説明

材料混練装置及び材料混練方法

【課題】被混練材料の処理能力の減少に伴う混練エネルギーの増加、及び、被混練材料の処理能力の増加に伴う混練エネルギーの減少を緩和することができる材料混練装置及び材料混練方法を提供する。
【解決手段】 内部に材料が投入されるシリンダ2に挿通され、シリンダ2における上流側及び下流側の両端部、あるいは前記上流側端部において回転可能に支持されるスクリュ3と、スクリュ3に螺旋状に形成され前記材料をスクリュ3の回転により前記下流側へ送る送り翼32A及び32Bを複数有する混練エレメント521と、スクリュ3に螺旋状に形成され混練エレメント521により前記下流側へ送られた材料を前記回転により前記上流側へ戻す戻し翼33を送り翼32A及び32Bの翼数より少ない翼数有する混練エレメント522とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュ機構を用い、プラスチック等の被混練材料を連続混連する材料混練装置及び材料混練方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック等の被混練材料を連続混連する材料混練装置として、例えば、二軸スクリュ押出機が知られている。
【0003】
二軸スクリュ押出機は、円筒状のシリンダと、当該シリンダの軸方向と平行するようにシリンダ内に挿通された互いに平行な2つのスクリュを有している。各スクリュは、シリンダにおける上流側及び下流側の両端にて回転可能に支持されており、被混練材料を送る混練翼が螺旋状に形成されている。各スクリュの上流側端部には、モータが減速機を介して連結されている。モータにより各スクリュが回転することで混練翼が回転する。この回転により、シリンダ内に投入された被混練材料が上流側から下流側へ送られるとともに混練され、後段の造粒装置に送り出される。
【0004】
二軸スクリュ押出機は、上流側から下流側にかけて、輸送部と、溶融混練部と、脱揮部と、排出部とで構成されている。溶融混練部は、被混練材料を下流側へ送る混練翼である送り翼がスクリュに形成された混練エレメントと、当該混練エレメントの下流側に設けられ、被混練材料を上流側へ戻す混練翼である戻し翼がスクリュに形成された混練エレメンとを有する。以下、二軸スクリュ押出機の動作について簡単に説明する。
【0005】
先ず、二軸スクリュ押出機は、作業者からの入力等に基づいて、モータを駆動させる。モータの駆動により、二軸スクリュ押出機は、各スクリュを互いに異方向に回転させることで各スクリュに設けられた混練翼を夫々異方向に回転させる。この回転により、輸送部では、シリンダに設けられた材料投入口からシリンダ内に投入された被混練材料が溶融混練部へ送り出される。溶融混練部では、輸送部から送り出された被混練材料は、回転する送り翼と戻し翼とにより混練溶融され、脱揮部へ送り出される。脱揮部では、被混練材料が混練溶融された際に生じるガス等がシリンダに設けられたベント口から排出される、所謂ガスの脱揮がなされるとともに、混練溶融された被混練材料(以後、溶融材料と称する)が排出部へ送り出される。次いで、排出部では、シリンダに設けられた材料排出口から溶融材料が排出される。
【0006】
なお、従来の技術として、下記特許文献等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開1993−228921号公報
【特許文献2】特開2001−009830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の二軸スクリュ押出機は、上述したように溶融混練部において被混練材料を可能な限り滞留させることで被混練材料を完全溶融させている。そのため、被混練材料の処理能力(例えば、単位時間あたりの被混練材料の生産量:kg/h)が減少するほど、溶融混練部から被混練材料へ与えられる混練エネルギーが過剰となり、生産コストの増加や溶融材料の劣化が発生する問題がある。その対策として、溶融混練部のシリンダ軸方向における長さを短縮することで、溶融混練部における被混練材料の充満長を短縮する方法がある。また、上記特許文献2において提案されているような、被混練材料を上流側に戻す戻し翼部のスクリュ回転方向との捩じれ角を、下流側に送る送り翼部のスクリュ回転方向との捩じれ角より大きくする等によって、溶融混練部における充満長および被混練材料の滞留時間を短縮する方法がある。しかしながら、これらの方法を用いて、被混練材料の処理能力を増加させようとした場合(例えば、被混練材料を増量した場合)、充満長や滞留時間が短縮されているため、溶融混練部から与えられる混練エネルギーが不足してしまう問題がある。混練エネルギーが不足すると、被混練材料が完全溶融し難くなり、溶融材料の不良の増加等に繋がるため、結果的に処理能力が減少する。