説明

有機EL素子、有機EL素子の製造方法、ならびに電気光学装置

【課題】2層の有機発光層を有する有機EL素子は、従来、発光面積が各々同じ面積となるよう設定されていた。基板に近い位置の有機発光層は段差等の影響により、狭い面積しか取れない。この面積と、基板と離れた位置にある有機発光層の面積とを同じ面積にすると、両有機発光層は同じ速度で劣化し、寿命延長効果が小さくなる。
【解決手段】有機EL素子100は、第1隔壁114a、第2隔壁114b、両隔壁を含む隔壁114、第1隔壁114aと第2隔壁114bとの間に形成された段部115と、を含む。段部115で第1隔壁114aと第2隔壁114bとの間で面積が広くなる。基板101に近い第2有機発光層106の面積よりも基板101と離れた位置にある第1有機発光層111での面積が広くなるため、第1有機発光層111の寿命が長寿命化ことで有機EL素子100を長寿命化させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子、有機EL素子の製造方法、ならびに電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光素子である有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を画素として用いた表示装置の開発が進められている。有機EL素子は、視野角の広さ、黒色再現性の高さ等、液晶表示素子と比べ画質において優位性を有している。有機EL素子としては、各有機EL素子間を隔壁を用いて分離し、隔壁内部に有機EL素子に用いられる各層を収めるように配置し、有機EL素子間の分離を行う構成が一般に知られている。
【0003】
有機EL素子の特性として、単位面積当りの発光強度を低減させることで発光寿命を延ばすことが可能となることが知られている。この特性を用いて、RGB(赤・緑・青)3色の発光に対して、寿命の短い発光色に対応する色(例えばB)の寿命を向上させるべく、特許文献1に示すように青色の発光層を基板と鉛直方向に重ねて形成し、駆動することで、単層での単位面積当りの発光強度を低減させて有機EL素子の寿命を延長する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特表2007−523451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した技術では、基板に近い方の有機発光層と、基板から離れた方向にある有機発光層の発光面積が同じ面積となるよう設定されている。TFT(薄膜トランジスタ)等が埋め込まれた、基板に近い位置にある有機発光層は、段差等の影響により、狭い面積の有機発光層しか形成することができない。言い換えれば、基板と離れた方の有機発光層は、基板に近い方の基板の有機発光層の面積と比べ、より広い面積を有する有機発光層を形成することが本来可能である。しかしながら、上記したように現時点では、基板に近い方の有機発光層と同じ面積の有機発光層が用いられている。本来なら、基板と離れた方の有機発光層は、基板に近い方の有機発光層と比べ広い面積を与えて電流を拡散し、長寿命化させることが可能である。しかし、基板に近い方の有機発光層の面積と、基板から離れた方向にある有機発光層の面積とを上記したように揃えた場合、電流の拡散が行われないため電流が集中し、基板から離れた方向にある有機発光層も、基板に近い側の有機発光層と同様の速度で劣化し、寿命を十分に延長することが困難になるという課題がある。
【0006】
また、有機発光層を含む層を多層にしていくことで、層厚は厚くなり、隔壁近傍では層形成に伴う競り上がりを生じる。そして多層化することで競り上がりが蓄積され、各層間での短絡不良が発生するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる有機EL素子は、基板と、前記基板の第1面に形成され、少なくとも一つの開口部を有する隔壁と、前記隔壁の内側に形成された第1有機発光層と、前記隔壁の内側であって、前記基板と前記第1有機発光層との間に形成された第2有機発光層と、前記第1有機発光層と前記第2有機発光層との間に前記開口部を覆うように配置された中間電極層と、を備え、前記隔壁は、前記第1有機発光層と前記第2有機発光層との間に段部を備え、前記段部によって、前記開口部の面積は前記段部を境に前記第2有機発光層側よりも前記第1有機発光層側で広くなっており、前記中間電極層の一部は前記段部と前記第1有機発光層との間に配置されており、前記中間電極層に供給される電流により生じる電圧は、前記第1有機発光層に供給される前記電流により前記第1有機発光層で生じる電圧よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
