説明

有機電界発光素子

【課題】十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れ、かつ大面積化可能であり製造容易な有機EL素子を提供する。
【解決手段】一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された一つまたは複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、前記有機化合物層の一層が、特定の構造を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを1種以上含有する有機電界発光素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」という)に関し、詳しくは、特定の電荷輸送性ポリマーを用いた有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子(以下、「EL素子」という)は、自発光性の全固体素子であり、視認性が高く衝撃にも強いため、広く応用が期待されている。現在は無機蛍光体を用いたものが主流であるが、駆動に200V以上の交流電圧が必要なために製造コストが高く、また輝度が不十分等の問題点を有している。
【0003】
これに対し、有機化合物を用いたEL素子研究は、最初アントラセン等の単結晶を用いて始まったが、単結晶の場合、膜厚が1mm程度と厚く100V以上の駆動電圧が必要であった。そのため蒸着法による薄膜化が試みられている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、この方法で得られた薄膜は、駆動電圧が30Vと未だ高く、また膜中における電子・正孔キャリアの密度が低く、キャリアの再結合によるフォトンの生成確率が低いため十分な輝度が得られなかった。
【0004】
ところが近年、正孔輸送性有機低分子化合物と電子輸送能を持つ螢光性有機低分子化合物の薄膜を真空蒸着法により順次積層した機能分離型のEL素子において、10V程度の低電圧で1000cd/m以上の高輝度が得られるものが報告されており(例えば、非特許文献2参照)、以来、積層型EL素子の研究・開発が活発に行われている。これら積層型素子は、電極から電荷輸送性の有機化合物からなる電荷輸送層を介して正孔と電子のキャリアバランスを保ちながら螢光性有機化合物からなる発光層に注入され、発光層中に閉じ込められた正孔と電子が再結合することにより高輝度の発光を実現している。
【0005】
しかしながら、このタイプのEL素子では実現に向けて下記に示す課題が示されている。
(1)数mAという高い電流密度で駆動されるため、大量のジュール熱を発生する。このため、蒸着によってアモルファスガラス状態で製膜された正孔輸送性低分子や螢光性有機低分子化合物が次第に結晶化し、最後には融解し、輝度の低下や絶縁破壊が生じるという現象が多くみられ、その結果素子の寿命が低下するという問題を有している。
(2)低分子有機化合物を複数の蒸着工程において0.1μm以下の膜厚を形成していくため、ピンホールを生じやすく、十分な性能を得るためには厳しく管理された条件下で膜厚の制御を行うことが必要である。従って生産性が低く大面積化が困難である。
【0006】
上記(1)に示す課題の解決のためには、正孔輸送材料として安定なアモルファスガラス状態が得られるスターバーストアミンを用いたり、ポリフォスファゼンの側鎖にトリフェニルアミンを導入したポリマーを用いたりしたEL素子が報告されている(例えば、非特許文献3、4参照)。しかし、これら単独では正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルに起因するエネルギー障壁が存在するため陽極からの正孔注入性あるいは発光層への正孔注入性を満足するものではない。また、前者のスターバーストアミンの場合、溶解性が小さいため、精製が難しく純度を上げることが困難であることや、後者のポリマーの場合、高い電流密度が得られず、十分な輝度が得られていない等の問題も存在する。
【0007】
次に(2)に示す課題の解決のためには、工程を短縮できる単層構造の有機EL素子について研究・開発が進められ、ポリ(p−フェニレンビニレン)等の導電性高分子を用いた素子や(例えば、非特許文献5参照)、正孔輸送性ポリビニルカルバゾール中に電子輸送材料と螢光色素を混入した素子(例えば、非特許文献6参照)が提案されているが、未だ輝度、発光効率が有機低分子化合物を用いた積層型有機EL素子には及ばない。
【0008】
また、作製法という観点から、製造の簡略化、加工性、大面積化、コスト等の観点から湿式による塗布方式が検討されており、キャスティング法によっても素子が得られることが報告されている(例えば、非特許文献7、8参照)。しかし、電荷輸送材料の溶剤や樹脂に対する溶解性や相溶性が悪いため結晶化しやすく製造上あるいは特性上に問題があった。
【非特許文献1】ThIn SolId FIlms,Vol.94,171(1982)
【非特許文献2】ApplIed PhysIcs Letter,Vol.51,913 1987)
【非特許文献3】第40回応用物理学関係連合講演会予稿集30a−SZK−14(1993)
【非特許文献4】第42回高分子討論会予稿集,20J21(1993)
【非特許文献5】Nature, Vol.357, 477(1992)
【非特許文献6】第38回応用物理学関係連合講演会予稿集31p−g−12(1991)
【非特許文献7】第50回応用物理学会学術講演予稿集,29p−ZP−5(1989)
【非特許文献8】第51回応用物理学会学術講演予稿集,28a−PB−7(1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は従来技術の上記問題点に鑑みてなされた発明であって、その目的は十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れ、且つ大面積可能であり、製造容易な有機EL素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、下記一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造より選択された少なくとも1種を部分構造として含む発光性ポリエーテルが有機EL素子として好適な電荷移動度、薄膜形成能を有することを見出し、さらに、有機化合物層に少なくとも1種の発光性ポリエーテルを含有していることから、高効率高輝度でかつ耐久性を有する有機EL素子として機能することを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、
<1> 少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された一つまたは複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、
前記有機化合物層の少なくとも一層が、下記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを1種以上含有する有機電界発光素子である。
【0012】
【化1】

【0013】

一般式(IA−1)及び(IA−2)中、Arは、置換もしくは未置換の1価の芳香族基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは一般式(IIA−1)及び(IIA−2)で表される基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の分枝鎖状炭化水素基を表す。h、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。
【0014】
【化2】

