説明

有機無機感光性樹脂組成物

【課題】ハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素子や電子部品一体型製品の製造用として有用な260℃リフロー耐熱性及び耐UV黄変性に優れた特性を有する感光性透明樹脂を用いたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子を提供すること。
【解決手段】特定の有機シランを含む化合物を、触媒存在下で40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂に280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤を含有する感光性樹脂組成物、及びこれを用いたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に光用途を目的とした半導体デバイス、マイクロレンズ混載電子基板、液晶偏光板などの光学電気部品の製造用として有用な透明感光性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は260℃以上でのハンダリフロー等の温度に耐熱性が要求される用途での光通信用マイクロプラスチックレンズやCMOSイメージセンサーなどの固体撮像素子用の材料、光導波路、若しくは耐熱性が要求される液晶プロジェクター用の偏光板用光学素子の材料として好適である。さらに耐熱性透明樹脂にとって好適な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロプラスチックレンズは、ガラスに較べて成形が容易であり、安価であることから各種の光学製品に広く用いられている。その材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンなどの熱可塑性プラスチックやポリジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの熱硬化性プラスチックなど、様々な透明材料が使用されている。熱可塑性樹脂とは異なるタイプの樹脂として、紫外線(UV)硬化性樹脂もガラス基板などの透明基板上に型とUVで直接成形が容易なことから、ガラス基板上のマイクロレンズ、光導波路、液晶偏向板、などの形成材料として開発が進められている。
しかし、従来熱可塑性材料は特許文献1及び2に示されているとおり、耐熱性を改良しても200℃以下のものが殆どであり、260℃ハンダリフロー耐熱を保証するには至っていない。
【0003】
Si−O構造を有するシロキサンポリマーは一般に耐熱性が高い。特許文献3及び4には、UV硬化型シロキサン樹脂が耐磨耗性ハードコート材料として紹介されているが、いずれも薄膜の被覆材に限定している。一般にシロキサン材料は耐熱性には優れる。
しかし、従来の耐熱性シロキサンポリマーからなるUV硬化性樹脂はUV硬化波長領域に吸収のある材料を使用するため、UV連続照射による劣化加速試験で、黄色化などの劣化現象を招き易い問題点がある。
【0004】
特許文献5には、Ba(OH)(水酸化バリウム)を合成触媒として重合可能基を有する有機シラン及び加水分解反応点を有する有機シランからなる、ドイツ国 Fraunhofer ISC社製のORMOCER ONEとして登録商標されている材料の開示がある。それは150℃低温キュア、300℃以上の耐熱性など優れた特性を有する。ところが、問題点としてはUV硬化用の開始剤にIRGACURE369などに代表されるラジカル開始剤を使用するため、次の150〜200℃付近での熱硬化処理後にもラジカル開始剤が残存し、UV連続照射による劣化加速試験で、黄色化などの劣化現象を招き易い問題点がある。
【0005】
特許文献6、7、及び8には、液晶プロジェクター用のマイクロレンズアレイの形成方法の開示が有る。金属型と透明ガラス基板で紫外線硬化型透明樹脂を押圧し、ガラス基板側から紫外線硬化させてレンズ成形を行うが、樹脂の密着性が悪いと光硬化後の離型工程において、ガラス基板に樹脂パターンが形成されず、型に樹脂が残り易いのがこの方法の重大な問題点となっている。密着性改善にガラス基板との界面にシランカプラー処理を行う方法も行われているが、カプラー自身の耐熱性がマイクロプラスチックレンズ全体の耐熱性の支配因子となってしまう問題点がある。
特許文献9には、透明樹脂の密着性改良方法として、予めガラス基板面に薄く樹脂を塗布し、一度全面紫外線照射で硬化膜を形成する事を述べているが、紫外線硬化だけではメタクリル基とガラス基板界面での十分な化学結合を形成する事はできないため、密着性改
善としては不十分である。
【0006】
一方、型を用いないマイクロプラスチックレンズの形成方法としては、特許文献10に、マスクを用いた光露光方式及び熱溶融方式により耐熱性のマイクロレンズを固体撮像素子上に形成する方法の開示がある。しかしこの方法では樹脂材料にポジ型感光性樹脂しか使えないため、ポジ型材料の耐熱温度支配となり耐熱温度が200℃以下となる問題点がある。マスクを用いた光露光方式の別の例としては、特許文献11に、レンズ形状の光強度分布にした半透明マスクを用いる方法の開示がある。この方法でも樹脂材料としてはポジ型感光性樹脂しか使えないため、形成されたレンズパターンの耐熱性は200℃以下であり、また耐熱性を高めるためには下地ガラス材料をドライエッチで加工する必要があり、レンズ成形プロセスが複雑になり、且つ高価な加工設備が必要となる問題点がある。
【0007】
【特許文献1】特開平09−31136号公報
【特許文献2】特開2004−245867号公報
【特許文献3】特開平03−281616号公報
【特許文献4】国際公開 W02002/102907号
【特許文献5】カナダ国特許第238756号公報
【特許文献6】特開平10−253801号公報
【特許文献7】特開2001−194508号公報
【特許文献8】特開平01−257901号公報
【特許文献9】特開平05−249302号公報
【特許文献10】特開平06−138306号公報
