有機EL装置の製造方法
【課題】アレイ基板と封止部材との間が減圧状態になるようにしつつ、両部材を簡単に貼り合わせることができる有機EL装置の製造方法を提供する。
【解決手段】アレイ基板用ガラス基板10にパネル封止用シール材16を設け、その外周に外周ダミーシール材18を設け、封止部材用ガラス基板26を重ね合わせ、減圧室20内部に収納する。そして、加圧した状態で外周ダミーシール材18をUV光によって硬化させる。この状態で大気圧下に戻し、パネル封止用シール材16を硬化させる。
【解決手段】アレイ基板用ガラス基板10にパネル封止用シール材16を設け、その外周に外周ダミーシール材18を設け、封止部材用ガラス基板26を重ね合わせ、減圧室20内部に収納する。そして、加圧した状態で外周ダミーシール材18をUV光によって硬化させる。この状態で大気圧下に戻し、パネル封止用シール材16を硬化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、複数の表示画素を構成する有機EL素子が設けられているアレイ基板と封止部材とを重ねて貼り合わせている。このアレイ基板と封止部材とを貼り合わせる場合には、アレイ基板、または、封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を設けて重ね、重ねた状態で減圧室内部に収納して、アレイ基板と封止部材とを加圧しながら、パネル封止用シール材をUV光またはレーザ光によって硬化させて貼り合わせている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−176571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような有機EL装置の製造方法においては、減圧室内部でアレイ基板と封止部材とを加圧するため、アレイ基板を透明な定盤に載置する必要がある。このとき、この定盤に使用される材料は、パネル封止用シール材をUV光またはレーザ光によって硬化させるため、透明な石英等の材料を用いる必要があり、コストが高く、また、定盤の加工精度に制約があるという問題点がある。
【0004】
また、加圧を行う場合にパネル封止用シール材に対する押さえ圧力を均一にし、潰れを均一にするため、その加圧の方法が非常に難しいという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、アレイ基板と封止部材との間が減圧状態になるようにしつつ、両部材を簡単に貼り合わせることができる有機EL装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設けると共に、前記パネル封止用シール材の外周側に外周ダミーシール材を額縁状に設けて、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で前記外周ダミーシールを硬化させて貼り合わせる第2工程と、前記貼り合わせたアレイ基板と封止部材とを大気圧下で前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
【0007】
また本発明は、有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設けると共に、前記パネル封止用シール材の外周側に外周ダミーシール材を額縁状に設けて、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で定盤の上に載置し、前記外周ダミーシールを硬化させて貼り合わせる第2工程と、前記貼り合わせたアレイ基板と封止部材とを大気圧下で前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
【0008】
また本発明は、有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設け、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で密閉袋に収納して前記密閉袋の口部を封止する第2工程と、前記密閉袋に収納した状態で前記アレイ基板と前記封止部材とを大気圧下に取り出し、前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上により本発明の有機EL装置の製造方法であると、減圧下において外周ダミーシール材を用いて貼り合わせ、その内部を減圧状態に維持し、この状態でパネル封止用シール材を硬化させるため、容易にパネル封止用シール材を硬化させることができる。また、パネル封止用シール材は、大気圧下において行うため、加圧が均一に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の有機EL装置の製造方法について説明する。
【0011】
大型のアレイ基板用ガラス基板10に、複数の表示画素を構成する有機EL素子12を形成する。この大型のアレイ基板用ガラス基板10から複数枚のアレイ基板14が形成されるため、アレイ基板14毎に有機EL素子12が形成されている。
【0012】
この大型のアレイ基板用ガラス基板10の各有機EL素子12の外周側にパネル封止用シール材16を額縁状にそれぞれ設ける。パネル封止用シール材16としてはUV光によって硬化する紫外線硬化樹脂を用いる。
【0013】
パネル封止用シール材16の外周側であって、前記大型のガラス基板10の外周部に沿って外周ダミーシール材18を設ける。この外周ダミーシール材18もUV光によって硬化する紫外線硬化樹脂を用いる。
