有機EL表示装置の製造方法
【課題】 歩留まりが向上する有機EL表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 有機EL表装置の製造方法は、大型基板15に有機EL層を駆動するためのTFT3を形成する工程を含む。大型基板15を切断して、大型基板15より小さな小型基板を形成する切断工程と、TFT3に対応するように有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを含む。切断工程の前に、大型基板15のTFT3が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜16を形成する保護膜形成工程を行なう。切断工程の後に、保護膜16の全てを除去する保護膜除去工程を行なう。
【解決手段】 有機EL表装置の製造方法は、大型基板15に有機EL層を駆動するためのTFT3を形成する工程を含む。大型基板15を切断して、大型基板15より小さな小型基板を形成する切断工程と、TFT3に対応するように有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを含む。切断工程の前に、大型基板15のTFT3が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜16を形成する保護膜形成工程を行なう。切断工程の後に、保護膜16の全てを除去する保護膜除去工程を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信システムの発達に伴って、表示装置の高精彩化、大型化、低コスト化、低消費電力化、高性能化、または薄型化といったさまざまな機能が要求されている。これらの要求に応じる表示装置として、フラットパネルディスプレイ(FPD)が開発されている。
【0003】
FPDには、液晶表示装置(LCD)、有機EL(Electroluminescence)表示装置(OLED)、プラズマ表示装置(PDP)などが存在する。有機材料のエレクトロルミネッセンスを利用した有機EL表示装置は、有機EL素子を含む。有機EL素子は、有機正孔輸送層や有機発光層が積層された有機EL層が陽極と陰極とに挟まれた構成を含む。陽極と陰極との間に電圧が印加されることにより、有機EL層が発光する。有機EL素子は、低電圧の直流駆動および高輝度な発光が可能な発光素子として注目されている。有機EL表示装置は、液晶表示装置などに比べて、応答速度が速く、自発光型であるために視野角が広い。さらに、有機EL表示装置は、液晶表示装置には配置されているバックライトが不要であるため、薄型化や軽量化が可能であるという特長を有する。
【0004】
有機EL表示装置には、ボトムエミッション型の表示装置とトップエミッション型の表示装置とがある。ボトムエミッション型の有機EL表示装置においては、基板の表面にTFT(Thin Film Transistor)などの駆動素子および有機EL層が形成され、駆動素子が形成された基板の表面と反対側から発光した光が取出される。トップエミッション型の有機EL表示装置においては、駆動素子が形成された基板の表面の側から発光した光が取出される。
【0005】
有機EL表示装置は、複数の画素を含み、それぞれの画素が駆動されることにより、画像や映像が表示される。これらの画素を駆動するための駆動素子として、アクティブマトリクス型の表示装置においては、たとえば、TFTが基板の表面に形成されている。基板に形成されたTFTは、たとえば、平坦化絶縁膜で覆われて表面が平坦化される。この平坦化絶縁膜の表面に、陽極、有機EL層および陰極が形成される。陽極は、平坦化絶縁膜に形成されたスルーホールを介して、TFTと電気的に接続される。
【0006】
有機EL表示装置の製造方法においては、たとえば、基板の表面にそれぞれの画素に対応するように駆動素子を形成する。カラー表示が行なわれる有機EL表示装置においては、1つの画素に含まれる赤色、緑色、青色のそれぞれの絵素に対応するように駆動素子を形成する。次に、たとえば、駆動素子の上面に平坦化絶縁膜を形成して、平坦化絶縁膜の表面に陽極を形成する。陽極の表面に、有機EL層を形成する。さらに、有機EL層の表面に陰極を配置することにより、有機EL素子を形成する。
【0007】
特開2001−185363号公報においては、基板上に、陽極層と、保護膜と、有機物からなる発光層と、陰極層とを順次積層する工程を備え、陽極層上の画素領域にある保護膜を、発光層の積層前に除去する有機EL素子の製造方法が開示されている。この方法によれば、有機物の積層前に、画素領域の保護膜を除去することにより、画素領域の陽極層が外気に直接触れる時間を短くすることができ、粉塵の付着を防ぐことが可能になると開示されている。
【0008】
有機EL表示装置の製造方法においては、生産性を向上するために、大型の基板に、複数の有機EL表示装置に対応する部分を形成した後に、個々の有機EL表示装置に分断する製造方法がある。たとえば、特開2003−7463号公報においては、第1基板上に第1電極層を形成する工程と、第1基板を切断して複数の第2基板を得る工程と、第2基板の第1電極層上に有機電界発光層を形成する工程と、有機電界発光層上に第2電極層を形成する工程とを有する有機電界発光表示素子の製造方法が開示されている。この製造方法においては、有機電界発光層およびその補助層を形成するために必要な蒸着または印刷設備が不要な前工程と、有機電界発光層およびその補助層を形成するために必要な蒸着または印刷装置が必要な後工程とに区分する。大型基板を準備して前工程を行なった後に、大型基板を切断して小型基板を得る。次いで小型基板上に蒸着または印刷工程により有機電界発光層およびその補助層を形成する。この製造方法によれば、蒸着または印刷設備のチャンバの大きさによる基板の大きさの制限を克服して大型基板で前工程を行なうことができるので、生産性を向上させて製造コストを低減することができると開示されている。
【特許文献1】特開2001−185363号公報
【特許文献2】特開2003−7463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機EL表示装置の製造工程において、各層を積層する際に異物が混入する問題がある。特に、有機EL層を形成する工程においては、有機EL層の内部に基板の切断屑や工程中のダストなどの異物が混入すると、陽極と陰極とのショートによる黒点欠陥が生じたり、ダークスポットが生じたりするなどの表示不良が発現する。
【0010】
上記の特開2001−185363号公報に開示された製造方法においては、1個ずつ有機EL表示装置を製造する方法が開示され、また、それぞれの基板の一部分を覆うように保護膜が形成されている。たとえば、陽極の表面のみに保護膜が配置されている。
【0011】
この製造方法においては、基板の保護膜を形成していない部分に、ダストなどが付着する。この状態で、たとえば、蒸着用マスクを用いて有機EL層を蒸着すると、蒸着マスクにダストが付着してしまい、蒸着マスクの着脱などの際にダストが基板の陽極層の表面などに付着してしまうという問題がある。
【0012】
または、蒸着マスクに付着したダストが蒸着装置の内部に撒き散らかされ、基板の搬送時などに舞い上がって、基板の表面や陽極の表面などに付着してしまうという問題がある。また、この公報に開示された有機EL表示装置の製造方法は、1個ずつ有機EL表示装置を製造するため、生産性が悪いという問題がある。
【0013】
上記の特開2003−7463号公報に開示された製造方法においては、大型の第1基板を切断して複数の第2基板を得る工程において、基板を切断または分離する際に発生する基板の破片や破片よりも小さなパーティクルなどが基板の表面や陽極の表面に付着してしまうという問題がある。
【0014】
たとえば、陽極の表面に基板の屑や大気中のダストなどが存在すると、有機EL層を形成する工程において、これらの屑やダストが有機EL層に混入してしまって、表示不良が発現して歩留りが低下するという問題があった。
【0015】
本発明は、歩留まりが向上する有機EL表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に基づく有機EL表示装置の製造方法は、大型基板に有機EL層を駆動するための駆動素子を形成する工程を含む。上記大型基板を切断して、上記大型基板より小さな小型基板を形成する切断工程と、上記駆動素子に対応するように上記有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを含む。上記切断工程の前に、上記大型基板の上記駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜を形成する保護膜形成工程を行なう。上記切断工程の後に、上記保護膜の全てを除去する保護膜除去工程を行なう。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、歩留まりが向上する有機EL表示装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下のそれぞれの実施の形態においては、有機EL表示装置のうち、TFTを用いたアクティブマトリクス型の有機EL表示装置を例に採り挙げて説明する。また、トップエミッション型の有機EL表示装置を例に採り挙げて説明する。
【0019】
図1から図6を参照して、本発明に基づく実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における有機EL表示装置の概略断面図である。図2は、本実施の形態における有機EL表示装置の有機EL素子の部分の拡大概略断面図である。有機EL表示装置1は、複数の画素を含み、それぞれの画像に有機EL素子が配置されている。図1においては、理解を容易にするために2個の画素が簡略的に示されている。
【0021】
有機EL表示装置1は、小型基板2を備える。小型基板2は、複数の有機EL表示装置に製造が可能な大型基板を切断して小型になった基板である。本実施の形態における小型基板2は、ガラス基板である。小型基板2の主表面には、TFT3以外の1つのトランジスタや、これらのデバイスを動作させるための走査線、信号線および電源線などの配線や容量などが形成されている(図示せず)。以下、これらをTFT3に代表される回路構成要素とする。
