説明

有機酸を生産する大腸菌株の代謝的進化

この発明は、最小無機培地においてヘキソース糖を唯一の炭素の供給源として用いる発酵性の条件下、商業的に意味のある量において有機酸を生産することに以前に最適化された微生物の代謝的進化に関する。この代謝的進化の結果として、微生物は、最初の増殖動力学を保持している間、セルロース系材料に由来するペントース糖をその増殖に使用する能力、有機酸生産の比率、および炭素の供給源としてヘキソース糖を使用する能力を獲得する。この発明は、商業的に意味のある量の有機酸の生産において同時にヘキソースおよびペントース糖の両方を使用する能力を与える微生物における遺伝学的変更も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2009年11月18日に出願された米国仮出願61/281,483の優先権を主張する。
【0002】
政府支援
この発明は、米国エネルギー省から承認された協定の下での米国政府支援で承認番号DE−EE0002878/001で行われた。米国政府は、本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
「Top value added chemicals from biomass」と題する2004年の米国エネルギー省の報告は、生体触媒を用いて再生可能な原料から生産することができる12の化学的成分を同定した。その12の糖ベースの成分は、1,4−二酸(コハク酸、フマル酸、およびリンゴ酸)、2,5−フランジカルボン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、アスパラギン酸、グルカル酸、グルタミン酸、イタコン酸、レブリン酸、3−ヒドロキシブチロラクトン、グリセロール、ソルビトール、およびキシリトール/アラビニトールである。
【0004】
化学的成分は、有用な分子の新ファミリーに変換される潜在力を保有する多数の官能基を有する分子である。これら12の成分は、次に多数の高−価値なバイオをベースとした化学物質または材料に変質させることができる。
【0005】
ジカルボン酸、アミノ酸、およびジオールなどの生物学的発酵性のプロセスに由来する多くの天然代謝産物は、重合および重合体の化学物質合成に適した官能基を有する。近年、産業上の利用に適した単量体の化学物質化合物を生産するための微生物の効率が、遺伝学的操作を通して顕著に増えた。しかしながら、生物学的発酵性のプロセスを通して産業上の化学物質を生産することのコストは、いまだに非常に高い。現在、産業上の化学物質を生産するための生物学的発酵性のプロセスは、炭素の供給源として精製されたグルコース、およびコーンスターチなどの炭水化物を使用し、そしてそれにより、産業上の化学物質を生産するための発酵性プロセスにコストを付加する。
【0006】
産業上の化学物質生産するための発酵プロセスのコストは、発酵プロセスにおける炭素の供給源としてリグノセルロース系バイオマスを用いることによって劇的に低下することができる。リグノセルロース系バイオマスは、農業残渣、食物処理廃棄物、まき、および紙およびパルプ工業からの廃棄物を含む多数の供給源から得ることができる。バイオマスは、おおよそ40−50%のヘキソース糖(6つの炭素原子を有する糖)、および10−30%のペントース糖(5つの炭素原子を有する糖)からなる。ヘキソース糖は、本技術分野においてC6糖として知られている。ペントース糖は、本技術分野において、C5糖として知られている。加水分解した場合、リグノセルロース系材料は、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、およびガラクトースを含む糖の混合物を産出する。しかしながら、産業上の化学物質を生産するための多数の発酵プロセスは、それらの増殖および代謝のための炭素の供給源としての純粋なグルコースとともに発展してきた。例えば、米国特許7,223,567において説明される大腸菌(E.coli)株は、炭素の供給源としてグルコースを補った富栄養培地を使用する。Jantama et al(2008a;2008b)によって、および公開されたPCT特許出願WO/2008/021141A2およびWO2010/115067A2において説明された、コハク酸の生産に有用である大腸菌(E.coli)株KJ122は、最小培地上で増殖することができるが、炭素の供給源としてグルコースまたは別の糖を必要とする。高効率で産業上の化学物質を生産する能力を有するこれらの生物がリグノセルロースの加水分解に由来する糖の混合物において増殖させることができれば理想的であろう。発明者らは、特殊な産業上の化学物質を生産することに既に最適化された微生物に、リグノセルロース系原料の加水分解に由来するC5およびC6糖の混合物を使用させることを可能にする方法を発見した。
【0007】
多重的な糖を同時に使用する微生物の能力は、ある生化学調整系の存在によって限定される。微生物の細胞内のこれら生化学調整系は、遺伝学的基礎を有する。遺伝学的操作を通してこれらの調整系を克服するための努力がなされてきた。
【0008】
多くの場合において、産業上の微生物は、炭素の供給源としてグルコースまたはスクロースを含有する培地において増殖する。増殖培地におけるグルコースの存在は、大腸菌(E.coli)および産業上微生物の他の種における他の糖の使用を抑制する。これらの微生物によるペントース糖であるキシロースなどの他の糖の消費は、増殖培地におけるグルコースが完全に消費された後のみにおいて開始する。産業上の微生物における炭素利用に関するこの現象は、異化生成物抑制またはジオーキシー増殖といわれる。商業の規模における産業上の化学物質の生産の間、異化生成物抑制の軽減を通してC5およびC6糖などの異なる糖を微生物に共同利用させる方法は、発酵によって生産される産業上の化学物質のコストを低下させるのに決定的であろう。
【0009】
微生物は、細胞質膜に位置する一連の輸送体タンパク質を通して糖を取り込む。微生物の糖輸送体は、3つの主要なカテゴリーにおさまる。バクテリアにおける糖輸送体の最大の群は、ATP結合カセット(ABC)輸送体として知られている。名称が暗示するように、ABC輸送体は、バクテリア細胞に輸送された糖の各分子についてATPの分子を必要とする。XylFGHは、ペントース糖であるキシロースを細胞に輸送するためのABC輸送体である。AraFGHは、別のペントース糖であるアラビノース輸送のためのABC輸送体である。
【0010】
第二のタイプのバクテリア糖輸送体は、主要ファシリテータースーパーファミリー(MFS)の下、グループ分けされる。MFS糖輸送体の内、輸送体の2つの異なるカテゴリーが認められる。MFSは、H−連動共輸送体、Na−連動共輸送体−対向輸送体、および単輸送体を含む。単輸送体は、糖輸送のための単純なファシリテーターであり、そして、細胞へ輸送された糖の各分子についてATPの分子を必要としない。ザイモノナス・モビリス(Zymononas mobilis)における膜貫通タンパク質Glfは、ファシリテーターの例である。H−共輸送体は、細胞に輸送された各糖分子について細胞外プロトンを必要とする。大腸菌(E.coli)におけるGalPタンパク質は、ヘキソース糖であるガラクトースの細胞への輸送のための共輸送体である。GalPは、12の膜貫通ループを有する非常に良く特徴付けられる共輸送体である。GalPは、細胞膜を越えてグルコースを輸送する能力を有するとも報告されている。AraEは、細胞膜を越えたアラビノースの輸送のためのプロトン−連動共輸送体である。同様に、XylEタンパク質は、キシロースの輸送のためのプロトン−連動共輸送体である。
【0011】
グルコースなどのヘキソース糖の取り込みに最初に関与する第三の糖輸送体は、ホスホエノールピルビン酸塩:炭水化物ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)として知られている。PTSから他の2糖輸送系を分化させることの方法として、他の2糖輸送系(ABC輸送体、およびMFS輸送体のメンバー)は非−PTS糖輸送体と呼ばれる。PTSによって触媒されるホスホエノールピルビン酸塩(PEP)からのホスホリル基の移動は、グルコースおよび他の糖の輸送およびホスホリル化を推進し、そして、細胞の内部においてホスホリル化した糖およびピルビン酸の形成を結果する。PTS生成ピルビン酸は、グルコースが唯一の炭素の供給源である好気性培養条件下、PEPにリサイクルされないらしい。むしろ、ピルビン酸塩は、トリカルボン酸サイクルを経由して炭素二酸化物に酸化される。このように、グルコースの各単一分子の輸送のために、1分子のPEPが消費される。細胞の生体エネルギーに関して、PTSを通した糖の輸送は、エネルギー集中的プロセスである。したがって、産業上有用な化学物質の生産のために細胞内にホスホエノールピルビン酸塩容量を保存する必要がある嫌気的に増殖している細胞において、細胞に輸送された糖の各分子のためにPEPの分子を必要としない他の非−PTS糖輸送体にPTSを交換できることが望ましい。
【0012】
PTSは、E1およびHPrと名付けられた2つの細胞質成分、および膜−結合成分EIIから構成される。大腸菌(E.coli)は、少なくとも15の異なるEII複合体を含有する。それぞれのEII成分は、輸送されるべき糖タイプに特異的であり、そして、2つの疎水性内在性膜ドメイン(CおよびD)、ならびに2つの親水性ドメイン(AおよびB)含有する。これらの4つのドメインは、ともに、糖分子の輸送およびホスホリル化に関与する。EIタンパク質は、PEPからのリン酸基をHPrタンパク質に移動させる。EIIタンパク質は、ホスホリル化HPrタンパク質からのリン酸基を糖分子に移動させる。
【0013】
EIは、ptsI遺伝子によってコードされる。HPrは、ptsH遺伝子によってコードされる。腸内バクテリアのグルコース−特異的EII複合体は、2つの異なるタンパク質、すなわち、遺伝子crrによってコードされるEIIAGlc、および遺伝子ptsGによってコードされる膜結合タンパク質EIICBGlcからなる。PTS介在性糖輸送は、PTSと関連するタンパク質をコードするこれらの遺伝子の1を変異させることによって阻害されることができる。代わりのホスホエノールピルビン酸塩−非依存性取り込みおよびホスホリル化活性(非−PTS)によるPTSの機能的交換は、グルコースからの生産収量、および代謝産物のいくつかのクラスについての生産性における有意な改良をもたらした。
【0014】
PTS−介在性グルコース取り込みにおける減少とともに、グルコース取り込みのための他の系が、産業上有用な化学物質の生産のための細胞内におけるグルコースの継続した入手可能性を確実にするために活性化されることができる。例えば、グルコース単輸送体であるグルコースパーミアーゼをコードするglf遺伝子は、PTS介在性グルコース取り込みの喪失の代わりになることが示されてきた。同様に、galPおよびglk遺伝子の過剰発現は、大腸菌(E.coli)のpts株においてグルコース取り込みおよびホスホリル化を増進させることが報告されている。GalPは、ヘキソース糖であるガラクトースの取り込みのための共輸送体である。GalPは、pts株においてグルコースを輸送することが報告されてきた。GalP介在性グルコース取り込みの意義は、pts変異体におけるgalP遺伝子の不活性化が、グルコース上での増殖を阻害することが見出されるという事実によって証明される(Yi et al.,2003)。PTSの不存在において、Glkは、解糖に進入することができる前に、グルコース分子のリン酸化を達成することが必要である。pts株におけるGalPタンパク質の発現は、構成的プロモーター下でgalP遺伝子を発現させることによって、またはgalSおよびgalRなどのgalP遺伝子のリプレッサーをコードする遺伝子における変異を通してgalP遺伝子発現の抑制を軽減することのいずれかによって達成することができる。
【0015】
細胞への糖の輸送において負担するエネルギーコストを低下させることに加えて、PTSと関連するタンパク質をコードする遺伝子への変異の導入は、ペントースおよびヘキソース糖を含む培養培地に存在する全ての糖の同時輸送および利用を同じく可能にするであろう異化生成物抑制を軽減することが期待される。Hernandez−Montalvo et al(2001)は、グルコースの輸送のためのPTSを欠く大腸菌(E.coli)株によって、グルコース、アラビノース、およびキシロースを含む糖混合物の利用を研究した。pts変異体は、その野生型親株と同程度に迅速に非−PTSメカニズムによって糖を取り込むことができた。グルコース−キシロース、またはグルコース−アラビノース混合物を補った最小培地において増殖させる培養において、グルコースは、野生型株におけるアラビノースまたはキシロース−利用を抑制した。同一培養条件下、pts変異体は、グルコースおよびアラビノースを共代謝した。しかしながら、グルコースが、いまだキシロース消費に対して部分的抑制的効果を及ぼした。グルコース−アラビノース−キシロースの3つの混合物とともに増殖する培養において、野生型株は、グルコース、アラビノース、および最後にキシロースを連続して利用した。対照的に、pts株は、キシロースはグルコース−アラビノース枯渇後に利用されたが、グルコースおよびアラビノースを共代謝した。グルコース−アラビノース共代謝の結果として、pts株は、野生型株よりも16%早く培養培地に含まれる糖の総量を消費した。
【0016】
グルコースおよびキシロースを共代謝する能力を有するpts変異体株は、培地における糖の消費の比率におけるさらなる増大を引き起こし、生産性における増大をもたらすであろう。これらの2つの糖は原料セルロース系加水分解物に存在する主要な糖を表すので、このように、本技術分野においては、グルコースおよびキシロースを共代謝することができた微生物の必要がある。さらに、ptsG遺伝子機能の除去が、有機酸を生産するように代謝的に改変された微生物の増殖の比率を減少させることができたことが報告されてきた(Sanchez et al.,2005)。したがって、増殖比率および商業的に重要な化学物質および化学物質中間体の生産の比率を妥協することなしに多重的な糖を同時に使用する能力を達成する必要性もさらにある。
【0017】
本発明の目的は、生産性を低下させることなしに、多重的な糖を同時に用いて高レベルの産業上の化学物質を生産することができる微生物を代謝的に進化させることであった。発明者らは、代謝的進化を通して複数の糖を同時に消費する微生物を作るためのプロセスを驚くべきことに同定した。代謝的進化のこのプロセスは、迅速な増殖などの任意のその最初の特徴に影響することなしに細胞が複数の糖を使用する能力、および商業的に意味のある量において特定の産業上の化学物質を生産する能力を獲得することを可能にする。
【0018】
発明者らは、グルコースおよびキシロースを同時に使用する微生物の能力のための新規な遺伝学的基礎も同定した。全体−ゲノムシーケンシングが、有機酸の生産において複数の糖を同時に使用する能力を微生物に与える遺伝学的修飾を同定するために使用された。
【0019】
本発明の前には、ヘキソース糖およびペントース糖の両方を同時に利用する能力が単純な遺伝学的操作を通して達成することができるかどうかは不確かであったであろう。分子の遺伝学に関する本発明は、バイオマス−由来糖の全体の範囲を効率的に代謝する能力を達成する潜在力を提示する。初めて、本発明は、ホスホエノールピルビン酸の支出に偏性的に連関しないグルコースおよびキシロースの同時取り込みを達成するための遺伝学的取り組みを提供する。
【発明の概要】
【0020】
発明の要旨