これによれば、第2有機発光層を通過した電流は、段部と第1発光層との間に配置された中間電極層によって広げられる。中間電極層は、第1有機発光層に供給される電流により第1有機発光層で生じる電圧よりも小さい電圧降下特性を有しているため、中間電極層内で電流は平面視にて外側に向けて拡散する。そのため、第1有機発光層は拡散した電流、即ち電流密度が低い状態で発光するため、電流密度と負の相関を有する寿命を延ばすことができる。さらに、第1有機発光層の面積は第2有機発光層の面積と比べ大きく、かつ同じ電流総量が印加されるため、第1有機発光層の全発光量と第2有機発光層の全発光量とはほぼ同程度の強度を有する。そのため、発光強度を落とすことなく輝度を保つ有機EL素子を提供することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる有機EL素子において前記第2有機発光層と前記第1有機発光層との間に、正孔ブロック層、電子注入層、前記中間電極層、正孔注入層、正孔輸送層が前記基板側からこの順で形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記した適用例によれば、正孔ブロック層、電子注入層、中間電極層、正孔注入層、正孔輸送層がこの順で形成されている。このように構成することで、中間電極層を境界として、等価的に2つの有機EL素子が形成される。等価的に得られる2つの有機EL素子は互いに独立しているため、上記した層の物性を独立に制御することができる。そのため、パラメータ設計を容易に行いうる有機EL素子を提供することが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる有機EL素子において、前記隔壁は、無機材料からなる第1隔壁と、有機材料からなる第2隔壁とによって構成されることを特徴とする。
【0013】
上記した適用例によれば、無機材料からなる第1隔壁と、有機材料からなる第2隔壁を重ねて隔壁を製造する場合に、エッチング選択比を高くとることが可能となり、段部を形成することが容易となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる有機EL素子において、前記隔壁は無機材料によって形成されていることを特徴とする。
【0015】
上記した適用例によれば、プロセス温度を上げることが可能となる。無機材料からなる隔壁は、有機材料からなる隔壁に比べ耐熱性が高く、400〜500℃程度の加熱プロセスを用いることが可能となる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる有機EL素子において、前記隔壁は有機材料によって形成されていることを特徴とする。
【0017】
上記した適用例によれば、有機材料は無機材料と比べヤング率が小さいため、有機EL素子の有機発光層に印加される応力を緩和することが可能となり、有機EL素子の応力劣化を抑えた隔壁を構成することが可能となる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかる有機EL素子において、前記第1隔壁は酸化珪素、窒化珪素、又は窒化酸化珪素のいずれか、又はこれらの積層構造を含むことを特徴とする。
【0019】
上記した適用例によれば、使用実績のある材質で無機隔壁を構成することが可能となり、予期せぬ汚染の発生を予め避けることが可能となる。
【0020】
[適用例7]上記適用例にかかる有機EL素子において、前記第2隔壁はポリアクリル、ポリイミドを含むことを特徴とする。
【0021】
上記した適用例によれば、使用実績のある材質で有機隔壁を構成することが可能となり、予期せぬ汚染の発生を予め避けることが可能となる。
【0022】
[適用例8]本適用例にかかる有機EL素子の製造方法は、基板の第1面に形成され、少なくとも一つの開口部を有する隔壁を形成する工程と、前記隔壁の内側に第2有機発光層を形成する工程と、前記隔壁の内側であって、前記第2有機発光層を挟み前記基板と対向する位置に中間電極層を形成する工程と、前記隔壁の内側であって、前記中間電極層を挟み前記基板と対向する位置に第1有機発光層を形成する工程と、を備え、前記隔壁は、前記第1有機発光層と前記第2有機発光層との間に段部が形成され、前記段部によって、前記開口部の面積は前記段部を境に前記第2有機発光層側よりも前記第1有機発光層側で広くなっており、前記中間電極層の一部が前記段部と前記第1有機発光層との間に形成され、上記工程を終えた後、前記中間電極層と前記第1有機発光層に供給される電流により生じる電圧は、前記中間電極層で生じる電圧よりも、前記第1有機発光層で発生する電圧が小さいことを特徴とする。
【0023】
これによれば、電流を中間電極層で広げて後、当該第1有機発光層に注入させる構造を製造することが可能となる。従って、当該第1有機発光層に注入される電流密度は低減される。そのため、当該第1有機発光層の寿命を伸ばすことが可能となり、中間電極層で電流を拡散させない有機EL素子の寿命と比べ、寿命特性に優れた有機EL素子の製造方法を提供することが可能となる。
また、隔壁が段差を有することから、隔壁端部に発生する競り上がり領域は、当該段差により、その発生位置が変わる。即ち、競り上がり領域の高さは、段差によって平均化される。従って、競り上がりの高さに起因する各層間における短絡の発生を抑制することが可能となる。
【0024】
[適用例9]上記適用例にかかる有機EL素子の製造方法において、前記隔壁は感光性の有機材料を用いてなり、前記有機材料の露光量に分布を与えることで、段差を形成することを特徴とする。
【0025】
上記した適用例によれば、段差のある隔壁を1度の露光工程で形成することが可能となり、製造工程を短縮することが可能となる。また、工程短縮に伴い、廃棄物の量を削減することが可能となり、環境負荷を低減することが可能となる。
【0026】
[適用例10]本適用例にかかる電気光学装置は、上記記載の有機EL素子を用いることを特徴とする。
