説明

杭頭接合構造

【課題】杭の鉛直方向、水平方向及び傾斜角の施工誤差を調整でき、上部構造物を支持し固定することが可能な杭頭接合構造を提供する。
【解決手段】上部構造物30を上側で支持し固定する筒形状の杭10と、軸方向が杭内部で杭の中空部分を横切って配置され杭に固定された棒部材104と、上部構造物と杭の上端部との間に上部構造物の荷重を杭に伝達するように配置され上部構造物の設置傾斜角及び設置高さを調節する調節部材122と、棒部材の下部と接触して棒部材と連結される第一端部112と、杭の上端部から突出して配置され、調節部材及び上部構造物をねじ結合によって固定する第二端部114とを有し、杭内部の可動範囲内で上部構造物の水平方向位置を調節する固定部材110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭頭接合構造に関し、特に杭と杭上部に設置される構造物を接合する杭頭接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地上に設置される構造物は、地盤に施工された杭の上部に設置されることで、地盤に対して安定的に設置される(以下、杭上部に設置される構造物を「上部構造物」ともいう)。杭と上部構造物が接合されることによって、杭は上部構造物の荷重を支持し、上部構造物が受ける風等によって上部構造物が地盤から離れてしまうのを防止する。地盤に施工される杭は、材料によって、コンクリート杭、鋼管杭などに分類される。
【0003】
特許文献1では、土台を支持する支持金具に設けられた円形突出部が杭頭開口部に挿入され、土台と杭が接合される技術が開示されている。また、特許文献2では、アンカーパイル本体の上端部に、土台が載置されるキャップ部材が螺合接続され、キャップ部材の上下方向位置が調整される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−213699号公報
【特許文献2】実用新案登録第3047063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地盤に施工される杭が、垂直・水平方向に正確に埋設されることは困難であり、多少傾斜する場合もある。また、複数の杭の上部に一つの上部構造物を設置する場合、複数の杭の高さを全て一致させて埋設させておくことも困難である。そのため、複数の杭の上部に一つの上部構造物を水平に設置するためには、杭の上部で杭の鉛直方向、水平方向及び傾斜角の施工誤差を調整する必要がある。
【0006】
しかし、特許文献1では、土台と杭の接合部分において杭の施工によって生じる垂直方向の誤差や傾斜誤差を考慮したディテールになっていないため、特許文献1で開示された接合方法によって施工誤差を解消することは難しい。また、特許文献2でも、特許文献1と同様に、土台とアンカーパイルの接合部分において施工誤差を解消するディテールとなっていないため、特許文献2で開示された接合方法は水平方向の誤差や傾斜誤差を解消できない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、杭の鉛直方向、水平方向及び傾斜角の施工誤差を調整でき、上部構造物を支持し固定することが可能な、新規かつ改良された杭頭接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、上部構造物を上側で支持し固定する筒形状の杭と、軸方向が杭内部で杭の中空部分を横切って配置され杭に固定された棒部材と、上部構造物と杭の上端部との間に上部構造物の荷重を杭に伝達するように配置され上部構造物の設置傾斜角及び設置高さを調節する調節部材と、棒部材の下部と接触して棒部材と連結される第一端部と、杭の上端部から突出して配置され、調節部材及び上部構造物をねじ結合によって固定する第二端部とを有し、杭内部の可動範囲内で上部構造物の水平方向位置を調節する固定部材とを備える杭頭接合構造が提供される。
【0009】
この構成によって、調節部材は、上部構造物の設置傾斜角及び設置高さを調節できる。また、固定部材は、固定部材が杭内部で移動できる範囲内で上部構造物の水平方向位置を調節できる。即ち、設置前に、固定部材は第一端部が棒部材の軸方向に沿って移動することで、固定部材の設置位置を変更することができ、その結果、固定部材に固定される上部構造物の水平方向の設置位置を調節できる。更に、固定部材は、第一端部が棒部材と連結され、第二端部が調節部材及び上部構造物と固定されたとき、上部構造物の設置傾斜角の調節に応じて固定部材の設置角度が変更される。その結果、上部構造物の設置傾斜角に関わらず、固定部材を常に有効に締め付けることができ、上部構造物を杭に固定できる。また、杭は調節部材を介して上部構造物の荷重を支持する。
【0010】
上記調節部材は、対向する面が互いに傾いて形成された板状部材であって杭の上端部に接触し固定部材が貫通して配置されてもよい。このとき、上記調節部材の上面に上部構造物が接触して配置されてもよい。
【0011】
または、上記調節部材の上面において固定部材とのねじ結合によって調節部材を杭の上端部に固定する第一のねじ結合部と、第一のねじ結合部より上側かつ第二端部より下側において固定部材とのねじ結合によって上部構造物を固定する第二のねじ結合部とを更に備えてもよい。
【0012】
上記調節部材は、対向する面が互いに平行に形成され、杭の上端部に接触し固定部材が貫通して配置される板状部材と、対向する面が互いに傾いて形成され、板状部材の上面に接触し固定部材が貫通して配置されるワッシャーとを有し、ワッシャーを間に挟んで固定部材とねじ結合する第三のねじ結合部と、第三のねじ結合部より上側かつ第二端部より下側において固定部材とのねじ結合によって上部構造物を固定する第二のねじ結合部とを更に備えてもよい。
【0013】
上記調節部材は、対向する面が互いに平行に形成され、杭の上端部に接触し固定部材が貫通して配置される板状部材と、一端が球面形状を有して形成され、板状部材の上面に接触し固定部材が貫通して配置される球面部材とを有し、球面部材を間に挟んで固定部材とねじ結合する第四のねじ結合部と、第四のねじ結合部より上側かつ第二端部より下側において固定部材とのねじ結合によって上部構造物を固定する第二のねじ結合部とを更に備えてもよい。
【0014】
上記調節部材は、対向する面が互いに平行に形成され、杭の上端部に接触し固定部材が貫通して配置される板状部材と、一端に凹面が形成され、他端が板状部材の上面に接触し固定部材が貫通して配置されるワッシャーと、一端にワッシャーの凹面と接触する凸面が形成され、固定部材が貫通して配置される凸状部材とを有し、ワッシャーと凸状部材を間に挟んで固定部材とねじ結合する第五のねじ結合部と、第五のねじ結合部より上側かつ第二端部より下側において固定部材とのねじ結合によって上部構造物を固定する第二のねじ結合部とを更に備えてもよい。
【0015】
上記調節部材は、球面が杭の上端部に接触し固定部材が貫通して配置される球状部材と、球状部材と接合され、上部構造物の下面に接触し固定部材が貫通して配置される板状部材とを有してもよい。
【0016】
上記固定部材の第一端部は、棒部材を貫通させる環状部材であってもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上部構造物を上側で支持し固定する筒形状の杭と、軸方向が杭内部で杭の中空部分を横切って配置され杭に固定された棒部材と、上部構造物と杭の上端部との間に上部構造物の荷重を杭に伝達するように配置され、上部構造物の設置傾斜角及び設置高さを調節し、上部構造物をねじ結合によって固定する調節部材と、棒部材の下部と接触して棒部材と連結される第一端部と、杭の上端部から突出して配置され、調節部材をねじ結合によって固定する第二端部とを有し、杭内部の可動範囲内で調節部材の水平方向位置を調節する固定部材とを備える杭頭接合構造が提供される。
【0018】
この構成によって、調節部材は、上部構造物の設置傾斜角及び設置高さを調節できる。また、固定部材は、固定部材が杭内部で移動できる範囲内で調節部材の水平方向位置を調節できる。即ち、設置前に、固定部材は第一端部が棒部材の軸方向に沿って移動することで、固定部材の設置位置を変更することができ、その結果、固定部材に固定される調節部材の水平方向の設置位置を調節できる。また、固定部材は、第一端部が棒部材と連結され、第二端部が調節部材と固定されたとき、調節部材の設置傾斜角に応じて固定部材の設置角度が変更される。その結果、上部構造物の設置傾斜角に関わらず、固定部材を常に有効に締め付けることができ、上部構造物を杭に固定できる。また、杭は調節部材を介して上部構造物の荷重を支持する。
