説明

有機金属化合物の製造方法

本発明は、式HAl:Lnで表される有機金属化合物の調製方法に関するもので、式中、Lは、非共有電子対をアルミニウムに提供できる1個よりも多いLewis塩基であり、nが1または2であり、前記方法は、(a)エーテル溶媒中でアルカリ金属アルミニウムヒドリドとLewis塩基の第1溶液を形成する段階と、(b)前記有機金属化合物を含む第2溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第1溶液にエーテル溶媒中アルミニウムヒドリドを添加する段階と、(c)前記第2溶液から前記有機金属化合物を分離する段階を含む。有機金属化合物前駆体は、薄膜蒸着層用の化学気相成長前駆体または原子層堆積前駆体として、半導体用途に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、式HAl:Lnで表される有機金属化合物の製造方法(生産プロセス)であって、式中、Lがアルミニウムに非共有電子対を提供できる1種類よりも多いLewis塩基であり、nが1または2である有機金属化合物の生産プロセスに関する。本有機金属化合物は、薄膜蒸着用の化学気相成長または原子層堆積前駆体として、半導体用途に有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
化学気相成長法は、半導体製造または加工中の、ウエハーまたは他の表面など、基板上への材料の薄膜の形成に用いられる。化学気相成長では、化学気相成長前駆体は、化学気相成長有機金属化合物としても知られ、熱によって、化学的に、光化学的に、あるいは、プラズマ活性化によって分解され、所望の組成を有する薄膜を形成する。典型的には、化学気相成長有機金属前駆体は、当該前駆体の分解温度よりも高い温度まで加熱された基板と接触され、当該基板上に金属または金属酸化物の薄膜を形成することができる。
【0003】
例えば、DRAMタイプマイクロチップおよびフラッシュメモリーデバイスの製造に、アルミニウム相互接続が使用される。アルミニウムは、良好な電流導体であり、化学気相成長によって容易に蒸着ずる。酸化アルミニウム(アルミナ)は、マイクロチップ製造に使用される絶縁体である。アルミニウムおよびアルミナ化学気相成長に一般的な前駆体は、トリメチルアルミニウムである。しかし、トリメチルアルミニウムは、極端な自然発火性を有し、取扱いが困難である。1−メチルピロリジンアラン(1−methylppyrrolidinealane MPA)は、自由流動し、非自然発火性の、アルミニウムおよびアルミナ前駆体で、良好な安定性、低分解温度および高蒸気圧を有する。
【0004】
有機金属前駆体の生成に用いられる合成プロセスは、極めて重要であり、安全性、高純度、スループットおよび一貫性を保証するものでなければならない。しかし、出発材料の空気感受性が、有機金属前駆物の合成をより困難にする。出発材料が固体の場合、それが、無空気移行を一層困難にする。溶媒和が不可能な反応物質の利用は、プロセス、特に大規模生産において、混合および取扱い上の問題を引き起こすことがある。さらに、溶媒和が不可能な反応物質の使用は、低めの生成物収率を招くことがある。そのため、前記の予想される妨害に対処する有機金属前駆体を生産する方法の開発が、電子産業での使用に向けてこれらの材料の生産を確立する上で有益であると思われる。
【0005】
1−メチルピロリジンアランの現行の製造法は、各種溶媒の使用に関する。例えば、米国特許第6,143,357号は、ヘキサンまたはペンタン中三塩化アルミニウムおよびリチウムアルミニウムヒドリド懸濁液を形成し、Lewis塩基、例えば1−メチルピロリジン、を当該懸濁液に添加することによって、有機金属化合物、例えば1−メチルピロリジンアランを製造するプロセスを開示している。ヘキサンは、PEL500ppmのOSHA毒性化学物質である。1ポンド(453.592g)のn−ヘキサンをこぼすと、National Reponse Center(国家対応センター)に通知しなければならない。リチウムアルミニウムヒドリド、三塩化アルミニウムは、ともに固体であり、ペンタンまたはヘキサンに可溶性でない。これは、大規模生産上の難題(空気感受性固体の取扱い)と低収率を招く。
【0006】
MarlettとPark(Marlett,E.M.;Park,W.S.J.Org.Chem.,1990,55,2968)は、トルエン中リチウムアルミニウムヒドリドへのN−メチルピロリジンの作用による1−メチルピロリジンアランの合成を報告した。反応性固体(トリリチウムアルミニウムヘキサヒドリド)が、副産物として生成される。
【0007】
Frigoとvan Eijden(Frigo,D.M.;van Eijden,G.J.M.Chem.Mater.,1994,6,190)は、アルカン溶媒、例えばペンタン、の存在下で、リチウムアルミニウムヒドリドと塩化アルミニウムのスラリーに化学量論量のアミンを添加することによってアランのアミン付加物を製造するプロセスを報告した。Frigoとvan Eijdenは、エーテル溶媒の使用が、当該エーテルによる最終生成物の汚染を生じる可能性が非常に高く、Al含有層に酸素の取り込みを招くおそれがある、と述べている。
【0008】
