説明

有機EL材料用のアルミニウムキレート錯体

長時間の駆動による発光強度の劣化が少なく、耐久性に優れた有機EL素子を与える発光層材料として適する有機EL用材料を提供する。
一般式(1)で表されるアルミニウムキレート錯体において、不純物として一般式(1)におけるArがハロゲンとなった構造の化合物の量が350wtppm以下である有機EL材料用のアルミニウムキレート錯体。


ここで、Arは1〜2環のアリーレン基であり、Arは1〜2環のアリール基であり、R〜Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を示す。なお、上記不純物はArがハロゲンである化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネツセンス素子(以下、有機EL素子という)及びその発光層等に含有させる材料としてのアルミニウムキレート錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機材料を用いたディスプレイパネルを構成する各有機EL素子は、表示面としてのガラス基板上に、透明電極としての陽極、有機発光層を含む複数の有機材料層、金属電極からなる陰極を、順次、薄膜として積層した構造を有している。有機材料層には、有機発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、などの正孔輸送能を持つ材料からなる層や、電子輸送層、電子注入層などの電子輸送能を持つ材料からなる層などが含まれ、これらが設けられた構成の有機EL素子も提案されている。電子注入層には無機化合物も含まれる。
【0003】
有機発光層並びに電子あるいは正孔の輸送層の積層体の有機EL素子に電界が印加されると、陽極からは正孔が、陰極からは電子が注入される。有機EL素子は、この電子と正孔が有機発光層において再結合し、励起子が形成され、それが基底状態に戻るときに放出される発光を利用したものである。発光の高効率化や素子を安定駆動させるために、発光層に色素をゲスト材料としてドープすることもある。
【0004】
近年、発光層に蛍光材料の他に、りん光材料を利用することも提案されている。有機EL素子の発光層において、電子と正孔の再結合後の一重項励起子と三重項励起子の発生確率が1:3と考えられており、三重項励起子によるりん光をも利用した素子のほうが一重項励起子による蛍光を使った素子の3〜4倍の発光効率の達成が考えられているためである。
【0005】
一方、有機EL素子の低電力性、発光効率の向上と駆動安定性を向上させるために、有機発光層から陰極の間に有機発光層からの正孔の移動を制限する正孔ブロッキング層を設けることが提案されている。この正孔ブロッキング層により正孔を発光層中に効率よく蓄積することによって、電子との再結合確率を向上させ、発光の高効率化を達成することができる。正孔ブロック材料としてフェナントロリン誘導体やトリアゾール誘導体が有効であると報告されている。
【0006】
【特許文献1】特開4−206685号公報
【特許文献2】特開2001−237079号公報
【特許文献3】特開2001−284056号公報
【0007】
JP04−206685Aには、オキシキノリン化合物とフェノール性化合物とのアルミニウム錯体(以下、AlQ2ORという)が、ブルー放出性発光材料としての有機EL材料として、有用であることが報告されている。このAlQ2ORは、2分子の8−オキシキノリン化合物と1分子のフェノール性化合物とが、1つのアルミニウム原子と錯体を形成した構造を有する。JP04−206685Aでは、AlQ2ORを電子輸送層に存在させ、発光させる例を開示している。
【0008】
JP2001−237079Aには、正孔阻止層にAlQ2ORを存在させたりん光発光又は蛍光発光の有機EL素子が報告されている。また、JP2001−284056Aには、りん光材料を含む発光層と電子輸送層の間に正孔阻止層を設け、これにAlQ2ORを存在させたりん光発光有機EL素子が報告されている。
【0009】
JP2001−237079A及びJP2001−284056Aにおいては、AlQ2ORの具体例として、オキシキノリン化合物が2−メチル−8−オキシキノリンであり、フェノール性化合物が4−フェニルフェノールである化合物から得られる(1,1’−ビフェニル)−4−オラート)ビス(2−メチル−8−キノリノラート−N1,08)アルミニウム(以下、BAlqという)を例示している。しかし、BAlqは耐久性には優れるが、十分にIpが大きくないため正孔ブロッキング能が劣るという欠点がある。このため、正孔阻止層としてBAlqを、電子輸送層としてtris(8−hydroxyquinolato N1,08)aluminium(以下、Alq3という)を用いた場合は、電子輸送層が発光してしまう。赤色のりん光発光を利用した有機EL素子においては、Alq3の発光(緑色)は色度劣化につながる。そこで、りん光材料をゲスト材料に用いた発光層を有する有機EL素子において、ホスト材料にAlQ2ORを用い、良好な発光特性を維持したまま、長駆動寿命化を達成が可能である場合があることが見出された。
【0010】
しかしながら、AlQ2ORを使用した素子において、寿命上のバラツキが大きいことが実用化上の大きな障害となっており、その寿命のバラツキの原因について全く解明されていなかった。従って、信頼性高く実用素子を製造する上で不可欠な材料の管理指標は勿論のこと、寿命改善の指標さえ検討がつかないという状態であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、AlQ2ORを材料として含む有機EL素子において、素子寿命に影響を及ぼす原因を解明し、解決手段を提供し、更には信頼性高く実用素子を製造する上で不可欠な材料の管理指標を与えることにより、有機EL素子として優れた機能を発現せしめ、その上特に経時的発光強度の劣化が少なく、且つ信頼性にも優れた、実用レベルに耐え得る高品質の有機EL材料及びこれを使用した有機EL素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、実用に耐え得るAlQ2ORからなる有機EL材料の開発において鋭意検討した結果、通常の方法により調製されたAlQ2ORには特徴的な不純物が含まれることを見出し、これら不純物の含有量と有機EL素子の耐久性との関連性を明らかにすることにより、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、一般式(1)で表されるアルミニウムキレート錯体において、不純物として一般式(2)で表される化合物の量が350wtppm以下であることを特徴とする有機EL材料用のアルミニウムキレート錯体である。
【化1】

