説明

有機電界発光素子及びその評価方法

【課題】発光効率が向上すると共に、耐久性も向上した有機電界発光素子及び該有機電界発光素子の評価方法の提供。
【解決手段】陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子であって、前記有機電界発光素子に発光開始電圧以下の電圧を印加し、周波数0.1mHz〜1MHzの範囲でインピーダンス分光法により測定して得られたMプロットにおける虚数部M”の最大値が0.7nF−1以下である略円弧部の数をmとし、前記有機層(ただし、p型ドープ層、n型ドープ層を除く)の層数をnとすると、次式、n>m、を満たす有機電界発光素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(以下、「有機エレクトロルミネッセント素子」、「有機EL素子」と称することもある)及び該有機電界発光素子の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機電界発光素子において、正孔輸送層の正孔移動度と電子輸送層の電子移動度を揃えたり、発光層の正孔移動度及び電子移動度を前記正孔輸送層の正孔移動度及び電子輸送層の電子移動度よりも低下させて再結合確率を向上させ、発光効率を高める技術が提案されている(特許文献1参照)。
これらの移動度の値は、Time−of−flight(TOF)法による膜厚500nm〜2,000nm程度の厚膜サンプルでの測定結果を採用するのが一般的である。しかし、このような厚膜サンプルの移動度の測定値を有機電界発光素子の設計に適用しても期待通りの性能(例えば発光効率など)が得られないという問題がある。これは、実際の有機電界発光素子の各層の厚みは10nm〜100nm程度であり、厚膜サンプルの移動度の測定値と実際の有機電界発光素子の移動度が異なることが原因であると推測される。
【0003】
したがって実際の有機電界発光素子において、より正確に移動度に相当するパラメータを抽出し、有機電界発光素子の設計を行い、発光効率の向上を図ること、及びそのような性能を有する有機電界発光素子を効率よく評価できる有機電界発光素子の評価方法の提供が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−270091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、発光効率が向上すると共に、耐久性も向上した有機電界発光素子及び該有機電界発光素子の評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子であって、
前記有機電界発光素子に発光開始電圧以下の電圧を印加し、周波数0.1mHz〜1MHzの範囲でインピーダンス分光法により測定して得られたMプロットにおける虚数部M”の最大値が0.7nF−1以下である略円弧部の数をmとし、前記有機層(ただし、p型ドープ層、n型ドープ層を除く)の層数をnとすると、次式、n>m、を満たすことを特徴とする有機電界発光素子である。
<2> 次式、n−1>m、を満たす前記<1>に記載の有機電界発光素子である。
<3> Mプロットにおける最も低周波数側に出現する略円弧部が、発光層に帰属する前記<1>から<2>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
<4> 有機電界発光素子における、初期のMプロットにおける略円弧部の数と、駆動時の発光輝度が初期の発光輝度よりも30%低下した時のMプロットにおける略円弧部の数とが同じである前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
<5> 陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子の評価方法であって、
評価対象の有機電界発光素子のMプロットにおける虚数部M”の最大値が0.7nF−1以下である略円弧部の数をmとし、前記有機層(ただし、p型ドープ層、n型ドープ層を除く)の層数をnとすると、次式、n>m、を満たす場合には、前記評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価することを特徴とする有機電界発光素子の評価方法である。
<6> 次式、n−1>m、を満たす場合には、評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価する前記<5>に記載の有機電界発光素子の評価方法である。
<7> 評価対象の有機電界発光素子のMプロットにおける最も低周波数側に出現する略円弧部が、発光層に帰属する場合には、前記評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価する前記<5>から<6>のいずれかに記載の有機電界発光素子の評価方法である。
<8> 有機電界発光素子における、初期のMプロットにおける略円弧部の数と、駆動時の発光輝度が初期の発光輝度よりも30%低下した時のMプロットにおける略円弧部の数とが同じである場合には、評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価する前記<5>から<7>のいずれかに記載の有機電界発光素子の評価方法である。
【0007】
本発明の有機電界発光素子においては、上記インピーダンス分光法により得られるMプロットの略円弧部の数に関する規定を満たすことにより、発光効率が向上すると共に、耐久性も向上する。これは、実際の有機電界発光素子に比べてより正確に移動度を設計したことにより、発光層からの漏れ電荷が関与する劣化が抑制されたためと考えられる。この際、初期に比べて発光輝度が劣化後も、Mプロットの略円弧部の数が変わらないことから、各層間のキャリア移動度の大小関係が初期と変わらないことが重要であると推測できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、発光効率が向上すると共に、耐久性も向上した有機電界発光素子及び該有機電界発光素子の評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、インピーダンス分光法により測定して得られたMプロットの一例を示す図である。
【図2】図2は、インピーダンス分光法により測定して得られたMプロットの他の一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、比較例1の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【図5】図5は、実施例1の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【図6】図6は、比較例2の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【図7】図7は、実施例2の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【図8】図8は、比較例3の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【図9】図9は、実施例3の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【図10】図10は、比較例4の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【図11】図11は、実施例4の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【図12】図12は、実施例5の有機電界発光素子におけるMプロットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(有機電界発光素子)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機層を有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
【0011】
本発明においては、前記有機電界発光素子に発光開始電圧以下の電圧を印加し、周波数0.1mHz〜1MHzの範囲でインピーダンス分光法により測定して得られたMプロットにおける虚数部M”の最大値が0.7nF−1以下である略円弧部の数をmとし、前記有機層(ただし、p型ドープ層、n型ドープ層を除く)の層数をnとすると、次式、n>m、を満たすことが必要であり、n−1>m、を満たすことが好ましい。
前記略円弧部の数mが、前記有機層の層数n以上であると、素子内での正孔と電子のキャリアバランスが崩れ、発光効率低下、駆動耐久性悪化の原因となることがある。
【0012】
例えば、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極の層構成からなる有機電界発光素子について、インピーダンス分光法により測定して得られたMプロットは、図1に示すとおりである。
