説明

有限要素法を用いた解析方法、及び有限要素法を用いた解析演算プログラム

【課題】メッシュ・パターンによる解析誤差を低減し、品質が低い要素(品質の低いメッシュ・パターン)からも高精度な数値解が得られる有限要素法を用いた解析方法を提供する。
【解決手段】有限要素法を用いた解析方法にあっては、解析対象の解析領域を選定する選定工程(S1)、解析領域を計算対象として複数の要素に分割する分割工程(S2)、各要素のマトリクスを作成する要素マトリクス作成工程(S3)、Galerkin重み関数と一般関数との積からなる一般関数項を積分する一般関数項積分工程(S4)、各要素のマトリクスの和と一般関数項を積分した値の和とに基づき連立方程式を作成する連立方程式作成工程(S5)、連立方程式から数値解を得る演算工程(S7,S8)を有する。該一般関数項積分工程で、Galerkin有限要素法による二階微分項の離散化結果を基に定義された節点領域の考え方を導入し、要素代表値を用いた一般関数項を積分する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有限要素法を用いた解析方法、及び有限要素法を用いた解析演算プログラムに係り、特に要素の形状(メッシュ・パターン)によって生じる誤差の低減を図った有限要素法を用いた解析方法、及び有限要素法を用いた解析演算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に有限要素法では、形状関数と同形なGalerkin重み関数を微分方程式の各項にかけ、節点周りの要素領域にわたって積分することにより数値解を求めている。有限要素法は、誤差評価が明瞭で、汎用性に富むなどの特徴があって、最も広く使用される数値解法の一つになっている。しかし、メッシュ・パターンによって解析結果が異なったり、数値誤差が大きくなる問題が依然として解決されていない。
【0003】
[従来の有限要素法による二次元三角形の問題]
例えば、線形三角形メッシュ上でポアソン(Poisson)の方程式を離散化した場合には、もともと同じ解が出るべきところから、要素形状によって異なる解析結果が出されてしまう(非特許文献1参照)。また、非特許文献2に示す2パターンのメッシュから得た代数方程式を比較すると、二階微分項の離散化結果は同形になっているものの、ソース項の離散化結果が異なっている。ソース項に重み関数をかけて積分した結果、ソース量が要素形状と関係なくほぼ均等的に各節点の代数方程式に分配され、ほかの項との整合性が取れず、節点レベルでは保存法則が満たされない状況になっている。この不整合性の詳細は、以下のとおりである。
【0004】
二次元ポアソンの方程式は下記のものである。
【数1】

【0005】
この方程式は、多分野の物理現象を記述するものであるが、ここでは、熱伝導問題を例に説明を展開し、Tは温度で、λは熱伝導率で、Qはソース項と呼ばれる単位時間、単位面積あたりの発熱量である。式(1)に有限要素法を適用すると、考えている対象節点Pについての積分方程式として次式が得られる。
【数2】

【0006】
ここで、Ωは図1に示す節点P周りの要素からなす領域であり、WはΩ上で定義された節点Pで1を、Ωの境界で0をとるGalerkin重み関数である。Ωにわたる積分は、各要素上の積分の和になるので、式(2)を式(3)に書き換えることができる。
【数3】

【0007】
ここで、eは節点P周りの要素を表わし、
【数4】

は各要素上の演算の和を意味する。要素eを図2の線形三角形要素に当てはめた場合には、式(3)左辺の要素積分の結果を次式のように整理することができる。
【数5】

ここでは、局所座標系を使用しており、対象節点Pを局所節点1とし、数字の添え字で節点番号を表わす。
【0008】
式(4)右辺の1項目中の
【数6】

は図3に示す中点Iでの節点1から節点2に向かう熱流束の2次精度の近似であり、その係数dCIは、点Iから外心Cまでの距離と等しくなっている。すなわち、式(4)右辺の1項目は点Iでの2次精度の熱流束を用いて、垂直な線分ICを通過する熱量を評価するものである。同様に、2項目は、点Kでの2次精度の熱流束を用いて、垂直な線分CKを通過する熱量を評価するものである。以上の考察をまとめると、式(4)の右辺は、ICとCKという検査線を通して流出した熱量であることが分かる。この際、四辺形1ICKを節点1の節点領域と呼び、NDで表わす。正三角形要素では外心が幾何中心と重なるため、節点領域は要素面積の3分の1になる。直角三角形要素では外心が辺中点に重なり、鈍角三角形要素では外心が要素の外に出る。これらの要素における節点1の節点領域は図4と図5に示すようになる。
【0009】
一方、式(3)右辺のソース項の要素積分により、要素内の発熱量が要素形状と関係なくほぼ均等的に3節点に分配される。特に、Qが要素内で定数の場合には、ソース項の要素積分は次式になる。
【数7】

ここで、Sは要素面積である。すなわち、いかなる要素形状においても、節点に寄与された熱量は要素の3分の1の面積から発生したものだけである。
【0010】
ここで、正三角形以外の要素では、検査線で決めた節点領域の面積とソース項の面積との間は不釣り合いが発生する。同じことは、節点P周りのほかの要素からも生じるので、保存法則が満たされず、ソース項と他の項の間に不整合性が表れた。その結果、新たな数値誤差が引き起こされる。図6には、有限要素法から得られた温度分布の一例を示す。0≦x≦1、0≦y≦1の正方形領域において、式(6)のソース分布と式(7)の境界条件を用いて、λ=1とした解析結果を実線で示し、点線で要素形状を示す。例えば、○印を付けた中央部の4点では同値の厳密解は得られるが、局所メッシュ・パターンの影響で数値解には差が出ている。
【数8】

【数9】

【0011】
[従来の二次元三角形問題の改善方法]
前述の不整合性問題を解決するため、以下の2つの改善策が考えられる。
(改善方法1):式(3)右辺の要素積分
【数10】


【数11】

に置き換える。
(改善方法2):上記改善方法1をさらに修正したものであり、鈍角三角形要素における要素外での積分を避けるため、ソース項の積分を図7に示す要素内の部分で行う。それに合わせて式(4)右辺のdCIとdCKを中点から外心までの長さから図7に示す長さに修正する。
【0012】
上記改善方法1では、全ての線形三角形要素において保存法則が2次精度で満たされ、各項間の整合性が維持できるが、鈍角三角形要素の場合には、ソース項の積分範囲が要素外までに広がることが、数値振動などを引き起こす原因になっている。また、上記改善方法2では、左辺のマトリックスが強制的に変えられたため、楕円型演算子の最適な離散化方法として評価されてきた有限要素法の優位性が損なわれる。結局のところ、上記改善方法1,2では満足できる数値解が得られず、実用上では鈍角三角形要素の使用を避けており、言い換えると、鈍角三角形要素を用いないメッシュ・パターンを時間をかけて作成する必要がある。
【0013】
[従来の有限要素法による三次元四面体の問題]
三次元のポアソンの方程式は次式になる。
【数12】

【0014】
有限要素法を適用すると対象節点についての積分式として次式が得られる。
【数13】

【0015】
式(9)は式(10)に示す節点周りの要素積分の和で表現することができる。
【数14】

【0016】
式(10)を、例えば、図8のような三つの面が節点1で垂直に交わる線形四面体要素に適用すると、左辺の要素積分は次式になる。
【数15】

【0017】
式(11)の右辺から、節点1から節点2、3、4に向かう熱流束
【数16】

の通過面積はそれぞれ
【数17】

になることが分かる。同様な方法で、ほかの節点間に伝わる熱流束の通過面積も求められる。それらを表1にまとめて示す。
【0018】
【表1】

【0019】
一方、式(10)右辺のソース項の要素積分を行うと、要素内の発熱量が要素形状と関係なく、ほぼ均等的に4節点に分配される。特に、Qが要素内で定数の場合には、ソース項の要素積分は次式になる。
【数18】

【0020】
ここでのVは要素体積である。すなわち、いかなる要素形状においても、節点に寄与された熱量は要素の4分の1の体積から発生したものだけである。ここで、保存法則の観点から表1と式(12)を考察すると、節点によって大きく変る熱流束の通過面積と均等的に分配されるソース項の間に不整合性が表れたことが分かる。その結果、新たな数値誤差が引き起こされる。図9には、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1の立方体領域において、λ=1とし、式(13)のソース分布と式(14)の境界条件に有限要素法を適用して得られた温度分布を示す。例えば、図9(b)の○印を付けた4点では同値の厳密解は得られるが、局所メッシュ・パターンの影響で数値解は異なっている。
【数19】

【数20】

【0021】
[従来の三次元四面体問題の改善方法]
この不整合性の三次元四面体の問題の改善方法としては、図10のように、対象節点1、四面体の外心C、要素表面三角形の外心C、C、Cと要素辺の中点I、J、Kの合計8点から成形した六面体を節点領域として定義し、それに合わせて、マトリックス成分を節点領域から算出した流束の通過面積を節点間の距離で割ったものに修正する方法が考えられる。マトリックス成分を変える理由としては、三次元有限要素法の離散化結果には二次元と同様な解釈が適用できないからである。すなわち、式(11)左辺を積分した結果は、正四面体要素の場合を除いて、辺中点での熱流束と、外心および辺中点からなす四辺形の面積との掛け算にならない。例えば、図8の要素の場合には、節点1と節点2間の熱流束の通過面積は
【数21】

になっているが、外心C、C、Cと中点Iとによりできた四辺形の面積は
【数22】

になる。
【0022】
この三次元問題の改善方法は、保存法則を2次精度で満足するが、デロネー(Delaunay)分割の要素形状にしか適用できないという欠点が挙げられる。また、たとえば、図8のような四面体要素に適用すると、従来の有限要素法では対角線以外の成分がゼロになることで済むが、この改善方法では、マトリックス成分を変えたことにより、対角線以外のところで数値解析に悪い影響を及ぼす正成分が発生する。
【0023】
[従来の有限要素法による二次元四角形の問題]
上述した二次元の線形三角形メッシュ及び三次元の線形四面体メッシュについては、上述したような改善方法も提案されているが(非特許文献3、非特許文献4参照)、二次元の線形四辺形メッシュについては議論されていないようである。有限要素法によりPoissonの方程式を離散化した場合には、全ての項に同じGalerkin重み関数をかけて積分するため、ソース項が要素形状に関係なく同要素が所有する各節点の代数方程式にほぼ均等的に分配されることがあり、ほかの項の離散化との整合性が取れず、節点レベルでは保存則が満たされない状況になっている。その詳細は、以下のとおりである。
【0024】
上述したように、二次元Poissonの方程式は下記のものである。
【数23】

【0025】
この方程式は、多分野の物理現象を記述するものであるが、ここでは、熱伝導問題を例に説明を展開し、Tは温度で、λは熱伝導率で、Qはソース項と呼ばれる単位時間、単位面積あたりの発熱量である。式(1)に有限要素法を適用すると、考えている対象節点Pについての積分方程式は、上述した式(3)と同じ式(3)’が得られる。
【数24】

【0026】
ここで、eは図11に示す節点P周りの要素を表わし、Σは各要素上の演算の和を意味する。また、Wは節点P周りの要素領域上で定義されたGalerkin重み関数であり、節点Pでは1を、図11の局所領域の境界ではゼロをとる線形関数である。部分積分とガウス・グリーン定理を利用して式(3)’左辺の積分を行い、境界積分を別途考えると、次式が得られる。
【数25】

【0027】
要素eを図12の双一次長方形要素に当てはめた場合には、式(15)左辺の要素積分は次式となる。ただし、対象節点Pの要素における局所番号を1とする。
【数26】

