枢着式開閉弁の閉塞機構及び該閉塞機構を備えた下水道管渠用防臭装置
【課題】 ピン、ヒンジ等の枢着軸回りに弁体が開閉される枢着式開閉弁を備え、下水道管渠用桝に装備される下水道用防臭装置において、取付け姿勢に左右されず、確実に閉弁をなすことのできる閉塞機構を得ること。
【解決手段】
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、枢着軸に跨がって配されるとともに、取付け用基部が弁座側に固定され、ばね部が弁体側に弾性をもって当接されてなる。
【解決手段】
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、枢着軸に跨がって配されるとともに、取付け用基部が弁座側に固定され、ばね部が弁体側に弾性をもって当接されてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ピン、ヒンジ等の枢着軸回りに弁体を開閉する枢着式開閉弁の閉塞機構に関し、更に詳しくは、当該枢着式開閉弁の弁体の閉塞動作を補助する閉塞機構に関する。特には、下水道管管渠における管渠用設備の雨水・汚水枡等の管渠用枡における防臭装置の枢着式開閉弁に適用されて好適な閉塞機構に関する。
本発明は特には、該閉塞機構を備えた下水道管渠用防臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
枢着式開閉弁の閉塞機構は、一般に、ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって枢着された弁体を弁口回りの弁座に当接・離接させ、該弁体の開閉をもって流体の断続をなす構成を採るものであり、上流側から下流側への流体の一方向のみの通過を許し、常時は閉塞されているものである。これにより、下流側からの流体及びその雰囲気気体の逆流を防止するものである(公知特許文献1〜6参照)。
このような枢着式開閉弁において、弁体はその自重により閉塞動作をなすものであり、その取付け姿勢によっては半開き状態となり、所期の作用を奏することができないという欠点がある。また、正常の取付け姿勢でも弁体の閉塞力(弁座への当接力)は弁体の重量に依存するものであるので、弁体が軽い場合にはガタ付きが生じ易く、弁体が重い場合には流体が排出されない、との問題点を指摘することができる。
このように、弁体の閉塞力の調整は弁体の重量によっては極めて困難である。
【特許文献1】実開昭61−84786号公報
【特許文献2】実開昭61−180283号公報
【特許文献3】実公昭61−23105号公報
【特許文献4】実公昭61−41823号公報
【特許文献5】特開平11−13121号公報
【特許文献6】特開平11−50519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、この種の枢着式開閉弁において、取付け姿勢に左右されずに弁体の閉塞動作を確実になすことができるとともに、弁体の閉塞力の調整を容易になすことのできる閉塞機構を得ることを目的とする。
本発明はこのため、弁体に簡単に付置される補助手段を開発することによりこの目的を達成したものである。
本発明は併せて、このような補助手段を有する開閉弁を適用して従来の下水道管渠用防臭装置の改善を図ることも他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1は枢着式開閉弁の閉塞機構に係り(以下「第1発明」という)、請求項1に記載のとおり、
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、
該閉弁付勢手段は、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
前記取付け用基部が弁座側に固定され、
前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側に弾性をもって当接されてなる、
ことを特徴とする。
上記構成において、
1)閉弁付勢手段の素材はポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂のいずれかが選択的に採用されること、
2)閉弁付勢手段は取付け用基部を介してボルト・ナットにより固定され、該取付け用基部の表面側にはナットの把持凹部が形成されてなること、
は適宜採択される技術的事項である。
【0005】
(作用)
弁体は枢着軸回りに回転動し、常時は閉弁付勢手段の付勢力を受けて弁座に当接され、閉塞動作を採る。
流体が弁体の開方向に作用するとき、流体は弁体に作用する付勢力に抗して弁体を開き、弁口より通過する。
【0006】
本発明の第2は同じく枢着式開閉弁の閉塞機構に係り(以下「第2発明」という)、請求項2に記載のとおり、
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、
該閉弁付勢手段は、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
前記取付け用基部が弁座側に固定され、
前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側と遊隙を存して配される、
ことを特徴とする。
1)閉弁付勢手段の素材はポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂のいずれかが選択的に採用されること、
2)閉弁付勢手段は取付け用基部を介してボルト・ナットにより固定され、該取付け用基部の表面側にはナットの把持凹部が形成されてなること、
は適宜採択される技術的事項である。
【0007】
(作用)
弁体は枢着軸回りに回転動し、常時は弁体の自重により弁座に当接され、閉塞動作を採る。
流体が弁体の開方向に作用するとき、弁体の遊隙距離に伴う開弁初期は軽い動作をなし、弁体が閉弁付勢手段のばね部に当接した後は、一定の付勢力を受けて安定した開動作をなす。
遊隙を有することにより、わずかな流体を排出し、弁体部の下部に流体が溜まることはない。
【0008】
上記第1発明と第2発明との組合せ態様は第3発明の枢着式開閉弁の閉塞機構を構成する。
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段の複数が対称を保って使用され、
該閉弁付勢手段はそれぞれ、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
第1の閉弁付勢手段は、前記取付け用基部が弁座側に固定され、前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側に弾性をもって当接されてなり、
第2の閉弁付勢手段は、前記取付け用基部が弁座側に固定され、前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側と遊隙を存して配される、
ことを特徴とする。
上記構成において、
1)閉弁付勢手段の素材はポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂のいずれかが選択的に採用されること、
2)閉弁付勢手段は取付け用基部を介してボルト・ナットにより固定され、該取付け用基部の表面側にはナットの把持凹部が形成されてなること、
は適宜採択される技術的事項である。
【0009】
(作用)
弁体は枢着軸回りに回転動し、常時は第1の閉弁付勢手段の付勢力を受けて弁座に当接され、閉塞動作を採る。
流体が弁体の開方向に作用するとき、弁体の遊隙距離に伴う開弁初期は一定の軽い付勢力に受けて開動作をなし、弁体が第2の閉弁付勢手段のばね部に当接した後は、更なる付勢力を受けて安定した開動作をなす。
弁体は第1及び第2の閉弁付勢手段により段階的に開動作を得ることができる。
【0010】
本発明の第4は下水道管渠用防臭装置に係り(第4発明)、請求項5に記載のとおり、
下水道管渠用枡の排水口に接続される取付け管に配される防臭装置であって、
前記下水道管渠用枡の排水口に係合して配される係合手段と、該係合手段に連設されるとともに前記取付け管内に配される本体部とを有してなり、
前記本体部は、
ア.前記取付け管の内径よりも所定の隙間を保持する小径の外径を有し、基体をなす円筒体と、
イ.前記円筒体内に所定の角度をもって横断的に塞ぎ、中央部に下方に向けて開口部が形成される隔壁と、
ウ.前記隔壁の開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向にのみ開く開閉自在の主弁体と、
エ.ばね部と取付け用基部とからなり、前記主弁体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記隔壁側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす弁体側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段と、
からなり、
前記係合手段は、前記本体部の後端の両側面から該本体部と同一曲率を保持して延設される腕部と、該腕部の端部より側方に突設される係止筒とからなる、
ことを特徴とする。
【0011】
(作用)
閉弁付勢手段により本下水道管渠用防臭装置の主弁体は常時閉弁動作を維持する。これにより、該下水道管渠用防臭装置の下水道管渠用枡へ取付け姿勢に左右されず、所期の作用を保持する。
【0012】
本発明の第5は下水道管渠用防臭装置に係り(第5発明)、請求項6に記載のとおり、
下水道管渠用枡の排水口に接続される取付け管に配される防臭装置であって、
前記下水道管渠用枡の排水口に係合して配される係合手段と、該係合手段に連設されるとともに前記取付け管内に配される本体部とを有してなり、
前記本体部は、
ア.前記取付け管の内径よりも所定の隙間を保持する小径の外径を有し、基体をなす円筒体と、
イ.前記円筒体内に所定の角度をもって横断的に塞ぎ、中央部に下方に向けて開口部が形成される隔壁と、
ウ.前記隔壁の開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向にのみ開く開閉自在の主弁体と、
エ.前記主弁体に開設された開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向とは逆方向にのみ開く開閉自在の副弁体と、
オ.ばね部と取付け用基部とからなり、前記主弁体及び副弁体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記隔壁側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす弁体側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段と、
からなり、
前記係合手段は、前記本体部の後端の両側面から該本体部と同一曲率を保持して延設される腕部と、該腕部の端部より側方に突設される係止筒とからなる、
ことを特徴とする。
【0013】
(作用)
閉弁付勢手段により本下水道管渠用防臭装置の主弁体及び副弁体は常時閉弁動作を維持する。これにより、該下水道管渠用防臭装置の下水道管渠用枡へ取付け姿勢に左右されず、所期の作用を保持する。
【0014】
本発明の第6は下水道管渠用臭気防止装置に係り(第6発明)、請求項8に記載のとおり、
上方に集水口が形成され、側方に排水口が形成される集水筒部を備えてなる下水道用臭気防止装置において、
前記集水筒部の排水口回りには同一平面を形成する弁座を有するとともに、前記排水口の上部の集水筒部には複数の第1取付け孔が水平に相並んで開設され、
前記集水筒部の排水口の上部において、該第1取付け孔に対応する第2取付け孔を有する帯板が、該第1取付け孔と該第2取付け孔とに介装される固定具をもって固定され、
前記帯板に対し、枢着軸を介して前記弁座を覆う平板弁部を有する非変形性の開閉弁本体が取り付けられてなり、