図1のMプロットには、低周波側から(グラフの左端から)、発光層に帰属する円弧部21、及び正孔輸送層+電子輸送層に帰属する円弧部22の順に2つの円弧部と、P型ドープ層である正孔注入層に帰属する線部23とが出現している。
【0013】
本発明の有機電界発光素子における、前記Mプロットにおける略円弧部の出現数の調整(適正化)は、有機電界発光素子の層構成、各層の材料の選定、各層の製膜条件の調整などにより達成することができる。
【0014】
前記Mプロットにおける略円弧部とは、略円弧状を呈していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば真円弧、楕円弧、半円状、半楕円状、などを広く含む概念である。
前記「略円弧部の数m」は、Mプロットにおける虚数部M”の最大値が0.7nF−1以下である略円弧部の数と定義する。これにより、図1中の23で示すp型ドープ層を除くことができる。
前記Mプロットにおける略円弧部の出現数mは、図1に示すように、隣接する略円弧部21、22の間のくぼみが大きい場合には略円弧部の数mは2つとなる。これに対し、図2に示すように、隣接する略円弧部21、22の間の窪みが浅い場合には、xに対してyが80%以下であれば略円弧部の数mは2つとし、xに対してyが80%を超えると、略円弧部の数mは1つとする。
【0015】
前記「有機層の層数n」は、p型ドープ層、n型ドープ層を除く有機層の層数と定義する。
前記p型ドープ層及びn型ドープ層は、キャリアが多数発生していて電気抵抗が低く、静電容量として検出され難いため、本発明では有機層の層数から除かれる。
前記p型ドープ層としては、例えば正孔注入材料や正孔輸送材料に電子受容性ドーパント(例えば、三酸化モリブデンやF4−TCNQなど)を含有させる構成などが挙げられる。
前記n型ドープ層としては、例えば電子輸送材料に電子供与性ドーパント(リチウム金属やセシウム金属など)を含有させる構成などが挙げられる。
【0016】
ここで、前記インピーダンス分光(Impedance Spectroscopy;IS)法は、微小正弦波電圧信号を有機電界発光素子に印加し、その応答電流信号の振幅と位相からインピーダンスを算出し、印加電圧信号の周波数の関数としてインピーダンススペクトルを得る測定方法である。
印加電圧信号の周波数をパラメータとし、得られたインピーダンスを複素平面上に表示したものをCole−Coleプロットと呼ぶ。インピーダンスより、基本的な伝達関数であるモジュラス、アドミタンス、誘電率を得ることができる。これら4つの伝達関数から、解析目的に適した伝達関数が選択できる(「有機エレクトロニクス素子のインピーダンス分光」 応用物理 第76巻 第11号 2007 1252−1258参照)。
本発明においては、静電容量成分の逆数がわかるモジュラス(M)プロットを採用した。このMプロットでは、略円弧部の直径はその対応する層の静電容量の逆数であるから、膜厚に比例するので、膜厚の評価も可能となる。
【0017】
また、IS法の解析ではCole−Coleプロットの軌跡から有機電界発光素子の等価回路を推定し、その等価回路から計算したCole−Coleプロットの軌跡と測定データとを一致させ、等価回路を決定することが一般的である。
前記IS測定は、例えばSolartron社製ソーラトロン1260型インピーダンスアナライザ及び1296型誘電率測定インターフェースを用い、直流電圧に30〜100mVrmsの交流(周波数範囲は0.1mHz〜10MHz)を重畳して行うことができる。
等価回路解析には、Scribner Associates社製のZViewを用いることができる。
【0018】
本発明においては、Mプロットにおける最も低周波数側に出現する略円弧部が、発光層に帰属することが、発光効率向上の点で好ましい。ここで、前記Mプロットにおける最も低周波数側とは、Mプロットにおける最も左側(グラフの原点側)を意味する。
【0019】
また、本発明においては、有機電界発光素子における、初期のMプロットにおける略円弧部の数と、駆動時の発光輝度が初期の発光輝度よりも30%低下した時のMプロットにおける略円弧部の数とが同じであることが、駆動耐久性向上の点で好ましい。
ここで、前記初期とは、駆動開始時の状態を意味する。
前記発光輝度は、例えば輝度計(トプコン社製、SR−3)を用いて測定することができる。
【0020】
本発明の有機電界発光素子は、上述したように、陽極及び陰極の間に少なくとも発光層を含む有機層を有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の構成を有してなる。
前記有機層は、少なくとも前記発光層を有し、必要に応じて電子輸送層、電子注入層、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、などを有していてもよい。
【0021】
<発光層>
前記発光層は、発光性ドーパントとホスト化合物とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記発光性ドーパントとホスト化合物としては、一重項励起子からの発光(蛍光)が得られる蛍光発光材料とホスト化合物との組み合せでも、三重項励起子からの発光(燐光)が得られる燐光発光材料とホスト化合物との組み合せでもよいが、これらの中でも、発光効率の観点から、燐光発光材料とホスト化合物との組み合せであることが特に好ましい。
なお、前記発光層は、色純度を向上させるためや発光波長領域を広げるために2種類以上の発光性ドーパントを含有することができる。
【0022】
−発光性ドーパント−
前記発光性ドーパントとしては、燐光発光材料及び蛍光発光材料のいずれも用いることができる。
【0023】
−−燐光発光材料−−
前記燐光発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば遷移金属原子、ランタノイド原子を含む錯体などが挙げられる。
前記遷移金属原子としては、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金などが挙げられる。これらの中でも、レニウム、イリジウム、白金が好ましく、イリジウム、白金が特に好ましい。
【0024】
前記ランタノイド原子としては、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウム、などが挙げられる。これらの中でも、ネオジム、ユーロピウム、ガドリニウムが特に好ましい。
前記錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry,Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社、1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、芳香族炭素環配位子(例えば、シクロペンタジエニルアニオン、ベンゼンアニオン、又はナフチルアニオンなど)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、又はフェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、アルコラト配位子(例えば、フェノラト配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子などが挙げられる。これらの中でも、含窒素ヘテロ環配位子が特に好ましい。
【0025】
前記錯体は、化合物中に遷移金属原子を1つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。これらの中でも、燐光発光材料としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【0026】
前記燐光発光材料の含有量は、発光層を形成する全化合物質量に対して、0.5質量%〜40質量%であることが好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、3質量%〜20質量%が更に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、発光効率が小さくなることがあり、40質量%を超えると、燐光発光材料自身の会合により、発光効率が低下することがある。
【0027】
−−蛍光発光材料−−
前記蛍光発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、ペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン又はこれらの誘導体、などが挙げられる。
【0028】
これらの中でも、前記蛍光発光材料の具体例としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化8】