【0014】
上記のようにしてパネル封止用シール材16と外周ダミーシール材18を設けた大型のアレイ基板用ガラス基板10を、減圧室20内部にある定盤22に載置する。この定盤22は、従来のような透明な材料から形成する必要がなく、金属等によって形成する。
【0015】
定盤22の上に載置された大型のアレイ基板用ガラス基板10の上に、複数枚の封止部材を形成するための大型の封止部材用ガラス基板26を重ねる。
【0016】
図1に示すように、減圧室20を1Torr以下に減圧し、封止部材用ガラス基板26の上から加圧板28によってガラス板10とガラス板26とを加圧する。この加圧をしながら外周ダミーシール材18をUV光によって硬化させる。この場合に、UV光を上方から当て外周ダミーシール材18を硬化させるため、加圧板28の大きさは、封止部材用ガラス基板26の大きさよりも小さく形成しておく。但し、パネル封止用シール材16が硬化しない大きさは必要である。
【0017】
このように減圧室20内部で減圧しながら外周ダミーシール材18を硬化させることにより、アレイ基板用ガラス基板10と封止部材用ガラス基板26内部を減圧状態で維持できる。特に、加圧板28によって加圧しながら外周ダミーシール材18を硬化させるため、外周ダミーシール材18が均一に押されて潰れることにより、隙間等が発生することがない。
【0018】
貼り合わせたアレイ基板用ガラス基板10と封止部材用ガラス基板26を減圧室20から取り出して、通常の大気圧下におく。すると、図2に示すように、大気圧によりガラス基板10とガラス基板26とは互いに面状に加圧した状態となる。これは、ガラス基板10とガラス基板26の間が減圧空間30を形成しているためである。大気圧によってパネル封止用シール材16が均一に押された状態で、UV光によってパネル封止用シール材16を硬化させる。このとき大気圧によって均一に加圧されているため、パネル封止用シール材16は均一に潰れ隙間等が発生しない。
【0019】
パネル封止用シール材16を硬化させた後、ガラス基板10及びガラス基板26を各表示セル毎に切断する。この場合に、外周ダミーシール材18の部分は、破棄する。
【0020】
上記のようにして減圧室20内部で外周ダミーシール材18を貼り合わせ、大気圧下でパネル封止用シール材16を貼り合わせることにより、製造装置が簡単になるとともに、パネル封止用シール材16に隙間等が発生せず、容易に減圧空間30を形成することができる。
【0021】
なお、上記実施形態ではパネル封止用シール材16及び外周ダミーシール材18については、UV光によって硬化するものを用いたがこれに代えてレーザ光によって硬化するフリットシール材を用いてもよい。
【0022】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の有機EL装置の製造方法について説明する。
【0023】
本実施形態と第1の実施形態の異なる点は、図3に示すように、減圧室20内部で外周ダミーシール材18を硬化させる場合に、定盤22の上にアレイ基板用ガラス基板10を載置するのでなく、重ねたガラス基板10とガラス基板26とを吊り下げるような状態にし、ガラス基板10の下方にマスク32を配置し、下方からUV光を照射する。なお、この場合に第1の実施形態と同様に加圧板28でガラス基板26を加圧させる。
【0024】
また、図4に示すように、パネル封止用シール材16をUV光によって硬化させる場合に、有機EL素子にUV光が照射されるのを防止するためマスク34を設けている。
【0025】
本実施形態の有機EL装置の製造方法であると、定盤22を必要とせず更に簡単にガラス基板10とガラス基板26とを貼り合わせることができる。
【0026】
[第3の実施形態]
第3の実施形態の有機EL装置の製造方法について図5〜図8に基づいて説明する。
【0027】
パネル封止用シール材16と外周ダミーシール材18を設けたガラス基板10の上にガラス基板26を載置し、図5に示すように、これを密閉袋36の中に入れて、減圧室20内部に収納する。
【0028】
そして、図6に示すように、密閉袋36の口部38を熱溶着によって封止する。これによって密閉袋36内部に収納されているガラス基板10とガラス基板26内部は減圧状態となる。減圧室20内部で密閉袋36が縮んでもなおかつその内部が減圧を維持できるようにするため、減圧室20内部は5Torr以下にするのが好ましい。このような5Trr以下であれば密閉袋36が縮んでもガラス基板10とガラス基板26の間の減圧空間30の減圧状態を維持できるからである。
【0029】
密閉袋36の中に入れた状態で、減圧室20から取り出し大気圧下にガラス基板10とガラス基板26を置く。すると、図7に示すように、大気圧によってガラス基板10とガラス基板26の間にある減圧空間30が押される。この加圧状態は面的に均一であり、この状態で外周ダミーシール材18をUV光によって硬化させる。この場合に、パネル封止用シール材16にUV光が当たらないようにするためにマスク40を用いる。
【0030】
外周ダミーシール材18を硬化せさた後、ガラス基板10とガラス基板26を重ねたものを密閉袋36から取り出す。そして、図8に示すように有機EL素子12の部分にマスク42を配置し、UV光によってパネル封止用シール材16を硬化させる。
【0031】
以上により、パネル封止用シール材16を硬化させる場合には大気圧で加圧しながら硬化できるため、その製造装置を簡単にすることができる。
【0032】
[第4の実施形態]
第4の実施形態について図9に基づいて説明する。
【0033】
