説明

有機EL素子基板およびその製造方法ならびにディスプレイ装置

【課題】基板から有機EL塗布層が脱落することを防止するとともにパーティクルの発生を防止し、高品質な有機EL素子基板を製造することが可能な、有機EL素子基板およびその製造方法ならびにディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】有機EL素子基板10は、第1電極層14が形成された基板11と、第1電極層14上に設けられた有機EL塗布層21と、有機EL塗布層21上に設けられた有機EL蒸着層25とを備えている。有機EL蒸着層25上に第2電極層28が設けられている。有機EL素子20の形成領域以外の領域に塗布不要領域54が存在する。また有機EL塗布層21上であって、塗布不要領域54に対応する部分に、有機EL塗布層21の脱落を防止する保護膜29が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子基板およびその製造方法ならびにディスプレイ装置に係り、とりわけ基板から有機EL層が脱落することを防止することによりパーティクルの発生を防止することが可能な、有機EL素子基板およびその製造方法ならびにディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EL素子は、対向する2つの電極から注入された正孔および電子が発光層内で結合し、そのエネルギーで発光層中の蛍光物質を励起し、蛍光物質に応じた色の発光を行うものであり、自発光の面状表示素子として注目されている。その中でも、有機物質を発光材料として用いた有機EL素子は、印加電圧が10V弱であっても高輝度な発光を実現できるなど発光効率が高く、単純な素子構造で発光が可能であり、特定のパターンを発光表示させる広告その他低価格の簡易表示ディスプレイへの応用が期待されている。
【0003】
このような有機EL素子のパターニング方法としては、発光材料をシャドーマスクを介して真空蒸着する方法、有機溶剤に溶解させた発光材料をインクジェット、ノズル塗布、ディスペンサー、スクリーン印刷などで所定部位に塗布する方法、紫外線照射により特定部分の発光素子を破壊する方法等がある。これらの中でも、インクジェット法やノズル塗布法は、材料の利用効率が高く、製造コストの点で有利であるため、実用化に向けて種々の検討がなされている。特に、最近では、ノズル塗布法はインクジェットと比べ、装置機構が簡便であること、適用できるインク物性の幅が広いこと、などから盛んに検討がなされている。
【0004】
しかしながら、ノズル塗布法はシリンジポンプなどでインクを連続的にノズルから押し出しているため、インクジェットのように間欠吐出ができず、成膜不要なエリアまでインクを吐出してしまうという欠点がある。成膜不要なエリアに付着した材料を拭き取ることはゴミの発生の原因となったり、拭き取る溶媒が素子へ影響を及ぼすなどの問題がある。
【0005】
そこで従来、成膜エリアの周縁部の対策として、マスクを用い、吐出不要エリアでの成膜を防ぐ方法が提案されている。しかしながら、この方法は、マスクの裏面にインクが回り込んでしまったり、ノズルと基板間の僅かなギャップ内でマスクを制御することが困難であったりといった欠点があった。
【0006】
また、マスキングテープで予め周縁部を覆い、成膜後に剥離する手段も存在するが(特許文献1参照)、この方法では、テープの剥離時に材料の細かいパーティクルが飛散し、デバイスの欠陥の要因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−216414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、基板から有機EL層が脱落することを防止することによりパーティクルの発生を防止することが可能な、有機EL素子基板およびその製造方法ならびにディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1つの有機EL素子を含む有機EL素子基板において、基板と、基板上に形成された第1電極層と、基板に形成された第1電極層上に設けられた有機EL層と、有機EL層上に設けられた第2電極層とを備え、有機EL層上であって、有機EL素子の形成領域以外の領域に対応する部分に、有機EL層の脱落を防止する保護膜が設けられていることを特徴とする有機EL素子基板である。
【0010】
本発明は、有機EL層は、有機EL塗布層からなることを特徴とする有機EL素子基板である。
【0011】
本発明は、有機EL塗布層は、少なくとも発光層を含むことを特徴とする有機EL素子基板である。
【0012】
本発明は、有機EL塗布層と第2電極層との間に、有機EL蒸着層が設けられていることを特徴とする有機EL素子基板である。
【0013】
本発明は、有機EL蒸着層は、少なくとも電子注入層を含むことを特徴とする有機EL素子基板である。
【0014】
本発明は、保護膜は、電離放射線硬化性組成物または熱硬化性樹脂からなることを特徴とする有機EL素子基板である。
【0015】
本発明は、有機EL素子基板を備えたことを特徴とするディスプレイ装置である。
【0016】
