説明

材料取扱システムのための安全機構

安全ロック装置は、支持部と係合するロック部材(26、28)を備えている。内側ロックシャフト(30a)はロック部材を動作させる。内側ロックシャフトは、その一端に第1の結合面(35a)を有する。外側ロックシャフト(30b)は第2の結合面(35b)を有する。内側ロックシャフトと外側ロックシャフトとが互いに相対的にそれぞれの係合位置にあるときに、第2の結合面が第1の結合面と係合する。結合構造体(18)は、第1の結合面が第2の結合面と係合するのを阻止するように移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には荷物の支持に関するものであり、とくに荷物とともに用いられる安全機構に関するものである。より詳しくは、メインアームが、釣り合い(バランス)がとれた状態から外れたときに、釣り合いがとれたメインアームの突然の移動を阻止する安全機構を開示するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路(ICs)及びその他の電子デバイスの製造においては、全処理工程中の1つ又は複数のステージで、自動テスト装置(ATE)を用いたテストが実施される。特別の取扱装置が、テスト中のデバイス(「DUT」)をテスト位置に配置するのに用いられる。場合によっては、特別の取扱装置が、DUTを適切な温度にしたり、及び/又は、これをテストに適した温度に維持したりすることもある。特別の取扱装置としては、ウエハ上のパッケージ化されていないデバイスをテストするための「探査部(probers)」及びパッケージ化された部品をテストするための「デバイスハンドラ(device handlers)」を含む種々のタイプのものが存在する。ここでは、「周辺機器(peripheral)」又は「複数の周辺機器(peripherals)」は、全てのタイプのこのような装置に関するものとして用いられている。電子的なテスト自体は、大型で高価なATEシステムによって行われる。DUTは、有効なテストを実施するために、正確さと高速信号とを必要とする。したがって、DUTをテストするのに用いられるATE内の「テスト用電子部品」は、典型的にはテストヘッド内に配置され、テストヘッドはDUTにできる限り接近して配置しなければならない。テストヘッドは極端に重く、テストヘッドの寸法及び重量は、数百ポンドから年々大きくなり、3000〜4000ポンド(1361kg〜1814kg)程度にまで増大してきている。
【0003】
集積回路をテストするためのテストヘッドを用いるために、テストヘッドは典型的には周辺機器に「ドッキングさせられる(docked)」。ドッキングさせられたときに、テストヘッドは、信号の劣化を最小にするために、周辺機器のテスト部位にできる限り接近して配置しなければならない。テストヘッド位置決めシステムは、テストヘッドを周辺機器に対して位置決めするために用いることができ、種々の周辺機器へのテストヘッドの柔軟なドッキング及びドッキングの解除を促進するようになっている。テストヘッド位置決めシステムはまた、テストヘッドポジショナ又はテストヘッドマニピュレータとも呼ばれている。テストヘッド位置決めシステムは多数の特許文献(例えば、特許文献1)に開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,715,574号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テストヘッド位置決めシステムの通常の操作においては、釣り合いがとれたアームが、テストヘッドを保持して所望の位置に搬送する。一旦、テストヘッドが所望の部位に位置決めされれば、アームは所定の適切な位置にロックされる。このようなシステムにおいて、アームが所定の適切な位置にロックされているときに釣り合いが失われ、かつこの事実を位置決めシステムのオペレータが知らない場合、ロック機構を解除したときに、位置決めシステムの可動部が急速に無制御状態で移動するであろう。
【0005】
危険な非釣り合い状態(アンバランス)は、通常、テストヘッドの装着、取り外し、変更に際して生じる。もし、位置決めシステムがロックされ、この後何者かがアームからテストヘッドを取り外したのにもかかわらず、メインアームのドッキングを解除する前に、バランス源(例えば、釣り合い重り)の取り外しを忘れた場合、メインアームは飛び上がる。逆に、位置決めシステムがロックされていて、何者かがロックが解除される前にテストヘッドを取り外さずに重りを取り外した場合、テストヘッドは落下する。
【0006】
アームのロックを解除する前に、何者かがあまりにも重い重りを付加し又は除去した場合、ロックが解除された後にテストヘッドが飛び上がり又は落下する非釣り合い状態が生じる。
【0007】
最後に、釣り合いがとれたシステムにアームを結合するケーブルに破損が生じることはめったにないが、このような破損が生じることはありえないというわけではない。
