説明

有機物漁礁及び有機物漁礁集合体

【課題】中古或いは廃船となった繊維強化プラスチック船や廃竹材や間伐材などの有機物を利用した漁礁を提供する。
【解決手段】繊維強化プラスチック船舶10の周縁部上方に筒状の外枠30を形成し、船舶10と外枠30は浮力付与手段20を有し、外枠の内部空間に固体の植物性有機物を挿入して有機物漁礁1を形成し、有機物を分解する微生物や水棲生物が魚類の餌となって食物連鎖が形成され、消失した有機物を補充する事によって有機物漁礁が再生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチック船舶の鉛直方向上方に筒状の外枠を形成し、外枠に浮力付与手段を取付け、外枠内部の空間に個体の植物性有機物を挿入した浮沈式の有機物漁礁及び有機物漁礁集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、棒状或いは索状の材料を用いて籠状に形成した枠体中に、間伐材や木材チップを含む林産物をネット状の袋に収納し、魚類の餌となる生物の育成増殖を図り、海藻類の付着育成を図り、魚類の定着育成を図る技術があるが、林産物をネット状の袋に入れ、海中に設置した籠状に形成した枠体中に入れるだけである。
間伐材などの林産物を再生する手段は、海中設置用構造体を引上げる方法であり、膨大な費用が必要である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば、圧気供給機と浮力体を連結して気体量を調節する開放型浮力体によって、或いは密閉型浮力体によって浮沈機能を持たせた養殖用生け簀装置があるが、定型の生け簀を浮沈させる為だけの装置であり、中古或いは廃FRP船の有効利用を図り、伸縮する筒状の外枠を浮沈させ、有機物の再生、挿入を容易にした本発明とは異なる(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−048687号
【特許文献2】特開平11−178472号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載した背景技術では、間伐材等の林産物をネット状の袋に収納し魚類の定着育成を図る技術があるが、その食物連鎖により破壊される有機物漁礁を、廃棄物を出さず簡単に再生する方法が考慮されていない。
【0006】
従って、竹材、人工林の間伐材、街路樹や植木の選定廃材、製材過程で生じる端材や廃木材などの未利用有機物を、安価な形状で貧栄養の海洋に提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため本発明の有機物漁礁は、繊維強化プラスチックを少なくとも一部に使用した船舶が利用されている有機物漁礁であって、有機物漁礁は、水中に位置する船舶周縁部から船舶の鉛直方向上方に所定間隔を設け、外枠形成部材でもって筒状の外枠側面が形成されており、船舶周縁部或いは外枠形成部材に、或いはその両方に浮力付与手段を付加し、浮力付与手段は、内部に発泡樹脂が充填された容器からなる定常浮力部か、或いは密封された硬質容器からなる定常浮力部と、給排気ホースが接続され水面上より加圧空気の給排気で空間部の体積が変化する容器からなる変動浮力部が、単独で或いは混在して形成されており、筒状の外枠側面の下方にある船舶によって外枠下面が形成されており、外枠下面に、外枠の内部空間に充填する物体の和が嵩比重1より大きく浮力付与手段の最大浮力より小さい範囲内で、重量物が充填されており、外枠の内部空間に所定体積を持つ固体の植物性有機物が挿入されて、外枠上面が外枠形成部材でもって閉鎖されている有機物漁礁を提供する。
【0008】
前記の水中に位置する船舶周縁部とは、有機物漁礁が水中に設置されている状態を記述した表現である。
【0009】
前記の船舶の鉛直方向上方に設ける所定間隔とは、水深や潮流により異なるが、船舶の船体長さの略4分の1から3倍程度であって、船舶を含み船舶周縁部の上方に形成される外枠の高さである。
【0010】
船体長さの略4分の1から3倍程度の高さを持つ外枠は、大量の有機物をランダムに挿入する事が可能であり、ランダムに挿入する事によって適度の空隙が生じて稚魚や小型魚の住処が出現し、魚類の餌となる大量の水棲生物が繁殖して漁業資源が確保される。
【0011】
前記の外枠形成部材とは、外枠の内部空間に挿入する所定体積の植物性有機物の離散を防ぎ、稚魚や小型魚が通過できる空隙を有するネット状弾性部材、ロープ部材、パイプ或いはホース状の中空部材、発泡樹脂が充填された棒状部材、船舶の内少なくとも1種以上で構成されている。
【0012】
外枠形成部材が稚魚や小型魚が通過できる空隙を有する事は、稚魚に大型魚から身を守る住処を提供する事であり、内部に挿入した有機物を分解する水棲生物を食物として提供する事であり、恒久的な漁業資源の確保に有効な手段である。
