説明

【課題】螺子等の取付部材に用いずに部品点数を増やさずにフック部材の取り付けを行うことができ、かつ長年使用してもフック部材が脱落する虞がない机を提供すること。
【解決手段】左右に配置される側脚フレーム3と、両側脚フレーム3の上方に配置される天板2と、天板2の下方位置における左右外側に配置されるフック部材4と、から構成される机であって、側脚フレーム3の上端部には、前後方向を向く上部フレーム8が設けられ、上部フレーム8の上面が水平面をなしており、フック部材4は、物品を吊持する吊持部4aと吊持部4aの上端部から水平方向に延設される水平部4bとを有しており、水平部4bは、上部フレーム8の上面と天板2の下面との間で挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右に配置される側脚フレームと、該両側脚フレームの上方に配置される天板と、前記天板の下方の左右外側方に取り付けられるフック部材と、から構成される机に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の机は、机の棚部の左右側面に、机の使用者の鞄等の手荷物を吊持するためのフック部材を取り付けている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1112377号公報(第1頁、正面図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の机では、一般的に螺子等の取付部材を用いてフック部材が机の棚部の左右側面や左右脚部に取り付けられるため、机の部品点数が増えてしまい、机の製造コストが嵩んでしまうばかりか、フック部材に手荷物を吊持することを繰り返した際に、フック部材を揺動させる力が繰り返し加わることになるため、螺子に緩みが発生して長年の使用するとフック部材が脱落してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、螺子等の取付部材に用いずに部品点数を増やさずにフック部材の取り付けを行うことができ、かつ長年使用してもフック部材が脱落する虞がない机を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の机は、
左右に配置される側脚フレームと、該両側脚フレームの上方に配置される天板と、前記天板の下方位置における左右外側に配置されるフック部材と、から構成される机であって、
前記側脚フレームの上端部には、前後方向を向く上部フレームが設けられ、該上部フレームの上面が水平面をなしており、前記フック部材は、物品を吊持する吊持部と該吊持部の上端部から水平方向に延設される水平部とを有しており、該水平部は、前記上部フレームの上面と前記天板の下面との間で挟持されることを特徴としている。
この特徴によれば、側脚フレームと天板という机を構成している部材を利用して、部品点数を増やさずにフック部材を設けることができ、かつフック部材の水平部が、それぞれ水平面をなしている上部フレームの上面と天板の下面との間で挟持されるので、吊持部に物品を吊持した際に、フック部材が揺動されることもなくなり、長年使用してもフック部材が脱落する虞もなくなる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の机は、請求項1に記載の机であって、
前記天板の下面には、前方に開口部を有して内部に物品を収納可能な棚本体部が取り付けられており、該棚本体部の左右上部には、前記天板に当接する棚側部が左右外側に向かって延設され、該棚側部には、前記水平部が係合される係合孔が形成されており、前記水平部と前記棚側部とが前記上部フレームの上面と前記天板の下面との間で挟持された状態で、前記上部フレームが前記天板に固着されることを特徴としている。
この特徴によれば、フック部材の水平部の水平方向の移動が係合孔によって規制された状態にして、棚側部が上部フレームと天板とにより挟持されるため、棚本体部とフック部材とを強固に天板の下面に取り付けることができ、かつ天板に対して、フック部材と棚本体部と上部フレームの取り付けを個別に行う必要がなく、上部フレームの天板に対する固着によりフック部材と棚本体部とを天板に取り付けることができ、机の組立工程を簡素化することができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の机は、請求項1または2に記載の机であって、
