説明

木質材料用接着剤、木質板及び木質板の製造方法

【課題】従来の高アルカリレゾール型フェノール樹脂と同様の生産性で、接着力が強く、アルカリ汚染の少ない単板積層材、合板を製造することができる接着剤の提供。
【解決手段】レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)を含有する木質材料用接着剤であり、該レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)の含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]が、固形分換算の質量比で100/50〜100/200の範囲内であることを特徴とする木質材料用接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の高アルカリレゾール型フェノール樹脂と同様の生産性で、接着力が強く、アルカリ汚染の少ない単板積層材、合板を製造することができる木質材料用接着剤、該接着剤を用いて木質単板を接着し積層した木質板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建材用合板などの木質板の製造には、ユリア樹脂、ユリアメラミン樹脂に代表されるアミノ系樹脂が接着剤として用いられてきた。
しかしながら、近年の健康志向の高まりと木質板の構造用への用途拡大の為に、ホルムアルデヒド放散量が少なく、耐久性が高いレゾール型フェノール樹脂を木質板用接着剤として用いることが多くなってきている。
ところが、例えばレゾール型フェノール樹脂は、その製造時にアミノ樹脂と比べて多量のアルカリ触媒を用いる。そのため、レゾール型フェノール樹脂を木質板用接着剤として用いると、成板後の木質板が水や湿気に晒された場合に、硬化した接着剤のアルカリ分が木材成分と反応しながら表面層に染み出し、アルカリ汚染と呼ばれる変色を引き起こす問題がある。
また、従来の接着剤は、必要に応じてレゾール型フェノール樹脂の硬化性を促進する為に、アルカリ触媒やアルカリ性の塩を添加することがある。この場合にも、成板後の木質板が水や湿気に晒された場合に、硬化した接着剤のアルカリ分が木材成分と反応しながら表面層に染み出し、アルカリ汚染による変色を引き起こす問題がある。
【0003】
従来、このアルカリ汚染を防ぐための方法としては、接着剤に酸性物質や酸性塩を添加し、接着剤中のアルカリ成分を中和する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、木材接着用の高アルカリレゾール型フェノール樹脂が硬化する際のpHは、アルカリ側が最適であり、中和してしまうと硬化速度が著しく劣化する。その為、この接着剤を木質単板に接着し、木質板を得ようとしても、硬化に非常に時間がかかり、生産性が良好でない問題がある。
【0004】
また、アルカリ汚染を防ぐための別な方法として、単板と単板とをレゾール型フェノール樹脂で接着する際に金属箔を介して接着する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、この方法は金属箔を介する作業を要し、作業効率が良好ではない。
【0005】
また、接着剤に含まれるフェノール樹脂分を減らせばアルカリ汚染は低減するが、フェノール樹脂分を減じた接着剤は、固形充填剤の量を増やしすぎると接着剤の粘度が著しく増加して使用が困難になるため、粘度低減用の水を大量に接着剤に入れる必要がある。その結果、樹脂分が水で希釈され、硬化遅延による硬化不良を誘引し、熱圧後の水蒸気圧による接着層の破裂(パンク)や接着不良に繋がる問題がある。
【特許文献1】特開2005−169800号公報
【特許文献2】特開2002−61855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされ、従来の高アルカリレゾール型フェノール樹脂と同様の生産性で、接着力が強く、アルカリ汚染の少ない単板積層材、合板を製造することができる接着剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するため、本発明は、レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)を含有する木質材料用接着剤であり、該レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)の含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]が、固形分換算の質量比で100/50〜100/200の範囲内であることを特徴とする木質材料用接着剤を提供する。
