説明

有機発光表示素子の製造方法及びその製造装置

【課題】有機発光ダイオードが形成された第1基板とこれを密封するための第2基板を備え、第1、第2基板の合着工程と密封工程とを別々に実施する製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】有機発光ダイオードが形成された第1基板120と乾燥材が形成された第2基板130を合着し、前記第1、第2基板の間に位置する密封材を硬化させて前記第1、第2基板を密封する有機発光表示素子の製造装置において、複数の第1貫通ホール110を具備してそのホールを蜜閉する第1透過膜111が形成されて前記第1、第2基板の合着が行われる第1チャンバ100と、所定の領域に第2貫通ホール210を具備して前記第2貫通ホールを蜜閉する第2透過膜211が形成されて前記第1、第2基板間の密封が行われる第2チャンバ200とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光表示素子の製造方法及びその製造装置に関し、より詳細には、有機発光ダイオードが形成された第1基板と第1基板を密封するための第2基板を具備して、第1基板と第2基板の合着工程と密封工程を別々に実施する有機発光表示素子の製造方法及びその製造装置に関するのである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオードを利用した有機発光表示素子が注目されている。有機発光表示素子は硝子基板上に有機発光ダイオードと有機発光ダイオードを駆動するためのTFT(Thin Film Transistor)を含む複数の画素・回路要素を具備する。
【0003】
このような有機発光ダイオードは、水気に敏感で乾燥材が塗布された金属キャップや密封硝子基板に、蒸着基板に蓋を覆って水気の侵入を防止する密封構造が提案されている。このような密封構造の場合、有機発光ダイオードが形成されたデバイス硝子基板と密封硝子基板に平らなプレートで荷重を加えたりN全面均一加圧方式で密封工程が進行される。
【0004】
図1は、従来一例の有機発光表示素子製造用チャンバの一主要部を示した図面である。図1を参照して説明すれば、従来の有機発光表示素子製造用チャンバ(全体図省略)では、第1基板10と第2基板20の合着工程と紫外線UVを利用した密封材(sealant)硬化工程を同一チャンバ内において一緒に実施する。
【0005】
まず、第1基板10は透過膜30と対向する位置に配置された金属材の吸着プレート40によって真空吸着され、第2基板20は透過膜30上に積載する。この時、第1基板10の所定の領域に形成された有機発光ダイオード11と第2基板20の所定の領域に形成された乾燥材層12が向い合うように配置する。
【0006】
以後、移動器具(図示せず)を利用して吸着プレート40を下降させ、第1基板10と第2基板20の間に所定の格差(間隔)Gが発生するまで移動器具を加圧して吸着プレート40に荷重を加えるか、またはN全面均一加圧方式で吸着プレート40に荷重を加える。
【0007】
その後、チャンバ(図示せず)外部に配置された紫外線照射装置50によって、透過膜30及び第2基板20を通じて密封材15に紫外線UVが照射されるようにする。これによって密封材15が硬化されることにより、第1基板10と第2基板20の接着が行われる。
【0008】
上述したような基板密封方式において、紫外線を利用して密封材15を硬化させるための過程では、合着工程中の加圧に耐えることができ、しかも紫外線に対する透過度の高い材質である透過膜30が使われなければならない。前記条件を満足する透過膜30としては水晶、強化ガラス、強化プラスチックの中でいずれか一つを使うことができる。しかし、大型基板を適用する有機発光表示素子の合着工程の場合、圧力に耐えることができるように剛性を維持する透過膜30の製作は難しくて大型基板の合着工程に限界があった。
【0009】
なお、前記従来の有機発光表示素子の製造方法及びその製造装置に関する技術を記載した文献としては、下記特許文献1ないし4等がある。
【特許文献1】特開2003−015552号公報
【特許文献2】日本特許登録第3139462号公報
【特許文献3】韓国特許登録第0404342号公報
【特許文献4】韓国特開2005−0000478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は上述した従来の問題点を解決するためのもので、その目的は、大型基板の合着工程を実施するチャンバと、紫外線硬化工程を実施するチャンバを別々に具備して大型透過膜の加工を容易にするための有機発光表示素子製造方法及びその製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した技術的課題を果たすための本発明の一側面は、有機発光ダイオードが形成された第1基板と乾燥材が形成された第2基板を合着し、前記第1基板と前記第2基板の間に位置する密封材を硬化させ、前記第1基板と前記第