有機化合物のアルコールおよびアミンへの還元への有機合成には、アランのアミン付加物が使用されてきた。それ自体、アランアミンの製造法が数件公表されている。共通する方法は、エーテル溶媒を使ったRuffとHawthorne(Ruff,J.K.;Hawthorne,M.F.J.Amer.Chem.Soc,1960,82,2141)、あるいは、芳香族溶媒を使ったKovarとCallaway(Kovar,R.A.:Callaway,J.O.Inorg.Synth.,1977,17,36)によって報告されたような、リチウムアルミニウムヒドリドの塩化トリアルキルアンモニウムとの反応である。RuffとHawthorneは、その実験法に固体試薬の添加を用いた。また、N−メチルピロリジン塩酸塩は、エーテル溶媒に不溶である。
【0009】
1−メチルピロリジンアランの生成に使用される先行技術のプロセスは、上記のような様々な短所を有する。そのため、より安全であり(例えば、有害な溶媒を使用しない)、反応物質のさらに容易な取扱いを可能にし(固体試薬を溶解し、定量ポンプを使用して溶液に移行させる)、生成物のより高い収率を生じ、有機金属化合物量の生産規模をより簡単に拡大する、有機金属前駆体の新規製造プロセスが、絶えず求められている。そのため、これらの要求に対応する有機金属化合物の新規製造プロセスを提供することが、技術上望ましいと思われる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の概要)
本発明は、式HAl:Lnで表される有機金属化合物の調製方法(プロセス)に関するもので、式中、Lが非共有電子対をアルミニウムに提供できる1個よりも多いLewis塩基であり、nが1または2であり、
前記プロセスは、
(1)(a)エーテル溶媒中でアルカリ金属アルミニウムヒドリドとLewis塩基の第1溶液を形成する段階と、
(b)前記有機金属化合物を含む第2溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第1溶液にエーテル溶媒中アルミニウムヒドリドを添加する段階と、
(c)前記第2溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製プロセスと、
(2)(a)エーテル溶媒中でアルミニウムハロゲン化物とLewis塩基の第一溶液を形成する段階と、
(b)前記有機金属化合物を含む第二溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第一溶液にエーテル溶媒中アルカリ金属アルミニウムハロゲン化物を添加する段階と、
(c)前記第二溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製プロセスと、
(3)(a)エーテル溶媒の存在下、および、第一溶液を生成するのに十分な反応条件下でアルミニウムハロゲン化物とアルカリ金属アルミニウムハロゲン化物を反応させる段階と、
(b)前記有機金属化合物を含む第二溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第一溶液に、場合によりエーテル溶媒中Lewis塩基を添加する段階と、
(c)前記第二溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製プロセス
の上記プロセス(1)、(2)および(3)から選択される。
【0011】
エーテル溶媒は、通常、当該溶媒からの有機金属化合物の分離が困難であるため、半導体用化学物質の合成には使用されない。金属化合物は、エーテルと錯体を形成し、蒸留によっても除去されないことが周知である。しかし、本発明のプロセスでは、最終生成物は、アミンと金属化合物の間の錯体である。アミンは、エーテルよりも強力に金属に結合し、よって、溶媒除去は、問題にならない。
【0012】
本発明は、複数の長所を有する。例えば、本発明のプロセスは、多様な化学構造および物理的性状を有する有機金属化合物前駆体の生成に有用である。本発明のプロセスは、全試薬の溶液での取扱いを可能にする。これは、生産量および定量ポンプの使用を介した自動化のより容易なスケールアップをもたらす。本発明のプロセスは、高収率の有機金属化合物前駆体を提供し、それによって、重要な経済面での長所を提供する。さらに、本発明のプロセスは、より安全な溶媒の使用を可能にする。
【0013】
(発明の詳細な説明)
本明細書に示されるように、本発明は、式HAl:Lnで表される有機金属化合物の調製プロセスに関するもので、式中、Lは、非共有電子対をアルミニウムに提供できる1個よりも多いLewis塩基であり、nは、1または2であり、
前記プロセスは、
(1)(a)エーテル溶媒中でアルカリ金属アルミニウムヒドリドとLewis塩基の第1溶液を形成する段階と、
(b)前記有機金属化合物を含む第2溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第1溶液にエーテル溶媒中アルミニウムヒドリドを添加する段階と、
(c)前記第2溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製プロセスと、
(2)(a)エーテル溶媒中でアルミニウムハロゲン化物とLewis塩基の第一溶液を形成する段階と、
(b)前記有機金属化合物を含む第二溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第一溶液にエーテル溶媒中アルカリ金属アルミニウムハロゲン化物を添加する段階と、
