説明

本発明の燃料分野の色調および安定性を向上させる方法

本発明は燃料の色調および熱安定性を向上させる方法に関する。原料として提供される燃料を酸性イオン交換樹脂に接触させるか、または酸性イオン交換樹脂で処理して、燃料の色調および安定性を向上させる。本方法は、色度と酸化(JFTOT)安定性の両方の長期品質を実質的に向上させる利点を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料の色調(またはカラークオリティ)および熱安定性を向上させる方法に関する。詳しくは、本発明は燃料の色調および熱安定性を向上させる方法に関し、本方法において、燃料原料(または燃料フィードストック)を酸性イオン交換樹脂に接触させて、燃料原料の色調および熱安定性を向上させる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
種々の燃料の品質は経時的に劣化し得る。色調は、貯蔵中に経時的に劣化し得る燃料の一特性である。熱酸化安定性は別の特性である。
【0003】
非特許文献1では、ジェット燃料の熱酸化安定性の改善において有効と考えられた方法が報告されている。
【0004】
非特許文献2では、二酸化硫黄(SO)抽出、酸処理および吸着法がジェット燃料の熱安定性を改善することが報告されている。
【0005】
多くの精製技術が熱安定性を改善してきたが、多くは著しい欠点を有する。例えば、硫酸、苛性物(caustic)またはSOによる抽出法には廃棄物の処理問題がある。シリカゲルまたはアルミナなどの試薬による吸着法の使用は、わずかな成功を収めてきた。粘土吸着は、一般に、大量の材料を必要とする。
【0006】
特許文献1には、ジェット燃料および窒素化合物を含有するジェット燃料ブレンドの長期色安定性を改善する方法であって、5分以下の接触時間中に窒素化合物の少なくとも90%を除去するのに十分な大量の濃硫酸とジェット燃料を密に混合し、濃硫酸からジェット燃料を分離し、ジェット燃料を苛性物水溶液と混合してジェット燃料からの残留酸を除去し、ジェット燃料を苛性物水溶液から分離し、ジェット燃料を水と混合し、ジェット燃料を水から分離することによる方法が記載されている。
【0007】
特許文献2は、極性不純物およびディーゼル色を減少させるXAD−7などの非イオンマクロ網状架橋アクリル脂肪族エステル樹脂によるディーゼル燃料またはジェット燃料の処理に関する。ディーゼル燃料サンプルまたはジェット燃料サンプルは、「フロックテスト」によって分析され、ここでは、5mM硫酸中に5mMの硫酸第二鉄を含有する鉄水溶液に接触すると目視で観察されるフロックの量を測定する。
【0008】
特許文献3は、好ましくない硫黄、色およびゴム形成性化合物を含有する炭化水素油を精製する方法に関する。この方法は、上記の油を使用済み硫酸による処理に供する工程を含み、この使用済みの硫酸とは、強硫酸の存在下でのオレフィンによるイソパラフィンのアルキル化から得られたものであり、それによってこうした好ましくない化合物は実質的に除去される。
【0009】
特許文献4は、芳香族濃縮物の初期色安定性および長期色安定性の改善のための方法に関する。この方法は、芳香族性を実質的に低下させずに400°F〜750°Fの間で沸騰する芳香族濃縮物の初期色安定性と長期色安定性の両方を改善することが考えられる。この方法は、水素処理、酸処理、その後の苛性洗浄、および対応する150°F〜650°Fの温度での、5〜250mmHg絶対圧力での芳香族濃縮物の減圧蒸留を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】法定発明登録第U.S.H1368号
【特許文献2】米国特許第4,912,873号明細書
【特許文献3】米国特許第2,267,458号明細書
【特許文献4】米国特許第3,487,012号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Robert N.Hazlett著「航空タービン燃料の熱酸化安定性(Thermal Oxidation Stability of Aviation Turbine Fuels)」ASTM刊行物整理番号31−001092−12,1991年
【非特許文献2】Schwartz,F.G.およびEccleston,B.H.著「石油ジェット燃料の熱安定性に関する研究の概論(Survey of Research on Thermal Stability of Petroleum Jet Fuels)」BuMines Information Circular 8140、鉱山局、ワシントンDC,1962年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
燃料の色調および安定性を向上させるためのさらなる方法が必要とされている。特に、こうした処理を手助けするための触媒としてさらに簡便に入手できる材料を用いたさらに簡潔な方法(または工程、プロセス)が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要旨
本発明は、燃料、特にジェット燃料の色調(カラークオリティ)および熱安定性を改善するかなり簡潔な方法を提供する。詳しくは、本発明は、単一(1つの)触媒を用いて燃料物質(材料)を処理し、実質的に改善された色調および熱安定性を有する燃料生成物(燃料製品)を提供する。この生成物は、比較的長期にわたり特に安定である。
【0014】