遺伝学的に修飾され、そして、炭素の供給源としてグルコースを含有する最小増殖培地において発酵性のプロセスを通して商業的に意味のある量の有機酸を生産することに最適化された微生物が、最初に最適化された有機酸生産比率を維持しながら、炭素の供給源として複数の糖を同時に使用するためにさらに代謝的に進化することができることを我々は意外にも発見した。
【0021】
増殖、および有機酸生産のために、炭素の供給源として複数のタイプの糖分子を同時に使用する能力を、発酵性のプロセスを通して有機酸を生産する微生物に与えるための方法を提供することは本発明の目的である。原料セルロース系加水分解物を用いて高い産出収量の有機酸を生産する発酵プロセスを提供することは、本発明の別の目的である。
【0022】
本発明の特性は、遺伝学的に修飾された、およびグルコースから有機酸を生産することに最適化された微生物がヘキソースおよびペントース糖を同時に使用する能力を獲得することを可能にするための代謝的進化のプロセスの利用である。
【0023】
本発明の1つの実施態様において、炭素の供給源としてグルコースを有する培地において有機酸を生産することができる大腸菌(E.coli)バクテリアは、有機酸生産の同一の比率を維持し、そして、炭素の供給源としてグルコースを使用することができる能力を保持しながら、炭素の供給源として付加的なタイプの糖を使用するように代謝的に進化している。
【0024】
好ましい実施態様において、本発明は、1を超えるタイプの糖を同時に用いて最小増殖培地において有機酸を生産することができる大腸菌(E.coli)バクテリアを提供する。
【0025】
いまだ別の好ましい実施態様において、本発明は、炭素の供給源としてリグノセルロース系加水分解物を含む植物加水分解物を用いて最小増殖培地において有機酸を生産することができる大腸菌(E.coli)バクテリアを提供する。
【0026】
いまだ別の好ましい本発明の実施態様において、グルコースおよびキシロースを同時に用いてコハク酸を生産する大腸菌(E.coli)バクテリアが提供される。
【0027】
いまだ別の好ましい本発明の実施態様において、リグノセルロース系加水分解物を含む植物加水分解物を用いて最小増殖培地においてコハク酸を生産する大腸菌(E.coli)バクテリアが提供される。
【0028】
本発明は、リグノセルロース系材料を用いる生物学的発酵性のプロセスを通して非常に費用効果的な方法で高度に精製された有機酸を生産することに、特に有用である。
【0029】
いまだ別の実施態様において、本発明は、非−PTS輸送体タンパク質をコードする遺伝子を変異させること、それに加えて、PTS糖輸送体と関連するタンパク質をコードする遺伝子の活性を低下させることによって、複数の糖を同時に使用する微生物を作るための方法を提供する。
【0030】
より好ましい実施態様において、低下した活性を有するPTS糖輸送体、および変異した形態のガラクトース共輸送体を有する微生物が提供される。
【0031】
この発明のさらなる利点は、次の説明から見てすぐに分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1。8%キシロースを補った無機塩培地における大腸菌(E.coli)のKJ122株についての発酵プロファイル。発酵は、168時間の総期間に実行された。黒円において示されるキシロース利用は、約96時間に開始し、白丸に示される550nmでの光学密度における増大に関して測定されるバクテリア細胞密度における増大を伴った。黒四角において示されるコハク酸塩濃度における増大は、約96時間に生じた。168時間の発酵の過程において培地における酢酸塩、ピルビン酸塩、およびリンゴ酸塩の濃度における変更も、図に示される。
【0033】
図2。8%キシロースを補った無機培地におけるキシロースの代謝に適した大腸菌(E.coli)のKJ122株についての発酵プロファイル。発酵は、168時間の総期間に実行された。黒円に示されるキシロース利用は、約72時間で開始し、白丸に示される550nmでの光学密度における増大に関して測定されるバクテリア細胞密度における増大を伴った。黒四角に示されるコハク酸塩濃度における増大は、約72時間で生じた。168時間の発酵の過程における培地中の酢酸塩、ピルビン酸塩、およびリンゴ酸塩の濃度における変更も、図に示される。
【0034】
図3。8%キシロースを補った無機培地における大腸菌(E.coli)のTG400株についての発酵プロファイル。発酵プロファイルは、120時間の期間、観測された。黒円に示されるキシロース利用は、約30時間に開始し、白丸に示される550nmでの光学密度における増大に関して測定されるバクテリア細胞密度における増大を伴った。黒四角に示されるコハク酸塩濃度における増大は、約30時間で生じた。120時間の発酵の過程における培地中の酢酸塩、ピルビン酸塩、およびリンゴ酸塩の濃度における変更も、図に示される。
【0035】
図4。大腸菌(E.coli)のKJ122およびTG400株による混合糖発酵のプロファイル。発酵は、144時間の総期間、観測された。発酵培地は、グルコースおよびキシロースの両方を含有した。グルコース濃度における減少によって示されるグルコース利用は、白四角によって示される。キシロース濃度における減少によって示されるキシロース利用は、黒円によって示される。発酵培地中のコハク酸塩濃度における増大は、黒四角によって示される。144時間の発酵の過程における550nmでの光学密度によって測定される細胞密度における変更は、白丸によって示される。144時間の発酵の過程における酢酸塩、ピルビン酸塩、およびリンゴ酸塩の濃度における変更も、図に示される。
【0036】
図5。大腸菌(E.coli)TG400株による、2.5%(w/v)コーンスティープリカーを補った解毒された濃縮バガスC5 加水分解物の発酵のプロファイル。発酵は、168時間の期間、実行された。キシロースの濃度における減少によって測定されるキシロース利用は、黒円に示される。発酵培地中のコハク酸塩濃度における増大は、黒四によって示される。168時間の発酵の過程における培地中のピルビン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、および乳酸塩の濃度における変更も、図に示される。
【0037】
図6。グルコースおよびキシロースの両方を含有する培地における大腸菌(E.coli)のWG37株の発酵プロファイル。発酵は、120時間の期間、実行された。培地中のグルコース濃度における減少によって測定されるグルコース利用は、白四角に示される。培地中のキシロース濃度における減少によって測定されるキシロース利用は、黒円に示される。120時間の発酵の過程における550nmでの光学密度によって測定されるバクテリア細胞密度における変更は、白丸によって示される。コハク酸塩濃度における増大は、黒四角に示される。120時間の発酵の過程における酢酸、ピルビン酸、およびリンゴ酸の濃度における変更も、図に示される。
【0038】
図7。4%キシロース、および7%グルコースを含有する増殖培地におけるバクテリアのTG400、WG37、およびKJ122株によるコハク酸生産の対照比較。発酵は、120時間の期間、実行された。大腸菌(E.coli)のTG400(黒円)、KJ122(黒三角)、およびWG37(逆三角)株を用いた発酵培地中のコハク酸の濃度における増大が、120時間の期間、観測された。
【0039】
図8。10%キシロースのみを含有する増殖培地におけるバクテリアのTG400、WG37、および、KJ122株によるコハク酸生産の対照比較。発酵は、120時間の期間、実行された。大腸菌(E.coli)のTG400(黒円)、KJ122(逆三角)、およびWG37(三角)株を用いた発酵培地中のコハク酸の濃度における増大が、120時間の期間、観測された。
【0040】
図9。10%グルコースのみを含有する増殖培地におけるバクテリアのTG400、WG37、およびKJ122株によるコハク酸生産の対照比較。発酵は、120時間の期間、実行された。大腸菌(E.coli)のTG400(黒円)、KJ122(三角)、およびWG37(逆三角)株を用いた発酵培地中のコハク酸の濃度における増大が、120時間の期間、観測された。
【0041】
図10。唯一の炭素の供給源としてキシロースを含有する増殖培地における大腸菌(E.coli)のKJ122およびSI014株増殖プロファイル。バクテリア増殖は、97時間の総期間、600nmでの光学密度に関して観測された。KJ122株(黒円)は、非常に遅いのみを示した。一方、SI014株(黒四角)は、27時間内で、早い増殖を示し、続いて、細胞密度はゆっくり減少した。
【0042】
図11。唯一の炭素の供給源としてキシロースを含有する培地における大腸菌(E.coli)のKJ122およびSI014株によるキシロース利用およびコハク酸塩生産についてのプロファイル。キシロース利用は、97時間の期間、培地中のキシロース濃度における減少に関して測定され、SI014株を用いたキシロース利用(黒四角)は、KJ122株によるキシロース利用(黒円)に比べた場合、ずっと早かった。同様に、SI014株を用いたコハク酸生産(白四角)は、KJ122株によるコハク酸生産(白丸)に比べると、ずっと早かった。
【発明を実施するための形態】
【0043】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、組換え微生物によって、炭素化合物の発酵から、商業的に意味のある量において有機酸を生産するためのプロセスを提供する。より具体的には、この本発明は、発酵性のプロセスを通した有機酸の生産に適した微生物を提供する。本発明の微生物は、有機酸の商業的に意味のある量の生産のための発酵性のプロセスにおいて複数の糖を使用する能力を保有する。
【0044】
発酵性のプロセスを通したコハク酸の生産に適した微生物が、本発明において開示される。本発明は、遺伝学的に修飾されたバクテリア株によって、炭素化合物から、商業的に意味のある量におけるコハク酸の生産のためのプロセスを提供するけれども、本発明の教示は、多数の他の化学物質の産業上の生産に等しく応用できる。
【0045】
本発明の説明の目的で、次の定義が使用されるものとする。
【0046】
多数の産業上有用な化学物質が、本発明を用いて製造することができる。このような化学物質の例は、エタノール、ブタノール、乳酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、スレオニン、メチオニン、およびリジンを含むが、それらに限定されない。有機酸は、遊離酸、および塩(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウムの塩、塩化物、硫酸塩、炭素塩、重炭酸塩等が挙げられるが、それらに限定されない)の両方として存在することができるので、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、スレオニン、メチオニン、およびリジンなどの化学物質名は、遊離酸およびその任意の塩の両方を含むことを意味するものとする。同様に、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、アスパラギン酸塩などの任意の塩は、遊離酸も含むことを意味するものとする。
【0047】
本発明は、代謝的進化のプロセスと、特定の遺伝学的修飾の技術を組合わせて、炭水化物基質を有する無機塩培地における嫌気性増殖条件下コハク酸生産について高産出収量、力価および容量生産性を示す株を得る。
【0048】
本発明において使用する場合、用語「力価」は、発酵ブロス中の特定の化合物のモル濃度を意味する。このように、本発明に従ってコハク酸を生産するための発酵プロセスにおいて、100mMのコハク酸力価は、測定の時点での発酵ブロスが、発酵ブロスのリットルごとに100mモルのコハク酸を含有したことを意味するであろう。
【0049】
本発明において使用する場合、用語「産出収量」は、発酵プロセスの間、消費された原料のモルごとの特定の化合物生産のモルを参照する。このように、原料としてグルコースを用いるコハク酸の生産のための発酵性のプロセスにおいて、用語「産出収量」は、消費されたグルコースのモルごとに生産されたコハク酸のモルの数を参照する。
【0050】
本発明において使用する場合、用語「容量生産性」は、ユニット時間ごとのユニット体積ごとの生産されたグラムにおける特定の化合物の量を参照する。このように、コハク酸についての0.9gL−1−1の容量生産性値は、増殖の時間の間、0.9グラムのコハク酸が発酵ブロスの1リットルに蓄積することを意味するであろう。
【0051】
本発明において使用する場合、用語「遺伝子」は、遺伝子のオープンリーディングフレーム、ならびに上流および下流調整配列を含む。上流調整領域は、遺伝子のプロモーター領域とも呼ばれる。下流調整領域は、ターミネーター配列領域とも呼ばれる。
【0052】
語句「機能的に類似する」は、本明細書において開示される方法によって同一または異なる生物において見出される、任意の野生型、または変異したDNA配列、遺伝子、酵素、タンパク質と同等である、またはそれに類似する生物学的機能を有する、任意の生物からの、任意の野生型、または変異したDNA配列、遺伝子、酵素、タンパク質を広く意味する。機能的な類似は、配列相同性を必要としなくてもよい。対立遺伝子は、特定の遺伝子の2またはそれを超える形態のDNA配列の1つである。それぞれの遺伝子は、異なる対立遺伝子を有する。変異を有する対応する遺伝子に比べた場合、いかなる変異も有さない遺伝子は、野生型対立遺伝子と呼ばれる。
【0053】
ホモログは、共通祖先DNA配列からの系統による第二の遺伝子に関する遺伝子である。用語ホモログは、種形成の事象によって分類される遺伝子の間の関係に、または遺伝学的重複の事象によって分類される遺伝子の間の関係に適用されてもよい。オーソログは、種形成によって共通祖先遺伝子から進化した異なる種における遺伝子である。普通は、オーソログは、進化の過程において、同一の機能を保持する。オーソログの同定は、新たに配列決定されたゲノムにおける遺伝子機能の信頼できる予測に不可欠である。種形成は、それが生じる種から新しい方法で生物を作ることができる新種の起点である。このプロセスの一部として、それは、親種との遺伝学的交換に対するいくつかの障壁も獲得した。パラログは、ゲノム内の重複に関係する親種遺伝子である。オーソログは、進化の過程において同一の機能を保持するが、たとえこれらが最初のものに関するとしても、パラログは、新たな機能を進化させる。
【0054】
「変化した活性」を有する遺伝子またはタンパク質は、関連性がある野生型遺伝子またはタンパク質と比べた場合、測定可能な特性における測定可能な相違を産出する遺伝子またはタンパク質として広く定義される。変化した活性は、変化した遺伝子またはタンパク質を含有する株の増殖比率またはコハク酸塩生産の効率を増大させること、または減少させることによる一般的な方法において、それ自体明白に示すことができた。他の測定可能な特性は、酵素活性、酵素の基質特定性、基質に対する親和性または比率などの酵素の動力学的パラメーター、酵素の安定性、酵素の調整特性、遺伝子発現レベル、様々な条件下での遺伝子発現の調整等を含むが、それらに限定されない。
【0055】
本発明において使用する場合、用語変異は、オープンリーディングフレーム、上流調整領域、および下流調整領域を含む遺伝子に対して行われる遺伝学的修飾を参照する。遺伝子変異は、遺伝子のオープンリーディングフレームの転写の上方調整、または下方調整を生じさせるか、または完全阻害を生じさせるかのいずれかである。遺伝子変異は、遺伝子の全体のコード領域、またはコードするヌクレオチド配列の部分を欠失させること、または、フレームシフト変異、ミスセンス変異、および挿入を導入すること、または終止コドン、またはその組合わせを導入することのいずれかによって達成される。変異は、酵素反応、または細胞膜を越えた有機分子の輸送などの生物学的機能に直接にかかわるタンパク質をコードする構造的遺伝子において生じてもよい。また、変異は、生物学的機能に直接にかかわるタンパク質をコードする遺伝子の発現を制御するタンパク質をコードする調整遺伝子において生じてもよい。他の遺伝子の発現を制御するタンパク質は、調整タンパク質と呼ばれ、そして、これらの調整タンパク質をコードする遺伝子は、調整遺伝子と呼ばれる。