前記天板の下面には、前方に開口部を有して内部に物品を収納可能な棚本体部が取り付けられており、前記吊持部の形状は、前記棚本体部の側面に沿うように形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、吊持部の机の内側方に向けての揺動が棚本体部の側面によって規制されるので、吊持部は机の内方に向けて揺動されないようになり、フック部材のがたつきを防止することができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の机は、請求項1ないし3のいずれかに記載の机であって、
前記フック部材は、一本の線材を屈曲して形成されており、該線材の両端部を前記水平部として形成し、該両水平部が互いに離間して配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、フック部材を安価に製作できるとともに、線材の両端部を水平部として形成し、両水平部を互いに離間して配置することで、フック部材が物品を安定して吊持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る机を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例における机の全体像を示す斜視図であり、図2は、机を示す分解斜視図であり、図3は、机を示す側面図であり、図4(a)は、接地フレーム及び水平フレームの前端部を示す一部破断断面図であり、図4(b)は、図3におけるA−A断面図であり、図5は、フック部材を示す斜視図であり、図6は、天板を外した状態の机を示す平面図であり、図7は、図6におけるB−B断面図であり、図8は、図6におけるC−C断面図であり、図9は、棚本体部を示す縦断側面図である。以下、図3の紙面右方側を机の正面側(前方側)とし、図6の紙面下方側を机の正面側(前方側)として説明する。
【0012】
図1の符号1は、主に学校や塾等の教育機関で生徒が使用する学習机である。この机1は、図1に示すように、木材から成る長方形状の天板2を、左右に配置された金属材から成る側脚フレーム3によって下方から支持している。
【0013】
図1及び図2に示すように、天板2の下方の左右外側には、机1の使用者の手荷物等を吊持するためのフック部材4が設けられている。左右の側脚フレーム3間には、使用者が学校等で使用する教科書等の物品を収納可能な前方に開口部を有して棚本体部5が配置されており、この棚本体部5は、その上端面が当接された状態で天板2下面に取り付けられている。
【0014】
図2及び図3に示すように、左右の側脚フレーム3は、それぞれ側面視で略L字状に形成された後脚フレーム6と前脚フレーム7の上端部を上部フレーム8によって連結して構成されている。後脚フレーム6は、床面に接地される前後方向を向く接地フレーム6aと、この接地フレーム6aの後端部から屈曲部6bを介して上方に向けて延設される後フレーム6cと、から構成されている。
【0015】
尚、両側脚フレーム3の後フレーム6c同士の間に補強フレーム19が渡設され、左右の側脚フレーム3が一体的に構成されている。また、側脚フレーム3は、側面視で略コ字形状をなしている。
【0016】
側脚フレーム3の前脚フレーム7は、接地フレーム6aよりも短寸に形成されて前後方向を向いて形成された水平フレーム7aと、この水平フレーム7aの後端部から屈曲部7bを介して上方に向けて延設される前フレーム7cと、から構成されている。
【0017】
図4(b)に示すように、これら前脚フレーム7及び後脚フレーム6は、内部が中空に形成された金属材から成る管状部材としてのパイプ材で構成されており、前脚フレーム7及び後脚フレーム6の軽量化が成されている。
【0018】
また、前脚フレーム7及び後脚フレーム6を管状のパイプ材で構成することで、押圧等による変形加工が容易となっており、接地フレーム6aの前部には、凹部9が上方から接地フレーム6aが押圧されることで形成されている。この凹部9は左右方向から中央に向かって傾斜面9a,9aを有し、凹部9は断面視で略V字状に形成されている。
【0019】
この凹部9内には、上方から水平フレーム7aの下部を傾斜面9a,9aに当接させた状態で配置されている。接地フレーム6aと水平フレーム7aは、凹部9内で溶接により重合固着されている。例えば、接地フレーム6aに凹部9を形成せずに接地フレーム6aの上部に水平フレーム7aの下部の一点を当接させて溶接する場合よりも、図4(b)の断面図に示すように、接地フレーム6aに凹部9を形成し、傾斜面9a,9aの2点で接地フレーム6aと水平フレーム7aとを当接させることで、接地フレーム6aと水平フレーム7aとの当接箇所が増加し、接地フレーム6aと水平フレーム7aとをより強固に固着させることができる。
【0020】
また、接地フレーム6aに凹部9を形成することで、接地フレーム6aと水平フレーム7aとの床面からの重なり高さを低く形成することができ、机1の使用者が机1前の椅子に着席する際及び起立する際に、使用者の足が水平フレーム7aに引っ掛かってしまうことを防ぐことができる。
【0021】
尚、図4(a)に示すように、接地フレーム6aの前端部は、水平フレーム7aの前端部よりも前方に突出して配置されている。接地フレーム6aの前端部の突出寸法Mは、およそ2〜4cm程度となっている。
【0022】
図2及び図4(a)に示すように、接地フレーム6aの屈曲部6bには、床面を傷つけることを防止するための弾性を有する樹脂材から成るカバー部材10が取り付けられている。また、接地フレーム6a及び水平フレーム7aの前端部にも、前方からカバー部材10と同じく弾性を有する樹脂材から成るカバー部材11が取り付けられている。
【0023】
図4(b)に示すように、カバー部材11は、後部側の上方と後方とに開口する略筒状に形成されており、接地フレーム6a及び水平フレーム7aの前端部に外嵌させることで接地フレーム6a及び水平フレーム7aの前端部を被覆している。このカバー部材10により接地フレーム6aと水平フレーム7aとの溶接部21が隠蔽されるようになっている。
【0024】
更に、カバー部材11の下部には、上下に連通する螺子孔11aが穿設されており、接地フレーム6aの下部には、螺着孔6dが穿設されている。これら螺子孔11aと螺着孔6dとは、カバー部材11が接地フレーム6a及び水平フレーム7aの前端部に取り付けられた状態で連通するようになっており、螺子孔11aから螺着孔6dに対して螺子20を螺着することで、カバー部材11を接地フレーム6aに固定している。尚、特に図示しないが、カバー部材10と接地フレーム6aとの後部にも同一構成の螺子孔及び螺着孔が穿設されており、螺子孔から螺着孔に対して螺子を螺着することでカバー部材10を接地フレーム6aに固定している。
【0025】
カバー部材11の前部は、接地フレーム6a及び水平フレーム7aの前端部に沿って、後方に向かって上方に傾斜を成す本発明における傾斜部としてのテーパー面11bに形成されている。そのため使用者の足がカバー部材11の前部に当接することがあっても、使用者の足はテーパー面11bに沿って上方に摺接移動するので、足がカバー部材11に引っかかることがなく、テーパー面11bによって足とカバー部材11とが当接したときの衝撃を緩和できるようになっている。
【0026】
図2及び図3に示すように、後フレーム6cと前フレーム7cとの上端部は、上部フレーム8に取り付けられる。図7に示すように、この上部フレーム8には、前後方向を向く水平な板状の基板8aの左右端部から下方に向けて係止片8b,8bが突設されており、下方に開口した略コ字形状の凹条部12が形成されている。後フレーム6c及び前フレーム7cは、この凹条部12内に下方から挿通されて基板8aの下面に溶接されている。尚、上部フレーム8の基板8aの上面は、水平をなす水平面として形成されている。
【0027】
また、上部フレーム8の基板8aには、複数のフレーム側挿通孔8cが穿設されている。尚、係止片8b,8bの下端部は、上方に向かって折り返されて折返部8dが形成されており、係止片8b,8bの下端部が丸みを帯びた形状となっている。
【0028】
図5に示すように、フック部材4は、金属から成る一本の線材によって屈曲形成されている。このフック部材4は、使用者の鞄等の物品を吊持する吊持部4aと、この吊持部4aの上端部を水平方向に屈曲させることで形成されて、後述する棚本体部5の係合孔17に係合される2つの水平部4bと、で構成されている。
【0029】
水平部4bは、前述した線材の両端部によって構成され、かつフック部材4の上部で離間して配置されている。そのためフック部材4は、一本の線材を屈曲するだけで形成でき、安価にフック部材4を製作することができる。また、図8に示すように、吊持部4aの形状は、棚本体部5の後述する棚側板5cの傾斜に沿うように形成されている。更に、水平部4bは吊持部4aの上端部から左右方向(机1の外方側)に延びている。
【0030】
図2及び図6に示すように、棚本体部5は、上面が使用者の物品を載置するための載置面5bとなっている荷受板5aを有している。また、この荷受板5aの左右には、左右外側に向かって傾斜を成して上方に向かって延設される棚側板5cが設けられている。更に、荷受板5aの後部から上方に向かって延設される背板5dが設けられている。棚本体部5は、これら荷受板5aと棚側板5cと背板5dとにより上方と前方が開口された略箱体に形成されている。
【0031】
荷受板5aの後部には、複数の上下に連通する連通孔5eが穿設されており、棚本体部5の軽量化が成されている。また、荷受板5aの下面には、複数の左右方向を向くリブ部5fが設けられており、棚本体部5の強度の向上が成されている。
【0032】
更に、荷受板5aの前辺部には、左右方向を向く凸条13が上方に向けて突設されている。この凸条13の左右端部と左右の棚側板5cとの間には、棚本体部5内に溜まった塵等を棚本体部5の外に掃き出すための掃出部14が形成されている。掃出部14は左右幅Lの所定寸法を有し、棚本体部5の左右2箇所に形成されている。
【0033】
この掃出部14が凸条13と棚側板5cとの間に形成されていることで、使用者はいずれかの棚側板5c側に棚本体部5内に溜まった塵を集めた後、掃出部14を通して塵を棚本体部5側に排除することができ、棚本体部5内の掃除が容易に行うことができる。尚、掃出部14の左右幅寸法Lは、およそ3〜5cm程度となっている。
【0034】
図9に示すように、凸条13は、荷受板5aの前辺部を上方に向けて屈曲形成して、その先を下方に向けて屈曲形成することで、側面視で略三角状に形成されている。そのため凸条13は、略三角状の頂点を境として、凸条13の後部には、後方から前方に向かって上方に傾斜を成す後部傾斜面13aが形成され、凸条13の前部には、後方から前方に向かって下方に傾斜を成す前部傾斜面13bが形成されている。このような形状の凸条13により荷受板5aの前辺部の強度の向上が成されている。
【0035】
更に、使用者が棚本体部5内から物品を取り出そうとする際には、載置面5bに載置されている物品を後部傾斜面13aに摺接するように前方に向かってスライドさせることで、容易に物品の取り出しが行えるようになる。また、使用者が棚本体部5内に物品を収納しようとする際には、物品の下端部を前部傾斜面13bに当接させて摺接移動させることで、物品を凸条13に引掛けることなくスムーズに棚本体部5内に物品を収納することができるようになっている。
【0036】
図6及び図7に示すように、両棚側板5cの上端部には、棚側板5cの全長に亘って左右外側に向かって延びるリブ状の棚側部15が設けられている。また、背板5dの上端部には、図7及び図9に示すように、背板5dの全長に渡って後方向にかって延びるリブ状の棚後部16が設けられている。これら棚側部15と棚後部16とは、その上端部が面一に形成されており、棚側部15と棚後部16とが天板2の下面に当接することによって、天板2を支持するようになっている。
【0037】
棚側部15は、棚側板5cの上端部から左右外側に向けて延設され、天板2の下面に当接する当接板15aと、この当接板15aの左右外側端縁から当接板15aの全長に亘って下方に向かって延設される側端板15bとから構成されている。これら棚側部15と棚側板5cとによって棚側部15の下部には、前後方向を向く下向きコ字状の溝部15cが形成されている。
【0038】
また、当接板15aには、図6及び図8に示すように、前後方向に上下方向を向く複数の棚側部側挿通孔15dが穿設されている。これら棚側部側挿通孔15dと異なる位置に、フック部材4の水平部4bを係合するための2条で一対をなす係合孔17が左右の各棚側部15に形成されている。
【0039】
更に、棚側部15の溝部15cには、側脚フレーム3の上部フレーム8が内嵌可能となっている。そのため上部フレーム8は、溝部15c内で左右方向の移動が規制されている。また、上部フレーム8を溝部15c内で若干前後摺動させることで、フレーム側挿通孔8cと棚側部側挿通孔15dとの位置合わせが容易に行えるようになっている。
【0040】
図9に示すように、棚後部16は、背板5dの上端部から後方に延設されて側面視で上方に緩やかに湾曲する略凸状に形成された凸片16aと、この凸片16aの後端縁から全長に亘って上方に向かって延設された垂直片16bと、から構成されている。この棚後部16と背板5dとによって棚後部16には、左右方向を向いて上方が開口する略コ字形状の肉抜き溝部16cが形成されている。
【0041】
この棚後部16は、垂直片16bと凸片16aによって、棚本体部5の後部に発生する撓みを抑制するための充分な強度を有しているとともに、肉抜き溝部16cが形成されることによって、棚後部16を軽量な補強部として構成している。更に、天板2を左右の当接板15aだけでなく、天板2を垂直片16bの上端部の左右全長に亘って下方から支持することによって、天板2に発生する撓みが発生し難くなっている。
【0042】
前述のように構成された机1を組み立てるには、先ず、天板2の下面が上方を向くように裏返し、天板2の下面に棚本体部5を、棚側部15及び棚後部16が当接するように載置する。そして、棚本体部5の係合孔17にフック部材4の水平部4bを上方から係合させた後に、上方を向く溝部15c内に上部フレーム8を内嵌させる。
【0043】
このようにすることで、棚側部15の当接板15aは、図8に示すように、天板2と上部フレーム8とで上下から挟持される。同時に、フック部材4も係合孔17内で天板2と上部フレーム8とによって上下から水平部4bを挟持される。このとき、フック部材4の吊持部4aは棚側板5cの傾斜に沿って配置されるため、吊持部4aの机1の内側方に向けての揺動は棚側板5cに当接することで規制されるようになり、吊持部4aの机1の内側方に向けての大きながたつきを防止できるようになっている。
【0044】
次いで、上部フレーム8を溝部15c内で前後に若干摺動させることで、フレーム側挿通孔8cと棚側部側挿通孔15dとが連通するように、側脚フレーム3の天板2に対する位置決めを行う。側脚フレーム3の天板2に対する位置が決定した後は、フレーム側挿通孔8cと棚側部側挿通孔15dとを介して、図8に示すように、天板2に木ネジ18を螺合させることによって、側脚フレーム3と棚本体部5が天板2に螺着される。つまり、本実施例における側脚フレーム3と棚本体部5の天板2に対しての取り付けは、個別に行う必要がないため、机1の組立工程が簡略化される。
【0045】
このとき、側脚フレーム3と棚本体部5が天板2に対して螺着されることによって、係合孔17内に係合されているフック部材4の水平部4bは上下方向から押圧されるとともに、上下方向から発生する摩擦力によって、フック部材4の机1に対する強固な取り付けが成される。
【0046】
尚、上部フレーム8が天板2に取り付けられた両側脚フレーム3には、図2に示すように、両側脚フレーム3の後フレーム6c同士の間に補強フレーム19が渡設されることで、両側脚フレーム3間の左右方向の強度を向上させることができ、机1の左右方向のがたつきを抑制することができる。
【0047】
前述のように組み立てられた机1は、図8に示すように、天板2の左右下方に凹条部12が配置されるため、使用者は机1を持ち上げて運搬する際に、この凹条部12に指を差し込んだ後、左右外側の係止片8bに指を掛けることで、机1を安定して持ち上げることができる。
【0048】
使用者が机1を持ち上げるときには、使用者は指を前述したように係止片8bに掛けるが、同時に使用者の指が係止片8bの折返部8dにも当接するようになっている。折返部8dは丸みを帯びた形状に形成されているため、使用者は指を折返部8dで痛みを感じることなく机1を持ち上げることができる。
【0049】
また、使用者が係止片8bに指を掛けて机1を運搬しているときには、係止片8bが溝部15cの内面側から側端板15bに当接しているため、係止片8bが使用者の指から受ける机1の荷重を側端板15bでも受けるようになっているため、側端板15bは、係止片8bが使用者の指から受ける机1の荷重によって変形しないように、係止片8bの強度を向上させることができる。
【0050】
以上、本実施例における机1では、側脚フレーム3の上端部には、前後方向を向く上部フレーム8が設けられ、上部フレーム8の上面が水平面をなしており、フック部材4は、物品を吊持する吊持部4aと吊持部4aの上端部から水平方向に延設される水平部4bとを有しており、水平部4bは、上部フレーム8の上面と天板2の下面との間で挟持されることで、側脚フレーム3と天板2という机1を構成している部材を利用して、部品点数を増やさずにフック部材4を設けることができ、かつフック部材4の水平部4bが、それぞれ水平面をなしている上部フレーム8の上面と天板2の下面との間で挟持されるので、吊持部4aに物品を吊持した際に、フック部材4が揺動されることもなくなり、長年使用してもフック部材4が脱落する虞もなくなる。
【0051】
また、天板2の下面には、前方に開口部を有して内部に物品を収納可能な棚本体部5が取り付けられており、棚本体部5の左右上部には、天板2に当接する棚側部15が左右外側に向かって延設され、棚側部15には、水平部4bが係合される係合孔17が形成されており、水平部4bと棚側部15とが上部フレーム8の上面と天板2の下面との間で挟持された状態で、上部フレーム8が天板2に固着されることで、フック部材4の水平部4bの水平方向の移動が係合孔17によって規制された状態にして、棚側部15が上部フレーム8と天板2とにより挟持されるため、棚本体部5とフック部材4とを強固に天板2の下面に取り付けることができ、かつ天板2に対して、フック部材4と棚本体部5と上部フレーム8の取り付けを個別に行う必要がなく、上部フレーム8の天板2に対する固着によりフック部材4と棚本体部5とを天板2に取り付けることができ、机1の組立工程を簡素化することができる。
【0052】
また、天板2の下面には、前方に開口部を有して内部に物品を収納可能な棚本体部5が取り付けられており、吊持部4aの形状は、棚本体部5の棚側板5c(側面)に沿うように形成されていることで、吊持部4aの机1の内側方に向けての揺動が棚本体部5の棚側板5cによって規制されるので、吊持部4aは机1の内方に向けて揺動されないようになり、フック部材4のがたつきを防止することができる。
【0053】
また、フック部材4は、一本の線材を屈曲して形成されており、線材の両端部を水平部4bとして形成し、両水平部4bが互いに離間して配置されることで、フック部材4を安価に製作できるとともに、線材の両端部を水平部4bとして形成し、両水平部4bを互いに離間して配置することで、フック部材4が物品を安定して吊持することができる。
【0054】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0055】
例えば、前記実施例では、机1を学校や塾等の教育機関で生徒が使用する机として説明したが、事務机や家庭内で使用する学習机等、机の使用される環境は特に限定されない。
【0056】
また、前記実施例では、凸条13の左右端部と左右の棚側板5c間に掃出部14を形成したが、掃出部14が形成される場所は凸条13の左右だけでなく、例えば、荷受板5aの前辺部に、互いに左右に離間させて直線的に並ぶ2つの凸条を形成し、その凸条同士の間に1つの掃出部を形成してもよい。
【0057】
また、前記実施例では、係合孔17を2条で一対をなすように形成したが、フック部材4の2つの水平部4bを収容できる1つの係合孔17として形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例における机の全体像を示す斜視図である。
【図2】机を示す分解斜視図である。
【図3】机を示す側面図である。
【図4】(a)は、接地フレーム及び水平フレームの前端部を示す一部破断断面図であり、(b)は、図3におけるA−A断面図である。
【図5】フック部材を示す斜視図である。
【図6】天板を外した状態の机を示す平面図である。
【図7】図6におけるB−B断面図である。
【図8】図6におけるC−C断面図である。
【図9】棚本体部を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 机
2 天板
3 側脚フレーム
4 フック部材
4a 吊持部
4b 水平部
5 棚本体部
5a 荷受板
5b 載置面
5c 棚側板
5d 背板
6 後脚フレーム
6a 接地フレーム
6c 後フレーム
7 前脚フレーム
7a 水平フレーム
7c 前フレーム
8 上部フレーム
8b 係止片
8d 折返部
9 凹部
10、11 カバー部材
11b テーパー面(傾斜部)
12 凹条部
13 凸条
13a 後部傾斜面
13b 前部傾斜面
14 掃出部
15 棚側部
15c 溝部
16 棚後部
17 係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に配置される側脚フレームと、該両側脚フレームの上方に配置される天板と、前記天板の下方位置における左右外側に配置されるフック部材と、から構成される机であって、
前記側脚フレームの上端部には、前後方向を向く上部フレームが設けられ、該上部フレームの上面が水平面をなしており、前記フック部材は、物品を吊持する吊持部と該吊持部の上端部から水平方向に延設される水平部とを有しており、該水平部は、前記上部フレームの上面と前記天板の下面との間で挟持されることを特徴とする机。
【請求項2】
前記天板の下面には、前方に開口部を有して内部に物品を収納可能な棚本体部が取り付けられており、該棚本体部の左右上部には、前記天板に当接する棚側部が左右外側に向かって延設され、該棚側部には、前記水平部が係合される係合孔が形成されており、前記水平部と前記棚側部とが前記上部フレームの上面と前記天板の下面との間で挟持された状態で、前記上部フレームが前記天板に固着されることを特徴とする請求項1に記載の机。
【請求項3】
前記天板の下面には、前方に開口部を有して内部に物品を収納可能な棚本体部が取り付けられており、前記吊持部の形状は、前記棚本体部の側面に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の机。
【請求項4】
前記フック部材は、一本の線材を屈曲して形成されており、該線材の両端部を前記水平部として形成し、該両水平部が互いに離間して配置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の机。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−99352(P2010−99352A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274856(P2008−274856)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】