【0027】
これによれば、寿命特性に優れた有機EL素子を用いることで、信頼性の高い電気光学装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
(有機ELパネルの構成)
以下、有機EL素子を含む、有機ELパネルの構成について、図面を参照して説明する。図6は、有機ELパネルの配線構造を示す模式図である。この有機ELパネル150は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと称する)を用いたアクティブマトリクス方式のものである。有機ELパネル150は、複数の走査線201と、各走査線201に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線202と、各信号線202に並列に延びる複数の電源線203とからなる配線構成を有すると共に、走査線201及び信号線202の各交点付近に、画素240が設けられている。
【0029】
信号線202には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路200が接続されている。また、走査線201には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路80が接続されている。
画素240の各々には、走査線201を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用のTFT222と、このスイッチング用のTFT222を介して信号線202とを共有してなる、画素信号を保持する保持容量213が設けられている。
【0030】
そして、保持容量213によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用のTFT223と、TFT223を介して電源線203に電気的に接続した際に当該電源線203から駆動電流が与えられる陽極103と向き合う位置にある陰極113と、を含む有機EL素子100が設けられている。
【0031】
図1は、青色に対応する素子に、2層の有機発光層を有する有機EL素子100を集積した有機ELパネル150の平面図である。基板101の実表示領域204には、有機EL素子100が千鳥状のデルタ配列で配置されている。デルタ配列を用いることで単位面積当りの実装密度を向上させることが可能となる。有機EL素子100は、所謂ボトムエミッション型の構造を有している。ここで、基板101は、例えばTFT222,223(図6参照)を含んでいる。有機ELパネル150はインターフェース230を介して外部回路(図示せず)と接続される。
【0032】
なお、本実施形態において画素部206は、中央部分の実表示領域204(図中二点鎖線枠内)と、実表示領域204の周囲に配置されたダミー領域205(一点鎖線及び二点鎖線の間の領域)とに区画されている。そして、実表示領域204の図1中両側には、走査線駆動回路280が配置されている。この走査線駆動回路280は、ダミー領域205の下層側に位置して設けられている。
【0033】
また、実表示領域204の図1中上方側には検査回路290が配置されている。この検査回路290は、有機ELパネル150の作動状況を検査するための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)を備え、製造途中や出荷時における有機ELパネルの品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。
【0034】
(有機EL素子の構成)
以下、有機EL素子の構成について説明する。図2は、図1における有機EL素子100(B:青)のA−A線断面図である。有機EL素子100は、基板101、層間絶縁層102、陽極(第1電極)103、正孔注入層104、正孔輸送層105、第2有機発光層106、電子注入層107、中間電極層108、正孔注入層109、正孔輸送層110、第1有機発光層111、電子注入層112、陰極(第2電極)113、第1隔壁114a、第2隔壁114b、第1隔壁114aと第2隔壁114bとを含む隔壁114、第1隔壁114aと第2隔壁114bとの間に形成された段部115と、を含む。
【0035】
層間絶縁層102は、TFT等(図示せず)が形成された基板101を覆うように配置され、基板101と電気的に絶縁を保つよう配置されている。構成材としては、例えば窒化珪素や酸化珪素、窒化酸化珪素により構成され、例えば400nm程度の層厚を有している。陽極103は、ITO(インジウム・錫・酸化物)により構成され、50nm程度の層厚で形成されている。陽極103は、電流を供給し、光を透過させる透明電極として機能している。正孔注入層104は、PEDOT/PSSを用いて構成されている。層厚は50nm程度であり、正孔注入層104を通過する電流成分を、正孔が支配的となるよう変換する。正孔輸送層105は、注入された正孔を第2有機発光層106に伝達すべく配置されている。構成材としては、例えば芳香族アミン系ポリマーを用い、層厚10nm程度に構成されている。
【0036】