【0056】
「変異」は、関連性がある野生型生物ものと比較したDNA配列における任意の変更も含むものとする。例えば、株KJ122に見出される変異は、変異した領域のDNA配列がATCC 8739としても知られる親野生型株である大腸菌(E.coli)Cのものと比較する場合に見出すことができるDNA配列における任意の変更である。変異は、任意の数の塩基対の付加的DNAの挿入、または任意の数の塩基対のDNAの欠失であることができる。特定のタイプの挿入変異は、遺伝子重複である。遺伝子は、第二のコピーの遺伝子が最初のコピーに隣接して位置することができる自然発生的変異事象によって重複することができる、または遺伝子は、遺伝子の第二のコピーが最初のコピーから遠いゲノムにおける部位に位置することができる遺伝学的改変によって重複することができる。変異は、ある塩基タイプから別の塩基タイプに変更、例えば、アデニンからグアニン塩基に変更することができる。遺伝学の専門語において、変異は、ミスセンス(コドンによってコードされるアミノ酸を変更する)、ナンセンス(コドンを終止コドンに変更する)、フレームシフト(3ではない複数である多数の塩基の挿入、または欠失であり、そして、リーディングフレームを変更し、変異から下流でコードされるアミノ酸配列を変化させ、しばしば変異から下流で終止コドンを導入する)、または反転(極性が切り替わったが欠失していないDNA配列からもたらされる)であることができる。
【0057】
「ヌル変異」は、関連性がある遺伝子の全体のオープンリーディングフレームの欠失のものと実質的に同一である表現型を与える、または関連性がある遺伝子の全ての測定可能な活性を除去する変異である。
【0058】
「変異体」は、1または複数のを含有するゲノムを有する微生物である。
【0059】
この発明において使用する場合、用語「外因性」は、細胞の外に由来する分子または活性が、宿主微生物に導入されることを意味することが意図されている。微生物の細胞に導入された外因性核酸分子の場合、導入された核酸は、非依存性プラスミドとして存在するかもしれず、または宿主染色体DNAに組み入れられてもよい。タンパク質をコードする外因性核酸は、プロモーターおよびターミネーター配列などのそれ自身の調整配列とともに、発現可能な形態において微生物の細胞に導入されてもよい。また、外因性核酸分子は、宿主染色体DNAに組み入れられてもよく、そして、宿主調整配列の制御下であってもよい。
【0060】
用語「内因性」は、宿主細胞内に存在する分子および活性を参照する。生合成活性に関して使用される場合、用語「外因性」は、宿主参照生物に導入される活性を参照する。供給源は、例えば、宿主微生物への導入に続いて参照活性を発現する同種または異種コード核酸であることができる。タンパク質をコードする核酸が微生物の同一種から得られる場合、それは、同種DNAと呼ばれる。核酸が異なる微生物の種が由来した場合、それは、異種DNAと呼ばれる。DNAの特質、それが同種であるか、または異種であるか、宿主細胞に導入した時に関係なく、DNA、ならびにDNAを導入した活性由来形態は、外因性と呼ばれる。したがって、本発明のコードする核酸の外因性発現は、異種および同種コード核酸のいずれかまたは両方を利用することができる。
【0061】
「C5およびC6糖を同時に利用する」細胞は、細胞が実質的な濃度のC5およびC6糖の両方を含有する培地において増殖する場合、測定可能な比率で、および培地への前記細胞の接種の始まりにおける任意の実質的な遅延なしに、キシロース、アラビノース、リボース等などのC5糖、およびグルコース、フルクトース、ガラクトース等などのC6糖の両方を消費する細胞を意味する。C5およびC6糖の両方を含有する培地は、精製した糖から作ることができる、またはそれは、バイオマス加水分解物に由来することができる。
【0062】
大腸菌(Escherichia Coli)、シトロバクター・フロインディイ(Citrobactor freundii)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、グルコノバクター・アサイイ(Gluconobacter asaii)、アクロモバクター・デルマーベ(Achromobacter delmarvae)、アクロモバクター・ビスコーサス(Achromobacter viscosus)、アクロモバクター・ラクティカム(Achromobacter lacticum)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacteriumtumefaciens)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacteriumradiobacter)、アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenesfaecalis)、アルスロバクター・シトレウス(Arthrobacter citreus)、アルスロバクター・トゥメセンス(Arthrobacter tumescens)、アリスロバクター・パラフィニス(Arthrobacter paraffineus)、アルスロバクター・ヒドロカーボグルタミカス(Arthrobacter hydrocarboglutamicus)、アルスロバクター・オキシダンス(Arthrobacter oxydans)、オウレオバクテリウム(Aureobacterium)サペルダエ(saperdae)、アゾトバクター インディカス(Azotobacter indicus)、ブレビバクテリウムアンモニアジェネス(Brevibacteriumammoniagenes)、ディバリカツム(divaricatum)、ブレビバクテリウムラクトファーメンツム(Brevibacteriumlactofermentum)、ブレビバクテリウムフラバム(Brevibacteriumflavum)、ブレビバクテリウムグロボサム(Brevibacteriumglobosum)、ブレビバクテリウムフスカム(Brevibacteriumfuscum)、ブレビバクテリウムケトグルタミクム(Brevibacteriumketoglutamicum)、ブレビバクテリウムヘルコルム(Brevibacteriumhelcolum)、バクテリウム・プシルム(Brevibacteriumpusillum)、ブレビバクテリウムテスタセウム(Brevibacteriumtestaceum)、ブレビバクテリウム・ロゼウム(Brevibacteriumroseum)、ブレビバクテリウム・イマリオフィリカム(Brevibacteriumimmariophilium)、ブレビバクテリウム・リネンス(Brevibacteriumlinens)、ブレビバクテリウム・プロトファルミエ(Brevibacteriumprotopharmiae)、コリネバクテリウム・アセトフィラム(Corynebacterium acetophilum)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウム・アセトグルタミクム(Corynebacterium acetoglutamicum)、エンテロバクター・アエロゲネス(Eenterobacter aerogenes)、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・ヘルビコーラ(Erwinia herbicola)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、フラボバクテリウム・ペレグリナム(Flavobacteriumperegrinum)、フラボバクテリウム・フカタム(Flavobacteriumfucatum)、フラボバクテリウム・アウランティナム(Flavobacteriumaurantinum)、フラボバクテリウム・レナヌム(Flavobacteriumrhenanum)、フラボバクテリウム・セワネンセ(Flavobacteriumsewanense)、フラボバクテリウム・ブレベ(Flavobacteriumbreve)、フラボバクテリウム・メニンゴセブチクム(Flavobacteriummeningosepticum)、マイクロコッカス(Micrococcus)sp.CCM825、モーガネラ・モーガニイ(Morganella morganii)、ノカルジア・オパカ(ノカルジア・オパカ(Nocardia opaca))、ノカルジア・ルゴサ(nocardia rugosa)、プラノコッカス・ユーシナタス(Planococcus eucinatus)、プロテウス・レッゲリ(Proteus rettgeri)、プロピオニバクテリウム・セルマニ(Propionibacteriumshermanii)、シュードモナス・シンキサンサ(Pseudomonas synxantha)、シュードモナス・アゾトフォルマンス(Pseudomonas azotoformans)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・オバリス(Pseudomonas ovalis)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、シュードモナス・アシドボランス(Pseudomonas acidovolans)、シュードモナス・ムシドレンス(Pseudomonas mucidolens)、シュードモナス・テストステロニ(Pseudomonas testosteroni)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ロドコッカス・ロドクロラス(Rhodococcus rhodochrous)、ロドコッカス(Rhodococcus)sp.ATCC 15592、ロドコッカス(Rhodococcus)sp.ATCC 19070、スポロサルシナ・ウレア(Sporosarcina ureae)、スタフィローコッカス・オーリーアス(Staphylococcus aureus)、ビブリオ・メッシュニコビ(Vibrio metschnikovii)、ビブリオ・チロゲネス(Vibrio tyrogenes)、アクチノマヅラ・マヅレ(Actinomadura madurae)、アクチノマイセス・ビオラセオクロモゲネス(Actinomyces violaceochromogenes)、キタサトスポリア・パルロサ(Kitasatosporia parulosa)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・フラベラス(Streptomyces flavelus)、ストレプトマイセス・グリセオラス(Streptomyces griseolus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・オリバセウス(Streptomyces olivaceus)、ストレプトマイセス・タナシエンシス(Streptomyces tanashiensis)、ストレプトマイセス・バージニエ(Streptomyces virginiae)、ストレプトマイセス・アンチバイオチクス(Streptomyces antibioticus)、ストレプトマイセス・カカオイ(Streptomyces cacaoi)、ストレプトマイセス・ラベンジュレ(Streptomyces lavendulae)、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)、アエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・シルクランス (Bacillus circulans)、バチルス・チアミノリティカス(Bacillus thiaminolyticus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliqyefaciens)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、エシェリキア・フロインディ(Escherichia freundii)、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム(Microbacteriumammoniaphilum)、セラシア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・ショットムレリ(Salmonella schottmulleri)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia)およびキサントモナス・シトリ(Xanthomonas citri)を含む多数の微生物が本発明に適している。本発明に最も適した組換え微生物は、好ましくは、エンテロバクター科(Enterobacteriaceae)ファミリーに由来する。好ましい微生物は、エシェリキア属(Escherichia)、エルウィニア属(Erwinia)、プロビデンシア属(Providencia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、サイトロバクター属(Citrobacter)、およびセラシア属(Serratia)から選択される。エシェリキア属(Escherichia)がもっとも好ましい。エシェリキア属(Escherichia)のうち、大腸菌(Escherichia Coli)種が、特に好ましい。
【0063】
意味のある量の有機酸を生産することができる大腸菌(E.coli)株は、本技術分野においてよく知られている。例えば、米国特許出願公開2009/0148914は、化学的に純粋な酢酸塩および/またはピルビン酸塩の生産のための生体触媒として、大腸菌(E.coli)の株を提供する。米国特許7,629,162は、乳酸の生産のために構築された大腸菌(E.coli)K011株の派生物を提供する。特許協力条約の下で公開された国際特許出願WO2008/115958 およびWO2010/115067は、pH−制御したバッチ発酵中で炭素の供給源としてグルコースを含有する最小無機塩培地においてコハク酸塩およびリンゴ酸塩を生産するように改変された微生物を提供する。
【0064】
ATCC(American type culture collection)などの菌株保存(Culture Collections)から得られる野生型大腸菌(E.coli)株は、続いて商業的に意味のある量で、もうひとつの有機酸を生産するための増進した能力を有する株を得るように、遺伝学的に改変されている、および代謝的に進化していることができる。
【0065】