【0015】
一般式(IIA−1)及び(IIA−2)中、Arは、置換もしくは未置換の2価の芳香族基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環を表し、k、lはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。
【0016】
<2> 前記有機化合物層が少なくとも発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなる<1>に記載の有機電界発光素子である。
【0017】
<3> 前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなる<1>に記載の有機電界発光素子である。
【0018】
<4> 前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなる<1>に記載の有機電界発光素子である。
【0019】
<5> 前記有機化合物層が電荷輸送能を有する発光層1層のみから構成され、前記発光層が、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなる<1>に記載の有機電界発光素子である。
【0020】
<6> 前記発光層が、電荷輸送性材料を含む<2>〜<5>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
【0021】
<7> 前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルが、下記一般式(III−1)で示される発光性ポリエーテルである<1>〜<6>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
【0022】
【化3】

【0023】
一般式(III−1)中、pは5〜5,000の整数を表す。Aは前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択される少なくとも1種を表す。
【0024】
<8> 少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された一つまたは複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、
前記有機化合物層の少なくとも一層が、下記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを1種以上含有する有機電界発光素子である。
【0025】
【化4】

【0026】
一般式(IB−1)及び(IB−2)中、Arは、置換もしくは未置換の1価の芳香族基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは一般式(IIB)で表される基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の分枝鎖状炭化水素基を表す。h、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。
【0027】
【化5】

【0028】
(一般式(IIB)中、Arは、置換もしくは未置換のベンゼン環、置換もしくは未置換の炭素数1〜5のアルキレン基、置換もしくは未置換のシクロヘキサ環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香族2〜10の縮合多環芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香族複素環、少なくとも一種の芳香族複素環を含む置換基で置換された炭素数1〜5のアルキレン基、または、少なくとも一種の芳香族複素環を含む置換基で置換されたシクロヘキサ環を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換のアラルキル基を表す。また、qは1〜10の整数、r、sは0〜10の整数(ただしr、sは共に0となることはない)、uは0または1を表す。)
【0029】
<9> 前記有機化合物層が少なくとも発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなる<8>に記載の有機電界発光素子である。
【0030】
<10> 前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなる<8>に記載の有機電界発光素子である。
【0031】
<11> 前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなる<8>に記載の有機電界発光素子である。
【0032】
<12> 前記有機化合物層が電荷輸送能を有する発光層1層のみから構成され、前記発光層が、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなる<8>に記載の有機電界発光素子である。
【0033】
<13> 前記発光層が、電荷輸送性材料を含む<9>〜<12>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
【0034】
<14> 前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルが、下記一般式(III−1)で示される発光性ポリエーテルである<8>〜<13>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
【0035】
【化6】

【0036】
一般式(III−1)中、pは5〜5,000の整数を表す。Aは上記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択される少なくとも1種を表す。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、十分な輝度を有し、安定性および耐久性に優れ、且つ大面積化可能であり製造容易な有機EL素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1の有機EL素子(以下、「第1の本発明」と称する)は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする。
【0039】
【化7】

【0040】
一般式(IA−1)及び(IA−2)中、Arは、置換もしくは未置換の1価のフェニル基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは一般式(IIA−1)及び(IIA−2)で表される基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の分枝鎖状炭化水素基を表す。h、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。
【0041】
【化8】

【0042】
一般式(IIA−1)及び(IIA−2)中、Arは、置換もしくは未置換の2価のフェニレン基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環を表し、k、lはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。
【0043】
本発明の第2の有機EL素子(以下、「第2の本発明」と称する)は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする。
【0044】
【化9】

【0045】
一般式(IB−1)及び(IB−2)中、Arは、置換もしくは未置換の1価のフェニル基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは一般式(IIB)で表される基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の分枝鎖状炭化水素基を表す。h、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。
【0046】
【化10】

