には、分散剤の使用は、更に大きな不都合を生じることになる。複数の機能を有するコーティングの一つの例は、優れた光学的透明性と共に電気的伝導性を与えるコーティングである。二つ目の例は、優れた光学的透明性と共に熱吸収性を与えるコーティングである。
【0008】
それ故、帯電防止若しくは電気的伝導性及び/又は熱吸収性等の特性と組み合わせられた優れた高光学的品質を持った表面変性ナノ粒子を有する高品質コーティングの必要性がある。このような特性は、ナノ分散液の使用から生じるコーティングにおける分散剤の存在によって強く悪影響を受けうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、光学的透明性と電気的及び/又は熱吸収機能との組み合わせを与える分散液及びコーティング組成物を提供することである。本発明の他の目的は、高いコーティング硬度と共に、光学的透明性と電気的及び/又は熱吸収機能との組み合わせを与える組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有機溶媒中のアンチモン又はインジウムドープ酸化スズナノ粒子の分散液であって、
a) 5〜75重量%の1〜100nmの算術平均大きさを有する粒子と、
b) ヒドロキシル基及びエーテル基を有する溶媒と、
c) 15重量%より少ない水と、
d) 0.1重量%より少ない分散剤と
を含む分散液に関する。
【0011】
本発明は、また、これらのナノ分散液の作製方法、コーティング組成物の作製、コーティング組成物の基板への適用及び前記ナノ粒子を含む高品質コーティングを有する基板に関する。
【0012】
以下で、アンチモン又はインジウムドープ酸化スズは、ATO/ITOと略記する。
【0013】
本発明の好ましい実施例において、ナノ粒子はアンチモンドープ酸化スズ(ATO)を含む。
【0014】
本発明は、有機溶媒中の潜在反応基を有するATO/ITOナノ分散液を、分散剤を使用することなく作製する方法を提供する。潜在反応基を有するこれらの有機溶媒中ナノ分散液は、潜在反応基が(部分的に)コーティング組成物における反応基と反応しうるコーティング組成物に使用されることができる。
【0015】
本発明のナノ分散液は、ATO/ITOナノ粒子、有機溶媒、少量の水を含み、実質的に分散剤は含まない。
【0016】
これらのATO/ITOナノ粒子は、コーティングされた基板のひっかき耐性を高め、コーティング組成物の屈折率を変化させ、コーティングされた基板の反射を減少させ、特定波長帯の光の吸収を与え、コーティングに伝導性を与え、又はIR吸収層としてふるまうことができる。
【0017】
本発明の一つの実施例において、ATO/ITOナノ分散液及びそのコーティング組成物は、コーティングされた基板に電気的伝導性を与える。この場合、コーティングされた基板は、帯電防止性(表面抵抗107〜1010Ω/□)、EMI遮蔽性(105〜107Ω/□)又は伝導性(表面抵抗105Ω/□より低い)を持ちうる。
【0018】
本発明の他の実施例において、ATO/ITOナノ分散液及びそのコーティング組成物は特定の波長帯の光を吸収する。例えば、ナノ粒子は、UV領域(すなわち、400nmより短い波長)又は(近)赤外領域(NIR)(900nmより長い波長)において吸収を与えうる。
【0019】
驚くべきことに、ATO/ITO粒子が、優れた光学的透明性と、帯電防止機能若しくはUV及びNIR吸収のいずれか又は両方とを兼ね備えることが発見された。
【0020】
ナノ粒子は、好ましくは、組成物から作製される層の光学的外観の観点から、小さい大きさを有する。好ましくは、粒子は,算術平均大きさ(ASTM 4519.1に準拠した適当な溶媒中における動的光散乱により測定)1〜100nmを有し、より好ましくは、算術平均大きさ5〜50nmを有する。ナノ粒子は、いかなる形状又は外形をも有してよい。このような形状は、プレートレット状、棒状、球状、ビーズ状、中空又は中が充填されている粒子等を含む。
【0021】
ナノ粒子は、有機表面基を有する。表面基の量は、ナノ分散液のアプリケーションによって変更されてよい。表面基は、例えばUV光による照射又は熱励起後にコーティング組成物又は基板の他の材料と反応する反応基を含んでよい。有機表面基は、ナノ粒子と加水分解性シリル基を有するグラフト化剤との反応により、ナノ粒子に結合される。グラフト化剤に存在する加水分解性シリル基は、好ましくは、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成する基である。加水分解後のシラノール基を生成する基の例は、シリコン原子と結合された、アルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基又はハロゲン原子である。特に、アルコキシシリル基又はアリールオキシシリル基を含むグラフト化剤が好ましい。アルコキシ基としては、1〜8個の炭素原子を含むアルコキシ基が好ましい。アリールオキシ基としては、6〜18個の炭素原子を含むアリールオキシ基が好ましい。
