説明

有機金属触媒組成物及び前記触媒を用いるポリウレタン製造プロセス

触媒組成物は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、2-ヒドロキシカルボン酸、塩基及び場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコールの反応生成物を含む。この触媒を使用するポリウレタン材料の製造プロセスも記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン材料の製造に使用するのに特に好適な新規有機金属触媒と、前記有機金属触媒を使用するポリウレタン類の製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
チタンまたはジルコニウムの化合物を含む触媒は、エステル化反応などの多くの用途及び、イソシアネートとヒドロキシル種とを含有する反応混合物を硬化して、ポリウレタン類を形成することが公知である。通常、そのような触媒は、金属アルコキシド、たとえばチタンテトライソプロポキシド、または前記アルコキシドから誘導したキレート化種を含む。
【0003】
ポリウレタン製造において、長年にわたり多くの用途で選択されてきた触媒は、有機水銀及び錫化合物である。その理由は、これらの触媒が、この反応が非常に遅いか、または反応が起きない初期の誘導期間、続いて比較的硬質のポリマー製品を提供するのに十分な時間連続性である、迅速な反応を提供する望ましい反応プロフィールを提供するためである。「クリームタイム」としても公知のこの誘導時間によって、触媒を添加した後に液体反応混合物を注いだり、若しくは成形したりすることができ、そうして製造業者が製造プロセスをより制御できるため、この誘導時間は望ましい。このクリームタイムの後の迅速且つ完全な反応は、粘着性でなく且つ製造設備で迅速に一巡(turnaround)させるために、その所望の物理的特性を発展させる完成品を提供することが重要である。
【0004】
しかしながら、水銀化合物は毒性であるため、水銀を含まず、しかも公知の水銀含有触媒によって提供される所望の反応プロフィールを業者に提供する触媒に対する要求がある。ジブチル錫ジラウレートなどの錫触媒は、ポリウレタン製造で幅広く使用され、特にポリウレタンフォーム製品の製造で広く使用されている。しかしながら、錫触媒は望ましくないアルキル錫不純物を含んでいることがあるため、家具用フォーム(発泡材)(furniture foam)または靴底などで長期間、人々が完成品に暴露される用途では、特に、錫触媒の使用に関しては幾らか問題がある。チタンアルコキシドはポリウレタン硬化反応の非常に有効な触媒を提供するが、これらは上記の所望のクリームタイム及び硬化プロフィールを備えた反応プロフィールを産み出さない。多くの場合において、この反応は非常に迅速であるが、誘導期間を提供しないので、このポリウレタン混合物は、その最終形状にキャストする前に非常に迅速にゲル化する傾向が高い。さらなる問題点としては、迅速な初期反応にもかかわらず、得られたポリウレタンは適当な時間内で満足する硬化度を達成しないということがある。このため、粘着性で取り扱いが困難で及び、水銀触媒を使用して製造した製品と比較して物理的特性の劣ることがある完成品となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水銀を含まず、且つポリウレタン製品の製造に使用し得る触媒化合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、発泡剤として水を含むことが多いポリウレタンフォームを対象とするポリウレタン組成物及び反応体配合物で使用し得るように、水と接触する際に安定な触媒を提供することである。
【0006】
チタンモノイソプロポキシトリス(イソステアレート)等のモノアルコキシチタネートは、無機材料と有機ポリマー材料との間のカップリング剤として使用することに関して公知である。たとえば米国特許出願第US-A-4397983号は、ポリウレタン類で充填剤をカップリングさせるためにイソプロピルトリ(ドデシルベンゼンスルホノイル)チタネート及びイソプロピルトリ(ジオクチルホスファト)チタネートの使用について開示する。
【0007】
米国特許出願第US-A-4122062号は、以下の式:
a)(RO)zTi(A)x(B)yまたは
b)(RO)Ti(OCOR')p(OAr)q{式中、Rは、1〜30個の炭素原子を有する一価のアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアラルキル基またはその置換誘導体であり;Aは、チオアロキシ、スルホニル、スルフィニル、ジエステルピロホスフェート、ジエステルホスフェート、またはその置換誘導体であり;OArは、アロキシであり;Bは、OCOR'またはOArであり;R'は、水素または1〜100個の炭素原子を有する一価の有機基であり;x+y+zは4に等しく;p+qは3に等しく;x、z及びqは1、2または3であってもよく;並びにy及びpは0、1または2であってもよい}の一つをもつ有機チタネート類;そのような有機チタネート類と粉砕無機材料(comminuted inorganic material)との反応生成物;並びにそのような反応生成物を含むポリマー材料について記載する。
【0008】
米国特許出願第US-A-4094853号は、粉砕無機材料と式:(RO)Ti(OCOR')3{式中、Rは1〜30個の炭素原子を有する一価のアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアラルキル基またはその置換誘導体であり;R'は、一価の有機基であり、一つの分子の中の3つのR'基の炭素原子の総数は、14以下である}を有する有機チタネートとの反応生成物;並びにそのような反応生成物を含むポリマー材料を含む物質(matter)の組成物について記載する。
【0009】