【0047】
(一般式(IIB)中、Arは、置換もしくは未置換のベンゼン環、置換もしくは未置換の炭素数1〜5のアルキレン基、置換もしくは未置換のシクロヘキサ環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香族2〜10の縮合多環芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香族複素環、少なくとも一種の芳香族複素環を含む置換基で置換された炭素数1〜5のアルキレン基、または、少なくとも一種の芳香族複素環を含む置換基で置換されたシクロヘキサ環を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換のアラルキル基を表す。また、qは1〜10の整数、r、sは0〜10の整数(ただしr、sは共に0となることはない)、uは0または1を表す。)
【0048】
本発明の有機EL素子は、有機化合物層の少なくとも一層が前記発光性ポリエーテルを含有してなる層を有することで、十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れる。さらに、前記発光性ポリエーテルを用いることで、大面積化可能であり、容易に製造可能である。また、前記発光性ポリエーテルは、後述する構造を適宜選択することで、発光色を制御でき、併せて正孔及び/または電子電荷輸送能をも付与することができる。このため、目的に応じて電子輸送性を併せ持つ発光層として用いることができる。
【0049】
また、本発明における発光性ポリエーテルは、正孔及び電子電荷輸送性の機能を有する、所謂バイポーラ性の輸送能を有するので、素子として発光層のみの単層構造のみならず積層構造用の発光層材料として適用できるだけでなく、正孔と電子両方のキャリアの輸送能を有しているので発光層内のキャリアバランスが適性に保たれ、結果発光効率などの素子特性向上といった効果を得ることができる。
【0050】
第1の本発明及び第2の本発明は共通する部分が多いため、以下、これらを併せて説明する。したがって、特に断りのない限り、記載の内容は両発明ともに適用されるものである。
【0051】
まず、一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)中、Arは置換もしくは未置換の1価の芳香族基を表す。具体的には、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、または置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素、または置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環、または少なくとも1種の芳香族複素環を含む置換もしくは未置換の1価の芳香族基を表す。
【0052】
ここで、前記Arを表す構造として選択される多核芳香族炭化水素及び縮合芳香族炭化水素を構成する芳香環数は特に限定はされないが、芳香環数が2〜5のものが好ましく、縮合芳香族炭化水素においては、全縮合環芳香族炭化水素が好ましい。なお、当該多核芳香族炭化水素及び縮合芳香族炭化水素とは、本発明においては、具体的には以下に定義される多環式芳香族のことを意味する。
【0053】
すなわち、「多核芳香族炭化水素」とは、炭素と水素から構成される芳香環が2個以上存在し、これらの芳香環同士が炭素−炭素結合によって結合している炭化水素化合物を表す。具体的にはビフェニル、ターフェニル、スチルベン等が挙げられる。また、「縮合芳香族炭化水素」とは、炭素と水素から構成される芳香環が2個以上存在し、これらの芳香環同士が1対の隣接して結合する炭素原子を共有している炭化水素化合物を表す。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、フルオレン等が挙げられる。
【0054】
また、前記Arを表す構造の一つとして選択される芳香族複素環は、炭素と水素以外の元素も含む芳香環を表す。その環骨格を構成する原子数(Nr)はNr=5及び/または6が好ましく用いられる。また、環骨格を構成する炭素原子以外の原子(異種原子)の種類及び数は限定されないが、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が好ましく用いられ、前記環骨格中に2種以上及び/または2個以上の異種原子が含まれていてもよい。特に、5員環構造を有する複素環としてはチオフェン、チオフィン、ピロール、フラン、もしくはこれらの3位及び4位の炭素をさらに窒素で置換した複素環が好ましく用いられ、6員環構造を有する複素環としてはピリジン環が好ましく用いられる。
【0055】
さらに、前記Arを表す構造の一つとして選択される芳香族複素環を含む芳香族基は、骨格を形成する原子団中に、少なくとも1種の前記芳香族複素環を含む結合基を表す。これらは全てが共役系で構成されたもの、あるいは一部が共役系で構成されたもののいずれでもよいが、電荷輸送性や発光効率の点で、全てが共役系で構成されたものが好ましい。
【0056】
一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)中、Arで表される1価の芳香族基の置換基としては、例えば水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。前記アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。前記アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えばフェニル基、トルイル基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基が挙げられ、具体例は前述の通りである。
【0057】
一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)中、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基、または炭素数2〜10の2価の分枝鎖状炭化水素基を表し、好ましくは炭素数が2〜6の2価の直鎖状炭化水素基、及び炭素数3〜7の2価の分枝鎖状炭化水素基より選択される。
Tの具体的な構造を以下に示す。
【0058】
【化11】

【0059】
また、一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)中、h、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。
【0060】
第1の本発明において、一般式(IA−1)及び(IA−2)中、Xは(IIA−1)及び(IIA−2)で示される基を表す。
【0061】
【化12】

【0062】
一般式(IIA−1)及び(IIA−2)中、Arは、置換もしくは未置換の2価の芳香族基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、k、lはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。
【0063】
具体的には、Arは置換もしくは未置換の2価のフェニレン基等を表し、「多核芳香族炭化水素」、「縮合環芳香族炭化水素」、「芳香族複素環」、「芳香族複素環を含む芳香族基」については前述に示す通りである。
【0064】
以下、第1の本発明における一般式(IA−1)で示される構造の具体例を表1〜表9に示し、一般式(IA−2)で示される構造の具体例を表10〜表19に示す。
なお、下記具体例においては、一般式(IA−1)及び(IA−2)におけるh=1であり、Tが存在する場合にはm=1であり、Tが存在しない場合にはm=0である。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
【表7】

【0072】
【表8】

【0073】
【表9】

【0074】
【表10】

【0075】
【表11】

【0076】
【表12】

【0077】
【表13】

【0078】
【表14】

【0079】
【表15】

【0080】
【表16】

【0081】
【表17】

【0082】
【表18】

【0083】
【表19】

【0084】
第2の本発明において、一般式(IB−1)及び(IB−2)中、Xは一般式(IIB)で示される基を表す。
【0085】
【化13】

【0086】
(一般式(IIB)中、Arは、置換もしくは未置換のベンゼン環、置換もしくは未置換の炭素数1〜5のアルキレン基、置換もしくは未置換のシクロヘキサ環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香族2〜10の縮合多環芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香族複素環、少なくとも一種の芳香族複素環を含む置換基で置換された炭素数1〜5のアルキレン基、または、少なくとも一種の芳香族複素環を含む置換基で置換されたシクロヘキサ環を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換のアラルキル基を表す。また、qは1〜10の整数、r、sは0〜10の整数(ただしr、sは共に0となることはない)、uは0または1を表す。)
なお、「多核芳香族炭化水素」、「縮合環芳香族炭化水素」、「芳香族複素環」、「芳香族複素環を含む芳香族基」についても前述に示す通りである。
【0087】
以下、第2の本発明における一般式(IB−1)で示される構造の具体例を表20〜表34に示し、一般式(IB−2)で示される構造の具体例を表35〜表49に示す。構造式中の「Et」はエチル基を表す。
なお、下記具体例においては、一般式(IB−1)及び(IB−2)におけるh=1であり、Tが存在する場合にはm=1であり、Tが存在しない場合にはm=0である。
【0088】
【表20】

【0089】
【表21】

【0090】
【表22】

【0091】
【表23】

【0092】
【表24】

【0093】
【表25】

【0094】
【表26】

【0095】
【表27】

【0096】
【表28】

【0097】
【表29】

【0098】
【表30】

【0099】
【表31】

【0100】
【表32】

【0101】
【表33】

【0102】
【表34】

【0103】
【表35】

【0104】
【表36】

【0105】
【表37】

【0106】
【表38】

【0107】
【表39】

【0108】
【表40】

【0109】
【表41】

【0110】
【表42】

【0111】
【表43】

【0112】
【表44】

【0113】
【表45】

【0114】
【表46】

【0115】
【表47】

【0116】
【表48】

【0117】
【表49】

【0118】
一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルとしては、下記一般式(III−1)で表されるポリエーテルが好適に使用される。
【0119】
【化14】

