木材の加工方法および電子機器用外装体
【課題】圧縮成形を行う木材の所定の部分に対して、難燃化に必要かつ十分な難燃処理液を容易に浸透させることができる木材の加工方法および当該木材の加工方法によって形成される電子機器用外装体を提供する。
【解決手段】木材加工用の一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記難燃処理液が、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体である。
【解決手段】木材加工用の一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記難燃処理液が、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、木材を圧縮することによって加工する木材の加工方法および当該木材の加工方法によって形成された電子機器用外装体に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことのできる素材として木材が注目されており、その加工技術も飛躍的に進歩しつつある。
【０００３】
従来、かかる木材の加工技術として、吸水軟化した一枚の木材を圧縮し、その木材を圧縮方向と略平行にスライスして板状の一次固定品を得た後、この一次固定品を加熱吸水させながら所定の３次元形状に成形する技術が知られている（例えば、特許文献１を参照）。また、軟化処理した状態で圧縮した一枚の木材を仮固定し、この木材を型に入れて回復させることによって型成形する技術も知られている（例えば、特許文献２を参照）。このような加工技術を用いて圧縮成形された木材（圧縮木材）は、電子機器の外装体としても適用し得る程度の強度を有している（例えば、特許文献３を参照）。
【０００４】
ところで、木材には、金属や合成樹脂と比較して燃焼しやすいという欠点がある。このような木材の欠点を解消して木材を難燃化する技術として、適当な薬剤（難燃剤）を含む難燃処理液を木材の表面から注入または含浸する技術が知られている。この難燃処理を行う際には、原木の段階で難燃処理液を表面から注入または含浸させるのが一般的である。この場合、原木の内部まで難燃処理液が浸透することはまれである。また、原木をそのまま利用する場合には、難燃処理液がその表面にさえ浸透していればよく、内部まで浸透する必要はない。
【０００５】
【特許文献１】特許第３０７８４５２号公報
【特許文献２】特開平１１−７７６１９号公報
【特許文献３】特開２００５−１５３３６４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
上記の如く木材を圧縮成形する場合には、圧縮すべき木材を原木から切削等によって削り出すのが一般的であるが、成形の途中において木材を切削したりすることもあるため、原木の段階で難燃処理を施すと、成形品である圧縮木材の表面に難燃処理液が全く浸透していなかったり、難燃処理液の浸透深さにムラが生じてしまうことがあり、改めて難燃処理液を浸透させなければならない場合があった。この問題を解決するため、成形後の圧縮木材に難燃処理液を注入または含浸させる方法も考えられるが、圧縮木材はその表面が圧縮前と比較して硬化しているため、難燃処理液がその圧縮木材の難燃化に必要かつ十分なだけ浸透しない恐れがあった。
【０００７】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、圧縮成形を行う木材の所定の部分に対して、難燃化に必要かつ十分な難燃処理液を容易に浸透させることができる木材の加工方法および当該木材の加工方法によって形成される電子機器用外装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項１記載の発明は、木材を一対の金型によって加工する木材の加工方法において、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記難燃処理液は、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることを特徴とする。
【０００９】
請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明において、前記圧縮工程は、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型を前記木材の炭化温度よりも高い温度に達するまで加熱し、この加熱した金型を用いて前記木材を圧縮するとともに、前記木材の前記加熱した金型に当接する表面を炭化することを特徴とする。
【００１０】
請求項３記載の発明は、請求項２記載の発明において、前記圧縮工程で加熱される金型は、前記難燃処理液付着工程で前記難燃処理液が付着された金型であることを特徴とする。
【００１１】
請求項４記載の発明は、請求項１記載の発明において、前記木材の少なくとも一方の表面を炭化する炭化工程を有し、前記炭化工程を前記圧縮工程とは別の工程として行うことを特徴とする。
【００１２】
請求項５記載の発明は、電子機器を外装する電子機器用外装体であって、請求項１〜４のいずれか一項記載の木材の加工方法によって形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、木材加工用の一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記難燃処理液が、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることにより、圧縮成形を行う木材の所定の部分に対して、難燃化に必要かつ十分な難燃処理液を容易に浸透させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態（以後、「実施の形態」と称する）を説明する。
【００１５】
（実施の形態１）
本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法においては、まず、所定の形状をなす木材を原木から形取る。図１は、この形取工程の概要を模式的に示す図である。同図に示す木材１は、原木である無圧縮状態の無垢材１０（木目１０Ｇを有する）から切削等によって形取られ、略長方形状の表面をなす平板状の主板部１ａと、この主板部１ａ表面の長手方向に略平行な２辺の各々から主板部１ａ表面に対して所定の角度をなして延出する二つの側板部１ｂと、主板部１ａ表面の短手方向に略平行な２辺の各々から主板部１ａ表面に対して所定の角度をなして延出する二つの側板部１ｃとを備え、皿状（椀状、シェル状、箱状等の形状を含む）をなす。この木材１は、後述する圧縮工程によって減少する分の容積を予め加えた容積を有する。
【００１６】
図１に示す場合、無垢材１０から形取る木材１の長手方向とその木材１の繊維方向Ｌとが略平行であって主板部１ａの表面が柾目面をなすように形取りを行っているが、これはあくまでも一例に過ぎない。他にも、木材１の長手方向がその木材１の繊維方向Ｌと略平行であり、主板部１ａの表面が板目面、追柾面をなすように形取ることもできる。また、木材１の長手方向がその木材の繊維方向Ｌと略直交し、主板部１ａの表面が木口面をなすように形取ることもできる。このように、木材を原木からどのように形取るかは、その木材に対して要求する強度や美観等の条件に応じて定められる。このような事情に鑑み、以後の説明で参照する図面においては、木目を省略して記載する。