欧州特許出願第EP-A-0164227号は、式:RR1R2CCH2OM(A)a(B)b(C)c{式中、Mはチタンまたはジルコニウムであり、R、R1及びR2は、それぞれ20個以下の原子を有する一価のアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール若しくはアルクアリール基またはハロゲンまたはそのエーテル置換誘導体であり、さらにR2は、前記基のオキシ誘導体またはエーテル置換オキシ誘導体であってもよく;A、B及びCは、それぞれ、30個以下の炭素原子を含む一価のアロキシ、チオアロキシ、ジエステルホスフェート、ジエステルピロホスフェート、オキシアルキルアミノ、スルホニルまたはカルボキシであり;a+b+c=3である}を有するネオアルコキシ化合物について記載する。この化合物は、カップリング剤及びポリマー処理剤として有用であり、並びにこの化合物を含有する組成物及びこの化合物を含むポリマー材料の製造法も記載されている。
【0010】
英国特許出願第GB-A-1509283号は、式:Ti(OR)4-n(OCOR')n{式中、ORは加水分解基であり;R'は、非-加水分解基であり;及びnは約3.0〜3.50、好ましくは3.1〜3.25の間である}によって表される新規有機チタネートについて記載する。Rは、1分子当たり1〜5個の炭素原子を有する、直鎖、分岐または環式アルキル基であってもよい。この非-加水分解基(OCOR')は、6〜24個の炭素原子を有する有機酸、たとえばステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸及びトール油酸から形成されているのが好ましい。
【0011】
この化合物は、ポリマー化合物中で無機固体の分散を改善するために、及び充填されたポリマー化合物の物理的特性を改善するために無機固体の処理のために使用される。すなわちこの有機チタネートはカップリング剤として使用される。
【0012】
Monte及びSugerman(Journal of Cellular Plastics,1985年11月〜12月、385頁)は、種々のポリマー系でカップリング剤として種々のネオアルコキシチタネート及びネオアルコキシジルコネートの使用について記載する。彼らは、この化合物の中には、支持体への結合ポリマーに加えて、ポリオール-イソシアネート反応を直接、触媒活性化し得るものがあると結論づけている。
【0013】
米国特許出願第US-A-2846408号は、一般式:Me(OR)mXn-m{式中、Rは、アルキルであり、Xは、ラウリル酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ナフテン酸及びフェニル酢酸などの有機カルボン酸基であり、mは少なくとも1であり、及びnは金属Meの価数である}によって定義される金属化合物を使用して特定の細孔構造の気泡ポリウレタンプラスチック(cellular polyurethane plastic)の製造プロセスについて記載する。Mとしては、チタン、ジルコニウム及び錫が挙げられる。
【0014】
米国特許出願第US-A-2926148号は、樹脂を形成するためのジイソシアネートとアルコール類の混合物との間の反応用触媒について記載する。この触媒としては、錫化合物を別にすれば、テトラアルキルチタネート及びジルコネート類、並びにトリエタノールアミンチタネート-N-ステアレート、トリエタノールアミンチタネート-N-オレエート、オクチレングリコールチタネート及びトリエタノールアミンチタネートを含む種々のチタンエステルが挙げられる。
【0015】
米国特許出願第US-A-6133404号は、生分解性ポリエステル組成物の製造で有用な添加剤としてモノアルコキシチタネートの使用を開示する。
米国特許出願第US-A5591800号は、テトラ-アルキルチタネートとトリオールとの反応により形成したチタネート化合物などの環式チタン触媒を使用するポリエステルの製造について記載する。
【0016】
米国特許出願第US-A-5,902,835号は、ポリウレタンフォームの製造用のチタン、ジルコニウムまたはハフニウム発泡性触媒組成物(blowing catalyst composition)であって、前記発泡性触媒が、以下の式:[M(L1)(L2)(L3)(L4)]n、[M(L1)(L2)(L3)]n、[M(L1)(L2)]n、[M(L1)]n{式中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり;nは1〜20を変動し;L1、L2、L3及びL4はそれぞれ、以下の基:
(1)酸素、硫黄及び窒素;
(2)アルコラート、フェノラート、グリコラート、チオラート、カルボキシレート、ジチオカルバメート、アミネート(aminate)、アミノアルコラート、ホスフェート、ホスホネート、ピロホスフェート、スルホネートまたはシリルアミド、これらのいずれも1〜20個の炭素原子を含み、場合により一つ以上の官能基、または酸素、硫黄、窒素若しくはリン含有基を含有する;
(3)キレート配位子(chelating ligand)、たとえば種々の非-フッ素含有及び非-立体障害性ベータ-ジケトン類、トリエタノールアミン、サリチルアルデヒド、並びにサリチルアミドから選択される同一または異なる配位子である}によって表される化合物である、前記組成物について記載する。
【0017】
英国特許出願第GB-A-2314081号では、チタン若しくはジルコニウムのアルコキシド若しくは縮合アルコキシド、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコール、2-ヒドロキシカルボン酸及び塩基の反応生成物を含むエステル化触媒について記載する。この特許では、乳酸などの一塩基性2-ヒドロキシ酸に対する塩基の好ましい量は、2-ヒドロキシ酸1モル当たり0.8〜1.2モルの範囲である。クエン酸(三塩基酸)の場合には、好ましい量は、2-ヒドロキシ酸1モル当たり塩基1〜3モルの範囲である。本出願人は、英国特許出願第GB-A-2314081号に記載の種類の触媒組成物を、二価アルコールとして1,4-ブタンジオールを使用して製造し、且つ無機塩基を好ましい濃度範囲で含ませると、1,4-ブタンジオールが塩基との錯体を形成し、これがゲル化生成物を形成して、このゲル化生成物は触媒として使用するには不適当であることを知見した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明に従い、本出願人は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、2-ヒドロキシカルボン酸、塩基及び場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコールの反応生成物を含む触媒組成物を提供する。
