説明

有機結合剤を有するゼオライト吸着剤

本発明は、少なくとも1つのゼオライト吸着剤が大量に装填された少なくとも1つのポリマーマトリクスを含有する集塊化ゼオライト吸着剤に関する。本発明は、このような吸着剤を調製する方法および特に水分、臭気、揮発性有機構成要素などの吸着剤としてのこの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト型の少なくとも1つの吸着剤が大量に添加された少なくとも1つのポリマーマトリクスを含む、集塊化ゼオライト系吸着剤に関する。本発明は、特に押出によって得たこのような吸着剤の調製プロセスに、および水分、臭気、揮発性有機化合物などの吸着剤としてのこの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
今日一般に使用されるゼオライト系吸着剤は、有機結合剤を使用して集塊化させた1つ以上のゼオライトを含む吸着剤である。これらの集塊は各種の形で、概してビーズ、押出物、粉末などの形で提供され、多かれ少なかれ大型の粒径は概して数マイクロメートルから数ミリメートルである。
【0003】
次にこれらの集塊化吸着剤はこのまま、例えば液体もしくは気体の精製もしくは分離のためのカラムを充填するために、または化学反応で使用される触媒を担持するために使用される。
【0004】
しかしこのような集塊は、粉塵、微粉またはフュームを発生する欠点を示し、使用する場合に予防措置を、特に前記集塊を使用できるようにするために前記集塊を封じ込めることができる容器を必要とする。
【0005】
ゼオライト系粉末および集塊の取扱いに関する問題を克服して、利用可能な形状の固体ゼオライト系吸着剤(取扱うために容器を必要としない。)を有することができるようにするために、ゼオライト粉末および/またはゼオライト系集塊をポリマーマトリクス中に挿入する提案が行われている。次に前記ポリマーマトリクスは、成形、射出成形、押出などによって形成できる。
【0006】
このような形成品は、ゼオライト粉末またはゼオライト系粉末集塊よりも容易に取扱い可能であり、従って細粒、フィルム、小型バーを含むバー、ロッドなどの形で吸着剤としてより容易に使用される。
【0007】
しかし、今日までに提供されているポリマーマトリクスを含む(即ち有機結合剤を含む)ゼオライト系吸着剤は多くの欠点を被っており、主な欠点は、ポリマーマトリクスに包含できるゼオライトの含有率が低いことである。
【0008】
ゼオライトの含有率が低いのは、ゼオライト粉末を溶融状態のポリマーマトリクスにブレンドすることによって、ポリマーマトリクス中でゼオライトの高い含有率を達成することが比較的困難であることが到達水準により示されているためである。
【0009】
加えてポリマーマトリクスを含むゼオライト吸収剤の押出、押出成形または成形によって得た製品の機械的特性は、前記ポリマーマトリクス中のゼオライト粉末の重量による含有率が上昇すると、大きく低下する。
【0010】
結果は、現在に至るまで、有機結合剤を含むゼオライト系吸着剤が砕けやすく、脆性であり、および/またはごく低い吸着容量を有するということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの欠点を克服するために、孔形成剤および/または加工助剤の存在下での、ゼオライト粉末およびポリマーの組成物から生成された調製物が提案されている。
【0012】
この解決策は、有機マトリクスを構成するゼオライト系吸着剤の同じ体積に対してゼオライトのレベルを低下させる欠点を示す。それにもかかわらず、これらの孔形成剤および加工助剤は、有機マトリクスにマクロ/メソ多孔性を生じさせるのを助け、このことにより迅速な吸着動態、従って非常に短期間の有効性をもたらす。
【0013】
それゆえ良好な機械特性を有し、低速吸着動態を備えた、最大吸着容量の有機結合剤を含むゼオライト系吸着剤への要求が残されている。この要求は、押出、成形、押出成形、射出、射出成形などによって得ることができる、固体(またはモノリス)の形で提供されたゼオライト系吸着材料で特に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
有機結合剤を含むこのようなゼオライト系吸着剤は、本発明の第1の目的を成す。また他の目的は、以下に続く本発明の説明の中で明らかになる。
【0015】
それゆえ本発明はまず第1に、有機結合剤を含むゼオライト系吸着材料に関し、ゼオライト系吸着材料は:
a)ポリマーマトリクス、および
b)少なくとも1つのゼオライト、
を含み:
−ゼオライト結晶が前記マトリクス中に均質に分散され、および