本発明は、少なくとも1つの有機EL素子を含む有機EL素子基板の製造方法において、基板を準備する工程と、基板上に第1電極層を形成する工程と、基板に形成された第1電極層上に有機EL層を形成する工程と、有機EL層上であって、有機EL素子の形成領域以外の領域に対応する部分に、有機EL層の脱落を防止する保護膜を形成する工程と、有機EL層上に、第2電極層を形成する工程とを備えたことを特徴とする有機EL素子基板の製造方法の製造方法である。
【0017】
本発明は、有機EL層は、ノズルから有機機能材料の塗布液を吐出することにより形成された有機EL塗布層からなることを特徴とする有機EL素子基板の製造方法である。
【0018】
本発明は、保護膜を形成する工程と第2電極層を形成する工程との間に、有機EL塗布層上に蒸着法により有機EL蒸着層を形成する工程が設けられていることを特徴とする有機EL素子基板の製造方法である。
【0019】
本発明は、保護膜は、電離放射線硬化性組成物または熱硬化性樹脂からなることを特徴とする有機EL素子基板の製造方法である。
【0020】
本発明は、保護膜は、印刷法、マスクを用いたスプレー法、または転写法により形成されることを特徴とする有機EL素子基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、有機EL層上であって、互いに隣接する有機EL素子の形成領域間の領域(塗布不要領域)に対応する部分に、有機EL層の脱落を防止する保護膜を設けたので、有機EL層が基板から脱落することがない。また、塗布不要領域のためのマスクを用いる必要がない。さらに有機EL層を基板から除去することもないため、パーティクルの発生も防ぐことができる。したがって、高品質な有機EL素子基板を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板を構成する基板を示す平面図。
【図2】ノズルから塗布液を吐出する状態を示す概略斜視図。
【図3】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板を示す拡大平面図。
【図4】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板を示す断面図(図3のIV−IV線断面図)。
【図5】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板を示す断面図(図3のV−V線断面図)。
【図6】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板の製造方法を示す図。
【図7】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板の製造方法を示す図。
【図8】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板の製造方法を示す図。
【図9】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板の製造方法を示す図。
【図10】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板を示す断面図。
【図11】本発明の一実施の形態によるディスプレイ装置を示す断面図。
【図12】本発明の一実施の形態による有機EL素子基板の変形例を示す断面図(図4に対応する図)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図12を参照して説明する。図1乃至図12は、本発明の一実施の形態を示す図である。
【0024】
図1は、後述する(多面付けの)有機EL素子基板10を構成する基板11を示している。図1において、基板11には、成膜領域50がマトリックス状に配列されている。各成膜領域50は、後述する有機EL素子20が形成される領域であり、それぞれが例えば各ディスプレイ装置のパネルに対応する領域である。
【0025】
図1および図2に示すように、各成膜領域50において、基板11上にX方向(図1の水平方向)に沿ってバンク(隔壁)12が形成されている。各バンク12に挟まれた塗布溝13には、後述する有機EL塗布層21を形成するための有機機能材料を含む塗布液42が塗布される。すなわち図2に示すように、ノズル41から塗布液42を連続的に供給しつつ、ノズル41をX方向に沿って往復して走査させることにより(図1の矢印A参照)、塗布液42を各塗布溝13内に充填していくようになっている。
【0026】
なお図2に示すように、基板11上には、後述するように、予め例えばITO(インジウム錫酸化物)からなる膜が第1電極層14としてバンク12間に成膜されている。このため、塗布液42は、第1電極層14の表面に塗布されて有機EL塗布層21として形成されることになる。また基板11上には絶縁層15が設けられ、バンク12は、絶縁層15上に形成されている。
【0027】
他方、図1に示す成膜領域50以外の部分、すなわちX方向(塗布方向)において各成膜領域50(すなわち有機EL素子20が形成される領域)の間に位置する領域51、Y方向において各成膜領域50の間に位置する領域52、および基板11の周縁領域53は、塗布液42を塗布する必要がない領域(塗布不要領域54ともいう)となっている。本実施の形態において、この塗布不要領域54が、「有機EL素子20の形成領域以外の領域」に相当する。
【0028】
次に、図3乃至図5により、本実施の形態による(多面付けの)有機EL素子基板の構成について説明する。図3は、有機EL素子基板10のうち、1つの有機EL素子20の部分を拡大して示す平面図であり、図4は、図3のIV−IV線断面図であり、図5は、図3のV−V線断面図である。
