説明

板状建材塗装方法

【課題】板状建材の表面塗装のためにインクジェット塗装手段のインク吐出口から吐出されたインク滴の端面への付着を防止し得る板状建材塗装方法を提供する。
【解決手段】インクジェット塗装手段22のインク吐出口22dからインク滴を吐出させて、平面視略矩形状とされた板状建材10の表面縁部11aを塗装する板状建材塗装方法であって、前記板状建材の側辺の表面縁部と端面との境界線EL1以遠に至ったインク滴が該端面12から離間する方向へ飛ぶよう前記インク吐出口から吐出させるインク滴の吐出ラインS1を保持した状態で、前記板状建材と前記インク吐出口とを前記側辺に沿って相対移動させながら、水平に保持された前記板状建材の側辺の表面縁部に対して、前記インク吐出口から斜め外方向にインク滴を吐出させて、該表面縁部を塗装するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット塗装手段によって、板状建材を塗装する板状建材塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内装材や外装材に使用される板状の建築材料(板状建材)の表面(上面)や端面(木口面)には、種々の塗装方式によって塗装が施されている。
近時においては、塗装の一方式として、局所的な模様形成や所望の模様パターンを容易に塗装できるインクジェット塗装が用いられている。
このようなインクジェット塗装では、板状建材の表面に非接触の状態で、インク吐出口からインク滴を吐出させて被塗装面にインク滴を着弾させ、この着弾したインク滴による微小なドットの集合により模様を形成している。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、インクジェット塗装を用いた建築板の塗装方法が提案されている。
このものでは、概略的に建築板に塗装する柄模様の柄パターンデータを記憶するコンピュータと、該建築板を搬送するコンベアと、該コンベアの上方に配された塗装ヘッドと、該塗装ヘッドに並列配置した複数のジェットノズルとによって、コンベア上を搬送される建築板の表面に対して無接触とされたジェットノズルからインクを柄パターンデータに基づいて噴射させて、柄模様を塗装するようにしている。
【特許文献1】特許第3115136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インク吐出口から吐出されるインク滴は、液柱状に吐出され、被塗装面に着弾するまでに、インク液自身の表面張力と空気抵抗とによって、複数の微小なインク滴に分離して、被塗装面に至るまでにミスト状となる。
また、模様の複雑化に伴い、吐出されるインク滴も微小化する傾向があり、このような微小なインク滴は、吐出されるとミスト状となって、被塗装面に向けて浮遊落下する。
【0005】
上記特許文献1に記載の建築板の塗装方法のように、建築板に対して無接触とされたジェットノズルからインクの噴射がなされるため、従来のインクジェット塗装では、表面全面に対して塗装する際には、表面の周縁付近では、上記のようにミスト状となったインク滴が建築板の表面外にも浮遊落下し、建築板の端面に付着する問題があった。
このように、表面塗装のために噴射されたインク滴が、建築板の端面に付着すると、前後の工程で、端面の塗装がなされる場合に、端面が二重塗りとなって表面に比べて濃色となったり、端面の模様の質が低下したりする恐れがあった。
【0006】
また、通常のインクジェットプリンタの印刷対象である紙などと比べて、板状建材の表面は平滑ではなく凹凸を有する場合があり、また、紙などと比べて、板状建材は大型であるため板状建材とインク吐出口とを相対移動させる際に、それらが相対的に上下に変位する恐れもあり、従って、インク滴を吐出するインク吐出口と、被塗装面との距離を比較的大きくとる必要がある。このような場合にも上記のような問題が顕著となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、板状建材の表面塗装のためにインクジェット塗装手段のインク吐出口から吐出されたインク滴の端面への付着を防止し得る板状建材塗装方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る板状建材塗装方法は、インクジェット塗装手段のインク吐出口からインク滴を吐出させて、平面視略矩形状とされた板状建材の表面縁部を塗装する板状建材塗装方法であって、前記板状建材の側辺の表面縁部と端面との境界線以遠に至ったインク滴が該端面から離間する方向へ飛ぶよう前記インク吐出口から吐出させるインク滴の吐出ラインを保持した状態で、前記板状建材と前記インク吐出口とを前記側辺に沿って相対移動させながら、水平に保持された前記板状建材の側辺の表面縁部に対して、前記インク吐出口から斜め外方向にインク滴を吐出させて、該表面縁部を塗装することを特徴とする。