−ゼオライト結晶の量が、前記吸着材料の総重量に対して65重量%超、好ましくは70重量%超、および前記吸着材料の総重量に対して99重量%未満、好ましくは95重量%未満、さらに好ましくは90重量%未満、全く好ましくは85重量%以下である。
【0016】
本発明の意味の範囲内で、ゼオライト系吸着材料は概して化合物(ブレンド)から得られ、形成、例えば押出、成形、押出成形、押出射出成形または少なくとも1つの溶融ポリマーマトリクスから開始して固体形の製品を得ることを可能にする当業者に公知の他のいずれかの技法が続く。
【0017】
本発明による吸着材料に含まれるポリマーマトリクスは、ポリマーの専門家である当業者にこれ自体公知であるいずれの種類でもよい。このポリマーマトリクスは好ましくは、ポリマーマトリクスの総重量に対して、20%超の、好ましくは50%超の少なくとも1つの熱可塑性および/または熱硬化性ホモポリマーおよび/またはコポリマーの重量による量を含む。
【0018】
好ましくはポリマーマトリクスは、少なくとも1つの熱可塑性ホモポリマーおよび/またはコポリマーを含み、さらに好ましくは少なくとも1つの熱可塑性ホモポリマーおよび/またはコポリマーから構成される。
【0019】
一例としておよび言外の制限なく、ポリマーマトリクスは、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン型などのポリオレフィン;エラストマー、例えばアクリレートコポリマー型、例えばエチレン/ブチルアクリレートコポリマー型のエラストマー;ポリアミド;ポリエステルまたはこれらの2つ以上のポリマーのブレンドも含む。
【0020】
ポリマーマトリクスは全部または一部に、超分子アセンブリを形成できる1つ以上のポリマー、ホモポリマーおよび/またはコポリマーを含むこともできる。「超分子アセンブリ」という用語は、水素結合によって相互に結合することができるポリマー、ホモポリマーおよび/またはコポリマーを意味するものである。
【0021】
「超分子」ポリマーの中でも、非制限的な例として、半結晶性ポリマーならびに特に脂肪酸および/または脂肪酸ダイマーおよび/または脂肪酸トリマーと、1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−(2−{2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチルアミノ}エチル)−イミダゾリドン(UTEPA)、N−(6−アミノヘキシル)−N’−(6−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリミジン−2−イル)尿素(UPy)、およびこの混合物から選択される少なくとも1つの結合性アミン(水素結合を形成することができる。)との縮合から生じる化合物の超分子会合から形成されたポリマーを挙げることができる。
【0022】
本発明による集塊化材料に含まれるゼオライトは、好ましくは結晶形の、天然、合成または人工のこれ自体公知の任意の種類であることが可能であり、この平均粒径は20μm未満、好ましくは15μm未満および0.05μm超、好ましくは0.1μm超である。平均粒径は、レーザ回折によって測定される。本発明の実施例では、粒径はMalvern(登録商標)Instrument Mastersizer S装置、規格NF ISO 13320(2000)を使用して測定する。
【0023】
本発明で使用できるゼオライトの非制限的な例として、ゼオライトA、フォージャサイトX、フォージャサイトLSX、フォージャサイトYなどを挙げることができる。使用は2つ以上のゼオライトの混合物から成り得ることが明らかに理解される。本発明による材料の吸着容量および/または吸着動態を調整することが望ましいときに、このことは特に好都合であり、多様な種類のゼオライトがそれぞれ特定の吸着容量および動態を有する。
【0024】
本発明の別の態様により、本発明による吸着材料は、化合技法で一般に使用される1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤の非制限的な例は、UV安定剤、顔料、染料、酸化防止剤、衝撃改質剤、相変化材料(PCM)、難燃剤、匂い剤などから選択することができる。
【0025】
本発明の1態様により、本発明による吸着材料は、ゼオライトの吸着度に従って色を変化することができる1つ以上の化合物(着色インジケータ)を含むことができる。このような化合物は例えば、化学的に反応して同時に色を変化させる顔料、インクまたは染料である。反応性インクの例は、例えば出願WO 2006/079713に記載されている。