【0028】
式(16)右辺1項目の物理的な意味は、中点Iでの節点1から節点2に向かう2次精度の熱流束と、中点Kでの節点4から節点3に向かう2次精度の熱流束との重み付き平均により、垂直線分IOを通過する熱量である。図12中の点Oは、四節点の座標の平均値に位置する。また、2項目の物理的な意味は、中点Lでの節点1から節点4に向かう2次精度の熱流束と、中点Jでの節点2から節点3に向かう2次精度の熱流束との重み付き平均により、垂直線分OLを通過する熱量である。ここで、検査線IOLと要素辺L1Iで囲う領域を節点1のコントロール・ボリュームと称しCVと記す。要素形状の対称性を考えると、ほかの節点を対象節点とした検査線の検討結果が、図12の細い実線で示すようになり、CV=CV=CV=CV=S/4となることが分かる。
【0029】
ここで、Sは要素面積であり、CVの添え字で所属節点を表わす。一方、Qが要素内で定数の場合には、式(15)右辺の要素積分は次式になる。
【数27】

すなわち、節点1に寄与された熱量はS/4から発生したものである。ほかの節点への寄与量も同じであることが重み関数の定義から分かる。各節点のコントロール・ボリュームの面積とソース項の面積とが一致するため、保存則は2次精度で満たされている。これらの結果を表2にまとめて示す。
【0030】
【表2】

【0031】
なお、図13に示すような双一次平行四辺形要素の場合には、有限要素法による式(15)左辺の要素積分は次式になる。
【数28】

【0032】
式(18)右辺の1項目は、中点Iでの節点1から節点2に向かう2次精度の熱流束により、垂直線分IJを通過する熱量である。2項目は点Oでの節点1から節点3に向かう2次精度の熱流束により垂直線分JLを通過する熱量である。結局、検査線はIJLとなり、CVは3S/8になる。同様に、節点2を対象節点として検討すると、式(15)左辺の要素積分は次式になる。
【数29】

検査線はIJとなり、CVはS/8になる。残る二節点については、要素形状の対称性を考えると、図13の細い実線で示す検査線を得ることができる。
【0033】
一方、Qが要素内で定数の場合には、ソース項の要素積分結果はS/4から発生した熱量になる。上記表2にこれらの結果をまとめて示す。節点に寄与された熱量の発生面積とコントロール・ボリュームの面積とが一致しないため、保存則は満たされていない。
【0034】
図14に示す節点3が節点4に限りなく接近する四辺形要素の場合には、有限要素法による式(15)左辺の要素積分は次式になる。ただし、T=Tと扱うことができる。
【数30】

【0035】
式(20)右辺の1項目は、中点Iでの節点1から節点2に向かう2次精度の熱流束により、垂直線分IJを通過する熱量である。2項目は点Lでの節点1から節点4に向かう2次精度の熱流束により垂直線分JLを通過する熱量である。結局、検査線はIJLとなり、CVはS/2になる。同様に、節点2を対象節点として検討すると、式(15)左辺の要素積分は次式になる。
【数31】

【0036】
その検査線はIJとなり、CVはS/4になる。また、T=Tを考慮して節点3と4を対象節点として積分した結果をそれぞれ式(22)と式(23)に示す。
【数32】

【数33】

【0037】
両節点が重なり、T=Tであるため、検査線について検討するとき、代数方程式を足し合わせて扱うことができる。式(22)と式(23)との右辺の合計から検査線としてJLが得られ、CV+CV=S/4になることが分かる。図14には細い実線で検査線を示す。
【0038】
一方、Qが要素内で定数の場合には、節点1と節点2に寄与されるソース量の面積がそれぞれS/3になる。節点3と節点4に寄与されるソース量の面積の和がS/3になる。これらの結果を上記表1にまとめて示すが、保存則は満たされていないことが分かる。
【0039】
なお、このような2次精度で保存則が満たされない問題は、ほかの一般形状の四辺形要素にも存在すると考えられるが、理論上では、コントロール・ボリュームについて調べることが困難である。
【0040】
[従来の有限要素法による三次元六面体及び三次元五面体の問題]
上述した二次元の線形三角形メッシュ及び三次元の線形四面体メッシュについては、上述したような改善方法も提案されているが(非特許文献3、非特許文献4参照)、三次元解析によく使用される六面体要素と五面体要素については議論されていないようである。本発明では、これらの要素を検討対象とする。
【0041】
上述したように三次元Poissonの方程式は上記式(8)のものである。
【数34】

【0042】
この方程式は、多分野の物理現象を記述するものであるが、ここでは、熱伝導問題を例に説明を展開し、Tは温度で、λは熱伝導率で、Qはソース項と呼ばれる単位時間、単位面積あたりの発熱量である。式(8)に有限要素法を適用すると、考えている対象節点Pについての積分方程式として次式が得られる。
【数35】

【0043】
ここで、eは図15に示す節点P周りの要素を表わし、Σは各要素上の演算の和を意味する。また、Wは節点P周りの要素領域上で定義されたGalerkin重み関数で、節点Pでは1を、周りの要素から構成した領域の境界ではゼロをとる線形関数である。部分積分とガウス・グリーン定理を利用して式(10)’左辺の積分を行い、境界積分を別途考えると、次式が得られる。
【数36】

【0044】
[六面体要素の場合]
要素eを図16(a)の線形長方体要素に当てはめた場合には、式(24)左辺の要素積分結果を次式に整理することができる。ただし、対象節点Pの要素における局所番号を1とする。
【数37】

【0045】
図16(b)に示すように、点Iijで節点iとjを結ぶ線分の中点を表わしておく。式(25)右辺1項目の物理的な意味は、中点I12での節点1から節点2に向かう2次精度の熱流束λ(T−T)/2h、中点I43での節点4から節点3に向かう2次精度の熱流束λ(T−T)/2h、中点I56での節点5から節点6に向かう2次精度の熱流束λ(T−T)/2h、と中点I87での節点8から節点7に向かう2次精度の熱流束λ(T−T)/2h、との重み付き平均により、熱流束に垂直で中点I12を通る断面積hを通過する熱量である。また、2項目の物理的な意味は、中点I14での節点1から節点4に向かう2次精度の熱流束、中点I23での節点2から節点3に向かう2次精度の熱流束、中点I58での節点5から節点8に向かう2次精度の熱流束、と中点I67での節点6から節点7に向かう2次精度の熱流束、との重み付き平均により、熱流束に垂直で中点I14を通る断面積hを通過する熱量である。また、3項目の物理的な意味は、中点I15での節点1から節点5に向かう2次精度の熱流束、中点I26での節点2から節点6に向かう2次精度の熱流束、中点I48での節点4から節点8に向かう2次精度の熱流束、と中点I37での節点3から節点7に向かう2次精度の熱流束、との重み付き平均により、熱流束に垂直で中点I15を通る断面積hを通過する熱量である。ここで、断面積h、hとhを検査面として考え、これらの検査面が囲う領域を節点1のコントロール・ボリュームと称しCVと記す。このコントロール・ボリュームは、2次精度の熱流束により定義されたものである。以上の議論から、CVは図16(b)に示す辺長h、h、hの長方体となり、その体積が次式となることが分かる。
【数38】

【0046】
ここで、Vは要素体積である。要素形状の対称性を考えると、CV=V/8(i=1,2,・・・,8)の結果が得られる。CVの添え字で所属節点を表わす。一方、Qが要素内で定数の場合には、式(24)右辺の要素積分は次式になる。
【数39】

【0047】
ここで、Q(e)は要素でのソース項である。式(27)より節点1に寄与された熱量はV/8から発生したものであることが分かる。ほかの各節点への寄与量もVQ(e)/8になることがGalerkin重み関数の定義から分かる。各節点のコントロール・ボリュームの体積とソース項の体積とが一致するため、保存則は2次精度で満たされている。
【0048】
なお、図17(a)に示すyz平面上の平行四辺形をx方向に2h分押し出して生成した六面体要素の場合には、有限要素法による式(24)左辺の要素積分は次式になる。
【数40】

【0049】
式(28)右辺の物理的な意味は、それぞれ広さがhで中点I12を通る面積、広さがhhで中点I14を通る面積、広さが2hhで中点I18を通る面積、を通過する熱量である。コントロール・ボリュームは、検査面が閉じていないため厳密に求めることができないが、図16(b)に比べると、V/8以上になることが考えられる。一方、Qが要素内で定数の場合には、各節点のソース項の要素積分結果は依然としてV/8から発生した熱量になる。すなわち、節点に寄与された熱量の発生体積とコントロール・ボリュームの体積とが一致せず、保存則が満たされていないことが考えられる。
【0050】
このような2次精度で保存則が満たされない問題は、ほかの一般形状の六面体要素にも存在すると考えられる。しかし、コントロール・ボリュームについて理論上で調べることが困難である。
【0051】
[五面体要素の場合]
要素eを図18(a)の線形正三角柱要素に当てはめた場合には、式(24)左辺の要素積分は式(29)となる。ただし、対象節点Pの要素における局所番号を1とする。
【数41】

【0052】
同様に、式(29)右辺の物理的な意味について検討すると図18(b)に示す検査面が得られるため、節点1のコントロール・ボリュームは次式となる。
【数42】

【0053】
要素形状の対称性を考えると、CV(i=1,2,・・・,6)の結果が得られる。一方、Qが要素内で定数の場合には、式(24)右辺の要素積分は次式になる。
【数43】

【0054】
すなわち、節点1に寄与された熱量はV/6から発生したものである。ほかの節点への寄与量も同じであることがGalerkin重み関数の定義から分かる。各節点のコントロール・ボリュームの体積とソース項の体積とが一致するため、保存則は2次精度で満たされている。
【0055】
なお、図19(a)に示す直角三角柱要素の場合には、有限要素法による式(24)左辺の要素積分は次式になる。
【数44】