【特許文献11】特開2001−158022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素子や電子部品一体型製品の製造用として有用な260℃リフロー耐熱性を有し、耐UV黄変性を有する感光性樹脂組成物、及び、該感光性透明樹脂を用いたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子成形物、及び製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決するために、シロキサンを含む感光性樹脂を研究するうち、感光性樹脂と光重合開始剤に、特定の紫外線吸収剤を添加することによって耐UV黄変性に優れた感光性樹脂組成物が得られる事を見出した。さらに架橋性モノマーを添加した感光性樹脂組成物とすることで、優れた伸度を有することを見出し、さらに(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−O−CH−CO(左記COはエポキシ基)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を添加した感光性樹脂組成物とすることで、優れた密着性と耐湿性を有することを見出した。
【0010】
また、該感光性樹脂組成物をガラス基板やシリコン基板上にコート後、紫外線露光前に加熱する事で、優れた密着性を得る形成方法見出し、さらに、ネガ型である該感光性樹脂組成物の特性を用いて、複数枚の同心円パターンを使って、現像膜削れ量を制御する方法を発明し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
1.少なくとも、a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)、CH−Si−
Cl、及びCH−Si−(OCHからなる群より選ばれる一種以上の化合物を、b)の化合物50モルに対して、a)の化合物を30〜70モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合して得られることを特徴とする感光性樹脂と、
前記感光性樹脂に対して0.01〜5質量%の光重合開始剤と、
前記感光性樹脂に対して0.1〜10質量%の280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤とを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【0011】
2.前記280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール骨格を有することを特徴とする上記1.記載の感光性樹脂組成物。
3.前記280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤が、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノールであることを特徴とする上記1.又は2.に記載の感光性樹脂組成物。
4.さらに、前記感光性樹脂に対して1〜30質量%の架橋性モノマーを含むことを特徴とする上記1.〜3.のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物。
【0012】
5.前記架橋性モノマーが、ビスフェノールAを主鎖に含むポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物であることを特徴とする上記4.記載の感光性樹脂組成物。
6.前記架橋性モノマーが、ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレート、ポリテトラメチレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物であることを特徴とする上記4.記載の感光性樹脂組成物。
7.さらに、前記感光性樹脂に対して0.1〜10質量%の(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−O−CH−CO(左記COはエポキシ基)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を含むことを特徴とする上記1.〜6.のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
8.上記1.〜7.のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物をガラス基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板を得るステップと、該感光性樹脂組成物付着ガラス基板の該感光性樹脂組成物面に、別に用意した上記1.〜7.のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物を満たした成形物用の型の開口部を押し当てるステップと、該ガラス基板側から露光するステップと、該成形物の型を該ガラス基板から剥離するステップと、150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。
【0014】
9.上記1.〜7.のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物を、ガラス基板又はシリコン基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板又はシリコン基板を得るステップと、マイクロプラスチックレンズの円パターンからなる複数枚のマスクで、各マスクにはアライメントマークがあり、各レンズパターンについて直径の異なる同心円パターンになっている複数枚のマスクを使い、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、円直径の小さいマスクから順にマスク1枚ごとに紫外線を複数回露光するステップと、露光後に現像するステップと、現像後150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、260℃のハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素
