説明

架橋性ポリアミド成形配合物およびそれから製造される成形品

本発明は架橋性の熱可塑性ポリアミド成形配合物に関する。ポリアミドは、アモルファスまたは微晶質ポリアミド、それらのコポリアミド、およびそれらの混合物、ならびにこれらのポリアミドと半結晶ポリアミドとの混合物からなる群から選択される。本発明のポリアミド成形配合物の特徴としては、本発明のポリアミド成形配合物が、高エネルギー照射の影響下で前記ポリアミド成形配合物から形成される架橋成形品の製造をもたらす架橋剤を含み、架橋成形品が140℃を超えるガラス転移温度(Tg)値を有し、180℃以上の温度で90%の最小寸法安定性を有することが挙げられる。これらのポリアミドは実質的に直鎖構造を有し、そのモノマーはオレフィンC=C二重結合を含まない。本発明のポリアミド成形配合物から製造される対応する架橋ポリアミド成形品、ならびに本発明のポリアミド成形配合物を使用した架橋ポリアミド成形品の製造をさらに開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前文(プリアンブル)に記載の架橋性熱可塑性ポリアミド成形配合物に関し、ポリアミドは、アモルファスまたは微晶質ポリアミド、それらのコポリアミド、およびそれらの混合物、ならびにこれらのポリアミドと半結晶ポリアミドとの混合物からなる群から選択される。本発明は、さらに、独立請求項13の前文に記載の対応する架橋ポリアミド成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
良好な透明性、耐化学薬品性および高い動的負荷キャパシティーを有するポリアミド成形品を製造するためのポリアミド成形配合物の提供は、独国公開公報DE 102 24 947 A1号から公知である。このようなポリアミド成形配合物を用いて製造したポリアミド成形品は233〜239℃の融点を有する。これらのポリアミド成形品は、その融点が原因で、250℃を超える温度での使用に適していない。
【0003】
予備成形したポリアミド製品の熱パラクレゾール中での溶解度、ならびにその250℃を超える温度でのプラスチック変形(「プラスチックフロー」)に対する温度依存感受率は、高エネルギー電子照射によるポリアミドの架橋によって、最初は首尾よく低下した(US 2,858,259号参照)。
【0004】
国際特許出願WO 03/037968A1号からは、結晶性熱可塑性材料から照射架橋によって製造された成形品がハンダ付プロセスの間に生じる温度に一時的に耐えることができる耐熱変形性を有することが公知である。この耐熱性の可能性は、電子ビーム衝撃による、これらの成分の内部の架橋度と比較して、成分表面での実質的に高い架橋度を達成することによって得られるものだった。特に、TAIC(トリアリルイソシアヌレート)を架橋剤として使用した。
【0005】
TAIC(トリアリルイソシアヌレート)の使用もまたEP 0 007 114 B1号から公知である。ポリアミドフィルムの製造に関して、この文献は、架橋反応をポリアミドの2価の芳香族基で進行させる方法について開示し、そのポリマーは、これら2価の芳香族基を有する連続した繰り返し単位を有する。この文献は、高温耐性を開示し、さらに、向上した電気特性を開示する。
【0006】
また、日本国特許出願JP 2003/327726A2号から、照射によって架橋したポリアミドから製造した成形品が耐熱変形性を有し、60秒のハンダ付プロセスの間に生じる260℃の温度に耐え得ることが公知である。この耐熱性の可能性は、イオンビーム衝撃による架橋によって達成されるものだった。しかし、臭素含有難燃剤、アンチモンベース難燃助剤および別の助剤としてアルミナ(ハイドロタルサイト)をこの溶融物に添加する必要があった。
【0007】
いずれの上記文献も、製造したポリアミド成形品の色または透明性を当業者に全く示唆していない。
【0008】
US 5,411,663号は、架橋性であり、アルコール不溶性であり、なおかつ、透明であるポリアミド組成物を開示し、この組成物は、アモルファスであり、直鎖であり、なおかつ、アルコール可溶性であるポリアミドポリマー(タイプ8ナイロン)から、架橋剤によって製造される。この場合において、このポリマーは、酸が触媒する分子間相互作用によって、互いに架橋する。
【0009】