【0029】
前記蛍光発光材料の含有量は、発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、耐久性、発光効率の観点から0.5質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜15質量%が更に好ましい。
【0030】
−ホスト化合物−
前記ホスト化合物としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト化合物及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物を用いることができる。
【0031】
−−正孔輸送性ホスト化合物−−
前記正孔輸送性ホスト化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、ピラゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、又はそれらの誘導体、などが挙げられる。
これらの中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、アザインドール誘導体、アザカルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、分子内にインドール骨格、カルバゾール骨格、アザインドール骨格、アザカルバゾール骨格、又は芳香族第三級アミン骨格を有するものがより好ましく、カルバゾール骨格を有する化合物が特に好ましい。
また、本発明においては、前記ホスト化合物の水素を一部又はすべて重水素に置換したホスト材料を用いることができる(特願2008−126130号明細書、特表2004−515506号公報)。
【0032】
このような正孔輸送性ホスト化合物としての具体的化合物としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【0033】
前記正孔輸送性ホスト化合物の含有量は、発光層を形成する全化合物質量に対して、10質量%〜99.9質量%であることが好ましく、20質量%〜99.5質量%がより好ましく、30質量%〜99質量%が更に好ましい。
【0034】
−−電子輸送性ホスト化合物−−
前記電子輸送性ホスト化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサール、オキサジアゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、又はそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、などが挙げられる。
【0035】
前記電子輸送性ホスト化合物としては、例えば金属錯体、アゾール誘導体(ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体等)、アジン誘導体(ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体等)などが挙げられる。中でも、本発明においては、耐久性の点から金属錯体化合物が好ましい。前記金属錯体化合物は、金属に配位する少なくとも1つの窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。
金属錯体中の金属イオンは、特に制限はなく、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、又はパラジウムイオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、又はパラジウムイオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオン、又はパラジウムイオンである。
【0036】
前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」、Springer−Verlag社、H.Yersin著、1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」、裳華房社、山本明夫著、1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
【0037】
前記配位子としては、例えば含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であってもよい。好ましくは2座以上6座以下の配位子である。また、2座以上6座以下の配位子と単座の混合配位子も好ましい。
前記配位子としては、例えばアジン配位子(例えば、ピリジン配位子、ビピリジル配位子、ターピリジン配位子などが挙げられる)、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(例えば、ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾピリジン配位子などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる)、ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、及びキノリルオキシなどが挙げられる)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる)、ヘテロアリールチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、及び2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる)、シロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、及びトリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる。)、芳香族炭化水素アニオン配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニルアニオン、ナフチルアニオン、及びアントラニルアニオンなどが挙げられる)、芳香族ヘテロ環アニオン配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜25、特に好ましくは炭素数2〜20であり、例えばピロールアニオン、ピラゾールアニオン、ピラゾールアニオン、トリアゾールアニオン、オキサゾールアニオン、ベンゾオキサゾールアニオン、チアゾールアニオン、ベンゾチアゾールアニオン、チオフェンアニオン、及びベンゾチオフェンアニオンなどが挙げられる)、インドレニンアニオン配位子などが挙げられ、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、又はシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、シロキシ配位子、芳香族炭化水素アニオン配位子、又は芳香族ヘテロ環アニオン配位子である。
【0038】
前記金属錯体電子輸送性ホスト化合物としては、例えば特開2002−235076号公報、特開2004−214179号公報、特開2004−221062号公報、特開2004−221065号公報、特開2004−221068号公報、特開2004−327313号公報などに記載の化合物が挙げられる。
【0039】
このような電子輸送性ホスト化合物としては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【化14】