子や電子部品一体型製品の製造用として有用な耐熱性、耐UV黄変性を有する。さらに架橋性モノマーを添加した感光性樹脂組成物とすることで、優れた伸度を有することを見出し、さらに(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−O−CH−CO(左記COはエポキシ基)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を添加した感光性樹脂組成物とすることで、優れた密着性と耐湿性を有する。
【0016】
架橋性モノマーとCHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−O−CH−CO(左記COはエポキシ基)からなる群より選ばれる一種以上の化合物とを更に添加すると、密着性、伸度、温度60℃で湿度90%の環境下での耐湿性に優れる。
さらに該樹脂を用いて、耐熱性が要求されるマイクロプラスチックレンズや光導波路、プロジェクター向け液晶偏光板用光学素子を得ることができる。また型成形し難いLSIウエハ上にも、複数枚マスク露光と現像削れによって、耐熱性マイクロプラスチックレンズを形成する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(1)感光性樹脂組成物について
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる感光性樹脂は、a)少なくとも、(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)、CH−Si−Cl、及びCH−Si−(OCHからなる群より選ばれる一種以上の化合物を、b)の化合物50モルに対して、a)の化合物を30〜70モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる。
【0018】
a)少なくとも、(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物の中でも、(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、つまり、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MEMOと表示する場合もある)が柔軟性と高架橋性の観点から最も好ましく用いられる。
【0019】
b)(C−Si−(OH)、CH−Si−Cl、及びCH−Si−(OCHからなる群より選ばれる一種以上の化合物の中でも、(C−Si−(OH)、つまり、ジフェニルシランジオール(以下、DPDと表示する場合もある)が共重合と耐熱性の観点から最も好ましく用いられる。
b)の化合物50モルに対して、a)の化合物を30〜70モルを重縮合することが好ましい。a)の化合物は、b)の化合物50モルに対して、交互共重合の観点から、30モル以上が好ましく、同じく交互共重合の観点から70モル以下が好ましい。
40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合するときに用いられる触媒としては、Ba(OH)、Ti(O−CH(CH、Ti(O−C(CH
が用いられる。中でも、得られる液体樹脂の透明性の観点より、Ti(O−CH(CHが好ましく用いられる。触媒添加量は、a)とb)の総モル%に対して、1〜10モル%が好ましく、1〜3モル%がより好ましい。
【0020】
上記a)とb)を含む化合物を0%の水の存在下で75〜85℃の温度で30〜1時間加水分解するステップを経たものとしては、ドイツ国 Fraunhofer ISC 社から「ORMOCER」(登録商標)ONEとして入手することができる。
上記a)とb)を含む化合物を混合する際に、更に、c) (CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si(CH)(CH)X−CH=CH(ここで、X=1又2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、b)の化合物50モルに対して、40〜90モルの割合で混合しても良い。
また、上記a)とb)を含む化合物を混合する際に、更に、d)(CHO)−Si−(C)−CH=CH、(CO)−Si−(C)−CH=CHからなる群より選ばれる一種以上の化合物を、b)の化合物50モルに対して、d)の化合物2〜50モルの割合で混合しても良い。
c)及び/又はd)の化合物を混合して感光性樹脂とすることは、密着性、耐温度衝撃性、伸度に優れるという点から、好ましい。
【0021】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤としては、2−benzyl−2−dimethylamino−4’−morpholinobutyrophenone(IRGACURE369)等、365nmに吸収を持つ公知の光重合開始剤であれば好適に用いられる。公知の開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、エチル−p−(N,N−ジメチルアミノベンゾエイト)、9−フェニルアクリジン、等などが挙げられる。添加量は感光性樹脂に対して、0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜3質量%、特に好ましくは0.5〜2質量%である。
【0022】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記感光性樹脂に対して0.1〜10質量%の280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤を含有する。
280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物が好ましい。具体的には、下記化1に示される2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(約320nm〜400nmに吸収領域が有り、353nmに最大吸波長を持つ。TINUVIN(登録商標)326としてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)、
【0023】
【化1】