本発明の一態様によると、燃料の色調および熱安定性を向上させるための方法が提供される。本方法は、ディーゼル、ケロシン、ジェット燃料またはそれらの組み合わせなどの燃料を提供する工程と、酸性イオン交換樹脂に燃料を接触させて、燃料の色調および熱安定性を向上させる工程とを含む。
【0015】
一実施形態において、酸性イオン交換樹脂は、スルホン酸イオン交換樹脂またはリン酸イオン交換樹脂を含む。好ましくは、酸性イオン交換樹脂は、マクロ網状イオン交換樹脂を含む。
【0016】
別の実施形態において、酸性イオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンのコポリマー、例えば、架橋スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーを含む。
【0017】
別の実施形態において、酸性イオン交換樹脂は、乾燥樹脂1グラム当たり、少なくとも約1ミリ当量のHの酸性イオン交換基の濃度を有することが可能である。
【0018】
一実施形態において、提供された燃料(または供給燃料)は、ASTM D3241に準拠して、少なくとも約20mmHgの圧力降下を示すことが可能である。
【0019】
別の実施形態において、提供された燃料は、約0.1hr−1〜約10hr−1の平均LHSVで酸性イオン交換樹脂に接触することが可能である。
【0020】
特定の実施形態において、提供された燃料はジェット燃料である。また、提供された燃料は、一実施形態において、約110℃〜約190℃の範囲内のASTM D86による10%沸点および約200℃〜約290℃のASTM D86による90%沸点を有する燃料として記載することも可能である。好ましくは、提供された燃料は20以下のセイボルト色度(Saybolt color)を有する。
【0021】
なお別の実施形態において、提供された燃料は、約10℃〜約100℃の温度で酸性イオン交換樹脂に接触させて、燃料の色調および熱安定性を向上させることが可能である。
【0022】
なお別の実施形態において、提供された燃料を処理してメルカプタン含有率を減少させた後に酸性イオン交換樹脂に接触させることが可能である。好ましくは、メルカプタンが減少した燃料を水洗した後に酸性イオン交換樹脂に接触させることが可能である。さらに、また、あるいは、提供された燃料は、メルカプタン酸化触媒の存在下でアルカリ性組成物で処理して、メルカプタンが減少した生成物を製造することが可能であり、その後、この生成物を酸性イオン交換樹脂に接触させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、燃料の色調および熱安定性を向上させるための方法を提供する。原料(またはフィードストック)として提供される燃料は、酸性イオン交換樹脂に接触させるか、または酸性イオン交換樹脂で処理して、燃料の色調および熱安定性を向上させることが可能である。本方法は、本方法により処理された燃料の色(例えば、セイボルト色度の点で)および熱酸化(JFTOT)安定性の両方において長期品質を実質的に向上させる利点を提供する。本発明によると、熱安定性またはJFTOT安定性は、ASTM D3241−09、約275℃での航空タービン燃料の熱酸化安定性のための標準試験法に準拠して決定される。
【0024】
原料燃料組成物
原料(フィードストック)として提供されるか、または本発明により処理され得る燃料は、ケロシン、ジェット燃料およびディーゼルグレードの燃料のいずれか1種以上を含むことが可能であるか、またはケロシン、ジェット燃料およびディーゼルグレードの燃料のいずれか1種以上であることが可能であり、それらは、示した各燃料の特定の沸点範囲内の混合物または示した各燃料の特定の沸点範囲と一部重複する混合物を含む。本発明はジェット燃料グレードを製造するのに特に好適である。沸点範囲は、好ましくは、ASTM D86−09、大気圧での石油製品の蒸留のための標準試験法に準拠して決定される。
【0025】
一実施形態において、本発明により処理された燃料または原料(フィードストック)は、約90℃〜約360℃、好ましくは約100℃〜約340℃、例えば、約110℃〜約320℃または約120℃〜約300℃の範囲内の初期沸点および最終沸点を有することが可能である。
【0026】
一実施形態において、本方法は、約110℃〜約190℃、好ましくは約115℃〜約180℃、例えば、約120℃〜約160℃の範囲内のASTM D86による10%蒸留点を有する原料燃料(フィードストックの燃料)を処理または接触させることにより実施することが可能である。さらに、あるいは、本方法は、約200℃〜約290℃、好ましくは約210℃〜約280℃、例えば、約220℃〜約270℃の範囲内のASTM D86による90%蒸留点を有する原料燃料(フィードストックの燃料)を処理または接触させることにより実施することが可能である。
【0027】
イオン交換樹脂
イオン交換樹脂は、一般に、不溶性ポリマーマトリックスを有し、このマトリックスは、周囲の媒体中のイオンと交換できるイオンを含有する。イオン交換樹脂は、典型的には、4つの一般的なカテゴリー、すなわち、強酸、弱酸、強塩基および弱塩基に分類される。本発明による方法において、酸イオン交換樹脂が用いられる。好ましくは、強酸イオン交換樹脂が用いられる。強酸イオン交換樹脂の例として、スルホン酸イオン交換基またはホスホン酸イオン交換基を有する樹脂を挙げることが可能である。スルホン酸イオン交換基を有する交換樹脂が好ましい。弱酸イオン交換樹脂の例として、カルボキシル基を有する樹脂を挙げることが可能である。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、イオン交換樹脂は、乾燥樹脂1グラム当たり、少なくとも1ミリ当量のH、例えば、乾燥樹脂1グラム当たり、少なくとも3ミリ当量のHに対応する酸性イオン交換基の濃度を有することが可能である。
