説明

有機EL素子、有機EL素子の製造方法及び有機EL表示装置

【課題】表示装置を大型化した場合でも発光領域を減少させることなく、安定して電圧を供給することができるとともに、製造工程を簡略化した狭額縁化された有機EL素子、有機EL素子の製造方法、有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に形成された複数の第1電極と、複数の第1電極のうち一つ以上の第1電極上に形成され、外部と電気的に接続する複数のコンタクト部と、複数の第1電極及び複数のコンタクト部を区画して形成された複数の隔壁と、複数の第1電極及び複数のコンタクト部上に形成された複数の有機発光層と、複数のコンタクト部及び複数の有機発光層上に形成された複数の第2電極と、を備えることを特徴とする有機EL素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子、有機EL素子の製造方法、有機EL表示装置に関する。特に狭額縁化された有機EL素子、有機EL素子の製造方法及び有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、基板上に形成された第1電極(陽極又は陰極)と、その上に積層された有機発光物質を含有する有機化合物層(単層部又は多層部)すなわち有機発光層と、この有機発光層上に積層された第2電極(陰極又は陽極)とを有している。このような有機EL素子に電圧を印加すると、有機発光層に第2電極から電子(正孔)が注入され、第1電極から正孔(電子)が注入される。この電子と正孔が有機発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られている。
【0003】
上述した発光原理を用いた有機EL素子は薄膜型の素子であるため、1個又は複数個の有機EL素子を基板上に形成したものをバックライト等の面光源として利用した場合には、面光源を備えた装置を容易に薄型にすることができる。また、画素としての有機EL素子を基板上に所定個数形成したものを表示装置とした場合には視認性が高い、視野角依存性がないなど、液晶表示装置では得られない利点がある。
【0004】
ところが、有機EL表示装置においては、有機EL素子の駆動電極をガラス基板の端部に配置することによって、額縁が広くなり有機EL表示装置の狭額縁化を妨げるという問題が生じていた。そのため、近年、有機EL素子を用いた表示装置において、狭額縁化の要求が高まっていた。
【0005】
上述した有機EL表示装置の狭額縁化の問題に対応するものとして、例えば、特許文献1の薄膜EL表示パネルが提案されている。この薄膜EL表示パネルでは、前面電極の引き出しを各前面電極と背面電極の非交差部にEL層を貫通して設けたスルーホールを介して行い、前面電極と背面電極の非交差部にそれぞれ設けたリードアウト端子部によりリードアウトを行うリードピンが接続されている。また、特許文献2のパッシブ駆動マトリクス・ディスプレイでは、信号をディスプレイ素子(画素領域)に貫通ビアを介してまたはバックプレーン上で与えている。また、特許文献3の面発光装置用封止体及び面発光装置では、陽極及び陰極それぞれを封止基板側から電気的に接続させるために電極を形成して、外部への電気的な接続を封止体の絶縁樹脂層にスルーホールを形成している。
【0006】
上述のスルーホールを用いて外部との電気的な接続を行う有機EL表示装置では、大型化した有機EL表示装置に用いた場合、安定した電圧を画素領域に供給することができなくなり、輝度のバラツキが起こる可能性がある。また、スルーホールを形成した後に、外部との電気的な接続を図るために、電極又は配線を形成する必要があり、製造工程が簡略化さていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭62−116496号公報
【特許文献2】特表2004−533022号公報
【特許文献3】特開2005−338419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1では、EL層を貫通して設けたスルーホールにより前面電極の引き出しを行っており、薄膜表示パネルが大型化した場合、安定した電圧を供給することができなくなる可能性がある。また、リードアウトを各前面電極及び背面電極に対して行う必要があり、製造工程が増えていた。また、特許文献2では、機能性層を形成するガラス基板上に直接貫通ビアを形成し、貫通ビアを介して配線しており、発光領域が狭くなる可能性がある。また、特許文献3では、外部に電気的に接続させる電極を陽極及び陰極それぞれに形成する必要があり、製造工程の簡略化が図れていない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、表示装置を大型化した場合でも発光領域を減少させることなく、安定して電圧を供給することができるとともに、製造工程を簡略化した狭額縁化された有機EL素子、有機EL素子の製造方法、有機EL表示装置を提供し、大型の表示パネル、大型の照明パネルを低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る有機EL素子は、基板と、前記基板上に形成された複数の第1電極と、前記複数の第1電極のうち一つ以上の第1電極上に形成され、外部と電気的に接続する複数のコンタクト部と、前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部を区画して形成された複数の隔壁と、前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部上に形成された複数の有機発光層と、前記複数のコンタクト部及び前記複数の有機発光層上に形成された複数の第2電極と、を備えることを特徴とする。
【0011】
前記複数のコンタクト部は、前記複数の第1電極、前記複数の有機発光層及び前記複数の第2電極から構成される画素領域の外部に電気的に絶縁されてもよい。
【0012】