第2有機発光層106は、正孔輸送層105により輸送された正孔と、後述する電子注入層107より注入された電子とを再結合させることで発光させる機能を有している。第2有機発光層106は、RGB各色に対応するポリオレフィン系ポリマーを用いて構成され、100nm程度の層厚を有している。電子注入層107は、例えばカルシウムを用いて構成されており、層厚は5nm程度である。電子注入層107は、電子注入層107を通過する電流を、電子電流が支配的になるよう変換し、上記した第2有機発光層106に電子を供給する機能を有している。
【0037】
中間電極層108は、電子注入層107と後述する正孔注入層109との間に位置しており、電子注入層107と正孔注入層109との間に生じる、ポテンシャルバリアを解消すべく配置されている。中間電極層108には、透光性と導電性を併せ持つ必要があるため、10nm程度の厚さを有するITO層を配置している。正孔注入層109は、正孔注入層104と同様にPEDOT/PSSを用いて構成されている。層厚は50nm程度であり、正孔注入層109を通過する電流成分を、正孔が支配的となるよう変換する。正孔輸送層110は、注入された正孔を有機発光層に伝達すべく配置されている。構成材としては、例えば芳香族アミン系ポリマーを用い、層厚10nm程度に構成されている。
【0038】
第1有機発光層111は、正孔輸送層110により輸送された正孔と、後述する電子注入層112より注入された電子とを再結合させることで発光させる機能を有している。第1有機発光層111は、RGB各色に対応するポリオレフィン系ポリマーを用いて構成され、100nm程度の層厚を有している。電子注入層112は、例えばカルシウムを用いて構成されており、層厚は5nm程度である。電子注入層112は、電子注入層112を通過する電流を、電子電流が支配的になるよう変換し、上記した第1有機発光層111に電子を供給する機能を有している。陰極113は層厚300nm程度のアルミニウム層により形成され、陽極103と協働して、第2有機発光層106、第1有機発光層111に電流を供給している。
【0039】
次に、隔壁構造について説明する。隔壁114は、第1隔壁114a、第2隔壁114bの2つの隔壁により構成されており、第1隔壁114a、第2隔壁114bの継ぎ目には、開口部の面積が第2隔壁114b側で大きくなる段部115が配置されている。そして、段部115を覆うように中間電極層108が形成されている。中間電極層108を構成するITOの抵抗率は、2×10-4Ω・cm程度と低く、第1有機発光層111で生じる電圧(例えば2V程度)に比べ低い電圧で電流を通すことが可能となる。そのため、陽極103より注入された電流は中間電極層108で広がり、第2隔壁114b中に拡散する。そして、この電流は第1有機発光層111に運ばれ、第2有機発光層106と比べ広い面積を有する第1有機発光層111全面に供給される。
【0040】
そのため、第1有機発光層111の単位面積当りの発光強度を低減させることができ、有機EL素子100の寿命を延ばすことが可能となる。この場合、第2有機発光層106単体での劣化速度は変わらないが、第1有機発光層111の劣化速度は遅くなる。例えば、発光強度の半減期で寿命を表す場合、第2有機発光層106の輝度が1/2(寿命)となり、第1有機発光層111の輝度が3/4となった場合、有機EL素子100全体の輝度は(1/2)/2+(3/4)/2=5/8となる。
【0041】
このように、段部115を設け、第1隔壁114aの径よりも第2隔壁114bの径を大きくすることで、有機EL素子100を長寿命化することが可能となる。ここで、第1隔壁114aの基板101側の径は、TFT等の部材が埋め込まれた段差やレイアウト上の制限から、大きくすることは困難であるが、第2隔壁114bの領域では段差は埋められ小さくなり、また、レイアウトの自由度も大きくなるので、そのような制限はなくなる。この場合、第2隔壁114bは隣接する第2隔壁114bと離れていれば良いため、第1有機発光層111の径を大きくとることが可能となる。
【0042】
ここで、第1隔壁114a、第2隔壁114bを共に無機材料として酸化珪素、窒化珪素、又は窒化酸化珪素のいずれか、又はこれらの積層構造を含む材質を用いても良い。この場合、プロセス温度を上げることが可能となり、400〜500℃程度の加熱プロセスを用いることが可能となる。加えて、これらの材質は半導体プロセスでの使用実績があるため、予期せぬ汚染の発生を予め避けることが可能となる。なお、汚染等の可能性が確認できている場合、他の無機材料(例えばアルミナ等)を用いることも可能である。
【0043】
また、第1隔壁114aと第2隔壁114bを共に有機材料としてポリアクリルやポリイミドを用いても良い。この場合、無機材料(例えば酸化珪素)と比べヤング率は10倍程度小さくなるため、第1有機発光層111等に与える応力を抑え、より高い信頼性を得ることが可能となる。
また、第1隔壁114aに無機材料として酸化珪素、窒化珪素、又は窒化酸化珪素のいずれか、又はこれらの積層構造を含む材質を用い、第2隔壁114bに有機材料としてポリアクリルやポリイミドを用いても良い。この場合、エッチング選択比を高くとることが可能となり、段部を形成することが容易となる。
【0044】
なお、上記した無機材料として、酸化珪素、窒化珪素、又は窒化酸化珪素以外の無機材料を用いても良い。この場合、予期せぬ汚染の問題を調べてから用いることが好ましい。また、上記した有機材料として、ポリアクリルやポリイミド以外の有機材料を用いても良い。この場合、予期せぬ汚染の問題を調べてから用いることが好ましい。
【0045】