【0022】
小型基板2には、回路構成要素などによって生じた凹凸を平坦化するために、平坦化絶縁膜4が形成されている。平坦化絶縁膜4の表面には、アノード電極5が形成されている。アノード電極5は、平坦化絶縁膜4に形成されたコンタクトホール21を介してTFT3と電気的に接続されている。アノード電極5の表面には、有機EL層7が形成されている。
【0023】
図2を参照して、本実施の形態における有機EL層7は、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層13、および電子注入層14を含む。それぞれの画素同士の間には、画素同士を分離するための分離膜6が形成されている。TFT3、アノード電極5および有機EL層7は、それぞれの画素毎に分離して形成されている。
【0024】
有機EL層7および分離膜6の表面には、陰極としてのカソード電極8が形成されている。本実施の形態におけるカソード電極8は、透明な材質で形成されている。また、本実施の形態におけるカソード電極8は、複数の画素に共通な共通電極として形成されている。
【0025】
有機EL表示装置は、有機EL層の水分の劣化を防止するための封止ガラス9を備えていても構わない。封止ガラス9は、複数の画素全体を覆うように形成されている。封止ガラス9は、内部を密閉して外気と遮断できるように形成されている。
【0026】
TFT3が駆動することにより、アノード電極5とカソード電極8との間に電流が流されて、有機EL層7が発光する。有機EL層7からの光は、カソード電極8の側に向かう光とアノード電極5の側に向かう光とを有する。カソード電極8の側に向かう光は、カソード電極8および封止ガラス9を透過する。アノード電極5の側に向かう光は、アノード電極5の表面で反射してカソード電極8の側に向かう。観察者は、カソード電極8および封止ガラス9を透過した光を視認することができる。観察者は、複数の画素を同時に見ることにより、画像または映像を視認することができる。
【0027】
図3から図6に、本実施の形態における有機EL表示装置の製造方法のそれぞれの工程の概略断面図を示す。図3〜図6においては、大型基板の表面に形成される有機EL表示装置のうち、3個の表示装置が示されている。
【0028】
図3、図1および図2を参照して、複数の有機EL表示装置を形成することが可能な大型基板15の表面に駆動素子としてのTFT3を形成する。また、図示しないゲートバスラインなどの配線を形成する。領域22は、1個の有機EL表示装置が製造される領域を示す。大型基板15の大きさについては、特に制限はなく、複数の有機EL表示装置が製造可能であればよい。たとえば、大型基板としては、410mm×520mmの長方形の平面形状を有するガラス基板や、730mm×920mmの長方形状の平面形状を有するガラス基板を用いる。大型基板は、マザー基板とも言われる。
【0029】
次に、TFT3などにより生じた表面の凹凸を平坦化するための平坦化絶縁膜4をTFT3の上側に形成する。次に、TFT3とアノード電極5とを接続するためのコンタクトホール21を平坦化絶縁膜4に形成する。
【0030】
次に、平坦化絶縁膜4の表面にアノード電極5を形成する。さらに、それぞれの画素同士を分離するための分離膜6を形成する。これらのアノード電極を形成するまでの工程は、公知の製造方法によって製造することができる。たとえば、液晶表示装置の液晶を駆動するための画素電極までの製造方法と同様の製造方法により製造することができる。
【0031】
この後に、それぞれの画素に対して、アノード電極の表面に有機EL層を形成する有機EL層形成工程を行なう必要がある。有機EL層形成工程は、蒸着法、または、インクジェットを用いた印刷法などによって、有機EL層を形成することができる。
【0032】
ここで、有機EL層形成工程においては、有機EL層を形成する装置に依存して、基板の大きさに制約がある。このため、有機EL層を形成する装置に合せて、大型基板を切断して小型基板を形成する。小型基板は、大型基板よりも小さな基板である。小型基板としては、単一の有機EL表示装置を含んでいても構わないし、複数の有機EL表示装置を含んでいても構わない。小型基板は、有機EL層を形成する装置に対応して大きさを定める。
【0033】
本実施の形態の有機EL表示装置の製造方法においては、基板の大きさに制約がない分離膜を形成する工程までの前工程と、基板の大きさに制約がある有機EL層形成工程以降の後工程の2つに分別して、それぞれの基板の大きさで製造を行なう。前工程においては、大型基板によって製造を行い、後工程においては小型基板によって製造を行なう。前工程においては、一度に複数の有機EL表示装置の製造を行なうことができるため、生産性が向上する。
【0034】
図4を参照して、大型基板15の駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜16を形成する保護膜形成工程を行なう。本実施の形態においては、保護膜16として、有機樹脂を塗布する工程を含む。本実施の形態においては、有機樹脂として感光性ポジ型樹脂を用いている。保護膜として用いる有機樹脂としては、たとえば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、またはオレフィン樹脂などの樹脂を用いることができる。
【0035】
保護膜16は、複数の有機EL表示装置が形成される領域を全体的に覆うように形成する。保護膜形成工程においては、大型基板15の端部まで、保護膜を形成することが好ましい。この方法により、大型基板の表面に切断屑やダストなどが付着することをより確実に防止できる。
【0036】
有機EL表示装置の製造においては、径が1μm以下のパーティクルも除去可能に形成されたクリーンルームの内部で製造される場合が多い。したがって、保護膜の表面にパーティクルが付着して、万が一押付けられるような状態になっても、厚さが1μm以上になるように保護膜を形成することにより、たとえば、パーティクルが保護膜を貫通して基板の表面に形成されたアノード電極に到達することを防止できる。このように、保護膜の厚さは、基板の表面や基板に形成された素子の表面を傷付けることがないように1μm以上であることが好ましい。
【0037】
また、後の工程において形成した保護膜を除去する。この際に、保護膜が厚すぎると、保護膜を除去する工程に時間がかかったり、保護膜を完全に除去できずに保護膜が残存しやすくなったりする。よって、保護膜の膜厚は、後に保護膜を除去することを考慮して、2μm以下が好ましい。
【0038】
次に、切断線35に沿って大型基板15を切断する切断工程を行なう。切断工程においては、たとえば、レーザ、超音波、またはダイヤモンドカッターなどの公知の手段で大型基板の切断を行なって小型基板を形成する。切断工程においては、有機EL層を形成する装置に配置することができる大きさに切断する。
【0039】
切断工程においては、端面研磨処理を行なうことが好ましい。端面研磨処理においては、切断された基板の端面を研磨することにより角を丸めたり、ひび割れなどを研削したりする。たとえば、基板がガラス基板の場合には、切断された端部は、角が鋭利になっている。または、切断を行なう際に、ダイヤモンドカッターなどで角の一部が傷つく場合があり、端部にはクラックやひび割れが多数生じている。切断工程の後の工程において、搬送アームなどの治具により小型基板を搬送する際に、治具などが端部に接触することにより、端部が欠けてガラス破片やパーティクルなどが発生する。端面研磨処理を行なうことによって、搬送装置の治具などが端部に接触した際にも、パーティクルなどの汚染物質が発生することを抑制できる。
【0040】
図5に切断工程が、完了したときの概略断面図を示す。それぞれの小型基板には、保護膜16が配置されている。次に、保護膜16に、紫外線の照射を行なって感光剤を分解することにより、保護膜16を現像液に対して可溶化する。次に、保護膜を除去する手段としての現像液により、保護膜16を全て除去する除去工程を行なう。
【0041】
図6に、保護膜を除去したときの概略断面図を示す。保護膜を除去することにより、素子板20を得ることができる。素子板20は、小型基板2を含む。本実施の形態においては、1個の素子板20から1個の有機EL表示装置が製造される。
【0042】
本実施の形態における保護膜の除去手段としての現像液は、アルカリ溶液が好ましい。現像液として、アルカリ溶液を用いることにより、保護膜を除去する際に、素子板20に有機汚染物質が付着している場合にも、この有機汚染物質を同時に除去することができる。すなわち、素子板20の表面の清浄化を同時に行なうことができる。
【0043】
この後に、それぞれの素子板20に対して、有機EL層を形成する有機EL層形成工程を行なう。本実施の形態においては、アノード電極5の表面に有機EL層を形成する。本実施の形態の有機EL層形成工程においては、シャドウマスク(蒸着マスク)を用いた真空蒸着法によって低分子有機EL層を形成する。切断工程において、大型基板を切断して小型基板を形成しているため、蒸着装置の真空チャンバの内部に小型基板を配置することができる。
【0044】
有機EL層形成工程においては、インクジェットを用いた印刷法により、高分子有機EL層を形成してもよい。これらのうちいずれかの方法を含むことにより、公知の有機EL層の形成方法を用いて本発明を実施することができる。または、有機EL層形成工程においては、これらの方法に限られず、任意の方法を採用することができる。
【0045】
有機EL層形成工程においては、基板に対するシャドウマスクの精密な位置合せ、または、基板に対するインクジェットノズルから吐出される液滴の着弾位置の調整などを行なって、それぞれの画素や絵素に対応する有機EL層を形成する。
【0046】
有機EL層7としては、たとえば、正孔注入層10として、銅フタロシアニン(CuPc)を膜厚30nmで形成する。正孔輸送層11として、[ビス(N−ナフチル)−N−フェニルベンジジン](α−NPD)を膜厚30nmで形成する。発光層12兼電子輸送層13として、8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)を膜厚50nmで形成する。
【0047】