【0056】
式(32)右辺の物理的な意味は、それぞれ広さがh/2で中点I12を通る面積、広さがh/2で中点I13を通る面積、広さがh/6で中点I14を通る面積、を通過する熱量である。コントロール・ボリュームは、検査面が閉じていないため厳密に求められないが、図18(b)に比べるとV/6以上になることが考えられる。一方、Qが要素内で定数の場合には、各節点のソース項の要素積分結果は依然としてV/6から発生した熱量になる。節点に寄与された熱量の発生体積とコントロール・ボリュームの体積とが一致せず、保存則が満たされていないことが考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0057】
【非特許文献1】O.C.Zienkiewicz,R.L.Taylor著(矢川元基ら訳)、「マトリクス有限要素法」(特に第10章参照)、科学技術出版社、1996年
【非特許文献2】邵 長城著、「基本からわかる有限要素法」(特に第5章参照)、森北出版、2008年
【非特許文献3】MING-DER DONALD HUANG, The Constant-Flow Patch Test−A Unique Guideline for the Evaluation ofDiscretization Schemes for the Current Continuity Equations. IEEE Transactions on computer-aided design, V.CAD-4, No. 4, 1985, pp.583-608.
【非特許文献4】Christian Cordes and Mario Putti, Accuracy ofGalerkin finite element for groundwater flow simulations in two andthree-dimensional triangulations. Int.J. Numer. Meth. Engng 2001, V52, P371-387.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0058】
以上説明したような問題から、本発明では以下の(a)〜(e)を解決しようとする課題とする。
(a)上記従来の二次元三角形の問題の改善方法1において、鈍角三角形要素の場合には、ソース項の積分領域が要素外までに広がる問題を解決する。同時に、境界条件と線上分布ソース項の扱い方を提案する。
(b)従来の有限要素法による三次元四面体の問題におけるソース項との不整合性問題を解決し、上記従来の三次元四面体の問題の改善方法における弊害を回避する。同時に、境界条件、線上分布ソース項、面上分布ソース項の扱い方を提案する。
(c)上記従来の二次元四角形の問題におけるソース項との不整合性問題を解決する。
(d)上記従来の三次元六面体・五面体の問題におけるソース項との不整合性問題を解決する。
(e)有限要素法における荷重、体積力、質量の扱い方においても要素形状によって誤差が発生する問題も存在するため、その精度改善方法を提案する。
【0059】
そこで本発明は、線形三角形要素、線形四面体要素、線形四角形要素、線形六面体要素、線形五面体要素を用いた有限要素法の離散化において、高精度のスキームを提案して、メッシュ・パターンによる解析誤差を低減し、例えば正三角形、正四面体、長方形、長方体などよりも品質が低い要素(品質の低いメッシュ・パターン)からも高精度な数値解が得られる有限要素法を用いた解析方法、及び有限要素法を用いた解析演算プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0060】
本発明は、解析対象の解析領域を選定する選定工程(S1)と、
前記解析領域を計算対象として複数の要素に分割する分割工程(S2)と、
前記複数の要素のうちの、ある要素(例えばe)にある節点(例えばP,要素eでの節点番号を例えば1とする)についてGalerkin重み関数(W)をかけて要素積分をし、各要素のマトリクスを作成する要素マトリクス作成工程(S3)と、
Galerkin重み関数(W)と一般関数(例えばQ,f)との積からなる一般関数項を積分する一般関数項積分工程(S4)と、
前記ある節点(例えばP)周りの領域(例えばΩ)の要素における各要素のマトリクスの和と、前記一般関数項を積分した値の和とに基づき、連立方程式を作成する連立方程式作成工程(S5)と、
前記連立方程式に境界条件の導入をする境界条件導入工程(S6)と、
前記連立方程式を演算して数値解を得る演算工程(S7,S8)と、を備えた有限要素法を用いた解析方法において、
前記一般関数項積分工程(S4)にあって、Galerkin有限要素法による二階微分項の離散化結果を基に定義された節点領域の考え方を導入し、要素の代表値(例えばQ,Q,f,f)を用いた一般関数項を積分することを特徴とする。
【0061】
また、本発明は、前記一般関数項積分工程(S4)にあって、節点領域の大きさに合わせて一般関数を節点に分配することを特徴とする。
【0062】
更に、具体的に本発明は、前記一般関数項積分工程は、前記一般関数項をソース項としたソース項積分工程(S4)であり、
前記ソース項積分工程(S4)にあって、要素の代表ソース値(例えば、幾何学中心での値や節点平均位置での値、要素平均値など)を用いたソース項を積分することを特徴とする。
【0063】
また、具体的に本発明は、前記一般関数項積分工程は、前記一般関数項を荷重、体積力、質量(フォースと総称する)としたフォース項積分工程(S4)であり、
前記フォース項積分工程(S4)にあって、要素の代表フォース値(例えば、幾何学中心での値や節点平均位置での値、要素平均値など)を用いたフォース項を積分することを特徴とする。
【0064】
また、詳細には本発明は、前記複数の要素は、二次元三角形の要素であり、
前記ソース項積分工程(S4)にあって、前記各要素における節点領域の面積をND、前記要素の代表ソース値をQ、前記要素の面積をSとした場合に、(ND−S/3)Qを追加項としてソース項に追加することを特徴とする。
【0065】
また、詳細には本発明は、前記複数の要素は、二次元三角形の要素であり、
前記フォース項積分工程(S4)にあって、前記各要素における節点領域の面積をND、前記要素の代表フォース値をf、前記要素の面積をSとした場合に、(ND−S/3)fを追加項としてフォース項に追加することを特徴とする。
【0066】
また、詳細には本発明は、前記複数の要素は、三次元四面体の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の体積をND、前記要素の代表ソース値をQ、前記要素の体積をVとした場合に、(ND−V/4)Qを追加項としてソース項に追加し、かつ前記NDとして以下の数式を用いることを特徴とする。
【数45】

【0067】
また、詳細には本発明は、前記複数の要素は、三次元四面体の要素であり、
前記フォース項積分工程(S4)にあって、前記各要素における節点領域の体積をND、前記要素の代表フォース値をf、前記要素の体積をVとした場合に、(ND−V/4)Qを追加項としてフォース項に追加し、かつ前記NDとして以下の数式を用いることを特徴とする。
【数46】

【0068】
また、詳細には本発明は、前記複数の要素は、二次元四角形の要素であり、
前記ソース項積分工程(S4)にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表ソース値をQとした場合に、以下の数式を追加項としてソース項に追加することを特徴とする。
【数47】

【0069】
また、詳細には本発明は、前記複数の要素は、二次元四角形の要素であり、
前記フォース項積分工程(S4)にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表フォース値をfとした場合に、以下の数式を追加項としてフォース項に追加することを特徴とする。
【数48】

【0070】
また、詳細には本発明は、前記複数の要素は、三次元六面体又は三次元五面体の要素であり、
前記ソース項積分工程(S4)にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表ソース値をQとした場合に、以下の数式を追加項としてソース項に追加することを特徴とする。
【数49】

【0071】
また、詳細には本発明は、前記複数の要素は、三次元六面体又は三次元五面体の要素であり、
前記フォース項積分工程(S4)にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表フォース値をfとした場合に、以下の数式を追加項としてフォース項に追加することを特徴とする。
【数50】

【0072】
また、本発明は、前記境界条件導入工程(S6)にあって、前記各要素の自然境界を通過する熱流束がゼロでない場合に、節点領域の範囲と合致した境界熱流束の節点への配分を行うことを特徴とする。
【0073】
また、本発明は、前記境界条件導入工程(S6)にあって、前記各要素の境界での荷重、体積力、質量がゼロでない場合に、節点領域の範囲と合致した荷重、体積力、質量の節点への配分を行うことを特徴とする。
【0074】
そして、本発明は、有限要素法を用いた解析演算をコンピュータに実行させるための有限要素法を用いた解析演算プログラムであって、
前記コンピュータに、
解析対象の解析領域を選定する選定工程(S1)と、
前記解析領域を計算対象として複数の要素に分割する分割工程(S2)と、
前記複数の要素のうちの、ある要素(例えばe)にある節点(例えばP,要素eでの節点番号を例えば1とする)についてGalerkin重み関数(W)をかけて要素積分をし、各要素のマトリクスを作成する要素マトリクス作成工程(S3)と、
Galerkin重み関数(W)と一般関数(例えばQ,f)との積からなり、Galerkin有限要素法による二階微分項の離散化結果を基に定義された節点領域の考え方を導入し、要素の代表値を用いた一般関数項を、積分する一般関数項積分工程(S4)と、
前記ある節点(例えばP)周りの領域(例えばΩ)の要素における各要素のマトリクスの和と、前記一般関数項を積分した値の和とに基づき、連立方程式を作成する連立方程式作成工程(S5)と、
前記連立方程式に境界条件の導入をする境界条件導入工程(S6)と、
前記連立方程式を演算して数値解を得る演算工程(S7,S8)と、を実行させることを特徴とする。
【0075】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0076】
本発明によると、所定の重み関数と一般関数との積からなる一般関数項を積分する一般関数項積分工程にあって、Galerkin有限要素法による二階微分項の離散化結果を基に定義された節点領域の考え方を導入し、要素代表値(例えば幾何学中心での値や、節点座標平均位置での値、要素平均値など)を用いた一般関数項を積分し、節点領域の大きさに見合った値を取り入れることができる。これにより、メッシュ・パターンによる解析誤差を低減することができ、品質が低い要素(品質の低いメッシュ・パターン)からも高精度な数値解を得ることが可能となる。このため、メッシュ・パターンの品質を高める作業(メッシュ・パターンを正三角形、正四面体、正方形などに近づける作業)を不要とすることができるものでありながら、アルゴリズム(プログラム)の修正による計算量の増加が殆んどないので、コンピュータによる演算処理の増大も防止することができ、総じて解析時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】二次元三角形における節点Pの積分領域Ωを示す図。
【図2】線形三角形要素を示す図。
【図3】一般三角形要素での節点領域を示す図。
【図4】直角三角形要素での節点領域を示す図。
【図5】鈍角三角形要素での節点領域を示す図。
【図6】温度分布の等値線を示す図。
【図7】従来改善方法2による節点領域の修正を説明する図。
【図8】線形直角四面体要素を示す図。
【図9】四面体要素による解析結果を示す図で、(a)はメッシュを示す図、(b)は(a)のある断面上の温度分布を示す図。
【図10】従来改善方法による四面体要素での節点領域を示す図。
【図11】二次元四角形における節点Pの積分領域を示す図。
【図12】長方形要素での積分結果を示す図。
【図13】平行四辺形要素での積分結果を示す図。
【図14】二節点が重なる四辺形要素での積分結果を示す図。
【図15】三次元形体における節点Pの積分領域を示す図。
【図16】長方体要素を示す図で、(a)は要素形状を示す図、(b)は積分結果を示す図。
【図17】平行四辺形を押し出した六面体要素を示す図で、(a)は要素形状を示す図、(b)は積分結果を示す図。
【図18】正三角柱要素を示す図で、(a)は要素形状を示す図、(b)は積分結果を示す図。
【図19】直角三角柱要素を示す図で、(a)は要素形状を示す図、(b)は積分結果を示す図。
【図20】鋭角三角形要素での節点領域を示す図。
【図21】直角三角形要素での節点領域を示す図。
【図22】鈍角三角形要素での節点領域を示す図で、(a)は面積が正の部分を示す図、(b)は面積が負の部分を示す図。
【図23】自然境界条件及び線上に分布するソース項の処理を説明する図で、(a)は節点3の角度≦π/2の場合の図、(b)は節点3の角度>π/2の場合の図。
【図24】四面体における線上分布を説明するための図。
【図25】自重による変位問題を説明するための図。
【図26】板の有限要素モデルを示す図。
【図27】二次元解析メッシュのパターンを示す図で、(a)は直角三角形メッシュの図、(b)は鈍角三角形メッシュの図、(c)は細長い三角形メッシュの図。
【図28】二次元熱伝導解析の誤差を、従来の有限要素法(GFE)、改善方法1(NDFE)、本発明の方法(CNDFE)について示す図で、(a)は直角三角形メッシュの場合の誤差を示す図、(b)は鈍角三角形メッシュの場合の誤差を示す図、(c)は細長い三角形メッシュの場合の誤差を示す図。
【図29】荷重、体積力、質量が係る三角形メッシュと拘束条件を示す図。
【図30】従来有限要素法を三角形メッシュに適用した内圧での径方向変位の解析結果を示す図。
【図31】従来有限要素法を三角形メッシュに適用した回転での径方向変位の解析結果を示す図。
【図32】本発明を三角形メッシュに適用した内圧での径方向変位の解析結果を示す図。
【図33】三次元解析メッシュのパターンを示す図で、(a)は立方体を六個の四面体に分割したメッシュの図、(b)は長方形を十四個の四面体に分割したメッシュの図、(c)は(b)の四面体をさらに四個の四面体に分割したメッシュの図。
【図34】三次元熱伝導解析の誤差を、従来の有限要素法(GFE)、本発明の方法(CNDFE)について示す図で、(a)は立方体を六個の四面体に分割したメッシュの場合の誤差を示す図、(b)は長方形を十四個の四面体に分割したメッシュの場合の誤差を示す図、(c)は(b)の四面体をさらに四個の四面体に分割したメッシュの場合の誤差を示す図。
【図35】四角柱の四面体要素分割を示す図。
【図36】従来有限要素法を四面体メッシュに適用した自重での変位の解析結果を示す図。
【図37】本発明を四面体メッシュに適用した自重での変位の解析結果を示す図。
【図38】Tを含む項の節点領域の定義方法を説明するための図。
【図39】Tを含まない項の節点領域の定義方法を説明するための図で、(a)は正の面積を示す図、(b)は負の面積を示す図。
【図40】四辺形要素の節点位置を説明するための図。
【図41】四辺形メッシュの種類を示す図で、(a)は正方形のメッシュ、(b)は3,4,5,8要素からなるメッシュ、(c)は菱型のメッシュ、(d)は平行四辺形のメッシュ、(e)台形のメッシュ、(f)直角台形のメッシュ、(g)直角三角形型台形のメッシュ、(h)平角四辺形のメッシュ、(i)低平角四辺形のメッシュ、(j)高平角四辺形のメッシュ。
【図42】基本境界条件での解誤差比較を示す図。
【図43】基本・自然境界条件での解析誤差比較を示す図。
【図44】基本境界条件での節点数と解析誤差の相関図。
【図45】基本・自然境界条件での節点数と解析誤差の相関図。
【図46】荷重、体積力、質量が係る四角形メッシュと拘束条件を示す図。
【図47】従来有限要素法を四角形メッシュに適用した内圧での径方向変位の解析結果を示す図。
【図48】本発明を三角形メッシュに適用した内圧での径方向変位の解析結果を示す図。
【図49】節点1とiの温度に関わる節点領域を示す図。
【図50】係数Djkの計算方法を説明する図。
【図51】節点1以外の温度に関わる節点領域を示す図。
【図52】六面体メッシュを示す図で、(a)は長方体の図、(b)は6,8,10,16要素なるメッシュの図、(c)は菱型柱の図、(d)は平行四辺柱の図、(e)は台形柱の図、(f)は直角三角形型台形の図、(g)平角柱の図、(h)は低平角柱の図。
【図53】六面体要素での解析誤差を示す図で、(a)は基本境界条件での解析誤差を示す図、(b)は基本・自然境界条件での解析誤差を示す図。
【図54】六面体要素での節点数と解析誤差の相関を示す図で、(a)は基本境界条件での解析誤差を示す図、(b)は基本・自然境界条件での解析誤差を示す図。
【図55】五面体メッシュを示す図で、(a)は直角三角柱の図、(b)は鈍角三角柱の図、(c)は細長い三角柱の図、(d)は方向性を持つ直角三角柱の図。
【図56】五面体要素での解析誤差を示す図で、(a)は基本境界条件での解析誤差を示す図、(b)は基本・自然境界条件での解析誤差を示す図。
【図57】本発明に係る有限要素法の解析工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明においては、大まかに、メッシュ・パターンが二次元三角形の場合と三次元四面体の場合と二次元四角形の場合とに分けて説明する。また、以下の説明においては、有限要素法の解析方法について説明するが、一般的にはこの解析方法は解析プログラム化され、コンピュータによって演算処理されるものであり、言い換えると、図57に示す各工程は、コンピュータに有限要素法を用いた解析演算を実行させるための解析演算プログラムということになる。
【0079】
まず、有限要素法を用いた解析方法の流れを、図57に沿って大まかに説明する。有限要素法により解析対象を数値解析する際は、図57に示すように、ステップS1において、解析対象(どのような形状のものであっても良い)の解析領域を選定し(選定工程)、ステップS2において、解析領域を計算対象として複数の要素に分割する(分割工程)。続いてステップS3において、要素eの各節点(二次元の線形三角形の場合は節点1,2,3、三次元の線形四面体の場合は節点1,2,3,4、二次元の線形四角形の場合は節点1,2,3,4)について重み関数Wをかけて要素積分をし、各要素のマトリクス(例えば二次元三角形の場合は上述した式(3)の左辺、三次元四面体の場合は式(10)の左辺、二次元四角形の場合は上述した式(3)’の左辺や式(15)の左辺、三次元六面体・三次元五面体の場合は式(24)の左辺)を作成する(要素マトリクス作成工程)。
【0080】
次に本発明の要部となるステップS4において、Galerkin重み関数Wと一般関数(例えば熱問題等であればQ、荷重、体積力、質量問題であればf)との積からなる一般関数項を積分する(一般関数項積分工程)。このステップS4において例えば熱問題等を扱うときは、ポアソンの方程式のソース項を積分する(例えば二次元三角形の場合は後述する式(33)の右辺、三次元四面体の場合は後述する式(36)の右辺、二次元四角形の場合は後述する式(46)の右辺、三次元六面体・五面体の場合は後述する式(72)の右辺)(ソース項積分工程)。また、例えば荷重、体積力、質量が係る場合には、二次元三角形の場合は式(33)’、三次元四面体の場合は式(36)’、二次元四角形の場合は式(71)、三次元六面体・五面体の場合は式(96)を用いて、荷重、体積力、質量の要素積分、即ち、それぞれ式(33)’の一項目、式(36)’の一項目、式(71)の一項目、式(96)の一項目を取って代わる(フォース項積分工程)。
【0081】
その後、ステップS5において、節点P周りの要素領域Ωにおける各要素のマトリクスの和と、一般関数項を積分した値の和とに基づき、連立方程式を作成する(連立方程式作成工程)。
【0082】
この際、本発明では、詳しくは後述するように、ステップS6において、節点領域の範囲と合致した境界条件を、各節点周りについて作成した連立方程式のそれぞれに導入する(境界条件導入工程)。
【0083】
そして、ステップS7において、連立方程式を例えば反復法等により演算して解き(演算工程)、ステップS8において、関連物理量の計算を行って数値解を得て(演算工程)、以上の工程によって解析を終了する。
【0084】
[二次元三角形の解析について]
以上のような有限要素法を用いた解析方法において、本発明にあっては、ステップS4の一般関数項積分工程における一般関数項を、要素eの代表値(例えば幾何学中心での値や、節点座標平均位置での値、要素平均値など)を用いて一般関数項について計算する。
【0085】
具体的には、ポアソンの方程式の場合には、式(1)左辺の楕円型演算子については従来の有限要素法により離散化をし、右辺のソース項については、従来の有限要素法による離散化
【数51】