また、本実施形態では、中間電極層108を電流を広げるための機能層とした場合について説明したが、これは例えば電子注入層107や正孔注入層109、正孔輸送層110を電流を広げるための機能層として用いても良い。特に、中間電極層108に、抵抗率が2×105Ω・cm程度を有するV25等を用いた場合には、電子注入層107や正孔注入層109、正孔輸送層110の少なくともいずれか1層で電流を広げることが重要となる。電子注入層107や正孔注入層109、正孔輸送層110を用いて電流を広げることで、中間電極層108で電流を広げる場合と同様に、有機EL素子100を長寿命化することが可能となる。
【0046】
(有機EL装置の構成に対する変形例)
本実施形態では、平面視にて円形形状を持つ有機EL素子100について説明したが、これは長方形や、長方形の角を丸めた形状や、楕円その他任意の形状を用いても良い。この場合には、有機EL素子100に対する形状の自由度を向上させることが可能となり、有機EL素子100の形状設計に関して自由度を向上させることができる。また、有機EL素子100の配置はデルタ配列に限られるものではなく、例えばマトリクス状の配列を用いても良い。特に、マトリクス状の配列を用いた場合、テレビ等に用いられる画像信号を直接入力することが可能となるため、好適である。
【0047】
また、本実施形態では、正孔注入層104、正孔注入層109に同じ材質の層を用いているが、これは互いに異なった材料を用いても良い。例えば、正孔注入層104は上述の材質を用い、正孔注入層109を構成する物質としてPEDOT/PSSに代えて、ジアミン誘導体TPD等を用いても良い。また、正孔輸送層110を構成する物質としてα−NPD等を用いても良い。また、第1有機発光層111を構成する物質としてポリオレフィン系ポリマーの物質に代えてCBP+Ir錯体等を用いても良い。また、電子注入層112としてカルシウム層に代えて、Alq3/LiFの複層構造等を用いても良い。
【0048】
また、本実施形態では、第1有機発光層111と電子注入層112を直接接触させているが、第1有機発光層111と電子注入層112との間に正孔ブロック層を形成しても良い。この場合、第1有機発光層111から正孔がオーバーフローする現象を抑制することが可能となり、第1有機発光層111の発光効率を向上させることが可能となる。また、第2有機発光層106に対しても同様の層を配置することが可能である。
【0049】
また、第2有機発光層106と第1有機発光層111とを分離させる層と、第2有機発光層106と第1有機発光層111以外の層は省略可能であり、例えば、正孔輸送層110を省略しても有機EL素子100として動作させることが可能である。層構成を減らすことで、製造工程を短縮することが可能となり、不良の発生を抑えることが可能となる。
【0050】
なお、上記した実施形態では、有機EL素子100としてボトムエミッション型の構造を有するものについて説明したが、これはトップエミッション型に容易に変更が可能である。例えば、陰極113をMgAg等の透光性を有する層に代え、層間絶縁層102と基板101との間にアルミニウム等を用いた反射層を配置することで構成することが可能である。
【0051】
(比較例−1)
以下、比較例として、単一隔壁を有する有機EL素子と寿命の比較を行った。図3は、単一隔壁として隔壁114のみを有する有機EL素子100aの断面図である。図2で示される有機EL素子100との違いは隔壁114が段部115を含まないため、第2有機発光層106の発光面積と第1有機発光層111の発光面積が凡そ等しいことである。ここで、有機EL素子100と有機EL素子100aとの寿命特性について比較した。ここで、寿命は同一駆動電流で、発光強度が初期発光強度の50%に低下するまでの時間として定義した。初期特性としては、発光に寄与する電流が共に同じ量与えられることから同じ輝度特性を示した。そして、有機EL素子100aの発光強度が初期値の50%に低減した状態(寿命)まで劣化した時点での有機EL素子100の発光強度は、まだ63%程度の輝度低減に収まっており、有機EL素子100の寿命を延ばせることが確認された。
【0052】
(有機EL素子の製造方法)
以下、有機EL装置の製造方法について図面を用いて説明する。図8、図9、図5は、本実施形態にかかる有機EL素子100の製造方法を説明するための工程断面図である。以下本実施形態では、図面上側を「上」と呼称する。
【0053】
まず、工程1として、TFT等が形成された形成された基板101上に層間絶縁層102を形成する。層間絶縁層102の形成は、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素をCVD法(化学気相堆積法)等を用いて400nm程度堆積する手法を用いることが好適である。
【0054】
次に、工程2として、蒸着マスクを用いたイオンプレーティング法を用いてITOを積層し、層厚50nm程度の、光透過性を有する陽極103を形成する。
【0055】
次に、酸化珪素層を200nm程度層形成し、第2有機発光層106に電流を供給するための領域をエッチング除去することで第1隔壁114aを形成する。
【0056】
次に、工程3として、感光性アクリル樹脂を塗布し、露光・現像することで第2隔壁114bを形成する。第2隔壁114bは第1隔壁114aを平面視にて囲うように開口され、第1隔壁114aと第2隔壁114bとの間には段部115が形成される。
