説明

有機電界発光素子の製造方法

【課題】パターニングされた有機電界発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】軟質の高分子フィルム層を備える薄膜転写用のドナーフィルムを利用したパターニングされた有機電界発光素子の製造方法である。これにより、少ないエネルギーによっても転写が可能であり、一度に複数の層を転写できるため、効率的にパターニングされた有機電界発光素子を製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターニングされた有機電界発光(Electroluminescent:EL)素子の製造方法に係り、より具体的には、軟質の高分子フィルム層を含んだ薄膜転写用のドナーフィルムを利用して、光、熱、電気エネルギー及び圧力のうち、一つ以上によって上部ドナー層から下部アクセプタ層に有機層及び金属層を転写して、パターニングされた有機EL素子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、蛍光または燐光有機層に電流を流し、電子と正孔とを有機層で結合させて光を発生させる現象を利用した自発光型素子であって、軽量であり、部品が簡単で、かつ製作工程が簡単であり、高画質及び光視野角の具現が可能である。また、動画を完璧に具現でき、高色純度の具現が可能であり、低消費電力、低電圧駆動で携帯用の電子機器に適した電気的な特性を有している。前記有機EL素子の用途は、ディスプレイまたはバックライトユニット等と非常に多様である。
【0003】
一般的に、有機EL素子は、アノード、カソード、正孔輸送層(Hole Transport Layer:HTL)、発光層(Emitting Layer:EML)及び電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)を備える有機層からなる。また、正孔と電子とをさらに効率的に注入するために、アノードと正孔輸送層との間、そして、電子輸送層とカソードとの間にそれぞれ正孔注入層(Hole Injection Layer:HIL)と電子注入層(Elctron Injection Layer:EIL)とをさらに備えても良い。
【0004】
この際、前記アノードから正孔注入層及び正孔輸送層を介して発光層に注入された正孔と、カソードから電子注入層及び電子輸送層を介して発光層に注入された電子がエキシトンを形成し、このエキシトンから正孔と電子との間のエネルギーに該当する光を発光させる。
【0005】
前記アノードは、仕事関数の大きいITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)のような透明な導電性の物質から選択され、カソードは、仕事関数が小さく、化学的に安定した金属から選択される。
【0006】
有機EL素子の一種として、パッシブマトリックス型の有機EL素子があるが、この素子を用い、複数層からなる有機膜が介在するアノードとカソードとの間に電流を流すと、二つの電極が交差する部分で発光する。この際、前記アノードは、有機EL層の上部に一定のパターンで形成される。
【0007】
一方、有機EL素子のフルカラー化のためには、発光層、電子注入層、正孔注入層等の有機薄膜の微細パターンを形成することが必要である。
【0008】
有機薄膜の微細パターンを形成する方法としては、有機薄膜上にフォトレジストをコーティング、露光及び現像して得られたフォトレジストパターンを利用することにより有機薄膜を微細加工するリソグラフィ法がある。しかし、この方法で形成された有機薄膜は、工程で使用される有機溶媒及び現像液の残留物などにより変形しうるため、実質的に適用するのがほとんど不可能である。さらに、他の方法としては、マスクを利用した真空蒸着法があるが、これは、数十ミクロン以下の微細加工が難しいという問題点がある。
【0009】
特許文献1は、フルカラー有機EL素子において高度にパターニングされた有機層を形成する方法を開示しているが、この方法は、蒸気蒸着の可能な有機EL物質を発熱装置を有する支持体上にコーティングした後、開口マスクを介して前記発光物質を、トランジスタアレイが備えられたOLED(Organic Light Emitting Diode)のボトム電極上に蒸気蒸着によって凹状の表面部に転写させる。この方法は、真空状態で有機物質を加熱して、蒸気状態でシャドーマスクを介して蒸着する熱蒸着に類似した方法である。
【0010】
一方、レーザー転写法でパターニングする方法も知られている。レーザー転写法を使用してパターニングするためには、最小限の光源、転写フィルム及び基板が必要であり、光源から出る光が転写フィルムの光熱変換層により吸収されて熱エネルギーに変換され、この熱エネルギーにより転写フィルムの転写層を構成する物質が基板に転写されて、所望のイメージが形成される。
【0011】
前記光熱変換層は、レーザーを介して入射された光を熱エネルギーに変えねばならないため、熱変換能力の大きい物質、例えば、カーボンブラック、IR−顔料などの有機化合物、アルミニウムなどの金属物質、前記金属物質の酸化物または前記の物質の混合物からなる。
【0012】
特許文献2には、基材フィルム、前記基材フィルムの上部に形成されている光熱変換層、及び前記光熱変換層の上部に形成されており、低分子物質からなる転写層を含み、前記転写層は、レーザーにより熱を伝達されて、レーザーが照射された転写層の一部は、光熱変換層との接着力の変化によって前記転写層が離脱され、レーザーにより照射されていない部分は、接着力により光熱変換層に固定されており、前記転写層に形成されている低分子物質が転写される有機EL素子の基板と前記低分子物質との接着力、及び前記光熱変換層と前記低分子物質との接着力が、前記転写層でレーザーを照射された領域の低分子物質と、レーザーを照射されていない領域の低分子物質との粘着力より大きいため、レーザーを照射された領域の低分子物質とレーザーを照射されていない領域の低分子物質とは、互いに分離されて前記光熱変換層から基板に物質転移が起こったことを特徴とする低分子フルカラー有機EL素子用のドナーフィルムを開示している。
【0013】