に追加項
【数52】

を加える。すなわち、従来の式(3)の代わりに、式(33)を提案する。
【数53】

【0086】
ここで、Qは要素のソース代表値であり、NDは対象節点の要素eにおける節点領域の面積である。NDの定義は、鋭角三角形要素においては図20に、直角三角形要素においては図21に、鈍角三角形要素においては図22に、示されるように行う。図中のNDの添え字で所属節点を表わし、点Cは外心であり、点I、J、Kは中点である。また、鈍角三角形要素の場合には、外心が要素の外に出ているため、図22(b)に示す節点2、節点3が所有する節点領域−ND、−NDが負になる。それぞれの節点領域は最終的に次式により算出される。
【数54】

【0087】
また、ステップS6の境界条件導入工程にあっては、以下のように境界条件を導入する。即ち、熱流束がゼロではない自然境界については図23に示すように処理する。ここで、節点1と節点2を結ぶ線を境界とすると、節点3での内角がπ/2以下の場合(つまり鋭角の場合)には、図23(a)のように点1と点Iとの間を通過し流出する熱量
【数55】

を節点1の方程式に、点Iと点2との間の熱通過量
【数56】

を節点2の方程式に加える。ここで、
【数57】

は線積分であり、nは外向き法線方向である。
【0088】
節点3での内角がπ/2を越えた場合(つまり鈍角の場合)には、図23(b)のように点1と点I間の熱通過量
【数58】

を節点1の方程式に、点Iと点2との間の熱通過量
【数59】

を節点2の方程式に、点Iと点Iとの間の熱通過量
【数60】

を節点3の方程式に加える。
なお、線上に分布するソース項に対しても、図23に示す自然境界条件の分け方と同様に節点の方程式に寄与する。
【0089】
以上説明した本実施の形態による有限要素法を用いた二次元三角形の解析方法によれば、以下の特徴を持っている。
(1)節点領域の大きさに見合ったソース量が取り入れられたため、節点レベルで保存法則を2次精度で満足する。
(2)要素の品質が低いほど修正効果が大きい。
(3)いかなる要素形状においても、要素外のソース項を取り入れることがない。
(4)いかなる要素形状においても、要素の3つの節点が所有する節点領域の合計は
【数61】

になるので、ソース項に追加項を入れても、要素レベルでも保存法則が満たされる。
(5)楕円型演算子に対する最適な離散化手法としての有限要素法の優位性がそのまま保持される。
(6)アルゴリズムの修正による計算量の増加は殆どない。
【0090】
[三次元四面体の解析について]
また、三次元四面体の解析にあっても、前述のような有限要素法を用いた解析方法において、ステップS4の一般関数項積分工程における一般関数項を、要素eの代表値を用いて一般関数項について計算する。
【0091】
具体的には、式(8)左辺の楕円型演算子については従来の有限要素法により離散化をし、右辺のソース項については追加項
【数62】

を加えて、つまり従来の式(10)の代わりに、式(36)を提案する。
【数63】

【0092】
ここでも、Qはソース代表値であり、NDは対象節点の要素eにおける節点領域の体積である。節点領域NDは以下の方法で決める。対象節点の要素eにおける節点番号を1とし、そこに局所座標系の原点を置くと、式(36)左辺の積分結果を次式右辺のような係数と熱流束との掛け算の形に整理することができる。
【数64】

【0093】
ここで、
【数65】

は図10に示す要素の辺中点I、J、Kでの節点1から節点2、3、4に向かう熱流束を二次精度で近似するものであり、係数S12、S13、S14はそれぞれの熱流束の通過面積にあたるものであり、その二つの添え字で熱流束の向きを表わす。節点1の節点領域の体積は、熱流束の通過面積を底面とし、節点1と中点間の距離を高さとする角錐の体積の合計として、次式のように求める。
【数66】

【0094】
また、熱流束の通過面積Sij(i,j=1,2,3,4、i≠j)を表わす汎用式は、以下のように導出される。まず、式(37)の左辺を有限要素法のアプローチにより展開すると次式が得られる。
【数67】

【0095】
ここで、要素体積Vは次式のように求められる。
【数68】

【0096】
式(39)中の係数は以下のようなものである。
【数69】

【0097】
式(39)よりλ(T−T)の係数は
【数70】

になることが分かる。節点iとjとの間の距離をlijで表わすと、式(42)を得ることができ、λ(T−T)の係数を式(43)のように書き換えることができる。
【数71】

【数72】

【0098】
式(37)の右辺を参照すると、節点iと節点jとの間に伝わる熱流束の通過面積は次式により求めることができる。
【数73】

この式(44)を用いて、各節点の節点領域を式(38)と同じ考え方で算出する。
【0099】
また、ステップS6の境界条件導入工程にあっては、以下のように境界条件を導入する。即ち、熱流束がゼロではない自然境界では、従来の有限要素法による処理結果
【数74】