【0009】
ここに、前記板状建材は、端面(木口面)を有する板状の略直方体形状のもので、建築物の内装建材や外装建材として用いられる木質系建築材料、樹脂系建築材料、窯業系建築材料を指す。
木質系建築材料としては、無垢の木材、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板等や、これらを基材として、突板やメラミン樹脂などを貼着したものが挙げられる。
樹脂系建築材料としては、熱硬化性樹脂材、熱可塑性樹脂材等が挙げられる。
窯業系建築材料としては、外壁や屋根、塀等に用いられる、レンガ、瓦、セラミックスや、セメントを主成分として補強繊維や無機質充填材を含有したセメント系の窯業系材料等が挙げられる。
また、前記板状建材は、扉、床、階段、框、柱、手摺り、棚、キッチンパネル、天井、各種家具のキャビネットや天板、内壁、外壁、屋根、塀等に用いられる。
また、インクジェット塗装手段により前記板状建材の表面縁部に塗装する模様は、木目調、タイル調、ブロック調、単色、その他各種の絵柄等が挙げられる。
【0010】
本発明の前記板状建材塗装方法においては、前記側辺の端面上端に、該側辺に沿って、面取り傾斜面を更に形成している板状建材に対して、その表面縁部の塗装をするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る前記板状建材塗装方法によれば、前記板状建材の側辺の表面縁部と端面との境界線以遠に至ったインク滴が該端面から離間する方向へ飛ぶよう前記インク吐出口から吐出させるインク滴の吐出ラインを保持した状態で、前記板状建材と前記インク吐出口とを前記側辺に沿って相対移動させながら、水平に保持された前記板状建材の側辺の表面縁部に対して、前記インク吐出口から斜め外方向にインク滴を吐出させるようにしている。従って、前記表面縁部に着弾せず、表面外域に至ったインク滴は、前記吐出ラインに沿って前記端面から離間する方向、すなわち、斜め下方に向けて飛ぶ。これにより、前記表面縁部に向けて吐出されたインク滴が前記側辺の端面に付着したり、廻り込んだりすることを低減できる。この結果、板状建材の表面を塗装する前後に端面を塗装する場合に、端面が二重塗りとなって表面に比べて濃色となったり、端面の模様の質が低下したりすることを低減できる。よって、意匠性の高い板状建材を提供できる。
【0012】
また、本発明の前記板状建材塗装方法においては、前記板状建材の前記側辺の端面上端に、該側辺に沿って、面取り傾斜面を更に形成している板状建材に対しても、上記同様、吐出ラインを、前記端面を構成する面取り傾斜面と表面縁部との境界線以遠に至ったインク滴が該面取り傾斜面から離間する方向へ飛ぶよう保持した状態で、水平に保持された前記板状建材の側辺の表面縁部に対して、前記インク吐出口から斜め外方向にインク滴を吐出させるようにすることで、該端面を構成する面取り傾斜面へのインク滴の付着を前記同様、防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る板状建材塗装方法を説明するための説明図であり、(a)は、概略平面図、(b)は、概略縦断面図である。図2は、同実施形態に係る板状建材塗装方法を実行する板状建材塗装装置の一例を示すブロック図である。図3は、同板状建材塗装装置で板状建材の表面中央部を塗装する工程を説明するための説明図、図4は、同板状建材塗装装置で板状建材の端面を塗装する工程を説明するための説明図である。
尚、図1(b)、図3(b)、図4(b)、図5及び図6において、各ノズルヘッドのインク吐出口から吐出されたインク滴は、模式的に示している。
【0014】
本実施形態では、板状建材塗装装置Aによって塗装された板状建材10は、端面(木口面)12を有する略直方体形状とされ、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板などの木質系基材の表面11及び端面12に、後記する各工程を経て表面11及び端面12に模様が施されたものである。
また、表面11及び端面12の塗装を行う前に、上記木質系基板には、後記するインクジェット塗装ユニット20から吐出させたインクを定着させるための白地のインク受理層が前処理として形成されている。