本明細書において使用する場合、用語「遺伝学的に改変している」または「遺伝学的改変」は、微生物のゲノムのDNAまたはプラスミドを操作することを通して、微生物において1または複数の酵素の発現を変化させることの実行を参照する。ゲノムの操作は、ゲノムのDNAからの特定のDNA配列を変化させること、付加すること、または除去することのいずれかを伴う。遺伝学的操作は、微生物のゲノムのDNA配列へ外来DNA配列を挿入することも伴う。本発明の最も好ましい実施態様において、遺伝学的操作は、任意の外来DNAを導入することなく、微生物のゲノムのDNAから特定のDNA配列を除去することによって達成される。特定のタンパク質生産物をコードする遺伝子の発現を不活性化することに必要である、ある遺伝学的操作は、微生物のゲノムへの外来DNA配列の挿入を必要とする。本発明の最も好ましい実施態様において、導入された外因性DNA配列は、遺伝学的改変プロセスの終わりにおける微生物がその最初のゲノムのDNAにおいて外因性DNAを有さないように、微生物のゲノムのDNAから最終的には除去される。本発明の好ましい実施態様の目的を達成するために必要である様々な技術が、Jantama et al(Biotechnology and Bioengineering 99: 1140−1153、およびBiotechnology and Bioengineering 101:881−893)において詳細に説明されてきた。公開された米国特許7,629,162、および米国特許出願2009/0148914、ならびに特許協力条約の下で国際公開番号WO2008/115958およびWO2010/115067として公開された国際特許出願も、本発明の様々な実施態様を実施するのに有用な遺伝学的改変技術を説明している。これらの科学的出版物、ならびに特許文献は、本発明に有用な遺伝学的改変技術についての詳細を提供する目的で、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0066】
本発明の実施に適した微生物は、好気的に(酸素の存在において)、または嫌気的に(酸素の完全な不存在において)、または微好気的に(低比率の酸素供給で)増殖することができる。また、本発明に適した微生物は、二相増殖レジームにおいて増殖することができ、ここで、微生物は、商業的に意味のある量での望まれる有機酸の生産を達成するためにそれを嫌気性増殖条件に移動する前に、あるレベルの細胞増殖に到達するように、好気性増殖条件において最初に増殖させる。微生物に特定の有機酸を生産させるために、糖分解経路、トリカルボン酸サイクル(Krebsサイクル、またはTCAサイクルとも呼ばれる)、およびグリオキシル酸短絡回路を含む多数の微生物の代謝的経路にかかわる様々な酵素が、上の段落における参考文献によって引用され、そして、組み込まれる科学的および特許文献において説明される様々な遺伝学的改変技術によって操作することができる。それらの参考文献の全てが、参照によって、この特許出願に組み込まれる。様々な微生物の代謝的経路についての詳細は、LehningerによるPrinciples of biochemistry、およびLubert Stryerによるbiochemistryなどの標準的な生化学テキストブックに見出すことができる。
【0067】
好ましい有機酸のタイプに依存して、代謝的経路は、微生物が我々の選択する特定の有機酸を生産するように、遺伝学的に改変される。該微生物は、乳酸、酢酸、およびコハク酸を含む多数の有機酸を合成することができる。知られている遺伝学的改変技術を用いて操作することがきる、微生物の発酵性の経路において活性である酵素の一覧は、イソクエン酸シンテターゼ(aceA)、リンゴ酸塩シンターゼ(aceB)、グリオキシル酸短絡回路オペロン(aceBAK)、酢酸塩キナーゼ−ホスホトランスアセチラーゼ(ackA−pta);アコニターゼヒドラターゼ1および2(acnAおよびacnB);アセチル−CoAシンテターゼ(acs);アルコールデヒドロゲナーゼ(adhE);クエン酸塩シンターゼ(citZ);フマル酸塩レダクターゼ(frd);乳酸塩デヒドロゲナーゼ(ldh);リンゴ酸塩デヒドロゲナーゼ(mdh);aceBAKオペロンリプレッサー(iclR);ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(pepC);ピルビン酸塩蟻酸塩リアーゼ(pfl);ピルビン酸塩オキシダーゼ(poxB);およびピルビン酸カルボキシラーゼ(pyc)を含むが、それらに限定されない。解糖、微生物の代謝的経路のトリカルボン酸サイクル、およびグリオキシル酸短絡経路に直接にかかわるこれらの遺伝子に加えて、有機酸の合成のためのエネルギーの供給源として有用である炭素化合物の取り込みにかかわる遺伝子の遺伝学的操作は、炭素取り込みを増進するように、または有機酸生産におけるエネルギー利用の効率を増進するように、操作することもできる。例えば、ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)によるグルコース取り込みにおける減少は、微生物の細胞へのグルコース取り込みに費やされるエネルギーを低下させることに役立つことができた。PTSを操作することによって保存されたエネルギーは、有機酸生産の効率を改良することに向かわせることができる。ホスホトランスフェラーゼ系遺伝子ptsHおよびptsGは、グルコース取り込みにおけるエネルギーを保存し、それによって微生物による有機酸生産の効率を改良するように操作することができる。このように、微生物の代謝的経路の分野において入手可能なデータを検索することによって、大半の代謝的経路をブロックして、そして、特定の有機酸の生産に炭素流動を向かわせるように、一連の遺伝子を欠失させることができる。
【0068】
中心代謝的経路、および糖取り込みメカニズムに加えて、バクテリア細胞内のカルボキシル化酵素は、有機酸の発酵性の生産を改良するように操作することもできる。発酵性生産におけるカルボキシル化酵素の役割は、現在よく確立している。少なくとも4つの異なるタイプのカルボキシル化酵素が、バクテリア細胞内で機能的であることが知られている。ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPcaseまたはPPC)は、ホスホエノールピルビン酸をカルボキシル化し、オキサロ酢酸の形成をもたらす。リンゴ酸酵素は、ピルビン酸をカルボキシル化し、リンゴ酸の形成をもたらし、そして、NADHまたはNADPHなどの還元した共因子を必要とする。ピルビン酸カルボキシラーゼ(PYC)として知られる第三のカルボキシル化酵素は、ピルビン酸をカルボキシル化し、オキサロ酢酸を産出する。ホスホエノールピルビン酸塩カルボキシキナーゼ(PCK)として知られる第四のカルボキシル化酵素は、ホスホエノールピルビン酸分子のカルボキシル化から生産されたオキサロ酢酸塩の各分子についてATPの1分子の生産で、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸塩にカルボキシル化する。これらのカルボキシル化酵素の任意の1つも、産業上有用な化学物質の発酵性生産を改良するために、ヘキソースおよびペントース糖を同時に利用する能力を有するバクテリア株において適切に操作することができる。
【0069】
ホスホエノールピルビン酸塩カルボキシキナーゼ(pck)は、トリカルボン酸サイクルへの炭素の流動を改良するために遺伝学的に操作することができる。pckの活性を改良することにおける利点は、この酵素は、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸塩にカルボキシル化しながら、生産されたオキサロ酢酸塩の各分子についてATPの分子の生産をもたらすという事実にある。ATP産出収量における増大は、細胞の増殖比率を増大させるであろう。
【0070】
発酵性のコハク酸塩生産のための生来pckの動員は、pck遺伝子の転写に正に影響を与える任意の変異によって達成することができる。PCK活性のレベルにおける増大は、生来プロモーター、または遺伝子の発現を増大させることが知られている任意の他のプロモーター配列を有する多コピープラスミドにおいてpck遺伝子を発現させることによって達成することができる。細胞内でpck遺伝子の発現を増大させるための別の方法は、トランスポゾンを用いて付加的コピーのpck遺伝子を組み入れることである。本発明の別の実施態様において、pck遺伝子の生来プロモーターは、活性のレベルを増進することが知られているいくつかの他のプロモーター要素と交換することができる。pck遺伝子の増大した発現は、遺伝子のプロモーター領域における変異によって、またはpck遺伝子のプロモーター領域と相互作用することが知られている調整要素の遺伝学的操作によって、達成することもできる。pck遺伝子の調整タンパク質をコードする遺伝子は、pck遺伝子の発現を増大させるために、いくつかの方法において、変異させる、または欠失させる、または過剰発現させることができる。単一点変異(pck遺伝子のATG開始コドンと比較して位置−64におけるGからAへの転位)は、pck遺伝子の転写を増大させることができ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ酵素活性における対応する増大を伴った。pck遺伝子発現における類似する増大は、pck遺伝子の発現を調整することが知られているタンパク質をコードする遺伝子を遺伝学的に操作することによって達成こともできる。
【0071】
遺伝学的に改変した微生物による有機酸の生産は、本技術分野においてよく知られている適切な技術を用いることによって、確認すること、および定量化することができる。例えば、HPLC技術は、選択されたクローンによって生産された有機酸の量を測定するために使用することができる。HPLC技術は、選択されたクローンによって生産された有機酸の純度を測定することにおいても有益である。
【0072】
本発明の微生物は、微生物学の分野においてよく知られている多数の異なる培養培地において増殖することができる。例えば、大腸菌(E.coli)の野生型および変異体株は、1%(w/v)トリプトン、0.5%(w/v)酵母抽出物、および0.5%(w/v)NaClを含有するLuria−Bertani(LB)培地において増殖する。遺伝学的に修飾された微生物を生体触媒にする発酵性のプロセスを用いた有機酸の商業の生産のために、炭素供給源を補った最小無機塩培地が好ましい。LB培地のような富栄養培地とは対照的に最小無機塩培地の使用は、商業の規模における有機酸の生産のためのコストを低下させる。本発明に適した最小無機培地は、NBS培地(Causey et al.,2007)、およびAM1培地(Martinez et al.,2007)を含む。NBS培地は、1mMベタイン、25.72mM KHPO、28.71mM KHPO、26.50mM(NHHPO、1mM MgSO.7HO、0. mM CaCl.2H0、0.15mM チアミンHCl、5.92μM FeCl3.6H0、0.84μM CoCl.6H2O、0.59μM CuCl.2HO、1.47μM ZnCl、0.83μM NaMoO.2HO、および0.81μM HBOを含有する。AM1培地は、1mMベタイン、19.92mM (NHHPO、7.56mM NHPO、1.5mM MgSO.7HO、1.0mMベタイン−KCl、8.88μM FeCl3.6H0、1.26μM CoCl.6HO、0.88μM CuCl.2HO、2.20μM ZnCl、1.24μM NaMoO2HO、1.21μM HBO および2.50μM MnCl2.4HOを含有する。
【0073】
増殖培地における有機酸の蓄積は、培地のpHを減少させがちであるので、培養培地に必要とされる適切な中和剤を添加することが必要である。培養器のpHは、pHプローブを用いて連続的に観測することができ、そして、適切な塩基が、増殖培地のpHを約中性pHに維持するために添加することができる。微生物の培養のpHを維持することに適した塩基は、NaOH、KOH、NHHCO3、NaCO、NaHCO、K2COおよび(NHCOを含む。この目的に適した塩基は、単独でまたは組合わせて使用することができる。
【0074】
微生物の増殖のための無機培地は、炭素供給源が補われている。本発明に有用である炭素供給源は、キシロースのようなペントース糖、およびグルコース、フルクトース、およびガラクトースのようなヘキソース糖を含むが、それらに限定されない。炭素供給源は、グルコースおよびキシロースの組合わせなどの異なる糖の組合わせを提供することによって満たすことができる。炭素供給源は、でんぷんまたはリグノセルロースの加水分解に由来することができる。でんぷんおよびリグノセルロースなどの複合体炭水化物の加水分解は、本技術分野においてよく知られている熱化学変質プロセスまたは酵素的方法を用いることによって、達成することができる。微生物の発酵を用いる有機酸の産業上の生産のための好ましい炭素供給源は、農業または林業廃棄物の加水分解に由来するリグノセルロース系加水分解物である。リグノセルロース系加水分解物は、ヘキソース濃縮、およびペントース濃縮分画を産出するようにさらに分画化してもよく、そして、それらの分画は、微生物の発酵プロセスを用いる有機酸の商業の生産のための炭素の供給源として役立つことができる。ある濃度より上で、多数の微生物に毒性であることが見出されるフルフラールなどのある化学物質を除去するために、リグノセルロース系加水分解物は、さらに解毒化することができる。
【0075】
遺伝学的改変から得られた微生物の株は、有機酸の生産に期待される遺伝子型を有する。しかしながら、最小無機塩培地におけるその増殖比率、または必要とされる比率で特定の有機酸を生産するそれらの能力、またはリグノセルロース系加水分解物に由来する炭素供給源におけるある化学物質に耐えるそれらの能力は、大規模発酵プロセスを通した有機酸の商業の生産のための生体触媒としてこれらの遺伝学的に修飾された微生物を用いることには適していないかもしれない。遺伝子欠失から得られた遺伝学的に修飾された微生物の株は、次に、代謝的適応または進化を介して最も代表的なクローンについて選択される。選択の間で生じた1または複数の自然発生的変異が、早い細胞増殖、異なる炭素供給源の迅速な消費、複数の糖を同時に使用する能力、炭素供給源における毒性化学物質に耐える能力、および高生産産出収量、および望まれる有機酸の生産性だが他の有機酸の低い生産を示す表現型をもたらすクローンを達成するための期間、代謝的進化の間、選択された培養は、新鮮最小培地に反復して移動された。代謝的進化の間、望ましい表現型を有するクローンを選択することが注目される。特定の有機酸を生産するように遺伝学的に改変された微生物は、商業的に魅力的な増殖比率を有さないかもしれず、そして、その結果、特定の有機酸のものの期待される産出収量を示さないかもしれない。代謝的進化は、特定の有機酸のものの生産のための増大した比率を伴う有意な増殖を示す株を進化させるために、続いて行うことができる。炭素供給源を補った無機培地における非常に良好な増殖比率を示すが、望まれる有機酸の産出収量において改良しなかった、代謝的進化からもたらされるクローンは、望ましいクローンではない。
【0076】
大腸菌(E.coli)のKJ122株は、本発明の好ましい実施態様において使用される。KJ122は、遺伝学的改変および代謝的進化の両方の組合せにかかわる複数段階を通して野生型大腸菌(E.coli)C株に由来した。遺伝学的改変技術を用いて、乳酸塩ヒドロゲナーゼ(ldhA)、アルコールデヒドロゲナーゼ(adhE)、蟻酸塩共輸送体(focA)、酢酸塩キナーゼ(ackA)、ピルビン酸塩−蟻酸塩リアーゼ(pflB)、メチルグリオキサルシンターゼ(msgA)、ピルビン酸塩オキシダーゼ(poxB)、酢酸塩キナーゼ活性を有するプロピオン酸塩キナーゼ(tdcD)、α−ケト酪酸蟻酸塩リアーゼ(tdcE)、クエン酸塩リアーゼ(citF)、アスパラギン酸塩アミノトランスフェラーゼ(aspC)、およびリンゴ酸酵素(sfcA)を含む12の異なる遺伝子が、染色体のDNAの染色体のDNAから欠失された。KJ122株をもたらすE.coli C株ATCC 8739に対して行われた遺伝学的操作は、Jantama et al(2008a 2008b)詳細に説明されてきた。