かつ、ばね部と取付け用基部とからなり、前記開閉弁本体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記枢着軸の上部側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす平板弁部側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段が配されてなる、
ことを特徴とする。
【0015】
(作用)
閉弁付勢手段により本下水道管渠用防臭装置の開閉弁本体は常時閉弁動作を維持する。これにより、該下水道管渠用防臭装置の下水道管渠用枡へ取付け姿勢に左右されず、所期の作用を保持する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の閉弁付勢手段を有する枢着式開閉弁の閉塞機構によれば、構造が簡単な閉弁付勢手段を付加することにより容易に弁体の閉弁、開弁の調整が可能となる。
本発明の第1・第3の閉弁付勢手段を有する枢着式開閉弁の閉塞機構によれば、枢着式開閉弁自体の取付け姿勢に左右されず、常時には弁体は確実に弁座に当接され、閉塞動作を維持する。また、流体の通過については何らの障害を与えない。
本発明の第2・第3の閉弁付勢手段を有する枢着式開閉弁の閉塞機構によれば、自重によらず弁体への付勢力の調整が段階的になされ、付勢力の調整幅が拡大する。
本閉弁付勢手段の材質、幅、厚さ、更には配設数等を変更することにより、弁体に対する閉塞力を容易に調整することができる。
本発明の下水道管渠用防臭装置・臭気防止装置によれば、閉弁付勢手段を有することにより、確実な閉弁動作を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の枢着式開閉弁の閉塞機構の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明の枢着式開閉弁の閉塞機構の一実施形態を示し、下水道管渠用臭気防止装置への適用例を示す。すなわち、図1〜図3は本枢着式開閉弁の閉塞機構を備えた下水道管渠用臭気防止装置Sの全体の構成を示し、図4〜図7はその各部の構成を示す。また、図8は臭気防止装置Sの設置要領を示す。
なお、本臭気防止装置Sの説明において、以下の図例に対応して、流水の吐出される方向を前部とし、流水の流入する側を後部とし、本装置自体をもって左右とする。
【0018】
下水道管渠用防臭装置S(図1〜図7参照)
本下水道管渠用防臭装置(以下単に「防臭装置」という)Sは、下水道管渠用枡Mの取付け管Nの排水口部に配され、当該枡Mから下水道本管Pへの雨水・排水の流下を図り、下水道本管Pからの臭気の逸出を防止するものである。
図8は本防臭装置Sを含む下水道管渠用枡Mの全体構成を示す。
図8に示されるように、下水道管渠用枡Mは、側壁体100と底盤102とにより上方に開口する容器部としての本体部が構成され、該開口に取水孔104を有する蓋体106が載置される。側壁体100の上縁及び蓋体106は道路面Hに面一にされ、道路面Hからの雨水・汚水を取水孔104を介して該枡Mの本体部内に導入する。
本枡Mの本体部の底盤102は地盤Iを掘削した孔底に敷設された割栗石J・均しコンクリートK上に載置される。
本枡Mの側壁体100には底盤102に接して、あるいは若干の高さを存して排水口110が開設され、該排水口110より所定の下り角度αをもって取付け管Nが取り付けられる。取付け管Nは適宜の下り角度をもって更に深い位置にある下水道本管Pに接続される。
【0019】
本防臭装置Sは、本体部10を主体とし、該本体部10に係止部が一体に形成され、更に弁体及びスペーサ体が装備される。そして、弁体には閉弁付勢手段1が付加されてなる。
【0020】
本体部10(図1〜図3参照)
本体部10は、円筒体を基体とするとともに後部に係止部が形成され、該円筒体内に所定の弁体すなわち枢着式開閉弁が配されてなる。
すなわち、該本体部10は、基体をなす円筒体11と、該円筒体11内に円筒管軸に対して所定の角度βをもって横断的に配される隔壁12と、該隔壁12に装備される弁体13と、該円筒体11の後部に連設される係止部14とを含み、更には該円筒体11の外側に配されるスペーサー環15とを含む。
本実施態様において、通常にはα+β<90°に設定されるが、90°を超える態様を除外するものではない。
【0021】
以下、更にこの本体部10内の構成を詳しく説明する。
(円筒体11)
円筒体11は、所定厚の直円筒体を基本的構成とし、外径が取付け管Nの内径よりも空隙を存して配される小径とされる。円筒体11の前端は管軸に対して斜めに切頭され、後端は概ね管軸に直交して切頭される。
【0022】
(隔壁12)
隔壁12は、円筒体11内の両側及び上面に所定の角度(本実施形態ではβ)をもって横断的に配され、弁体13の位置を決めるとともに、弁体13の閉弁により流体(流水、臭気)の遮断をなす。
該隔壁12は所定厚を有し、両側部12aと上方部12bとにより門形をなし、該門形内に矩形状の開口12cを形成する。該開口12cの底部は円筒体11の内面となり、曲面形状となる。開口12cはいわゆる「弁口」をなす。
【0023】
(弁体13)
弁体13は、円筒体11内において、隔壁12の前面に被さる態様をもって、閉弁位置において隔壁12の開口12cを密閉状に塞いで配される。
詳しくは、本弁体13は実質的に所定厚の平板体をなし、上部の取付け部13a、下部の弁本体部13b、該取付け部13aと該弁本体部13bとの間に水平に形成されるヒンジ部としてのV溝13cから一体的に形成される。該取付け部13aは隔壁12の上方部12bに当接され、1又は複数箇所(本実施形態では2)に対称を保って、適宜の固定具17(ボルト17a・ナット17b)をもって固定される。18,19は該固定具17を装着するための隔壁12及び弁体13に開設されたボルト挿通孔である。
しかして、弁本体部13bは隔壁12の側部12aに当接され、V溝13cを介して開閉動作をなす。詳しくは、弁本体部13bは隔壁12の上方部12bの一部及び側部12a、更には円筒体11の内周面に当接させる。隔壁12の上方部12bの一部及び側部12aについては、弁本体部13bの背面が当接され、円筒体11の内周面については、弁本体部13bの側面が当接される。
上記の機能を発揮する弁体13として、弁体13は適宜の硬度と弾性を有する合成樹脂材よりなり、V溝13cはヒンジとして機能し、特にポリプロピレン樹脂においてはヒンジ効果(当該部に熱処理される。)が期待される。
また、円筒体11及び隔壁板12の素材はABS樹脂が好適なものとして採用される。
【0024】
(係止部14)
係止部14は、該円筒体11の後端より腕部21が後方へ一体的に延設され、また、該腕部21の端部両側には係止筒22が側方へ突出して形成される。係止筒22は係止手段の一態様である。該腕部21は円筒体11と同心かつ同一半径(曲率)を採る。該腕部21は、本実施形態では鉛直投影面において、円筒体11の管軸より下方に一定の傾斜角γをもって傾斜するが、管軸と同一であってもよい。係止筒22の差渡し距離は装着される取付け管Nの排水口110の径より大きくされ、排水口110回りに係止される。なお、該腕部21が円筒体11の管軸より下方に傾斜することにより、係止筒22の取付け管Nの排水口110に対する係止は余裕が生じる。本実施形態では、傾斜角γは15°前後を採る。
図において、22aは係止筒22の内孔である。図例では、内孔22aは貫通孔となっているが、盲穴あるいは穴なしであってもよい。
【0025】
(スペーサー環15)
スペーサー環15は、所定の厚みを保持する円筒体よりなり、本体部10の円筒体11の外周に突設された突条24に当接するように円筒体11の後部より押し込み、該円筒体11の後部に嵌合装着される。しかして、該スペーサー環15の厚みは、設置対象の取付け管Nとの隙間を閉塞するに足るものであり、該スペーサー環15は円筒体11と取付け管Nとの水密を保持するともに、円筒体11の中心を保持する。
該スペーサー環15の素材は他の部材とは異なり、若干の柔軟性を有するもの及び又は水密性のある発泡体が選ばれる。
なお、該スペーサー環15は省略されうるものであり、これに替えて円筒体11と取付け管との間に充填材が充填される。
本防臭装置を構成する部材(スペーサー環15を除く)の素材につき、硬質かつ水密素材が使用される。合成樹脂材はこの要請を満たし、かつ軽量であることから推奨されるが、他の素材、例えば金属等を除外するものではない。
【0026】
閉弁付勢手段1(図1〜図5参照)
本実施形態の防臭装置Sにおいて、弁体13に閉弁付勢手段1が付加されることを特徴とする。
該閉弁付勢手段1は弁体13の幅方向に1又は複数(本実施形態では2)、かつ対称を保持してV溝13cに跨がって配され、弁本体部13bを所定の付勢力により隔壁12の側部12aの前面すなわち弁座に押し当て、その閉弁機能を保持する。
もっと詳しくは、本閉弁付勢手段1は弾性を有する素材をもって、ばね部2と取付け用基部3とからなり、該取付け用基部3のボルト挿通孔4を介して適宜の取付け手段(ボルト・ナット、埋込みボルト、接着剤など)をもって弁体13の上部の取付け部13bに取り付けられる。本実施形態では該取付け手段は固定具17が兼用される。ばね部2は本閉弁付勢手段1の機能部をなし、弁体13のV溝13aを跨いで配され、断面形状において円弧状をなし、その厚さは先端に至るにつれ低減される。すなわち、取付け用基部3の厚さをh、ばね部2の基部寄りの厚さをi、先端寄りの厚さをjとしたとき、h>i>jを採る。ばね部2の円弧部の先端は、自然状態(すなわち無負荷状態)で、取付け用基部3の延長線よりも突出する。
該閉弁付勢手段1は平面形状で台形を呈する。しかし、この態様に限定されない。該閉弁付勢手段1の厚さおよび幅変化は弾性力の調整に寄与する。
また、該閉弁付勢手段1の素材は、特性(ばね弾性値、耐久性加工性、経済性、腐食性など)の関係からポリプロピレン樹脂(PP)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ABS樹脂が採用されるが、特に限定されず、他のばね特性を有する素材であれば、他の合成樹脂、金属などを採用することができる。
【0027】
(閉弁付勢手段1の作用)
しかして、本閉弁付勢手段1は自然状態すなわち無負荷状態ではばね部2の先端は取付け用基部3の延長線よりも突出するものであり、定常状態では、そのばね部2においてたわみ変形を受けて弾性をもって弁体13の弁本体部13bの上面に当接し、閉弁を保持する。したがって、該閉弁付勢手段1は常時の無流水時は弁体13を押圧付勢し閉弁状態を保持する。
【0028】
(他の閉弁付勢手段1A)(図6・図7参照)
図6及び図7は閉弁付勢手段の他の態様を示す。図6はこの閉弁付勢手段1Aの平面形状を示し、図7はその側面形状を示す。
本閉弁付勢手段1Aは、平面形状において逆台形状をなす。すなわち、ばね部2Aはテーパー状をなし、取付け用基部3Aでは同一幅を採る。断面の態様すなわち厚さは先の閉弁付勢手段1に準じ、先端に至るにつれ低減される。幅及び厚さの変化により素材に応じてばね弾性の自在の調整を得る。
更に、本態様において特徴的なことは、取付け用基部3Aの前面において、ボルト挿通孔4を囲んで、ナット把持部5が囲繞壁5aをもって突設される。囲繞壁5aの内方にはナット把持凹部5bが形成される。
ナット把持凹部5bはナットの形態に対応して六角形をなし、当該部位に装着される固定具17のナット17bを把持し、その回転を阻止する。ナット把持凹部5bはボルト挿通孔4に連通する。
ナット把持部5により、本閉弁付勢手段1Aの装着操作の確実性が向上する。すなわち、ナット17bの共回りによる閉弁付勢手段1Aのばね部2Aの回転ぶれが阻止され、容易に本閉弁付勢手段1Aを取り付けることができる。
【0029】
成形・組立て
本体部10は円筒体11・係止部14・隔壁部12・突条24が一体成形される。当該成形は射出成形によることも、あるいは個々に作製されたのち接着接合により一体化されてもよい。隔壁部12のボルト挿通孔18は適宜穿設される。
弁体13、閉弁付勢手段1、スペーサー環15は別途製作される。弁体13のボルト挿通孔19は隔壁12のボルト挿通孔18に対応して穿設される。
これらの本体部10への組立てにつき、固定具17のボルト17aが隔壁部12の背面より差し込まれ、該ボルト17aのボルト杆に弁体13、次いで閉弁付勢手段1がそのボルト挿通孔19,4を介して挿通され、ナット17bを螺合し、該ナット17bの回動締込みをもってこれらは一体化される。