(c)前記第二溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製プロセスと、
(3)(a)エーテル溶媒の存在下、および、第一溶液を生成するのに十分な反応条件下でアルミニウムハロゲン化物とアルカリ金属アルミニウムハロゲン化物を反応させる段階と、
(b)前記有機金属化合物を含む第二溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第一溶液に、場合によりエーテル溶媒中でLewis塩基を添加する段階と、
(c)前記第二溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製プロセス
の上記プロセス(1)、(2)および(3)から選択される。
【0014】
前記プロセスは、同一設備を使って実施されることができ、同一試薬およびプロセスパラメーターの一部が広範囲の製品の製造に容易に適応されることができるため、大規模生産に特に適している。当該方法は、全操作が単一容器内で実施されることができ、前記有機金属化合物に到る経路が、いずれの中間錯体の単離を必要としない、という特異なプロセスを使用した有機金属化合物の合成を提供する。
【0015】
本発明のプロセスは、用いられる溶媒、試薬の混合の仕方、当該試薬の添加順序が先行技術と異なる。本発明のプロセスは、さらに安全であり(例、有害な溶媒を必要としない)、生産合成へのスケールアップに容易に役立つ。
【0016】
本発明は、全試薬を溶液で扱うことを可能にする。これは、生産量の容易なスケールアップと定量ポンプの使用による自動化を招く。その理由は、溶液が、スラリーよりも操作が容易で、このことが、生産環境で試薬の運搬への定量ポンプの使用を可能にするからである。本発明は、先に公開されている方法よりも高い収率(〜25%)も生じる。これらの要因が、経済的長所をもたらす。
【0017】
本発明のプロセスは、先行技術の方法に比較して高い収率を生じることによって、手間のかかる、廃棄物発生材料操作も回避する。本発明のプロセスは、全試薬を溶液で扱うことを可能にする。これは、定量ポンプの使用によって生産量のより容易なスケールアップと自動化を招く。本発明のこの方法は、中間体の形成および単離も行わず、ならびに、実質的に必要とされる材料(例、化学試薬、ガラス器具)を減量する。さらに、最終生成物が単離されるまでに、1個の容器で全変換が起こることができるので、全化合物(例、副産物)は、1箇所に限定される。生成物の収率は、約65〜99%以上、好ましくは約75〜99%以上、さらに好ましくは約85〜99%以上の範囲であることができる。
【0018】
アルカリ金属アルミニウムヒドリド出発材料は、技術上周知の多様な化合物から選択されることができる。説明に役立つアルカリ金属アルミニウムヒドリドは、リチウムアルミニウムヒドリド、ナトリウムアルミニウムヒドリドなどを含む。当該アルカリ金属アルミニウムヒドリド出発材料は、好ましくはリチウムアルミニウムヒドリドである。
【0019】
前記アルカリ金属アルミニウムヒドリド出発材料の濃度は、広範囲に変動することができ、上記プロセス(1)においてエーテル溶媒中でLewis塩基と溶液を形成し、上記のプロセス(2)においてエーテル溶媒中でアルミニウムハロゲン化物とLewis塩基の溶液と反応し、あるいは、上記のプロセス(3)においてエーテル溶媒の存在下でハロゲン化アルミニウムと反応するのに必要な最少量のみを必要とすることができる。一般に、溶液または反応混合物のサイズに応じて、約1ミリモル以下〜約1000ミリモル以上のアルカリ金属アルミニウムヒドリド出発材料の濃度で、大半のプロセスに十分であるはずである。
【0020】
前記アルミニウムハロゲン化物出発材料は、技術上周知の多様な化合物から選択されることができる。説明に役立つアルミニウムハロゲン化物は、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、フッ化アルミニウムなどを含む。当該アルミニウムハロゲン化物出発材料は、好ましくは塩化アルミニウムである。
【0021】
アルミニウムハロゲン化物出発材料の濃度は、広範囲に変動し、上記プロセス(1)においてエーテル溶媒中でアルミニウムハロゲン化物とLewis塩基の溶液と反応し、上記のプロセス(2)においてエーテル溶媒中でLewis塩基との溶液を形成し、あるいは、上記のプロセス(3)においてエーテル溶媒の存在下でアルカリ金属アルミニウムヒドリドと反応するのに必要な最少量のみを必要とすることができる。一般に、溶液または反応混合物のサイズに応じて、大半のプロセスに、約1ミリモル以下〜約1000ミリモル以上のアルミニウム塩化物出発材料の濃度で十分である。
【0022】
前記Lewis塩基出発材料は、技術上周知の多様な化合物から選択されることができる。説明に役立つLewis塩基化合物は、例えば、チオフェン、チオピラン、環式有機アミンなどを含む。適切な環式有機アミン出発材料は、アルキルアジリジン、アルキルアゼチジン、アルキルピロリジン、アルキルピペリジン、アルキルヘキサメチレンイミン、アルキルヘプタメチレンイミン、および、アルキルピペラジンを含む。好ましいLewis塩基出発材料は、例えば、1−メチルピロリジン、1−ブチルピロリジン、1,4−ジメチルピロリジン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,4−ジメチルピペラジン、チオフェンおよびチオピランを含む。最も好ましいLewis塩基は、1−メチルピロリジンである。