【0019】
上記調節部材は、球面が杭の上端部に接触し固定部材が貫通して配置される球状部材と、球状部材と接合され、上部構造物の下面に接触して配置される板状部材とを有してもよい。
【0020】
上記調節部材は、円錐面が杭の上端部に接触し固定部材が貫通して配置される円錐状部材と、円錐状部材と接合され、上部構造物の下面に接触して配置される板状部材とを有してもよい。
【0021】
上記調節部材は、固定部材の第2端部が上部構造物の下側に位置するように、杭の上端部に接触する部分と、上部構造物の下面に接触する部分とを離隔し、側面が開口した形状を有してもよい。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、杭の鉛直方向、水平方向及び傾斜角の施工誤差を調整でき、上部構造物を支持し固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る杭頭接合構造と上部構造物を示す正面図である。
【図2】同実施形態に係る杭頭接合構造と上部構造物を示す側面図である。
【図3】同実施形態に係る杭頭接合構造を示す斜視図である。
【図4】同実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す断面図である。
【図5】同実施形態に係る杭頭接合構造のアイボルトを示す側面図である。
【図6】同実施形態に係る杭頭接合構造のアイボルトを示す正面図である。
【図7】同実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す上面図である。
【図8】同実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例のライナープレートを示す斜視図である。
【図9】同実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例と上部構造物を示す断面図である。
【図10】本発明の第二の実施形態に係る杭頭接合構造と上部構造物を示す断面図である。
【図11】同実施形態に係る杭頭接合構造のくさび形プレートを示す上面図である。
【図12】同実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す断面図である。
【図13】同実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例と上部構造物を示す断面図である。
【図14】同実施形態に係る杭頭接合構造の第三変更例と上部構造物を示す断面図である。
【図15】同実施形態に係る杭頭接合構造の第三変更例の球面ワッシャー及び球面座付きフランジナットを示す側面図である。
【図16】本発明の第三の実施形態に係る杭頭接合構造と上部構造物を示す断面図である。
【図17】本発明の第四の実施形態に係る杭頭接合構造と上部構造物を示す断面図である。
【図18】同実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す断面図である。
【図19】同実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す上面図である。
【図20】同実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す上面図である。
【図21】同実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例と上部構造物を示す断面図である。
【図22】同実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例を示す分解斜視図である。
【図23】同実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例と上部構造物を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
[1.第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態に係る杭頭接合構造100は、図1に示すように、杭10の上部に適用され、杭10の鉛直方向、水平方向及び傾斜角の施工誤差を調整でき、上部構造物を支持し固定することが可能である。図1は、本実施形態に係る杭頭接合構造100と上部構造物を示す正面図である。図2は、本実施形態に係る杭頭接合構造100と上部構造物を示す側面図である。
【0026】
図1及び図2に示す例では、杭頭接合構造100が杭10の上部に適用され、上部構造物が杭10と接合されて、杭10の上部において上部構造物が支持され固定される。具体的には、複数の杭10の上部にベースレール30が水平に設置され、ベースレール30の上にフレーム20が設置される。ベースレール30は、杭10に載置される下面と、下面に対向する上面が平行な部材である。そのため、杭頭接合構造100が、杭10の鉛直方向、水平方向及び傾斜角の施工誤差を調整することで、ベースレール30を水平に設置でき、その結果、フレーム20を正確な高さや水平方向に基づいて設置できる。
【0027】
ベースレール30は、図3及び図4に示すように、例えば断面がコ字形状の鋼材であり、複数の杭10の上部を水平につなぐことができるつなぎ材である。フレーム20は、例えばソーラーパネル40を設置するための支持構造体である。本明細書では、上部構造物としてフレーム20、ベースレール30及びソーラーパネル40の例を説明するが、本発明の杭頭接合構造は、その他の上部構造物にも適用できる。
【0028】
次に、本実施形態に係る杭頭接合構造の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る杭頭接合構造100を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る杭頭接合構造100の第一変更例と上部構造物を示す断面図である。図5は、本実施形態に係る杭頭接合構造のアイボルト110を示す側面図である。図6は、本実施形態に係る杭頭接合構造のアイボルト110を示す正面図である。杭頭接合構造は、杭10とベースレール30を接合する構造であり、ボルト102と、ナット106と、ワッシャー107,108と、アイボルト110と、くさび形プレート122と、ワッシャー132と、ナット134,136などを有する。
【0029】
杭10は、例えば筒形状の鋼管杭であり、地盤1に埋設される。地盤に施工される杭10は、垂直方向に埋設されるが、正確な垂直方向に埋設されることは困難であり、多少傾斜する場合がある。図4では、杭10がわずかに傾斜している例を示している。
【0030】
杭10には、杭10本体の上部にボルト孔12が二つ形成される。二つのボルト孔12はボルト102が貫通可能な開口部であり、互いに対向する位置に形成される。ボルト孔12の設置位置は、アイボルト110の設置時の可動範囲などを考慮して決定される。ボルト孔12はボルト102が杭10に対する水平方向、垂直方向及び斜め方向に移動しないように固定する。
【0031】
ボルト102は、二つのボルト孔12を貫通して杭10に設置される。その際、ボルト102の軸部104(棒部材の一例である。)は、軸方向が杭10内部で杭10の中空部分を横切って配置される。ボルト102は、ナット106とワッシャー107,108と共にねじ結合されて杭10に固定される。ワッシャー107は、ボルト102の頭部側に設けられ、ワッシャー108は、ナット106側に設けられる。ボルト102の軸部104には雄ねじが形成され、軸部104にはアイボルト110のリング部112が貫通して設置される。
【0032】
アイボルト110は、リング部112と、軸部114を有する。リング部112は、アイボルト110の軸部114の一端側に設けられ、図6に示すように開口部116を有する環状部材である。リング部112は、ボルト102の軸部104の下部と接触してボルト102と連結される。アイボルト110の軸部114には雄ねじが形成され、軸部114はベースレール30をねじ結合によって固定する。軸部114の先端は杭10の上端部から突出して配置される。アイボルト110は固定部材の一例である。また、リング部112は第一端部の一例であり、軸部114は第二端部の一例である。なお、第一端部は環状部材に限定されず、ボルト102と連結できれば他の形状でもよい。