【0015】
上記のような板状建材10に用いられる基材としては、他の木質系材料、例えば、無垢の木材、あるいは、無垢の木材や集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板等にさらに突板やメラミン樹脂などを貼着したものとしてもよい。
また、上記基材を、熱硬化性樹脂材、熱可塑性樹脂材等の樹脂材料としてもよい。また、外壁や屋根、塀等に用いられる、レンガ、瓦、セラミックスや、セメントを主成分として補強繊維や無機質充填材を含有したセメント系の窯業系材料を上記基材としてもよい。
上記のような板状建材10は、建築物の内装建材、外装建材として用いられ、扉、床、階段、框、柱、手摺り、棚、キッチンパネル、天井、各種家具のキャビネットや天板、内壁、外壁、屋根、塀等に用いられる。
【0016】
尚、本実施形態では図例のように、後記するインクジェット塗装ユニット20により板状建材10に塗装された模様は、木目調であるが、これに限らず、タイル調、ブロック調、単色、その他各種の絵柄等としてもよい。
また、本実施形態では、板状建材10の表面11及び端面12にのみインクジェット塗装ユニット20による塗装により模様を形成しているが、裏面にも模様を形成するようにしてもよい。
【0017】
次に、板状建材10を塗装する装置の一例について説明する。
図例の板状建材塗装装置Aは、図2に示すように、大略的に、板状建材10の各部を塗装するためのインクジェット塗装ユニット20と、装置各部を制御する制御ユニット30と、後記するインク吐出口22dから吐出させるインク滴の吐出ラインS1を変更するためのノズルヘッド傾斜角度可変手段40と、載置された板状建材10を搬送する板状建材搬送手段50とを備えている。
【0018】
板状建材搬送手段50は、後記する各インクジェット塗装装置21,22,23の各インク吐出口21d,22d,23dと板状建材10とを相対移動させる移動手段を構成し、各図に示すように、基台51と、搬送ベルト52,52Aとを備え、後記する各インクジェット塗装装置21,22,23によるインクの吐出動作と連動制御され、板状建材10を白抜矢印方向(図1(a)、図3(a)、図4(a)における紙面上方向)へ向けて搬送する。
後記する表面縁部塗装用インクジェット塗装装置22が配設された基台51の搬送ベルト52Aには、他のインクジェット塗装装置21,23が配設された基台51の搬送ベルト52とは異なり、板状建材10の各側辺の表面縁部11aを塗装する際の位置決めのための突条52Aaが形成されている(図1参照)。
【0019】
尚、本実施形態では、それぞれ固定された各インクジェット塗装装置21,22,23に対して、板状建材10が搬送ベルト52,52Aによって、搬送されることで、各インクジェット塗装装置21,22,23の各インク吐出口21d,22d,23dと板状建材10とを相対移動させる構成としているが、固定状態とされた板状建材10に対して、各インクジェット塗装装置21,22,23の各インク吐出口21d,22d,23dを移動させる構成としてもよい。
【0020】
インクジェット塗装ユニット20は、後記する各工程において、板状建材10の各部を塗装するもので、板状建材10の表面中央部11bを塗装するための表面中央部塗装用インクジェット塗装装置21と、板状建材10の表面縁部11aを塗装するための表面縁部塗装用インクジェット塗装装置22と、板状建材10の端面12を塗装するための端面塗装用インクジェット塗装装置23とを備えている。
これら各インクジェット塗装装置21,22,23は、基台51の搬送ベルト52,52Aによって搬送される板状建材10の搬送方向上流側から上記の順で配設されている。
【0021】
表面中央部塗装用インクジェット塗装装置21は、図3に示すように、基台51に隣接して配設された装置本体21a、装置本体21aに連結されノズルヘッド21cを支持するノズルヘッドアーム21bを有している。
ノズルヘッドアーム21bは、基台51を挟んで装置本体21aに対して対向配置された支持部21eと、装置本体21aとにより支持されている。
ノズルヘッド21cは、板状建材10の搬送方向と直交する方向(板状建材10の幅方向、紙面左右方向)に長尺に形成されたいわゆるライン型のノズルヘッドで、その裏面には、各種カラーのインク滴を表面中央部11b(鉛直下方)に向けて吐出する無数のインク吐出口21dが形成されている。