【化2】

一般式(1)及び(2)において、Arは1〜2環のアリーレン基であり、Arは1〜2環のアリール基であり、ArとArに含まれる芳香族環の合計数は2〜4環であり、Ar又はArに含まれる芳香族環が2以上の場合、これらの芳香族環は縮合していてもよい。R〜Rは独立に、水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を示す。また、Xはハロゲンを示す。また、一般式(1)及び(2)において、同一の記号は同一のものを意味する。
【0014】
ここで、アリーレン基とアリール基(ArとAr)が直接結合している必要があり、ArにArが核置換した構造を有する。Ar及びArとしては、それぞれH−Ar−H及びAr−Hで表すと、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル又はこれらのアルキル置換体が例示される。アルキル置換体のアルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基(低級アルキル基という)が好ましく、置換数は3以下が好ましい。そして、Arがナフチレン基又はフェニレン基、Arがナフチル基又はフェニル基であることがより好ましい。また、ArとArに含まれる芳香族環の合計数は2〜3環であることが好ましい。
一般式(1)及び(2)において、R〜Rは独立に、水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を示すが、炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。しかし、アリール基又はアリール基含有基は除外される。また、Xとしては、Br、I又はClが好ましい。
【0015】
上記アルミニウムキレート錯体は、アルミニウムイソプロポキシドにキノリノール誘導体とHO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物を順次反応させることにより得ることができる。このアルミニウムキレート錯体は、陽極と陰極の間に有機化合物からなる発光層を含む有機エレクトロルミネツセンス素子において、前記発光層のホスト材料として使用することができる。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(1)で示される本発明のアルミニウムキレート錯体(AlQ2ORという)からなる有機EL材料は、有機EL素子に使用されるが、好ましくは発光層中のホスト材料として使用される。AlQ2ORの製造方法については、JP04−206685Aに報告されているように、エタノール溶媒中、アルミニウムイソプロポキシドとキノリノール誘導体、フェノール性化合物を順次反応させ、錯体化する方法が知られている。
【0017】
このとき配位子として用いられるキノリノール誘導体の合成には、アリールアミン化合物とハロアリール化合物を用いるウルマン反応等が採用できるが、8−オキシキノリン等の汎用的な化合物であれば、市販品を使用することもできる。
【0018】
また、フェノール性化合物の合成には、有機ホウ素化合物とハロゲン化物又はトリフレート化合物を用いる鈴木カップリング反応(Ar−X or Ar−OTf+Ar−B(OH)→Ar−Ar)等の他、ジアゾニウム塩を用いた反応(Ar+Ar−NCl→Ar−Ar)、ハロゲン化物を銅触媒下で反応を行うウルマン反応(Ar−X+Ar−X→Ar−Ar)、グリニャール試薬を始めとする各種有機金属化合物を用いた反応(Ar−X+Ar−MgX→Ar−Ar、Ar−X+Ar−Li→Ar−Ar、Ar−X+Ar−ZnX→Ar−Ar、Ar−X+Ar−SnMe→Ar−Ar)等の既知のクロスカップリング反応を用いることができる。なお、上記反応式で、Ar及びArは、芳香族基を示す。しかし、ヒドロキシアリールハライドが副生又は未反応で残る反応が、本発明に適する。
【0019】
フェノール性化合物の合成は、HO−Ar−Xで表される化合物と(Ar−Yで表される化合物と反応させる方法が好適である。ここで、Ar、Ar及びXは一般式(1)及び(2)のAr、Ar及びXと同じ意味を有する。また、YはCu、X、Li、B(OH)、MgX、ZnX、SnMe等を示し、Xはハロゲンを示し、aは1〜10の整数を示すが、aはYの価数に対応する。この反応では、HO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物と、(X)−Yで表される化合物又はその分解生成物が反応生成物として得られる。この反応は、通常は有機溶媒中で行われるので、これを酸性条件で、水で抽出すると、目的のフェノール性化合物は有機溶媒相中に、ハロゲンを含む化合物は水相中に移行する。そこで、目的のフェノール性化合物は水洗だけで精製可能とされ、そのように精製されていた。
【0020】
更に、得られたフェノール性化合物は、アルミニウムキレート錯体の原料として使用するが、アルミニウムキレート錯体の合成反応ではアルコール類が副生するため、その反応終了後も洗浄等の精製処理が行われるので、フェノール性化合物の精製には十分な注意が必要とは考えられていなかった。
【0021】
ところが、HO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物を合成する際、HO−Ar−Xで表されるハロゲン化物が数〜十数重量%の残存し、合成されたフェノール性化合物の精製を水抽出又は水洗だけを使用する精製法ではこれを十分に除去することが困難であることが見出された。更に、かかるハロゲン化物を含むフェノール性化合物から一般式(1)で表されるAlQ2ORを合成すると、一般式(2)で表される副生成物(以下、AlQ2Xという)が生成し、この反応生成物を精製する際も一般的なアルコール洗浄等では十分な除去が困難であることが見出された。