【0019】
本発明のさらなる側面に従って、本出願人は、
a) i)イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ化合物、または
ii)ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ化合物のいずれかと、
b)チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、2-ヒドロキシカルボン酸、塩基及び場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコールの反応生成物を含む触媒組成物;並びに場合により
c)連鎖調節剤、希釈剤、難燃剤、発泡剤、離型剤、水、カップリング剤、リグノセルロース防腐剤、殺菌剤、ワックス、サイズ剤、充填剤、着色剤、耐衝撃性改良剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、難燃剤、可塑剤及び他のバインダーから選択される一種以上の追加の成分を含む組成物も提供する。
【0020】
本発明のさらなる側面に従って、本出願人は、
a) i)イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ化合物、または
ii)ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ化合物のいずれかと、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、2-ヒドロキシカルボン酸、塩基及び場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコールの反応生成物を含む触媒組成物とを一緒に混合することによって混合物を形成し;
b)前記混合物中に既に含まれていないa)のi)またはa)のii)の前記化合物のもう一方を前記混合物に添加し;
c)前記混合物を、ポリウレタン製品に必要な形状に成形し;
d)前記混合物を硬化させ;
e)場合により前記混合物を後硬化状態調節の具体的な条件に暴露する、各段階を含む、ポリウレタン製品の製造プロセスも提供する。
【0021】
イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ前記化合物または、ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ前記化合物は、そのような化合物の混合物または、そのような化合物と種々の化合物、たとえば充填剤若しくは他の添加剤との混合物を構成することができる。特に、このポリウレタン製品がフォームを形成することを意図している場合には、ポリオール若しくはイソシアネートの混合物、またはこの二つを一緒にした混合物は、二酸化炭素を発生させてフォームを形成する水とイソシアネートとの反応を触媒作用させるために発泡剤または発泡性触媒を含むことができる。好適な発泡性触媒としてはアミン類、特に三級アミン類が挙げられる。
【0022】
本発明の触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコール、2-ヒドロキシカルボン酸及び塩基の反応生成物である。好ましくは、このアルコキシドは、式:M(OR)x{式中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素であり、Rはアルキル基であり、及びxは金属Mの価数である}を有する。より好ましくは、Rは、1〜6個の炭素原子を含み、特に好適なアルコキシドとしては、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラ-n-プロポキシジルコニウム及びテトラ-n-ブトキシジルコニウム、アルミニウムトリ-secブトキシドが挙げられる。
【0023】
本発明で有用な触媒を製造するために好適な縮合アルコキシド類は、通常、チタンまたはジルコニウムのアルコキシドを注意深く加水分解して製造し、これは式:R1O[M(OR1)2OnR1[式中、R1はアルキル基を表し、Mはチタンまたはジルコニウムを表す]によって表されることが多い。好ましくは、nは20未満であり、より好ましくは10未満である。好ましくは、R1は1〜6個炭素原子を含み、有用な縮合アルコキシド類としては、ポリブチルチタネート、ポリイソプロピルチタネート及びポリブチルジルコネートとして公知の化合物が挙げられる。
【0024】
好ましい2-ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸及び酒石酸が挙げられる。マンデル酸などの芳香族酸も使用することができる。幾つかの好適な酸は、塩、水和物としてまたは水性混合物として供給される。この形状の酸並びに無水酸は、本発明で使用する触媒の製造に好適である。好ましくは、この触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素1モル当たり2-ヒドロキシ酸1〜4モル(より好ましくは1.5〜3.5モル)を含む。
【0025】
本触媒組成物の製造に使用する塩基は、通常、無機塩基であり、好適な塩基としては、弱酸の、元素周期律表IAまたはIIA族から選択された金属または、亜鉛、アルミニウム、鉄(II)、銅(II)、ニッケル、コバルト(II)、マンガン(II)、ランタン、セリウム、ネオジム、及びサマリウムとの塩の水溶液が挙げられる。好ましい塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酢酸アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸セシウム、ジルコニウムヒドロキシカーボネート(zirconium hydroxycarbonate)及びアンモニアが挙げられる。塩基対2-ヒドロキシカルボン酸のモル比は、好ましくは0.05〜1.5:1の範囲、より好ましくは0.1〜1.2:1の範囲であるが、もっと塩基性の組成物が必要な場合には、より多くの塩基を使用することができる。この2-ヒドロキシ酸が1を超えるカルボン酸基を含む場合、たとえばクエン酸の場合、好ましいモル比はカルボン酸官能基1モル当量当たりで与えられる。通常、存在する塩基の量は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)またはランタニド族元素1モル当たり0.05〜12モル(好ましくは0.5〜4)の範囲である。