に、追加項
【数75】

を加えて、
【数76】

を境界条件として式(36)に導入する。ここで、sは要素eに所属する境界を表わし、Sはsの面積であり、添え字SGはsの幾何中心を意味し、nは外向き法線方向で、NDはsを上述の二次元三角形解析の方法で分割した節点領域の面積である。
【0100】
なお、線上に分布するソース項Qに対しても、まず、線を共有する各要素の表面三角形に均等に分ける。例えば、図24に示す節点1と節点2とを結ぶ線の場合には、それを有する要素表面三角形は、三角形124、123、123、125と四つがある。三角形123は二要素に属するため二つとして数える。各三角形にQ/4を配分する。さらに、三角形内の三節点への配分については、上述した二次元三角形解析における線上に分布するソース項の分け方と同方法で行う。面上に分布するソース項についても、二次元三角形解析の方法で同様に配分する。
【0101】
以上説明した本実施の形態による有限要素法を用いた三次元四面体の解析方法によれば、以下の特徴を持っている。
(1)節点領域の大きさに見合ったソース項が分配されるため、節点レベルにおいては保存法則を従来法より高い精度で満たす。
(2)要素の品質が低いほど修正効果が大きい。
(3)任意の四面体形状においても、要素外のソース項を取り入れることがない。
(4)任意の四面体形状においても、要素の4節点に所属する節点領域の合計が要素体積に等しいため、追加項を入れても要素レベルで保存法則が満たされる。
(5)楕円型演算子に対する最適な離散化手法としての有限要素法の優位性がそのまま保持される。
(6)アルゴリズムの修正による計算量の増加は殆どない。
【0102】
[二次元三角形解析及び三次元四面体解析における他分野の解析]
なお、上述した二次元三角形解析と三次元四面体解析とでは、熱伝導問題を例に本解析手法の応用について説明してきたが、勿論、本手法はポアソンの方程式が記述する現象の全てにそのまま展開できる。例えば、流れ問題、電気・磁気問題、弾性変形問題、物質拡散問題などが応用できる分野として挙げられる。
【0103】
また、本発明の基本的な考え方は、二次精度の保存則の観点から楕円型演算子の離散化結果におけるコントロール・ボリュームを見出し、ソース項の積分領域をそれに合わせたものである。従って、この考え方は、保存則から導出された楕円型演算子を含む各種の支配方程式の有限要素解析に容易に応用できる。すなわち、物理量の発生・消失と流出・流入を算出するとき、その積分領域について、本発明で導出した節点領域の考え方を導入して積分すればよい。例えば、非定常移流拡散解析において、非定常項と移流項の離散化に対して本発明におけるソース項の積分領域の考え方が適用できる。
【0104】
また、荷重、体積力と質量(フォースと総称する)が係わる従来の有限要素法による解析においては、それらの扱い方はポアソンの方程式のソース項と同じである(非特許文献2参照)(すなわち、Galerkin重み関数とかけて要素積分をする。)ため、従来の技術で述べたような、要素形状と関係なく均等的に節点方程式に分配される問題も存在するが、これらの問題は、本実施の形態で説明したソース項の扱い方で改善することもできる。
【0105】
従来の技術での問題点を以下の例で説明する。図25に示す縦に置かれた幅がL、高さがH、厚さが1の板の自重による変位について考察する。密度をρ、重力加速度をg、弾性係数をEで表わす。この際、問題の本質をより明確にするため、平面応力問題とし、ポアソン比をν=0とする。板全体の高さの変化量をVで表わし、上向きの座標をyとすると、応力がσ=−(H−y)ρgとなり、ひずみがε=σ/Eとなるため、次式の厳密解が得られる。
【数77】

【0106】
一方、板を図26のように2つの三角形要素に分割する。節点3と節点4に寄与されるy方向のフォース量をそれぞれfとfで表わすと、従来の有限要素法では、式(5)に示すように要素の重さの3分の1ずつが各節点に分配されるため、
【数78】

となる。ここで、節点4が二つの要素を所有するため、分配された荷重は節点3の2倍になっている。解析結果として、節点3と節点4のy方向の変位νとνが次のようになる。
【数79】

これらの結果は、厳密解からずれていることが確認できる。
【0107】
[線上に分布する場合]
二次元三角形解析においては、図23に示すように、節点3での内角がπ/2以下の場合には、
【数80】

をそれぞれ節点1、2の方程式に加える。ここで、fは荷重の任意成分、体積力の任意成分、質量を意味する。節点3での内角がπ/2を越えた場合には、
【数81】

をそれぞれ節点1、2、3の方程式に加える。
【0108】
三次元四面体解析においては、まず、線を共有する各要素の表面三角形に均等に分ける。例えば、図24に示す節点1と節点2を結ぶ線の場合には、四つの表面三角形に、それぞれf/4を配分する。さらに、三角形内の三節点への配分については、上述した二次元三角形解析における線上に分布するソース項の分け方と同方法で行う。
【0109】
[面上に分布する場合]
二次元三角形、あるいは三次元四面体解析において、面s上に分布する荷重、体積力、質量については、式(33)右辺のソース項と同様に修正し、修正後の対象節点に寄与するものは
【数82】

になる。ここで、Sはsの面積であり、添え字Gで要素代表値(例えば幾何学中心での値や、節点座標平均位置での値、要素平均値など)を表わす。
【0110】
[空間に分布する場合]
空間に分布する荷重、体積力、質量については、式(36)右辺のソース項と同様に修正し、修正後のものは
【数83】

になる。
【0111】
[二次元三角形解析及び三次元四面体解析における本発明の効果]
本解析方法の導入により解析精度が改善されたことを以下の事例により示す。
【0112】
前記板の自重による変位問題に、節点領域の考え方を適用し、式(33)’と図21を参照すると、節点3と節点4に寄与されるy方向のフォース量は次のようになることが分かる。
【数84】

【0113】
ここで、節点4に寄与されたフォース量は、二つの要素の合計になる。解析結果として、節点3と節点4のy方向の変位は次のようになる。
【数85】

厳密解と一致しており、解析精度が改善されたことが確認できる。
【0114】
二次元三角形問題については、式(6)と(7)により定義された熱伝導問題を図27のメッシュ・パターンを用いて解析した最大誤差を図28に示す。この際λ=1とし、ソース項の要素代表値として幾何学中心を採用すると、最大誤差は次式により定義される。
【数86】

【0115】
ここで、TAi:節点iでの厳密解、TNi:節点iでの数値解、TAmax:厳密解の最大値、である。図28の横軸はメッシュの代表長さであり、同じパターンのメッシュを2倍ずつ拡大したものである。中には、図28(a)の1/8、(b)の1/8、(c)の1/5が、図27のメッシュそのままを使用したものである。「GFE」で従来の有限要素法、「NDFE」で上記改善方法1、「CNDFE」で本発明、での結果を示す。図28より、本提案方法は、いずれのメッシュ・パターンにおいても解析誤差が従来の有限要素法の3分の1以下になったことが分かる。また、上記改善方法1は、直角三角形メッシュの場合にはよい精度が得られたが、細長いメッシュを使用すると、誤差が著しく増大することが認められた。
【0116】
また、荷重、体積力と質量が係わる有限要素法による解析の事例として、薄い円筒に、(1)均等な内圧を加えた変形問題、(2)円筒中心軸を回転中心とした等速回転問題、を取り上げた。図29に解析メッシュを示しており、直角等辺三角形のシェル要素によりメッシュ分割を行った。この際、軸方向の中央に位置する節点(●で示す節点)に円周方向と軸方向の拘束条件を与えた。
【0117】
図30に従来の有限要素法を用いた内圧による径方向の変位を、図31に従来の有限要素法を用いた回転による径方向の変位を示す。点線で初期形状を示し、灰色で膨張方向の変位を、黒色で縮小方向の変位を表わす。各節点は同じ変位をする実現象と異なって、節点周辺の局所メッシュ・パターンによって、変位差が現れた。その原因は、図6の説明で述べた不整合性の問題と共通である。図32に本発明での提案方法(上記「面上に分布する場合」)による内圧での径方向の変位結果を示しており、要素形状に応じた節点荷重を与えた結果、均一変位になっていることが確認できる。回転問題についても、解析原理が同じであるため、遠心力を同じ考え方で各節点に分配すれば、均一変位が得られることは明確的である。
【0118】
三次元四面体問題については、式(13)と(14)により定義された熱伝導問題を図33のメッシュ・パターンを用いて解析した最大誤差を図34に示す。この際λ=1とし、ソース項の要素代表値として幾何学中心値を採用した。メッシュ・パターンとして、図33(a)は一個の立方体を六個の四面体に、(b)は一個の長方体を十四個の四面体に、(c)は(b)の四面体をさらに四個の四面体に分割したものである。本発明の解析方法は、いずれのメッシュ・パターンにおいても解析精度が改善され、特に品質の悪い要素では誤差が従来の有限要素法の2分の1以下になったことが分かる。
【0119】
荷重、体積力と質量が係わる有限要素法による解析の事例として、図35の四角柱の自重による変形問題を取り上げ、本発明の改善効果を示す。図36には従来の有限要素法による高さ方向の変位結果を、図37には本発明、すなわち、式(36)’を導入した高さ方向の変位結果を、示す。上面における4節点が同じ変位をする実現象に対して、本発明の解析結果においては、4節点の変位差は、従来の有限要素法に比べ大幅に改善されたことが確認できる。改善の理由については、上面一番左の節点を例に説明する。従来の有限要素法においては、当節点に要素自重の4分の1しか寄与されていないため、変位の絶対値が小さくなっている。本発明では、当節点に式(36)’に基づいて要素自重の2分の1が寄与されるため、変位の改善効果が得られた。
【0120】
[二次元四角形の解析について]
ついで、二次元四角形の解析について説明する。二次元四角形の解析において保存則を満たさない問題を改善するため、簡単に実行できるソース項の保存型離散化手法を提案する。式(3)’の左辺については有限要素法のままで離散化をし、右辺については追加項
【数87】

を加えて、次式により有限要素解析を行う。
【数88】

【0121】
ここで、NDは節点Pの要素eにおける節点領域(Nodal
Domain)と称するものであり、Qは点Oでのソース値である。NDが式(15)左辺の積分から導かれたコントロール・ボリュームと面積上で等しくなれば、保存則を2次精度で満足することができ、メッシュ依存性を改善し、特に、低品質要素での精度向上効果が期待できる。考え方としては、Qの代わりに要素ソース項のほかの代表値、例えば重心でのソース値や要素平均値などを式(46)に入れることも考えられる。また、式(3)’右辺の要素積分を単純にNDで近似する選択もある。
【0122】
一般形状の四辺形要素において、節点領域を以下の普遍性のある方法により算出する。節点Pの要素eにおける局所番号を1とすると、式(15)左辺の要素積分の結果を次の汎用式に整理することができる。
【数89】

係数Aは四節点の座標のみで決まる定数である。有限要素法の性質より、次式が成り立つ。
【数90】

【0123】
[二次元四角形における節点領域の算出方法1]
i,j,kで、それぞれ節点2、3、4の中の異なる一節点を表わし、順序には制限がないこととする。係数A,A,Aが持つ符号の全ての組み合わせと式(48)を考えると、式(47)を次の節点温度差の形に書き換えることができる。
【数91】

【0124】
すなわち、Aのみが正の場合には式(49−1)を、A,A,A,Aの中の二つの係数が正の場合には式(49−2)、もしくは(49−3)を、三つの係数が正の場合には式(49−4)を採用する。また、式(49−1)〜(49−4)の右辺の各項の係数が正の値を持つことが分かる。
【0125】
式(49−1)〜(49−4)右辺の各項を、Tを含むものと含まないものに分類しておく。Tを含む項の展開については、λB1j(T−T)を例に説明する。ここで、B1jでλ(T−T)項の係数を表わす。L1jで節点1と節点j間の線分を表わすと、次式が得られる。
【数92】

【0126】
式(50)右辺は線分L1jの中点での節点1から節点jに向かう2次精度の熱流束により、L1jの中点から垂直方向に長さB1j1jを伸びた線分を通過する熱量であることが分かる。この線分をB1j1jで表わす。保存則の観点から、この項に相当するソース項の領域は、節点1、線分L1jの中点、線分B1j1jの端点、といった三点から成す三角形となる。この三角形の面積をND1jで表わし次式により計算することができる。
【数93】