【0029】
図3乃至図5に示すように、有機EL素子基板10は、基板11と、基板11上に形成され、塗布液の塗布方向(図3のX方向)に沿って延びる細長状の複数の第1電極層14と、基板11上において各第1電極層14間に形成された絶縁層15と、絶縁層15上に設けられ、塗布液の塗布方向(図3のX方向)に沿って延びる複数のバンク(隔壁)12とを備えている。
【0030】
このうち絶縁層15には、それぞれが有機EL素子20の各発光部に対応する、複数の開口部15aが形成されている(図3参照)。
【0031】
また、基板11に形成された第1電極層14上には、有機EL塗布層21が設けられている。この有機EL塗布層21は、図4および図5に示すように、基板11側から順に、正孔注入層22と、正孔輸送層23と、発光層24とを含んでいる。なお本実施の形態において、有機EL塗布層21が有機EL層に相当する。
【0032】
さらに図4および図5に示すように、有機EL塗布層21上には蒸着によって形成されたパターン状の有機EL蒸着層25が設けられている。この有機EL蒸着層25は、有機EL塗布層21側から順に、電子輸送層26と、電子注入層27とを含んでいる。さらに有機EL蒸着層25上には、細長状の第2電極層28が設けられている。
【0033】
ところで、上述したように、互いに隣接する有機EL素子20の形成領域以外の領域に、塗布不要領域54が存在する。すなわち図3に示すように各有機EL素子20の周縁部に塗布不要領域54が存在する。
【0034】
本実施の形態において、有機EL塗布層21上であって、塗布不要領域54に対応する領域に、有機EL塗布層21の脱落を防止する保護膜29が設けられている。この保護膜29は、図3の斜線で示すように、有機EL素子20の周縁部に形成された塗布不要領域54全域に対応している。また図5に示すように、保護膜29は、部分的に有機EL塗布層21と有機EL蒸着層25との間に挟持されている。
【0035】
以下、このような有機EL素子基板10を構成する各構成部材について、順次説明する。
【0036】
(1)基板
本実施の形態に使用される基板11としては、通常のEL素子に使用される基板を用いることができる。例えば、ボトムエミッション型のEL素子においては、透明性が高い基板が用いられる。透明性の高い材料であれば特に限定されるものではなく、ガラス等の無機材料や、透明樹脂等を用いることができる。また、トップエミッション型のEL素子においては、特に基板11が透明である必要はないため、上記したガラス基材や透明樹脂等に加えて、ステンレス等の金属板等も好適に使用できる。また、基板11は、後述するような各層を支持できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、透明基材中に顔料等を添加したものや、不純物等の混入により透明性が低い基板等も使用できる。
【0037】
透明樹脂としては、フィルム状に成形が可能であれば特に限定されるものではないが、透明性が高く、耐溶媒性、耐熱性の比較的高い高分子材料が好ましい。具体的には、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニル(PFV)、ポリアクリレート(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、非晶質ポリオレフィン、またはフッ素系樹脂等が挙げられる。
【0038】
基板11の厚みは、通常約0.1〜2.0mm程度である。
【0039】
(2)第1電極層および第2電極層
本実施の形態においては、基板11上に設けた有機EL塗布層21および有機EL蒸着層25を挟持するように第1電極層14と第2電極層28とが形成されている。これら第1電極層14および第2電極層28は、陽極と陰極との組合せからなり、陽極と陰極の少なくともいずれか一方が透明または半透明である必要がある。また、陽極としては、正孔が注入されやすいように仕事関数の大きい導電性材料からなることが好ましい。一方、陰極としては、電子が注入しやすいように仕事関数の小さな導電性材料であることが好ましい。また、複数の材料を混合させてもよい。いずれの電極層も、抵抗はできるだけ小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用いられるが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよい。
【0040】
好ましい陽極材料としては、例えば、酸化インジウムや金等が挙げられる。また、好ましい陰極材料としては、例えば、マグネシウム合金(Mg−Ag等)、アルミニウム合金(Al−Li、Al―Ca、Al―Mg等)、金属カルシウム、および仕事関数の小さい金属等が挙げられる。
【0041】
また、透明電極として使用できる材料は、ITO(インジウム錫酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。ITO電極はその透明性を向上させ、あるいは抵抗率を低下させる目的で、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の方法により形成されても良い。
【0042】
(3)絶縁層
