説明

架橋ポリアルキレンオキシド及び親水性吸水剤を含む感圧接着剤組成物

従って、本発明は、架橋ポリアルキレンオキシドポリマーを含む連続相及び親水性吸水剤を含む不連続相から成る感圧接着剤組成物であって、a)該親水性吸水剤が全接着剤組成物の1〜40%w/wの間の量にて存在し、そしてb)該連続相が付加反応触媒の存在下で行われた反応生成物(X)であって、(i)1個又はそれ以上の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーであって、該ポリアルキレンオキシドポリマーの90%w/w超が3個又はそれ以上の炭素原子を有する重合されたアルキレンオキシド部から成るポリアルキレンオキシドポリマー及び(ii)1個又はそれ以上のSi−H基を含むオルガノシロキサンの反応生成物(X)を含む感圧接着剤組成物に関する。本発明はまた、かかる感圧接着剤を含む医用器具に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ポリアルキレンオキシドポリマー及び親水性吸水剤を含む新規感圧接着剤組成物、並びに該感圧接着剤組成物を含む医用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤は、オストミー装具、包帯(創傷用包帯を含めて)、創傷部ドレナージ用包帯、集尿用具、整形外科的装具及び補てつ物のような医用器具を皮膚に取り付けるために長い間用いられている。
【0003】
人間は短期間で20,000g/m2/24時間より多く発汗し得る、ということが報告されている(Main,K.、K.O.Nilsson及びN.E.Skakkebaek,1991,発汗に対する性及び成長ホルモンの欠乏の影響,Scand. J. Clin. Lab Invest,51:475〜480参照)。
【0004】
かくして、皮膚接触型接着剤の湿気処理能力、すなわち接着剤の吸水能及び透湿度の両方が重要である。
【0005】
皮膚接触用に適しているところの高水蒸気透過性を備えた感圧接着剤は、WO2005/032401に記載されている。この特許出願に記載された感圧接着剤組成物は、少なくとも2個の不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドと、Si−H基を含むポリシロキサン架橋剤との反応生成物である。この出願は接着剤中への水溶性ポリマー又は吸収性ポリマーの組込みを示唆しているが、しかし接着剤中に組み込まれるべき水溶性ポリマー又は吸収性ポリマーの量又は種類に関して詳細な記述又は実施例は全くない。接着剤に対して奏する水溶性ポリマー又は吸収性ポリマーの添加の効果についても、明瞭な記載は全くない。
【0006】
本発明による接着剤の連続相用のポリアルキレンオキシドポリマーにおいて、ポリアルキレンオキシドポリマーの90%w/w超は重合された3個又はそれ以上の炭素原子を有するアルキレンオキシド部から成り、ポリアルキレンオキシドは疎水性であるが非常に良好な透湿度を有する。疎水性であるので、本発明による接着剤の連続相に用いられるポリアルキレンオキシドの吸水能はそのままでは低い。
【0007】
熱可塑性エラストマーを基剤とした接着剤のような感圧接着剤に、湿潤粘着性及び吸湿性を接着剤に付与するために、ヒドロコロイドが長い間添加されている。しかしながら、ヒドロコロイド接着剤中における湿気の滞留は、接着剤の膨潤、凝集力の低下、接着力の低下、及び浸食又は崩壊のような接着剤の変化を起こし得る、ということがよく知られている。
【0008】
更に、接着剤へのヒドロコロイドの添加は接着剤のモジュラスを増加し、しかして接着剤は皮膚に優しくなくなり、より硬くなり及び装着がより快適でなくなる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の接着剤の軟らかさ及び耐浸食性を損なわない量の親水性吸水剤を添加することにより、水蒸気透過度及び吸水能における驚くべき高い増加が達成され得る、ということが今般見出された。
【0010】
従って、本発明は、架橋ポリアルキレンオキシドポリマーを含む連続相及び親水性吸水剤を含む不連続相から成る感圧接着剤組成物であって、
a)該親水性吸水剤が、全接着剤組成物の1〜40%w/wの間の量にて存在し、そして
b)該連続相が、付加反応触媒の存在下で行われた反応生成物(X)であって、
(i)1個又はそれ以上の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーであって、該ポリアルキレンオキシドポリマーの90%w/w超が3個又はそれ以上の炭素原子を有する重合されたアルキレンオキシド部から成るポリアルキレンオキシドポリマー、及び
(ii)1個又はそれ以上のSi−H基を含むオルガノシロキサン
の反応生成物(X)を含む感圧接着剤組成物に関する。
【0011】
本発明はまた、かかる感圧接着剤を含む医用器具に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書において用いられる場合、全接着剤組成物とは、不連続相及び連続相を合わせたものを意味する。
【0013】
本明細書において用いられる場合、不連続相は、連続相中に分布されている固体物質(好ましくは微粒子形態で)を意味する。親水性吸水剤は、不連続相の一部である。
【0014】
本明細書において用いられる場合、連続相は、全接着剤組成物から不連続相を差し引いたものに相当する接着剤組成物である。
【0015】
接着剤組成物の透湿度についての数値が本明細書に与えられている場合はいつも、それは、下記の実施例3に従って測定された透湿度である。
【0016】
接着剤組成物の吸水度についての数値が本明細書に与えられている場合はいつも、それは、下記の実施例3に従って測定された吸水度である。
【0017】
接着剤組成物の浸食についての数値が本明細書に与えられている場合はいつも、それは、下記の実施例5に従って測定された浸食である。
【0018】
用語「埋め込まれた」は、1つ又はそれ以上の要素におけるすべての面が本発明の組成物の接着体により覆われているかあるいは1つ又はそれ以上の要素が本発明の組成物の接着体における凹部又は空洞中に置かれそして外側からアクセス可能である場合を意味する。
【0019】
本発明の一つの具体的態様によれば、連続相は、付加反応触媒の存在下で行われた反応生成物(Y)であって、
(ia)少なくとも2個の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーであって、該ポリアルキレンオキシドポリマーの90%w/w超が3個又はそれ以上の炭素原子を有する重合されたアルキレンオキシド部から成るポリアルキレンオキシドポリマー、
(iia)3個又はそれ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤、及び
随意に
(iiia)2個までのSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤
の反応生成物(Y)を含む。
【0020】
本発明の好ましい具体的態様によれば、感圧接着剤の連続相は、WO05/032401に記載されているような接着剤である。
【0021】
本発明の好ましい具体的態様によれば、1個又はそれ以上の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーは、それ故、1個又はそれ以上の不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドである。