しかる後、スペーサー環15が被嵌される。
【0030】
設置の態様
本実施形態では、特に取付け管Nの設置角度αが20°前後であることを想定して構成されたものであり、更に前記したように、当該αに対応して他の角度要素、すなわち弁体13の閉弁角度βが設定される。これにより、弁体13は垂直(すなわち90°)未満を採り、その自重に加え閉弁付勢手段1により常時は閉弁状態を採る。
【0031】
(本実施形態の作用)
以上の構成よりなる本防臭装置Sは、所期の状態で下水道管渠用枡Mの取付け管Nに対して取り付けられ、また、所期の機能として排水並びに防臭機能を発揮する。
【0032】
取付け(図8参照)
下水道管渠用枡Mにおいて、本防臭装置Sの本体部10を取付け管Nの排水口110に臨ませ、該本態部10を取付け管N内に挿入し、適宜の操作器具を介して、あるいは介さずに手作業で、本体部10を取付け管N内に押し込む。
取付け管Nは所定の角度αに下方に傾斜しているものであり、かつ該取付け管Nは小径であり、該本体部10の前端は斜めに切頭されたものであり、この挿入操作を円滑になす。加えて、更なる本体部10の押込みにより、そのスペーサー環15の取付け管Nの内壁への弾圧作用により取付け管Nとの中心保持がなされる。
本体部10を更に押し込み、係止部14の係止筒22は排水口110に係合する。これにより、本防臭装置Sは所定位置に取り付けられる。
【0033】
取外し(図8参照)
下水道管渠用枡Mから本防臭装置Sを取り外す場合、係止部14の係止筒22の内孔22aに適宜の治具を係止させ、該治具を介して本防臭装置Sを取付け管Nより引き抜く。この引抜き作業は、係止筒22が排水口110に露出して係止されていることにより、容易になされる。なお、治具に機械装置を連動することも、治具を介さず手動によることも可能である。
【0034】
閉弁作用・防臭作用
本防臭装置Sは取付け管N内に所定の状態で取り付けられ、常時において閉弁状態を保持する。
すなわち、本体部10において、弁体13は傾斜状態をもって隔壁12の開口12cを閉塞する。この閉弁作用は弁体13の自重、更には閉弁付勢手段1の付勢作用(弁体13の本体部13bへの押付け力)により密閉性を保持し、妄動はない。取付け管Nと本体部10との間隙はスペーサー環15によって密封されている。
また、取付け管Nの設置角度αが急傾斜をなし、本防臭装置Sの隔壁12の角度が鉛直を超えるとき、閉弁付勢手段1の付勢作用により弁体13は確実に弁座に当接され、弁口12cを塞ぎ、閉弁作用を持続する。
この弁体13の閉弁により、下水道本管Pからの臭気は遮断される。
【0035】
排水作用
本防臭装置Sは上記の状態で取付け管N内に取り付けられ、流水の流入時において排水作用をなす。
今、降雨があったとき、雨水が雨水枡Mに流れ込み、排水口110まで上昇し、取付け管Nより下水道本管Pへ排出される。
流水は水圧をもって弁体13の自重及び閉弁付勢手段1の付勢力に抗して開き、流下する。この作用は、弁体13が常態の傾斜角度を保持する場合においても、また、弁体13が90°を超える場合においても同様である。
本実施形態においては、弁体13の枢着部は本体部10の8割水深を占め、満水常態になることなく、大量の流水に対して効率的な排水がなされる。
【0036】
(本実施形態の効果)
本実施形態の防臭装置Sによれば、取付け管Nへの装着作業に際して挿入操作が容易で、作業効果が向上する。また、取外し操作においても、係止筒22が排水口110に露出して係止されていることにより、容易になされる。
取付け後は、常時に閉弁状態を維持し、防臭作用をなすとともに、流水の流入に対しても的確に対処できる。すなわち、本防臭装置Sがどのような傾斜をもって取付け管N内に配されたとしても(特には弁体13が鉛直を超える状態となるとき)、本閉弁付勢手段1の付勢作用により弁体13は確実に閉弁作用を発揮する。
【0037】
(他の実施態様)(図9〜図11参照)
本実施形態の防臭装置の別の態様として、図9〜図11に示すように、ピンによる開閉弁(主弁)並びに副弁を備えた防臭装置S1を示す。
本防臭装置S1において、円筒体11、係止部14の構成は、先の実施形態に準じる。また同じく、隔壁12は両側部12aと上方部12bとにより門形をなし、該門形内に矩形状の開口12cを形成する。
弁体については、当該開口12cに主弁としての弁体13Aが定位置で密閉状を保持して、かつピンを介して回動的に閉塞(閉弁)する。このため、隔壁12の前部上方位置に第1ピン保持体26が相対峙して突設され、また、弁体13Aの前部の上部にこれらに対応して第2ピン保持体27が突設され、これらに跨がってピン28が枢着されてなる。
隔壁12ひいては弁体13Aの取付け角度βは先の態様に比べて急なものとなっており、弁体13Aはほぼ鉛直状態となる。
更に言えば、弁体13Aの下端は円弧をなし、円筒体11の前端面11aに着座する。これにより弁体13Aの停止位置が決まる。なお、該弁体13Aの下端は円筒体11の前端面11aより突出することはない。また、該弁体13Aの下端は円筒体11内に着座されてもよい。
該弁体13Aの前部の両側縁部に沿って、隔壁12に張り出すストッパー30が取り付けられ、閉弁状態で隔壁12の前面に着座する。従って、弁体13Aの停止は先の円筒体11の前端面11aとの当接、並びにこのストッパーの隔壁12との当接で決まる。ストッパー30は適宜省略できる。
本実施形態において、弁体13Aのピン28の位置は本装置Sが取付け管N内に設置されたとき、取付け管Nの水深8割位置、いわゆる8割水深位置を採る。なお、取付け管Nと円筒体11との間隔が無視できる場合には、円筒体11の管渠の8割とされる。
この弁体13Aに対して、閉弁付勢手段1Bが隔壁12の上方部12bと該弁体13Aとに跨がって配される。
【0038】
(副弁)
主弁の弁体13Aの上部に同じくピン軸をもって主弁との逆方向に開閉する副弁としての開閉弁32が配される。
すなわち、主弁体13Aの上部には開口33が開設され、該主弁体13Aには該開口33に臨んでその背部上方位置に第1ピン保持体34が相対峙して突設され、また、副弁32の背部の上部にこれらに対応して第2ピン保持体35が突設され、これらに跨がってピン36が枢着されてなる。
しかして、この副弁の開閉弁32に対して閉弁付勢手段1Cが隔壁12の上方部12bと該弁体32とに跨がって配される。2Cはばね部、3Cは取付け用基部である。該閉弁付勢手段1Cの取付け用基部3Cを介しての取付けはボルト・ナットによることも、接着剤によることも自由である。
該副弁としての開閉弁32はピンによる枢着に限定されず、先の実施形態で示したV溝を有する弁体13の構造のものを適用することができる。この場合、上部の取付け部は隔壁12に固定され、下部の弁本体部は開口33に被さるものであり、かつ、本閉弁付勢手段1Cはその取付け用基部3Cが隔壁12に固定される。
【0039】
(本防臭装置S1の作用)
本臭気防止装置S1の雨水枡等の下水道管渠用枡Mの取付け管Nへの設置の態様は先の臭気防止装置Sでの説明に準じる。したがって、その取付け・取外しにおける作用も同様となる。
取付け管Nから発生する臭気は、本臭気防止装置S1における開閉弁13A及び副弁32により閉塞され、地上へは逸出しない。すなわち、弁体13A及び副弁32はともに閉弁付勢手段1B及び1Cにより閉弁方向に付勢された付勢力により確実に閉弁される。
雨水枡Mでの流水につき、排水口110より流出する流水はその水圧により本弁体13Aの自重並びに本弁体13Aに付加的に作用する閉弁付勢手段1Cの付勢力に抗して本弁体13Aを押し開き、下水道本管Pへ排出する。
そして、下水道本管P内での異常圧の発生については、副弁32が開弁し、該下水道本管P内での異常圧を円滑に逃がし、該異常圧による損壊は防止される。
【0040】
(本防臭装置S1の効果)
先の防臭装置Sと同様、取付け管Nへの取付け姿勢に左右されず、開閉弁の閉弁を確実になすことができ、所期の作用を発揮することができる。
本防臭装置S1では更に、副弁としての開閉弁32により下水道本管P内の異常圧の発生を防止することができる。
【0041】
(他の実施形態)(図12〜図14参照)
図12〜図14は本発明の枢着式開閉弁の閉塞機構を備えた更に他の下水道管渠用臭気防止装置S2への適用例を示す。
本下水道管渠用臭気防止装置(以下単に「臭気防止装置」という)S2は、図15に示すように、下水道管渠用枡Mの蓋部に配され、当該枡Mの蓋部から下水道本管Pへの雨水・排水の流下を図り、下水道本管Pからの臭気の逸出を防止するものである。
【0042】
図12〜図14に示すとおり、この臭気防止装置S2は、天板部40、及び2つの側面板41と上下の前面板42,43と底面板44とからなる集水筒部45を含み、該集水筒部45の下部前面板43に取付け式開閉弁47が固定具48を介して装着されてなる。天板部40と集水筒部45とにより、本臭気防止装置S2の「箱体」を構成する。
しかして、この取付け式開閉弁47に対して閉弁付勢手段1Dが配されてなる。
【0043】
以下、更に詳しく説明する。
天板部40
天板部40は、全体が矩形平板状をなし、中央において大きく矩形状の挿入口40a(符号のみ)を有する。また、その縁部40bをもって雨水ますMの本体の上縁部に載置される。
【0044】
集水筒部45
集水筒部45は、所定間隔をもって相対峙して配される右左の側面板41、該側面板41の前端に跨がって配される上下の前面板42,43、及び該側面板41の底辺に跨がって配される底面板44の組合わせよりなり、箱空間を形成する。しかして、該集水筒部45は上部が天板部40の挿入口40aに連通する大きな集水口45aに形成されるとともに、前面(前面板43)に排水口45bが形成され、集水口45aから流入した雨水は内部空間を通って排水口45bより流れ出る。
【0045】
(下部前面板43)
下部前面板43は、側面板41の前端の下部において側面板41間に跨がって配されるとともに、排水口45bとしての開口(弁口)が形成され、該開口45b回りに弁体の着座する突条の弁座50が突設される。弁座50は同一平面をなす。弁座50は鉛直面とθの傾斜をなし、下方に向けて外方に傾斜する。なお、θは0°すなわち鉛直状であってもよい。突条体としての弁座50は場合によっては省略され得るが、この場合には下部前面板43の平坦面が弁座の機能を果す。
該下部前面板43の上部には、複数(少なくとも2、本実施形態では4)の第1取付け孔51が同一水準を保って開設される。
【0046】
取付け式開閉弁47
取付け式開閉弁47は、ブラケットを有する帯板53と、該帯板53の第1ブラケット54に枢着される開閉弁本体55とからなる。しかして、帯板53は下部前面板43の上部に固定具48をもって固定され、開閉弁本体55は帯板53の第1ブラケット54に枢着されて下部前面板43の開口45bを開閉する。
該取付け式開閉弁47の素材は、非変形性・硬質性の要請から金属あるいは硬質合成樹脂が使用されるが、更に防錆性の観点からステンレス鋼が推奨される。
【0047】
詳しくは、帯板53は硬質の帯状体よりなり、両端に直角状に折り曲げられ前面に突出する第1ブラケット54を有する。帯板53には下部前面板43の上部の第1取付け孔51に対応して同位相をもって第2取付け孔56(符号のみ)が開設される。取付け定位置において、第1取付け孔51と第2取付け孔56とは一致され、両孔51,56にわたって固定具48が装着される。第1ブラケット54にはピン孔57が開設される。
開閉弁本体55は、弁座50を覆う実質的に平板状をなす平板弁部59と、該平板弁部59の両側の上端において上方に延設される第2ブラケット60とからなる。平板弁部59は、弁座50を十分に覆う所定の長さと幅を有する方形状の平板部を主体とし、本実施形態では両側縁への折り曲げ部と下方縁での折り曲げ部とを有する。
第2ブラケット60は平板部の側縁折り曲げ部の上端に連接し、一体に固定される。第2ブラケット60の相互の間隔は帯板53の両側の第1ブラケット54よりも若干大きくとられる。
第2ブラケット60には第1ブラケット54のピン孔57に対応してピン孔61が開設される。第1ブラケット54と第2ブラケット60とはワッシャーを介して互いに対接され、それらのピン孔57,61にピン62が枢着される。