【0022】
そして、かかる副生成物を一定量以上含むアルミニウムキレート錯体を使用して、有機EL素子を製造すると発光強度の劣化速度を著しく高める原因となることを見出した。一般に有機EL素子を製造する際は、これらの材料は基板上の有機層上に蒸着させることが多いが、AlQ2XはAlQ2ORと同様に蒸着されてしまい、有機EL素子の有機層中に含有されてしまうことによるものと予想される。
【0023】
AlQ2OR中の、不純物としてのAlQ2Xの含有量は、350ppm以下とすることにより、劣化速度を実用上差支えない程度に低下させることができ、100ppm以下の痕跡量とすれば、実用上十分な発光寿命を与える有機EL素子の製造が可能であることを見出した。
【0024】
AlQ2Xの含有量を350ppm以下とする方法としては、1)HO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物を合成する際、反応終了後の分離、精製を、水洗、蒸留分離だけでなく、有機溶媒を使用する再結晶等を組合わせて、フェノール性化合物中の不純物の含有量を350ppm以下とする方法、2)アルミニウムアルコラート、キノリノール誘導体とフェノール性化合物とを順次反応させてアルミニウムキレート錯体を合成する際、反応終了後の分離、精製を、アルコール洗浄だけでなく、昇華精製等を組合わせて、不純物の含有量を350ppm以下とする方法、3)前記1)及び2)を組合わせる方法、4)HO−Ar−Ar−Hで表されるフェノール性化合物を合成する際、未反応のHO−Ar−Xで表されるハロゲン化物が一定量以下となるように、HO−Ar−XとAr含有化合物のモル比を理論量より小さくすること又は反応温度を上げたり、反応時間を十分にとって前者の反応率を90%以上とすることなどの方法がある。中でも、上記3)の方法又は反応で得られたHO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物を再結晶精製し、且つ、これを用いて得られたアルミニウムキレート錯体を昇華精製する方法が有効である。
【0025】
HO−Ar−Xで表されるハロゲン化物の分析方法としては、HPLCで行うことが出来、Br化合物の検出下限は0.5ppm(wt)である。このハロゲン化物の含有量が350ppm以下であれば、最終的に得られるアルミニウムキレート錯体中のAlQ2Xの含有量を350ppm以下とすることができる。一方、最終的に得られるアルミニウムキレート錯体中のAlQ2Xの分析については、これらのアルミニウムキレート錯体は高温で不安定であり、クロマト分析において高温に保持されたカラム通過時に分解してしまうので、直接この含有量を測定することは困難だが、イオンクロマトグラフィーによりハロゲン含有量を分析することができるので、これからAlQ2Xの含有量に換算することができる。したがって、本発明でいう一般式(2)で表されるAlQ2Xの含有量は、Xで表されるハロゲンの量を測定し、これから換算した値である。
【0026】
そして、本発明の有機EL材料用の化物のアルミニウムキレート錯体は、一般式(2)で表される化合物の量が350wtppm以下となるように品質管理され、生産、出荷又は使用段階で、この量を測定管理することがよい。
【0027】
本発明の錯体を製造する際の原料であるフェノール性化合物の製造の際に副生物として生成するハロゲン化物を除去する方法としては、通常使用されている、再結晶、晶析、蒸留、吸着等の通常の方法を用いることが出来るが、再結晶が簡便、確実であり好ましい。なお、キノリノール誘導体の製造の際に副生物として生成するハロゲン化物が生成する場合も、これを除去するための精製を行うことがよく、上記と同様な精製方法を採用できる。除去水準としては、キノリノール誘導体及びフェノール性化合物中のハロゲン化合物を350wtppm以下、好ましくは検出下限以下とする。
【0028】
上述のキノリノール誘導体やフェノール性化合物の精製を行わない場合、最終製品である一般式(1)で表されるAlQ2ORに一般式(2)で表されるAlQ2Xが数〜十数重量%含まれることになるが、昇華精製等を行うことにより、1/10以下のレベルに減じることができる。
【0029】
キノリノール誘導体及びフェノール性化合物の配位子段階の精製と、最終製品であるアルミニウム錯体段階の精製のどちらか一方を確実に行うことにより本発明の目的を達成することができるが、両方を併用することがより好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の有機EL用材料を使用することにより、長時間の駆動による発光強度の劣化が少なく、耐久性に優れた有機EL素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】有機EL素子の層構造の一例を示す構造図。
【符号の説明】
【0032】
1;ガラス基板、2;透明電極(陽極)、3;有機正孔輸送層、4;有機発光層、6;電子輸送層、7;金属電極(陰極)
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の有機EL材料用のアルミニウムキレート錯体として適するAlQ2ORを、化合物(11)〜(23)として例示するが、これに限定されない。
【0034】
【化3】