【0022】
一つの特定の具体的態様において、本発明の接着剤組成物の連続相は、付加反応触媒の存在下で行われた反応生成物(Z)であって、(ib)少なくとも2個の不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシド、(iib)3個又はそれ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤及び随意に(iiib)2個までのSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤の反応生成物(Z)を含む。
【0023】
本発明の接着剤の連続相は、上記に挙げられた反応生成物、並びに他のポリマー又はポリマー反応生成物のような他の成分を含んでもよい。
【0024】
本発明の一つの好ましい具体的態様において、連続相は、少なくとも60%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも80%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w又は一層好ましくは少なくとも95%w/w又は最も好ましくは少なくとも98%w/wの上記に挙げられた反応生成物を含む。
【0025】
好ましい具体的態様において、全接着剤組成物は、5〜40%w/w一層好ましくは5〜35%w/w更に一層好ましくは5〜30%w/w又は最も好ましくは10〜30%w/wの親水性吸水剤を含む。
【0026】
1個又はそれ以上の不飽和基を有するポリアルキレンオキシドポリマーは、分岐状又は直鎖状であってよい。
【0027】
しかしながら、適当には、ポリアルキレンオキシドポリマーは、直鎖状であり且つ2個の不飽和末端基を有する。
【0028】
不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドは、式
CH2=C(R1)−(Z)−O−(X)n−(W)−C(R2)=CH2 (Ia)
又は
CH(R1)=CH−(Z)−O−(X)n−(W)−CH=CH(R2) (Ib)
〔ここで、
1及びR2は、独立して水素及びC1-6アルキルから選択され、
Z及びWは、C1-4アルキレンであり、
Xは、−(CH23−O−又は−CH2−CH(CH3)−O−であり、そして
nは、15〜900一層好ましくは30〜600又は最も好ましくは300〜600である〕
の化合物であってよい。
【0029】
不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、適当には1000と100,000の間一層好ましくは2000と50,000の間そして最も好ましくは17,000と35,000の間にある。
【0030】
不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドは、米国特許第6,248,915号及びWO05/032401号に記載されているように又はそれらに記載された方法と類似の方法で製造できる。他のポリアルキレンオキシドポリマーは、類似の方法で製造できる。
【0031】
3個又はそれ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤は、適当には、式
R−SiO(R,R)−(SiO(R,R))m−Si−(R,R,R) (II)
〔ここで、
基Rの少なくとも三つは水素であり、そして基Rの残りは各々独立してC1-12アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-14アリール及びC7-12アリールアルキルから選択され、そして
mは、10〜50又は好ましくは10〜13である〕
を有する化合物である。GPCにより決定される場合の数平均分子量は、適当には、1000〜3000である。
【0032】
1種又はそれ以上の式(II)の架橋剤を、架橋反応に用いてもよい。
【0033】
本発明の一つの具体的態様において、1種又はそれ以上の3個又はそれ以上のSi−H基を含む式(II)の架橋剤と、2個までのSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤との混合物が、架橋反応に用いられる。
【0034】
本発明の好ましい具体的態様において、1種又はそれ以上の3個又はそれ以上のSi−H基を含む式(II)の架橋剤と、2個までのSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤との混合物であって、架橋剤及び鎖延長剤中のSi−H基の平均数が2を超える混合物が、架橋反応に用いられる。
【0035】
ポリシロキサン鎖延長剤は、適当には、式
3−SiO(R3,R3)−(SiO(R3,R3))m−Si−(R3,R3,R3) (III)
〔ここで、
基R3の二つまでは水素であり、そして基R3の残りは各々独立してC1-12アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-14アリール及びC7-12アリールアルキルから選択され、そして
mは、0〜50である〕
を有する化合物である。GPCにより決定される場合の数平均分子量は、適当には200と65000の間、最も好ましくは200と17500の間にある。
【0036】
本明細書において用いられる場合、C1-12アルキルは1から12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル基を意味し、C1-8アルキルは1から8個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル基を意味し、そしてC1-6アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルのような1から6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル基を意味する。
【0037】
本明細書において用いられる場合、C1-4アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン及びイソブチレンのような1から4個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状二価アルキレン基を意味する。
【0038】
本明細書において用いられる場合、C3-8シクロアルキルは、シクロペンチル及びシクロヘキシルのような3〜8個の炭素原子を有する環状アルキル基を意味する。
【0039】
本明細書において用いられる場合、C6-14アリールは、C1-6アルキルで随意に置換された(たとえば、トリル及びキシリル)フェニル又はナフチル基を意味する。
【0040】
本明細書において用いられる場合、C7-12アリールアルキルは、ベンジル、フェネチル及びo−メチルフェネチルのような、C1-6アルキル及びアリールが上記に定義されたとおりであるところのC1-6アルキル基に結合されたアリールを意味する。
【0041】
式(II)の化合物において及び式(III)の化合物において、水素でない基R及びR3は、適当には、各々独立してC1-6アルキル、C6-14アリール又はC7-12アリールアルキルの群から選択される。
【0042】
Si−H基は、式(II)の化合物のどちらかの末端にあってもよい。しかしながら、少なくとも1個のSi−H基は、好ましくは、式(II)の化合物の−(SiO(R3,R3))m−鎖内に位置する。