【0048】
取付け式開閉弁47はこの構成により帯板53と開閉弁本体55とが一体となり、開閉弁本体55はピン62を回動中心となって開閉動作をなす。
更に、取付け式開閉弁47はブラケット54,60を介しての枢着となり、開閉弁本体55の回転中心が前方へ突出して偏心するので、開閉弁本体55の開き動作が迅速なものとなる。
【0049】
固定具48
固定具48は、取付け式開閉弁47を集水筒部45の前面板43の所定位置に取り付ける。本実施形態ではボルト64及びナット65を採り、該取付け式開閉弁47を前面板43に対し、着脱可能とする。
すなわち、前面板43の第1取付け孔51と本取付け式開閉弁47の第2取付け孔56とを一致させ、これらの孔51,56にボルト64を装着し、ナット65を締め込んで取付け式開閉弁47の取付けをなす。ボルト63は前面板43の背面から装着され、そのねじ部を前面を突出させ、適宜ワッシャーを介装させ、ナット64を螺合し、締め込んでなす。
この固定具48での取付けにより、取付け式開閉弁47は所定の配設関係を採る。すなわち、該取付け式開閉弁47の平板部56は弁座50に均等に当接し、密閉性を保持する。また、側方折り曲げ部及び下方折り曲げ部は下部前面板43に回り込み、密閉性を高める。
【0050】
閉弁付勢手段1D
本実施形態では、閉弁付勢手段1Dは取付け式開閉弁47に対して、対称を保って、複数(本実施形態では2)配されてなる。
すなわち、本閉弁付勢手段1Dは取付け式開閉弁47の帯板53と開閉弁本体55とに跨がって、両側に2箇所に配される。すなわち、その取付け基部3Dは帯板53に適宜の固定手段(接着剤を含む)を介して固定され、ばね部2Dの先端は開閉弁本体55の表面に当接される。
図例では、本閉弁付勢手段1Dは固定具48の中間位置を採るが、固定具48と同位置、すなわち該固定具48のボルト64に固定される態様を採ることもできる。
【0051】
(本臭気防止装置S2の設置)
本臭気防止装置S2は雨水ます・汚水ますに対して、次の要領で設置される。
図15はその設置要領を示し、本臭気防止装置S2は、その天板部40の縁部40bを雨水ますMの本体100の上縁101に載置し、集水筒部45を内部空間に配し、蓋体106を天板部40上に載置する。天板部40は薄板をなすので、蓋体106の設置に何らの影響を与えない。
【0052】
(本臭気防止装置S2の機能)
取付け管Nから発生する臭気は、本臭気防止装置S2における取付け式開閉弁47により常時閉塞され、地上へは逸出しない。
降雨において、雨水は蓋体106の集水孔104より流入し、本臭気防止装置S2の集水口45aより集水筒部45内に流れ込み、排水口45bに至る。この流水圧は排水口45bにおける取付け式開閉弁47の開閉弁本体55を開き、雨水は雨水ますMから取付け管Nを介して下水道本管Pへ流れ出る。
【0053】
(本臭気防止装置S2の作用)
本実施形態の下水道用臭気防止装置S2によれば、取付け式開閉弁47の開閉につき、その枢着部により開閉が円滑になされる。
すなわち、その取付け式開閉弁47はブラケット54,60を介しての枢着となり、開閉弁本体55の回転中心が前方へ突出して偏心するので、開閉弁本体55の開き動作が迅速なものとなり、排水作用が向上する。
そして、本臭気防止装置S2の開閉弁本体55は、閉弁付勢手段1Dにより閉弁方向の付勢力を受け、確実に閉弁作用を発揮する。
また、本防止装置S2の組立てにおいて、取付け式開閉弁47は帯板53を介して、固定具48の装着のみで容易になされ、良好な作業性を発揮する。
【0054】
(本臭気防止装置S2の効果)
本臭気防止装置S2によれば、その常態の設置姿勢を採るとき、その開閉弁本体55は、その自重により弁座50に当接するとともに閉弁付勢手段1Dにより閉弁方向の付勢力を受け、確実に閉弁する。
下水道管渠用枡Mの上部枠101が常態よりずれ、本臭気防止装置S2の取付け姿勢が傾斜し、弁座50の取付け角度θが鉛直を超えるとき、その開閉弁本体55は本閉弁付勢手段1Dにより閉弁方向の付勢力を受けているので、閉弁作用を持続することができる。
したがって、本臭気防止装置S2はどのような取付け姿勢によっても臭気の防止をなすことができる。
【0055】
本発明は叙上の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲に包含されるものである。
1)閉弁付勢手段1,1A,1B,1Cにおいて、そのばね部2,2A,2B,2Cは円弧状をなすが、該ばね部の形状は円弧状に限らず、矩形状、折り曲げ状を採ることを除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の閉弁付勢手段を備えた枢着式開閉弁を有する下水道管渠用臭気防止装置の全体の構成を示す側面図(図3の1方向矢視図)。
【図2】本装置の中央縦断面図(図3の2−2線断面図)。
【図3】本装置の正面図(図1、図2の3方向矢視図)。
【図4】閉弁付勢手段の一態様の断面図(図5の4−4線断面図)。
【図5】図4の5線矢視図。
【図6】閉弁付勢手段の他の態様を示す平面図(図7の6方向矢視図)。
【図7】図6の7−7線断面図。
【図8】本下水道管渠用臭気防止装置の下水道管渠用枡への設置の態様を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態の閉弁付勢手段を備えた枢着式開閉弁を有する下水道管渠用臭気防止装置の全体の構成を示す正面図(図11の9方向矢視図)。
【図10】図9の10−10線断面図。
【図11】図10の11方向矢視図。
【図12】本発明の更に他の実施形態の閉弁付勢手段を備えた枢着式開閉弁を有する下水道管渠用臭気防止装置の全体の構成を示す側面図(図13の12方向矢視図)。
【図13】図12の13方向矢視図。
【図14】図13の14部分の拡大図。
【図15】本下水道管渠用臭気防止装置の下水道管渠枡への設置の態様を示す図。
【符号の説明】
【0057】
S,S1…下水道管路用防臭装置、S2…下水道管路用臭気防止装置、M…下水道管路用枡、N…取付け管、1,1A,1B,1C,1D…閉弁付勢手段、2,2A,2B,2C,2D…ばね部、3,3A,3B,3C,3D…取付け用基部、4…ボルト挿通孔、5…ナット把持部、10…本体部、11…円筒部、12…隔壁、12a…側部、12b…上方部、12c…開口、13,13A…弁体、13a…取付け部、13b…弁本体部、13c…V溝、14…係止部、15…スペーサー環、21…腕部、22…係止部、26…第1ピン保持部、27…第2ピン保持部、28…ピン、47…取付け式開閉弁、54,60…ブラケット、61…ピン
【技術分野】
【0001】
この発明は、ピン、ヒンジ等の枢着軸回りに弁体を開閉する枢着式開閉弁の閉塞機構に関し、更に詳しくは、当該枢着式開閉弁の弁体の閉塞動作を補助する閉塞機構に関する。特には、下水道管管渠における管渠用設備の雨水・汚水枡等の管渠用枡における防臭装置の枢着式開閉弁に適用されて好適な閉塞機構に関する。
本発明は特には、該閉塞機構を備えた下水道管渠用防臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
枢着式開閉弁の閉塞機構は、一般に、ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって枢着された弁体を弁口回りの弁座に当接・離接させ、該弁体の開閉をもって流体の断続をなす構成を採るものであり、上流側から下流側への流体の一方向のみの通過を許し、常時は閉塞されているものである。これにより、下流側からの流体及びその雰囲気気体の逆流を防止するものである(公知特許文献1〜6参照)。
このような枢着式開閉弁において、弁体はその自重により閉塞動作をなすものであり、その取付け姿勢によっては半開き状態となり、所期の作用を奏することができないという欠点がある。また、正常の取付け姿勢でも弁体の閉塞力(弁座への当接力)は弁体の重量に依存するものであるので、弁体が軽い場合にはガタ付きが生じ易く、弁体が重い場合には流体が排出されない、との問題点を指摘することができる。
このように、弁体の閉塞力の調整は弁体の重量によっては極めて困難である。
【特許文献1】実開昭61−84786号公報
【特許文献2】実開昭61−180283号公報
【特許文献3】実公昭61−23105号公報
【特許文献4】実公昭61−41823号公報
【特許文献5】特開平11−13121号公報
【特許文献6】特開平11−50519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、この種の枢着式開閉弁において、取付け姿勢に左右されずに弁体の閉塞動作を確実になすことができるとともに、弁体の閉塞力の調整を容易になすことのできる閉塞機構を得ることを目的とする。
本発明はこのため、弁体に簡単に付置される補助手段を開発することによりこの目的を達成したものである。
本発明は併せて、このような補助手段を有する開閉弁を適用して従来の下水道管渠用防臭装置の改善を図ることも他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1は枢着式開閉弁の閉塞機構に係り(以下「第1発明」という)、請求項1に記載のとおり、
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、
該閉弁付勢手段は、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
前記取付け用基部が弁座側に固定され、
前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側に弾性をもって当接されてなる、
ことを特徴とする。
上記構成において、
1)閉弁付勢手段の素材はポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂のいずれかが選択的に採用されること、
2)閉弁付勢手段は取付け用基部を介してボルト・ナットにより固定され、該取付け用基部の表面側にはナットの把持凹部が形成されてなること、
は適宜採択される技術的事項である。
【0005】
(作用)
弁体は枢着軸回りに回転動し、常時は閉弁付勢手段の付勢力を受けて弁座に当接され、閉塞動作を採る。
流体が弁体の開方向に作用するとき、流体は弁体に作用する付勢力に抗して弁体を開き、弁口より通過する。
【0006】
本発明の第2は同じく枢着式開閉弁の閉塞機構に係り(以下「第2発明」という)、請求項2に記載のとおり、
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、
該閉弁付勢手段は、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
前記取付け用基部が弁座側に固定され、
前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側と遊隙を存して配される、
ことを特徴とする。
1)閉弁付勢手段の素材はポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂のいずれかが選択的に採用されること、
2)閉弁付勢手段は取付け用基部を介してボルト・ナットにより固定され、該取付け用基部の表面側にはナットの把持凹部が形成されてなること、
は適宜採択される技術的事項である。
【0007】
(作用)
弁体は枢着軸回りに回転動し、常時は弁体の自重により弁座に当接され、閉塞動作を採る。
流体が弁体の開方向に作用するとき、弁体の遊隙距離に伴う開弁初期は軽い動作をなし、弁体が閉弁付勢手段のばね部に当接した後は、一定の付勢力を受けて安定した開動作をなす。
遊隙を有することにより、わずかな流体を排出し、弁体部の下部に流体が溜まることはない。
【0008】
上記第1発明と第2発明との組合せ態様は第3発明の枢着式開閉弁の閉塞機構を構成する。
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段の複数が対称を保って使用され、
該閉弁付勢手段はそれぞれ、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