【0120】
一般式(III−1)中、pは5〜5000の整数を表す。
【0121】
一般式(III−1)中、Aは上記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種、または、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、一つのポリマー中に2種以上の構造Aが含まれていてもよい。
【0122】
本発明で用いられる一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも一種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルの重量平均分子量Mwは、5000〜300000の範囲にあるものが好ましい。さらに、本発明における発光性ポリエーテルのガラス転移点(Tg)は100℃以上であることが好ましい。
【0123】
以下、一般式(III−1)で示される上記の発光性ポリエーテルの具体例を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。尚、表における、モノマーの欄の番号は、一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造の具体例である構造番号に対応している。以下、各番号を付した具体例(化合物)、例えば1−15の番号を付した具体例は表示化合物(1−15)という。
【0124】
【表50】

【0125】
【表51】

【0126】
【表52】

【0127】
【表53】

【0128】
【表54】

【0129】
【表55】

【0130】
本発明の上記ポリエーテルは、下記一般式(III−2)で示されるヒドロキシル基を有する化合物を分子間で縮合させることによって、容易に製造することができる。ここで、下記一般式(III−2)におけるはAは、前記一般式(III−1)におけるAと同様である。
【0131】
【化15】

【0132】
具体的には前記ポリエーテルは、例えば、以下のように合成することができる。
1)上記ポリエーテルは、上記一般式(III−2)で表される化合物(以下、モノマーと略す)を加熱脱水縮合する方法によって合成することができる。この場合、無溶媒でモノマーを加熱溶融し、水の脱離による重合反応を促進させるため減圧下で反応させることが望ましい。
また、溶媒を使用する場合は、水の除去のため、水と共沸する溶媒、例えば、トリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶媒の沸点で反応させるのが好ましい。重合が進まない場合には、反応系から溶媒を除去し、粘ちょう状態で加熱撹拌してもよい。
【0133】
2)上記ポリエーテルは、酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等のプロトン酸、あるいは塩化亜鉛等のルイス酸を用い脱水縮合する方法によって合成することもできる。この場合、モノマー1当量に対して、酸触媒を1〜1/10000〜1/10当量、好ましくは1/1000〜1/50当量の範囲で用いる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いるのが好ましい。溶剤としては、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
【0134】
3)上記ポリエーテルは、イソシアン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアン酸p−トリルや2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン等のシアン酸エステル、ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)、トリクロロアセトニトリル等の縮合剤を用いる方法によっても合成することができる。この場合、縮合剤は、モノマー1当量に対して、1/2〜10当量、好ましくは1〜3当量の範囲で用いられる。溶剤として、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、室温から溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
【0135】
上記1)、2)および3)の合成法のうち、異性化や副反応が起こりにくいことから、合成法1)または3)が好ましい。特に、合成法3)は反応条件がより穏和なことからより好ましい。
【0136】
反応終了後、溶剤を用いなかった場合は溶解可能な溶剤に該ポリエーテルを溶解させてその溶液を、溶剤を用いた場合には、そのままその溶液をメタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン等の非共役系高分子が溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、ポリエーテルを析出させ、ポリエーテルを分離した後、水や有機溶剤で十分に洗浄し、乾燥させる。さらに必要であれば、適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、ポリエーテルを析出させる再沈澱処理を繰り返してもよい。再沈澱処理の際には、メカニカルスターラー等で、効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。
【0137】
再沈澱処理の際にポリエーテルを溶解させる溶剤は、ポリエーテル1質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部の範囲で用いられる。また、貧溶剤はポリエーテル1質量部に対して、1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部の範囲で用いられる。さらに、上記反応において、モノマーを2種以上、好ましくは2〜5種、さらに好ましくは2〜3種用いることにより、共重合ポリマーの合成も可能である。異種のモノマーを共重合することによって、電気特性、成膜性、溶解性および蛍光特性を制御することができる。
【0138】
ポリエーテルの重合度は、低すぎると成膜性に劣り、強固な膜が得られにくく、また、高すぎると溶剤への溶解度が低くなり、加工性が悪くなるため、5〜5000の範囲に設定され、好ましくは10〜3000、より好ましくは15〜1000の範囲である。
【0139】
また、ポリマーの末端は、モノマーと同様にヒドロキシル基、すなわち末端基が水素原子であってよいが、溶解性、成膜性、モビリティー等のポリマー物性に影響を及ぼす場合には、末端基を修飾し物性を制御することができる。例えば、末端のヒドロキシル基を、硫酸アルキル、ヨウ化アルキル等でアルキルエーテル化することができる。具体的な試薬としては、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。
その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウム金属等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。
反応温度は、0℃から使用する溶剤の沸点で行うことができる。
また、その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の不活性溶剤から選んだ単独溶剤、あるいは2〜3種の混合溶剤が使用できる。
【0140】
また、反応によっては、相間移動触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド等の第4級アンモニウム塩を使用することもできる。
また、末端のヒドロキシル基に酸ハロゲン化物を用いアシル化して、末端基をアシル基にすることもできる。
酸ハロゲン化物は特に限定するものではないが、例えばアクリロイルクロリド、クロトノイルクロリド、メタクリロイルクロリド、n−ブチルクロリド、2−フロイルクロリド、ベンゾイルクロリド、シクロヘキサンカルボニルクロリド、エナンチルクロリド、フェニルアセチルクロリド、o−トルオイルクロリド、m−トルオイルクロリド、p−トルオイルクロリド等があげられ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。
その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒としては、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等から任意に選ぶことができ、酸クロリドに対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。
