説明

架台用部材、構造物用架台、その架台の施工方法、及びその架台を用いた太陽光発電システム

【課題】平坦な構築物として輸送することができ、現場での組み立て作業を大幅に簡略化する。
【解決手段】構造物を支持する架台用部材6を、桟14と、桟14を支持する支柱に接続するための2本のアーム12,13と、桟14と2本のアーム12,13との長手方向が揃いかつ2本のアーム12,13が直線状に並ぶように桟14と2本のアーム12,13とが重ねられた状態と、その状態から2本のアーム12,13の互いに対向する端部が桟14と離間した状態との2つの状態の間で可動となるように、2本のアーム12,13の外側端部を桟14に連結する一対のアーム連結部材26とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール等の構造物を支持するための架台用部材、構造物用架台、その架台の施工方法、及びその架台を用いた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の構造物用架台としては、複数の桟を平行に並べて固定し、各桟の間に複数の太陽電池モジュールを架け渡して、各太陽電池モジュールを支持するという構造のものがある。
【0003】
このような架台は、複数の桟、各桟を支持する複数の支柱、各桟をそれぞれの支柱に連結する複数のアーム等、多くの部品からなるので、現場での組み立て作業に手間と時間を要する。このため、各桟を工場で組立ててから現場に輸送し、現場で各桟をアームを介して支柱に連結し、架台を完成させることがある。
【0004】
また、特許文献1では、ゴム製の基板、補強層、及び粘着層を積層したルーフィング材に接続端子や配線を設けておき、ルーフィング材を屋根上に広げて固定し、ルーフィング材上に複数の太陽電池モジュールを並設して接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−124695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来は、各桟を工場で組立ててから現場に輸送し、現場で各桟をアームを介して支柱に連結しているものの、この連結作業が困難であることから、現場での組み立て作業の更なる簡略化が望まれていた。
【0007】
例えば、各アームを各桟と共に工場で組立ててから現場に輸送すれば、現場での組み立て作業を更に簡略化することができる。ところが、各桟だけを組立てれば、各桟がはしご状の平坦な構築物となって、この平坦な構築物を積み重ねて輸送することができても、この平坦な構築物に複数のアームを組み込むと、その構築物が平坦ではなくなって嵩張り、構造物の積み重ねが不可能となり、輸送も困難になった。
【0008】
また、特許文献1のようなルーフィング材は、屋根のような平坦面に広げられることが前提となっており、各桟や支柱からなる架台上に設置することができず、架台の組み立て作業の簡略化を実現するものではない。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、平坦な構築物として輸送することができ、現場での組み立て作業を大幅に簡略化することが可能な架台用部材、構造物用架台、その架台の施工方法、及びその架台を用いた太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の架台用部材は、構造物を支持する架台用部材であって、桟と、前記桟を支持する支柱に接続される2本のアームと、前記桟と前記2本のアームとの長手方向が揃いかつ前記2本のアームが直線状に並ぶように前記桟と前記2本のアームとが重ねられた状態と、その状態から前記2本のアームの互いに対向する端部が前記桟から離間した状態との2つの状態の間で可動となるように、前記2本のアームの外側端部を前記桟に連結する一対のアーム連結部材とを備えている。
【0011】
このような架台用部材では、桟と2本のアームとが重ねられた状態とすれば、架台用部材の厚みがアームの厚みと桟の厚みとの和に略等しくなり、架台用部材が嵩張らず、複数の架台用部材を積み重ねることが可能になる。このため、各アームを各桟と共に工場で組立てて、複数の架台用部材を積み重ねて輸送することができる。また、2本のアームの対向側が桟から離間した状態とすれば、各アームの対向側端部を支柱に接続することにより、桟を支柱に取付けることができ、桟をアームを介して支柱に連結する作業が容易である。
【0012】
また、本発明の架台用部材においては、前記桟を支持する支柱に前記各アームの対向側端部を連結するそれぞれのアームブラケットを備え、前記各アームブラケットを前記各アームの対向側端部に回転可能に設けている。
【0013】
この場合、各アームの対向側端部を各アームブラケットを介して支柱に接続する。
【0014】
更に、本発明の架台用部材においては、前記各アームブラケットを前記桟の側に向くように回転させて、前記各アームブラケットの内側に前記桟を納めることが可能である。
【0015】
桟と2本のアームとが重ねられ、かつ各アームブラケットの内側に桟を納めた状態では、構造物用架台が嵩張らず、複数の構造物用架台を積み重ねて輸送することができる。
【0016】
また、本発明の架台用部材においては、前記桟を支持する支柱の上に該桟を連結する桟ブラケットを備え、前記桟ブラケットを前記桟における前記各アーム連結部材の間の部位に回転可能に設けている。
【0017】
この場合、桟を桟ブラケットを介して支柱の上端部に接続する。
【0018】
また、本発明の架台用部材においては、前記桟ブラケットを回転させて前記桟の内側に納めることが可能である。
【0019】
桟と2本のアームとが重ねられ、かつ桟ブラケットを桟の内側に納めた状態では、構造物用架台が嵩張らず、複数の構造物用架台を積み重ねて輸送することができる。
【0020】
一方、本発明の構造物用架台は、上記本発明の架台用部材を備えた構造物用架台であって、前記桟を支持する支柱を備え、前記各アームの対向側端部が前記桟と離間した状態で、前記各アームの対向側端部を前記支柱に接続している。
【0021】
このように各アームの対向側端部が前記桟と離間した状態で、各アームの対向側端部を支柱に接続すると、トラス構造が構築される。
【0022】
また、本発明の構造物用架台においては、複数組の前記桟及び前記2本のアームを備え、
前記各桟をそれぞれの縦桟として、前記各縦桟を並設し、前記各縦桟上に該各縦桟と直交するように複数の横桟を並設している。
【0023】
これらの横桟に複数の構造物を架け渡して並設することができる。
【0024】
更に、本発明の構造物用架台においては、前記構造物は、太陽電池モジュールである。
【0025】