【0057】
次に、工程4として、酸素プラズマ処理、四弗化炭素ガスでのプラズマ処理等を行い、陽極103と第1隔壁114aに親液性を与え、第2隔壁114bに撥液性を与える。ここまでの工程を終えた状態を図8に示す。
【0058】
次に、工程5として、PEDOT/PSSをジエチレングリコールと純水を溶媒とした液体を、液滴吐出法を用いて隔壁114中に吐出し、真空乾燥、熱処理を行うことで正孔注入層104を形成する。正孔注入層104の層厚は50nm程度の厚みを有している。
【0059】
次に、工程6として、芳香族アミン系ポリマーを溶質とし、シクロヘキシルベンゼンを溶媒とした液体を、液滴吐出法を用いて隔壁114中に吐出し、真空乾燥、熱処理を行うことで正孔輸送層105を形成する。正孔輸送層105の層厚は10nm程度の厚みを有している。
【0060】
次に、工程7として、RGB各色に対応したポリオレフィン系ポリマーを溶質とし、シクロヘキシルベンゼンを溶媒とした液体を、液滴吐出法を用いて各有機EL素子100毎に塗り分けるように隔壁114中に吐出し、真空乾燥、熱処理を行うことでRGB各色を発光する第2有機発光層106を形成する。第2有機発光層106は100nm程度の厚みを有している。
【0061】
次に、工程8として、蒸着マスクを用いてカルシウムを蒸着することで、電子注入層107を形成する。電子注入層107の層厚は、5nm程度の厚みを有している。ここで、蒸着マスクの寸法は、第1隔壁114aの第2隔壁114b側の径に合わせた寸法のマスクを用いている。
【0062】
次に、工程9として、別の蒸着マスクを用い、ITOをイオンプレーティング法を用いて成層することで中間電極層108を形成する。この場合、第2隔壁114bの基板101側の径に合わせた寸法の蒸着マスクを用いることで、有機EL素子100を駆動させる場合に、中間電極層108を用いて陽極103から供給される電流を広げることが可能となる。ここまでの工程を終えた状態を図9に示す。
【0063】
次に、工程10として、PEDOT/PSSをジエチレングリコールと純水を溶媒とした液体を、液滴吐出法を用いて隔壁114中に吐出し、真空乾燥、熱処理を行うことで正孔注入層109を形成する。正孔注入層109の層厚は50nm程度の厚みを有している。
【0064】
次に、工程11として、芳香族アミン系ポリマーを溶質とし、シクロヘキシルベンゼンを溶媒とした液体を、液滴吐出法を用いて隔壁114中に吐出し、真空乾燥、熱処理を行うことで正孔輸送層110を形成する。正孔輸送層110の層厚は10nm程度の厚みを有している。
【0065】
次に、工程12として、RGB各色に対応したポリオレフィン系ポリマーを溶質とし、シクロヘキシルベンゼンを溶媒とした液体を、液滴吐出法を用いて各有機EL素子100毎に塗り分けるように隔壁114中に吐出し、真空乾燥、熱処理を行うことでRGB各色を発光する第1有機発光層111を形成する。第1有機発光層111の層厚は100nm程度の厚みを有している。ここまでの工程を終えた状態を図5に示す。
【0066】
次に、工程13として、カルシウムを全面に蒸着することで、電子注入層112を形成する。電子注入層112の層厚は、5nm程度の厚みを有している。
【0067】
次に、工程14として、アルミニウムを全面に蒸着することで、陰極113を形成する。陰極113の層厚は、300nm程度の厚みを有している。ここまでの工程を実行することで、図2に示す有機EL素子100を形成することができる。
【0068】
この製造方法を用いることで、工程9で形成される中間電極層108で電流が広げられ、第2有機発光層106よりも発光領域が広い第1有機発光層111を構成することができる。そのため、上記した(有機EL装置の構成)で示されるように発光寿命の長い有機EL装置を製造する工程を提供することが可能となる。
【0069】
また工程9を行うことで、中間電極層108の端部は、第2隔壁114bの内周と重なるように形成されるため、端部の位置が第1隔壁114aから第2隔壁114bに移る。そのため、積層することにより生じる端部における競り上がりの位置が、工程9を含む以降の工程では、第2隔壁114bの内周に形成される。そのため、競り上がり量は分散され、各層間の短絡による不良発生を抑制することが可能となる。
【0070】
(有機EL素子の製造方法に対する変形例)
本実施形態では、上記した各層の形成には蒸着法や液滴吐出法を適宜選択して形成した例について説明したが、各層の形成方法はこれに限定されることなく、例えば液滴吐出法で形成された第1有機発光層111の材質としてCBP+Ir錯体を用い、マスク蒸着法等を用いて形成しても良い。他の層に対しても、適宜材質を選択することで、液滴吐出法や蒸着法を切り替えて形成しても良い。
【0071】
また、本実施形態では、第1隔壁114aに酸化珪素を用い、第2隔壁114bに感光性アクリル樹脂を用いた例について説明したが、これは、第1隔壁114aと第2隔壁114bの両方に感光性アクリル樹脂を用いても良い。この場合、第1隔壁114aと第2隔壁114bを形成するための露光用マスクを、光透過量が明・暗に加え中間調の領域を有するハーフトーンマスクを用いることで、一度の露光処理で第1隔壁114aと第2隔壁114bを製造することが可能となる。また、第1隔壁114aと第2隔壁114bを独立に形成してももちろん良く、この場合には寸法精度の向上を図ることが可能となる。
【0072】
