説明

架橋ポリアリルアミン錠剤コア

【課題】実質的に乾燥状態または水和状態の架橋ポリアリルアミンベース薬剤物質を使用することにより経口剤形を作製するための組成物および工程を提供する。
【解決手段】高リン血症の治療またはコレステロールの低減に使用し得るセベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩またはコレセベラム塩酸塩のような架橋ポリアリルアミン塩を有する組成物、錠剤または錠剤コアを作製する方法、およびかかる組成物。本方法は、架橋ポリアリルアミン塩を水溶性賦形剤と混ぜ合わせるとともに、随意に水、添加剤および/または潤滑剤とも混ぜ合わせるステップと、その結果生じた混合物をさらに錠剤化して錠剤および錠剤コアを形成するステップと、を伴う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤および水と混合されているセベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩またはコレセベラム塩酸塩のような架橋ポリアリルアミン塩を有する組成物、錠剤(タブレット)または錠剤コアを作製するための錠剤組成および工程。
【背景技術】
【0002】
ポリアリルアミン塩酸塩は、ラジカル開始剤の存在下におけるアリルアミン塩酸塩の重合により生産される。ポリアリルアミン塩酸塩は、分子量が2,000〜100,000ダルトンの範囲の単独重合体(ホモポリマー)である。ポリアリルアミンおよびポリアリルアミン塩酸塩は水溶性が高く、適切なN−アルキル化試薬により架橋され次第、非水溶性(水に対して不溶性)となり水膨潤性ポリマーを形成する。
【0003】
架橋ポリアリルアミン塩は、効率的なアニオン交換ポリマーであるとともに非水溶性であることが判明している。非水溶性であるため、架橋ポリアリルアミン塩は、溶液形態にならない優れたリン酸塩結合剤および/または胆汁酸結合剤として発展した。よってポリアリルアミン塩は、高リン血症および/または高脂質血症の治療用に投与する局所作用薬として役立つ。架橋ポリアリルアミンのプロトン化高分子アミン基は、腸内でリン酸イオンと相互作用する。架橋ポリアリルアミンは、胃腸管内でリン酸イオンと結合することにより、リン酸塩の吸収を低減し血清のリン酸塩濃度を低下させる。
【0004】
セベラマー塩酸塩(FDAにより承認され米国内で「レナゲル(Renagel)(登録商標)」というブランド名で販売されている)は、2つのアミノ基の間にCH−CHOH−CH基を有する架橋ポリアリルアミン塩酸塩であり、アミン基の約40%がプロトン化して(プロトンを付加されて)塩化物アニオンと会合している。セベラマー塩酸塩は、塩化物を約18重量%含有し、経口投与されると胃腸(GI)系において塩化物アニオンがリン酸アニオンと置き換わり、よって、血中のリン酸塩濃度が低下する。
【0005】
コレセベラム塩酸塩(FDAにより承認され米国内で「ウェルコール(Welchol)(登録商標)」というブランド名で販売されている)は、2つのアミノ基の間にCH−CHOH−CH基を有するポリアリルアミン塩基部分を含有する修飾架橋ポリアリルアミンポリマーであり、特定の比率の(6−トリメチルアンモニウム)ヘキシル基およびデシル基によりN−アルキル化されている。コレセベラム塩酸塩は、ほぼすべてのアミンがプロトン化されており、塩化物を約21重量%含有する。コレセベラム塩酸塩は、高吸収能の胆汁酸結合性ポリマーであり、高脂質血症の治療用に経口投与される。
【0006】
セベラマー炭酸塩(FDAにより承認され米国内で「レンヴェラ(Renvela)(登録商標)」というブランド名で販売されている)は、重炭酸塩アニオンを含有する2つのアミノ基の間にCH−CHOH−CH基を有するさらに別の架橋ポリアリルアミンポリマーであり、高リン血症の治療用に処方される。レンヴェラ(Renvela)(登録商標)のパッキングインサートによれば、「セベラマー炭酸塩は、セベラマー塩酸塩と同じ高分子構造で、炭酸塩が対イオン(反対イオン)として塩酸塩と置き換わったアニオン交換樹脂である。2つの塩では対イオンは異なるものの、高分子構造自体、有効部分は同一である。」。セベラマー塩酸塩の投与に勝るセベラマー炭酸塩の投与の利点は、セベラマー炭酸塩を投与した場合、塩化イオンの過負荷が避けられ、血中の重炭酸塩濃度を維持するために役立つことである。セベラマー炭酸塩のラベルおよび文献的考察によれば、セベラマー炭酸塩は、セベラマー塩酸塩を用いてイオン交換工程により、塩化イオンを炭酸イオンと置換することによって作製される。
【0007】
先行技術には、痛風の治療および血清尿酸の低減、X症候群の治療、銅濃度の低減および銅中毒症の治療、空腹時血漿グルコースおよび/またはヘモグロビンA1cの濃度の低減、ならびにLDLコレステロールの低減にポリアリルアミンベースポリマーの投与が利用されることが教示されている。かかるポリアリルアミンベースポリマーの薬物療法は、常に、約400mgを超える高用量で提供され、通例、経口投与される。かかるポリアリルアミンベースのポリマーおよび/または塩の固有の特性は、これらの化合物が不溶性であるとともに水膨潤性であり体積が顕著に膨張することである。ポリアリルアミンベースのポリマーおよび/または塩の水膨張特性により、これらの化合物の再現可能な錠剤剤形を作製する工程は極めて困難である。
【0008】
下記特許文献1(ホームズ−ファーリーら)(Holmes−Farley et al.)には、基剤と非水溶性の架橋ポリアリルアミン単独重合体とを含む医薬組成物が開示されており、前記ポリアリルアミン単独重合体は、エピクロロヒドリン架橋剤により架橋されている。当業者は、基剤が、医薬組成物の作製に使用される医薬品賦形剤であり常に医薬品有効成分より高い濃度で存在することを理解している。しかしながらホームズ−ファーリー(Holmes−Farley)は、基剤の重要性、または基剤と非水溶性の架橋ポリアリルアミン単独重合体とを含む組成物を作製する工程に用いる基剤濃度の重要性を教示していない。ホームズ−ファーリー(Holmes−Farley)の実施例には、含水率が約6%のエピクロロヒドリン成分により架橋されたポリアリルアミンが開示されている。
【0009】
下記特許文献2(タイラーら)(Tyler et al.)には、コアとその被膜(コーティング)とを含む錠剤が開示されており、コアの少なくとも約95重量%が、無置換およびN−置換のポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)およびポリ(ビニルアミン)から成る群から選択される脂肪族アミンポリマーである。また、タイラー(Tyler)は、含水率が約3%〜約10%のポリ(アリルアミン)を含む錠剤も開示している。また、タイラー(Tyler)には、コアとその被膜とを含む錠剤も開示されており、コアは、含水率が6重量%のセベラマー塩酸塩を98重量%、コロイド状二酸化ケイ素を1重量%、ステアリン酸を1重量%含み、被膜は、低粘性ヒドロキシプロピルメチルセルロースを38.5重量%、高粘性ヒドロキシプロピルメチルセルロースを38.5重量%、ジアセチル化モノグリセリドを23重量%含む混合物である。
【0010】
下記特許文献3(マツダら)(Matsuda et al.)および特許文献4(マツダら)(Matsuda et al.)には、平均粒子径が400ミクロン以下で粒子の90%が500ミクロン未満のリン酸塩結合性ポリマーを含有するとともに低置換度の結晶セルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロースも含有する錠剤が開示されている。また、かかる粒子は含水率が1〜14%である。また、結合剤としての結晶セルロースの使用も特許請求されている。マツダら(Matsuda et al.)も、タイラー(Tyler)も、ポリオールベースまたはアルコールベースの賦形剤を開示していない。