【0026】
驚くべきことに、上述の特徴を有する少なくとも1つのゼオライトが含まれている、有機マトリクスを構成するゼオライト系吸着材料を調製できることが見出されている。
【0027】
さらに詳細には、有機マトリクスを構成する集塊化材料の調製のために、プラスチックが当業者に公知の装置を使用して、溶融状態でゼオライトと化合される;内部ミキサ(例えばバンブリ型)の一例として、ロールミル、単軸または逆回転もしくは共回転2軸押出機、または連続共混捏機(例えばバス型)を挙げることができる。配合装置は、上述の装置の1つまたは組合せ、例えば巻取り単軸と組合せた共混捏機、ギアポンプと組合せた共回転2軸などであることができる。
【0028】
配合装置は、ポリマー溶融区域、ブレンド区域および/または揮発性化合物を除去するための減圧/排出区域を識別するように構成される。これらの各種の区域は、装置のスクリューの構成、制限区域の使用または装置の連結による所与の材料形態であることができる。
【0029】
装置は、分散されていない集塊を除去するための濾過システム、好ましくは連続濾過システムを装備することもできる。最後に装置は、この形態およびこの熱的特徴により化合物のレオロジーに適した空気中または水中での冷却を用いる、ロッド造粒システムを装備する。
【0030】
ポリマーマトリクスおよびゼオライト、ならびに任意の添加剤は同時にまたは個別に導入できる。特に、すべてまたは一部のゼオライトを、固体ポリマーマトリクスを有するメインホッパー内または溶融ポリマーマトリクス中のどちらかに給送装置を使用して導入することができる。
【0031】
ゼオライトの結晶は吸着材料中に均質に、即ち吸着材料中にゼオライトの濃度勾配がないように分散される。
【0032】
このように得た吸着材料は、従来技術の公知の吸着材料とは対照的に、ゼオライト固有の多孔性である単一多孔性を示す。
【0033】
全く驚くべきことに、本発明による吸着材料は、このかなり高レベルのゼオライトにもかかわらず、ポリマー特性を保持して、もろくないことが観察されている。
【0034】
加えて本発明による吸着材料は、下で紹介される本発明を例証する実施例に示されるように、非常に低速の吸着動態を示す。
【0035】
特に、従来技術の有機マトリクスを含むゼオライト系吸着材料は、比較的迅速な吸着動態を示し、この吸着動態は従来技術のゼオライト系吸着剤がマイクロチャネルを含み、それゆえ「2重多孔性」、即ち「マイクロ多孔性」(ゼオライトによる。)および「マクロ多孔性」(マイクロチャネルによる。)によって特徴付けられるという事実によって説明できる。このことにより、従来技術の前記吸着剤を完全にまたはほぼ完全に飽和させるために2、3時間から2、3日までの期間の変動が生じる。
【0036】
従来技術のゼオライト系吸着剤とは対照的に、本発明の有機結合剤を含むゼオライト系吸着剤は、マイクロ多孔性である1種類のみの多孔性を示し、多かれ少なかれ迅速な長期持続性作用(例えば2、3カ月から1年まで)である、制御された吸着動態を可能にする。
【0037】
加えて動態は、ポリマーマトリクス中への多孔性が異なる2つ以上のゼオライトの混合物の包含によるだけではなく、有機結合剤(ポリマーマトリクス)の性質によっても、好都合に調整することができる。ゼオライト/ポリマーマトリクスの性質によって、吸着された分子の性質と、吸着動態も制御することが可能であることが理解されるべきである。
【0038】
それゆえゼオライトへの吸着の専門家である当業者は、ポリマーマトリクス中に包含される必要のあるゼオライトの性質を、吸着される分子(水、匂い有機分子、汚染物質など)の性質の関数として選択することができる。
【0039】
同様に、ポリマーマトリクスの性質によって、吸着動態を調整することが可能である。特に、ポリマーマトリクス(例えば各種の結晶化度のポリエーテル)を生成するポリマーの結晶化度の調整によって、吸着動態を調整することが可能である。吸着動態を調整するまた他の可能性は、ポリマーマトリクスに修飾を行うことによって、例えばアモルファスブロック(例えばEVAまたはEBA)、親水性ブロック(例えばポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール)などを導入することによって、当業者が容易に利用できる。
【0040】
さらに本発明のゼオライト系吸着剤の高レベルの装填は、高い体積吸着容量によって反映される。
【0041】
本発明によるゼオライト系吸着剤に関連するまた別の利点は、材料が最大吸着容量であっても特に優れた寸法安定性を示すということを特徴とする。
【0042】