【0127】
図38には二つの例としてND13とND14を示す。Tを含まない項の展開については、λBij(T−T)を例に説明する。節点iと節点j間の線分をLijで表わすと、次式が得られる。
【数94】

【0128】
式(52)右辺は線分Lijの中点での節点iから節点jに向かう2次精度の熱流束により、Lijの中点から垂直方向に長さBijijを伸びた線分を通過する熱量であることが分かる。この線分をBijijで表わす。この項に相当するソース項の領域は、節点1、Lijの中点(mと記す)、線分Bijijのもう一つの端点(lと記す)といった三点から成す三角形となる。この三角形の面積をNDijで表わし、次式により計算する。
【数95】

式(53)右辺の符号については、点1から中点mに向かうベクトルと流束ベクトルとの角度αが|α|<π/2にある、すなわち、熱流束が三角形から流出する場合には正とする。αが|α|≧π/2にある、すなわち、熱流束が三角形に流入する場合には負とする。図39には二つの例としてND23>0とND24≦0を示す。
【0129】
最終的に、対象節点1の節点領域の面積は、係数A,A,Aの符号に合わせて式(54−1)〜(54−4)中の一式により算出する。
【数96】

【0130】
[二次元四角形における節点領域の算出方法2]
係数A,A,Aの符号と大きさに関係なく、式(49−1)、(50)、(51)と(54−1)によりNDを求める。この際、ND1j(j=2,3,4)はB1j、すなわち−Aと同じ符号になる。
【0131】
[本二次元四角形の解析手法の整合性、唯一性、正規性]
整合性とは、節点領域とコントロール・ボリュームと同面積であることを意味する。整合性が成立すれば、節点レベルでの保存則が2次精度で満足されることになり、精度改善効果が理論上で保証される。
【0132】
図12の長方形要素に対しては、式(16)を次式に書き換えておく。
【数97】

【0133】
上記算出方法1の整合性については、h/√2≦h≦√2・hの場合には、T以外の係数が負になっているため、式(49−1)に当てはめ、次式が得られる。
【数98】

【0134】
その結果、節点領域として次式が得られる。
【数99】

【0135】
また、h>√2・hの場合には、Tの係数が正に、T,Tの係数が負になる。A>|A|であるため、式(49−2)に当てはめると次式が得られる。
【数100】

【0136】
その結果、節点領域として次式が得られる。
【数101】

【0137】
なお、h>√2・hの場合についてもND=S/4であることが証明できるため、ND=CVの関係式がh/hの比例に関係なく成立していることが分かる。
【0138】
上記算出方法2の整合性については、式(49−1)を採用したので、その結果は式(57)となる。
【0139】
ほかの節点については、要素形状の対称性を考慮すると、ND=ND=ND=S/4を得ることができる。結局、長方形要素においては、式(46)右辺の追加項がゼロとなり、保存型離散化がGalerkin有限要素法と同じものになる。
【0140】
さらに、図13の平行四辺形要素、図14の二節点が重なる四辺形要素に適用すると、上記表2に示す節点領域が得られる。以上の三種類の四辺形要素に対して、コントロール・ボリュームと完全一致していることが確認できる。しかし、一般形状の四辺形要素については、コントロール・ボリュームが明確になっていないため、代わりに後述の数値解析により精度改善効果について検証する。
【0141】
節点領域の唯一性とは、式(54−1)〜(54−4)により求められたNDの結果は、「i,j,kへの局所節点番号の与え方によって変らない」、「算出方法2を使っても変らない」、ことを意味する。例えば、h>√2・hの長方形要素に対して、式(58)においては、i=2、j=3、k=4としたが、代わりにi=2、j=4、k=3の選択も、次式により節点領域を求めることも考えられる。
【数102】

【0142】
その結果、次式の節点領域が得られる。
【数103】

これは、式(59)の結果と同じであるため、算出方法1においては唯一性が証明された。算出方法2における唯一性は、式(57)の結果により示されている。
【0143】
正規性とは、
【数104】

すなわち、式(46)右辺に入れた追加項の同要素四節点についての合計がゼロになることを意味する。正規性が成立すれば、要素レベルでも、全解析領域でも保存則が満たされることが保証される。図12、図13、図14の要素形状に対しては、上記表2の最後の行に示すように、
【数105】

になるため、正規性が保たれている。
【0144】
同様に図13、図14の要素形状についても、唯一性が保たれたことを理論的に証明できる。しかし、一般形状の四辺形要素においては、ヤコビアンが絡んでくるため、正規性と唯一性について理論上の議論は困難である。代わりに、下記の数値計算により検討する。四辺形要素の形状としては、節点1を図40の太い●印の二通りの配置に対して、節点2を○印に置き、節点3を最下行以外の全点に置き、節点4を中心列を含めた左側の全点に置いた組み合わせで、できた各四辺形要素をテスト対象とした。これらの要素形状では実用解析で使用される要素形状をカバーできるといえる。この際、上記算出方法1においてはi,j,kに許容される全ての局所節点番号の組み合わせを与えて数値解析により節点領域を算出した。その結果、面積がゼロ以下の形状と凹形状を除いて、上記算出方法1での全テストケースと上記算出方法2での全テストケースにおいて正規性と唯一性が満たされていることが確認できた。
【0145】
[二次元四角形における本発明の効果]
保存型離散化手法の精度改善効果を二つの熱伝導問題の解析事例により示す。この際、解析領域を正方形領域(0≦x<1、0≦y≦1)に限定し、要素代表ソース値を四節点の平均位置での値とし、λ=1とした。
【0146】
解析問題1としては、式(63)のソース項に式(64)の基本境界条件のみを加えたものである。
【数106】

【数107】

【0147】
その厳密解は次式になる。
【数108】

【0148】
解析問題2としては、式(66)のソース項に式(67)の基本境界条件と式(68)の自然境界条件を加えたものである。
【数109】

【数110】

【数111】

【0149】
その厳密解は次式になる。
【数112】

【0150】
解析の数値誤差について次式により評価する。
【数113】

ここで、TAi:節点iでの厳密解、TNi:節点iでの数値解、TAmax:厳密解の最大値、である。
【0151】
図41に使用した10パターンのメッシュを、対称性があるため0≦x≦0.5、0≦y≦0.5の部分のみ示す。「・」印で節点位置を、各図の表題の括弧内の数字で総節点数を表わす。図42に基本境界条件での数値誤差、図43に基本・自然境界条件での数値誤差を示す。これらの図より、本発明の手法(CSFEで表わす)では、正方形以外の全てのメッシュにおいて解析誤差が、従来の有限要素法(GFEで表わす)の2分の1以下に低減されたことが分かる。
【0152】
図44と図45に各メッシュにおける総節点数の逆数と解析誤差との相関を示しており、実線で二通りの正方形要素での結果を結んだ。これらの図より、従来の有限要素法にはメッシュ品質の影響が大きいが、保存型離散化手法にはメッシュ品質の影響が少なく、低平角四辺形を除けば、正方形とほぼ同程度の解析精度が得られた。
【0153】
結論として、線形四辺形要素によるPoissonの方程式の有限要素解析において、新たな節点領域の定義を考案し、2階微分項との整合性がとれたソース項の保存型離散化手法を提案することができた。従って、下記の(1)〜(4)の効果を得ることができた。
(1)節点方程式に寄与するソース量が、要素形状に関係する節点領域の大きさに対応させたことにより、節点レベルで保存則を2次精度で満足するようになった。しかも、要素レベルでも保存則が満たされている。
(2)鈍角要素形状においても、要素外のソース項を取り入れることがなく、ソース項が急激に変化する場合にも数値誤差を抑えることができた。
(3)要素の品質が低いほど、本手法の精度改善効果が大きい。
(4)幾つかのメッシュ・パターンを用いて数値解析を行った結果、従来の有限要素法に比べ解析精度が大幅に改善されることが確認できた。
【0154】
[二次元四角形解析における他分野の解析]
以上の二次元四角形解析においては、熱伝導問題を例に本発明の実施形態について説明してきたが、勿論、Poissonの方程式が記述する現象の全てにそのまま展開できる。例えば、流れ問題、電・磁気問題、弾性変形問題、物質拡散問題などが応用できる分野として挙げられる。
【0155】
また、本発明の基本的な考え方は、二次精度の保存則の観点から楕円型演算子の離散化結果におけるコントロール・ボリュームを見出し、ソース項の積分領域をそれに合わせたものである。従って、この考え方は、保存則から導出された楕円型演算子を含む各種の支配方程式の有限要素解析に容易に応用できる。すなわち、物理量の発生・消失と流出・流入を算出するとき、その積分領域について、本発明で導出した節点領域の考え方を導入して積分すればよい。例えば、非定常移流拡散解析において、非定常項と移流項の離散化に対して本発明におけるソース項の積分領域の考え方が適用できる。
【0156】
また、荷重、体積力、質量が係わる従来の有限要素法による解析においては、それらの扱い方はPoissonの方程式のソースと同じであるため、要素形状と関係なくほぼ均等的に節点方程式に分配される問題も存在する。これらの問題は本発明でのソース項の扱い方で改善することもできる。二次元(面上に分布する場合)、あるいは三次元問題(空間に分布する場合)の解析において、面s上に分布する荷重、体積力、質量については、式(46)の右辺のソース項と同様に追加項を加えて修正すると、対象節点に寄与する荷重、体積力、質量は
【数114】

となる。ここで、fは荷重の任意成分、体積力の任意成分、質量を意味する。
【0157】
荷重、体積力と質量が係わる有限要素法による解析の事例として、薄い円筒に、均等な内圧を加えた変形問題を取り上げた。図46に解析メッシュを示しており、四角形のシェル要素によりメッシュ分割を行った。この際、●で示す節点に円周方向と軸方向の拘束条件を与えた。
【0158】
図47に従来の有限要素法を用いた内圧による径方向の変位を示す。点線で初期形状を示し、灰色で膨張方向の変位を、黒色で縮小方向の変位を表わす。各節点は同じ変位をする実現象と異なって、節点周辺の局所メッシュ・パターンによって、変位差が現れた。図48に本発明での提案方法(式(71))による内圧での径方向の変位結果を示しており、要素形状に応じた節点荷重を与えた結果、変位のバラツキが大幅に改善されたことが確認できる。体積力と質量が係わる問題は、同じ原理が適用できるものである。
【0159】
[三次元六面体・五面体の解析について]
前述の「従来の有限要素法による三次元六面体及び三次元五面体の問題」で述べた保存則を満たさない問題を改善するため、簡単に実行できるソース項の保存型離散化手法を提案する。式(23)の左辺については従来の有限要素法のままで離散化をし、右辺については追加項
【数115】

を加えて、次式により有限要素解析を行う。
【数116】

【0160】
ここで、NDは節点Pの要素eにおける節点領域(Nodal Domain)と称するものであり、Qは当要素に属する全節点の座標平均位置でのソース値である。NDが式(24)の左辺の要素積分から導かれたコントロール・ボリュームと体積上で等しくなれば、保存則を2次精度で満足することができ、メッシュ依存性を改善し、特に、低品質要素での精度向上効果が期待できる。また、考え方としてはQの代わりに要素ソース項のほかの代表値、例えば重心でのソース値などを式(72)に入れることも考えられる。また、式(23)の右辺の要素積分を単純にNDで近似する選択もある。
【0161】
一般形状の六面体要素と五面体要素において、節点領域を以下の方法により算出する。節点Pの要素eにおける局所番号を1とすると、式(24)左辺の要素積分の結果を次の汎用式に整理することができる。
【数117】

ここで、Nは一要素の節点数であり、六面体要素ではN=8、五面体要素ではN=6となる。また、係数Aは節点座標のみで決まる定数である。有限要素法の性質より次式が成り立つ。
【数118】