【００１７】
なお、無垢材１０は、ヒノキ、ヒバ、スギ、桐、松、桜、欅、黒檀、竹、チーク、マホガニー、ローズウッドなどの中から、加工した木材の用途等に応じて最適なものを選択すればよい。また、木材を原木から形取る際には平板状に形取ってもよい。
【００１８】
図２は、本実施の形態１に係る木材の加工方法において使用する金型の構成および木材１を圧縮する前の状態を示す図であり、図３は図２のＡ−Ａ線断面図である。これらの図に示すように、木材１は、一対の金型５１および６１によって挟持され、圧縮力が加えられる。
【００１９】
一対の金型のうち、圧縮時に木材１の上方から圧縮力を加える金型５１は、木材１の主板部１ａから側板部１ｂおよび１ｃに各々立ち上がって湾曲する曲面の内側面に嵌合する形状をなす凸部５２を備えたコア金型である。凸部５２の表面（皿状をなす木材１の表面のうち皿の内側に相当する表面と接触する金型の表面）には、木材を難燃化する難燃処理液２１が付着している。凸部５２のうち曲面１ａｂに当接する曲面の曲率半径をＲＡとし、木材１の内側面のうち、主板部１ａから側板部１ｂに立ち上がって湾曲する曲面１ａｂ内側面の曲率半径をＲＩとすると、この二つの曲率半径は、ＲＩ＞ＲＡという関係を満たす。
【００２０】
圧縮時に木材１の下方から圧縮力を加える金型６１は、木材１の主板部１ａから側板部１ｂおよび１ｃに各々立ち上がって湾曲する曲面の外側面を嵌入する凹部６２を備えたキャビティ金型である。凹部６２のうち曲面１ａｂの外側面に当接する曲面の曲率半径をＲＢとし、木材１の主板部１ａから側板部１ｂに立ち上がって湾曲する曲面１ａｂ外側面の曲率半径をＲＯとすると、この二つの曲率半径は、ＲＯ＞ＲＢという関係を満たす。
【００２１】
本実施の形態１に係る木材の加工方法においては、以上の構成を有する金型５１と金型６１との間で木材１を挟持する前に、常温（５〜３５℃程度）またはそれよりも高い温度（〜１００℃程度）を有する状態で金型５１の凸部５２の表面に難燃処理液２１を付着させる（難燃処理液付着工程）。この難燃処理液２１は、少なくとも凸部５２の表面に付着させる際に液体であればよい。これにより、難燃処理液２１を凸部５２の表面に付着させる際には、刷毛やローラーによって難燃処理液２１を塗布するか、またはスプレーによって難燃処理液２１を吹き付ければよいので、難燃処理液付着工程を容易にかつ迅速に行うことが可能となる。
【００２２】
難燃処理液２１は、具体的には、ホウ素系化合物（ホウ砂、ホウ酸、八ホウ酸ナトリウムなど）、アンモニウム塩（第ニリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなど）、またはスルファミン酸グアニジンなど、通常使用されている難燃剤の水溶液である。
【００２３】
なお、ここでは金型５１の凸部５２に難燃処理液２１を付着する場合を説明したが、金型６１の凹部６２に難燃処理液２１を付着してもよい。また、金型５１の凸部５２および金型６１の凹部６２の各々に対して同じまたは異なる種類の難燃処理液を付着させてもよい。
【００２４】
次に、上記の如く難燃処理液２１が付着した金型５１と、この金型５１と対をなす金型６１とを用いることによって行う木材１の圧縮工程について説明する。この圧縮工程を行うに際して、木材１を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中に所定時間放置することにより、水分を過剰に吸収させて軟化させる。ここでいう高温高圧とは、温度が１００〜２３０℃、より好ましくは１５０〜２３０℃、さらに好ましくは１８０〜２００℃程度であり、圧力が０.１〜３.０ＭＰａ（メガパスカル）、より好ましくは０.４５〜２.５ＭＰａ、さらに好ましくは１.０〜１.６ＭＰａ程度の状態を指す。なお、上述した水蒸気雰囲気中で木材１を放置して軟化させる代わりに、例えば木材１をマイクロウェーブの如き高周波の電磁波によって加熱して軟化させてもよい。
【００２５】
その後、上記同様の水蒸気雰囲気中で木材１を圧縮する。図４は、軟化した木材１を所定の位置に配置した後、金型５１を下降させて金型６１との間で木材１を挟持し、この挟持した木材１に対して所定の圧縮力を加えている状態を示す図であり、木材１の圧縮力による変形がほぼ完了した状態を示す図である。図４に示すように、木材１は金型５１および６１から圧縮力を受けることにより、金型５１と金型６１との隙間に相当する３次元形状に変形される。この際、凸部５２の表面に付着していた難燃処理液２１は、圧縮力を受けることによって木材１の内側面の表層に徐々に浸透していく。
【００２６】
図５および図６は、難燃処理液２１が木材１に浸透する前および後の木材１の表層の一部をそれぞれ模式的に示す図であり、より具体的には、木材１が針葉樹（ヒノキ、ヒバなど）である場合の圧縮前（図５）と圧縮後（図６）の木材１の表層の繊維方向Ｌに垂直な断面を模式的に示す図である。これらの図に示すように、木材１は細胞壁Ｗに囲まれて連続する仮導管Ｔを有し、図５に示す圧縮前の状態において、この仮導管Ｔが比較的大きい開口を有している。
【００２７】
これに対して、図６に示す圧縮後の状態では、細胞壁Ｗが圧縮方向に潰され、仮導管Ｔの開口が細隙化している。難燃処理液２１は、主にこのような細隙化した仮導管Ｔを通じて木材１の表面から適当な深さの範囲に浸透することによって難燃処理液含浸部Ｆを形成している。このため、木材１の表層に浸透した難燃処理液２１は、木材１を乾燥させた後も仮導管Ｔの内部に留まる。この際には、難燃処理液２１に含まれる水分が蒸発し、難燃剤のみが仮導管Ｔの内部に留まることもある。なお、木材１が広葉樹（桐、欅など）の場合には、上述した仮導管Ｔの役割を導管が担う。
【００２８】
圧縮工程において所定時間（１〜数十分、より好ましくは５〜１０分程度）だけ木材１に圧縮力を加えた後、上記水蒸気雰囲気を解いて木材１を乾燥させ、金型５１と金型６１を離間させて圧縮を解除する。この結果、木材１の肉厚は、圧縮工程を行う前の肉厚の３０〜５０％程度となる。
【００２９】
以上説明した圧縮工程において金型５１を金型６１に対して相対的に上下動させる際には、しかるべき駆動手段を用いて金型５１および６１の少なくともいずれか一方を電気的に駆動させるようにしてもよいし、金型５１と金型６１とをねじで連結し、このねじを手動または自動で締めることによって金型５１を金型６１に対して上下動させるようにしてもよい。
【００３０】
なお、圧縮工程の結果、木材１の端面等に成形ムラや成形誤差が生じている場合には、切削や研磨等によって適当な端面処理を施せばよい。
【００３１】