前記複数のコンタクト部は、それぞれ前記第1電極上に前記複数の隔壁よりも低く、前記複数の有機発光層よりも高くなるように前記第1電極上に形成され、前記第1電極の垂直方向に対して、高さ100nm以上2000nm以下、幅5μm以上100μm以下であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る有機EL素子の製造方法は、基板上に複数の第1電極を形成し、前記複数の第1電極のうち一つ以上の第1電極上に、外部と電気的に接続する複数のコンタクト部を形成し、前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部を区画する複数の隔壁を形成し、前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部上に複数の有機発光層を形成し、前記複数のコンタクト部及び前記複数の有機発光層上に複数の第2電極を形成することを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施形態に係る有機EL表示装置は、基板と、前記基板上に形成された複数の第1電極と、前記複数の第1電極のうち一つ以上の第1電極上に形成され、外部と電気的に接続する複数のコンタクト部と、前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部を区画して形成された複数の隔壁と、前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部上に形成された複数の有機発光層と、前記複数のコンタクト部及び前記複数の有機発光層上に形成された複数の第2電極と、前記複数の有機発光層が配置された面と向かい合い、貫通孔を有し、前記貫通孔に導電体部が形成された封止基板と、前記複数のコンタクト部と前記封止基板の前記導電体部に電気的に接続されるコンタクトバンプと、前記有機発光層を囲むように枠状に配置され、前記基板の端部と前記封止基板とを接合するシール部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表示装置を大型化した場合でも発光領域を減少させることなく、安定して電圧を供給することができるとともに、製造工程を簡略化した狭額縁化された有機EL素子、有機EL素子の製造方法、有機EL表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係るパッシブマトリックス型有機EL表示装置の一例を示す概略平面図であり、(b)は、(a)のAA−A’A’線で切断したときの構成を示す概略断面図である。
【図2】図1(a)のパッシブマトリックス型有機EL表示装置の一例を示す概略平面図である。
【図3】図2のA−A’線で切断したときの構成を示す概略断面図である。
【図4】図2のB−B’線で切断したときの構成を示す概略断面図である。
【図5】図1のC−C’線で切断したときの構成を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るパッシブマトリックス型有機EL表示装置の配線例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々な態様で実施することができる。
【0018】
図1(a)は、本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス型有機EL表示装置を示す概略平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すAA−A’A’線で切断したときの構成を示す概略断面図である。図1(a)及び(b)に示すように、本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス型有機EL表示装置100は、大型の表示装置を構成する発光領域(画素領域という場合がある。)122を縦横に並べるタイリングパネルであり、縦7×横8の合計56の発光領域122を有する。タイリングパネルは、第1電極112と第2電極114との交点から構成される複数の発光領域122、又は、第1電極112と第2電極114との間に配置される有機発光層120を少なくとも含む複数の有機EL素子によって構成されてもよい。以下、本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス型有機EL表示装置100は、いわゆるボトムエミッション型について説明するが、本発明はこれに限定されるわけではなく、いわゆるトップエミッション型に用いてもよい。また、本発明は大型の表示パネルまたは照明パネルにも用いることができる。なお、以下の説明では理解を容易とするために、同一機能を有する箇所については同一の符号を付して説明し、説明が重複する部分に対しては説明を一部省略している。
【0019】
図1(a)及び(b)に示すように、本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス型有機EL表示装置100は、基板110と、基板110上に形成された複数の第1電極112と、複数の第1電極112上にパターニングして形成された複数の有機発光層120と、複数の有機発光層120をそれぞれ電気的に絶縁させ、パターニングして形成された複数の絶縁層119と、複数の有機発光層120及び複数の絶縁層119上に形成された第2電極114と、複数の絶縁層119上に第2電極114の長手方向と直交する方向にストライプ状に形成され、第2電極14を区画する複数の第1隔壁116と、第2電極114と外部に電気的に接続され、第2電極に対して垂直方向に形成される第2コンタクトバンプ135と、複数の第1電極112のうち一つ以上の第1電極112上に形成された複数のコンタクト部130(図示せず)と、第1電極112に対して垂直方向に形成され、コンタクト部130に電気的に接続された第1コンタクトバンプ134と、基板110と向き合うように配置され、第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135を内部配線164、第1貫通電極161、第2貫通電極162、第1取出し電極136、第2取出し電極137によって構成され、外部に電気的に接続される封止基板160と、封止基板160の第1貫通電極161及び第2貫通電極162を覆うように配置される第1バリアフィルム168及び第2バリアフィルム169と、基板110と封止基板160とを接合させるシール層152と、を備える。なお、絶縁層119上に第2電極114を区画させる第1隔壁116を配置しているが、第1隔壁116上に第2隔壁118を配置してもよい。第1隔壁116上に第2隔壁118を設けることで、隣接する発光領域122を絶縁することができる。
【0020】
本発明の実施形態に係るパッシブマトリックス型有機EL表示装置100は、第1電極112上の複数のコンタクト部130を介して接続される第1コンタクトバンプ134及び第2電極114と接続される第2コンタクトバンプ135を発光領域122の外部に設け、第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135に貫通電極162を含む封止基板160を介して外部との電気的な接続を行うことに特徴がある。本発明の実施形態に係るパッシブマトリックス型有機EL表示装置100は、発光領域122の外部に第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135を設けて封止基板160を介して外部との電気的な接続を行うように構成することによって、狭額縁化を図ることができる。また、有機発光層120から発光される光とは逆側、すなわち、封止基板160側から外部との電気的な接続を行うことによって、発光領域122を狭くすることなく、外部との電気的な接続を図ることができる。
【0021】
次に、図2〜図5を参照して、図1に示した本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス型有機EL表示装置のうち縦3×横3の合計9の発光領域122を有する構成を例に、狭額縁化の図り方を詳細に説明する。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス型有機EL表示装置の一例を示す概略平面図である。図3は、図2のA−A’線で切断したときの構成の一例を示す概略断面図である。図4は、図2のB−B’線で切断したときの構成の一例を示す概略断面図である。図5は、図2のC−C’線で切断したときの構成の一例を示す概略断面図である。
【0023】
図2〜図5に示すように、本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス型有機EL表示装置は、基板110と、基板110上にパターニングして形成された複数の第1電極112と、複数の第1電極112を区画するようにパターニングして形成された複数の絶縁層119と、複数の絶縁層119の長手方向と直交する方向にストライプ状に形成された複数の第1隔壁116と、複数の第1隔壁116上に形成された複数の第2隔壁118と、複数の第1電極112のうち一つ以上の第1電極112上に形成された複数のコンタクト部130と、複数の第1電極112及び複数のコンタクト部130上にパターニングして形成された複数の有機発光層120と、複数の有機発光層120上に形成された第2電極114と、第1電極112に対して垂直方向に形成され、複数のコンタクト部130に電気的に接続されるように形成され、外部と電気的に接続された複数の第1コンタクトバンプ134と、第2電極114と外部に電気的に接続されるように形成され、第2電極に対して垂直方向に形成された複数の第2コンタクトバンプ135と、基板110と向き合うように配置される封止基板160と、基板110と封止基板160とを接合させるシール層152と、を備える。また、第1電極112が形成された領域によって構成される第1電極幅113、第2電極114が形成された領域によって構成される第2電極幅115を含む。
【0024】
封止基板160は、発光領域122における第1電極幅113の外部に第1コンタクトバンプ134と電気的に接続される内部配線164、内部配線164に第1配線172を介して電気的に接続される第1貫通電極161、第1貫通電極161に外部との電気的な接続を図る第1取出し電極136、第1貫通電極161を覆うように形成される第1バリアフィルム168と、発光領域122における第2電極幅115の内部に第2コンタクトバンプ135と電気的に接続される内部配線164(図示せず)、内部配線164に第2配線174を介して電気的に接続される第2貫通電極162、第2貫通電極162に外部との電気的な接続を図る第2取出し電極137、第2貫通電極162を覆うように形成される第2バリアフィルム169と、を備える。また、第1コンタクトバンプ134が配置される第1コンタクト幅131、第2コンタクトバンプ135が配置される第2コンタクト幅133を含む。
【0025】
次に、本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス型有機EL表示装置の各構成について説明する。
【0026】
[有機EL素子]
[基板]
本発明の実施形態に用いられる基板110は、有機発光層120を支持するとともに、有機発光層120の発光を外部に取出すことができ、さらには外気を遮断することができるものであれば材質は特に限定されるものではないが、光透過性、有機EL素子の安定性、耐久性等が良好なことから、ガラスであることが好ましい。より詳細には、例えば石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラス板等を用いてもよい。
【0027】
また、基板の光透過性に関しては、第1隔壁116及び第2隔壁118や第1電極112等が形成可能であれば特に限定されるものではないが、例えば光の取出し面により光透過性が必要か否かが適宜決定される。
【0028】
基板として透明樹脂フィルムを使用してもよい。透明樹脂フィルムを使用する場合、樹脂フィルムの表面にはガスバリア膜が必要に応じて形成されることが好ましい。ガスバリア膜としては無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。ガスバリア膜の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/m・day・atm以下であることが好ましい。更には、酸素透過度10−3ml/m/day以下、水蒸気透過度10−5g/m/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
【0029】
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることが出来る。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシ法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることが出来るが、大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
【0030】
[第1電極]
本発明の実施形態に係る第1電極112は、基板110上にストライプ状又は全面に形成するものである。第1電極110は、陽極であっても陰極であってもよい。
【0031】
第1電極112は透明性を有していても有していなくてもよい。第1電極112の透明性は、光の取出し面等によって適宜選択される。例えば第1電極112側から光を取出す場合は、第1電極112は透明または半透明である必要がある。
【0032】
陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい(例えば4eV以上)導電性材料を用いることが好ましく、具体的には、ITO、酸化インジウム、金のような仕事関数の大きい金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を挙げることができる。
【0033】
第1電極112は抵抗が小さいことが好ましく、一般には金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
【0034】
第1電極112の成膜方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法などを挙げることができる。また、第1電極112のパターニング方法としては、電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィ法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着時やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
【0035】
[コンタクト部]
本発明の実施形態に係るコンタクト部130は、図2に示す第1コンタクト幅131に発光領域122の一部を電気的に短絡させ、外部と電気的に接続させるために形成する。このコンタクト部130は、三角錐であって複数有することが好ましい。このコンタクト部130の形状は三角錐に限定されず、四角錐、多角錐あるいは円錐などの錐状であってもよく、第1電極112と電気的に接続できれば、四角柱、三角柱、多角柱あるいは円柱等の柱状であってもよい。コンタクト部130は、画素領域122で電気的に短絡させることで、非発光部となる。しかし、このコンタクト部130は、有機EL表示装置100の狭額縁化を図り、大型化した場合でも、電圧を安定的に画素領域122(第1電極112及び第2電極114)に供給することができる。
【0036】
コンタクト部130としては、Cr(クロム)を用いることが特に好ましいが、これに限定されず、Mo(モリブデン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Ag(銀)等の合金を用いてもよい。コンタクト部130は、第1電極112を形成した後に、第1電極122と同様の方法で形成して、その後に、コンタクト部130をフォトリソグラフィ法又はレーザ法を用いてパターニングを行いに形成する。次に、有機発光層120及び第2電極114をコンタクト部130上に形成するとき、コンタクト部130を錐状に形成することによって、蒸着法を用いた場合に発生する蒸着物の回りこみを利用して第2電極114と電気的に接続している。
【0037】
コンタクト部130は、第1電極112上に第1隔壁116よりも低く、有機発光層120よりも高く形成される。具体的には、第1電極112の垂直方向に対して、高さ100nm以上2000nm以下、幅5μm以上100μm以下で形成される。なお、該範囲のコンタクト部130を複数形成することで、第1コンタクトバンプ134から第1電極112へ電流を安定的に流すことが可能になる。
【0038】
[第2電極]
本発明の実施形態に係る第2電極114は、有機発光層120上に形成されるものである。第2電極114は、陽極であっても陰極であってもよい。
【0039】
また、第2電極114は、透明性を有していても有していなくてもよく、光の取出し面等によって適宜選択される。例えば第2電極114側から光を取出す場合は、第2電極114は透明または半透明である必要がある。
【0040】
陰極としては、電子が注入し易いように仕事関数の小さい(例えば4eV以下)導電性材料を用いることが好ましく、例えばMgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類及びアルカリ土類金属類、または、アルカリ金属類及びアルカリ土類金属類の合金などが挙げられる。
【0041】
また、第2電極114は抵抗が小さいことが好ましく、一般には金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。特に金属材料が好ましい。第2電極114の材料としては抵抗が低いものであればよく、金属材料が最も適しているからである。
【0042】
また、第2電極114に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、第1電極112の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2電極(陰極)114を作製することができ、これを応用することで第1電極112と第2電極114の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
【0043】
金属材料の成膜方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の一般的な蒸着法や、金属ペーストを塗布する方法等が挙げられる。特に、真空蒸着法、金属ペーストを塗布する方法が好ましい。真空蒸着法は、ドライプロセスで有機EL層120へのダメージが少ない方法であり、積層に適している。また、金属ペーストを塗布する方法はウェットプロセスであり、ウェットプロセスはドライプロセスよりも大面積の対応に適している。ウェットプロセスであっても、有機EL層120に影響を与えない溶媒が配合された金属ペーストは使用可能である。すなわち、有機EL層120の耐溶剤性などによって有機EL層120に影響を与えないように工夫することで、ウェットプロセスも適用可能となる。
【0044】
[導電層]
図示しないが、本発明の実施形態においては、第1電極112と有機発光層120の発光層との間に導電層が形成されていてもよい。また、発光層と第2電極114との間に導電層が形成されていてもよい。この導電層は、発光領域にも形成されるものである。
【0045】
導電層に用いられる材料としては、導電性を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、導電性高分子や、アルカリ金属類及びアルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン及びそれらの誘導体等が挙げられる。より具体的には、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)を用いることができる。また、アルカリ金属類及びアルカリ金属のハロゲン化物としては、アルミリチウム合金、フッ化リチウム、ストロンチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、カルシウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等が挙げられる。
【0046】
[絶縁層]
本発明の実施形態に係る絶縁層119は、第1電極112が形成された基板110上に、発光領域122内の第1電極112が露出するように形成されるものである。絶縁層119により、第1電極112と第2電極114とが接触してショートするのを防ぐことができる。
【0047】
絶縁層119の形成位置としては、絶縁層119が、発光領域内の第1電極112が露出するように形成されていればよい。発光領域の大きさとしては、有機EL素子の用途等に応じて適宜選択される。
【0048】
絶縁層119は、第1電極112の端部を覆うように形成されていることが好ましい。第1電極112の端部では有機発光層120の厚みが薄くなるため、絶縁層119を形成することでショートし難くすることができる。また隣り合う発光領域が電気的に接続されるのを防ぐことができる。絶縁層119が形成された部分は、発光に寄与しない領域とすることができる。
【0049】
絶縁層119の形成材料としては、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、及び無機材料等を挙げることができる。
【0050】
絶縁層119の形成方法としては、フォトリソグラフィ法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
【0051】
[第1隔壁及び第2隔壁]
本発明の実施形態に係る第1隔壁116は、絶縁層119上に、第1電極112の長手方向と直交する方向にストライプ状に形成されるものであり、第2隔壁はコンタクト部を電気的に孤立させて、短絡により第1電極に電気を流し、隣の電極に電流を流さないようにするためである。この第1隔壁116及び第2隔壁118は絶縁性を有している。第1隔壁、第2隔壁ともに第2電極を分断するために設けられるものである。第2隔壁118と第1隔壁116は同じ材料で同時に形成することで低コストが可能になる。コンタクト部は、第1電極112上に形成する際、発光領域122内に設けてもよい。発光領域122内にコンタクト部130を設けることによって、さらに狭額縁化を図ることが可能となる。
【0052】
第1隔壁116及び第2隔壁118の断面形状としては、第2電極を分断させるため逆テーパ形状等のオーバーハング形状が好ましい。
【0053】
第1隔壁116及び第2隔壁118の高さとしては、発光領域122の中心部における基板110表面から第2電極114表面までの高さよりも高くなるように設定される。
【0054】
第1隔壁116及び第2隔壁118の幅は、特に限定されるものではないが、100μm以下であることが好ましい。第1隔壁116及び第2隔壁118の幅が広すぎると、発光領域が相対的に狭くなるからである。
【0055】
第1隔壁116及び第2隔壁118により画定される領域の幅は、300μm以下であることが好ましい。上記領域の幅が広すぎると、発光領域が相対的に狭くなるからである。
【0056】
第1隔壁116及び第2隔壁118の形成材料としては、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、及び無機材料等を挙げることができる。
【0057】
第1隔壁116及び第2隔壁118の形成方法としては、フォトリソグラフィ法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
【0058】
[有機発光層]
本発明の実施形態に係る有機発光層120は、発光領域122内の第1電極112上に形成されるものである。この有機発光層120は、少なくとも発光層を含んでいる。
【0059】
有機発光層120の形成位置としては、有機発光層120が、発光領域122内の第1電極112上に形成されていればよい。すなわち、有機発光層120を構成する各層が、少なくとも発光領域に形成されていなければよい。したがって、例えば、有機発光層120は、図1〜図5に示すように第1隔壁116及び第2隔壁118の上に形成されていてもよい。
【0060】
本発明の実施形態に用いられる有機発光層120は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものである。すなわち、有機発光層120とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布によるウェットプロセスで有機発光層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で構成される場合が多いが、有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
【0061】
発光層以外に有機発光層120を構成する有機層としては、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等を挙げることができる。正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合がある。また、電子輸送層は、電子注入層に電子輸送の機能を付与することにより、電子注入層と一体化される場合がある。さらに、有機発光層120を構成する有機層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
【0062】
本発明の実施形態に係る発光層は、単色(赤色、緑色または青色)発光または白色発光が用いられる。発光層に用いられる材料としては、例えば、色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等の発光材料であってもよく、一般的に用いられる材料であってもよい。
【0063】
色素系材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどを挙げることができる。
【0064】
また、金属錯体系材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。
【0065】
さらに、高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、及びそれらの共重合体等を挙げることができる。
【0066】
上記発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤を添加してもよい。このようなドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体を挙げることができる。
【0067】
発光層の厚みとしては、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば1nm〜500nm程度とすることができる。
【0068】
発光層は、第1隔壁116及び第2隔壁118又は絶縁層により分断される。この際、発光層は、赤色・緑色・青色等の複数色の発光部を有するようにパターン状に形成されていてもよく、白色の発光部を有するようにパターン状に形成されていてもよい。
【0069】
本発明の実施形態において、発光層とは青色発光層、緑色発光層、赤色発光層をいう。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、また各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。本発明の実施形態においては、少なくとも一つの青発光層が、全発光層中最も第1電極に近い位置に設けられていることが好ましい。また、発光層を4層以上設ける場合には、第1電極に近い順から、例えば青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層/赤色発光層のように青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を順に積層することが、輝度安定性を高める上で好ましい。発光層を多層にすることで白色素子の作製が可能になる。
【0070】
[正孔注入層]
上述したように、正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合がある。すなわち、正孔注入層は、正孔注入機能のみを有していてもよく、正孔注入機能及び正孔輸送機能の両機能を有していてもよい。
【0071】
正孔注入層に用いられる材料としては、発光層内への正孔の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン誘導体等を用いることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
【0072】
また、正孔注入層の厚みとしては、正孔注入機能や正孔輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.5nm〜1000nmの範囲内、特に10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。
【0073】
[電子注入層]
上述したように、電子輸送層は、電子注入層に電子輸送の機能を付与することにより、電子注入層と一体化される場合がある。すなわち、電子注入層は、電子注入機能のみを有していてもよく、電子注入機能及び電子輸送機能の両機能を有していてもよい。
【0074】
電子注入層に用いられる材料としては、発光層内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、アルミリチウム合金、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等のようにアルカリ金属類、及びアルカリ金属類のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体等を用いることができる。
【0075】
また、電子輸送性の有機材料にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属をドープした金属ドープ層を形成し、これを電子注入層とすることもできる。上記電子輸送性の有機材料としては、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体等を挙げることができ、ドープする金属としては、Li、Cs、Ba、Sr等が挙げられる。
【0076】
上記電子注入層の厚みとしては、電子注入機能や電子輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
【0077】
[電子輸送層]
電子輸送層に用いられる材料としては、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)の誘導体等を挙げることができる。
【0078】
上記電子輸送層の厚みとしては、電子輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
【0079】
[第1コンタクトバンプ及び第2コンタクトバンプ]
本発明の実施形態に係る第1コンタクトバンプ134は、第1電極112とコンタクト部130を介して後述する封止基板160の内部配線164と電気的に接続され、第2コンタクトバンプ135は、第2電極114と封止基板160の内部配線164とに電気的に接続される。
【0080】
本発明の実施形態に係る第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135の高さは、第1隔壁116及び第2隔壁118より高く形成されていれば高さは限定されず、封止基板160の内部配線164に電気的に接続される。また、第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135は、同じ材料を用いて同じ方法で柱状に形成される。
【0081】
第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135の形成材料としては、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Ag(銀)等をあげることができる。第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135の形成方法としては、めっきによって形成することが好ましいが、これに限定されない。
【0082】
本発明の実施の形態に係る有機EL素子は、第1電極112上の複数のコンタクト部130を介して接続される第1コンタクトバンプ134及び第2電極114と接続される第2コンタクトバンプ135を発光領域122の外部に設け、第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135を介して外部との接続を図ることによって、表示装置を大型に形成した場合でも低コストで狭額縁化でき、発光領域を減少させることなく、安定して電圧を供給することができる。
【0083】
[有機EL素子を用いた表示装置]
[封止基板]
本発明の実施形態に係る封止基板160は、上述した有機EL素子とは別に形成し、図2に示す第1コンタクト幅131に第1コンタクトバンプ134を介して、第1貫通電極161、第1貫通電極161に接続される内部配線164、第1貫通電極161に接続される第1取出し電極136と、第2コンタクト幅133に第2コンタクトバンプ135を介して、第2貫通電極162、第2貫通電極162に接続される内部配線164、第2貫通電極162に接続される第2取出し電極137と、を備える。封止基板160は、発光領域122の周囲を取囲むように、封止基板160及びシール層152を用いて枠封止を行う。封止基板160は、発光領域122の周辺を囲み、且つ封止基板160と基板110とを接着固定して発光領域122が水分や酸素に触れない様にアルゴン(Ar)または窒素(N)等の不活性ガスを充満した上で封止する。