絶縁層15は、複数の有機EL層を同一基板上に設ける際に、基板11上に形成された第1電極層14の端部を覆い隠すためのものである。断面において第1電極層14が角張った端部を有する場合、端部の膜厚が若干薄い部分が生じる。膜厚の薄い部分には、電圧が集中的に印加されるため素子劣化が促進する。絶縁層15を第1電極層14の端部を覆うように設けることにより、第1電極層14の端部の電圧集中を避けることができ、短絡等の欠陥が低減されるため、長寿命で安定発光する有機EL素子20が得られる。
【0043】
絶縁層15を構成する材料としては、フォトレジスト等のパターニング可能な材料であれば特に限定されるものではない。絶縁層15は、0.5μm〜3μm程度の膜厚でパターン形成することができる。
【0044】
(4)バンク
バンク12を構成する材料としては、塗布液42に含まれる溶媒に対して耐久性を有するものであれば特に限定されないが、フロロカーボンガスプラズマ処理によりテフロン化できることから、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミド等の有機材料が好ましい。液状ガラス等の無機材料を下層にした積層隔壁であってもよい。また、バンク12は上記材料にカーボンブラック等を混入してブラックレジストとしてもよい。このバンク12の形成方法としては、例えばフォトリソグラフィー等が挙げられる。バンク12の高さは、例えば1μm〜5μmとすることが好ましい。
【0045】
(5)正孔注入層
有機EL塗布層21を構成する正孔注入層22に用いられる材料としては、発光層24内への正孔の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではない。この正孔注入層22に用いられる正孔注入性材料としては、例えば、アリールアミン類、フタロシアニン類、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレンおよびこれらの誘導体等の導電性高分子などを挙げることができる。導電性高分子は、酸によりドーピングされていてもよい。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
【0046】
また、正孔注入層22の膜厚としては、その機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されるものではなないが、例えば5nm〜100nm程度とすることができる。
【0047】
(6)正孔輸送層
有機EL塗布層21を構成する正孔輸送層23に用いられる材料としては、正孔注入層22から注入された正孔を安定して発光層24内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、アリールアミン類;フタロシアニン類;酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物;アモルファスカーボン;ポリアニリン、ポリフェニレンビニレンおよびこれらの誘導体等の導電性高分子;などを挙げることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0048】
また、正孔輸送層23の膜厚としては、その機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されるものではなく、具体的には5nm〜100nm程度とすることができ、中でも10nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
【0049】
(7)発光層
有機EL塗布層21を構成する発光層24としては、主として蛍光または燐光を発光する有機化合物と、これを補助するドーパントから、通常構成される。このような有機化合物としては低分子化合物のものであっても高分子化合物のものであってもよい。発光層24に好適に使用される有機化合物としては、色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等が挙げられる。
【0050】
色素系材料としては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
【0051】
金属錯体系材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
【0052】
高分子系の材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体、金属錯体系発光材料を高分子化したもの等を挙げることができる。
【0053】
上記した発光材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらのなかでも、高分子系材料であるポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体が好ましい。
【0054】
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらの中でも高分子系材料であるポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体が好ましい。
【0055】
赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、高分子系材料であるポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体が好ましい。