【0008】
特許文献1は、テストヘッド位置決めシステムなどの材料取扱システムのための安全ロックシステムを開示している。このロックシステムは、システムがロックされているときに釣り合い状態が失われた場合、システムのロックを解除することができないように動作する。より詳しくは、このシステムは、メインアームとともに移動する安全ロック装置を有している。メインアームを所定の位置にロックするために、ハンドルが用いられる。安全ロック装置は、釣り合い状態の喪失によって惹起されるアームの予め設定された移動に際してハンドルの回転を阻止する。ハンドルを回転させることができなければ、ロックを解除することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
安全ロック装置は、支持部(support)と係合するロック部材(lock member)を備えている。内側ロックシャフトはロック部材を動作させる。内側ロックシャフトは、その一端に第1の結合面(coupling face)を有する。外側ロックシャフトは第2の結合面を有する。内側ロックシャフトと外側ロックシャフトとが互いに相対的にそれぞれの係合位置にあるときに、第2の結合面が第1の結合面と係合する。結合構造体(coupling structure)は、第1の結合面が第2の結合面と係合するのを阻止するように移動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
再び、特許文献1に開示された安全ロック装置について説明する。アームに対する釣り合いの喪失によってアームの予め設定された移動が生じたときに、安全ロック装置は、ロックを解除するハンドルの回転を阻止する。しかしながら、本願発明者は、安全ロック装置のユーザの一部はその目的を忘れるということを知っている。かくして、このようなユーザは、手でハンドルを回転させることができないときには、ハンドルを無理矢理回転させ、その結果ロックが解除されるのを阻止している内歯を破壊してしまうであろう。
【0011】
そして、本発明は、改良された新規な材料取扱システムに関するものである。さらに、テストヘッド(又はその他の電子テストデバイス)などの荷物のための材料取扱システムの安全機構を開示している。かくして、システムがロックされているときに釣り合い状態が失われた場合、該システムはロックを解除することができず、荷物は移動することができない。
【0012】
図1及び図2に示すように、本発明に従って構築された材料取扱システムの第1の実施の形態は、参照番号10によって包括的に示された支持部を備えている。この支持部は、上下方向に伸びる支持シャフト12を備えている。支持部10はまた、H形梁(図示せず)の形態の支柱14も備えている。この支柱14はベースプレート(図示せず)から上向きに伸びている。支持部10、H形梁及びベースプレートについての詳細は、米国特許第4,527,942号明細書及び特許文献1を参照すれば、知ることができるであろう。荷物搬送ユニット16(load carrying unit)は、シャフト12に沿って所望の高さのところに位置決めされるべき荷物を受け入れるようになっている。荷物搬送ユニット16は、1対の担持ブロック(図示せず)によって、シャフト12に沿った移動のために取り付けられたI形梁(図示せず)を備えている。荷物搬送ユニット16についての詳細、及び、該荷物搬送ユニットがどのようにしてシャフト12に沿って位置決めすべき荷物を受け入れるかについての詳細は、米国特許第4,527,942号明細書及び特許文献1を参照すれば、知ることができるであろう。
【0013】
図1及び図2に示す材料取扱システムは、さらに、荷物搬送ユニット及び荷物を実質的に無重量(weightless)状態に配置するための、荷物搬送ユニット16に結合された釣り合い手段(counterbalancing means)を備えている。なお、図1には、釣り合い手段のケーブル21だけが示されている。
【0014】
シャフト12が通り抜けて伸びる穴部25を有するロックカラー24は、シャフト12に沿って移動することができる。2つのロック部材(例えば、くさび形部材)26、28を有するロックカラー24内のロック部材システムは、ロックカラー24内の穴部25の壁部を通って突出し、ロックカラー24をシャフト12に沿った上下方向の移動に対してロックするためにシャフト12と係合する。これは、くさび形部材26、28(wedge)に結合された回転可能なハンドル30によって達成される。くさび形部材26はねじが形成された穴部26aを有している。くさび形部材28はねじが形成されていない穴部28aを有している。くさび形部材26、28は、それぞれ、傾斜面26b、28bを有し、各傾斜面は穴部25及びシャフト12に対して接線方向に伸びている。
【0015】
ロックカラー24は、くさび形部材26、28とハンドル30の内側ロックシャフト30aとを受け入れる穴部24aを有している。内側ロックシャフト30aのねじが形成された端部30fは、くさび形部材26内のねじが形成された穴部26aと係合する。くさび形部材28は、ニードルベアリング32によって内側ロックシャフト30aに取り付けられ、内側ロックシャフトの回りに自在に回転する。内側ロックシャフト30aの回転時における内側ロックシャフト30aのねじと、ねじが形成された穴部との相互作用は、くさび形部材26の移動を生じさせる。内側ロックシャフト30aの時計回り方向の回転は、くさび形部材26をくさび形部材28に向かって移動させる。くさび形部材26、28がともに締まって(tightly)保持されたときに、これらはロックカラー24をシャフト12にロックする。内側ロックシャフト30aの反時計回り方向の回転は、くさび形部材26をくさび形部材28から離間する方向に移動させる。くさび形部材26がくさび形部材28から十分な距離を隔てたときには、ロックカラー24はもはやシャフト12にロックされず、ロックカラーはシャフトに沿って上下方向に移動することが可能となる。内側ロックシャフト30aの、ねじ30fから遠い方の端部は、かみ合い歯(jaw-teeth)を備えた結合面35a(coupling face)を有している。
【0016】
ハンドル30の第2の部分は外側ロックシャフト30bである。外側ロックシャフト30bの一端は、外側ロックシャフト30bを回転させるのに用いることができるハンドル40を有している。外側ロックシャフト30bの他端は、かみ合い歯を備えた結合面35bを有している。両かみ合い歯結合面35a、35bが互いに係合したときに、ハンドル30の一方向への回転は、くさび形部材26、28をシャフト12に係合させ、ロックカラー24の位置をシャフト12に対して固定する。これに対して、ハンドル30の反対方向への回転は、くさび形部材26、28のシャフト12との係合を解除させ、これによりロックカラー24がシャフト12に沿って移動するのを可能にする。
【0017】
内側ロックシャフト30aと外側ロックシャフト30bとが直線状に整列したときには、両結合面35a、35bのかみ合い歯が互いに係合する。2つの係合面のかみ合い歯が係合したときに、外側ロックシャフト30bの回転は、内側ロックシャフト30aの同様の回転を生じさせ、くさび形部材26を動作させる。
【0018】
結合構造体18(coupling structure)が、4本のボルトによって、荷物搬送ユニット16と摩擦ブロック34(friction block)とに接続されている。これらのボルトは、結合構造体から摩擦ブロック34内に伸びている。これらのボルトの一部は図1〜図4に示されている。結合構造体18は、第1の面18aと第2の面18bとを有している。面18a内には長い穴部18cが設けられている。面18bには2つの同心状の穴部18d、18eが存在する。穴部18dの直径は穴部18eの直径よりも小さい。結合構造体18内の穴部18eの深さは、穴部18dの深さよりも浅い。穴部18dは、穴部18eの内側から、穴部18cにつながるように伸びている。
【0019】
両かみ合い歯結合面35a、35bは、結合構造体18の穴部18c内に配置されている。穴部18cは、両かみ合い歯結合面35a、35bを保持するのに十分な大きさを有している。穴部18dは、外側ロックシャフト30bの挿入及び回転を可能にするのに十分な大きさである。
【0020】
外側ロックシャフト30bは、2つの分離された部分30c、30d(section)に機械加工された単一の部材であり、部分30dの直径は、部分30cの直径より小さい。部分30c、30dの結合部は縁部(lip)を形成している。結合構造体18内の穴部18eの環状壁と、部分30cと部分30dとの結合部によって形成された縁部との間には、圧縮ばね31が配置されている。圧縮ばね31は、外側ハンドル部30bに対して水平方向の力を加え、これを面18bから強制的に離間させる。これにより、両かみ合い歯結合面35a、35bは強制的に互いに離間させられる傾向がある。それゆえ、内側ロックシャフト30a及び外側ロックシャフト30bが直線状に整列しているときでも、両かみ合い歯結合面35a、35bは互いに係合することができない。なぜなら、圧縮ばね31によって外側ロックシャフト30bに外向きの力が作用するからである。オペレータが圧縮ばね31の圧縮力に抗して外側ロックシャフト30bを内側ロックシャフト30aに向かって力を加えたときには、両かみ合い歯結合面35a、35bは互いに係合することができる。
【0021】