【0022】
シラン化合物の例は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン化合物、シクロヘキサントリメトキシシラン等の環状アルキルシラン、及びアセトキシトリメチルシラン等のアルキルアセトキシシランである。これらの化合物は、単独又は二つ以上の組み合わせのいずれかで用いられうる。また、疎水性を与えるためのフッ素基を有するアルキルアルコキシシランの使用が可能である。
【0023】
アルコキシシラン化合物中に存在する反応基の具体例は、(メト)アクリレート化合物、ビニル化合物、リン酸化合物、スチレン化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、(ブロックされた)イソシアネート化合物、シアノ化合物、コハク酸イミドイルオキシ化合物、ウレタン化合物及びメルカプト化合物である。
【0024】
具体例は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及びビニルトリメトキシシラン;グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン及びグリシドオキシプロピルトリメトキシシラン;アミノプロピルトリエトキシシラン及びアミノプロピルトリメトキシシラン;メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びメルカプトプロピルトリエトキシシランである。これらの内、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びメトアクリルオキシプロピルトリメトキシシランは、表面処理された酸化粒子の分散安定性の観点から好ましい。
【0025】
もう一つの実施例において、3個より多い加水分解性シリル基を持ったシランが用いられうる。例えば、バイポダール(bipodal)アルコキシシラン又は超分岐シラン等である。
【0026】
有機溶媒中の分散液内のナノ粒子の重量パーセントは、分散液総量との比で5〜70重量%であってよい。好ましくは、ナノ粒子の量は、8〜60重量%であり、より好ましくは12〜50であり、本発明の一つの実施例においては、20〜40重量%である。
【0027】
一般的に本明細書における重量パーセントは、他に特段の記述の無い限り、水及び溶媒を含む全構成成分と関連している。グラフト化剤の量は、ナノ粒子の量に対する重量パーセントとして記述されている。
【0028】
ナノ分散液は、水と共に共沸混合物を形成する有機溶媒を含む。有機溶媒は一つのヒドロキシル基及び一つのエーテル基を含む化合物である。好ましくは、有機溶媒は、3〜8個の炭素原子を含み、好ましくは、3〜5個の炭素原子を含む。有機溶媒は、好ましくは、150℃より低い沸点を有し、より好ましくは、沸点は130℃より低い。溶媒は水と共沸混合物を形成し、ここでは、水の量は、好ましくは、少なくとも32重量%、より好ましくは、少なくとも40重量%、さらに好ましくは、45重量%より多い。
【0029】
有機溶媒は、好ましくは、1-メトキシ-2プロパノール、2-メトキシ-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール及び2-メトキシ-エタノールから成る群から選択される。もっとも好ましくは、溶媒は、1-メトキシ-2-プロパノールである。
【0030】
有機溶媒は単独の成分として使用されてよく、又は、共沸混合物を形成する溶媒の組み合わせとして使用されてよい。有機溶媒の量は、通常は、分散液の30〜95重量%の範囲である。
【0031】
ナノ分散液は、水を含んでよい。水の存在は、有機溶媒中に分散されることができるナノ粒子の量に影響を与えることが発見された。
【0032】
分散液中に存在する水の量は、通常15重量%より低く、好ましくは10重量%より低く、さらに好ましくは、5重量%より低い。非常に高い濃度のナノ粒子が望まれる場合は、分散液の安定性は、分散液中の水の量を調整することによって強化されることができる。
【0033】