【化15】

【化16】

【0040】
前記電子輸送性ホスト化合物の含有量は、発光層を形成する全化合物質量に対して、10質量%〜99.9質量%であることが好ましく、20質量%〜99.5質量%がより好ましく、30質量%〜99質量%が更に好ましい。
【0041】
前記発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
前記発光層は、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
【0042】
前記発光層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、2nm〜500nmが好ましく、発光効率の観点から、3nm〜200nmがより好ましく、10nm〜200nmが更に好ましい。また、前記発光層は1層であっても2層以上であってもよい。
【0043】
<電子注入層、電子輸送層>
前記電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。
前記電子輸送層としては、前記電子輸送性ホスト材料、前記電子供与性ドーパント等の材料を含み形成される。
【0044】
前記電子注入層、電子輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
前記電子輸送層の厚みとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚みとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
前記電子注入層、電子輸送層は、1種又は2種以上の材料からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0045】
<正孔注入層、正孔輸送層>
前記正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。該正孔注入層及び正孔輸送層は、単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
これらの層に用いられる正孔注入材料又は正孔輸送材料としては、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
前記正孔注入材料又は正孔輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記正孔注入層及び正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。
前記電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
前記無機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモン等のハロゲン化金属;五酸化バナジウム、三酸化モリブデン等の金属酸化物、などが挙げられる。
前記有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基等を有する化合物;キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電子受容性ドーパントの使用量は、特に制限はなく、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料又は正孔注入材料に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.05質量%〜30質量%がより好ましく、0.1質量%〜30質量%が更に好ましい。
【0047】
前記正孔注入層及び正孔輸送層は、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布法、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の厚さは、1nm〜500nmが好ましく、5nm〜250nmがより好ましく、10nm〜200nmが更に好ましい。
【0048】
<正孔ブロック層、電子ブロック層>
前記正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が陰極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記正孔ブロック層を構成する化合物としては、例えばBAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、などが挙げられる。
前記電子ブロック層を構成する化合物としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが利用できる。
【0049】
前記電子ブロック層及び正孔ブロック層は、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布法、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
前記正孔ブロック層及び電子ブロック層の厚さは、1nm〜200nmであるのが好ましく、1nm〜50nmであるのがより好ましく、3nm〜10nmであるのが更に好ましい。また、正孔ブロック層及び電子ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0050】
<電極>
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極、即ち陽極と陰極とを含む。前記有機電界発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明であることが好ましい。通常、陽極は有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、陰極は有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。
前記電極としては、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
前記電極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
【0051】
−陽極−
前記陽極を構成する材料としては、例えば、アンチモン、フッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、又はこれらとITOとの積層物、などが挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物が好ましく、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが特に好ましい。
【0052】
−陰極−
前記陰極を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
前記アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)を魅する。
【0053】
前記電極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができ、例えば印刷方式、コーティング方式等の湿式方式;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式;CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などが挙げられる。これらの中でも、前記電極を構成する材料との適性を考慮し、適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料としてITOを選択する場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って形成することができる。陰極の材料として金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って形成することができる。
【0054】
なお、前記電極を形成する際にパターニングを行う場合は、フォトリソグラフィー等による化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザー等による物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0055】
<基板>