第1の閉弁付勢手段は、前記取付け用基部が弁座側に固定され、前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側に弾性をもって当接されてなり、
第2の閉弁付勢手段は、前記取付け用基部が弁座側に固定され、前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側と遊隙を存して配される、
ことを特徴とする。
上記構成において、
1)閉弁付勢手段の素材はポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂のいずれかが選択的に採用されること、
2)閉弁付勢手段は取付け用基部を介してボルト・ナットにより固定され、該取付け用基部の表面側にはナットの把持凹部が形成されてなること、
は適宜採択される技術的事項である。
【0009】
(作用)
弁体は枢着軸回りに回転動し、常時は第1の閉弁付勢手段の付勢力を受けて弁座に当接され、閉塞動作を採る。
流体が弁体の開方向に作用するとき、弁体の遊隙距離に伴う開弁初期は一定の軽い付勢力に受けて開動作をなし、弁体が第2の閉弁付勢手段のばね部に当接した後は、更なる付勢力を受けて安定した開動作をなす。
弁体は第1及び第2の閉弁付勢手段により段階的に開動作を得ることができる。
【0010】
本発明の第4は下水道管渠用防臭装置に係り(第4発明)、請求項5に記載のとおり、
下水道管渠用枡の排水口に接続される取付け管に配される防臭装置であって、
前記下水道管渠用枡の排水口に係合して配される係合手段と、該係合手段に連設されるとともに前記取付け管内に配される本体部とを有してなり、
前記本体部は、
ア.前記取付け管の内径よりも所定の隙間を保持する小径の外径を有し、基体をなす円筒体と、
イ.前記円筒体内に所定の角度をもって横断的に塞ぎ、中央部に下方に向けて開口部が形成される隔壁と、
ウ.前記隔壁の開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向にのみ開く開閉自在の主弁体と、
エ.ばね部と取付け用基部とからなり、前記主弁体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記隔壁側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす弁体側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段と、
からなり、
前記係合手段は、前記本体部の後端の両側面から該本体部と同一曲率を保持して延設される腕部と、該腕部の端部より側方に突設される係止筒とからなる、
ことを特徴とする。
【0011】
(作用)
閉弁付勢手段により本下水道管渠用防臭装置の主弁体は常時閉弁動作を維持する。これにより、該下水道管渠用防臭装置の下水道管渠用枡へ取付け姿勢に左右されず、所期の作用を保持する。
【0012】
本発明の第5は下水道管渠用防臭装置に係り(第5発明)、請求項6に記載のとおり、
下水道管渠用枡の排水口に接続される取付け管に配される防臭装置であって、
前記下水道管渠用枡の排水口に係合して配される係合手段と、該係合手段に連設されるとともに前記取付け管内に配される本体部とを有してなり、
前記本体部は、
ア.前記取付け管の内径よりも所定の隙間を保持する小径の外径を有し、基体をなす円筒体と、
イ.前記円筒体内に所定の角度をもって横断的に塞ぎ、中央部に下方に向けて開口部が形成される隔壁と、
ウ.前記隔壁の開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向にのみ開く開閉自在の主弁体と、
エ.前記主弁体に開設された開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向とは逆方向にのみ開く開閉自在の副弁体と、
オ.ばね部と取付け用基部とからなり、前記主弁体及び副弁体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記隔壁側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす弁体側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段と、
からなり、
前記係合手段は、前記本体部の後端の両側面から該本体部と同一曲率を保持して延設される腕部と、該腕部の端部より側方に突設される係止筒とからなる、
ことを特徴とする。
【0013】
(作用)
閉弁付勢手段により本下水道管渠用防臭装置の主弁体及び副弁体は常時閉弁動作を維持する。これにより、該下水道管渠用防臭装置の下水道管渠用枡へ取付け姿勢に左右されず、所期の作用を保持する。
【0014】
本発明の第6は下水道管渠用臭気防止装置に係り(第6発明)、請求項8に記載のとおり、
上方に集水口が形成され、側方に排水口が形成される集水筒部を備えてなる下水道用臭気防止装置において、
前記集水筒部の排水口回りには同一平面を形成する弁座を有するとともに、前記排水口の上部の集水筒部には複数の第1取付け孔が水平に相並んで開設され、
前記集水筒部の排水口の上部において、該第1取付け孔に対応する第2取付け孔を有する帯板が、該第1取付け孔と該第2取付け孔とに介装される固定具をもって固定され、
前記帯板に対し、枢着軸を介して前記弁座を覆う平板弁部を有する非変形性の開閉弁本体が取り付けられてなり、
かつ、ばね部と取付け用基部とからなり、前記開閉弁本体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記枢着軸の上部側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす平板弁部側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段が配されてなる、
ことを特徴とする。
【0015】
(作用)
閉弁付勢手段により本下水道管渠用防臭装置の開閉弁本体は常時閉弁動作を維持する。これにより、該下水道管渠用防臭装置の下水道管渠用枡へ取付け姿勢に左右されず、所期の作用を保持する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の閉弁付勢手段を有する枢着式開閉弁の閉塞機構によれば、構造が簡単な閉弁付勢手段を付加することにより容易に弁体の閉弁、開弁の調整が可能となる。
本発明の第1・第3の閉弁付勢手段を有する枢着式開閉弁の閉塞機構によれば、枢着式開閉弁自体の取付け姿勢に左右されず、常時には弁体は確実に弁座に当接され、閉塞動作を維持する。また、流体の通過については何らの障害を与えない。
本発明の第2・第3の閉弁付勢手段を有する枢着式開閉弁の閉塞機構によれば、自重によらず弁体への付勢力の調整が段階的になされ、付勢力の調整幅が拡大する。
本閉弁付勢手段の材質、幅、厚さ、更には配設数等を変更することにより、弁体に対する閉塞力を容易に調整することができる。
本発明の下水道管渠用防臭装置・臭気防止装置によれば、閉弁付勢手段を有することにより、確実な閉弁動作を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の枢着式開閉弁の閉塞機構の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明の枢着式開閉弁の閉塞機構の一実施形態を示し、下水道管渠用臭気防止装置への適用例を示す。すなわち、図1〜図3は本枢着式開閉弁の閉塞機構を備えた下水道管渠用臭気防止装置Sの全体の構成を示し、図4〜図7はその各部の構成を示す。また、図8は臭気防止装置Sの設置要領を示す。
なお、本臭気防止装置Sの説明において、以下の図例に対応して、流水の吐出される方向を前部とし、流水の流入する側を後部とし、本装置自体をもって左右とする。
【0018】
下水道管渠用防臭装置S(図1〜図7参照)
本下水道管渠用防臭装置(以下単に「防臭装置」という)Sは、下水道管渠用枡Mの取付け管Nの排水口部に配され、当該枡Mから下水道本管Pへの雨水・排水の流下を図り、下水道本管Pからの臭気の逸出を防止するものである。
図8は本防臭装置Sを含む下水道管渠用枡Mの全体構成を示す。
図8に示されるように、下水道管渠用枡Mは、側壁体100と底盤102とにより上方に開口する容器部としての本体部が構成され、該開口に取水孔104を有する蓋体106が載置される。側壁体100の上縁及び蓋体106は道路面Hに面一にされ、道路面Hからの雨水・汚水を取水孔104を介して該枡Mの本体部内に導入する。
本枡Mの本体部の底盤102は地盤Iを掘削した孔底に敷設された割栗石J・均しコンクリートK上に載置される。
本枡Mの側壁体100には底盤102に接して、あるいは若干の高さを存して排水口110が開設され、該排水口110より所定の下り角度αをもって取付け管Nが取り付けられる。取付け管Nは適宜の下り角度をもって更に深い位置にある下水道本管Pに接続される。
【0019】
本防臭装置Sは、本体部10を主体とし、該本体部10に係止部が一体に形成され、更に弁体及びスペーサ体が装備される。そして、弁体には閉弁付勢手段1が付加されてなる。
【0020】
本体部10(図1〜図3参照)
本体部10は、円筒体を基体とするとともに後部に係止部が形成され、該円筒体内に所定の弁体すなわち枢着式開閉弁が配されてなる。
すなわち、該本体部10は、基体をなす円筒体11と、該円筒体11内に円筒管軸に対して所定の角度βをもって横断的に配される隔壁12と、該隔壁12に装備される弁体13と、該円筒体11の後部に連設される係止部14とを含み、更には該円筒体11の外側に配されるスペーサー環15とを含む。
本実施態様において、通常にはα+β<90°に設定されるが、90°を超える態様を除外するものではない。
【0021】
以下、更にこの本体部10内の構成を詳しく説明する。
(円筒体11)
円筒体11は、所定厚の直円筒体を基本的構成とし、外径が取付け管Nの内径よりも空隙を存して配される小径とされる。円筒体11の前端は管軸に対して斜めに切頭され、後端は概ね管軸に直交して切頭される。
【0022】
(隔壁12)
隔壁12は、円筒体11内の両側及び上面に所定の角度(本実施形態ではβ)をもって横断的に配され、弁体13の位置を決めるとともに、弁体13の閉弁により流体(流水、臭気)の遮断をなす。
該隔壁12は所定厚を有し、両側部12aと上方部12bとにより門形をなし、該門形内に矩形状の開口12cを形成する。該開口12cの底部は円筒体11の内面となり、曲面形状となる。開口12cはいわゆる「弁口」をなす。
【0023】
(弁体13)
弁体13は、円筒体11内において、隔壁12の前面に被さる態様をもって、閉弁位置において隔壁12の開口12cを密閉状に塞いで配される。
詳しくは、本弁体13は実質的に所定厚の平板体をなし、上部の取付け部13a、下部の弁本体部13b、該取付け部13aと該弁本体部13bとの間に水平に形成されるヒンジ部としてのV溝13cから一体的に形成される。該取付け部13aは隔壁12の上方部12bに当接され、1又は複数箇所(本実施形態では2)に対称を保って、適宜の固定具17(ボルト17a・ナット17b)をもって固定される。18,19は該固定具17を装着するための隔壁12及び弁体13に開設されたボルト挿通孔である。
しかして、弁本体部13bは隔壁12の側部12aに当接され、V溝13cを介して開閉動作をなす。詳しくは、弁本体部13bは隔壁12の上方部12bの一部及び側部12a、更には円筒体11の内周面に当接させる。隔壁12の上方部12bの一部及び側部12aについては、弁本体部13bの背面が当接され、円筒体11の内周面については、弁本体部13bの側面が当接される。
上記の機能を発揮する弁体13として、弁体13は適宜の硬度と弾性を有する合成樹脂材よりなり、V溝13cはヒンジとして機能し、特にポリプロピレン樹脂においてはヒンジ効果(当該部に熱処理される。)が期待される。
また、円筒体11及び隔壁板12の素材はABS樹脂が好適なものとして採用される。
【0024】
(係止部14)