【0023】
前記Lewis塩基出発材料の濃度は、広範囲に変動し、上記プロセス(1)においてエーテル溶媒中でアルミニウムハロゲン化物と溶液を形成し、上記のプロセス(2)においてエーテル溶媒中でアルミニウムハロゲン化物と溶液を形成し、あるいは、上記のプロセス(3)においてエーテル溶媒中でアルカリ金属アルミニウムヒドリドとアルミニウムハロゲン化物の溶液と反応するのに必要な最少量のみを必要とすることができる。一般に、溶液または反応混合物のサイズに応じて、大半のプロセスに、約1ミリモル以下〜約1000ミリモル以上の範囲のLewis塩基出発材料の濃度で十分であるはずである。
【0024】
本発明の方法で用いられる溶媒は、いずれかのエーテル溶媒またはエーテル溶媒の混合物、好ましくはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテルおよびテトラヒドロフランであることができる。予定した反応を過度に有害に妨害しないいずれかの適切なエーテル溶媒が用いられることができる。必要に応じて、1種類よりも多い異なるエーテル溶媒の混合物が用いられることができる。用いられるエーテル溶媒の量は、本発明には重要でなく、前記プロセスにおいて、溶液または反応混合物中で反応成分を可溶化し、可溶化された試薬の添加を提供するのに十分な量のみを必要とする。一般に、溶媒量は、溶液または反応混合物出発材料の総重量に基づいて、約5重量%〜約99重量%以上の範囲であることができる。ジエチルエーテルなどのエーテル溶媒の使用は、反応物質が溶媒和されることを可能にし、これが、より良い混合、および、プロセス液体の移動に対して定量ポンプの使用による操作し易さを可能にする。
【0025】
温度、圧力および接触時間など、エーテル溶媒中のアルミニウムハロゲン化物の、エーテル溶媒中のアルカリ金属アルミニウムヒドリドとLewis塩基の溶液との反応(即ち、上記のプロセス(1))の反応条件も、大幅に変動することができ、当該条件のいずれかの適切な組合せが、当該反応で用いられることができる。反応温度は、前記のエーテル溶媒のいずれかの還流温度、さらに好ましくは約−80℃〜約150℃、最も好ましくは約20℃〜約80℃であることができる。通常、反応は、周囲圧下で実施され、接触時間は、約数秒または数分から数時間以上まで変動することができる。用いられる攪拌時間は、全段階で、約0.1〜約400時間、好ましくは約1時間〜75時間、最も好ましくは約4〜16時間の範囲であることができる。
【0026】
温度、圧力および接触時間など、エタノール溶媒中アルカリ金属アルミニウムヒドリドの、エタノール溶媒中アルミニウムハロゲン化物およびLewis塩基溶液との反応(即ち、上記プロセス(2))の反応条件も、大幅に変動することができ、当該条件のいずれかの適切な組合せが、当該反応で用いられることができる。反応温度は、前記のエーテル溶媒のいずれかの還流温度、さらに好ましくは約−80℃〜約150℃、最も好ましくは約20℃〜約80℃であることができる。通常、反応は、周囲圧下で実施され、接触時間は、約数秒間または数分間から数時間以上まで変動することができる。用いられる攪拌時間は、全段階で、約0.1〜約400時間、好ましくは約1時間〜75時間、最も好ましくは約4〜16時間の範囲であることができる。
【0027】
第1溶液を生成するエタノール溶媒中でのアルミニウムハロゲン化物のアルカリ金属アルミニウムヒドリドとの反応、また、エタノール溶媒中でのこの第1溶液のLewis塩基との反応(即ち、上記プロセス(3))の、温度、圧力および接触時間などの反応条件も、大幅に変動することができ、当該条件のいずれかの適切な組合せが、当該反応で用いられることができる。反応温度は、前記のいずれかのエーテル溶媒の還流温度、さらに好ましくは約−80℃〜約150℃、最も好ましくは約20℃〜約80℃であることができる。通常、反応は、周囲圧下で実施され、接触時間は、約数秒または数分間から数時間以上まで変動することができる。用いられる攪拌時間は、全段階で、約0.1〜約400時間、好ましくは約1時間〜75時間、最も好ましくは約4〜16時間の範囲であることができる。
【0028】
本発明のプロセスから調製される有機金属化合物は、技術上周知の多様な化合物から選択されることができる。本発明の目的上、有機金属化合物は、式HAl:Lnで表される有機金属化合物を含み、式中、Lはアルミニウムに非共有電子対を提供できる1種類よりも多いLewis塩基であり、nは1または2である。説明に役立つ有機金属化合物は、例えば、1−メチルピロリジンアラン、1−メチルピペリジンアラン、1−エチルピペリジンアラン、4−メチルモルフォリンアランおよび1,4−ジメチルピペラジンアランなどを含む。
【0029】
本発明の方法は、生成物溶液をポンプでくみ出し、望ましくない固体を残すインライン濾過を利用することができる。無空気バッグフィルターも使用されることができる。別法として、固体は、沈降することができ、上清が、濾過の必要なく取り出されることができる。移行によるいずれの生成物の損失も最少になるように溶媒洗浄を利用されることができる。別の、それほど好ましくない方法は、簡単に、固体を含めた全内容物の取り出し、蒸留、または、簡単に直接反応ポットからの蒸留を行う。