本発明の有機電界発光素子は、基板上に設けられていることが好ましく、電極と基板とが直接接する形で設けられていてもよいし、中間層を介在する形で設けられていてもよい。
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料、などが挙げられる。
【0056】
前記基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。基板は透明でも不透明でもよく、透明な場合は無色透明でも有色透明でもよい。
【0057】
前記基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、例えば窒化珪素、酸化珪素等の無機物などが挙げられる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
【0058】
−その他の構成−
前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層、封止容器、樹脂封止層、封止接着剤などを挙げることができる。
前記保護層、前記封止容器、前記樹脂封止層、前記封止接着剤などの内容としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2009−152572号公報等に記載の事項を適用することができる。
【0059】
本発明の有機電界発光素子の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その層構成としては、例えば、以下の(1)〜(13)の層構成、即ち、(1)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(3)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/陰極、(7)陽極/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/陰極、(8)陽極/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/陰極、(9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、(10)陽極/正孔注入層/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/陰極、(11)陽極/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、(12)陽極/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/陰極、(13)陽極/正孔輸送層兼発光層兼電子輸送層/陰極、などが好適に挙げられる。
【0060】
図3は、本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す概略図である。有機EL素子10は、ガラス基板1上に形成された陽極2(例えばITO電極)と、正孔注入層3と、正孔輸送層4と、発光層5と、電子輸送層6と、電子注入層7と、陰極8(例えばAl−Li電極)とをこの順に積層してなる層構成を有する。なお、陽極2(例えばITO電極)と陰極8(例えばAl−Li電極)とは電源を介して互いに接続されている。
【0061】
−駆動−
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子は、薄膜トランジスタ(TFT)によりアクティブマトリックスへ適用することができる。薄膜トランジスタの活性層としてアモルファスシリコン、高温ポリシリコン、低温ポリシリコン、微結晶シリコン、酸化物半導体、有機半導体、カーボンナノチューブ等を適用することができる。
本発明の有機電界発光素子は、例えば国際公開2005/088726号パンフレット、特開2006−165529号公報、米国特許出願公開2008/0237598号明細書などに記載の薄膜トランジスタを適用することができる。
【0062】
本発明の有機電界発光素子は、特に制限はなく、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板、ITO層、有機層の屈折率を制御する、基板、ITO層、有機層の厚みを制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
本発明の有機電界発光素子からの光取り出し方式は、トップエミッション方式であってもボトムエミッション方式であってもよい。
【0063】
本発明の有機電界発光素子は、共振器構造を有してもよい。例えば、第1の態様では、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明又は半透明電極、発光層、及び金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返して共振する。
第2の態様では、透明基板上に、透明又は半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返して共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長を得るのに最適な値となるよう調整される。
前記第1の態様の場合の計算式は、例えば特開平9−180883号公報に記載されている。
前記第2の態様の場合の計算式は、例えば特開2004−127795号公報に記載されている。
【0064】
−用途−
本発明の有機電界発光素子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
前記有機ELディスプレイをフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する有機EL素子を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の有機電界発光素子による白色発光をカラーフィルターを通して3原色に分ける白色法、青色発光用の有機電界発光素子による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。
【0065】
(有機電界発光素子の評価方法)
本発明の有機電界発光素子の評価方法は、陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子の評価方法であって、
評価対象の有機電界発光素子のMプロットにおける虚数部M”の最大値が0.7nF−1以下である略円弧部の数をmとし、前記有機層(ただし、p型ドープ層、n型ドープ層を除く)の層数をnとすると、次式、n>m、を満たし、好ましくはn−1>m、を満たす場合には、前記評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価するものである。
【0066】
ここで、評価対象の有機電界発光素子が良好であるとは、発光効率及び耐久性を含む性能が高いことを意味し、例えば発光効率のロールオフ低減が少なく、耐久性の初期落ちが抑制でき、輝度劣化後も略円弧部の数に変化がないことを意味する。
【0067】
また、評価対象の有機電界発光素子のMプロットにおける最も低周波側に出現する略円弧部が、発光層に帰属する場合には、特に発光効率の点で、前記評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価できる。
【0068】
また、有機電界発光素子における、初期のMプロットにおける略円弧部の数と、駆動時の発光輝度が初期輝度よりも30%低下した時のMプロットにおける略円弧部の数とが同じである場合には、特に駆動耐久性の点で、前記評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価できる。
【0069】
本発明の有機電界発光素子の評価方法によれば、耐久性まで含めた性能を簡便かつ短時間で非破壊検査でき、安定した素子性能の有機電界発光素子を効率よく評価することができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0071】
(比較例1)
<蛍光発光材料Alqが発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の下記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【化17】

【0072】
次に、正孔注入層(HIL)上に、下記構造式で表される化合物Aを、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【化18】