この全く予想されなかった特徴により、押出品、成形品および他の製品の調製を予想することが可能となり、製品の寸法は、吸着した分子、特に水の量がどれだけであっても、変形を受けることなく、長期にわたって正確に保持される。このことは、建築材(形状要素、窓および扉のフレームなど)または組立て部品(箱、容器などの蓋)の製造に使用される押出品、成形品および他の製品に特に好都合である。
【0043】
それゆえ本発明による吸着材料の寸法は保持され、前記吸着材料を含む製品は変形を受けない。しかし寸法および/または形状の修正は、この場合、本来「膨潤」の影響を受けることがあるマトリクス固有の特性によるもののみを除いて、観察され得ない。
【0044】
本発明のゼオライト系吸着剤の別の好都合な態様は、前記吸着剤の再生が考えられることである。再生が可能なのは、吸着が可逆性現象であるので、本発明の有機結合剤を含むゼオライト系吸着剤は、使用前または使用後に、例えば使用後に脱気を受けることも受けないこともあり、それゆえポリマーマトリクスが分解しないという条件で、例えば脱着、乾燥または当業者に公知の他の技法によって再生され得るためである。
【0045】
記載したばかりの本発明の有機結合剤を含むゼオライト系吸着剤の特性および利点によって、非常に多くの応用分野に用途がある押出、成形、射出成形および他の吸着剤製品を入手することが可能であり得る。
【0046】
このことはこのような吸着剤/製品が非常に良好な吸着特性を有するが、非常に良好な放出特性も有するためである。本発明の吸着剤は、ゼオライトが非常に高レベルで装填されているために、従来技術から公知である有機結合剤を含むゼオライト系集塊と同様の、いずれの種類の化合物の吸着(および/または放出)も可能にする。それゆえ吸着および/または放出できる化合物は、非制限的な例として、液体、気体など、特に水、酸素、二酸化炭素ガス、窒素、揮発性有機化合物(VOC)、モノマー、匂い分子、汚染物質などである。
【0047】
本発明による有機結合剤を含むゼオライト系吸着剤の応用分野、即ち使用分野は結果として、多数であり様々である。本発明の吸着剤は、例えば水分吸着構成要素、特に酸素産生プロセスのための気体分離構成要素、液体分離構成要素などとして好都合に使用することができる。
【0048】
本発明の有機結合剤を含むゼオライト系吸着剤は、窓(複層ガラス)、電気および電子用筐体、包材(写真、薬剤、フリーズドライ製品など)におよびさらに一般的にはいずれかの種類の固定収容部品に挿入することができる水分吸着構成要素(脱水構成要素)として使用するのに特に好適であり、好都合に従来技術から公知の乾燥剤バッグの代わりとなる。
【0049】
本発明の吸着剤の有機結合剤の性質に応じて、吸着剤は食品および食品加工分野での使用に完全に好適であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】2種類の多孔性:無機結合剤を含む集塊(3)内に含まれる粉末形のゼオライト(4)によって図式的に表されるマイクロ多孔性、およびマイクロチャネル(5)によって図式的に表されるマクロまたはメソ多孔性を含む、従来技術による有機結合剤(2)を含むゼオライト系吸着剤(1)を表す。
【図2】粉末形のゼオライト(4)の有機結合剤を含む集塊(3)を含む、従来技術による有機結合剤(2)を含むゼオライト系吸着剤(1)を表す。
【図3】吸着剤におけるゼオライト(4)の分布が均質でない、従来技術による有機結合剤(2)を含むゼオライト系吸着剤(1)を表す。
【図4】吸着剤においてゼオライト粉末(4)が均質に分布されている、本発明による有機結合剤(2)を含むゼオライト系吸着剤(1)を表す。
【図5】試験の関数としての水吸着結果をグラフで示す。
【図6】粒子に関する吸着結果をグラフで示す。
【図7】ロッドに関する吸着結果をグラフで示す。
【図8】水分吸着試験の結果をグラフで示す。
【図9】VOC型の分子での吸着試験結果を示す。
【0051】
本発明はここで本発明の範囲を限定するものではない以下の実施例を使用して例証され、この範囲は添付請求の範囲によって定義され、上の記載に照らして読み取りおよび解釈される。
【0052】
別途指摘しない限り、パーセンテージは重量によって表される。
【実施例1】
【0053】
エチレン/ブチルアクリレートコポリマーおよびゼオライト3Aをベースとする吸着材料
2種類のエチレン/ブチルアクリレート(EBA)コポリマーを試験した:
−ロトリル(登録商標)17 BA 07(エチレン/ブチルアクリレート(17%)コポリマー;Arkema);
−ロトリル(登録商標)30 BA 07(エチレン/ブチルアクリレート(30%)コポリマー;Arkema)。
【0054】