しかし、前記レーザー転写方式でパターンを転写する場合、上部ドナーフィルムの可撓性が低下して、下部アクセプタフィルムとの接着力が低く、転写時に多くのエネルギーを必要とする。また、有機物の転写のみが可能であるため、例えば、パッシブマトリックス型の有機EL素子を製造する場合には、有機層パターニング後に金属を蒸着する工程を別途行わねばならないという煩雑さがある。さらに、光熱変換層を必ず必要とする。
【0014】
また、非特許文献1に開示されているコールドウェルディング法は、2種類の異なる基板にコーティングされた金属膜の所望の部分を金属−金属接着力によりスタンピングした後に外す方法であって、基板上に積層された有機層に加えて、その上に全面蒸着されたカソード層上に金属がコーティングされたスタンプを大きな圧力で押圧した後に外すことにより、カソードのパターンを形成する。しかし、この際に大きな圧力を使用し、金属−金属接着力を利用するため、Au−Au、Ag−Ag、Pd−Pd等の仕事関数の大きい金属やそれらの他の金属との合金のみに限定され、転写する方式ではなく、リフト−オフ方式であるため、素子を完成させた後にパターニングする方法のみで使用可能である。
【0015】
一方、非特許文献2に掲載のカソード転写方法としては、ガラスモールドに分離促進層としてSAM層を形成し、その上にアルミニウム層を形成したものを、基板の上のアノード上に積層された有機層に大きな圧力で押圧してカソードを転写する方法もある。しかし、この場合にも、大きな圧力を使用してガラスモールドを使用するため、分離促進層を必ず必要とし、有機層に物理的な損傷を与えるおそれもある。
【0016】
一方、ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、ガラス転移温度の低いシリコン系の弾性ゴムの一種であって、これをモールドとして利用したマイクロコンタクトプリンティング、マイクロモールディング及びナノトランスファプリンティング等の多様なパターニング方法が知られている。
【0017】
特許文献3には、有機EL層が介在した第1電極と第2電極とが交差する部分を発光領域とするパッシブマトリックス型の有機EL素子において、基板上に第1方向に形成された第1電極と、前記第1電極を覆った基板の全面に形成された有機EL層と、前記有機EL層の上部に位置し、前記第1方向と交差する第2方向に位置し、W/L=0.2〜20及びD≧L×20の関係式が成り立つ凹部と凸部とが互いに反復的に構成された凹凸部を有するPDMSモールドによる熱転写方式により外して、パターニングされた第2電極を形成するパッシブマトリックス型の有機EL素子が開示されている。前記方法では、モールドを第2電極に接着させた後に熱硬化させて、前記モールドの凸部と接着する第2電極を基板から外すことにより、パターニングされた第2電極を形成する。しかし、前記方法は、前記のコールドウェルディング法によって全面に蒸着された第2電極を相対的な結合力の差によって外すことを利用するという点で同じ方法である。
【特許文献1】米国特許第5,937,272号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2004−0191564号公報
【特許文献3】韓国特許公開第2003−0073578号公報
【非特許文献1】Kimら、Science,vol 288,p831(2000)
【非特許文献2】Rhee及びLee、Applied Physics Letters,vol.81,p4165,(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明が達成しようとする技術的課題は、ドナーフィルムの転写層と転写しようとするアクセプタフィルムとの接着力が良く、少ないエネルギーでも転写が可能であり、金属層だけでなく有機低分子及び高分子層のような複数の層を一度に転写でき、光熱変換層を必要としない薄膜転写用のドナーフィルムを利用して有機EL素子を製造する方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記技術的課題を達成するために、本発明の第1態様では、基板上にアノードを形成する工程と、前記アノード上に有機層を形成する工程と、前記有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、及び前記高分子フィルム層に形成された金属層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの金属層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記有機層に前記金属層を転写させて、パターニングされたカソードを形成する工程と、を含む有機電界発光素子の製造方法が提供される。
【0020】
本発明の第2態様では、基板上にアノードを形成する工程と、前記アノード上に第1有機層を形成する工程と、前記第1有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、及び前記高分子フィルム層に形成された第2有機層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの第2有機層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記第1有機層に前記第2有機層を転写させて、パターニングされた第2有機層を形成する工程と、前記パターニングされた第2有機層上に金属層を蒸着してカソードを形成する工程と、を含む有機電界発光素子の製造方法を提供する。
【0021】
本発明の第3態様では、基板上にアノードを形成する工程と、前記アノード上に第1有機層を形成する工程と、前記第1有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、前記高分子フィルム層に形成された金属層、及び前記金属層上に形成された第2有機層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの第2有機層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記第1有機層に前記金属層及び第2有機層を転写させて、パターニングされた第2有機層及びカソードを形成する工程と、を含む有機電界発光素子の製造方法が提供される。