【0035】
【化4】

【化5】

【0036】
【化6】

【化7】

【0037】
本発明のアルミニウムキレート錯体は、有機EL材料として使用される。この有機EL材料は、有機EL素子の電子輸送層、正孔阻止層、発光層等に使用し得るが、発光層に使用することが好ましい。有利には、ホスト材料とゲスト材料を有する発光層のホスト材料に使用される。この場合、ゲスト材料としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金若しくは金から選ばれるりん光性有機貴金属錯体化合物が使用される。このようなホスト材料とゲスト材料を発光層に含む有機EL素子は、経時的発光強度の劣化が少なく、且つ信頼性にも優れたものとなる。
上記ゲスト材料のりん光性有機貴金属錯体化合物を、化合物(31)〜(40)として以下に例示するが、これに限られるものではない。
【0038】
【化8】

【0039】
【化9】

【0040】
【化10】

【0041】
以下に本発明の有機EL素子の一例を、有機EL素子の層構造を説明するための断面図を示す図1を参照しつつ説明する。
図1に示す有機EL素子は、ガラスなどの透明基板1、陽極2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層6及び陰極7から構成されている。これは、ガラスなどの透明基板1上に、透明な陽極2、有機化合物からなる正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層6及び低仕事関数の材料の例えば金属陰極7が積層されて得られる。具体的には、陽極にインジウムすず酸化物(以下、ITOという)、正孔輸送層に4,4’−ビス(N−ナフチル−N−フェニル−アミノ)ビフェニル(以下、NPBという)(Ip=5.4eV)、発光層にAlQ2ORからなる有機ホスト材料、電子輸送層にAlq3、陰極にアルミニウムを用いた構成がある。
【0042】
図1に示す有機EL素子以外の他の有機EL素子構造には、電子輸送層6及び陰極7間にLiOなどの電子注入層を薄膜として積層、成膜したものも好ましく挙げられる。また、陽極2及び正孔輸送層3間に、銅フタロシアニン(以下、CuPcという)などのポルフィリン化合物などの正孔注入層を薄膜として積層、成膜したものも好ましく挙げられる。
【0043】
陽極2には、ITOなどの仕事関数の大きな導電性材料からなり、厚さが1000〜3000Å程度で、又は金で厚さが800〜1500Å程度のものが用い得る。なお、金を電極材料として用いた場合には、電極は半透明の状態となる。陰極及び陽極については、一方が透明又は半透明であればよい。また、陰極7には、例えばアルミニウム、マグネシウム、インジウム、銀又は各々の合金などの仕事関数が小さな金属からなり、厚さが約100〜5000Å程度のものが用い得る。
【0044】
正孔輸送層3に含まれる成分は、正孔輸送能力を有する物質であればよく、例えば、下記に示される化合物(41)〜(66)がある。
【0045】
【化11】