この表面中央部塗装用インクジェット塗装装置21は、板状建材10の表面中央部11bを塗装するためのもので、板状建材10の表面11の周縁から例えば5mm程度内側のみ塗装するようにし、その残余の部位が表面縁部11aとなる(図例では、表面縁部11aの幅をWとしている)。
尚、表面中央部塗装用インクジェット塗装装置21のノズルヘッド21cとしては、ライン型ではなく、板状建材10の幅方向に移動走査可能とされたいわゆるシリアル型のノズルヘッドとしてもよい。
【0022】
端面塗装用インクジェット塗装装置23は、図4に示すように、本実施形態では、それぞれ端面12を塗装するための2台の端面塗装用インクジェット塗装装置23が基台51を挟んで対向配置されている。
これら端面塗装用インクジェット塗装装置23は、それぞれ基台51に隣接して配設された装置本体23a、装置本体23aに連結されノズルヘッド23cを支持するノズルヘッドアーム23bを有している。
各ノズルヘッド23cは、端面12に対向する面に、各種カラーのインク滴を端面12(水平方向)に向けて吐出する無数のインク吐出口23dを形成し、インク吐出口23dから吐出されたインクの吐出幅が板状建材10の板厚と略同幅となるよう制御される。
このように、インクの吐出幅を制御することで、端面12を塗装する際に、吐出されたインク滴が、板状建材10の表面側に付着することを防止できる。
【0023】
表面縁部塗装用インクジェット塗装装置22は、本実施形態に係る板状建材塗装方法に用いられる板状建材10の表面縁部11aを塗装するインクジェット塗装手段を構成する。
この表面縁部塗装用インクジェット塗装装置22は、図1に示すように、基台51に隣接して配設された装置本体22a、装置本体22aに連結されノズルヘッド22cを支持するノズルヘッドアーム22bを有している。
ノズルヘッドアーム22bは、板状建材10の板厚や後記するノズルヘッド22cの傾斜角度等に応じて装置本体22aに対して上下方向(白抜矢印Z方向)に昇降するとともに、左右方向(白抜矢印X方向)に伸縮する構成とされ、また、ノズルヘッド22cを、ノズルヘッド傾斜角度可変手段40を構成する回動軸41によって回動自在に支持している。このようにノズルヘッドアーム22bを昇降伸縮させることで、インク吐出口22dから吐出されるインク滴が表面縁部11aに向けて吐出されるようノズルヘッド22cの位置決めを行うようにしている。
【0024】
ノズルヘッド22cは、その裏面に、各種カラーのインク滴を表面縁部11aに向けて吐出する無数のインク吐出口22dを形成している。
このノズルヘッド22cは、前記したノズルヘッド傾斜角度可変手段40によって、傾斜され、このノズルヘッド22cの傾斜角度を変更することにより、インク吐出口22dから吐出されたインク滴が着弾するまでに描く吐出ラインS1を変更するようにしている。
また、ノズルヘッド22cは、吐出ラインS1と板状建材10の表面11とのなす角θaに応じて、吐出させるインク滴の大きさの変更を可能とするとともに、インク吐出口22dを制御して吐出幅の変更を可能としている。
この表面縁部塗装用インクジェット塗装装置22は、板状建材10の表面縁部11aを塗装するためのもので、上記した表面中央部塗装用インクジェット塗装装置21によって、塗り残された周縁からの塗り残り代、すなわち、表面中央部11b以外の表面縁部11aを塗装するようにしている。
尚、図例では、板状建材10の一側辺13の表面縁部11aを塗装する状態を示しており、他の側辺14,15,16の表面縁部11aの塗装が未だなされていない状態を示している。
【0025】
制御ユニット30は、上記各部を制御する制御手段を構成するCPU31、各種操作を行うための操作手段32、制御プログラムや塗装する模様のパターンデータなどを記憶する記憶手段33などを有している。
尚、各図において、符合34は、各部と制御ユニット30とを結ぶ信号線である。
【0026】
尚、上記した各インクジェット塗装装置21,22,23のインク吐出口21d,22d,23dからインク滴を吐出するためのインクジェットのノズル駆動方式は、特に限定されず、適宜公知のものが選択可能であり、ドロップオンデマンドピエゾ方式、ドロップオンデマンドバルブ方式、コンティニュアス帯電偏向方式など任意のものが適用可能である。
また、吐出するインクは、例えば、樹脂、溶剤、硬化剤、添加剤等に、基本色を構成する顔料を混合した溶液であり、前記したノズル駆動方式や板状建材10に形成されたインク受理層等に応じて、公知の産業用インクジェットインクの適用が可能である。例えば、メチルエチルケトンやエタノール、アセトンなどを溶剤とする速乾性インク、オイルベースの油性インク、紫外線を照射して硬化させるUV硬化インク、水性インクなどで少なくとも耐候性、耐水性のあるものとすることが好ましい。