図７は、本実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。また、図８は、図７のＢ−Ｂ線断面を模式的に示す縦断面図である。これらの図７および図８に示す圧縮木製品２は、木材１の主板部１ａ、二つの側板部１ｂ、および二つの側板部１ｃにそれぞれ対応する主板部２ａ、二つの側板部２ｂ、および二つの側板部２ｃを備える。また、主板部２ａから湾曲して側板部２ｂおよび２ｃにそれぞれ至る内側面には、難燃処理液２１が含浸することによって、難燃化に必要かつ十分なだけの浸透深さを有する難燃処理液含浸部Ｆが形成されている。この難燃処理液含浸部Ｆの浸透深さは、圧縮木製品２の肉厚、圧縮率、木材の密度等によって変わってくる。例えば、難燃処理液含浸部Ｆの浸透深さが、圧縮木製品２を使用する場合に受ける可能性がある傷の深さよりも大きい値となるようにしておけば、傷が付くことによって難燃処理液２１による特性が失われることがないのでより好ましい。
【００３２】
図８においては、難燃処理液含浸部Ｆを木材とは分離した個別の領域であるかの如く記載しているが、これは図８が模式図であるためであり、実際の難燃処理液含浸部Ｆは、図６を参照して説明したように、細胞壁に囲まれた導管または仮導管の内部に難燃処理液２１が浸透することによって形成されていることは勿論である。
【００３３】
図９は、圧縮木製品２の一適用例を示す図であり、より具体的には圧縮木製品２から形成されるカバー部材によって外装されたデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ１０１は、撮像レンズを含む撮像部１０２、フラッシュ１０３、およびシャッターボタン１０４を備え、二つのカバー部材３および４によって外装されて成る。
【００３４】
図１０は、デジタルカメラ１０１の内部構成を示す図であり、図９のＣ−Ｃ線断面図である。デジタルカメラ１０１の内部には、画像情報や文字情報を表示するために液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ＥＬ（Electroluminescence）ディスプレイ等を用いて実現される表示部１０５、ＣＣＤ（Charge Coupled Device）等の撮像素子１０６の他、撮像処理等に関する駆動制御や各種演算を行うためＣＰＵ（Central Processing Unit）等を有する制御回路や、制御回路の制御のもと各機能部材の駆動を行う駆動回路などが収納されている。図１０においては、前述した電子的または光学的な機能を有する各種機能部材をデジタルカメラ１０１内部の領域Ｄ（破線で表示）において模式的に示している。
【００３５】
図１０に示す場合、デジタルカメラ１０１の前面側を外装するカバー部材３には、撮像部１０２を表出する開口部３１が形成される一方、デジタルカメラ１０１の背面側を外装するカバー部材４には、表示部１０５を表出する直方体形状の開口部４１が形成されている。これらの開口部３１および４１は、カバー部材３および４の原材料である木材１を無垢材１０から形取る際に一括して形成してもよいし、木材１の圧縮工程を行った後に切削または穿孔等によって形成してもよい。
【００３６】
なお、例えば開口部３１の側面にも難燃処理液２１を含浸させる場合には、圧縮工程を行う前に開口部３１の原型となる開口部を木材１に形成しておき、かかる開口部の原型側面に難燃処理液２１が含浸するように金型を形成しておけばよい（開口部４１の側面に難燃処理液２１を含浸させる場合も同様）。具体的には、金型を圧縮時に開口部の原型側面に接する部分を有するように形成し、当該部分の表面にも難燃処理液２１を付着させるようにすればよい。
【００３７】
また、カバー部材３または４に対して、ファインダを取り付けたり、操作指示入力ボタンを表出したりするための開口部や切り欠きをさらに設けてもよいし、外部機器との接続用インタフェース（ＤＣ入力端子やＵＳＢ接続端子等を含む）を表出する開口部をさらに設けてもよい。また、カバー部材３または４に対して、デジタルカメラ１０１の内部に設けられるスピーカが発生する音声を外部に出力するために複数の小さい孔部から成る音声出力用孔部をさらに設けてもよい。
【００３８】
以上説明した本発明の実施の形態１によれば、木材加工用の一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記難燃処理液が、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることにより、圧縮成形を行う木材の所定の部分に対して、難燃化に必要かつ十分な難燃処理液を容易に浸透させることができる。
【００３９】
また、本実施の形態１によれば、木材を圧縮しながら難燃処理液を含浸させるため、難燃処理液を木材の表面に対してより確実に定着させることができ、長期に渡って難燃効果を発揮することが期待できる。
【００４０】
さらに、本実施の形態１によれば、３次元形状として皿状をなす木材の外側面が、滑らかな金型の表面に沿って密着して圧縮成形され、その金型に当接して圧縮された木材の少なくともいずれか一方の面に難燃処理液含浸部が均一に形成されるため、内部に高電圧のストロボ用回路を備えたデジタルカメラのように、万が一にも発火する恐れのある電子機器の外装体として好適である。
【００４１】
ところで、本実施の形態１に係る木材の加工方法によって加工された圧縮木製品の内側面をガスバーナ等によって炭化してもよい。図１１は、かかる炭化工程終了後の圧縮木製品の構成を示す断面図であり、図８と同じ切断面で見たときの縦断面図である。図１１に示す圧縮木製品５は、その内側面に、難燃処理液含浸部Ｆに加えて炭化層Ｃｂが形成されている。このような構成を有する圧縮木製品５によれば、難燃処理液含浸部Ｆによって難燃化されるとともに、炭化層Ｃｂによって外部から伝搬してくる電磁波を遮蔽することができるので、電子機器用外装体として適用する上でより好ましい。なお、ここで説明した炭化工程は、圧縮前の木材１に対して行ってもよい。
【００４２】
（実施の形態２）
図１２は、本発明の実施の形態２に係る木材の加工方法における圧縮工程の概要を示す図である。本実施の形態２においては、上記実施の形態１に係る木材の加工方法と同様に無垢材１０から形取られた木材１が、一対の金型７１および６１によって挟持され、圧縮力が加えられる。このうち、木材１に上方から圧縮力を加える金型７１は、下方に突出する凸部７２を備えたコア金型であり、凸部７２の内部には金型７１を加熱するためのヒータ７３が設置されている。また、凸部７２の表面（皿状をなす木材１の表面のうち皿の内側に相当する表面と接触する金型の表面）には、難燃処理液２１が付着している。このうちヒータ７３は、温度制御機能を備えた制御装置８１に接続されている。なお、金型６１は、上記実施の形態１で説明した通りの構成を有する。
【００４３】
木材１を圧縮する際には、金型７１および６１によって木材１を挟持して所定の圧縮力を加えるとともに、制御装置８１の制御のもと、金型７１を木材１の炭化温度（一般に３５０℃程度）よりも高い温度に達するまでヒータ７３によって加熱する。この結果、木材１は所定の皿状に圧縮成形されるとともに、炭化温度よりも高い温度に加熱された金型７１の凸部７２に接する木材１の内側面が炭化される。
【００４４】
図１３は、炭化工程において木材１の変形がほぼ完了した状態を示す図である。この状態で所定時間経過させると、木材１の内側面には、上記実施の形態１と同様に難燃処理液２１が浸透していく。このことに加えて、金型７１の温度が木材１の炭化温度よりも高いので、かかる金型７１の凸部７２に当接する木材１の内側面には炭化層が形成される。したがって、本実施の形態２に係る木材の加工方法においては、圧縮工程において、木材の圧縮および難燃化に加えて木材の炭化も一括して行われる。