【0026】
好ましくは、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する前記アルコールは、二価アルコール、たとえば1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールまたは、長鎖を含む二価アルコール、たとえばジエチレングリコール若しくはポリエチレングリコールである。触媒は、多価アルコール、たとえばグリセロール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールから製造することもできる。このアルコールの存在は任意選択であるが、好ましい組成物ではアルコールが存在する。存在する場合には、このアルコールは、ポリウレタン触媒として容易に取り扱われる液体組成物を提供する。アルコールが存在しない場合には、液体組成物は、水を添加することによって得ることができる。好ましくは、この触媒は、二価アルコール対チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)若しくはランタニド元素1モル当たり2〜12モル(より好ましくは4〜8モル)の比で二価アルコールとアルコキシドまたは縮合アルコキシドとを反応させることによって製造する。
【0027】
この触媒を製造する際に、塩基と一緒に水を添加すると都合が良いことが多い。
この触媒は、任意の適当な段階で、任意の副生成物(たとえば、前記アルコキシドがテトライソプロポキシチタニウムであるとき、イソプロピルアルコール)を除去しつつ、前記成分(アルコキシド若しくは縮合アルコキシド、二価アルコールまたは水(使用する場合)、2-ヒドロキシ酸及び塩基)を混合することによって製造することができる。一つの好ましい態様では、このアルコキシドまたは縮合アルコキシドと二価アルコールとを混合し、続いて、2-ヒドロキシ酸、次いで塩基(または予め中和させた2-ヒドロキシ酸溶液)を添加する。別の好ましい態様では、前記アルコキシドまたは縮合アルコキシドを前記2-ヒドロキシ酸と反応させて、副生成物のアルコールを除去する。次いでこの反応生成物に塩基を添加し、続いて二価アルコールまたは水を添加して反応生成物を生成し、これが本発明のプロセスにおける触媒である。所望により、さらなる副生成物のアルコールを蒸留により除去することができる。この2-ヒドロキシ酸またはその塩基の水溶液を使用することができる。この触媒は溶媒中で希釈することができ、溶媒はアルコールまたは水、たとえばポリウレタン反応で使用すべき化合物であってもよい。一例として、この溶媒は、ポリウレタン製造に供給される市販のポリオール組成物で連鎖延長剤として使用されることが多い、1,4-ブタンジオールなどのジオールであってもよい。
【0028】
本発明の化合物は、ヒドロキシ官能性分子、たとえばポリオールと、イソシアネート官能性分子、たとえばポリイソシアネートとの間の反応用の粗触媒として特に有用である。この反応は、市販の多くの二成分ポリウレタン系のベースを形成する。このポリオール成分はポリウレタンの製造に好適な任意のものであってもよく、ポリエステル-ポリオール類、ポリエステル-アミドポリオール類、ポリエーテル-ポリオール類、ポリチオエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリアセタールポリオール類、ポリオレフィンポリオール類ポリシロキサンポリオール類、「ポリマー」ポリオール類と言われることが多い、上記のタイプのポリオール類中の付加または縮合ポリマーの分散液または溶液が挙げられる。非常に広範な種類のポリオール類が従来技術で記載されており、ポリウレタン材料のフォーム業者(formulator)には公知である。
【0029】
通常、ポリオール類の混合物を使用して、特定の物理的特性をもつポリウレタンを製造する。このポリオールまたはポリオール類は、フォーム業者の要求条件に合わせた分子量、幹、及びヒドロキシ官能基(hydroxy functionality)をもつように選択される。通常、このポリオールとしては、連鎖延長剤が挙げられ、これは比較的短い鎖長のジオール類、たとえば1,4-ブタンジオールまたはジエチレングリコール若しくは低分子量ポリエチレングリコールであることが多い。商業的に利用されるもう一つの連鎖延長剤は、たとえばジアミン類、たとえばMOCA(4,4-メチレンビス(2-クロロアニリン))も使用することができる。
【0030】
本発明の触媒と共に使用するのが好適なポリウレタン製造で使用されるイソシアネート組成物は、本目的に商業的に有用な任意の有機ポリイソシアネート化合物または有機ポリイソシアネート化合物の混合物であってもよい。好適な有機ポリイソシアネート類としては、ジイソシアネート類、特に芳香族ジイソシアネート類、及び高級官能基(higher functionality)のイソシアネート類が挙げられる。好適な有機ポリイソシアネート類の例としては、脂肪族イソシアネート類、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート;並びに芳香族イソシアネート類、たとえばm-及びp-フェニレンジイソシアネート、トリレン-2,4-及びトリレン-2,6-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、ジフェニレン-4,4'-ジイソシアネート、4,4'-ジイソシアネート-3,3'-ジメチル-ジフェニル、3-メチルジフェニルメタン-4,4'-イソシアネート及びジフェニルエーテルジイソシアネート;並びに脂環式ジイソシアネート類、たとえばシクロヘキサン-2,4-及び-2,3-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキシル-2,4-及び-2,6-ジイソシアネート及びその混合物並びにビス-(イソシアナトシクロヘキシル)メタン及びトリイソシアネート類、たとえば2,4,6-トリイソシアナトトルエン及び2,4,4-トリ-イソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。