【0008】
本発明の木質材料用接着剤において、前記含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]が、固形分換算の質量比で100/60〜100/120の範囲内であることが好ましい。
【0009】
本発明の木質材料用接着剤において、前記レゾール型フェノール樹脂(A)とレゾルシノール樹脂(B)との含有比(A)/(B)が、固形分換算の質量比で100/5〜100/100の範囲内であることが好ましい。
【0010】
本発明の木質材料用接着剤において、前記レゾール型フェノール樹脂(A)が、アルデヒドとフェノールとのモル比[(アルデヒド)/(フェノール)]で1.5〜3.0の範囲内であり、アルカリ触媒の存在下で反応させて得られる樹脂であることが好ましい。
【0011】
本発明の木質材料用接着剤において、前記レゾルシノール樹脂(B)が、アルデヒドとフェノール、レゾルシノールのモル比[(アルデヒド)/〔(フェノール)+(レゾルシノール)〕]で0.50〜0.80の範囲内とし、これらを反応させて得られる樹脂であることが好ましい。
【0012】
本発明の木質材料用接着剤において、前記レゾール型フェノール樹脂(A)は、樹脂固形分濃度が35〜55質量%の範囲内の樹脂溶液であり、レゾルシノール樹脂(B)は、樹脂固形分濃度が50〜70質量%の範囲内の樹脂溶液であることが好ましい。
【0013】
また本発明は、本発明に係る前記木質材料用接着剤を木質単板に塗布した後、積層し圧着してなることを特徴とする木質板を提供する。
【0014】
また本発明は、本発明に係る木質材料用接着剤を木質単板に塗布した後、積層し圧着して木質板を得ることを特徴とする木質板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の高アルカリレゾール型フェノール樹脂と同様の生産性で、接着力が強く、アルカリ汚染の少ない単板積層材、合板を製造することができる接着剤を提供できる。
また、本発明の接着剤は、含水率が高い木質単板(15%程度)を用いた場合でも、パンク現象を起こすことなく、木質板を製造することができ、材料の選択の自由度が増し、且つ材料の乾燥工程を簡素化できることで、木質板の製造工程を簡素化、短縮化できる。更には木質単板の過乾燥による収縮や割れを抑制できるため単板の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る木質材料用接着剤は、レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)を含有する木質材料用接着剤であり、該レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)の含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]が、固形分換算の質量比で100/50〜100/200の範囲内であることを特徴とする。
【0017】
本発明に用いるレゾール型フェノール樹脂(A)としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、ビスフェノールA等のようなフェノールと、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキザール等のようなアルデヒドとを、アルカリ触媒存在下で反応させて得られレゾール型フェノール樹脂の水溶液が挙げられる。また、前記レゾール型フェノール樹脂水溶液(A)は、硬化性と樹脂粘度の点から不揮発分が35〜55質量%であることが好ましい。
【0018】
前記アルカリ触媒としては、無機系では、アルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等が挙げられ、有機系では、アミン、アンモニア等が挙げられる。
【0019】
前記レゾール型フェノール樹脂(A)において、フェノールとアルデヒドの反応比率は、木質板からのホルムアルデヒドの放出が少なく、生産環境、材料使用時の環境が良好となる点と硬化性の点から、ホルムアルデヒド(F)とフェノール(P)とを例にとると、(F)/(P)=1.0〜3.5(モル比)であることが好ましく、(F)/(P)=1.5〜3.0(モル比)であることがより好ましく、1.5〜2.5(モル比)であることが特に好ましい。
【0020】
本発明に用いるレゾルシノール樹脂(B)は、レゾルシノールとアルデヒドを必須の成分とし、これらを反応させて得られる。例えば、レゾルシノールとアルデヒドをアルカリ触媒若しくは酸触媒下で反応させて得られる樹脂、レゾルシノールとレゾルシノール以外のフェノールとアルデヒドをアルカリ触媒若しくは酸触媒下で反応させて得られる樹脂等が挙げられる。この場合、3者を一括仕込みし反応させても良いし、フェノールとアルデヒドを予め反応させて、その後レゾルシノールを加えて反応させても良い。