本実施形態と第3の実施形態の異なる点は、本実施形態では外周ダミーシール材18を設けず、パネル封止用シール材16のみを設けている。減圧室20内部で密閉袋36を密閉し、その後に減圧室20から密閉袋36に入れた状態でガラス基板10とガラス基板26を重ねたものを取り出す。
【0034】
すると、第3の実施形態と同様に密閉袋36が縮み大気圧の圧力によってガラス基板10とガラス基板26が均一に加圧される。この状態で、図9に示すように、有機EL素子12の部分にマスク42を配置し、パネル封止用シール材16をUV光によって硬化させる。
【0035】
この製造方法であると外周ダミーシール材18が不要であり、また、パネル封止用シール材16を大気圧下で硬化させることができるため製造装置を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態における外周ダミーシール材を硬化させるときの説明図である。
【図2】同じくパネル封止用シール材を硬化させるときの説明図である。
【図3】第2の実施形態における外周ダミーシール材を硬化させるときの説明図である。
【図4】同じくパネル封止用シール材を硬化させるときの説明図である。
【図5】第3の実施形態における減圧室内部に密閉袋を収納した状態の説明図である。
【図6】減圧室内部で密閉袋の口部を熱溶着させ封止した状態の説明図である。
【図7】同じく外周ダミーシール材を硬化させるときの説明図である。
【図8】パネル封止用シール材を硬化させるときの説明図である。
【図9】第4の実施形態におけるパネル封止用シール材を硬化させるときの説明図である。
【符号の説明】
【0037】
10 ガラス基板
12 有機EL素子
14 アレイ基板
16 パネル封止用シール材
18 外周ダミーシール材
20 減圧室
22 定盤
24 封止部材
26 ガラス基板
28 加圧板
30 減圧空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、複数の表示画素を構成する有機EL素子が設けられているアレイ基板と封止部材とを重ねて貼り合わせている。このアレイ基板と封止部材とを貼り合わせる場合には、アレイ基板、または、封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を設けて重ね、重ねた状態で減圧室内部に収納して、アレイ基板と封止部材とを加圧しながら、パネル封止用シール材をUV光またはレーザ光によって硬化させて貼り合わせている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−176571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような有機EL装置の製造方法においては、減圧室内部でアレイ基板と封止部材とを加圧するため、アレイ基板を透明な定盤に載置する必要がある。このとき、この定盤に使用される材料は、パネル封止用シール材をUV光またはレーザ光によって硬化させるため、透明な石英等の材料を用いる必要があり、コストが高く、また、定盤の加工精度に制約があるという問題点がある。
【0004】
また、加圧を行う場合にパネル封止用シール材に対する押さえ圧力を均一にし、潰れを均一にするため、その加圧の方法が非常に難しいという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、アレイ基板と封止部材との間が減圧状態になるようにしつつ、両部材を簡単に貼り合わせることができる有機EL装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設けると共に、前記パネル封止用シール材の外周側に外周ダミーシール材を額縁状に設けて、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で前記外周ダミーシールを硬化させて貼り合わせる第2工程と、前記貼り合わせたアレイ基板と封止部材とを大気圧下で前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
【0007】
また本発明は、有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設けると共に、前記パネル封止用シール材の外周側に外周ダミーシール材を額縁状に設けて、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で定盤の上に載置し、前記外周ダミーシールを硬化させて貼り合わせる第2工程と、前記貼り合わせたアレイ基板と封止部材とを大気圧下で前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
【0008】
また本発明は、有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設け、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で密閉袋に収納して前記密閉袋の口部を封止する第2工程と、前記密閉袋に収納した状態で前記アレイ基板と前記封止部材とを大気圧下に取り出し、前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上により本発明の有機EL装置の製造方法であると、減圧下において外周ダミーシール材を用いて貼り合わせ、その内部を減圧状態に維持し、この状態でパネル封止用シール材を硬化させるため、容易にパネル封止用シール材を硬化させることができる。また、パネル封止用シール材は、大気圧下において行うため、加圧が均一に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の有機EL装置の製造方法について説明する。