【0011】
下記特許文献5(タイラーら)(Tyler et al.)には、少なくとも約95重量%の脂肪族アミンポリマーを含む錠剤コアと、次のステップによる錠剤の生産工程とが開示されている。すなわち、脂肪族アミンポリマーを水和させて所期の含水率にするステップと、かかる脂肪族アミンポリマーを特定の量の賦形剤と混ぜ合わせ、その結果生じた混合物の少なくとも約95重量%をかかるポリマーが含むようにするステップと、かかる混合物を圧縮して錠剤コアを形成するステップである。さらに錠剤は、水ベース被膜で被覆される。
【0012】
下記特許文献6(ヘッジら)(Hedge et al.)には、適切な医薬的に許容可能な賦形剤とともに高剪断非水造粒有効成分であるセベラマー塩酸塩を治療有効量含む医薬組成物が開示されている。また、ヘッジら(Hedge et al.)は、この発明により実行される高剪断非水造粒により粒子の凝集性が改善されて優れた流動性および圧縮特性が錠剤に備わることも開示している。ヘッジら(Hedge et al.)が開示する組成物の欠点の1つは、造粒に非水溶媒を使用することにより深刻な乾燥問題が生じ、常に残留溶媒の濃度が高いことである。
【0013】
下記特許文献7(ラコブスキーら)(Hrakovsky et al.)および特許文献8(ラコブスキーら)(Hrakovsky et al.)には、a)湿式造粒脂肪族アミンポリマーとb)少なくとも1種医薬品賦形剤とを含む医薬組成物が開示されている。また、ラコブスキー(Hrakovsky)は、造粒用溶液を用いて錠剤を製作する方法も開示しており、かかる造粒用溶液は、約82%〜約95%のエタノール(95%)および約5%〜約18%の水から調製されるエタノール/水溶液である。造粒液は18%未満の含水率であるが、かかる溶液の主成分(エタノールまたはアルコール)により生成物の残留アルコール濃度は非常に高くなるはずであり、セベラマー塩酸塩およびセベラマー炭酸塩の錠剤のような高用量製品用には許容できない。
【0014】
下記特許文献9(バルビエら)(Barbier et al.)には、リパーゼ阻害剤と医薬的に許容可能な胆汁酸封鎖剤とを含む医薬組成物が開示されており、医薬的に許容可能な胆汁酸封鎖剤は、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム、コレスチミド、セベラマー誘導体、セルロース誘導体、デキストラン誘導体、デンプンおよびデンプン誘導体、ならびにそれらの医薬的に許容可能な塩から成る群から選択される。使用されている結合剤は、セルロースまたはデキストラン誘導体である。デキストラン誘導体は、DEAEセルロース、グアニジノエチルセルロースおよびDEAEセファデックスから成る群から選択されている。デンプン誘導体は、P−またはy−シクロデキストリン、老化(後退)および/または分解デンプン、疎水性デンプン、アミロース、デンプン−ジエチルアミノエチルエーテルおよびデンプン−2−ヒドロキシエチルエーテルから成る群から選択される。
【0015】
下記特許文献10(タイラーら)(Tyler et al.)には、コアとその被膜とを含む錠剤が開示されており、コアの少なくとも約95重量%は、非置換およびN−置換のポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)およびポリ(ビニルアミン)から成る群から選択される脂肪族アミンポリマーである。錠剤に使用されるポリアリルアミンは水和されており、約3%〜10%の含水率である。また、かかる組成物には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび可塑剤も使用されている。
【0016】
先行技術において開示されるセベラマー塩酸塩およびセベラマー炭酸塩塩酸塩の錠剤では、錠剤または錠剤コアを形成するために、リン酸塩結合性の有効成分が約1〜14%の含水率を有することが必要となる。リン酸塩結合剤は、エピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミンから化学的に誘導され、水と接触し次第、高い膨潤能を示す。かかる水分処理済または含水性の有効成分は、先行技術の錠剤作製工程の重要な要素の1つである。
【0017】
架橋ポリアリルアミンベース化合物の固有の特性は、水および/または溶媒の吸収を通じて膨潤することである。膨潤は可逆過程であり、膨潤した材料は、吸収された溶媒が蒸発により除去され次第、常に元の状態に戻る。したがって、湿潤架橋ポリアリルアミン化合物の含水率を約6%にするという先行技術の要件は、薬剤物質の貯蔵寿命全体にわたって維持するには非常に困難である。その上、湿膨張性の薬剤物質の粒子径を制御することは、非常に困難であり、めったに再現できず、常に工程パラメータに不確実性を加える。コレセベラム塩酸塩(FDAにより承認され米国内で「ウェルコール(Welchol)(登録商標)」というブランド名で販売されている)の錠剤は、賦形剤の1種として微結晶セルロースを含有する。微結晶セルロースは非水溶性であり、よって経口投与した場合、胃腸管内に不溶性粒子として残る。下記特許文献11(参照)には、不溶性セルロースが胆汁酸と永続的に結合することが開示された。したがって、セルロース自体が胆汁酸結合剤であるため、それは、コレセベラム塩酸塩の胆汁酸の結合能を間違いなく妨害するはずであり、この妨害により用量評価はひどく不適切なものになるはずである。完全経口剤形のコレセベラム塩酸塩を所期の用量強度にするためには、胆汁酸と結合しない賦形剤を用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第7014846号明細書
【特許文献2】米国特許第6733780号明細書
【特許文献3】欧州特許第0997148号明細書
【特許文献4】米国特許第6383518号明細書
【特許文献5】国際公開第01/28527A2号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2008/062437A2号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2007/094779A1号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願公開番号2007/190020A1号明細書
【特許文献9】米国特許第6756364号明細書
【特許文献10】カナダ特許第2387915A1号明細書
【特許文献11】米国特許第5091192号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
先行技術における問題を解決するために、本発明では、実質的に乾燥状態または水和状態の架橋ポリアリルアミンベース薬剤物質を使用することにより経口剤形(錠剤、キャプレット、カプセル、粉末だけでなく、当技術分野において理解されているその他の剤形のような)を作製するための組成物および工程を開示する。本発明では、結合剤/充填剤としてポリヒドロキシ化合物を使用して実質的に乾燥状態または著しく湿潤状態の架橋ポリアリルアミン塩の直接圧縮錠剤を形成することに加えて、かかる塩を作製する工程も開示する。
【0020】