【0031】
イソシアヌレート、カルボジイミドまたはウレトニミン基を含有する変性ポリイソシアネート類を使用することができる。このポリイソシアネート類は、過剰量のジイソシアネートまたは高級官能基数のポリイソシアネートと、ポリオール、たとえばポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとを反応させることによって製造したイソシアネート末端化プレポリマーであってもよい。プレポリマーの使用は、商業的なポリウレタン系では一般的である。これらの場合において、ポリオール類は、前記イソシアネートまたはプレポリマーに既に含まれていてもよく、その上追加の成分、たとえば連鎖延長剤、ポリオールなどを、重合の前にこのイソシアネートプレポリマー混合物と混合してもよい。
【0032】
イソシアネートの混合物は、2,4-異性体と2,6-異性体との市販の混合物等のトリレンジイソシアネート異性体の混合物など、本発明の有機金属組成物と組み合わせて使用することができる。ジ-及び高級ポリイソシアネート類、たとえば三量体(イソシアヌレート類)またはプレポリマーとの混合物も使用することができる。ポリイソシアネート混合物は場合により、単官能イソシアネート類、たとえばp-エチルフェニルイソシアネートも含むことができる。
【0033】
このポリイソシアネートは、室温で液体であるのが好ましい。
本発明の有機金属組成物は、通常、ポリオールに添加してから、前記ポリオール成分とイソシアネート成分とを混合してポリウレタンを形成する。しかし、必要により、代わりにこの有機金属組成物をイソシアネート成分に添加することができる。
【0034】
本発明の触媒組成物とポリイソシアネートとこれらと反応性の化合物とを含有する組成物はさらに、連鎖調節剤、希釈剤、難燃剤、発泡剤、離型剤、水、カップリング剤、リグノセルロース防腐剤、殺菌剤、ワックス、サイズ剤、充填剤、着色剤、耐衝撃性改良剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、難燃剤、可塑剤及び他のバインダーを含むことができる。ポリウレタン組成物用の配合物に含めるためのこれら及び他の成分の選択は、当業者に公知であり、特定の目的に関して選択することができる。
【0035】
この混合物を放置して硬化させるとき、さらに状態調節して後硬化させることができる。通常、この後硬化はポリウレタン製品、コーティングなどを、取り扱い、離型し、次いでオーブンに入れることなどによって高温に保持し得る状態に硬化させて、製品の完全硬化特性を展開または促進させる時に起きる。
【0036】
本発明の触媒は、ポリウレタンフォーム、軟質または硬質製品、コーティング、接着剤、エラストマー、シーラント、熱可塑性ポリウレタン類及び、延伸ストランドボード(strand board)製造用のバインダーの製造に有用である。本発明の触媒は、ポリウレタンプレポリマー、すなわち、ポリウレタン製品または高分子量の組成物に硬化させるためのエンドユーザ(最終消費者)に供給される比較的低分子量のウレタンポリマーの製造に有用でもある。
【0037】
この触媒は、通常、全反応系の重量、すなわち前記ポリイソシアネートとポリオール成分の総重量をベースとして1×10-4〜10重量%の範囲、好ましくは約4重量%以下の範囲の濃度を与えるように、前記イソシアネート及び/またはアルコール混合物中に配合する。
【実施例】
【0038】
本発明を以下の実施例により説明する。
実施例1
水(52.25g,2.90モル)及びクエン酸一水和物(75g,0.36モル)を予め秤量しておいたロータリーエバポレーターフラスコに入れ、15分間加熱して、クエン酸を溶解させた。この溶液を放冷した。このフラスコに真空を適用して、真空入口を介してチタン(IV)n-ブトキシド(48.5g,0.14モル)(VERTEC:商標TNBT)を添加した。n-ブタノール/水の共沸混合物を減圧下で除去した。得られた混合物を放冷してから、水中の5%水酸化マグネシウム(145g,0.125モル)を滴下添加した。次いで、1,4-ブタンジオール(103g,1.14モル)を撹拌しながら滴下添加した。n-ブタノール/水の共沸混合物を減圧下で除去した。得られた混合物を放冷してから、1,4-ブタンジオールで50%希釈すると、1.54%のチタン含有量のやや曇った溶液が得られた。
【0039】
実施例2
水中5%水酸化リチウム(105g,0.125モル)を水酸化マグネシウムの代わりに添加した以外には、実施例1を繰り返した。得られた混合物を放冷してから1,4-ブタンジオールで50%希釈すると、1.33%のチタン含有量のやや濁った溶液が得られた。
【0040】
実施例3
水酸化マグネシウムの代わりに水中の5%酢酸アルミニウム((CH3CO2)2AlOH)(408g,0.125モル)を添加した以外には、実施例1を繰り返した。得られた混合物を放冷してから、1,4-ブタンジオールで50%希釈すると、1.84%のチタン含有量のやや濁った溶液が得られた。
【0041】
実施例3A
より高いpHの組成物を製造するために酢酸アルミニウムの10%水溶液を使用して、実施例3を繰り返した。
【0042】
実施例4
水酸化マグネシウムの代わりに、水中の5%酸化亜鉛(203,0.125モル)を添加した以外には、実施例1を繰り返した。得られた混合物を放冷してから、1,4-ブタンジオールで50%希釈すると、2.10%のチタン含有量のやや濁った溶液が得られた。
【0043】
実施例5
水酸化マグネシウムの代わりに水中の5%炭酸セシウム(407g,0.125モル)を添加した以外には、実施例1を繰り返した。得られた混合物を放冷してから、1,4-ブタンジオールで50%希釈すると、1.71%のチタン含有量のやや濁った溶液が得られた。
【0044】
実施例6