【0033】
くさび形プレート122は、例えば板状部材であり、アイボルト110の軸部114の端部と、杭10の上端部との間に配置される調節部材である。くさび形プレート122は、金属製でもよいし、ゴム製でもよい。くさび形プレート122は、下面と、下面と対向して配置される上面が互いに傾いている。くさび形プレート122の下面は杭10の上端部と接触し、くさび形プレート122の上面はベースレール30の下面と接触する。くさび形プレート122には、例えば貫通孔が形成されており、貫通孔をアイボルト110の軸部114が貫通する。
【0034】
くさび形プレート122は、杭10の上部に設置する上部構造物の設置傾斜角及び設置高さを調節できる。即ち、くさび形プレート122の断面形状や厚さを変化させることによって、杭10の上部に設置するベースレール30を水平に配置でき、更にベースレール30上部に設置するフレーム20などの上部構造物を水平に設置できる。くさび形プレート122は、杭10の外径より外側に広い板状部材であり、上部構造物の荷重を杭10に伝達する。
【0035】
ワッシャー132と、ナット134,136は、アイボルト110の軸部114とねじ結合して、プレート142を介してベースレール30を固定する。プレート142は、図4に示すようにベースレール30に設けられた開口部32より広い面積を有する板状部材である。開口部32がアイボルト110の軸部114の断面と比較して広い開口面積を有していることで、ベースレール30に対してナット134のねじ結合の位置を微調整できる。その結果、杭10の埋設位置が水平方向にずれている場合でも、水平方向の施工誤差を吸収できる。また、アイボルト110を垂直に設置することができ、強固なねじ結合が可能となる。
【0036】
杭頭接合構造を組み立てる際、ナット134をリング部112側へ締結していくことで、アイボルト110は上側に持ち上げられ、ボルト102の軸部104の下部とアイボルト110の開口部116とが接触する。ナット134が回転できなくなるまで締結することで、アイボルト110の軸部114に引張り力が発生する。その結果、上部構造物が風などを受けて上方向に力が作用した場合でも、杭10と上部構造物との接合を維持できる。ナット136はナット134の緩み止めとして作用する。
【0037】
アイボルト110は、杭10の中空部分で、図5及び図6に示すように設置位置を調整できる。即ち、アイボルト110は、図5に示すように、ボルト102の軸部104の軸方向に沿って移動することもできる。また、アイボルト110は、図6に示すように、軸部104の軸方向に対して垂直方向に移動することも可能である。図6に示す例では、リング部112の開口部116が円形であり、アイボルト110の可動範囲は限定されているが、本実施形態のリング部112や開口部116の形状は、他の形状でもよい。例えば、開口部116を長穴形状にすることで、図6の例に比べて可動範囲を広げることもできる。
【0038】
このように、アイボルト110の設置位置が調整できることで、アイボルト110に固定されるベースレール30の水平方向の設置位置を調節できる。その結果、杭10の水平方向の施工誤差を吸収できる。また、アイボルト110は、リング部112がボルト102と連結され、軸部114がくさび形プレート122及びベースレール30と固定されたとき、ベースレール30の設置角度の調節に応じて、アイボルト110の立設角度が変更される。即ち、アイボルト110は杭10の立設方向に対して傾斜させることができるため、杭10の傾き誤差を吸収できる。また、ベースレール30の設置傾斜角に関わらず、アイボルト110を常に有効に締め付けることができ、上部構造物を杭に固定できる。
【0039】
以上、本実施形態の杭頭接合構造によれば、くさび形プレート122が垂直方向と傾き方向の調整をし、ボルト102とアイボルト110の組み合わせが杭10の水平方向の芯ずれを調整する。また、杭頭接合構造は、くさび形プレート122によって上部構造物の荷重を杭10に伝達でき、上部構造物に上方向の力が作用した場合でも、ボルト102とアイボルト110とナット134,136によって杭10と上部構造物の接合を維持でき、上部構造物を杭10に固定できる。
【0040】
[2.第一の実施形態変更例]
図3に示した第一の実施形態では、調節部材としてのくさび形プレート122が1枚である場合について示したが、図4及び図9に示すように、調節部材は複数枚の板状部材から構成されてもよい。
【0041】
図4は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す断面図である。図7は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す上面図である。図8は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例のライナープレート222を示す斜視図である。図9は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例と上部構造物を示す断面図である。
【0042】
図4に示すように、第一変更例において、調節部材220は複数のライナープレート222,224,226からなる。ライナープレート222,224,226は、金属製でもよいし、ゴム製でもよい。ライナープレート222,224,226は、重畳して設置される。図4に示す例では、最上部に設置されるライナープレート222がくさび形を有する板状部材であり、下面と、下面と対向して配置される上面が互いに傾いている。ライナープレート224,226は、下面と上面とが互いに平行な板状部材である。
【0043】
このように、複数枚のライナープレートを重畳することで、ライナープレートを抜き差しすることによって、高さ方向の調整が容易になる。また、ライナープレート222は、図7及び図8に示すように、一方向に切り欠かれた挿入溝223が形成される。挿入溝223が形成されることで、上部にベースレール30を残したまま、ライナープレート222を挿入したり、取り外したりすることができる。ライナープレート224,226にも同様に挿入溝が形成されてもよい。
【0044】
図9に示すように、第二変更例において、調節部材320は複数のライナープレート322,326と、最上部のライナープレート322と最下部のライナープレートに挟持されたゴム板324からなる。ゴム板324は圧縮力によって変形可能な弾性部材である。ゴム板324を変形させることで、角度調整を行う。
【0045】
以上、第一変更例や第二変更例によっても、調節部材220,320が垂直方向と傾き方向の調整をし、ボルト102とアイボルト110の組み合わせが接合部の水平方向の芯ずれを調整する。また、杭頭接合構造は、調節部材220,320によって上部構造物の荷重を杭10に伝達でき、上部構造物に上方向の力が作用した場合でも、ボルト102とアイボルト110とナット134,136によって杭10と上部構造物の接合を維持でき、上部構造物を杭10に固定できる。
【0046】
なお、第一の実施形態では、調節部材が1枚又は3枚の板状部材の場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、調節部材は2枚でもよいし4枚以上でもよい。更に、アイボルト110のリング部112の形状が円形又は長円形であって、リング部112を貫通する棒部材としての軸部104が円形断面である場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、リング部は長方形状であって、棒部材は長方形断面であるとしてもよい。棒部材が長方形断面を有することで、棒部材の曲げ強度を向上させることができる。
【0047】
[3.第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態に係る杭頭接合構造の構成について説明する。図10は、本実施形態に係る杭頭接合構造と上部構造物を示す断面図である。図11は、本実施形態に係る杭頭接合構造のくさび形プレート420を示す上面図である。
【0048】
第二の実施形態の杭頭接合構造は、第一の実施形態と同様に、杭10とベースレール30を接合する構造である。杭頭接合構造は、ボルト102と、ナット106と、ワッシャー107,108と、アイボルト110と、くさび形プレート420と、ワッシャー432,442,452と、ナット434,436,444,446,454,456などを有する。