【0073】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、50質量%の上記構造式で表される化合物Aと50質量%のアルミニウムキノリン錯体(Alq)を、共蒸着して、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【0074】
次に、発光層(EML)上に、アルミニウムキノリン錯体(Alq)を、真空蒸着して、厚み40nmの電子輸送層を形成した。
【0075】
次に、前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0076】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、比較例1の有機電界発光素子を作製した。
得られた比較例1の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の3層である。
【0077】
(実施例1)
<蛍光発光材料Alqが発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の上記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【0078】
次に、正孔注入層(HIL)上に、下記構造式で表されるNPD(N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)を、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【化19】

【0079】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、50質量%の上記構造式で表される化合物Aと50質量%のアルミニウムキノリン錯体(Alq)を、共蒸着して、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【0080】
次に、発光層(EML)上に、下記構造式で表される化合物Bを、真空蒸着して、厚み40nmの電子輸送層を形成した。
【化20】

【0081】
次に、前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0082】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、実施例1の有機電界発光素子を作製した。
この実施例1の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の3層である。
【0083】
次に、比較例1及び実施例1について、以下のようにして、インピーダンス分光法によりMプロットを作成した。比較例1のMプロットを図4、実施例1のMプロットを図5に示す。
【0084】
<インピーダンス分光法によるMプロットの測定>
インピーダンス分光法による測定は、Solartron社製1260型インピーダンスアナライザ及び1296型誘電体インターフェースを用いて行った。印加電圧はDCバイアス+AC(1mV/有機層1nm程度)、周波数範囲は0.1mHz〜1MHzである。等価回路解析には、Scribner Associates社製のZViewを用いた。
【0085】
図4の比較例1のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)発光層、電子輸送層、及び正孔輸送層の順に対応する3つの円弧部が出現しており、有機層の層数n=円弧部の数mであることが分かった。
図5の実施例1のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)、発光層、及び正孔輸送層+電子輸送層の順に対応する2つの円弧部が出現しており、有機層の層数n>円弧部の数mを満たし、最も低周波側の円弧部が発光層に帰属することが認められた。
【0086】
次に、比較例1及び実施例1について、以下のようにして、ロールオフ率、初期落ち時間、及び総合評価を評価した。結果を表1に示す。
【0087】
<ロールオフ率>
ロールオフ率=A/B
ただし、式中、Aは、電流密度が10mA/cm時の外部量子効率(%)を表す。Bは、電流密度が0.1mA/cm時の外部量子効率(%)を表す。
ここで、外部量子効率は、KEITHLEY社製ソースメジャーユニット2400型を用いて直流電流を各有機電界発光素子に通電し、発光させた。その発光輝度と発光スペクトルを、輝度計(トプコン社製、SR−3)を用いて測定した。これらの測定結果をもとに、外部量子効率を発光スペクトル換算法により算出した。
【0088】
<初期落ち時間>
作製した有機電界発光素子を10mA/cmの電流密度で定電流駆動させた際に、発光輝度が初期の発光輝度の90%になる時間(=発光輝度が初期の発光輝度から10%落ちる時間)を測定し、比較例1を100として相対値で示した。
ここで、発光輝度は、輝度計(トプコン社製、SR−3)により測定した。
【0089】
<総合評価>
前記総ての性能評価の結果から、下記基準に基づき総合評価を行った。
〔評価基準〕
◎:総合的に極めて優れている状態
○:総合的に優れている状態
△:総合的に普通である状態
×:総合的に不良である状態
【0090】
【表1】

【0091】
(比較例2)
<燐光発光材料Firpicが発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
【0092】
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の上記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【0093】
次に、正孔注入層(HIL)上に、上記構造式で表されるNPD(N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)を、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0094】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、5質量%の下記構造式で表されるFirpicと71質量%の下記構造式で表されるmCP(N,N’−dicarbazolyl−3,5−benzene)と24質量%の下記構造式で表される化合物Cを、共蒸着して、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【化21】