【0043】
ポリシロキサン架橋剤及び鎖延長剤は、日本国特許出願2002−224706及びWO05/032401に記載されているように又はそれらに記載された方法と類似の方法で製造できる。
【0044】
不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドとポリシロキサン架橋剤及び随意に鎖延長剤との反応は、適当には、触媒の存在下で行われる。
【0045】
反応用の適当な触媒は、米国特許第6,248,915号に記載されている。好ましい触媒は、Pt−ジビニルテトラメチルジシロキサンのような白金−ビニルシロキサン及び白金−オレフィン錯体である。反応は、適当には、希釈せずに25℃と150℃の間で行われる。反応用溶媒を用いることは必要でないが、任意の接着剤の製造においてしかしとりわけ皮膚への適用のための接着剤の製造において有利である。
【0046】
適当には、ポリプロピレンオキシド中の不飽和基(反応条件下でSi−H基に対して反応性である)の数に対する、ポリシロキサン架橋剤中の反応性Si−Hの数の比率は、0.2〜0.8の間にある。
【0047】
架橋のために用いられるポリシロキサンの量は、不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーの量の適当には10%w/w未満そして一層好ましくは5%w/w未満である。
【0048】
架橋反応では、すべてのポリアルキレンオキシドポリマーは完全架橋に至らない。連続相は、架橋されたポリアルキレンオキシドポリマーと架橋されていないポリアルキレンオキシドポリマーの混合物を含む。
【0049】
本発明により有用であるところの少なくとも2個の不飽和末端基を有するポリプロピレンオキシドは、会社Kanekaから入手できる。ACX003が、下記の実験部において用いられている。
【0050】
3個又はそれ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤もまた、会社Kanekaから入手できる。CR600が、下記の実験部において用いられている。
【0051】
CR600の質量パーセントがACX003とCR600の総質量の5.0%w/w又はそれ以下であるACX003とCR600の反応生成物を含む接着剤が、特に好ましい。
【0052】
親水性吸水剤は、反応体が架橋される前に反応組成物に添加される。
【0053】
親水性吸水剤は、適当には、微粒子状の固体親水性吸水剤である。親水性吸水剤は、適当には、水溶性又は水膨潤性(非水溶性)ヒドロコロイドであってよい。水溶性又は水膨潤性(非水溶性)ヒドロコロイドは、適当には、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、キサンタン又はカラヤガム、セルロース誘導体(たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなカルボキシメチルセルロースの塩、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)、ナトリウムデンプングリコレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(たとえば、高吸収性粒子(SAP)の形態にて)及びポリエチレングリコールのような天然又は合成ヒドロコロイドから選択できる。適当なヒドロコロイドは、たとえば、EastmanからのAQ 1045(分岐状水分散性ポリエステル)、Copenhagen Pectinからのペクチン(Pectin)LM 12CG Z又はペクチン(Pectin)USP/100、AQUALON製のナトロゾル(Natrosol)(ヒドロキシエチルセルロース,セルロースとエチレンオキシドの非イオン性水溶性エーテル)、Herculesから入手できるブラノース(Blanose)9H4XF(カルボキシメチルセルロース)、Akzoから入手できるAkucell(登録商標)AF 2881(カルボキシメチルセルロース)、AqualonからのAquaSorb(登録商標)(架橋カルボキシメチルセルロース)、デンマーク国のDanisco Ingredientsからのソルバルグ(Sorbalg)pH 470(アルギン酸カルシウム)である。
【0054】
1種又はそれ以上の親水性吸水剤、たとえば上記に挙げられたヒドロコロイドから選択されたものを、本発明の接着剤組成物中に含めてもよい。
【0055】
本発明の好ましい具体的態様によれば、親水性吸水剤は、水膨潤性(非水溶性)ヒドロコロイドである。適当には、親水性吸水剤は、架橋カルボキシメチルセルロースのような架橋親水性ポリマーを含む。
【0056】
ヒドロコロイドはまた、WO02/06687に記載されたもののようなミクロコロイド(たとえば、20μmより小さい又は好ましくは5若しくは2μm未満の粒度を有する)から選択してもよい。
【0057】
本発明物は、化学的又は機械的のいずれかの様々なやり方で、ポリアルキレンオキシドポリマーの架橋前又は架橋中に発泡させそして架橋させて、発泡接着剤にすることができる。
【0058】
接着剤配合物それ自体に添加される化学発泡剤又は他の物質は、様々なメカニズムにより気泡を発生し得る。これらのメカニズムは、化学反応、物理変化、熱分解若しくは化学分解、分散相の浸出、低沸点物質の揮発又はこれらの方法の組合わせを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0059】
商業的に知られた化学発泡剤のいずれも使用できる。化学発泡剤は、適当には、分解前及び分解後の両方において非毒性で、皮膚に優しく且つ環境上安全である。
【0060】
接着剤の混合物に添加されるべき化学発泡剤の量は、約0.01質量%〜約90質量%までの範囲としてよく、そして実用範囲は約1質量%〜約20質量%までを包含する。添加されるべき気体の量は、候補混合物から発生する気体の量を測定しそして最終生成物に要求される発泡量(発泡過程中大気へ失われる気体の量について経験により調節される)を算出することにより決定できる。
【0061】
本発明の発泡接着剤を作製するための別の方法は、接着剤塊を泡立てて泡沫にするのと同様な機械的方法を用いて物理発泡剤を添加し、かくして発泡構造を生じさせる方法である。接着剤の製造過程中架橋反応が起こる時における空気、窒素、二酸化炭素若しくは他の気体又は低沸点揮発性液体の組込みを伴う方法を含めて、数多くの方法が可能である。
【0062】
本発明の発泡接着剤を作製するための別の方法は、ヒドロコロイド中の少量の湿気(加熱・架橋過程中膨張する)を用いることによる。
【0063】
本発明により用いられる感圧接着剤は、粘着付与剤、増量剤(extender)、非反応性ポリマー、油(たとえばポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー、鉱油)、可塑剤、フィラー、界面活性剤のような、接着剤組成物用の他の従来成分を含有してもよい。接着剤はまた、薬理活性成分を含んでもよい。これらの随意的成分は、架橋反応中、反応混合物中に存在してもよい。
【0064】
本発明はまた、上記に記載されたような感圧接着剤組成物を含む医用器具に関する。
【0065】
本発明による接着剤組成物を含む医用器具は、オストミー装具、包帯(創傷用包帯を含めて)、創傷部ドレナージ用包帯、皮膚保護用包帯、集尿用具、整形外科的装具又は補てつ物、並びに計器のような電子機器又は電池のような電源であってよい。
【0066】
本医用器具はまた、医用器具若しくは医用器具の部品を皮膚に固定するための又は皮膚に取り付けられた医用器具の周りをシールするためのテープ(たとえば弾性テープ又はフィルム)又は包帯であってよい。
【0067】
本医用器具は、その最も単純な構造物において、本発明による感圧接着剤組成物の層と、支持体層とを含む接着性構造物にできる。
【0068】
支持体層は、適当には、弾性であり(低いモジュラスを有する)、しかして接着性構造物を用いる時に接着性構造物が皮膚の動きに同調して快適さをもたらすのを可能にする。
【0069】
本発明により用いられる支持体層の厚さは、用いられる支持体のタイプに依存する。ポリウレタンフィルムのようなポリマーフィルムについては、総厚は、10〜100μmの間好ましくは10〜50μmの間最も好ましくは約30μmとすることができる。
【0070】
本発明の一つの具体的態様において、支持体層は、蒸気非透過性である。この場合において、本発明の接着性構造物は、良好な吸湿度及び吸収能を提供できる。
【0071】
本発明の別の具体的態様において、支持体層は、水蒸気透過性でありしかも500g/m2/24時間超の透湿度を有する。この場合において、本発明の接着性構造物は良好な吸湿度及び吸収能を提供でき、しかもその構造物を通して多量の湿気を皮膚から遠ざかるように輸送する能力がある。接着剤層の化学組成及び物理的構成並びに支持体層の化学組成及び物理的構成の両方共、水蒸気透過度に影響を及ぼす。物理的構成に関して、支持体層は、連続(穴、せん孔、くぼみがなく、水蒸気透過度に影響を及ぼす添加粒子又は繊維がない)又は不連続(穴、せん孔、くぼみ、水蒸気透過度に影響を及ぼす添加粒子又は繊維を有する)であってよい。
【0072】
支持体層が水蒸気透過性である場合、その透過度は、好ましくは、接着剤層についてよりもかなり高い。
【0073】
支持体層の透湿度は、適当には500g/m2/24時間超、一層好ましくは1000g/m2/24時間超、更に一層好ましくは3000g/m2/24時間超、そして最も好ましくは10,000g/m2/24時間超である。
【0074】
支持体層用の適当な材料は、水蒸気透過性のポリウレタン、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニル、コポリエステルエーテル、合成又は天然ゴム、シリコーン、及びそれらの混合物を包含する。特に好ましいものは、ポリウレタン、ポリエーテル及び合成又は天然ゴムのようなエラストマーである。支持体層はまた、織材若しくは不織材又は発泡体であってよい。
【0075】
支持体層は複数の層からなっていてもよい。
【0076】
一つの具体的態様において、支持体材料は溶接可能である。
【0077】
本発明の特定の具体的態様において、層は、液体と接触している時により高い蒸気透過度を示す。支持体層は、好ましくは、低摩擦性の可撓性ポリマーフィルムそして適当には弾性材料である。水不透過性フィルムとしての使用のために適当な材料はポリウレタンフィルムであり、そして好ましい低摩擦性フィルム材料は米国特許第5,643,187号に開示されている。
【0078】
支持体は接着剤層に、接着剤の接着性により、又は一層好ましくは反応混合物を支持体層上にキャストし次いで硬化する(たとえば高温で)ことにより取り付けることができる。
【0079】
接着剤層への支持体層の接着性を改善するために、支持体層を、たとえばコロナ処理、火炎処理、化学処理又はプラズマ処理により前処理してもよい。支持体層がポリウレタンフィルムである場合、好ましい処理は、Nusilから入手できるCFI−135のような接着促進剤を用いた処理である。
【0080】
接着剤は支持体層の一つの表面を全体的に覆ってもよく、あるいは接着剤を支持体上に適用するそれ自体が公知の方法(たとえばスクリーン印刷、グラビア又は吹付け)でパターン状に適用されてもよい。
【0081】
本発明による感圧接着剤は非常に高い透湿度を有し、その高い透湿度により感圧接着剤は通気性でありそして非常に皮膚に優しい。これらの接着剤の高透湿性は、医用器具が長時間たとえば数日間皮膚上に装着されねばならない場合、特に有利である。
【0082】
本発明の接着剤組成物における親水性吸水剤の好ましい含有率は、接着剤組成物/医用器具の特定の用途に非常に依存することが分かっている。
【0083】
いくつかの医用器具については、接着剤は高透湿度を有することが重要であるが、一方吸水能は比較的重要でない。これは、非常に薄手の包帯(たとえば顔用の)、吸収要素又はパッドが包帯中に組み込まれている創傷用包帯、切り傷又は創傷がない皮膚上に用いられる皮膚保護用包帯、等の場合に当てはまる。
【0084】
これらの使用について、接着剤は好ましくは高い透湿度を有するが、しかし必ずしも高い吸収能を有する必要はない。ある程度の吸水能は、ひどい発汗の場合において緩衝として機能し得る。しかしながら、高い吸水能はまた、たとえば洗濯又はシャワー中、接着剤の耐水性をより低くする。創傷からの滲出液の吸収は別個の吸収要素により処理することができるため、接着剤の透湿度は多くの場合において吸水能よりも重要である。
【0085】
下記の実験部から分かるように、本発明の接着剤の軟らかさは、親水性吸水剤を30から40%w/wにすると劇的に減少する。
【0086】
一つの具体的態様によれば、本発明は、それ故、包帯(たとえば、顔用の非常に薄手の包帯、吸収要素又はパッドが包帯中に組み込まれている創傷用包帯、切り傷又は創傷がない皮膚上に用いられる皮膚保護用包帯、等)であって、本発明の接着剤組成物を含み、しかも該接着剤組成物中の親水性吸水剤の量は5〜30%w/wの間好ましくは10〜30%w/wの間一層好ましくは10〜20%w/wの間又は10〜15%w/wの間にある包帯に関する。別の具体的態様によれば、接着剤組成物中の親水性吸水剤の量は、5〜25%w/wの間又は5〜15%w/wの間又は5〜10%w/wの間にある。かかる包帯の支持体層は、適当には、接着剤層よりも高い透湿度を有する弾性支持体層から選択される。
【0087】
かくして、一つの具体的態様によれば、本発明は、医用器具たとえば包帯であって、支持体に取り付けられた層の形態の本発明の接着剤組成物を含み、しかも該接着剤組成物は5〜30%w/w好ましくは10〜30%w/w又は最も好ましくは10〜20%w/wの親水性吸水剤を含み、そして該支持体層は500g/m2/24時間超の透湿度を有する医用器具に関する。
【0088】
別の具体的態様によれば、本発明は、医用器具たとえば包帯であって、支持体に取り付けられた層の形態の本発明の接着剤組成物を含み、しかも該接着剤組成物は5〜25%w/w好ましくは5〜15%w/w又は5と10%w/wの間の親水性吸水剤を含み、そして該支持体層は500g/m2/24時間超の透湿度を有する医用器具に関する。
【0089】
更なる具体的態様によれば、本発明は、上記のような医用器具たとえば薄手接着性包帯であって、接着剤層の厚さが最も厚いところで50〜250μmの間にある医用器具に関する。接着剤層はこのように変化する厚さを有してもよく、あるいは50〜250μmの間の値から選択された一様な厚さを有してもよい。
【0090】
本発明の包帯は、好ましい具体的態様において、創傷用包帯が創傷部位上の一定の湿り環境を保つのを可能にするようにかつ同時に創傷を取り囲む皮膚の浸軟を回避するように、体液とりわけ創傷滲出液の吸収用の吸収パッドを含む。
【0091】