使用したゼオライトは、タイプ3Aのゼオライト:CECAが販売するシリポライト(登録商標)NK30 APから成る粉末である。試験3および4で使用した酸化防止剤はイルガノックス(登録商標)1010(CIBA)である。
【0055】
配合は、PR46/70タイプのバス(登録商標)型連続共混捏機で行う。造粒は、散水下で(実施例Eでは空気中で)面フライスによって行う。
【0056】
生成物を約180℃(ダイの中での溶融物の温度)で造粒するために、混捏機および巻取り押出機の設定温度(バレルおよび軸)を組成物の関数として150℃から185℃に調節する。押出ロッドの冷却は水中または空気中での冷却である。
【0057】
生成物は:
−ポリマー/イルガノックス(登録商標)1010プレミックス(総分配3kg/時)および
−ゼオライト系吸着体:シリポライト(登録商標)NK 30 AP(分配7kg/時)と同時に給送される。
【0058】
寸法:長さ60mm、幅12mm、厚さ7.5mmの長方形断面の押出ロッドを形成するために、得られた細粒を直径45の単軸押出機に押出温度230から240℃および押出速度10kg/時で導入する。これらのロッドを水中で冷却する。
【0059】
試験したブレンドの組成を下の表1に記載する。パーセンテージは総重量に対する、重量によるパーセンテージである。
【0060】
【表1】

【実施例2】
【0061】
ポリマーおよびゼオライト3A(シリポライト(登録商標)NK30 AP)をベースとする吸着材料
押出ロッドを下の表2に記載するように、異なる種類のポリマーを用い、実施例1に記載した押出条件に従って、しかし200から250℃の押出温度を用いて酸化防止剤の存在下で調製する。
【0062】
【表2】

【実施例3】
【0063】
押出生成物のキャラクタリゼーション
規格NF ISO 3451−1(1997)に記載されているように、先行実施例のそれぞれについて、1000℃での30分間の直接焼成によって、灰分のレベルを生成する。以下の結果が得られる(表3):
【0064】
【表3】

【実施例4】
【0065】
水分吸着試験
ポリマーの種類および酸化防止剤の使用の効果を評価するために、実施例1の押出ロッドに対する水分吸着試験(試験1から4)を50%に制御された湿度レベルおよび周囲温度の閉チャンバ内で行う。
【0066】
試験の関数としての水吸着結果を図5のグラフに表す。わずか約1400時間後に水分吸着最大値に達することが認められる。
【0067】
さらにより多い量の極性モノマーの導入により、押出ロッドの吸着動態が向上することが観察される。
【実施例5】
【0068】
吸着容量および寸法安定性
押出ロッドを周囲温度の水に浸漬する。
【0069】
最大吸着容量は約4000時間後に到達し、約18%である。
【0070】
押出ロッドの寸法が同一のままであることが見出され、使用中および使用後の本発明の吸着剤の寸法安定性が証明される。
【実施例6】
【0071】
水分吸着試験
ロッドを先行実施例で指摘したように、同様の方法でまたは射出成形によってまたは圧縮によって得た粒子、シートおよび小型バーと共に、当業者に公知の方法に従って産生する。
【0072】
水分吸着試験は、規格NF 1279−2(絶縁ガラス)に従って、先行実施例で得た押出細粒(直径約3mmおよび長さ3から5mmの寸法)および押出ロッドに対して、32%に制御された湿度レベルの閉チャンバ内で行う。
【0073】
粒子に関する吸着結果を図6のグラフに表す。
【0074】
水中での冷却によって調製した材料では、ポリプロピレンベース材料の吸着動態はEBAコポリマーをベースとする材料よりも低速であることが認められる。加えて、空気中での冷却による吸着動態の加速が可能であることと、ゼオライト粉末の量による動態の調整が可能であることとが観察される。
【0075】
ロッドに関する吸着結果を図7のグラフに表す。
【0076】
粒子に対する吸着は、ロッドに対する吸着よりも高速であることが見出される:それゆえ動態を目的の形状の関数として調整することが可能である。ポリマーが疎水性であればあるほど、吸着動態が低速になることも見出されている。
【実施例7】
【0077】
異なる種類のゼオライトを用いた吸着剤の調製
低密度ポリエチレン/ゼオライトNK10およびGSXP(CECA)をベースとする吸着剤は、以下の動作条件を用いて、バス型装置での押出によって産生される:
−配合温度:160から180℃;
−混捏スクリュー速度:240回転/分;
−移送スクリュー速度:13回転/分;
−機械のスループット:10kg/時;
−移送スクリューへの通気の印加;
−水中での冷却;
−細粒のサイズおよび形状(実施例6と同様)。