有機EL層形成工程において、真空蒸着法により有機EL層を形成する場合には、たとえば、それぞれの材料を0.2グラム準備して、抵抗加熱用の各ボートに充填する。このボートを真空蒸着装置の所定の電源に接続する。真空蒸着装置の内部を1.0×10-4Paにまで減圧した後に、各ボートに通電することにより加熱する。各ボートに配置された材料が順次蒸着して有機EL層が形成される。蒸着においては、シャドウマスクとして、たとえば、金属マスクを用いる。
【0048】
カラー表示を行なう有機EL表示装置を製造する場合には、画素に含まれる赤色、緑色、青色の絵素ごとに異なる有機EL層を形成する。たとえば、図2を参照して、有機EL層7のうち、正孔注入層10、正孔輸送層11、電子輸送層13、および電子注入層14は、それぞれの色に拘らず、共通の層を形成しても構わないが、少なくとも発光層12においては、それぞれの色に対応した有機層を形成する。
【0049】
次に、有機EL層および分離膜を覆うようにカソード電極を形成する。本実施の形態においては、カソード電極を複数の画素にまたがる共通電極になるように形成する。
【0050】
カソード電極としては、たとえば、下層部として、フッ化リチウム(LiF)膜およびアルミニウム(Al)膜の積層膜を形成する。また、上層部として、透明電極膜を形成する。有機EL層の最上層の表面にフッ化リチウム膜を形成して、この後に、フッ化リチウム膜の表面にアルミニウム膜を形成する。下層部のそれぞれの膜厚は、たとえば、フッ化リチウム膜を1nmとして、アルミニウム膜を15nmとする。
【0051】
本実施の形態においては、有機EL層の真空蒸着を行なった後に、真空状態が接続された別の真空蒸着装置の内部にて、カソード電極の下層部を形成することができる。すなわち、有機EL層形成工程に続いて、カソード電極の下層部を形成することができる。真空蒸着法によって、カソード電極の下層部を形成する場合には、たとえば、フッ化リチウム0.1グラム、アルミニウム0.4グラムを、それぞれのボートに充填して、真空蒸着装置の所定の電源に接続する。真空蒸着装置の内部を1.0×10-4Paまで減圧した後に、それぞれのボートを通電加熱することにより、それぞれのボートの材料が順次蒸着してカソード電極の下層部が形成される。
【0052】
この後に、カソード電極の下層部の表面に上層部を形成する。カソード電極の上層部としては、たとえば、透明な電極膜を形成する。この透明な電極膜としては、たとえば、室温の成膜で良好な導電性を示すインジウム亜鉛酸化物(In−Zn−O)系の透明導電性材料を用いることができる。
【0053】
この材料からなる透明電極膜は、たとえば、DCマグネトロンスパッタ法によって形成することができる。この成膜条件の一例としては、スパッタガスにアルゴン(Ar)と酸素(O2)との混合ガス(体積比Ar:O2=1000:5)を用いる。スパッタを行なうときの雰囲気内圧力を0.3Pa、DC出力を40Wに設定して、膜厚が200nmの透明な上層部を形成する。
【0054】
このように、アノード電極(画素電極)、有機EL層、カソード電極(共通電極で透明な電極)を順次積層して形成される有機EL素子を、平坦化絶縁膜の表面に形成する。
【0055】
次に、図1を参照して、大気中の水分により有機EL層7が劣化しないように、封止ガラス9を形成する。または、パッシベーション膜で、有機EL素子を密封して有機EL表示パネルを形成する。得られた有機EL表示パネルに対して、外部の駆動ドライバや電源装置などの他の部品を取付けて筐体に配置することにより、有機EL表示装置が完成する。
【0056】
本実施の形態における有機EL表示装置の製造方法は、大型基板を切断して小型基板を形成する切断工程と、切断工程の前に、大型基板の表面の全体を覆うように保護膜を形成する保護膜形成工程を行ない、切断工程の後に、保護膜の全てを除去する保護膜除去工程を行なう。この方法により、切断工程において生じる切屑や大気中のダストなどが基板の表面や有機EL素子の表面に付着することを防止でき、黒点欠陥またはダークスポットなどの表示不良を抑制することができる。または、保護膜除去工程において、陽極の表面などに付着した切除屑やダストなどを保護膜とともに除去することができる。この結果、歩留りが向上する有機EL表示装置の製造方法を提供することができる。
【0057】
本実施の形態における保護膜形成工程は、保護膜として、有機樹脂を配置する工程を含む。この方法により、汎用的な有機樹脂の塗布装置で本発明の保護膜を形成することができる。本実施の形態においては、有機樹脂として、感光性レジストの樹脂を用いている。保護膜として、感光性樹脂を用いることにより、公知のレジストの樹脂を、本発明における保護膜として用いることができる。また、レジストの現像液を、本発明における保護膜の除去剤として用いることができる。このように、既存の従来の製造方法における装置や溶剤を用いて本発明を実施することができる。
【0058】
本実施の形態においては、保護膜として、感光性ポジ型の樹脂を用いたが、この形態に限られず、保護膜としては、感光性ネガ型の樹脂が用いられていても構わない。感光性ネガ型の樹脂としては、周知の感光性ネガ型のレジスト樹脂を用いることができる。
【0059】
感光性ネガ型の有機樹脂を保護膜として用いた場合には、非感光部分が現像液に可溶な部分になるため、保護膜を形成した後に紫外線などの光を照射せずに、大型基板を切断する。次に、紫外線などの光を照射せずに、現像液で感光性ネガ型樹脂膜を除去することができる。保護膜として、感光性ネガ型樹脂を用いる場合に、1μm以上2μm以下の膜厚が好ましいことは、感光性ポジ型樹脂の保護膜と同様である。
【0060】
また、保護膜として有機樹脂を用いることにより、分離膜などの隔壁材の表面に保護膜を配置した場合に、隔壁材と保護膜との境界面で生じたインターミキシングの部分を保護膜と共に除去することができる。本発明におけるインターミキシングとは、有機膜からなる分離膜の表面に別の有機膜を塗布すると、境界面において互いに混ざり合う現象をいう。この互いに混ざり合った部分は、分離膜の上側に配置された有機膜を除去する際に、有機膜の成分のみが除去されて、表面形状が凹凸になったり、分離膜の内部が疎になったりする。この結果、本来の分離膜の材質とは異なる状態になってしまうが、このインターミキシングの部分を保護膜とともに除去することができる。
【0061】
本実施の形態においては、陽極を形成する工程まで行なったのちに、保護膜を形成して切断工程を行なったが、この形態に限られず、任意の工程の後に保護膜を形成して切断工程を行なうことができる。
【0062】
本実施の形態においては、アクティブ型の有機EL表示装置を例に採りあげて説明したが、この形態に限られず、パッシブ型の有機EL表示装置にも本発明を適用することができる。また、駆動素子としては、それぞれの画素を駆動するための素子であればよい。たとえば、基板にMIM(Metal Insulator Metal)ダイオードが形成されていてもよい。
【0063】
(実施の形態2)
図7から図11を参照して、本発明に基づく実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法について説明する。図7から図11は、本実施の形態における有機EL表示装置の製造工程を説明する概略断面図である。
【0064】
図7に示すように、実施の形態1と同様に大型基板15に対して、TFT3、平坦化絶縁膜4、アノード電極5および分離膜6を形成する。
【0065】
次に、図8に示すように、大型基板15の全体の表面を覆うように保護膜17を形成する保護膜形成工程を行なう。本実施の形態における保護膜17には、感光性ポジ型樹脂または感光性ネガ型樹脂を用いる。
【0066】
次に、図9に示すように、保護膜17の露光および現像を行なって、大型基板15の切断線36に沿った領域に、保護膜17の除去部31を形成する。除去部31は、露光および現像を行なうことにより、保護膜17の一部分を除去した部分である。このように、本実施の形態においては選択的な領域に保護膜を形成する。除去部31においては、基板を切断する手段が除去部31に接触しないような幅に形成する。たとえば、大型基板をレーザ切断する場合には、レーザ光に接触しないような幅を有する除去部を形成する。次に、切断線36に沿って、大型基板15を切断する切断工程を行なう。
【0067】
図10に示すように、大型基板15を切断することにより小型基板2を得る。次に、図11に示すように、保護膜の除去液を用いて保護膜を除去する。このように、素子板20を得る。この後に、実施の形態1と同様に有機EL層の形成や陰極の形成などを行なう。
【0068】
本実施の形態においては、切断工程において、大型基板の切断線に沿って保護膜が除去されているため、大型基板を切断する際に、切断位置および切断深さの誤差が少なくなり、位置ずれが少なく安定した切断を行なうことができる。また、直進性に優れた切断を行なうことができる。このように、設計に対して正確な切断を行なうことができる。すなわち、切断精度が向上する。
【0069】
本実施の形態における保護膜の膜厚が1μm以上2μm以下であることが好ましいことなどは、実施の形態1と同様である。その他の製造方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0070】
(実施の形態3)
本発明に基づく実施の形態3における有機EL表示装置の製造方法について説明する。本実施の形態においては、はじめに、実施の形態1と同様の方法により、大型基板にアノード電極および分離膜まで形成する。
【0071】
次に、大型基板の駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜を形成する。本実施の形態においては、保護膜として、非感光性コート樹脂を用いる。非感光性コート樹脂としては、感光性樹脂の感光剤を除いた成分の樹脂を採用することができる。たとえば、ノボラック樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂などを採用することができる。
【0072】