重要な要素は、分散液の安定性である。不安定な分散液は、望ましくないゲル相を形成する可能性があり、ナノ粒子は、沈殿又は蓄積する可能性があり、コーティング組成物及びコーティングされた基板の特性に悪影響を与えるミクロンサイズの凝集体が分散液中に生ずる可能性がある。有機溶媒中酸化物粒子の分散液の安定性は、酸化物粒子の濃度、表面変性の程度及び存在する残存水の量に依存する。一般に、表面修正の割合が高いほどより安定な分散液を生成し、また、水の存在は分散液に対する安定化効果を有しうる。もし、グラフト化剤の量が少な過ぎると、ナノ分散液は、不安定化してゲルを生じる傾向がある。
【0034】
分散液の安定を得るためにナノ粒子に加えられるべきグラフト化剤の量は、2〜40重量%(ナノ粒子の重量に対して)の範囲である。約10〜約25重量%のナノ粒子を含む有機溶媒中のナノ粒子の分散液に対して、グラフト化剤の量は、好ましくは3〜20重量%(ナノ粒子に対して)の範囲である。25重量%より多いナノ粒子を含む有機溶媒中の分散液に対して、グラフト化剤の量は、好ましくは5〜35重量%(ナノ粒子に対して)である。
【0035】
ナノ粒子に加えられるべきグラフト化剤の最適量は、分散液中に存在する水の残存量に依存してよい。もし、水の残存量が多ければ、グラフト化剤の量は少なくてよく、又は上記の好ましい範囲の低い部分でよい。
【0036】
本発明によるナノ分散液は、実質的に分散剤を有しない。本明細書において、分散剤はナノ粒子分散液の安定性を改善するために加えられるあらゆる物質を意味する。分散剤は、分散液中のナノ粒子に、分散液を形成する前の乾燥ナノ粒子に、又は、ナノ分散液を有するコーティング製剤に、加えられてよい。一般に分散剤は、分子内に無極性及び極性部分を有し、ナノ粒子とは化学反応を生じないが、むしろナノ粒子と物理的相互作用を起こす。分散剤は、当業者に一般的に知られている。好ましくは、分散液に存在する分散剤の量は、0.1重量%より少量であり(分散液総量に対して)、より好ましくは、0.01重量%より少量であり、更により好ましくは、0.005重量%より少量であり、もっとも好ましくは、0.001重量%より少量である。
【0037】
現在、当技術分野で、高固形成分含有量を有しているが、実質的に分散剤を含まない安定なナノ分散液を作製することができる方法は知られていない。それ故、本発明は、有機溶媒中の分散剤なしのナノ分散液を作製する新規なプロセスにも関する。
【0038】
ナノ分散液を作製する方法は、
I. 5〜100nmの平均大きさを有するATO/ITO粒子の水性分散液と、水とともに共沸混合物を形成するヒドロキシル基及びエーテル基を有する有機溶媒と、グラフト化合物との混合物を作製するステップと、
II. 前記混合物を20〜150℃の温度で撹拌しながら加熱するステップと、
III. 前記溶媒/水混合物を少なくとも部分的に除去するステップと、
IV. 任意に、溶媒を更に加えるステップと、
V. 得られた分散液の水含有量が所望の値よりも低くなり、ナノ分散液中の固体濃度が5〜70重量%になるまでステップIII及びIVを繰り返すステップとを含む。
【0039】
ステップIで用いられるナノ粒子の水性分散液は、ナノ分散液からの分散剤除去は一般に非常に困難であるため、好ましくは、同様に分散剤を含まない。好ましくは、水性分散液中の分散剤の量は0.01重量%より少なく、より好ましくは、0.001重量%より少ない。水性分散液は、好ましくは、5〜25重量%の粒子を含んでよい。ステップIにおけるグラフト剤の量は、所望の表面変性の量に依存する。グラフト剤の酸化物粒子との反応は、少量のグラフト剤が用いられるときには定量的であると考えられる。より多量の(例えば10重量%より多い)グラフト剤が用いられるときには、残存グラフト剤が有機溶媒中のナノ粒子の分散液に残ることは可能である。残存グラフト剤は、副反応に関与したかもしれず、この場合、これらは、互いに結合し、シランを生成する。これらのシラン結合生成物は、ナノ粒子の分散剤とは見なされない。
【0040】
プロセスの第1ステップで加えられるべき有機溶剤の量は、生じるべき作製物による。ATO/ITOナノ粒子の水性分散液に存在する水と、ステップIにおけるヒドロキシル基及びエーテル基を有する有機溶媒との比は、一般に0.1〜10の範囲であり、好ましくは、0.2〜6、より好ましくは、0.3〜5である。
【0041】
本発明の一つの実施例において、グラフト化剤をナノ粒子に加える前にグラフト化剤を前加水分解することが好ましい。前加水分解は、グラフト化剤と水、有機溶媒を混合し、これを30〜90℃の温度で反応させることによって行うことができる。任意に、なんらかの酸又は塩基を、反応を触媒するために加えることができる。
【0042】