【0077】
代謝的進化のプロセスの間、選択的圧力を用いて、生物に望ましい表現型を獲得させるために、2つの可能な変更が生じることができた。生物は、単純にそれ自体を選択的圧力に適応させ、そして、変更した表現型を示すことができた。また、生物は、選択的圧力下で、ある遺伝学的変更を経て、そして、変更した表現型を永続的に示すかもしれない。適応のみがあった、および遺伝学的変更がない場合、生物は、いったん選択圧力が軽減されれば、その最初の表現型に復帰する。これらの生物は、「適応した」生物といわれる。「適応した」微生物は、変更した表現型を示すためには、選択圧力下で、別の新鮮な段の代謝的進化を経なければならない。一方、付随する遺伝学的変更がある場合、変更した表現型は、選択圧力がない場合であっても、存在し続けるであろう。ある遺伝学的変更を伴う代謝的進化が望ましい。代謝的進化の間で安定な遺伝学的変更を獲得している微生物は、選択圧力を有する新鮮培地にそれを移動するいくらか前に、任意の選択圧力なしに最初の増殖培地において微生物を増殖させることによって容易に同定することができる。これらの生物が、任意の遅延期なしに良好な増殖および期待される表現型を示すことができるならば、該生物は、代謝的進化の間で、変更した遺伝子型を獲得したと考えられる。
【0078】
代謝的進化の間で獲得される遺伝学的変更の塩基は、生物の染色体のDNAをシーケンシングすること、および配列データを親株のものと比較することによって決定することができる。ゲノムの配列データは、本技術分野においてよく知られている次の技術によって得ることができる。このように、大腸菌(E.coli)株ATCC 8739から得られる親株KJ122は、望ましい新しい表現型を有する株を得るために、代謝的進化にさらされることができる。代謝的に進化した新株のゲノムは、親株KJ122とともに、配列決定することができ、そして、変更した表現型を説明する代謝的に進化した株における変異は、同定することができる。
【0079】
この発明において定義される場合、用語変異は、遺伝子内のヌクレオチド配列における任意の変更を含む。遺伝子内のヌクレオチド変更は、別のアミノ酸残基への1アミノ酸残基の交換をもたらす三つ組コドン内の単一ヌクレオチド変更であってもよい。また、遺伝子のオープンリーディングフレーム内のヌクレオチド変更は、オープンリーディングフレームの部分、または全体のオープンリーディングフレームの欠失を伴ってもよい。オープンリーディングフレーム内のヌクレオチド変更は、終止コドンの導入を含み、結果として、オープンリーディングフレームが完全長タンパク質の代わりに短縮タンパク質をコードすることもできる。本発明において使用する場合、用語変異は、オープンリーディングフレームの上流または下流におけるヌクレオチド配列における変更も含む。オープンリーディングフレームの上流および下流の領域は、いくつかの調整ヌクレオチド配列を含有し、そして、オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質の発現にかかわる。これらの調整領域に生じている変異は、遺伝子発現を変化させ、遺伝子機能の上方−調整または下方−調整をもたらすことができる。別の可能性は、フレームシフト変異をもたらすヌクレオチド挿入または欠失である。
【0080】
本発明から獲得された知識に基づき、ペントースおよびヘキソース糖の同時の利用をもたらす遺伝学的修飾は、炭素の供給源としてグルコースを用いる1または複数の産業上の化学物質の生産のために既に遺伝学的に改変された任意のバクテリア株において実行することができる。また、ヘキソースおよびペントース糖の同時利用に必要である遺伝学的修飾は、任意の野生型バクテリア株において実行することができ、そして、このように、ヘキソースおよびペントース糖の同時利用のために修飾された野生型バクテリア株は、商業的規模における産業上の化学物質の生産に適した微生物を開発するために、さらに、遺伝学的修飾にさらされることができる。
【実施例】
【0081】
実験的セクション
一般的注釈
株および接種材料調製:
KJ122(大腸菌(E.coli)C、ΔldhA、ΔadhE、ΔackA、ΔfocA−pflB、ΔmgsA、ΔpoxB、ΔtdcDE、ΔcitF、ΔaspC、ΔsfcA)が、本発明において使用された。KJ122は、Jantama et al(2008a; 2008b)、および特許協力条約の下で公開される国際特許出願である国際公開WO2008/115958およびWO2010/115067によって説明される遺伝学的修飾を通した大腸菌(E.coli)C(ATCC 8739)株に由来した。これらの全て文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0082】
大腸菌(E.coli)株KJ122は、塩基付加について正規化された88g/Lコハク酸塩を生産するために、72時間、AM1無機物培地において10%グルコースを発酵することができる。AM1培地は、2.63g/L (NHHPO、0.87g/L NHPO4、1.5mM MgSO4、1.0mMベタイン、および1.5ml/L微量元素を含有する。微量元素は、1000Xストックとして調製され、そして、次の成分が含められる:1.6g/L FeCl3、0.2g/L CoCl6HO、0.1g/L CuCl2、0.2g/L ZnCl4HO、0.2g/L NaMoO4、0.05g/L HBO3、および0.33g/L MnCl4HO。発酵ブロスのpHは、1:4(6N KOH:3M KCO)(1.2N KOH、2.4M KCO)で7.0に維持される。
【0083】
いくつかの実験において、コーンスティープリカーが添加された。それは、コーン湿潤製粉工業からの副産物である。酵母抽出物およびペプトンに比べた場合、それは、ビタミンおよび微量元素の安価な供給源である。
【0084】
発酵:コハク酸を生産するように遺伝学的に改変し、そして、−80℃冷凍庫において貯蔵された大腸菌(E.coli)株のグリセロールストックを、新鮮NBS−2%キシロースプレート上に、画線することによって、発酵を開始した。16時間(37℃)後、プレートからの細胞をかき集め、発酵器に直接に植菌した。発酵器は、350mlの作業体積を有する。この第一の発酵は、「種」培養といわれ、そして、データを蓄積するために使用された。全ての発酵における培地は、0.03M KHCO、1mMベタイン、および8%キシロース(特に断りのない限り)を補った従来のAM1培地であり、そして、1.2N KOHおよび2.4M KCOからなる塩基を用いて中和された。発酵器は、150rpmで撹拌して、7.0のpH、37℃に維持された。24時間後、種培養は、新培養を(バッチ実験または「移動」)、0.05の開始OD550に植菌するために使用された。毎日の移動を例外として、全ての実験が、3通り、実施された。C5/C6共発酵実験は、4%キシロース、7%グルコース、0.5%アラビノース、0.4%ガラクトース、および0.3%マンノース(純粋糖)を含み、そして、唯一の炭素供給源としてのキシロース、および0.08%フルフラール上で増殖する培養から植菌された。C5/C6共発酵は、8%キシロースおよび1%グルコースの混合物を用いて実施された。これらの実験は、1% 酢酸塩を用いて、または0.1%フルフラールを用いて、阻害剤の付加なしに3通り実施された.
【0085】
細胞増殖: 細胞量は、Thermo Electronic Spectronic 20 spectrophotometerを用いて550nm(OD550)で光学密度を測定することによって推定された。
【0086】
有機酸および糖分析: 様々な有機酸および糖の濃度が、HPLCによって測定された。発酵ブロスに存在するコハク酸および他の有機酸が、BioRad Aminex HPX−87Hカラムを用いるAgilent 1200 HPLC装置上で分析された。BioRad Microguard Cation Hが、保護カラムとして使用された。HPLC分析のための標準は、0.008N硫酸において調製された。HPLCカラム温度は、50Cに維持された。0.008N濃度での硫酸が、0.6ml/分の流動比率での移動相として使用された。様々な成分の定量化は、210nmでのその吸光度を測定することによって行われた。
【0087】
代謝的進化:pH制御した発酵からの細胞は、増殖ベースの選択を通した代謝的進化を促すために24時間で連続的に移動された。新培地の体積の約1/100で、接種材料は、予熱した新鮮培地に直接に添加し、開始OD5500.05とした。改良した発酵特徴を有するクローンが単離された。代謝的進化戦略は、キシロース発酵を改良することに応用された。
【0088】
バガスの調製:
典型的にはエネルギーのために燃やすことによって使用される廃棄産物であるサトウキビバガスは、フロリダの製糖所からから得られる。この廃棄産物は、希酸前処理を用いるヘミセルロースおよびセルロース分画の調製のための開始材料として使用される。
【0089】
サトウキビバガスは、約10%の含水率に乾燥し、ナイフミルを用いて挽いた。材料は、中温度で希硫酸を用いて蒸気反応装置(steam reactor)(Zipperclave & Parr)において処理する。希酸前処理のための典型的な前処理条件は、反応装置において、0.1−3%酸濃度、100−200℃温度、および1−30分滞留時間である。最小糖分解で最大キシロース産出収量を達成するための最適反応装置条件は、反応装置において、約0.5%酸濃度、160℃、および10分滞留時間である。
【0090】
PCR、およびDNAシーケンシング: 一連の2つのgalP特異的プライマーBY38およびBY39(表1)が、E.coliのTG400、KJ122、およびWG37株からgalP遺伝子を得るために使用された。PCRは、New England Biolabsからの2phusion HF master mix kitを用いる標準的プロトコルを用いて実行された。PCR産物は、大腸菌(E.coli)のこれら異なる株のそれぞれからのPCR産物のサイズを測定するために、0.8%アガロースゲル上で泳動した。PCR産物は、ボストン、マサチューセッツ州、USAにおけるタフツ(Tufts)DNA シーケンシングコア施設(Core Facility)によって、Sanger方法を用いて配列決定した。配列データは、Vector NTI ソフトウェアプログラムを用いて分析した。
【0091】
大腸菌(E.coli)のWG37株の構築: 大腸菌(E.coli)のWG37株は、galP遺伝子の全体のコード領域を欠失させることによってKJ122株から派生させた。galP遺伝子は、相同組換えを伴う2工程において欠失させた。第一の段階において、galP遺伝子配列は、抗生物質マーカーおよびsacB遺伝子配列を含有するカセットと交換させた。組換え体は、抗生物質を有するLBプレート上で選択された。第二の段階において、抗生物質カセットは、染色体のDNAから除去され、そして、組換え体は、スクロースを含有する培地上で選択された。スクロース含有プレート上で増殖するコロニーは、sacBカセットの欠失につき高度に濃縮している。
【0092】
大腸菌(E.coli)のWG37株の構築において、kanカセットは、テンプレートとしてのXmnI消化pGW162プラスミド、およびプライマー51aおよび51b(表1)を用いるPCRによって増幅された。kan−sacBカセットのDNA断片は、大腸菌(E.coli)のKJ122株に導入された。第一の工程において、形質転換体は、カナマイシンを有するLB プレート上で選択され、そして、プライマー49a、49b(表1)を用いるPCRによって確認された。この株は、WG35として設計された。galP遺伝子および隣接する300bp領域は、プライマー49a、49b(表1)を用いて増幅され、そして、pGEMT easy vectorにクローン化し、プラスミドpGW180を得た。このプラスミドDNAの希釈した調製物は、プライマー50a、50b(表1)を用いるインサイドアウト(inside−out)増幅のためのテンプレートとして役立った。結果として生じた断片は、セルフライゲーションして、プラスミドpGW181を構築した。pGW181(表1)において、galP遺伝子が欠失された。galP欠失を含有するDNA断片が、テンプレートとしてのプラスミドpGW181、およびプライマー49a、49bを用いるPCRによって増幅された。PCR産物は、WG35に導入され、そして、形質転換体は、10%スクロースを有するLBプレート上で選択された。結果として生じたクローンが、カナマイシン耐性の喪失について試験された。最終galP欠失株は、WG37として設計され、そして、特定の遺伝子欠失が、プライマー49a、および49b(表1)を用いるPCRによって確認された。
【0093】
実施例1
C5利用
大腸菌(Escherichia Coli)株KJ122(大腸菌(E.coli)C、ΔldhA、ΔadhE、ΔackA、ΔfocA−pflB、ΔmgsA、ΔpoxB、ΔtdcDE、ΔcitF、ΔaspC、ΔsfcA)は、グルコース、キシロース、およびアラビノース上で好気的に増殖することができた。本発明の目的は、ヘキソースおよび他のペントース糖の両方を含有する培地において微好気的に大腸菌(E.coli)のKJ122株を増殖させること、および両方のタイプの糖を同時に使用することができる生物を選択することである。
【0094】
C5利用についての初期スクリーニングは、2%のキシロースを補ったNBS無機培地プレート上での好気性増殖によって実施された。プレートは、37℃で一晩インキュベートした。キシロースプレート上に現れるコロニーは−連続して3回、新鮮プレート上に筋をつけて播いた。2%キシロースを有する固体NBS無機培地上の第三の移動の最後に、プレートからの細胞が、そぎ落とされ、そして、0.03M KHCO、1mMベタイン、および8%キシロースを補ったAM1無機培地を含有する発酵フラスコに直接に植菌された。発酵培地は、37Cで7.0のpHに維持するため、1.2N KOHおよび2.4M KCOからなる塩基で中和させた。培養物は、150rpmの速度で操作した磁気撹拌子を用いて撹拌した。液体培養物は、24時間の初期期間、増殖させ、そして、0.05の初期OD550で新培養を開始するための種培養物として使用した。
【0095】
キシロースを有するAM1無機培地におけるこの培養物は、初期72時間遅延フェーズを示し、その間、KJ122の増殖は、認められなかった。この初期遅延期の最後に、KJ122株は、増殖を示し始めた。550nmでのODにおける増大によって測定されたバクテリア細胞の増殖と並んで、培地中のキシロースの濃度において、減少があり、それは、増殖培地中のコハク酸の濃度における比例的増大を伴った。
【0096】
キシロース含有培地における216時間増殖期間の最後に、この培養物のグリセロールストックを調製し、−80Cで保存した。216時間増殖期間の最後の新鮮培養、または216時間増殖期間の最後に調製された培養物のグリセロールストックのいずれかが、8%キシロースを補ったAM1無機培地を有する新鮮発酵器で植菌するために使用された。接種材料の供給源に関係なく、それが、新鮮培養からのものであったか、またはグリセロールストックからのものであったかどうかに関係なく、第二の発酵器における培養物は、任意の遅延期なしに増殖した。コハク酸生産は、任意の遅延期なしにバクテリア増殖も伴った。このように、216時間の期間の単一増殖サイクルが続く2%キシロースを有する固体無機培地上での3段増殖は、キシロースを含有する培地上で微好気的に増殖することができるKJ122の「適応した株」をもたらした。