【0013】
前記の定常浮力部とは、内部に発泡樹脂が充填された容器からなる定常浮力部と、密封された硬質容器からなる定常浮力部があり、有機物漁礁を構成する筒状の外枠側面を直立させ、水中で一定姿勢を保持する為に重要である。
【0014】
前記の変動浮力部とは、給排気ホースが接続され水面上より加圧空気の給排気で空間部の体積が変化する容器からなり、有機物漁礁を再生する為に浮上させる手段として重要である。
【0015】
前記の外枠下面に重量物が充填される事は、船舶が必然的に外枠の下方に位置し、浮力と重力を均衡させて有機物漁礁の姿勢安定を図る上で重要である。
【0016】
変動浮力部材に接続された前記の給排気ホースは、片方の先端が水面上に達し、水面上から変動浮力部材内に加圧空気の注入と排気を繰返す事が出来、設置場所の水圧に耐えうるホースである。
【0017】
前記の所定体積を持つ固体の植物性有機物とは、粉末や顆粒状の物質を除く竹類や木質系有機物であって、稚魚や小型魚が通過可能な空隙を有するネット状弾性部材から容易に離脱しない体積を持つ植物性有機物である。
【0018】
また有機物漁礁が安定した形状を保つ為に、前記筒状の外枠側面に付加する外枠周回部材があって、外枠周回部材は、水平方向に外枠を周回する定型或いは略定型をしており、密閉された硬質の中空部材、或いは発泡樹脂が充填されたパイプ状部材、ホース状部材、棒状部材、或いはロープ状部材、の少なくとも一種以上で構成されており、外枠周回部材が外枠側面に付加されている、或いは外枠側面の最上部を構成している有機物漁礁を提供する。
【0019】
定型或いは略定型をした前記の外枠周回部材が、筒状の外枠側面に付加され、或いは外枠側面の最上部を構成している事は、筒状の外枠側面を直立させ、水中で一定姿勢を保持する為に必要である。
【0020】
また有機物漁礁を安定した姿勢で浮上させる為に、前記筒状の外枠側面に付加する姿勢制御装置であって、姿勢制御を担う姿勢制御ロープ部材が、前記の船舶周縁部に左右略均等に複数個接続されており、各姿勢制御ロープ部材は、筒状の外枠側面を経由して外枠側面の最上部の前記外枠周回部材を周回して外枠側面の外側に出され、外枠側面の外側で、移動式重量物が移動可能な状態で付加されて先端が船舶船底に接続され、浮上時の姿勢制御装置として付与された有機物漁礁を提供する。
【0021】
前記の姿勢制御を担う姿勢制御ロープ部材とは、有機物漁礁の再生作業を行う時、筒状の外枠側面の略中心部に船舶を浮上させる為の姿勢制御を担うロープであって、左右略均等に配置する必要があるので複数個とした。
従って前記の複数個とは、2の倍数であって通常は2×1、2×2、2×3、2×4、2×5である。
【0022】
前記の移動式重量物とは、姿勢制御ロープ部材を通す空洞部があり、空洞部の直径はロープ直径の略2〜10倍あり、当該漁礁に使用する合計重量が、外枠最上部の浮力付与手段の浮力範囲内にあって各個数に均等配分されており、空洞部に姿勢制御ロープ部材を通す事によって、ロープ内の最下点に移動可能な重量物である。
【0023】
前記の姿勢制御装置が付加された有機物漁礁が浮上する時、水面上よりの加圧空気の注入で最上部の変動浮力部材の空間体積が増加して浮上が開始され、最初に外枠最上段が水面まで浮上し、続いて上部の浮力部材から順に浮上する事になる。
【0024】
浮上に伴って筒状の外枠側面は収縮し、収縮に伴って緩んだ姿勢制御ロープ部材は外枠の外側にある移動可能な重量物によって引っ張られ、重量物は順次最下点に移動する。
前記の姿勢制御ロープ部材が左右略均等に配置されている事により、移動式重量物が同重量である事により、外枠最上部が外側に浮上し、上部から順に内側に浮上し、最後に船舶が略中心部に浮上する。
【0025】
また有機物漁礁が折りたたまれて浮上する機能を強化する為に、前記筒状の外枠側面に前記外枠周回部材が所定段数設けられており、各所定段の外枠周回部材は、前記定常浮力部が単独で外枠周回部材を構成しているか、或いは給排気口を有し密閉された略同体積の弾性部材からなる前記変動浮力部の複数個を略均等配分して付加された外枠周回部材とが、単独で或いは混在して形成されており、各所定段の変動浮力部は、給排気ホースで連結されており、各所定段間の変動浮力部も給排気ホースで連結されており、最上段の変動浮力部の給排気口は、片方が水面上に達した給排気ホースに接続されており、最下段の変動浮力部に排気専用口が取付けられている有機物漁礁を提供する。
【0026】
前記の所定段数とは、2〜10段程度であって、筒状の外枠側面が水中にあって安定した形状を保持する役目を強化し、浮上する時の姿勢制御に役立つ。
【0027】
各所定段に均等配分された変動浮力部は、最上段から最下段の変動浮力部が1単位の給排気ホースで連結され、水面上に達した給排気ホースから給気する事によって変動浮力部の上方から体積が増加して浮力が生じ、最下段まで移行した気圧が水圧に勝った場合は最下段の排気専用口から排出され、変動浮力部内の気圧は水圧と均衡する。