【0049】
杭10と、ベースレール30と、ボルト102と、ナット106と、ワッシャー107,108は、第一の実施形態と同様の構成及び作用を有するため、詳細な説明は省略する。
【0050】
第二の実施形態のアイボルト110は、第一の実施形態の軸部114に比べて軸部114の長さが長い。これによって、杭10の垂直方向の施工誤差が大きい場合に、高さ調整が可能となる。また、軸部114には、ベースレール30などの上部構造物の荷重を杭10に伝達する軸力が作用する。
【0051】
くさび形プレート420は、例えば板状部材であり、アイボルト110の軸部114の端部と、杭10の上端部との間に配置される調節部材である。くさび形プレート420は、金属製でもよいし、ゴム製でもよい。くさび形プレート420は、下面と、下面と対向して配置される上面が互いに傾いている。くさび形プレート420の下面は杭10の上端部と接触し、くさび形プレート420の上面はワッシャー432の下面と接触する。くさび形プレート420は、図10及び図11に示すように、例えば開口部422が形成されており、開口部422をアイボルト110の軸部114が貫通する。開口部422は、軸部114の断面より広く形成されることで、アイボルト110の設置時に生じる位置ずれを許容できる。
【0052】
くさび形プレート420の断面形状を変化させることによって、杭10の上部に設置するベースレール30を水平に配置でき、更にベースレール30上部に設置するフレーム20などの上部構造物を水平に設置できる。くさび形プレート420は、図10及び図11に示すように杭10の外径より外側に広い板状部材であり、アイボルト110の軸部114から伝達される上部構造物の荷重を杭10に伝達する。
【0053】
ワッシャー432と、ナット434,436は、くさび形プレート420を杭10の上部に固定する。ワッシャー432と、ナット434,436は、第一のねじ結合部の一例である。杭頭接合構造を組み立てる際、ナット434をリング部112側へ締結していくことで、アイボルト110は上側に持ち上げられ、ボルト102の軸部104の下部とアイボルト110の開口部116とが接触する。ナット434が回転できなくなるまで締結することで、アイボルト110の軸部114に引張り力が発生する。その結果、上部構造物が風などを受けて上方向に力が作用した場合でも、杭10と上部構造物との接合を維持できる。ナット436はナット434の緩み止めとして作用する。
【0054】
ワッシャー442,452と、ナット444,446,454,456は、アイボルト110の軸部114とねじ結合して、ベースレール30を固定する。ワッシャー442,452と、ナット444,446,454,456は、第二のねじ結合部の一例である。ベースレール30は、ワッシャー442、ナット444,446と,ワッシャー452、ナット454,456との間に挟まれる。ワッシャー442,452と、ナット444,446,454,456のねじ結合の位置を調節することで、ベースレール30の設置高さを調節できる。ナット446,456はナット444,454の緩み止めとして作用する。
【0055】
ベースレール30には開口部32が形成される。開口部32がアイボルト110の軸部114の断面と比較して広い開口面積を有していることで、ベースレール30に対してナット444,454のねじ結合の位置を微調整できる。その結果、杭10の埋設位置が水平方向にずれている場合でも、水平方向の施工誤差を吸収できる。また、アイボルト110を垂直に設置することができ、強固なねじ結合が可能となる。
【0056】
以上、本実施形態の杭頭接合構造によれば、くさび形プレート420が傾き方向の調整をし、ボルト102とアイボルト110の組み合わせが杭10の水平方向の芯ずれを調整する。また、アイボルト110の軸部114とナット444,446,454,456のねじ結合が高さ方向の調整をする。更に、杭頭接合構造は、アイボルト110及びくさび形プレート420によって上部構造物の荷重を杭10に伝達でき、上部構造物に上方向の力が作用した場合でも、ボルト102とアイボルト110とナット434,436によって杭10と上部構造物の接合を維持でき、上部構造物を杭10に固定できる。
【0057】
[4.第二の実施形態変更例]
図10に示した第二の実施形態では、くさび形プレート420が傾き方向の調整をする場合について説明したが、図12〜図15に示すように、他の構成部材によって杭10の傾き方向の調整をしてもよい。
【0058】
図12は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す断面図である。図13は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例と上部構造物を示す断面図である。図14は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第三変更例と上部構造物を示す断面図である。図15は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第三変更例の球面ワッシャー732及び球面座付きフランジナット734を示す側面図である。
【0059】
(第一変更例)
図12に示すように、第一変更例は、図10で示したくさび形プレート420、ワッシャー432の代わりに、プレート520、くさび形ワッシャー532を有する。プレート520、くさび形ワッシャー532は、調節部材を構成する。
【0060】
プレート520は、上面と、上面に対向する下面が互いに平行な板状部材である。プレート520の下面は杭10の上端部と接触し、プレート520の上面はくさび形ワッシャー532の下面と接触する。プレート520は、図12に示すように杭10の外径より外側に広い板状部材であり、アイボルト110の軸部114から伝達される上部構造物の荷重を杭10に伝達する。
【0061】
また、プレート520は、図12に示すように、例えば開口部522が形成されており、開口部522をアイボルト110の軸部114が貫通する。開口部522は、軸部114の断面より広く形成されることで、アイボルト110の設置時に生じる位置ずれを許容できる。
【0062】
くさび形ワッシャー532は、ナット434,436と共に、アイボルト110の軸部114とねじ結合して、プレート520を杭10の上部に固定する。くさび形ワッシャー532、ナット434,436は、第三のねじ結合部の一例である。くさび形ワッシャー532は、下面と、下面と対向して配置される上面が互いに傾いている。くさび形ワッシャー532の断面形状を変化させることによって、杭10の上部に設置するベースレール30を水平に配置でき、更にベースレール30上部に設置するフレーム20などの上部構造物を水平に設置できる。なお、くさび形ワッシャー532の代わりにばねワッシャーを使用してもよい。
【0063】
以上、第一変更例の杭頭接合構造によれば、くさび形ワッシャー532が傾き方向の調整をする。
【0064】
(第二変更例)
図13に示すように、第二変更例は、図10で示したくさび形プレート420、ワッシャー432,ナット434,436の代わりに、プレート620、球座付きナット634、ナット636を有する。プレート620、球座付きナット634、ナット636は、調節部材を構成する。
【0065】
プレート620は、上面と、上面に対向する下面が互いに平行な板状部材である。プレート620の下面は杭10の上端部と接触し、プレート620の上面は開口部622において球座付きナット634の球座部635の球面と接触する。プレート620は、図13に示すように杭10の外径より外側に広い板状部材であり、アイボルト110の軸部114から伝達される上部構造物の荷重を杭10に伝達する。
【0066】
また、プレート620は、図13に示すように、例えば開口部622が形成されており、開口部622をアイボルト110の軸部114が貫通する。開口部622は、軸部114の断面より広く形成されることで、アイボルト110の設置時に生じる位置ずれを許容できる。また、開口部622は、球座付きナット634の球座部635の球面と接触可能な凹面状に形成される。
【0067】