【0097】
実施例2
KJ122の代謝的進化
本発明の別の実施態様において、KJ122株は、代謝的進化にさらされた。キシロース糖を補った液体AM1培地において微好気的に増殖するKJ122培養物は、2週間の期間、24時間ごとに、8%キシロースを含有する新鮮液体AM1培地に移動された。これら複数の移動の最後に、KJ122株は、8%キシロースを補ったAM1培地を有する新鮮発酵槽に移動された。発酵槽におけるKJ122の嫌気性増殖比率、ならびにコハク酸生産、およびキシロース利用の動力学が、観測された。発酵槽におけるコハク酸生産は、任意の遅延期なしに直ちに開始し、そして、より高い最終力価も産出し、そして、この株は、「代謝的に進化した株」と呼ばれる。我々の株コレクションにおいて、この代謝的に進化した株は、TG400として呼ばれてきた。
【0098】
KJ122の「適応した株」および「代謝的に進化した」TG400株が、それらの変更した表現型についての任意の遺伝学的基礎を有するかどうかを決定するために、次の実験が実行された。非修飾KJ122株、「KJ122の適応した株」および「代謝的に進化した」TG400株は、2%グルコースを含有する新鮮無機培地を有するプレート上に筋をつけて播かれた。結果として生じたコロニーは、2%グルコースを有する新鮮プレート上に筋をつけて播かれた。このストリーキングは、11日間連続して毎日行われた。11日目の最後に、培養物は、キシロースを含有する寒天プレート上に筋をつけて播いた。キシロースプレート上で増殖するコロニーは、新鮮キシロース含有プレート上に再び筋をつけて播いた。これに続いて、第二のキシロース含有プレート上で増殖するコロニーを、液体培養に移動した。増殖比率、コハク酸生産、動力学、および培養培地中のキシロースの濃度における減少の比率が観測された。
【0099】
図1、2、および3において示される結果が指し示すように、増殖培地におけるキシロースの消失によって観測されるキシロース利用は、最初のKJ122株、および「KJ122の適応した株」の両方において、96時間の遅延期を示した。代謝的に進化したTG400株の場合、培地におけるキシロースの大半は、第一の96時間のうちに消費された。加えて、TG400については、コハク酸生産は、いかなる遅延期も示さなかった。同様に、TG400についての細胞増殖は、遅延期を示さなかったが、一方、KJ122の「適応した株」、および最初のKJ122株は、約72時間の初期遅延フェーズを示した(図1および2)。これらの観察は、代謝的に進化したTG400株が代謝的進化の間で、キシロース利用についての安定な遺伝子型を獲得したこと、およびこの能力は、この株がキシロースの不存在において数世代増殖した場合でさえ失われなかったことを明確に確証する。一方、キシロースのみを含有する培地における増殖に適したKJ122株は、キシロースの不存在下でグルコース含有培地において数世代増殖した場合、キシロースを使用するためのその能力を失っている。キシロースの不存在下で増殖したこのKJ122の「適応した株」は、炭素の供給源としてキシロースを使用することにそれ自体を再び適応させるためには、さらに96時間を必要とした。このように、KJ122の「適応した株」は、96時間のキシロース含有培地におけるその適応の間、いかなる遺伝学的修飾も獲得しなかった。
【0100】
TG400は、炭素供給源としてキシロースを使用する能力を獲得する間、炭素の供給源としてグルコースを使用する能力をいまだ保持した(表2)。
【0101】
実施例3
C5+C6共発酵
嫌気性増殖条件下におけるKJ122において、C5およびC6糖は、同時に代謝されない。C6糖は、一般的には最初に代謝され、そして、C5代謝に先立ち遅延が示される。したがって、同等量のC6およびC5糖の両方の存在下でのTG400の発酵特徴を測定することは必須であった。図4において示されるように、TG400は、同一の比率で、グルコースおよびキシロースを使用することができ、そして任意の遅延期なしにコハク酸を生産した。KJ122は、キシロースおよびグルコースの両方を使用することもできた。しかしながら、KJ122株において、キシロース利用は、グルコース濃度における実質的な減少の後でのみ開始した。さらに、表3に示されるように、KJ122によるキシロースおよびグルコース利用と比べた場合、TG400は、グルコースよりも、モル基準においてより多くのキシロースを使用した。
【0102】
実施例4
C5糖が豊富な解毒したバガス加水分解物の発酵
代謝的進化を通して得られたTG400株は、バガスの加水分解に由来するキシロースを使用するためのその能力について試験された。濃縮バガス加水分解物は、200rpmでのロータリーシェーカーにおいて、35℃で60分間、バガス加水分解物の各キログラムについて50グラムの木炭でそれを処理することによって解毒した。活性炭処理したC5 豊富バガスは、pH調節し、AM1無機塩、ベタイン、および微量元素を補い、そして、ろ過滅菌した。加水分解物は、最初に、8%(w/v)キシロース(C5)、および約0.8%グルコース(C6)、0.1%ガラクトース(C6)、0.1%マンノース(C6)、および0.002%アラビノース(C5)を含んだ。濃縮した解毒C5糖が豊富なバガス加水分解物は、さらに2.5%w/vコーンスティープリカーを補い、そして、0.5の初期OD550nmにTG400株に接種した。図5に示される結果が指し示すように、120時間以内で、培養培地における全ての糖が、消費され、そして、コハク酸塩が安定的に生産された。
【0103】
実施例5
大腸菌(Escherichia Coli)のKJ122、およびTG400株のゲノムのシーケンシング
親株KJ122および代謝的進化を通してKJ122に由来するTG400株の全体のゲノムが、ボストン、マサチューセッツ州、USAのタフツ(Tufts)大学コア施設(Core Facility)で、Illumina Genome analyzer IIを用いて配列決定された。Genome analyzer IIは、Illumina sequencing technologyによって提供される。KJ122およびTG400について得られるゲノムのデータは、KJ122からのTG400の代謝的進化を伴う遺伝学的変更を同定するために、他のそれぞれと比較された。TG400およびKJ122の比較分析は、TG400のgalP遺伝子における変異的変更を明らかにした。TG400におけるgalP遺伝子は、そのオープンリーディングフレームのヌクレオチド位置889で点変異を示した。この位置でのシトシンヌクレオチドは、グアノシン残基に変更していた。このヌクレオチド変更の結果として、アミノ残基グリシンは、アスパラギン酸塩に変更していた。galP遺伝子におけるこの変異は、galP*と呼ばれる。この変異は、ヌクレオチドレベルで、バクテリアのKJ122およびTG400株の間での唯一の相違であった。
【0104】
実施例6
TG400およびKJ122におけるgalP遺伝子配列のPCR および配列分析
キシロースおよびグルコースを同時に使用する能力を説明するTG400株におけるgalP遺伝子配列に変異があることを確立し、我々は、KJ122およびTG400からgalP遺伝子を得るために、PCR技術を使用した。TG400から得られたPCR産物、ならびにKJ122からのPCR産物が、配列決定された。配列データは、位置296におけるグリシン残基をアスパラギン酸塩残基に変更する(Gly296をAspへ)点変異を明らかにした。
【0105】
実施例7
galP遺伝子欠失の効果
グルコースおよびキシロースを同時に使用する能力を伴うTG400におけるgalP遺伝子変異があることを確立し、我々は、全体galP遺伝子の欠失が、変異したgalP遺伝子を有するTG400に見られるものと同一の表現型の効果を有するかどうか測定することを決定した。これらの実験において、我々は、親株として大腸菌(E.coli)のKJ122を使用した。
【0106】
我々は、大腸菌(E.coli)のKJ122株からgalP遺伝子配列を欠失させて、WG37と呼ばれる新株を生産した。我々は、炭素の供給源としてグルコースおよびキシロースの両方を含有する最小培地において嫌気的に増殖するKJ122、TG400、およびWG37株において、増殖動力学、糖利用パターン、およびコハク酸生産を測定した。WG37は、96時間の過程においてグルコースおよびキシロースの両方を同時に使用することができた(図6)。その増殖動力学、ならびに糖利用パターンは、変異した形態のgalP遺伝子を有するTG400のものに類似した。キシロース利用が、24時間の初期遅延を示した間、KJ122において、グルコースは、72時間内に完全に消費された。TG400およびWG37の両方において、グルコースは、増殖の96時間後でさえ使い果たされず、そして、意味のある量のグルコースが、増殖の96時間で培地に残った。加えて、TG400およびWG37の両方において、キシロース利用が、12時間で早くも検出することができた。
【0107】
図7、8、および9は、本発明において使用された3株の全てにおけるコハク酸生産の動力学の対照比較を示す。4%キシロースおよび7%グルコースを含有する培地において増殖する場合、全ての株は、それらがインタクトgalP遺伝子配列を有するか否かに関係なく、コハク酸生産について類似の動力学を示した。混合糖を含有する培地において、TG400は、コハク酸生産についてわずかに高い比率を示した(図7)。
【0108】
炭素の唯一の供給源としてキシロースを含有する培地において、TG400およびWG37株は、KJ122株によるコハク酸生産の比率に比べた場合、コハク酸生産について、ずっと早い比率を示した(図8)。
【0109】
炭素の唯一の供給源としてグルコースを含有する培地において、galP遺伝子配列における欠失を有する2つのバクテリア株TG400およびWG37は、KJ122によるコハク酸生産の比率と比べた場合、コハク酸生産について、より緩やかな比率を示した(図9)。
【0110】
実施例8
キシロース利用に対するgalPにおけるG297D点変異の効果
炭素の唯一の供給源としてキシロースを含有する発酵培地における増殖およびコハク酸塩生産に対する、G297D(GalPタンパク質における位置297におけるグリシン残基のアスパラギン酸塩残基との交換)をもたらす点変異の効果を検討するために、G297D変異が、KJ122株におけるgalP遺伝子配列に導入された。SI014(KJ122ΔgalP::galP*)は、プライマー17ASPgalP(配列番号9)および18SPgalP(配列番号10)を用いてG400から変異体galP*遺伝子をPCR増幅させて、そして、温度条件付きプラスミドであるpKD46からラムダレッドリコンビナーゼを発現するWG35(KJ122 ΔgalP::kan−sacB)内で組換えさせることによって作出された。プラスミドpKD46は、次に、昇温での増殖によって除去された(Datsenko and Waner,2000)。
【0111】
KJ122は、MacConkeyラクトースプレートから得られた。SI014(KJ122galP*)は、LB2%グルコースプレートから取られた。プレートからかき集めたものが、25mlLB 2%グルコースを植菌するために使用された。培養物は、37℃、150rpmで8時間、増殖させた。これらの培養物についての最終OD600は、KJ122については0.71であり、SI014については0.58であった。5mlのそれぞれのLBグルコース培養物は、AM1 10%グルコース培地を含有する300ml種発酵槽を植菌するために使用された。これらの発酵は、24時間、pH7.0、37℃で保持された。これらの培養についての最終OD600は、KJ122については3.82であり、そして、SI014については2.89であった。これらの培養は、AM1 10%キシロース培地を含有する3つの発酵槽を植菌するために使用された。目標最終OD600 は0.1であり、そのため、300ml発酵を植菌するために、KJ122については7.85mlが使用され、そして、SI014については、10.38mlが使用された。発酵は、97時間、pH7.0および37Cで維持された。OD600および代謝産物分析のためにサンプルは、毎日取られた。全ての代謝産物および増殖データを、グラフに描き、GraphPad Prismを用いて分析した(2way ANOVA)。
【0112】
位置297で1アミノ酸変更をもたらすgalP遺伝子における点変異を含有する大腸菌(E.coli)株SI014についての増殖プロファイルを、図10に示す。炭素の唯一の供給源としてキシロースを含有する培地上において、KJ122よりもSI014株がより迅速に、およびより高密度に増殖することが、OD600値によって非常に明らかである。これら2株の間の唯一の既知の相違は、galP遺伝子における点変異である。図11は、KJ122と比べて、株SI014について、キシロースの消費が増大し、およびコハク酸生産が同時に増大したことを示す。
【0113】
本出願人の発明は、好ましい実施態様に特に参照して上で詳細に説明されてきた。上記の詳細な説明に詳しい当業者は、次の請求項の精神を逸脱することなく、任意の修正を行うことができる。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
参考文献
全ての参考文献は、読み手の便宜のために掲載される。それぞれの参考文献は、参照によってその全体が組み込まれる。
【0119】
U.S. Patent No. 5,168,056
【0120】
U.S. Patent No. 5,169,768
【0121】
U.S. Patent No. 5,602,030
【0122】
U.S. Patent No. 6,962,794
【0123】
U.S. Patent No. 7,223,567
【0124】
U.S Patent No. 7,371,558
【0125】
U.S. Patent No. 7,524,660
【0126】
U.S. Patent No. 7,629,162
【0127】
U.S. Patent Application Publication No. 2004/0214294
【0128】
U.S. Patent Application Publication No. 2007/0037265
【0129】
U.S. Patent Application Publication No. 2008/0176302
【0130】
U.S. Patent Application Publication No. 2009/0148914
【0131】
International Patent Application Publication No. WO2008/115958
【0132】
International Patent Application Publication No. WO2010/115067
【0133】
Bertilsson, M., Olofsson, K., Liden, G. (2009) "Prefermentation improves xylose utilization in simultaneous saccharification and co-fermentation of pretreated spruce." Biotechnol Biofuels 2: 8 (Biomed Central. Published April 8, 2009)
【0134】
Biville, F., Turlin, E., Gasser, F. (1991) "Mutants of Escherichia coli producing pyrroloquinoline quinine." J Gen Microbio 137: 1775-1782.