【0028】
また有機物漁礁が折りたたまれて浮上する機能を強化する為に、前記筒状の外枠側面に前記外枠周回部材が所定段数設けられており、各所定段の外枠周回部材は、前記定常浮力部が単独で外枠周回部材を構成しているか、或いは給排気口を有し閉鎖された硬質或いは準硬質の定型容器からなる前記変動浮力部の複数個を略均等配分して付加された外枠周回部材とが、単独で或いは混在して形成されており、各所定段の変動浮力部は、給排気ホース或いはパイプ状部材或いは伸曲するホース状部材で連結されており、各所定段間の変動浮力部は、給排気ホース或いは伸曲するホース状部材で連結されており、最上段の変動浮力部の給排気口は、片方が水面上に達した給排気ホースに接続されており、最下段の変動浮力部は、少なくとも下部の一部が開放されている有機物漁礁を提供する。
【0029】
前記の閉鎖された硬質或いは準硬質の定型容器とは、1.1気圧以下では変形しない閉鎖可能な定型容器であって、水中にある定型容器は常時水圧の影響下にあり、同時に加圧空気を注入する事によって過剰な内圧が生じる場合がある。
この弊害を避けるため、本発明では連結された最下段の定型容器の下部を開放する事により、下方から水が浸入し或いは排出される為、定型容器内は常時水圧と均衡している。
【0030】
前記の有機物漁礁を水面下の安定した位置に設置する為に、前記筒状の外枠側面の最上部は、水面にあって独立しており、内部に発泡樹脂が充填された容器からなる定常浮力部材と、或いは密封された硬質容器からなる定常浮力部材と、牽引手段でもって連結されている有機物漁礁を提供する。
【0031】
吊漁礁として安定した位置に有機物漁礁を設置する為に、有機物漁礁の水中重力が浮力より若干重くなる程度に設定し、その重力と浮力の差よりも大きな浮力を有し水面上にある独立した定常浮力部に接続する方法が最良である。
【0032】
前記の有機物漁礁を有効に利用する為に、前記の水面にあって独立している定常浮力部材の複数個が、棒状或いはパイプ状或いは板状の部材でもって水面で接続されて一体化して集合浮力部材として形成されており、集合浮力部材に複数個の前記有機物漁礁が接続されている有機物漁礁を提供する。
【0033】
前記の水面とは、常時波の影響下にある為に水面下略30cmから水面上略60cmを含む概念であって、複数個とは設置海域や用途によって著しく異なるが2個から略120個である。
【0034】
有機物漁礁は一定海域に固定する必要があり、前記の筒状の外枠側面は、或いは前記の外枠下面は、或いは前記の水面にあって独立している定常浮力部材は、或いは前記の集合浮力部材は、海底に設置された装置と係留手段によって係留されており、係留手段は離脱と接続を繰返す事ができる有機物漁礁を提供する。
【0035】
また有機物漁礁は、漁礁をより安定させるために隣接する漁礁同士を外枠連結手段でもって接続し、横移動を制限し、水中で安定した漁礁群を提供する。
【0036】
前記の有機物漁礁が、水面から吊下げられて、或いは海底或いは湖底に設置されて、定置網の一部として使用されている、或いは定置網と合体している、或いは集魚施設の一部として使用されている、或いは集魚施設と合体している有機物漁礁集合体を提供する。
【0037】
前記の有機物漁礁は、稚魚や小型魚が自由に通過できる外枠を持っている事から安全な住処が確保され、有機物を食する水棲生物が食料となって稚魚や小型魚が繁殖する。
従って、その小型魚を求めて大型魚が集まり、大型魚を捕獲する効率の良い定置網や集魚施設の補助手段となった、或いは定置網や集魚施設の一部となった有機物漁礁集合体を提供する。
【発明の効果】
【0038】
本発明を利用する事によって、貧栄養の海洋に竹材や木質有機物を個体の形状で提供する事は、有機物を分解する水棲生物が魚類の餌となって持続的な食物連鎖が完成し、稚魚や幼魚に住処が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】船舶周縁部の上方に略楕円錐が逆転した形状の筒状の外枠からなる有機物漁礁が、浮力付与手段を有し、浮き漁礁として設置された斜視図である。
【図2】図1の有機物漁礁に加圧空気を注入し、中段まで浮上した時の側面図である。
【図3】図1の有機物漁礁に加圧空気を注入し、船舶まで浮上した時の側面図である。
【図4】図1の有機物漁礁が、図3に示す船舶まで浮上した時の平面図である。
【図5】船舶周縁部の上方に略楕円錐が逆転した形状の筒状の外枠からなる有機物漁礁が、3段の外枠周回部材と変動浮力部及び姿勢制御装置を有し、浮き漁礁として設置された斜視図である。
【図6】図5の有機物漁礁を船尾から見た側面図(円内は外枠内部の透視図)である。