球座付きナット634は、ナット636と共に、アイボルト110の軸部114とねじ結合して、プレート620を杭10の上部に固定する。ナット636は、第四のねじ結合部の一例である。球座付きナット634は、一端が球面形状を有する球座部635であり、他端が、雌ねじが形成されたナット部である。球座付きナット634は、球面部材の一例である。球座付きナット634が、プレート620及び杭10に対して傾斜して配置できるため、球座付きナット634を貫通するアイボルト110も同様に傾斜配置できる。その結果、杭10の上部に設置するベースレール30を水平に配置でき、更にベースレール30上部に設置するフレーム20などの上部構造物を水平に設置できる。
【0068】
以上、第二変更例の杭頭接合構造によれば、プレート620及び球座付きナット634が傾き方向の調整をする。
【0069】
(第三変更例)
図14及び図15に示すように、第三変更例は、図10で示したくさび形プレート420、ワッシャー432,ナット434,436の代わりに、プレート520、球面ワッシャー732、球面座付きフランジナット734、ナット736を有する。プレート520、球面ワッシャー732、球面座付きフランジナット734は、調節部材を構成する。プレート520は、第一変更例で説明した板状部材と同様である。
【0070】
球面ワッシャー732、球面座付きフランジナット734は、ナット736と共に、アイボルト110の軸部114とねじ結合して、プレート520を杭10の上部に固定する。ナット736は、第五のねじ結合部の一例である。
【0071】
球面ワッシャー732は、一端に凹面が形成され、他端がプレート520と接触する。球面座付きフランジナット734は、一端が球面ワッシャー732の凹面と接触する球面部735であり、他端が、雌ねじが形成されたナット部である。球面座付きフランジナット734は、凸状部材の一例である。
【0072】
球面ワッシャー732と球面座付きフランジナット734を組み合わせることで、球面座付きフランジナット734が、プレート520及び杭10に対して傾斜して配置できるため、球面座付きフランジナット734を貫通するアイボルト110も同様に傾斜配置できる。その結果、杭10の上部に設置するベースレール30を水平に配置でき、更にベースレール30上部に設置するフレーム20などの上部構造物を水平に設置できる。
【0073】
以上、第二変更例の杭頭接合構造によれば、球面ワッシャー732及び球面座付きフランジナット734が傾き方向の調整をする。
【0074】
[5.第三の実施形態]
次に、本発明の第三の実施形態に係る杭頭接合構造の構成について説明する。図16は、本実施形態に係る杭頭接合構造と上部構造物を示す断面図である。
【0075】
第三の実施形態の杭頭接合構造は、第一の実施形態と同様に、杭10とベースレール30を接合する構造である。杭頭接合構造は、ボルト102と、ナット106と、ワッシャー107,108と、アイボルト110と、球座付きプレート820と、ワッシャー132と、ナット134,136などを有する。
【0076】
杭10と、ベースレール30と、ボルト102と、ナット106と、ワッシャー107,108と、アイボルト110と、ワッシャー132と、ナット134,136は、第一の実施形態と同様の構成及び作用を有するため、詳細な説明は省略する。
【0077】
球座付きプレート820は、例えば金属製の板状部材822と球状部材824からなり、アイボルト110の軸部114の端部と、杭10の上端部との間に配置される調節部材である。板状部材822には、アイボルト110の軸部114が貫通可能なように開口部826が形成されている。球状部材824は、外面が半球面を有しており、アイボルト110の軸部114が貫通可能なように開口部828が形成されている。板状部材822と球状部材824は、溶接などによって接合される。
【0078】
板状部材822は、ベースレール30と接触し、球状部材824の半球面が杭10の上端部と接触する。これによって、本実施形態の杭頭接合構造は、球座付きプレート820が傾き方向の調整をする。また、杭頭接合構造の球座付きプレート820は、上部構造物の荷重を杭10に伝達できる。そして、上部構造物に上方向の力が作用した場合は、ボルト102とアイボルト110とナット134,136によって杭10と上部構造物の接合を維持でき、上部構造物を杭10に固定できる。
【0079】
[6.第四の実施形態]
次に、本発明の第四の実施形態に係る杭頭接合構造の構成について説明する。図17は、本実施形態に係る杭頭接合構造と上部構造物を示す断面図である。
【0080】
第四の実施形態の杭頭接合構造は、第一の実施形態と同様に、杭10とベースレール30を接合する構造である。杭頭接合構造は、ボルト102と、ナット106と、ワッシャー107,108と、アイボルト110と、球座付きプレート920と、ワッシャー132と、ナット134,136と、ボルト930と、ワッシャー932,933と、ナット934,936などを有する。
【0081】
杭10と、ベースレール30と、ボルト102と、ナット106と、ワッシャー107,108は、第一の実施形態と同様の構成及び作用を有するため、詳細な説明は省略する。
【0082】
アイボルト110の軸部114は、球座付きプレート920をねじ結合によって固定する。軸部114の先端は、球座付きプレート920の内側底面925から突出して配置される。ワッシャー132と、ナット134,136は、アイボルト110の軸部114とねじ結合して、球座付きプレート920を杭10に固定する。内側底面925は、平面形状のワッシャー132を用いてボルト結合しやすいように平面形状を有するが、片面が曲面を有するワッシャーを用いれば、内側底面925は半球面状に形成されてもよい。
【0083】
球座付きプレート920は、例えば板状部材922と球状部材924からなり、アイボルト110の軸部114の端部と、杭10の上端部との間に配置される調節部材である。板状部材922には、開口部926,927が形成されている。球状部材924は、外面が半球面を有しており、アイボルト110の軸部114が貫通可能なように開口部928が形成されている。板状部材922と球状部材924は、溶接などによって接合される。または、球座付きプレート920は全体がプレス加工や鋳造などによって形成される。
【0084】
板状部材922の開口部926は、ベースレール30の長手方向に少なくとも二つ設けられ、ベースレール30の対応する位置に開口部32が形成される。そして、開口部926,32にそれぞれボルト930が貫通する。そして、ボルト930、ワッシャー932,933、ナット934,936は、プレート942を介してベースレール30と球座付きプレート920を固定する。プレート942は、第一の実施形態のプレート142に対応する。
【0085】
板状部材922は、ベースレール30と接触し、球状部材924の外側の半球面が杭10の上端部と接触する。これによって、本実施形態の杭頭接合構造は、球座付きプレート920が傾き方向の調整をする。また、杭頭接合構造の球座付きプレート920は、上部構造物の荷重を杭10に伝達できる。そして、上部構造物に上方向の力が作用した場合は、ボルト102とアイボルト110とナット134,136とボルト930とナット934,936によって杭10と上部構造物の接合を維持でき、上部構造物を杭10に固定できる。
【0086】
ボルト930によるボルト接合が、ベースレール30の長手方向に少なくとも2か所以上設けられる。これによって、例えば図17の図面上の右から左への水平力(または左から右への水平力)がベースレール30に作用したとき、ベースレール30と球座付きプレート920との間に発生する滑りを防止できる。水平力が大きい場合、第一〜第三の実施形態では、アイボルト110を強く締め付けることが必要になる。しかし、アイボルト110を強く締めすぎると、ボルト102の軸部104(棒部材)が曲がってしまう。一方、本実施形態によれば、傾き調整用ボルト(=アイボルト110)と滑り防止用ボルト(=ボルト930)が別々に設けられる。また、滑り防止用ボルト(=ボルト930)が複数本設けられる。その結果、アイボルト110を締め付け過ぎてボルト102を曲げてしまうことなく、確実にベースレール30と球座付きプレート920との間に発生する滑りを防止できる。
【0087】
本実施形態の杭頭接合構造を組み立てるには、まず、杭10内部にボルト102とアイボルト110を設置する。そして、杭10の上部に球座付きプレート920を設置し、アイボルト110によって球座付きプレート920を杭10に固定する。このとき、上部構造物の傾きを考慮して球座付きプレート920の傾きを調整しながら、開口部927を使用してナット134,136を締め付けていく。次に、球座付きプレート920の板状部材922の上面にベースレール30を設置する。そして、ボルト930によって、球座付きプレート920とベースレール30を固定する。