通常の操作においては、荷物搬送ユニット16と、該荷物搬送ユニットによって搬送される荷物(図示せず)とは釣り合いがとられ、これらのシャフト12に沿っての容易な移動を可能にし、荷物を所望の高さに位置決めすることを可能にする。次に、ハンドル30を時計回り方向に回転させることにより、ロックカラー24がシャフト12に沿って所定の適切な位置にロックされ、くさび形部材26、28がシャフトと係合させられる。荷物搬送ユニット16とその荷物とが再配置されるときには、ハンドル30は反時計回り方向に回転させられ、くさび形部材26、28とシャフト12との係合が解除される。
【0022】
ロックカラー24がシャフト12にロックされているときに釣り合いがとれているシステムが非釣り合い状態となり、かつこの事実がロックカラーとシャフトとのロックを解除しようとしている人に知られていない場合、望ましくない状態が存在する。釣り合い状態の喪失は、荷物搬送ユニット及びその荷物を突然下向きに移動させる。他方、荷物の取り外しは、ユニット16を突然上方に移動させる。
【0023】
したがって、本発明は、ロックカラー24に対する相対的な荷物搬送ユニットの予め設定された移動に際して、両かみ合い歯結合面35a、35bが互いに係合するのを阻止する保護機構(prevention mechanism)を備えている。この保護機構は、摩擦ブロック34と、結合構造体18及び外側ロックシャフト30bに対する関連物(relationship)とを備えている。摩擦ブロック34は、I形梁とロックカラー24とにもたれかかり(bear against)、これらに締結されている(secured)。図5Aに示すように、摩擦ブロック34は、内側ロックシャフト30aが通り抜けて伸びる穴部38を有している。一連の穴部36は、ボルト19、20、21などのボルトが、摩擦ブロック34を結合構造体18に接続することを可能にする。
【0024】
摩擦ブロック34と、ロックカラー24及び外側ロックシャフト30bとの結合は、荷重と釣り合い荷重との関係に相応し(react)、内側ロックシャフト30a及び外側ロックシャフト30bの直線状の整列又は非整列を生じさせる。荷物が実質的に無重量であるときには、2つの軸は直線状に整列する。荷物がその無重量特性をあまりにも喪失したときには、荷物と釣り合い荷重との間の予め設定された相対的な移動量は、内側ロックシャフト30aと外側ロックシャフト30bとの間にずれを生じさせ、これにより、外側の軸が内側ロックシャフト30aを回転させるのを阻止し、くさび形部材26の移動を阻止する。
【0025】
図5Aに示すように、このような相対的な移動量の設定(determination)は、1つには、複数のソケットヘッドねじ44によって達成される。これらのソケットヘッドねじは、摩擦ブロック34の面に設けられた、対応する数の長い座ぐり46(counterbore)の底部に滑動可能に嵌るヘッド部の下面(underside)を有している。ねじ44は、摩擦ブロック34の穴部47を通って、ロックカラー24内に伸びている。摩擦ブロック34の反対側の面はロックカラー24にもたれかかっている。
【0026】
穴部47は、長く、ねじ44の直径に対応する寸法を有し、ロックカラーがシャフト12にロックされているときに、ロックカラー24に対する荷物搬送ユニット16の上下方向の予め設定された移動を可能にする。穴部47内で上下方向に移動するねじ44の間隔(clearance)は、図5A中に示されている。ロックカラー24がシャフト12にロックされているときに、摩擦ブロック34は、荷物搬送ユニット16の上下方向の移動に対して、ロックカラー24に対して相対的に滑動することができる。
【0027】
図3、図4、図5A、図5B、図6A及び図6Bは、実質的に無重量状態からの非釣り合い状態が存在するときに、荷物搬送ユニット16とロックカラー24との間の相対的な移動を検出するために、該装置がどのように用いられるかを示している。4つの板ばね(leaf spring)はすべてロックカラーに取り付けられている。板ばね50、52は、プレート66とファスナ60、62とを介してロックカラー24の頂部に取り付けられている。板ばね54、56は、同様に、ロックカラー24の底部に取り付けられている。図3に示すように、ロックカラー24の頂部と摩擦ブロック34の頂部とが実質的に同一のレベル位置にある場合、荷物搬送ユニット16が実質的に無重量であるときに、板ばね50、52はロックカラーの頂部から伸び、摩擦ブロック34の頂部にもたれかかる。同様に、荷物搬送ユニット16が実質的に無重量であるときに、板ばね54、56は、ロックカラーの底部から伸び、摩擦ブロック34の底部にもたれかかる。摩擦ブロック34の上向きの移動が板ばね50、52の抵抗(resistance)を超えるまで、又は、摩擦ブロック34の下向きの移動が板ばね54、56の抵抗を超えるまでは、摩擦ブロック34は、所定の適切な位置にとどまり、両かみ合い歯結合面の歯は互いに係合することができる。
【0028】