本発明の更に別の具体的態様によれば、医用器具は、上記のような創傷用包帯であって、吸収パッドを含み、しかも接着剤層の厚さが最も厚いところで50〜300μmの間にある創傷用包帯である。接着剤層はこのように変化する厚さを有してもよく、あるいは50〜300μmの間の値から選択された一様な厚さを有してもよい。
【0092】
吸収パッドは、創傷若しくは皮膚と接触するために接着剤層の表面に、又は接着剤層と支持体の間に設けることができる。
【0093】
本発明の包帯用パッド材料としての使用に適した発泡体材料は、たとえば、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリアルキレンオキシド及び/又はポリアルキレンオキシドシロキサン発泡体である。
【0094】
吸収パッドは、ヒドロコロイド、高吸収剤若しくは発泡体、又は体液とりわけ創傷滲出液を吸収する能力の大きい天然若しくは合成材料を含み得る。吸収パッドは、滲出液を分配させる材料を含んでもよい。これは創傷の真上に位置しないところの吸収層の域を利用可能にし、そして吸収層の濡れた表面は拡大されて支持体層を通じた蒸発が促進される。
【0095】
吸収パッドは、1つ又はそれ以上の層、たとえば吸収層の吸収能を最適にするために異なる吸収性の層を含む多層の形態であってよい。吸収パッドは、マトリックス構造(たとえば、粒子が組み込まれているもの)の形態であってよい。吸収した滲出液を分配可能な材料が吸収パッドに含まれる場合、包帯の吸収能を完全に利用することができる。
【0096】
吸収パッドは、創傷ケア用具への使用に適したそれ自体が公知の任意の吸収材料(たとえばポリアクリレート、CMC、セルロース若しくはその誘導体、ガム、発泡体又はアルギン酸塩)の粒子又は繊維を含んでもよい。本発明の包帯は、接着材料を支持体上に適用するそれ自体が公知の方法(たとえば、支持体の一つの表面の一部又は全部に接着材料を積層する又はダイキャストする又は展着する)で製造することができる。
【0097】
本発明の包帯は、随意に、適用前又は適用中に取り除かれるべき1枚又はそれ以上の剥離ライナー又はカバーフィルムにより部分的に又は完全に覆われる。保護カバー又は剥離ライナーは、たとえば、シリコーン処理紙であってよい。それは包帯と同じ輪郭を有する必要はなく、また多数の包帯が保護カバーのより大きいシートに取り付けられてもよい。保護カバーは本発明の包帯の使用中存在せず、そしてそれ故本発明の必須部分でない。更に、本発明の包帯は、接着剤層に触れることなく包帯を皮膚に適用するためのそれ自体公知の1つ又はそれ以上の「ノンタッチ」グリップ(「非接触型つかみ部」)を備えてもよい。かかる非接触型つかみ部は、包帯の適用後には存在していない。より大きい包帯については、2つ若しくは3つ又はそれどころか4つの非接触型つかみ部を有することが適当である。
【0098】
創傷用包帯が創傷部位上で一定の湿り環境を保つのを可能にするように、体液とりわけ創傷滲出液の吸収用の吸収パッド又は要素を含む包帯が、WO02/05737、米国特許第5,086,764号、EP641,553、WO91/01706及びEP236,104に記載されている。本発明による接着剤は、これらの公知の包帯のいずれかに含まれた接着剤と置き換えることができる。
【0099】
本発明により、次の性質を備えた包帯を製造することが可能になった。
【0100】
850g/m2/24時間超の透湿度を有する支持体層及び5〜30%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤組成物の層を選択することにより、最も厚いところで250μm又はそれ以上の厚さを備え且つ850g/m2/24時間超の透湿度を有する、結合された接着剤と支持体の層。
【0101】
850g/m2/24時間超の透湿度を有する支持体及び5〜30%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤組成物の層を選択することにより、850g/m2/24時間超の透湿度及び75%w/w未満の吸水度を有する、結合された接着剤と支持体の層。
【0102】
850g/m2/24時間超の透湿度を有する支持体及び5〜30%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤組成物の層を選択することにより、850g/m2/24時間超の透湿度を有し且つ4時間後の浸食が0mmの、結合された接着剤と支持体の層。
【0103】
いくつかの用途について、接着剤組成物は高い透湿度及び高い吸収能を有するが、しかし使用中崩壊又は浸食しない、ということが非常に重要である。かかる使用の一つは、オストミー装具と一緒に接着剤が皮膚バリヤーとして用いられる場合である。別の用途は滲出性創傷と関連している。
【0104】
下記の実験例から分かるように、本発明の接着剤の耐浸食性は、親水性吸収剤を30%w/wから40%w/wにすると減少する。
【0105】
本発明の一つの具体的態様によれば、医用器具は、ツーピース型オストミー装具用の接着性身体側部材又はワンピース型オストミー装具用の接着性フランジであり、しかも該接着性身体側部材又は該接着性フランジは、支持体層に取り付けられた5〜30%w/w好ましくは10〜30%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤組成物の層を含む。本発明のこの具体的態様によれば、接着剤層の厚さは、最も厚いところで0.5〜1.5mmの間にある。オストミー装具と一緒に用いられる支持体は、蒸気非透過性支持体又は透過性支持体であり得る。
【0106】
いくつかの器具について、耐浸食性及び接着剤の硬さを特定の用途で許容可能なレベルに依然として保ちつつ、高い流体吸収度(たとえばオストミー装具)又は長期の使用(数日)が主な目標となる場合がある。
【0107】
実験部から分かるように、本発明の接着剤の浸食及び硬さ(モジュラス)は、親水性吸水剤の量を40から50%w/wへ増加すると劇的に増加する。
【0108】
高い流体吸収度又は長期の使用(数日)を要求する使用について、30〜40%w/w好ましくは30〜35%w/w又は35〜40%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤を用いることが好ましい。
【0109】
本発明によれば、1350g/m2/24時間超の透湿度を有する支持体層及び厚さが0.3mm又はそれ以上でしかも30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤組成物の層を選択することにより、支持体層及び接着剤層を含む医用器具であって、結合された支持体層と接着剤層の透湿度が1350g/m2/24時間超である医用器具を製造することが可能になった。
【0110】
本発明によれば、1350g/m2/24時間超の透湿度を有する支持体層及び30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤組成物の層を選択することにより、支持体及び接着剤層を含む医用器具であって、結合された支持体層と接着剤層の透湿度が1350g/m2/24時間超でありそして吸水度が75%w/w超である医用器具を製造することが可能になった。
【0111】
それ故、本発明は、上記のような医用器具であって、感圧接着剤が30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む医用器具に関する。
【0112】
一つの具体的態様において、医用器具は、ツーピース型オストミー装具用の接着性身体側部材又はワンピース型オストミー装具用の接着性フランジであり、しかも該接着性身体側部材又は該接着性フランジは支持体層に取り付けられた本発明の接着剤の層を含み、該接着剤組成物は30〜40%w/w好ましくは30〜35%w/w又は35〜40%w/wの親水性吸水剤を含む。本発明のこの具体的態様によれば、接着剤層の厚さは、最も厚いところで0.5〜1.5mmの間にある。
【0113】
別の具体的態様において、医用器具は、支持体層に取り付けられた本発明の接着剤組成物の層を含む滲出性創傷用包帯であり、しかも該接着剤組成物は30〜40%w/w好ましくは30〜35%w/w又は35〜40%w/wの親水性吸水剤を含む。この具体的態様によれば、接着剤層の厚さは、最も厚いところで200μm〜1mmの間にある。
【0114】
30〜40%w/w好ましくは30〜35%w/w又は35〜40%w/wの親水性吸水剤を含む接着剤組成物はまた、皮膚上に長時間(数日)装着される医用器具であって、皮膚に取り付けた場合に透湿性を部分的に又は完全にさえぎる要素を含有する医用器具を取り付けるために適当な場合がある。かかる器具の例は、補てつ物、並びに皮膚に取り付けられる計器若しくは電子機器、又は蒸気非透過性支持体を含む器具である。
【0115】
それ故、本発明は、上記のような医用器具であって、水蒸気透過を抑制する要素と、30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤組成物の層とを含む医用器具に関する。
【0116】
本発明の一つの特定態様において、医用器具は、水蒸気透過を抑制する要素を含み、しかも該要素は30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む本発明の接着剤組成物中に埋め込まれている。
【0117】
それ故、本発明は、医用器具であって、超小型電子工学システムを含み、且つ30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む接着剤組成物の層を含む医用器具に関する。
【0118】
本発明はまた、医用器具であって、超小型電子工学システムを含み、しかも該超小型電子工学システムは30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む接着剤組成物の接着体中に埋め込まれている医用器具に関する。
【0119】
超小型電子工学システムは、通信部品、CPU、電源、記憶部品、変換器部品、アクチュエーター部品並びに部品間の機械的及び/又は電気的相互接続体から選択された部品を含んでもよい。
【0120】
超小型電子工学システムは、無線通信を可能にするシステムであってよい。
【0121】
変換器は、電極(単極、双極)、圧力センサー、電極を備えた針、加速度計、光検出器、マイクロホン、ISFET、NTC抵抗器、バンドギャップ検出器、イオン膜、酵素検出器又はコンデンサーから選択された検出要素を有してもよい。
【0122】
適当には、変換器は、電極たとえば鋼電極のような非侵襲性検出要素を有する。別の具体的態様によれば、変換器は、電極を含有する針のような侵襲性検出要素を有する。
【0123】
超小型電子工学システムを含む医用器具の典型的例は、ECG(心電図記録法)、EMG(筋電図記録法)、EEG(脳波記録法)、血中グルコース、脈拍、血圧、pH及び酸素を測定するために有用な装置又は電池のような、皮膚に取り付けられる電源、計器又は治療機器である。かかる機器は当業者に知られており、そしてそれらは通常感圧接着剤により皮膚に取り付けられる。
【0124】
かかる器具の例は、たとえばWO03/065926、米国特許第5,054,488号、米国特許第5,458,124号、米国特許第6,372,951号、米国特許第6,385,473号、WO99/59465及び米国特許出願第2003/0009097号に記載されている。本発明による接着剤は、これらの器具を皮膚に取り付けるために用いられた接着剤と置き換えることができる。皮膚に取り付けられる上記医用器具の接着性表面は、随意に、適用前又は適用中に取り除かれる1枚又はそれ以上の剥離ライナーにより部分的に又は完全に覆われる。剥離ライナーは、医用器具用剥離ライナーとして有用である公知の材料であってよい。
【0125】
医用器具の接着性部分における可撓性は、しばしば、接着剤におけるベベリング又はパターン化のような器具設計により達成される。
【0126】
本発明のオストミー装具は、ツーピース型装具のウェハー形成部品の形態又はストーマから出てくる物質を収集するための収集バッグを含むワンピース型装具の形態であってよい。別個の収集バッグを、それ自体が公知の任意の方法で、たとえばカップリングリングを用いた機械的カップリングによって又は接着性フランジの使用によって、ウェハーに取り付けてもよい。
【0127】
本発明のオストミー装具用ウェハーはまた、典型的には、水蒸気透過性で且つ水不透過性の支持体層及び上述の剥離ライナーを含む。
【0128】
本発明のオストミー装具は、オストミー装具の製造に従来用いられる材料から、それ自体が公知の方法で製造できる。
【0129】
本発明の包帯はまた、包帯を巻き且つ身体の開口周りとりわけストーマ周りの皮膚を保護するために適した包帯、あるいは皮膚に取り付けられる医用器具すなわちオストミー装具若しくは他の医用器具の周りをシールするために適した包帯とすることができる。
【0130】
更なる具体的態様において、本発明は、本発明による接着性構造物を含む人工乳房のような、使用者の皮膚に接着されるタイプの補てつ物に関する。
【0131】
本発明はまた、上記に記載されたような接着剤を含む集尿用具に関する。
【0132】
本発明による集尿用具は、尿用シース(Uri−sheath)の形態であってよい。
【実施例】
【0133】
本発明による感圧接着剤及び比較のための感圧接着剤組成物を製造するために、次の材料を用いた。
アクアソーブ(Aquasorb)A800,Aqualonからの架橋カルボキシメンチルセルロース。
ACX003,Kanekaからの粘度16Pa・sのアリル末端ポリエーテル(ポリプロピレンオキシド)。
触媒Pt−VTS。Pt−VTSは、IPA中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサン(Pt3.0wt%)である。
CR600,Kanekaから入手できるポリ−アルキル水素シロキサン硬化剤。
鎖延長剤Mod700,Hanse Chemieからのポリ−アルキル水素シロキサン鎖延長剤。
【0134】
比較例1
架橋ポリプロピレンオキシドを基剤とした接着剤の製造
WO2005/032401に記載されたようにして架橋ポリプロピレンオキシドを基剤とした接着剤を製造するために、表1及び2に挙げられた成分を用いた。
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

【0137】
室温において10.7/32Mミキサー(Sulzer)を用いて、諸成分を5ml/minにて実験室スタティックミキサーの使用で混合した。この接着剤塊をおおよそ100℃にて1枚のシリコーン剥離紙と30μmのPUフィルム(Intelicoatからのインスパイア(Inspire)2301)の間で30秒間圧縮成形することにより、おおよそ0.3mm及び1mmの厚さを有するシート素材へとこの混合物を成形した。これらの板をオーブン中で100℃にて30分間反応を完了させた。得られた平板を所望形状に切断した。
【0138】
実施例1
アクアソーブ(Aquasorb)A800を含む架橋ポリプロピレンオキシドを基剤とした接着剤の製造
ビーカー中で所望量の未反応C1混合物(比較例1参照)と所望量のアクアソーブ(Aquasorb)A800(下記の表3参照)を混合しそして室温にて5分間スパチュラでもって手により混合することにより、接着剤組成物を製造した。この接着剤塊をおおよそ100℃及び100barにて1枚のシリコーン剥離紙と30μmのPUフィルム(Intelicoatからのインスパイア(Inspire)2301)の間で30秒間圧縮成形することにより、おおよそ0.3mm及び1mmの厚さを有するシート素材へとこの得られた接着剤組成物を成形した。これらの板をオーブン中で100℃にて30分間反応を完了させた。得られた平板を所望形状に切断した。
【0139】
【表3】

【0140】
S5はその混合物の高粘度により製造するのが困難であると分かり、そして得られた試料は数多くの気泡を含有していた。
【0141】
実施例2
アクアソーブ(Aquasorb)A800を含む架橋ポリプロピレンオキシドを基剤とした接着剤の製造
ビーカー中で所望量の未反応C2混合物(比較例1参照)と所望量のアクアソーブ(Aquasorb)A800(下記の表4参照)を混合しそして室温にて5分間スパチュラでもって手により混合することにより、接着剤組成物を製造した。この接着剤塊をおおよそ100℃及び100barにて1枚のシリコーン剥離紙と30μmのPUフィルム(Intelicoatからのインスパイア(Inspire)2301)の間で30秒間圧縮成形することにより、おおよそ0.3mm及び1mmの厚さを有するシート素材へとこの得られた接着剤組成物を成形した。これらの板をオーブン中で100℃にて30分間反応を完了させた。得られた平板を所望形状に切断した。
【0142】
【表4】

【0143】
X5はその混合物の高粘度により製造するのが困難であると分かり、そして得られた試料は数多くの気泡を含有していた。
【0144】
実施例3
下記に記載された方法を用いて、比較例1における接着剤及び実施例1〜2における接着剤について、吸水度及び透湿度を測定した。
【0145】
吸水度の決定
1×25×25mmの接着剤の試験片を脱塩水中0.9%NaCl(w/w)溶液中に37℃にて浸した。30、60、90、120、240及び1440分後、これらの試料を取り出し、そして注意深くドリップドライしそして量った。質量変化パーセントを記録する。複製物からの1440分の平均結果は、下記の表から分かる。
【0146】
透湿度(MVTR)の決定
倒立カップ法を用いて、MVTRを24時間にわたってのグラム毎平方メートル(g/m2)にて測定する。
【0147】
容器は水及び水蒸気に対して不透過性であるがしかし開口を備えている。20mlの脱塩水中0.9%NaCl(w/w)溶液を容器中に入れ、そしてPU支持体(Intelicoatからのインスパイア(Inspire)2301)上の0.3mm厚の試験接着剤皮膜でもって、接着剤層を内側にして開口をシールする。容器を複製物と各々量り、そして電熱式湿度室中に入れる。室を37℃、15%相対湿度に24時間維持する。この後、容器を取り出し、1時間冷やし、そして再び量る。
【0148】
平均質量減少及び各容器の上部における開口の面積から、MVTRをg/m2/24時間として算出する。
【0149】
結果
得られた結果は、下記の表にて提示されている。
【0150】
【表5】

【0151】
試料S5は、試料が測定に影響を及ぼす数多くの気泡及び穴を含有していたので測定されなかった。
【0152】
本発明の組成物S1からS4はすべて、非常に高い蒸気透過度及び高い吸水度を示す。親水性吸水剤の量を0質量%からちょうど2.5及び10質量%に増加することにより、水透過度及び吸水度の驚くべきほど高い増加が達成される。
【0153】
実施例4
浸食及びレオロジー試験のための試料作製
おおよそ3グラムの接着剤組成物をシリコーン剥離ライナーに移す。接着剤塊をおおよそ100℃にて2枚のシリコーン剥離紙間で10秒間圧縮成形することにより、おおよそ1.0mm厚の接着剤の板を作る。これらの板をオーブン中で100℃にて30分間反応を完了させた。
【0154】
弾性率G’を次のとおり測定した。
レオロジー測定のために、25mmの直径と共に1mmの厚さを有するところの接着剤の円盤を該板から切り取る。Thermo Electron(カールスルーエ)からのレオ・ストレス(Rheo Stress)RS600レオメーターであるレオメーターを用いる。適用される幾何学的形は、25mmの平行板である。法線力がおおよそ5Nになるように、上板を調整した。32℃の一定温度にて100Hzから開始して0.01Hzまで下げるように、周波数掃引測定を遂行する。レオメーターをひずみ制御モードに保ち、そして適用されるひずみは1%(適用される材料について線形型にある)である。得られたレオロジーデータは、次のとおりであった。
【0155】
【表6】

【0156】
架橋ポリプロピレンオキシドを基剤とした接着剤を用いそして親水性吸水剤の量を増加して、接着剤のヒドロコロイドを40%から50%にすると、モジュラスにおいてかなり(10倍超)の増加が起こる、ということが確かめられた。
【0157】
本発明の接着剤を用いると、硬くて不快な接着剤をもたらす量よりかなり低い量のヒドロコロイドを有する透湿度及び吸収能の高い接着剤を提供することが可能である。
【0158】
実施例5
耐浸食性についての試験
実施例4において作製されたような試料を用いて、ヒドロコロイドの量の関数としての本発明の接着剤の浸食を次のとおり測定した。
1mmの厚さ、50mmの外径及び15mm直径の穴を有するところの接着剤の円盤を、その上面においてLDPEの不透過性フィルムで被覆した。その露出面をペトリ皿の表面に付着させた。この接着剤及び皿を37℃にて24時間放置した。次いで、この皿を0.9%NaCl脱塩水で満たした。接着剤の試験片全体が水により覆われた。次いで、この皿をプラスチックシートで覆い、そして37℃にて24時間放置した。4及び24時間において測定された試料の内縁及び外縁における水進入距離(mmにて)により、浸食を示した。結果は、4時間の結果を示す。4時間後の浸食は、次のとおりであった。
【0159】
【表7】

【0160】
これらの結果から分かるように、ヒドロコロイドが30%と40%の間で耐浸食性が変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ポリアルキレンオキシドポリマーを含む連続相及び親水性吸水剤を含む不連続相から成る感圧接着剤組成物において、
a)該親水性吸水剤が、全接着剤組成物の1〜40%w/wの間の量にて存在し、そして
b)該連続相が、付加反応触媒の存在下で行われた反応生成物(X)であって、
(i)1個又はそれ以上の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーであって、該ポリアルキレンオキシドポリマーの90%w/w超が3個又はそれ以上の炭素原子を有する重合されたアルキレンオキシド部から成る、ポリアルキレンオキシドポリマー、及び
(ii)1個又はそれ以上のSi−H基を含むオルガノシロキサン
の反応生成物(X)を含む
ことを特徴とする感圧接着剤組成物。
【請求項2】
親水性吸水剤の量が、全接着剤組成物の5〜40%w/w又は一層好ましくは5〜30%w/wである、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
連続相が、付加反応触媒の存在下で行われた反応生成物(Y)であって、
(ia)少なくとも2個の不飽和末端基を有するポリアルキレンオキシドポリマーであって、該ポリアルキレンオキシドポリマーの90%w/w超が3個又はそれ以上の炭素原子を有する重合されたアルキレンオキシド部から成る、ポリアルキレンオキシドポリマー、
(iia)3個又はそれ以上のSi−H基を含むポリシロキサン架橋剤、及び
随意に
(iiia)2個までのSi−H基を含むポリシロキサン鎖延長剤
の反応生成物(Y)を含む、請求項1又は2に記載の感圧接着剤組成物。
【請求項4】
ポリアルキレンオキシドポリマーがポリプロピレンオキシドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
連続相の少なくとも60%w/wが、該反応生成物から成る、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感圧接着剤。
【請求項6】
親水性吸水剤が、水膨潤性(非水溶性)ヒドロコロイド又は水溶性ヒドロコロイドから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感圧接着剤組成物。
【請求項7】
ヒドロコロイドが、架橋カルボキシメチルセルロースのような架橋ポリマーのヒドロコロイドから選択される、請求項6に記載の感圧接着剤組成物。
【請求項8】
ヒドロコロイドが、20μmより小さい好ましくは5μm未満又は一層好ましくは2μm未満の粒度を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の感圧接着剤組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の感圧接着剤組成物を含む医用器具。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の感圧接着剤組成物と、支持体層とを含む医用器具。
【請求項11】
支持体層が蒸気非透過性である、請求項10に記載の医用器具。
【請求項12】
支持体層が、水蒸気透過性であって500g/m2/24時間超の透湿度を有する、請求項10に記載の医用器具。
【請求項13】
医用器具が、該支持体に取り付けられた層の形態の該接着剤組成物を含み、接着剤組成物は5〜30%w/wの親水性吸水剤を含み、そして支持体層は500g/m2/24時間超の透湿度を有する、請求項10に記載の医用器具。
【請求項14】
医用器具が包帯である、請求項13に記載の医用器具。
【請求項15】
接着剤組成物が、5〜25%w/w好ましくは5〜15%w/wの親水性吸水剤を含む、請求項13又は14に記載の医用器具。
【請求項16】
接着剤層の厚さが、最も厚いところで50〜250μmの間にある、請求項13〜15のいずれか一項に記載の医用器具。
【請求項17】
包帯が吸収パッドを含む創傷用包帯であり、そして接着剤層の厚さが最も厚いところで50〜300μmの間にある、請求項14又は15に記載の医用器具。
【請求項18】
医用器具が、ツーピース型オストミー装具用の接着性身体側部材又はワンピース型オストミー装具用の接着性フランジであり、該接着性身体側部材又は該接着性フランジは、該支持体層に取り付けられた5〜30%w/wの親水性吸水剤を含む該接着剤組成物の層を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の医用器具。
【請求項19】
感圧接着剤が、30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の医用器具。
【請求項20】
医用器具が、ツーピース型オストミー装具用の接着性身体側部材又はワンピース型オストミー装具用の接着性フランジであり、該接着性身体側部材又は該接着性フランジは、該支持体層に取り付けられた30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む該接着剤組成物の層を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の医用器具。
【請求項21】
接着剤層の厚さが、最も厚いところで0.5〜1.5mmの間にある、請求項18又は20に記載の医用器具。
【請求項22】
医用器具が、該支持体層に取り付けられた該接着剤組成物の層を含む滲出性創傷用包帯であり、接着剤組成物は30〜40%w/wの親水性吸水剤を含み、そして支持体層は500g/m2/24時間超の透湿度を有する、請求項10に記載の医用器具。
【請求項23】
接着剤層の厚さが、最も厚いところで200μm〜1mmの間にある、請求項22に記載の医用器具。
【請求項24】
水蒸気透過を抑制する要素を含み、且つ30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む該接着剤組成物の層を含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載の医用器具。
【請求項25】
水蒸気透過を抑制する要素を含み、該要素は30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む該接着剤組成物の接着体中に埋め込まれている、請求項9〜12のいずれか一項に記載の医用器具。
【請求項26】
1つ又はそれ以上の超小型電子工学システムを含み、且つ30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む該接着剤組成物の層を含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載の医用器具。
【請求項27】
1つ又はそれ以上の超小型電子工学システムを含み、該超小型電子工学システムは30〜40%w/wの親水性吸水剤を含む該接着剤組成物の接着体中に埋め込まれている、請求項9〜12のいずれか一項に記載の医用器具。
【請求項28】
超小型電子工学システムが、通信部品、CPU、電源、記憶部品、変換器部品、アクチュエーター部品並びに部品間の機械的及び/又は電気的相互接続体から選択された部品を含む、請求項26又は27に記載の接着性器具。
【請求項29】
超小型電子工学システムが、無線通信を可能にするシステムである、請求項26〜28のいずれか一項に記載の接着性器具。
【請求項30】
変換器が、電極(単極、双極)、圧力センサー、電極を備えた針、加速度計、光検出器、マイクロホン、ISFET、NTC抵抗器、バンドギャップ検出器、イオン膜、酵素検出器又はコンデンサーから選択された検出要素を有する、請求項28に記載の接着性器具。
【請求項31】
変換器が、電極たとえば鋼電極のような非侵襲性検出要素を有する、請求項30に記載の接着性器具。
【請求項32】
変換器が、電極を含有する針のような侵襲性検出要素を有する、請求項30に記載の接着性器具。

【公表番号】特表2009−536228(P2009−536228A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508135(P2009−508135)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/DK2007/050055
【国際公開番号】WO2007/128320
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】