【0056】
また、発光層24の膜厚としては、その機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されるものではないが、例えば30nm〜100nm程度とすることができる。
【0057】
なお本実施の形態において、有機機能材料の塗布液42とは、有機EL塗布層21(例えば正孔注入層22、正孔輸送層23、および発光層24)を作成するために用いられる塗布液であり、例えば上に列挙したような各種有機機能材料を含む塗布液をいう。
【0058】
(8)電子輸送層
電子輸送層26に用いられる材料としては、電子注入層27から注入された電子を発光層24内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではない。この電子輸送層26に用いられる電子輸送性材料としては、例えば、オキサジアゾール類、トリアゾール類、バソキュプロイン、バソフェナントロリン等のフェナントロリン類、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)等のアルミキノリノール錯体などが挙げられる。
【0059】
電子輸送層26の厚みとしては、その機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されないが、例えば5nm〜50nm程度とすることができる。
【0060】
(9)電子注入層
電子注入層27に用いられる材料としては、発光層24内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミリチウム合金、リチウム、セシウム等のアルカリ金属やその合金;フッ化リチウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;ストロンチウム、カルシウム等のアルカリ土類金属;フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物;酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム等の酸化物;などが挙げられる。また、電子注入層に用いられる材料として、ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0061】
電子注入層27の厚みとしては、その機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されるものではないが、例えば5nm〜30nm程度とすることができる。
【0062】
(10)保護膜
【0063】
本実施の形態における保護膜29は、電子線や紫外線等の電離放射線の照射または熱により硬化し得る、電離放射線硬化性組成物、好ましくはフォトレジスト、または熱硬化性樹脂を用いて形成することができる。
【0064】
フォトレジストとしては、ポジ型フォトレジストである、例えば、光分解可溶型のキノンジアジド系感光性樹脂等を主成分とするもの、または、ネガ型フォトレジストである、例えば、光分解架橋型のアジド系感光性樹脂、光分解不溶型のジアゾ系感光性樹脂、光二量化型のシンナメート系感光性樹脂、光重合型の不飽和ポリエステル系感光性樹脂、光重合型のアクリレート樹脂、もしくはカチオン重合系樹脂等を成分とするものが挙げられる。これらの感光性樹脂に加えて、光重合開始剤、および増感色素等を必要に応じて配合した感光性樹脂組成物を、フォトレジストとして使用することができる。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなどを使用することができる。
【0065】
なお、保護膜29の材料としては、上述した絶縁層15を構成する材料と同一の材料を使用しても良く、異なる材料を使用しても良い。
【0066】
次に、本実施の形態による有機EL素子基板10の製造方法について、図6乃至図9を用いて説明する。このうち図6(a)−(g)および図7(a)−(d)は、それぞれ図4に対応する断面図で示してあり、図8(a)−(f)および図9(a)−(d)は、それぞれ図5に対応する断面図で示してある。
【0067】
まず基板11を準備する(図6(a)、図8(a))。次いで、この基板11上に第1電極層14をパターン状に形成する(図6(b)、図8(b))。第1電極層14の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられ、いずれの方法によって形成してもよい。また、第1電極層14のパターニング方法としては、フォトリソグラフィー法が好適に使用できるが、かかる方法に限定されるものではなく、通常使用されるパターニング方法を用いてもよい。
【0068】
次に、例えばフォトリソグラフィー法により、基板11上であって第1電極層14間に、絶縁層15を形成する(図6(c)、図8(c))。絶縁層15を構成する材料としては、上述したようにフォトレジスト等が挙げられる。
【0069】
次に、絶縁層15上に、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミド等により、バンク(隔壁)12を形成する(図6(d))。これにより、コントラストの向上、塗布液42の混色の防止、画素と画素との間からの光洩れ等を防止することができる。