【0046】
【化12】

【化13】

【0047】
【化14】

【化15】

【0048】
【化16】

【0049】
【化17】

【0050】
【化18】

【0051】
【化19】

【0052】
発光層を構成するホスト材料として使用されるアルミキレート錯体としては、前記のAlQ2ORがあり、ゲスト材料として使用されるりん光性有機貴金属錯体化合物は、前記の有機貴金属錯体化合物がある。しかしながら、必要により、本発明の効果を損なわない範囲で他の材料を少量配合することも可能である。なお、ホスト材料に対するゲスト材料の使用割合(wt)は、97:3〜70:30程度がよい。
【0053】
電子輸送層6を構成する材料としては、公知の材料、例えば、下記に示される化合物(71)〜(89)から選択され得る。
【0054】
【化20】

【0055】
【化21】

【0056】
【化22】

【0057】
【化23】

【化24】

【0058】
【化25】

【0059】
なお、上記式中、t−Buは第3級ブチル基を示す。また、電子輸送能力を有する有機材料には、下記に示される化合物(90)〜(125)のようなアルミキレート錯体もある。
【0060】
【化26】

【0061】
【化27】

【0062】
【化28】

【0063】
【化29】

【0064】
【化30】

【0065】
【化31】

【0066】
【化32】

【0067】
【化33】

【0068】
【化34】

【0069】
【化35】

【0070】
【化36】

【0071】
更に、電子輸送層6に使用できる電子輸送能力を有する有機材料は、下記に示される化合物(126)〜(134)のようなフェナントロリン誘導体からも選択され得る。
【0072】
【化37】