その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチルン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等があげられる。反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、0℃から30℃の範囲で行う。さらに、無水酢酸等の酸無水物を用いてもアシル化することができる。溶剤を用いる場合は、具体的には、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の不活性溶剤を使用することができる。反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、40℃から溶剤の沸点で行えばよい。
【0141】
そのほか、モノイソシアネートを用い、末端にウレタン残基(−CONH−R′)を導入することができる。具体的なモノイソシアネートとしては、イソシアン酸ベンジルエステル、イソシアン酸n−ブチルエステル、イソシアン酸t−ブチルエステル、イソシアン酸シクロヘキシルエステル、イソシアン酸2,6−ジメチルエステル、イソシアン酸エチルエステル、イソシアン酸イソプロピルエステル、イソシアン酸2−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸4−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸n−オクタデシルエステル、イソシアン酸フェニルエステル、イソシアン酸i−プロピルエステル、イソシアン酸m−トリルエステル、イソシアン酸p−トリルエステル、イソシアン酸1−ナフチルエステル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。
その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等をあげることができる。
反応温度は、0℃から使用溶剤の沸点で行うことができる。反応が進みにくい場合は、ジラウリン酸ジブチルスズ(II)、オクチル酸スズ(II)、ナフテン酸鉛等の金属化合物、あるいはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の3級アミンを触媒として添加することもできる。
【0142】
次に、本発明の有機EL素子の層構成について詳記する。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極と、それら電極間に挾持された発光層を含む一つまたは複数の有機化合物層より構成され、該有機化合物層の少なくとも発光層に、上記に説明したような発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなるものであればその層構成は特に限定されない。
【0143】
本発明の有機EL素子においては、有機化合物層が1つの場合は、有機化合物層は電荷輸送能を持つ発光層を意味し、該発光層が前記発光性ポリエーテルを含有してなる。一方、有機化合物層が複数の場合(即ち、各層が異なる機能を有する機能分離型の場合)は、少なくともいずれか一層が発光層からなり、この発光層は電荷輸送能を持つ発光層であってもよい。
【0144】
この場合、前記発光層あるいは前記電荷輸送能を持つ発光層と、その他の層からなる層構成の具体例としては、
(1)発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層と、から構成される層構成、
(2)正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層と、から構成される層構成、
(3)正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層と、から形成される層構成、
が挙げられ、これら層構成(1)〜(3)の発光層及び電荷輸送能を持つ発光層以外の層は、電荷輸送層や電荷注入層としての機能を有する。
【0145】
なお、層構成(1)〜(3)のいずれの層構成においても、いずれか一層に前記発光性ポリエーテルが含まれていればよいが、いずれの層構成においても、発光層に前記発光性ポリエーテルが含有されていることが好ましい。
【0146】
また、本発明の有機EL素子においては、電荷輸送機能を持つ発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層は、前記発光性ポリエーテル以外の電荷輸送性化合物(正孔輸送材料、電子輸送材料)を更に含んでもよい。このような電荷輸送性化合物の詳細については後述する。
【0147】
以下、図面を参照しつつ、より詳細に説明するが、これらに限定されるわけではない。
図1〜図4は、本発明の有機EL素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、図3の場合は、有機化合物層が複数の場合の一例であり、図4の場合は、有機化合物層が1つの場合の例を示す。なお、図1〜図4において、同様の機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
【0148】
図1に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、発光層4、電子輸送層及び/または電子注入層5及び背面電極7が順次積層されたもので、層構成(1)に相当するものである。但し、符号5で示される層が、電子輸送層及び電子注入層からなる場合には、発光層4の背面電極7側に、電子輸送層、電子注入層、背面電極7がこの順に積層される。
図2に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層及び/または正孔注入層3、発光層4、電子輸送層及び/または電子注入層5及び背面電極7が順次積層されたもので、層構成(2)に相当するものである。但し、符号3で示される層が、正孔輸送層及び正孔注入層からなる場合には、透明電極2の背面電極7側に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層4がこの順に積層される。
【0149】
図3に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層及び/または正孔注入層3、発光層4及び背面電極7が順次積層されたもので、層構成(3)に相当するものである。但し、符号3で示される層が、正孔輸送層及び、正孔注入層からなる場合には、透明電極2の背面電極7側に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層4がこの順に積層される。
図4に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、電荷輸送能を持つ発光層6及び背面電極7が順次積層されたものである。
【0150】
以下、各々を詳しく説明する。
本発明における前記発光性ポリエーテルを含有してなる有機化合物層は、その構造によっては、図1に示される有機EL素子の層構成の場合、発光層4、電子輸送層5としていずれも作用することができるし、また、図2に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5としていずれも作用することができ、図3に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3、発光層4としていずれも作用することができ、図4に示される有機EL素子の層構成の場合、電荷輸送能を持つ発光層6として作用することができる。
【0151】
図1〜図4に示される有機EL素子の層構成の場合、透明絶縁体基板1は、発光を取り出すため透明なものが好ましく、ガラス、プラスチックフィルム等が用いられるがこれに限られるものではない。また、透明電極2は、透明絶縁体基板と同様に発光を取り出すため透明であって、かつ正孔の注入を行うため仕事関数の大きなものが好ましく、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化膜、及び蒸着或いはスパッタされた金、白金、パラジウム等が用いられるがこれに限られるものではない。
【0152】
図1及び図2に示される有機EL素子の層構成の場合、電子輸送層5は、目的に応じて機能(電子輸送能)が付与された電子輸送材料より形成される。このような電子輸送材料としては、好適にはオキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。好適な具体例として、下記例示化合物(VII−1)〜(VII−3)が挙げられるが、これらに限定されたものではない。また、単独ではなく複数の電子輸送材料と組み合わせてもよい。
【0153】
【化16】

【0154】
図2及び図3に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3は、目的に応じて機能(正孔輸送能)が付与された正孔輸送材料より構成される。このような正孔輸送材料としては、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物等、好適な具体例として下記例示化合物(VIII−1)〜(VIII−9)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、単独ではなく複数の正孔輸送性材料と組み合わせてもよい。ここで、nおよびxは1以上の整数を表す。
【0155】
【化17】