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、被混練材料の処理能力の減少に伴う混練エネルギーの増加、及び、被混練材料の処理能力の増加に伴う混練エネルギーの減少を緩和することができる材料混練装置及び材料混練方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、内部に材料が投入されるシリンダに挿通され、前記シリンダにおける上流側及び下流側の両端部、あるいは前記上流側端部において回転可能に支持されるスクリュと、前記スクリュに螺旋状に形成され前記材料を前記スクリュの回転により前記下流側へ送る第1翼を複数有する第1混練翼と、前記スクリュに螺旋状に形成され前記第1混練翼により前記下流側へ送られた材料を前記回転により前記上流側へ戻す第2翼を前記第1翼の翼数より少ない翼数有する第2混練翼とを備えた。
【0011】
また、前記第2翼は前記スクリュに複数形成されており、前記第1翼のいずれかである第3翼の前記下流側終端と前記第2翼の前記上流側始端とが契合されており、前記第1翼のいずれかである第4翼の前記下流側終端と前記第2翼の前記上流側始端とが離間されている。
【0012】
また、前記スクリュは、前記第1混練翼と前記第2混練翼との組を複数有する。
【0013】
また、前記第1混練翼及び前記第2混練翼は、前記シリンダの軸方向における長さが同一である。
【0014】
また、本発明の一態様は、内部に材料が投入されるシリンダに挿通され、前記シリンダにおける上流側及び下流側の両端部、あるいは前記上流側端部において回転可能に支持されるスクリュを回転させ、前記スクリュに螺旋状に形成され前記投入された材料を前記スクリュの回転により前記下流側へ送る第1翼を複数有する第1混練翼により、前記投入された材料を前記下流側へ送るとともに、前記スクリュに螺旋状に形成され前記第1混練翼により前記下流側へ送られた材料を前記回転により前記上流側へ戻す第2翼を前記第1翼の翼数より少ない翼数有する第2混練翼により、前記下流側へ送られた材料を前記上流側へ戻し、前記材料を混練する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被混練材料の処理能力の減少に伴う混練エネルギーの増加、及び、被混練材料の処理能力の増加に伴う混練エネルギーの減少を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機を示す簡略平面図である。
【図2】本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機を示す簡略側面図である。
【図3】本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機の構成を示す図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機の構成を示す図3のIV−IV矢視断面図である。
【図5】本実施の形態に係る混練エレメントを模式的に示す模式図である。
【図6】本実施の形態に係る混練エレメントとは異なる混練エレメントを模式的に示す模式図である。
【図7】実施例1及び比較例1の測定結果を示す図である。
【図8】実施例2及び比較例2の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機1を示す簡略平面図である。図2は、本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機1を示す簡略側面図である。図3は、本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機1の構成を示す図2のIII−III矢視断面図である。図4は、本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機1の構成を示す図3のIV−IV矢視断面図である。図1から図4に示されるように、二軸スクリュ押出機1は、被混練材料の流路となるスクリュ穴21が内部に設けられた円筒状のシリンダ2を有している。このシリンダ2上面には、上流側から下流側にかけて、被混練材料が投入される材料投入口22と、被混練材料が溶融された際に生じるガス等をシリンダ2内から排出するベント口23とがスクリュ穴21と連通するよう設けられている。また、図2及び図3に示されるように、溶融材料を排出する材料排出口24が、ベント口23よりも下流側のシリンダ2側面にスクリュ穴21と連通するよう設けられている。
【0019】