【0027】
さらに、本実施形態のように、白地のインク受理層が前処理で形成されている場合は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン等のカラーインクが適用されるが、インク受理層の色が異なる場合やインク受理層を形成する必要が無い基材の場合は、そのインク受理層の色や基材の表面色に応じて、適宜のカラーインクの選択が可能である。
また、本実施形態では、吐出ライン可変手段を構成するノズルヘッド傾斜角度可変手段40の構成は、前記した構成に限らず、インク吐出口22dから吐出させるインク滴の吐出ラインを変更可能なものであればどのようなものでもよい。
【0028】
次に、前記構成とされた板状建材塗装装置Aを用いて板状建材10を塗装する工程について説明する。
【0029】
<表面中央部塗装工程>
図3に示すように、板状建材搬送手段50を作動して、搬送ベルト52上に載置された板状建材10を表面中央部塗装用インクジェット塗装装置21のノズルヘッド21cの下方に向けて搬送する。
搬送された板状建材10が所定位置に到着したことを検知すると、記憶手段33に記憶されたパターンデータに基づいて、インク吐出口21dからインク滴を吐出させ、搬送される板状建材10に対して表面中央部11b上をノズルヘッド21cが走査することで、表面中央部11bの塗装を行う。
この際、所定位置は、光学センサーなどで検知するようにしてもよい。
表面中央部11bを塗装された板状建材10は、搬送ベルト52によって、次工程に向けて搬送される。
この表面中央部塗装工程では、前記のように、板状建材10の表面11の周縁から例えば5mm程度内側のみ塗装するようにしているので、インク吐出口21dから吐出されたインク滴が表面外域に飛散したり、浮遊落下したりすることはない。
尚、この周縁からの塗り残り代は、インク吐出口21dと板状建材10の表面11との距離等に応じて、インク吐出口21dから吐出されたインク滴が表面外域に飛散したり、浮遊落下したりすることがないように設定してもよい。
【0030】
<表面縁部塗装工程>
上記のように表面中央部11bに塗装がなされた板状建材10は、表面縁部塗装工程に至る。
この表面縁部塗装工程は、本実施形態に係る板状建材塗装方法を構成し、図1に示すように、搬送ベルト52A上に載置された板状建材10は、表面縁部塗装用インクジェット塗装装置22によって表面縁部11aの塗装がなされる。
この工程では、まず、ノズルヘッド傾斜角度可変手段40によって、ノズルヘッド22cを鉛直線とのなす角が所定の傾斜角度θbとなるように傾斜させる。
この所定の傾斜角度θbは、本実施形態のように縁部に面取り等が形成されておらず、表面11と端面12とのなす角が略直角とされた板状建材10では、吐出ラインS1と端面12とのなす角θbが鋭角、すなわち0度より大、90度より小となるようにすればよい。好ましくは、15度以上、75度以下とすることで、表面縁部11aに吐出させたインク滴により形成される模様の質を阻害することなく、端面12へのインク滴の付着を低減できる。
【0031】
上記のようにノズルヘッド22cを傾斜させた状態では、インク吐出口22dから吐出されたインク滴が着弾するまでに描く吐出ラインS1は、板状建材10の表面縁部11aに対して斜め外方に向かうラインとなる。このように吐出ラインS1を保持した状態では、一側辺13の表面縁部11aと端面12との境界線EL1以遠に至ったインク滴は、その端面12から離間する方向へ飛ぶ。すなわち、端面12と角度θbを保持した吐出ラインS1に沿って飛ぶ。
また、この際、板状建材10の板厚やノズルヘッド22cの傾斜角度θb等に応じて、ノズルヘッドアーム22bを昇降伸縮させ、インク吐出口22dから吐出されるインク滴が表面縁部11aに向けて吐出されるようノズルヘッド22cを所定位置に移動させる。
【0032】
ノズルヘッド22cを上記のような吐出ラインS1となるよう保持した状態で、搬送された板状建材10が所定位置に到着したことを検知すると、記憶手段33に記憶されたパターンデータに基づいて、インク吐出口22dから斜め外方に向けてインク滴を吐出させ、搬送される板状建材10に対して一側辺13に沿って表面縁部11a上をノズルヘッド22cが走査することで、板状建材10の一側辺13の表面縁部11aの塗装を行う。