【0024】
下記化2に示される2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(約300nm〜380nmに吸収領域が有り、343nmに最大吸波長を持つ。TINUVIN(登録商標)234としてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)、
【化2】

【0025】
下記化3に示される2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)―p−クレゾール(約300nm〜380nmに吸収領域が有り、341nmに最大吸波長を持つ。TINUVIN(登録商標)Pとしてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)、
【化3】

【0026】
下記化4に示される2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)―4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(約300nm〜380nmに吸収領域が有り、347nmに最大吸波長を持つ。TINUVIN(登録商標)328としてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)、
【化4】

【0027】
下記化5に示される2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(約300nm〜380nmに吸収領域が有り、
343nmに最大吸波長を持つ。TINUVIN(登録商標)329としてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)、
【化5】

【0028】
下記化6に示されるメチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(約300nm〜380nmに吸収領域が有り、344nmに最大吸波長を持つ。TINUVIN(登録商標)213としてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)、
【化6】

【0029】
下記化7に示される2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)―6−ドデシル−4−メチルフェノール(約300nm〜380nmに吸収領域が有り、343nmに最大吸波長を持つ。TINUVIN(登録商標)571としてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)、
【化7】

が挙げられる。
【0030】
耐UV黄変性には、黄変の原因となる400nm付近の可視域の近くにUV吸収帯が有る事が効果的であり、最大吸収波長が可視域に近い観点から、上記化1で示される2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノールが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に架橋性モノマーを用いる場合には、ビスフェノールAを主鎖に含むポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物が好ましい。ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等が挙げられる。ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレート、ポリテトラメチレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物であることがより好ましい。ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレートとしては、次式の日本油脂(株)製の耐熱性ブレンマーPDBE−200,250,450,1300が例として挙げられる。
【0031】
【化8】

【0032】
ポリテトラメチレンオキサイドジメタクリレートとしては、テトラメチレンオキサイドの繰り返し単位が5〜10のものが好ましく、次式の日本油脂(株)製のブレンマーPDT650が例として挙げられる。
【化9】

