説明

杭抜装置の連結部材

【課題】駆動装置の出力軸に対してケーシングを前後左右方向に傾動させた状態で回転させることができ、さらに、出力軸からケーシングに対して多量の流体をスムーズに供給することができる連結部材を提供することを課題とする。
【解決手段】駆動装置4とケーシング5とを備えた杭抜装置1において、駆動装置4の出力軸4aに対してケーシング5を連結させる連結部材10であって、出力軸4aに連結される上部プレート20と、ケーシング5に連結される下部プレート30と、前後左右方向に突出した四つの軸部42a,42bを有する中間部材40と、を備え、中間部材40の各軸部42a,42bは、上部プレート20または下部プレート30に対して軸回りに回動自在に取り付けられ、中間部材40の貫通孔41aには、上部プレート20の流路および下部プレート30の流路に連結された連結ホース50が挿通されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に埋設された杭を撤去するための杭抜装置において、駆動装置の出力軸にケーシングの上端部を連結させるための連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に埋設された杭を撤去するための杭抜装置としては、ベースマシンに支持されたリーダに沿って上下方向に移動する駆動装置と、円筒状のケーシングと、を備え、駆動装置の出力軸にケーシングの上端部が連結され、ケーシングの下端開口縁部に掘削刃が設けられているものがある。
このような杭抜装置では、ケーシングを軸回りに回転させ、杭がケーシング内に挿入されるように、ケーシングによって杭の周囲を掘削することで、杭を地盤から引き抜くときの抵抗力を大幅に低減することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記した杭抜装置において、出力軸とケーシングの上端部とが直接連結されていると、地盤内で傾斜した杭に沿ってケーシングが斜めに進行したときに、出力軸とケーシングとの連結部位に過大な曲げモーメントが生じることになる。
そこで、従来の杭抜装置としては、前後左右に軸部が突出した十字ピンを介して、出力軸とケーシングとを連結させているものがある。この構成では、出力軸に対してケーシングを前後左右方向に傾動させた状態で回転させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−266928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したような杭抜装置によって杭の周囲を掘削するときには、ケーシングの下端部から水や圧縮空気を噴出させ、地盤を軟化させることで掘削効率を高めている。また、杭の撤去後に形成された縦穴にケーシングを再度挿入し、ケーシングの下端部からセメントを噴出させ、縦穴内で土砂とセメントを混合させて縦穴を埋め戻す場合もある。
したがって、駆動装置の出力軸には、水や圧縮空気などの流体をケーシングに供給するための流路が形成されるとともに、ケーシングには、出力軸から供給された流体をケーシングの下端部に供給する流路が形成されている。
【0006】
出力軸とケーシングの上端部とが十字ピンによって連結された構成では、十字ピンの外側に配管させた連結ホースの両端部を、出力軸の側面やケーシングの上端部の側面に形成された孔部に連結することで、出力軸の流路とケーシングの流路とを連結させている。
【0007】
この構成では、出力軸とケーシングの上端部との連結部位の外部に連結ホースが配置されるため、連結ホースが他の部材に接触して損傷する可能性がある。
また、連結ホース内に多量の流体をスムーズに流通させるためには、連結ホースの内径や出力軸の側面やケーシングの上端部の側面に形成された孔部を大きくして、流体の流通経路の内径を大きくする必要があるが、孔部が大きくなることで、出力軸やケーシングの強度が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、駆動装置の出力軸に対してケーシングを前後左右方向に傾動させた状態で回転させることができ、さらに、出力軸からケーシングに対して多量の流体をスムーズに供給することができる連結部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、ベースマシンに支持される駆動装置と、円筒状のケーシングとを備え、前記ケーシングを軸回