【0011】
大型のアレイ基板用ガラス基板10に、複数の表示画素を構成する有機EL素子12を形成する。この大型のアレイ基板用ガラス基板10から複数枚のアレイ基板14が形成されるため、アレイ基板14毎に有機EL素子12が形成されている。
【0012】
この大型のアレイ基板用ガラス基板10の各有機EL素子12の外周側にパネル封止用シール材16を額縁状にそれぞれ設ける。パネル封止用シール材16としてはUV光によって硬化する紫外線硬化樹脂を用いる。
【0013】
パネル封止用シール材16の外周側であって、前記大型のガラス基板10の外周部に沿って外周ダミーシール材18を設ける。この外周ダミーシール材18もUV光によって硬化する紫外線硬化樹脂を用いる。
【0014】
上記のようにしてパネル封止用シール材16と外周ダミーシール材18を設けた大型のアレイ基板用ガラス基板10を、減圧室20内部にある定盤22に載置する。この定盤22は、従来のような透明な材料から形成する必要がなく、金属等によって形成する。
【0015】
定盤22の上に載置された大型のアレイ基板用ガラス基板10の上に、複数枚の封止部材を形成するための大型の封止部材用ガラス基板26を重ねる。
【0016】
図1に示すように、減圧室20を1Torr以下に減圧し、封止部材用ガラス基板26の上から加圧板28によってガラス板10とガラス板26とを加圧する。この加圧をしながら外周ダミーシール材18をUV光によって硬化させる。この場合に、UV光を上方から当て外周ダミーシール材18を硬化させるため、加圧板28の大きさは、封止部材用ガラス基板26の大きさよりも小さく形成しておく。但し、パネル封止用シール材16が硬化しない大きさは必要である。
【0017】
このように減圧室20内部で減圧しながら外周ダミーシール材18を硬化させることにより、アレイ基板用ガラス基板10と封止部材用ガラス基板26内部を減圧状態で維持できる。特に、加圧板28によって加圧しながら外周ダミーシール材18を硬化させるため、外周ダミーシール材18が均一に押されて潰れることにより、隙間等が発生することがない。
【0018】
貼り合わせたアレイ基板用ガラス基板10と封止部材用ガラス基板26を減圧室20から取り出して、通常の大気圧下におく。すると、図2に示すように、大気圧によりガラス基板10とガラス基板26とは互いに面状に加圧した状態となる。これは、ガラス基板10とガラス基板26の間が減圧空間30を形成しているためである。大気圧によってパネル封止用シール材16が均一に押された状態で、UV光によってパネル封止用シール材16を硬化させる。このとき大気圧によって均一に加圧されているため、パネル封止用シール材16は均一に潰れ隙間等が発生しない。
【0019】
パネル封止用シール材16を硬化させた後、ガラス基板10及びガラス基板26を各表示セル毎に切断する。この場合に、外周ダミーシール材18の部分は、破棄する。
【0020】
上記のようにして減圧室20内部で外周ダミーシール材18を貼り合わせ、大気圧下でパネル封止用シール材16を貼り合わせることにより、製造装置が簡単になるとともに、パネル封止用シール材16に隙間等が発生せず、容易に減圧空間30を形成することができる。
【0021】
なお、上記実施形態ではパネル封止用シール材16及び外周ダミーシール材18については、UV光によって硬化するものを用いたがこれに代えてレーザ光によって硬化するフリットシール材を用いてもよい。
【0022】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の有機EL装置の製造方法について説明する。
【0023】
本実施形態と第1の実施形態の異なる点は、図3に示すように、減圧室20内部で外周ダミーシール材18を硬化させる場合に、定盤22の上にアレイ基板用ガラス基板10を載置するのでなく、重ねたガラス基板10とガラス基板26とを吊り下げるような状態にし、ガラス基板10の下方にマスク32を配置し、下方からUV光を照射する。なお、この場合に第1の実施形態と同様に加圧板28でガラス基板26を加圧させる。
【0024】
また、図4に示すように、パネル封止用シール材16をUV光によって硬化させる場合に、有機EL素子にUV光が照射されるのを防止するためマスク34を設けている。
【0025】
本実施形態の有機EL装置の製造方法であると、定盤22を必要とせず更に簡単にガラス基板10とガラス基板26とを貼り合わせることができる。
【0026】
[第3の実施形態]
第3の実施形態の有機EL装置の製造方法について図5〜図8に基づいて説明する。
【0027】
パネル封止用シール材16と外周ダミーシール材18を設けたガラス基板10の上にガラス基板26を載置し、図5に示すように、これを密閉袋36の中に入れて、減圧室20内部に収納する。
【0028】
そして、図6に示すように、密閉袋36の口部38を熱溶着によって封止する。これによって密閉袋36内部に収納されているガラス基板10とガラス基板26内部は減圧状態となる。減圧室20内部で密閉袋36が縮んでもなおかつその内部が減圧を維持できるようにするため、減圧室20内部は5Torr以下にするのが好ましい。このような5Trr以下であれば密閉袋36が縮んでもガラス基板10とガラス基板26の間の減圧空間30の減圧状態を維持できるからである。
【0029】
