説明

果菜の芯抜き具

【課題】トマトのヘタと芯を取らずに輪切りや櫛形に切り分けると、その後各々に付いてるヘタと芯を切り離すのに面倒で手間が掛かった。本発明は、最初にヘタと芯を抜き取って、その後の切り分けを容易にするとともに、一つの器具でピーマンやキウイなど他の果菜の芯抜きもできる芯抜き具を提供すること。
【解決手段】中心部を縦貫する貫通孔を有する肉厚円筒状の基軸体(1)と、その外側を摺動する肉薄円筒状の回動体(2)と、基軸体の貫通孔を摺動する中心軸(3)と、基軸体の手前端域に固定結合される肉厚円筒状の把っ手(4)と、主にこれらの要素から構成される果菜の芯抜き具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘタや芯などのある果菜を調理する際に、そのヘタや芯を容易に抜き取るため使用する調理器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロの料理人などはトマトを切り分ける場合に、専用のナイフの先端を使ってトマトのヘタと芯を先に抜き取り、それからそのトマトを自在に切り分けている。しかし、刃先を使うトマトの芯抜きは一般の人には難しく、しかも怪我をする恐れがあるため、多くの人はトマトを何等分かに切り分けてから、各々に付いている芯を切り取っている。また、陳列数は少ないが、トマトのヘタやピーマンの芯を取る専用の調理器具も市販されており、さらに、ピーマンの芯取り器なども特許公開されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許公開2003−250695
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
果菜の中でも、トマトなどのヘタや芯は調理の際に取り除かれるが、そのトマトのヘタや芯を取らずに櫛形に切り分けると、櫛形の端部に付いているヘタや芯を一々切り取らねばならず、その間に果汁が流れ出すなど見た目も悪く、しかも手間と時間の無駄使いになるのである。また、トマトやピーマンをそのまま輪切りにした場合に、ヘタと芯の付いてる輪切り部分は、そのヘタと芯を取り除くのが面倒なためそのまま捨てられることがある。以上のように、果菜を調理する際に、先に芯抜きをしない又は芯抜きができないことにより、調理する人に余計な負担となり、それが結果的に果肉を無駄にすることになっていた。
【0004】
そこで、果菜の芯抜きに関わる調理器具を調べたところ、図5に示すようなトマトのヘタ取り(B)や、図6に示すようなピーマンの芯取り(C)など専用の器具が市販されていた。しかし、上記の調理器具や特許文献1に見られるピーマンの芯取り器は何れも一品専用の器具で、他にも芯のある果菜があるため、それらに兼用できないのが最大の問題点なのである。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
中心部を縦貫する貫通孔を有する肉厚円筒状の基軸体、その外側を摺動する肉薄円筒状の回動体、基軸体の貫通孔を摺動する中心軸、基軸体の手前端域に固定結合される肉厚円筒状の把っ手、主にこれらの要素から構成されるところの果菜の芯抜き具である。
【0006】
基軸体の肉厚先端から数cm程手前まで支持針床部とし、そこから手前に支持針床部の約1.6倍程の長さで1〜2mm程低く段差をつけて形成し支軸部とする。支軸部において、この段差から始まってほぼ支持針床部の長さと同じ程の地点までの領域にコイルバネ部を設置する。支持針床部の先端、即ち基軸体の肉厚先端には、長さ1cm程突き出た支持針を複数本植設し、支持針の側周面には波形の凸凹を形成する。
【0007】
このように形成された基軸体の支持針床部の外径に符合する内径を有するところの、肉薄円筒状の回動体が、基軸体の外側に、コイルバネ部のスペースを覆うように形成されるのであるが、この回動体は、基軸体の支軸部の手前端から先方へ少し(5〜10mm程)寄った地点から始まり、そこから先方へ最初の約5〜10mm程の領域はコイルバネ部を閉じ込める少し肉厚状の係止床部となって、支軸部と接触面を共有し、連続してその先はコイルバネ部を覆いつつ、支持針床部と接触面を共有しながら先端まで肉薄状に形成され、これによって回動体はコイルバネ部の伸縮幅の域内で自由に基軸体の外側を摺動する。
【0008】
係止床部から手前に突き出た支軸部の手前端域には、外から被さるように把っ手の把っ手嵌合部が嵌め込まれて固定結合される。把っ手の中心部は貫通孔が縦貫し、その中を中心軸が摺動し、把っ手頭頂部の出入り孔を出入りする。把っ手頭頂部から貫通孔に沿って僅かに進んだ地点から、内側から肉厚に食い込むように浅く段差をつけて、把っ手嵌合部に結合された支軸部の手前端の僅か手前までのスペースに、小コイルバネ部を形成する。この小コイルバネ部と支軸部手前端との間に、中心軸から外輪のように嵌まり込む鍔部が形成され、これによって中心軸は貫通孔から抜け外れることなく、しかも一体的に結合された基軸体と把っ手の一体的動きとは独立して、小コイルバネ部の伸縮幅の域内で自由に摺動し出入りする。