りに回転させることで、地盤に埋設された杭の周囲を掘削する杭抜装置において、前記駆動装置の出力軸に対して、前記ケーシングの上端部を前後左右方向に傾動自在に連結させる連結部材であって、前記駆動装置の出力軸に連結され、前記駆動装置から流体が供給される流路が形成された上部プレートと、前記ケーシングの上端部に連結され、前記ケーシングに流体を供給するための流路が形成された下部プレートと、前後左右方向に突出した四つの軸部を有し、上下方向に貫通した貫通孔が形成された中間部材と、を備え、前記中間部材の前後の前記各軸部は、前記上部プレートまたは前記下部プレートの一方に対して軸回りに回動自在に取り付けられ、前記中間部材の左右の前記各軸部は、前記上部プレートまたは前記下部プレートの他方に対して軸回りに回動自在に取り付けられており、前記中間部材の前記貫通孔には、一端が前記上部プレートの前記流路に連結され、他端が前記下部プレートの前記流路に連結された連結ホースが挿通されていることを特徴としている。
【0010】
この構成では、出力軸が連結される上部プレートと、ケーシングの上端部が連結される下部プレートとを、前後左右方向に突出した四つの軸部を有する中間部材を介して連結することで、出力軸に対してケーシングを前後左右方向に傾動させた状態で回転させることができる。これにより、地盤内で傾斜した杭に沿ってケーシングが進行するときには、出力軸とケーシングとの連結部位が屈曲した状態になるため、連結部位に過大な曲げモーメントが作用するのを防ぐことができる。
また、上部プレートの流路と下部プレートの流路とは、中間部材の貫通孔に挿通された連結ホースによって上下方向に連結され、出力軸の側面やケーシングの上端部の側面に連結ホースを連結するための孔部が形成されないため、流体の流通経路の内径を大きくしても、連結部材の強度が低下しない。したがって、流体の流通経路の内径を大きくして、出力軸からケーシングに多量の流体をスムーズに供給することができる。
また、連結ホースは中間部材の貫通孔に挿通されており、連結ホースが連結部材の外部に配置されないため、連結ホースに他の部材が接触するのを防ぐことができる。
【0011】
前記した杭抜装置の連結部材において、前記上部プレートおよび前記下部プレートは、前記駆動装置の前記出力軸または前記ケーシングの上端部が連結されるベース部材と、前記ベース部材に取り付けられる二体の支持部材と、を備え、前記各支持部材には、前記中間部材の前記軸部が挿通される軸受孔が形成されているように構成することができる。
【0012】
この構成では、支持部材の軸受孔に中間部材の軸部を挿通させた後に、支持部材をベース部材に取り付けることで、上部プレートおよび下部プレートに中間部材を簡単に取り付けることができる。
また、軸受孔の外周部を分割することなく、中間部材の各軸部を上部プレートおよび下部プレートに取り付けることができるため、軸受部位の強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の杭抜装置の連結部材によれば、地盤内で傾斜した杭に沿ってケーシングが進行したときに、出力軸とケーシングとの連結部位が屈曲するため、連結部位に過大な曲げモーメントが作用するのを防ぐことができる。
また、流体の流通経路の内径を大きくして、出力軸からケーシングに多量の流体をスムーズに供給することができる。
また、連結ホースが連結部材の外部に配置されないため、連結ホースに他の部材が接触するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の連結部材を用いた杭抜装置を示した側面図である。
【図2】本実施形態の連結部材を示した正面図である。
【図3】本実施形態の連結部材を示した側面図である。
【図4】本実施形態の連結部材を示した図で、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図5】本実施形態の中間部材を示した図で、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図6】本実施形態の連結部材を示した図で、(a)は上部プレートおよび中間部材の分解側面図、(b)は下部プレートおよび中間部材の分解正面図である。
【図7】本実施形態の連結部材において、ケーシングが右側に傾斜した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の連結部材10は、図1に示すように、地盤に埋設された杭Kを撤去するための杭抜装置1に用いられるものである。杭抜装置1では、杭Kの周囲を掘削することで、杭Kを引き抜くときの抵抗力を低減させることができる。