【図7】図5の有機物漁礁に加圧空気を注入し、船舶まで浮上させ時の側面図である。
【図8】図7の有機物漁礁を船尾から見た側面図である。
【図9】有機物漁礁を平らな海底に設置した側面図である。
【図10】複数の水面にある定常浮力部材を一体化して集合浮力部材とし、有機物漁礁群を形成したイメージ図である。
【図11】有機物漁礁群を集魚施設として組合せた平面図である。
【図12】有機物漁礁群と定置網を組合せた捕獲システムの平面図である。
【図13−A】有機物漁礁の外枠側面が、角型の外枠周回部材を有し、拡大部と縮小部が混在している有機物漁礁の側面図である。
【図13−B】図13−Aの平面図である。
【図14−A】有機物漁礁の外枠側面が、丸と角の混合型外枠周回部材を有し、中間部で水平方向の外周径が大きな形状をし、最上部の外枠周回部材が定常浮力部材からなる有機物漁礁の側面図である。
【図14−B】図14−Aの平面図である。
【図15】外枠側面が、船舶周縁部と略同寸の外枠周回部材が定常浮力部材で構成されている有機物漁礁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
前記課題を解決する方法として、本発明では繊維強化プラスチック船舶の中古船或いは廃船をも利用し、未利用資源を活用し、安価な有機物漁礁を目指した。
FRP船は、14万隻と推定される放置艇に加え毎年1万隻を越える隻数が廃船時期を迎えているが、軽量で高強度、高耐久性である優れた製品特性が解体時になって災いし、安価で有効なリサイクル技術、新たなエネルギーを消費しないリユースが課題とされている。
【実施例1】
【0041】
図1〜4は同一の実施例であるが、まず図1に基づき記述する。
繊維強化プラスチック船舶の中古漁船(10)からデッキや付属部品を取除いた船体(長さ13m×巾2.5m×深さ1m)を利用し、その周縁部から上方に筒状の外枠側面を製作する。
【0042】
筒状の外枠側面は、側面図で表した時に上方ほど水平方向の外周径が大きな形状、或いは中間部で水平方向の外周径が大きな形状、或いは水平方向の外周径が船舶周縁部と略同寸か小さな形状がある中で、また水平方向の平面形状が、略円形或いは略楕円形或いは略角型或いはその混合型とある中で、本実施例では略円形で上方ほど水平方向の外周径が大きな形状をした外枠を採用した。
【0043】
JIS規格の塩化ビニルパイプVP150を加工して、長辺側26m×短辺側8mの略楕円形状の外枠周回部材(37)を製作して最上部の外枠周回部材(36)とし、船舶周縁部(12)との間に所定間隔(41)16mを設け、外枠縦ロープ部材(35)を用いて船舶周縁部に接続した。
【0044】
外枠縦ロープ部材(35)の中間点で、水平方向にロープを用いて中間の外枠周回部材(37)を加えて全体の骨格とし、その骨格に合成樹脂製ネット(34)を張り、筒状の外枠側面(31)とする。
骨格に張った合成樹脂製ネットは、直径6mmのロープで製作された、7.5cm×12cmの空隙を有するネットを使用した。
【0045】
船舶周縁部(12)の4箇所に変動浮力部材(24)を接続し、同位置から伸びる外枠縦ロープ(35)と中間の外枠周回部材(37)及び最上部の外枠周回部材(36)が交わる地点にも変動浮力部材(24)を接続し、全ての変動浮力部材を1単位の給排気ホース(27)で連結し、最上部の外枠周回部材(36)の4箇所に定常浮力部材(23)を取付けて浮力付与手段(20)とした。
【0046】
外枠側面の最上部は、水面にあって独立している2個の定常浮力部材(21)と、2mの牽引手段(60)でもって接続し、最上部の変動浮力部材から伸びた給排気ホース(27)を前記の定常浮力部材(21)に結び、浮力付与手段を有する筒状の外枠側面(31)が完成した。
【0047】
有機物漁礁が安定した姿勢を維持する為には、浮力と均衡する重力が必要である。
外枠下面(33)を形成する船舶船底(13)は、下方に沈めるために嵩比重が1より重くなる必要があり、また外枠の内部空間に充填する有機物(図6−51)の水中重力との和が、浮力付与手段(20)より少ない範囲内で、船舶船底(13)に重量物(図6−63)として砂を充填した。
【0048】
外枠内部に挿入する所定体積を有する固体の植物性有機物(図7−50)は、実施例2において記述する。
【0049】
有機物を挿入した外枠上面(32)は、前記の合成樹脂製ネット(34)を用いて塞ぎ、図1に示す上下方向に伸縮可能な有機物漁礁(1)が完成した。
【0050】
図2、図3は、図1に示す有機物漁礁を再生するために浮上させる過程を示した側面図であり、図2は最上部の浮力を持たない変動浮力部材(24)と中段の浮力を持たない変動浮力部材(24)に加圧空気が充満して浮力を持った変動浮力部材(25)となって中段まで浮上した状態を表し、図3は全ての変動浮力部に加圧空気が充満して浮力を持った変動浮力部材(25)となり、船舶まで浮上した状態を表した側面図である。
