説明

有機電界発光表示装置

【課題】フルカラーを実現すると共に、発光領域の有機膜の厚さを均一にすることができる有機電界発光表示装置に関する。
【解決手段】青色発光領域(a)および緑色発光領域(b)は共振構造で形成され、赤色発光領域(c)は非共振構造で形成されていて、青色発光領域および緑色発光領域の下部電極290は、第1透明導電膜290a、半透過金属膜290cおよび第2透明導電膜290bの積層構造で形成され、赤色発光領域(c)の下部電極290は、透明導電膜で形成された有機電界発光表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光表示装置に関し、フルカラーを実現すると共に、発光領域の有機膜の厚さを均一にすることができる有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置のうちの電界発光素子は、蛍光体に一定以上の電場がかかれば光が発生する電界発光(electro luminescence:EL)現象を利用したものであって、発光層形成物質によって無機EL素子と有機EL素子とに区分され、有機電界発光素子は青色をはじめとする可視光線のすべての領域の光が出るので、表示素子として注目されており、高い輝度と低い駆動電圧の特性を有する。
【0003】
有機電界発光素子は、複数のスキャンラインとこれとは垂直な方向に形成される複数のデータラインとによって定義される画素領域がそれぞれ赤色、緑色、青色を実現することによって、フルカラー(Full−color)平板表示装置を構成することができる。
【0004】
一般的な有機電界発光素子は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を実現するようにそれぞれ赤色画素領域、緑色画素領域および青色画素領域を備えている基板上部に、それぞれ所定のパターンの第1電極層が形成されている。
【0005】
第1電極層上部には、発光層を含む有機膜が形成され、有機膜は、発光層以外に正孔注入層、正孔輸送層、正孔抑制層、電子輸送層、電子注入層を含むことができる。有機膜上部には基板全面にわたって第2電極層が形成される。
【0006】
この時、有機膜を形成する方法としては、蒸着法、インクジェット方式、レーザー熱転写方法などがある。
【0007】
一方、大面積での色再現率を高めるために弱共振させるが、この時、第1電極をITO/Ag/ITO構造で形成して、一部のみを透過し一部は共振させる方法を使用している。
【0008】
この時、赤色領域が青色領域および緑色領域よりも長い波長の光を放出するので、共振させるためには、青色領域および緑色領域の有機膜の厚さよりも赤色領域の有機膜の厚さを厚く形成しなければならないという問題点が発生する。したがって、各発光領域に形成された有機膜の厚さが不均一になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2003−0096029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、フルカラーを実現すると共に、青色発光領域、緑色発光領域および赤色発光領域の有機膜の厚さを均一することができる有機電界発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の本発明の目的は、基板上に、それぞれ下部電極、有機膜および上部電極の積層構造で形成された青色発光領域、緑色発光領域および赤色発光領域からなる複数の画素を含み、前記青色発光領域および緑色発光領域は共振構造で形成され、前記赤色発光領域は非共振構造で形成される、有機電界発光表示装置によって達成される。
【0012】
また、本発明の目的は、青色発光領域、緑色発光領域および赤色発光領域がそれぞれ定義された複数の発光領域を備えた基板と、前記青色発光領域および前記緑色発光領域に形成され、第1透明導電膜、半透過金属膜および第2透明導電膜の積層構造で形成される下部電極と、前記赤色発光領域に形成され、透明導電膜で形成される下部電極と、を含む、有機電界発光表示装置によって達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、青色発光領域および緑色発光領域は共振構造で形成し、赤色発光領域は非共振構造で形成することによって、赤色発光領域の有機膜の厚さを青色発光領域および緑色発光領域の厚さと同等の厚さに調節することができる。このためフルカラーを実現すると共に、各発光領域の有機膜の厚さを均一することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態による有機電界発光表示装置の断面図である。
【図2A】青色発光領域の下部電極および有機膜の構造を具体的に示す断面図である。
【図2B】緑色発光領域の下部電極および有機膜の構造を具体的に示す断面図である。