【0156】
【化18】

【0157】
図1〜図4に示されるに示される有機EL素子の層構成の場合、発光層4および電荷輸送能を有する発光層6は、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位より構成される発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有する。
本発明において、発光層4は、有機電界発光素子の耐久性向上或いは発光効率の向上を目的として、本発明に用いられる発光性ポリエーテルに対して、正孔移動度を調節するための正孔輸送材料を0.1質量%ないし50質量%の範囲で混合分散して形成されてもよい。また、電荷輸送能を有する発光層6は、正孔移動度を調節するための正孔輸送材料を0.1質量%ないし50質量%の範囲で混合分散して形成される。このような正孔輸送材料としては、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物が挙げられるが、該発光性ポリエーテルとの相溶性が良いことから、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体が好ましい。
【0158】
また、発光層4は、正孔輸送材料を混合分散する際の同様の目的として、本発明に用いられる発光性ポリエーテルに対して、電子移動度を調節するための電子輸送材料を0.1質量%ないし50質量%の範囲で混合分散して形成されてもよい。また、電荷輸送能を有する発光層6は、電子移動度を調節するための電子輸送材料を0.1質量%ないし50質量%の範囲で混合分散して形成される。このような電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。
また、正孔移動度および電子移動度の両方の調整が必要な場合は、該発光性ポリエーテルに正孔輸送材料および電子輸送材料の両方を一緒に混在させてもよい。
【0159】
また、発光層4および電荷輸送能を有する発光層6は、発光強度の向上、色純度、発光スペクトルの調整にゲスト材料として異なる色素化合物をドーピングしてもよい。ドーピングされる色素化合物としては、有機低分子でもよいし、有機高分子でもよい。
ドーピングされる色素化合物が有機低分子である場合の好適な例としては、キレート型有機金属錯体、多核または縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体等が、高分子である場合の好適な例としては、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体等が用いられる。好適な具体例として、好適な具体例として、下記の化合物(IX−1)〜(IX−17)が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
【化19】

【0161】
【化20】

【0162】
構造式(IX−1)〜(IX−17)中、nおよびxは1以上の整数を、yは0または1を示す。また、構造式(IX−16)及び(IX−17)中、Arは置換もしくは未置換の1価又は2価の芳香族基を表す。構造式(IX−17)中、Xは2価の芳香族基を表す。
【0163】
実際には、発光性ポリエーテル溶液または分散液中に混合することでドーピングを行う。発光層中における色素化合物のドーピングの割合としては0.001質量%〜40質量%程度、好ましくは0.01質量%〜10質量%程度である。このようなドーピングに用いられる色素化合物としては、発光材料との相容性が良く、かつ発光層の良好な薄膜形成を妨げない有機化合物が用いられ、好適にはDCM誘導体、キナクリドン誘導体、ルブレン誘導体、ポルフィリン系化合物等が挙げられる。好適な具体例として、下記の化合物(X−1)〜(X−4)が用いられるが、これらに限定されたものではない。
【0164】
【化21】

【0165】
図1〜図4に示される有機EL素子の層構成の場合、背面電極7には、真空蒸着可能で、電子注入を行うため仕事関数の小さな金属が使用されるが、特に好ましくはマグネシウム、アルミニウム、銀、インジウムおよびこれらの合金、もしくはフッ化リチウムや酸化リチウム等の金属ハロゲン化合物や金属酸化物である。また、背面電極7上には、さらに素子の水分や酸素による劣化を防ぐために保護層を設けてもよい。具体的な保護層の材料としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Alなどの金属、MgO、SiO、TiO等の金属酸化物、ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、コーティング法が適用できる。
【0166】
これら図1〜図4に示される有機電界発光素子は、まず透明電極2の上に各有機電界発光素子の層構成に応じた個々の層を順次形成することにより作製される。なお、正孔輸送層及び/又は正孔注入層3、発光層4、電子輸送層及び/又は電子注入層5、或いは、電荷輸送機能を持つ発光層6は、上記各材料を真空蒸着法、もしくは、適切な有機溶媒に溶解或いは分散し、得られた塗布液を用いて前記透明電極上にスピンコーティング法、キャスト法、ディップ法等により形成される。
【0167】
また、正孔輸送層および/または正孔注入層3、発光層4、電子輸送層および/または電子注入層5、並びに、電荷輸送機能を持つ発光層6の膜厚は、各々10μm以下、特に0.001から5μmの範囲であることが好ましい。上記各材料(発光性ポリエーテル、発光材料等)の分散状態は分子分散状態でも微結晶などの微粒子状態でも構わない。塗布液を用いた成膜法の場合、分子分散状態とするために分散溶媒は上記各材料の分散性及び溶解性を考慮して選択する必要がある。微粒子状に分散するためには、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、アトライター、ホモジナイザー、超音波法等が利用できる。
【0168】
そして、最後に、図1および図2に示す有機電界発光素子の場合には、電子輸送層および/または電子注入層5の上に背面電極7を真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することにより本発明の有機電界発光素子が完成される。また、図3に示す有機電界発光素子の場合には、発光層4の上に背面電極7を、図4に示す有機電界発光素子の場合には、電荷輸送機能を持つ発光層6の上に背面電極7を真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することにより本発明の有機電界発光素子が完成される。
【0169】
本発明の有機EL素子は、一対の電極間に、例えば、4〜20Vで、電流密度1〜200mA/cmの直流電圧を印加することによって発光させることができる。
【実施例】
【0170】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<第1の本発明に関する実施例>
【0171】
(実施例1−1)
下記発光性ポリエーテル(A−1)を用いた。
【0172】
【化22】

【0173】
発光性ポリエーテル(A−1)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは1.15×10(スチレン換算)、Mw/Mnは2.86であり、モノマーの分子量から求めたpは約130であった。
【0174】
発光層用材料として発光性ポリエーテル(A−1)を5質量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。
この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.05μmの発光層を形成した。十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエステル〔下記例示化合物(XVIII)〕(Mw=8.08×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.21)を5質量%ジクロロエタン溶液として調製し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.03μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0175】
【化23】