【0051】
図4は、図1に示す有機物漁礁が図3まで浮上した時の平面図であって、最上部の外枠周回部材(36)が最外側になり、下部になるに従って内側に浮上し、中央部に船舶(10)が浮上した構図を平面図で表した。
漁礁に使用した有機物は、絶えず消滅するため補充し再生する必要があり、簡単な操作で水面まで浮上させ、海面上で再生作業を行うことが簡便である。
【実施例2】
【0052】
図5に示す実施例について記述する。
図1と略同サイズの船舶を用い、JIS規格の塩化ビニルパイプVP150を加工して、長辺側26m×短辺側8mの略楕円形状の外枠周回部材(37)を製作して最上部の外枠周回部材(36)とし、船舶周縁部(12)との間に16mの所定間隔(図6−41)を設け、外枠縦ロープ部材(35)を用いて船舶周縁部に接続した。
【0053】
船舶周縁部と最上部の外枠周回部材とを結ぶ外枠縦ロープ部材(35)の外側に、前記の合成樹脂製ネットからなる外枠形成部材(34)を張り、筒状の外枠側面(31)とする。
【0054】
前記筒状の外枠側面の中間部に合致する外枠周回部材(37)を前記のVP150で製作し、最上部の外枠周回部材(36)に2個の外枠周回部材を加え、合計3個の定常浮力部(23)が外枠側面を構成する。
【0055】
船舶周縁部に4個、最上部の外枠周回部材の外側に2個、合計6個の変動浮力部材(24)を取付け、合計6個の変動浮力部材は給排気ホースで連結し、最上部の変動浮力部材は片方が水面上に達している給排気ホース(27)に接続する。
【0056】
最上部の外枠周回部材(36)の船首と船尾部は、前記の定常浮力部材(21)と2mの牽引手段(60)でもって連結し、水面にある定常浮力部材に水面上に達している給排気ホースを接続した。
【0057】
船舶周縁部に接続し出発した姿勢制御ロープ部材は、外枠側面の合成樹脂製ネットの外側を通過し、中間にある2個の外枠周回部材(37)の内側を通過し、最上部の外枠周回部材(36)の外側から内側に向かって周回し、側近で再び外側に出し、外枠側面の外側で移動式重量物(64)の空洞部の中を通過させ、先端を船底に接続した。
前記の姿勢制御ロープ部材は、船舶側面の前後2箇所で左右均等に配し、合計4個を設置した。
【0058】
外枠の内部空間に固体の植物性有機物(図6−50)を挿入し、外枠上面(32)を前記の合成樹脂製ネットからなる外枠形成部材(34)を張り、有機物漁礁が完成した。
【0059】
図7について記述する。
図5の有機物漁礁を再生する為に浮上させる時、水面上より加圧空気を注入し、最初に最上部の浮力を持たない変動浮力部材(24)の体積が増加して浮力を持った変動浮力部材(25)となって浮上を開始し、続いて船舶周縁部に取付けた浮力を持たない変動浮力部材(24)が浮力を持った変動浮力部材(25)となって浮上が完了する。
【0060】
浮上に伴って筒状の外枠側面が収縮し、前記の姿勢制御ロープ部材(38)が緩み、姿勢制御ロープ部材は付加された移動式重量物(64)によって外側に引っ張られ、外側にでた姿勢制御ロープ部材が長くなるに従って移動式重量物は船底から離れて最下点に移動する。
【0061】
最上部の外枠周回部材(36)は、船舶周縁部の長さ方向で略2倍、巾方向で略3倍の直径を持ち、浮上に伴って外枠は姿勢制御ロープ部材によって外側に向かって均等に引っ張られる為、外枠周回部材(36)が上部から順に浮上し、最後に船舶が中心部に浮上する構図を図7で表した。
【0062】
図6について記述する。
図5に示した3段の外枠周回部材を持つ有機物漁礁を船尾側から見た側面図であって、所定間隔(41)、外枠最上部と水面間の距離(42)、稚魚や小型魚が通過可能な空隙(43)、及び外枠内部に挿入した固体の植物性有機物(50)のイメージを円内(51)に表示し、さらに船底に充填した重量物(63)である砂を円内(51)に表示した。
本実施例の稚魚や小型魚が通過可能な空隙(43)は12cmで、外枠最上部と水面間の距離(42)は2mである。
【0063】
固体の植物性有機物(50)の内で間伐材や街路樹の選定材は、水分を持った伐採直後は比重が1.3〜1.5ある為早急に使用すると何らの加工も必要でなく、運搬が容易な形状に切断して曲部を少なくなる工夫をした。
【0064】
固体の植物性有機物(50)の内で竹材は、枝部をそぎ落とし、主幹部を3m〜5mに切断した後2〜4分割にして中空構造を破壊し、10本〜30本を纏めて荒縄で結束した。
中空構造を破壊した伐採直後の孟宗竹は、嵩比重が1.3で水中に沈むが、時間の経過に伴い繊維内の水分が蒸発して軽くなるため、切出し直後に使用した。
枝部は枝部だけで結束して用いた。
【0065】
外枠の内部空間に投入する所定体積を持つ固体の植物性有機物(50)は、本発明の基本物質であるものの竹材や木材は形状が定まらない為図面は円内の一部にとどめた。