【００４５】
圧縮工程後の木材１は、図１１に示す圧縮木製品５と同様となり、難燃処理液含浸部Ｆおよび炭化層Ｃｂが形成される。ただし、本実施の形態２においては、難燃処理と炭化処理とが並行して行われるため、難燃処理液含浸部Ｆと炭化層Ｃｂとが図１１に示すように層状に重なった構成を有しているとは限らず、難燃処理液含浸部Ｆと炭化層Ｃｂとが圧縮木製品５の内側面の表層において混在する場合もある。
【００４６】
以上説明した本発明の実施の形態２によれば、上記実施の形態１と同様の効果を得ることができる。
【００４７】
また、本実施の形態２によれば、圧縮工程において、木材加工用の一対の金型のうち少なくとも一方の金型を前記木材の炭化温度よりも高い温度に達するまで加熱し、この加熱した金型を用いて木材を圧縮するとともに、その木材の加熱した金型に当接する表面を炭化するので、木材の圧縮、難燃化、および炭化の各処理を一括して行うことができる。したがって、電子機器用外装体としても好適な圧縮木製品を、一段と少ない工数で製造することができ、かかる圧縮木製品の生産性を向上させることができる。
【００４８】
さらに、本実施の形態２によれば、皿状をなす圧縮木製品の内側面に難燃処理液含浸部と炭化層とが形成されるため、特に電子機器用外装体のように、外部から見えない箇所に炭化層を設けたい場合に好適である。加えて、難燃処理液も内側面に浸透させる場合には、例えば圧縮木製品の外側面を装飾したりする場合、難燃処理液の影響を考慮しないで済む。なお、一般的には、難燃処理液含浸部と炭化層とを異なる表面に設けても構わない。
【００４９】
また、炭化層は一般的にそれ自体で難燃性を有するため、実施の形態１において炭化工程を難燃処理前に行う場合や、実施の形態２のように炭化工程を難燃処理と同時に行う場合には、炭化層が難燃効果の一部を担うことにより、難燃処理液の含浸深さが比較的浅くても同等の難燃効果を確保することが可能となる。
【００５０】
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を実施の形態１および２として詳述してきたが、本発明はその二つの実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本発明に係る木材の加工方法によって形成される電子機器用外装体は、デジタルカメラ以外の小型携帯用電子機器、例えば、携帯電話、ＰＨＳまたはＰＤＡ等の携帯型通信端末、携帯型オーディオ装置、ＩＣレコーダ、携帯型テレビ、携帯型ラジオ、各種家電製品のリモコン、デジタルビデオなどの外装体としても適用可能である。
【００５１】
このように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５２】
【図１】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法における形取工程を模式的に示す図である。
【図２】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法において使用する金型の構成および木材を圧縮する前の状態を示す図である。
【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。
【図４】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法の圧縮工程において木材の変形がほぼ完了して圧縮している状態を示す断面図である。
【図５】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の圧縮前の木材の繊維方向に垂直な断面の構造を模式的に示す図である。
【図６】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の圧縮後の木材の繊維方向に垂直な断面の構造を模式的に示す図である。
【図７】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。
【図８】図７のＢ−Ｂ線断面図である。
【図９】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品を外装体として適用したデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。
【図１０】図９のＣ−Ｃ線断面図である。
【図１１】圧縮木製品の内側面を炭化した後の圧縮木製品の構成を示す図である。
【図１２】本発明の実施の形態２に係る木材の加工方法における圧縮工程の概要を示す図である。
【図１３】本発明の実施の形態２に係る木材の加工方法の圧縮工程において木材の変形がほぼ完了して圧縮している状態を示す図である。
【符号の説明】
【００５３】
１ 木材
１ａ、２ａ、３ａ、４ａ 主板部
１ｂ、１ｃ、２ｂ、２ｃ、３ｂ、３ｃ、４ｂ、４ｃ 側板部
１ａｂ 曲面
２、５ 圧縮木製品
３、４ カバー部材（電子機器用外装体）
１０ 無垢材
１０Ｇ 木目
２１ 難燃処理液
３１、４１ 開口部
５１、６１、７１ 金型
５２、７２ 凸部
６２ 凹部
７３ ヒータ
８１ 制御装置
１０１ デジタルカメラ（電子機器）
１０２ 撮像部
１０３ フラッシュ
１０４ シャッターボタン
１０５ 表示部
１０６ 撮像素子
Ｃｂ 炭化層
Ｆ 難燃処理液含浸部
Ｌ 繊維方向
Ｔ 仮導管
Ｗ 細胞壁
【技術分野】
【０００１】
本発明は、木材を圧縮することによって加工する木材の加工方法および当該木材の加工方法によって形成された電子機器用外装体に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことのできる素材として木材が注目されており、その加工技術も飛躍的に進歩しつつある。
【０００３】
従来、かかる木材の加工技術として、吸水軟化した一枚の木材を圧縮し、その木材を圧縮方向と略平行にスライスして板状の一次固定品を得た後、この一次固定品を加熱吸水させながら所定の３次元形状に成形する技術が知られている（例えば、特許文献１を参照）。また、軟化処理した状態で圧縮した一枚の木材を仮固定し、この木材を型に入れて回復させることによって型成形する技術も知られている（例えば、特許文献２を参照）。このような加工技術を用いて圧縮成形された木材（圧縮木材）は、電子機器の外装体としても適用し得る程度の強度を有している（例えば、特許文献３を参照）。
【０００４】
ところで、木材には、金属や合成樹脂と比較して燃焼しやすいという欠点がある。このような木材の欠点を解消して木材を難燃化する技術として、適当な薬剤（難燃剤）を含む難燃処理液を木材の表面から注入または含浸する技術が知られている。この難燃処理を行う際には、原木の段階で難燃処理液を表面から注入または含浸させるのが一般的である。この場合、原木の内部まで難燃処理液が浸透することはまれである。また、原木をそのまま利用する場合には、難燃処理液がその表面にさえ浸透していればよく、内部まで浸透する必要はない。
【０００５】
【特許文献１】特許第３０７８４５２号公報