【0088】
[7.第四の実施形態変形例]
図17に示した第四の実施形態では、調節部材が球座付きプレート920であり、球座付きプレート920が板状部材922と球状部材924からなる場合について説明したが、調節部材は、図18や図21に示すように他の形状でもよい。
【0089】
(第一変形例)
図18は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す断面図である。図18に示すように、第一変形例は、図17で示した球座付きプレート920の代わりに、円錐台付きプレート920−1を有する。このように、杭10と接触する部材を球状ではなく円錐状とすることで、調節部材を安価に製造することができる。また、図18に示した第一変形例では、ベースレール30に開口部33−1が設けられている。開口部33−1は、杭10から突出するアイボルト110に対応した位置に設けられる。開口部33−1が設けられることで、図17に示した第四の実施形態と異なり、ベースレール30を設置した後に、アイボルト110に結合させるナット134,136を本締めすることができる。
【0090】
アイボルト110の軸部114は、円錐台付きプレート920−1をねじ結合によって固定する。軸部114の先端は、円錐台付きプレート920−1の内側底面925−1から突出して配置される。ワッシャー132と、ナット134,136は、アイボルト110の軸部114とねじ結合して、円錐台付きプレート920−1を杭10に固定する。内側底面925−1は、平面形状のワッシャー132を用いてボルト結合しやすいように平面形状を有するが、片面が曲面を有するワッシャーを用いれば、内側底面925−1は半球面状に形成されてもよい。
【0091】
円錐台付きプレート920−1は、例えば板状部材922−1と円柱部材924−1と円錐台部材929−1からなり、アイボルト110の軸部114の端部と、杭10の上端部との間に配置される調節部材である。板状部材922−1には、開口部926−1,927−1が形成されている。円柱部材924−1は、外面が円柱面を有しており、アイボルト110の軸部114が貫通可能なように中空になっている。円錐台部材929−1は、外面が円錐面を有しており、アイボルト110の軸部114が貫通可能なように開口部928−1が形成されている。板状部材922−1と円柱部材924−1と円錐台部材929−1は、溶接などによって接合される。または、円錐台付きプレート920−1は全体がプレス加工や鋳造などによって形成される。例えば、円柱部材924−1と円錐台部材929−1は、二つの部材を合わせたものではなく、円柱形状から面取りしたものとしてもよい。
【0092】
板状部材922−1の開口部926−1は、ベースレール30の長手方向に少なくとも二つ設けられ、ベースレール30の対応する位置に開口部32−1が形成される。そして、開口部926−1,32−1にそれぞれボルト930が貫通する。そして、ボルト930、ワッシャー932,933、ナット934,936は、プレート942を介してベースレール30と円錐台付きプレート920−1を固定する。プレート942は、第一の実施形態のプレート142に対応する。
【0093】
板状部材922−1は、ベースレール30と接触し、円錐台部材929−1の外側の円錐面が杭10の上端部と接触する。これによって、本実施形態の杭頭接合構造は、円錐台付きプレート920−1が傾き方向の調整をする。また、杭頭接合構造の円錐台付きプレート920−1は、上部構造物の荷重を杭10に伝達できる。そして、上部構造物に上方向の力が作用した場合は、ボルト102とアイボルト110とナット134,136とボルト930とナット934,936によって杭10と上部構造物の接合を維持でき、上部構造物を杭10に固定できる。
【0094】
ボルト930によるボルト接合が、ベースレール30の長手方向に少なくとも2か所以上設けられる。これによって、例えば図18の図面の右から左への水平力(または左から右への水平力)がベースレール30に作用したとき、ベースレール30と円錐台付きプレート920−1との間に発生する滑りを防止できる。
【0095】
このように、調節部材は半球面を有する球状部材924に限らず、円錐面を有する円錐台部材929−1でも、傾き方向を調整できる。
【0096】
次に、図19及び図20を参照して、円錐台付きプレート920−1とベースレール30を用いて、杭10の水平方向の施工誤差を調整する方法について説明する。図19及び図20は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第一変更例と上部構造物を示す上面図である。
【0097】
上記では、円錐台付きプレート920−1の板状部材922−1に、開口部926−1が設けられ、ベースレール30の対応する位置に開口部32−1が形成される。ここで、板状部材922−1の開口部926−1は、円柱部材924−1と円錐台部材929−1を間に挟んで両側に設けられ、それぞれ開口部926−1が一つずつ設けられる。また、ベースレール30の開口部32−1,33−1は、図19及び図20に示すように、ルーズホールとなっている。
【0098】
円錐台付きプレート920−1の水平方向の位置は、杭10の設置位置によっておおよそ決定されてしまう。したがって、ベースレール30の開口部32−1が、ボルト930の軸の断面に比べて広い開口面積を有していることによって、杭10の水平方向の施工誤差を吸収でき、ベースレール30を水平に設置できる。例えば、図20に示すように、ボルト930を円錐台付きプレート920−1の開口部926−1とベースレール30の開口部32−1に貫通させる場合、ボルト930が開口部32−1の中央を貫通すれば、ベースレール30は実線に示す位置に配置できる。ボルト930の位置が杭10によって決定されてしまっても、開口部32−1はルーズホールであるため、ボルト930に対して、開口部32−1を例えば図20の32−1Aの位置となるようにベースレール30を移動できる。その結果、ベースレール30は、例えば図20上の右上方向である二点鎖線の位置(30−A)まで移動でき、杭10の水平方向の施工誤差を吸収できる。同様に、ベースレール30は、図20において実線で示したベースレール30に対して、図20の右下、左上、左下方向に移動できる。
【0099】
また、ベースレール30の開口部33−1の大きさは、アイボルト110に結合させるナット134,136を締め付ける工具が、ベースレール30の上から入り、動作できるサイズになっている。工具の動作範囲が例えば図20におけるPの範囲であるとき、ベースレール30が図20の30−Aの位置でも、工具の動作範囲Pを確保するためには、開口部33−1は、2点鎖線で示す33−1Aの大きさである必要がある。このように工具の動作範囲Pを考慮して、開口部33−1の大きさが決定される。これにより、第一変更例では、円錐台付きプレート920の上にベースプレート30を設置した後でも、アイボルト110に結合させるナット134,136を締め付けることができる。
【0100】
(第二変形例)
図21は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例と上部構造物を示す断面図である。図22は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例を示す斜視図である。図21及び図22に示すように、第二変形例は、図17で示した球座付きプレート920の代わりに、プレート1020と、箱形部材1030と、円形プレート1040を有する。
【0101】
プレート1020と箱形部材1030、及び箱形部材1030と円形プレート1040はそれぞれ溶接接合される。図21中の1052と1054は溶接部分を示す。プレート1020と、箱形部材1030と、円形プレート1040によって、調節部材が構成される。
【0102】
アイボルト110の軸部114は、調節部材をねじ結合によって固定する。軸部114の先端は、箱形部材1030の内側底面1034から突出して配置される。ワッシャー132と、ナット134,136は、アイボルト110の軸部114とねじ結合して、調節部材を杭10に固定する。内側底面1034は、平面形状のワッシャー132を用いてボルト結合しやすいように平面形状を有する。