更に、二軸スクリュ押出機1は、図3及び4に示されるように、シリンダ2の軸方向と平行するようにスクリュ穴21に挿通されたスクリュ3A及び3Bを有している。以後、スクリュ3A及び3Bを区別せずスクリュを説明する際には、スクリュ3と述べる。スクリュ3は、シリンダ2における上流側及び下流側の両端にそれぞれ設けられた軸受部4A及び4Bにより回転可能に支持されている。スクリュ3の外周には、被混練材料を下流側へ輸送する輸送翼31が、後述する混練エレメント521を除き、螺旋状に2翼で形成されている。また、スクリュ3の上流側端部には、図示しないモータが減速機を介して連結されている。モータによりスクリュ3が回転することで、シリンダ2内に投入された被混練材料を下流側へ送り出すことができる。なお、本実施の形態においては、スクリュ3A及び3Bは互いに異方向に回転されるため、スクリュ3Aと3Bの螺旋の巻回方向が夫々異なるよう形成されている。
【0020】
また、二軸スクリュ押出機1は、図4に示されるように上流側から下流側にかけて、輸送部51と、溶融混練部52と、脱揮部53と、混練部54と、排出部55とを有する。輸送部51では、投入された被混練材料がスクリュ3の回転により溶融混練部52へ送り出される。溶融混練部52では、被混練材料が混練されるとともに溶融され脱揮部53へ送り出される。この溶融混練部52は、混練エレメント521及び522を有している。混練エレメント521及び522により被混練材料の混練を可能としている。混練エレメント521及び522の詳細については後述する。脱揮部53では、溶融混練部52において被混練材料が溶融された際に生じるガス等が脱揮され、ベント口23から排出されるとともにガスが脱揮された溶融材料が混練部54に送られ、混練部54で再度混練される。その後、排出部55へ送られ、排出部55では、材料排出口24から溶融材料が排出される。
【0021】
また、シリンダ2の長手方向(シリンダ2の軸方向)における中間位置、即ち溶融混練部52と脱揮部53との間の部分には、その内壁面の上下位置に対向するよう混練調整機構6が設けられている。混練調整機構6は、開度を調節することにより、被混練材料が通過する流路面積(スクリュ穴21の断面積)を変更する。二軸スクリュ押出機1は、この混練調整機構6を用いて開度を調節することにより、溶融混練部52における被混練材料の充満率と滞留時間を調節できる。混練調整機構6は、例えばシリンダ内に挿入された部分が、その位置に存在するスクリュの外径より少し大きな径で加工されたゲートバーを回転させることにより、スクリュ外径との隙間を小さくする全閉からシリンダ内径と同等径の全開まで開度を調節するロータリースロットバーである。
【0022】
なお、排出部55により材料排出口24から排出された溶融材料は、図示しないギアポンプによって造粒装置に送られる。ギアポンプと造粒装置の間には、異物除去装置(スクリーンチェンジャ)が配置されている。また、造粒装置の下流側には、その他の加工装置が配置されている。次に、上述した混練エレメント521及び522について、図3から図5を用いて、その詳細を説明する。
【0023】
図3及び図4に示されるように、混練エレメント521は、被混練材料を下流側へ送る送り翼32A及び32Bが螺旋状に形成されている。一方、混練エレメント522は、混練エレメント521の下流側に位置し、被混練材料を上流側へと戻す戻し翼33が螺旋状に形成されている。
【0024】
図5は、本実施の形態に係る混練エレメント521及び522を模式的に示す模式図である。図5に示されるように、スクリュ3の混練エレメント521は、送り翼32A及び32Bを夫々2翼ずつ計4翼有しており、混練エレメント522は、戻し翼33を2翼有している。つまり、混練エレメント521が有する送り翼32A及び32Bの翼数(条数)の合計は、混練エレメント522が有する戻し翼33の翼数より多い。換言すると、混練エレメント522は、戻し翼33を、送り翼32A及び32Bの合計翼数より少ない翼数有する。これら混練エレメント521及び522のシリンダ2軸方向における長さは、ともに1.0Dである。Dはシリンダ2の内径を示す。
【0025】
送り翼32Aは、翼の終端(送り翼32Aの下流側端部)が戻し翼33の始端(戻し翼33の上流側端部)と重なる、所謂端面合わせとなるようスクリュ3に形成されている。換言すると、送り翼32Aの終端と戻し翼33の始端とが契合されている。図5における7は、この契合部分を示す。スクリュ3には、契合部分7を境に螺旋の巻回方向が異なるよう送り翼32Aと送り翼32Bとが連続して形成されている。一方、送り翼32Bは、翼の終端が戻し翼33の始端と端面合わせとならないようスクリュ3に形成されている。換言すると、送り翼32Bの終端と戻し翼33の始端とが離間されている。このように形成されることにより、被混練材料の処理能力を減少させた運転の場合、混練エレメント521に被混練材料が充満し難くなる。一方、被混練材料の処理能力を増加させた運転の場合、混練エレメント521に被混練材料が充満するため、送り翼32A及び32Bは、溶融混練部52における被混練材料の混練に寄与する。