【0022】
本発明の一具現例によれば、前記有機層、第1有機層及び第2有機層は、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を備え得る。
【0023】
本発明の他の具現例によれば、前記軟質の高分子フィルム層は、ガラス転移温度が常温以下であり、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコン系のゴムのようなシリコン系エラストマー、ポリブタジエン、ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体などからなりうる。
【0024】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記軟質の高分子フィルム層は、パターニングされた側と反対側の面に支持層をさらに備え得る。
【0025】
本発明の第4態様では、前記方法で製造された有機EL素子が提供される。
【0026】
本発明の有機EL素子の製造方法によれば、金属層と有機層とを一度に転写でき、低いエネルギーでも転写が可能であり、有機層の光化学反応を防止できるため、効率的にパターニングされた有機EL素子を製造できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によって有機EL素子を製造すれば、金属層と有機物層とを一度に複数の層を転写でき、少ないエネルギーでも転写が可能であるため、容易で、かつ効率的にパターニングされた有機EL素子を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明に係るパターニングされた有機EL素子の製造方法は、軟質の高分子フィルム層を含む薄膜転写用のドナーフィルムを使用するところにその特徴がある。前記高分子フィルム層は、厚さが0.5mm以上であることが好ましいが、0.5mm未満ではフィルムが柔軟過ぎて、加工が困難となる場合がある。また、前記高分子フィルムは、凹部と凸部とを有しており、凹部と凹部との間の距離に対する凸部と凸部との間の距離の比率は、好ましくは、0.1以上、さらに好ましくは、0.5以上である。0.1未満では、下部の有機層とのmp接合時に上部の凹部の面が下部有機層と密着するサギング(sagging)現象が発生しうる。また、凸部の高さに対する広さの比率は、好ましくは、0.2以上、さらに好ましくは、1以上である。0.2未満では、凸部が圧力に耐えられずに崩れる現象が発生しうる。
【0030】
すなわち、基板上にアノードを形成した後、前記アノード上に形成される有機層の一部をパターニングするか、または前記有機層上に形成されるカソードをパターニングするか、または前記有機層の一部とカソードとを共にパターニングする場合に、薄膜転写用のドナーフィルムを利用して転写する。
【0031】
前記基板は、ガラスまたはプラスチックから製造されうる。
【0032】
この際、薄膜転写用のドナーフィルムは、ガラス転移温度が常温以下である凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、及び前記高分子フィルム層に形成された金属層、有機層または金属層及び有機層を備えるものであって、従来のレーザー転写法(Laser Induced Thermal Imagig:LITI)に使用されるドナーフィルムとは違って、光熱変換層が必要なく、低エネルギーでも転写が可能であるという利点がある。
【0033】
ガラス転移温度が常温以下である軟質の高分子フィルム層は、転写しようとする層が付着される面が凹凸状にパターニングされたものである。このように凹部と凸部とが存在するように上部基板が備えられることにより、前記ドナーフィルムに光、熱などのエネルギーを加える際に、既存のレーザー転写法で行うようにスキャニングして加える必要がなく、全体的に光を一度に照射してもパターニングが可能であるという長所がある。したがって、単一工程で大量の転写が可能となる。
【0034】
ガラス転移温度が常温以下である前記軟質の高分子フィルム層は、透明なシリコン系エラストマー、ポリブタジエン、ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選択された1種以上であり、最も好ましくは、ポリジメチルシロキサンである。
【0035】
また、前記高分子フィルム層を構成する高分子のガラス転移温度が常温以下であると、下部有機層と接触する時に共形の接触が可能であり、分子と原子との間で発生するファン・デル・ワールス引力が強く、熱または光などを多く加えなくても、高分子フィルム層と被転写層である有機層との接着力に優れており、転写が容易に行われうるため好ましい。
【0036】
まず、カソードのみを薄膜転写用のドナーフィルムを利用して転写して有機EL素子を製造する場合、基板上にアノードを形成する工程と、前記アノード上に有機層を形成する工程と、前記有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、及び前記高分子フィルム層に形成された金属層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの金属層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記有機層に前記金属層を転写させて、パターニングされたカソードを形成する工程と、を含む方法で行われうる。なお、本形態において、金属層は高分子フィルム層の凸部のみならず凹部にも形成されていてもよい。
【0037】
エネルギー源が光である場合、紫外線ランプで一度に全面露光できるため、非常に簡単な操作で大量の転写を行える。照射する光の照射時間は、ランプの強度によって調節されうる。例えば、強度が10mW/cmである場合、5〜10分間処理できる。一度に短い時間に赤外線ランプで転写すべき場合には、選択的に光熱変換層を挿入してもよい。
【0038】
エネルギー源が熱である場合、60ないし80℃の温度で10ないし30分間処理すれば転写が可能である。
【0039】