【0030】
いったん、比較的無固体の溶液が、蒸留フラスコに移されると、生成物は、反応溶媒およびいずれかの望ましくない副産物からかなり容易に留去されることができる。本発明の方法がグローブボックス外で実施されるということから、当該反応は、キログラムレベルまで容易に規模を拡大されることができる。
【0031】
本発明の方法で調製される有機金属化合物に対して、再結晶、さらに好ましくは反応残渣(例、ヘキサン)の抽出およびクロマトグラフィー、最も好ましくは昇華および蒸留によって精製が行われることができる。
【0032】
本明細書で詳細に説明されている方法に対して、さらに特に以下の特許請求の範囲に規定されるとおりの本発明の範囲または精神を逸脱することなく、多数の変更が加えられることができる。
【0033】
上記の合成法によって形成される有機金属化合物の特徴付けに用いられることができる技術の例は、ガスクロマトグラフィー分析、核磁気共鳴、熱重量分析、誘導結合プラズマ質量分析、示差走査熱量測定、蒸気圧および粘度測定を含むが、それらに制約されない。
【0034】
上記の有機金属化合物前駆体の相対蒸気圧または相対揮発度は、技術上周知の熱重量分析技術によって測定されることができる。平衡蒸気圧も、例えば、密封容器から全ガスを排出させ、その後、当該化合物の蒸気が、当該容器に導入され、技術上周知のとおりに圧力が測定されることによって測定されることができる。
【0035】
本明細書で述べる多くの有機金属化合物前駆体は、室温で液体であり、現場での粉末およびコーティングの調製に十分に適している。例えば、液体有機金属化合物前駆体は、基板に塗布され、当該前駆体を分解するのに十分な温度まで加熱され、それによって、基板上に金属または金属酸化物コーティングを形成することができる。当該基板への液体前駆体の塗布は、塗装、スプレー、浸漬、または、技術上周知の他の技術によることができる。加熱は、オーブン中、ヒートガン、基板の電気的加熱、または、技術上周知の他の手段によって実施されることができる。複層コーティングは、有機金属化合物前駆体を塗布し、加熱、当該前駆体の分解、それによる第1層の形成後、同一または異なる前駆体による少なくとも1回の他のコーティング、および、加熱によって得られることができる。
【0036】
上記のような液体有機金属化合物前駆体は、基板上に噴霧およびスプレーされることもできる。利用可能なノズル、ネブライザー他などの噴霧およびスプレー手段は、技術上周知である。
【0037】
本発明の好ましい実施態様では、上記のような有機金属化合物は、粉末、薄膜またはコーティングの形成に、気相蒸着技術において用いられる。当該化合物は、単一前駆体源として用いられることができ、あるいは、1種類よりも多い他の前駆体とともに、例えば、少なくとも1種類の他の有機金属化合物または金属錯体の加熱によって生成される蒸気とともに使用されることができる。上記のような1種類よりも多い有機金属化合物前駆体は、特定のプロセスでも用いられることができる。
【0038】
蒸着は、他の気相成分の存在下で実施されることができる。本発明の実施態様では、薄膜蒸着は、少なくとも1種類の非反応性キャリアガスの存在下で実施される。非反応性ガスの例は、不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ならびに、プロセス条件下で当該有機金属化合物前駆体と反応しない他のガスを含む。他の実施態様では、薄膜蒸着は、少なくとも1種類の反応性ガスの存在下で実施される。用いられることのできる当該反応性ガスの一部は、ヒドラジン、酸素、水素、空気、富酸素空気、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)、水蒸気、有機蒸気他を含むが、それらに制約されない。技術上周知のとおり、例えば空気、酸素、富酸素空気、O、NOまたは酸化有機化合物蒸気などの酸化ガスの存在が、金属酸化物薄膜の形成に有利である。
【0039】
本発明は、一部、薄膜、コーティングまたは粉末の生産プロセスにも関する。当該プロセスは、以下にさらに詳細に述べられように、少なくとも1種類の有機金属化合物前駆体の分解とそれによる薄膜、コーティングまたは粉末の生成の段階を含む。
【0040】
本明細書で述べられる蒸着プロセスは、単一金属を含む薄膜、粉末またはコーティング、または、単一金属酸化物を含む薄膜、粉末またはコーティングの形成に実施されることができる。混合の薄膜、粉末またはコーティングも蒸着されることができ、例えば混合金属酸化物薄膜である。混合金属酸化物薄膜は、例えば、複数の有機金属前駆体を使用し、そのうちの少なくとも1種類が上記の有機金属化合物から選択されることによって、形成されることができる。
【0041】
気相薄膜蒸着は、所望の厚さ、例えば約1nm〜1mm以上の範囲の薄膜層の形成に実施されることができる。本明細書で述べられる前駆体は、薄膜、例えば、約10nm〜約100nmの範囲の厚さを有する薄膜の生成に特に有用である。例えばハフニウム、酸化ハフニウム、ケイ酸ハフニウムおよびアルミン酸ハフニウムの薄膜が、金属電極の加工用に、特に論理的n−チャンネル金属電極として、DRAMアプリケーション用キャパシター電極として、および、誘電体として考慮されることができる。