【0103】
調節部材は、ベースレール30の下面と、杭10の上端部との間に配置される。プレート1020には、開口部1022a,1022b,1022c,1022d,1022e(以下、総称して開口部1022ともいう。)が形成されている。箱形部材1030は、例えば直方体の部材であり、側面が開口している。これにより、側面の開口からナット134,136を締めることができる。また、箱形部材1030は、アイボルト110の軸部114が貫通可能なように開口部1032が形成されている。箱形部材1030は、ナット134,136をプレート1020の下で締結できるように、プレート1020と円形プレート1040を離隔させる部材であり、直方体に限定されず、他の形状でもよい。円形プレート1040は、外面が面取りされて円錐面1042を有しており、アイボルト110の軸部114が貫通可能なように開口部1044が形成されている。
【0104】
プレート1020の開口部1022は、箱形部材1030及び円形プレート1040を間に挟んで、ベースレール30の長手方向に少なくとも2か所に設けられ、ベースレール30の対応する位置に開口部32が形成される。そして、開口部1022,32にそれぞれボルト930が貫通する。そして、ボルト930、ワッシャー932,933、ナット934,936は、プレート942を介してベースレール30とプレート1020を固定する。プレート942は、第一の実施形態のプレート142に対応する。
【0105】
プレート1020がベースレール30と接触し、円形プレート1040の外側の円錐面1042が杭10の上端部と接触する。これによって、本実施形態の杭頭接合構造は、調節部材が傾き方向の調整をする。また、杭頭接合構造の調節部材は、上部構造物の荷重を杭10に伝達できる。そして、上部構造物に上方向の力が作用した場合は、ボルト102とアイボルト110とナット134,136とボルト930とナット934,936によって杭10と上部構造物の接合を維持でき、上部構造物を杭10に固定できる。
【0106】
ボルト930によるボルト接合が、ベースレール30の長手方向に少なくとも2か所以上設けられる。これによって、例えば図21の図面上の右から左への水平力(または左から右への水平力)がベースレール30に作用したとき、ベースレール30とプレート1020との間に発生する滑りを防止できる。水平力が大きい場合、第一〜第三の実施形態では、アイボルト110を強く締め付けることが必要になる。しかし、アイボルト110を強く締めすぎると、ボルト102の軸部104(棒部材)が曲がってしまう。一方、本実施形態によれば、傾き調整用ボルト(=アイボルト110)と滑り防止用ボルト(=ボルト930)が別々に設けられる。また、滑り防止用ボルト(=ボルト930)が複数本設けられる。その結果、アイボルト110を締め付け過ぎてボルト102を曲げてしまうことなく、確実にベースレール30とプレート1020との間に発生する滑りを防止できる。
【0107】
本実施形態の杭頭接合構造を組み立てるには、まず、杭10内部にボルト102とアイボルト110を設置する。そして、杭10の上部にプレート1020と、箱形部材1030と、円形プレート1040が一体になった調節部材を設置し、アイボルト110によって調節部材を杭10に固定する。
【0108】
次に、図17に示した第四の実施形態と異なり、上部構造物の傾きを考慮して調節部材の傾きを調整して、ナット134,136を締め付ける必要がない。すなわち、第四の実施形態では、ナット134,136を締め付けるため、ベースレール30によって塞がれてしまう開口部927を使用しなければならなかった。一方、第二変形例では、箱形部材1030の側面の開口からナット134,136を締め付けることができる。
【0109】
そこで、第二変形例では、ナット134,136を仮締めしておいて、調節部材のプレート1020の上面にベースレール30を設置する。このとき、ボルト930、ナット934,936の仮締めによって、プレート1020とベースレール30を固定する。次に、上部構造物の傾きを考慮して調節部材の傾きや水平方向位置を調整して、ナット134,136を本締めし、ナット934,936も本締めする。このように、第二変形例によれば、予め調節部材の傾斜角や水平方向位置を決定して固定するのではなく、ベースレール30を設置しながら調節部材の傾斜角や水平方向位置を決定できるため、杭10の傾斜角の施工誤差を容易に調整できる。
【0110】
なお、第二変形例のプレート1020の開口部1022は、図22及び図23の例のように複数形成されてもよいし、第一変形例の板状部材922−1の開口部926−1と同様に、開口部1032,1044を間に挟んで、両側に一つずつ形成されてもよい。開口部1022は、開口部1032,1044を間に挟んで、両側に複数設けられることにより、杭10の水平方向の誤差の調整範囲を広げることができる。
【0111】
次に、図23を参照して、調節部材(一体化したプレート1020、箱形部材1030及び円形プレート1040からなる。)と、ベースレール30を用いて、杭10の水平方向の施工誤差を調整する方法について説明する。図23は、本実施形態に係る杭頭接合構造の第二変更例と上部構造物を示す上面図である。
【0112】
第一変形例では、アイボルト110の位置に対応して、ベースレール30に開口部32を設けた。しかし、図19及び図20に示したように、開口面積が大きくなり、ベースレール30の部材欠損が大きくなるという問題がある。そこで、第二変形例のように、プレート1020と円形プレート1040の間に箱形部材1030を設ける構成とすることで、アイボルト110がベースレール30に干渉する問題を避けることができる。また、上述した通り、ベースレール30を調節部材のプレート1020上に設置してから、ナット134,136を本締めできるようになる。
【0113】
図23では、プレート1020に開口部1022を五つ設けた例を示しており、開口部1022aの四方にそれぞれ一つずつ開口部1022b,1022c,1022d,1022eが形成される。また、ベースレール30の開口部32は、図23に示すように、ルーズホールとなっている。
【0114】
プレート1020の水平方向の位置は、円形プレート1040が杭10に固定されるため、杭10の設置位置によっておおよそ決定されてしまう。したがって、ベースレール30の開口部32が、ボルト930の軸の断面に比べて広い開口面積を有していることによって、杭10の水平方向の施工誤差を吸収でき、ベースレール30を水平に設置できる。例えば、図23に示すように、ボルト930をプレート1020の開口部1022aとベースレール30の開口部32に貫通させる場合、ボルト930が開口部32の中央を貫通すれば、ベースレール30は実線に示す位置に配置できる。ボルト930の位置が杭10によって決定されてしまっても、開口部32はルーズホールであるため、ボルト930に対して、開口部32を例えば図23の32−Bの位置となるようにベースレール30を移動できる。その結果、ベースレール30は、例えば図23上の右上方向である二点鎖線の位置(30−B)まで移動でき、杭10の水平方向の施工誤差を吸収できる。同様に、ベースレール30は、図23において実線で示したベースレール30に対して、図23上の右下、左上、左下方向に移動できる。
【0115】
また、図23に示すように、ボルト930−Bをプレート1020の開口部1022cに貫通させる場合、ベースレール30が図23の左下方向及び右上方向に移動できる範囲は、図23上の30−Bの位置から30−Cの位置までの範囲となる。このとき、ベースレール30の開口部32は、32−Bから32−Cの間を移動する。図示しないが、ベースレール30は、開口部1022cに貫通したボルト930−Bに対して、図23の右下方向及び左上方向にも移動できる。また、ボルト930−Bをプレート1020の開口部1022b、開口部1022d又は開口部1022eに貫通させる場合も、ベースレール30は図23上の右上、右下、左上、左下方向に移動できる。このように、開口部1022を複数設けることによって、ベースレール30の設置可能な位置を広げることができる。
【0116】