50%クエン酸溶液(0.18モル,69.12g)をロータリーエバポレーターフラスコに取り、これにアルミニウムトリ-secブトキシド(0.0639モル、15.75g)を滴下漏斗から滴下添加した。撹拌すると、溶解して曇った懸濁液が得られた(やや発熱性)。この混合物を80℃、真空下で約2時間蒸留して、水とブタノールを除去した。5%(重量)の水性NaOH溶液50g(0.0625モル)、続いて1,4-ブタンジオール(0.57モル、51.375g)を滴下添加した。残存するブタノールと水は、真空下、110℃で除去した。
【0045】
実施例7
5%(重量)水性ZnO溶液101.72g(0.0625モル)をNaOH溶液の代わりに添加した以外には、実施例6を繰り返した。
【0046】
実施例8
88%乳酸385g(3.76モル)を秤量済み2-リットルガラス張りフラスコに入れ、640gの脱塩水を添加した。テトラ-(イソプロポキシ)チタン(VERTEC:商標TIPT)534g(1.88モル)を約30分で、撹拌した乳酸溶液にゆっくりと添加し、この温度を40℃未満に保持した。曇った白色懸濁液が形成し、次いでこれを85〜90℃で1時間還流させた。この混合物を放冷してから、蒸留ヘッドとコンデンサとをフラスコに付けて、混合物を100℃で2〜3分間保持してイソプロパノールを除去した。この混合物再び室温に放冷してから、28%水酸化アンモニウム溶液288g(3.76モル)を添加した。この生成物は8.26%のTi(重量)を含み、1.231g/cm3の比重を有していた。
【0047】
実施例9
126g、1.5モルのTIPTを秤量済みの2リットルガラス張りフラスコに入れ、スターラー、温度計、コンデンサ及びフタを取り付けた。このフラスコを水浴に設置し、648g(6モル)のジエチレングリコール(DEG)を含有する秤量済み500ml滴下漏斗を付けた。このDEGを約30分かけてTIPTに流し込んだが、温度は40℃を超えなかった。最終混合物を5分間撹拌して、反応を完了させて、30℃未満に放冷した。306.8g、88重量%乳酸(3モル)を秤量済み500ml滴下漏斗からこの混合物にゆっくりと添加し、再び温度を40℃未満に保持した。次いでこの反応フラスコに、アンモニアガス供給源と接続した浸漬チューブを取り付け、撹拌した混合物の中にアンモニアガスを吹き込むことによってこの混合物を中和した。この混合物のpHは、ぬらした1〜14pH紙を使用して一定間隔で測定し、混合温度を40℃未満に保持した。中和した混合物を秤量済みBuchiフラスコに移し、これをロータリーエバポレーターに取り付けた。次いでこの混合物を85℃以下の温度でストリッピングして一定重量とし、360gのIPA(6モル)及び37gの水(2モル)(88%乳酸から)を除去した。最終ストリッピング混合物は、6.89%のTiを含有する透明橙色溶液であり、1.260g/cm3の比重、10.22ポアズの粘度、115℃の引火点を有する。水中10%溶液のpHは、5〜6の間であった。
【0048】
実施例10
88%乳酸415g(4.06モル)を秤量済2-リットルガラス張りフラスコに入れ、脱塩水640gを添加した。534g(1.88モル)VERTEC(商標)TIPTをゆっくりと、この撹拌した乳酸溶液に約30分で添加し、この温度を40℃未満に保持した。曇った白色懸濁液が形成し、次いでこれを85℃〜90℃で1時間還流させた。
【0049】
この混合物を放冷してから、蒸留ヘッドとコンデンサをフラスコに取り付け、混合物を100℃で2〜3分保持してイソプロパノールを除去した。このフラスコを再び30℃未満に冷却し、ジルコニウムカーボネートヒドロキシド粉末30gをゆっくりと撹拌混合物に添加した。CO2放出が発生し、沸騰と幾らか発泡した。この混合物をさらに5分間撹拌すると、炭酸ジルコニウムの最大分散液及び溶液が得られた。得られた混合物は曇った黄白色であった。脱塩水100mlをゆっくりとこの撹拌混合物に添加し、曇りを溶解させようとしたが、80℃に加熱した後でさえも殆ど効果はなかった。再びさらに水100mlを添加したが、混合物は曇ったままであった。最終的に246g(4.05モル)28%水酸化アンモニウム溶液をゆっくりと添加した。この混合物は、アンモニア溶液の約90%を添加したあと、透明になった。残存するアンモニアを添加し、この混合物を5分間撹拌すると、完全な分散液が得られた。
【0050】
この生成物は、Ti 7.47%、Zr 2.1〜2.23%を含有し、1.226g/cm3の比重、pH8〜9(水中10%)を有していた。
実施例11
a)クエン酸一水和物結晶220.6gを秤量済み1-リットルガラス張りフラスコに入れ、526.4gの脱塩水を添加した。この混合物の温度を約25℃に上げてクエン酸を溶解させた。106.5g(0.375gモル)のVERTEC(商標)TIPTを撹拌している混合物にゆっくりと添加し、温度を40℃未満に保持した。得られた白色懸濁液を85〜90℃で1時間還流すると、透明溶液が得られた。この混合物を冷却してから、蒸留ヘッドとコンデンサとをこのフラスコにつけて、イソプロパノールと水とを蒸留できるようにした。温度計を蒸留ヘッドに取り付け、混合物を100℃に加熱し、この温度で2〜3分間保持して、全てのIPAを除去した。
【0051】
b)このフラスコを再び室温に放冷してから、28%アンモニア溶液を1:1重量で希釈することによって製造したアンモニア溶液を添加した。この1:1w/w溶液(0.5モル、NH3)61.5gをゆっくりとクエン酸チタン混合物に流し込んだ。この混合物のpHは、このアンモニア添加の間に1から2に上昇した。
【0052】
c)78.6gのクエン酸亜鉛二水和物(0.129モル)を、調整したさらなるアンモニア溶液123.3gに溶解させた。この溶液を、撹拌したチタン含有混合物に添加した(pHは約3に上昇した)。さらに61.5gのアンモニア溶液を添加して、混合物のpHをさらに4に上昇させた。
【0053】
実施例12
クエン酸一水和物結晶210.3g(1.0モル)、脱塩水520g、VERTEC(商標)TIPT142.0g(0.5モル)を使用して、実施例11のa)の部分を繰り返して、クエン酸チタン溶液を製造した。約120gの希釈(1:1w/w)アンモニア溶液(1モルNH3)をゆっくりと低下させると、この添加後の混合物のpHは約4であった。さらに60.7g(1モル)の28%水酸化アンモニウム溶液を再び水で1:1w/wに希釈してこの混合物に添加して、pHをさらに上昇させた。この混合物に水を補って全重量1000gとして、濾過すると、2.37%Tiを含有し、pH(10%溶液)5、及び1.138g/cm3の比重をもつ透明溶液が得られた。