【0070】
続いて、基板11に形成された第1電極層14上に、ノズル41から有機機能材料の塗布液42を吐出することにより有機EL塗布層21を形成する(図6(e)−(g)、図8(d)−(f))。この場合、図2を用いて既に説明したように、各バンク12内に形成された塗布溝13に沿ってノズル41を連続的に移動し、ノズル41から吐出した有機機能材料の塗布液42を塗布溝13内に供給することにより、有機EL塗布層21が形成される。
【0071】
この間、以下のようにして有機EL塗布層21が形成される。すなわち、まずノズル41から第1電極層14上に正孔注入層用塗布液を吐出し、次いでこの正孔注入層用塗布液を加熱(ベーク)する。これにより、正孔注入層用塗布液が第1電極層14上に定着して、正孔注入層22が形成される(図6(e)、図8(d))。
【0072】
続いて、ノズル41から正孔注入層22上に正孔輸送層用塗布液を吐出し、次いでこの正孔輸送層用塗布液を加熱(ベーク)する。これにより、正孔輸送層用塗布液が正孔注入層22上に定着して、正孔輸送層23が形成される(図6(f)、図8(e))。
【0073】
その後、ノズル41から正孔輸送層23上に発光層用塗布液を吐出し、次いでこの発光層用塗布液を加熱(ベーク)する。これにより、発光層用塗布液が正孔輸送層23上に定着して、発光層24が形成される。このようにして、第1電極層14上に、正孔注入層22と、正孔輸送層23と、発光層24とを含む有機EL塗布層21が形成される(図6(g)、図8(f))。
【0074】
ところで、本実施の形態においてはこのようにしてノズル塗布法によって有機EL塗布層21を形成している。この場合、シリンジポンプなどで塗布液42を連続的にノズルから押し出しているため、成膜領域50以外の部分、すなわち塗布液42を塗布する必要がない領域(塗布不要領域54)にまで塗布液が吐出されてしまう。
【0075】
そこで本実施の形態においては、有機EL塗布層21を形成した後、有機EL塗布層21上であって、塗布不要領域54に対応する部分に、有機EL塗布層21の脱落を防止する保護膜29を形成する工程を設けている(図7(a)、図9(a))。
【0076】
この保護膜29は、上述したように電子線や紫外線等の電離放射線の照射により硬化し得る、電離放射線硬化性組成物、好ましくはフォトレジストを用いて形成することができる。あるいは熱硬化性樹脂を用いて保護膜29を形成することもできる。また保護膜29の形成方法としては、印刷法、マスクを用いたスプレー法、または転写法を用いることが可能である。このような方法を用いた場合、塗布不要領域に選択的にパターニングすることができ、発光部の劣化を防止できるという効果が得られる。
【0077】
続いて、有機EL塗布層21上に、真空蒸着法等の蒸着法を用いて有機EL蒸着層25を形成する(図7(b)−(c)、図9(b)−(c))。なお真空蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、フラッシュ蒸着法、アーク蒸着法、レーザー蒸着法、高周波加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法等を挙げることができる。
【0078】
この場合、まず蒸着法により、有機EL塗布層21上に電子輸送層26をパターン状に形成し(図7(b)、図9(b))、続いて蒸着法により、電子輸送層26上にパターン状に電子注入層27を形成する(図7(c)、図9(c))。この結果、有機EL塗布層21上に、電子輸送層26と電子注入層27とを含む有機EL蒸着層25が形成される。
【0079】
次に、有機EL蒸着層25上に、真空蒸着法等の蒸着法を用いて第2電極層28をパターン状に形成することにより、本実施の形態による有機EL素子基板10が得られる(図7(d)、図9(d))。
【0080】
その後、有機EL素子基板10を各有機EL素子20毎に分離することにより、図10に示す有機EL素子基板60を得ることができる。図10は本実施の形態による有機EL素子基板を示す断面図であって、図5に対応する断面図である。図10において、図3乃至図5と同一部分には同一の符号を付してある。
【0081】
すなわち図10に示す有機EL素子基板60は1つの有機EL素子20を含むものであり、基板11と、基板11上に形成された第1電極層14と、基板11に形成された第1電極層14上に設けられた有機EL塗布層21(有機EL層)と、有機EL塗布層21上に設けられた有機EL蒸着層25と、有機EL蒸着層25上に設けられた第2電極層28とを備えている。また有機EL塗布層21上であって、有機EL塗布層21周囲の塗布不要領域54に対応する部分に、有機EL塗布層21の脱落を防止する保護膜29が設けられている。
【0082】
なお、このような有機EL素子基板60の製造方法としては、上述した(多面付けの)有機EL素子基板10を分離する方法に限らず、基板11上に初めから1つの有機EL素子20を形成する方法を用いても良い。すなわち、まず基板11を準備し、この基板11上に第1電極層14を形成する。次に基板11に形成された第1電極層14上に、ノズル41から有機機能材料の塗布液42を吐出することにより有機EL塗布層21を形成する。続いて、有機EL塗布層21上であって、塗布不要領域54に対応する部分に、有機EL塗布層21の脱落を防止する保護膜29を形成する。次いで、有機EL塗布層21上に、蒸着法により有機EL蒸着層25を形成する。その後、有機EL蒸着層25上に、第2電極層28を形成することにより、図10に示す有機EL素子基板60を得ることも可能である。