【0021】
本発明に用いるレゾルシノール樹脂(B)は、レゾルシノールとレゾルシノール以外のフェノールとアルデヒドを反応させて得られる樹脂が好ましい。特に、アルデヒドと、レゾルシノール以外のフェノールと、レゾルシノールとをアルデヒドとフェノール、レゾルシノールの割合が、硬化性と樹脂保存安定性が良好となる点からモル比[(アルデヒド)/〔(フェノール)+(レゾルシノール)〕]で0.50〜0.80の範囲内となるように配合して反応させた樹脂が好ましい。また、このレゾルシノール樹脂(B)は、硬化性と樹脂粘度の点から不揮発分が50〜70質量%の樹脂が好ましい。
【0022】
本発明に用いる充填剤(C)としては、特に限定されず、固形の粉末状のものであれば良く、有機物、無機物何れであっても良く、何れを併用しても良い。例えば、小麦粉、炭酸カルシウム、タンニン、リグニン、米粉、クルミ殻粉、籾殻、木粉、こんにゃく粉、椰子殻子、トウキビ粉、樹皮粉等が挙げられ、これらのなかでも、小麦粉、炭酸カルシウムが好ましい。
【0023】
本発明に係る木質材料用接着剤は、前述した必須成分であるレゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)の含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]が、固形分換算の質量比で100/50〜100/200の範囲内となるように、均一に混合して調製され、必要に応じて水を添加しても良い。
前記含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]において、樹脂成分〔(A)+(B)〕100質量部に対して充填剤(C)が50質量部未満であると、アルカリ汚染の発生を抑えることが困難となる。また樹脂成分〔(A)+(B)〕100質量部に対して充填剤(C)が200質量部を超えるとパンク発生や接着不良に繋がる。前記含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]は、アルカリ汚染低減、接着良好とする為に、100/60〜100/120の範囲内であることがより好ましい。
前記レゾール型フェノール樹脂(A)とレゾルシノール樹脂(B)との含有比(A)/(B)が、固形分換算の質量比で100/5〜100/100の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る木質材料用接着剤は、硬化剤や硬化促進剤を入れなくても良いが、レゾルシノール樹脂(B)成分の硬化性を上げるためにレゾルシノール樹脂成分に対して硬化剤としてアルデヒドを1〜10質量部入れても良い。またレゾール型フェノール樹脂(A)成分の硬化促進剤としてアルカリ金属の炭酸塩を入れても良い。アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
【0024】
本発明に係る木質材料用接着剤は、レゾール型フェノール樹脂(A)とレゾルシノール樹脂(B)を併用することで、接着力を強化し、更に、多量の固形充填剤を配合する(樹脂成分〔(A)+(B)〕100質量部に対して充填剤(C)50〜200質量部)ことにより、アルカリ汚染を低減させた。その結果、本発明によれば、従来の高アルカリレゾール型フェノール樹脂と同様の生産性で、接着力が強く、アルカリ汚染の少ない単板積層材、合板を製造することができる木質材料用接着剤を提供できる。
【0025】
本発明はまた、前述した本発明に係る前記木質材料用接着剤を木質単板に塗布した後、積層し圧着してなることを特徴とする木質板、及び前記木質材料用接着剤を木質単板に塗布した後、該木質単板とは別の木質単板を積層し圧着して木質板を得ることを特徴とする木質板の製造方法を提供する。本発明に係る木質板及びその製造方法に用いる木質単板等は、木材加工分野等で用いられる各種の木質単板等の中から適宜選択して使用でき、材質、厚さ、形状、積層枚数等は特に限定されない。また本発明に係る木質板の製造方法において、接着剤を塗布するのは木質単板の片面及び両面の何れでも良く、各接着層に少なくとも一層塗布してあればよい。
例えば、木質板として合板を製造する場合には、適当な木質単板の両面に、本発明の木質材料用接着剤を塗布し、塗布していない木質単板と共に所定の枚数を重ね合わせる。次いで、重ね合わせた板を、冷圧して圧締した後、プレスから取り出す。次いで、冷圧によって仮接着した板を120〜150℃で熱圧によって硬化させる。次いで、耳きり、表面仕上げ、選別、検査等の工程を経て合板を完成させる。