保護膜を形成した後に、実施の形態1と同様の方法により、大型基板を切断する切断工程を行なって小型基板を得る。この後に、保護膜を現像液または非感光性コート樹脂が可溶な溶剤で除去する保護膜除去工程を行なう。現像液としては、たとえば公知のアルカリ溶剤を用いることができる。非感光性コート樹脂が可溶な溶剤としては、たとえば、無機溶剤としての炭酸ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などを用いることができる。有機溶剤としては、たとえば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いることができる。
【0073】
このように、本実施の形態においては、保護膜として、非感光性樹脂を用いる。この方法により、保護膜として感光性樹脂を用いた場合の現像液に可溶化させるための工程が不要になる。たとえば、紫外線を照射する工程が不要になって、製造工程を簡略化することができる。非感光性樹脂を除去する溶剤は、有機EL表示装置の製造工程において汎用的に用いられるレジストの現像液などと共用することができる。
【0074】
非感光性樹脂としては、加熱することにより溶剤に可溶となる樹脂を含んでいても構わない。この場合には、保護膜を加熱した後に溶剤によって保護膜を除去する。
【0075】
保護膜としての非感光性コート樹脂の厚さが、1μm以上2μm以下が好ましいことは、実施の形態1と同様である。その他の製造方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0076】
(実施の形態4)
本発明に基づく実施の形態4における有機EL表示装置の製造方法について説明する。本実施の形態においては、はじめに、実施の形態1と同様の製造方法により、大型基板にアノード電極および分離膜まで形成する。
【0077】
次に、大型基板の駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜を形成する。本実施の形態においては、保護膜として、水溶性ポリマーを用いる。水溶性ポリマーとしては、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリル酸ナトリウム、または水系ポリウレタンなどを採用することができる。
【0078】
保護膜を形成した後に、実施の形態1と同様の方法により、大型基板を切断する切断工程を行なって小型基板を得る。次に保護膜を除去する保護膜除去工程を行なう。保護膜除去工程においては、水溶性ポリマーが水に可溶であるため、形成された素子板の水洗いを行なうことによって、保護膜を除去することができる。
【0079】
保護膜として、水溶性ポリマーを用いることにより、水洗いを行なうのみで保護膜を除去することができ、素子板に影響を与えることなく、保護膜を除去することができる。
【0080】
水溶性ポリマーで形成された保護膜の厚さは、実施の形態1と同様に、1μm以上2μm以下が好ましい。その他の製造方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0081】
(実施の形態5)
図12および図13を参照して、本発明に基づく実施の形態5における有機EL表示装置の製造方法について説明する。
【0082】
図12および図13は、本実施の形態における有機EL表示装置の製造工程を説明する概略断面図である。本実施の形態においては、はじめに、実施の形態1と同様の方法により、大型基板にアノード電極および分離膜まで形成する。
【0083】
次に、図12を参照して、保護膜としてのフィルムシートを大型基板の表面の全体を覆うように貼り付ける。フィルムシートは、少なくとも片面に粘着剤が配置され、厚さがおおよそ数百μmのシートである。フィルムシートは、ガラス基板やシリコンウエハなどの基板の表面に貼り付けて、空気が流入しないように貼り付けられるシートである。
【0084】
本実施の形態においては、フィルムシートとしてダイシングシート19を用いている。ダイシングシートは、少なくとも装置の一部分を形成したガラス基板などの基板を切断する際に、基板の両面に傷などの損傷を与えないように、主表面に貼り付けるシートである。ダイシングシートを本発明における大型基板に貼り付けることにより、大型基板の表面に形成された素子の表面の凹凸にも密着して、パーティクルなどが侵入することを防止することができる。
【0085】
図12および図13を参照して、保護膜を形成した後に実施の形態1と同様の方法により、大型基板を切断線37で切断する切断工程を行なって小型基板を得る。次に、切断工程にて得られた素子板の表面に配置された保護膜を除去する保護膜除去工程を行なう。
【0086】
本実施の形態における保護膜除去工程においては、フィルムシートに採用されている粘着剤の種類により、フィルムシートを除去する方法が異なる。いずれの方法においても、粘着剤の接着力が低下した状態でフィルムシートを剥離することができる。
【0087】
フィルムシートに採用されている粘着剤が、弱粘着のものであれば、手などで簡単に剥離することができる。粘着剤が紫外線剥離型のものであれば、フィルムシートに紫外線を照射することにより、粘着剤が硬化して接着力が低下して容易に剥離することができる。粘着剤が、加熱剥離型のものであれば、フィルムシートを貼り付けた基板ごとホットプレートやオーブンで加熱することにより、粘着剤が硬化して接着力が低下して容易に剥離することができる。粘着剤が加熱発泡型のものであれば、フィルムシート貼り付けた基板ごとホットプレートやオーブンで加熱することにより、粘着剤に含まれる発泡剤が発泡して、容易に剥離することができる。粘着剤が水溶性のものであれば、フィルムシートを貼り付けた基板ごと水に浸漬することにより、容易に剥離することができる。このように、採用されている粘着剤の種類に応じて処理を行なうことにより、容易にフィルムシートを剥離することができる。
【0088】
本実施の形態においては、半導体装置の製造工程や太陽電池装置の製造工程などで用いられる汎用のダイシングシートなどのフィルムシートを、本発明における保護膜として用いることができ、汎用のフィルムシートおよび既存の貼り付け装置を用いて、本発明を実施することができる。
【0089】
その他の製造方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0090】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】有機EL表示装置の概略断面図である。
【図2】有機EL表示装置の有機EL層の部分の拡大概略断面図である。
【図3】実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法の第1工程説明図である。
【図4】実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法の第2工程説明図である。
【図5】実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法の第3工程説明図である。
【図6】実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法の第4工程説明図である。
【図7】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第1工程説明図である。
【図8】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第2工程説明図である。
【図9】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第3工程説明図である。
【図10】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第4工程説明図である。
【図11】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第5工程説明図である。
【図12】実施の形態5における有機EL表示装置の製造方法の第1工程説明図である。
【図13】実施の形態5における有機EL表示装置の製造方法の第2工程説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1 有機EL表示装置、2 小型基板、3 TFT、4 平坦化絶縁膜、5 アノード電極、6 分離膜、7 有機EL層、8 カソード電極、9 封止ガラス、10 正孔注入層、11 正孔輸送層、12 発光層、13 電子輸送層、14 電子注入層、15 大型基板、16,17 保護膜、19 ダイシングシート、20 素子板、21 コンタクトホール、22 領域、31 除去部、35〜37 切断線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信システムの発達に伴って、表示装置の高精彩化、大型化、低コスト化、低消費電力化、高性能化、または薄型化といったさまざまな機能が要求されている。これらの要求に応じる表示装置として、フラットパネルディスプレイ(FPD)が開発されている。
【0003】
FPDには、液晶表示装置(LCD)、有機EL(Electroluminescence)表示装置(OLED)、プラズマ表示装置(PDP)などが存在する。有機材料のエレクトロルミネッセンスを利用した有機EL表示装置は、有機EL素子を含む。有機EL素子は、有機正孔輸送層や有機発光層が積層された有機EL層が陽極と陰極とに挟まれた構成を含む。陽極と陰極との間に電圧が印加されることにより、有機EL層が発光する。有機EL素子は、低電圧の直流駆動および高輝度な発光が可能な発光素子として注目されている。有機EL表示装置は、液晶表示装置などに比べて、応答速度が速く、自発光型であるために視野角が広い。さらに、有機EL表示装置は、液晶表示装置には配置されているバックライトが不要であるため、薄型化や軽量化が可能であるという特長を有する。
【0004】
有機EL表示装置には、ボトムエミッション型の表示装置とトップエミッション型の表示装置とがある。ボトムエミッション型の有機EL表示装置においては、基板の表面にTFT(Thin Film Transistor)などの駆動素子および有機EL層が形成され、駆動素子が形成された基板の表面と反対側から発光した光が取出される。トップエミッション型の有機EL表示装置においては、駆動素子が形成された基板の表面の側から発光した光が取出される。
【0005】