本発明の方法のステップIIの反応時間は、一般的に10分〜24時間の範囲である。反応時間は、グラフト剤がナノ粒子と反応(加水分解後でありうる)することができるように十分長いことが好ましい。もし反応時間が短すぎると、(加水分解された)グラフト剤は方法のステップIIIにおいて混合物から蒸発してしまうかもしれない。これによって、粒子の表面変性の量は、不確かなものとなり、分散液の安定度は悪い影響を受けるかもしれない。好ましくは、反応時間は、30分〜20時間である。長い反応時間は、より経済的でないプロセスであることをのぞいて、分散液の品質に悪い影響を有しない。24時間より長い反応時間は可能である。
【0043】
ステップIIの反応温度は、一般に室温〜150℃であり、好ましくは、40〜95℃、より好ましくは、50〜90℃である。
【0044】
方法のステップIIIは、分散液の水の量を所望のレベルに減じる。これは、(好ましくは、)水及び有機溶媒の共沸混合物を、任意に減圧下で、蒸留することで行われてよい。当技術分野で知られているその他の溶媒除去プロセスもまた使用可能である。ステップIにおいて存在する水及び有機溶媒の量に依存して、所望の水の量に達するために、更なる有機溶媒を加えてステップIIIを繰り返す必要があるかもしれない(ステップIV)。ステップIVで、異なる溶媒を加えることも可能である。それによって、意図したアプリケーションに依存する異なる溶媒を有する分散液が得られることができる。ナノ分散液を作製するプロセスは、バッチ処理で、また(半)連続処理で、行うことが可能である。
【0045】
本発明におけるナノ分散液は、例えば、コーティング組成物を作製するために使用されることができる。
【0046】
コーティング組成物は、例えば、(架橋)ポリマー、及び/又反応性希釈液等の、異なる構成成分を含みうる。反応性希釈液中の反応基は、例えば、アクリレート、メタクリレート、ビニル、エポキシ、アミン、ウレタン、イソシアネート、シラノール又はヒドロキシ基であってよい。反応性希釈液の量及びそれらの組み合わせに制限はない。ナノ分散液中のナノ粒子が反応基を有している場合、反応性希釈剤の一部が、ナノ粒子の表面基と反応することは好ましい。
【0047】
本発明の一つの好ましい実施例において、上記の基はアクリレート及び/又はメタクリレート基である。列挙可能な(メト)アクリレート基を有する適当な化合物の例として、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メト)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メト)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メト)アクリレート、グリセロールトリ(メト)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メト)アクリレート、エチレングリコールジ(メト)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メト)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メト)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メト)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メト)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メト)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メト)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メト)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メト)アクリレート、ポリ(メト)アクリレート、これらの化合物を作製するために使用される出発アルコールの酸化エチレン又は酸化プロピレン付加生成物、分子中に少なくも2個の(メト)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メト)アクリレート、オリゴエーテル(メト)アクリレート、オリゴウレタン(メト)アクリレート、オリゴエポキシ(メト)アクリレート等が与えられることができる。
【0048】