【0009】
中心軸の先端面は浅く略円錐状に掘削し、周囲に設けられた支持針が的(果菜の芯部)の中心を外さないための案内口を設ける。回動体の先端縁は3(もしくは数)等分の等間隔で山型を形成し、山頂部に鋸歯を設ける。回動体の外側に、係止床部とコイルバネ部との境目を跨ぐ約1.5cm前後の領域に滑り止めを巻き付けるように設ける。
以上を特徴とする果菜の芯抜き具である。
【発明の効果】
【0010】
本発明を使用すると、トマトなどのヘタや芯を安全に綺麗に素早く抜き取れるため、その後の切り分けが容易になり、これまで輪切りにした際に捨てられていたヘタや芯周部の果肉を無駄なく利用できる。さらに、大量の果菜を調理する厨房などでの芯抜き作業も迅速にでき、調理する人の手間を省くとともに、芯のある他の果菜にも兼用できる利便性が料理作りをより楽しくする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の斜視図
【図2】本発明の断面図
【図3】本発明の一部である回動体の他の実施例を示す斜視図
【図4】本発明の使用例を示す斜視図
【図5】従来のトマトのヘタ取りを示すイメージ図
【図6】従来のピーマンの芯取りを示すイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図4にもとづいて説明する。
中心部を縦貫する貫通孔を有する肉厚円筒状の基軸体(1)、その外側を摺動する肉薄円筒状の回動体(2)、基軸体(1)の貫通孔を摺動する中心軸(3)、基軸体(1)の手前端域に固定結合される肉厚円筒状の把っ手(4)、主にこれらの要素から構成されるところの果菜の芯抜き具(A)である。
【0013】
基軸体(1)の肉厚先端から数cm程手前まで支持針床部(5)とし、そこから手前に支持針床部(5)の約1.6倍程の長さで1〜2mm程低く段差(6)をつけて形成し支軸部(7)とする。支軸部(7)において、この段差(6)から始まってほぼ支持針床部(5)の長さと同じ程の地点までの領域にコイルバネ部(8)を設置する。支持針床部(7)の先端、即ち基軸体(1)の肉厚先端には、長さ1cm程突き出た支持針(9)を複数本植設し、支持針(9)の側周面には波形の凸凹を形成する。
【0014】
このように形成された基軸体(1)の支持針床部(5)の外径に符合する内径を有するところの、肉薄円筒状の回動体(2)が、基軸体(1)の外側に、コイルバネ部(8)のスペースを覆うように形成されるのであるが、この回動体(2)は、基軸体(1)の支軸部(7)の手前端から先方へ少し(5〜10mm程)寄った地点から始まり、そこから先方へ最初の約5〜10mm程の領域はコイルバネ部(8)を閉じ込める少し肉厚状の係止床部(10)となって、支軸部(7)と接触面を共有し、連続してその先はコイルバネ部(8)を覆いつつ、支持針床部(5)と接触面を共有しながら先端まで肉薄状に形成され、これによって回動体(2)はコイルバネ部(8)の伸縮幅の域内で自由に基軸体(1)の外側を摺動する。
【0015】
係止床部(10)から手前に突き出た支軸部(7)の手前端域には、外から被さるように把っ手(4)の把っ手嵌合部(11)が嵌め込まれて固定結合される。把っ手(4)の中心部は貫通孔が縦貫し、その中を中心軸(3)が摺動し、把っ手頭頂部(12)の出入り孔(13)を出入りする。把っ手頭頂部(12)から貫通孔に沿って僅かに進んだ地点から、内側から肉厚に食い込むように浅く段差をつけて、把っ手嵌合部(11)に結合された支軸部(7)の手前端の僅か手前までのスペースに、小コイルバネ部(14)を形成する。この小コイルバネ部(14)と支軸部(7)手前端との間に、中心軸(3)から外輪のように嵌まり込む鍔部(16)が形成され、これによって中心軸(3)は貫通孔から抜け外れることなく、しかも一体的に結合された基軸体(1)と把っ手(4)の一体的動きとは独立して、小コイルバネ部(14)の伸縮幅の域内で自由に摺動し出入りする。
【0016】
中心軸(1)の先端面は浅く略円錐状に掘削し、周囲に設けられた支持針(9)が的(果菜の芯部)の中心を外さないための案内口(16)を設ける。回動体(2)の先端縁は3(もしくは数)等分の等間隔で山型を形成し、山頂部に鋸歯(17)を設ける。回動体(2)の外側に、係止床部(10)とコイルバネ部(8)との境目を跨ぐ約1.5cm前後の領域に滑り止め(18)を巻き付けるように設ける。尚、把っ手(4)の外周3箇所に、把っ手頭頂部(12)から把っ手(4)の過半分程まで指掛け凹み(19)のように形成してあれば、滑り難くしっかり摘みやすい。
以上を特徴とする果菜の芯抜き具である。