有機EL表示装置は、複数の画素を含み、それぞれの画素が駆動されることにより、画像や映像が表示される。これらの画素を駆動するための駆動素子として、アクティブマトリクス型の表示装置においては、たとえば、TFTが基板の表面に形成されている。基板に形成されたTFTは、たとえば、平坦化絶縁膜で覆われて表面が平坦化される。この平坦化絶縁膜の表面に、陽極、有機EL層および陰極が形成される。陽極は、平坦化絶縁膜に形成されたスルーホールを介して、TFTと電気的に接続される。
【0006】
有機EL表示装置の製造方法においては、たとえば、基板の表面にそれぞれの画素に対応するように駆動素子を形成する。カラー表示が行なわれる有機EL表示装置においては、1つの画素に含まれる赤色、緑色、青色のそれぞれの絵素に対応するように駆動素子を形成する。次に、たとえば、駆動素子の上面に平坦化絶縁膜を形成して、平坦化絶縁膜の表面に陽極を形成する。陽極の表面に、有機EL層を形成する。さらに、有機EL層の表面に陰極を配置することにより、有機EL素子を形成する。
【0007】
特開2001−185363号公報においては、基板上に、陽極層と、保護膜と、有機物からなる発光層と、陰極層とを順次積層する工程を備え、陽極層上の画素領域にある保護膜を、発光層の積層前に除去する有機EL素子の製造方法が開示されている。この方法によれば、有機物の積層前に、画素領域の保護膜を除去することにより、画素領域の陽極層が外気に直接触れる時間を短くすることができ、粉塵の付着を防ぐことが可能になると開示されている。
【0008】
有機EL表示装置の製造方法においては、生産性を向上するために、大型の基板に、複数の有機EL表示装置に対応する部分を形成した後に、個々の有機EL表示装置に分断する製造方法がある。たとえば、特開2003−7463号公報においては、第1基板上に第1電極層を形成する工程と、第1基板を切断して複数の第2基板を得る工程と、第2基板の第1電極層上に有機電界発光層を形成する工程と、有機電界発光層上に第2電極層を形成する工程とを有する有機電界発光表示素子の製造方法が開示されている。この製造方法においては、有機電界発光層およびその補助層を形成するために必要な蒸着または印刷設備が不要な前工程と、有機電界発光層およびその補助層を形成するために必要な蒸着または印刷装置が必要な後工程とに区分する。大型基板を準備して前工程を行なった後に、大型基板を切断して小型基板を得る。次いで小型基板上に蒸着または印刷工程により有機電界発光層およびその補助層を形成する。この製造方法によれば、蒸着または印刷設備のチャンバの大きさによる基板の大きさの制限を克服して大型基板で前工程を行なうことができるので、生産性を向上させて製造コストを低減することができると開示されている。
【特許文献1】特開2001−185363号公報
【特許文献2】特開2003−7463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機EL表示装置の製造工程において、各層を積層する際に異物が混入する問題がある。特に、有機EL層を形成する工程においては、有機EL層の内部に基板の切断屑や工程中のダストなどの異物が混入すると、陽極と陰極とのショートによる黒点欠陥が生じたり、ダークスポットが生じたりするなどの表示不良が発現する。
【0010】
上記の特開2001−185363号公報に開示された製造方法においては、1個ずつ有機EL表示装置を製造する方法が開示され、また、それぞれの基板の一部分を覆うように保護膜が形成されている。たとえば、陽極の表面のみに保護膜が配置されている。
【0011】
この製造方法においては、基板の保護膜を形成していない部分に、ダストなどが付着する。この状態で、たとえば、蒸着用マスクを用いて有機EL層を蒸着すると、蒸着マスクにダストが付着してしまい、蒸着マスクの着脱などの際にダストが基板の陽極層の表面などに付着してしまうという問題がある。
【0012】
または、蒸着マスクに付着したダストが蒸着装置の内部に撒き散らかされ、基板の搬送時などに舞い上がって、基板の表面や陽極の表面などに付着してしまうという問題がある。また、この公報に開示された有機EL表示装置の製造方法は、1個ずつ有機EL表示装置を製造するため、生産性が悪いという問題がある。
【0013】
上記の特開2003−7463号公報に開示された製造方法においては、大型の第1基板を切断して複数の第2基板を得る工程において、基板を切断または分離する際に発生する基板の破片や破片よりも小さなパーティクルなどが基板の表面や陽極の表面に付着してしまうという問題がある。
【0014】
たとえば、陽極の表面に基板の屑や大気中のダストなどが存在すると、有機EL層を形成する工程において、これらの屑やダストが有機EL層に混入してしまって、表示不良が発現して歩留りが低下するという問題があった。
【0015】
本発明は、歩留まりが向上する有機EL表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に基づく有機EL表示装置の製造方法は、大型基板に有機EL層を駆動するための駆動素子を形成する工程を含む。上記大型基板を切断して、上記大型基板より小さな小型基板を形成する切断工程と、上記駆動素子に対応するように上記有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを含む。上記切断工程の前に、上記大型基板の上記駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜を形成する保護膜形成工程を行なう。上記切断工程の後に、上記保護膜の全てを除去する保護膜除去工程を行なう。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、歩留まりが向上する有機EL表示装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下のそれぞれの実施の形態においては、有機EL表示装置のうち、TFTを用いたアクティブマトリクス型の有機EL表示装置を例に採り挙げて説明する。また、トップエミッション型の有機EL表示装置を例に採り挙げて説明する。
【0019】
図1から図6を参照して、本発明に基づく実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における有機EL表示装置の概略断面図である。図2は、本実施の形態における有機EL表示装置の有機EL素子の部分の拡大概略断面図である。有機EL表示装置1は、複数の画素を含み、それぞれの画像に有機EL素子が配置されている。図1においては、理解を容易にするために2個の画素が簡略的に示されている。
【0021】
有機EL表示装置1は、小型基板2を備える。小型基板2は、複数の有機EL表示装置に製造が可能な大型基板を切断して小型になった基板である。本実施の形態における小型基板2は、ガラス基板である。小型基板2の主表面には、TFT3以外の1つのトランジスタや、これらのデバイスを動作させるための走査線、信号線および電源線などの配線や容量などが形成されている(図示せず)。以下、これらをTFT3に代表される回路構成要素とする。
【0022】
小型基板2には、回路構成要素などによって生じた凹凸を平坦化するために、平坦化絶縁膜4が形成されている。平坦化絶縁膜4の表面には、アノード電極5が形成されている。アノード電極5は、平坦化絶縁膜4に形成されたコンタクトホール21を介してTFT3と電気的に接続されている。アノード電極5の表面には、有機EL層7が形成されている。
【0023】
図2を参照して、本実施の形態における有機EL層7は、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層13、および電子注入層14を含む。それぞれの画素同士の間には、画素同士を分離するための分離膜6が形成されている。TFT3、アノード電極5および有機EL層7は、それぞれの画素毎に分離して形成されている。
【0024】
有機EL層7および分離膜6の表面には、陰極としてのカソード電極8が形成されている。本実施の形態におけるカソード電極8は、透明な材質で形成されている。また、本実施の形態におけるカソード電極8は、複数の画素に共通な共通電極として形成されている。
【0025】
有機EL表示装置は、有機EL層の水分の劣化を防止するための封止ガラス9を備えていても構わない。封止ガラス9は、複数の画素全体を覆うように形成されている。封止ガラス9は、内部を密閉して外気と遮断できるように形成されている。
【0026】
TFT3が駆動することにより、アノード電極5とカソード電極8との間に電流が流されて、有機EL層7が発光する。有機EL層7からの光は、カソード電極8の側に向かう光とアノード電極5の側に向かう光とを有する。カソード電極8の側に向かう光は、カソード電極8および封止ガラス9を透過する。アノード電極5の側に向かう光は、アノード電極5の表面で反射してカソード電極8の側に向かう。観察者は、カソード電極8および封止ガラス9を透過した光を視認することができる。観察者は、複数の画素を同時に見ることにより、画像または映像を視認することができる。
【0027】
図3から図6に、本実施の形態における有機EL表示装置の製造方法のそれぞれの工程の概略断面図を示す。図3〜図6においては、大型基板の表面に形成される有機EL表示装置のうち、3個の表示装置が示されている。
【0028】
図3、図1および図2を参照して、複数の有機EL表示装置を形成することが可能な大型基板15の表面に駆動素子としてのTFT3を形成する。また、図示しないゲートバスラインなどの配線を形成する。領域22は、1個の有機EL表示装置が製造される領域を示す。大型基板15の大きさについては、特に制限はなく、複数の有機EL表示装置が製造可能であればよい。たとえば、大型基板としては、410mm×520mmの長方形の平面形状を有するガラス基板や、730mm×920mmの長方形状の平面形状を有するガラス基板を用いる。大型基板は、マザー基板とも言われる。
【0029】
次に、TFT3などにより生じた表面の凹凸を平坦化するための平坦化絶縁膜4をTFT3の上側に形成する。次に、TFT3とアノード電極5とを接続するためのコンタクトホール21を平坦化絶縁膜4に形成する。
【0030】