開始剤は、コーティング組成物の硬化を触媒するために使用することができる。これらは、熱的に活性化されうるか、又は化学線放射によって活性化されうる。本発明において、化学放射は、可視光線、紫外線、深紫外線、X線、電子ビーム等を指す。光開始剤の例として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、Michlerのケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロ、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイジフェニルホスフィン酸化物、ビス-(2,6ジメトキシベンゾイル)-2,4,4トリメチルベンゾイジフェニルホスフィン酸化物等が与えられることができる。開始剤は、好ましくは、0.01〜5重量部の量を加えられてよく、より好ましくは、全組成物に対して0.1〜3重量部加えられてよい。
【0049】
コーティング組成物は、追加の成分を含んでよい。追加の成分の例は、共同開始剤又は、共力剤、酸化防止剤、耐電防止剤、光安定剤、抑制剤、平滑剤、不反応性高分子、界面活性剤、及び潤滑剤を含むがこれらに限られるものではない。
【0050】
第一の実施例において、コーティング組成物は、他の有機溶媒、例えば、水、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、アルカン、環状溶媒、芳香族溶媒又はハロゲン化された溶媒等を含むことができる。当業者は、どの溶媒が最適結果を与えるか決定することができる。
【0051】
第二の実施例において、コーティング組成物は、ナノ分散液の溶媒(の一部)を除いて溶媒を含まず、例えば、少なくとも一つの樹脂及び架橋剤を含む粉末コーティング組成物である。樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート又は当業者に知られている他のいかなる樹脂等の機能性高分子であってもよい。架橋剤の性質は、樹脂中の官能基の性質によって決定される。架橋剤における官能基は、樹脂中の官能基と反応することができなければならない。架橋剤の例は、エポキシ樹脂、ポリアミン、イソシアネート、アミノ樹脂、ポリカルボン酸、酸無水物、ポリフェノール、プリミド(R)状化合物及びこれらのあらゆる組み合わせである。樹脂中の官能基の性質に依存して、架橋剤は、樹脂の官能基と反応するように選択される。少なくとも樹脂及び架橋剤を有する組成物は硬化される。この硬化プロセスは、コーティングを作る分野の当業者によく知られている。硬化プロセスの例は、熱硬化、例えばUV又は電子ビーム硬化等の電磁放射線による硬化である。官能基の性質に依存して、2(2重硬化)又はそれより多い種類の硬化プロセスを使用することも可能である。
【0052】
組成物を適用する方法に特別の制限はない。例えば、回転コーティング法、スプレーコーティング法、フローコーティング法、浸漬法、スクリーン印刷法、又はインクジェット印刷法等の従来型の方法が使われてよい。
【0053】
ナノ分散液を有するコーティングが適用される基板に、特別の制限はない。基板は、特別な制限なく、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、木、スレート等を含む。放射硬化性の高い生産性及び産業上利用性を生かす素材として、硬化フィルムをフィルム状又はシート状基板に適用することが好ましい。プラスチックフィルム又はプラスチックシートは、特に好ましい素材である。プラスチックの例として、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン/ポリメチルメタクリレート共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、トリアセチルセルロース樹脂、ジエチレングリコール(CR-39)のジアリルカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(例えば、ノルボルネン樹脂)、等があげられることができる。ナノ分散液を有するコーティングは、基板へ直接又は処理ステップの後に適用することができる。このようなステップは、例えば、クリーニングプロセス、コロナ処理、無機層が蒸着されるスパッタリングステップ、又はアルカリ性溶液中の鹸化ステップでありうる。
【0054】
本発明は、コーティングされた基板にも関する。コーティングされた基板は、一般に本発明のコーティング組成物を基板へ適用し、溶媒の(もし存在するなら)蒸発を許し、続いて反応性モノマーの硬化が起こることによって得られる。
【0055】