EP 1 465 308号は、別の架橋性透明ポリアミド組成物を開示し、この組成物は少なくとも1つのアモルファス直鎖ポリアミドおよび架橋剤を含む。この材料組成物は、少なくとも1つの研磨剤成分ならびに軟質および/または収縮性の成分を含む。この場合において、研磨剤成分は、熱可塑性物質の形態であり、130℃よりも高い融点またはTgを有する。一方、軟質および/または収縮性の成分は、130℃以下の融点またはTgを有する熱可塑性物質である。
【0010】
さらに、EP 0 046 954号は、ポリアミドおよび架橋剤を含む透明なポリアミド組成物を開示する。芳香族ポリアミドは、それぞれの場合において、有機ケイ素化合物を含み、好ましくは、式:X’Si(OR’)のシランカップリング剤として添加される。式中、X’は有機官能基であり、R’はアルキル基である。成形品は、常に、芳香族ポリアミドの適切な溶媒の溶液から製造される。従って、これらの処方物は、熱可塑性のものとして加工処理することができない。200℃を超える熱処理は、芳香族ポリアミドとケイ素化合物との反応生成物の透明度を高める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、架橋の結果として、顕著に向上した機械特性、化学特性および熱特性を有する架橋成形品の製造が可能な代替の架橋性ポリアミド成形配合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
独立請求項1の特徴によると、架橋性ポリアミド成形配合物が提案され、本発明の課題をこの第1の局面で達成する。この場合、ポリアミドは、アモルファスまたは微晶質ポリアミド、それらのコポリアミド、およびそれらの混合物、ならびにこれらのポリアミドと半結晶ポリアミドとの混合物からなる群から選択される。本発明のポリアミド成形配合物の特徴は、ポリアミド成形配合物が、高エネルギー照射の影響下で前記ポリアミド成形配合物から形成される架橋成形品の製造をもたらす架橋剤を含み、架橋成形品が、140℃を超えるTg値を有し、180℃以上の温度で90%の最小寸法安定性を有し、このポリアミドが実質的に直鎖構造を有し、そのモノマーがオレフィンC=C二重結合を含まないことである。
【0013】
独立請求項13の特徴によると、対応するポリアミド成形配合物から製造されるポリアミド成形品が提案され、本発明の課題をこの第2の局面によって達成する。この場合、ポリアミドは、アモルファスまたは微晶質ポリアミド、それらのコポリアミド、およびそれらの混合物、ならびにこれらのポリアミドと半結晶ポリアミドとの混合物からなる群から選択される。
【0014】
請求項24の特徴によると、本発明のポリアミド成形配合物を使用して架橋ポリアミド成形品を製造することが提案され、本発明の課題をこの第3の局面によって達成する。
【0015】
独立請求項によると、さらに好ましいポリアミド成形配合物、架橋ポリアミド成形品、あるいはこれらのポリアミド成形配合物またはポリアミド成形品の使用が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に関して、用語「透明(な)ポリアミド」は、少なくとも70%の光透過率を有する(コ)ポリアミドまたは(コ)ポリアミド成形配合物を意味する。ただし、この場合、ポリアミドは、厚さ2mmのプレートの形態で存在する。研磨ツールを用いてArburg射出成形機で円盤(70×2mm)を作製する。このとき、シリンダーの温度は240〜340℃であり、ツールの温度は20〜140℃である。このような円盤(大きさ:70×2mm)において、光透過を標準的な方法でPerkin−Elmer UV/VIS スペクトロメーターで200〜800nmの範囲で測定する。この場合、透過率は540nmの波長について示す。
【0017】
本発明の第1の適用分野は光学電子部品の製造に関する。より効率の高い電子回路の製造方法が望まれており、この場合、特に、適合できるのは、発光ダイオード(LED)に装着する光学レンズをプリント回路基板に載置できる場合であって、その後、このLEDと接触させることができる場合である。しかし、このような手順には、ハンダ付の間にレンズを約260℃の温度にさらす必要がある。従って、架橋ポリアミドから作製した光学部品は本発明の本質を構成する。この場合、非常に重要なことは、透明なポリアミドの良好な光学特性が架橋状態で大きく維持されることである。
【0018】