【0135】
Cairns, M. T., McDonald, T. P., Horne, P., Henderson, P. J. (1991) "Cytochalasin B as a probe of protein structure and substrate recognition by the Galactose/H+ transporter of Escherichia coli." J Biol Chem 266:8176-8183.
【0136】
Chen, R., Yap, W. M. G. J., Postma, P. W., Bailey, J. E. (2000) "Comparative studies of Escherichia coli strains using different glucose uptake systems: Metabolism and energetic." Biotechnol Bioeng 56: 583-590.
【0137】
Chen, T., Zhang, J., Liang, L., Yang, R., Lin , Z. (2009) "An in vivo, label-free quick assay for xylose transport in Escherichia coli." Anal Biochem 390: 63-67.
【0138】
Chin, J. W., Khankal, R., Monroe, C. A., Maranas, C. D., Cirino, P. C. (2009) "Analysis of NADPH supply during xylitol production by engineered Escherichia coli." Biotechnol Bioeng 102: 209-220.
【0139】
Cirino, J. W., Chin, J. W., Ingram, L. O. (2006) "Engineering Escherichia coli for xylitol production from glucose-xylose mixtures." Biotechnol Bioeng 95: 1167-1176.
【0140】
Castro, R., Neves, A. R., Fonseca, L. L. Pool, W. A., Kok, J., Kuipers, O. P., Santos, H. (2009) "Characterization of the individual glucose uptake systems of Lactococcus lactis: mannose-PTS, cellobiose-PTS and the novel GlcU permease." Mol Microbio 71: 795-806.
【0141】
Causey, T. B., Shamugam, K. T., Yomano, L. P., Ingram, L. O. (2004) "Engineering Escherichia coli for efficient conversion of glucose to pyruvate." Proc Natl Acad Sci USA 101:2235-2240.
【0142】
De Anda, R., Lara, A. R., Hernandez, V., Hernandez-Montavlo, V., Gosset, G., Bolivar, F., Ramirez, O. T. (2006) "Replacement of the glucose phosphotransferase transport system by galactose permease reduces acetate accumulation and improves process performance of Escherichia coli for recombinant protein production without impairment of growth rate." Metab Eng 8: 281-290.
【0143】
Deutscher, J., Francke, C., Postma, P.W. (2006) "How phosphotransferase system-related protein phosphorylation regulates carbohydrate metabolism in bacteria." Microbiol Mol Bio Rev 70:939-1031.
【0144】
Deutscher, J. (2008) "The mechanism of carbon catabolite repression in bacteria." Curr Opin Microbiol 11:87-93.
【0145】
Dien, B.S., Nichols, N. N., Bothast, R. J. (2002) "Fermentation of sugar mixtures using Escherichia coli catabolite repression mutants engineered for production of L-lactic acid." J Ind Microbiol Biotechnol 29: 221-227.
【0146】
Flores, N., Leal, L., Sigala, J. C., deAnda, R., Escalante, A., Martinez, A., Ramirez, O. T., Gosset, G., Boliar, F. (2007) "Growth recovery on glucose under aerobic condition of an Escherichia coli strain carrying a phosphoenolpyruvate:carbohydrate phosphotransferase system deletion by inactivating arcA and overexpressing the genes coding for glucokinase and galactose permease." J Mol Microbiol Biotechnol 13: 105-116.
【0147】
Gorke, B., Stulke, J. (2008) "Carbon catabolite repression in bacteria; many ways to make the most out of nutrients." Nat Rev Microbiol 6: 613-624.
【0148】
Henderson, P. J. F., Giddens, R. A., Jones-Mortimer, C. J. (1977) "Transport of galactose, glucose and their molecular analogues by Escherichia coli K12." Biochem J 162: 309-320.
【0149】
Henderson, P. J. (1990) "Proton-linked sugar transport systems in bacteria." J Bioenergy Biomem 22: 525-569.
【0150】
Hernandez-Montalvo, V., Valle, F., Bolivar, F., Gosset, G. (2001) "Characterization of sugar mixtures utilization by an Escherichia coli mutant devoid of the phosphotransferase system." App. Microbiol Biotechnol 57: 186-191.
【0151】
Ho, N. W. Y., Chen, Z., Brainard, A. P. (1998) "Genetically engineered Sacchromyces yeast capable of effective cofermentation of glucose and xylose." App Environ Microbiol 64: 1852-1859.
【0152】
Jantama, K., Haupt, M. J., Svoronos, S. A., Zhang, X., Moore, J. C., Shanmugham, K. T., Ingram, L. O. (2008a) "Combining metabolic engineering and metabolic evolutions to develop nonrecombinant strains of Escherichia coli C that produce succinate and malate." Biotechnol Bioeng 99: 1140-1153.
【0153】
Jantama, K., Zhang, X., Moore, J. C., Shanmugam, K. T., Svoronos, S. A., Ingram, L. O. (2008b) "Eliminating side products and increasing succinate yields in engineered strains of Escherichia coli C." Biotechnol Bioeng 101: 881-893.
【0154】
Kasahara, T., Kasahara, M. (2003) "Transmembrane segments 1, 5, 7, and 8 are required for high-affinity glucose transport by Saccharomyces cerevisiae Hxt2 tranporter." Biochem J 372: 247-252.
【0155】
Kasahara, T., Ishigure, M., Kasahara, M. (2004) "Comprehensive chimeric analysis of amino acid residues critical for high affinity glucose transport by Hxt2 of Saccharomyces cerevisiae." J Biol Chem 279: 30274-30278.
【0156】
Kasahara, T., Maeda, M., Ishiguro, M., Kasahara, M. (2007) "Identification by comprehensive chimeric analysis of a key residue responsible for high affinity glucose transport by yeast HXT2." J Biol Chem 282:13146-13150.
【0157】
Kasahara, T., Ishiguro, M., Kasahara, M. (2006) "Eight amino acid residues in transmembrane segments of yeast glucose transporter HXt2 are required for high affinity transport." J Biol Chem 281: 18532-18538.
【0158】
Khankal, R., Chin, J. W., Cirino, P. C. (2008) "Role of xylose transporters in xylitol production from engineered Escherichia coli." J Biotechnol 134: 246-252.
【0159】
Kilian, S. G., Uden van, N. (1988) "Transport of xylose and glucose in the xylose fermenting yeast Pichia stipitis." App Microbiol Biotechnol 27: 545-548.
【0160】
Kim, Y., Ingram, L. O., Shanmugam, K. T. (2007) "Construction of an Escherichia coli K-12 mutant for homoethnologenic fermentation of glucose or xylose without foreign genes." Appl Environ Microbiol 73: 1766-1771.
【0161】
Kuyper, M., Toirkens, M. J., Diderich, J. A., Winkler, A. A., Dijke van, J. P., Pronk, J. T. (2005) "Evolutionary engineering of mixed-sugar utilization by a xylose-fermenting Saccharomyces cerevisiae strain." FEMS Yeast Res 5:925-934.
【0162】
Law, C. J., Maloney, P. C., Wang, D. N. (2008) "Ins and outs of major facilitator superfamily antiporters." Annu Rev Microbiol 62:289-305.
【0163】
Leandro, M. J., Goncalves, P., Spencer-Martins, I. (2006) "TWOglucose/xylose transporter genes from the yeast Candida intermedia: first molecule characterization of a yeast xylose-H+ symporter." Biochem J. 395: 543-549.
【0164】
Leandro, M. J., Spencer-Martins, I., Goncalves, P. (2008) "The expression in Saccharomyces cerevisiae of a glucose/xylose symporter from Candida intermedia is affected by the presence of a glucose/xylose facilitator." Microbiol 154: 1646-1655.
【0165】
Leandro, M. J., Fonseca, C., Goncalves, P. (2009) "Hexose and pentose transport in ascomycetous yeasts: an overview." FEMS Yeast Res 9:511-525.
【0166】
Lengeler, J. W., Jahreis, K. (2009) "Bacterial PEP-dependent carbohydrate: phosphotransferase systems couple sensing and global control mechanisms." Contrib Microbiol 16: 65-87.
【0167】
Lindsay, S. E., Bothast, R. J., Ingram, L. O. (1995) "Improved strains of recombinant Escherichia coli for ethanol production from sugar mixtures." Appl Micorbiol Biotechnol 43: 70-75.
【0168】
Macpherson, A. J. S., Jones-Mortimer, M. C., Horne, P., Henderson, P. J. F. (1983) "Identification of the GalP galactose Transport protein of Escherichia coli." J Biol Chem 258: 4390-4396.
【0169】
Marsh, D., Henderson, P. J. F. (2001) "Specific spin labeling of the sugar-H+ symporter, GalP, in cell membranes of Escherichia coli; site mobility and overall rotational diffusion of the protein." Biochim Biophys Acta 1510: 464-473.
【0170】
Martin, G. E. M., Seamont, K. B., Brown, F. M., Shanahan, M. F., Roberts, P. E. Henderson, P. J. F. (1994) "Forskolin specifically inhibits the bacterial galactose-H+ transport protein, GalP." J Biol Chem 269: 24870-24877.
【0171】
Martinez, A., Grabar, T. B., Shanmugam, K. T., Yomano, L. P. York, S. W., Ingram, L. O. (2007) "Low Salt medium for lactate and ethanol production by recombinant Escherichia coli B." Biotechnol Lett 29: 397-404.
【0172】
McDonald, T. P., Walmsley, A. R., Henderson, P. J. F. (1997) "Asparagine 394 in putative helix 11 of the galactose-H+ symport protein (GalP) from Escherichia coli is associated with the internal binding site for cytochalasin B and sugar." J Biol Chem 272:15189-15199.
【0173】
McDonald, T. P., Henderson, P. J. F. (2001) "Cysteine residues in the D-galactose-H+ symport protein of Escherichai coli: effects of mutagenesis on transport, reaction with N-ethylmaleimide and antibiotic binding." Biochem J 353: 709-717.
【0174】
Nichols, N. N., Dien, B. S., Bothast, R. J. (2001) "Use of catabolite repression mutants for fermentation of sugar mixtures to ethanol." Appl Microbiol Biotechnol 56: 120-125.
【0175】
Pao, S. S., Paulsen, I. T., Saier Jr, M. H. (1998) "Major facilitator suprefamily." Microbiol Mol Bio Rev 62: 1-34.
【0176】
Patching, S.G., Henderson, P. J., Herbert, R. B., Middleton, D. A. (2008) "Solid-statenmR spectroscopy detects interactions between tryptophan residues of the E.coli sugar transporter GalP and the alpha-anomer of the D-glucose substrate." J Am Chem Soc 130: 1236-1244.