【特許文献２】特開平１１−７７６１９号公報
【特許文献３】特開２００５−１５３３６４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
上記の如く木材を圧縮成形する場合には、圧縮すべき木材を原木から切削等によって削り出すのが一般的であるが、成形の途中において木材を切削したりすることもあるため、原木の段階で難燃処理を施すと、成形品である圧縮木材の表面に難燃処理液が全く浸透していなかったり、難燃処理液の浸透深さにムラが生じてしまうことがあり、改めて難燃処理液を浸透させなければならない場合があった。この問題を解決するため、成形後の圧縮木材に難燃処理液を注入または含浸させる方法も考えられるが、圧縮木材はその表面が圧縮前と比較して硬化しているため、難燃処理液がその圧縮木材の難燃化に必要かつ十分なだけ浸透しない恐れがあった。
【０００７】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、圧縮成形を行う木材の所定の部分に対して、難燃化に必要かつ十分な難燃処理液を容易に浸透させることができる木材の加工方法および当該木材の加工方法によって形成される電子機器用外装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項１記載の発明は、木材を一対の金型によって加工する木材の加工方法において、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記難燃処理液は、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることを特徴とする。
【０００９】
請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明において、前記圧縮工程は、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型を前記木材の炭化温度よりも高い温度に達するまで加熱し、この加熱した金型を用いて前記木材を圧縮するとともに、前記木材の前記加熱した金型に当接する表面を炭化することを特徴とする。
【００１０】
請求項３記載の発明は、請求項２記載の発明において、前記圧縮工程で加熱される金型は、前記難燃処理液付着工程で前記難燃処理液が付着された金型であることを特徴とする。
【００１１】
請求項４記載の発明は、請求項１記載の発明において、前記木材の少なくとも一方の表面を炭化する炭化工程を有し、前記炭化工程を前記圧縮工程とは別の工程として行うことを特徴とする。
【００１２】
請求項５記載の発明は、電子機器を外装する電子機器用外装体であって、請求項１〜４のいずれか一項記載の木材の加工方法によって形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、木材加工用の一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記難燃処理液が、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることにより、圧縮成形を行う木材の所定の部分に対して、難燃化に必要かつ十分な難燃処理液を容易に浸透させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態（以後、「実施の形態」と称する）を説明する。
【００１５】
（実施の形態１）
本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法においては、まず、所定の形状をなす木材を原木から形取る。図１は、この形取工程の概要を模式的に示す図である。同図に示す木材１は、原木である無圧縮状態の無垢材１０（木目１０Ｇを有する）から切削等によって形取られ、略長方形状の表面をなす平板状の主板部１ａと、この主板部１ａ表面の長手方向に略平行な２辺の各々から主板部１ａ表面に対して所定の角度をなして延出する二つの側板部１ｂと、主板部１ａ表面の短手方向に略平行な２辺の各々から主板部１ａ表面に対して所定の角度をなして延出する二つの側板部１ｃとを備え、皿状（椀状、シェル状、箱状等の形状を含む）をなす。この木材１は、後述する圧縮工程によって減少する分の容積を予め加えた容積を有する。
【００１６】
図１に示す場合、無垢材１０から形取る木材１の長手方向とその木材１の繊維方向Ｌとが略平行であって主板部１ａの表面が柾目面をなすように形取りを行っているが、これはあくまでも一例に過ぎない。他にも、木材１の長手方向がその木材１の繊維方向Ｌと略平行であり、主板部１ａの表面が板目面、追柾面をなすように形取ることもできる。また、木材１の長手方向がその木材の繊維方向Ｌと略直交し、主板部１ａの表面が木口面をなすように形取ることもできる。このように、木材を原木からどのように形取るかは、その木材に対して要求する強度や美観等の条件に応じて定められる。このような事情に鑑み、以後の説明で参照する図面においては、木目を省略して記載する。
【００１７】
なお、無垢材１０は、ヒノキ、ヒバ、スギ、桐、松、桜、欅、黒檀、竹、チーク、マホガニー、ローズウッドなどの中から、加工した木材の用途等に応じて最適なものを選択すればよい。また、木材を原木から形取る際には平板状に形取ってもよい。
【００１８】
図２は、本実施の形態１に係る木材の加工方法において使用する金型の構成および木材１を圧縮する前の状態を示す図であり、図３は図２のＡ−Ａ線断面図である。これらの図に示すように、木材１は、一対の金型５１および６１によって挟持され、圧縮力が加えられる。
【００１９】
一対の金型のうち、圧縮時に木材１の上方から圧縮力を加える金型５１は、木材１の主板部１ａから側板部１ｂおよび１ｃに各々立ち上がって湾曲する曲面の内側面に嵌合する形状をなす凸部５２を備えたコア金型である。凸部５２の表面（皿状をなす木材１の表面のうち皿の内側に相当する表面と接触する金型の表面）には、木材を難燃化する難燃処理液２１が付着している。凸部５２のうち曲面１ａｂに当接する曲面の曲率半径をＲＡとし、木材１の内側面のうち、主板部１ａから側板部１ｂに立ち上がって湾曲する曲面１ａｂ内側面の曲率半径をＲＩとすると、この二つの曲率半径は、ＲＩ＞ＲＡという関係を満たす。
【００２０】
圧縮時に木材１の下方から圧縮力を加える金型６１は、木材１の主板部１ａから側板部１ｂおよび１ｃに各々立ち上がって湾曲する曲面の外側面を嵌入する凹部６２を備えたキャビティ金型である。凹部６２のうち曲面１ａｂの外側面に当接する曲面の曲率半径をＲＢとし、木材１の主板部１ａから側板部１ｂに立ち上がって湾曲する曲面１ａｂ外側面の曲率半径をＲＯとすると、この二つの曲率半径は、ＲＯ＞ＲＢという関係を満たす。
【００２１】
本実施の形態１に係る木材の加工方法においては、以上の構成を有する金型５１と金型６１との間で木材１を挟持する前に、常温（５〜３５℃程度）またはそれよりも高い温度（〜１００℃程度）を有する状態で金型５１の凸部５２の表面に難燃処理液２１を付着させる（難燃処理液付着工程）。この難燃処理液２１は、少なくとも凸部５２の表面に付着させる際に液体であればよい。これにより、難燃処理液２１を凸部５２の表面に付着させる際には、刷毛やローラーによって難燃処理液２１を塗布するか、またはスプレーによって難燃処理液２１を吹き付ければよいので、難燃処理液付着工程を容易にかつ迅速に行うことが可能となる。