加えて本発明では、水ベース賦形剤としてポリオールを使用すること、および、かかるポリオールを架橋ポリアリルアミン塩に加えて実質的に乾燥状態または水和状態の架橋ポリアリルアミンベースの薬剤物質を形成することも開示する。かかる形成は、高リン血症の治療および/またはコレステロールの低減に役立ち、有利な錠剤化利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、次の組成物を提供する。すなわち、高リン血症の治療および/またはコレステロールの低減に役立つ少なくとも1種の実質的に乾燥状態または水和状態の架橋ポリアリルアミンベースの有効成分と、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、蔗糖、デキストロース、デキストレート、麦芽糖、イソマルト、マルトデキストリン、ラクチトール、単糖、二糖、ポリエチレングリコールなどの水溶性充填剤材料から成る群から選択される1種以上の賦形剤と、随意の水および随意の潤滑剤と、ポリアリルアミンベースの有効成分と併用するために知られているその他の賦形剤と、を含有する経口剤形用の組成物である。かかる経口剤形は、経粘膜トローチ(ロゼンジ)剤、舌下錠、経口錠、速崩壊錠、キャプレット、ハードカプセル、ソフトカプセル、カシェ剤、トローチ剤または可溶性錠剤だけでなく、また、当技術分野において知られているその他の剤形から成っていてもよい。
【0022】
好ましい実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の架橋ポリアリルアミン塩と、ポリオールである少なくとも1種の水溶性賦形剤とを含む。
さらに、組成物は、少なくとも1種の潤滑剤、少なくとも1種の添加剤および/または水を含んでもよい。架橋ポリアリルアミン塩は、セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩またはコレセベラム塩酸塩であってもよい。潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛もしくはステアリルフマル酸ナトリウムまたはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。添加剤は、二酸化ケイ素、塩化ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムまたはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
【0023】
組成物を粉砕して錠剤または錠剤コアにしてもよい。架橋ポリアリルアミン塩の分量は、約60〜90重量%でもよい。少なくとも1種の賦形剤の分量は、約5〜35重量%である。少なくとも1種の賦形剤は、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、デキストロース、蔗糖、デキストレート、イソマルト、麦芽糖、ラクチトール、マルトデキストリン、ポリエチレングリコール、単糖または二糖から成る群から選択してもよい。
【0024】
また、架橋ポリアリルアミン塩は含水率が3%未満でもよい。架橋ポリアリルアミン塩の粒子径は、400ミクロン未満であってもよく、より好ましくは250ミクロン未満であってもよく、最も好ましくは150ミクロン未満であってもよい。
また、本発明では、かかる錠剤および/または錠剤コアを作製する方法および工程も開示し、かかる方法および工程では、セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩もしくはコレセベラム塩酸塩またはこれらの塩の組み合わせのような実質的に乾燥状態または著しく湿潤状態の架橋ポリアリルアミン塩を使用するともに、この塩または塩混合物を、医薬的に許容可能な結合剤と、また、随意に水とも組み合わせる。本発明において開示する1つの特定の実施形態では、次の固体医薬剤形の組成物を提供する。すなわち、セベラマー塩酸塩またはセベラマー炭酸塩またはコレセベラム塩酸塩とともに、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、蔗糖、デキストロース、デキストレート、麦芽糖、イソマルト、マルトデキストリン、ラクチトール、単糖、二糖、ポリエチレングリコールなどのような水溶性充填剤材料から成る群から選択される結合剤、随意の水および随意の潤滑剤、またはそれらの組み合わせも含む固体医薬剤形の組成物である。
【0025】
好ましい実施形態は、高リン血症の治療および/またはコレステロールの低減に役立つ少なくとも1種の架橋ポリアリルアミン塩を含む錠剤型混合組成物を作製する方法を伴い、かかる方法は、(a)実質的に乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩を粉砕して所期の粒子径にするステップと、(b)少なくとも1種の水溶性賦形剤を混ぜ合わせるステップと、(c)随意にステップ(a)または(b)の後、水を混ぜ合わせるステップと、(d)随意に、ステップ(c)で得られた混合物に添加剤および/または潤滑剤を混ぜ合わせるステップと、を備える。
【0026】
さらに、本方法は、ステップ(a)の前に、前記架橋ポリアリルアミンを400ミクロン未満の粒子径に細粒化するステップを備えてもよい。より好ましくは、かかるステップは、架橋ポリアリルアミン塩を250ミクロン未満の粒子径に細粒化し、最も好ましくは150ミクロン未満に細粒化する。
さらに本方法は、架橋ポリアリルアミン塩に水を加えるステップを備えてもよい。さらに本方法は、前記錠剤または前記錠剤コアを被覆(コーティング)するステップを伴ってもよい。さらに本方法は、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、デキストロース、蔗糖、デキストレート、ポリエチレングリコール、単糖もしくは二糖またはそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の水溶性賦形剤を有してもよい。
【0027】
さらに本方法は、ステップ(a)またはステップ(b)の混合物に水を混ぜ合わせるステップを備えてもよい。さらに本方法は、ステップ(c)で得られた混合物に添加剤もしくは潤滑剤またはその両方を混ぜ合わせるステップを備えてもよい。
好ましい実施形態では、本方法において使用する架橋ポリアリルアミン塩は含水率が3%未満である。
【0028】
本発明の実施形態は、次のステップを備えた組成物の作製方法を伴う。すなわち、(1)少なくとも1種の実質的に乾燥状態または水和状態の架橋ポリアリルアミン塩に少なくとも1種の賦形剤を混ぜるステップと、(2)ステップ(1)で得られた混合物に任意に水を混ぜるステップと、(3)ステップ(2)で得られた混合物を錠剤化するステップである。
【0029】
賦形剤は、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、蔗糖、デキストロース、デキストレート、麦芽糖、イソマルト、マルトデキストリン、ラクチトール、ステビア(天然甘味料)、単糖、二糖、ポリエチレングリコール、水またはそれらの組み合わせのような水溶性充填剤材料から成る群から選択してもよい。
架橋ポリアリルアミン塩は、セベラマー、セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩もしくはコレセベラム塩酸塩またはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
【0030】
さらに本方法は、本方法のステップ(3)に潤滑剤を加えるステップを備えてもよい。潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、金属塩またはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。金属塩は、ナトリウム、マグネシウムもしくはカルシウムの塩またはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
【0031】
本方法は、乾燥ステップを伴わなくてもよく、打錠機を用いて組成物を錠剤化するステップを伴ってもよい。また、錠剤化する時に外部潤滑剤を使用してもよい。
本発明の別の実施形態は、少なくとも1種の実質的に乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩に少なくとも1種の賦形剤を混ぜるとともに生成物の一部としての水も混ぜるステップを備えた組成物の作製方法を伴う。
【0032】
本発明の組成物は、高リン血症の治療またはコレステロールの低減に役立つものであってもよい。組成物中の賦形剤は、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、蔗糖、デキストロース、デキストレート、麦芽糖、イソマルト、マルトデキストリン、ラクチトール、単糖、二糖、ポリエチレングリコールまたはそれらの組み合わせのような水溶性充填剤材料から成る群から選択してもよい。
【0033】
架橋ポリアリルアミン塩は、セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩、セベラマー重炭酸塩もしくはコレセベラム塩酸塩またはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
さらに本方法は、少なくとも1種の実質的に乾燥状態または水和状態の架橋ポリアリルアミン塩に少なくとも1種の水溶性賦形剤および水を混ぜるステップに、潤滑剤を加えるステップを含んでもよい。潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムまたは金属塩から成る群から選択してもよい。金属塩は、ナトリウム、マグネシウムもしくはカルシウムの塩またはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
【0034】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1種の実質的に乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩と、少なくとも1種の賦形剤と、水とを含む組成物を伴う。
少なくとも1種の賦形剤は、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、蔗糖、デキストロース、デキストレート、麦芽糖、イソマルト、マルトデキストリン、ラクチトール、単糖、二糖、ポリエチレングリコールなどまたはそれらの組み合わせのような水溶性充填剤材料から成る群から選択してもよい。
【0035】
随意に、本発明において開示する組成物は、塩基の水溶性酸付加塩の群から選択される添加剤を含有する。酸付加塩は、塩化ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムまたは塩化アンモニウム、ハロゲン化テトラアルキルアンモノウムである。本発明において開示する1種の組成物は、添加剤として二酸化ケイ素を含有する。
組成物は、ヒトに投与してもよく、高リン血症の治療またはコレステロールの低減のために投与してもよい。また、組成物を用いて、当技術分野において知られているその他の疾病を治療してもよい。
【0036】
錠剤の架橋ポリアリルアミン塩は、セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩もしくはコレセベラム塩酸塩またはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
さらに、組成物は潤滑剤を含んでもよい。潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムまたは金属塩から成る群から選択してもよい。
【0037】
金属塩は、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムまたはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
組成物は、経粘膜トローチ剤、舌下錠、経口錠、速崩壊錠、キャプレット、ハードカプセル、ソフトカプセル、カシェ剤、トローチ剤もしくは可溶性錠剤またはそれらの組み合わせから成る群から選択される剤形で投与してもよい。
【0038】
また、本発明は、(a)少なくとも1種の実質的に乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩、少なくとも1種の水溶性賦形剤および水の組成物と、(b)剤形での投与について指示するラベルと、を備えた血液疾患治療用キットにも関する。
キットは、高リン血症の治療および/またはコレステロールの低減のために使用してもよい。キットにおいて示す剤形は、経粘膜トローチ剤、舌下錠、経口錠、速崩壊錠、キャプレット、ハードカプセル、ソフトカプセル、カシェ剤、トローチ剤もしくは可溶性錠剤またはそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
【0039】
本発明のその他の目的ならびに本発明に特有の特徴および利点は、下記の図面および付随する詳細な説明を検討することにより、より明らかになる。当然のことながら詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しながらも、例示目的のためにのみ意図されたものであり本発明の範囲を限定するように意図されたものでない。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ポリアリルアミンベースのリン酸塩および/または胆汁酸結合剤は、結合剤が吸収する溶媒の量が異なる膨潤特性を有する。約1%〜約14%の含水率の架橋ポリアリルアミンベース有効成分とともに一般的な乾燥賦形剤(結合剤、充填剤、および当技術分野で知られている錠剤化用のその他の賦形剤のような)を用いて錠剤を作製することは、有効成分の含水率が大幅な(1〜14%)変動を採用すると、非常に困難である。かかる作製のためには、充填剤/結合剤賦形剤の量を、錠剤重量を維持するために十分なほど大幅に変動させることが必要となる。
【0041】
含水率の範囲の広い架橋ポリアリルアミン塩の錠剤において、賦形剤を10重量%未満に調整した実際の効果を表1に示す。例えば、所与の800mg強度の錠剤重量について、含水率が14%の架橋ポリアリルアミン塩を含有し賦形剤を錠剤重量の5%にすると、錠剤の総重量を960mgにするためには約48mgの賦形剤が必要となる。含水率が1%未満の薬剤を用いて同サイズの錠剤を作製するために必要な賦形剤の量は約160mgである。これは、14%の含水率で作製する錠剤用に必要な賦形剤の量の約4倍である。錠剤重量を維持するために賦形剤の量がこのように大幅に変動する場合には、薬剤物質の含水率が様々であるため、選択する賦形剤の選定には特に注意する必要がある。選定賦形剤が水との接触により薬剤と著しく相互作用する場合、賦形剤の量が4倍にまで変動することは、錠剤特性に対して多大な影響を与えるはずである。いずれも先行技術においても、架橋ポリアリルアミン塩を用いて錠剤を作製する際のかかる困難さは開示されていない。
【0042】
本発明では、新規な組成物を開示することにより、上記の問題に新規な解決法を提供する。かかる組成物では架橋ポリアリルアミン塩は、水と接触し次第、少なくとも賦形剤と相互作用する。架橋ポリアリルアミン塩の錠剤を作製するために適したものとして本発明において開示する賦形剤は、ポリヒドロキシ化合物のような水溶性賦形剤である。錠剤の崩壊性の改善に役立つように、かかるヒドロキシ化合物には、結合剤を使用することに加えて、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、二酸化ケイ素のような添加剤も単体で又は組み合わせて使用してもよい。クロスカルメロースナトリウム、ポビドンおよびグリコール酸デンプンナトリウムのような崩壊剤を使用した場合、不適切な崩壊を呈し雲状のかたまりを形成することが分かっている。