【0066】
図8は、図7の側面図と同一の物体を船尾側から見た側面図である。
【0067】
図9は、浮漁礁として使用した図5に示す有機物漁礁から姿勢制御装置を取除き、平らな海底に設置した有機物漁礁を表した。
【実施例3】
【0068】
図10は、孟宗竹を3〜5本束ねて棒状にし、さらに縦横に組合せて格子状の枠を作り、水面にある定常浮力部材(21)を連結し、一体化した集合浮力部材(22)を形成し、集合浮力部材(22)から吊下げられた有機物漁礁が、漁礁連結手段(62)であるロープによって連結して連結した有機物漁礁集団(2)を形成し、海底に設置された構造物から係留手段(61)であるロープによって係留し、種々の用途に集団で利用される構図を表した。
【0069】
有機物漁礁は、離脱と接続を繰返す事ができる係留手段(61)を採用し、台風などの荒天時に水中深く沈める事が出来る。
【0070】
図11は、連結した有機物漁礁集団(2)を組合せ、中央部から外側に向かって放射線状に延びた漁礁集団を形成し、潮流(66)にのって移動してきた魚類を中央部に誘導する漁礁集団の平面図であって、集魚施設の1例である。
【0071】
図12は、定置網(68)と連結した有機物漁礁集団(2)の平面図で、定置網に誘導する魚道を有機物漁礁集団で置き換え、餌を求めて集合した魚類を誘導する方法である。
漁獲対象となる大型魚類は、餌となる水棲生物や小型魚を求めて有機物漁礁に群がり、連結した有機物漁礁集団に沿って定置網に誘導し、さらに捕獲網の外側にある有機物漁礁を目指し、捕獲場に誘導する漁礁の1例を示した。
【実施例4】
【0072】
図13−Aの側面図で表す筒状の外枠側面は、拡大と縮小が混在する外枠周回部材(37)で構成され、最上部の外枠周回部材(36)の一部は直下の外枠周回部材(37)より縮小している。
また、姿勢制御ロープ部材(38)は拡大部のみを通過して構成され、浮上時の姿勢制御を容易にした。
【0073】
図13−Bの平面図で表す筒状の外枠側面は、6個の変動浮力部材(24、25)を取付けた6角型の外枠周回部材(37)が3個と、4角型、6角型、8角型をした変動浮力部材を有しない外枠周回部材(37)が3個で構成されており、さらに船舶周縁部に4個の変動浮力部材(24、25)を取付けた。
【0074】
図13−Bの平面図で表す如く、浮力を持たない変動浮力部材(24)に加圧空気を注入し、浮力を持った変動浮力部材(25)となって浮上した時、4角型、5角型、8角型をした変動浮力部材を有しない外枠周回部材(37)は直下の変動浮力部材を有する6角型の外枠周回部材(37)に支えられて浮上する。
【実施例5】
【0075】
図14−Bの平面図で表す筒状の外枠側面は、外枠周回部材(37)が角型と半円形の複合型をしており、最上部の外枠周回部材(36)が定常浮力部材(23)で構成され、船腹部では外側に位置し、船首と船尾部では内側に縮小している構図を表した。
【0076】
図14−Aの側面図で表す筒状の外枠側面は、上方になるほど外周径が拡大するものの、最上部の外枠周回部材(36)が定常浮力部材(23)で構成され、船首と船尾側の一部で内側に縮小している構図を表した。
【0077】
図15で表す筒状の外枠側面は、船舶周縁部と略同寸の外枠周回部材が定常浮力部材(23)からなり、船舶周縁部と最上段の外枠周回部材(23、36)に変動浮力部材が取付けられて筒状の外枠側面を形成した有機物漁礁の水中状態を表す斜視図である。
【0078】
以上述べてきた如く、本発明は廃棄物を利用し、新たなエネルギーの投入を最小限にとどめ、漁業資源の復活を提起する。
森が海を育てる、この重要課題が再認識され、植林を行う漁業者が現れ始めているが、人工林は3倍の幼木を植林し、間伐を繰返す事によって立派な針葉樹林に成長するものの、山村の過疎化と高齢化によって放置され、超過密に陥った人工林は生物の本能に従って最後の力を振り絞り、数倍もの花粉をばら撒いている。
間伐をして豊かな森林に育て上げる事は、花粉症対策の医療費削減にも寄与する。
【0079】
街路樹や植木の選定廃材は、水分を含んだまま化石燃料を浪費して焼却処分されており、その有効利用が切望されている。
【0080】
また、竹の進出によって森林が破壊されている地域がある。
昔の竹林被害は、地下茎を延ばして隣地に進出する程度であったが、現在の竹林被害は道路等の境界域に忽然と現れた数本の竹が、1〜2ヶ月で成長して樹木の上空を覆い、地下茎を縦横に張り巡らせ、瞬く間に森林を破壊しながら竹林へと姿を変え、野生動物でさえ立ち入ることが出来ない荒廃した竹林に変貌している。
照葉樹林は、地中深くに根を下ろし、緑のダムとして雨水を蓄え、多様な生物を育む豊かな森林を形成するのに反し、竹林は表層にのみ根を張って貧栄養な単一の生物層を形成し、枯れた竹はぽっかりと地中に穴を開け、大規模な地滑りの要因をはらんでいる。