【0042】
前記プロセスは、多層薄膜にも適しており、当該多層のうちの少なくとも2層は、位相または組成が異なる。多層薄膜の例は、金属−絶縁膜−半導体および金属−絶縁膜−金属を含む。
【0043】
ある実施態様では、本発明は、上記の有機金属化合物前駆体の蒸気を、熱で、化学的に、光化学的に、あるいは、プラズマ活性化によって分解し、それによって、基板上に薄膜を形成する段階を含むプロセスにも向けられている。例えば、当該化合物によって生成される蒸気は、当該有機金属化合物を分解し、基板上に薄膜を形成するのに十分な温度を有する基板と接触する。
【0044】
前記有機金属化合物前駆体は、化学気相成長、さらに具体的には、技術上周知の有機金属気相成長に用いられることができる。例えば、上記の有機金属化合物前駆体は、大気中、ならびに、低圧の化学気相成長プロセスで使用されることができる。当該化合物は、ホットウォール化学気相成長法、即ち、反応チャンバー全体が加熱される方法、ならびに、コールドまたはウォームウォールタイプ化学気相成長、即ち、基板のみが加熱される技術に用いられることができる。
【0045】
上記の有機金属化合物前駆体は、プラズマまたは光支援化学気相成長プロセスでも使用されることができ、この場合、プラズマからのエネルギーまたは電磁エネルギーがそれぞれ使用され、化学気相成長前駆体が活性化される。当該化合物は、イオンビーム、電子ビーム支援化学気相成長プロセスにおいても用いられることができ、イオンビームまたは電子ビームがそれぞれ基板に向けられ、化学気相成長前駆体の分解にエネルギーを供給する。レーザー光が基板に向けられ、化学気相成長前駆体の光分解反応を行うレーザー支援化学気相成長プロセスも、使用されることができる。
【0046】
本発明のプロセスは、例えば、技術上周知のホットまたはコールドウォール反応器、プラズマ支援、ビーム支援またはレーザー支援反応器などの化学気相成長反応器で実施されることができる。
【0047】
本発明のプロセスを使ってコートされることができる基板の例は、金属基板、例えばAl、Ni、Ti、Co、Pt、Taなど;金属シリサイド、例えばTiSi、CoSi、NiSiなど;半導体材料、例えばSi、SiGe、GaAs、InP、ダイアモンド、GaN、SiCなど;絶縁体、例えばSiO、Si、HfO、Ta、Al、バリウムストロンチウムチタネート(BST)など;バリア材料、例えばTiN、TaNなど;あるいは、材料の組合せを含む基板などの固体基板を含む。さらに、薄膜またはコーティングは、ガラス、セラミック、プラスチック、熱硬化ポリマー材上、および、他のコーティングまたは薄膜層上で形成されることができる。好ましい実施態様では、薄膜蒸着は、電子部品の製造または加工に使用される基板上で行われる。他の実施態様では、基板は、高温での酸化剤または、任意に、透過膜の存在下で安定な低抵抗導体蒸着膜の支持に用いられる。
【0048】
本発明のプロセスは、滑らかで、平らな表面を有する基板上に薄膜を蒸着させるように実施される。ある実施態様では、当該プロセスは、ウエハーの製造または加工に使用される基板上に薄膜を蒸着させるように実施される。例えば、当該プロセスは、トレンチ、ホールまたはバイアスなどの機構を含むパターン化基板上に薄膜を蒸着させるために実施されることができる。さらに、本発明のプロセスは、ウエハーの製造または加工、例えばマスキング、エッチング他で、他の段階と組み合わされることもできる。
【0049】
化学気相成長薄膜は、所望の厚さまで蒸着されることができる。例えば、形成される薄膜は、1ミクロンよりも薄い厚さ、好ましくは500ナノメートルよりも薄い厚さ、さらに好ましくは200ナノメートルよりも薄い厚さであることができる。50ナノメートルよりも薄い厚さの薄膜、例えば、約20〜30ナノメートルの厚さを有する薄膜も生成されることができる。
【0050】
上記の有機金属化合物前駆体は、本発明のプロセスで用いられ、原子層堆積(atomic layer deposition,ALD)または原子層核形成(atomic layer nucleation,ALN)技術であって、その間、基板は、前駆体、酸化剤および不活性ガス流の交互パルスに曝露される技術によって薄膜を形成することもできる。逐次層蒸着技術が、例えば、米国特許6,287,965号および米国特許第6,342,277号に記述されている。両特許の開示内容は、参照することによってそのまま本明細書に組み入れられている。
【0051】
例えば、1回のALDサイクルでは、基板は、段階的に、a)不活性ガス、b)前駆体蒸気運搬不活性ガス、c)不活性ガス、d)酸化剤単独もしくは不活性ガスとともに曝露される。一般に、各段階は、設備が許容する限りの短さ(ミリ秒)で、あるいは、プロセスが必要とするだけの長さ(例、数秒または数分)であることができる。1回のサイクルの持続時間は、数ミリ秒程度の短さ、および、数分程度の長さであることができる。当該サイクルは、数分間から数時間までの範囲であることができる期間に亘って反復される。生成される薄膜は、数ナノメートルの薄さまたはそれよりも厚い、例えば1ミリメートル(mm)であることができる。
【0052】