2基板を密封する有機発光表示素子の製造装置において、複数の第1貫通ホールを具備して前記第1貫通ホールを蜜閉する第1透過膜が形成されて前記第1基板と前記第2基板の合着が行われる第1チャンバ及び所定の領域に、第2貫通ホールを具備して前記第2貫通ホールを蜜閉する第2透過膜が形成されて、前記第1基板と前記第2基板の密封が行われる第2チャンバを含む有機発光表示素子の製造装置を提供することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の側面は、複数の第1貫通ホールを具備して第1貫通ホールを蜜閉する第1透過膜が形成された第1チャンバ内で、前記第1基板と前記第2基板を合着する段階、合着された前記第1基板と前記第2基板の少なくとも一領域に紫外線を照射する段階、及び所定の領域に第2貫通ホールを具備し、第2貫通ホールを蜜閉する第2透過膜が形成された第2チャンバ内で前記第1基板と前記第2基板の密封ラインに存在する密封材の紫外線硬化工程を実施する段階と、を含む有機発光表示素子製造方法を提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述したように本発明によれば、合着工程と紫外線硬化工程を一つのチャンバで実施する従来の技術とは違って、合着工程と紫外線硬化工程をそれぞれ異なるチャンバで実施するので、紫外線透過のための透過膜が合着工程による加圧に耐える必要がない。これによって透過膜の厚さが薄くできるので透過膜の加工が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の望ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0015】
図2aは、本発明による有機発光表示素子製造用第1チャンバを示した図、図2bは本発明による有機発光表示素子製造用第2チャンバを示した図である。
【0016】
図2a及び図2bを参照すれば、本発明による有機発光表示素子の製造装置は、第1チャンバ100で第1基板120と第2基板130を合着する工程を実施した後、移動器具(図示せず)を利用して合着された第1基板120と第2基板130を第2チャンバ200に移動させ、そして第1基板120と第2基板130とを密封するための紫外線硬化工程を実施する。
【0017】
まず、第1チャンバ100では有機発光ダイオード(図示せず)が形成された第1基板120と第1基板120を密封するための第2基板130とをその位置を整列して合着工程を実施する。すなわち、第1基板120は第1透過膜111と対向する位置に配置された金属製の吸着プレート121によって真空吸着され、第2基板130はマスク140上に積載される。この時、マスク140は、紫外線UVが密封材の存在する部分を除いた残りの部分に影響を及ぼさないようにする(前記密封材の存在部分以外への照射紫外線に対してマスキングする)ために使用し、支持プレート150上に形成される。支持プレート150は、第1基板120と第2基板130の合着工程が実施されるように第1基板120と第2基板130、そしてマスク140を支持する役割をする。
【0018】
以後、移動器具(図示せず)を利用して吸着プレート121を下降させて、第1基板120と第2基板130の間に所定の格差(間隔)が発生するまで移動器具を加圧して吸着プレート121に荷重を加えたり、またはN全面均一加圧方式で吸着プレート121に荷重を加える。
【0019】
第1チャンバ100の下部面には、複数の第1貫通ホール110が形成されており、複数の第1貫通ホール110それぞれには第1貫通ホール110を蜜閉する第1透過膜111(図中、柱状の誇張表現)が形成される。一方、第1貫通ホール110は第1チャンバ100下部面最外郭部の少なくとも六箇所以上に形成される(図3a参照)。この時、第1貫通ホール110は5mm〜30mmの直径を持つ円形、または少なくとも5mm×30mmの直四角形に形成されうる。そして、上述した支持プレート150にも第1貫通ホール110に対応する位置に所定大きさの貫通ホールを形成して紫外線が支持プレート150を通過して第1基板120と第2基板130の間の密封材(図示せず)に到逹できるようにする。
【0020】
一方、第1チャンバ100の外部には、紫外線照射装置112が配置されている。紫外線照射装置112は、複数の第1貫通ホール110を蜜閉する各第1透過膜111を通じて第1基板120と第2基板130との間に存在する密封材(図示せず)に紫外線が照射されるようにする。
【0021】
その次の工程が進行される第2チャンバ200では、第1基板120と第2基板130の間の全体的な接着が行われるようにマスク240を利用して密封ライン(図3aのSeal Line参照)に存在する密封材(図示せず)に紫外線UV硬化工程を実施する。そして、第2チャンバ200下部面の所定の領域には第2貫通ホール210を具備して第2貫通ホール210を蜜閉する第2透過膜211を形成する。この時、第2透過膜211は、第1基板120の大きさに対応して少なくとも二つ以上に分離することができる。すなわち、大型基板に紫外線UVを照射する場合、ここに対応する大きさの第2透過膜211を具備するのに困難さがあるので、大型基板を所定の領域に区分して各領域に第2透過膜211を分けて配置する。
【0022】
一方、合着基板に形成された回路(図示せず)の成膜面が密封ラインの奥の方に、或いは基板方向に遠く離れて位置している場合には、第2チャンバ200の上部から紫外線を照射しても回路の成膜面が毀損(棄損)されない(ダメージを受け難い)ため、第2貫通ホール210は第2チャンバ200の上部面に形成されうる。
【0023】
そして、第2チャンバ200の外部には、紫外線照射装置212が配置されている。紫外線照射装置212は、複数の第2貫通ホール210を蜜閉する第2透過膜211を通じて第1基板120と第2基板130の間の密封ラインに存在する密封材に紫外線が照射されるようにする。すなわち、第2チャンバ200では第1基板120と第2基板130の合着工程が実施されないため、第2透過膜211には加圧が加えられない。したがって、加圧による第2透過膜211の無理な荷重負荷なしに紫外線硬化工程を実施することができる。そのために、前記第2透過膜211は、加圧ダメージを受けることがなく、その厚さを薄くするすることが可能であり、また、その厚さを薄くできることによりその膜形成のコントロール並びに加工が容易である。
【0024】
図3aは、本発明による合着基板と第1チャンバの一主要部を示す分解斜視図、図3bは本発明による合着基板と第2チャンバの一主要部を示す分解斜視図である。
【0025】
以下、合着された第1基板120及び第2基板130を総称して合着基板と言い、図面に示された第1チャンバ100と第2チャンバ200はそれぞれ第1チャンバ100の底部(下部面)と第2チャンバ200の底部(下部面)を示し、チャンバ周壁部は省略して示した。
【0026】
図3a及び図3bを参照すれば、本発明による第1チャンバ100の第1貫通ホール110に対応する合着基板の複数のスポット(spot)113地点と密封ライン(Seal Line)にはそれぞれ密封材が存在する。そして、合着基板が第1チャンバ100内に位置している時には、スポット113地点のみに紫外線を照射してスポト113地点に存在する密封材のみを硬化する。これは、合着基板を第1チャンバ100から第2チャンバ200に移動する場合、第1基板120と第2基板130の間のミスアライン(miss align)を防止するためである。このようにして移動に際しての第1及び第2基板120、130相互位置ずれが避けられるようになされている。
【0027】
上述したようにスポト113地点のみで紫外線硬化工程を実施する場合、第1透過膜111の面積が広いか、厚さが厚い必要がないので第1透過膜111は紫外線が通過される第1貫通ホール110のみに形成され、これによって、第1チャンバ100内で行われる合着工程による荷重が加えられても第1透過膜111には無理な(過度の)荷重がかからない。
【0028】
上述した第1チャンバ100と第2チャンバ200それぞれに形成された第1透過膜111と第2透過膜211は、紫外線透過率の高い物質からなり、一例として水晶、強化ガラス、強化プラスチックの中でいずれか一つを用いて製造されうる。
【0029】
図4は、本発明による有機発光表示素子の製造方法を示した図である。図4を参照すれば、本発明による有機発光表示素子は、第1段階ST100ないし第3段階ST300にわたって製造される。本製造方法は、特に、有機発光ダイオードが形成された第1基板と第1基板を密封するための第2基板を形成する有機発光表示素子製造方法に関するものである。
【0030】
第1段階ST100は、下部面に複数の第1貫通ホールを具備して第1貫通ホールを蜜閉する第1透過膜が形成されている第1チャンバ内で第1基板と第2基板の合着工程を実施する段階である。すなわち、第1基板は第1透過膜と対向する位置に配置された金属製の吸着プレートによって真空吸着され、第2基板は第1透過膜上に積載される。この時、第1基板の所定の領域に形成された有機発光ダイオードと第2基板の所定の領域に形成された乾燥材層向き合うように配置する。
【0031】
その後、移動器具を利用して吸着プレートを下降させて、第1基板と第2基板の間に所定の格差(間隔)が発生するまで移動器具を加圧して吸着プレートに荷重を加えたりまたはN全面均一加圧方式で吸着プレートに荷重を加える。
【0032】
第2段階ST200は、合着された第1基板と第2基板のスポット地点に紫外線を照射する段階である。すなわち、複数の第1貫通ホールに対応する位置の合着基板上のスポット地点のみに紫外線を照射してスポット地点に存在する密封材のみ硬化されるようにする。したがって、後述する第3段階ST300を実施するために合着された第1基板と第2基板が第1チャンバから第2チャンバに移動する場合、ミスアラインが発生することを防止することができる。
【0033】