【0084】
封止基板160としてはガラスを用いることが好ましいが、ガラスに限定されず、基板110と同様の材料を用いてもよい。封止基板160に貫通孔をエッチング等によって設け、貫通孔に第1貫通電極161及び第2貫通電極162を形成する。次に、第1貫通電極161及び第2貫通電極162の基板110側に内部配線164を形成し、基板110の反対側に第1取出し電極136及び第2取出し電極137を形成する。次に、第1貫通電極161及び第2貫通電極162が電気的に接続された第1取出し電極136及び第2取出し電極137に対して水分及び酸素を遮断するため第1バリアフィルム168及び第2バリアフィルム169を貼り合わせて封止を行う。ここで、第1貫通電極161及び第2貫通電極162は同様の材料及び方法で形成され、第1取出し電極136及び第2取出し電極137は同様の材料及び方法で形成される。
【0085】
封止基板に160の内部配線164、第1貫通電極161、第2貫通電極162、第1取出し電極136及び第2取出し電極137は、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Ag(銀)等を用いて、めっき等によって形成される。
【0086】
有機EL素子の周囲を取囲むようにして封止ガラス150と基板110とを接着固定するシール層158としては、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などからなる接着機能を有する樹脂等を用いることが好ましい。
【0087】
ここで、封止基板160を介する配線の引き回しについて図6を参照して説明する。封止基板160には、第1配線172に電気的に接続された第1取出し電極136と、第2配線174に電気的に接続された第2取出し電極137と、が配置されている。この例では、第1取出し電極136は、コンタクト部130に電気的に接続された第1コンタクトバンプ134を介して封止基板200に設けられる第1貫通電極161によって外部回路と接続し、第2取出し電極137は、第2電極114に電気的に接続された第2コンタクトバンプ135を介して封止基板200に設けられる第2貫通電極162によって外部回路と接続している。
【0088】
第1配線172及び第2配線174としては、特に、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)の少なくとも一つによって形成されることが望ましい。
【0089】
図示はしないが、本発明の実施形態において、光を照射する基板110側にカラーフィルタ又は色変換層を配置してもよい。カラーフィルタ又は色変換層を用いることによって、照射する光を均一にできる。
【0090】
上述したとおり、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置100は、第1電極112とコンタクト部130を介して接続される第1コンタクトバンプ134及び第2電極114と接続される第2コンタクトバンプ135を外部に設け、第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135を貫通電極162を含む封止基板160を介して外部との電気的な接続を行うことによって、表示装置を大型化した場合でも低コストで狭額縁化でき、発光領域を減少させることなく、安定して電圧を供給することができるとともに、製造工程を簡略化できる。
【0091】
[パッシブマトリックス型有機EL表示装置の製造方法]
次に、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法について図2〜図5を参照して説明する。本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法は、有機EL素子を形成する。有機EL素子としては、厚さ0.7mmの基板110上に、ITOを成膜し、次にCr膜を成膜する。パターニングはCrから始め、第1電極112上(ITO)の一部にフォトリソグラフィ法とエッチング法でCrの凸凹部(コンタクト部130)を形成する。次に第1電極(ITO)112を同様にフォトリソグラフィ法とエッチング法でパターニングしてストライプ状の第1電極112を形成する。次に、第1電極112が形成された基板110上に、発光領域122内の第1電極112が露出するように絶縁層119を形成する。次に、絶縁層119上に、第1電極112の長手方向と直交する方向に延在するストライプ状の絶縁性の第1隔壁116、及びコンタクト部130を孤立させるための第2隔壁118を同じ隔壁材料で一括形成する。次に、この基板110上の全面に、蒸着法、印刷法、吐出法または転写法、例えばグラビア印刷法により有機層形成用塗工液を塗布し、有機発光層120を形成する。次に、有機発光層120上に第2電極114を形成する。次に、第1電極112とコンタクト部130を介して封止基板160の内部配線164と電気的に接続する第1コンタクトバンプ134及び第2電極114と封止基板160の内部配線164と電気的に接続する第2コンタクトバンプ135をメッキによって高さ15μm±1μm、大きさ20μmφに形成して、有機EL素子が完成する。
【0092】
封止基板160は、有機EL素子とは別に用意する。封止基板160は厚さ0.3mmのガラスを用いた。この封止基板160に貫通孔150μmφを設け、貫通孔にメッキ法を用いて厚み1μm、L&Sが30μm程度になるように内部配線164、第1貫通電極161、第2貫通電極162、第1取出し電極136及び第2取出し電極137を形成した。次に、封止基板160の第1貫通電極161及び第2貫通電極162に対して水分及び酸素を遮断するために第1取出し電極136及び第2取出し電極137の一部を覆うように第1バリアフィルム168及び第2バリアフィルム169を封止した。その後、封止基板160と基板110を精度良く貼り合わせ、コンタクト部を結合させる。次に、ガラス基板110及び封止ガラス150のどちらか一方の表面に、光硬化性樹脂接着剤からなるシール層154をディスペンサなどを用いて基板110の周囲を取囲むように塗布形成しておく。その後、基板110と封止基板160とを重ね合せる。
【0093】
続いて、基板110を介して紫外線UVを照射し、シール層152を硬化させて、封止基板160と基板110との貼り合せを行った。なお、上述の方法では、第1隔壁116により、コンタクト部130を発光領域122の外部に設けたが、第1隔壁116上にさらに第2隔壁118を設けて発光領域122の内部に設けてもよい。発光領域122の内部又は外部にコンタクト部122を設けることでより狭額縁化した有機EL表示装置を形成できる。また、第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135を基板110に対して垂直方向に低く設けてもよい。この場合、第1隔壁116又は第2隔壁118上に形成される第2電極114に接触しないようにすればよい。