【0083】
さらに本実施の形態において、図11に示すように、有機EL素子基板60を備えたディスプレイ装置70も提供する。図11において、ディスプレイ装置70は、有機EL素子基板60と、有機EL素子基板60上に配置され、有機EL素子20を封止する封止部材71とを有している。また符号72は、有機EL素子基板60を収容する装置本体である。なおディスプレイ装置70の構成としては、図11に示すものに限られない。
【0084】
以上説明したように本実施の形態によれば、有機EL塗布層21上であって、塗布不要領域54に対応する部分に保護膜29が設けられているので、有機EL塗布層21が基板11から脱落することを防止することができる。また第1電極層14上に有機EL塗布層21をノズル塗布により形成する際、塗布不要領域54を覆うマスクを用いる必要もない。さらに、有機EL塗布層21を基板11から除去することもないため、パーティクルの発生も防ぐことができる。これにより、高品質な有機EL素子基板10および有機EL素子基板60を製造することが可能となる。
【0085】
また本実施の形態によれば、保護膜29はフォトレジストから構成することができるので、従来のマスキングテープやマスクを用いる場合と比較して、その工程が簡単であり、製造コストを抑えることができる。
【0086】
なお、上述した実施の形態においては、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0087】
すなわち本実施の形態においては、図1に示すように、X方向において各成膜領域50の間に位置する領域51、Y方向において各成膜領域50の間に位置する領域52、および基板11の周縁領域53を、塗布不要領域54としている。しかしながらこれに限らず、塗布液42を塗布する必要がない領域のうち、X方向において各成膜領域50の間に位置する領域51と、基板11の周縁領域53とのみを塗布不要領域54としても良く、あるいは周縁領域53のみを塗布不要領域54としても良い。
【0088】
また本実施の形態においては、有機EL塗布層21は、正孔注入層22と、正孔輸送層23と、発光層24とを含んでいるが、これに限らず、有機EL塗布層21が、発光層24のみからなっていても良く、あるいは正孔注入層22および発光層24からなっていても良い。あるいはまた、有機EL塗布層21が、正孔注入層22と、正孔輸送層23と、発光層24と、電子輸送層26とを含んでいても良い。
【0089】
さらに本実施の形態においては、電子輸送層26および電子注入層27は蒸着法により形成されるが(有機EL蒸着層25)、電子輸送層26および電子注入層27を形成する方法は蒸着法に限られるものではない。
【0090】
さらに本実施の形態においては、有機EL塗布層21上であって、有機EL素子20の形成領域以外の領域(塗布不要領域54)に対応する部分に、有機EL塗布層21の脱落を防止する保護膜29が設けられている。具体的には図4に示すように、保護膜29は、各有機EL素子20の最外周に位置するバンク12より外側に設けられている。しかしながらこれに限らず、保護膜29は、各有機EL素子20の最外周に位置する発光部に重ならないように、この発光部より外側に位置していれば良い。すなわち、例えば図12の変形例に示すように、保護膜29は、各有機EL素子20の最外周に位置する第1電極層14より外側、換言すれば、図12の線分Lより外側(左側)に設けられていればよい。
【実施例】
【0091】
以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明の有機EL素子を更に具体的に説明する。
【0092】
[実施例]
第1電極上に絶縁層およびバンクにより画素が形成された、厚さ0.7mmのガラス基板を準備した。第1電極はITO膜から形成されており、基板上には複数のパネルに相当する第1電極パターンが多面付けされている。
【0093】
次に、バンクで区切られ且つ絶縁層で形成された開口部内の第1電極上の全面およびパネル間の塗布不要領域に、金属錯体化合物であるモリブデンヘキサカルボニル錯体を安息香酸エチルにてインク化した溶液をノズル塗布法にて吐出した。その後、金属錯体化合物であるモリブデンヘキサカルボニル錯体が塗布された基板を大気下で200℃、60分間加熱した。これにより、液中の溶媒を揮発させ、厚さ15nmの正孔注入層を形成した。
【0094】
次に、その正孔注入層上の全面およびパネル間の塗布不要領域に、共役系の高分子材料であるポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)と、低分子化合物である2−メチル−9,10ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン(MADN)とを安息香酸エチルに溶解したインクを、ノズル塗布法にて吐出した。これを大気下で200℃、1分間加熱し、溶媒が蒸発するのを待った後、グローブボックス内で200℃、1時間加熱した。これにより、厚さ30nmの正孔輸送層を形成した。
【0095】