【0029】
本発明の一実施形態において、イオン交換樹脂は、マクロ網状イオン交換樹脂を含むことが可能であるか、またはマクロ網状イオン交換樹脂であることが可能である。マクロ網状イオン交換樹脂は、典型的には、2つの連続相、すなわち、連続細孔相と連続高分子相とを含む。高分子相は、互いに凝集した小球ミクロゲル粒子から構造的に構成することができ、クラスターを形成することが可能であり、このクラスターは、次に、それらの界面相で互いに固定することができ、連続細孔ネットワーク(interconnecting pore network)を形成することが可能である。本発明において有用なマクロ網状イオン交換樹脂は、永久細孔構造(permanent pore structures)をもたないゲル型樹脂と対比させることが可能である。ゲル型イオン交換樹脂中の非永久細孔(non-permanent pores)は、ゲル細孔または分子細孔と通常呼ばれる。
【0030】
好適なマクロ網状イオン交換樹脂は、一般に、約1nm〜約1000nm、典型的には約10nm〜約100nmの範囲内の平均細孔径を有することが可能である。細孔サイズは、好ましくは、例えば、窒素BET法を用いてウェット状態で測定することが可能である。
【0031】
本発明により用いることが可能であるマクロ細孔ポリマーは、典型的には、懸濁重合によって製造でき、約5m/g〜約2000m/g、好ましくは、約10m/g〜約1200m/g、例えば、約50m/g〜約200m/gの比表面積を有することが可能である。一例として、マクロ細孔ポリマーは、米国特許第4,382,124号明細書(参照により本明細書に援用される)において記載されたタイプのマクロ細孔ポリマーであってもよく、このポリマーにおいて、多孔度(ポロシティ)は、ポロゲン(「相延長剤」(phase extender)または「沈殿剤」(precipitant))としても知られている)の存在下で懸濁重合によって、コポリマービーズに導入される。ポロゲンは、モノマーのための溶媒であるがポリマーのための溶媒でないと考えることが可能である。
【0032】
本発明のイオン交換樹脂ポリマー中で使用できるモノマーとして、有利にはポリビニル芳香族モノマーを挙げることが可能である。こうしたモノマーの例として、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセンおよびジビニルキシレンなど、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。好ましい1種のモノマーとして、ジビニルベンゼンが挙げられる。1種以上のモノマーを樹脂ポリマー中で用いることが可能であり、1つ以上の重合可能部位を有するこうしたモノマーが、得られたポリマーに架橋を与えるものとして考えることが可能であることは理解されるべきである。
【0033】
ある実施形態において、イオン交換樹脂ポリマーは、約50〜約100%、好ましくは、約65%〜約100%、例えば、約75%〜約100%のポリビニル芳香族モノマー反復単位を含むことが可能である。
【0034】
また、本発明において有用な樹脂ポリマーは、モノ−ビニル芳香族モノマーを含んでよい。モノ−ビニル芳香族モノマーの例として、スチレン、アルファ−メチルスチレン、(C−C)アルキル置換スチレン、ハロ−置換スチレン(ブロモスチレン、ジブロモスチレンおよびトリブロモスチレンなど)、ビニルナフタレンおよびビニルアントラセンなど、ならびにそれらの組み合わせを挙げることは可能であるが、それらに限定されない。スチレンおよび/または(C−C)アルキル置換スチレンは、好ましいモノ−ビニル芳香族モノマーであることが可能である。好適な(C−C)アルキル置換スチレンの例として、エチルビニルベンゼン、ビニルトルエン、ジエチルスチレン、エチルメチルスチレンおよびジメチルスチレンを挙げることは可能であるが、それらに限定されない。モノ−ビニル芳香族モノマーが樹脂中に存在する場合、樹脂ポリマーは、約50%までのモノ−ビニル芳香族モノマー反復単位を含むことが可能である。典型的には、樹脂ポリマーは、存在する場合、約35%まで、例えば、約25%までのモノ−ビニル芳香族モノマー反復単位を含むことが可能である。一実施形態において、イオン交換官能基(例えば、スルホン酸、ホスホン酸、スルホネートまたはホスホネートなど)は、重合の前にモノマーの少なくとも一部分に存在することが可能である。さらに、あるいは、イオン交換官能基は、ポスト重合(例えば、スルホン化および/またはホスホン化)プロセスにおいて、モノマー反復単位の少なくとも一部分に付加することが可能である。
【0035】