透明プラスチックの特に興味のある用途は、例えば、LED用のオフセットレンズであり、これは、現在、ポリカーボネートで作製されている。このレンズは、LEDの光出力を向上し、光の利用度を増大させる。ポリカーボネートは、ハンダ付に必要な温度に耐えることができないので、ハンダ付での温度のこの作用によって、ポリカーボネートレンズに歪みが必ず生じる。従って、これらのLEDは、伝導性の接着剤によって、レンズと一緒にプリント回路基板に固定しなければならない。一方、この製造工程は、実際には、全ての製造業者が習得しているものではなく、またその一方で、このような製造工程に起因して、LED用の光学レンズを備えたLED付プリント回路基板の製造がさらに高価なものとなる。これら2つの要因によって、当該技術の用途として急成長しているこの本質的に望ましい技術の普及が妨害されている。
【0019】
上記の光学用途を意図した適切な市販の入手可能なポリアミドのガラス転移温度(Tg)は、EP 0 837 087 B1号に従って157℃に決定されており、その最大値は、一般に、215℃である。従って、レンズが非常に良好な光学特性(1.1g/cm以下の密度、1.50以上の屈折率(n20)および40を超えるアッベ数(EP 0 837 087B1号参照))を有するにもかかわらず、従来のポリアミドを使用することはできない。
【0020】
このようなオフセットレンズが装着されたLEDを使用して、フラットまたはフラットパネルスクリーンの背景照明を提供する。
【0021】
本発明のポリアミド成形配合物の射出成形レンズは、透明ポリアミドと1〜10%のTAICの混合物を含み、電子照射によって架橋されている。このようにして作製したLED用レンズは、250℃を超える(またはそれ以下の)温度で実施される無鉛溶接プロセスに耐えることができる。実質的には、全く歪みが生じないか、極わずかにだけ歪みが生じ、気泡の形成は全くない。架橋剤、特にTAICを添加することによって、射出成形工程での処理温度(これは架橋剤の濃度および種類に依存する)が純粋なポリアミドと比較して、最大30℃下げることが可能であることがわかった。これによってこれらのレンズの黄変は非常に望ましく減少するか、あるいは抑制される。好ましくは、酸素を含まない不活性雰囲気下でリフローハンダ付が行われる限り、射出成形加工処理工程の全サイクルは照射を経由し、その結果、少なくとも黄変を大きく回避することができる。
【0022】
本発明の他の適用分野は、例えば、容器、皿、および/または滅菌の間に(必要に応じてその後に)特定の器具を保持または被覆するためのカバーなどの構造部品の製造に関する。特に、オートクレーブ内での熱空気滅菌に関しては、200℃の最低温度適合性が必要である(Scientific Opinion of the German Society for Odontology, Stomatology and Orthodontics, Version 2.0(2000年5月付)を参照のこと)。同様に、本発明の架橋透明ポリアミドを使用して、壊れない陶磁器類、さらに電子レンジで使用する透明なプレートカバーをも製造することができる。
【0023】
上述のように、本発明に従って製造したポリアミド成形品は、LED用光学レンズなどの光学部品を含み、これらは、無鉛ハンダ付けによって、プリント回路基板に固定され、その後、LEDおよび/または他の電子部品と接触する。これらのレンズの光学機能を維持するために、これらのポリアミド成形品は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の透明性および寸法安定性を維持していなければならない。従って、このようなレンズは、無鉛ハンダ付プロセスに耐えなければならず、実質的に、全く歪みが無く、しかも、気泡形成があってはならない。また、ヘイズは、光学部品に重要であり、照射、コンディショニングまたはリフローハンダ付の影響を極わずかにのみ受けるか、あるいは、全く影響を受けず、その結果、リフローハンダ付を行った成形品は、好ましくは1.0以下の低いヘイズを有する。しかし、本発明に従って製造されるポリアミド成形品には、さらに、他の光学レンズまたは表板および他の透明部品、例えば、滅菌を繰り返して適用する際、好ましくは少なくとも200℃の熱空気滅菌の適用の際に耐熱性を有していなければならない医療用内視鏡の光学要素または照明用インサートなども含まれていてもよい。
【0024】