以下の説明において、前後左右上下方向とは、各図に示した方向に対応している。なお、本実施形態における各方向は、連結部材10の構成を分かり易くするために、便宜上設定されたものであり、連結部材10の構成を限定するものではない。
【0016】
杭抜装置1は、ベースマシン2と、ベースマシン2に支持されたリーダ3と、リーダ3に取り付けられた駆動装置4と、駆動装置4の出力軸4aに連結されたケーシング5と、を備えている。
ベースマシン2は、既存の移動式クレーンであり、傾動および伸縮自在なブーム2aを備えている。
リーダ3は、地面上に立設される矩形断面の支柱であり、複数のリーダを上下方向に連結することで構成されている。リーダ3の上端部はベースマシン2のブーム2aの先端部に支持されている。
【0017】
駆動装置4は、軸方向が上下方向に配置された出力軸4aを有する油圧モータを備えており、リーダ3の前面の両側縁部に設けられた上下方向のガイド部材に取り付けられている。駆動装置4の上端部に設けられた滑車4bには、ベースマシン2のブーム2aの上端部から吊り下げられた昇降用ワイヤ4cが掛け回されている。そして、ベースマシン2によって昇降用ワイヤ4cを巻き上げまたは繰り出すことで、駆動装置4がリーダ3に沿って上下方向に移動する。
また、駆動装置4には、地面に設置された流体供給装置(図示せず)から供給された水や圧縮空気などの流体を、出力軸4aの下端部に形成された流出口(図示せず)から吐出させる流路が形成されている。
【0018】
ケーシング5は、軸方向が上下方向に配置された円筒状の掘削部材であり、下端開口縁部に掘削刃(図示せず)が設けられている。ケーシング5の上端部5aは、後記する連結部材10を介して駆動装置4の出力軸4aに連結されている。そして、駆動装置4の出力軸4aを軸回りに回転させ、ケーシング5を軸回りに回転させることで、杭Kの周囲を掘削することができる。
また、ケーシング5には、上端部5aに供給された水や圧縮空気などの流体を、ケーシング5の下端開口縁部に設けられた噴射口(図示せず)から噴出させる流路が形成されている。
【0019】
連結部材10は、図2に示すように、駆動装置4の出力軸4aに対して、ケーシング5の上端部5aを前後左右方向に傾動自在に連結させるものである。
連結部材10は、駆動装置4の出力軸4aに連結される上部プレート20と、ケーシング5の上端部5aに連結される下部プレート30と、上部プレート20および下部プレート30に対して回動自在に取り付けられる中間部材40と、を備えている。
【0020】
上部プレート20は、図3および図4(a)に示すように、円板状のベース部材21と、ベース部材21の下面に取り付けられた二体の半円板状の支持部材22,22と、を備えている。
【0021】
上部プレート20のベース部材21の上面の中心部には、駆動装置4の出力軸4aが連結される取付部23が突設されている。取付部23の中心部には、出力軸4aの先端部が挿入されて嵌合される取付穴23aが形成されている。
取付穴23aの底面の中心部には、流出孔24が上下方向に貫通している。流出孔24は、ベース部材21の下面の中心部に突設された流出管25に連通されており、流出孔24および流出管25によって上下方向の流路が形成されている。
【0022】
ベース部材21の前後両端部には、後記する支持部材22の突出部28bが挿入されるキー溝21a,21aが形成されている。
また、ベース部材21において、取付部23の周囲には、ボルト26が挿通される複数の挿通孔21bが円周状に並べられている。
【0023】
上部プレート20の各支持部材22,22は、図3および図4(a)に示すように、ベース部材21の下面に取り付けられたときに、円弧状の外周縁部がベース部材21の外周縁部に一致するように形成されている。
支持部材22には、ベース部材21の各挿通孔21bに連通する複数の挿通孔22bが形成されている。そして、支持部材22の各挿通孔22bおよびベース部材21の各挿通孔21bにボルト26が挿通され、支持部材22の下面側でボルト26の先端部にナット27が螺合されることで、支持部材22がベース部材21の下面に固定されている。
【0024】
