説明

材料払出し装置

【課題】回転運動方式と水平往復運動方式の利点を有効に生かし、材料の連続的な払出しが可能で、材料の厚みに制限なく確実に搬送体上から材料の払出しが行える材料払出し装置を提供する。
【解決手段】材料を支持して送るベルトコンベア12の途中に設定した払出し位置に設けられ、このベルトコンベア12で送られてきた板材aを搬送ライン外に払出す払出し装置であり、前記ベルトコンベア12の上部位置に回転払出し体18を、その回転により払出し腕20がベルトコンベア12上の材料aを外方に払出すように配置し、前記回転払出し体18を板材aの払出し方向に沿って水平に往復移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、材料を支持して送る搬送体の途中で複数箇所に払出し位置を設定しておき、送られてきた材料を種類や長さ、グレード等に応じて対応する払出し位置で搬送体の外部に払出すようにした材料払出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、板材を必要な長さに切断加工する場合、切断後の板材を長さや種類ごとに仕分ける必要があるため、切断加工後の板材を支持してその長さ方向に送る搬送体であるベルトコンベアの途中に複数の払出し位置を設定し、各払出し位置ごとに払出し部材を配置し、ベルトコンベアで送られてきた板材が該当する払出し位置に臨むと、払出し部材の作動によって板材をベルトコンベアの搬送ラインから一方側方に取り出す材料払出し装置が用いられている。
【0003】
従来の材料払出し装置において、ベルトコンベア上から板材を取り出す払出し方法には、水平往復運動方式と、回転運動方式の何れかが採用されている。
【0004】
前者の水平往復運動方式は、図5(a)と(b)のように、板材aを長さ方向に沿って搬送するベルトコンベア1の搬送面上で一方側方の位置に、このベルトコンベア1の搬送面に対して幅方向に伸縮するシリンダ2を固定配置し、ベルトコンベア1で該当する板材aが送られてくると、前記シリンダ2が伸張し、ロッド3の先端に固定した押板4でベルトコンベア1上の板材aをベルトコンベア1の他方側の受け取り機構5に押出すようになっている。
【0005】
また、後者の回転運動方式は、図6(a)と(b)のように、ベルトコンベア1の上部位置に、複数の払出し腕6が回転中心から放射状の配置となるように突出する回転払出し体7を、その回転軸8がベルトコンベア1の搬送方向に平行し、払出し腕6の先端における回転軌跡がベルトコンベア1の搬送面に接近するよう配置し、ベルトコンベア1で該当する板材aが送られてくると、前記回転払出し体7を回転させ、払出し腕6の先端でベルトコンベア1上の板材aをベルトコンベア1の他方側の受け取り機構5に払出すようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前者の水平往復運動方式は、図5(b)のように、シリンダ2の使用により、板材aの厚みが変化しても払出し距離が一定になるという利点はあるが、払出し中はピストンロッド3がベルトコンベア1の上に突出しているため、次の板材aが送られてくると支障をきたすことになり、このため、シリンダ2を収縮させるまで、次の板材aの送り込みを待たなければならず、板材aの連続的な払出しができないという問題がある。
【0007】
また、後者の回転運動方式は、板材aの連続的な払出しが可能であるが、図6(b)のように、回転する払出し腕6の先端が描く回転軌跡の外側に板材aを押出すだけであるので、板材aの厚みにより払出し距離が変わることになり、板材aの厚みに制限が生じるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決するため、回転運動方式と水平往復運動方式を併用し、両方式の利点を有効に生かすことで、材料の連続的な払出しが可能で、材料の厚みに制限なく確実に搬送体上から材料の払出しが行える材料払出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明は、材料を支持して送る搬送体の途中に設定した払出し位置に設けられ、この搬送体で送られてきた材料を外方に払出す払出し装置であり、前記搬送体の上部位置に、複数の払出し腕を回転中心から放射状の配置となるように設けた回転払出し体を、その回転により払出し腕が搬送体上の材料を外方に払出すように配置し、前記回転払出し体を、材料の払出し方向に沿って水平に往復移動させるようにしたものである。
【0010】
上記搬送体の上部に、固定部材での支持によって材料の払出し方向に沿って水平に往復移動可能となる移動部材を配置し、この移動部材に上記回転払出し体を取付け、前記固定部材に設けた駆動機で移動部材を往復移動させるようにすることができる。
【0011】
ここで、上記材料は、切断装置で所定の長さに切断された板材であり、搬送体に受取り側端部から供給された板材は、その長さ方向に沿って送られ、前記搬送体の途中における複数箇所に払出し位置が設定され、各払出し位置に材料払出し装置が設置されている。
【0012】
上記回転払出し体は、その回転軸心が搬送体の搬送方向に沿う配置で移動部材の上に回転可能に取付けられ、搬送体で該当する板材が送られてくると、待機位置にある前記回転払出し体の回転する払出し腕で板材を搬送体の他方側に押出すと共に、これと同時にシリンダが伸長作動し、回転払出し体を払出し方向に移動させ、これにより、回転払出し体の払出し距離にシリンダのストローク分の払出し距離が加わり、板材の厚みが薄い場合でも搬送体の外方へ確実に払出すことができ、払出し後は、シリンダが収縮して回転払出し体は待機位置に戻ることになる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、材料を支持して送る搬送体の上部位置に回転払出し体を配置し、前記回転払出し体を、材料の払出し方向に沿って水平に往復移動させるようにしたので、回転運動方式と水平往復運動方式の利点を有効に生かすことができ、材料の連続的な払出しが可能になるだけでなく、材料の厚みに制限なく確実に搬送体上から材料の払出しが行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】材料払出し装置の全体構造を示す平面図
【図2】材料払出し装置の全体構造を示す正面図
【図3】材料払出し装置の全体構造を示す側面図