【0177】
Patching, S. G., Psakis, G., Baldwin, S.S., Baldwin, J., Henderson, P. J., Middleton, D. A. (2008) "Relative substrate affinities of wild-type and mutant forms of the Escherichia coli sugar transporter GalP determined by solid-statenmR." Mol Membr Biol 25: 474-484.
【0178】
Qaidl, S. E., Allemand, F., Oberto, J., Plumbridge, J. (2009) "Repression of galP, the galactose transporter in Escherichia coli, requires the specific regulator of N-acetylglucosamine metabolism." Mol Microbiol 71: 146-157.
【0179】
Runquist, D., Fonseca, C., Radstrom, P., Spencer-Martins, I., Hahn-Hagerdal, B. (2009) "Expression of the Gxf1 transporter from Candida intermdia improves fermentation performance in recombinant xylose-utilizing Saccharomyces cerevisiae." Appl Microbiol Biotechnol 82: 123-130.
【0180】
Saier, M. H. Jr., Bromberg, F. G., Roseman, S. (1973) "Characterization of constitutive galactose permease mutants in サルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)." J Bacteriol 113:512-514.
【0181】
Saloheimo, A., Rauta, J., Stasyk, O. V., Sibirny, A. A., Penttila, M., Ruohonen, L. (2007) "Xylose transport studies with xylose-utilizing Saccharomyces cervisiae strains expressing heterologous and homologous permeases." Appl Microbiol Biotechnol 74: 1041-1052.
【0182】
Sanchez, A.M., Bennett, G. N., San, K. Y. (2005) "Efficient succinate production from glucose through over expression of pyruvate carboxylase in an Escherichia coli alcohol dehydrogenase and lactate dehydrogenase mutant." Biotechnol Prog 21: 358-365.
【0183】
Sasaki, M., Jojima, T., Inui, M., Yukawa, H. (2008) "Simultaneous utilization of D-cellobiose, D-glucose, and D-xylose by recombinant Corynebacterium glutamicum under oxygen-deprived conditions." Appl Microbiol Biotechnol 81: 691-699.
【0184】
Sedlak, M., Ho, N. W. (2004) "Characterization of the effectiveness of hexose transporters for transporting xylose during glucose and xylose co-fermentation by a recombinant Saccharomyces yeast." Yeast 21: 671-684.
【0185】
Soberon, X., Saier Jr, M. H. (2006) "Engineering transport protein function: theoretical and technical consideratios using the sugar-transporting phosphotransferase system of Escherichia coli as a model system." J Mol Microbiol Biotechnol 11: 302-307.
【0186】
Trinh, C. T., Unrean, P., Sriene, F. (2008) "Minimal Escherichia coli cell for the most efficient production of ethanol from hexoses and pentoses." App Environ Microbiol 74: 3634-3643.
【0187】
Venter, H., Ashcroft, A. E., Keen, J. N., Henderson, P. J. F., Herbert, R. B. (2002) "Molecular dissection of membrane-transport proteins: mass spectrometry and sequence determination of the galactose-H+ symport protein, GalP of Escherichai coli and quantitative assay of the incorporation of [ring-2-13C]histidine and 15NH3." Biochem J 363: 243-252.
【0188】
Wahlbom, C. F., Otero, R. C., Zyl van, W. H., Hahn-Hagerdal, B., Jonsson, L. J. (2003) "Molecular analysis of a Saccharomyces cerevisae mutant with improved ability to utilize xylose shows enhanced expression of proteins involved in transport, initial xylose metabolism, and the pentose phosphate pathway." App Environ Microbiol 69:740-746.
【0189】
Wang, Q., Wu, C., Chen, T., Chen, X., Zhao, X. (2006) "Expression of galactose permease and pyruvate carboxylase in Escherichia coli ptsG mutant increases the growth rate and succinate yiled under anaerobic conditions." Biotechnol Lett 28: 89-93.
【0190】
Yi, J., Drathas, K. M., Frost, J. W. (2003) "Altered glucose transport and shikimate pathway product yields in E.coli." Biotechnol Prog 19: 1450-1459.
【0191】
Zhang, X., Jantama, K., Moore, J. C., Jarboe, L. R., Shanmugam, K. T., Ingram, L. O. (2009) "Metabolic evolution of energy-conserving pathways for succinate production in Escherichia coli." Proc Natl Acad Sci USA 106: 20180-20185.
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
galP遺伝子における変異を含むバクテリア細胞であって、前記バクテリア細胞は、C5およびC6糖を同時に利用する、細胞。
【請求項2】
前記バクテリア細胞が、大腸菌(Escherichia Coli)、シトロバクター・フロインディイ(Citrobactor freundii)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、グルコノバクター・アサイイ(Gluconobacter asaii)、アクロモバクター・デルマーベ(Achromobacter delmarvae)、アクロモバクター・ビスコーサス(Achromobacter viscosus)、アクロモバクター・ラクティカム(Achromobacter lacticum)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacteriumtumefaciens)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacteriumradiobacter)、アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenesfaecalis)、アルスロバクター・シトレウス(Arthrobacter citreus)、アルスロバクター・トゥメセンス(Arthrobacter tumescens)、アリスロバクター・パラフィニス(Arthrobacter paraffineus)、アルスロバクター・ヒドロカーボグルタミカス(Arthrobacter hydrocarboglutamicus)、アルスロバクター・オキシダンス(Arthrobacter oxydans)、オウレオバクテリウム(Aureobacterium)サペルダエ(saperdae)、アゾトバクター インディカス(Azotobacter indicus)、ブレビバクテリウムアンモニアジェネス(Brevibacteriumammoniagenes)、ディバリカツム(divaricatum)、ブレビバクテリウムラクトファーメンツム(Brevibacteriumlactofermentum)、ブレビバクテリウムフラバム(Brevibacteriumflavum)、ブレビバクテリウムグロボサム(Brevibacteriumglobosum)、ブレビバクテリウムフスカム(Brevibacteriumfuscum)、ブレビバクテリウムケトグルタミクム(Brevibacteriumketoglutamicum)、ブレビバクテリウムヘルコルム(Brevibacteriumhelcolum)、バクテリウム・プシルム(Brevibacteriumpusillum)、ブレビバクテリウムテスタセウム(Brevibacteriumtestaceum)、ブレビバクテリウム・ロゼウム(Brevibacteriumroseum)、ブレビバクテリウム・イマリオフィリカム(Brevibacteriumimmariophilium)、ブレビバクテリウム・リネンス(Brevibacteriumlinens)、ブレビバクテリウム・プロトファルミエ(Brevibacteriumprotopharmiae)、コリネバクテリウム・アセトフィラム(Corynebacterium acetophilum)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウム・アセトグルタミクム(Corynebacterium acetoglutamicum)、エンテロバクター・アエロゲネス(Eenterobacter aerogenes)、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・ヘルビコーラ(Erwinia herbicola)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、フラボバクテリウム・ペレグリナム(Flavobacteriumperegrinum)、フラボバクテリウム・フカタム(Flavobacteriumfucatum)、フラボバクテリウム・アウランティナム(Flavobacteriumaurantinum)、フラボバクテリウム・レナヌム(Flavobacteriumrhenanum)、フラボバクテリウム・セワネンセ(Flavobacteriumsewanense)、フラボバクテリウム・ブレベ(Flavobacteriumbreve)、フラボバクテリウム・メニンゴセブチクム(Flavobacteriummeningosepticum)、マイクロコッカス(Micrococcus)sp.CCM825、モーガネラ・モーガニイ(Morganella morganii)、ノカルジア・オパカ(ノカルジア・オパカ(Nocardia opaca))、ノカルジア・ルゴサ(nocardia rugosa)、プラノコッカス・ユーシナタス(Planococcus eucinatus)、プロテウス・レッゲリ(Proteus rettgeri)、プロピオニバクテリウム・セルマニ(Propionibacteriumshermanii)、シュードモナス・シンキサンサ(Pseudomonas synxantha)、シュードモナス・アゾトフォルマンス(Pseudomonas azotoformans)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・オバリス(Pseudomonas ovalis)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、シュードモナス・アシドボランス(Pseudomonas acidovolans)、シュードモナス・ムシドレンス(Pseudomonas mucidolens)、シュードモナス・テストステロニ(Pseudomonas testosteroni)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ロドコッカス・ロドクロラス(Rhodococcus rhodochrous)、ロドコッカス(Rhodococcus)sp.ATCC 15592、ロドコッカス(Rhodococcus)sp.ATCC 19070、スポロサルシナ・ウレア(Sporosarcina ureae)、スタフィローコッカス・オーリーアス(Staphylococcus aureus)、ビブリオ・メッシュニコビ(Vibrio metschnikovii)、ビブリオ・チロゲネス(Vibrio tyrogenes)、アクチノマヅラ・マヅレ(Actinomadura madurae)、アクチノマイセス・ビオラセオクロモゲネス(Actinomyces violaceochromogenes)、キタサトスポリア・パルロサ(Kitasatosporia parulosa)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・フラベラス(Streptomyces flavelus)、ストレプトマイセス・グリセオラス(Streptomyces griseolus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・オリバセウス(Streptomyces olivaceus)、ストレプトマイセス・タナシエンシス(Streptomyces tanashiensis)、ストレプトマイセス・バージニエ(Streptomyces virginiae)、ストレプトマイセス・アンチバイオチクス(Streptomyces antibioticus)、ストレプトマイセス・カカオイ(Streptomyces cacaoi)、ストレプトマイセス・ラベンジュレ(Streptomyces lavendulae)、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)、アエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・シルクランス (Bacillus circulans)、バチルス・チアミノリティカス(Bacillus thiaminolyticus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliqyefaciens)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、エシェリキア・フロインディ(Escherichia freundii)、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム(Microbacteriumammoniaphilum)、セラシア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・ショットムレリ(Salmonella schottmulleri)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia)およびキサントモナス・シトリ(Xanthomonas citri)からなる群から選択される、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項3】
galP遺伝子における変異が点変異である、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項4】
前記バクテリア細胞が、大腸菌(Escherichia Coli)であり、galP遺伝子における前記変異が位置889におけるヌクレオチドシトシンのヌクレオチドチミンへの交換を含む、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項5】
前記バクテリア細胞が大腸菌(Escherichia Coli)であり、galP遺伝子における前記変異が位置297におけるグリシン残基のアスパラギン酸塩残基への交換を含む、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項6】
galP遺伝子における前記変異が欠失である、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項7】
PEP−依存性ホスホトランスフェラーゼ系の活性を減少させる少なくとも1つの変異をさらに含む、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項8】
PEP−依存性ホスホトランスフェラーゼ系の活性を減少させる少なくとも1つの変異、および少なくとも1つの非−PTS糖輸送体の活性を増大させる少なくとも1つの変異をさらに含む、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項9】
前記非−PTS糖輸送体がATP結合カセット輸送体のメンバーである、請求項8のバクテリア細胞。
【請求項10】
前記非−PTS糖輸送体が主要ファシリテータースーパーファミリーのメンバーである、請求項8のバクテリア細胞。
【請求項11】
発酵経路にかかわる1または複数の遺伝子の発現を不活性化する少なくとも1つの変異をさらに含む、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項12】
トリカルボン酸サイクルと関連する1または複数の遺伝子を不活性化する少なくとも1つの変異をさらに含む、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項13】
ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子、NADH 依存性リンゴ酸酵素をコードする遺伝子、およびNADPH依存性リンゴ酸酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される遺伝子の少なくとも1つにおける変異をさらに含む、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項14】
外因性ピルビン酸カルボキシラーゼをさらに含む、請求項のバクテリア株。
【請求項15】
前記ピルビン酸カルボキシラーゼが、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)、またはソルガム・ブルガレ(Sorghum vulgare)、またはリゾビウム・エトリ(Rhizopium etli)からのものである、請求項14のバクテリア株。
【請求項16】
増大したホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性をさらに含む、請求項1のバクテリア細胞。
【請求項17】
増大したレベルのホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性がpck 遺伝子における変異に起因する、請求項16のバクテリア細胞。
【請求項18】
前記変異が前記pck遺伝子のプロモーター領域中にある、請求項17のバクテリア細胞。
【請求項19】
有機酸の微生物の生産のためのプロセスであって、
a. galP遺伝子における変異を有するバクテリア細胞を提供すること、ここで前記バクテリア細胞は、ペントースおよびヘキソース糖を同時に利用する;
b. ペントースおよびヘキソース糖の両方を同時に含有する培地において、工程(a)のバクテリア細胞を培養すること;ならびに
c. 培養培地から有機酸を随意的に回収すること、
を含むプロセス。
【請求項20】
変異した非−PTS糖輸送体を含むバクテリア細胞であって、前記変異した糖輸送体は、前記遺伝子の野生型対立遺伝子を含む前記バクテリア細胞と比較して、第一の糖における増殖の比率を減少させる、および第二の糖における増殖の比率を増大させる、バクテリア細胞。
【請求項21】
前記第一の糖がヘキソース糖であり、第二の糖がペントース糖である、請求項20におけるような微生物。

【公表番号】特表2013−511276(P2013−511276A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540023(P2012−540023)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/057111
【国際公開番号】WO2011/123154
【国際公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(512129033)ミリアント・コーポレイション (3)
【氏名又は名称原語表記】MYRIANT CORPORATION
【Fターム(参考)】