次に、本発明の架台用部材は、並設された複数の縦桟と、前記縦桟毎に設けられ、前記縦桟を支持する支柱に接続するための2本のアームと、前記縦桟毎に設けられ、前記縦桟と前記2本のアームとの長手方向が揃いかつ前記2本のアームが直線状に並ぶように前記縦桟と前記2本のアームとが重ねられた状態と、その状態から前記2本のアームの互いに対向する端部が前記縦桟と離間した状態との2つの状態の間で可動となるように、前記2本のアームの外側端部を前記縦桟に連結する一対のアーム連結部材と、前記各縦桟上に該各縦桟と直交するように並設された複数の横桟とを備えている。
【0026】
このよう架台用部材では、各縦桟を並設し、各横桟を各縦桟上に該各縦桟と直交するように並設し、また縦桟と前記2本のアームとが重ねられた状態とすることができることから、架台用部材が平坦なものとなり、複数の架台用部材を積み重ねることができる。このため、各アームを各縦桟及び各横桟と共に工場で組立てて、複数の架台用部材を積み重ねて輸送することができる。また、2本のアームの対向側端部が縦桟と離間した状態とすることができるので、この状態で、各アームの対向側端部を支柱に接続すれば、縦桟を支柱に取付けることができ、縦桟をアームを介して支柱に連結する作業が容易である。
【0027】
次に、本発明の構造物用架台の施工方法は、上記本発明の架台用部材を用いた構造物用架台の施工方法であって、支柱を突設する工程と、前記桟及び前記各アームを吊り上げて前記支柱の突設位置の上方まで移動してから下降させて、前記各アームの対向側端部が前記桟と離間した状態で、前記各アームの対向側端部を前記支柱に接続する工程とを含んでいる。
【0028】
あるいは、本発明の構造物用架台の施工方法は、上記本発明の架台用部材を用いた構造物用架台の施工方法であって、前記各縦桟に対応するそれぞれの支柱を突設して配列する工程と、前記横桟で連結された複数の前記縦桟及び前記アームを吊り上げて前記支柱の突設位置の上方に移動してから下降させて、前記各アームの対向側端部が前記桟と離間した状態で、前記各アームの対向側端部を前記支柱に接続する工程とを含んでいる。
【0029】
このような施工方法では、桟及び各アーム、又は横桟で連結された複数の縦桟及びアームを吊り上げて支柱の突設位置の上部に移動してから下降させ、各アームの対向側端部が桟と離間した状態で、各アームの対向側端部を支柱に接続するので、構造物用架台の組み立て作業がより容易になる。
【0030】
また、本発明の太陽光発電システムは、上記本発明の構造物用架台を用いた太陽光発電システムであって、前記各横桟間に複数の太陽電池モジュールを架け渡して支持している。
【0031】
このような太陽光発電システムでも、上記本発明の構造物用架台と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、桟と2本のアームとが重ねられた状態とすれば、架台用部材の厚みがアームの厚みと桟の厚みとの和に略等しくなり、架台用部材が嵩張らず、複数の架台用部材を積み重ねることが可能になる。このため、各アームを各桟と共に工場で組立てて、複数の架台用部材を積み重ねて輸送することができる。また、2本のアームの対向側が桟と離間した状態とすれば、各アームの対向側端部を支柱に接続することにより、桟を支柱に取付けることができ、桟をアームを介して支柱に連結する作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の構造物用架台の一実施形態を用いて、複数の太陽電池モジュールを支持してなる太陽光発電システムを示す斜視図である。
【図2】太陽電池モジュールを示す斜視図である。
【図3】図1の構造物用架台における支柱を示す斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、図1の構造物用架台における相互に長さが異なる2本のアームを示す斜視図である。
【図5】図1の構造物用架台における縦桟を示す斜視図である。
【図6】図1の構造物用架台における横桟を示す斜視図である。
【図7】図1の構造物用架台におけるアーム連結部材を示す斜視図である。
【図8】図1の構造物用架台における桟ブラケットを示す斜視図である。
【図9】図1の構造物用架台におけるアームブラケットを示す斜視図である。
【図10】支柱、2本のアーム、縦桟等からなるトラス構造を示す側面図である。
【図11】図10のトラス構造における縦桟とアームブラケットの接続部分を拡大して示す側面図である。
【図12】縦桟とアームブラケットの接続部分を拡大して示す断面図である。
【図13】横桟を縦桟に接続固定するのに用いられる取付け金具を示す斜視図である。
【図14】図13取付け金具を縦桟に取付けた状態を示す斜視図である。
【図15】横桟を縦桟に接続した状態を示す断面図である。
【図16】太陽電池モジュールを中段の横桟に接続して固定するための第1支持金具を示す斜視図ある。
【図17】2個の第1支持金具を横桟に取付けた状態を示す断面図である。
【図18】太陽電池モジュールを上段及び下段の横桟に接続して固定するための第2支持金具を示す斜視図ある。
【図19】第2支持金具を横桟に取付けた状態を示す断面図である。
【図20】桟ブラケットを縦桟の内側に納めた状態を示す側面図である。
【図21】各アームを縦桟と平行に並ぶように閉じ、各アームブラケットを縦桟側に向けた状態を示す側面図である。
【図22】複数の平坦な構造物用架台を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図23】アームの鍔と縦桟の鍔をクリップで挟みこんだ状態を示す断面図である。
【図24】クレーンにより平坦な構造物用架台を吊り上げた状態を示す斜視図である。
【図25】各アームを縦桟に対し斜めに開き、支柱を各アーム端部のアームブラケット間を介して縦桟へと通した状態を示す斜視図である。
【図26】太陽電池モジュールの受光面側に配置される固定金具を示す斜視図である。
【図27】第1支持金具及び固定金具を用いて、各太陽電池モジュールを中段の横桟に取付けた状態を上方から見て示す斜視図である。
【図28】第1支持金具及び固定金具を用いて、各太陽電池モジュールを中段の横桟に取付けた状態を下方から見て示す斜視図である。
【図29】左右に隣り合う各太陽電池モジュールの枠部材間に固定金具の各突起片を差し込んだ状態を示す斜視図である。
【図30】(a)は第2支持金具及び固定金具を用いて、上段及び下段の横桟に左右2枚の太陽電池モジュールを取付けた状態を示す平面図であり、(b)は(a)のB−Bに沿う断面図である。
【図31】図1の構造物用架台の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の構造物用架台の一実施形態を用いて、複数の太陽電池モジュールを支持してなる太陽光発電システムを示す斜視図である。
【0036】
この太陽光発電システムは、発電所への適用を前提としたものであり、多数の太陽電池モジュールを備えている。
【0037】
図1に示すように太陽光発電システム1では、複数の支柱11を相互に間隔を開けて地面に打ち込んで突設し、各支柱11の上端部にそれぞれの縦桟14を傾斜させて接続し、各支柱11の胴部と各縦桟14間にそれぞれ2本のアーム12、13を架け渡して接続し、これにより各支柱11の上端部に各縦桟14を支持している。そして、各縦桟14を相互に間隔を開けて平行に配置し、3本の横桟15を各縦桟14と直交するように配して、各横桟15を各縦桟14上に並設し、各横桟15間に複数の太陽電池モジュール2を架け渡して傾斜させ、各横桟15上に各太陽電池モジュール2の両端を固定支持している。
【0038】
縦桟14には、縦桟14の長手方向に沿って離間し、縦桟14の下方に突出した一対のアーム連結部材16が設けられており、各アーム連結部材16の下方突出部分にそれぞれのアーム12、13が接続されている。
【0039】
支柱11の胴部と2本のアーム12、13の端部との間にはそれぞれのアームブラケット22が介在し、各アーム12、13の端部が各アームブラケット22を介して連結され、各アームブラケット22の間に支柱11の胴部が支持されている。
【0040】
支柱11の上端部と縦桟14間には桟ブラケット21が介在し、桟ブラケット21により支柱11の上端部と縦桟14が連結されている。
【0041】
下段の横桟15と中段の横桟15の間に複数の太陽電池モジュール2が横一列に並べられて搭載され、中段の横桟15と上段の横桟15の間にも複数の太陽電池モジュール2が横一列に並べられて搭載されている。従って、3本の横桟15上に、複数の太陽電池モジュール2が2列に並べて搭載されている。また、左右に隣合う2本の縦桟14間に、4枚又は6枚の太陽電池モジュール2が割り振られている。
【0042】
尚、図1において、各支柱11が並ぶ方向をX方向(左右方向)とし、このX方向と直交する方向をY方向(前後方向)としている。
【0043】
図2は、太陽電池モジュール2を示す斜視図である。図2に示すように太陽電池モジュール2は、太陽光を光電変換する太陽電池パネル3と、この太陽電池パネル3を縁取って保持する枠部材4とで構成されている。枠部材4は、アルミ材からなり、太陽電池モジュール2そのものの強度を確保したり、太陽電池パネル3を保護したりするためのものである。
【0044】
本実施形態の構造物用架台5は、図1に示す支柱11、2本のアーム12、13、縦桟14、横桟15、アーム連結部材16、桟ブラケット21、アームブラケット22等を備えて構成されるものである。
【0045】
次に、構造物用架台5を構成する支柱11、2本のアーム12、13、縦桟14、横桟15等について説明する。
【0046】
図3は、支柱11を示す斜視図である。図3に示すように支柱11は、相互に対向する一対のフランジ部11a及び各フランジ部11aを連結するウエブ部11bからなるH字形断面形状の鋼材である。支柱11の上端部11dの付近で、ウエブ部11bに支柱11の長手方向に延びる2個の長形孔11cが形成されている。各支柱11は、地面に対して垂直に打ち込まれて、略同一高さに突設される。
【0047】
図4(a)、(b)は、2本のアーム12、13をそれぞれ示す斜視図及である。図4(a)、(b)に示すように各アーム12、13は、相互に長さが異なり、図1における縦桟14の傾斜下側の箇所に接続されるアーム12が短く、縦桟14の傾斜上側の箇所に接続されるアーム13が長くなっている。
【0048】
各アーム12、13は、主板12b、13b、主板12b、13bの両側で折り曲げられた一対の側板12a、13a、及び各側板12a、13aの一辺で外側に折り曲げられたそれぞれの鍔12c、13cを有しており、それらの断面形状が概ねハット型となっている。また、各アーム12、13の両端部では、各鍔12c、13cが切除され、各側板12a、13aにそれぞれの穿孔12d、13dが形成されている。
【0049】
図5は、縦桟14を示す斜視図である。図5に示すように縦桟14は、主板14b、主板14bの両側で折り曲げられた一対の側板14a、及び各側板14aの一辺で外側に折り曲げられたそれぞれの鍔14cを有しており、その断面形状が概ねハット型となっている。縦桟14の主板14bの両端近傍及び中央部には、一対のT字形孔14dがそれぞれ形成されている。また、各側板14aの中央部、先端寄りの部位、及び後端寄りの部位に、それぞれの長形孔14eが縦桟14の長手方向に沿って形成されている。
【0050】
図6は、横桟15を示す斜視図である。図6に示すように横桟15は、主板15b、主板15bの両側で折り曲げられた一対の側板15a、及び各側板15aの一辺で外側に折り曲げられたそれぞれの鍔15cを有し、その断面形状が概ねハット型となっている。横桟15の各側板15aには、適宜の間隔を開けて穿孔15d及びスリット15gが形成され、また横桟15の主板15bには、同間隔を開けて一対のスリット15h及び開口孔15iが形成されている。更に、横桟15の各鍔15cには、各縦桟14の配置間隔を開けてそれぞれの長形孔15kが形成されている。
【0051】
尚、横桟15がX方向に極めて長く、横桟15を単一の部材として作製するのは困難であるため、横桟15を複数の桟部材を接続して構成している。
【0052】
図7は、アーム連結部材16を示す斜視図である。図7に示すようにアーム連結部材16は、主板16b、及び主板16bの両側で折り曲げられた一対の側板16aを有し、その断面形状が概ねC型となっている。アーム連結部材16の各側板16aには、2つのネジ孔16c及び2つの穿孔16dが形成されている。また、各側板16aの外側の離間幅が縦桟14の各側板14aの内側の離間幅と同一か僅かに狭くされており、アーム連結部材16の各側板16aを縦桟14の各側板14aの内側に差し込むことが可能にされている。
【0053】
図8は、桟ブラケット21を示す斜視図である。図8に示すように桟ブラケット21は、主板21b、主板21bの両側で折り曲げられた各側板21a、及び各側板21aの一辺で外側に折り曲げられたそれぞれの鍔21cを有しており、それらの断面形状が概ねハット型となっている。また、桟ブラケット21の一端部では、各鍔21cが切除されている。各側板21aにそれぞれの穿孔21dが形成され、各鍔21cにそれぞれのネジ孔21eが形成されている。更に、各側板21aの外側の離間幅が縦桟14の各側板14aの内側の離間幅と同一か僅かに狭くされており、桟ブラケット21の各側板21aを縦桟14の各側板14aの内側に差し込むことが可能にされている。
【0054】
図9は、アームブラケット22を示す斜視図である。図9に示すようにアームブラケット22は、主板22b、主板22bの両側で折り曲げられた各側板22a、各側板22aの一辺で折り曲げられ、更にL字型に折り曲げられた各L字型部22c、及び各L字型部22cの一辺で折り曲げられた各結合板22dを有している。各側板22aにそれぞれの穿孔22eが形成され、各結合板22dにそれぞれの穿孔22f又はネジ孔22gが形成されている。各側板22aの外側の離間幅が各アーム12、13の各側板12a、13aの内側の離間幅と同一か僅かに狭くされており、アームブラケット22の各側板22aを各アーム12、13の各側板12a、13aの内側に差し込むことが可能にされている。また、アームブラケット22の各L字型部22cの内側は、支柱11の各フランジ部11aが嵌合するような形状及びサイズにされている。
【0055】
ここで、各アーム12、13、縦桟14、及び横桟15のいずれも、主板、主板の両側で折り曲げられた各側板、及び各側板の一辺で外側に折り曲げられたそれぞれの鍔からなるハット型断面形状を有している。また、いずれのハット型断面形状も同一サイズである。更に、いずれも、同一厚さのメッキ鋼板を切断もしくは孔開け加工した後、メッキ鋼板を折り曲げ加工して形成される。このため、材料及び加工装置を共通化することができ、コストの大幅な低減を図ることができる。
【0056】
次に、支柱11、2本のアーム12、13、縦桟14等からなるトラス構造について説明する。
【0057】
図10は、そのトラス構造を示す側面図である。また、図11及び図12は、縦桟とアームブラケットの接続部分を拡大して示す側面図及び断面図である
図10に示すようにトラス構造は、縦桟14の中央部を桟ブラケット21を介して支柱11の上端部11dに連結し、縦桟14の先端寄りの部位にアーム12の一端部をアーム連結部材16を介して接続し、縦桟14の後端寄りの部位にアーム13の一端部をアーム連結部材16を介して接続し、各アーム12、13の他端部を2個のアームブラケット22を介して支柱11の胴部11eに接続したものである。
【0058】
図11及び図12に示すように縦桟14の中央部では、桟ブラケット21の各側板21aを縦桟14の各側板14aの内側に差し込んで重ね、桟ブラケット21の各側板21a間にパイプ25を挿入して、パイプ25、桟ブラケット21の各側板21aの穿孔21d、及び縦桟14の各側板14aの長形孔14eを位置合わせし、ボルト26をパイプ25、桟ブラケット21の各側板21aの穿孔21d、縦桟14の各側板14aの長形孔14e、及びワッシャに通して、ボルト26の一端にナット27をねじ込んで締め込み、桟ブラケット21を縦桟14の中央部に接続している。
【0059】
桟ブラケット21は、縦桟14の各側板14aに対して1本のボルト26により支持されるので、ボルト26周りで回転可能である。
【0060】
また、縦桟14の先端寄り及び後端寄りのそれぞれの部位では、アーム連結部材16の各側板16aの上側部分を縦桟14の各側板14aの内側に差し込んで重ね合わせ、2本のボルト24を縦桟14の各側板14aの長形孔14eを介してアーム連結部材16の各側板16aのネジ孔16cにねじ込んで締め付け、アーム連結部材16を接続している。
【0061】
こうして縦桟14の先端寄り及び後端寄りのそれぞれの部位に接続された各アーム連結部材16は、その下側部分が縦桟14より下方に突出している。
【0062】
更に、図12と同様に、縦桟14の先端寄りに連結されるアーム12の一端部では、アーム連結部材16の各側板16aの下方突出部分をアーム12の各側板12aの内側に差し込んで重ね合わせ、アーム連結部材16の各側板16a間にパイプ25を挿入して、ボルト26をパイプ25、アーム連結部材16の各側板16aの穿孔孔16d、アーム12の各側板12aの穿孔12d、及びワッシャに通して、ボルト26の一端にナット27をねじ込んで締め込み、アーム12の一端部をアーム連結部材16の下方突出部分に接続している。
【0063】
更に、縦桟14の後端寄りに連結されるアーム13の一端部でも、パイプ25、ボルト26、及びナット27を用いて、アーム13の一端部をアーム連結部材16の下方突出部分に接続している。
【0064】
各アーム12、13は、各アーム連結部材16の下方突出部分に対してそれぞれのボルト26により支持されるので、それぞれのボルト26周りで回転可能である。
【0065】
また、図12と同様に、支柱11の胴部11eに連結されるアーム12の他端部では、アームブラケット22の各側板22aをアーム12の各側板12aの内側に差し込んで重ね合わせ、アームブラケット22の各側板22a間にパイプ25を挿入して、ボルト26をパイプ25、アームブラケット22の各側板22aの穿孔22e、アーム12の各側板12aの穿孔12d、及びワッシャに通して、ボルト26の一端にナット27をねじ込んで締め込み、アーム12の他端部をアームブラケット22に接続している。
【0066】
更に、支柱11の胴部11eに連結されるアーム13の他端部でも、パイプ25、ボルト26、及びナット27を用いて、アーム13の他端部をアームブラケット22に接続している。
【0067】
各アームブラケット22は、各アーム12、13の各側板に対してそれぞれのボルト26により支持されるので、それぞれのボルト26周りで回転可能である。
【0068】
従って、縦桟14と桟ブラケット21間の接続、各アーム連結部材16の下方突出部分と各アーム12、13の一端部間の接続、及び各アーム12、13の他端部と各アームブラケット22間の接続は、パイプ25、ボルト26、及びナット27を用いてなされる。
【0069】
一方、図10及び図11に示すように縦桟14の中央部を支柱11の上端部11dに載せた状態で、縦桟14の桟ブラケット21の各鍔21cを支柱11のウエブ部11bに重ね合わせて、桟ブラケット21の各鍔21cのネジ孔21eをウエブ部11bの各長形孔11cに重ね合わせ、2本のボルト28をウエブ部11bの各長形孔11cを通じて桟ブラケット21の各鍔21cのネジ孔21eにねじ込んで締め付け、桟ブラケット21を支柱11の上端部11dに固定し、縦桟14の中央部を桟ブラケット21を介して支柱11の上端部11dに連結している。
【0070】
また、各アーム12、13のアームブラケット22を支柱11を介して対峙させ、各アームブラケット22のいずれについても各L字型部22cの内側に支柱11の各フランジ部11aを嵌合させ、一方のアームブラケット22の各結合板22dと他方のアームブラケット22の各結合板22dを重ね合わせている。このとき、一方の各結合板22dの穿孔22fとネジ孔22gが他方の各結合板22dのネジ22gと穿孔22fに対向するので、2本のボルト29をそれぞれの穿孔22fを通じてそれぞれのネジ22gにねじ込んで締め付け、各アームブラケット22を相互に接続することができ、これにより両方のアームブラケット22の各L字型部22cの内側に支柱11の各フランジ部11aを挟み込んで支持することができる。すなわち、各アームブラケット22の間に支柱11が挟み込まれて支持される。
【0071】
このように縦桟14の中央部を桟ブラケット21を介して支柱11の上端部11dに連結し、各アーム12、13を各アームブラケット22を介して支柱11の胴部11eに連結する。
【0072】
このような支柱11、2本のアーム12、13、及び縦桟14からなるトラス構造は、本実施形態の構造物用架台5の強度を高くするために設けられている。
【0073】
また、支柱11の上端部11dを縦桟14の中央部に接続し、縦桟14の両側を各アーム12、13で支持しているため、縦桟14上の太陽電池モジュール2を安定的に支持することができる。更に、図1から明らかなように縦桟14の中央部の両側に2列の太陽電池モジュール2が振り分けられるため、各太陽電池モジュール2の荷重が支柱11を倒すようには殆ど作用せず、本実施形態の構造物用架台の安定性がより向上する。
【0074】
更に、各支柱11上の縦桟14の高さを調節することができる。各支柱11の高さにバラツキがあったとしても、各支柱11上の縦桟14の高さ(垂直方向の位置)にバラツキがあってはならず、各縦桟14の高さを調節して揃える必要がある。このためには、2本のボルト28を緩めて、桟ブラケット21を支柱11のウエブ部11bの各長形孔11cの方向に移動できるようにし、かつ各ボルト29を緩めて、各アームブラケット22及び各アーム12、13を支柱11に沿って移動できるようにして、縦桟14を垂直方向に移動できるようにする。そして、縦桟14の高さを適宜に調節してから、各ボルト28、29を締め付けて、桟ブラケット21、各アームブラケット22、及び各アーム12、13を固定し、縦桟14も固定する。これにより、各縦桟14の高さを調節して揃えることができる。
【0075】
また、各縦桟14のY方向の位置も調節することができる。縦桟14の中央部と桟ブラケット21を締結しているボルト26を緩め、縦桟14の先端寄りの部位とアーム連結部材16の上側部分とを締結しているボルト24を緩め、縦桟14の後端寄りの部位とアーム連結部材16の上側部分とを締結しているボルト24を緩めて、各ボルト24、26に対して縦桟14を該縦桟14の各側板14aの長形孔14eに沿って移動できるようにする。そして、縦桟14のY方向の位置を適宜に調節してから、各ボルト24、26を締め付けて、縦桟14を固定する。これにより、各縦桟14のY方向の位置を調節して揃えることができる。
【0076】
次に、横桟15を縦桟14に接続固定するための構造について説明する。
【0077】
図13は、横桟15を縦桟14に接続固定するのに用いられる取付け金具31を示す斜視図である。図13に示すように取付け金具31は、主板31a、主板31aの両側で折り曲げられた各側板31c、主板31aの前後で2重に折り返された各側板31d、及び各側板31dの中央からそれぞれ突出したT字型の各支持片31eを有している。主板31aには、2つのネジ孔31bが形成されている。
【0078】
図5に示すように縦桟14の主板14bの両端近傍及び中央部には、一対のT字形孔14dがそれぞれ形成されている。この一対のT字形孔14d毎に、取付け金具31を縦桟14の主板14bに取付けて、縦桟14の主板14bの両端近傍及び中央部の3箇所にそれぞれの取付け金具31を配置する。
【0079】
図14に示すように取付け金具31の各支持片31eの頭部をそれぞれのT字形孔14dのスリット14gに挿し込み、各支持片31eをそれぞれのT字形孔14dの係合孔14hへと移動させて、各支持片31eの頭部をそれぞれのT字形孔14dの係合孔14hに引っ掛けて、取付け金具31を縦桟14の主板14bに取付ける。
【0080】
図11及び図15に示すように横桟15を縦桟14と直交するように縦桟14の主板14b上に載せ、横桟15の各鍔15cを取付け金具31の各支持片31eの頭部間に配置する。そして、横桟15の各鍔15cの長形孔15kを縦桟14の主板14bの各T字形孔14dを介して取付け金具31の各ネジ孔31bに重ね、各ボルト32を横桟15の各鍔15cの長形孔15k及び縦桟14の主板14bの各T字形孔14dを介して取付け金具31の各ネジ孔31bにねじ込んで仮止めする。
【0081】
この仮止めの状態では、各ボルト32を横桟15の各鍔15cの長形孔15kに沿って移動させることができることから、横桟15を各長形孔15kに沿って(図1のX方向に)移動させて、横桟15のX方向の位置を調節する。
【0082】
また、取付け金具31を縦桟14の主板14bの各T字形孔14dに沿って(縦桟14の長手方向に)移動させることができ、この取付け金具31と共に横桟15も移動させることができる。この縦桟14の長手方向への横桟15の移動により、縦桟14上に配置された3本の横桟15の間隔を調節する。
【0083】
こうして3本の横桟15のX方向の位置を調節し、各横桟15の間隔を調節した後、それぞれの取付け金具31の各ボルト32を締め込んで、各横桟15を縦桟14上に固定する。
【0084】
次に、太陽電池モジュール2を横桟15上に固定するための第1及び第2支持金具について説明する。
【0085】
図1から明らかなように中段の横桟15は、上下段の太陽電池モジュール2の端部を支持し、また上段及び下段の横桟15は、上段又は下段の太陽電池モジュール2の端部を支持している。このため、中段の横桟15と上段及び下段の横桟15とで太陽電池モジュール2の支持構造が異なり、第1及び第2支持金具を使い分けている。
【0086】
図16は、太陽電池モジュール2を中段の横桟15に接続して固定するための第1支持金具を示す斜視図ある。図16に示すように第1支持金具41は、側板41a、側板41aの上縁で折り曲げられた主板41b、及び側板41aの下縁で折り曲げられた底板41cを有している。主板41bには、主板41bの両角部で折れ曲がって起こされた各突起片41dが形成されている。各突起片41dは、それらの上方から見ると、主板41bの両角部をえぐるように湾曲した円弧を描いている。また、主板41bの略中央にネジ孔41eが形成されている。更に、側板41aに穿孔41fが形成され、側板41aにC字形状の切り込みが形成され、この切り込みの内側部分が起こされて係合片41gとなっている。側板41aの高さは、横桟15の側板15aの高さに略等しい。
【0087】
第1支持金具41は、中段の横桟15の各側板15aにおける穿孔15d及びスリット15gの形成箇所にそれぞれ2個1組で配され、図17に示すように2個の第1支持金具41が横桟15の両側に重ねられ、各第1支持金具41の側板41aの係合片41gが横桟15の各側板15aのスリット15gに係合されて、各第1支持金具41が仮止めされる。このとき、各第1支持金具41の主板41bが横桟15から外向きに突出し、各第1支持金具41の各突起片41dが横桟15の主板15bよりも上方に突出する。