このような表面縁部11aの塗装は、表面中央部11bを塗装した際と同じパターンデータに基づき、インクジェット塗装によりなされるので、ノズルヘッド22cを吐出制御することで、上記表面中央部塗装工程で塗装された表面中央部11bとの模様の連続性を損なうことなく、また、重ね塗り等することなく、高精度になされる。
【0033】
上記表面縁部11aにインク滴を吐出させる際、インク吐出口22dから吐出させるインク滴の大きさを、板状建材10の表面11と吐出ラインS1とのなす角θaに応じて、変更するようにしてもよい。
すなわち、インク滴が着弾して形成されるドット径及びドットとドットの重なり度にもよるが、表面中央部11bのドット間隔と同じように、表面縁部11aに対して傾斜させたノズルヘッド22cからインク滴を吐出させると、傾斜させた分、着弾した際のドット間隔が広がる。従って、表面中央部11bに対して吐出したインク滴よりも表面縁部11aに対して吐出するインク滴の大きさを角θaに応じて調整し、大きくすることで、着弾した際のドット径が大きくなり、上記のように広がったドット間隔を吸収できる。
このような吐出させるインク滴の大きさの調整は、ノズルヘッド22cの印加電圧を上げたり、バルブ方式やピエゾ方式のノズルヘッド22cでは、バルブ開の時間を長くしたり、ON時間を長くしたりすることで可能となる。
【0034】
一側辺13の表面縁部11aを塗装した後、板状建材10を、回転手段等により90°回転させ、順次、他の側辺15,14,16の各表面縁部11aの塗装を、上記同様、ノズルヘッド22cを上記のような吐出ラインS1となるよう保持した状態で行う。
尚、一側辺13の表面縁部11aを長手方向(紙面上下方向)に沿って塗装すると、他の側辺15との角部の表面縁部11aは、既に塗装がなされているので、他の側辺15を塗装する際は、既に塗装された部位の表面縁部11aへの吐出がなされないよう制御するようにすればよい。他の側辺14,16についても同様にすればよい。このような制御もインクジェット塗装によりなされるので、高精度に行える。
また、表面縁部塗装用インクジェット塗装装置22を基台51を挟んで両側に配置し、対向する側辺13,14の表面縁部11aを塗装し、次いで、回転させて、他の対向する側辺15,16の表面縁部11aを塗装するようにしてもよい。
この場合は、各ノズルヘッド22cを傾斜させて、吐出ラインS1がそれぞれ上記のようになるよう保持した状態で塗装するようにすればよい。
【0035】
上記のように、本実施形態では、板状建材10の各側辺13,14,15,16の表面縁部11aと端面12との境界線EL1以遠に至ったインク滴が各端面12から離間する方向へ飛ぶようインク吐出口22dから吐出させるインク滴の吐出ラインS1を保持した状態で、搬送ベルト52A上に載置され、水平に保持された板状建材10の各側辺13,14,15,16の表面縁部11aに対して、インク吐出口22dから斜め外方向にインク滴を吐出させるようにしている。従って、表面縁部11aに着弾せず、表面外域、すなわち境界線EL1より以遠に至ったインク滴は、吐出ラインS1に沿って端面12から離間する方向、すなわち、斜め下方に向けて飛ぶ。これにより、表面縁部11aに向けて吐出されたインク滴が各側辺13,14,15,16の端面12に付着したり、廻り込んだりすることを低減できる。この結果、板状建材10の表面中央部11b及び表面縁部11aを塗装後、次工程において、端面12を塗装する際に、端面12が二重塗りとなって表面11に比べて濃色となったり、端面12の模様の質が低下したりすることを低減できる。よって、意匠性の高い板状建材10を提供できる。
【0036】
<端面塗装工程>
上記のように表面11に塗装がなされた板状建材10は、端面塗装工程に至り、図4に示すように、搬送ベルト52上に載置された板状建材10は、端面塗装用インクジェット塗装装置23によって、端面12の塗装がなされる。
搬送された板状建材10が所定位置に到着したことを検知すると、記憶手段33に記憶されたパターンデータに基づいて、インク吐出口23dからインク滴を吐出させ、搬送される板状建材10に対して端面12に沿って、ノズルヘッド23cが走査することで、板状建材10の対向する側辺13,14のそれぞれの端面12の塗装を行う。
本実施形態では、前述したように、基台51を挟んで、両側に配置された端面塗装用インクジェット塗装装置23によって、板状建材10の側辺の13,14のそれぞれの端面12を同時に塗装し、次いで、板状建材10を回転手段等により90°回転させ、他の対向する側辺15,16のそれぞれの端面12の塗装を行う。