係止部14は、該円筒体11の後端より腕部21が後方へ一体的に延設され、また、該腕部21の端部両側には係止筒22が側方へ突出して形成される。係止筒22は係止手段の一態様である。該腕部21は円筒体11と同心かつ同一半径(曲率)を採る。該腕部21は、本実施形態では鉛直投影面において、円筒体11の管軸より下方に一定の傾斜角γをもって傾斜するが、管軸と同一であってもよい。係止筒22の差渡し距離は装着される取付け管Nの排水口110の径より大きくされ、排水口110回りに係止される。なお、該腕部21が円筒体11の管軸より下方に傾斜することにより、係止筒22の取付け管Nの排水口110に対する係止は余裕が生じる。本実施形態では、傾斜角γは15°前後を採る。
図において、22aは係止筒22の内孔である。図例では、内孔22aは貫通孔となっているが、盲穴あるいは穴なしであってもよい。
【0025】
(スペーサー環15)
スペーサー環15は、所定の厚みを保持する円筒体よりなり、本体部10の円筒体11の外周に突設された突条24に当接するように円筒体11の後部より押し込み、該円筒体11の後部に嵌合装着される。しかして、該スペーサー環15の厚みは、設置対象の取付け管Nとの隙間を閉塞するに足るものであり、該スペーサー環15は円筒体11と取付け管Nとの水密を保持するともに、円筒体11の中心を保持する。
該スペーサー環15の素材は他の部材とは異なり、若干の柔軟性を有するもの及び又は水密性のある発泡体が選ばれる。
なお、該スペーサー環15は省略されうるものであり、これに替えて円筒体11と取付け管との間に充填材が充填される。
本防臭装置を構成する部材(スペーサー環15を除く)の素材につき、硬質かつ水密素材が使用される。合成樹脂材はこの要請を満たし、かつ軽量であることから推奨されるが、他の素材、例えば金属等を除外するものではない。
【0026】
閉弁付勢手段1(図1〜図5参照)
本実施形態の防臭装置Sにおいて、弁体13に閉弁付勢手段1が付加されることを特徴とする。
該閉弁付勢手段1は弁体13の幅方向に1又は複数(本実施形態では2)、かつ対称を保持してV溝13cに跨がって配され、弁本体部13bを所定の付勢力により隔壁12の側部12aの前面すなわち弁座に押し当て、その閉弁機能を保持する。
もっと詳しくは、本閉弁付勢手段1は弾性を有する素材をもって、ばね部2と取付け用基部3とからなり、該取付け用基部3のボルト挿通孔4を介して適宜の取付け手段(ボルト・ナット、埋込みボルト、接着剤など)をもって弁体13の上部の取付け部13bに取り付けられる。本実施形態では該取付け手段は固定具17が兼用される。ばね部2は本閉弁付勢手段1の機能部をなし、弁体13のV溝13aを跨いで配され、断面形状において円弧状をなし、その厚さは先端に至るにつれ低減される。すなわち、取付け用基部3の厚さをh、ばね部2の基部寄りの厚さをi、先端寄りの厚さをjとしたとき、h>i>jを採る。ばね部2の円弧部の先端は、自然状態(すなわち無負荷状態)で、取付け用基部3の延長線よりも突出する。
該閉弁付勢手段1は平面形状で台形を呈する。しかし、この態様に限定されない。該閉弁付勢手段1の厚さおよび幅変化は弾性力の調整に寄与する。
また、該閉弁付勢手段1の素材は、特性(ばね弾性値、耐久性加工性、経済性、腐食性など)の関係からポリプロピレン樹脂(PP)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ABS樹脂が採用されるが、特に限定されず、他のばね特性を有する素材であれば、他の合成樹脂、金属などを採用することができる。
【0027】
(閉弁付勢手段1の作用)
しかして、本閉弁付勢手段1は自然状態すなわち無負荷状態ではばね部2の先端は取付け用基部3の延長線よりも突出するものであり、定常状態では、そのばね部2においてたわみ変形を受けて弾性をもって弁体13の弁本体部13bの上面に当接し、閉弁を保持する。したがって、該閉弁付勢手段1は常時の無流水時は弁体13を押圧付勢し閉弁状態を保持する。
【0028】
(他の閉弁付勢手段1A)(図6・図7参照)
図6及び図7は閉弁付勢手段の他の態様を示す。図6はこの閉弁付勢手段1Aの平面形状を示し、図7はその側面形状を示す。
本閉弁付勢手段1Aは、平面形状において逆台形状をなす。すなわち、ばね部2Aはテーパー状をなし、取付け用基部3Aでは同一幅を採る。断面の態様すなわち厚さは先の閉弁付勢手段1に準じ、先端に至るにつれ低減される。幅及び厚さの変化により素材に応じてばね弾性の自在の調整を得る。
更に、本態様において特徴的なことは、取付け用基部3Aの前面において、ボルト挿通孔4を囲んで、ナット把持部5が囲繞壁5aをもって突設される。囲繞壁5aの内方にはナット把持凹部5bが形成される。
ナット把持凹部5bはナットの形態に対応して六角形をなし、当該部位に装着される固定具17のナット17bを把持し、その回転を阻止する。ナット把持凹部5bはボルト挿通孔4に連通する。
ナット把持部5により、本閉弁付勢手段1Aの装着操作の確実性が向上する。すなわち、ナット17bの共回りによる閉弁付勢手段1Aのばね部2Aの回転ぶれが阻止され、容易に本閉弁付勢手段1Aを取り付けることができる。
【0029】
成形・組立て
本体部10は円筒体11・係止部14・隔壁部12・突条24が一体成形される。当該成形は射出成形によることも、あるいは個々に作製されたのち接着接合により一体化されてもよい。隔壁部12のボルト挿通孔18は適宜穿設される。
弁体13、閉弁付勢手段1、スペーサー環15は別途製作される。弁体13のボルト挿通孔19は隔壁12のボルト挿通孔18に対応して穿設される。
これらの本体部10への組立てにつき、固定具17のボルト17aが隔壁部12の背面より差し込まれ、該ボルト17aのボルト杆に弁体13、次いで閉弁付勢手段1がそのボルト挿通孔19,4を介して挿通され、ナット17bを螺合し、該ナット17bの回動締込みをもってこれらは一体化される。
しかる後、スペーサー環15が被嵌される。
【0030】
設置の態様
本実施形態では、特に取付け管Nの設置角度αが20°前後であることを想定して構成されたものであり、更に前記したように、当該αに対応して他の角度要素、すなわち弁体13の閉弁角度βが設定される。これにより、弁体13は垂直(すなわち90°)未満を採り、その自重に加え閉弁付勢手段1により常時は閉弁状態を採る。
【0031】
(本実施形態の作用)
以上の構成よりなる本防臭装置Sは、所期の状態で下水道管渠用枡Mの取付け管Nに対して取り付けられ、また、所期の機能として排水並びに防臭機能を発揮する。
【0032】
取付け(図8参照)
下水道管渠用枡Mにおいて、本防臭装置Sの本体部10を取付け管Nの排水口110に臨ませ、該本態部10を取付け管N内に挿入し、適宜の操作器具を介して、あるいは介さずに手作業で、本体部10を取付け管N内に押し込む。
取付け管Nは所定の角度αに下方に傾斜しているものであり、かつ該取付け管Nは小径であり、該本体部10の前端は斜めに切頭されたものであり、この挿入操作を円滑になす。加えて、更なる本体部10の押込みにより、そのスペーサー環15の取付け管Nの内壁への弾圧作用により取付け管Nとの中心保持がなされる。
本体部10を更に押し込み、係止部14の係止筒22は排水口110に係合する。これにより、本防臭装置Sは所定位置に取り付けられる。
【0033】
取外し(図8参照)
下水道管渠用枡Mから本防臭装置Sを取り外す場合、係止部14の係止筒22の内孔22aに適宜の治具を係止させ、該治具を介して本防臭装置Sを取付け管Nより引き抜く。この引抜き作業は、係止筒22が排水口110に露出して係止されていることにより、容易になされる。なお、治具に機械装置を連動することも、治具を介さず手動によることも可能である。
【0034】
閉弁作用・防臭作用
本防臭装置Sは取付け管N内に所定の状態で取り付けられ、常時において閉弁状態を保持する。
すなわち、本体部10において、弁体13は傾斜状態をもって隔壁12の開口12cを閉塞する。この閉弁作用は弁体13の自重、更には閉弁付勢手段1の付勢作用(弁体13の本体部13bへの押付け力)により密閉性を保持し、妄動はない。取付け管Nと本体部10との間隙はスペーサー環15によって密封されている。
また、取付け管Nの設置角度αが急傾斜をなし、本防臭装置Sの隔壁12の角度が鉛直を超えるとき、閉弁付勢手段1の付勢作用により弁体13は確実に弁座に当接され、弁口12cを塞ぎ、閉弁作用を持続する。
この弁体13の閉弁により、下水道本管Pからの臭気は遮断される。
【0035】
排水作用
本防臭装置Sは上記の状態で取付け管N内に取り付けられ、流水の流入時において排水作用をなす。
今、降雨があったとき、雨水が雨水枡Mに流れ込み、排水口110まで上昇し、取付け管Nより下水道本管Pへ排出される。
流水は水圧をもって弁体13の自重及び閉弁付勢手段1の付勢力に抗して開き、流下する。この作用は、弁体13が常態の傾斜角度を保持する場合においても、また、弁体13が90°を超える場合においても同様である。
本実施形態においては、弁体13の枢着部は本体部10の8割水深を占め、満水常態になることなく、大量の流水に対して効率的な排水がなされる。
【0036】
(本実施形態の効果)
本実施形態の防臭装置Sによれば、取付け管Nへの装着作業に際して挿入操作が容易で、作業効果が向上する。また、取外し操作においても、係止筒22が排水口110に露出して係止されていることにより、容易になされる。
取付け後は、常時に閉弁状態を維持し、防臭作用をなすとともに、流水の流入に対しても的確に対処できる。すなわち、本防臭装置Sがどのような傾斜をもって取付け管N内に配されたとしても(特には弁体13が鉛直を超える状態となるとき)、本閉弁付勢手段1の付勢作用により弁体13は確実に閉弁作用を発揮する。
【0037】
(他の実施態様)(図9〜図11参照)
本実施形態の防臭装置の別の態様として、図9〜図11に示すように、ピンによる開閉弁(主弁)並びに副弁を備えた防臭装置S1を示す。
本防臭装置S1において、円筒体11、係止部14の構成は、先の実施形態に準じる。また同じく、隔壁12は両側部12aと上方部12bとにより門形をなし、該門形内に矩形状の開口12cを形成する。
弁体については、当該開口12cに主弁としての弁体13Aが定位置で密閉状を保持して、かつピンを介して回動的に閉塞(閉弁)する。このため、隔壁12の前部上方位置に第1ピン保持体26が相対峙して突設され、また、弁体13Aの前部の上部にこれらに対応して第2ピン保持体27が突設され、これらに跨がってピン28が枢着されてなる。
隔壁12ひいては弁体13Aの取付け角度βは先の態様に比べて急なものとなっており、弁体13Aはほぼ鉛直状態となる。
更に言えば、弁体13Aの下端は円弧をなし、円筒体11の前端面11aに着座する。これにより弁体13Aの停止位置が決まる。なお、該弁体13Aの下端は円筒体11の前端面11aより突出することはない。また、該弁体13Aの下端は円筒体11内に着座されてもよい。
該弁体13Aの前部の両側縁部に沿って、隔壁12に張り出すストッパー30が取り付けられ、閉弁状態で隔壁12の前面に着座する。従って、弁体13Aの停止は先の円筒体11の前端面11aとの当接、並びにこのストッパーの隔壁12との当接で決まる。ストッパー30は適宜省略できる。
本実施形態において、弁体13Aのピン28の位置は本装置Sが取付け管N内に設置されたとき、取付け管Nの水深8割位置、いわゆる8割水深位置を採る。なお、取付け管Nと円筒体11との間隔が無視できる場合には、円筒体11の管渠の8割とされる。
この弁体13Aに対して、閉弁付勢手段1Bが隔壁12の上方部12bと該弁体13Aとに跨がって配される。
【0038】
(副弁)
主弁の弁体13Aの上部に同じくピン軸をもって主弁との逆方向に開閉する副弁としての開閉弁32が配される。
すなわち、主弁体13Aの上部には開口33が開設され、該主弁体13Aには該開口33に臨んでその背部上方位置に第1ピン保持体34が相対峙して突設され、また、副弁32の背部の上部にこれらに対応して第2ピン保持体35が突設され、これらに跨がってピン36が枢着されてなる。
しかして、この副弁の開閉弁32に対して閉弁付勢手段1Cが隔壁12の上方部12bと該弁体32とに跨がって配される。2Cはばね部、3Cは取付け用基部である。該閉弁付勢手段1Cの取付け用基部3Cを介しての取付けはボルト・ナットによることも、接着剤によることも自由である。
該副弁としての開閉弁32はピンによる枢着に限定されず、先の実施形態で示したV溝を有する弁体13の構造のものを適用することができる。この場合、上部の取付け部は隔壁12に固定され、下部の弁本体部は開口33に被さるものであり、かつ、本閉弁付勢手段1Cはその取付け用基部3Cが隔壁12に固定される。
【0039】
(本防臭装置S1の作用)
本臭気防止装置S1の雨水枡等の下水道管渠用枡Mの取付け管Nへの設置の態様は先の臭気防止装置Sでの説明に準じる。したがって、その取付け・取外しにおける作用も同様となる。
取付け管Nから発生する臭気は、本臭気防止装置S1における開閉弁13A及び副弁32により閉塞され、地上へは逸出しない。すなわち、弁体13A及び副弁32はともに閉弁付勢手段1B及び1Cにより閉弁方向に付勢された付勢力により確実に閉弁される。
雨水枡Mでの流水につき、排水口110より流出する流水はその水圧により本弁体13Aの自重並びに本弁体13Aに付加的に作用する閉弁付勢手段1Cの付勢力に抗して本弁体13Aを押し開き、下水道本管Pへ排出する。
そして、下水道本管P内での異常圧の発生については、副弁32が開弁し、該下水道本管P内での異常圧を円滑に逃がし、該異常圧による損壊は防止される。
【0040】
(本防臭装置S1の効果)
先の防臭装置Sと同様、取付け管Nへの取付け姿勢に左右されず、開閉弁の閉弁を確実になすことができ、所期の作用を発揮することができる。
本防臭装置S1では更に、副弁としての開閉弁32により下水道本管P内の異常圧の発生を防止することができる。
【0041】
(他の実施形態)(図12〜図14参照)
図12〜図14は本発明の枢着式開閉弁の閉塞機構を備えた更に他の下水道管渠用臭気防止装置S2への適用例を示す。
本下水道管渠用臭気防止装置(以下単に「臭気防止装置」という)S2は、図15に示すように、下水道管渠用枡Mの蓋部に配され、当該枡Mの蓋部から下水道本管Pへの雨水・排水の流下を図り、下水道本管Pからの臭気の逸出を防止するものである。
【0042】
図12〜図14に示すとおり、この臭気防止装置S2は、天板部40、及び2つの側面板41と上下の前面板42,43と底面板44とからなる集水筒部45を含み、該集水筒部45の下部前面板43に取付け式開閉弁47が固定具48を介して装着されてなる。天板部40と集水筒部45とにより、本臭気防止装置S2の「箱体」を構成する。
しかして、この取付け式開閉弁47に対して閉弁付勢手段1Dが配されてなる。
【0043】
以下、更に詳しく説明する。
天板部40
天板部40は、全体が矩形平板状をなし、中央において大きく矩形状の挿入口40a(符号のみ)を有する。また、その縁部40bをもって雨水ますMの本体の上縁部に載置される。
【0044】
集水筒部45
集水筒部45は、所定間隔をもって相対峙して配される右左の側面板41、該側面板41の前端に跨がって配される上下の前面板42,43、及び該側面板41の底辺に跨がって配される底面板44の組合わせよりなり、箱空間を形成する。しかして、該集水筒部45は上部が天板部40の挿入口40aに連通する大きな集水口45aに形成されるとともに、前面(前面板43)に排水口45bが形成され、集水口45aから流入した雨水は内部空間を通って排水口45bより流れ出る。
【0045】
(下部前面板43)
下部前面板43は、側面板41の前端の下部において側面板41間に跨がって配されるとともに、排水口45bとしての開口(弁口)が形成され、該開口45b回りに弁体の着座する突条の弁座50が突設される。弁座50は同一平面をなす。弁座50は鉛直面とθの傾斜をなし、下方に向けて外方に傾斜する。なお、θは0°すなわち鉛直状であってもよい。突条体としての弁座50は場合によっては省略され得るが、この場合には下部前面板43の平坦面が弁座の機能を果す。
該下部前面板43の上部には、複数(少なくとも2、本実施形態では4)の第1取付け孔51が同一水準を保って開設される。
【0046】
取付け式開閉弁47
取付け式開閉弁47は、ブラケットを有する帯板53と、該帯板53の第1ブラケット54に枢着される開閉弁本体55とからなる。しかして、帯板53は下部前面板43の上部に固定具48をもって固定され、開閉弁本体55は帯板53の第1ブラケット54に枢着されて下部前面板43の開口45bを開閉する。
該取付け式開閉弁47の素材は、非変形性・硬質性の要請から金属あるいは硬質合成樹脂が使用されるが、更に防錆性の観点からステンレス鋼が推奨される。
【0047】
詳しくは、帯板53は硬質の帯状体よりなり、両端に直角状に折り曲げられ前面に突出する第1ブラケット54を有する。帯板53には下部前面板43の上部の第1取付け孔51に対応して同位相をもって第2取付け孔56(符号のみ)が開設される。取付け定位置において、第1取付け孔51と第2取付け孔56とは一致され、両孔51,56にわたって固定具48が装着される。第1ブラケット54にはピン孔57が開設される。
開閉弁本体55は、弁座50を覆う実質的に平板状をなす平板弁部59と、該平板弁部59の両側の上端において上方に延設される第2ブラケット60とからなる。平板弁部59は、弁座50を十分に覆う所定の長さと幅を有する方形状の平板部を主体とし、本実施形態では両側縁への折り曲げ部と下方縁での折り曲げ部とを有する。
第2ブラケット60は平板部の側縁折り曲げ部の上端に連接し、一体に固定される。第2ブラケット60の相互の間隔は帯板53の両側の第1ブラケット54よりも若干大きくとられる。
第2ブラケット60には第1ブラケット54のピン孔57に対応してピン孔61が開設される。第1ブラケット54と第2ブラケット60とはワッシャーを介して互いに対接され、それらのピン孔57,61にピン62が枢着される。
【0048】
取付け式開閉弁47はこの構成により帯板53と開閉弁本体55とが一体となり、開閉弁本体55はピン62を回動中心となって開閉動作をなす。
更に、取付け式開閉弁47はブラケット54,60を介しての枢着となり、開閉弁本体55の回転中心が前方へ突出して偏心するので、開閉弁本体55の開き動作が迅速なものとなる。
【0049】
固定具48
固定具48は、取付け式開閉弁47を集水筒部45の前面板43の所定位置に取り付ける。本実施形態ではボルト64及びナット65を採り、該取付け式開閉弁47を前面板43に対し、着脱可能とする。
すなわち、前面板43の第1取付け孔51と本取付け式開閉弁47の第2取付け孔56とを一致させ、これらの孔51,56にボルト64を装着し、ナット65を締め込んで取付け式開閉弁47の取付けをなす。ボルト63は前面板43の背面から装着され、そのねじ部を前面を突出させ、適宜ワッシャーを介装させ、ナット64を螺合し、締め込んでなす。
この固定具48での取付けにより、取付け式開閉弁47は所定の配設関係を採る。すなわち、該取付け式開閉弁47の平板部56は弁座50に均等に当接し、密閉性を保持する。また、側方折り曲げ部及び下方折り曲げ部は下部前面板43に回り込み、密閉性を高める。
【0050】
閉弁付勢手段1D
本実施形態では、閉弁付勢手段1Dは取付け式開閉弁47に対して、対称を保って、複数(本実施形態では2)配されてなる。
すなわち、本閉弁付勢手段1Dは取付け式開閉弁47の帯板53と開閉弁本体55とに跨がって、両側に2箇所に配される。すなわち、その取付け基部3Dは帯板53に適宜の固定手段(接着剤を含む)を介して固定され、ばね部2Dの先端は開閉弁本体55の表面に当接される。
図例では、本閉弁付勢手段1Dは固定具48の中間位置を採るが、固定具48と同位置、すなわち該固定具48のボルト64に固定される態様を採ることもできる。
【0051】
(本臭気防止装置S2の設置)
本臭気防止装置S2は雨水ます・汚水ますに対して、次の要領で設置される。
図15はその設置要領を示し、本臭気防止装置S2は、その天板部40の縁部40bを雨水ますMの本体100の上縁101に載置し、集水筒部45を内部空間に配し、蓋体106を天板部40上に載置する。天板部40は薄板をなすので、蓋体106の設置に何らの影響を与えない。
【0052】
(本臭気防止装置S2の機能)
取付け管Nから発生する臭気は、本臭気防止装置S2における取付け式開閉弁47により常時閉塞され、地上へは逸出しない。
降雨において、雨水は蓋体106の集水孔104より流入し、本臭気防止装置S2の集水口45aより集水筒部45内に流れ込み、排水口45bに至る。この流水圧は排水口45bにおける取付け式開閉弁47の開閉弁本体55を開き、雨水は雨水ますMから取付け管Nを介して下水道本管Pへ流れ出る。
【0053】
(本臭気防止装置S2の作用)
本実施形態の下水道用臭気防止装置S2によれば、取付け式開閉弁47の開閉につき、その枢着部により開閉が円滑になされる。
すなわち、その取付け式開閉弁47はブラケット54,60を介しての枢着となり、開閉弁本体55の回転中心が前方へ突出して偏心するので、開閉弁本体55の開き動作が迅速なものとなり、排水作用が向上する。
そして、本臭気防止装置S2の開閉弁本体55は、閉弁付勢手段1Dにより閉弁方向の付勢力を受け、確実に閉弁作用を発揮する。
また、本防止装置S2の組立てにおいて、取付け式開閉弁47は帯板53を介して、固定具48の装着のみで容易になされ、良好な作業性を発揮する。
【0054】
(本臭気防止装置S2の効果)
本臭気防止装置S2によれば、その常態の設置姿勢を採るとき、その開閉弁本体55は、その自重により弁座50に当接するとともに閉弁付勢手段1Dにより閉弁方向の付勢力を受け、確実に閉弁する。
下水道管渠用枡Mの上部枠101が常態よりずれ、本臭気防止装置S2の取付け姿勢が傾斜し、弁座50の取付け角度θが鉛直を超えるとき、その開閉弁本体55は本閉弁付勢手段1Dにより閉弁方向の付勢力を受けているので、閉弁作用を持続することができる。
したがって、本臭気防止装置S2はどのような取付け姿勢によっても臭気の防止をなすことができる。
【0055】
本発明は叙上の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲に包含されるものである。
1)閉弁付勢手段1,1A,1B,1Cにおいて、そのばね部2,2A,2B,2Cは円弧状をなすが、該ばね部の形状は円弧状に限らず、矩形状、折り曲げ状を採ることを除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の閉弁付勢手段を備えた枢着式開閉弁を有する下水道管渠用臭気防止装置の全体の構成を示す側面図(図3の1方向矢視図)。
【図2】本装置の中央縦断面図(図3の2−2線断面図)。
【図3】本装置の正面図(図1、図2の3方向矢視図)。
【図4】閉弁付勢手段の一態様の断面図(図5の4−4線断面図)。
【図5】図4の5線矢視図。
【図6】閉弁付勢手段の他の態様を示す平面図(図7の6方向矢視図)。
【図7】図6の7−7線断面図。
【図8】本下水道管渠用臭気防止装置の下水道管渠用枡への設置の態様を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態の閉弁付勢手段を備えた枢着式開閉弁を有する下水道管渠用臭気防止装置の全体の構成を示す正面図(図11の9方向矢視図)。
【図10】図9の10−10線断面図。
【図11】図10の11方向矢視図。
【図12】本発明の更に他の実施形態の閉弁付勢手段を備えた枢着式開閉弁を有する下水道管渠用臭気防止装置の全体の構成を示す側面図(図13の12方向矢視図)。
【図13】図12の13方向矢視図。
【図14】図13の14部分の拡大図。
【図15】本下水道管渠用臭気防止装置の下水道管渠枡への設置の態様を示す図。
【符号の説明】
【0057】
S,S1…下水道管路用防臭装置、S2…下水道管路用臭気防止装置、M…下水道管路用枡、N…取付け管、1,1A,1B,1C,1D…閉弁付勢手段、2,2A,2B,2C,2D…ばね部、3,3A,3B,3C,3D…取付け用基部、4…ボルト挿通孔、5…ナット把持部、10…本体部、11…円筒部、12…隔壁、12a…側部、12b…上方部、12c…開口、13,13A…弁体、13a…取付け部、13b…弁本体部、13c…V溝、14…係止部、15…スペーサー環、21…腕部、22…係止部、26…第1ピン保持部、27…第2ピン保持部、28…ピン、47…取付け式開閉弁、54,60…ブラケット、61…ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、