密閉袋36の中に入れた状態で、減圧室20から取り出し大気圧下にガラス基板10とガラス基板26を置く。すると、図7に示すように、大気圧によってガラス基板10とガラス基板26の間にある減圧空間30が押される。この加圧状態は面的に均一であり、この状態で外周ダミーシール材18をUV光によって硬化させる。この場合に、パネル封止用シール材16にUV光が当たらないようにするためにマスク40を用いる。
【0030】
外周ダミーシール材18を硬化せさた後、ガラス基板10とガラス基板26を重ねたものを密閉袋36から取り出す。そして、図8に示すように有機EL素子12の部分にマスク42を配置し、UV光によってパネル封止用シール材16を硬化させる。
【0031】
以上により、パネル封止用シール材16を硬化させる場合には大気圧で加圧しながら硬化できるため、その製造装置を簡単にすることができる。
【0032】
[第4の実施形態]
第4の実施形態について図9に基づいて説明する。
【0033】
本実施形態と第3の実施形態の異なる点は、本実施形態では外周ダミーシール材18を設けず、パネル封止用シール材16のみを設けている。減圧室20内部で密閉袋36を密閉し、その後に減圧室20から密閉袋36に入れた状態でガラス基板10とガラス基板26を重ねたものを取り出す。
【0034】
すると、第3の実施形態と同様に密閉袋36が縮み大気圧の圧力によってガラス基板10とガラス基板26が均一に加圧される。この状態で、図9に示すように、有機EL素子12の部分にマスク42を配置し、パネル封止用シール材16をUV光によって硬化させる。
【0035】
この製造方法であると外周ダミーシール材18が不要であり、また、パネル封止用シール材16を大気圧下で硬化させることができるため製造装置を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態における外周ダミーシール材を硬化させるときの説明図である。
【図2】同じくパネル封止用シール材を硬化させるときの説明図である。
【図3】第2の実施形態における外周ダミーシール材を硬化させるときの説明図である。
【図4】同じくパネル封止用シール材を硬化させるときの説明図である。
【図5】第3の実施形態における減圧室内部に密閉袋を収納した状態の説明図である。
【図6】減圧室内部で密閉袋の口部を熱溶着させ封止した状態の説明図である。
【図7】同じく外周ダミーシール材を硬化させるときの説明図である。
【図8】パネル封止用シール材を硬化させるときの説明図である。
【図9】第4の実施形態におけるパネル封止用シール材を硬化させるときの説明図である。
【符号の説明】
【0037】
10 ガラス基板
12 有機EL素子
14 アレイ基板
16 パネル封止用シール材
18 外周ダミーシール材
20 減圧室
22 定盤
24 封止部材
26 ガラス基板
28 加圧板
30 減圧空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、
前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設けると共に、前記パネル封止用シール材の外周側に外周ダミーシール材を額縁状に設けて、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、
前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で前記外周ダミーシールを硬化させて貼り合わせる第2工程と、
前記貼り合わせたアレイ基板と封止部材とを大気圧下で前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、
を有する
ことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程において、
前記重ねたアレイ基板と封止部材とを加圧しながら貼り合わせる
ことを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2工程において、
減圧室内部で前記重ねたアレイ基板と封止部材とを密閉袋に収納して前記密閉袋の口部を封止する工程と、
前記密閉袋に収納した状態で前記アレイ基板と前記封止部材とを大気圧下に取り出し、前記外周ダミーシール材を硬化させる
ことを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項4】
有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、
前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設けると共に、前記パネル封止用シール材の外周側に外周ダミーシール材を額縁状に設けて、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、
前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で定盤の上に載置し、前記外周ダミーシールを硬化させて貼り合わせる第2工程と、
前記貼り合わせたアレイ基板と封止部材とを大気圧下で前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、
を有する
ことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項5】
有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、