【0162】
[三次元六面体・五面体における節点領域の算出方法1]
式(74)を利用すると、式(73)を次式に書き換えることができる。
【数119】

【0163】
ここで、I1iは節点1と節点i間の距離であり、次式により算出する。
【数120】

【0164】
式(75)の右辺の物理的な意味は、節点1と節点iの中点(I1iと記す)での節点1から節点iに向かう熱流束の2次近似λ(T−T)/I1iにより、熱流束に垂直で中点I1iを通る面積(−A)I1iを通過する熱量である。この流出熱量により節点1に割り当てられた熱源の体積を、図49に示す節点1を頂点とし(−A)I1iを底面積とした錐体とする。この錐体の体積をND1iで表わすと、次式が得られる。
【数121】

【0165】
各熱流束に割り当てる熱源の体積を合計したものを節点1の節点領域NDとすると、次式が得られる。
【数122】

節点領域の求め方は、保存則によりある物理量の支配方程式を導出するときに使用されるコントロール・ボリュームの考え方と合致する。式(78)の節点領域を式(72)右辺に代入して、精度向上を図る。なお、係数A(i=2,3,・・・,N)の中、正のものが存在するケースもあるが、この場合は、熱が錐体に流入することになっているためND1iが負になる。
【0166】
[三次元六面体・五面体における節点領域の算出方法2]
(i=1,2,・・・,N)中のA>0のものをそれぞれB(j=1,2,・・・,N)で表わし、Nでその数を表わす。また、A≦0のものをそれぞれC(k=1,2,・・・,N)で表わし、Nでその数を表わすと、式(73)を次式で表わすことができる。
【数123】

【0167】
ここで、添え字iは要素に属する全節点を有限要素法で決めたルールに従って1から数えるものであるが、jは係数が正の節点のみを任意の順序で1から数え、kは係数が負の節点のみを任意の順序で1から数えるものである。従って、例えi,j,kが同じ数字をとったとしても、TとT、TとTkとは必ずしも同一節点での温度ではなく、また、TとTとはいつも異なる節点での温度である。式(74−2)より次式が成り立つことが分かる。
【数124】

【0168】
各係数の値を棒の長さで表わすと、式(80)の関係式を図50で表現することができる。各係数間の繋ぎ目で区分すると、式(73)を次式のように係数が正の節点温度と係数が負の節点温度との差の和に書き換えることができる。
【数125】

【0169】
ここで、Djkは正の値のものでBと−Cとが重なる部分である。Σはjkの組み合わせの合計を意味し、ljkは節点jとk間の距離である。式(81)の右辺の物理的な意味は、節点jとkの中点(Ijkと記す)での節点jから節点kに向かう熱流束の2次近似λ(T−T)/Ijkにより、熱流束に垂直で中点Ijkを通る面積Djkjkを通過した熱量である。この熱量により節点1に割り当てられた熱源の体積は、図51に示す節点1を頂点としDjkjkを底面積とした錐体とする。この体積をNDjkで表わすと、次式が得られる。
【数126】

【0170】
式(82)の右辺の[]内のものは、節点1から中点Ijkまでのベクトルと節点jから節点kまでのベクトルとの内積である。両ベクトルのなす角度が−π/2〜π/2の範囲内にある場合は、熱量が錐体から流出するためNDjkが正になる。その角度がこの範囲外にある場合は、熱量が錐体に流入するためNDjkが負になる。各熱流束に割り当てる熱源の体積を合計したものを節点1の節点領域NDとすると、次式が得られる。
【数127】

このように導出した節点領域を式(72)の右辺に代入して、精度向上を図る。
【0171】
[整合性、唯一性、正規性について]
整合性とは、節点領域とコントロール・ボリュームとが同体積であることを意味する。整合性が成立すれば、節点レベルでの保存則が2次精度で満足されることになり、精度改善効果が理論上で保証される。
【0172】
節点領域の考え方を図16の長方体要素に適用した場合の整合性について検討するため、式(25)を次式に書き換える。
【数128】

【0173】
ここで、α=h/18h、β=h/18h、γ=h/18hである。上述の節点領域の算出方法1により次式を得ることができる。
【数129】

【0174】
同様にND1i(i=3,4,・・・,8)を求めて、合計すると、次式が得られ、式(26)と比較するとコントロール・ボリュームと一致することが分かる。
【数130】

【0175】
ほかの節点についても、要素形状の対称性を考慮すると整合性が満たされることが分かる。同様に図18の正三角柱要素においても、次式が成立することが証明できる。式(30)と比較すると整合性が満たされることが分かる。
【数131】

【0176】
また、正規性とは、
【数132】

すなわち、式(72)の右辺への追加項の同要素全節点についての合計がゼロになることを意味する。正規性が成立すれば、要素レベルでも、全解析領域でも保存則が満たされることが保証される。長方体要素と正三角柱要素において、正規性が保たれていることが、式(86)と式(87)の結果、および要素形状の対称性から分かる。
【0177】
また、節点領域の唯一性とは、上記算出方法1と算出方法2で同じ結果が得られることを意味する。その理論証明は、算出方法2におけるバリエーションが多いため煩雑である。
【0178】
一般形状の六面体要素、五面体要素においては、ヤコビアンが絡んでくるため、整合性、正規性と唯一性について理論上の議論は困難である。代わりに、整合性については、後述の「作用及び効果」の欄で述べる数値解析において精度改善について検証する。正規性と唯一性についての検討は、以下の形状を持つ要素において行う。立方体領域(−5≦x,y,z≦5)を幅2の立方体のメッシュに分割し、節点1をx=y=z=−1に、節点2をx=1、y=z=−1に置き、残る六節点(六面体要素の場合)、あるいは四節点(五面体要素の場合)はメッシュにおける全格子点に置いた組み合わせでできた全ての要素形状について検証を行った。これらの要素形状ではアスベクト比が3以下の実用解析で使用される要素形状をカバーできたといえる。この際、節点領域の算出方法2においては、正の係数の並ぶ順序については節点番号1から探し出して、負の係数の並ぶ順序については節点番号1からのと節点番号Nからの二通りで行った。その結果、体積がゼロ以下の要素と凹形状の要素を除いて、全テスト要素において正規性と唯一性が満たされていることが確認できた。
【0179】
[三次元六面体・五面体における作用及び効果]
保存型離散化手法の精度改善効果を二つの熱伝導問題の解析事例により示す。この際、解析領域を(0≦x,y,z≦1)の立方体領域とし、λ=1とした。基本境界条件問題としては、式(88)のソース項分布に式(89)の境界条件を加えた。その厳密解は式(90)となる。また、基本・自然境界条件問題としては、式(91)のソース項分布に式(92)の基本境界条件と式(93)の自然境界条件を加えた。その厳密解は式(94)となる。
【数133】

【0180】
解析の数値誤差については次式により評価する。
【数134】

ここで、TAi:節点iでの厳密解、TNi:節点iでの数値解、TAmax:厳密解の最大値、である。
【0181】
数値解析に使用する八パターンの六面体メッシュを図52に示しており、xy平面上の四辺形メッシュをz方向に押し出して16層を作成したものである。“●”で節点を、括弧内の数字で総節点数を表わす。メッシュが対称性を持つため、図中にはxy平面上の4分の1の部分のみを示す。図53(a)に基本境界条件問題、図53(b)に基本・自然境界条件問題での解析誤差を示す。長方体以外のメッシュでは、従来の有限要素法(GFE)に比べ、ソース項の保存型離散化(CSFE)の解析精度が大幅に改善されたことが確認できる。また、解析誤差がメッシュ幅の自乗、すなわち、3次元問題では1/Node2/3と比例すると指摘された(非特許文献1)ため、図54には直線で示す長方体メッシュでの結果を基準にして、各要素形状における節点数と解析誤差との関係を示す。ソース項の保存型離散化(CSFE)は、長方体に近いまで解析精度が改善されたことが確認できる。
【0182】
図55に使用する四パターンの五面体メッシュを示しており、xy平面上の三角形メッシュをz方向に押し出して16層を作成したものである。メッシュの対称性を考慮して図中にはxy平面上の4分の1のメッシュのみを示す。図56(a)に基本境界条件問題、図56(b)に基本・自然境界条件問題での解析誤差を示す。特に、自然境界を含む解析条件では、従来の有限要素法(GFE)に比べ、ソース項の保存型離散化(CSFE)の解析精度が大幅に改善されたことが確認できる。
【0183】
本提案では、解析精度の改善や、メッシュ作成工数の低減、解析時間の短縮などの効果が得られる。市販の解析ソフトに簡単な修正を加えるだけで実現でき、計算コストも増えない。
【0184】
[本発明の簡単に応用展開できる解析分野]
熱伝導問題を例に本発明の応用について説明してきたが、勿論、Poissonの方程式が記述する現象の全てにそのまま展開できる。例えば、流れ問題、電・磁気問題、弾性変形問題、物質拡散問題などが応用できる分野として挙げられる。
【0185】
本発明の基本的な考え方は、二次精度の保存則の観点から楕円型演算子の離散化結果におけるコントロール・ボリュームを見出し、ソース項の積分領域をそれに合わせたものである。したがって、この考え方は、保存則から導出された楕円型演算子を含む各種の支配方程式の有限要素解析に容易に応用できる。すなわち、物理量の発生・消失と流出・流入を算出するとき、その積分領域について、本発明で導出した節点領域の考え方を導入して積分すればよい。例えば、非定常移流拡散解析において、非定常項と移流項の離散化に対して本発明におけるソース項の積分領域の考え方が適用できる。
【0186】
また、荷重、体積力、質量が係わる従来の有限要素法による解析においては、それらの扱い方は、式(23)の右辺におけるソースと同じように、
【数135】

により節点方程式に分配されるため、不整合性問題も存在する。これらの問題は本発明でのソース項の扱い方で改善することもできる。三次元問題の解析においては、荷重、体積力、質量について式(72)の右辺のソース項と同様に追加項を加えて修正し、対象節点Pに寄与する荷重、体積力、質量は次式により算出する。
【数136】

ここで、fは荷重の任意成分、体積力の任意成分、質量を意味する。
【0187】
[本発明のまとめ]
以上説明したように、本発明に係る有限要素法を用いた解析方法にあっては、一般関数項(熱問題等の場合はソース項、荷重、体積力、質量が係る問題の場合はフォース項)を積分する一般関数項積分工程(ソース項積分工程、フォース項積分項手値)(ステップS4)にあって、Galerkin有限要素法による二階微分項の離散化結果を基に定義された節点領域の考え方を導入し、要素の代表値を用いた一般関数項(ソース項、フォース項)を積分するので、節点領域の大きさに見合った値(ソース量)を取り入れることができる。これにより、メッシュ・パターンによる解析誤差を低減することができ、品質が低い要素(品質の低いメッシュ・パターン)からも高精度な数値解を得ることが可能となる。このため、メッシュ・パターンの品質を高める作業(メッシュ・パターンを例えば正三角形、正四面体、正方形に近づける作業)を不要とすることができるものでありながら、アルゴリズム(プログラム)の修正による計算量の増加が殆んどないので、コンピュータによる演算処理の増大も防止することができ、総じて解析時間の短縮化を図ることができる。
【0188】
また、境界条件については、節点領域の範囲と合致したものを導入する境界条件導入工程(ステップS6)を設けたので、節点レベルで精度を向上させることができる。これにより、さらにメッシュ・パターンによる解析誤差を低減することができ、品質が低い要素(品質の低いメッシュ・パターン)からも高精度な数値解を得ることが可能となる。
【0189】
なお、以上説明した実施の形態においては、特に熱問題等において、ソース項に、二次元三角形の場合は(ND−S/3)Qを追加項とし、三次元四面体の場合は(ND−V/4)Qを追加項とし、二次元四角形の場合は
【数137】

