説明

板状部材間における垂直方向ジョイント部の密閉装置

【課題】壁面部材、パネル又はガラス板の継ぎ目を特に良好に洗浄できるようにすること。
【解決手段】特に、ガラス板等のような、機械のハウジングを形成する複数の板面間である、複数の板状部材3間における垂直ジョイント部2の密閉装置であって、密閉コードを備えた前記密閉装置において、前記垂直ジョイント部の密閉を密閉コード4で行うよう構成するとともに、該密閉コード4を弾性材料で形成し、前記ハウジング内部における高圧洗浄手段の噴射流により前記密閉コード4が離間するよう、前記板状部材3の各隣接面の外方へ向いたエッジ部において前記密閉コード4に負荷を与えるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ガラス板等のような、機械のハウジングを形成する複数の壁面間である、複数の板状の壁面部材間における垂直ジョイント部の密閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械にハウジングを設ける様々な使用形態があり、これは、例えば、液体を処理する場合の防音、飛散防止あるいは機械を過誤や不意の事態から保護するなどの様々な動機によるものである。
【0003】
また、食品を包装する場合には衛生上の理由からこのようなハウジングの必要性が生じ、この場合、ハウジングは、処理装置、充填装置及び包装装置内で機械の周囲あるいは搬送路の保護、とりわけ環境及び作業者の保護のための保護枠又は遮断部材として機能する。なお、このようなハウジングは例えば特許文献1,2に開示されている。
【0004】
特に、食品を処理する機械においては、当該機械を例えば高圧洗浄装置によって徹底的に洗浄する必要があるが、これは当該機械のみならずそのハウジングについても同様である。この機械のハウジングが強固な構造体で形成されている場合には、特に壁面部材の継ぎ目の洗浄にあたって問題が生じる。すなわち、通常、壁面部材は取付枠を有しており、洗浄時にはこの取付枠に汚物が集中してしまうため、エッジ部あるいは継ぎ目について特に徹底した洗浄が要求されることとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第19723954号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202004001619号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、上記のような壁面部材、パネル又はガラス板の継ぎ目を特に良好に洗浄できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、冒頭に記載したような密閉装置において、垂直ジョイント部の密閉を密閉コードで行うよう構成し、該密閉コードを弾性材料で形成したことにより達成される。
【0008】
このような解決手段によれば、ガラス板のエッジ部の洗浄時に、高圧洗浄装置の噴射流がハウジングの内部から外部へ向くような位置に配置され、離間する密閉コードと共に汚物が外部へ移動することになる。なお、この密閉コードは、洗浄工程以外には各ジョイント部の非常に良好な密閉を達成するものである。
【0009】
ところで、本発明の実施形態は従属請求項に記載されており、密閉コードの少なくとも一端に、特にガラス板のエッジ部を保護する球状部材を設けるのが好ましい。
【0010】
また、本発明の一実施形態は、ハウジング内部における高圧洗浄手段の噴射流により密閉コードが離間するよう、壁面部材の各隣接面の外方へ向いたエッジ部において密閉コードに負荷を与えるよう構成したことを特徴としている。
【0011】
また、密閉コードの上端部を、密閉すべき垂直方向ジョイント部を挟掴する固定部材に固定するのが望ましい。これにより、各垂直方向ジョイント部においてガラス板の上端部に密閉コードをクリップ留めすることによって、迅速な組付が可能となる。密閉コードがクリップ留めされていれば、例えば上記球状部材の下端部に嵌合させるだけで足りる。
【0012】
また、本発明の一実施形態は、危険領域が見分けられるよう密閉コードに着色したことを特徴としている。
【0013】
さらに、使用目的及び構造的な条件に応じて、密閉コードの断面を円形状又はオーバル状に形成したり、負荷される力を調整するために、密閉コードの一端をねじ付きスリーブ又はこれに類似の部材に挿設することが考えられる。
【0014】
なお、本発明の他の特徴及び利点は、図面に基づき以下において説明する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、壁面部材、パネル又はガラス板の継ぎ目を特に良好に洗浄することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】板間の継ぎ目部における密閉コードと共に示すハウジングの概略図である。
【図2】図1における矢印II方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
例えばガラス板3である2つの板状の壁面部材の間の垂直方向ジョイント部2の密閉装置が符号1で示されており、この密閉装置1は、例えば生理学上問題のないゴム材料などの弾性材料から成る密閉コード4により形成されている。
【0019】
例えば図1に示すように、互いに隣り合う2つのガラス板3の上部に固定部材5が設けられている。この固定部材5は、例えば上端面にクリップ留めされているとともに、密閉コード4を案内するための貫通孔5aを備えている。
【0020】
密閉コード4が必要な張力を得られるように、該密閉コード4は例えばその両端部が固定用球状部材6において張力を受けるようになっている。また、図中にはねじ付きピン7が示されており、このねじ付きピン7は、該密閉コード4の挟入及び該密閉コード4への張力の負荷後、密閉コード4を固定するために締め付けられる。
【0021】
そして、密閉コード4が固定されると、この密閉コード4は、各垂直方向ジョイント部2が線状に最適な密閉がなされるよう、図に示すようにガラス板3の外面のエッジ部に接触することになる。これにより、高圧洗浄手段8の噴射流によって密閉コード4を外方へ向けて離間させることができ、汚染物質全体を外方へ流出させることが可能である。
【0022】
また、本発明の範囲を逸脱しない限り、ほかにも様々な実施形態が考えられ、本発明は、上記実施形態や密閉コード4の図示の断面形状に限定されるものではない。密閉コード4の断面形状としては、例えば、オーバル状、多角形状などが考えられる。さらに、本発明は、密閉コード4のガラス板3への固定形態として、上述のようなものに限定されるわけではなく、例えば、壁面部材の脚部のねじ穴に螺合し負荷を受けるねじ付きスリーブにおいて密閉コード4をはめ込むなどの手段が考えられる。
【符号の説明】
【0023】
1 密閉装置
2 垂直方向ジョイント部
3 ガラス板
4 密閉コード
5 固定部材
5a 貫通孔
6 固定用球状部材
7 ねじ付きピン
8 高圧洗浄手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、ガラス板等のような、機械のハウジングを形成する複数の壁面間である、複数の板状の壁面部材(3)間における垂直ジョイント部(2)の密閉装置において、
前記垂直ジョイント部の密閉を密閉コード(4)で行うよう構成し、該密閉コード(4)を弾性材料で形成したことを特徴とする密閉装置。
【請求項2】
前記密閉コード(4)の少なくとも一端に、特にガラス板のエッジ部を保護する球状部材(6)を設けたことを特徴とする請求項1記載の密閉装置。
【請求項3】
前記ハウジング内部における高圧洗浄手段の噴射流により前記密閉コード(4)が離間するよう、前記壁面部材(3)の各隣接面の外方へ向いたエッジ部において前記密閉コード(4)に負荷を与えるよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の密閉装置。
【請求項4】
前記密閉コード(4)の上端部を、密閉すべき前記垂直方向ジョイント部(2)を挟掴する固定部材(5)に固定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の密閉装置。
【請求項5】
危険領域が見分けられるよう前記密閉コード(4)に着色したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の密閉装置。
【請求項6】
前記密閉コード(4)の断面を円形状又はオーバル状に形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の密閉装置。
【請求項7】
負荷される力を調整するために、前記密閉コード(4)の一端をねじ付きスリーブ又はこれに類似の部材に挿設したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の密閉装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−517748(P2011−517748A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542522(P2010−542522)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009080
【国際公開番号】WO2009/092407
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(598125028)カーハーエス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (125)
【Fターム(参考)】