エネルギー源が圧力である場合には、ドナーフィルム全体にわたって均一な圧力が加えられるようにパターニングされた軟質の高分子フィルム層のパターニングされた側と反対の側に支持層をさらに形成することが好ましい。前記支持層は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルスルホネート、ポリスルホネート、ポリアリレート、フッ素化ポリイミド、フッ素化樹脂、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセテート及びポリイミドからなる群から選択された何れか一つでありうる。
【0040】
圧力は、10kPaないし100mPaの大きさで2ないし60秒間加えうる。電気をエネルギー源として使用する場合に、印加される電流は、1mA/cmないし10A/cmの大きさで1分ないし1時間流し得る。
【0041】
前記金属層は、2.0eVないし6.0eVの仕事関数を有する金属であって、第1金属層及び第2金属層の2層構造であってもよい。このような2層構造の場合、前記軟質の高分子フィルム層に付着される第1金属層は、仕事関数が大きく、前記高分子フィルム層と反応がよく起こらないものが良く、その例としては、Al、Ag、Au、PdまたはPtがある。前記第1金属層に付着される第2金属層は、仕事関数の小さい金属が好ましく、その例としては、Ba、Ca、Mg、CsまたはLi及びこれらの間または他の金属との合金がある。
【0042】
転写しようとする層が金属層である場合、前記金属と軟質の高分子フィルム層との接着力より、前記金属とアクセプタフィルムをなす有機物との間の接着力が大きいため、エネルギーを少しだけ加えても、前記金属層が前記フィルム層から容易に分離されうる。
【0043】
すなわち、PDMSを軟質高分子フィルムとして使用したとした時、次の通りに接着力Wの差は、表面エネルギーγで表現できる。
【0044】
【数1】

【0045】
1が軟質高分子フィルムであり、2が金属であり、3が下部有機層であるとした場合には、最終式の右辺の第2項が第1項より非常に小さい。なぜなら、γ(金属)がγ(下部有機物)やγ(PDMS)より非常に大きいためである。したがって、下部有機層とPDMSとの表面エネルギーの差が接着力の差と等しくなる。PDMSの場合は、表面エネルギーが19.8mJ/mと非常に低いため、下部有機層より弱い結合力を有する。下部有機物が、例えば発光物質であるMEH−PPV[ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)]である場合には、28.0mJ/mと大きい表面エネルギーを示すため、外部エネルギーがなくても長い時間付けておけば、結合力の差によって転写が良好に行われ、外部エネルギー、すなわち、熱を80℃で20分以上加えれば、転写が行われる時間が速くなる。
【0046】
ドナーフィルムによる転写が行われる被転写層である有機層は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を備え、必要に応じて電子注入層、正孔注入層、電子阻止層または正孔阻止層をさらに備え得る。
【0047】
図1A及び図1Bは、薄膜転写用のドナーフィルムを利用して金属層のみを転写して、パターニングされた有機EL素子を製造する方法を示す工程図である。これは、特にパッシブマトリックス型の有機EL素子を製造する際に有効な方法である。
【0048】
図1Aの(a)工程では、パターニングされた軟質の高分子フィルム層101上に金属層102aを蒸着して、薄膜転写用のドナーフィルムを作製する。次いで(b)工程では、前記薄膜転写用のドナーフィルムの金属層102aが、基板105、アノード104上に積層された有機層103上に接触するように位置させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて、ドナーフィルムを外せば、(c)に示すように、金属層102aが有機層103に転写されて有機EL素子が完成する。
【0049】
図1Bは、圧力を加えて転写を行う具現例を示す図面であって、圧力が薄膜転写用のドナーフィルムに均一に加えられるように、軟質の高分子フィルム層101のパターニングされた側と反対の側に支持層100を形成することを除いては、図1Aと同じ工程で行われる。
【0050】
有機層のみを薄膜転写用のドナーフィルムを利用して転写して有機EL素子を製造する場合には、基板上にアノードを形成する工程と、前記アノード上に第1有機層を形成する工程と、前記第1有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、及び前記高分子フィルム層に形成された第2有機層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの第2有機層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記第1有機層に転写させてパターニングされた第2有機層を形成する工程と、前記パターニングされた第2有機層の凸面上に金属層を形成してカソードを形成する工程と、を含む方法で製造できる。
【0051】
前記パターニングされた第2有機層を第1有機層に転写させた後、前記第2有機層上に金属層を蒸着させてカソードを形成できる。前記蒸着方法としては、熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリングがあり、この場合にも1層または2層の金属層を形成できる。
【0052】
前記ドナーフィルムの第2有機層及び転写が起こる第1有機層は、電子輸送層、発光層、正孔輸送層を備えてもよく、必要に応じて電子注入層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層を備え得る。
【0053】
図2A及び図2Bは、薄膜転写用のドナーフィルムを利用して有機層のみを転写してパターニングされた有機EL素子を製造する方法を示す工程図である。
【0054】
図2Aの(a)工程では、パターニングされた軟質の高分子フィルム層201上に第2有機層202bを形成して薄膜転写用のドナーフィルムを作製する。次いで(b)工程では、前記薄膜転写用のドナーフィルムの第2有機層202bが、基板205、アノード204上に積層された第1有機層203上に接触するように位置させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて、ドナーフィルムを外せば、(c)に示すように第2有機層202bが第1有機層203に転写される。その後、(d)工程で、パターニングされた第2有機層202b上に金属層202aを蒸着してカソードを形成することにより、有機EL素子が完成する。