ナノ分散液は、基板に所望の機能を与えるためにコーティングに適用されることができる。第一の実施例において、コーティングは、プラスチックフィルム、プラスチックシート、偏光子、プラズマディスプレイフィルム、CD及びDVDのひっかき保護コーティングとして使用されることができる。別の実施例において、コーティングは、コーティングされた基板に帯電防止、EMI遮蔽又は伝導特性を与えることができる。これらは、セーフティアプリケーション、クリーンルーム、電子フィルム、RFIDフィルム又は特殊な梱包に用いられうる。他の実施例において、コーティングは、可視範囲における高い透明性と共に、UV又はNIR帯において吸収を与える。これらは、環境制御フィルム、建築又は自動車用窓フィルム又は、黄変及び劣化を減少させるためのUV吸収フィルムに適用しうる。この他のアプリケーションにおいて、コーティングは、屈折率制御を与える。これらのコーティングは、レンズアプリケーション、反射防止フィルム、ディズプレイアプリケーションにおける高光学的透明性フィルムに適用しうる。
【0056】
好ましい実施例において、ATO/ITOナノ分散液を有するコーティングは、2又はそれより多い機能性の組み合わせをコーティングされた基板に与える。例えば、適当なアクリレート結合剤中のドープ金属酸化物のナノ分散液は、高いひっかき保護性、高い透明性、そして帯電防止機能を併せて有しうる。このような帯電防止ハードコート(hardcoats)は、ディスプレイ産業又はハイエンドの光学フィルムに適用されうる。この他の実施例において、適当な結合剤中のドープ金属酸化物分散液は、NIR吸収と共に高いひっかき保護性を有することができる。このようなIR遮断ハードコートは、環境制御フィルムに用いられうる。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、以下の例で説明されるが、本発明の範囲を限定すると考えるべきではない。
【0058】
例1:ナノ分散液D1の作製
2.73grの3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(DegussaのDynasylan MEMO)を281.6grの1-メトキシ-2-プロパノール(Merckの1 M2P)に溶解した。510.9grの12.0重量%水性ATO分散液(Nano Specials B.V., the NetherlandsのATO-12%-AQ(分散剤なし);;平均粒子大きさ25ナノメーター)及び445.6gr1MEP。両方の溶液を混合した後、追加量367.2grの1M2Pを加えた。水/1M2Pの比は、0.44であった。得られた混合物を16時間、75℃で加熱し、その後ろ過した。分散液はロータベーパ(rotavapor)中減圧下で、追加の1M2Pを加えて、残存分散液が9.57重量%の固形物を含み、水含有量が<5%となるまで濃縮した。MEMOの量は、ナノ粒子重量に対して4.5%であった。
【0059】
例2:ナノ分散液D2の生成
902.3grの20重量%の水性ATO分散液(Nano Specials B.V., The Netherlands;のATO3-20%-AQ(分散剤なし);平均粒子大きさ17ナノメーター)を289.9grの1M2Pと混合した。58.66grのMEMOを247.1grの1M2Pに溶解した。両方の溶液を混合した後、追加量345.6grの1M2Pを加えた。水/1M2Pの比は、0.82であった。得られた混合物を16時間、75°Cで加熱し、その後ろ過した。ろ過した分散液はロータベーパ中減圧下で濃縮し、残存分散液が39.1重量%の固形物を含み、水含有量が<5%となるまで追加の1M2Pを加えた。
【0060】
MEMOの量は、ナノ粒子重量に対して32.5%であった。
【0061】
例3:ナノ分散液D3の生成
9.73grのMEMOを116.4grの1M2Pに溶解した。388.6grの水性酸化スズ(Nano Specials B.VのTO-21%-AQ(分散剤なし);平均粒子大きさ8ナノメーター)を86.2grの1M2Pで希釈した。両方の溶液を混合した後、追加量182.67grの1M2Pを加えた。水/1M2Pの比は、0.80であった。得られた混合物を16時間、74℃で加熱し、その後ろ過した。分散液はロータベーパ中減圧下で濃縮し、最終残存固形物が24重量%となるまで追加の1M2Pを加えた。
【0062】
MEMOの量は、ナノ粒子重量に対して12.1%であった。
【0063】
例4:コーティング剤 C1〜C3
UV硬化性コーティング剤を、表1に従う分散液D1~D3によって作製した。量は重量%で示しており、PETIA(トリ及びテトラアクリル化ペンタエリトリトールの混合物)はCytecから、SR399(ジペンタエリトリトールペンタアクリレート)はSartomerから、lrgacure 184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)はCibaから、Byk 3500(シリコン平滑剤)はByk Chemieから、溶媒はVWRから得た。