次に、発光層として1−tert−ブチル―ペリレン(TBP)を発光性ドーパントとして含有し、2−メチル−9,10ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン(MADN)をホストとして含有した安息香酸エチル溶液を調製し、開口部内にノズル塗布法にて吐出した。これを大気下で200℃、1分間加熱し、溶媒が蒸発するのを待った後、グローブボックス内で130℃、1時間加熱した。これにより、開口部内に厚さ40nmの発光層を形成した。
【0096】
次に、パネル間の塗布不要領域のみにスクリーン印刷によって、ポリイミド樹脂からなる保護膜を塗布した。グローブボックス内で130℃、1時間加熱し、保護膜を硬化させた。
【0097】
次に、発光層を覆うように、電子輸送層としてAlq3を厚さ20nm、電子注入層としてLiFを厚さ0.5nmで、それぞれ真空加熱蒸着法により積層成膜した。
【0098】
次に、全面に厚さ250nmのAlを真空加熱蒸着法で成膜し、続いて、封止材としてエポキシ樹脂を塗布し、その上からガラス基板を載せ、紫外線を照射してエポキシ樹脂を硬化させて封止を行った。
【0099】
こうして、塗布不要領域上の有機EL塗布層を除去することなく、発光素子を作製できた。
【0100】
[比較例]
前述の実施例と同様の基板を準備し、塗布不要領域のみ覆うようにステンシルマスクを設置した。
【0101】
次に、実施例と同様に塗布領域およびステンシルマスク上にノズル塗布法にて、正孔注入層、正孔輸送層、発光層を形成した。
【0102】
次に、ステンシルマスクを剥離して、成膜の状態を確認したところ、インクがマスクと基板の間に回りこんでおり、塗布不要領域に塗布層の残渣が確認された。
【符号の説明】
【0103】
10 有機EL素子基板
11 基板
12 バンク(隔壁)
14 第1電極層
15 絶縁層
20 有機EL素子
21 有機EL塗布層(有機EL層)
22 正孔注入層
23 正孔輸送層
24 発光層
25 有機EL蒸着層
26 電子輸送層
27 電子注入層
28 第2電極層
29 保護膜
41 ノズル
42 塗布液
54 塗布不要領域
60 有機EL素子基板
70 ディスプレイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの有機EL素子を含む有機EL素子基板において、
基板と、
基板上に形成された第1電極層と、
基板に形成された第1電極層上に設けられた有機EL層と、
有機EL層上に設けられた第2電極層とを備え、
有機EL層上であって、有機EL素子の形成領域以外の領域に対応する部分に、有機EL層の脱落を防止する保護膜が設けられていることを特徴とする有機EL素子基板。
【請求項2】
有機EL層は、有機EL塗布層からなることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子基板。
【請求項3】
有機EL塗布層は、少なくとも発光層を含むことを特徴とする請求項2記載の有機EL素子基板。
【請求項4】
有機EL塗布層と第2電極層との間に、有機EL蒸着層が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の有機EL素子基板。
【請求項5】
有機EL蒸着層は、少なくとも電子注入層を含むことを特徴とする請求項4記載の有機EL素子基板。
【請求項6】
保護膜は、電離放射線硬化性組成物または熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の有機EL素子基板。
【請求項7】
請求項1記載の有機EL素子基板を備えたことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項8】
少なくとも1つの有機EL素子を含む有機EL素子基板の製造方法において、
基板を準備する工程と、
基板上に第1電極層を形成する工程と、
基板に形成された第1電極層上に有機EL層を形成する工程と、
有機EL層上であって、有機EL素子の形成領域以外の領域に対応する部分に、有機EL層の脱落を防止する保護膜を形成する工程と、
有機EL層上に、第2電極層を形成する工程とを備えたことを特徴とする有機EL素子基板の製造方法。
【請求項9】
有機EL層は、ノズルから有機機能材料の塗布液を吐出することにより形成された有機EL塗布層からなることを特徴とする請求項8記載の有機EL素子基板の製造方法。
【請求項10】
保護膜を形成する工程と第2電極層を形成する工程との間に、有機EL塗布層上に蒸着法により有機EL蒸着層を形成する工程が設けられていることを特徴とする請求項9記載の有機EL素子基板の製造方法。
【請求項11】
保護膜は、電離放射線硬化性組成物または熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項記載の有機EL素子基板の製造方法。
【請求項12】
保護膜は、印刷法、マスクを用いたスプレー法、または転写法により形成されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項記載の有機EL素子基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−129421(P2011−129421A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287999(P2009−287999)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】