【0176】
(実施例1−2)
下記発光性ポリエーテル(A−2)を用いた。
【0177】
【化24】

【0178】
発光性ポリエーテル(A−2)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは7.93×10(スチレン換算)、Mw/Mnは3.0であり、モノマーの分子量から求めたpは約76であった。
【0179】
正孔輸送層用材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−9)〕(Mw=1.04×10(スチレン換算)、Mw/Mn=1.87)を5質量%クロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.03μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光層用材料として発光性ポリエーテル(A−2)を5質量%ジクロロエタン溶液として調整し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚0.03μmの発光層を形成した。さらに十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(XVIII)〕を5質量%ジクロロエタン溶液として調整し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.03μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0180】
(実施例1−3)
下記発光性ポリエーテル(A−3)を用いた。
【0181】
【化25】

【0182】
発光性ポリエーテル(A−3)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは7.13×10(スチレン換算)、Mw/Mnは3.51であり、モノマーの分子量から求めたpは約74であった。
【0183】
正孔輸送層用材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−9)〕(Mw=1.04×10(スチレン換算)、Mw/Mn=1.87)を5質量%クロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.03μmの正孔輸送層を形成した。十分乾燥させた後、発光層用材料として発光性ポリエーテル(A−3)を5質量%ジクロロエタン溶液として調整し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚0.05μmの発光層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0184】
(実施例1−4)
下記発光性ポリエーテル(A−4)を用いた。
【0185】
【化26】

【0186】
発光性ポリエーテル(A−4)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは1.03×10(スチレン換算)、Mw/Mnは2.91であり、モノマーの分子量から求めたpは約158であった。
【0187】
正孔輸送材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−9)〕(Mw=1.04×10(スチレン換算)、Mw/Mn=1.87)を0.5質量部と発光材料として発光性ポリエーテル(A−4)を0.1質量部混合し、5質量%クロロベンゼン溶液を調製し、目開き0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上にスピンコート法により塗布して膜厚0.05μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成し、最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0188】
(実施例1−5)
下記発光性ポリエーテル(A−5)を用いた。
【0189】
【化27】

【0190】
発光性ポリエーテル(A−5)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは5.34×10(スチレン換算)、Mw/Mnは2.83であり、モノマーの分子量から求めたpは約66であった。
【0191】
実施例1−4において、発光性ポリエーテル(A−4)の代わりに発光性ポリエーテル(A−5)を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
【0192】
(実施例1−6)
下記発光性ポリエーテル(A−6)を用いた。
【0193】
【化28】

【0194】
発光性ポリエーテル(A−6)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは4.89×10(スチレン換算)、Mw/Mnは3.3であり、モノマーの分子量から求めたpは約47であった。
【0195】
実施例1−4において、発光性ポリエーテル(A−4)の代わりに発光性ポリエーテル(A−6)を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
【0196】
<第2の本発明に関する実施例>
(実施例2−1)
下記発光性ポリエーテル(B−1)を用いた。
【0197】
【化29】

【0198】
発光性ポリエーテル(B−1)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは1.30×10(スチレン換算)、Mw/Mnは3.1であり、モノマーの分子量から求めたpは約130であった。
【0199】
発光層用材料として発光性ポリエーテル(B−1)を5質量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。
この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.05μmの発光層を形成した。十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエステル〔前記例示化合物(XVIII)〕(Mw=8.08×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.21)を5質量%ジクロロエタン溶液として調製し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.03μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0200】
(実施例2−2)
下記発光性ポリエーテル(B−2)を用いた。
【0201】
【化30】

【0202】
発光性ポリエーテル(B−2)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは9.11×10(スチレン換算)、Mw/Mnは2.93であり、モノマーの分子量から求めたpは約84であった。
【0203】
正孔輸送層用材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−9)〕(Mw=1.04×10(スチレン換算)、Mw/Mn=1.87)を5質量%クロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.03μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、発光層用材料として発光性ポリエーテル(B−2)を5質量%ジクロロエタン溶液として調整し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚0.03μmの発光層を形成した。さらに十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(XVIII)〕(Mw=8.08×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.21)を5質量%ジクロロエタン溶液として調整し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.03μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0204】
(実施例2−3)
下記発光性ポリエーテル(B−3)を用いた。
【0205】
【化31】

【0206】
発光性ポリエーテル(B−3)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは6.26×10(スチレン換算)、Mw/Mnは3.12であり、モノマーの分子量から求めたpは約55であった。
【0207】
正孔輸送層用材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−9)〕(Mw=1.04×10(スチレン換算)、Mw/Mn=1.87)を5質量%クロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.03μmの正孔輸送層を形成した。十分乾燥させた後、発光層用材料として発光性ポリエーテル(B−3)を5質量%ジクロロエタン溶液として調整し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚0.05μmの発光層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0208】
(実施例2−4)
下記発光性ポリエーテル(B−4)を用いた。
【0209】
【化32】

【0210】
発光性ポリエーテル(B−4)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは5.11×10(スチレン換算)、Mw/Mnは3.21であり、モノマーの分子量から求めたpは約43であった。
【0211】
正孔輸送材料として電荷輸送性ポリエステル〔例示化合物(VIII−9)〕(Mw=1.04×10(スチレン換算)、Mw/Mn=1.87)を0.5質量部と発光材料として発光性ポリエーテル(B−4)を0.1質量部混合し、5質量%クロロベンゼン溶液を調製し、目開き0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上にスピンコート法により塗布して膜厚0.05μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成し、最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0212】
(実施例2−5)
下記発光性ポリエーテル(B−5)を用いた。
【0213】
【化33】