【図2C】赤色発光領域の下部電極および有機膜の構造を具体的に示す断面図である。
【図3】赤色発光領域が非共振構造で形成された場合の色再現率を説明するためのCIE系色座標である。
【図4】赤色発光領域が非共振構造で形成された場合の色再現率を説明するためのCIE系色座標である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好ましい実施形態を示した図面を参照して、本発明の実施形態による有機電界発光表示装置を説明する。
【0016】
本実施形態の有機電界発光表示装置は、概略、基板上に青色、緑色および赤色発光領域として定義されている複数の画素を有し、青色、緑色および赤色発光領域は、それぞれ下部電極、有機膜および上部電極の積層構造で形成されている。本実施形態では能動型(アクティブ型)有機電界発光表示装置を例に挙げて説明するが、受動型(パッシブ型)有機電界発光表示装置にも同一に適用可能である。
【0017】
図1は、本発明の実施形態による有機電界発光表示装置の断面図であり、図2Aは、青色発光領域の下部電極および有機膜の構造を具体的に示す断面図であり、図2Bは、緑色発光領域の下部電極および有機膜の構造を具体的に示す断面図であり、図2Cは、赤色発光領域の下部電極および有機膜の構造を具体的に示す断面図である。
【0018】
図1を参照すれば、基板200上の全面にバッファー層210を形成し、バッファー層210上にPECVD、LPCVDなどの蒸着方法を通して非晶質シリコン層を形成する。基板200は、たとえばガラス、石英、サファイアなどの絶縁基板が用いられる。このバッファー層210は、基板200から拡散された不純物によって非晶質シリコン層が汚染されることを防止する。
【0019】
前記非晶質シリコン層を通常の結晶化方法である、たとえばELA(Excimer LaserAnnealing)、SLS(Sequential Lateral Solidification)、MIC(Metal Induced Crystallization)またはMILC(Metal Induced Lateral Crystallization)などの方法を使用して結晶化し、写真蝕刻工程によってパターニングして単位画素内の薄膜トランジスター領域に半導体層220を形成する。
【0020】
その後、前記半導体層220を含む基板200全面にゲート絶縁膜230を形成する。前記ゲート絶縁膜230は、たとえばシリコン酸化物、シリコン窒化物、またはそれらの積層構造物として形成される。
【0021】
その後、前記ゲート絶縁膜230上部にゲート電極物質を塗布した後、エッチングしてパターニングされたゲート電極240を形成し、ゲート電極240は半導体層220と一部重なるように形成され、ゲート電極240と重なる半導体層220の領域はチャンネル領域と定義される。
【0022】
ゲート電極物質は、たとえばアルミニウム(Al)またはアルミニウム−ネオジム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金の単一層やクロム(Cr)またはモリブデン(Mo)合金上にアルミニウム合金が積層された多重層で形成される。
【0023】
次に、全体表面上部に層間絶縁膜250を形成する。一般に層間絶縁膜250はシリコン窒化膜またはシリコン酸化膜を使用することができる。
【0024】
次に、層間絶縁膜250上に金属膜(図示せず)を形成した後、パターニングしてソース/ドレイン電極260a、260bを形成し、ソース/ドレイン電極260a、260bはゲート絶縁膜230および層間絶縁膜250の一部をエッチングして形成されたコンタクトホールを通して半導体層220のソース領域およびドレイン領域と接続される。
【0025】
前記金属膜は、たとえばMo、W、MoW、Al、Nd、Ti、Cu、Cu合金、Al、Al合金、AgおよびAg合金などからなる群より選択される一つの物質で単一層を形成したり、配線抵抗を減少させるために低抵抗物質であるMo、Cu、AlまたはAgの2層構造またはそれ以上の多重膜構造からなる群より選択される一つの積層構造で形成しても良い。
【0026】
その後、全体表面上部にシリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはその積層構造を所定の厚さに蒸着して保護膜270を形成した後、前記保護膜270上に平坦化膜280を形成する。平坦化膜280は、たとえばポリアミド、ベンゾシクロブテン系樹脂およびアクリレートからなる群より選択されるいずれか一つから形成される。
【0027】
その後、前記保護膜270および平坦化膜280の一部をエッチングしてソース/ドレイン電極260a、260bのうちのいずれか一つを露出させるビアホールを形成し、平坦化膜280上に形成される下部電極290がビアホールを通して露出されるソース/ドレイン電極260a、260bのうちの一つと接続する。