【0055】
図2Bは、圧力を加えて転写を行う具現例を示す図面であって、圧力が薄膜転写用のドナーフィルムに均一に加えられるように、軟質の高分子フィルム層201のパターニングされた側と反対の側に支持層200を形成することを除いては、図2Aと同じ工程で行われる。
【0056】
金属層と有機層とを共に薄膜転写用のドナーフィルムを利用して転写して有機EL素子を製造する場合、基板上にアノードを形成する工程と、前記アノード上に第1有機層を形成する工程と、前記第1有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、及び前記高分子フィルム層に形成された金属層、及び前記金属層上に形成された第2有機層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの第2有機層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記第1有機層に前記金属層及び第2有機層を転写させて、パターニングされた第2有機層及びカソードを形成する工程と、を含む方法で製造できる。
【0057】
図3は、薄膜転写用のドナーフィルムを利用して金属層と第2有機層とを共に転写して、パターニングされた有機EL素子を製造する方法を示す工程図である。
【0058】
図3の(a)工程では、パターニングされた軟質の高分子フィルム層301上に第1金属層302a’、第2金属層302a”、及び第2有機層302bを順に形成して薄膜転写用のドナーフィルムを作製する。次いで(b)工程では、前記薄膜転写用のドナーフィルムの第2有機層302bが基板305、アノード304上に積層された第1有機層303上に接触するように位置させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて、ドナーフィルムを外せば、(c)に示すように金属層302aと第2有機層302bとが第1有機層303に共に転写されて、パターニングされた有機EL素子が完成する。
【0059】
前記ドナーフィルムの第2有機層及び転写が起こる第1有機層は、電子輸送層、発光層、正孔輸送層を備えてもよく、必要に応じて電子注入層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層を備え得る。
【0060】
本発明の方法に使用される薄膜転写用のドナーフィルムは、軟質の高分子フィルム層、好ましくは常温以下のガラス転移温度を有する軟質の高分子フィルム層を製造する工程と、前記高分子フィルム層上に金属層、第2有機層または金属層及び第2有機層を形成させる工程と、を含む方法で製造できる。
【0061】
前記軟質の高分子フィルム層が支持層をさらに備える場合、前記高分子フィルム層上に金属層、第2有機層または金属層と第2有機層とを蒸着させた後、高分子フィルム層の前記層が形成された側と反対の側に支持層を付着させうる。
【0062】
前記パターニングされた軟質の高分子フィルム層は、次のような方法で製造できる。ウェーハ等からなるマスタを準備する。前記マスタは、所定の凹凸パターンを備えている。その後、軟質の高分子フィルム形成用の前駆体溶液を準備する。前記高分子フィルム形成用の前駆体溶液は、多様な化学メーカーから容易に購入であるが、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を得ようとする場合、ダウケミカル社(Dow Chemical Inc.)のSylgard184シリーズを使用できる。準備された高分子フィルム形成用の溶液をマスタに注いだ後、前記溶液を適当な温度及び時間(例えば、PDMSの場合、常温ないし100℃で1時間ないし24時間、好ましくは、60℃ないし80℃で1ないし3時間)で硬化させて、パターニングされた高分子フィルム層を形成する。そして、前記パターニングされた高分子フィルム層をマスタから外す。
【0063】
前記の通りに製造されたパターニングされた高分子フィルム層に、金属層または第2有機層を全面蒸着または塗布させる。この際、側面には蒸着されないように垂直蒸着法を利用するとよい。蒸着工程には、特別な制限がなく、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、熱蒸着法のような多様な蒸着法を使用できる。
【0064】
本発明に係る有機EL素子を構成するアノードは、ITO、IZO、ITZO、Au、Ag、Al、ポリチオフェン、ポリピロール及びポリアニリン誘導体からなる群から選択された何れか一つでありうる。
【0065】
また、本発明に係る有機EL素子を構成するカソードは、2.0eVないし6.0eVの仕事関数を有する金属からなる1層または2層からなりうる。
【0066】
本発明に係る有機EL素子を構成する有機層で正孔注入層は、PEDOT(poly−3,4−ethylenedioxythiophen)、ポリピロール、ポリアニリンのような伝導性の高分子であるか、またはHOMO値が4.5〜6.0eVである有機物でありうる。発光層としては、ポリフルオレン、スピロフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリスルホン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリフェノキサジン、ポリチアジン及びその誘導体を含む高分子物質であるか、または分子量が10000以下である低分子物質でありうる。正孔輸送層は、カルバゾール、アリールアミン系のような正孔輸送機能を有する基を含む有機低分子物質または高分子物質でありうる。電子輸送層は、キノリン、キノキサリン、金属錯体蛍光物質のような電子輸送機能を有する作用基を含む有機低分子物質または高分子物質でありうる。電子注入層は、ハロゲン化金属、酸化金属等からなりうる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。