支持部材22の直線状の外周縁部の中間部には、半円状の溝部22aが形成されている。二体の支持部材22,22をベース部材21の下面に取り付けた状態では、ベース部材21の下面に突設された流出管25が、各支持部材22,22の溝部22a,22aの間を通過して、各支持部材22,22の下側に突出している。
【0025】
前側の支持部材22の下面の前端部および後側の支持部材22の下面の後端部には、軸受部材28,28が立設されている。
軸受部材28は、図2および図3に示すように、両面が前後方向に向けられた板状の部材であり、先端部(下端部)よりも基端部(上端部)が幅広に形成され、先端部は円弧状に形成されている。軸受部材28の先端部には、後記する中間部材40の前側または後側の軸部42aが挿通される軸受孔28aが形成されている。
【0026】
軸受部材28の基端面(上端面)には、上方に突出した円柱状の突出部28bが形成されている。突出部28bは、支持部材22に形成された孔部22cに挿通され、先端部が支持部材22の上面から突出している。さらに、突出部28bの先端部は、ベース部材21のキー溝21aに挿入されて嵌合している。したがって、突出部28bは、ベース部材21に対する支持部材22のずれを防ぐためのキーとなっている(図4(a)参照)。
【0027】
下部プレート30は、図2および図4(b)に示すように、円板状のベース部材31と、ベース部材21の上面に取り付けられた二体の半円板状の支持部材32,32と、を備えている。
下部プレート30と前記した上部プレート20(図3参照)とは略同じ部品構成となっている。下部プレート30は、ベース部材31の上面に各支持部材32,32が取り付けられている点、各軸受部材38,38が左右に配置されている点、取付部33が軸部である点で、上部プレート20と異なっている。以下の説明では、下部プレート30に関して上部プレート20と同じ構成については、その説明を適宜に省略する。
【0028】
下部プレート30のベース部材31の下面の中心部には、ケーシング5の上端部5aが連結される取付部33が突設されている。取付部33は、ケーシング5の上端部5aに形成された取付穴5bに挿入されて嵌合する軸部である。
取付部33の中心部には、流入孔34が上下方向に貫通している。流入孔34は、ベース部材31の上面の中心部に突設された流入管35に連通されており、流入孔34および流入管35によって上下方向の流路が形成されている。
ベース部材31の左右両端部には、後記する支持部材32の突出部38bが挿入されるキー溝31a,31aが形成されている。
【0029】
下部プレート30の各支持部材32,32は、図2および図4(b)に示すように、ベース部材31の上面に取り付けられるものである。ベース部材31の各挿通孔31bおよび支持部材32の各挿通孔32bに挿通されたボルト36の先端部に、支持部材32の上面側でナット37が螺合されることで、支持部材32がベース部材31の上面に固定されている。
ベース部材31の上面に突設された流入管35は、各支持部材32,32の溝部32a,32aを通過して、各支持部材32,32の上側に突出している。
【0030】
左側の支持部材32の上面の左端部および右側の支持部材32の上面の右端部には、軸受部材38,38が立設されている。
軸受部材38の基端面(下端面)から上方に突出した突出部38bは、支持部材32の孔部32cに挿通され、先端部が支持部材32の上面から突出している。さらに、突出部38bの先端部は、ベース部材31のキー溝31aに挿入されて嵌合している。
【0031】
中間部材40は、図5(a)および(b)に示すように、貫通孔41aが形成された環状部41と、環状部41の前後左右の各端部から前後左右方向に突出した四つの軸部42a,42bと、を備えている。
環状部41は、中心部に円形の貫通孔41aが形成された板状の部材であり、図2および図3に示すように、上部プレート20および下部プレート30に形成された前後左右の各軸受部材28,38の内側に収まる大きさに形成されている。
前後の軸部42a,42aおよび左右の軸部42b,42bは、環状部41の外周面から突出した円柱状の部位であり、各軸部42a,42bは同じ径および長さに形成されている。
【0032】
前後の軸部42a,42aは、図3に示すように、上部プレート20の各軸受部材28,28の軸受孔28a,28aに内側から挿通され、軸受部材28の外側で軸部42aの先端面に円板状のストッパ43が取り付けられている。これにより、前後の軸部42a,42aは、上部プレート20の各軸受部材28,28に対して、前後方向の軸回りに回動自在に取り付けられている。