次に、平坦化絶縁膜4の表面にアノード電極5を形成する。さらに、それぞれの画素同士を分離するための分離膜6を形成する。これらのアノード電極を形成するまでの工程は、公知の製造方法によって製造することができる。たとえば、液晶表示装置の液晶を駆動するための画素電極までの製造方法と同様の製造方法により製造することができる。
【0031】
この後に、それぞれの画素に対して、アノード電極の表面に有機EL層を形成する有機EL層形成工程を行なう必要がある。有機EL層形成工程は、蒸着法、または、インクジェットを用いた印刷法などによって、有機EL層を形成することができる。
【0032】
ここで、有機EL層形成工程においては、有機EL層を形成する装置に依存して、基板の大きさに制約がある。このため、有機EL層を形成する装置に合せて、大型基板を切断して小型基板を形成する。小型基板は、大型基板よりも小さな基板である。小型基板としては、単一の有機EL表示装置を含んでいても構わないし、複数の有機EL表示装置を含んでいても構わない。小型基板は、有機EL層を形成する装置に対応して大きさを定める。
【0033】
本実施の形態の有機EL表示装置の製造方法においては、基板の大きさに制約がない分離膜を形成する工程までの前工程と、基板の大きさに制約がある有機EL層形成工程以降の後工程の2つに分別して、それぞれの基板の大きさで製造を行なう。前工程においては、大型基板によって製造を行い、後工程においては小型基板によって製造を行なう。前工程においては、一度に複数の有機EL表示装置の製造を行なうことができるため、生産性が向上する。
【0034】
図4を参照して、大型基板15の駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜16を形成する保護膜形成工程を行なう。本実施の形態においては、保護膜16として、有機樹脂を塗布する工程を含む。本実施の形態においては、有機樹脂として感光性ポジ型樹脂を用いている。保護膜として用いる有機樹脂としては、たとえば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、またはオレフィン樹脂などの樹脂を用いることができる。
【0035】
保護膜16は、複数の有機EL表示装置が形成される領域を全体的に覆うように形成する。保護膜形成工程においては、大型基板15の端部まで、保護膜を形成することが好ましい。この方法により、大型基板の表面に切断屑やダストなどが付着することをより確実に防止できる。
【0036】
有機EL表示装置の製造においては、径が1μm以下のパーティクルも除去可能に形成されたクリーンルームの内部で製造される場合が多い。したがって、保護膜の表面にパーティクルが付着して、万が一押付けられるような状態になっても、厚さが1μm以上になるように保護膜を形成することにより、たとえば、パーティクルが保護膜を貫通して基板の表面に形成されたアノード電極に到達することを防止できる。このように、保護膜の厚さは、基板の表面や基板に形成された素子の表面を傷付けることがないように1μm以上であることが好ましい。
【0037】
また、後の工程において形成した保護膜を除去する。この際に、保護膜が厚すぎると、保護膜を除去する工程に時間がかかったり、保護膜を完全に除去できずに保護膜が残存しやすくなったりする。よって、保護膜の膜厚は、後に保護膜を除去することを考慮して、2μm以下が好ましい。
【0038】
次に、切断線35に沿って大型基板15を切断する切断工程を行なう。切断工程においては、たとえば、レーザ、超音波、またはダイヤモンドカッターなどの公知の手段で大型基板の切断を行なって小型基板を形成する。切断工程においては、有機EL層を形成する装置に配置することができる大きさに切断する。
【0039】
切断工程においては、端面研磨処理を行なうことが好ましい。端面研磨処理においては、切断された基板の端面を研磨することにより角を丸めたり、ひび割れなどを研削したりする。たとえば、基板がガラス基板の場合には、切断された端部は、角が鋭利になっている。または、切断を行なう際に、ダイヤモンドカッターなどで角の一部が傷つく場合があり、端部にはクラックやひび割れが多数生じている。切断工程の後の工程において、搬送アームなどの治具により小型基板を搬送する際に、治具などが端部に接触することにより、端部が欠けてガラス破片やパーティクルなどが発生する。端面研磨処理を行なうことによって、搬送装置の治具などが端部に接触した際にも、パーティクルなどの汚染物質が発生することを抑制できる。
【0040】
図5に切断工程が、完了したときの概略断面図を示す。それぞれの小型基板には、保護膜16が配置されている。次に、保護膜16に、紫外線の照射を行なって感光剤を分解することにより、保護膜16を現像液に対して可溶化する。次に、保護膜を除去する手段としての現像液により、保護膜16を全て除去する除去工程を行なう。
【0041】
図6に、保護膜を除去したときの概略断面図を示す。保護膜を除去することにより、素子板20を得ることができる。素子板20は、小型基板2を含む。本実施の形態においては、1個の素子板20から1個の有機EL表示装置が製造される。
【0042】
本実施の形態における保護膜の除去手段としての現像液は、アルカリ溶液が好ましい。現像液として、アルカリ溶液を用いることにより、保護膜を除去する際に、素子板20に有機汚染物質が付着している場合にも、この有機汚染物質を同時に除去することができる。すなわち、素子板20の表面の清浄化を同時に行なうことができる。
【0043】
この後に、それぞれの素子板20に対して、有機EL層を形成する有機EL層形成工程を行なう。本実施の形態においては、アノード電極5の表面に有機EL層を形成する。本実施の形態の有機EL層形成工程においては、シャドウマスク(蒸着マスク)を用いた真空蒸着法によって低分子有機EL層を形成する。切断工程において、大型基板を切断して小型基板を形成しているため、蒸着装置の真空チャンバの内部に小型基板を配置することができる。
【0044】
有機EL層形成工程においては、インクジェットを用いた印刷法により、高分子有機EL層を形成してもよい。これらのうちいずれかの方法を含むことにより、公知の有機EL層の形成方法を用いて本発明を実施することができる。または、有機EL層形成工程においては、これらの方法に限られず、任意の方法を採用することができる。
【0045】
有機EL層形成工程においては、基板に対するシャドウマスクの精密な位置合せ、または、基板に対するインクジェットノズルから吐出される液滴の着弾位置の調整などを行なって、それぞれの画素や絵素に対応する有機EL層を形成する。
【0046】
有機EL層7としては、たとえば、正孔注入層10として、銅フタロシアニン(CuPc)を膜厚30nmで形成する。正孔輸送層11として、[ビス(N−ナフチル)−N−フェニルベンジジン](α−NPD)を膜厚30nmで形成する。発光層12兼電子輸送層13として、8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)を膜厚50nmで形成する。
【0047】
有機EL層形成工程において、真空蒸着法により有機EL層を形成する場合には、たとえば、それぞれの材料を0.2グラム準備して、抵抗加熱用の各ボートに充填する。このボートを真空蒸着装置の所定の電源に接続する。真空蒸着装置の内部を1.0×10-4Paにまで減圧した後に、各ボートに通電することにより加熱する。各ボートに配置された材料が順次蒸着して有機EL層が形成される。蒸着においては、シャドウマスクとして、たとえば、金属マスクを用いる。
【0048】
カラー表示を行なう有機EL表示装置を製造する場合には、画素に含まれる赤色、緑色、青色の絵素ごとに異なる有機EL層を形成する。たとえば、図2を参照して、有機EL層7のうち、正孔注入層10、正孔輸送層11、電子輸送層13、および電子注入層14は、それぞれの色に拘らず、共通の層を形成しても構わないが、少なくとも発光層12においては、それぞれの色に対応した有機層を形成する。
【0049】
次に、有機EL層および分離膜を覆うようにカソード電極を形成する。本実施の形態においては、カソード電極を複数の画素にまたがる共通電極になるように形成する。
【0050】
カソード電極としては、たとえば、下層部として、フッ化リチウム(LiF)膜およびアルミニウム(Al)膜の積層膜を形成する。また、上層部として、透明電極膜を形成する。有機EL層の最上層の表面にフッ化リチウム膜を形成して、この後に、フッ化リチウム膜の表面にアルミニウム膜を形成する。下層部のそれぞれの膜厚は、たとえば、フッ化リチウム膜を1nmとして、アルミニウム膜を15nmとする。
【0051】
本実施の形態においては、有機EL層の真空蒸着を行なった後に、真空状態が接続された別の真空蒸着装置の内部にて、カソード電極の下層部を形成することができる。すなわち、有機EL層形成工程に続いて、カソード電極の下層部を形成することができる。真空蒸着法によって、カソード電極の下層部を形成する場合には、たとえば、フッ化リチウム0.1グラム、アルミニウム0.4グラムを、それぞれのボートに充填して、真空蒸着装置の所定の電源に接続する。真空蒸着装置の内部を1.0×10-4Paまで減圧した後に、それぞれのボートを通電加熱することにより、それぞれのボートの材料が順次蒸着してカソード電極の下層部が形成される。
【0052】
この後に、カソード電極の下層部の表面に上層部を形成する。カソード電極の上層部としては、たとえば、透明な電極膜を形成する。この透明な電極膜としては、たとえば、室温の成膜で良好な導電性を示すインジウム亜鉛酸化物(In−Zn−O)系の透明導電性材料を用いることができる。
【0053】
この材料からなる透明電極膜は、たとえば、DCマグネトロンスパッタ法によって形成することができる。この成膜条件の一例としては、スパッタガスにアルゴン(Ar)と酸素(O2)との混合ガス(体積比Ar:O2=1000:5)を用いる。スパッタを行なうときの雰囲気内圧力を0.3Pa、DC出力を40Wに設定して、膜厚が200nmの透明な上層部を形成する。
【0054】
このように、アノード電極(画素電極)、有機EL層、カソード電極(共通電極で透明な電極)を順次積層して形成される有機EL素子を、平坦化絶縁膜の表面に形成する。
【0055】