【0068】
<実施例1>
<薄膜転写用のドナーフィルムの製造(転写層が金属層のみである場合)>
Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を攪拌用の容器で10:1の重量比で混合した。これから得たPDMS形成用の溶液をあらかじめ準備したウェーハで作ったマスタ上に注いだ。前記マスタは、ストライプ状のパターンを備えたものである。マスタ上に注いだPDMS形成用の溶液中の気泡を真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃ないし80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを除去して、PDMSフィルム層を得た。
【0069】
前記で得たPDMSフィルム層のパターニングされた面にAuを1×10−7torr(1.33×10−5Pa)の減圧下で電子ビーム蒸着して、20nmの厚さに蒸着させた。
【0070】
<パターニングされた有機EL素子の製造>
基板及び第1電極としてガラス基板及び15Ω/cm(1200Å)ITOを50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水の中で各5分間超音波で洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄して使用した。前記ITO電極の上部にPFB(Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして、10nmの厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系の発光高分子で70nmの厚さの発光層を形成した後、前記発光層の上部にアルミナキノン(Alq)からなる電子輸送層を30nmの厚さに蒸着した。前記で製造したドナーフィルムの凸部を接触させた後、IRランプで10分間照射して転写を行うことにより、パターニングされたカソードを形成して有機EL素子を完成した。
【0071】
<実施例2>
<薄膜転写用のドナーフィルムの製造(転写層が有機層のみである場合)>
Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を攪拌用の容器で10:1の重量比で混合した。これから得たPDMS形成用の溶液をあらかじめ準備したウェーハで作ったマスタ上に注いだ。前記マスタは、ストライプ状のパターンを備えたものである。マスタ上に注いだPDMS形成用の溶液中の気泡を真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃ないし80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを除去して、PDMSフィルム層を得た。
【0072】
前記で得たPDMSフィルム層のパターニングされた面に電子輸送層をなす第2有機層としてAlqを1×10−7torr(1.33×10−5Pa)の減圧下で30nmに蒸着させた。
【0073】
<パターニングされた有機EL素子の製造>
基板及び第1電極としてガラス基板及び15Ω/cm(1200Å)ITOを50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水の中で各5分間超音波で洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄して使用した。前記ITO電極の上部にPFB(Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして、10nmの厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系の発光高分子で70nmの厚さの発光層を形成した。前記で製造したドナーフィルムの凸部を接触させた後、IRランプで10分間照射して転写を行うことにより、パターニングされた電子輸送層を形成した。前記電子輸送層上に金属Ca/Alを5nm/250nmの厚さに蒸着してカソードを形成することにより、有機EL素子を完成した。
【0074】
<実施例3>
<薄膜転写用のドナーフィルムの製造(転写層が金属層及び有機層である場合)>
Sylgard184A及びSylgard184B(Dow Corning Inc.社製)を攪拌用の容器で10:1の重量比で混合した。これから得たPDMS形成用の溶液をあらかじめ準備したウェーハで作ったマスタ上に注いだ。前記マスタは、ストライプ状のパターンを備えたものである。マスタ上に注いだPDMS形成用の溶液中の気泡を真空ポンプを利用して除去した後、オーブンに入れて60℃ないし80℃でPDMS形成用の溶液を硬化させた後、マスタを除去して、PDMSフィルム層を得た。
【0075】
前記で得たPDMSフィルム層のパターニングされた面に電子ビーム蒸着法により金属Auを20nmに蒸着させた。その後、Caを熱蒸着により5nmに蒸着し、蒸着された前記金属層上に電子輸送層となる第2有機層にAlqを5nmに蒸着させた。
【0076】
<パターニングされた有機EL素子の製造1(光エネルギーを使用した場合)>
基板及び第1電極としてガラス基板及び15Ω/cm(1200Å)ITOを50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水の中で各5分間超音波で洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄して使用した。前記ITO電極の上部にPFB(Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして10nmの厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系の発光高分子で70nmの厚さの発光層を形成した後、前記で製造したドナーフィルムの凸部を接触させた後、IRランプで10分間照射して転写を行うことにより、パターニングされたカソード及び電子輸送層を形成して有機EL素子を完成した。
【0077】
<パターニングされた有機EL素子の製造2(電気エネルギーを使用した場合)>