【0064】
【表1】

表1:コーティング剤C1〜C3。すべての量は、組成の総量に対する重量パーセントである。
【0065】
例5:UVコーティングC1〜C3でコーティングされたフィルムの作製
コーティングされたフィルムは、コーティングC1〜C3から以下の同一の方法によって作製された。コーティングは、Meyer rod #18を使用してPETフィルム(112ミクロン厚、DuPont-Teijin)に適用した。コーティングされた基板を、80°Cのオーブン内に置き、その後、UVランプ(Fusion D-lamp,500-600mJ/cm2)の下に置いた。
【0066】
例6:コーティングC1〜C3を有するPETフィルムの特性評価
透過性フィルムを欠陥及び外観について目視検査をした。コーティングされた基板のヘイズをByk-Gardner Haze-guard plusを使用して測定した。表面抵抗率をリング電極を有するIM6 Megohmeterにより測定した。鉛筆硬度をASTM D3363に準拠して測定した。順位付けは、低硬度(4B,3B,2B,1B,HB,F)から始まり高硬度(H,2H,3H等)へ向かう。接着性を、D3359-02に準拠してクロスカットテストにより測定した。コーティング厚と屈折率をMicropack NanoCalc2000を用いて測定した。UV及び可視光線透過スペクトルをUnicam UV4により測定した。それぞれのフィルムの熱吸収率を56x140mmのコーティングされたフィルムを300 Watt IR-lampに220mmの距離で露出して測定した。フィルム裏の温度勾配を熱電対により測定した。5分の露出後のフィルムすぐ裏の熱上昇の結果を表に示した。高い温度上昇は、コーティングがIR放射を停止することができないことを示している。低い温度上昇は、フィルム上のコーティングにより、NIR放射をよく吸収していることを示している。
【0067】
【表2】

【0068】
PET上のすべてのコーティングC1からC3における低いヘイズの値及び優れた外観は、優れた分散能力を表している。同じ混合物中に用いられたグラフト化されていない分散液は、高いヘイズの値を示し、多数の欠陥を示した。コーティングC1は、帯電防止機能と高硬度及び適度なIR放射を遮る能力との組み合わせを表している。コーティングC2は、高いNIR吸収と高硬度との組み合わせを表している。
【0069】
比較例のコーティングC3は、優れた外観、適度な鉛筆硬度を有しているが、低い表面抵抗率又はNIR放射の吸収を示していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中のアンチモン又はインジウムドープ酸化スズナノ粒子の分散液であって、
a) 5〜75重量%の1〜100nmの算術平均大きさを有するナノ粒子と、
b) ヒドロキシル基及びエーテル基を有する溶媒と、
c) 15重量%より少ない水と、
d) 0.1重量%より少ない分散剤と
を含む分散液。
【請求項2】
請求項1に記載の分散液であって、前記分散剤量は0.005重量%より少ない、分散液。
【請求項3】
請求項1乃至2の何れか一項に記載の分散液であって、前記溶媒は、1-メトキシ-2-プロパノール、2-メトキシ-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール及び2-メトキシ-エタノールから成る群から選択される、分散液。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の分散液であって、前記ナノ粒子は有機表面基を有する、分散液。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の分散液であって、前記粒子は加水分解性シリル基を有するグラフト化合物によって処理された、分散液。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の分散液であって、前記粒子は、アルコキシシラン化合物によって処理された,分散液。
【請求項7】