【化22】

【化23】

【0095】
次に、発光層(EML)上に、BAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))を、真空蒸着して、厚み10nmの正孔ブロック層を形成した。
【0096】
次に、正孔ブロック層上に、上記構造式で表される化合物Cを、真空蒸着して、厚み30nmの電子輸送層を形成した。
【0097】
次に、前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0098】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように真空蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、比較例2の有機電界発光素子を作製した。
この比較例2の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、及び電子輸送層の4層である。
【0099】
(実施例2)
<燐光発光材料Firpicが発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の上記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【0100】
次に、正孔注入層(HIL)上に、上記構造式で表されるNPD(N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)を、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0101】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、5質量%の上記構造式で表されるFirpicと71質量%の上記構造式で表されるmCP(N,N’−dicarbazolyl−3,5−benzene)と24質量%の上記構造式で表される化合物Cを、共蒸着して、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【0102】
次に、発光層(EML)上に、BAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))を、真空蒸着して、厚み10nmの正孔ブロック層を形成した。
【0103】
次に、正孔ブロック層上に、上記構造式で表される化合物Bを、真空蒸着して、厚み30nmの電子輸送層を形成した。
【0104】
次に、前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0105】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように真空蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、実施例2の有機電界発光素子を作製した。
この実施例2の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、及び電子輸送層の4層である。
【0106】
次に、比較例2及び実施例2について、比較例1及び実施例1と同様にして、インピーダンス分光法によりMプロットを作成した。比較例2のMプロットを図6、実施例2のMプロットを図7に示す。
図6の比較例2のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、及び正孔輸送層の順に対応する4つの円弧部が出現しており、有機層の層数n=円弧部の数mであることが分かった。
図7の実施例2のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)、発光層、正孔ブロック層、及び正孔輸送層+電子輸送層の順に対応する3つの円弧部が出現しており、有機層の層数n>円弧部の数mを満たし、最も低周波側の円弧部が発光層に帰属することが認められた。
【0107】
次に、比較例2及び実施例2について、比較例1及び実施例1と同様にして、ロールオフ率、初期落ち時間、及び総合評価を評価した。結果を表2に示す。
【0108】
【表2】

【0109】
(比較例3)
<燐光発光材料(化合物F)が発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の上記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【0110】
次に、正孔注入層(HIL)上に、下記構造式で表される化合物Dを、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【化24】

【0111】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、下記構造式で表される化合物Eに15質量%の下記構造式で表される化合物Fをドープし、共蒸着法により、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【化25】

【化26】

【0112】
次に、発光層(EML)上に、BAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))を、真空蒸着して、厚み40nmの電子輸送層を形成した。
【0113】
次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0114】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように真空蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、比較例3の有機電界発光素子を作製した。
この比較例3の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の3層である。
【0115】
(実施例3)
<燐光発光材料(化合物F)が発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の上記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【0116】
次に、正孔注入層(HIL)上に、上記構造式で表される化合物Dを、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0117】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、上記構造式で表される化合物Eに15質量%の上記構造式で表される化合物Fをドープし、共蒸着法により、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【0118】
次に、発光層(EML)上に、上記構造式で表される化合物Cを、真空蒸着して、厚み40nmの電子輸送層を形成した。
【0119】
次に、前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0120】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように真空蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、実施例3の有機電界発光素子を作製した。
この実施例3の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の3層である。
【0121】
次に、比較例3及び実施例3について、比較例1及び実施例1と同様にして、インピーダンス分光法によりMプロットを作成した。比較例3のMプロットを図8、実施例3のMプロットを図9に示す。
図8の比較例3のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)発光層、電子輸送層、及び正孔輸送層の順に対応する3つの円弧部が出現しており、有機層の層数n=円弧部の数mであることが分かった。
図9の実施例3のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)、発光層、及び正孔輸送層+電子輸送層の順に対応する2つの円弧部が出現しており、有機層の層数n>円弧部の数mを満たし、最も低周波側の円弧部が発光層に帰属することが認められた。
【0122】
次に、比較例3及び実施例3について、比較例1及び実施例1と同様にして、ロールオフ率、初期落ち時間、及び総合評価を評価した。結果を表3に示す。
【0123】
【表3】

【0124】
(比較例4)
<燐光発光材料Ir(piq)acacが発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の上記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【0125】
次に、正孔注入層(HIL)上に、上記構造式で表されるN,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(NPD)を、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0126】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、BAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))に10質量%の下記構造式で表されるIr(piq)acacをドープし、共蒸着法により、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【化27】

【0127】
次に、発光層(EML)上に、アルミニウムキノリン錯体(Alq)を、真空蒸着して、厚み40nmの電子輸送層を形成した。
【0128】
次に、前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0129】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように真空蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、比較例4の有機電界発光素子を作製した。
この比較例4の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の3層である。
【0130】
(実施例4)
<燐光発光材料Ir(piq)acacが発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の上記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【0131】
次に、正孔注入層(HIL)上に、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(NPD)を、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0132】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、BAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))に10質量%の上記構造式で表されるIr(piq)acacをドープし、共蒸着法により、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【0133】
次に、発光層(EML)上に、上記構造式で表される化合物Bを、真空蒸着して、厚み40nmの電子輸送層を形成した。
【0134】
次に、前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0135】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように真空蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、実施例4の有機電界発光素子を作製した。
この実施例4の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の3層である。
【0136】
(実施例5)
<燐光発光材料Ir(piq)acacが発光する有機電界発光素子の例>
−有機電界発光素子の作製−
厚み0.5mm、2.5cm角のガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるようにスパッタ法により設けた。次に、このITO付きガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
次に、ITO付きガラス基板上に、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)に1質量%の上記構造式で表されるF4TCNQ(2,3,5,6−tetrafluoro−7,7,8,8−tetracyanoquinodimethane)をドープし、真空蒸着法により、厚み100nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
【0137】
次に、正孔注入層(HIL)上に、下記構造式で表される化合物Gを、真空蒸着して、厚み30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【化28】