【0033】
これらの中でも、ビスフェノールAの両側にエチレンオキサイドが5モルづつ付加したジメタクリレート(PDBE−450)が好ましい。
架橋性モノマーを添加する場合の添加量は、a)とb)を重縮合して得られる感光性樹脂に対して、1〜30質量%が好ましい。より好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜14質量%である。添加量が30質量%以下であれば、樹脂液の安定性が高く、
品質バラツキが少ないため、好ましい。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物には、(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−O−CH−CO(左記COはエポキシ基)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を添加しても良い。中でも、(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、つまり、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MEMOと略称する場合もある)が柔軟性とSolGel架橋性の観点から好ましい。(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−O−CH−CO(左記COはエポキシ基)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を添加する場合の添加量は、上記感光性樹脂に対して、感光性樹脂組成物の安定性の観点から10質量%以下が好ましい。より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
本発明の感光性樹脂組成物は、公知の溶媒に溶かして使用することができる。例えば、γ―ブチロラクトン、NMP、THF、炭素数1〜6程度のアルコール類などが挙げられる。
【0035】
(2)成形物用の型を利用したマイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子の製造方法
本発明の感光性樹脂組成物を密着性良くガラス基板に金属型を使用して形成する方法を以下に述べる。マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子は、型の大きさ、種類が異なるだけであり、製造方法は同じである。
1)ガラス基板へのコート及び加熱ステップ:本発明の感光性樹脂組成物を、NMPなどの溶剤を使って希釈し、例えばスピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布するか、スプレーコーター等で噴霧塗布する方法により基板上にコートし、感光性樹脂組成物の薄膜形成する。感光性樹脂組成物の厚みは0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.5〜5μm、さらに好ましくは1〜3μmである。加熱は、コートしたガラス基板の感光性樹脂組成物の薄膜形成面を上にして行う。用いる装置としては、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、加熱できる装置であれば公知のものを用いることができ、ガラス基板と感光性樹脂組成物の密着性を高める観点から、中でもホットプレートが好ましい。加熱は、50℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲で1分〜30分間、好ましくは5分〜10分間行う。
【0036】
2)成形物用の型を押し当てるステップ:別途、本発明の感光性樹脂組成物をマイクロプラスチックレンズの型又は液晶偏光板用光学素子の型に満たし、成形物用の型の開口部を、1)ステップで得られたガラス基板の薄膜形成面に押し当て密着させる。成形物用の型に満たす方法としてはスポイトやディスペンサーなどで滴下する。成形物用の型の材質には、ゴム、ガラス、プラスチック、金属等が用いられる。金属の成形物用の型の場合は、ニッケル製が好ましい。
3)露光ステップ:ガラス基板と成形物用の型で感光性樹脂を挟んだ状態で、ガラス基板側から紫外線照射する。光硬化型樹脂としてのパターンの解像度及び取扱い性の点で、露光光源波長はi線が好ましく、装置としては近接露光タイプのプロジェクションアライナーが好ましい。
【0037】
4)型剥離ステップ:紫外線硬化後、金属型をガラス基板から剥離する。
5)加熱ステップ:150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する事で、残存メタクリル基を結合させ、耐熱性に優れたマイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子を得ることができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンにより行うことが出来る。加熱変換させる際の雰囲気気体とし
ては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。
【0038】
(3)マスクを使用してのマイクロプラスチックレンズ製造方法について
本発明のシロキサン構造を有する透明感光性樹脂組成物を密着性良くガラス基板またはシリコン基板(以下、基板という。)にマスクを使用してマイクロプラスチックレンズを形成する方法を以下に述べる。
1)基板へのコート及び加熱ステップ:本発明の感光性樹脂組成物を、NMPなどの溶剤を使って希釈し、例えばスピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布するか、スプレーコーター等で噴霧塗布する方法により基板上にコートし、感光性樹脂組成物の薄膜形成する。感光性樹脂膜の厚みは1〜30μmが好ましく、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜6μmである。
加熱は、コートした基板の感光性樹脂組成物の薄膜形成面を上にして行う。用いる装置としては、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、加熱できる装置であれば公知のものを用いることができ、基板と感光性樹脂組成物の密着性を高める観点から、中でもホットプレートが好ましい。加熱は、50℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲で1分〜30分間、好ましくは5分〜10分間行う。
【0039】
2)複数回露光ステップ:マイクロプラスチックレンズの円のパターンからなる複数枚のマスクを使い、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、円直径の小さいマスクから順にマスク1枚ごとに紫外線露光する。これらの複数枚のマスクは、アライメントマークを合わせると、各レンズパターンについて直径の異なる同心円パターンになっている。例えば、該ネガ型透明感光樹脂を3枚マスクでマイクロプラスチックレンズ形状に露光形成するには、現像後の残膜が飽和する最低露光量÷マスク枚数(例90mJ/cm÷3=30mJ/cmの露光量)で、パターンの小さいマスクから順に、同じ露光量で、アライメントマークを使って3回露光する。
【0040】
3)現像ステップ:現像は、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法などの中から任意の方法を選んで行うことができる。
使用される現像液としては、前記のポリマー前駆体に対する良溶媒と貧溶媒の組み合わせが好ましい。この良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトンなどが、また、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び水などが用いられる。良溶媒に対する貧溶媒の割合はシロキサン構造を有する感光性樹脂の溶解性により調整される。各溶媒を組み合わせて用いることもできる。
【0041】
4)最終加熱ステップ:150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する事で、残存メタクリル基を結合させ、耐熱性に優れたマイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子を得ることができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンにより行うことが出来る。加熱変換させる際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。
【0042】
尚、上記現像削れ後の残膜飽和最低露光量とは以下のことを意味する。
ネガ型レジストは、露光量によって現像後の残膜率が異なる。
現像削れ後の残膜飽和最低露光量の決定方法は、表1のグラフから行う。
露光装置での露光設定値を横軸にとり、そのときの現像後の残膜厚みを縦軸に取ると、残膜厚が2.5μm付近で飽和していることがわかる。
この時の最低露光量が表1のグラフより100mJ/cmと分かる。
この様な最低露光量(例えば、「100mJ/cm」)を現像削れ後の残膜飽和最低
露光量という。
【0043】
【表1】