【0088】
この状態で、図12と同様に、横桟15の各側板15a間にパイプ25を挿入して、パイプ25、横桟15の各側板15aの穿孔15d、及び各第1支持金具41の側板41aの穿孔41fを位置合わせし、ボルト26をパイプ25、横桟15の各側板15aの穿孔15d、各第1支持金具41の側板41aの穿孔41f、及びワッシャに通して、ボルト26の一端にナット27をねじ込んで締め込み、各第1支持金具41を中段の横桟15に固定している。
【0089】
図18は、太陽電池モジュール2を上段及び下段の横桟15に接続して固定するための第2支持金具を示す斜視図ある。図18に示すように第2支持金具42は、相互に対向する一対の側板42a、各側板42aの対向一辺を連結する主板42b、及び各側板42aの縁で折れ曲がって外側に突出するそれぞれの鍔42cからなるハット型断面形状を有しており、横桟15の内側に嵌合するような形状及びサイズに設定されている。
【0090】
この第2支持金具42の主板42bの両端から内側へとL字形の切り込みがそれぞれ形成され、これらのL字形の切り込みの内側が起こされて、それぞれの突起片42fとなっている。また、第2支持金具42の各側板42aにはそれぞれのネジ孔42dが形成され、主板42bの中心線上にネジ孔42eが形成され、各鍔42cにそれぞれの長形孔42gが形成されている。
【0091】
このような第2支持金具42は、上段及び下段の横桟15の主板15bにおける一対のスリット15h及び開口孔15iの形成箇所にそれぞれ配されて、横桟15の内側に嵌合される。
【0092】
図19に示すように第2支持金具42が横桟15の内側に嵌合されると、第2支持金具42の主板42bの各突起片42fが横桟15の主板15bの一対のスリット15hから上方に突出する。
【0093】
また、第2支持金具42の各側板42aが横桟15の各側板15aに重なり、第2支持金具42の主板42bが横桟15の主板15bに重なり、第2支持金具42の各鍔42cが横桟15の各鍔15cに重なる。
【0094】
この状態で、2本のボルトが、横桟15の各側板15aの穿孔15dを介して第2支持金具42の各側板42aのネジ孔42dにそれぞれねじ込まれて締め付けられ、第2支持金具42が固定される。従って、第2支持金具42の部位では、主板、側板、及び鍔が2重構造となり、この部位での強度が高くなる。
【0095】
ところで、本実施形態の構造物用架台5は、支柱11を除く他の部材の殆ど、すなわち各アーム12、13、縦桟14、横桟15、アーム連結部材16、桟ブラケット21、アームブラケット22、第1及び第2支持金具41、42等を工場で組立てて、平坦な構築物を構築し、複数の平坦な構築物を積み重ねて工場から施工現場へと輸送することが前提となっている。
【0096】
ここで、縦桟14及び横桟15は、図1から明らかなようにはしご状に組立てられることから、平坦な構築物であり、積み重ねることが可能である。
【0097】
一方、図10及び図11において、桟ブラケット21は、縦桟14の下方に突出している。また、各アーム12、13は、縦桟14の下方に傾斜して突出しており、各アームブラケット22が縦桟14から離間している。この状態では、桟ブラケット21、各アーム12、13、及び各アームブラケット22が縦桟14及び横桟15からなる平坦な構築物の積み重ねを不可能にする。
【0098】
そこで、本実施形態の構造物用架台5では、図20及び図21に示すように各アーム12、13、桟ブラケット21、及びアームブラケット22を折り畳んで平坦な構造物にすることが可能な架台用部材6を用いている。この架台用部材6では、図20に示すように桟ブラケット21を支持するボルト26周りで該桟ブラケット21を回転させて、桟ブラケット21を縦桟14の各側板21の内側に納めることを可能にし、また図21に示すように各アーム12、13を支持するそれぞれのボルト26周りで該各アーム12、13を回転させて、各アーム12、13を縦桟14と平行に並ぶように閉じることを可能にし、更に各アームブラケット22を支持するそれぞれのボルト26周りで該各アームブラケット22を回転させて、各アームブラケット22の内側に縦桟14を納めることを可能にしている。
【0099】
詳しくは、桟ブラケット21の各側板21aを縦桟14の各側板14aの内側に差し込んで、1本のボルト26により桟ブラケット21を軸支しているため、桟ブラケット21をボルト26周りで回転させることができ、桟ブラケット21の各側板21a及び各鍔21cが縦桟14の各側板14a及び各鍔14cに重なるまで桟ブラケット21を回転させて、桟ブラケット21を縦桟14の各側板21の内側に納めることができる。
【0100】
また、アーム連結部材16の各側板16aをアーム12の各側板12aの内側に差し込んで、1本のボルト26によりアーム12を軸支しているため、アーム12をボルト26周りで回転させることができ、アーム12の各鍔12cが縦桟14の各鍔14cに重なるまでアーム12を回転させて、アーム12を縦桟14に平行に並べて閉じることができる。
【0101】
同様に、アーム連結部材16の各側板16aをアーム13の各側板12aの内側に差し込んで、1本のボルト26によりアーム13を軸支しているため、アーム13の各鍔13cが縦桟14の各鍔14cに重なるまでアーム13を回転させて、アーム13を縦桟14に平行に並べて閉じることができる。
【0102】
更に、図21に示すように各ボルト26による各アーム12、13の軸支位置間の距離をLとし、ボルト26によるアーム12の軸支位置からアーム12の端部までの長さをL1とし、ボルト26によるアーム13の軸支位置からアーム13の端部までの長さをL2とすると、L>(L1+L2)となるようにL、L1、L2を設定している。このため、各ボルト26間で、各アーム12、13を縦桟14に平行に並べて閉じ、各アーム12、13を直線状に並べることができる。
【0103】
また、アームブラケット22の各側板22aをアーム12の各側板12aの内側に又はアーム13の各側板13aの内側に差し込んで、1本のボルト26によりアームブラケット22を軸支しているため、アームブラケット22を回転させて、アームブラケット22を縦桟14側に向けることができる。また、アームブラケット22の各L字型部22cの内側は、支柱11の各フランジ部11aが嵌合するような形状及びサイズであるだけではなく、縦桟14の各鍔14cが入るようなサイズでもある。このため、アームブラケット22を縦桟14側に向けると、アームブラケット22の各L字型部22cの内側に縦桟14を納めることができる。
【0104】
図21に示す状態は、縦桟14とアーム12、13との長手方向が揃いかつアーム12、13が直線状に並ぶように縦桟14とアーム12、13とが重ねられた状態と言うことができ、図20に示す状態は、図21に示す状態から、アーム12、13の互いに対向する端部が縦桟14から離間した状態と言うことができる。したがって、アーム連結部材16は、これら2つの状態の間で可動となるように、アーム12、13の外側端部を縦桟14に連結したものとなる。
【0105】
尚、図21に示す状態で、アーム12、13のアームブラケット22が設けられた側の端部が互いに対向しているので、これらを対向側端部と称し、これらと反対側のアーム12、13の端部22が設けられた側を、外側に位置するので、外側端部と称することがある。
【0106】
このように桟ブラケット21を縦桟14の各側板21aの内側に納め、各アーム12、13を縦桟14と平行に並ぶように閉じて、各アーム12、13と縦桟14を重ね、各アームブラケット22の各L字型部22cの内側に縦桟14を納めた状態では、縦桟14、アーム12、13、アーム連結部材16、アームブラケット22、及び桟ブラケット21等から構成される架台用部材6の最大の厚みが縦桟14の高さとアーム12又は13の高さとの和となって、桟ブラケット21、各アーム12、13、及び各アームブラケット22が嵩張らず、架台用部材6が平坦な構築物となる。このため、複数の架台用部材6を積み重ねて輸送することが可能になる。
【0107】
また、各アーム12、13を縦桟14に平行に並べて閉じて、各アーム12、13と縦桟14を重ねた状態では、各アーム12、13の各鍔12c、13cと縦桟14の各鍔14cが重なり合うので、鍔12c、13cと鍔14cの間に指等が挟み込まれても切断されることはなく、後で述べる構造物用架台5の施工時の危険性が少なくなる。
【0108】
更に、図23に示すように相互に重なり合った鍔12c、13cと鍔14cを共に挟持するようなクリップ48を用いれば、各アーム12、13の閉じた状態を保持することができる。
【0109】
ここでは、架台用部材6は、アーム12,13、アーム連結部材16、アームブラケット22、及び桟ブラケット21から構成されているが、横桟15を含む構成としてもよい。図22では、トレーラ61の荷台上に、横桟15を含む構成の架台用部材6を複数搭載して輸送している状態を示している。
【0110】
次に、図24、図25を参照しつつ図1の太陽光発電システムの施工手順を整理して説明する。
【0111】
まず、構造物用架台5の施工現場では、図1に示すように複数の支柱11を直線状に等間隔に並べて地面に突設しておく。各支柱11の間隔は、構造物用架台5の各縦桟14の配置間隔に等しい。
【0112】
また、図22に示すように複数の平坦な架台用部材6をトレーラ61の荷台に積み重ねて搭載し、これらの架台用部材6を現場に輸送する。
【0113】
現場では、図24に示すように複数本のワイヤー46をトレーラ61の荷台上の平坦な架台用部材6に引っ掛けて、クレーンにより平坦な架台用部材6をワイヤー46を介して吊り上げ、平坦な架台用部材6を各支柱11の上方まで移動させて、架台用部材6の横桟15を各支柱11の並びの方向に沿わせ、架台用部材6の各縦桟14の中央部と各支柱11とを位置合わせする。また、架台用部材6の各縦桟14を図10と略同様の角度で傾斜させる。
【0114】
そして、架台用部材6の縦桟14毎に、図23のクリップ48を外して、図25に示すように各アーム12、13を縦桟14に対し斜めに開き、架台用部材6を下降させながら、支柱11を各アーム12、13端部のアームブラケット22間を介して縦桟14へと通し、図10に示すように縦桟14の中央部を支柱11の上端部11dに載せた状態で、縦桟14の桟ブラケット21の各鍔21cを支柱11のウエブ部11bに重ね合わせて、2本のボルト28をウエブ部11bの各長形孔11cを通じて桟ブラケット21の各鍔21cのネジ孔21eにねじ込んで締め付け、縦桟14の中央部を桟ブラケット21を介して支柱11の上端部11dに連結する。
【0115】
また、各アーム12、13のアームブラケット22を支柱11を介して対峙させ、一方のアームブラケット22の各結合板22dと他方のアームブラケット22の各結合板22dを重ね合わせ、2本のボルト29を一方の各結合板22dの穿孔22fを通じて他方の各結合板22dのネジ22gにねじ込んで締め付け、各アームブラケット22の間に支柱11を挟み込んで支持する。これにより、構造物用架台5が完成する。
【0116】
先に述べたように各アーム12、13の軸支位置間の距離L、アーム12の軸支位置からアーム12の端部までの長さL1、アーム13の軸支位置からアーム13の端部までの長さL2がL>(L1+L2)となるように設定されているため、縦桟14と各アーム12、13だけでは、各アーム12、13の長さが不足して、トラス構造を構築することができないが、各アーム12、13の端部間に2つのアームブラケット22が介在して、各アーム12、13の端部間が離間するので、各アーム12、13の長さが補足されて、トラス構造を構築することができる。
【0117】
次に、太陽電池モジュール2を構造物用架台5上に搭載して固定する手順を説明する。
【0118】
先に述べたように中段の横桟15と上段及び下段の横桟15とで太陽電池モジュール2の支持構造が異なるため、これらの支持構造を別々に説明する。
【0119】
図26は、太陽電池モジュール2の受光面側に配置される固定金具を示す斜視図である。この固定金具43は、押圧板43aの前後端部に下方に折り曲げられた突起片43bを形成し、押圧板43aの中央部に穿孔43cを形成したものである。
【0120】
図27及び図28は、第1支持金具41及び固定金具43を用いて、各太陽電池モジュール2を中段の横桟15に取付けた状態を上方及び下方から見て示す斜視図である。図27及び図28に示すように各太陽電池モジュール2の枠部材4を第1支持金具41の各突起片41d間に入れて横桟15の主板15b上に載置する。
【0121】
そして、図29に示すように左右に隣り合う各太陽電池モジュール2の枠部材4間に固定金具43の各突起片43bを差し込んで、各太陽電池モジュール2の枠部材4を一定間隔だけ離間させ、ボルト45を固定金具43の穿孔43c及各太陽電池モジュール2の枠部材4の隙間を介して第1支持金具41の主板41のネジ孔41eにねじ込んで締め込む。これにより、固定金具43と横桟15の主板15b間に各太陽電池モジュール2の枠部材4が挟み込まれて固定される。
【0122】
図30(a)、(b)は、第2支持金具42及び固定金具43を用いて、上段及び下段の横桟15に左右2枚の太陽電池モジュール2を取付けた状態を示す平面図及び断面図である。図30(a)、(b)に示すように左右の各太陽電池モジュール2の枠部材4を第2支持金具42の各突起片42f間に入れて横桟15の主板15b上に載置する。そして、左右の各太陽電池モジュール2の枠部材4間に固定金具43の各突起片43bを差し込んで、各太陽電池モジュール2の枠部材4を一定間隔だけ離間させる。
【0123】
引き続いて、ボルト45を固定金具43の穿孔43c、各太陽電池モジュール2の枠部材4の隙間、及び横桟15の主板15bの開口孔15iを介して第2支持金具42の主板42のネジ孔42eにねじ込んで締め込む。これにより、固定金具43と横桟15の主板15b間に各太陽電池モジュール2の枠部材4が挟み込まれて固定される。
【0124】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【0125】
例えば、アーム12(又は13)の外側端部をアーム連結部材16の各側板16aの下方突出部分に回転可能に軸支して、アーム12(又は13)を縦桟14と平行に並んで閉じるようにアーム12(又は13)と縦桟14とが重なることを可能にしているが、この代わりにアーム12(又は13)の外側端部をアーム連結部材16の各側板16aの下方突出部分に固定し、アーム連結部材16の各側板16aの上側部分を縦桟14に回転可能に軸支して、アーム12(又は13)を縦桟14と平行に並んで閉じるようにアーム12(又は13)と縦桟14とが重なることを可能にしてもよい。また、アーム12(又は13)の各側板12a(又は13a)の端部を縦桟14の各側板14aの内側に延長して、アーム12(又は13)の各側板12a(又は13a)の端部を縦桟14の各側板14aで軸支してもよい。あるいは、縦桟14の各鍔14cの下面にヒンジを介してアーム12(又は13)を連結しても構わない。
【0126】
また、図31に示すような円柱状の支柱11Aを適用しても構わない。この場合は、支柱11Aの上端面11gに壁部hを突設して、桟ブラケット21を壁部hに締結し、また支柱11Aを挟み込むのに適した各アームブラケット22Aを適用する。例えば、各アームブラケット22Aの内側に支柱11Aを挟み込むための円弧状の凹部を形成する。
【符号の説明】
【0127】
1 太陽光発電システム
2 太陽電池モジュール(太陽電池モジュール)
11 支柱
12、13 アーム
14 縦桟
15 横桟
16 アーム連結部材
21 桟ブラケット
22 アームブラケット
25 パイプ
26、45 ボルト
27 ナット
31 取付け金具
41 第1支持金具
42 第2支持金具
43 固定金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を支持する架台用部材であって、
桟と、
前記桟を支持する支柱に接続される2本のアームと、
前記桟と前記2本のアームとの長手方向が揃いかつ前記2本のアームが直線状に並ぶように前記桟と前記2本のアームとが重ねられた状態と、その状態から前記2本のアームの互いに対向する端部が前記桟から離間した状態との2つの状態の間で可動となるように、前記2本のアームの外側端部を前記桟に連結する一対のアーム連結部材とを備えたことを特徴とする架台用部材。
【請求項2】
請求項1に記載の架台用部材であって、
前記桟を支持する支柱に前記各アームの対向側端部を連結するそれぞれのアームブラケットを備え、前記各アームブラケットを前記各アームの対向側端部に回転可能に設けたことを特徴とする架台用部材。
【請求項3】
請求項2に記載の架台用部材であって、
前記各アームブラケットを前記桟の側に向くように回転させて、前記各アームブラケットの内側に前記桟を納めることが可能なことを特徴とする架台用部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の架台用部材であって、
前記桟を支持する支柱の上端部に該桟を連結する桟ブラケットを備え、前記桟ブラケットを前記桟における前記各アーム連結部材の間の部位に回転可能に設けたことを特徴とする架台用部材。
【請求項5】
請求項4に記載の架台用部材であって、
前記桟ブラケットを回転させて前記桟の内側に納めることが可能なことを特徴とする架台用部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の架台用部材を備えた構造物用架台であって、
前記桟を支持する支柱を備え、
前記各アームの対向側端部が前記桟と離間した状態で、前記各アームの対向側端部を前記支柱に接続したことを特徴とする構造物用架台。
【請求項7】
請求項6に記載の構造物用架台であって、
複数組の前記桟及び前記2本のアームを備え、
前記各桟をそれぞれの縦桟として、前記各縦桟を並設し、前記各縦桟上に該各縦桟と直交するように複数の横桟を並設したことを特徴とする構造物用架台。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の構造物用架台であって、
前記構造物は、太陽電池モジュールであることを特徴とする構造物用架台。
【請求項9】
構造物を支持する架台用部材であって、
並設された複数の縦桟と、
前記縦桟毎に設けられ、前記縦桟を支持する支柱に接続するための2本のアームと、
前記縦桟毎に設けられ、前記縦桟と前記2本のアームとの長手方向が揃いかつ前記2本のアームが直線状に並ぶように前記縦桟と前記2本のアームとが重ねられた状態と、その状態から前記2本のアームの互いに対向する端部が前記縦桟と離間した状態との2つの状態の間で可動となるように、前記2本のアームの外側端部を前記縦桟に連結する一対のアーム連結部材と、
前記各縦桟上に該各縦桟と直交するように並設された複数の横桟とを備えたことを特徴とする架台用部材。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の架台用部材を用いた構造物用架台の施工方法であって、
支柱を突設する工程と、
前記桟及び前記各アームを吊り上げて前記支柱の突設位置の上方まで移動してから下降させて、前記各アームの対向側端部が前記桟と離間した状態で、前記各アームの対向側端部を前記支柱に接続する工程とを含むことを特徴とする構造物用架台の施工方法。
【請求項11】
請求項9に記載の架台用部材を用いた構造物用架台の施工方法であって、
前記各縦桟に対応するそれぞれの支柱を突設して配列する工程と、
前記横桟で連結された複数の前記縦桟及び前記アームを吊り上げて前記支柱の突設位置の上方に移動してから下降させて、前記各アームの対向側端部が前記桟と離間した状態で、前記各アームの対向側端部を前記支柱に接続する工程とを含むことを特徴とする構造物用架台の施工方法。
【請求項12】
請求項6〜8のいずれか1つに記載の構造物用架台を用いた太陽光発電システムであって、
前記各横桟間に複数の太陽電池モジュールを架け渡して支持したことを特徴とする太陽光発電システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate