説明

有機EL素子の製造方法

【課題】有機層となる塗布液を意図する幅でパターン塗布し、簡易な工程で有機EL素子を製造することが可能な有機EL素子の製造方法を提供することにある。
【解決手段】1または複数の有機層を形成する工程では、有機EL素子となる被塗布体を、前記有機層の形成される被形成面を下方に向けて配置し、有機層となる材料を含む塗布液を上方に吐出する複数のスリット状吐出口と、このスリット状吐出口の各両端部に形成される下方に凹む切り欠き部とを有するノズルを、前記被塗布体の下方に配置し、前記ノズルから吐出される塗布液が前記被塗布体に接液した状態を維持したまま、前記ノズルと前記被塗布体とを所定の塗布方向に相対移動する塗布工程と、前記塗布液を前記被塗布体から離液させた状態を維持したまま、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動する非塗布工程とを交互に繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL素子の製造方法、照明装置および面状光源に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は発光素子の一種であり、一対の電極と、この電極間に配置される1層以上の有機層とを備え、前記1層以上の有機層として、光を放つ1層以上の発光層が設けられる。なお「EL」は「エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)」の略称である。
【0003】
有機EL素子は、電極や有機層などの各層を所定の順序で積層することによって形成される。有機層の形成方法としては、工程が簡易な塗布法を用いることが検討されている。塗布法を用いた有機層の形成方法では、まず有機層がその上に形成される被形成面に、有機層となる材料を含む塗布液を塗布成膜し、さらにこれを固化する。これにより有機層が形成される。
【0004】
塗布液の塗布は、例えば塗布液を吐出するスリット状吐出口を備えるノズルを用いて行うことができる。具体的にはノズルから吐出される塗布液を被形成面に接液させた状態で、ノズルまたは被塗布体を走査することによって、帯状の塗布膜を形成することができる。ノズルに形成されるスリット状吐出口が1つだけの場合、被形成面には帯状のひと筋の塗布膜が形成されるが、例えば複数のスリット状吐出口が形成されたノズルを用いることによって、複数本の帯状の塗布膜を形成することもできる。例えば1つのスリット状吐出口を複数のスリット状吐出口に仕切るために、1つのスリット状吐出口に1または複数の仕切りが設けられたノズルを用いることによって、複数本の帯状の塗布膜を形成することができる(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−233151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のスリット状吐出口を備えるノズルを用いることによって、確かにストライプ状の塗布膜を形成することは可能ではあるが、1または複数の仕切りが設けられた従来のノズルを用いた場合、塗布成膜された塗布膜の幅がスリット状吐出口の長手方向の幅よりも幅広になる傾向がある。そのため意図した幅の塗布膜を形成することが難しく、場合によっては不要な部位に塗布された塗布膜を除去する工程がさらに必要になるという問題がある。
【0007】
また有機EL素子は、素子の大型化にともなって面内の輝度分布が顕著になるため、その大きさが制限される。そのため各有機EL素子は、スリット状吐出口の長手方向だけでなく、その短手方向(塗布方向)にも所定の間隔を開けて形成される。従来のノズルを用いてストライプ状の塗布膜を形成する場合、塗布方向に隣り合う有機EL素子間の不要な部位にまで塗布液が塗布されるので、不要な部位に塗布された塗布膜を除去する工程が必要となり、工程数が増加するという問題がある。
【0008】
したがって本発明の目的は、有機層となる塗布液を意図する幅でパターン塗布し、簡易な工程で有機EL素子を製造することが可能な有機EL素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一対の電極と、該電極間に配置される1層以上の有機層とを有し、前記1層以上の有機層として1層以上の発光層が設けられる有機EL素子の製造方法であって、
一対の電極のうちの一方の電極を形成する工程と、1または複数の有機層を形成する工程と、一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程とを有し、
前記1または複数の有機層を形成する工程では、
有機EL素子となる被塗布体を、前記有機層の形成される被形成面を下方に向けて配置し、
有機層となる材料を含む塗布液を上方に吐出する複数のスリット状吐出口と、このスリット状吐出口の各両端部に形成される下方に凹む切り欠き部とを有するノズルを、前記被塗布体の下方に配置し、
前記ノズルから吐出される塗布液が前記被塗布体に接液した状態を維持したまま、前記ノズルと前記被塗布体とを所定の塗布方向に相対移動する塗布工程と、前記塗布液を前記被塗布体から離液させた状態を維持したまま、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動する非塗布工程とを交互に繰り返すことにより、前記被形成面に塗布液を塗布成膜し、さらにこれを固化することによって前記有機層を形成する、有機EL素子の製造方法に関する。
また本発明は、前記ノズルは、
前記スリット状吐出口の短手方向の幅を開けて相対して配置される一対のノズル本体と、
前記スリット状吐出口の短手方向の幅の厚みを有し、前記ノズル本体に挟持されてスリット状吐出口を除く領域に設けられ、スリット状吐出口の長手方向の幅を規定するシムとを備え、
前記切り欠き部において前記一対のノズル本体の外縁と前記シムの外縁とは、略面一に配置されている、有機EL素子の製造方法に関する。
また本発明は、前記切り欠き部は、上端から下端に向けて前記スリット状吐出口から離間するように傾斜して形成されている、有機EL素子の製造方法に関する。
また本発明は前記製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置に関する。
また本発明は前記製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有機層となる塗布液を意図する幅でパターン塗布し、簡易な工程で有機EL素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発光層を形成するために用いられるキャップコーターシステム11を模式的に示す図である。
【図2】ノズル13の側面図である。
【図3】ノズル13の上面図である。
【図4】図2の切断面線IV−IVから見た断面図である。
【図5】図2の切断面線V−Vから見た断面図である。
【図6】シム21の側面図である。
【図7】有機EL素子となる被塗布体の平面図である。
【図8】実施例において塗布液が塗布された基板の状況を示す図である。
【図9】比較例において塗布液が塗布された基板の状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の有機EL素子の製造方法は、一対の電極と、該電極間に配置される1層以上の有機層とを有する有機EL素子を作製する方法である。有機EL素子は、前記1層以上の有機層として1層以上の発光層が設けられる。本発明の有機EL素子の製造方法は、一対の電極のうちの一方の電極を形成する工程と、1または複数の有機層を形成する工程と、一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程とを有する。
【0013】
有機EL素子は通常、ガラスや樹脂製の支持基板1上に形成され、当該有機EL素子を構成する電極や有機層を所定の順序で支持基板1上に積層することによって形成される。本実施形態では支持基板1上においてマトリクス状に複数の有機EL素子を形成する(図7参照)。すなわち支持基板1上において、配列方向Yに所定の間隔を開けるとともに、この配列方向Yに垂直な塗布方向Xに所定の間隔を開けて複数の有機EL素子をそれぞれ形成する。
【0014】
有機EL素子の層構成には後述するように様々な態様があるが、本実施形態ではその一例として、一対の電極のうちの一方の電極に相当する陽極、正孔注入層、発光層、一対の電極のうちの他方の電極に相当する陰極が支持基板1側からこの順で積層される有機EL素子について説明する。
【0015】
本実施形態ではまず支持基板1上に、後述する所定の方法によって複数の陽極をマトリクス状に形成する。すなわち支持基板1上において、配列方向Yに所定の間隔を開けるとともに、塗布方向Xに所定の間隔を開けて複数の陽極を形成する。各陽極は平板状であって、平面視で例えば略矩形状に形成される。
【0016】
次に本実施形態では各陽極上に正孔注入層を形成する。正孔注入層は平面視で例えばその外縁が各陽極の外縁に略一致するように形成される。塗布法を用いて正孔注入層を形成する場合には、後述する発光層を形成する方法と同様に、所定のノズルを用いた方法により正孔注入層を陽極上のみにパターン形成することが好ましい。
【0017】
次に1または複数の有機層の1つとして設けられる発光層を正孔注入層上に形成する。この発光層を形成する工程が、1または複数の有機層を形成する工程に相当する。そこで、発光層を形成する工程の説明を通して、1または複数の有機層を形成する工程について説明する。本実施形態では陽極および正孔注入層が支持基板1上に形成された基板が、有機EL素子となる被塗布体に相当し、正孔注入層の表面が、有機層の形成される被形成面2(図7ではハッチングを施した領域)に相当する。なお本実施形態では1または複数の有機層を形成する工程によって発光層を形成しているが、有機層が複数ある場合、発光層に限らず、複数ある有機層のうちの一層を、後述する発光層を形成する方法と同様に、所定のノズルを用いた塗布法によりパターン形成すればよいが、複数ある有機層のうちの全ての有機層を、後述する発光層を形成する方法と同様に、所定のノズルを用いた塗布法によりパターン形成することが好ましい。
【0018】
発光層を形成する工程では、有機EL素子となる被塗布体を、前記有機層の形成される被形成面を下方に向けて配置し、有機層となる材料を含む塗布液を上方に吐出する複数のスリット状吐出口と、このスリット状吐出口の両端部に形成される下方に凹む切り欠き部とを有するノズルを、前記被塗布体の下方に配置し、前記ノズルから吐出される塗布液が前記被塗布体に接液した状態を維持したまま、前記ノズルと前記被塗布体とを所定の塗布方向に相対移動する塗布工程と、前記塗布液を前記被塗布体から離液させた状態を維持したまま、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動する非塗布工程とを交互に繰り返すことにより、前記被形成面に塗布液を塗布成膜し、さらにこれを固化することによって前記有機層を形成する。なお本明細書において「塗布液が被塗布体に接液した状態」とは塗布液が被塗布体に付着した状態を意味する。
【0019】
ノズルから塗布液を上方に吐出する方法としては、毛管力及び/又は静圧を利用する方法やポンプの動力を利用する方法などがある。以下の説明ではその一例として毛管力と静圧とを利用して塗布液を上方に吐出し、塗布液を塗布するキャップコート法について説明する。
【0020】
図1は発光層を形成するために用いられるキャップコーターシステム11を模式的に示す図である。以下、本明細書において「上方」は「鉛直方向の上方」を意味し、「下方」は「鉛直方向の下方」を意味する。また以下のキャップコーターシステム11の説明では、ノズル13などの構成およびその構造については、塗布液を塗布する際の配置を前提にして説明する。
【0021】
キャップコーターシステム11は主に定盤12、ノズル13、およびタンク14を含んで構成される。
【0022】