また、第1隔壁114aと第2隔壁114bを共に酸化珪素や窒化珪素、窒化酸化珪素珪素を用いて形成しても良く、この場合には、400〜500℃程度の高温処理に耐える隔壁114を形成する工程を提供することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、工程9を用いて電流を広げるための機能層として、第2隔壁114bの基板101側の径に合わせた寸法のマスクを用いて中間電極層108を形成したが、これは他の領域を用いることが可能である。例えば、図10に示すように、段部115の位置を中間電極層108の位置と合わせるよう形成し、中間電極層108を形成するマスクを、第1隔壁114aの上端の寸法に合わせ、中間電極層108を第1隔壁114a内に形成した後、正孔注入層109で段部115を覆うように形成することで、正孔注入層109を電流を広げるための機能層として用いることが可能となる。また、この場合、正孔注入層109の電気抵抗が高く、電流を広げるための機能を果たせない場合には、正孔注入層109、正孔輸送層110の少なくとも片方の導電性を高くして電流を広げるための機能層として形成しても良く、中間電極層108で電流を広げた場合と同様の効果を得ることができる。また、段部115の位置を、正孔注入層109、正孔輸送層110と合わせて形成することも好適であり、中間電極層108で電流を広げた場合と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(比較例−2)
以下、比較例として、単一隔壁を有する有機EL素子と初期特性の比較を行った。図4は、単一隔壁として隔壁114のみを有し、発光不良を起した有機EL素子100bの拡大断面図である。図2に示される有機EL素子100との違いは隔壁114が段部115を含まないため、積層する際に発生する競り上がりが分散されず、隔壁114の端部に蓄積されていくことである。ここで、有機EL素子100と有機EL素子100bとの初期不良の発生状態について比較した。この場合、有機EL素子100bでは、有機EL素子100と比べ、第1有機発光層111の輝度が低下する不良が頻発した。そこで断面形状を観察した結果、有機EL素子100bでは中間電極層108と電子注入層112が短絡する不良が発生していることが分かった。
【0075】
有機EL素子100bと有機EL素子100との断面形状を比較したところ、図4と図2に示すように、各層の競り上がり量には殆ど差がないが、有機EL素子100bでは競り上がり量が層形成と共に隔壁114の端部に競り上がり量が蓄積され、端部で正孔注入層109、正孔輸送層110、第1有機発光層111での被覆ができない領域が発生し、中間電極層108と電子注入層112との短絡が有機EL素子100bで生じていることが解明された。このように、第1隔壁114a、第2隔壁114bの継ぎ目に、開口部の面積が第2隔壁114bで大きくなる位置に段部115を形成することで、短絡不良を抑制しうることが示された。
【0076】
(電気光学装置)
次に、上記した製造方法を用いた電気光学装置について説明する。図7(a)〜(c)は、上記した図1に示す有機EL素子100を用いた有機ELパネル150を含む電気光学装置としての電子機器の搭載例について説明する。図7(a)に、有機ELパネル150を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、有機ELパネル150と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図7(b)には、有機ELパネル150を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての有機ELパネル150を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、有機ELパネル150に表示される画面がスクロールされる。図7(c)に、有機ELパネル150を適用した情報携帯端末PDA(Personal Digital Assisatnts)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての有機ELパネル150を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が有機ELディスプレイ1に表示される。
【0077】
なお、有機ELパネル150が搭載される電子機器としては、図7(a)〜(c)に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した有機ELパネル150が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】青色に対応する素子に、2層の有機発光層を有する有機EL素子を集積した有機ELパネルの平面図。
【図2】有機EL素子(B:青)のA−A線断面図。
【図3】単一隔壁のみを有する有機EL素子の断面図。
【図4】単一隔壁のみを有し、発光不良を起した有機EL素子の拡大断面図。
【図5】有機EL素子の製造方法を説明するための工程断面図。
【図6】有機ELパネルの配線構造を示す模式図。
【図7】有機EL素子を用いた有機ELパネルを含む電気光学装置としての電子機器への搭載例。
【図8】有機EL素子の製造方法を説明するための工程断面図。