を追加項とし、三次元六面体・五面体の場合は、
【数138】

を追加項としてソース項に追加したものを説明したが、これに限らず、ソース項は要素の幾何学中心でのソース値を用いたソース項に変更する手法であれば、例えばソース項(式(33)、式(36)、式(46)、式(72)の右辺全部)を単純に「ND・Q」に置き換えることも考えられる。
【0190】
また、本実施の形態においては、特に荷重、体積力、質量問題等において、一般関数項に、二次元三角形の場合は(ND−S/3)fを追加項とし、三次元四面体の場合は(ND−V/4)fを追加項とし、二次元四角形の場合は
【数139】

を追加項とし、三次元六面体・五面体の場合は
【数140】

を追加項として一般関数項に追加したものを説明したが、これに限らず、一般関数項は要素の幾何学中心での値を用いた一般関数項に変更する手法であれば、例えば一般関数項を単純に「ND・f」に置き換えることも考えられる。
【0191】
また、本実施の形態では、有限要素法を用いた解析方法、及び有限要素法を用いた解析プログラム、として本発明を説明したが、勿論、これら解析方法や解析プログラムを実行する解析装置(解析システム)や、当該プログラムを記録した記録媒体などの形態で本発明を利用するものも、本発明の適用範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明に係る有限要素法を用いた解析方法、及び有限要素法を用いた解析プログラムは、解析対象の熱伝導解析、流体の流れ解析、電気流れ解析、磁気流れ解析、弾性変形解析、物質拡散解析、荷重解析、体積力解析、質量解析、等の各種解析に用いることが可能であり、特にメッシュ・パターンの品質が低いものであっても誤差の低減が求められるような有限要素法の解析に用いて好適である。
【符号の説明】
【0193】
1 要素における節点
2 要素における節点
3 要素における節点
4 要素のおける節点
P 解析領域における節点
ND 節点領域
Q 一般関数、ソース項
要素ソース代表値
要素ソース代表値
W Galerkin重み関数
e 要素
f 一般関数、荷重、体積力、質量項
要素荷重、体積力、質量の代表値
要素荷重、体積力、質量の代表値
Ω 1節点周りの要素領域
S1 選定工程(ステップS1)
S2 分割工程(ステップS2)
S3 要素マトリクス作成工程(ステップS3)
S4 一般関数項積分工程、ソース項積分工程(ステップS4)
S5 連立方程式作成工程(ステップS5)
S6 境界条件導入工程(ステップS6)
S7 演算工程(ステップS7)
S8 演算工程(ステップS8)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象の解析領域を選定する選定工程と、
前記解析領域を計算対象として複数の要素に分割する分割工程と、
前記複数の要素のうちの、ある要素にある節点についてGalerkin重み関数をかけて要素積分をし、各要素のマトリクスを作成する要素マトリクス作成工程と、
Galerkin重み関数と一般関数との積からなる一般関数項を積分する一般関数項積分工程と、
前記ある節点周りの領域の要素における各要素のマトリクスの和と、前記一般関数項を積分した値の和とに基づき、連立方程式を作成する連立方程式作成工程と、
前記連立方程式に境界条件の導入をする境界条件導入工程と、
前記連立方程式を演算して数値解を得る演算工程と、を備えた有限要素法を用いた解析方法において、
前記一般関数項積分工程にあって、Galerkin有限要素法による二階微分項の離散化結果を基に定義された節点領域の考え方を導入し、要素の代表値を用いた一般関数項を積分する、
ことを特徴とする有限要素法を用いた解析方法。
【請求項2】
前記一般関数項積分工程にあって、節点領域の大きさに合わせて一般関数を節点に分配する、
ことを特徴とする請求項1記載の有限要素法を用いた解析方法。
【請求項3】
前記一般関数項積分工程は、前記一般関数項をソース項としたソース項積分工程であり、
前記ソース項積分工程にあって、要素の代表ソース値を用いたソース項を積分する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の有限要素法を用いた解析方法。
【請求項4】
前記一般関数項積分工程は、前記一般関数項を荷重、体積力、質量としたフォース項積分工程であり、
前記フォース項積分工程にあって、要素の代表フォース値を用いたフォース項を積分する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の有限要素法を用いた解析方法。
【請求項5】
前記複数の要素は、二次元三角形の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の面積をND、前記要素の代表ソース値をQ、前記要素の面積をSとした場合に、(ND−S/3)Qを追加項としてソース項に追加する、
ことを特徴とする請求項3記載の有限要素法を用いた解析方法。
【請求項6】
前記複数の要素は、二次元三角形の要素であり、
前記フォース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の面積をND、前記要素の代表フォース値をf、前記要素の面積をSとした場合に、(ND−S/3)fを追加項としてフォース項に追加する、
ことを特徴とする請求項4記載の有限要素法を用いた解析方法。
【請求項7】
前記複数の要素は、三次元四面体の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の体積をND、前記要素の代表ソース値をQ、前記要素の体積をVとした場合に、(ND−V/4)Qを追加項としてソース項に追加し、かつ前記NDとして以下の数式を用いる、
ことを特徴とする請求項3記載の有限要素法を用いた解析方法。
【数141】

【請求項8】
前記複数の要素は、三次元四面体の要素であり、
前記フォース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の体積をND、前記要素の代表フォース値をf、前記要素の体積をVとした場合に、(ND−V/4)Qを追加項としてフォース項に追加し、かつ前記NDとして以下の数式を用いる、
ことを特徴とする請求項4記載の有限要素法を用いた解析方法。
【数142】

【請求項9】
前記複数の要素は、二次元四角形の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表ソース値をQとした場合に、以下の数式を追加項としてソース項に追加する、
ことを特徴とする請求項3記載の有限要素法を用いた解析方法。
【数143】

【請求項10】
前記複数の要素は、二次元四角形の要素であり、
前記フォース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表フォース値をfとした場合に、以下の数式を追加項としてフォース項に追加する、
ことを特徴とする請求項4記載の有限要素法を用いた解析方法。
【数144】

【請求項11】
前記複数の要素は、三次元六面体又は三次元五面体の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表ソース値をQとした場合に、以下の数式を追加項としてソース項に追加する、
ことを特徴とする請求項3記載の有限要素法を用いた解析方法。
【数145】

【請求項12】
前記複数の要素は、三次元六面体又は三次元五面体の要素であり、
前記フォース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表フォース値をfとした場合に、以下の数式を追加項としてフォース項に追加する、
ことを特徴とする請求項4記載の有限要素法を用いた解析方法。
【数146】

【請求項13】
前記境界条件導入工程にあって、前記各要素の自然境界を通過する熱流束がゼロでない場合に、節点領域の範囲と合致した境界熱流束の節点への配分を行う、
ことを特徴とする請求項2、3、5、7、9、又は11記載の有限要素法を用いた解析方法。
【請求項14】
前記境界条件導入工程にあって、前記各要素の境界での荷重、体積力、質量がゼロでない場合に、節点領域の範囲と合致した荷重、体積力、質量の節点への配分を行う、
ことを特徴とする請求項2、4、6、8、10、又は12記載の有限要素法を用いた解析方法。
【請求項15】
有限要素法を用いた解析演算をコンピュータに実行させるための有限要素法を用いた解析演算プログラムであって、
前記コンピュータに、
解析対象の解析領域を選定する選定工程と、
前記解析領域を計算対象として複数の要素に分割する分割工程と、
前記複数の要素のうちの、ある要素にある節点についてGalerkin重み関数をかけて要素積分をし、各要素のマトリクスを作成する要素マトリクス作成工程と、
Galerkin重み関数と一般関数との積からなり、Galerkin有限要素法による二階微分項の離散化結果を基に定義された節点領域の考え方を導入し、要素の代表値を用いた一般関数項を、積分する一般関数項積分工程と、
前記ある節点周りの領域の要素における各要素のマトリクスの和と、前記一般関数項を積分した値の和とに基づき、連立方程式を作成する連立方程式作成工程と、
前記連立方程式に境界条件の導入をする境界条件導入工程と、
前記連立方程式を演算して数値解を得る演算工程と、を実行させる、
ことを特徴とする有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【請求項16】
前記一般関数項積分工程にあって、節点領域の大きさに合わせて一般関数を節点に分配する
ことを特徴とする請求項15記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【請求項17】
前記一般関数項積分工程は、前記一般関数項をソース項とし、要素の代表ソース値を用いた前記ソース項を積分するソース項積分工程である、
ことを特徴とする請求項15又は16記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【請求項18】
前記一般関数項積分工程は、前記一般関数項を荷重、体積力、質量とし、要素の代表フォース値を用いた前記フォース項を積分するフォース項積分工程である、
ことを特徴とする請求項15又は16記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【請求項19】
前記複数の要素は、二次元三角形の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の面積をND、前記要素の代表ソース値をQ、前記要素の面積をSとした場合に、(ND−S/3)Qを追加項としてソース項に追加する、
ことを特徴とする請求項17記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【請求項20】
前記複数の要素は、二次元三角形の要素であり、
前記フォース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の面積をND、前記要素の代表フォース値をf、前記要素の面積をSとした場合に、(ND−S/3)fを追加項としてフォース項に追加する、
ことを特徴とする請求項18記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【請求項21】
前記複数の要素は、三次元四面体の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の体積をND、前記要素の代表ソース値をQ、前記要素の体積をVとした場合に、(ND−V/4)Qを追加項としてソース項に追加し、かつ前記NDとして以下の数式を用いる、
を特徴とする請求項17記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【数147】

【請求項22】
前記複数の要素は、三次元四面体の要素であり、
前記フォース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域の体積をND、前記要素の代表フォース値をf、前記要素の体積をVとした場合に、(ND−V/4)Qを追加項としてフォース項に追加し、かつ前記NDとして以下の数式を用いる、
を特徴とする請求項18記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【数148】

【請求項23】
前記複数の要素は、二次元四角形の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表ソース値をQとした場合に、以下の数式を追加項としてソース項に追加する、
ことを特徴とする請求項17記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【数149】

【請求項24】
前記複数の要素は、二次元四角形の要素であり、
前記フォース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域をND、前記所定の重み関数をWP、前記要素の代表フォース値をfとした場合に、以下の数式を追加項としてフォース項に追加する、
ことを特徴とする請求項18記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【数150】

【請求項25】
前記複数の要素は、三次元六面体又は三次元五面体の要素であり、
前記ソース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表ソース値をQとした場合に、以下の数式を追加項としてソース項に追加する、
ことを特徴とする請求項17記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【数151】

【請求項26】
前記複数の要素は、三次元六面体又は三次元五面体の要素であり、
前記フォース項積分工程にあって、前記各要素における節点領域をND、前記Galerkin重み関数をWP、前記要素の代表フォース値をfとした場合に、以下の数式を追加項としてフォース項に追加する、
ことを特徴とする請求項18記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【数152】

【請求項27】
前記境界条件導入工程にあって、前記各要素の自然境界を通過する熱流束がゼロでない場合に、節点領域の範囲と合致した境界熱流束の節点への配分を実行させる、
ことを特徴とする請求項16、17、19、21、23、又は25記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。
【請求項28】
前記境界条件導入工程にあって、前記各要素の境界で荷重、体積力、質量がゼロでない場合に、節点領域の範囲と合致した荷重、体積力、質量の節点への配分を実行させる、
ことを特徴とする請求項16、18、20、22、24、又は26記載の有限要素法を用いた解析演算プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate

【図57】
image rotate


【公開番号】特開2012−74000(P2012−74000A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47445(P2011−47445)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】