【0054】
実施例13
予め混合した50%クエン酸溶液480g(1.25モル)、300gの脱塩水、142.0g(0.5モル)のVERTEC(商標)TIPTを使用して、実施例4のa)の部分を繰り返して、クエン酸チタン溶液を製造した。
【0055】
蒸留によってIPAを除去した後、残存する混合物を冷却し、76gの28%水酸化アンモニウム溶液(1.25モル、NH3)を使用して中和し、次いで376g(6.06モル)のエチレングリコールを滴下漏斗から添加した。この混合物を5分間撹拌すると、pH4の均質であるがやや曇った混合物が得られた。分析用に250mlを取り出して、さらに88.3gの水酸化アンモニウム溶液を滴下漏斗から残存する混合物(936g)に添加して、pHを6に上昇させた。このTi含有量は1.87%であり、SGは1.064g/cm3であった。
【0056】
実施例14
本発明の触媒をポリウレタンフォームの製造において触媒として使用した。全ての触媒は加水分解的に安定であることが判明した。
【0057】
有機充填剤、界面活性剤、充填剤、顔料、三級アミン(発泡剤として)、1,4-ブタンジオール(連鎖延長剤)及び水(フォーム発泡反応用)を含有する市販のポリエーテルポリオール調製物50gをディスポーザブル・スピード・ミキサー・カップに入れた。適当な触媒(表1参照)の秤量済みの量を添加し、この混合物を3000rpmで撹拌した。4,4'メチレンビスフェニルイソシアネート(MDI)ベースのプレポリマー(%NCO=18.4)35gを添加し、この混合物全体を20分間手練りし、次いでディスポーザブル・ビーカーに注いだ。(HI-92704C)K-熱電対の細いワイヤを挿入して、この発泡反応の発熱を記録した。このフォームの高さ及びクリームタイムを混合物毎に記録した。
【0058】
同一調製を、比較のために市販の錫触媒を使用して実施した。このフォームの密度(g/l)は、質量を測定するために秤量し、フォームの容積を測定するために水置換法(water displacement method)を使用して測定した。
【0059】
この結果は、この錫触媒を使用して製造したものと少なくとも匹敵し得る密度のフォームが、本発明の錫触媒を使用して製造したことを示している。クリームタイムが長いことは、フォームを形成する前に混合物を成形するための時間が必要な場合の用途によっては、都合がよい。ポリオール及び水と接触させて貯蔵効果を測定するために、使用前に数種の触媒をポリオールと混合し、貯蔵した。この結果は、この触媒が優れた貯蔵寿命を有することを示す。
【0060】
使用したアミン触媒の効果を示すために、アミン触媒の非存在下で調製を繰り返した。生成物のポリウレタンはゲル化したが、フォームは上昇せず、発熱は低く(<40℃)、このことは、使用したアミン触媒が発泡性触媒として機能したが、同時に本発明の触媒がゲル化触媒として機能したことを示している。
【0061】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) i)イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ化合物、または
ii)ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ化合物のいずれかと、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、2-ヒドロキシカルボン酸、塩基及び場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコールの反応生成物を含む触媒組成物とを一緒に混合することによって混合物を形成し;
b)イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ前記化合物または、ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ前記化合物のもう一方を、前記混合物に添加し;
c)前記混合物を、ポリウレタン製品に必要な形状に成形し;
d)前記混合物を硬化させ;
e)場合により前記混合物を後硬化状態調節の特定の条件に暴露する、各段階を含む、ポリウレタン製品の製造プロセス。
【請求項2】
前記ポリウレタン製品がフォームであり、及び発泡性触媒を前記段階a)で形成した混合物に添加する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記触媒組成物において、前記アルコールが、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記触媒組成物において、前記2-ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、クエン酸、リンゴ酸または酒石酸を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記触媒組成物において、前記反応生成物中の酸対チタンまたはジルコニウムのモル比は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素1モル当たり酸1〜4モルである、請求項1〜4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記触媒組成物において、前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酢酸アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸セシウム、ジルコニウムヒドロキシカーボネートまたはアンモニアを含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
a) i)イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ化合物、または
ii)ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ化合物のいずれかと;