【図9】有機EL素子の製造方法を説明するための工程断面図。
【図10】有機EL素子の製造方法に対する変形例を説明するための断面図。
【符号の説明】
【0079】
1…有機ELディスプレイ、80…走査線駆動回路、100…有機EL素子、100a…有機EL素子、100b…有機EL素子、101…基板、102…層間絶縁層、103…陽極、104…正孔注入層、105…正孔輸送層、106…第2有機発光層、107…電子注入層、108…中間電極層、109…正孔注入層、110…正孔輸送層、111…第1有機発光層、112…電子注入層、113…陰極、114…隔壁、114a…第1隔壁、114b…第2隔壁、115…段部、150…有機ELパネル、200…データ線駆動回路、201…走査線、202…信号線、203…電源線、204…実表示領域、205…ダミー領域、206…画素部、213…保持容量、222…TFT、223…TFT、230…インターフェース、240…画素、250…発光層、280…走査線駆動回路、290…検査回路、2000…パーソナルコンピュータ、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2010…本体部、3000…携帯電話機、3001…操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…情報携帯端末、4001…操作ボタン、4002…電源スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面に形成され、少なくとも一つの開口部を有する隔壁と、
前記隔壁の内側に形成された第1有機発光層と、
前記隔壁の内側であって、前記基板と前記第1有機発光層との間に形成された第2有機発光層と、
前記第1有機発光層と前記第2有機発光層との間に前記開口部を覆うように配置された中間電極層と、
を備え、
前記隔壁は、前記第1有機発光層と前記第2有機発光層との間に段部を備え、
前記段部によって、前記開口部の面積は前記段部を境に前記第2有機発光層側よりも前記第1有機発光層側で広くなっており、
前記中間電極層の一部は前記段部と前記第1有機発光層との間に配置されており、
前記中間電極層に供給される電流により生じる電圧は、前記第1有機発光層に供給される前記電流により前記第1有機発光層で生じる電圧よりも小さいことを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL素子であって、
前記第2有機発光層と前記第1有機発光層との間に、正孔ブロック層、電子注入層、前記中間電極層、正孔注入層、正孔輸送層が前記基板側からこの順で形成されていることを特徴とする有機EL素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の有機EL素子であって、前記隔壁は、無機材料からなる第1隔壁と、有機材料からなる第2隔壁とによって構成されることを特徴とする有機EL素子。
【請求項4】
請求項1または2に記載の有機EL素子であって、前記隔壁は無機材料によって形成されていることを特徴とする有機EL素子。
【請求項5】
請求項1または2に記載の有機EL素子であって、前記隔壁は有機材料によって形成されていることを特徴とする有機EL素子。
【請求項6】
請求項3または4に記載の有機EL素子であって、前記第1隔壁は酸化珪素、窒化珪素、又は窒化酸化珪素のいずれか、又はこれらの積層構造を含むことを特徴とする有機EL素子。
【請求項7】
請求項3または5に記載の有機EL素子であって、前記第2隔壁はポリアクリル、ポリイミドを含むことを特徴とする有機EL素子。
【請求項8】
基板の第1面に形成され、少なくとも一つの開口部を有する隔壁を形成する工程と、
前記隔壁の内側に第2有機発光層を形成する工程と、
前記隔壁の内側であって、前記第2有機発光層を挟み前記基板と対向する位置に中間電極層を形成する工程と、
前記隔壁の内側であって、前記中間電極層を挟み前記基板と対向する位置に第1有機発光層を形成する工程と、
を備え、
前記隔壁は、前記第1有機発光層と前記第2有機発光層との間に段部が形成され、
前記段部によって、前記開口部の面積は前記段部を境に前記第2有機発光層側よりも前記第1有機発光層側で広くなっており、
前記中間電極層の一部が前記段部と前記第1有機発光層との間に形成され、
上記工程を終えた後、前記中間電極層と前記第1有機発光層に供給される電流により生じる電圧は、前記中間電極層で生じる電圧よりも、前記第1有機発光層で発生する電圧が小さいことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の有機EL素子の製造方法であって、前記隔壁は感光性の有機材料を用いてなり、前記有機材料の露光量に分布を与えることで、段差を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機EL素子を用いることを特徴とする電気光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−9815(P2010−9815A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165526(P2008−165526)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】