森林に進出した貧栄養の竹を伐採する事は、植林して森を育てるよりも簡単で効果的な方法であり、豊かな森林の復元が切望さている。
これらの現象は、九州・四国を含む本州の南部地方で顕著に見られる現象で、現在はまだ里山近くの出来事であるものの、数年先には山奥にまで達する勢いで拡大し、進行しており、近い将来、日本中の森林が再生不可能となる事態が充分予測され、早急な対策が差し迫っている。
【0081】
一方海では、コンブ・ワカメ・カジメ・ホンダワラなど、かっては多くの海藻が繁茂していた日本の沿岸海域は、背後に展開する豊かな森林によって支えられていた。
森林が失われ、開発によって土砂が流入し、垂直護岸によって浄化機能に満ちた浅瀬や干潟が失われ、有機物の供給がダム湖によって分断され、海底ではサンゴモによる石灰層の拡大で磯焼けが蔓延し、海藻が消失して魚群が姿を消し、里海は壊滅的打撃を受けている。
亜熱帯地方の海域でも、多種類の生物が息づくサンゴ礁のすぐ隣で、オニヒトデの異常繁殖により、或いは赤土の流入により、或いは海水温の上昇によって死滅したサンゴ礁が拡大し、海の砂漠が広がっている。
海藻やサンゴ礁の減少は、海藻にしか産卵しない魚類、海藻によって育まれる魚類が枯渇するのは当然であり、途切れた食物連鎖を復活させねばならない。
【0082】
大都市近郊の限られた海域は、水に溶けた窒素やリンの大量の養分が供給され、微生物が爆発的に増殖して赤潮などの弊害が生まれているが、その反面で多くの沿岸海域が有機物やミネラルの供給不足にあえいでいる。
森林が育んだ貴重な有機物資源を海洋に運ぶ河川には、多くのダムが横たわって水が澱み、有機物が堰き止められ、低酸素状態の湖底で無気分解され、里海が貧栄養に曝されている。
里海は豊かな森林と繋がって初めて生きるのであり、ダム湖で遮断された河川に替わり、本発明が固体の有機物を海洋に提供する事によって食物連鎖を完成させる。
【0083】
しかし、里海に恒久的な漁業資源が復活する事は大きな経済効果であっても、高額の漁礁では費用に対する経済効果が伴わず、実効性が無い。
本発明は、持続的な食物連鎖の原点である固体の有機物を大量に供給し、有機物が分解され消失した時に漁礁を再生する手段に主眼を置き、繊維強化プラスチック船舶の中古や廃船を利用する事によって安価な有機物漁礁を可能にし、安価な有機物漁礁が連結した大規模漁礁群によって恒久的な漁業資源が確保され、或いは既存の定置網漁と合体させて里海が復活し、外洋に進出しなくとも生計が成り立つ事は漁村の活性化に繋がる。
里山においても、廃竹材や木質有機物の未利用資源が活用される事は、新たな雇用と活気が蘇り、漁村と山村を結びつけた大きな経済効果が期待できる。
【符号の説明】
【0084】
1 有機物漁礁
2 連結した有機物漁礁集団
10 船舶
11 船舶上部
12 船舶周縁部
13 船舶船底
20 浮力付与手段
21 水面にあって独立している定常浮力部材
22 集合浮力部材
23 定常浮力部材
24 浮力を持たない変動浮力部材
25 浮力を持った変動浮力部材
26 浮上時の姿勢制御装置
27 給排気ホース
28 排気専用口
30 外枠
31 筒状の外枠側面
32 外枠上面
33 外枠下面
34 外枠形成部材
35 外枠縦ロープ部材
36 最上部の外枠周回部材
37 外枠周回部材
38 姿勢制御ロープ部材
41 所定間隔
42 外枠最上部と水面間の距離
43 稚魚や小型魚が通過可能な空隙
50 固体の植物性有機物
51 外枠内部の透視図(円内)
60 牽引手段
61 係留手段
62 漁礁連結手段
63 重量物(砂)
64 移動式重量物(リング状錘)
65 水面
66 海底
67 潮流
68 定置網


【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化プラスチックを少なくとも一部に使用した船舶が利用されている有機物漁礁であって、
有機物漁礁は、水中に位置する船舶周縁部から船舶の鉛直方向上方に所定間隔を設け、外枠形成部材でもって筒状の外枠側面が形成されており、
船舶周縁部或いは外枠形成部材に、或いはその両方に浮力付与手段を付加し、
浮力付与手段は、内部に発泡樹脂が充填された容器からなる定常浮力部か、或いは密封された硬質容器からなる定常浮力部と、給排気ホースが接続され水面上より加圧空気の給排気で空間部の体積が変化する容器からなる変動浮力部が、単独で或いは混在して形成されており、
筒状の外枠側面の下方にある船舶によって外枠下面が形成されており、
外枠下面に、外枠の内部空間に充填する物体の和が嵩比重1より大きく浮力付与手段の最大浮力より小さい範囲内で、重量物が充填されており、
外枠の内部空間に所定体積を持つ固体の植物性有機物が挿入されて、
外枠上面が外枠形成部材でもって閉鎖されている
有機物漁礁。
【請求項2】
前記筒状の外枠側面に付加する外枠周回部材であって、