左右の軸部42b,42bは、図2に示すように、下部プレート30の各軸受部材38,38の軸受孔38a,38aに内側から挿通され、軸受部材38の外側で軸部42bの先端面に円板状のストッパ43が取り付けられている。これにより、左右の軸部42b,42bは、下部プレート30の各軸受部材38,38に対して、左右方向の軸回りに回動自在に取り付けられている。
【0033】
したがって、連結部材10では、図2および図3に示ように、中間部材40は上部プレート20に対して前後方向に傾動自在であるとともに、下部プレート30は中間部材40に対して左右方向に傾動自在となっている。したがって、出力軸4aに連結される上部プレート20に対して、ケーシング5が連結される下部プレート30が前後左右方向に傾動自在となっている。
【0034】
中間部材40の貫通孔41aには、上端部が上部プレート20の流出管25の下端開口部に連結され、下端部が下部プレート30の流入管35の上端開口部に連結された可撓性を有する連結ホース50が挿通されている。これにより、上部プレート20の流路と下部プレート30の流路とは、連結ホース50によって上下方向に連結されている。
駆動装置4から上部プレート20の流路に供給された流体は、連結ホース50および下部プレート30の流路を通じて、ケーシング5に供給され、ケーシング5の下端開口縁部に設けられた噴射口(図示せず)から外部に噴出される。
また、連結ホース50は可撓性を有しているため、図7に示すように、上部プレート20に対して下部プレート30が傾動した場合には、連結ホース50は連結部材10の内部で湾曲する。
【0035】
次に、上部プレート20および下部プレート30に中間部材40を取り付ける手順について説明する。
上部プレート20に中間部材40を取り付ける場合には、図6(a)に示すように、ベース部材21から各支持部材22,22を取り外した状態で、中間部材40の前後の軸部42a,42aを、各支持部材22,22の軸受孔28a,28aに内側から挿通させ、各軸部42a,42aの先端面にストッパ43,43を取り付ける。その後、図3に示すように、各支持部材22,22を複数のボルト26およびナット27によって、ベース部材21の下面に取り付ける。
【0036】
下部プレート30に中間部材40を取り付ける場合には、図6(b)に示すように、ベース部材31から各支持部材32,32を取り外した状態で、中間部材40の左右の軸部42b,42bを、各支持部材32,32の軸受孔38a,38aに内側から挿通させ、各軸部42b,42bの先端面にストッパ43,43を取り付ける。その後、図2に示すように、各支持部材32,32を複数のボルト26およびナット27によって、ベース部材31の上面に取り付ける。
【0037】
このようにして、中間部材40を上部プレート20および下部プレート30を取り付けるとともに、上部プレート20の流出管25と下部プレート30の流入管35とを連結ホース50によって連結する。
【0038】
以上のように構成された連結部材10によれば、図2および図3に示すように、駆動装置4の出力4aが連結される上部プレート20と、ケーシング5の上端部5aが連結される下部プレート30とを、前後左右方向に突出した四つの軸部42a,42bを有する中間部材40を介して連結することで、出力軸4aに対してケーシング5を前後左右方向に傾動させた状態で回転させることができる(図7参照)。
これにより、地盤内で傾斜した杭に沿ってケーシング5が進行するときには、出力軸4aとケーシング5との連結部位が屈曲した状態となるため、連結部位に過大な曲げモーメントが作用するのを防ぐことができる。
【0039】
また、上部プレート20の流路と下部プレート30の流路とは、連結ホース50によって上下方向に連結され、出力軸4aの側面やケーシング5の上端部5aの側面に連結ホース50を連結するための孔部が形成されないため、水や圧縮空気などの流体の流通経路である流出孔24や流入孔34および連結ホース50の内径を大きくしても、連結部材10の強度が低下しない。したがって、流体の流通経路の内径を大きくして、出力軸4aからケーシング5に多量の流体をスムーズに供給することができる。
また、連結ホース50は中間部材40の貫通孔41aに挿通されており、連結ホース50が連結部材10の外部に配置されないため、連結ホース50に他の部材が接触するのを防ぐことができる。
【0040】