b)チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、2-ヒドロキシカルボン酸、塩基及び場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコールの反応生成物を含む触媒組成物;並びに場合により
c)連鎖調節剤、希釈剤、難燃剤、発泡剤、離型剤、水、カップリング剤、リグノセルロース防腐剤、殺菌剤、ワックス、サイズ剤、充填剤、着色剤、耐衝撃性改良剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、難燃剤、可塑剤及び他のバインダーから選択される一種以上の追加の成分を含む組成物。
【請求項8】
チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、2-ヒドロキシカルボン酸、塩基及び場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコールの反応生成物を含む触媒組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ化合物、または
ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ化合物のいずれかと、
(i) チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、
(ii) 2-ヒドロキシカルボン酸、
(iii) 塩基及び、
(iv) 場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコール
の反応生成物を含む触媒組成物とを一緒に混合することによって混合物を形成し;
b) イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ前記化合物または、ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ前記化合物のもう一方を、前記混合物に添加し;
c) 前記混合物を、ポリウレタン製品に必要な形状に成形し;
d) 前記混合物を硬化させ;
e) 場合により前記混合物を後硬化状態調節の特定の条件に暴露する、各段階を含む、ポリウレタン製品の製造プロセス。
【請求項2】
前記ポリウレタン製品がフォームであり、及び発泡性触媒を前記段階a)で形成した混合物に添加する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記触媒組成物において、前記アルコールが、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記触媒組成物において、前記2-ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、クエン酸、リンゴ酸または酒石酸を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記触媒組成物において、前記反応生成物中の酸対チタンまたはジルコニウムのモル比は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素1モル当たり酸1〜4モルである、請求項1〜4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記触媒組成物において、前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酢酸アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸セシウム、ジルコニウムヒドロキシカーボネートまたはアンモニアを含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
a) i) イソシアネート基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるヒドロキシル基をもつ化合物、または
ii) ヒドロキシル基含有材料と反応してポリウレタンを形成し得る、1を超えるイソシアネート基をもつ化合物のいずれかと;
b) (i) チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、
(ii) 2-ヒドロキシカルボン酸、
(iii) 塩基及び、
(iv) 場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコール
の反応生成物を含む触媒組成物;並びに場合により
c) 連鎖調節剤、希釈剤、難燃剤、発泡剤、離型剤、水、カップリング剤、リグノセルロース防腐剤、殺菌剤、ワックス、サイズ剤、充填剤、着色剤、耐衝撃性改良剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、難燃剤、可塑剤及び他のバインダーから選択される一種以上の追加の成分を含む組成物。
【請求項8】
(i) チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、またはランタニド元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシド、
(ii) 2-ヒドロキシカルボン酸、
(iii) 塩基及び、
(iv) 場合により、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するアルコール
の反応生成物を含む触媒組成物。
【請求項9】
成分(i)がアルミニウム、鉄(III)またはランタニド族の元素のアルコキシドまたは縮合アルコキシドである、請求項8に記載の触媒組成物。

【公表番号】特表2006−509070(P2006−509070A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556492(P2004−556492)
【出願日】平成15年12月1日(2003.12.1)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005182
【国際公開番号】WO2004/050734
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】