本発明のプロセスは、超臨界流体を使っても実施されることができる。目下技術上周知の超臨界流体を使った薄膜蒸着法の例は、化学流体蒸着(chemical fluid deposition)、超臨界流体運搬(supercritical fluid transport)−化学蒸着、超臨界流体化学蒸着および超臨界浸漬蒸着(supercritical immersion deposition)を含む。
【0053】
例えば、化学流体蒸着プロセスは、高純度薄膜の生成、および、高アスペクト比機構の錯体表面被覆および充填に適している。化学流体蒸着は、例えば、米国特許第5,789,027号に記述されている。薄膜形成への超臨界流体の使用は、米国特許第6,541,278B2にも記述されている。これらの2件の特許の開示内容は、参照することによって、そのまま本明細書に組み入れられている。
【0054】
本発明のある実施態様では、加熱パターン化基板は、近臨界または超臨界流体、例えば近臨界または超臨界COの存在下で、1種類よりも多い有機金属化合物前駆体に曝露される。COの場合、当該溶媒流体は、約1000psigよりも高い圧力および少なくとも約30℃の温度で提供される。
【0055】
前記前駆体は、分解され、基板上に金属薄膜を形成する。当該反応は、当該前駆体から有機材料も生成する。当該有機材料は、溶媒流体によって可溶化され、当該基板から容易に除去される。金属酸化物薄膜は、例えば、酸化ガスを使っても形成されることができる。
【0056】
一例では、前記蒸着プロセスは、1個よりも多い基板を収納する反応チャンバー中で実施される。当該基板は、例えば炉によってチャンバー全体を加熱して所望の温度まで加熱される。前記有機金属化合物の蒸気は、例えば、当該チャンバーを真空にすることによって生成されることができる。低沸点化合物の場合、当該チャンバーは、当該化合物を気化させるだけ熱い状態であることができる。蒸気は、加熱基板表面に接触しながら、分解し、金属または金属酸化物薄膜を形成する。上記のように、有機金属化合物前駆体は、単独で、または、1種類よりも多い成分、例えば他の有機金属化合物前駆体、不活性キャリアガスまたは反応性ガスと配合して使用されることができる。
【0057】
本発明のプロセスによる薄膜生成に使用されることができるシステムでは、原料が、ガスブレンディングマニホルドに向けられることができ、プロセスガスを生成し、当該ガスが、蒸着反応器に供給され、当該反応器で薄膜成長が実施される。原料は、キャリアガス、反応性ガス、パージガス、前駆体、エッチ/クリーンガス他を含むが、それらに制約されない。プロセスガス組成の正確なコントロールは、マス−フローコントローラー、バルブ、変圧機、および、技術上周知の他の手段を使って達成される。排気マニホルドは、前記蒸着反応器を出るガス、ならびに、バイパス流を真空ポンプに運ぶことができる。当該真空ポンプの下流の低減システムが使用され、前記排気ガスからの有害材料が除去されることができる。前記蒸着システムは、残留ガスアナライザーを含めた現場分析システムを備えられることができ、当該システムは、プロセスガス組成の測定を可能にする。コントロールおよびデータ獲得システムは、各種のプロセスパラメーター(例、温度、圧力、流速など)をモニターすることができる。
【0058】
上記の有機金属化合物前駆体は、単一金属を含む薄膜、または、単一金属酸化物を含む薄膜の生成に用いられることができる。混合薄膜、例えば混合金属酸化物薄膜も、蒸着されることができる。当該薄膜は、例えば、数種の有機金属前駆体を用いることによって生成される。金属薄膜は、例えば、キャリアガス、蒸気または他の酸素源を使用せずに形成されることもできる。
【0059】
本明細書に述べられる方法によって形成される薄膜は、技術上周知の技術、例えば、X−線回折、Auger分光法、X−線光電子放出分光法、原子間力顕微鏡検査、走査電子顕微鏡検査、および、他の技術上周知の技術によって特徴付けられることができる。当該薄膜の抵抗率および熱安定性も、技術上周知の方法によって測定されることができる。
【0060】
本発明の各種変更および変形は、当業者に明らかになり、当然ながら、当該変更および変形は、本出願の範囲内、および、特許請求の精神および範囲内に含まれる。
【0061】
(実施例1)
リチウムアルミニウムヒドリドのエーテル溶液は、化学薬品供給業者から購入されることができる。反応前、エーテル中三塩化アルミニウム溶液が調製された。これは、不活性雰囲気下で実施された。三塩化アルミニウムは、温度を制御するために、エーテルにゆっくりと添加された。三塩化アルミニウムは、エーテルと錯体を形成し、この錯体形成は、発熱性であった。
・4.32gの三塩化アルミニウムは、65ミリリットルのジエチルエーテルに溶解された。
・250ミリリットルの三口フラスコは、電磁攪拌バー、還流冷却器およびゴム中隔を取り付けられた。
・100ミリリットルのエーテル中リチウムアルミニウムヒドリド(95%)1モル溶液が、当該フラスコに移された。
・15ミリリットルのN−メチルピロリジンが、攪拌下で、エーテル中リチウムアルミニウムヒドリドに添加された(好ましくは、反応を確実に完了させるために、10%過剰量のN−メチルピロリジンが添加される)。
・窒素パージ下で、ゴム中隔が滴下漏斗に代えられ、さらに1分間窒素でパージされた。
・滴下漏斗は、ジエチルエーテル中三塩化アルミニウムを仕込まれた。
・三塩化アルミニウム溶液は、反応物の穏やかな還流を可能にする速度で添加された(2〜4滴/秒)。
・反応完了時、もはや放熱はなく、反応混合物は、開始温度に戻った(約20℃)。