【0026】
以上のように、本実施の形態に係る二軸スクリュ押出機1は構成される。次に、二軸スクリュ押出機1における被混練材料の混練方法について説明する。
【0027】
先ず、二軸スクリュ押出機1は、作業者からの入力等に基づいて、モータを駆動させる。モータの駆動により、二軸スクリュ押出機1は、各スクリュ3A及び3Bを互いに異方向に回転させることで輸送翼31を夫々異方向に回転させる。スクリュ3回転後、材料投入口22からシリンダ2内へ被混練材料が投入される。投入後、輸送部51では、シリンダ2内へ投入された被混練材料が前述の回転により溶融混練部52へ送り出される。輸送部51から送り出された後、溶融混練部52では、被混練材料が回転する送り翼32A及び32Bと戻し翼33とにより混練溶融され、脱揮部53へ送り出される。この混練溶融は、シリンダ2内壁面と、送り翼32A、32B、戻し翼33とにより被混練材料に対し高い剪断力が加わることでなされる。
【0028】
混練溶融された溶融材料が送り出された後、脱揮部53では、溶融材料からガスが脱揮されるとともに、溶融材料を下流へ輸送する輸送翼31により該溶融材料が混練部54へ送られ、再混練後、排出部55へ送り出され、材料排出口24から排出される。
【0029】
本実施の形態によれば、溶融混練部52における被混練材料の充満率が低くなるよう、被混練材料の処理能力を減少させた運転の場合、翼の終端が戻し翼33の始端と離間されている送り翼32Bにより、溶融混練部52における被混練材料の充満長と滞留時間とを減少させることができる。そのため、被混練材料の処理能力を減少させた運転では溶融混練部52から被混練材料へ与えられる混練エネルギーを低下させることができる。また、充満率が高くなるよう、被混練材料の処理能力を増加させた運転の場合、溶融混練部52においても被混練材料が充満する。被混練材料が充満することにより、溶融混練部52から被混練材料へ与えられる混練エネルギーが増加するため、処理能力を増加させた運転であっても被混練材料を完全溶融させることができる。
【0030】
同様にして、混練調整機構6により流路面積を拡張し、充満率と滞留時間を減少させた場合、送り翼32Bの搬送能力が働くことにより、溶融混練部52から与えられる混練エネルギーを減少させることができる。一方、流路面積を縮小し、充満率と滞留時間を増加させた場合、送り翼32Bの混練能力が働くことにより、溶融混練部52から与えられる混練エネルギーを増やすことができる。したがって、混練調整機構6による混練エネルギー制御範囲(開度の調整により被混練材料に与える混練エネルギー)を拡大することができる。
【0031】
なお、本実施の形態においては、二軸スクリュ押出機1は、混練エレメント521及び522が、上流側から混練エレメント521、混練エレメント522の順に一組設けられている。しかしながら、混練エレメント521、混練エレメント522はスクリュ3に複数設けられていてもよい。
【0032】
また、本実施の形態においては、図3及び図4に示されるように非噛合い異方向タイプのスクリュ3を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、噛合いタイプや同方向回転タイプのスクリュ押出機でもよい。また、スクリュ3は、上流側及び下流側の両端部で支持されてもよいし、上流側端部のみで支持されてもよい。
【0033】
また、スクリュ3には、輸送翼31、送り翼32A、送り翼32B、戻し翼33が夫々2翼形成されていると説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも送り翼32A及び32Bが夫々1翼形成され、送り翼32A及び32Bの合計翼数が戻し翼33の翼数より多ければよい。
【0034】
本実施の形態においては、脱揮部53におけるシリンダ2の壁面に、ベント口23が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。ベント口23が設けられずとも、混練部54がスクリュ3に形成されずともよい。
【実施例】
【0035】
溶融混練部52において被混練材料へ与えられる比エネルギー(消費動力/処理能力)と、図6に示されるような、混練エレメント521の代わりに送り翼32Bが形成されていない混練エレメント523を有する溶融混練部(以後、混練溶融部Xと称する)において与えられる比エネルギーとを調査した。調査には、以下の機器、材料を用いた。
二軸スクリュ押出機:株式会社日本製鋼所製CIM90