該閉弁付勢手段は、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
前記取付け用基部が弁座側に固定され、
前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側に弾性をもって当接されてなる、
ことを特徴とする枢着式開閉弁の閉塞機構。
【請求項2】
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、
該閉弁付勢手段は、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
前記取付け用基部が弁座側に固定され、
前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側と遊隙を存して配される、
ことを特徴とする枢着式開閉弁の閉塞機構。
【請求項3】
閉弁付勢手段の素材はポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂のいずれかが選択的に採用される請求項1又は2のいずれかに記載の枢着式開閉弁の閉塞機構。
【請求項4】
閉弁付勢手段は取付け用基部を介してボルト・ナットにより固定され、前記取付け用基部の表面側にはナットの把持凹部が形成されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の枢着式開閉弁の閉塞機構。。
【請求項5】
下水道管渠用枡の排水口に接続される取付け管に配される防臭装置であって、
前記下水道管渠用枡の排水口に係合して配される係合手段と、該係合手段に連設されるとともに前記取付け管内に配される本体部とを有してなり、
前記本体部は、
ア.前記取付け管の内径よりも所定の隙間を保持する小径の外径を有し、基体をなす円筒体と、
イ.前記円筒体内に所定の角度をもって横断的に塞ぎ、中央部に下方に向けて開口部が形成される隔壁と、
ウ.前記隔壁の開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向にのみ開く開閉自在の主弁体と、
エ.ばね部と取付け用基部とからなり、前記主弁体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記隔壁側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす弁体側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段と、
からなり、
前記係合手段は、前記本体部の後端の両側面から該本体部と同一曲率を保持して延設される腕部と、該腕部の端部より側方に突設される係止筒とからなる、
ことを特徴とする下水道管渠用防臭装置。
【請求項6】
下水道管渠用枡の排水口に接続される取付け管に配される防臭装置であって、
前記下水道管渠用枡の排水口に係合して配される係合手段と、該係合手段に連設されるとともに前記取付け管内に配される本体部とを有してなり、
前記本体部は、
ア.前記取付け管の内径よりも所定の隙間を保持する小径の外径を有し、基体をなす円筒体と、
イ.前記円筒体内に所定の角度をもって横断的に塞ぎ、中央部に下方に向けて開口部が形成される隔壁と、
ウ.前記隔壁の開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向にのみ開く開閉自在の主弁体と、
エ.前記主弁体に開設された開口部を塞ぐとともに、
枢着軸回りに回転して流水の流下方向とは逆方向にのみ開く開閉自在の副弁体と、
オ.ばね部と取付け用基部とからなり、前記主弁体及び副弁体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記隔壁側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす弁体側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段と、
からなり、
前記係合手段は、前記本体部の後端の両側面から該本体部と同一曲率を保持して延設される腕部と、該腕部の端部より側方に突設される係止筒とからなる、
ことを特徴とする下水道管渠用防臭装置。
【請求項7】
請求項5又は6のいずれかにおいて、円筒体の外周は取付け管との間隔を塞ぎ、かつ該取付け管との中心位置を保持する手段が配される下水道管渠用防臭装置。
【請求項8】
上方に集水口が形成され、側方に排水口が形成される集水筒部を備えてなる下水道用臭気防止装置において、
前記集水筒部の排水口回りには同一平面を形成する弁座を有するとともに、前記排水口の上部の集水筒部には複数の第1取付け孔が水平に相並んで開設され、
前記集水筒部の排水口の上部において、該第1取付け孔に対応する第2取付け孔を有する帯板が、該第1取付け孔と該第2取付け孔とに介装される固定具をもって固定され、
前記帯板に対し、枢着軸を介して前記弁座を覆う平板弁部を有する非変形性の開閉弁本体が取り付けられてなり、
かつ、ばね部と取付け用基部とからなり、前記開閉弁本体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記枢着軸の上部側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす平板弁部側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段が配されてなる、
ことを特徴とする下水道用臭気防止装置。
【請求項1】
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、
該閉弁付勢手段は、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
前記取付け用基部が弁座側に固定され、
前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側に弾性をもって当接されてなる、
ことを特徴とする枢着式開閉弁の閉塞機構。
【請求項2】
ピン、ヒンジ等の枢着軸をもって弁体が枢着され、該弁体の弁本体を弁口周りの弁座に当接・離接させて、該弁体の開閉をなす枢着式開閉弁において、
ばね部と取付け用基部とからなる閉弁付勢手段が使用され、
該閉弁付勢手段は、前記枢着軸に跨がって配されるとともに、
前記取付け用基部が弁座側に固定され、
前記ばね部は弾性を有し、該ばね部の先端が弁体側と遊隙を存して配される、
ことを特徴とする枢着式開閉弁の閉塞機構。
【請求項3】
閉弁付勢手段の素材はポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂のいずれかが選択的に採用される請求項1又は2のいずれかに記載の枢着式開閉弁の閉塞機構。
【請求項4】
閉弁付勢手段は取付け用基部を介してボルト・ナットにより固定され、前記取付け用基部の表面側にはナットの把持凹部が形成されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の枢着式開閉弁の閉塞機構。。
【請求項5】
下水道管渠用枡の排水口に接続される取付け管に配される防臭装置であって、
前記下水道管渠用枡の排水口に係合して配される係合手段と、該係合手段に連設されるとともに前記取付け管内に配される本体部とを有してなり、
前記本体部は、
ア.前記取付け管の内径よりも所定の隙間を保持する小径の外径を有し、基体をなす円筒体と、
イ.前記円筒体内に所定の角度をもって横断的に塞ぎ、中央部に下方に向けて開口部が形成される隔壁と、
ウ.前記隔壁の開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向にのみ開く開閉自在の主弁体と、
エ.ばね部と取付け用基部とからなり、前記主弁体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記隔壁側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす弁体側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段と、
からなり、
前記係合手段は、前記本体部の後端の両側面から該本体部と同一曲率を保持して延設される腕部と、該腕部の端部より側方に突設される係止筒とからなる、
ことを特徴とする下水道管渠用防臭装置。
【請求項6】
下水道管渠用枡の排水口に接続される取付け管に配される防臭装置であって、
前記下水道管渠用枡の排水口に係合して配される係合手段と、該係合手段に連設されるとともに前記取付け管内に配される本体部とを有してなり、
前記本体部は、
ア.前記取付け管の内径よりも所定の隙間を保持する小径の外径を有し、基体をなす円筒体と、
イ.前記円筒体内に所定の角度をもって横断的に塞ぎ、中央部に下方に向けて開口部が形成される隔壁と、
ウ.前記隔壁の開口部を塞ぐとともに、枢着軸回りに回転して流水の流下方向にのみ開く開閉自在の主弁体と、
エ.前記主弁体に開設された開口部を塞ぐとともに、
枢着軸回りに回転して流水の流下方向とは逆方向にのみ開く開閉自在の副弁体と、
オ.ばね部と取付け用基部とからなり、前記主弁体及び副弁体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記隔壁側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす弁体側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段と、
からなり、
前記係合手段は、前記本体部の後端の両側面から該本体部と同一曲率を保持して延設される腕部と、該腕部の端部より側方に突設される係止筒とからなる、
ことを特徴とする下水道管渠用防臭装置。
【請求項7】
請求項5又は6のいずれかにおいて、円筒体の外周は取付け管との間隔を塞ぎ、かつ該取付け管との中心位置を保持する手段が配される下水道管渠用防臭装置。
【請求項8】
上方に集水口が形成され、側方に排水口が形成される集水筒部を備えてなる下水道用臭気防止装置において、
前記集水筒部の排水口回りには同一平面を形成する弁座を有するとともに、前記排水口の上部の集水筒部には複数の第1取付け孔が水平に相並んで開設され、
前記集水筒部の排水口の上部において、該第1取付け孔に対応する第2取付け孔を有する帯板が、該第1取付け孔と該第2取付け孔とに介装される固定具をもって固定され、
前記帯板に対し、枢着軸を介して前記弁座を覆う平板弁部を有する非変形性の開閉弁本体が取り付けられてなり、
かつ、ばね部と取付け用基部とからなり、前記開閉弁本体の枢着軸に跨がって配されるとともに、前記取付け用基部が前記枢着軸の上部側に固定され、前記ばね部が開閉動作をなす平板弁部側に弾性をもって当接されてなる閉弁付勢手段が配されてなる、
ことを特徴とする下水道用臭気防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−19331(P2009−19331A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154361(P2007−154361)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【出願人】(592012650)足立建設工業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【出願人】(592012650)足立建設工業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
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