【0138】
次に、正孔輸送層(HTL)上に、BAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))に10質量%の上記構造式で表されるIr(piq)acacをドープし、真空蒸着法により、厚み30nmの発光層(EML)を形成した。
【0139】
次に、発光層(EML)上に、上記構造式で表される化合物Bを、真空蒸着して、厚み40nmの電子輸送層を形成した。
【0140】
次に、前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を厚みが1nmとなるように真空蒸着して、電子注入層を形成した。
【0141】
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウム(Al)を厚み100nmとなるように真空蒸着した。
以上により作製した積層体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、実施例5の有機電界発光素子を作製した。
この実施例5の有機電界発光素子における有機層の層数は、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の3層である。
【0142】
次に、比較例4、実施例4、及び実施例5について、比較例1及び実施例1と同様にして、インピーダンス分光法によりMプロットを作成した。比較例4のMプロットを図10、実施例4のMプロットを図11、実施例5のMプロットを図12に示す。
図10の比較例4のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)発光層、電子輸送層、及び正孔輸送層の順に対応する3つの円弧部が出現しており、有機層の層数n=円弧部の数mであることが分かった。
図11の実施例4のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)、発光層、及び正孔輸送層+電子輸送層の順に対応する2つの円弧部が出現しており、有機層の層数n>円弧部の数mを満たし、最も低周波側の円弧部が発光層に帰属することが認められた。
図12の実施例5のMプロットの結果から、低周波側から(グラフの左端から)、発光層、及び正孔輸送層+電子輸送層の順に対応する2つの円弧部が出現しており、有機層の層数n>円弧部の数mを満たし、最も低周波側(グラフの左端側)の円弧部が発光層に帰属することが認められた。
【0143】
次に、比較例4、実施例4、及び実施例5について、比較例1及び実施例1と同様にして、ロールオフ率、初期落ち時間、及び総合評価を評価した。また、以下のようにして、輝度劣化を評価した。結果を表4に示す。
【0144】
<輝度劣化>
初期の有機電界発光素子のMプロットの円弧部の数と、初期の発光輝度の60%の発光輝度になるまで駆動させた有機電界発光素子のMプロットの円弧部の数を対比することにより、輝度劣化を評価した。
ここで、発光輝度は、輝度計(トプコン社製、SR−3)により測定した。
【0145】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の有機電界発光素子は、発光効率が向上すると共に、耐久性も向上するので、例えば表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
本発明の有機電界発光素子の評価方法は、耐久性まで含めた性能を簡便かつ短時間で非破壊検査でき、安定した素子性能の有機電界発光素子を効率よく評価することができ、高性能な有機電界発光素子を大量に安定供給が可能となる。
【符号の説明】
【0147】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
10 有機電界発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子であって、
前記有機電界発光素子に発光開始電圧以下の電圧を印加し、周波数0.1mHz〜1MHzの範囲でインピーダンス分光法により測定して得られたMプロットにおける虚数部M”の最大値が0.7nF−1以下である略円弧部の数をmとし、前記有機層(ただし、p型ドープ層、n型ドープ層を除く)の層数をnとすると、次式、n>m、を満たすことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項2】
次式、n−1>m、を満たす請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
Mプロットにおける最も低周波数側に出現する略円弧部が、発光層に帰属する請求項1から2のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
有機電界発光素子における、初期のMプロットにおける略円弧部の数と、駆動時の発光輝度が初期の発光輝度よりも30%低下した時のMプロットにおける略円弧部の数とが同じである請求項1から3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子の評価方法であって、
評価対象の有機電界発光素子のMプロットにおける虚数部M”の最大値が0.7nF−1以下である略円弧部の数をmとし、前記有機層(ただし、p型ドープ層、n型ドープ層を除く)の層数をnとすると、次式、n>m、を満たす場合には、前記評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価することを特徴とする有機電界発光素子の評価方法。
【請求項6】
次式、n−1>m、を満たす場合には、評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価する請求項5に記載の有機電界発光素子の評価方法。
【請求項7】
評価対象の有機電界発光素子のMプロットにおける最も低周波数側に出現する略円弧部が、発光層に帰属する場合には、前記評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価する請求項5から6のいずれかに記載の有機電界発光素子の評価方法。
【請求項8】
有機電界発光素子における、初期のMプロットにおける略円弧部の数と、駆動時の発光輝度が初期の発光輝度よりも30%低下した時のMプロットにおける略円弧部の数とが同じである場合には、評価対象の有機電界発光素子が良好であると評価する請求項5から7のいずれかに記載の有機電界発光素子の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−34805(P2011−34805A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179965(P2009−179965)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【特許番号】特許第4554721号(P4554721)
【特許公報発行日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】