【図4】(a)は材料払出し機構における回転払出し体の待機位置にある状態を示す拡大した側面図、(b)は回転払出し体の払出し位置にある状態を示す拡大した側面図
【図5】(a)は従来の材料払出し装置における、水平往復運動方式の待機位置にある状態を示す側面図、(b)は同じく払出し位置にある状態を示す側面図
【図6】(a)は従来の材料払出し装置における、回転運動方式の払出し前の状態を示す側面図、(b)は同じく払出し状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図示例に基づいて説明する。
【0016】
図1乃至図3は、材料払出し装置の全体構造を示し、板材aを支持してその長さ方向に送る搬送体が、設置フレーム11に水平状態で支持されたベルトコンベア12を用いて形成され、このベルトコンベア12の搬送途中に払出し位置が設定され、この払出し位置には、ベルトコンベア12を挟んで一方側の位置に材料払出し機構13が設けられ、他方側の位置にベルトコンベア12から払出された板材aを受取る受取り機構14が設けられている。
【0017】
図1乃至図3の場合、ベルトコンベア12に対して払出し位置を一箇所だけ図示したが、実際には払出し位置を複数設置し、板材aを長さやグレード等に応じて異なる位置で払出しを行うことにより、種類分けができるようにする。
【0018】
また、図示省略したが、ベルトコンベア12の受取り側の端部には、例えば、板材の切断機が設置され、必要に長さに切断加工した板材aをベルトコンベア12上に供給するようになっている。
【0019】
上記材料払出し機構13は、ベルトコンベア12の上部に水平の固定支持枠15を、上記フレーム11への固定によって、この固定支持枠15とベルトコンベア12の上面との間に板材aの通過できる間隔を確保するように配置し、前記固定支持枠15の上にガイド機構16を介して枠状の移動部材17を、前記ベルトコンベア12の搬送方向と直交する幅方向に往復移動可能となるように配置し、この移動部材17に回転払出し体18を取付け、前記固定支持枠15と移動部材17を駆動機となるシリンダ19で結合し、移動部材17を水平に往復移動させるように形成されている。
【0020】
上記回転払出し体18は、複数の払出し腕20を回転中心から放射状の配置で突出するように設けた構造を有し、上記移動部材17に軸受21で回転可能に支持された回転軸22に所定間隔で複数枚が固定されている。
【0021】
上記回転軸22は、ベルトコンベア12の搬送方向に平行する配置となり、移動部材17に設置したモータ23によって回転駆動され、この回転軸22に固定した回転払出し体18は、払出し腕20の回転方向がベルトコンベア12の幅方向に沿うようになり、払出し腕20の先端が描く回動軌跡がベルトコンベア12の表面に近接するように配置高さが設定されている。
【0022】
図示の場合、上記回転払出し体18は、払出し腕20が等間隔の配置で四方に突出したものを示し、この回転払出し体18の回転制御方法は、上記回転軸22に十字型円板を回転払出し体18と一体に回転するように取付け、前記十字型円板の近くに近接センサーを配置し、十字型円板の腕を近接センサーで検知することにより、回転払出し体18を90°ごとに間歇回転させるようにモータ23を制御している。
【0023】
図4(a)は、回転払出し体18が待機位置にある状態を示し、シリンダ19が収縮することで、回転軸22はベルトコンベア12の直上で幅方向に対して約中間に位置し、また、図4(b)は回転払出し体18が払出し位置にある状態を示し、シリンダ19が伸長することで、受取り機構14側にシリンダ19のストローク分だけ移動している。
【0024】
この発明の材料払出し装置は、上記のような構成であり、図4(a)のように、回転払出し体18が待機位置にある状態で、ベルトコンベア12によって該当する払出し位置に板材aが送られてくると、待機位置にある回転払出し体18が図4(a)の反時計方向に回転し、図4(b)のように、払出し腕20の先端でベルトコンベア12上の板材aをベルトコンベア12の他方側に払出すと同時にシリンダ19が伸長し、回転払出し体18がシリンダ19のストローク分だけ受取り機構14側に水平移動することになる。
【0025】
従って、ベルトコンベア12上の板材aを払出すとき、回転払出し体18による払出し距離にシリンダ19のストローク分の払出し距離が加わり、これにより払出し距離が大きくなることで、薄い厚みの板材aであってもベルトコンベア12上から受取り機構14へ確実に払出すことができ、板材aの厚みの制限がなくなる。
【0026】
板材aを払出すとシリンダ19が収縮して回転払出し体18が図4(a)で示した待機位置に戻り、次の払出しに備えるものである。
【符号の説明】
【0027】
11 設置フレーム
12 ベルトコンベア
13 材料払出し機構
14 受取り機構
15 固定支持枠
16 ガイド機構
17 移動部材
18 回転払出し体
19 シリンダ
20 払出し腕
21 軸受
22 回転軸
23 モータ
a 板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を支持して送る搬送体の途中に設定した払出し位置に設けられ、この搬送体で送られてきた材料を外方に払出す払出し装置であり、
前記搬送体の上部位置に、複数枚の払出し腕を回転中心から放射状の配置となるように設けた回転払出し体を、その回転により払出し腕が搬送体上の材料を外方に払出すように配置し、前記回転払出し体を材料の払出し方向に沿って水平に往復移動させるようにした材料払出し装置。
【請求項2】
上記搬送体の上部に、固定部材での支持によって材料の払出し方向に沿って水平に往復移動可能となる移動部材を配置し、この移動部材に上記回転払出し体を取付け、前記固定部材に設けた駆動機で移動部材を往復移動させるようにした請求項1に記載の材料払出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−143985(P2011−143985A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4823(P2010−4823)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000148818)株式会社太平製作所 (37)
【Fターム(参考)】