被塗布体19は定盤12の下面に保持される。被塗布体19は、有機層(本実施形態では発光層)の形成される被形成面(本実施形態では正孔注入層の表面)を下方に向けて定盤12に保持される。定盤12は例えば真空吸着によって被塗布体19を保持する。定盤12は、図示しない電動機および油圧機などの変位駆動手段によって水平方向に往復運動する。この定盤12の移動する方向が塗布方向Xに相当し、また鉛直方向Zおよび塗布方向Xのそれぞれに垂直な方向が配列方向Yに相当する。
【0023】
ノズル13は、有機層となる材料を含む塗布液を上方に吐出する複数のスリット状吐出口と、このスリット状吐出口の両端部に形成される下方に凹む切り欠き部25とを備え、被塗布体19の下方に配置される。本実施形態では4つのスリット状吐出口が配列方向Yに所定の間隔を開けて配置される。図2はノズル13の側面図であり、図3はノズル13の上面図であり、図4は図2の切断面線IV−IVから見た断面図であり、図5は図2の切断面線V−Vから見た断面図である。図6はシム21の側面図である。
【0024】
ノズルは一体成形されたものでもよいが、図2および図3に示すようにノズル13は、一対のノズル本体22と、このノズル本体22に挟持されるシム21とを備えることが好ましい。一対のノズル本体22は、前記スリット状吐出口の短手方向の幅を開けて相対して配置され。シム21は、前記スリット状吐出口の短手方向の幅の厚みを有し、前記ノズル本体に挟持されてスリット状吐出口を除く領域に設けられ、スリット状吐出口の長手方向の幅を規定する。
【0025】
一対のノズル本体22は、挟持するシム21の厚みによってその間隔が規定される。すなわちシム21はスペーサーとして機能する。スリット状吐出口23の短手方向(本実施の形態では塗布方向Xに相当する。)の幅は、一対のノズル本体22の間隔によって規定されるので、この一対のノズル本体22の間隔を規定するシム21の厚みによって規定される。スリット状吐出口23の短手方向の幅は、塗布液の性状および塗布膜の厚みなどに応じて適宜設定され、シム21の厚みを変更することで調整することができる。本実施形態では毛管現象を利用するので、スリット状吐出口23の短手方向の幅は、通常0.01mm〜1mm程度であり、50μm〜500μmが好ましく、さらに好ましくは50μm〜200μmである。
【0026】
一対のノズル本体22には、配列方向Yに延伸する、底面が半円の柱状の空洞がそれぞれ形成されており、両者が貼り合わされた状態では、配列方向Yに延伸する円柱状の空洞が形成されている。シム21を介在させて一対のノズル本体22を貼り合わせた際には、ノズル本体22にそれぞれ形成された半円柱状の空洞がマニホールド24として機能する。
【0027】
複数のスリット状吐出口23は、その長手方向を配列方向Y(塗布方向Xおよび鉛直方向Zに垂直な方向)に一致させるとともに、それぞれが配列方向Yに所定の間隔を開けて配置される。また各スリット状吐出口23は、それぞれが鉛直方向Zにノズル13の上端からマニホールド24にわたって形成されており、マニホールド24に連通している。このマニホールド24に塗布液が充填されるので、各スリット状吐出口23にはマニホールド24から毛管力によって塗布液が供給される。スリット状吐出口23の長手方向(配列方向Y)の幅は、塗布膜の配列方向Yの幅に設定され、例えば10mm〜300mmである。
【0028】
前述したようにスリット状吐出口23の短手方向の幅はシム21の厚みによって規定されるが、本実施形態ではスリット状吐出口23の短手方向(塗布方向X)の幅だけでなく、長手方向(配列方向Y)の幅もシム21によって規定される。本実施形態のシム21は、スリット状吐出口を除く領域に設けられており、配列方向Yに延伸する板体21aと、配列方向Yにスリット状吐出口23の幅を互いに開けて、板体21aから上方に延伸する複数本の板状の非通液部21bとを有する(図6参照)。板体21aはマニホールド24の下方において配列方向Yに延伸して配置され、非通液部21bはスリット状吐出口23が設けられる領域(通液領域)を除く領域に設けられる。本実施の形態では板体21aと非通液部21bとは一体に形成される。以下「スリット状吐出口23が設けられる領域」を通液領域ということがある。非通液部21bが設けられる領域は、マニホールド24からの塗布液の上方への移動が非通液部21bによって妨げられるので、塗布液が吐出されない。他方、複数本の非通液部21bに挟まれた領域(通液領域)にはマニホールド24に連通する空隙(スリット状吐出口23)が形成されるので、マニホールド24に充填された塗布液がスリット状吐出口23を通って上方に吐出する。これによって配列方向Yに所定の間隔を開けて設けられた各スリット状吐出口23から選択的に塗布液が吐出される。
【0029】
非通液部21bを有するシム21を用いることにより、通常はスリット状吐出口23の短手方向の幅を規定するために用いられるシム21を、スリット状吐出口23の長手方向の幅をも規定する部材としても利用することができるので、スリット状吐出口23の長手方向の幅を規定する部材を別途設ける必要がなくなり、装置構成が簡易になる。なおスリット状吐出口23の長手方向の幅を規定するためには、スリット状吐出口23以外から塗布液が吐出しないように所定の部材を配置すればよく、他の実施の形態として、このような部材にシム以外のものを用いてもよい。またシム21を交換することで、スリット状吐出口23の短手方向の幅を容易に調整することができるので、シム21を用いてノズル13を構成することが好ましいが、シム21を用いずに非通液部を一体成形したノズルを用いてもよい。
【0030】
ノズル13はスリット状吐出口23の両端部に形成される下方に凹む切り欠き部25を有する。
【0031】
従来の技術において説明した仕切りが設けられたノズルは、仕切りがスリット状吐出口の先端と面一に形成されている。このノズルを用いて塗布膜を形成した場合、スリット状吐出口から吐出し、被形成面に接液した塗布液が、仕切りの先端面を伝わって、スリット状吐出口の長手方向に広がるために、塗布膜の幅がスリット状吐出口の長手方向の幅よりも幅広になる傾向がある。これに対して本実施形態ではノズルに切り欠き部が設けられているため、スリット状吐出口から吐出し、被形成面に接液した塗布液が、切り欠き部の凹む方向に広がることはあったとしても、スリット状吐出口の長手方向に広がることを防ぐことができる。このようなノズルを用いることによって、塗布膜の幅が広がることを抑制することができ、意図した幅の塗布膜を形成することができる。
【0032】
本実施形態のようにシムが設けられる場合、切り欠き部において、前記一対のノズル本体の外縁と前記シムの外縁とは、略面一に配置されていることが好ましい。すなわち切り欠き部において、前記シムの外縁が、一対のノズル本体の外縁に沿って形成されていることが好ましい。例えば図2に示す本実施形態では、塗布方向Xの一方から見て、切り欠き部において、スリット状吐出口の両端から下方に傾斜するシムの外縁と一対のノズル本体の外縁とが、重なるようにしてノズルが構成される。仮に切り欠き部において、一対のノズル本体の外縁と前記シムの外縁とが略面一に配置されておらず、一対のノズル本体および前記シムのいずれか一方が凹んでいる場合、凹んだ一方の外縁を伝って塗布液が広がるため、塗布膜の幅が意図した幅よりも幅広になるおそれがあるが、本実施形態のように前記一対のノズル本体の外縁と前記シムの外縁とを略面一に配置することによって、切り欠き部に塗布液が伝わって流れることを防ぐことができ、意図した幅の塗布膜を形成することができる。
【0033】
さらに、前記切り欠き部は、上端から下端に向けて前記スリット状吐出口から離間するように傾斜して形成されていることが好ましい。このように傾斜するように切り欠き部が設けられることによって、鉛直方向に凹む切り欠き部を設ける場合よりも、意図した幅の塗布膜を形成することができる。
【0034】
ノズル13は、鉛直方向Zに変位可能に支持され、電動機および油圧機などの変位駆動手段によって鉛直方向Zに変位駆動される。
【0035】
被塗布体19に塗布される塗布液17はタンク14に収容される。この塗布液17は、本実施形態では発光層となる有機材料を含む液体であり、具体的には、後述する発光材料が溶媒に溶解した溶液である。ノズル13のマニホールド24とタンク14とは塗布液供給管16を介して連通している。タンク14に収容される塗布液17は、塗布液供給管16を通してマニホールド24に供給され、さらにはスリット状吐出口23を介して被塗布体19に塗布される。タンク14は、鉛直方向Zに変位可能に支持され、電動機および油圧機などの変位駆動手段によって鉛直方向Zに変位駆動される。タンク14は、塗布液17の液面を検出する液面センサー18をさらに備える。塗布液17の液面の位置は液面センサー18によって検出される。液面センサー18は例えば光学式センサーや超音波振動式センサーによって実現される。
【0036】
塗布液供給管16を介してタンク14からスリット状吐出口23に供給される塗布液17は、タンク14内の液面の高さに応じて生じる圧力(静圧)と、スリット状吐出口23で生じる毛管現象による力とに応じて、スリット状吐出口23から押出される。そして、スリット状吐出口23から押出される塗布液17の吐出量は、タンク14内の液面位置とノズル13内の液面位置との相対差を制御するためにタンク14の上下方向の位置を制御することにより調整することができる。マニホールド24は全てのスリット状吐出口23と連通しているので、タンク14内の液面を制御することにより、全てのスリット状吐出口23における塗布液の液面を同時に制御することができる。
【0037】
キャップコーターシステム11は、マイクロコンピュータなどによって実現される制御部をさらに備える。この制御部が、前述した変位駆動手段などを制御する。制御部が変位駆動手段を制御することで、ノズル13およびタンク14の鉛直方向Zの位置、および定盤12の塗布方向Xの変位が制御される。塗布液17を塗布すると、塗布液17が消費されてタンク14内の塗布液17の液面が経時的に低下するが、液面センサー18の検出結果に基づいて制御部が変位駆動手段を制御し、タンク14の鉛直方向Zの位置を調整することで、スリット状吐出口23から押出される塗布液17の高さを制御することができる。
【0038】
以上説明したキャップコーターシステム11を用いて塗布液を塗布する際の動作について説明する。なお図2に示す4つのスリット状吐出口23を備えるノズル13を用いることにより、図7に示すようなマトリクス状(5行×4列)に配置される矩形状の領域に塗布液をパターン塗布することができる。
【0039】
キャップコーターシステム11は、以下の塗布工程と非塗布工程とを繰り返すことによって塗布液をパターン塗布する。
【0040】
(塗布工程)
塗布工程では、ノズル13から吐出される塗布液が前記被塗布体19に接液した状態を維持したまま、前記ノズル13と前記被塗布体19とを所定の塗布方向に相対移動する。
【0041】
まずタンク14内の塗布液の液面がノズル13上端よりも高くなるようにタンク14を上昇させ、スリット状吐出口23から塗布液が吐出した状態にするとともに、スリット状吐出口23から吐出する塗布液が被塗布体19に接液するようにノズル13を上昇させる。
【0042】
塗布液を被塗布体19に接液させた後、塗布液が被塗布体19に接液した状態を維持したまま、ノズル13と被塗布体19との間に所期の間隔を設けるためにノズル13を下降させるとともに、タンク14内の塗布液の液面がノズル13の上端よりも低くなるようにタンク14を下降させる。この状態における被塗布体19とノズル13との間隔は、塗布液の性状および塗布膜の厚みなどに応じて適宜設定される。本実施形態では毛管現象を利用するので、被塗布体19とノズル13との間隔は例えば0.05mm〜0.3mm程度に設定され、0.2mm〜0.3mm程度が好ましい。
【0043】
次に被塗布体19を塗布方向Xの一方(図1では右方)に移動させる。被塗布体19を所定の距離だけ移動させると、被塗布体19の移動を停止する。これによって4本の帯状の塗布膜が形成される。被塗布体19とノズル13との間隔、およびノズルの移動速度などを調整することによって、例えば塗布膜厚が5μm〜500μm程度の塗布膜を形成することができる。なお本実施の形態では塗布液を塗布する際に被塗布体19を移動させるが、ノズル13を塗布方向Xの他方(図1では左方)に移動させてもよく、またノズル13と被塗布体19の両方を移動させてもよい。
【0044】
(非塗布工程)
非塗布工程では、塗布液を前記被塗布体から離液させた状態を維持したまま、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動する。
【0045】
まずノズル13とタンク14とをともに下降させ、塗布液を前記被塗布体から離液させた状態にする。なお塗布液が被塗布体19に接液した状態では、塗布液がスリット状吐出口23から吐出していたが、塗布液が被塗布体19から離液した状態では、タンク14内の塗布液の液面をノズル13の上端よりも低くすることにより、塗布液はスリット状吐出口23内に退避する。
【0046】
次に塗布液を被塗布体19から離液させた状態を維持したまま、被塗布体19を塗布方向Xの一方(図1では右方)に所定の距離だけ移動させる。この際、塗布液は被塗布体19から離液しているので、被塗布体19には塗布液が塗布されない。
【0047】
以上の塗布工程と非塗布工程とを繰返し行うことにより、塗布方向Xと、配列方向Yとの両方に対して塗布液をパターン塗布することができ、結果として塗布液の二次元的なパターン塗布を行うことができる。これによって、不要な部位に塗布液を塗布することを防ぐことができ、不要な個所に塗布される塗布液を除去する工程を省略することができる。また上述した切り欠き部を有するノズルを用いることにより、意図した塗布幅で塗布液を塗布することができる。
【0048】
塗布液は、形成する層となる材料(本実施形態では発光層となる有機材料)と溶媒とを含む。塗布液の溶媒としては所定の沸点を示す溶媒を1種単独で用いてもよく、また複数種類の溶媒を併用してもよい。溶媒としては、形成する層となる材料(本実施形態では発光層となる有機材料)を溶解するものが好ましく、この溶媒としては以下のものが挙げられる。クロロホルム(沸点61℃)、塩化メチレン(沸点40℃)、1,1−ジクロロエタン(沸点57℃)、1,2−ジクロロエタン(沸点83℃)、1,1,1−トリクロロエタン(沸点74℃)、1,1,2−トリクロロエタン(沸点113℃)等の脂肪族塩素系溶媒、クロロベンゼン(沸点132℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点180℃)、m−ジクロロベンゼン(沸点173℃)、p−ジクロロベンゼン(沸点174℃)等の芳香族塩素系溶媒、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)等の脂肪族エーテル系溶媒、アニソール(沸点154℃)、エトキシベンゼン(沸点170℃)等の芳香族エーテル系溶媒、トルエン(沸点111℃)、o−キシレン(沸点144℃)、m−キシレン(沸点139℃)、p−キシレン(沸点138℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)、p−ジエチルベンゼン(沸点184℃)、メシチレン(沸点211℃)、n−プロピルベンゼン(沸点159℃)、イソプロピルベンゼン(沸点152℃)、n−ブチルベンゼン(沸点183℃)、イソブチルベンゼン(沸点173℃)、s−ブチルベンゼン(沸点173℃)、テトラリン(沸点208℃)、シクロヘキシルベンゼン(沸点235℃:737mmHgで測定)等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン(沸点81℃)、メチルシクロヘキサン(沸点101℃)、n−ペンタン(沸点36℃)、n−ヘキサン(沸点69℃)、n−へプタン(沸点98℃)、n−オクタン(沸点126℃)、n−ノナン(沸点151℃)、n−デカン(沸点174℃)、デカリン(cis体は沸点196℃、trans体は沸点187℃)、ビシクロヘキシル(沸点217〜233℃)等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン(沸点56℃)、メチルエチルケトン(沸点80℃)、メチルイソブチルケトン(沸点117℃)、シクロヘキサノン(沸点156℃)、2−ヘプタノン(沸点150℃)、3−ヘプタノン(沸点147℃:765mmHgで測定)、4−ヘプタノン(沸点144℃)、2−オクタノン(沸点174℃)、2−ノナノン(沸点195℃)、2−デカノン(沸点209℃)等の脂肪族ケトン系溶媒、アセトフェノン(沸点202℃)等の芳香族ケトン系溶媒、酢酸エチル(沸点77℃)、酢酸ブチル(沸点120〜125℃)等の脂肪族エステル系溶媒、安息香酸メチル(沸点200℃)、安息香酸ブチル(沸点213℃)、酢酸フェニル(沸点196℃)等の芳香族エステル系溶媒、エチレングリコール(沸点198℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点125℃)、1,2−ジメトキシエタン(沸点85℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、1,2−ジエトキシメタン(沸点124℃)、トリエチレングリコールジエチルエーテル(沸点222℃)、2,5−ヘキサンジオール(沸点218℃)等の脂肪族多価アルコール系溶媒及び脂肪族多価アルコールの誘導体からなる溶媒、メタノール(沸点65℃)、エタノール(沸点78℃)、プロパノール(沸点97℃)、イソプロパノール(沸点82℃)、シクロヘキサノール(沸点161℃)等の脂肪族アルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド(沸点37℃)等の脂肪族スルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)等の脂肪族アミド系溶媒が例示される。
【0049】
これらの中でもトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アニソール、メシチレン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンおよびテトラリンが好ましい。また塗布液としては、沸点が170℃未満の溶媒を塗布液に対して50重量%以上含むことが好ましい。
【0050】
塗布液において、形成する層となる材料の濃度は、塗布液の粘度や溶解性などによって適宜設定され、通常は10重量%以下であり、0.001重量%〜5重量%以下が好ましく、0.01重量%〜2重量%以下がさらに好ましい。
【0051】
上記のようにして塗布成膜した塗布膜を固化することにより、発光層をパターン形成することができる。塗布膜の固化は溶媒を除去することにより行うことができる。例えば加熱乾燥や真空乾燥によって溶媒を除去することができる。また光や熱などのエネルギーを加えることにより重合する材料を含む塗布液を用いて塗布膜を形成する場合には、塗布成膜後、光や熱などを加えることによって塗布膜を固化することもできる。
【0052】
次に、この発光層上に陰極を形成することにより有機EL素子を形成することができる。
【0053】
以上では陽極、正孔注入層、発光層、陰極が支持基板1側からこの順で積層された構成の有機EL素子について説明したが、有機EL素子はこの構成には限られない。以下に、有機EL素子の層構造、各層の構成、および各層の形成方法の一例について説明する。
【0054】
有機EL素子は、一対の電極(陽極および陰極)と、該電極間に配置される1または複数の有機層とを含んで構成され、前記1層以上の有機層として1層以上の発光層が設けられる。陽極と陰極との間には、発光層に限らずに、発光層とは異なる有機層が設けられてもよく、さらには無機層が設けられる場合もある。以下において陽極と陰極との間に設けられる層について説明するが、これらのうちで有機物を含む層は有機層に相当する。複数種類ある有機層のうちで塗布法を用いて形成することが可能な有機層は、発光層を形成する方法として上述した所定のノズルを用いる塗布法によってパターン形成することが好ましい。なお有機層を構成する有機物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、また低分子化合物と高分子化合物との混合物でもよいが、高分子化合物の方が溶媒への溶解性が一般的に良好なので、高分子化合物が好ましく、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である高分子化合物が好ましい。
【0055】
陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に近い層を電子注入層といい、発光層に近い層を電子輸送層という。
【0056】
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に近い層を正孔注入層といい、発光層に近い層を正孔輸送層という。
【0057】
有機EL素子の素子構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
さらに有機EL素子は、2層以上の発光層を有していてもよく、また2層以上の発光層を有し、電荷を発生する電荷発生層を発光層間に介在させたいわゆるマルチフォトン型の素子を構成してもよい。
【0058】
有機EL素子は、封止のための封止膜または封止板などの封止部材でさらに覆われていてもよい。有機EL素子を基板に設ける場合は通常、一対の電極のうちで陽極が基板寄りに配置されるが、陰極を基板寄りに配置するようにしてもよい。
【0059】
本実施の形態の有機EL素子は、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入性の改善のために、電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。また界面での密着性向上や混合の防止などのために、前述した各層間に薄いバッファー層を挿入してもよい。
【0060】
積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
【0061】
次に、有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法について、より具体的に説明する。
【0062】
<基板>
基板には例えばガラス、プラスチック、およびシリコン基板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。また有機EL素子をその上に形成するための基板として、予め電気回路が形成されたものを用いてもよい。
【0063】
<陽極>
陽極を通して発光層からの光を取出す構成の有機EL素子の場合、この陽極には透明又は半透明の電極が用いられる。透明電極または半透明電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0064】
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
【0065】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0066】
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
【0067】
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、例えば発光層を形成する際に用いられる溶媒として例示したものや、水などを用いることができる。
【0068】
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができ、正孔注入層は、発光層を形成する方法として上述した所定のノズルを用いた塗布法によって形成することが好ましい。
【0069】
正孔注入層の膜厚は、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0070】
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0071】
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0072】
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
【0073】
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、例えば発光層を形成する際に用いられる溶媒として例示したものを用いることができる。
【0074】
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔中注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができ、正孔輸送層は、発光層を形成する方法として上述した所定のノズルを用いた塗布法によって形成することが好ましい。
【0075】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
【0076】
正孔輸送層の膜厚としては、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0077】
<発光層>
発光層は通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、またはこの有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
【0078】
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
【0079】
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
【0080】
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
【0081】
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
【0082】
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
【0083】
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
【0084】
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
【0085】
発光層の成膜方法としては、前述した方法の他に、所定の塗布法、真空蒸着法、転写法などを用いることができる。
【0086】
発光材料を含む溶液を塗布する方法としては、前述した所定のノズルを用いた塗布法が好ましいが、他の方法として、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、スプレーコート法およびノズルコート法などのコート法、並びにグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。
【0087】
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0088】
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0089】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液からの成膜方法としては、前述した正孔中注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができ、電子輸送層は、発光層を形成する方法として上述した所定のノズルを用いた塗布法によって形成することが好ましい。
【0090】
電子輸送層の膜厚は、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0091】
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
【0092】
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数の小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機EL素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
【0093】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0094】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
【0095】
<絶縁層>
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料などを挙げることができる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたもの、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたものを挙げることができる。
【0096】
以上では、所定のノズルを用い、毛管力と静圧とを利用した塗布方法について、キャップコーターシステム11の説明を通して説明したが、本発明はこれに限らずに、毛管力を利用する方法、静圧を利用する方法、およびポンプを利用する方法にも適用可能である。例えば毛管力を利用せずに静圧のみで塗布液を塗布する場合には、前述のスリット状吐出口の短手方向の幅を広くすればよい。またポンプの動力を利用することによって、塗布液の吐出量を制御することができる。またポンプの動力とともに毛管力を利用する方法を用いて塗布液を塗布してもよい。また前述した非塗布工程では、ノズルを下降することによって、被塗布体から塗布液を離液させたが、ノズルを下降することなく、ポンプの動力を用いたり、タンクを下降させたりすることによって、スリット状吐出口内に塗布液を退避させ、被塗布体から塗布液を離液させることができる。このようにして被塗布体から塗布液を離液させた状態を維持したまま、ノズルと被塗布体とを塗布方向に相対移動させてもよい。この場合でも、被塗布体から塗布液が離液しているので、塗布液は被塗布体に塗布されない。