請求項6に記載の分散液であって、前記アルコキシシランは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランから成る群から選択される,分散液。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れか一項に記載の分散液であって、前記ナノ粒子に加えられるグラフト化合物の量は、2〜40重量%(前記ナノ粒子の重量に対して)の範囲にある、分散液。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の分散液であって、前記組成物は、1〜10重量%の3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(当該粒子に対して)で変性された5〜15重量%のATO粒子を有する、分散液。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の分散液であって、前記組成物は、ATO粒子であって5〜15重量%の3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(当該粒子に対して)で変性された15〜30重量%のATO粒子を有する、分散液。
【請求項11】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の分散液であって、前記組成物は、ATO粒子であって20〜40重量%の3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(当該粒子に対して)で変性された30〜70重量%のATO粒子を有する、分散液。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の分散液を作製する方法であって、
I. 1〜100nmの平均大きさを有するアンチモン又はインジウムドープ酸化スズ粒子の水性分散液と、水とともに共沸混合物を形成するヒドロキシル基及びエーテル基を有する溶媒と、グラフト剤との混合物を作製するステップと、
II. 前記混合物を20〜150℃の温度で撹拌しながら加熱するステップと、
III. 前記溶媒/水混合物を少なくとも部分的に除去するステップと、
IV. 任意に、水とともに共沸混合物を形成するヒドロキシル基及びエーテル基を有する溶媒を更に加えるステップと、
V. 得られた分散液の水含有量が所望の値よりも低く固体濃度が5〜70重量%になるまでステップIIIおよびIVを繰り返すステップと
を有する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の分散液を作製する方法であって、ステップIにおける水と有機溶媒の比が0.1〜10の範囲にある、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の分散液を作製する方法であって、ステップIにおける有機溶媒に対するナノ粒子の水性分散剤の水と有機溶媒の比が0.3〜4の範囲にある、方法。
【請求項15】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の分散液を含むコーティング組成物。
【請求項16】
硬化性成分を含む、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
請求項16に記載のコーティング組成物であって、前記硬化性成分は紫外線硬化性成分であり、当該組成物は光開始剤を含む、コーティング組成物。
【請求項18】
請求項17に記載のコーティング組成物であって、前記紫外線硬化性成分はアクリレート基又は(メト)アクリレート基を有する、コーティング組成物。
【請求項19】
基板上にコーティングを作製するための、請求項15乃至18の何れか一項に記載のコーティング組成物の使用。
【請求項20】
前記基板はトリアセチルセルロースフィルムである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記基板はポリエステル、ポリカーボネート又はポリメタクリルフィルムである、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
請求項17乃至18の何れか一項に記載のコーティング組成物を基板上で乾燥及び硬化して得られるコーティングを含む、コーティングされたフィルム。

【公表番号】特表2010−540404(P2010−540404A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528400(P2010−528400)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063552
【国際公開番号】WO2009/047302
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510099855)
【氏名又は名称原語表記】CHEMIP B.V.
【住所又は居所原語表記】Urmonderbaan 22 NL−6167RD Geleen NL.
【Fターム(参考)】