次に、図1を参照して、大気中の水分により有機EL層7が劣化しないように、封止ガラス9を形成する。または、パッシベーション膜で、有機EL素子を密封して有機EL表示パネルを形成する。得られた有機EL表示パネルに対して、外部の駆動ドライバや電源装置などの他の部品を取付けて筐体に配置することにより、有機EL表示装置が完成する。
【0056】
本実施の形態における有機EL表示装置の製造方法は、大型基板を切断して小型基板を形成する切断工程と、切断工程の前に、大型基板の表面の全体を覆うように保護膜を形成する保護膜形成工程を行ない、切断工程の後に、保護膜の全てを除去する保護膜除去工程を行なう。この方法により、切断工程において生じる切屑や大気中のダストなどが基板の表面や有機EL素子の表面に付着することを防止でき、黒点欠陥またはダークスポットなどの表示不良を抑制することができる。または、保護膜除去工程において、陽極の表面などに付着した切除屑やダストなどを保護膜とともに除去することができる。この結果、歩留りが向上する有機EL表示装置の製造方法を提供することができる。
【0057】
本実施の形態における保護膜形成工程は、保護膜として、有機樹脂を配置する工程を含む。この方法により、汎用的な有機樹脂の塗布装置で本発明の保護膜を形成することができる。本実施の形態においては、有機樹脂として、感光性レジストの樹脂を用いている。保護膜として、感光性樹脂を用いることにより、公知のレジストの樹脂を、本発明における保護膜として用いることができる。また、レジストの現像液を、本発明における保護膜の除去剤として用いることができる。このように、既存の従来の製造方法における装置や溶剤を用いて本発明を実施することができる。
【0058】
本実施の形態においては、保護膜として、感光性ポジ型の樹脂を用いたが、この形態に限られず、保護膜としては、感光性ネガ型の樹脂が用いられていても構わない。感光性ネガ型の樹脂としては、周知の感光性ネガ型のレジスト樹脂を用いることができる。
【0059】
感光性ネガ型の有機樹脂を保護膜として用いた場合には、非感光部分が現像液に可溶な部分になるため、保護膜を形成した後に紫外線などの光を照射せずに、大型基板を切断する。次に、紫外線などの光を照射せずに、現像液で感光性ネガ型樹脂膜を除去することができる。保護膜として、感光性ネガ型樹脂を用いる場合に、1μm以上2μm以下の膜厚が好ましいことは、感光性ポジ型樹脂の保護膜と同様である。
【0060】
また、保護膜として有機樹脂を用いることにより、分離膜などの隔壁材の表面に保護膜を配置した場合に、隔壁材と保護膜との境界面で生じたインターミキシングの部分を保護膜と共に除去することができる。本発明におけるインターミキシングとは、有機膜からなる分離膜の表面に別の有機膜を塗布すると、境界面において互いに混ざり合う現象をいう。この互いに混ざり合った部分は、分離膜の上側に配置された有機膜を除去する際に、有機膜の成分のみが除去されて、表面形状が凹凸になったり、分離膜の内部が疎になったりする。この結果、本来の分離膜の材質とは異なる状態になってしまうが、このインターミキシングの部分を保護膜とともに除去することができる。
【0061】
本実施の形態においては、陽極を形成する工程まで行なったのちに、保護膜を形成して切断工程を行なったが、この形態に限られず、任意の工程の後に保護膜を形成して切断工程を行なうことができる。
【0062】
本実施の形態においては、アクティブ型の有機EL表示装置を例に採りあげて説明したが、この形態に限られず、パッシブ型の有機EL表示装置にも本発明を適用することができる。また、駆動素子としては、それぞれの画素を駆動するための素子であればよい。たとえば、基板にMIM(Metal Insulator Metal)ダイオードが形成されていてもよい。
【0063】
(実施の形態2)
図7から図11を参照して、本発明に基づく実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法について説明する。図7から図11は、本実施の形態における有機EL表示装置の製造工程を説明する概略断面図である。
【0064】
図7に示すように、実施の形態1と同様に大型基板15に対して、TFT3、平坦化絶縁膜4、アノード電極5および分離膜6を形成する。
【0065】
次に、図8に示すように、大型基板15の全体の表面を覆うように保護膜17を形成する保護膜形成工程を行なう。本実施の形態における保護膜17には、感光性ポジ型樹脂または感光性ネガ型樹脂を用いる。
【0066】
次に、図9に示すように、保護膜17の露光および現像を行なって、大型基板15の切断線36に沿った領域に、保護膜17の除去部31を形成する。除去部31は、露光および現像を行なうことにより、保護膜17の一部分を除去した部分である。このように、本実施の形態においては選択的な領域に保護膜を形成する。除去部31においては、基板を切断する手段が除去部31に接触しないような幅に形成する。たとえば、大型基板をレーザ切断する場合には、レーザ光に接触しないような幅を有する除去部を形成する。次に、切断線36に沿って、大型基板15を切断する切断工程を行なう。
【0067】
図10に示すように、大型基板15を切断することにより小型基板2を得る。次に、図11に示すように、保護膜の除去液を用いて保護膜を除去する。このように、素子板20を得る。この後に、実施の形態1と同様に有機EL層の形成や陰極の形成などを行なう。
【0068】
本実施の形態においては、切断工程において、大型基板の切断線に沿って保護膜が除去されているため、大型基板を切断する際に、切断位置および切断深さの誤差が少なくなり、位置ずれが少なく安定した切断を行なうことができる。また、直進性に優れた切断を行なうことができる。このように、設計に対して正確な切断を行なうことができる。すなわち、切断精度が向上する。
【0069】
本実施の形態における保護膜の膜厚が1μm以上2μm以下であることが好ましいことなどは、実施の形態1と同様である。その他の製造方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0070】
(実施の形態3)
本発明に基づく実施の形態3における有機EL表示装置の製造方法について説明する。本実施の形態においては、はじめに、実施の形態1と同様の方法により、大型基板にアノード電極および分離膜まで形成する。
【0071】
次に、大型基板の駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜を形成する。本実施の形態においては、保護膜として、非感光性コート樹脂を用いる。非感光性コート樹脂としては、感光性樹脂の感光剤を除いた成分の樹脂を採用することができる。たとえば、ノボラック樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂などを採用することができる。
【0072】
保護膜を形成した後に、実施の形態1と同様の方法により、大型基板を切断する切断工程を行なって小型基板を得る。この後に、保護膜を現像液または非感光性コート樹脂が可溶な溶剤で除去する保護膜除去工程を行なう。現像液としては、たとえば公知のアルカリ溶剤を用いることができる。非感光性コート樹脂が可溶な溶剤としては、たとえば、無機溶剤としての炭酸ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などを用いることができる。有機溶剤としては、たとえば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いることができる。
【0073】
このように、本実施の形態においては、保護膜として、非感光性樹脂を用いる。この方法により、保護膜として感光性樹脂を用いた場合の現像液に可溶化させるための工程が不要になる。たとえば、紫外線を照射する工程が不要になって、製造工程を簡略化することができる。非感光性樹脂を除去する溶剤は、有機EL表示装置の製造工程において汎用的に用いられるレジストの現像液などと共用することができる。
【0074】
非感光性樹脂としては、加熱することにより溶剤に可溶となる樹脂を含んでいても構わない。この場合には、保護膜を加熱した後に溶剤によって保護膜を除去する。
【0075】
保護膜としての非感光性コート樹脂の厚さが、1μm以上2μm以下が好ましいことは、実施の形態1と同様である。その他の製造方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0076】
(実施の形態4)
本発明に基づく実施の形態4における有機EL表示装置の製造方法について説明する。本実施の形態においては、はじめに、実施の形態1と同様の製造方法により、大型基板にアノード電極および分離膜まで形成する。
【0077】
次に、大型基板の駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜を形成する。本実施の形態においては、保護膜として、水溶性ポリマーを用いる。水溶性ポリマーとしては、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリル酸ナトリウム、または水系ポリウレタンなどを採用することができる。
【0078】
保護膜を形成した後に、実施の形態1と同様の方法により、大型基板を切断する切断工程を行なって小型基板を得る。次に保護膜を除去する保護膜除去工程を行なう。保護膜除去工程においては、水溶性ポリマーが水に可溶であるため、形成された素子板の水洗いを行なうことによって、保護膜を除去することができる。
【0079】
保護膜として、水溶性ポリマーを用いることにより、水洗いを行なうのみで保護膜を除去することができ、素子板に影響を与えることなく、保護膜を除去することができる。
【0080】
水溶性ポリマーで形成された保護膜の厚さは、実施の形態1と同様に、1μm以上2μm以下が好ましい。その他の製造方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0081】
(実施の形態5)
図12および図13を参照して、本発明に基づく実施の形態5における有機EL表示装置の製造方法について説明する。
【0082】
図12および図13は、本実施の形態における有機EL表示装置の製造工程を説明する概略断面図である。本実施の形態においては、はじめに、実施の形態1と同様の方法により、大型基板にアノード電極および分離膜まで形成する。
【0083】
次に、図12を参照して、保護膜としてのフィルムシートを大型基板の表面の全体を覆うように貼り付ける。フィルムシートは、少なくとも片面に粘着剤が配置され、厚さがおおよそ数百μmのシートである。フィルムシートは、ガラス基板やシリコンウエハなどの基板の表面に貼り付けて、空気が流入しないように貼り付けられるシートである。
【0084】
本実施の形態においては、フィルムシートとしてダイシングシート19を用いている。ダイシングシートは、少なくとも装置の一部分を形成したガラス基板などの基板を切断する際に、基板の両面に傷などの損傷を与えないように、主表面に貼り付けるシートである。ダイシングシートを本発明における大型基板に貼り付けることにより、大型基板の表面に形成された素子の表面の凹凸にも密着して、パーティクルなどが侵入することを防止することができる。
【0085】
図12および図13を参照して、保護膜を形成した後に実施の形態1と同様の方法により、大型基板を切断線37で切断する切断工程を行なって小型基板を得る。次に、切断工程にて得られた素子板の表面に配置された保護膜を除去する保護膜除去工程を行なう。
【0086】
本実施の形態における保護膜除去工程においては、フィルムシートに採用されている粘着剤の種類により、フィルムシートを除去する方法が異なる。いずれの方法においても、粘着剤の接着力が低下した状態でフィルムシートを剥離することができる。
【0087】
フィルムシートに採用されている粘着剤が、弱粘着のものであれば、手などで簡単に剥離することができる。粘着剤が紫外線剥離型のものであれば、フィルムシートに紫外線を照射することにより、粘着剤が硬化して接着力が低下して容易に剥離することができる。粘着剤が、加熱剥離型のものであれば、フィルムシートを貼り付けた基板ごとホットプレートやオーブンで加熱することにより、粘着剤が硬化して接着力が低下して容易に剥離することができる。粘着剤が加熱発泡型のものであれば、フィルムシート貼り付けた基板ごとホットプレートやオーブンで加熱することにより、粘着剤に含まれる発泡剤が発泡して、容易に剥離することができる。粘着剤が水溶性のものであれば、フィルムシートを貼り付けた基板ごと水に浸漬することにより、容易に剥離することができる。このように、採用されている粘着剤の種類に応じて処理を行なうことにより、容易にフィルムシートを剥離することができる。
【0088】
本実施の形態においては、半導体装置の製造工程や太陽電池装置の製造工程などで用いられる汎用のダイシングシートなどのフィルムシートを、本発明における保護膜として用いることができ、汎用のフィルムシートおよび既存の貼り付け装置を用いて、本発明を実施することができる。
【0089】
その他の製造方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0090】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】有機EL表示装置の概略断面図である。
【図2】有機EL表示装置の有機EL層の部分の拡大概略断面図である。
【図3】実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法の第1工程説明図である。
【図4】実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法の第2工程説明図である。
【図5】実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法の第3工程説明図である。
【図6】実施の形態1における有機EL表示装置の製造方法の第4工程説明図である。
【図7】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第1工程説明図である。
【図8】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第2工程説明図である。
【図9】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第3工程説明図である。
【図10】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第4工程説明図である。
【図11】実施の形態2における有機EL表示装置の製造方法の第5工程説明図である。
【図12】実施の形態5における有機EL表示装置の製造方法の第1工程説明図である。
【図13】実施の形態5における有機EL表示装置の製造方法の第2工程説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1 有機EL表示装置、2 小型基板、3 TFT、4 平坦化絶縁膜、5 アノード電極、6 分離膜、7 有機EL層、8 カソード電極、9 封止ガラス、10 正孔注入層、11 正孔輸送層、12 発光層、13 電子輸送層、14 電子注入層、15 大型基板、16,17 保護膜、19 ダイシングシート、20 素子板、21 コンタクトホール、22 領域、31 除去部、35〜37 切断線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型基板に有機EL層を駆動するための駆動素子を形成する工程と、
前記大型基板を切断して、前記大型基板より小さな小型基板を形成する切断工程と、
前記駆動素子に対応するように前記有機EL層を形成する有機EL層形成工程と
を含み、
前記切断工程の前に、前記大型基板の前記駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜を形成する保護膜形成工程を行い、
前記切断工程の後に、前記保護膜の全てを除去する保護膜除去工程を行なう、有機EL表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記有機EL層形成工程は、シャドウマスクを用いた真空蒸着法によって前記有機EL層を形成する工程、および、インクジェットを用いた印刷法により前記有機EL層を形成する工程のうち、少なくとも一方を含む、請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記保護膜形成工程は、前記保護膜としての有機樹脂を配置する工程を含む、請求項1または2に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記有機樹脂として、感光性ポジ型樹脂または感光性ネガ型樹脂を用いる、請求項3に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記保護膜形成工程と前記切断工程との間に、前記有機樹脂の露光および現像を行なうことにより、前記大型基板を切断する切断線に沿った領域の前記保護膜を除去する工程を含む、請求項4に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機樹脂として非感光性樹脂を用いる、請求項3に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記有機樹脂として水溶性ポリマーを用いる、請求項3に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記保護膜形成工程は、前記保護膜としてフィルムシートを貼り付ける工程を含む、請求項1または2に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項1】
大型基板に有機EL層を駆動するための駆動素子を形成する工程と、
前記大型基板を切断して、前記大型基板より小さな小型基板を形成する切断工程と、
前記駆動素子に対応するように前記有機EL層を形成する有機EL層形成工程と
を含み、
前記切断工程の前に、前記大型基板の前記駆動素子が形成された側の表面の全体を覆うように保護膜を形成する保護膜形成工程を行い、
前記切断工程の後に、前記保護膜の全てを除去する保護膜除去工程を行なう、有機EL表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記有機EL層形成工程は、シャドウマスクを用いた真空蒸着法によって前記有機EL層を形成する工程、および、インクジェットを用いた印刷法により前記有機EL層を形成する工程のうち、少なくとも一方を含む、請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記保護膜形成工程は、前記保護膜としての有機樹脂を配置する工程を含む、請求項1または2に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記有機樹脂として、感光性ポジ型樹脂または感光性ネガ型樹脂を用いる、請求項3に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記保護膜形成工程と前記切断工程との間に、前記有機樹脂の露光および現像を行なうことにより、前記大型基板を切断する切断線に沿った領域の前記保護膜を除去する工程を含む、請求項4に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機樹脂として非感光性樹脂を用いる、請求項3に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記有機樹脂として水溶性ポリマーを用いる、請求項3に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記保護膜形成工程は、前記保護膜としてフィルムシートを貼り付ける工程を含む、請求項1または2に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−87807(P2007−87807A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275964(P2005−275964)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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