【実施例】
【0044】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1)DPDとMEMOを1対1モルで混合したのち、SolGel反応で感光性樹脂としたドイツ国 Fraunhofer ISC社から得たORMCER(登録商標)ONE (ORMOCER ONE合成の反応温度は80℃、反応時間は15分、触媒はBa(OH)Oを0.002モル)に、光ラジカル重合開始剤IRGACURE(登録商標)369(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製) 0.1質量%と紫外線吸収剤Tinuvin(登録商標)326(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を1質量%、を添加混合し、0.2μmのフィルターでろ過した後感光性樹脂組成物とする。最終粘度としては15ポイズであった。
【0045】
2)UV透過率評価用のサンプル作成:該組成物を無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横10cm×10cm、コーニング製)上にスピンコート条件1000rpmで30秒間スピンコートして、30μm厚のスピンコート膜を得た。
3)このスピンコート膜を120℃で5分間プリベークし、残存揮発成分を除去したが、この際膜の収縮も平坦性低下もなかった。
4)マスク無しで前面から、光量400mJ/cmでUV露光(波長365nm)を行い、架橋反応を進行させた。
5)最後にN中で200℃で2時間キュアを行い、硬化を完了させた。この際、感光性樹脂はSiO ナノサイズ粒子が熱処理前から凝集しているため、熱硬化処理を行っても、膜収縮は起こさず、極めて平坦な膜構造を保持していた。
【0046】
[比較例1]
実施例1で紫外線吸収剤Tinuvin326を添加しなかった以外は、同様に行い、感光性樹脂組成物の膜構造を得た。
[比較例2]
実施例1で紫外線吸収剤Tinuvin326を添加することに替えて、別の下記化10に示される紫外線吸収剤2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(約220nm〜300nmに吸収領域が有り、265nmに最大吸波長を持つ。Tinuvin120としてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)をTinuvin326と同じ添加量で混合した以外は、同様に行い、感光性樹脂組成物の膜構造を得た。
【0047】
【化10】

【0048】
[比較例3]
実施例1で紫外線吸収剤Tinuvin326を添加することに替えて、別の下記化11に示される紫外線吸収剤2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール(約230nm〜310nmに吸収領域が有り、274nmに最大吸波長を持つ。Tinuvin1577FFとしてチバ・スペシャルティー・ケミカルズより入手可能)をTinuvin326と同じ添加量で混合した以外は、同様に行い、感光性樹脂組成物の膜構造を得た。
【0049】
【化11】

【0050】
<耐UV黄変性試験>
高圧水銀ランプでUVを照射する装置(Sen Lights Corp製:型式HC−98)で照度30mW/cm(365nm波長)の条件で4時間ガラス基板上に成膜した樹脂にUV光照射し、照射前後に光透過率測定機(島津製UV−3101PC)を用いて、光透過率の変化(400nm波長)を測定し、黄色劣化を評価した。
実施例1、比較例で合成した樹脂の性能比較を表2に示す。
【0051】
【表2】