なお、図23で示した例では、プレート1020が固定していると仮定して、ベースレール30が30−Bの位置にあるときは、ボルト930,930−Bを開口部32−Bに貫通させるためには、ボルト930を開口部1022aに貫通させこともできるし、ボルト930−Bを開口部1022cに貫通させることもできる。すなわち、ベースレール30が30−Bの位置にあるとき、ボルト930,930−Bを開口部32−Bに貫通させることができるように、プレート1020の開口部1022a,1022cの位置と大きさ、ベースレール30の開口部32の大きさが決定されている。このように決定しておくことで、杭10の水平方向の誤差を広い範囲で調整できる。なお、開口部1022b,1022d,1022eについても同様である。
【0117】
上述した通り、本発明の第一〜第四の実施形態によれば、杭10の鉛直方向、水平方向及び傾斜角の施工誤差を調整でき、上部構造物を支持し固定することができる。また、杭頭接合構造を構成する部分に溶接がなく、簡易なボルトのみで杭10と上部構造物を接合でき、容易な施工が可能となる。更に、杭頭接合構造を構成する部品の多くを汎用品で構成できるため、低コスト化を図ることができる。
【0118】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、杭頭接合構造に適用可能であり、特に杭と杭上部に設置される構造物を接合する杭頭接合構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0120】
10 杭
12 ボルト孔
20 フレーム
30 ベースレール
32,33 開口部
40 ソーラーパネル
100 杭頭接合構造
102,930 ボルト
104 軸部
106 ナット
107,108 ワッシャー
110 アイボルト
112 リング部
114 軸部
116,422,522,622,826,828,926,927,928,1022,1032,1044 開口部
122 くさび形プレート
132,432,442,452,932,933 ワッシャー
134,136,434,436,444,446,454,456,636,736,934,936 ナット
142,520,620,942,1020 プレート
220,320 調節部材
222,224,226,322,326 ライナープレート
223 挿入溝
324 ゴム板
420 くさび形プレート
532 くさび形ワッシャー
634 球座付きナット
635 球座部
732 球面ワッシャー
734 球面座付きフランジナット
735 球面部
820,920 球座付きプレート
920−1 円錐台付きプレート
822,922 板状部材
824,924 球状部材
924−1 円柱部材
929−1 円錐台部材
925,1034 内側底面
1030 箱形部材
1040 円形プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造物を上側で支持し固定する筒形状の杭と、
軸方向が前記杭内部で前記杭の中空部分を横切って配置され前記杭に固定された棒部材と、
前記上部構造物と前記杭の上端部との間に上部構造物の荷重を杭に伝達するように配置され前記上部構造物の設置傾斜角及び設置高さを調節する調節部材と、
前記棒部材の下部と接触して前記棒部材と連結される第一端部と、前記杭の上端部から突出して配置され、前記調節部材及び前記上部構造物をねじ結合によって固定する第二端部とを有し、前記杭内部の可動範囲内で前記上部構造物の水平方向位置を調節する固定部材と、
を備える、杭頭接合構造。
【請求項2】
前記調節部材は、対向する面が互いに傾いて形成された板状部材であって前記杭の上端部に接触し前記固定部材が貫通して配置される、請求項1に記載の杭頭接合構造。
【請求項3】
前記調節部材の上面に前記上部構造物が接触して配置される、請求項2に記載の杭頭接合構造。
【請求項4】
前記調節部材の上面において前記固定部材とのねじ結合によって前記調節部材を前記杭の上端部に固定する第一のねじ結合部と、
前記第一のねじ結合部より上側かつ前記第二端部より下側において前記固定部材とのねじ結合によって前記上部構造物を固定する第二のねじ結合部と
を更に備える、請求項2に記載の杭頭接合構造。
【請求項5】
前記調節部材は、
対向する面が互いに平行に形成され、前記杭の上端部に接触し前記固定部材が貫通して配置される板状部材と、
対向する面が互いに傾いて形成され、前記板状部材の上面に接触し前記固定部材が貫通して配置されるワッシャーと
を有し、
前記ワッシャーを間に挟んで前記固定部材とねじ結合する第三のねじ結合部と、
前記第三のねじ結合部より上側かつ前記第二端部より下側において前記固定部材とのねじ結合によって前記上部構造物を固定する第二のねじ結合部と
を更に備える、請求項1に記載の杭頭接合構造。
【請求項6】
前記調節部材は、
対向する面が互いに平行に形成され、前記杭の上端部に接触し前記固定部材が貫通して配置される板状部材と、
一端が球面形状を有して形成され、前記板状部材の上面に接触し前記固定部材が貫通して配置される球面部材と
を有し、
前記球面部材を間に挟んで前記固定部材とねじ結合する第四のねじ結合部と、
前記第四のねじ結合部より上側かつ前記第二端部より下側において前記固定部材とのねじ結合によって前記上部構造物を固定する第二のねじ結合部と
を更に備える、請求項1に記載の杭頭接合構造。
【請求項7】
前記調節部材は、
対向する面が互いに平行に形成され、前記杭の上端部に接触し前記固定部材が貫通して配置される板状部材と、
一端に凹面が形成され、他端が前記板状部材の上面に接触し前記固定部材が貫通して配置されるワッシャーと、
一端に前記ワッシャーの前記凹面と接触する凸面が形成され、前記固定部材が貫通して配置される凸状部材と
を有し、
前記ワッシャーと前記凸状部材を間に挟んで前記固定部材とねじ結合する第五のねじ結合部と、
前記第五のねじ結合部より上側かつ前記第二端部より下側において前記固定部材とのねじ結合によって前記上部構造物を固定する第二のねじ結合部と
を更に備える、請求項1に記載の杭頭接合構造。
【請求項8】
前記調節部材は、
球面が前記杭の上端部に接触し前記固定部材が貫通して配置される球状部材と、
前記球状部材と接合され、前記上部構造物の下面に接触し前記固定部材が貫通して配置される板状部材と
を有する、請求項1に記載の杭頭接合構造。
【請求項9】
前記固定部材の前記第一端部は、前記棒部材を貫通させる環状部材である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の杭頭接合構造。
【請求項10】
上部構造物を上側で支持し固定する筒形状の杭と、
軸方向が前記杭内部で前記杭の中空部分を横切って配置され前記杭に固定された棒部材と、
前記上部構造物と前記杭の上端部との間に上部構造物の荷重を杭に伝達するように配置され、前記上部構造物の設置傾斜角及び設置高さを調節し、前記上部構造物をねじ結合によって固定する調節部材と、
前記棒部材の下部と接触して前記棒部材と連結される第一端部と、前記杭の上端部から突出して配置され、前記調節部材をねじ結合によって固定する第二端部とを有し、前記杭内部の可動範囲内で前記調節部材の水平方向位置を調節する固定部材と、
を備える、杭頭接合構造。
【請求項11】
前記調節部材は、
球面が前記杭の上端部に接触し前記固定部材が貫通して配置される球状部材と、
前記球状部材と接合され、前記上部構造物の下面に接触して配置される板状部材と
を有する、請求項10に記載の杭頭接合構造。
【請求項12】
前記調節部材は、
円錐面が前記杭の上端部に接触し前記固定部材が貫通して配置される円錐状部材と、
前記円錐状部材と接合され、前記上部構造物の下面に接触して配置される板状部材と
を有する、請求項10に記載の杭頭接合構造。
【請求項13】
前記調節部材は、
前記固定部材の前記第2端部が前記上部構造物の下側に位置するように、前記杭の上端部に接触する部分と、前記上部構造物の下面に接触する部分とを離隔し、側面が開口した形状を有する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の杭頭接合構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−94474(P2011−94474A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224758(P2010−224758)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(598010089)有限会社溶和工業 (2)
【Fターム(参考)】