基板及び第1電極としてガラス基板及び15Ω/cm(1200Å)ITOを50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水の中で各5分間超音波で洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄して使用した。前記ITO電極の上部にPFB(Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして、10nmの厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系の発光高分子で70nmの厚さの発光層を形成した後、前記で製造したドナーフィルムの凸部を接触させた後、アノード及びカソードに接地を連結して30分間1A/cmの電流を流して転写を行うことにより、パターニングされたカソード及び電子輸送層を形成して有機EL素子を完成した。
【0078】
<パターニングされた有機EL素子の製造3(圧力を使用した場合)>
基板及び第1電極としてガラス基板及び15Ω/cm(1200Å)ITOを50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水の中で各5分間超音波で洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄して使用した。前記ITO電極の上部にPFB(Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして10nmの厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系の発光高分子で70nmの厚さの発光層を形成した後、前記で製造したドナーフィルムにガラス支持台を付着して凸部を下側に接触させた後、150kPaの圧力を15秒間加えて転写を行うことにより、パターニングされたカソード及び電子輸送層を形成して有機EL素子を完成した。
【0079】
<比較例1>
<パターニングされた有機EL素子の製造>
基板及び第1電極としてガラス基板及び15Ω/cm(1200℃)ITOを50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコール及び純水の中で各5分間超音波で洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄して使用した。前記ITO電極の上部にPFB(Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして10nmの厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系の発光高分子で70nmの厚さの発光層を形成した後、前記発光層の上部にAlqからなる電子輸送層を30nmの厚さに蒸着した。1×10−7torr(1.33×10−5Pa)の減圧下で熱蒸着によって20nmのAuを蒸着して有機EL素子を完成した。
【0080】
<評価試験1>
本発明に係る方法で製造された有機EL素子の性能をテストするために、前記実施例1で製造した有機EL素子に対して電場の強度による電流及び発光強度を測定し、その結果を図4に示す。
【0081】
図4に示すように、本発明の製造方法で製造された有機EL素子は、ダイオードで表れる電流−電場の特性及び光強度−電場の特性を表すことにより、素子が良好に形成されたということが分かる。
【0082】
<評価試験2>
本発明に係る方法で製造された有機EL素子の性能をテストするために、前記実施例1で製造した有機EL素子に対してMinoltaCS1000とKeithley236とによって効率(輝度/電流)を測定し、さらに、比較例1で製造した有機EL素子についても同様に効率を測定した。測定の結果、実施例1によると0.05cd/Aの効率を示したのに対し、比較例1では効率が0.01cd/Aであったこれにより、本発明による素子製造方法がさらに優れているということが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、有機電界発光に関連した技術分野に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】本発明に係る有機EL素子の製造方法の一具現例を示す図面であって、熱により転写する場合である。
【図1B】本発明に係る有機EL素子の製造方法の一具現例を示す図面であって、圧力により転写する場合である。
【図2A】本発明に係る有機EL素子の製造方法の他の具現例を示す図面であって、熱により転写する場合である。
【図2B】本発明に係る有機EL素子の製造方法の他の具現例を示す図面であって、圧力により転写する場合である。
【図3】本発明に係る有機EL素子の製造方法のさらに他の具現例を示す図面である。
【図4】本発明に係る有機EL素子の電流及び光強度を示す図面である。
【符号の説明】
【0085】
101、201、301 軟質の高分子フィルム層、
100、200 支持層、
102a、202a、302a 金属層、
103、103a 有機層、
203、303 第1有機層、
202b、302b 第2有機層、
104、204、304 アノード、
105、205、305 基板、
302a’ 第1金属層、
302a” 第2金属層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にアノードを形成する工程と、
前記アノード上に有機層を形成する工程と、
前記有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、及び前記高分子フィルム層に形成された金属層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの金属層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記有機層に前記金属層を転写させて、パターニングされたカソードを形成する工程と、