また、図6(a)および(b)に示すように、上部プレート20および下部プレート30は、ベース部材21,31と二体の支持部材22,32とから構成されており、支持部材22,32の軸受孔28a,38aに中間部材40の軸部42a,42bを挿通させた後に、支持部材22,32をベース部材21,31に取り付けることで、上部プレート20および下部プレート30に中間部材40を簡単に取り付けることができる。
また、軸受孔28a,38aの外周部を分割することなく、中間部材40の各軸部42a,42bを上部プレート20および下部プレート30に取り付けることができるため、軸受部位の強度を高めることができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の連結部材10では、図2および図3に示すように、上部プレート20に前後の軸受部材28,28が設けられ、下部プレート30に左右の軸受部材38,38が設けられているが、上部プレート20に左右の軸受部材を設け、下部プレート30に前後の軸受部材を設けてもよい。
また、出力軸4aに取付穴が形成され、ケーシング5の上端部5aに軸部が形成されている場合には、本実施形態の連結部材10を上下逆向きに配置することで、出力軸4aとケーシング5の上端部5aとを連結することもできる。
また、上部プレート20の取付部23および下部プレート30の取付部33の形状は限定されるものではなく、出力軸およびケーシングの上端部の形状に対応させて形成することができる。
【0042】
また、ベース部材21,31と各支持部材22,32とは、円周状に配置された複数のボルト26,36およびナット27,37によって連結されているが、ベース部材21,31と支持部材22,32との固定方法は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 杭抜装置
2 ベースマシン
2a ブーム
3 リーダ
4 駆動装置
4a 出力軸
5 ケーシング
5a ケーシングの上端部
10 連結部材
20 上部プレート
21 ベース部材
21a キー溝
22 支持部材
22a 溝部
23 取付部
24 流出孔
25 流出管
28 軸受部材
28a 軸受孔
28b 突出部
30 下部プレート
31 ベース部材
31a キー溝
32 支持部材
32a 溝部
33 取付軸
34 流入孔
35 流入管
38 軸受部材
38a 軸受孔
38b 突出部
40 中間部材
41 環状部
41a 貫通孔
42a 前後の軸部
42b 左右の軸部
43 ストッパ
50 連結ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンに支持される駆動装置と、円筒状のケーシングとを備え、前記ケーシングを軸回りに回転させることで、地盤に埋設された杭の周囲を掘削する杭抜装置において、
前記駆動装置の出力軸に対して、前記ケーシングの上端部を前後左右方向に傾動自在に連結させるための連結部材であって、
前記駆動装置の出力軸に連結され、前記駆動装置から流体が供給される流路が形成された上部プレートと、
前記ケーシングの上端部に連結され、前記ケーシングに流体を供給するための流路が形成された下部プレートと、
前後左右方向に突出した四つの軸部を有し、上下方向に貫通した貫通孔が形成された中間部材と、を備え、
前記中間部材の前後の前記各軸部は、前記上部プレートまたは前記下部プレートの一方に対して軸回りに回動自在に取り付けられ、
前記中間部材の左右の前記各軸部は、前記上部プレートまたは前記下部プレートの他方に対して軸回りに回動自在に取り付けられており、
前記中間部材の前記貫通孔には、一端が前記上部プレートの前記流路に連結され、他端が前記下部プレートの前記流路に連結された連結ホースが挿通されていることを特徴とする杭抜装置の連結部材。
【請求項2】
前記上部プレートおよび前記下部プレートは、
前記駆動装置の前記出力軸または前記ケーシングの上端部が連結されるベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられる二体の支持部材と、を備え、
前記各支持部材には、前記中間部材の前記軸部が挿通される軸受孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の杭抜装置の連結部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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