【0214】
発光性ポリエーテル(B−5)の分子量をGPCにて測定したところ、Mwは5.88×10(スチレン換算)、Mw/Mnは3.25であり、モノマーの分子量から求めたpは約51であった。
【0215】
発光層用材料として発光性ポリエーテル(B−5)を5質量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。
この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.05μmの発光層を形成した。十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエステル〔前記例示化合物(XVIII)〕(Mw=8.08×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.21)を5質量%ジクロロエタン溶液として調製し、目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.03μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
【0216】
(比較例1)
発光層用材料として発光性高分子〔下記例示化合物(XXIV)、ポリフルオレン系〕(Mw=7.64×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.34)を使用した以外は、実施例1−1と同様にして素子を作製した。
【0217】
【化34】

【0218】
(比較例2)
発光層用材料として発光性高分子〔下記例示化合物(XXV)、PPV系〕(Mw=8.03×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.11)を使用した以外は、実施例1−2と同様にして素子を作製した。
【0219】
【化35】

【0220】
(比較例3)
発光層用材料として発光性高分子〔例示化合物(XXV)、PPV系〕(Mw=8.03×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.11)を使用した以外は、実施例1−3と同様にして素子を作製した。
【0221】
(比較例4)
発光層用材料として昇華精製したAlq〔例示化合物(IX−1)〕をタングステンボードに入れ、真空蒸着法により蒸着して、正孔輸送層上に膜厚0.05μmの発光層を形成した以外は、実施例1−3と同様にして素子を作製した。(蒸着時の真空度は10−5Torr、ボート温度は300℃であった。)
【0222】
(比較例5)
発光材料として発光性高分子〔例示化合物(XXV)、PPV系〕を使用した以外は、実施例1−4と同様にして素子を作製した。
【0223】
(比較例6)
発光層用材料として昇華精製したオリゴチオフェン系化合物〔例示化合物(XXVI)〕をタングステンボートに入れ、真空蒸着法により蒸着して、正孔輸送層上に膜厚0.05μmの発光層を形成した以外は、実施例1−3と同様にして素子を作製した(蒸着時の真空度は10−5Torr、ボート温度は300℃であった)。
【0224】
【化36】

【0225】
(評価)
以上のように作製した有機EL素子を、真空中(133.3×10−3Pa(10−5Torr))でITO電極側をプラス、Mg−Ag背面電極をマイナスとして直流電圧を印加し、発光について測定を行い、このときの立ち上がり電圧、最高輝度、および最高輝度時の駆動電流密度を評価した。それらの結果を表56に示す。また、乾燥窒素中で有機EL素子の発光寿命の測定を行った。発光寿命の評価は、初期輝度が50cd/mとなるように電流値を設定し、定電流駆動により輝度が初期値から半減するまでの時間を素子寿命(hour)とした。この時の素子寿命も表56に示す。
【0226】
【表56】

【0227】
実施例、比較例から、上記一般式(IA−1)及び(IA−2)または一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し構造単位からなる発光性ポリエーテルは、有機EL素子に好適な発光特性、イオン化ポテンシャルおよび電荷移動度を持ち、スピンコーティング法、ディップ法等を用いて良好な薄膜を形成することが可能であることがわかる。また、安定で高輝度、高効率な特性を示す。よって、本発明の有機EL素子は、ピンホール等の不良も少なく、大面積化も容易であり、しかも優れた耐久性と発光特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。
【図3】本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。
【図4】本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。
【符号の説明】
【0229】
1 透明絶縁体基板
2 透明電極
3 正孔輸送層及び/または正孔注入層
4 発光層
5 電子輸送層及び/または電子注入層
6 電荷輸送機能を有する発光層
7 背面電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された一つまたは複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、
前記有機化合物層の少なくとも一層が、下記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【化1】

(一般式(IA−1)及び(IA−2)中、Arは、置換もしくは未置換の1価の芳香族基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは一般式(IIA−1)及び(IIA−2)で表される基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の分枝鎖状炭化水素基を表す。h、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。)
【化2】

(一般式(IIA−1)及び(IIA−2)中、Arは、置換もしくは未置換の2価の芳香族基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環を表し、k、lはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。)
【請求項2】
前記有機化合物層が少なくとも発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記有機化合物層が電荷輸送能を有する発光層1層のみから構成され、前記発光層が、前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルが、下記一般式(III−1)で示される発光性ポリエーテルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【化3】

(一般式(III−1)中、pは5〜5,000の整数を表す。Aは前記一般式(IA−1)及び(IA−2)で示される構造から選択される少なくとも1種を表す。)
【請求項8】
少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された一つまたは複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、
前記有機化合物層の少なくとも一層が、下記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【化4】

(一般式(IB−1)及び(IB−2)中、Arは、置換もしくは未置換の1価の芳香族基、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素もしくは置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは一般式(IIB)で表される基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の分枝鎖状炭化水素基を表す。h、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を表す。)
【化5】

(一般式(IIB)中、Arは、置換もしくは未置換のベンゼン環、置換もしくは未置換の炭素数1〜5のアルキレン基、置換もしくは未置換のシクロヘキサ環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香族2〜10の縮合多環芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香族複素環、少なくとも一種の芳香族複素環を含む置換基で置換された炭素数1〜5のアルキレン基、または、少なくとも一種の芳香族複素環を含む置換基で置換されたシクロヘキサ環を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換のアラルキル基を表す。また、qは1〜10の整数、r、sは0〜10の整数(ただしr、sは共に0となることはない)、uは0または1を表す。)
【請求項9】
前記有機化合物層が少なくとも発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層及び/または電子注入層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び/または正孔注入層と、発光層とから構成され、少なくとも前記発光層が、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
前記有機化合物層が電荷輸送能を有する発光層1層のみから構成され、前記発光層が、前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルを少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項14】
前記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる発光性ポリエーテルが、下記一般式(III−1)で示される発光性ポリエーテルであることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【化6】

(一般式(III−1)中、pは5〜5,000の整数を表す。Aは上記一般式(IB−1)及び(IB−2)で示される構造から選択される少なくとも1種を表す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−207787(P2007−207787A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21531(P2006−21531)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】