を含む有機電界発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記有機層は、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記軟質の高分子フィルム層は、ガラス転移温度が常温以下であり、シリコン系エラストマー、ポリブタジエン、ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記シリコン系エラストマーは、ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記軟質の高分子フィルム層は、パターニングされた側と反対側の面に支持層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記支持層は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルスルホネート、ポリスルホネート、ポリアリレート、フッ素化ポリイミド、フッ素化樹脂、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセテート及びポリイミドからなる群から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
基板上にアノードを形成する工程と、
前記アノード上に第1有機層を形成する工程と、
前記第1有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、及び前記高分子フィルム層に形成された第2有機層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの第2有機層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記第1有機層に前記第2有機層を転写させて、パターニングされた第2有機層を形成する工程と、
前記パターニングされた第2有機層上に金属層を蒸着してカソードを形成する工程と、を含む有機電界発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記第1有機層及び第2有機層は、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を備えることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記軟質の高分子フィルム層は、ガラス転移温度が常温以下であり、シリコン系エラストマー、ポリブタジエン、ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記シリコン系エラストマーは、ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記軟質の高分子フィルム層は、パターニングされた側と反対側の面に支持層をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
前記支持層は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルスルホネート、ポリスルホネート、ポリアリレート、フッ素化ポリイミド、フッ素化樹脂、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセテート及びポリイミドからなる群から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項13】
基板上にアノードを形成する工程と、
前記アノード上に第1有機層を形成する工程と、
前記第1有機層上に、凹凸状にパターニングされた軟質の高分子フィルム層、前記高分子フィルム層に形成された金属層、及び前記金属層上に形成された第2有機層を備える薄膜転写用のドナーフィルムの第2有機層を接触させた後、熱、光、電気及び圧力のうち、1以上を加えて前記第1有機層に前記金属層及び第2有機層を転写させて、パターニングされた第2有機層及びカソードを形成する工程と、
を含む有機電界発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記第1有機層及び第2有機層は、正孔輸送層、発光層及び電子伝達層を備えることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記軟質の高分子フィルム層は、ガラス転移温度が常温以下であり、シリコン系エラストマー、ポリブタジエン、ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記シリコン系エラストマーは、ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記軟質の高分子フィルム層は、パターニングされた側と反対側の面に支持層をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項18】
前記支持層は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルスルホネート、ポリスルホネート、ポリアリレート、フッ素化ポリイミド、フッ素化樹脂、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセテート及びポリイミドからなる群から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項19】
アノードと、有機層と、カソードとを備え、請求項1ないし18の何れか1項に記載の製造方法により製造された有機電界発光素子。
【請求項20】
前記アノードは、ITO、IZO、ITZO、Au、Ag、Al、ポリチオフェン、ポリピロール及びポリアニリン誘導体からなる群から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項19に記載の有機電界発光素子。
【請求項21】
前記カソードは、2.0eVないし6.0eVの仕事関数を有する金属からなる1層または2層からなることを特徴とする請求項19に記載の有機電界発光素子。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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