【0043】
【表1】

【0044】
一般的に使用されている賦形剤のほとんどは、この要件を満たしておらず、必要な硬度および崩壊特性を有する直接圧縮錠剤は形成されないはずである。錠剤を作製する試みにおいて、含水率が約3%で平均粒子径が約250〜500ミクロンのセベラマー塩酸塩と、乳糖またはデンプンのような賦形剤とを使用した。かかる賦形剤は、相対的に軟弱で容易に分解する。かかる錠剤は製造に適していない。また、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウムおよびポビドンのような一般的に使用されている崩壊剤を用いて製作した錠剤も、崩壊剤なしで作製した錠剤に比べて不十分な崩壊特性を示すことが分かっている。これらの崩壊剤は、本質的にイオン性であり、水中で膨潤して崩壊特性を示す傾向がある。
【0045】
本発明の1つの実施形態に従って、次のことが分かっている。すなわち、架橋ポリアリルアミン塩の錠剤の作製に崩壊剤を使用した場合、架橋ポリアリルアミン塩と崩壊剤との強力なイオン性相互作用により錠剤面の周囲にイオン雲が形成されることによって、錠剤の崩壊が抑制される。ポビドンの使用は、イオンクラスター相互作用により薬剤粒子がひとまとめにされ錠剤の迅速な崩壊が不可能となるため、最悪の効果を有する。よって、セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩、コレセベラム塩酸塩のようなイオン性賦形剤を使用すると、水との接触により、イオン性ポリマー薬剤粒子の周囲にクラスターが形成され、よって、水性媒体内での粒子の崩壊が抑制される。本発明では、水溶性ポリヒドロキシ化合物を提供して錠剤を形成することにより、薬剤である架橋ポリアリルアミン薬剤物質と賦形剤との間のイオン性相互作用を克服する解決法を開示してきた。かかる水溶性賦形剤は、水と接触し次第、水に溶解し、自己崩壊性の架橋ポリアリルアミン塩薬剤物質を放出する。
【0046】
架橋ポリアリルアミン塩の錠剤作製に適することが分かっているポリヒドロキシ化合物は、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、デキストロース、蔗糖、デキストレート、イソマルト、麦芽糖、ラクチトール、マルトデキストリン、ポリエチレングリコール、単糖および二糖である。代替方法は、有機溶媒と水との混合物を用いる湿式造粒法であり、この方法は、良質の錠剤を作製する工程を提供するものの、より高い濃度の残留有機溶媒が錠剤に含まれて乾燥によっては除去できず、したがって投与には許容できない。
【0047】
粒子径の制御とともに有効成分の含水率の制御は、固体剤形の作製において重要な2つのパラメータである。特に、水膨潤性の高分子有効成分を用いる場合、粒子径を制御するとともに指定の含水率を維持することは困難であり、常に品質問題を引き起こす。かかる大用量の膨潤性ポリマーを一般的な賦形剤とともに直接圧縮することにより錠剤にした場合、錠剤は軟弱となり、錠剤について定められた最低品質基準を満たすことはできない。湿潤セベラマー塩酸塩を用いて錠剤を作製するために適した賦形剤のほとんどは、乾燥セベラマー塩酸塩を用いて錠剤を作製するためには適していない。この問題点を回避するために、ほとんどの先行技術では、約6%の含水率のセベラマー塩酸塩を使用して許容可能な物理的特性の錠剤を形成してきた。
【0048】
水和状態の架橋ポリアリルアミン塩の粒子径制御は、一般に、実質的に乾燥状態の材料の粒子径制御よりも困難である。水和状態の材料は、粉砕すると、かたまりを形成する。このような事情で、含水率が約6%〜約14%の水和状態の架橋ポリアリルアミン塩の細粒化制御が、大規模操業において達成困難であるのに対して、約0.1%〜3%の低含水率の乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩の細粒化は、ずっと単純であり拡大操業向けに容易である。実質的に乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩は、それ以上湿気を吸わないよう窒素存在下においてフィッツミル/フィッツシーブ(ふるい)(Fitz mill)/(Fitz sieve)で粉砕してもよい。粉砕された架橋ポリアリルアミン塩の粒子径分布は、約400μm未満でもよく、好ましくは250μm未満、より好ましくは100μm、最も好ましくは75μmでもよい。実質的に乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩を用いる直接圧縮錠剤剤形の調製は、水溶性ポリヒドロキシ化合物である適切な賦形剤とかかる塩とを組み合わせることにより行ってもよい。
【0049】
乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩を使用する利点は、(1)複数ロット間において一貫した粒子径制御が再現されること、(2)付加的な水を加えることにより混合物の所期の含水率が達成されることである。
セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩およびコレセベラム塩酸塩のような架橋ポリアリルアミン塩の実質的に硬質の錠剤を作製する新規な組成および工程は、混ぜ合わせ工程において特定の賦形剤を用いるとともに随意に付加的な水も用いて、発明の開示内容に従って行うことができる。本発明の実施形態では、セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩、コレセベラム塩酸塩のような架橋ポリアリルアミン塩とともに医薬的に許容可能な水溶性充填剤を用いて、また、随意に潤滑剤および/または水も加えて、錠剤または錠剤コアを作製する工程を開示する。
【0050】
また、本発明では次のことも開示される。すなわち、セベラマー塩酸塩と、ソルビトールと、随意に添加剤および/または潤滑剤(ステアリン酸塩のような)とを用いて錠剤を作製すると、より強固となり、硬度のまさる錠剤が得られる。本発明の1つの実施例では、約0.5%の含水率のセベラマー塩酸塩にソルビトールを混ぜ合わせ、固着もしくは欠けまたは抜き出し(放出、噴出)の問題のない錠剤にする。かかる錠剤は平滑で、非常に硬度が高く、溶解媒体内では10分未満の時間期間で崩壊する。かかる錠剤化工程は、何の困難もなく容易に製造規模に改変できる。本発明の別の実施例では、湿潤セベラマー塩酸塩(含水率約10%)を使用してソルビトールを混ぜ、打錠して、実質的に乾燥状態のセベラマー塩酸塩(含水率約0.5%)を用いて作製した錠剤と同じ重量の錠剤にした。ソルビトールおよび乾燥状態または水和状態のセベラマー塩酸塩を用いて作製した錠剤は、物理的にほぼ同じ特性を有し、優れた錠剤特性および優れた錠剤化工程特性(真に最小の抜き出し圧力、打錠時の一貫した形成(打錠工程により錠剤が破損しない)、硬度、平滑さ、およびその他の所期の錠剤化工程特性のような)を示す。
【0051】
本発明の工程は、錠剤の作製工程を信頼性があり且つ一貫して再現できるものにするために、ポリアリルアミンベース有効成分と少なくとも1種のポリオール充填剤および/または湿潤崩壊剤とを混ぜ合わせる際に水の使用を伴う。混ぜ合わせに外部水を使用することにより、略水溶性の賦形剤の選択を促す。崩壊剤のような賦形剤は、その特性として水を吸収し膨潤性を示す。崩壊剤は通例、水分保持に役立つが、セベラマー塩酸塩の錠剤形成にかかる崩壊剤を使用すると、ポリマー粒子を錠剤の形にまとめておくためには役立つものの、水媒体内では不十分な崩壊性しか示さない。また、錠剤を形成するための付加的な水の使用も、付加的な水により混合物の体積が著しく膨張して錠剤重量の調整問題が生じるため、非常に重大な問題となる可能性がある。クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、ポビドンなどのような崩壊剤は、そのイオン性により、錠剤の周囲に雲状の層を形成し、錠剤は、セベラマー塩酸塩粒子の崩壊を妨げられる。しかしながら、セベラマー塩酸塩およびソルビトールを用いて崩壊剤を追加せずに作製した錠剤は、卓越した硬度だけでなく均等な崩壊も示すことが分かっている。架橋ポリアリルアミン塩自体が膨潤特性を有し、水溶性結合剤を使用すると、薬剤粒子を一緒に結合させて錠剤の形にするために役立ち、錠剤の粒子は、賦形剤が溶解し次第、水性媒体内に放出される。本発明に従って、水溶性の架橋ポリアリルアミン塩錠剤の作製に適した賦形剤、およびかかる賦形剤の溶解性を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
本発明において開示する特定の実施形態では、架橋ポリアリルアミン塩と、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、デキストロース、デキストレート、ポリエチレングリコール、蔗糖、単糖、二糖の群から選択される1種以上の賦形剤から選択される充填剤と、随意に潤滑剤および/または水と、を含む医薬品固体剤形の組成物を提供する。
【0054】
本発明の1つの実施形態に従って、セベラマー塩酸塩、セベラマー炭酸塩およびコレセベラム塩酸塩の群から選択される少なくとも1種の架橋ポリアリルアミンベース成分と、ポリオールと、随意に添加剤および/または潤滑剤と、を含む医薬錠剤または医薬錠剤コアの組成を開示する。本発明において開示するポリオールは、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、デキストロース、デキストレート、ポリエチレングリコール、蔗糖または類似のポリヒドロキシ化合物の群から選択したものである。添加剤は、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは二酸化ケイ素である。架橋ポリアリルアミン塩と水との総量は、混合物重量の約90%未満である。
【0055】
1つの実施形態に従って、下記のステップを備えたセベラマー塩酸塩の錠剤または錠剤コアの作製工程を開示する。すなわち、
1.実質的に乾燥状態のセベラマー塩酸塩を粉砕して細粒化するステップと、
2.粉砕した材料に、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、蔗糖、麦芽糖、デキストロース、デキストレート、ポリエチレングリコールの群から選択される少なくとも1種のポリオールを混ぜ合わせるステップと、
3.随意に、ステップ2で得られた混合物に添加剤および/または潤滑剤を混ぜ合わせるステップと、
4.打錠機を用いて直接圧縮により錠剤を作製するステップと
である。
【0056】
随意に、上記ステップ2の前または後に、粉砕した乾燥状態のセベラマー塩酸塩に約2%〜8%の水を加えて水和させる。水溶性ポリヒドロキシ化合物を使用すると、基剤全体にわたって水を均等に分布させるために役立つ。
使用する潤滑剤は、当技術分野において知られている潤滑剤のなかでも特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムである。本発明の工程により作製される錠剤は、非常に硬度が高く、優れた崩壊特性を示す。かかる錠剤は、医薬的に許容可能な適切な被膜混合物により被覆してもよい。
【0057】
使用する添加剤は、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、二酸化ケイ素またはそれらの組み合わせである。
また、セベラマー炭酸塩またはコレセベラム塩酸塩の錠剤コアを調製するために、同様の手順を用いてもよい。本発明の工程に従って調製した錠剤を、37°Cの水に入れて崩壊時間を試験する。
実施例:
1.セベラマー塩酸塩錠剤の調製
約42.5gのセベラマー塩酸塩(含水率約6%、粒子径250μm未満)に8gのクロスカルメロースナトリウムを混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。この混合物に約1.5gの水を加え、よく混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、3分間混ぜ合わせた。約522mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:25mg)
クロスカルメロースナトリウム:80mg
付加した水:15mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:15分
2.セベラマー炭酸塩錠剤の調製
約42.5gのセベラマー炭酸塩(含水率約6%、粒子径250μm未満)に8gのクロスカルメロースナトリウムを混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、3分間混ぜ合わせた。約507mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー炭酸塩:400mg
(セベラマー炭酸塩由来の水:25mg)
クロスカルメロースナトリウム:80mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:15分
3.セベラマー塩酸塩錠剤の調製
約40.3gの乾燥セベラマー塩酸塩(含水率0.5%未満、粒子径100μm未満)に8gのポビドンを混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、3分間混ぜ合わせた。約482mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:3mg)
ポビドン:77mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:30分
4.セベラマー塩酸塩錠剤の調製
約42.5gのセベラマー塩酸塩(含水率約6%、粒子径100μm未満)に8gのポリエチレングリコール8000を混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、3分間混ぜ合わせた。約507mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:25mg)
ポリエチレングリコール8000:80mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:5分
5.実質的に水和状態のセベラマー塩酸塩を用いるセベラマー塩酸塩錠剤の調製
約44gのセベラマー塩酸塩(含水率約10%、粒子径75μm未満)に10gの噴霧乾燥ソルビトール(ロケット(Roquette)社製ネオソルブ(Neosorb)P60W)を混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約542mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:40mg)
ソルビトール:100mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:4分
また、800mgのセベラマー塩酸塩に相当する錠剤を形成するために、1084mgの当該混合物を用いて錠剤を作製した。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:800mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:80mg)
ソルビトール:200mg
ステアリン酸ナトリウム:4mg
37°Cの水への崩壊時間:9分
6.セベラマー炭酸塩錠剤の調製
約40.2gのセベラマー炭酸塩(含水率約0.4%、粒子径100μm未満)に2.0gの二酸化ケイ素(シペルナット)(SIPERNAT)および12.5gの噴霧乾燥ソルビトール(ロケット(Roquette)社製ネオソルブ(Neosorb)P60W)を混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約549mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー炭酸塩:400mg
(セベラマー炭酸塩由来の水:2mg)
ソルビトール:125mg
二酸化ケイ素:20mg
37°Cの水への崩壊時間:3分
7.セベラマー炭酸塩錠剤の調製
約40.2gの乾燥セベラマー炭酸塩(含水率約0.4%、粒子径100μm未満)に2.0gの二酸化ケイ素(シペルナット)(SIPERNAT)および12.5gの噴霧乾燥ソルビトール(ロケット(Roquette)社製ネオソルブ(Neosorb)P60W)を混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約100mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約549mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー炭酸塩:400mg
(セベラマー炭酸塩由来の水:2mg)
ソルビトール:127mg
二酸化ケイ素:10mg
ステアリン酸ナトリウム:8mg
37°Cの水への崩壊時間:4分
8.実質的に乾燥状態のセベラマー塩酸塩を用いるセベラマー塩酸塩錠剤の調製
約40.3gの乾燥セベラマー塩酸塩(含水率約0.5%、粒子径100μm未満)に13.7gの噴霧乾燥ソルビトール(ロケット(Roquette)社製ネオソルブ(Neosorb)P60W)を混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約542mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:3mg)
ソルビトール:137mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:4分
また、800mgのセベラマー塩酸塩に相当する錠剤を形成するために、1084mgの当該混合物を用いて錠剤を作製した。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:800mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:6mg)
ソルビトール:274mg
ステアリン酸ナトリウム:4mg
37°Cの水への崩壊時間:8分
9.添加剤を用いるセベラマー塩酸塩錠剤の調製
約40.3gの乾燥セベラマー塩酸塩(含水率約0.5%、粒子径100μm未満)に1.0gの二酸化ケイ素(シペルナット)(SIPERNAT)および13.7gの噴霧乾燥ソルビトール(ロケット(Roquette)社製ネオソルブ(Neosorb)P60W)を混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約400mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約554mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:3mg)
二酸化ケイ素:10mg
ソルビトール:137mg
ステアリン酸ナトリウム:4mg
37°Cの水への崩壊時間:1.4分
また、800mgのセベラマー塩酸塩に相当する錠剤を形成するために、1108mgの当該混合物を用いて錠剤を作製した。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:800mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:6mg)
二酸化ケイ素:20mg
ソルビトール:274mg
ステアリン酸ナトリウム:8mg
37°Cの水への崩壊時間:3分
10.コレセベラム塩酸塩錠剤の調製
約41.6gのコレセベラム塩酸塩(含水率約4%、粒子径75μm未満)に1.0gの二酸化ケイ素、10gのソルビトールを混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸マグネシウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約528mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
コレセベラム塩酸塩:400mg
(コレセベラム塩酸塩由来の水:16mg)
二酸化ケイ素:10mg
ソルビトール:100mg
ステアリン酸マグネシウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:4分
11.セベラマー塩酸塩錠剤の調製
約41.2gのセベラマー塩酸塩(含水率約3%、粒子径100μm未満)に1gの塩化ナトリウム粉末および12.5gの砂糖6Xを混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約549mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:12mg)
砂糖6X:125mg
塩化ナトリウム:10mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:3分
12.セベラマー塩酸塩錠剤の調製
約41.2gのセベラマー塩酸塩(含水率約3%、粒子径100μm未満)に1.0gの炭酸ナトリウムおよび12.5gのマンニトール(ペアリトール)を混ぜ、約5分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約549mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:12mg)
炭酸ナトリウム:10mg
マンニトール:125mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:5分
13.水の添加によるセベラマー塩酸塩錠剤の調製
約41.2gのセベラマー塩酸塩(含水率約3%)を粉砕して75μ未満の粒子径に細粒化し、造粒ボウルに移して約15分間攪拌しながら2.0gの水を徐々に加え、さらに12.5gのマンニトールを混ぜ、約10分間混ぜ合わせた。約200mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約559mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:12mg)
マンニトール:125mg
付加した水:20mg
ステアリン酸ナトリウム:2mg
37°Cの水への崩壊時間:8分
14.水の添加によるセベラマー塩酸塩錠剤の調製
約41.2gのセベラマー塩酸塩(含水率約3%)を粉砕して75μ未満の粒子径に細粒化し、造粒ボウルに移して約15分間攪拌しながら2.0gの水を徐々に加え、さらに12.5gのマンニトールを混ぜ、約10分間混ぜ合わせた。約2.0gのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約557mgの当該混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:12mg)
マンニトール:125mg
付加した水:20mg
ステアリン酸ナトリウム:20mg
37°Cの水への崩壊時間:8分
15.水の添加によるセベラマー塩酸塩錠剤の調製
約41.2gのセベラマー塩酸塩(含水率約3%)を粉砕して75μ未満の粒子径に細粒化し、造粒ボウルに移して12.5gのソルビトールと約10分間混ぜ合わせ、さらに約15分間攪拌しながら2.5gの水を徐々に加えて混ぜ合わせ、さらに約10分間混ぜ合わせた。約400mgのステアリン酸ナトリウムを加え、2分間混ぜ合わせた。約551mgの混合物を金型に移し約3トンの圧力で打ち出すことにより錠剤にした。
錠剤コアの組成:
セベラマー塩酸塩:400mg
(セベラマー塩酸塩由来の水:12mg)
ソルビトール:125mg
付加した水:25mg
ステアリン酸ナトリウム:4mg
37°Cの水への崩壊時間:4分
本発明を、その特定の実施形態に関連して具体的に説明してきたが、これは限定のためではなく例示のためであり、当然のことながら形態および詳細に関しては様々な変更および修正が可能であり、添付の特許請求の範囲は、先行技術により許容される限り広く解釈されるべきである。
【0058】
本発明の説明は、単に例示的な性質のものに過ぎず、よって、本発明の趣旨から逸脱していない変化形は、本発明の範囲内に含めることが意図される。かかる変化形が本発明の趣旨および特許請求の範囲からの逸脱と見なされることはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高リン血症の治療またはコレステロールの低減に役立つとともに、
少なくとも1種の架橋ポリアリルアミン塩と、ポリオールである少なくとも1種の水溶性賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の架橋ポリアリルアミン塩を含むととともに、高リン血症の治療および/またはコレステロールの低減に役立つ錠剤型混合組成物を作製する方法であって、
(a) 実質的に乾燥状態の架橋ポリアリルアミン塩を粉砕して所期の粒子径にするステップと、
(b)少なくとも1種の水溶性賦形剤を混ぜ合わせるステップと、
(c)随意に、ステップ(a)または(b)の後、水を混ぜ合わせるステップと、
(d)随意に、ステップ(c)で得られた混合物に添加剤および/または潤滑剤を混ぜ合わせるステップと、を備えた方法。
【請求項3】
ステップ(a)が、前記架橋ポリアリルアミンを400ミクロン未満の粒子径に細粒化するステップをさらに備えた、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記架橋ポリアリルアミン塩に水を加えるステップをさらに備えた、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の潤滑剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
水をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記架橋ポリアリルアミン塩が、セベラマー塩酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋ポリアリルアミン塩が、セベラマー炭酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記架橋ポリアリルアミン塩が、コレセベラム塩酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記潤滑剤が、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、もしくはステアリルフマル酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせから成る群から選択されたものであることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
前記添加剤が、二酸化ケイ素、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたはそれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
当該組成物が、直接圧縮されて錠剤または錠剤コアにされたものであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記架橋ポリアリルアミン塩の分量が、約60重量%〜90重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の賦形剤の分量が、約5重量%〜35重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の賦形剤が、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、デキストロース、蔗糖、デキストレート、イソマルト、麦芽糖、ラクチトール、マルトデキストリン、ポリエチレングリコール、単糖または二糖から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記錠剤または錠剤コアが、被覆されていることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種の水溶性賦形剤が、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、デキストロース、蔗糖、デキストレート、ポリエチレングリコール、単糖、もしくは二糖、またはそれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(a)またはステップ(b)の混合物に、水を混ぜ合わせるステップをさらに備えた、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(c)で得られた混合物に、添加剤もしくは潤滑剤またはその両方を混ぜ合わせるステップをさらに備えた、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
高リン血症の治療またはコレステロールの低減に役立つ少なくとも1種の架橋ポリアリルアミン塩と、少なくとも1種の水溶性賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項22】
前記架橋ポリアリルアミン塩の含水率が3%未満であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。

【公表番号】特表2012−531415(P2012−531415A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517569(P2012−517569)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/038258
【国際公開番号】WO2010/151439
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511314625)ナビンタ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】