【0073】
【化38】

【0074】
【化39】

【実施例】
【0075】
以下、本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明する。なお、%及びppmは、それぞれwt%及びwtppmである。また、フェノール性化合物中のハロゲン化物の分析は、HPLCで行った(Br化合物の検出限界は0.5ppm)。アルミニウムキレート錯体中のAlQ2Xの分析については、イオンクロマトグラフィーによりハロゲン含有量を測定(検出限界は50ppm)し、これをAlQ2Xの含有量に換算することによって行った。
【0076】
合成例1
冷却管、温度計、攪拌機を装着した三口フラスコに、6−ブロモ−2−ナフトール26.8g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム4.6g、トルエン100mlを投入し、50℃で攪拌を行った。固体分がほぼ溶解したところで、フェニルボロン酸14.6gをエタノール100mlに溶解した溶液を加え、攪拌を行った。溶液が混ざり合ったところで、炭酸ナトリウム30gの100ml水溶液を投入し、還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。反応終了後、希塩酸を、水層が弱酸性になるまで加え、有機層を回収し、減圧蒸留により溶媒を除去した。得られた粗生成物にトルエン50mlを加えて再結晶を行い、濾取した結晶をトルエンにて洗浄、80℃で減圧乾燥を行い、11.9gの6−フェニル−2−ナフトールを得た。HPLCによる未反応6−ブロモ−2−ナフトールの測定結果は、未検出であった。
【0077】
合成例2
三口フラスコに、2−メチル−8−キノリノール(純度98.0%以上)8.3g、アルミニウムイソプロポキシド10.7g、脱水エタノール290mlを投入し、窒素気流下還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。反応液を室温まで冷却し、セライト濾過にて不溶分を除去した。このろ液を室温にて攪拌しながら、2−メチル−8−キノリノール8.3g、合成例1で得た6−フェニル−2−ナフトール11.5gを脱水エタノール75mlに溶解した溶液をゆっくり加え、1hr攪拌した。生じた沈殿を濾取し、エタノール次いでメタノールで洗浄後、70℃にて減圧乾燥を5時間行い、化合物(14)27.9gを得た。イオンクロマト分析によるBrの測定結果は未検出であり、化合物(14)のフェニル基がBrで置換された一般式(2)で表される化合物:ビス−(2−メチル−8−キノリノラート)(6−ブロモ−2−ナフトラート)−アルミニウム−(III)(以下、BQMAという。)に相当する不純物は350ppm未満であると計算された。
【0078】
合成例3
三口フラスコに、6−ブロモ−2−ナフトール17.9g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム4.6g、トルエン200mlを投入し、室温で攪拌を行った。固体分がほぼ溶解したところで、フェニルボロン酸9.8gをエタノール200mlに溶解した溶液を加え、攪拌を行った。その後、炭酸ナトリウム20gの200ml水溶液を投入し、室温のまま1hr攪拌を行った。反応終了後、希塩酸を、水層が弱酸性になるまで加え、有機層を回収し、減圧蒸留により溶媒を除去し、22gの6−フェニル−2−ナフトールを得た。未反応6−ブロモ−2−ナフトールの残留量は、16%であった。
【0079】
合成例4
三口フラスコに、2−メチル−8−キノリノール7.2g、アルミニウムイソプロポキシド9.2g、脱水エタノール270mlを投入し、窒素気流下還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。反応液を室温まで冷却し、セライト濾過にて不溶分を除去した。ろ液を室温にて攪拌しながら、2−メチル−8−キノリノール7.2g、合成例3で得た6−フェニル−2−ナフトール9.9gを脱水エタノール50mlに溶解した溶液をゆっくり加え、1hr攪拌した。生じた沈殿を濾取し、エタノール次いでメタノールで洗浄後、70℃にて減圧乾燥を5hr行い、14gの化合物(14)を得た。この化合物(14)中のBr量は2000ppmであり、BQMAは500ppmであると計算された。
【0080】
合成例5
合成例2で得られた化合物(14)を更に、昇華精製を行った。昇華精製は、合成例2で得られた化合物2.0gを、ガラス製外筒とガラス製内筒により構成され、加熱部と捕集部を有する昇華精製装置を用いて精製を行った。捕集部は、供給される窒素ガスにより冷却される。真空ポンプにより系内を2.0Torrに減圧し、加熱部温度を360℃として、化合物を捕集部のガラス内壁に捕集した。捕集部に捕集された化合物(14)は1.1gであった。Brは未検出であり、BQMAは350ppm未満であると計算された。
【0081】
合成例6
300mL三口フラスコに、2−メチル−8−キノリノール4.33g、アルミニウムイソプロポキシド5.56g、脱水エタノール160mLを投入し、窒素気流下還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。反応液を室温まで冷却し、セライト濾過にて不溶分を除去した。ろ液を室温にて攪拌しながら、2−メチル−8−キノリノール4.33g、6−ブロモ−2−ナフトール6.07gを脱水エタノール30mLに溶解した溶液をゆっくり加え、1hr攪拌した。生じた沈殿を濾取し、エタノール次いでメタノールで洗浄後、70℃にて減圧乾燥を5hr行い、BQMA14gを得た。
【0082】
合成例7
三口フラスコに、o−アミノフェノール33g、濃塩酸207gを加え、還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。純度65%の3−ペンテンー2−オン51gを加熱還流下で2hrかけてゆっくり加え、更に2hr攪拌を行った。反応終了後室温まで冷却し、48%NaOH水溶液300mlを加えて水相をアルカリ性とした。更に酢酸エチルを加えて有機層を回収し、減圧蒸留により溶媒を除去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、更にヘキサンにて再結晶を行い、濾取した結晶をヘキサンにて洗浄、80℃で減圧乾燥を行い、18.9gの2,4−ジメチル−8−キノリノールを得た。
【0083】
合成例8
三口フラスコに、合成例7で得た2,4−ジメチル−8−キノリノール3.5g、アルミニウムイソプロポキシド4.1g、脱水エタノール150mlを投入し、窒素気流下還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。反応液を室温まで冷却し、セライト濾過にて不溶分を除去した。ろ液を、室温にて攪拌しながら、2,4−ジメチル−8−キノリノール3.5g、合成例1で得た6−フェニル−2−ナフトール4.7gを脱水エタノール100mlに溶解した溶液をゆっくり加え、1hr攪拌した。生じた沈殿を濾取し、エタノール次いでメタノールで洗浄後、70℃にて減圧乾燥を5hr行い、化合物(23)9.0gを得た。イオンクロマト分析の結果、Brは未検出であり、化合物(23)のフェニル基がBrで置換された一般式(2)で表される化合物:ビス−(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(6−ブロモ−2−ナフトラート)−アルミニウム−(III)(以下、BDQMAという)に相当する不純物は350ppm未満であると計算された。
【0084】
合成例9
三口フラスコに、6−ブロモ−2−ナフトール26.8g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム4.6g、トルエン100mlを投入し、50℃で攪拌を行った。固体分がほぼ溶解したところで、2−ナフタレンボロン酸20.6gをエタノール100mlに溶解した溶液を加え、攪拌を行った。溶液が混ざり合ったところで、炭酸ナトリウム30gの100ml水溶液を投入し、還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。反応終了後、希塩酸を、水層が弱酸性になるまで加え、有機層を回収し、減圧蒸留により溶媒を除去した。得られた粗生成物にトルエン、酢酸エチルを加えて再結晶を行い、濾取した結晶をトルエンにて洗浄、80℃で減圧乾燥を行い、15.6gの6−(2−ナフチル)−2−ナフトールを得た。未反応6−ブロモ−2−ナフトールは、未検出であった。
【0085】
合成例10
三口フラスコに、2−メチル−8−キノリノール8.3g、アルミニウムイソプロポキシド10.7g、脱水エタノール290mlを投入し、窒素気流下還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。反応液を室温まで冷却し、セライト濾過にて不溶分を除去した。ろ液を室温にて攪拌しながら、2−メチル−8−キノリノール8.3g、合成例9で得た6−(2−ナフチル)−2−ナフトール14.1gを脱水エタノール75mlに溶解した溶液をゆっくり加え、1hr攪拌した。生じた沈殿を濾取し、エタノール次いでメタノールで洗浄後、70℃にて減圧乾燥を5hr行い、化合物(15)28.7gを得た。Brは未検出であり、化合物(15)のナフチル基がBrとなったBQMAは350ppm未満であると計算された。
【0086】
合成例11
合成例8で得られた2.0gの化合物(23)を更に、合成例5で使用した昇華精製装置を用いて昇華精製を行った。真空ポンプにより系内を2.0Torrに減圧し、加熱部温度を370℃として、化合物を捕集部のガラス内壁に捕集した。捕集部に捕集された化合物(23)は1.2gであった。Brは未検出であり、不純物BDQMAは350ppm未満であると計算された。
【0087】
合成例12
合成例10で得られた2.0gの化合物(15)を更に、合成例5で使用した昇華精製装置を用いて昇華精製を行った。真空ポンプにより系内を2.0Torrに減圧し、加熱部温度を380℃として、化合物を捕集部のガラス内壁に捕集した。捕集部に捕集された化合物(15)は1.1gであった。Brは未検出であり、不純物BQMAは350ppm未満であると計算された。
【0088】
合成例13
三口フラスコに、合成例7で得た2,4−ジメチル−8−キノリノール3.5g、アルミニウムイソプロポキシド4.1g、脱水エタノール150mLを投入し、窒素気流下還流温度まで加熱し、1hr攪拌を行った。反応液を室温まで冷却し、セライト濾過にて不溶分を除去した。ろ液を室温にて攪拌しながら、2,4−ジメチル−8−キノリノール3.5g、6−ブロモ−2−ナフトール4.5gを脱水エタノール100mLに溶解した溶液をゆっくり加え、1hr攪拌した。生じた沈殿を濾取し、エタノール次いでメタノールで洗浄後、70℃にて減圧乾燥を5hr行い、BDQMA14gを得た。
【0089】
上記合成例で得た化合物を使用して次のサンプル1〜5を調製した。
サンプル1:合成例2で得た化合物(14)
サンプル2:合成例4で得た化合物(14)
サンプル3:合成例5で得た化合物(14)
サンプル4:合成例2で得た化合物(14)に合成例6で得たBQMAを1000ppm配合
サンプル5:合成例2で得た化合物(14)に合成例6で得たBQMAを10000ppm配合
サンプル6:合成例11で得た化合物(23)
サンプル7:合成例12で得た化合物(15)
サンプル8:合成例11で得た化合物(23)に合成例13で得たBDQMAを1000ppm配合
サンプル9:合成例12で得た化合物(15)に合成例6で得たBQMAを1000ppm配合
なお、サンプル2、4、5、8及び9は、比較のためのサンプルである。
【0090】
実施例1
ITO陽極上に、CuPcを蒸着速度3Å/sで250Åの厚さに成膜し、正孔注入層を形成した。次に、CuPc正孔注入層上に、NPBを蒸着速度3Å/sで550Åの厚さに成膜し、正孔輸送層を形成した。次に、NPBの正孔輸送層上に、有機ホスト材料として上記サンプル1と、赤色のりん光を発する有機ゲスト材料として上記化合物(31):2,3,7,8,12,13,17,18−octaethyl−21H,23H−porphine Platinum(II)(以下、PtOEPという)とを異なる蒸着源から475Åの厚さに共蒸着し、発光層を形成した。この時、発光層中の有機ゲスト材料の濃度は7%であった。
【0091】
次に、この発光層上に、Alq3を蒸着速度3Å/sで300Åの厚さに蒸着し、電子輸送層を形成した。更に、Alq3電子輸送層上に電子注入層として酸化リチウム(LiO)を蒸着速度0.1Å/sで10Å蒸着し、その上に陰極としてアルミニウム(Al)を10Å/sで1000Å積層し、有機EL素子を作成した。
【0092】
実施例2
サンプル1の替わりにサンプル3を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。
【0093】
比較例1〜3
有機ホスト材料として、サンプル1の替わりにサンプル2、4又は5を用いた以外、上記実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。
【0094】
上記実施例及び比較例で得られた有機EL素子について、7mA/cmで駆動した場合に輝度が50%減衰するのに要した時間を測定した。その結果を表1に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
表1から、不純物BQMAの含有量と、発光の減衰とが極めて強い関係を有しており、この不純物の含有量が350ppm以下の範囲において、発光減衰率が著しく改善されることが伺える。
【0097】
実施例3
ITO陽極上に、CuPcを蒸着速度3Å/sで250Åの厚さに成膜し、正孔注入層を形成した。次に、CuPc正孔注入層上に、NPBを蒸着速度3Å/sで550Åの厚さに成膜し、正孔輸送層を形成した。次に、NPBの正孔輸送層上に、有機ホスト材料として上記サンプル1と、赤色のりん光を発する有機ゲスト材料としてPtOEPとを、異なる蒸着源から475Åの厚さに共蒸着し、発光層を形成した。この時、発光層中のPtOEPの濃度は7%であった。
【0098】
次に、この混合発光層上に、Alq3を蒸着速度3Å/sで300Åの厚さに蒸着し、電子輸送層を形成した。更に、Alq3電子輸送層上に電子注入層として酸化リチウムを蒸着速度0.1Å/sで10Å蒸着し、その上に陰極としてアルミニウムを10Å/sで1000Å積層し、有機EL素子を作成した。
【0099】
実施例4〜5
サンプル1の替わりにサンプル6又は7用いた以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を作成した。
【0100】
比較例4〜8
サンプル1の替わりにサンプル2、4、5、8又は9を用いた以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を作成した。
【0101】
上記実施例及び比較例の有機EL素子を5.5mA/cmで駆動した場合に輝度が50%減衰するのに要した時間を測定した。その結果を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
表2から、不純物BQMA又はBDQMAの含有量と、発光の減衰とが極めて強い関係を有しており、これら不純物の含有量が350ppm以下の範囲において、発光減衰率が著しく改善されることが伺える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるアルミニウムキレート錯体において、不純物として一般式(2)
【化1】