表2より、280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤を含有する場合に、UV黄変抑制効果があることが分かる。
【0052】
[実施例2]
1)[実施例1]で用いたものと同じORMCER ONE に、光ラジカル重合開始剤IRGACURE(登録商標)369(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製) 0.1質量%と紫外線吸収剤Tinuvin(登録商標)326(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を1質量%、ポリエチレンオキサイドビスフェノールAジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名;耐熱性ブレンマーPDBE450)を20質量%、MEMOを3質量%、を添加混合し、0.2μmのフィルターでろ過した後感光性樹脂組成物とする。最終粘度としては15ポイズである。
2)〜5)は実施例1と同様に行い、5)N中で200℃、2時間キュア後、膜収縮は起こさず、極めて平坦な膜構造を保持していた。
【0053】
<耐UV黄変性試験>
高圧水銀ランプでUVを照射する装置(Sen Lights Corp製:型式HC−98)で照度30mW/cm(365nm波長)の条件で4時間ガラス基板上に成膜した樹脂にUV光照射し、照射前後に光透過率測定機(島津製UV−3101PC)を用いて、光透過率の変化(400nm波長)を測定し、黄色劣化を評価した。
<密着性評価方法>
Cuスパッタ膜付きSiウエハ上に各実施例1〜2の1)〜5)で成膜後、碁盤目テープ剥離試験(JIS K5400)にて、クロスカットガイド1.0を用いて、1mm角の正方形100個が出来るようにカッターナイフで傷を付け、上からセロハンテープを貼り付けた後剥離し、セロハンテープに付着せず基板上に残った正方形の数を数えることにより、密着性を評価した。
この場合の密着性は、100個残った場合60Mpa、50個付近の場合30Mpa、10個以下の場合10Mpaに相当する。
【0054】
<破断点伸度評価方法>
Alスパッタ膜付きSiウエハ上に各実施例1〜2の1)〜5)で成膜後、ダイシングソー(ディスコ製型式名DAD−2H/6T)を用いて3.0mm幅にカットし、10質量%塩酸水に浸漬してシリコンウエハ上から剥離し、短冊状のフィルムサンプルとした。引張り破断ひずみ試験(JIS K7161)にて測定装置(ORIENTEC製テンシ
ロン 型式UTM−II−20)にセットし、チャック間距離50mm、引張り速度40mm/分で測定した。
<耐湿性試験>
実施例1〜2のガラス基板上に成膜した樹脂について、恒温恒湿装置(YAMATO製
型式IW221)で温度60℃、湿度90%の条件で、1000時間までストレス試験を行い、ストレス前後の光透過率の変化(400nm波長)、剥がれ、クラックなどを評価した。
実施例1、実施例2で合成した樹脂の性能比較を表3に示す。
【0055】
【表3】