【0097】
以上説明した有機EL素子は、曲面状や平面状の照明装置、またはスキャナの光源や表示装置のバックライトなどとして用いられる面状光源に好適に用いることができる。
【実施例】
【0098】
まず基板として洗浄済み素ガラスを用意した。塗工装置としてキャピラリーコートシステム(ヒラノテクシード社製、商品名「CAP CoaterIII」)を用いて塗布液を基板上へ塗布した。塗布液の溶媒にはアニソールとシクロヘキシルベンゼンとの混合溶液(重量比1:1)を用いた。この混合溶媒に高分子発光材料を濃度が1重量%となるように溶解し、塗布液を用意した。塗工には、塗布液を上方に吐出するスリット吐出口が配列方向Yに2つ設けられたノズルを用いた。各スリット状吐出口の両端には下方へ凹む切欠きが形成されている。シムは、スリット状吐出口とマニホールドを連通させる領域以外の非通液部に一体化されて配置され、切欠きにおけるノズル本体の外縁とシムの外縁とを略面一になるように配置させた。各スリット状吐出口の塗布方向X(短手方向)の幅は300μmであり、スリット状吐出口の配列方向Y(長手方向)の幅は70mmである。2つのスリット吐出口は、配列方向Yに20mmの間隔を開けて設けられている。
塗布工程と非塗布工程を2回繰り返し、塗布液を塗布した。塗布工程では塗布速度を0.5m/minとし、ノズルの上端部と基板との距離を250μm開けて塗布液を塗布した。このように塗布液を塗布することにより、図8に示すように、パターン塗布を行うことができた。
【0099】
(比較例)
塗工に用いるノズルのみを代えて実施例と同様に塗布液をパターン塗布した。比較例では、各スリット状吐出口の両端に切り欠きが形成されていないノズルを用いた。すなわちスリット状吐出口の両端には、スリット状吐出口の上端と面一の面が形成されている。
【0100】
図8は、実施例において塗布液が塗布された基板の状況を示す図であり、図9は、比較例において塗布液が塗布された基板の状況を示す図である。図8では、塗布液が塗布された部位にハッチングを施している。また図9では、塗布液が塗布された部位であって、かつ塗布を意図した部位にハッチングを施し、さらに塗布液が塗布された部位であって、塗布を意図していない部位に平行な破線を施している。
切欠きが形成されたノズルで塗布液を塗布した基板には、スリット状吐出口の配列方向Yの幅(70mm)に対応した幅のパターンで塗布膜を形成することができた。しかしながら、切欠きがなく、スリット状吐出口の配列方向Yの幅がシムだけで規定されたノズルで塗布液を塗布した場合、配列方向Y(ノズル長手方向)に塗布液が広がってしまい、非通液部としていた部分にも塗布液が薄く塗布され、目的とするパターンを得ることができなかった。
【符号の説明】
【0101】
1 支持基板
2 有機層の形成される被形成面
11 キャップコーターシステム
12 定盤
13 ノズル
14 タンク
16 塗布液供給管
17 塗布液
18 液面センサー
19 被塗布体
21 シム
21a 板体
21b 非通液部
22 ノズル本体
23 スリット状吐出口
24 マニホールド
25 切り欠き部
X 塗布方向
Y 配列方向
Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、該電極間に配置される1層以上の有機層とを有し、前記1層以上の有機層として1層以上の発光層が設けられる有機EL素子の製造方法であって、
一対の電極のうちの一方の電極を形成する工程と、1または複数の有機層を形成する工程と、一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程とを有し、
前記1または複数の有機層を形成する工程では、
有機EL素子となる被塗布体を、前記有機層の形成される被形成面を下方に向けて配置し、
有機層となる材料を含む塗布液を上方に吐出する複数のスリット状吐出口と、このスリット状吐出口の各両端部に形成される下方に凹む切り欠き部とを有するノズルを、前記被塗布体の下方に配置し、
前記ノズルから吐出される塗布液が前記被塗布体に接液した状態を維持したまま、前記ノズルと前記被塗布体とを所定の塗布方向に相対移動する塗布工程と、前記塗布液を前記被塗布体から離液させた状態を維持したまま、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動する非塗布工程とを交互に繰り返すことにより、前記被形成面に塗布液を塗布成膜し、さらにこれを固化することによって前記有機層を形成する、有機EL素子の製造方法。
【請求項2】
前記ノズルは、
前記スリット状吐出口の短手方向の幅を開けて相対して配置される一対のノズル本体と、
前記スリット状吐出口の短手方向の幅の厚みを有し、前記ノズル本体に挟持されてスリット状吐出口を除く領域に設けられ、スリット状吐出口の長手方向の幅を規定するシムとを備え、
前記切り欠き部において前記一対のノズル本体の外縁と前記シムの外縁とは、略面一に配置されている、請求項1記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項3】
前記切り欠き部は、上端から下端に向けて前記スリット状吐出口から離間するように傾斜して形成されている、請求項1または2記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
【請求項5】
請求項3記載の製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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