被混練材料:HDPE(High Density Polyethylene)(MI=0.2/5kg荷重)
(実施例1)
【0036】
スクリュ回転速度を280rpm、混練調整機構6の開度を一定に設定し、処理能力210kg/h時の溶融混練部52において与えられる比エネルギーと、輸送部51の能力限界(処理能力の限界)時の溶融混練部52において与えられる比エネルギーを測定した。測定結果を図7に示す。
(比較例1)
【0037】
上記実施例1と同条件における、混練溶融部Xにおいて与えられる比エネルギーを測定した。測定結果を図7に示す。
【0038】
図7に示されるように、混練溶融部52は、混練溶融部Xと比較して低処理能力での比エネルギーを低減し、高処理能力での比エネルギーを増加させることができた。このことから、本実施例によれば、被混練材料の処理能力の減少に伴う混練エネルギーの増加、及び、被混練材料の処理能力の増加に伴う混練エネルギーの減少を緩和できることが確認できた。
(実施例2)
【0039】
スクリュ回転速度を400rpm、処理能力を300kg/hと設定し、混練調整機構6により流路面積を調整した場合における、溶融混練部52において与えられる比エネルギーを測定した。測定結果を図8に示す。
(比較例2)
【0040】
上記実施例2と同条件における、混練溶融部Xにおいて与えられる比エネルギーを測定した。測定結果を図8に示す。
【0041】
図8に示されるように、混練溶融部52は、混練溶融部Xと比較して、混練調整機構6を用いた運転範囲をおよそ22%拡大できた。
【0042】
なお、特許請求の範囲に記載の材料混練装置は、例えば、前述の実施の形態における二軸スクリュ押出機1である。シリンダは、例えば、シリンダ2であり、スクリュは、例えば、スクリュ3である。第1混練翼は、例えば、混練エレメント521であり、第2混練翼は、例えば、混練エレメント522である。第1翼は、例えば、送り翼32A及び32Bであり、第2翼は、例えば、戻し翼33である。第3翼は、例えば、送り翼32Aであり、第4翼は、例えば、送り翼32Bである。
【符号の説明】
【0043】
1 二軸スクリュ押出機、2 シリンダ、3,3A,3B スクリュ、4A,4B 軸受部、6 混練調整機構、7 契合部分、21 スクリュ穴、22 材料投入口、23 ベント口、24 材料排出口、31 輸送翼、32A,32B 送り翼、33 戻し翼、51 輸送部、52 溶融混練部、53 脱揮部、54 混練部、55 排出部、521,522 混練エレメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に材料が投入されるシリンダに挿通され、前記シリンダにおける上流側及び下流側の両端部、あるいは前記上流側端部において回転可能に支持されるスクリュと、
前記スクリュに螺旋状に形成され前記材料を前記スクリュの回転により前記下流側へ送る第1翼を複数有する第1混練翼と、
前記スクリュに螺旋状に形成され前記第1混練翼により前記下流側へ送られた材料を前記回転により前記上流側へ戻す第2翼を前記第1翼の翼数より少ない翼数有する第2混練翼と
を備える材料混練装置。
【請求項2】
前記第2翼は前記スクリュに複数形成されており、
前記第1翼のいずれかである第3翼の前記下流側終端と前記第2翼の前記上流側始端とが契合されており、
前記第1翼のいずれかである第4翼の前記下流側終端と前記第2翼の前記上流側始端とが離間されている請求項1記載の材料混練装置。
【請求項3】
前記スクリュは、前記第1混練翼と前記第2混練翼との組を複数有する請求項1または請求項2記載の材料混練装置。
【請求項4】
前記第1混練翼及び前記第2混練翼は、前記シリンダの軸方向における長さが同一である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の材料混練装置。
【請求項5】
内部に材料が投入されるシリンダに挿通され、前記シリンダにおける上流側及び下流側の両端部、あるいは前記上流側端部において回転可能に支持されるスクリュを回転させ、
前記スクリュに螺旋状に形成され前記投入された材料を前記スクリュの回転により前記下流側へ送る第1翼を複数有する第1混練翼により、前記投入された材料を前記下流側へ送るとともに、前記スクリュに螺旋状に形成され前記第1混練翼により前記下流側へ送られた材料を前記回転により前記上流側へ戻す第2翼を前記第1翼の翼数より少ない翼数有する第2混練翼により、前記下流側へ送られた材料を前記上流側へ戻し、
前記材料を混練することを特徴とする材料混練方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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