【化2】

(式(1)及び(2)において、Arは1〜2環のアリーレン基であり、Arは1〜2環のアリール基であり、ArとArに含まれる芳香族環の合計数は2〜4環であり、これらの芳香族環は縮合していてもよい。R〜Rは独立に、水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を示す。また、Xはハロゲンを示す。)で表される化合物の量が350wtppm以下であることを特徴とする有機EL材料用のアルミニウムキレート錯体。
【請求項2】
式(1)及び(2)のArがナフチレン基又はフェニレン基であり、Arがナフチル基又はフェニル基であり、XがBr、Cl又はIである請求項1記載のアルミニウムキレート錯体。
【請求項3】
式(1)のArとArに含まれる芳香族環の合計数は2〜3環である請求項1又は2記載のアルミニウムキレート錯体。
【請求項4】
アルミニウムイソプロポキシドにキノリノール誘導体とHO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物を順次反応させて請求項1に記載のアルミニウムキレート錯体を製造する方法において、キノリノール誘導体及びフェノール性化合物に含有されるHO−Ar−Xで表される化合物の量が350wtppm以下になるように精製した後、反応に供することを特徴とするアルミニウムキレート錯体の製造方法。
【請求項5】
アルミニウムイソプロポキシドにキノリノール誘導体とHO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物を順次反応させて請求項1に記載のアルミニウムキレート錯体を製造する方法において、反応で得られた一般式(2)で表される化合物の量が350wtppm以上の粗アルミニウムキレート錯体を昇華精製することによりハロゲン化物の量が350wtppm以下になるまで精製することを特徴とするアルミニウムキレート錯体の製造方法。
【請求項6】
HO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物が、HO−Ar−Xで表される化合物と(Ar−Y(但し、YはCu、X、Li、B(OH)、MgX、ZnX、SnMeを示し、Xはハロゲンを示し、aは1〜10の整数を示す)で表される化合物とを反応させて得られたものである請求項4又は5に記載のアルミニウムキレート錯体の製造方法。
【請求項7】
反応で得られたHO−Ar−Arで表されるフェノール性化合物を再結晶精製し、且つ、これを用いて得られたアルミニウムキレート錯体を昇華精製する請求項6に記載のアルミニウムキレート錯体の製造方法。
【請求項8】
陽極と陰極の間に有機化合物からなる発光層を含む有機EL素子において、前記発光層がホスト材料として請求項1記載のアルミニウムキレート錯体と、ゲスト材料としてルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金若しくは金から選ばれるりん光性有機貴金属錯体化合物を含むことを特徴とする有機EL素子。
【請求項9】
一般式(2)で表される化合物の量が350ppm以下となるように品質管理され、生産、出荷又は使用段階で、この量を測定管理されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL材料用のアルミニウムキレート錯体。

【図1】
image rotate


【国際公開番号】WO2005/014551
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512963(P2005−512963)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011334
【国際出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】