【0037】
尚、本実施形態では、端面12の塗装は、上記のように、対向する二側辺の端面12,12を同時に塗装する構成としているが、上記した表面縁部塗装工程のように、一台の端面塗装用インクジェット塗装装置23によって、順次、各側辺の端面12の塗装を行うようにしてもよい。
また、上記各工程の順序は、上記した順序に限らず、端面12を塗装後、表面中央部11b、表面縁部11aの塗装をこの順、あるいは逆順に行うようにしてもよい。
さらに、上記3つの工程を経た後、施された模様を阻害することがないように透明の保護シートや保護フィルムを更に貼着して保護層を形成したり、あるいは、透明樹脂塗料(例えば、ウレタン、エポキシなど)などを塗装して保護塗膜を形成したりしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、板状建材10の表面中央部11b、表面縁部11a、及び端面12のそれぞれの塗装工程を、板状建材塗装装置Aによって全て行う態様を例示したが、板状建材塗装装置Aは、少なくとも表面縁部塗装工程を実行し得る構成とすれば良い。すなわち、表面中央部塗装工程及び端面塗装工程を別装置で行うようにしてもよい。
【0038】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図5は、第2実施形態に係る板状建材塗装方法を説明するための説明図であり、図1(b)に対応させた概略縦断面図である。
尚、第1実施形態との相違点は、主に板状建材の構成、及びノズルヘッドの構成であり、同様の構成については、同一符合を付し、説明を省略する。
【0039】
本実施形態で塗装する板状建材10Aは、側辺13,14の端面上端に各側辺に沿って全体に亘って、面取り傾斜面12aが形成され、その下方には垂直面12bが形成されている。尚、他の側辺15,16(図1と同様)の端面については、面取り傾斜面12aは、形成されていない。
また、ノズルヘッド22cAは、前記したノズルヘッド傾斜角度可変手段40によって、傾斜されることで形成される吐出ラインS1と板状建材10の表面11とのなす角θcに応じて、前記した表面中央部11bを塗装するためのノズルヘッド21cから吐出されたインク滴の着弾した際のドット間隔よりも小さくなるように、インク吐出口22dAからのインク滴の吐出を制御しており、これにより、前記したように、ノズルヘッド22cAを傾斜させることによるドット間隔の広がりを吸収している。
【0040】
また、本実施形態では、面取り傾斜面12aの形成角度、すなわち、面取り傾斜面12aと表面11とのなす角θdに応じて、ノズルヘッド傾斜角度可変手段40によるノズルヘッド22cAの傾斜角度θeを変更するようにしている。
この際、面取り傾斜面12aと吐出ラインS2とのなす角θfを、前記第1実施形態と同様、鋭角となるようにすることで、一側辺13の表面縁部11aと端面12Aを構成する面取り傾斜面12aとの境界線EL2以遠に至ったインク滴は、その端面12Aから離間する方向へ飛ぶ。すなわち、端面12Aと角度θfを保持した吐出ラインS2に沿って飛ぶ。従って、前記第1実施形態同様、表面縁部11aに向けて吐出されたインク滴が、端面12Aに付着することを低減できる。
【0041】
また、本実施形態においても前記第1実施形態同様、表面中央部11bを塗装した後、上記のようにして、側辺13の表面縁部11aの塗装を行い、次いで、他の側辺15,14,16の表面縁部11aの塗装を行う。この際、他の側辺15,16には、面取り傾斜面12aが形成されていないため、ノズルヘッド22cAの傾斜角度θeを小さくするようにしてもよい。
さらに、表面縁部11aを塗装した後は、前記第1実施形態同様、各側辺13,14,15,16の端面12Aの塗装を行う。
【0042】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第3実施形態に係る板状建材塗装方法を説明するための説明図であり、図1(b)に対応させた概略縦断面図である。
尚、第1実施形態との相違点は、主に板状建材の構成であり、同様の構成については、同一符合を付し、説明を省略する。
【0043】
本実施形態で塗装する板状建材10Bは、側辺13,14の端面12Bの上部に各側辺に沿って全体に亘って、面取り凸曲面12cが形成され、その下方には垂直面12dが形成されている。尚、他の側辺15,16(図1と同様)の端面については、面取り凸曲面12cは、形成されていない。