【0017】
本発明は以上のような構成であり、これを実際に使用する時は次のようにする(図4参照)。
1.利き手で把っ手(4)を摘まみ他方の手でトマト(20)を持ち、案内口(17)を茎部(21)に被せ、把っ手(4)を押して支持針(9)を芯部(22)へと差し込む。
2.把っ手(4)から滑り止め(18)へと指をズラして、回動体(2)を左右へ90°程小刻みに回動させながらヘタ(23)から芯部(22)へ回動体(2)が空転するまで切り込む。
3.空転した回動体(2)と把っ手(4)を同時に握り、外側に半回転させて引き抜き、出入り孔(13)から突出ている中心軸(3)をプッシュし、トマト(20)から抜き取られ支持針(9)に保持されている芯部(22)などを押し出す。
以上の芯抜き手順を4秒程で行なうことができ、他の果菜も使用方法は同じである。
【実施例1】
【0018】
図3に示すように、鋸歯(18)の代わりに舌状刄(25)を設け、果肉の軟らかい大粒のイチゴなどに使用すれば効果的である。
【実施例2】
【0019】
図3に示すように、滑り止め(18)を巻き付ける代わりに無数の小突起(25)などのように、滑り難い形状の凹凸を一体成型してもよい。
【符号の説明】
【0020】
A 果菜の芯抜き具
B トマトのヘタ取り
C ピーマンの芯取り
1 基軸体
2 回動体
3 中心軸
4 把っ手
5 支持針床部
6 段差
7 支軸部
8 コイルバネ部
9 支持針
10 係止床部
11 把っ手嵌合部
12 把っ手頭頂部
13 出入り孔
14 小コイルバネ部
15 鍔部
16 案内口
17 鋸歯
18 滑り止め
19 指掛け凹み
20 トマト
21 茎部
22 芯部
23 ヘタ
24 舌状刄
25 小突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部を縦貫する貫通孔を有する肉厚円筒状の基軸体、その外側を摺動する肉薄円筒状の回動体、基軸体の貫通孔を摺動する中心軸、基軸体の手前端域に固定結合される肉厚円筒状の把っ手、主にこれらの要素から構成されるところの果菜の芯抜き具であるが、基軸体の肉厚先端から数cm程手前まで支持針床部とし、そこから手前に支持針床部の約1.6倍程の長さで1〜2mm程低く段差をつけて形成し支軸部とし、支軸部において、この段差から始まってほぼ支持針床部の長さと同じ程の地点までの領域にコイルバネ部を設置し、支持針床部の先端、即ち基軸体の肉厚先端には、長さ1cm程突き出た支持針を複数本植設し、支持針の側周面には波形の凸凹を形成するのであり、このように形成された基軸体の支持針床部の外径に符合する内径を有するところの、肉薄円筒状の回動体が、基軸体の外側に、コイルバネ部のスペースを覆うように形成されるのであって、この回動体は、基軸体の支軸部の手前端から先方へ少し(5〜10mm程)寄った地点から始まり、そこから先方へ最初の約5〜10mm程の領域はコイルバネ部を閉じ込める少し肉厚状の係止床部となって、支軸部と接触面を共有し、連続してその先はコイルバネ部を覆いつつ、支持針床部と接触面を共有しながら先端まで肉薄状に形成され、これによって回動体はコイルバネ部の伸縮幅の域内で自由に基軸体の外側を摺動するのであり、係止床部から手前に突き出た支軸部の手前端域には、外から被さるように把っ手の把っ手嵌合部が嵌め込まれて固定結合され、把っ手の中心部は貫通孔が縦貫し、その中を中心軸が摺動し、把っ手頭頂部の出入り孔を出入りし、把っ手頭頂部から貫通孔に沿って僅かに進んだ地点から、内側から肉厚円筒に食い込むように浅く段差をつけて、把っ手嵌合部に結合された支軸部の手前端の僅か手前までのスペースに、小コイルバネ部を形成し、この小コイルバネ部と支軸部手前端との間に、中心軸から外輪のように嵌まり込む鍔部が形成され、これによって中心軸は貫通孔から抜け外れることなく、しかも一体的に結合された基軸体と把っ手の一体的動きとは独立して、小コイルバネ部の伸縮幅の域内で自由に摺動し出入りするというものであり、中心軸の先端面は浅く略円錐状に掘削し、周囲に設けられた支持針が的(果菜の芯部)の中心を外さないための案内口を設け、回動体の先端縁は3(もしくは数)等分の等間隔で山型を形成し、山頂部に鋸歯を設け、回動体の外側に係止床部とコイルバネ部との境目を跨ぐ約1.5cm前後の領域に滑り止めを巻き付けるように設けたことを特徴とする果菜の芯抜き具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−111466(P2013−111466A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275038(P2011−275038)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(501371562)
【Fターム(参考)】