・完了反応液は、中間ガラス濾過器で濾過され、固体塩化リチウム副産物を除去した。
・1−メチルピロリジンアラン(MPA)生成物が蒸留され、溶媒を除去した。
・2回目の蒸留が、減圧下で実施され、MPA生成物純度を確保した。
・MPA収率は、アルミニウムに基づいて76%であった。
【化1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式HAl:Lnで表される有機金属化合物の調製方法であって、式中、Lが非共有電子対をアルミニウムに提供できる1個よりも多いLewis塩基であり、nが1または2であり、
前記方法が、
(1)(a)エーテル溶媒中でアルカリ金属アルミニウムヒドリドとLewis塩基の第1溶液を形成する段階と、
(b)前記有機金属化合物を含む第2溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第1溶液にエーテル溶媒中アルミニウムヒドリドを添加する段階と、
(c)前記第2溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製方法と、
(2) (a)エーテル溶媒中でアルミニウムハロゲン化物とLewis塩基の第一溶液を形成する段階と、
(b) 前記有機金属化合物を含む第二溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第一溶液にエーテル溶媒中アルカリ金属アルミニウムハロゲン化物を添加する段階と、
(c)前記第二溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製方法と、
(3) (a)エーテル溶媒の存在下、および、第一溶液を生成するのに十分な反応条件下でアルミニウムハロゲン化物とアルカリ金属アルミニウムハロゲン化物を反応させる段階と、
(b) 前記有機金属化合物を含む第二溶液を生成するのに十分な反応条件下で、前記第一溶液に、場合によりエーテル溶媒中Lewis塩基を添加する段階と、
(c) 前記第二溶液から前記有機金属化合物を分離する段階、
を含む前記有機金属化合物の調製方法
の上記方法(1)、(2)および(3)から選択される、
式HAl:Lnに代表される有機金属化合物の調製方法。
【請求項2】
前記エーテル溶媒が、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテルおよびテトラヒドロフランを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属アルミニウムヒドリドが、リチウムアルミニウムヒドリドおよびナトリウムアルミニウムヒドリドから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルミニウムハロゲン化物が塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウムおよびフッ化アルミニウムから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記Lewis塩基がチオフェン、チオピランまたは環式有機アミンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記環式有機アミンが、アルキルアジリジン、アルキルアゼチジン、アルキルピロリジン、アルキルピペリジン、アルキルヘキサメチレンイミン、アルキルヘプタメチレンイミン、および、アルキルピペラジンから選択されることを特徴とする請求5に記載の方法。
【請求項7】
前記環式有機アミンが、1−メチルピロリジン、1−ブチルピロリジン、1,4−ジメチルピロリジン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,4−ジメチルピペラジン、チオフェンおよびチオピランから選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記環式有機アミンが、1−メチルピロリジンであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記有機金属化合物が、1−メチルピロリジンアラン、1−メチルピペリジンアラン、1−エチルピペリジンアラン、4−メチルモルフォリンアランおよび1,4−ジメチルピペラジンアランから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記有機金属化合物の収率が約65%〜99%以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2008−527037(P2008−527037A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552181(P2007−552181)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/001138
【国際公開番号】WO2006/078542
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(392032409)プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】