外枠周回部材は、水平方向に外枠を周回する定型或いは略定型をしており、密閉された硬質の中空部材、或いは発泡樹脂が充填されたパイプ状部材、ホース状部材、棒状部材、或いはロープ状部材、の少なくとも一種以上で構成されており、
外枠周回部材が外枠側面に付加されている、或いは外枠側面の最上部を構成している
請求項1に記載の有機物漁礁。
【請求項3】
前記筒状の外枠側面に付加する姿勢制御装置であって、
姿勢制御を担う姿勢制御ロープ部材が、前記の船舶周縁部に左右略均等に複数個接続されており、
各姿勢制御ロープ部材は、筒状の外枠側面を経由して外枠側面上部の前記外枠周回部材を周回して外枠側面の外側に出され、
外枠側面の外側で、移動式重量物が移動可能な状態で付加されて先端が船舶船底に接続され、
浮上時の姿勢制御装置として付与された
請求項1に記載の有機物漁礁。
【請求項4】
前記筒状の外枠側面に前記外枠周回部材が所定段数設けられており、
各所定段の外枠周回部材は、前記定常浮力部が単独で外枠周回部材を構成しているか、或いは給排気口を有し密閉された略同体積の弾性部材からなる前記変動浮力部の複数個を略均等配分して付加された外枠周回部材とが、単独で或いは混在して形成されており、
各所定段の変動浮力部は、給排気ホースで連結されており、
各所定段間の変動浮力部も給排気ホースで連結されており、
最上段の変動浮力部の給排気口は、片方が水面上に達した給排気ホースに接続されており、
最下段の変動浮力部に排気専用口が取付けられている
請求項1に記載の有機物漁礁。
【請求項5】
前記筒状の外枠側面に前記外枠周回部材が所定段数設けられており、
各所定段の外枠周回部材は、前記定常浮力部が単独で外枠周回部材を構成しているか、或いは給排気口を有し閉鎖された硬質或いは準硬質の定型容器からなる前記変動浮力部の複数個を略均等配分して付加された外枠周回部材とが、単独で或いは混在して形成されており、
各所定段の変動浮力部は、給排気ホース或いはパイプ状部材或いは伸曲するホース状部材で連結されており、
各所定段間の変動浮力部は、給排気ホース或いは伸曲するホース状部材で連結され、
最上段の変動浮力部の給排気口は、片方が水面上に達した給排気ホースに接続されており、
最下段の変動浮力部は、少なくとも下部の一部が開放されている
請求項1に記載の有機物漁礁。
【請求項6】
前記筒状の外枠側面の最上部は、
水面にあって独立しており、内部に発泡樹脂が充填された容器からなる定常浮力部材と、或いは密封された硬質容器からなる定常浮力部材と、
牽引手段でもって連結されている
請求項1に記載の有機物漁礁。
【請求項7】
前記の水面にあって独立している定常浮力部材の複数個が、
棒状或いはパイプ状或いは板状の部材でもって水面で接続されて一体化して集合浮力部材として形成されており、
集合浮力部材に複数個の前記有機物漁礁が接続されている
請求項1に記載の有機物漁礁。
【請求項8】
前記の筒状の外枠側面は、或いは前記の外枠下面は、或いは前記の水面にあって独立している定常浮力部材は、或いは前記の集合浮力部材は、
海底に設置された装置と係留手段によって係留されており、
係留手段は離脱と接続を繰り返す事ができる
請求項1に記載の有機物漁礁。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の有機物漁礁が、
水面から吊下げられて、或いは海底或いは湖底に設置されて、
定置網の一部として使用されている、或いは定置網と合体している、
或いは集魚施設の一部として使用されている、或いは集魚施設と合体している
有機物漁礁集合体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−A】
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【図13−B】
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【図14−A】
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【図14−B】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−279338(P2010−279338A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146048(P2009−146048)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【特許番号】特許第4423512号(P4423512)
【特許公報発行日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(304049248)株式会社 宮田エンジニアリング (10)
【Fターム(参考)】