表3より、本発明実施例において、MEMO及び架橋性モノマー添加による破断点伸度、密着性、耐湿性の向上効果があることが分かる。
【0056】
[実施例3]マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子の製造方法
マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子は成形物用の型の種類が異なるだけであり、製造方法は同じである。
1)ガラス基板へのコート及び加熱ステップ:コーニング製無アルカリガラス基板(10cm正方形、厚み0.7mm)上に、実施例2で得られる感光性樹脂組成物をNMP溶剤で70質量%添加し希釈したのち、2500rpm、30秒の条件で、スピンコーターにより塗布する。コートしたガラス基板面を上にして、ホットプレート上で120℃で5分間加熱する。NMP乾燥除去後の感光性樹脂組成物の厚みは1μmである。
2)型を押し当てるステップ:実施例2で得られた感光性樹脂組成物をNi金属製のマイクロプラスチックレンズ様型又は液晶偏光板用光学素子の型にスポイトで5滴滴下し、加熱処理後冷却したガラスの樹脂コート面を下にして、型内の滴下樹脂に押し当て密着させる。
露光ステップ:ガラス基板と金属型で感光性樹脂を挟んだ状態で、ガラス基板側からCANON製近接露光装置ミラープロジェクションアライナーを使って、紫外線を全面マスク無しで照射する。i線波長(365nm)での照射量は400mJ/cmである。
3)型剥離ステップ:紫外線硬化後、金属型をガラス基板から剥離する。
4)最終加熱ステップ:キュアオーブンを使って、N中200℃の温度で2時間加熱
する。
【0057】
[実施例4] マスクを使用してのマイクロプラスチックレンズ製造方法
1)基板へのコート及び加熱ステップ:実施例2で得られる感光性樹脂組成物にNMPを40質量%添加混合して希釈した後、シリコン基板上に滴下し、2500rpm、30秒の条件でスピンコーターを使ってコートする。コートしたシリコン基板面を上にしてホットプレート上で120℃で5分間加熱する。NMP乾燥除去後の感光性樹脂の厚みは6μmである。
2)複数回露光ステップ:マイクロプラスチックレンズの円パターンからなる3枚のマスクを予め準備する。Siウエハ上でのレンズ寸法が、直径2μm、4μm、6μmのネガ型感光レジスト用パターンのレンズアレイ(縦横5個、計25個)をCADにて作成し、マスクとする。円パターンは、その直径が、一番大きい直径÷露光回数=一番小さい直径となるように作成する。また、各マスクにはアライメントマークがあり、各レンズパターンが直径の異なる同心円パターンになっている。現像削れ後の残膜飽和値が3μmであり、この時の必要最低露光量が90mJ/cmであるため、90÷3=30mJ/cmの一定光量で、同心円直径の小さい2μmのマスクから順に同心円に重ねて紫外線露光する。
3)現像ステップ:回転スプレー法で現像する。使用される現像液としてはシクロヘキサノンを用いて、20秒間スプレー現像し、リンス液としてイソプロピルアルコールを用いて、10秒間リンスする。
4)最終加熱ステップ:キュアオーブンを使って、N中200℃の温度で2時間加熱する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明により、260℃のハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素子や電子部品一体型製品の製造用として有用な耐UV黄変性に優れた耐熱性感光性透明樹脂を得ることができるため、耐熱性が要求されるマイクロプラスチックレンズや光導波路、プロジェクター向け液晶偏光板用光学素子を得ることができる。また型成形し難いLSIウエハ上にも、複数枚マスク露光と現像削れ方式で、耐熱性マイクロプラスチックレンズアレイを形成する事ができるため極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)、CH−Si−Cl、及びCH−Si−(OCHからなる群より選ばれる一種以上の化合物を、b)の化合物50モルに対して、a)の化合物を30〜70モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合して得られることを特徴とする感光性樹脂と、
前記感光性樹脂に対して0.01〜5質量%の光重合開始剤と、
前記感光性樹脂に対して0.1〜10質量%の280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤とを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール骨格を有することを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記280〜380nmに吸収領域を持つ紫外線吸収剤が、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、前記感光性樹脂に対して1〜30質量%の架橋性モノマーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記架橋性モノマーが、ビスフェノールAを主鎖に含むポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物であることを特徴とする請求項4記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記架橋性モノマーが、ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレート、ポリテトラメチレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物であることを特徴とする請求項4記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、前記感光性樹脂に対して0.1〜10質量%の(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−O−CH−CO(左記COはエポキシ基)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物をガラス基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板を得るステップと、該感光性樹脂組成物付着ガラス基板の該感光性樹脂組成物面に、別に用意した請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を満たした成形物用の型の開口部を押し当てるステップと、該ガラス基板側から露光するステップと、該成形物の型を該ガラス基板から剥離するステップと、150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を、ガラス基板又はシリコン基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板又はシリコン基板を得るステップと、マイクロプラスチックレンズの円パターンからな
る複数枚のマスクで、各マスクにはアライメントマークがあり、各レンズパターンについて直径の異なる同心円パターンになっている複数枚のマスクを使い、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、円直径の小さいマスクから順にマスク1枚ごとに紫外線を複数回露光するステップと、露光後に現像するステップと、現像後150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズの製造方法。

【公開番号】特開2008−88195(P2008−88195A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267034(P2006−267034)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】