【0078】
得られた細粒を次に圧縮によって変換して、シート(10cm×10cm×200μm)を産生する。試験FおよびGの組成は以下の通りである:
【0079】
【表4】

【実施例8】
【0080】
水分吸着試験
水分吸着試験は、実施例6に記載した動作条件に従って、先行実施例(試験FおよびG)で得たシートに対して行う。結果を図8のグラフに表す。
【0081】
これらの結果は、吸着容量がより大きいゼオライトの使用によって、より高速の吸着動態が得られることを示す。
【実施例9】
【0082】
VOC型の分子での吸着試験
トルエンの吸着試験(試験H)は、VOC型のより大型の分子の吸着を評価するために、試験Gで使用したのと同じシートに対して、50%に制御されたトルエン部分圧および周囲温度の閉チャンバ内で行う。
【0083】
結果を図9に表す。本発明のゼオライト系吸着剤はVOC型の分子を吸着するのにも有効であることが見出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機結合剤を含むゼオライト系吸着材料であって:
a)ポリマーマトリクス、および
b)少なくとも1つのゼオライト、
を含み:
−ゼオライト結晶が前記マトリクス中に均質に分散され、および
−ゼオライト結晶の量が、前記吸着材料の総重量に対して65重量%超、好ましくは70重量%超、および前記吸着材料の総重量に対して99重量%未満、好ましくは95重量%未満、さらに好ましくは90重量%未満、全く好ましくは85重量%以下である、吸着材料。
【請求項2】
ポリマーマトリクスが、前記ポリマーマトリクスの総重量に対して、20%超の、好ましくは50%超の少なくとも1つの熱可塑性および/または熱硬化性ホモポリマーおよび/またはコポリマーの重量による量を含む、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
ポリマーマトリクスが例えばポリエチレンまたはポリプロピレン型などのポリオレフィン;エラストマー、例えばアクリレートコポリマー型、例えばエチレン/ブチルアクリレートコポリマー型のエラストマー;ポリアミド;ポリエステルまたはこれらの2つ以上のポリマーのブレンドも含む、請求項1または請求項2に記載の材料。
【請求項4】
ポリマーマトリクスが全部または一部に、超分子アセンブリを形成できる1つ以上のポリマー、ホモおよび/またはコポリマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の材料。
【請求項5】
本発明による集塊化材料に含まれるゼオライトが、好ましくは結晶形の、天然、合成または人工のゼオライトであり、この平均粒径は20μm未満、好ましくは15μm未満および0.05μm超、好ましくは0.1μm超である、請求項1から4のいずれか一項に記載の材料。
【請求項6】
UV安定剤、顔料、染料、酸化防止剤、衝撃改質剤、相変化材料(PCM)、難燃剤、匂い剤、ゼオライトの吸着度に従って色を変化させることができる化合物などから選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の材料。
【請求項7】
ゼオライトが吸着材料中に均質に、吸着材料中にゼオライトの濃度勾配がないように分散されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の材料。
【請求項8】
液体、気体など、特に水、酸素、二酸化炭素ガス、窒素、揮発性有機化合物(VOC)、モノマー、匂い分子、汚染物質などの吸着(および/または放出)のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の材料の使用。
【請求項9】
前記吸着材料が窓(複層ガラス)、電気および電子用筐体、包材(写真、薬剤、フリーズドライ製品など)およびさらに一般的にはいずれかの種類の固定収容部品において水分吸着構成要素として使用される、請求項8に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−510891(P2012−510891A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539083(P2011−539083)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052406
【国際公開番号】WO2010/063975
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(509016999)
【Fターム(参考)】