このように、端面12Bの上部に凸曲面12cが形成されている場合は、ノズルヘッド22cを傾斜させた状態で形成される吐出ラインS3と表面11とのなす角θgを15度以上、75度以下に規定し、その状態で吐出ラインS3が接線となる凸曲面上の点から垂直面12d側に位置する凸曲面12cを端面12Bとして規定している。すなわち、吐出ラインS3が接線となる凸曲面上の点の集合を表面縁部11aと端面12Bとの境界線EL3として規定し、その境界線EL3から表面11側の幅Wの部位が表面縁部11aとなる。
このように端面12Bを規定し、前記同様、傾斜させたノズルヘッド22cから表面縁部11aに向けてインク滴を吐出させると、境界線EL3以遠に至ったインク滴は、端面12Bから離間する方向へ飛ぶ。従って、前記同様、表面縁部11aに向けて吐出されたインク滴が、端面12Bに付着することを低減できる。
尚、本実施形態では、ノズルヘッド22cの傾斜角度θhに応じて、ノズルヘッド22cのインク吐出口22dから吐出させるインク滴の吐出幅、及びインク滴の大きさを変更するようにしている。
【0044】
また、本実施形態においても前記第1実施形態同様、表面中央部11bを塗装した後、上記のようにして、側辺13の表面縁部11aの塗装を行い、次いで、他の側辺15,14,16の表面縁部11aの塗装を行う。この際、他の側辺15,16には、面取り凸曲面12cが形成されていないため、ノズルヘッド22cの傾斜角度θhを小さくするようにしてもよい。
さらに、表面縁部11aを塗装した後は、前記第1実施形態同様、各側辺13,14,15,16の端面12Bの塗装を行う。
尚、前記各実施形態で塗装される板状建材10,10A,10Bとして、表面11が平滑とされたものを例示しているが、表面11に凹凸形状が形成されたものに対しても塗装可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る板状建材塗装方法の一実施形態を説明するための説明図であり、(a)は、概略平面図、(b)は、概略縦断面図である。
【図2】同実施形態に係る板状建材塗装方法を実行する板状建材塗装装置の一例を示すブロック図である。
【図3】同板状建材塗装装置で板状建材の表面中央部を塗装する工程を説明するための説明図であり、(a)は、概略平面図、(b)は、概略縦断面図である。
【図4】同板状建材塗装装置で板状建材の端面を塗装する工程を説明するための説明図であり、(a)は、概略平面図、(b)は、概略縦断面図である。
【図5】本発明に係る板状建材塗装方法の他の実施形態を説明するための説明図であり、図1(b)に対応させた図である。
【図6】本発明に係る板状建材塗装方法の更に他の実施形態を説明するための説明図であり、図1(b)に対応させた図である。
【符号の説明】
【0046】
10,10A,10B 板状建材
11 表面
11a 表面縁部
12,12A,12B 端面
12a 面取り傾斜面
13,14,15,16 側辺
22 表面縁部塗装用インクジェット塗装装置(インクジェット塗装手段)
22d,22dA インク吐出口
EL1,EL2,EL3 表面縁部と端面との境界線
S1,S2,S3 吐出ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット塗装手段のインク吐出口からインク滴を吐出させて、平面視略矩形状とされた板状建材の表面縁部を塗装する板状建材塗装方法であって、
前記板状建材の側辺の表面縁部と端面との境界線以遠に至ったインク滴が該端面から離間する方向へ飛ぶよう前記インク吐出口から吐出させるインク滴の吐出ラインを保持した状態で、前記板状建材と前記インク吐出口とを前記側辺に沿って相対移動させながら、水平に保持された前記板状建材の側辺の表面縁部に対して、前記インク吐出口から斜め外方向にインク滴を吐出させて、該表面縁部を塗装することを特徴とする板状建材塗装方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記側辺の端面上端には、該側辺に沿って、面取り傾斜面が更に形成されていることを特徴とする板状建材塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−50804(P2009−50804A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220671(P2007−220671)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】