図7Aには、結合構造体18の面18aが示されている。穴部37は、ボルト19、20、21などのボルトを受け入れるようになっている。これらのボルトは、結合ボックスを、荷物搬送ユニット16とロックカラー24と摩擦ブロック34とに接続する。図3はまた、穴部18e内のかみ合い歯結合面35bの歯も示している。図7Bは、内側ロックシャフト30aに結合されたかみ合い歯結合面35aの側面を示している。荷物搬送ユニットは実質的には無重量であるので、かみ合い歯結合面35aはかみ合い歯結合面35bと直線状に整列し、これによりかみ合い歯結合面35bが図7A中にあらわれるのを妨げている。
【0029】
荷物搬送ユニットが実質的に無重量である場合における、該装置の他の部分の相対的な位置は、図3、図5A及び図6Aに示されている。図3に示すように、ボルト19、20、21は、すべて内側ロックシャフト30aに対して実質的に平行である。内側及び外側のロックシャフトが直線状に整列しているので、ボルト19、20、21はまた、すべて外側ロックシャフト30bに対しても実質的に平行である。図5Aに示すように、ねじ44は穴部47の中心部に位置している。図6Aに示すように、板ばね52、56は、ロックカラー24から摩擦ブロック34の頂部に、平坦な態様で伸びている。ロックカラー及び摩擦ブロック34に対する板ばねのこの姿勢(orientation)は、摩擦ブロック34がロックカラー24に対して相対的に移動させられていないということを意味する。その結果、両かみ合い歯結合面35a、35bは互いに直線状に整列して係合することができる。両かみ合い歯結合面35a、35bが互いに直線状に整列しているので、ハンドル30は回転して、くさび形部材26、28をシャフト12から解放することができる。
【0030】
図4、図5B、図6B及び図7Cは、荷物搬送ユニットが実質的に無重量でないときにおける、本発明に係る構成要素の姿勢(orientation)を示している。この状況下では、摩擦ブロック34の上向きの移動が板ばね50、52の抵抗を超えたときに、摩擦ブロック34は板ばね50、52に上向きの力を加えながら上向きに移動する。結合構造体18の上向きの移動の効果は、図7B及び図7Cに示されている。図5Aと図5Bとを比較すれば、ねじ44と穴部46の相対的な位置が変化していることがわかる。図5Aにおいては、ねじ44は穴部47の中心部に位置し、上側の穴部36内におけるボルトの頂部は、実質的に上側のねじ44の頂部と同一のレベル位置であり、下側の穴部36内におけるボルトの底部は、下側のねじ44の底部の下方である。図5Bにおいては、穴部47は、摩擦ブロック34に沿って上向きに移動しており、その結果、ねじ44は穴部47の底部に位置している。その結果、上側の穴部36内のボルトの頂部は、もはや上側のねじ44の頂部と実質的に同一のレベル位置にあるとはいえない。すなわち、上側のねじ44の頂部は、上側の穴部36内のボルトの頂部の下方にある。同様に、下側の穴部36内のボルトの底部は、この場合、下側のねじ44の底部と実質的に同一のレベル位置にある。
【0031】
ロックカラー24と摩擦ブロック34との間の相対的な移動の効果は、図6B及び図7Cに示されている。図6Bに示すように、摩擦ブロック34が上向きに移動したときには、ボルト19、20を含む4本のボルトも上向きに移動する。図4中に示すボルト21などのその他の2本のボルトもまた上向きに移動するということが理解されるであろう。内側ロックシャフト30aは、ロックカラー24に対して相対的に移動しない。なぜなら、内側ロックシャフト30aはくさび形部材28に結合され、くさび形部材28のどの部分も摩擦ブロック34の内部に存在しないからである。それゆえ、摩擦ブロック34が移動するときには、内側ロックシャフト30aは静止したままである。図5B、図6B及び図7Aに示すように、ボルト19、20は、穴部37を介して結合構造体18に結合されている。図6Bに示すように、ボルト19、20の上向きの移動は、結合構造体18も上向きに移動させる。外側ロックシャフト30bが結合構造体18内の小さい穴部の中にぴったりした状態で配置されているので、外側ロックシャフト30bは内側ロックシャフト30aに対して相対的に非整列状態となり、これにより両かみ合い歯結合面35a、35bの互いの係合が阻止され、ひいてはハンドル30の回転がくさび形部材26、28を開かせるのを阻止する。内側及び外側のロックシャフトが非整列であるときにおける両かみ合い歯結合面35a、35b間の関係は、図7Cにも示されている。この図では、かみ合い歯結合面35bは上方にあり、かみ合い歯結合面35aと直線状に整列せず、また係合しない。
【0032】
図8〜図10は、本発明の第2の典型的な実施の形態を示している。図8及び図9に示すように、本発明に従って構築された第2の実施の形態に係る材料取扱システムは、参照番号110bによって包括的に示された支持部を備えている。この支持部は、上下方向に伸びる支持レール112を備えている。支持部110はまた、ベースプレート115から伸びる支柱114も備えている。荷物搬送ユニット116は、レール112に沿って所望の高さの部位に位置決めされるべき荷物を受け入れるようになっている。荷物搬送ユニット116は、レール112に沿った移動のために取り付けられている。
【0033】
図8〜図10に示す材料取扱システムは、さらに、荷物搬送ユニット116に結合された釣り合い手段(counterbalancing means)を備えている。この釣り合い手段は、荷物搬送ユニット及び荷物を実質的に無重量状態にする。
【0034】
レール112が通り抜けて伸びる開口部125を有するロックカラー124は、レール112に沿って移動することができる。2つのはさみ形部材126、128(caliper)を有するロックカラー124内のはさみロックシステム(caliper lock system)は、ロックカラー124内の開口部125の壁部を通って突出し、レール112と係合してロックカラーのシャフトに沿った上下方向の移動をロックする。これは、はさみ形部材126、128に結合された回転可能なハンドル130によって達成される。はさみ形部材126はねじ穴126aを有している。はさみ形部材128には、ねじは形成されていない。
【0035】
内側ロックシャフト130aのねじが形成された端部130fは、はさみ形部材126のねじと係合する。はさみ形部材128はまた、ニードルベアリング(図示せず)により内側ロックシャフト130aに取り付けられ、内側ロックシャフトのまわりに自在に回転する。内側ロックシャフト130aの回転時における内側ロックシャフト130aのねじと、はさみ形部材126のねじとの間の相互作用は、はさみ形部材126の移動を生じさせる。内側ロックシャフト130aの時計回り方向の回転は、はさみ形部材126をはさみ形部材128に向かって移動させる。はさみ形部材126、128がレール112に対して締まって配置されたときに、これらはロックカラー124をレール112にロックする。内側ロックシャフト130aの反時計回り方向の回転は、はさみ形部材126をはさみ形部材128から離間する方向に移動させる。はさみ形部材126がはさみ形部材128から十分な距離を隔てたときには、ロックカラー124はもはやレール112にロックされず、ロックカラーはレールに沿って上下方向に移動することが可能となる。内側ロックシャフト130aの、ねじ130fから遠い方の端部は、かみ合い歯を備えた結合面135aを有している。
【0036】
摩擦ブロック134は、ロックカラー124にもたれかかって取り付けられている。
ハンドル130の第2の部分は外側ロックシャフト130bである。外側ロックシャフト130bの一端は、外側ロックシャフト130bを回転させるのに用いることができるハンドル140を有している。ハンドル140の直径は、外側ロックシャフト130bの直径よりも大きい。ハンドル140と外側ロックシャフト130bとの結合部は縁部(lip)を形成している。摩擦ブロック134の面134aと、ハンドル140と外側ロックシャフト130bとの結合部とによって形成された縁部の間に圧縮ばね131が配置されている。外側ロックシャフト130bの他端はかみ合い歯を備えた結合面135bを有している。外側ロックシャフト130b及び結合面135bは、摩擦ブロック134内の穴部の中に配置されている。両かみ合い歯結合面135a、135bが互いに係合したときに、ハンドル130の一方向への回転は、はさみ形部材126、128をレール112に係合させ、ロックカラー124の位置をレール112に対して固定する。これに対して、ハンドル130の反対方向への回転は、はさみ形部材26、28のレール112との係合を解除させ、これによりロックカラー124がレール112に沿って移動するのを可能にする。
【0037】
内側ロックシャフト130aと外側ロックシャフト130bとが直線状に整列したときには、結合面135a、135bのかみ合い歯が互いに係合する。2つの係合面のかみ合い歯が係合したときに、外側ロックシャフト130bの回転は、内側ロックシャフト130aの同様の回転を生じさせ、はさみ形部材126を動作させる。
【0038】
前記のとおり、かみ合い歯結合面135aはロックカラー124内に配置され、かみ合い歯結合面135bは摩擦ブロック134内に配置されている。圧縮ばね131は、ハンドル140、ひいては外側ロックシャフト130bに対して水平方向の力を加える。この力は、外側ロックシャフト130bを、内側ロックシャフト130aから離間するように押圧し、これにより両かみ合い歯結合面135a、135bは互いに離間する傾向がある。それゆえ、内側ロックシャフト130a及び外側ロックシャフト130bが直線状に整列しているときでも、両かみ合い歯結合面135a、135bは互いに係合することができない。なぜなら、圧縮ばね131によって外側ロックシャフト130bに外向きの力が作用するからである。オペレータが圧縮ばね131の圧縮力に抗して外側ロックシャフト130bを内側ロックシャフト130aに向かって力を加えたときには、両かみ合い歯結合面135a、135bは互いに係合することができる。
【0039】
本発明の第2の典型的な実施の形態は、ロックカラー124に対する相対的な荷物搬送ユニットの予め設定された移動の際に、両かみ合い歯結合面135a、135bが互いに係合するのを阻止する。この保護機構は、摩擦ブロック134と、ロックカラー124をロックするための関連物とを備えている。図8及び図9に示す第2の実施の形態は、荷物と釣り合いス重りとの間の非整列を検出するための、図5Aに示すものと同様の機構を有している。これらの機構は、図8及び図9中に包括的に穴部147として示されている。
【0040】
摩擦ブロック134の頂部には、クランプ166(clamp)を介して、板ばね150、152が取り付けられている。摩擦ブロック134の底部には、2つのさらなる板ばね(図示せず)が同様に取り付けられている。ロックカラー124の頂部と摩擦ブロック134の頂部とが実質的に同一のレベル位置にある場合、荷物搬送ユニット116が実質的に無重量であるときに、板ばね150、152は摩擦ブロック134の頂部から伸び、ロックカラー124の頂部にもたれかかる。同様に、荷物搬送ユニットが実質的に無重量であるときに、摩擦ブロック134の底部にクランプされた板ばね(図示せず)はロックカラーの底部から伸び、摩擦ブロック134の底部にもたれかかる。摩擦ブロック134の上向きの移動が板ばね150、152の抵抗を超えるまで、又は、摩擦ブロック134の底部にクランプされた板ばねの抵抗を超えるまでは、摩擦ブロック134は、所定の適切な位置にとどまり、両かみ合い歯結合面の歯は互いに係合することができる。
【0041】
荷物搬送ユニットが実質的に無重量である場合、内側ロックシャフト130aは外側ロックシャフト130bと直線状に整列し、両かみ合い歯結合面135a、135bは互いに係合することができる。両かみ合い歯結合面135a、135bが互いに係合しているので、ハンドル130は回転することができ、はさみ形部材126、128をレール112から解放することができる。
【0042】
荷物搬送ユニットが実質的に無重量で内場合、及び、摩擦ブロック134の上向きの移動が板ばね150、152の抵抗を超えた場合、摩擦ブロック134は板ばね150、152に上向きの力を加えて上向きに移動させる。ロックカラー124と摩擦ブロック134との間に相対的な移動が存在する場合、内側ロックシャフト130aは、ロックカラー124内に配置されているので、静止した状態にとどまる。外側ロックシャフト130bが摩擦ブロック134内の小さい穴部の中にぴったりした状態で配置されているので、外側ロックシャフト130bは内側ロックシャフト130aに対して相対的に非整列状態となる。2つのロックシャフトの非整列は、両かみ合い歯結合面135a、135bが互いに係合するのを阻止する。これにより、外側ロックシャフトが内側ロックシャフトを回転させるのが阻止され、はさみ形部材126の移動を阻止する。
【0043】
本発明は、ここでは、特定の実施の形態により図示され説明されている。しかし、本発明は、ここに示された詳細な事項に限定されるものではない。すなわち、種々の修正例が、本発明の趣旨から離脱しない、請求の範囲と等価な範囲内及び視野内において、種々なされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の典型的な実施の形態の斜視図である。
【図2】本発明の第1の典型的な実施の形態の上面断面図である。
【図3】配置されたユニットが釣り合い荷重によって実質的に無重量状態に保持されているときにおける、釣り合い状態にあるロックカラー、摩擦ブロック及び結合ボックスの斜視図である。
【図4】配置されたユニットが不釣り合いな状態であるときにおける、釣り合い状態にないロックブロック、パネルブロック及び結合ボックスの斜視図である。
【図5A】図3の5A−5A線に沿って切断された縦断面図である。
【図5B】図4の5B−5B線に沿って切断された縦断面図である。
【図6A】図3の6A−6A線に沿って切断された縦断面図である。
【図6B】図4の6B−6B線に沿って切断された縦断面図である。
【図7A】結合ボックスの側面図である。
【図7B】図3の7B−7B線に沿って切断された縦断面図である。
【図7C】図4の7C−7C線に沿って切断された縦断面図である。
【図8】荷物搬送ユニットを伴った、本発明の第2の実施の形態の第1の斜視図である。
【図9】荷物搬送ユニットを伴っていない、本発明の第2の実施の形態の第2の斜視図である。
【図10】図8の上面断面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 支持部、12 支持シャフト、14 支柱、16 荷物搬送ユニット、18 結合構造体、21 ケーブル、24 ロックカラー、26 ロック部材(くさび形部材)、28 ロック部材(くさび形部材)、30a 内側ロックシャフト、30b 外側ロックシャフト、35a 結合面、35b 結合面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と係合するロック部材と、
上記ロック部材を動作させるための内側ロックシャフトであって、その一端に第1の結合面を有する内側ロックシャフトと、
第2の結合面を有する外側ロックシャフトであって、上記内側ロックシャフトと該外側ロックシャフトとが互いに相対的にそれぞれの係合位置にあるときに、上記第2の結合面が上記第1の結合面と係合するようになっている外側ロックシャフトと、
上記第1の結合面が上記第2の結合面と係合するのを阻止するように移動する結合構造体とを含んでいる安全ロック装置。
【請求項2】
上記ロック部材が、くさび形部材又ははさみ形部材である、請求項1に記載の安全ロック装置。
【請求項3】
内部に上記ロック部材が配置されたロックカラーをさらに含んでいて、上記ロック部材は、上記ロックカラーが上記支持部に沿って異動するのを阻止するように動作する、請求項1に記載の安全ロック装置。
【請求項4】
上記ロックカラーに取り付けられ該ロックカラーに対して移動することが可能な結合ボックスをさらに含んでいて、上記内側ロックシャフトが上記ロックカラーによって保持され、上記外側ロックシャフトが上記結合ボックスによって保持されている、請求項3に記載の安全ロック装置。
【請求項5】
釣り合いがとられた荷物が上記ロックカラーに結合されている、請求項3に記載の安全ロック装置。
【請求項6】
弾性的な部材が、上記結合ボックスを上記ロックカラーに締結している、請求項4に記載の安全ロック装置。
【請求項7】
上記結合ボックスが摩擦ブロックを介して上記ロックカラーに締結されていて、上記摩擦ブロックが上記結合ボックスに固定的に取り付けられ、上記荷物が上記摩擦ブロックと上記結合ボックスとの間に配置されている、請求項5に記載の安全ロック装置。
【請求項8】
上記外側ロックシャフトに結合されたばねによって負荷がかけられるハンドルをさらに含んでいて、上記ばねが、上記第1の結合面と上記第2の結合面とを強制的に離間させるようになっている、請求項1に記載の安全ロック装置。
【請求項9】
上記外側ロックシャフトが、上記結合ボックスに対して相対的に、直線方向に静止している、請求項4に記載の安全ロック装置。
【請求項10】
上記荷物がテストヘッドである、請求項5に記載の安全ロック装置。
【請求項11】
内側ロックシャフトの第1の結合面と外側ロックシャフトの第2の結合面とが互いに係合するように配置されたときに、上記外側ロックシャフトを操作し、これにより上記内側ロックシャフトを動作させて、ロック部材を支持部に係合させるステップと、
上記内側ロックシャフトの第1の結合面と外側ロックシャフトの第2の結合面とが互いに係合が解除されるように配置されたときに、上記内側ロックシャフトが上記ロック部材と上記支持部との係合を解除しないように、上記外側ロックシャフトを操作するステップとを含んでいる、荷物をロックする方法。
【請求項12】
上記ロック部材が、上記支持部と係合するはさみ形部材又はくさび形部材である、請求項11に記載の荷物をロックする方法。
【請求項13】
上記ロック部材がロックカラー内に配置され、結合ボックスが上記ロックカラーに取り付けられるとともに該ロックカラーに対して移動することができ、上記内側ロックシャフトが上記ロックカラーによって保持され、上記外側ロックシャフトが上記結合ボックスによって保持され、上記結合ボックスが上記ロックカラーに対して相対的に移動するときに上記内側ロックシャフトと上記外側ロックシャフトの相互の係合が解除される、請求項11に記載の荷物をロックする方法。
【請求項14】
上記結合ボックスに結合された荷物の釣り合いが変化したときに、上記結合ボックスが上記ロックカラーに対して相対的に移動する、請求項13に記載の荷物をロックする方法。
【請求項15】
ばねが、上記第1の結合面と上記第2の結合面とを強制的に離間させる、請求項11に記載の荷物をロックする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−523299(P2006−523299A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503715(P2006−503715)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/004936
【国際公開番号】WO2004/073920
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(599107795)インテスト アイピー コーポレイション (3)
【氏名又は名称原語表記】inTEST IP Corp.
【Fターム(参考)】