好ましい実施形態において、イオン交換樹脂は、少なくとも1種のモノ−ビニル芳香族モノマーと、少なくとも1種のポリビニル芳香族モノマーのコポリマーを含むことが可能であるか、またはこうしたコポリマーであることが可能である。特に好ましい実施形態において、樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンのコポリマー、例えば、架橋スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーを含むことが可能であるか、またはこうしたコポリマーであることが可能である。スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーは、様々な供給業者から、例えば、Rohm&Haasから、商品名Amberlyst(登録商標)で市販されている。SOH官能基を有する様々なグレードのAmberlyst(登録商標)樹脂を用いてもよく、Amberlyst(登録商標)131、Amberlyst(登録商標)15、Amberlyst(登録商標)16、Amberlyst(登録商標)31、Amberlyst(登録商標)33、Amberlyst(登録商標)35、Amberlyst(登録商標)36、Amberlyst(登録商標)39、Amberlyst(登録商標)40およびAmberlyst(登録商標)70など、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。Amberlyst(登録商標)樹脂は、好ましくは、使用する前に活性化することが可能である。活性化は、樹脂を水に接触させ、その後、水混和性溶媒で洗浄(リンス)することにより達成することが可能である。
【0036】
本発明において効果的である樹脂は、一般に、約0.7cm/g〜約2cm/g、例えば、約0.9cm/g〜約1.8cm/gまたは約1.0cm/g〜約1.7cm/gの全多孔度(トータルポロシティ)を示すことが可能である。
【0037】
本発明による方法において、イオン交換触媒は、処理される物質(材料)の色調および熱安定性を向上させるために有効な任意の方式で準備することが可能である。例えば、触媒は、粒子の固定床として、または分散粒子として準備することが可能である。
【0038】
本方法は、接触のために好適な任意の装置を用いて実施することが可能である。例えば、本方法は、こうした方法のために適切に適応させた装置を用いて、バッチ法、半バッチ法または連続法として実施することが可能である。
【0039】
温度
本発明による方法は、典型的には、処理される物質の色調および熱安定性に大幅に影響を与える(改善する)ために樹脂に対して効果的な温度で実施することが可能である。好ましくは、本方法は、少なくとも約10℃、例えば、約10℃〜約100℃、または約15℃〜約80℃の温度で実施することが可能である。
【0040】
一般に、上限温度は、主として、用いられる触媒の耐熱性に応じて決められる。例えば、架橋スチレンイオン交換樹脂が用いられる一実施形態において、温度が約80℃より高くないことが好ましいとし得る。こうした実施形態において、約15℃〜約50℃の範囲内の温度が特に好ましいとし得る。
【0041】
圧力
原料(フィードストック)または提供された燃料が触媒に接触する圧力は、一般に、比較的低い圧力と考えることが可能である。好ましくは、本方法は、約1atm〜約10atm(約0.1MPaa〜約1MPaa)、例えば、約1atm〜約5atm(約0.1MPaa〜約0.5MPaa)の平均圧力で実施される。
【0042】
供給速度
提供された原料(フィードストック)または燃料は、好ましくは、燃料の色調および熱安定性を向上させるために有効な速度で樹脂に接触させるように連続処理法(プロセス、システム)で提供することが可能である。一実施形態において、供給原料(供給物またはフィード)は、約0.1hr−1〜約10hr−1、例えば、約0.1hr−1〜約5hr−1の平均液体毎時空間速度(liquid hourly space velocity:LHSV)で提供することが可能である。
【0043】
色調(カラークオリティ)
ある燃料の色調は、場合によっては、燃料の色が組成物の精製度の現れであり得るので重要な品質と考えることができる。例えば、色が、確立された標準範囲を外れている場合、これは、潜在的な製品汚染の現れであり得る。また、本発明によると、色調は、セイボルト色度で示すことも可能であり、ASTM D156−07、石油製品のセイボルト色度のための標準試験方法(セイボルト比色計法)を用いて決定することが可能である。
【0044】
本発明の方法は、少なくとも約10%だけ、好ましくは少なくとも約20%だけ、例えば、少なくとも約30%だけ、処理される原料/燃料のセイボルト色調を向上させることができる。
【0045】
本方法は、燃料使用規格値を下回るセイボルト色度を初期に有する燃料タイプの物質(材料)を処理するために有効であり得る。好ましくは、本方法は、処理されるべき燃料が、20以下、好ましくは19以下、例えば、18以下、または15以下の初期セイボルト色度を有する燃料物質を酸性イオン交換樹脂に接触させることにより実施することが可能である。
【0046】
本発明により処理される燃料は、好ましくは、酸性イオン交換樹脂に接触させるか、または酸性イオン交換樹脂で処理して、少なくとも20、好ましくは少なくとも22、例えば、少なくとも24、少なくとも26または少なくとも27のセイボルト色度を有する処理済み燃料を提供することが可能である。
【0047】
燃料の熱安定性
また、本発明は、JFTOT(すなわち、ASTM D3241−09、約275℃でのJFTOT手順として知られているような航空タービン燃料の熱酸化安定性のための標準試験方法)に準拠して本発明において決定され得る燃料の熱安定性を実質的に向上させる利点を提供することが可能である。圧力系試験結果および色系試験結果を含むJFTOT試験の結果は、ガスタービン運転中の燃料性能を示すことが可能であり、液体燃料が規定温度で加熱された表面に接触する場合に生成し得る堆積物(沈殿物)のレベルを評価するために用いることが可能である。JFTOT手順に準拠して、圧力降下(すなわち、ΔP)が大きければ大きいほど、燃料の安定性は劣る。また、JFTOT手順に準拠して、堆積物の色度(deposit color)の評点(レーティング)も燃料品質を示すものであり得る。
【0048】
一実施形態において、本発明の方法は、処理済み燃料の圧力降下を減少させることにより、処理の前の燃料を基準として、且つASTM D3241−09に準拠して、少なくとも約10%だけ、好ましくは少なくとも約20%だけ、例えば、少なくとも約30%だけ、安定性を向上させる。
【0049】
JFTOT手順に準拠して、比較的大きい圧力降下を有する燃料を本発明で処理することが好ましいとし得る。本発明の実施形態において、処理のために提供される燃料は、ASTM D3241−09に準拠して、少なくとも約15mmHgの初期圧力降下を有することが可能である。本発明の方法は、高い圧力降下、例えば、ASTM D3241−09に準拠して、少なくとも約20mmHg、例えば少なくとも約25mmHgの未処理圧力降下を有する燃料に特に効果的である。
【0050】
本発明により製造された生成物(製品)のJFTOT圧力降下は、一般に、広範な燃料規格値を満たすことが可能である。一実施形態において、提供された燃料を酸性イオン交換樹脂に接触させて、または酸性イオン交換樹脂で処理して、ASTM D3241−09に準拠して、約15mmHg以下、好ましくは約12mmHg以下、例えば、約10mmHg以下、約5mmHg以下、または約2mmHg以下の圧力降下を有する燃料生成物を製造することが可能である。
【0051】
ASTM D3241−09に準拠して、色度または管堆積物の評点によって規定されるような本発明により製造した生成物のJFTOT管堆積物も広範な燃料規格値を満たすことが可能である。一実施形態において、提供された燃料を酸性イオン交換樹脂に接触させて、または酸性イオン交換樹脂で処理して、4以下、好ましくは3以下、例えば、2以下の管堆積物の評点を有する燃料生成物を製造することが可能である。
【0052】
メルカプタンの除去
本発明の一実施形態において、酸性イオン交換樹脂による処理の前に、提供された燃料または処理されるべき燃料を接触させるか、または処理して、メルカプタン含有率を減少させるか、メルカプタンを除去することが可能である。特定の実施形態において、メルカプタン含有率は、少なくとも一部のメルカプタンを二硫化物(ジスルフィド)に転化することにより減少させるか、または除去することが可能である。例えば、メルカプタン酸化触媒の存在下で苛性物(caustic)で処理することにより、この種の転化を実行することが可能である。
【0053】
本発明の特定の実施形態において、所定レベルまたは設定レベルより低い色調および安定性を有する製造した燃料または提供された燃料をメルカプタン酸化触媒の存在下でアルカリ/苛性組成物に接触させるか、またはアルカリ/苛性組成物で処理して、メルカプタン含有率を減少させることが可能であり、よってメルカプタンが減少した生成物を形成し、それをその後、酸性イオン交換樹脂に接触させるか、または酸性イオン交換樹脂で処理して、メルカプタンが減少した生成物の色調および安定性を向上させることが可能であり、よって向上したか、または所定の色調および安定性の燃料を形成することができる。
【0054】
本発明の別の態様は、炭化水素を処理する方法として記載することが可能であり、この方法は、酸素含有ガス(例えば、空気)と、水性アルカリ組成物と、(i)メルカプタンおよび(ii)炭化水素燃料タイプの組成物を含む供給原料ストリーム(フィードストリーム)とを酸化ゾーンに通して、メルカプタンが減少した生成物を形成する工程を含む。この態様の一実施形態において、炭化水素中のメルカプタンの実質的な一部分を有利には二硫化物(ジスルフィド)に転化させることが可能である。その後、メルカプタンが減少した炭化水素を酸性イオン交換樹脂に接触させるか、または酸性イオン交換樹脂で処理して、向上した色調および安定性を有する燃料生成物を製造することが可能である。
【0055】
一実施形態において、酸化ゾーンからの生成物は分離装置に送ることが可能であり、この分離装置において、水性アルカリ組成物の少なくとも一部分はメルカプタンが減少した炭化水素成分から分離することが可能である。その後、このメルカプタンが減少した炭化水素を酸性イオン交換樹脂に更に接触させるか、または酸性イオン交換樹脂で更に処理することが可能である。好ましくは、メルカプタンが減少した炭化水素またはメルカプタンが減少した燃料を酸性イオン交換樹脂に接触させるか、または酸性イオン交換樹脂で処理する前に水洗することが可能である。
【0056】
メルカプタン酸化触媒は、好ましくは酸化ゾーンにおいて用いられる。この触媒を酸化ゾーン内に保持された不活性固体の床上に支持することが可能である、および/または、この触媒をアルカリ水溶液に分散または溶解させることが可能である。好適な任意のメルカプタン酸化触媒を用いることが可能である。この一例は、米国特許第3,923,645号明細書(参照により本明細書に援用される)において記載されている。この例は、不活性粒状支持体上に保持されたテトラピリジノポルフィラジンの金属化合物を含む触媒である。こうした触媒の別の例は、米国特許第2,853,432号明細書、米国特許第3,445,380号明細書、米国特許第3,574,093号明細書および/または米国特許第4,098,681号明細書に記載されたような金属フタロシアニンであることが可能である。それらの明細書の各々は参照により本明細書に援用される。金属フタロシアニンの金属として、チタン、亜鉛、鉄、マンガン、コバルトおよびバナジウムの1種以上を挙げることが可能であるが、好ましくは、コバルトまたはバナジウムのいずれかである。また、金属フタロシアニンは、その誘導体化合物として用いることが可能であり、その例として、コバルトフタロシアニンモノスルホネートおよびコバルトフタロシアニンジスルホネートなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0057】
メルカプタン酸化触媒をその支持された形態で用いる場合、不活性吸着剤キャリア材料は、好ましくは、例えば、錠剤、押出物、球または天然に産出するランダム形状片の形態で用いることが可能である。クレー、シリケートおよび/または難溶性無機酸化物などの天然材料は、支持材料を構成することが可能である。さらに、あるいは、この支持体は、珪藻土、アタパルジャイト(attapalgite)クレー、多孔質珪藻土、カオリン、アルミナまたはジルコニアなどもしくはそれらの組み合わせから形成することが可能である。この活性メルカプタン酸化触媒材料は、浸漬、その後の乾燥による含浸を通してなどの好適な任意の様式で支持体に添加することが可能である。また、触媒は、酸化ゾーン内で、その系中で形成することも可能である。一実施形態において、仕上がった触媒は、仕上がった触媒の全重量を基準にして、約0.1重量%〜約10重量%の金属フタロシアニンを含有することが可能である。
【0058】
本発明の特定の一実施形態において、アルカリ水溶液は、メルカプタンを含有する炭化水素ストリームと混合することが可能であり、その後、酸素含有ガスと、この混合物の両方を酸化触媒の固定床に通すことが可能である。好ましいアルカリ試薬としては、一般に苛性物(caustic)と呼ばれる水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の溶液が挙げられる。水酸化ナトリウムは、(典型的には水溶液で)約1重量%〜約40重量%の濃度で用いることが可能であり、好ましい濃度範囲は、約1重量%〜約25重量%である。所望ならば、他の好適な任意のアルカリ物質を用いることが可能である。酸素添加の比率は、酸化ゾーンへの炭化水素の供給原料ストリーム(フィードストリーム)のメルカプタン含有率に基づいて設定することが可能である。酸素添加の比率は、好ましくは、供給原料ストリーム中に含まれるメルカプタンのすべてを酸化させるのに必要な量よりも多くすることが可能であり、化学量論的に必要な量の約110%〜約220%の酸素供給比率が好ましい。充填床の接触ゾーンの使用は、酸化ゾーンにおいて好ましい可能性がある。有孔板、溝付きミキサー、不活性詰め物および/または繊維は、乱流を提供するために用いることが可能である。酸化ゾーンにおける接触時間は、約1hr−1〜約70hr−1のLHSV(炭化水素充填量を基準にしたもの)にほぼ等しくなるように選択することが可能である。酸化ゾーンは、少なくとも約50°F(約10℃)の温度で、且つ典型的には約300°F(約149℃)以下の温度で維持することが可能である。接触ゾーンにおける圧力は、一般に、大気圧より高いことが可能であり、好ましくは約50psig(約340kPag)より高い。
【0059】
さらに、あるいは、本発明は以下の実施形態の1つ以上を含むことが可能である。
【0060】
実施形態1;
燃料の色調および熱安定性を向上させる方法であって、
ディーゼル、ケロシン、ジェット燃料またはそれらの組み合わせである前記燃料を提供する工程と、
酸性イオン交換樹脂に前記燃料を接触させて、前記燃料の色調および熱安定性を向上させる工程と
を含む方法。
【0061】
実施形態2;
前記酸性イオン交換樹脂が、スルホン酸イオン交換樹脂またはホスホン酸イオン交換樹脂を含むか、またはスルホン酸イオン交換樹脂またはホスホン酸イオン交換樹脂である、実施形態1の方法。
【0062】
実施形態3;
前記酸性イオン交換樹脂がマクロ網状イオン交換樹脂である、実施形態1または実施形態2の方法。
【0063】
実施形態4;
前記酸性イオン交換樹脂が、架橋スチレンとジビニルベンゼンのコポリマーなどのスチレンとジビニルベンゼンのコポリマーである、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0064】
実施形態5;
前記酸性イオン交換樹脂が、乾燥樹脂1グラム当たり、少なくとも約1ミリ当量のHの酸性イオン交換基の濃度を有する、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0065】
実施形態6;
前記提供された燃料が、ASTM D3241に準拠して、少なくとも約20mmHgの圧力降下を示す、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0066】
実施形態7;
前記提供された燃料が、約0.1hr−1〜約10hr−1の平均液体毎時空間速度(average liquid hourly space velocity)で前記酸性イオン交換樹脂に接触する、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0067】
実施形態8;
前記提供された燃料が、ジェット燃料を含むか、またはジェット燃料である、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0068】
実施形態9;
前記提供された燃料が、約110℃〜約190℃のASTM D86による10%沸点および約200℃〜約290℃のASTM D86による90%沸点を有する、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0069】
実施形態10;
前記提供された燃料が、20以下のセイボルト色度(Saybolt color)を有する、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0070】
実施形態11;
前記提供された燃料を約10℃〜約100℃の温度で前記酸性イオン交換樹脂に接触させる、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0071】
実施形態12;
前記提供された燃料を処理してメルカプタン含有率を減少させた後に前記酸性イオン交換樹脂に接触させる、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
【0072】
実施形態13;
前記メルカプタンが減少した燃料を水洗した後に前記酸性イオン交換樹脂に接触させる、実施形態12の方法。
【0073】
実施形態14;
前記提供された燃料をメルカプタン酸化触媒の存在下でアルカリ性組成物で処理して、メルカプタンが減少した生成物を生成させ、その後、前記メルカプタンが減少した生成物を前記酸性イオン交換樹脂に接触させる、実施形態1〜11のいずれか1つの方法。
【実施例】
【0074】
実施例
本発明を以下で提示する特定の実施例によってより詳しく例示する。これらの実施例が、特許請求された本発明の包括的態様の特定の例または実施形態として考慮されるべきであることが理解される。
【0075】
実施例1
実施例1は、原油スレート(crude slate)中、約57体積%のカナダ重原油(heavy Canadian crude)から製造したJet A−1燃料(「Jet1」および「Jet2」)の特性を示す。表1は、例示的なJet1タイプの燃料およびJet2タイプの燃料が基本的に同じであることを示している。これらの燃料は、両方とも、セイボルト色度が低く、なおかつ、JFTOT安定性が低い。Jet1およびJet2の圧力降下は、JFTOTの実施からそれぞれ約31分後および約24分後に約25mmHgであった。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例2
実施例2では、アルミナ触媒と酸性イオン交換触媒であるAmberlyst(登録商標)15のセイボルト色調およびJFTOT熱安定性(圧力降下および管堆積物の評点)への影響を比較する。結果を表2にまとめる。アルミナおよびAmberlyst(登録商標)15では、同様のセイボルト色度およびJFTOTの結果を得ることができる。しかし、Amberlyst(登録商標)15のサンプルでは、以下に報告する特性を示すために、わずか約4時間の振とう時間(接触時間)を必要としただけであるのに対して、アルミナでは約26時間であった。さらに、Amberlyst(登録商標)15は、わずか約0.5グラムの少量で効果的に用いられたのに対して、同様の効果を達成するためには、アルミナではそれよりも明らかに多くの約1.5グラムの量を使用した。
【0078】
これらの結果は、アルミナに対して、Amberlyst(登録商標)15が優れた効果を有することを示し、同様の酸性イオン交換樹脂が実質的に同じ結果をもたらし得ることが期待される。さらに、酸性イオン交換樹脂(Amberlyst(登録商標)15など)の構造とアルミナ触媒の構造は実質的に異なるので、酸性イオン交換樹脂がこうした効果を有し得ることはまさしく予想外であった。
【0079】
この実施例を実施する際に、まず、酸性イオン交換樹脂を活性化した。詳細には、約5グラムのAmberlyst(登録商標)15樹脂を脱イオン水で覆った。水と樹脂のスラリーを周囲温度(約20〜25℃)で約2分間にわたって撹拌した。その後、水をデカンテーションし、イソプロパノールと入れ替えた。イソプロパノールのスラリーを撹拌し、その後、イソプロパノールをデカンテーションで除去した。その後、窒素流で樹脂を乾燥し、使用する前に約60℃でオーブン内で乾燥した。
【0080】
【表2】

【0081】
実施例3
実施例3は、アルミナ触媒と酸性イオン交換樹脂とのさらなる比較を並列して示す。アルミナ触媒および酸性イオン交換樹脂の両方の場合でジェット燃料を吸着剤で処理し、目標の約21および約26〜28のセイボルト色度とした。ジェット燃料を処理してセイボルト色度を約21にした表3の処理済ジェット燃料の比較では、酸性イオン交換樹脂で処理したJET1において、JFTOTが顕著に向上したこと(観察できる圧力降下なし)を示している。ただし、JFTOT試験は、管堆積物の評点で不合格であった。対して、ジェット燃料を処理してセイボルト色度を約26〜28とした場合、この酸性イオン交換樹脂により、JFTOTは、圧力降下と管堆積物の評点の両方に関して、顕著に向上した。
【0082】
【表3】

【0083】
1)JFTOTの実施から約28分後に圧力は25mmHgに達した。
2)JFTOTの実施から約11分後に圧力は25mmHgに達した。
【0084】
実施例4
表4aおよび表4bは、セイボルト色度を改善するための酸性イオン交換樹脂の有効性を示している。きれいな酸性イオン交換樹脂を試験1で用いた。次に、酸性イオン交換樹脂をメタノールで洗浄して残留燃料を除去し、窒素流で乾燥した(そして再活性化しなかった)。セイボルト色度は、約4時間で約14から30超にまで向上した。この樹脂を再活性化せずに再使用すると、セイボルト色度を約28に向上させるためには、約17時間を要した。その後、この樹脂を試験2で用いた。試験2において用いられた酸性イオン交換樹脂をメタノールで洗浄し、窒素で乾燥し、試験3、4および5で再使用した(表4b)。
【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
表4bは、吸着剤/ジェット燃料の比の色度の向上への影響を示している。酸性イオン交換樹脂/燃料の比が比較的小さい場合(例えば、約0.5g/約45mL)でも、約1時間にわたる振とう試験において、色度は顕著に向上した。
【0088】
本発明の操作の原理および様式を種々な例示的で好ましい実施形態に関して上述してきた。当業者によって理解される通り、特許請求の範囲によって規定された本発明の全体は、本明細書中に特に列挙されなかった他の好ましい実施形態をも包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の色調および熱安定性を向上させる方法であって、
ディーゼル、ケロシン、ジェット燃料またはそれらの組み合わせである前記燃料を提供する工程と、
酸性イオン交換樹脂に前記燃料を接触させて、前記燃料の色調および熱安定性を向上させる工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記酸性イオン交換樹脂が、スルホン酸イオン交換樹脂またはホスホン酸イオン交換樹脂を含むか、またはスルホン酸イオン交換樹脂またはホスホン酸イオン交換樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸性イオン交換樹脂がマクロ網状イオン交換樹脂である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸性イオン交換樹脂が、架橋スチレンとジビニルベンゼンのコポリマーなどのスチレンとジビニルベンゼンのコポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記酸性イオン交換樹脂が、乾燥樹脂1グラム当たり、少なくとも約1ミリ当量のHの酸性イオン交換基の濃度を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記提供された燃料が、ASTM D3241に準拠して、少なくとも約20mmHgの圧力降下を示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記提供された燃料が、約0.1hr−1〜約10hr−1の平均液体毎時空間速度で前記酸性イオン交換樹脂に接触する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記提供された燃料が、ジェット燃料を含むか、またはジェット燃料である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記提供された燃料が、約110℃〜約190℃のASTM D86による10%沸点および約200℃〜約290℃のASTM D86による90%沸点を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記提供された燃料が、20以下のセイボルト色度を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記提供された燃料を約10℃〜約100℃の温度で前記酸性イオン交換樹脂に接触させる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記提供された燃料を処理してメルカプタン含有率を減少させた後に前記酸性イオン交換樹脂に接触させる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記メルカプタンが減少した燃料を水洗した後に前記酸性イオン交換樹脂に接触させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記提供された燃料をメルカプタン酸化触媒の存在下でアルカリ性組成物で処理して、メルカプタンが減少した生成物を生成させ、その後、前記メルカプタンが減少した生成物を前記酸性イオン交換樹脂に接触させる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−512991(P2013−512991A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542045(P2012−542045)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/056667
【国際公開番号】WO2011/068663
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】