【００２２】
難燃処理液２１は、具体的には、ホウ素系化合物（ホウ砂、ホウ酸、八ホウ酸ナトリウムなど）、アンモニウム塩（第ニリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなど）、またはスルファミン酸グアニジンなど、通常使用されている難燃剤の水溶液である。
【００２３】
なお、ここでは金型５１の凸部５２に難燃処理液２１を付着する場合を説明したが、金型６１の凹部６２に難燃処理液２１を付着してもよい。また、金型５１の凸部５２および金型６１の凹部６２の各々に対して同じまたは異なる種類の難燃処理液を付着させてもよい。
【００２４】
次に、上記の如く難燃処理液２１が付着した金型５１と、この金型５１と対をなす金型６１とを用いることによって行う木材１の圧縮工程について説明する。この圧縮工程を行うに際して、木材１を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中に所定時間放置することにより、水分を過剰に吸収させて軟化させる。ここでいう高温高圧とは、温度が１００〜２３０℃、より好ましくは１５０〜２３０℃、さらに好ましくは１８０〜２００℃程度であり、圧力が０.１〜３.０ＭＰａ（メガパスカル）、より好ましくは０.４５〜２.５ＭＰａ、さらに好ましくは１.０〜１.６ＭＰａ程度の状態を指す。なお、上述した水蒸気雰囲気中で木材１を放置して軟化させる代わりに、例えば木材１をマイクロウェーブの如き高周波の電磁波によって加熱して軟化させてもよい。
【００２５】
その後、上記同様の水蒸気雰囲気中で木材１を圧縮する。図４は、軟化した木材１を所定の位置に配置した後、金型５１を下降させて金型６１との間で木材１を挟持し、この挟持した木材１に対して所定の圧縮力を加えている状態を示す図であり、木材１の圧縮力による変形がほぼ完了した状態を示す図である。図４に示すように、木材１は金型５１および６１から圧縮力を受けることにより、金型５１と金型６１との隙間に相当する３次元形状に変形される。この際、凸部５２の表面に付着していた難燃処理液２１は、圧縮力を受けることによって木材１の内側面の表層に徐々に浸透していく。
【００２６】
図５および図６は、難燃処理液２１が木材１に浸透する前および後の木材１の表層の一部をそれぞれ模式的に示す図であり、より具体的には、木材１が針葉樹（ヒノキ、ヒバなど）である場合の圧縮前（図５）と圧縮後（図６）の木材１の表層の繊維方向Ｌに垂直な断面を模式的に示す図である。これらの図に示すように、木材１は細胞壁Ｗに囲まれて連続する仮導管Ｔを有し、図５に示す圧縮前の状態において、この仮導管Ｔが比較的大きい開口を有している。
【００２７】
これに対して、図６に示す圧縮後の状態では、細胞壁Ｗが圧縮方向に潰され、仮導管Ｔの開口が細隙化している。難燃処理液２１は、主にこのような細隙化した仮導管Ｔを通じて木材１の表面から適当な深さの範囲に浸透することによって難燃処理液含浸部Ｆを形成している。このため、木材１の表層に浸透した難燃処理液２１は、木材１を乾燥させた後も仮導管Ｔの内部に留まる。この際には、難燃処理液２１に含まれる水分が蒸発し、難燃剤のみが仮導管Ｔの内部に留まることもある。なお、木材１が広葉樹（桐、欅など）の場合には、上述した仮導管Ｔの役割を導管が担う。
【００２８】
圧縮工程において所定時間（１〜数十分、より好ましくは５〜１０分程度）だけ木材１に圧縮力を加えた後、上記水蒸気雰囲気を解いて木材１を乾燥させ、金型５１と金型６１を離間させて圧縮を解除する。この結果、木材１の肉厚は、圧縮工程を行う前の肉厚の３０〜５０％程度となる。
【００２９】
以上説明した圧縮工程において金型５１を金型６１に対して相対的に上下動させる際には、しかるべき駆動手段を用いて金型５１および６１の少なくともいずれか一方を電気的に駆動させるようにしてもよいし、金型５１と金型６１とをねじで連結し、このねじを手動または自動で締めることによって金型５１を金型６１に対して上下動させるようにしてもよい。
【００３０】
なお、圧縮工程の結果、木材１の端面等に成形ムラや成形誤差が生じている場合には、切削や研磨等によって適当な端面処理を施せばよい。
【００３１】
図７は、本実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。また、図８は、図７のＢ−Ｂ線断面を模式的に示す縦断面図である。これらの図７および図８に示す圧縮木製品２は、木材１の主板部１ａ、二つの側板部１ｂ、および二つの側板部１ｃにそれぞれ対応する主板部２ａ、二つの側板部２ｂ、および二つの側板部２ｃを備える。また、主板部２ａから湾曲して側板部２ｂおよび２ｃにそれぞれ至る内側面には、難燃処理液２１が含浸することによって、難燃化に必要かつ十分なだけの浸透深さを有する難燃処理液含浸部Ｆが形成されている。この難燃処理液含浸部Ｆの浸透深さは、圧縮木製品２の肉厚、圧縮率、木材の密度等によって変わってくる。例えば、難燃処理液含浸部Ｆの浸透深さが、圧縮木製品２を使用する場合に受ける可能性がある傷の深さよりも大きい値となるようにしておけば、傷が付くことによって難燃処理液２１による特性が失われることがないのでより好ましい。
【００３２】
図８においては、難燃処理液含浸部Ｆを木材とは分離した個別の領域であるかの如く記載しているが、これは図８が模式図であるためであり、実際の難燃処理液含浸部Ｆは、図６を参照して説明したように、細胞壁に囲まれた導管または仮導管の内部に難燃処理液２１が浸透することによって形成されていることは勿論である。
【００３３】
図９は、圧縮木製品２の一適用例を示す図であり、より具体的には圧縮木製品２から形成されるカバー部材によって外装されたデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ１０１は、撮像レンズを含む撮像部１０２、フラッシュ１０３、およびシャッターボタン１０４を備え、二つのカバー部材３および４によって外装されて成る。
【００３４】
図１０は、デジタルカメラ１０１の内部構成を示す図であり、図９のＣ−Ｃ線断面図である。デジタルカメラ１０１の内部には、画像情報や文字情報を表示するために液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ＥＬ（Electroluminescence）ディスプレイ等を用いて実現される表示部１０５、ＣＣＤ（Charge Coupled Device）等の撮像素子１０６の他、撮像処理等に関する駆動制御や各種演算を行うためＣＰＵ（Central Processing Unit）等を有する制御回路や、制御回路の制御のもと各機能部材の駆動を行う駆動回路などが収納されている。図１０においては、前述した電子的または光学的な機能を有する各種機能部材をデジタルカメラ１０１内部の領域Ｄ（破線で表示）において模式的に示している。
【００３５】
図１０に示す場合、デジタルカメラ１０１の前面側を外装するカバー部材３には、撮像部１０２を表出する開口部３１が形成される一方、デジタルカメラ１０１の背面側を外装するカバー部材４には、表示部１０５を表出する直方体形状の開口部４１が形成されている。これらの開口部３１および４１は、カバー部材３および４の原材料である木材１を無垢材１０から形取る際に一括して形成してもよいし、木材１の圧縮工程を行った後に切削または穿孔等によって形成してもよい。
【００３６】
なお、例えば開口部３１の側面にも難燃処理液２１を含浸させる場合には、圧縮工程を行う前に開口部３１の原型となる開口部を木材１に形成しておき、かかる開口部の原型側面に難燃処理液２１が含浸するように金型を形成しておけばよい（開口部４１の側面に難燃処理液２１を含浸させる場合も同様）。具体的には、金型を圧縮時に開口部の原型側面に接する部分を有するように形成し、当該部分の表面にも難燃処理液２１を付着させるようにすればよい。
【００３７】
また、カバー部材３または４に対して、ファインダを取り付けたり、操作指示入力ボタンを表出したりするための開口部や切り欠きをさらに設けてもよいし、外部機器との接続用インタフェース（ＤＣ入力端子やＵＳＢ接続端子等を含む）を表出する開口部をさらに設けてもよい。また、カバー部材３または４に対して、デジタルカメラ１０１の内部に設けられるスピーカが発生する音声を外部に出力するために複数の小さい孔部から成る音声出力用孔部をさらに設けてもよい。
【００３８】
以上説明した本発明の実施の形態１によれば、木材加工用の一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、を有し、前記難燃処理液が、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることにより、圧縮成形を行う木材の所定の部分に対して、難燃化に必要かつ十分な難燃処理液を容易に浸透させることができる。
【００３９】
また、本実施の形態１によれば、木材を圧縮しながら難燃処理液を含浸させるため、難燃処理液を木材の表面に対してより確実に定着させることができ、長期に渡って難燃効果を発揮することが期待できる。
【００４０】
さらに、本実施の形態１によれば、３次元形状として皿状をなす木材の外側面が、滑らかな金型の表面に沿って密着して圧縮成形され、その金型に当接して圧縮された木材の少なくともいずれか一方の面に難燃処理液含浸部が均一に形成されるため、内部に高電圧のストロボ用回路を備えたデジタルカメラのように、万が一にも発火する恐れのある電子機器の外装体として好適である。
【００４１】
ところで、本実施の形態１に係る木材の加工方法によって加工された圧縮木製品の内側面をガスバーナ等によって炭化してもよい。図１１は、かかる炭化工程終了後の圧縮木製品の構成を示す断面図であり、図８と同じ切断面で見たときの縦断面図である。図１１に示す圧縮木製品５は、その内側面に、難燃処理液含浸部Ｆに加えて炭化層Ｃｂが形成されている。このような構成を有する圧縮木製品５によれば、難燃処理液含浸部Ｆによって難燃化されるとともに、炭化層Ｃｂによって外部から伝搬してくる電磁波を遮蔽することができるので、電子機器用外装体として適用する上でより好ましい。なお、ここで説明した炭化工程は、圧縮前の木材１に対して行ってもよい。
【００４２】
（実施の形態２）
図１２は、本発明の実施の形態２に係る木材の加工方法における圧縮工程の概要を示す図である。本実施の形態２においては、上記実施の形態１に係る木材の加工方法と同様に無垢材１０から形取られた木材１が、一対の金型７１および６１によって挟持され、圧縮力が加えられる。このうち、木材１に上方から圧縮力を加える金型７１は、下方に突出する凸部７２を備えたコア金型であり、凸部７２の内部には金型７１を加熱するためのヒータ７３が設置されている。また、凸部７２の表面（皿状をなす木材１の表面のうち皿の内側に相当する表面と接触する金型の表面）には、難燃処理液２１が付着している。このうちヒータ７３は、温度制御機能を備えた制御装置８１に接続されている。なお、金型６１は、上記実施の形態１で説明した通りの構成を有する。
【００４３】
木材１を圧縮する際には、金型７１および６１によって木材１を挟持して所定の圧縮力を加えるとともに、制御装置８１の制御のもと、金型７１を木材１の炭化温度（一般に３５０℃程度）よりも高い温度に達するまでヒータ７３によって加熱する。この結果、木材１は所定の皿状に圧縮成形されるとともに、炭化温度よりも高い温度に加熱された金型７１の凸部７２に接する木材１の内側面が炭化される。
【００４４】
図１３は、炭化工程において木材１の変形がほぼ完了した状態を示す図である。この状態で所定時間経過させると、木材１の内側面には、上記実施の形態１と同様に難燃処理液２１が浸透していく。このことに加えて、金型７１の温度が木材１の炭化温度よりも高いので、かかる金型７１の凸部７２に当接する木材１の内側面には炭化層が形成される。したがって、本実施の形態２に係る木材の加工方法においては、圧縮工程において、木材の圧縮および難燃化に加えて木材の炭化も一括して行われる。
【００４５】
圧縮工程後の木材１は、図１１に示す圧縮木製品５と同様となり、難燃処理液含浸部Ｆおよび炭化層Ｃｂが形成される。ただし、本実施の形態２においては、難燃処理と炭化処理とが並行して行われるため、難燃処理液含浸部Ｆと炭化層Ｃｂとが図１１に示すように層状に重なった構成を有しているとは限らず、難燃処理液含浸部Ｆと炭化層Ｃｂとが圧縮木製品５の内側面の表層において混在する場合もある。
【００４６】
以上説明した本発明の実施の形態２によれば、上記実施の形態１と同様の効果を得ることができる。
【００４７】
また、本実施の形態２によれば、圧縮工程において、木材加工用の一対の金型のうち少なくとも一方の金型を前記木材の炭化温度よりも高い温度に達するまで加熱し、この加熱した金型を用いて木材を圧縮するとともに、その木材の加熱した金型に当接する表面を炭化するので、木材の圧縮、難燃化、および炭化の各処理を一括して行うことができる。したがって、電子機器用外装体としても好適な圧縮木製品を、一段と少ない工数で製造することができ、かかる圧縮木製品の生産性を向上させることができる。
【００４８】
さらに、本実施の形態２によれば、皿状をなす圧縮木製品の内側面に難燃処理液含浸部と炭化層とが形成されるため、特に電子機器用外装体のように、外部から見えない箇所に炭化層を設けたい場合に好適である。加えて、難燃処理液も内側面に浸透させる場合には、例えば圧縮木製品の外側面を装飾したりする場合、難燃処理液の影響を考慮しないで済む。なお、一般的には、難燃処理液含浸部と炭化層とを異なる表面に設けても構わない。
【００４９】
また、炭化層は一般的にそれ自体で難燃性を有するため、実施の形態１において炭化工程を難燃処理前に行う場合や、実施の形態２のように炭化工程を難燃処理と同時に行う場合には、炭化層が難燃効果の一部を担うことにより、難燃処理液の含浸深さが比較的浅くても同等の難燃効果を確保することが可能となる。
【００５０】
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を実施の形態１および２として詳述してきたが、本発明はその二つの実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本発明に係る木材の加工方法によって形成される電子機器用外装体は、デジタルカメラ以外の小型携帯用電子機器、例えば、携帯電話、ＰＨＳまたはＰＤＡ等の携帯型通信端末、携帯型オーディオ装置、ＩＣレコーダ、携帯型テレビ、携帯型ラジオ、各種家電製品のリモコン、デジタルビデオなどの外装体としても適用可能である。
【００５１】
このように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５２】
【図１】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法における形取工程を模式的に示す図である。
【図２】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法において使用する金型の構成および木材を圧縮する前の状態を示す図である。
【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。
【図４】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法の圧縮工程において木材の変形がほぼ完了して圧縮している状態を示す断面図である。
【図５】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の圧縮前の木材の繊維方向に垂直な断面の構造を模式的に示す図である。
【図６】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の圧縮後の木材の繊維方向に垂直な断面の構造を模式的に示す図である。
【図７】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を示す斜視図である。
【図８】図７のＢ−Ｂ線断面図である。
【図９】本発明の実施の形態１に係る木材の加工方法によって形成された圧縮木製品を外装体として適用したデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。
【図１０】図９のＣ−Ｃ線断面図である。
【図１１】圧縮木製品の内側面を炭化した後の圧縮木製品の構成を示す図である。
【図１２】本発明の実施の形態２に係る木材の加工方法における圧縮工程の概要を示す図である。
【図１３】本発明の実施の形態２に係る木材の加工方法の圧縮工程において木材の変形がほぼ完了して圧縮している状態を示す図である。
【符号の説明】
【００５３】
１ 木材
１ａ、２ａ、３ａ、４ａ 主板部
１ｂ、１ｃ、２ｂ、２ｃ、３ｂ、３ｃ、４ｂ、４ｃ 側板部
１ａｂ 曲面
２、５ 圧縮木製品
３、４ カバー部材（電子機器用外装体）
１０ 無垢材
１０Ｇ 木目
２１ 難燃処理液
３１、４１ 開口部
５１、６１、７１ 金型
５２、７２ 凸部
６２ 凹部
７３ ヒータ
８１ 制御装置
１０１ デジタルカメラ（電子機器）
１０２ 撮像部
１０３ フラッシュ
１０４ シャッターボタン
１０５ 表示部
１０６ 撮像素子
Ｃｂ 炭化層
Ｆ 難燃処理液含浸部
Ｌ 繊維方向
Ｔ 仮導管
Ｗ 細胞壁
【特許請求の範囲】
【請求項１】
木材を一対の金型によって加工する木材の加工方法において、
前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、
前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、
を有し、
前記難燃処理液は、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることを特徴とする木材の加工方法。
【請求項２】
前記圧縮工程は、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型を前記木材の炭化温度よりも高い温度に達するまで加熱し、この加熱した金型を用いて前記木材を圧縮するとともに、前記木材の前記加熱した金型に当接する表面を炭化することを特徴とする請求項１記載の木材の加工方法。
【請求項３】
前記圧縮工程で加熱される金型は、前記難燃処理液付着工程で前記難燃処理液が付着された金型であることを特徴とする請求項２記載の木材の加工方法。
【請求項４】
前記木材の少なくとも一方の表面を炭化する炭化工程を有し、前記炭化工程を前記圧縮工程とは別の工程として行うことを特徴とする請求項１記載の木材の加工方法。
【請求項５】
電子機器を外装する電子機器用外装体であって、
請求項１〜４のいずれか一項記載の木材の加工方法によって形成されたことを特徴とする電子機器用外装体。
【請求項１】
木材を一対の金型によって加工する木材の加工方法において、
前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型が有する表面であって前記木材の表面と接触する表面の全面に対し、温度が５〜３５℃で液体である難燃処理液を付着させる難燃処理液付着工程と、
前記難燃処理液が付着した金型を含む前記一対の金型を用いることにより、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で前記木材を挟持して圧縮力を加える圧縮工程と、
を有し、
前記難燃処理液は、前記圧縮工程を行う雰囲気において液体または固体であることを特徴とする木材の加工方法。
【請求項２】
前記圧縮工程は、前記一対の金型のうち少なくとも一方の金型を前記木材の炭化温度よりも高い温度に達するまで加熱し、この加熱した金型を用いて前記木材を圧縮するとともに、前記木材の前記加熱した金型に当接する表面を炭化することを特徴とする請求項１記載の木材の加工方法。
【請求項３】
前記圧縮工程で加熱される金型は、前記難燃処理液付着工程で前記難燃処理液が付着された金型であることを特徴とする請求項２記載の木材の加工方法。
【請求項４】
前記木材の少なくとも一方の表面を炭化する炭化工程を有し、前記炭化工程を前記圧縮工程とは別の工程として行うことを特徴とする請求項１記載の木材の加工方法。
【請求項５】
電子機器を外装する電子機器用外装体であって、
請求項１〜４のいずれか一項記載の木材の加工方法によって形成されたことを特徴とする電子機器用外装体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２００７−１６８１８３（Ｐ２００７−１６８１８３Ａ）
【公開日】平成１９年７月５日（２００７．７．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−３６６７４４（Ｐ２００５−３６６７４４）
【出願日】平成１７年１２月２０日（２００５．１２．２０）
【出願人】（００００００３７６）オリンパス株式会社 (11,466)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年７月５日（２００７．７．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１２月２０日（２００５．１２．２０）
【出願人】（００００００３７６）オリンパス株式会社 (11,466)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]