【0094】
次に、封止基板160を含む有機EL素子とフィルム上に形成したカラーフィルタとの貼り合わせを大気圧のもと行い、本発明の実施形態に係るパッシブマトリックス型の有機EL表示装置が完成する。
【0095】
本発明の実施形態に係る有機EL表示装置100は、第1電極112とコンタクト部130を介して接続される第1コンタクトバンプ134及び第2電極114と接続される第2コンタクトバンプ135を外部に設け、第1コンタクトバンプ134及び第2コンタクトバンプ135を貫通電極162を含む封止基板160を介して外部との電気的な接続を行うことによって、表示装置を大型化した場合でも狭額縁化でき、発光領域を減少させることなく、安定して電圧を供給することができるとともに、製造工程を簡略化できる。
【符号の説明】
【0096】
100:有機EL表示パネル、110:基板、112:第1電極、113:第1電極幅、114:第2電極、115:第2電極幅、116:第1隔壁、118:第2隔壁、119:絶縁層、120:有機発光層、122:発光領域、130:コンタクト部、131:第1コンタクト部幅、133:第2コンタクト部幅、134:第1コンタクトバンプ、135:第2コンタクトバンプ、136:第1取出し電極、137:第2取出し電極、152:シール層、160:封止基板、161:第1貫通電極、162:第2貫通電極、164:内部配線、168:第1バリアフィルム、169:第2バリアフィルム、172:第1配線、174:第2配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された複数の第1電極と、
前記複数の第1電極のうち一つ以上の第1電極上に形成され、外部と電気的に接続する複数のコンタクト部と、
前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部を区画して形成された複数の隔壁と、
前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部上に形成された複数の有機発光層と、
前記複数のコンタクト部及び前記複数の有機発光層上に形成された複数の第2電極と、
を備えることを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
前記複数のコンタクト部は、前記複数の第1電極、前記複数の有機発光層及び前記複数の第2電極から構成される画素領域の外部に電気的に絶縁されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
前記複数のコンタクト部は、それぞれ前記第1電極上に前記複数の隔壁よりも低く、前記複数の有機発光層よりも高くなるように前記第1電極上に形成され、前記第1電極の垂直方向に対して、高さ100nm以上2000nm以下、幅5μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
【請求項4】
基板上に複数の第1電極を形成し、
前記複数の第1電極のうち一つ以上の第1電極上に、外部と電気的に接続する複数のコンタクト部を形成し、
前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部を区画する複数の隔壁を形成し、
前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部上に複数の有機発光層を形成し、
前記複数のコンタクト部及び前記複数の有機発光層上に複数の第2電極を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項5】
前記複数のコンタクト部は、前記複数の第1電極、前記複数の有機発光層及び前記複数の第2電極から構成される画素領域の外部に電気的に絶縁されるように形成することを特徴とする請求項4に記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項6】
前記複数のコンタクト部は、それぞれ前記第1電極上に前記複数の隔壁よりも低く、前記複数の有機発光層よりも高くなるように前記第1電極上に形成され、前記第1電極の垂直方向に対して、高さ100nm以上2000nm以下、幅5μm以上100μm以下に形成することを特徴とする請求項4または5に記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に形成された複数の第1電極と、
前記複数の第1電極のうち一つ以上の第1電極上に形成され、外部と電気的に接続する複数のコンタクト部と、
前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部を区画して形成された複数の隔壁と、
前記複数の第1電極及び前記複数のコンタクト部上に形成された複数の有機発光層と、
前記複数のコンタクト部及び前記複数の有機発光層上に形成された複数の第2電極と、
前記複数の有機発光層が配置された面と向かい合い、貫通孔を有し、前記貫通孔に導電体部が形成された封止基板と、
前記複数のコンタクト部と前記封止基板の前記導電体部に電気的に接続されるコンタクトバンプと、
前記有機発光層を囲むように枠状に配置され、前記基板の端部と前記封止基板とを接合するシール部材と、
を備えることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項8】
前記複数のコンタクト部は、前記複数の第1電極、前記複数の有機発光層及び前記複数の第2電極から構成される画素領域の外部に電気的に絶縁されることを特徴とする請求項7に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記複数のコンタクト部は、それぞれ前記第1電極上に前記複数の隔壁よりも低く、前記複数の有機発光層よりも高くなるように前記第1電極上に形成され、前記第1電極の垂直方向に対して、高さ100nm以上2000nm以下、幅5μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の有機EL表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−4313(P2013−4313A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134461(P2011−134461)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】