【0026】
通常、木質板を製造する場合には、十分乾燥させた木質単板(含水率は通常5%以下)を用いる。これは、含水率が高い単板に接着剤を塗布し、積層、加熱圧着すると、水蒸気圧によりパンク現象が発生するからである。しかしながら、本発明の接着剤を用いると、含水率が高い木質単板(15%程度)を用いてもパンク現象を起こすことなく木質板を製造することができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明に関して実施例、比較例により説明する。なお、以下に記載の部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
【0028】
[レゾール型フェノール樹脂(A)の合成]
フェノール1000グラム、40%ホルムアルデヒド水溶液1435グラム及びイオン交換水600グラムを還流装置の付いたフラスコに入れ攪拌を開始し、50%水酸化ナトリウム水溶液600グラムを徐々に加えながら80℃迄昇温し5時間反応させてレゾール型フェノール樹脂水溶液を得た。得られたレゾール型フェノール樹脂水溶液は不揮発分45%、粘度200mPa・s、pH12.8であった。
【0029】
[レゾルシノール樹脂(B)の合成]
フェノール280部、40%ホルマリン290部に50%水酸化ナトリウム20部を加えて80℃で1時間反応したのち、レゾルシノールを280部加え90℃にて反応しメタノールにて粘度、不揮発分を調整した。得られたレゾルシノール樹脂は粘度500mPa・s、不揮発分60%であった。これをレゾルシノール樹脂(B)とする。
【0030】
[実施例1]
前記[レゾール型フェノール樹脂(A)の合成]で得られたレゾール型フェノール樹脂水溶液100部、前記[レゾルシノール樹脂(B)の合成]で得られたレゾルシノール樹脂(B)10部、充填剤(C)として炭酸カルシウム19部と小麦粉8部を用い、水を添加して粘度調整を行い(粘度23dPa・S/25℃)、実施例1の木質材料用接着剤を調製した。
この実施例1の木質材料用接着剤において、樹脂成分[(A)+(B)]100部に対する充填剤(C)の配合量は53部である。
木質材料としてカラマツ材から作ったサイズ30cm×30cmのロータリー単板を用い、2.1mm厚の原板(x1)、3.0mm厚の糊心単板(x2)及び2.1mm厚の中板単板(x3)を作製し、次いで、前記糊心単板(x2)に前記木質材料用接着剤を片面当たり19gの割合で、両面に塗布し、原板(x1)/糊心単板(x2)/中板単板(x3)/糊心単板(x2)/原板(x1)〔=2.1/3.0/2.1/3.0/2.1mm〕の5プライの12mm構成で1サンプルセットして、0.98MPaにて30分間冷圧後、120℃、0.98MPaにて240秒間熱圧して合板を成形テストし、次いで後述する耐アルカリ汚染性試験及び合板性能試験を行った。得られた結果を表1に示す。なお、前記単板(x1)、(x2)及び(x3)の含水率はそれぞれ5%であった。
【0031】
[実施例2]
充填剤(C)として、炭酸カルシウム30部、小麦粉20部とし、樹脂成分[(A)+(B)]100部に対する充填剤(C)の配合量を98部としたこと以外は、実施例1と同様にして木質材料用接着剤を調製し、それを用いて合板を作製した。
【0032】
[実施例3]
実施例2と同様にして木質材料用接着剤を調製し、それを用いて合板を作製した。但し、合板の作製に使用した単板の含水率は15%とした。
【0033】
[実施例4]
レゾール型フェノール樹脂水溶液(A)65部、レゾルシノール樹脂(B)45部、充填剤(C)として炭酸カルシウム55部と小麦粉50部とし、樹脂成分[(A)+(B)]100部に対する充填剤(C)の配合量を187部としたこと以外は、実施例1と同様にして木質材料用接着剤を調製し、それを用いて合板を作製した。但し、合板の作製に使用した単板の含水率は15%とした。
【0034】
[比較例1]
レゾルシノール樹脂(B)を用いず、レゾール型フェノール樹脂水溶液100部、炭酸ナトリウム4部、充填剤(C)として炭酸カルシウム17部、小麦粉7部とし、樹脂成分[(A)+(B)]100部に対する充填剤(C)の配合量を53部として接着剤を調製し、それ以外は実施例1と同様にして合板を作製した。
【0035】
[比較例2]
比較例1と同様にして木質材料用接着剤を調製し、それを用いて合板を作製した。但し、合板の作製に使用した単板の含水率は15%とした。
【0036】
[比較例3]
充填剤(C)として、炭酸カルシウム17部、小麦粉7部とし、樹脂成分[(A)+(B)]100部に対する充填剤(C)の配合量を47部としたこと以外は、実施例1と同様にして木質材料用接着剤を調製し、それを用いて合板を作製した。但し、合板の作製に使用した単板の含水率は15%とした。
【0037】
[比較例4]
レゾール型フェノール樹脂水溶液(A)65部、レゾルシノール樹脂(B)45部、充填剤(C)として炭酸カルシウム60部と小麦粉58部とし、樹脂成分[(A)+(B)]100部に対する充填剤(C)の配合量を210部としたこと以外は、実施例1と同様にして木質材料用接着剤を調製し、それを用いて合板を作製した。但し、合板の作製に使用した単板の含水率は15%とした。
【0038】
前記実施例1〜4、比較例1〜4においてそれぞれ作製した合板について、耐アルカリ汚染性の評価、パンク有無、ホルムアルデヒド放散量、引張剪断力、平均木破率及び合格率の各項目について、下記の測定方法及び評価基準で調べた。その結果を表1と表2にまとめて記す。
なお、比較例1と3ではアルカリ汚染がみられた。比較例2と4では、パンクが発生しホルムアルデヒド放散量試験、合板性能試験(特類試験)を実施できなかった。
【0039】
<耐アルカリ汚染性の評価>
得られた合板で10cm角の試験片を作製し、厚さ方向に下半分を水に浸積し、上半分は空気中に晒した状態で72時間放置した後、表面の染みの程度を目視で調べ、以下の評価基準に照らして耐アルカリ汚染性を比較した。パンクした合板は、パンクしていない部位で耐アルカリ汚染性の評価を行った。
◎:殆ど赤褐色の染みがない。
○:赤褐色の染みがあるが僅かである。
×:部分的に若しくは全体的に赤褐色の染みがある。
【0040】
<パンク有無>
得られた合板を長さ30cm×5cmの試験片に丸鋸で切断し接着層を観察、パンクの有無を判定した。
【0041】
<ホルムアルデヒド放散量>
ホルムアルデヒド放散量は「合板の日本農林規格」におけるホルムアルデヒド放散量試験にて測定した。
【0042】
<引張剪断力、平均木破率及び合格率>
引張剪断力、平均木破率、合格率は、「合板の日本農林規格」における「構造用合板の規格(特類)」にて測定した。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)を含有する木質材料用接着剤であり、該レゾール型フェノール樹脂(A)、レゾルシノール樹脂(B)及び充填剤(C)の含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]が、固形分換算の質量比で100/50〜100/200の範囲内であることを特徴とする木質材料用接着剤。
【請求項2】
前記含有比[〔(A)+(B)〕/(C)]が、固形分換算の質量比で100/60〜100/120の範囲内である請求項1記載の木質材料用接着剤。
【請求項3】
前記レゾール型フェノール樹脂(A)とレゾルシノール樹脂(B)との含有比(A)/(B)が、固形分換算の質量比で100/5〜100/100の範囲内である請求項1記載の木質材料用接着剤。
【請求項4】
前記レゾール型フェノール樹脂(A)が、アルデヒドとフェノールとのモル比[(アルデヒド)/(フェノール)]で1.5〜3.0の範囲内であり、アルカリ触媒の存在下で反応させて得られる樹脂である請求項1記載の木質材料用接着剤。
【請求項5】
前記レゾルシノール樹脂(B)が、アルデヒドとフェノール、レゾルシノールのモル比[(アルデヒド)/〔(フェノール)+(レゾルシノール)〕]で0.50〜0.80の範囲内とし、これらを反応させて得られる樹脂である請求項1記載の木質材料用接着剤。
【請求項6】
前記レゾール型フェノール樹脂(A)は、樹脂固形分濃度が35〜55質量%の範囲内の樹脂溶液であり、レゾルシノール樹脂(B)は、樹脂固形分濃度が50〜70質量%の範囲内の樹脂溶液である請求項1記載の木質材料用接着剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の木質材料用接着剤を木質単板に塗布した後、積層し圧着してなることを特徴とする木質板。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項記載の木質材料用接着剤を木質単板に塗布した後、積層し圧着して木質板を得ることを特徴とする木質板の製造方法。

【公開番号】特開2010−1356(P2010−1356A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160396(P2008−160396)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【出願人】(501298133)DIC北日本ポリマ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】