前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設け、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、
前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で密閉袋に収納して前記密閉袋の口部を封止する第2工程と、
前記密閉袋に収納した状態で前記アレイ基板と前記封止部材とを大気圧下に取り出し、前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、
を有する
ことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2工程において、
前記外周ダミーシール材をUV光、または、レーザ光によって硬化させる
ことを特徴とする請求項1から5の中で少なくとも一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項7】
前記第3工程において、
前記パネル封止用シール材をUV光、または、レーザ光によって硬化させる
ことを特徴とする請求項1から5の中で少なくとも一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項1】
有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、
前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設けると共に、前記パネル封止用シール材の外周側に外周ダミーシール材を額縁状に設けて、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、
前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で前記外周ダミーシールを硬化させて貼り合わせる第2工程と、
前記貼り合わせたアレイ基板と封止部材とを大気圧下で前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、
を有する
ことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程において、
前記重ねたアレイ基板と封止部材とを加圧しながら貼り合わせる
ことを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2工程において、
減圧室内部で前記重ねたアレイ基板と封止部材とを密閉袋に収納して前記密閉袋の口部を封止する工程と、
前記密閉袋に収納した状態で前記アレイ基板と前記封止部材とを大気圧下に取り出し、前記外周ダミーシール材を硬化させる
ことを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項4】
有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、
前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設けると共に、前記パネル封止用シール材の外周側に外周ダミーシール材を額縁状に設けて、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、
前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で定盤の上に載置し、前記外周ダミーシールを硬化させて貼り合わせる第2工程と、
前記貼り合わせたアレイ基板と封止部材とを大気圧下で前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、
を有する
ことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項5】
有機EL素子が設けられたアレイ基板に板状の封止部材を重ねて貼り合わせる有機EL装置の製造方法において、
前記アレイ基板、または、前記封止部材の外周部近傍にパネル封止用シール材を額縁状に設け、その後に前記アレイ基板と前記封止部材とを重ねる第1工程と、
前記重ねたアレイ基板と封止部材とを減圧下で密閉袋に収納して前記密閉袋の口部を封止する第2工程と、
前記密閉袋に収納した状態で前記アレイ基板と前記封止部材とを大気圧下に取り出し、前記パネル封止用シール材を硬化させて貼り合わせる第3工程と、
を有する
ことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2工程において、
前記外周ダミーシール材をUV光、または、レーザ光によって硬化させる
ことを特徴とする請求項1から5の中で少なくとも一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項7】
前記第3工程において、
前記パネル封止用シール材をUV光、または、レーザ光によって硬化させる
ことを特徴とする請求項1から5の中で少なくとも一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−115491(P2007−115491A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304981(P2005−304981)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
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