第3段階ST300は、下部面の所定の領域に第2貫通ホールを具備し、第2貫通ホールを蜜閉する第2透過膜を形成する第2チャンバ内で第1基板と第2基板の密封ラインに存在する密封材に紫外線硬化工程を実施する段階である。一方、第2チャンバでは第1基板と第2基板の合着工程が実施されないため、第2透過膜に加圧が加えられない。したがって、加圧による第2透過膜の無理な荷重過負荷なしに紫外線硬化工程を実施することができる。
【0034】
本発明は添付された図面に図示された実施形態を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということを理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の有機発光表示素子の基板合着及び密封状態の一例を説明するための断面図である。
【図2a】本発明による有機発光表示素子製造用第1チャンバを示す断面図である。
【図2b】本発明による有機発光表示素子製造用第2チャンバを示す断面図である。
【図3a】本発明による合着基板と第1チャンバの底部を示す分解斜視図である。
【図3b】本発明による合着基板と第2チャンバの底部を示す分解斜視図である。
【図4】本発明による有機発光表示素子の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0036】
100 第1チャンバ
110 第1貫通ホール
111 第1透過膜
120 第1基板
130 第2基板
200 第2チャンバ
210 第2貫通ホール
211 第2透過膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオードが形成された第1基板と乾燥材が形成された第2基板を合着し、前記第1基板と前記第2基板の間に位置する密封材を硬化させて前記第1基板と前記第2基板を密封する有機発光表示素子の製造装置において、
複数の第1貫通ホールを具備して前記第1貫通ホールを蜜閉する第1透過膜が形成されて前記第1基板と前記第2基板の合着が行われる第1チャンバと、
所定の領域に第2貫通ホールを具備して前記第2貫通ホールを蜜閉する第2透過膜が形成されて前記第1基板と前記第2基板の密封が行われる第2チャンバと、
を含む有機発光表示素子の製造装置。
【請求項2】
前記第1チャンバで互いに合着された前記第1基板と前記第2基板を前記第2チャンバに移動するための移動器具をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示素子の製造装置。
【請求項3】
前記第1透過膜及び前記第2透過膜は、
水晶、強化硝子及び強化プラスチックで構成されるグループから選ばれるいずれかひとつであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示素子の製造装置。
【請求項4】
前記第1貫通ホールは、
前記第1チャンバ下部面の外郭部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示素子の製造装置。
【請求項5】
前記第1貫通ホールは、
前記外郭部の少なくとも六つの箇所に形成されることを特徴とする請求項4に記載の有機発光表示素子の製造装置。
【請求項6】
前記第1貫通ホールは、
直径が5mm〜30mmである円形に形成されることを特徴とする請求項5に記載の有機発光表示素子の製造装置。
【請求項7】
前記第1貫通ホールは、
少なくとも5mm×30mmの直四角形に形成されることを特徴とする請求項5に記載の有機発光表示素子の製造装置。
【請求項8】
前記第2透過膜は、
前記第1基板の大きさに対応して少なくとも二つ以上に分割されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示素子の製造装置。
【請求項9】
前記第2貫通ホールは、
前記第2チャンバの上部または下部面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示素子の製造装置。
【請求項10】
複数の第1貫通ホールを具備して前記第1貫通ホールを蜜閉する第1透過膜が形成された第1チャンバ内で前記第1基板と前記第2基板を合着する段階と、
合着された前記第1基板と前記第2基板の少なくとも一領域に紫外線を照射する段階と、
所定の領域に第2貫通ホールを具備して前記第2貫通ホールを蜜閉する第2透過膜が形成された第2チャンバ内で前記第1基板と前記第2基板の密封ラインに存在する密封材の紫外線硬化工程を実施する段階と、
を含む有機発光表示素子の製造方法。
【請求項11】
前記第1基板と前記第2基板を合着する段階は、
前記第1基板と前記第2基板の位置を整列する段階と、
前記第1基板を前記第2基板方向に加圧する段階と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の有機発光表示素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate