説明

【課題】本発明は、多数の生徒が集う教室で使用する教室机を使用するに際し、左右の机間に安全な通路を確保し、好適に生徒の荷物を机に吊り下げることが可能な机を提供することを課題とする。さらには、教室における机の見栄えを向上するとともに、フックの使い勝手が良く、荷物を机に吊り下げても机のバランスが崩れにくく安全に使用することが可能な教室机を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決すべく、本発明の請求項1に記載の発明は、天板および当該天板を支持する左右一対の脚を有する机であって、当該机の側部に、机の内方を向く鉤状フックからなる内フックを設け、当該内フックを前記机の側部に沿って移動自在に形成したことを特徴とする、机である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板および当該天板を支持する左右一対の脚を有する机に関し、特に、学校における教室机の側部に設けた吊り下げフックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小学校や中学校などの教室で個々の生徒が使用する机(以下、教室机)が知られており、このような教室机は、授業中に使用する教科書等を収納する天板下の収納や、生徒のかばん等の荷物を吊り下げるためのフックなどが設けられている。(例えば特許文献1)
【0003】
しかしながら、このような教室机は、通常、左右の机間に先生や生徒が通るための通路を確保して配置するため、図9に示すように、机10の外側にかばん等の荷物Bを吊り下げると、通路に荷物がはみ出してしまい先生が机間の通路を通りにくく、さらには、通路にはみ出した荷物Bにつまずき転倒してしまう恐れがある。また、机10の外側に荷物を掛けると、机の見栄えを損なうばかりでなく、机10のバランスが不安定となり机が転倒してしまう恐れがある。
【0004】
【特許文献1】特開2010−099352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、多数の生徒が集う教室で使用する教室机を使用するに際し、左右の机間に安全かつ大きな通路を確保し、好適に生徒の荷物を机に吊り下げることが可能な机を提供することを課題とする。
さらには、教室における机の見栄えを向上するとともに、フックの使い勝手が良く、荷物を机に吊り下げても机のバランスが崩れにくく安全に使用することが可能な教室机を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の請求項1に記載の発明は、天板および当該天板を支持する左右一対の脚を有する机であって、当該机の側部に、机の内方を向く鉤状フックからなる内フックを設け、当該内フックを前記机の側部に沿って移動自在に形成したことを特徴とする、机である。当該構成によれば、机の内側に荷物を吊り下げることが可能であり、机の外側に大きな通路を確保することが可能である。さらには、机の内側に荷物を掛けることで、机の脚間に荷物が位置するため、机の重心が安定する効果がある。特に、前記内フックを移動自在とすることで、着座時に足元から荷物を遠ざけることが可能であり、机下に大きな下肢空間を形成することが可能である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の机において、前記机の側部に、机の外方を向く鉤状フックからなる外フックを設け、当該外フックを前記机の側部に沿って移動自在に形成したことを特徴とする。当該構成によれば、机の内側のみならず、外側にも荷物を掛けることが可能であり、たくさんの荷物を効率よく掛けることが可能である。また、小さな荷物であれば外フックに掛けることで、通路が狭まることがなく、さらには机のバランスが不安定になることもない。
特に、外フックを移動自在に形成することで、隣の机を隣接させた際に、隣の机のフックの荷物と干渉することがないよう荷物を移動させることが可能である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2記載の机において、前記内フックは、前記外フックより下方に位置することを特徴とする。当該構成によれば、外フックと内フックとの高さを異にすることで、互いの荷物が干渉することなく、両フックを効率的に用いることが可能である。特に、外フックより下方の内フックに荷物を掛けることで机の重心が下がるため、机のバランスがより安定する効果がある。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3記載の机において、前記フックを持ち上げて移動自在とし、荷物を掛けると前記フックの移動がロックすることを特徴とする。当該構成によれば、簡単な操作によりフックを移動することが可能であり、かつ荷物を掛けた状態ではフックが固定されるため荷物が移動してしまうことがない。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の机は、多数の生徒が集う教室で使用する教室机を使用するに際し、左右の机間に大きな通路を確保することが可能であり、さらには、教室における机の見栄えを向上するとともに、荷物Bを机に吊り下げても机のバランスが崩れにくく安全に使用することが可能な机を提供することが可能である。
【0011】
特に、前記内フックを移動自在とすることで、着座時に足元から荷物を遠ざけることが可能であり、机下に大きな下肢空間を形成することが可能である。さらには、外フックを移動自在に形成することで、隣の机を隣接させた際に、隣の机の荷物と干渉することがないよう荷物を移動させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の机10(教室机10)が用いられる好適な一例としては、図1に示すように、個々の生徒が筆記や読書を行うための天板1と、該天板1の左右側部より下方へと垂下する左右一対の脚4と、からなり、前記天板1の下方には、教科書等を収納するための、略天板1の広さと等しい幅および奥行きを有する収納部5が設けられている。
【0013】
机の下方かつ左右の脚間の空間(下肢空間)は、生徒が座る椅子20が収納自在となっており、生徒が席を離れる際には、下肢空間に椅子20を収納して離席して机10の前後を通路として使用可能とし、他方、机10を使用する際には、椅子20を引き出して着座し、授業にかかる机上での読書や筆記を行うものである。
【0014】
本発明の机10は、机10の側部に荷物を掛けるためのフック2、3が形成されており、特に、後述する内向きのフック2(内フック2)に荷物を掛けることにより、通路側に荷物が出てしまうことを防止し、左右の机間に大きな通路を確保することが可能である。
【0015】
すなわち、机の側部には、図2に示すように、前記鉤状部分が机の外方を向く外フック3と、机の内方すなわち下肢空間を向く内フック2との2種類のフックが形成されている。それぞれのフック2、3は、その基端部分Pが収納部5の左右内部に形成された移動孔Dに掛止しつつ下方に垂下した後、水平方向に延設しさらに上方にかけて延設する鉤状のフックを形成している。
【0016】
これら内フック2と外フック3との高さはそれぞれ異なり、内フック2が外フック3より下方に形成されている。これにより、後述する、内フック2に荷物を掛けると机10の重心が下がるため、机10のバランスがより安定する効果がある。また、外フック3と内フック2との高さを異にすることで、互いの荷物が干渉することなく、両フック2,3を効率的に用いることが可能である。
【0017】
特に、前記フックは、図3に示すように、机の側部に沿って移動自在に形成されており、すなわち、前記収納部5の左右端内部に形成される前後方向の長孔からなる移動孔D(図中点線枠)に沿って、前記フックの基端部分Pが前後方向(図中矢印)に移動する構成である。
【0018】
すなわち、フックの使用時には、図4(a)に示すように、フックの基端部分Pが、移動孔Dの下方に形成されるフックの基端部分Pより僅かに径の小さな窪みFに挟持されるため、フックの移動が阻止されることとなる。
他方、フックの移動時においては、図4(b)に示すように、フックを持ち上げると、フックの基端部分Pが前記窪みFから抜けるとともに、フックの基端部分Pが移動孔Dに沿って前後方向に移動可能となる。
【0019】
このように、前記フック2,3を持ち上げることで、机の側部に沿って前記フックを簡単に移動することが可能であり、他方、荷物を掛けた状態ではフックが固定されるため、フックに掛けた荷物が移動しまうことがない。
【0020】
そして、本発明の机は、図5に示すように、内フックに荷物Bを掛けることで、机10の外側に大きな通路を確保することが可能であり、さらには、左右の脚間4,4に荷物Bが位置するため、机10の重心が安定する効果がある。さらに、机10の内側のみならず、外側にも荷物B’を掛けることが可能であり、荷物の掛け量を効率よく増大することが可能である。また、小さな荷物B’であれば外フック3に掛けることで通路が狭まることがなく、さらには机10のバランスが不安定になることもない。
【0021】
特に、内フック2を後方よりに移動することで、図6に示すように、当該内フック2にかばん等Bを吊り下げた状態であっても、生徒が着座する際の足元のスペースを確保することが可能である。また、外フック3と内フック2との前後位置を異にすることで、これらの荷物B、B’が干渉しにくく両フック2,3を効率的に用いることが可能である。
【0022】
このように、本発明の机10は、外フック3の荷物Bと内フック2に掛けた荷物B’を前後に移動することが可能であり、互いの荷物B,B’が干渉しにくく、さらには、内フック2に掛けた荷物Bを後方よりに移動することで下肢空間を大きくとることが可能である。
【0023】
さらに、本発明の机10は、図7(a)(b)に示すように、隣の机10’を隣接させた際に、それぞれの机のフック同士が干渉することを避けることが可能である。
すなわち、図7(b)に示すように、隣の机10’(図中左机)における右側部の外フック3’と、机10(図中右机)の左側部の外フック3とを、移動孔Dに沿ってそれぞれの前後位置が異なる位置へと移動させることで、隣接する左右の机の外フック3、3’が互い違いに配置されるため、机の天板同士1、1’を密接させることが可能である。
【0024】
また、互いの内フック2、2’を前後にずらすことにより、内フックに掛けたそれぞれの荷物が互い違いに配置されるため、図8に示すように、左右の机で荷物同士B、Bが干渉しあうことを防止することが可能であり、隣り合う机10、10’を密接して配置することが可能である。よって、左右の机をくっつけても、隣の席の荷物が干渉することなく、隙間なく隣接させることが可能であり、共同作業時において天板面を広く使用することが可能である。上記例では、収納部に移動孔を設けた例を示したが、これに限らず、机の側部に沿ってフックを移動する構成であれば、適宜手段を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の机を示す斜視図である。
【図2】本発明の机を示す前面図である。
【図3】本発明の机を示す右側面図である。
【図4】(a)(b)外フックおよび内フックを示す一部切断説明図である。
【図5】本発明の机の使用状態の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の机の使用状態の一例を示す右側面図である。
【図7】本発明の机の使用状態の別の例を示す(a)前面図(b)正面図である。
【図8】本発明の机の使用状態の別の例を示す斜視図である。
【図9】従来の机の使用状態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 天板
2 内向きフック(内フック)
3 外向きフック(外フック)
4 脚
5 収納部
10 机(教室机)
20 椅子
P フックの基端部分
D 移動孔
F 窪み(移動孔の窪み)
B 荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板および当該天板を支持する左右一対の脚を有する机であって、当該机の側部に、机の内方を向く鉤状フックからなる内フックを設け、当該内フックを前記机の側部に沿って移動自在に形成したことを特徴とする、机。
【請求項2】
前記机の側部に、机の外方を向く鉤状フックからなる外フックを設け、当該外フックを前記机の側部に沿って移動自在に形成したことを特徴とする、請求項1記載の机。
【請求項3】
前記内フックは、前記外フックより下方に位置することを特徴とする、請求項2記載の机。
【請求項4】
前記フックを持ち上げて移動自在とし、荷物を掛けると前記フックの移動がロックすることを特徴とする、請求項1乃至3記載の机。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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