【0028】
前記下部電極290は、青色発光領域(a)、緑色発光領域(b)、赤色発光領域(c)にそれぞれ形成され、発光領域が形成される位置は制限されない。
【0029】
平坦化膜280上および下部電極290上には画素定義膜295が形成されている。画素定義膜295は、下部電極290の上部に開口部を有する。そして、この開口部を通して下部電極290と接続されるように、下部電極290上に有機膜300が形成される。
【0030】
前記画素定義膜295は、たとえばポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブテン系樹脂(benzocyclobutene series resin)、SOG(spon on glass)およびアクリレート(acrylate)からなる群より選択される1種の物質で形成される。
【0031】
その後、基板200全面に上部電極310を形成して有機電界発光素子を完成する。前記上部電極310は、たとえばLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgおよびこれらの合金からなる群より選択されるいずれか一つの物質で形成される。
【0032】
図2Aを参照すれば、青色発光領域(a)に形成される前記下部電極290は、第1透明導電膜290a、半透過金属膜290cおよび第2透明導電膜290bを順次に積層して形成され、前記有機膜300は前記下部電極290上に形成される。
【0033】
前記第1および第2透明導電膜290a、290bは、たとえばITO(Induim TinOxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、To(Tin Oxide)およびZnO(Zinc Oxide)からなる群より選択される一つで形成される。前記第1透明導電膜290aは実質的にアノード電極として役割を果たし、第2透明導電膜290bは仕事関数を合わせて下部電極290を完成する。
【0034】
前記第1透明導電膜290aは、50〜150nmの厚さ内で青色、緑色、赤色の光効率が良いため、前記第1透明導電膜290aは50〜150nmの厚さで形成することが好ましい。
【0035】
前記第2透明導電膜290bは、アノード電極の役割を十分に行うことができるように10nm以上に形成し、有機発光層で発生する光の共振効果を最大化するために有機膜の厚さと共に考慮されるので、好ましくは30nm以下に形成する。
【0036】
前記半透過金属膜290cは、たとえばAg、Al、Ni、PtおよびPdの中で選択されるいずれか一つで形成され、薄すぎれば金属電極としての役割を遂行することに困難があり、厚すぎれば光の透過に困難があるので、好ましくは5〜20nmの厚さに形成する。
【0037】
前記有機膜300は、青色発光層303aを含み、青色発光層303a以外に下部電極290と青色発光層303aとの間に位置する正孔注入層301、正孔輸送層302、青色発光層303a上に位置する正孔抑制層304、および電子注入層305からなる群より選択される一つ以上をさらに含むことができる。この時、前記有機膜300は発光輝度と色再現率を考慮して50〜60nmの厚さに形成されることが好ましい。
【0038】
この時、下部電極290と青色発光層303aとの間の正孔注入層301および正孔輸送層302の厚さは、共振効果を最大化させて青色の発光輝度と色再現率を高めるために、19〜36nmの厚さに形成することが好ましい。
【0039】
図2Bを参照すれば、緑色発光領域(b)に形成される下部電極290は、第1透明導電膜290a、半透過金属膜290cおよび第2透明導電膜290bを順次に積層して下部電極290を形成し、下部電極290上に有機膜300を形成する。
【0040】
前記第1および第2透明導電膜290a、290bは、たとえばITO(Induim Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、To(Tin Oxide)およびZnO(Zinc Oxide)からなる群より選択される一つで形成される。前記第1透明導電膜290aは実質的にアノード電極として役割を果たし、第2透明導電膜290bは仕事関数を合わせて下部電極290を完成する。
【0041】
第1透明導電膜290aは、50〜150nmの厚さ内で青色、緑色、赤色の光効率が良いので、第1透明導電膜290aは50〜150nmの厚さに形成することが好ましい。
【0042】
第2透明導電膜290bは、アノード電極の役割を十分に行うことができるように10nm以上に形成し、有機発光層で発生する光の共振効果を最大化するために有機膜の厚さと共に考慮されるので、好ましくは30nm以下に形成する。
【0043】
前記半透過金属膜290cは、たとえばAg、Al、Ni、PtおよびPdの中で選択されるいずれか一つで形成され、薄すぎれば金属電極としての役割を遂行することに困難があり、厚すぎれば光の透過に困難があるので、好ましくは5〜20nmの厚さに形成する。
【0044】
前記有機膜300は、緑色発光層303bを含み、緑色発光層303b以外に下部電極290と緑発光層303bとの間に位置する正孔注入層301、正孔輸送層302、緑色発光層303b上に位置する正孔抑制層304、および電子注入層305からなる群より選択される一つ以上をさらに含むことができる。この時、前記有機膜300は、発光輝度と色再現率を考慮して50〜60nmの厚さに形成されることが好ましい。
【0045】
この時、下部電極290と緑色発光層303bとの間の正孔注入層301と正孔輸送層302の厚さは、共振効果を最大化させて緑色の発光輝度と色再現率を高めるために、19〜36nmの厚さに形成することが好ましい。
【0046】
図2Cを参照すれば、赤色発光領域(c)に形成される下部電極290は透明導電膜で形成され、下部電極290上に有機膜300を形成する。前記下部電極290は透明導電膜の単一層または多重膜構造で形成されても良く、前記透明導電膜は、たとえばITO(Induim Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、To(Tin Oxide)およびZnO(Zinc Oxide)からなる群より選択される一つで形成される。前記下部電極290はアノード電極として役割を果たす。
【0047】
下部電極290の厚さは、発光輝度と色再現率を高めるために、有機膜300の厚さと共に考慮されて決定される。
【0048】
有機膜300は赤色発光層303cを含み、下部電極290と赤色発光層303cとの間に位置する正孔注入層301、正孔輸送層302、赤色発光層303c上に位置する正孔抑制層304、および電子注入層305からなる群より選択される一つ以上をさらに含むことができる。この場合、前記有機膜300は、発光輝度、色再現率、青色発光領域および緑色発光領域の有機膜の厚さなどを考慮して50〜60nmの厚さに形成されることが好ましい。
【0049】
また、赤色発光領域は赤色発光層のみからなるように形成してもよい。これは赤色の場合、赤色発光領域を赤色発光層のみで形成しても十分に色再現率を満たすことができるためである。この場合も、有機膜300の厚さは、青色発光領域および緑色発光領域の有機膜の厚さを考慮してから60nmの厚さに形成するが、これに限定されない。ただし、前記赤色発光層は、33.6〜35.6nmにした時、発光効率と色再現率に優れているが、これより厚く、赤色発光層単独で60nmまで厚くしても問題はない。
【0050】
図2A乃至2Cを参照して前述したことによれば、青色発光領域および緑色発光領域に形成されるは、第1透明導電膜/半透過金属膜/第2透明導電膜の構造を有するが、赤色発光領域に位置する下部電極は透明導電膜で形成される。つまり、青色発光領域および緑色発光領域では共振効果を有する共振構造が形成されるが、赤色発光領域では非共振構造が形成される。
【0051】
したがって、従来技術によれば、共振構造を形成するためには赤色発光領域の有機膜の厚さが青色発光領域および緑色発光領域の有機膜の厚さよりも厚くならなければならなかったが、本実施形態のように、赤色発光領域が非共振構造を形成するようになると、赤色発光領域では、共振構造とするために有機膜を厚く形成する必要がなくなる。これは、共振構造とした場合には、共振を行わせるためにその波長(赤色の波長)により構造物の大きさが制限されていたものが、非共振構造としたことで、そのような制限がなくなるためである。したがって、本実施形態の赤色発光領域では、形成できる有機膜の厚さの自由度が増している。このため赤色発光領域は、有機膜の厚さを従来技術よりも自由に調節することができて、青色発光領域および緑色発光領域の有機膜の厚さと同じになるようにすることができる。これにより、赤色発光領域、青色発光領域および緑色発光領域を全体として均一な厚さにすることができる。なお、赤色発光領域は、有機膜の厚さだけでなく、下部電極290の厚さも青色発光領域および緑色発光領域に合わせて、各領域が全体として均一な厚さとなるように調節してもよい。
【0052】
図3および4は、赤色発光領域が非共振構造で形成された場合の色再現率を説明するためのCIE系色座標であり、図3は、CIEXYZ 1931による色座標系を示したものであり、図4は、CIELUV 1976による色座標系を示したものである。
【0053】
下記の表1は、図3の色座標系で赤色発光領域を非共振構造で形成した場合(実施例)の色座標、色再現面積および色再現率をNTSC(比較例)と比較して示したものであり、下記の表2は、図4の色座標系で赤色発光領域を非共振構造で形成した場合(実施例)の色座標、色再現面積および色再現率をNTSC(比較例)と比較して示したものである。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
前記表1および2で、色再現面積は色表現範囲を示したもので、数字が高いほど色表現範囲が広いことを意味し、色再現率はNTSC基準を100%として本実施形態による実施例の色再現率を相対的に表現した。
【0057】
図3および表1を参照すれば、赤色発光領域を非共振構造とした場合(実施例)、色再現面積が0.159であって、NTSC(National Television System Committee)基準の場合(比較例)である0.158よりも高く、色再現率が100.7%であって、NTSC基準よりも相対的に高いことが分かる。
【0058】
また、図4および表2を参照すれば、赤色発光領域を非共振構造とした場合(実施例)、色再現面積が0.075であって、NTSC基準の場合(比較例)の0.074よりも高く、色再現率が101.4%であって、NTSC基準よりも相対的に高いことが分かる。
【0059】
したがって、本発明のように、赤色発光領域が非共振構造を有しても、色再現率はNTSC基準を満たすことが確認できる。
【0060】
ここで共振素子の場合は、波長に応じる厚さによって赤色画素(Red pixel)が最も厚くならなければならないが、HPS(LITI)工程で赤色は緑色よりも厚くて転写品質が低下する問題がある。そこで本発明では、赤色を非共振(non−resonance)素子で作ったものである。赤色を非共振で作成したとしても、色再現率がほとんど同等であることをシミュレーションにより確認できた。結果的に、赤色を非共振素子で作った場合、共振素子で作った場合に比べて、500Å以上厚さが薄い有機物を転写することができるので、転写品質が良い。
【0061】
従来技術による共振素子の場合、緑色は厚さ約600Å、赤色は約1100Åで転写するが、赤色非共振素子は厚さ500Å内外で製作できる。このため、緑色に比べて約500Å以上薄い有機膜で赤色画素構造を作ることができる。
【0062】
なお、図1に図示されていないが、赤色発光領域の色再現率を高めるために、赤色発光領域にカラーフィルターまたは色変換層を形成することも可能である。
【0063】
カラーフィルターまたは色変換層は、現在、表示装置分野で一般に使用されるカラーフィルターまたは色変換層を形成する方法を適用して実現でき、赤色発光領域の上部電極310上に形成されても良く、図1の基板200と合着される封止基板(図示せず)上に赤色発光領域と対応するように形成されても良い。
【0064】
本発明は図面に示された実施形態を参考として説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、多様な変更および均等な他の実施形態が可能であることは理解できるだろう。したがって、本発明の技術的保護範囲は添付された特許請求の範囲の技術的な思想により定められなければならない。
【符号の説明】
【0065】
290 下部電極、
290a 第1透明導電膜、
290b 第2透明導電膜、
290c 半透過金属膜、
300 有機膜、
301 正孔注入層、
302 正孔輸送層、
303a 青色発光層、
303b 緑色発光層、
303c 赤色発光層、
304 正孔抑制層、
305 電子注入層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、それぞれ下部電極、有機膜および上部電極の積層構造で形成された青色発光領域、緑色発光領域および赤色発光領域からなる複数の画素を含み、
前記青色発光領域および緑色発光領域は共振構造で形成され、前記赤色発光領域は非共振構造で形成される、有機電界発光表示装置。
【請求項2】
前記赤色発光領域の前記下部電極は、透明導電膜の単一層または多重膜構造で形成される、請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項3】
前記青色発光領域および前記緑色発光領域の前記下部電極は、第1透明導電膜、半透過金属膜および第2透明導電膜の積層構造で形成される、請求項1または2に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項4】
前記第1透明導電膜は50〜150nmの厚さに形成され、前記第2透明導電膜は10〜20nmの厚さに形成される、請求項3に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項5】
前記半透過金属膜は5〜20nmの厚さに形成される、請求項3または4に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項6】
前記有機膜は50〜60nmの厚さに形成される、請求項1〜5のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項7】
前記青色発光領域、前記緑色発光領域および前記赤色発光領域に形成される前記有機膜は、それぞれ青色発光層、緑色発光層および赤色発光層を含む、請求項1〜6のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記有機膜は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔抑制層および電子注入層からなる群より選択される一つ以上をさらに含む、請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記正孔注入層および正孔輸送層は19〜36nmの厚さに形成される、請求項8に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
前記赤色発光領域の前記有機膜は、前記赤色発光層の厚さから最大60nmの厚さに形成される、請求項1〜9のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項11】
前記赤色発光領域の前記上部電極上にカラーフィルターまたは色変換層がさらに形成される、請求項1〜10のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項12】
前記基板と合着され、前記赤色発光領域と対応して形成されるカラーフィルターまたは色変換層を含む封止基板をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項13】
青色発光領域、緑色発光領域および赤色発光領域がそれぞれ定義された複数の発光領域を備えた基板と、
前記青色発光領域および前記緑色発光領域に形成され、第1透明導電膜、半透過金属膜および第2透明導電膜の積層構造で形成される下部電極と、
前記赤色発光領域に形成され、透明導電膜で形成される下部電極と、
を含む、有機電界発光表示装置。
【請求項14】
前記下部電極上に有機膜および上部電極がさらに形成される、請求項13に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項15】
前記第1透明導電膜は50〜150nmの厚さに形成され、前記第2透明導電膜は10〜20nmの厚さに形成される、請求項13または14に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項16】
前記半透過金属膜は5〜20nmの厚さに形成される、請求項13〜15のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項17】
前記有機膜は50〜60nmの厚さに形成される、請求項14〜16のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項18】
前記青色発光領域、前記緑色発光領域および前記赤色発光領域に形成される有機膜は、それぞれ青色発光層、緑色発光層および赤色発光層を含む、請求項14〜17のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項19】
前記有機膜は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔抑制層および電子注入層からなる群より選択される一つ以上をさらに含む、請求項18に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項20】
前記正孔注入層および正孔輸送層は19〜36nmの厚さに形成される、請求項19に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項21】
前記赤色発光領域の前記有機膜は、前記赤色発光層の厚さから最大60nmの厚さに形成される、請求項14〜20のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項22】
前記赤色発光領域の前記上部電極上にカラーフィルターまたは色変換層がさらに形成される、請求項13〜21のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。
【請求項23】
前記基板と合着され、前記赤色発光領域と対応して形成されるカラーフィルターまたは色変換層を含む封止基板をさらに含む、請求項13〜21のいずれか一つに記載の有機電界発光表示装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−15107(P2012−15107A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136608(P2011−136608)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】