別の適用分野として乗り物の製造が挙げられ、ここではポリマー成形配合物を使用して、少なくとも180℃の作業温度に適した熱可塑性材料をベースとする、メタリックコーティングの光反射部品を製造する。このような成形配合物は、ホモポリアミド、コポリアミドならびにホモポリアミドとコポリアミドの混合物(ブレンド)、ホモポリアミドまたはコポリアミドの混合物からなる群から選択されるポリアミドを含む。これらのポリアミドは、アモルファスかつ透明なポリアミドを含む群から選択され、これらのポリアミドは少なくとも180℃のガラス転移温度(Tg)を有する。同時に、本発明の透明な架橋性ポリアミド成形配合物を使用して、高温耐性のこれら光反射部品の支持層を製造することができる。この場合、安価なポリアミドを使用することができる。このようなポリアミドは、例えば、140℃のみのガラス転移温度(乾燥状態)を有するが、その低粘度が射出成形に特に良く適しているのでありがたい。架橋剤、特にTAICを添加することによって、射出成形品をこのとき架橋することができ、その短時間付与温度は、それによって、250℃を超える値に上昇することができる。本発明の架橋ポリアミド成形配合物の薄層は、次いで、その上にスプレーすることができるか、あるいは、これらの光反射部品の反射層(通常はアルミニウムからなる)用の保護層としてフィルムを積層することができる。
【0025】
架橋透明成形品が、化学薬品および溶媒に対して、非架橋成形品よりも顕著に良好な耐性を有する場合、本発明はさらに利点を有する。
【0026】
本発明に関して、「オレフィンモノマー」は、単独または共役C=C二重結合を含み、ラジカルまたはイオンとして分極することができるオレフィンモノマーと定義する。一般に、オレフィン(すなわち、アルケンおよびシクロアルケン)中のC=C二重結合が芳香族系に対して顕著に高い反応性を有し、そのために、高エネルギー照射(例えば、電子照射など)の条件下において、自発的な架橋反応を誘起することが知られている。
【0027】
芳香族化合物は、顕著に高い耐化学薬品性を有し、根本的に好ましくは、反応を受けても、芳香族構造が保持される。芳香族化合物は、とりわけ、照射に対して特に安定であると考えられる。同じ照射量および時間では、架橋の効果は、例えば、脂肪族化合物よりも顕著に低い。
【0028】
従って、脂肪族および/または脂環式および/または部分的に芳香族の性質を有するポリアミドのみが本発明の架橋性かつ熱可塑性の加工処理が可能なポリアミド成形配合物に使用される。従って、全てが芳香族のポリアミドは、本発明の成形配合物中には含まれない。
【0029】
架橋剤は、多官能性であり、ほとんどが低分子化合物である。これらの架橋剤は、架橋反応を促進し、式(I)、(II)、(III)および/または(IV):
【化1】

[式中、R、RまたはRは、互いに独立して、水素、または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
の少なくとも1つの基を含むか、あるいは、以下の構造式(V)または(VI):
【化2】

[式中、R、RまたはRは、互いに独立して、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するヒドロキシルアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するカルボキシアルキル基、または1〜10個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基を示す]
を有する。このような架橋剤の好ましい例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルシアヌル酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)−シアヌル酸、トリス(2−カルボキシエチル)シアヌル酸、ジアリルイソフタレート、ジアリルカルボネート(例えば、ジエチレングリコール−ビス(アリルカーボネート))、ジアリルマレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートおよびジビニルベンゼンが挙げられる。
【0030】
通常は架橋剤を10重量%以下、好ましくは7重量%以下、特に好ましくは4重量%以下の濃度で使用する。成形処理(例えば、射出成形または押出成形)を行う前に、使用するポリアミドの顆粒に架橋剤を適用する。すなわち、好ましくは、ポリアミド顆粒上に液体またはドライプロセスで粉体として振りかける。とりわけ大量の液体を添加することができるものがいわゆる微小泡状(マイクロフォーム)顆粒に基づいて得られる(市販の入手可能な製品、ACCUREL(登録商標)(Membrana GmbH,63784 Obernburg,Germany)を参照のこと)。このプロセスにおいて、架橋剤は中空孔顆粒の空隙に取り込まれ、通常の顆粒の場合のようにその表面に単純に付着しない。しかし、ある程度の時間が経過すると、架橋剤は、従来の顆粒の内部に拡散するようになる。
【0031】
以下のポリアミド組成物は、例えば、透明ポリアミドと考えることができる。
【0032】
1. 分枝または非分枝の脂肪族または脂環式のジアミン(好ましくは、PACMおよび/またはMACM)および8〜36個の炭素(C)原子を有する脂肪族ジカルボン酸(C10、C12、C13、C14およびC18ジカルボン酸が特に好ましい)から構成されるポリアミド。このようなポリアミドは、例えば、ホモポリアミド MACM12、MACM18またはPACM12、あるいは、コポリアミド MACM12/PACM12、MACM18/PACM18である。
【0033】
2a. 8〜18個の炭素(C)原子を有する芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸(TPS)およびイソフタル酸(IPS)が好ましい)を含むポリアミド。この場合、ジアミンは、特に、脂肪族または脂環式である。ポリアミドは、例えば、6I/6T、TMDT、6I/MACMI/MACMT、6I/PACMI/PACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36および6Iである。
【0034】
2b. モノマーとしてラクトンおよび/またはアミノカルボン酸を含むポリアミド。ラクトン含有ポリアミドは、例えば、12/PACMI、12/MACMI、12/MACMT、6/MACMT、6/6Iおよび6/IPDTである。
【0035】
3. 例えば、MXDAなどの芳香核を有するジアミンを含むポリアミド。ジカルボン酸は、芳香族および/または脂肪族の構造を有する。ポリアミドは、例えば、コポリアミド6I/MXDIである。
【0036】
また、本発明は、透明な(すなわち、アモルファスまたは微晶質の)ポリアミドの透明な混合物、ならびに、これらの透明ポリアミドと半結晶ポリアミドとの透明な混合物を含む。透明ポリアミドと半結晶ポリアミドとの好ましい透明混合物は、70%を超える透過率を有し、GRILAMID TR 90(IUPAC命名法ではPA MACM12として公知)ならびに40重量%以下のポリアミド12(PA12)を含む。特に好ましい混合物は、GRILAMID TR 90(すなわち、PA MACM12)および20重量%以下のPA12を含む。
【0037】
特定の実施態様において、本発明に従って製造される架橋成形品は、70%を超える透過率、好ましくは80%を超える透過率、特に好ましくは85%を超える透過率を有する。これらの透明成形品は、7%未満、好ましくは5%未満、特に好ましくは3%未満のヘイズを有する。
【0038】
実施例1(表2参照)に示すように、例えば、レンズなどの高品質光学成形体を高純度原材料に基づいて製造することができる。これらは、架橋が進行した後、88%を超える透過率および1.5%未満のヘイズを有する。
【0039】
上記で1型と規定した架橋ポリアミドのレンズは、1.1g/cm以下の密度、1.50以上の屈折率(n20)、および40を超えるアッベ数を有する。上記で3型と規定した架橋ポリアミドのレンズは、1.3g/cm未満の密度、1.59を超える屈折率(n20)、および25を超えるアッベ数を有する。上記で2a型および2b型と規定した架橋ポリアミドのレンズは、1型および3型の臨界値の間に存在する特徴的な値を有する。
【0040】
好ましくは、少なくとも140℃のガラス転移温度(Tg)を有するポリアミド成形品を製造するのに使用できるポリアミド成形配合物が用いられる。150℃以上のTgが好ましく、170℃以上のTgが特に好ましい。
【0041】
実施例を参照しながら本発明を以下に詳細に説明する。
【実施例】
【0042】
実施例1:
選択したポリアミドの予備乾燥した顆粒にそれぞれ0、2または3重量%のTAIC(TAICROSS(登録商標)(Degussa製))を塗布し、ミキサー中で60分間転がした。サンプル(寸法:60×10×1mm)および円盤(直径:70mm、厚さ:2mm)をArburg 305−210/210−700 射出成型機によって作製した。GRILAMID TR 90(PA MACM12)に関して、シリンダー温度を240℃〜280℃の範囲内とし、TR FE5577(PA 6I/MXDI)に関しては260℃〜300℃の範囲内とした。黄変、気泡形成および歪みについて、テストロッドを使用して、定性評価を行った。研磨ツールを利用して作製した円盤を使用して、透過率およびヘイズを決定した。
【0043】
サンプルをアルミニウム容器内でウェルデッドスプレードライし、この形態で電子を照射した。33kGy/パスの照射量の10MEV電子加速器の設備において、Beta−Gamma−Service(Bruchsal(Germany))において、電子照射を実施した。照射ゾーンをサンプルが繰り返し通過することによって、より高い照射量を達成した。
【0044】
照射後、サンプルを直接(乾燥)またはコンディショニング(Joint Industry Standard:IPC/JEDEC J−STD−020C、Moisture Sensitive Level 2、2004年7月)後にリフローハンダ付プロセスに付した。この目的にあわせて、完全対流式のESSEMTEC 300FC リフローハンダ付炉において、サンプルをIPC/JEDEC J−STD−020Cの規格に適合した温度/時間プロフィールに通した。この場合、260℃のピーク温度を40秒間以上維持した。上記円盤を用いてPERKIN ELMER UV/VIS スペクトロメーターで540nmの波長で透過率を決定した。HAZE−GARD PLUS(Byk−Gardener製)を用いてヘイズ値をASTM D1003に従って決定した。
【0045】
表1において乾燥サンプルを用いた結果を要約し、表2ではコンディショニングしたサンプルを用いた結果を要約する。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
表1および2の説明
黄変: ++非常に少ない(△黄変指数<2)
+ (△黄変指数=2〜4)
o (△黄変指数=4〜7)
− (△黄変指数=8〜10)
−−高い(△黄変指数>10)
歪み: ++極わずかな歪み
−−強い歪み
気泡形成:++気泡なし
+ 分離した小さな気泡
o わずかな小さな気泡
− 顕著な気泡形成
−−成形品が完全に気泡で覆われている
nd: 測定不可
【0049】
DIN 6167に従って、Dr.Lange Color−Pen LMG 159を用いて黄変指数を決定した。
【0050】
リフローハンダ付を行う前は、GRILAMID TR 90は、1.5の黄変指数、0.8%のヘイズおよび91%の透過率(標準として540nmで測定)を有する。TR FE5577の黄変指数は10である。
【0051】
照射したサンプルのポリアミドに適切な溶媒中での溶解度からゲルフラクションを決定した。ゲルフラクションは、溶媒中のサンプルの不溶性のフラクションに対応し、重量%で示す。それぞれの場合において、照射していない材料(ここでゲルフラクションは1%未満である)を参照として試験した。GRILAMID TR 90のサンプル(23℃、トリフルオロエタノール:クロロホルム=3:2の比の混合物)およびGRILAMID TR FE5577のサンプル(180℃、ベンジルアルコール)についてゲルフラクションを決定した(それぞれの場合において8時間)。
【0052】
【表3】

【0053】
実施例2:
LED用の光学レンズの射出成形に関してそれ自体公知のツールで、DEMAG Ergotech 35−120、25mmのスクリュを有する射出成形機でGRILAMID TR 90を加工処理した。このツールは、電気的に加熱される4つの部分からなるツールであり、1つのコールドチャネルと、複数のピンポイントゲートとを有する。シリンダー温度は240〜280℃であった。以下の2つの材料改変体が有効であった。
A)3重量%TAIC(液体処理)を含むGRILAMID TR 90;
B)75%GRILAMID TR 90および25%TAICからなる、12重量%のマスターバッチを含むGRILAMID TR 90
【0054】
液体処理TAICを含むGRILAMID TR 90(PA MACM12)(改変体A)は、添加剤を導入した直後では、湿気が多く粘着性のコンシステンシーを有するが、容易に引通しでき、加工処理することができる。TAICをマスターバッチの形態で添加した改変体Bもまた問題のない用量挙動および加工処理挙動を示す。
【0055】
LEDレンズをモールディングポストに関するその3Dイメージング精度について測定した。プラスチックレンズではこれまで全く観察されていなかったような極度に良好な値が両方のGRILAMID TR 90改変体において見出された。
【0056】
LEDレンズをアルミニウム容器内でウェルデッドスプレードライし、この形態で電子を照射した。実施例1に記載の通り電子照射を実施した。照射量は99kGyであった。
【0057】
照射後、予備乾燥またはコンディショニング(IPC/JEDEC J−STD−020C、Moisture Sensitive Level 2)した改変体AおよびBをIPC/JEDEC J−STD−020Cの規格に従うESSEMTC 300FC ハンダ付炉でのリフローハンダ付プロセスに付した。黄変、気泡形成および歪みを再び定性評価した。結果を表4に示す。
【0058】
【表4】

【0059】
表1および2の説明を参照しながらこれらの結果を説明する。
【0060】
GRILAMID TR 90の架橋透明サンプルおよびLEDオフセットレンズは、2%TAIC濃度および66kGy照射量から、非常に良好なハンダ付耐性を示した。すなわち、Joint Industry Standard IPC/JEDEC J−STD−020Cに従って実施したリフローハンダ付の間に、成形品の内部または表面において気泡は全く検出されなかった。さらに、成形品の歪みは非常に少ない。同一のハンダ付強度を部分芳香族FE5577で達成するためには、より高い照射量(99kGy)および少なくとも3%のTAIC濃度が必要であった。特に、照射成形品をJoint Industry Standard IPC/JEDEC J−STD−020C、MSL2に従ってコンディショニングした場合、無鉛ハンダ付の間に気泡形成は全く起らなかった。本発明に従って使用した照射量は50kGyよりも多く、60〜100kGrの範囲内の照射量を使用することが好ましい。
【0061】
オフセットレンズをそのためのツール中で通常は別々に射出成形し、照射後、LEDハウジング上に配置するか、またはその上に留めた。次いで、オフセットレンズをコーキングまたはリベット留めした。あるいは、完全に組み立てたLEDを挿入部品として射出成形ツールに挿入することができる。例えば、TR 90またはTR FE 5577から作製したレンズを、次いで、いわゆる「組立(アセンブリ)射出成形」でこのLED上に射出成形することができる(2成分射出成形プロセスに類似)。これは、レンズをさらに小さく作製できるという利点を有する。その結果、寸法の偏差がさらに小さくなり、光の内/外での光学カップリングがより効果的となり、ぐらつきまたはシーリングの問題が生じない。一般に、GRIVORY HTのLEDリフレクターハウジングよりも低温でGRILAMID TRを加工処理する。得られる複合接着が十分でなく、良好な結合が得られない場合、接着剤層および/またはポジティブクロージャーを備えることができる。GRIVORY HTへの複合接着に関して、FE5577はGRILAMID TR 90よりも有利である。
【0062】
ポリアミド成形配合物におけるTAICのフラクションが5%以下であるにもかかわらず、1.1g/cm以下の密度、1.50以上の屈折率(n20)および40を超えるアッベ数を有するレンズは、これ以外では、例えば、非架橋ポリアミド(EP 0 837 087 B1号参照)においてのみ得られるような、非常に優れた光学特性を示す。従って、本発明は、無鉛ハンダ付プロセスに耐えることができ、しかも歪みおよび気泡形成がほとんど無いLED用レンズの製造を可能にする。
【0063】
実施例3、4、5および6
透明ポリアミドMACM12(Grilamid TR 90)およびPA MACMI/12(モル比:81:19)を表5に示すTAICを含む組成物に圧延し、ENGEL ES 330/80 射出成形機(シリンダー温度240℃〜300℃の範囲内)で加工処理して複数のカップを形成した。これらのカップは、高さ90mm、上部直径70mm、下部直径55mmおよび壁厚1.5mmを有していた。次いで、カップをアルミニウム容器内でウェルデッドスプレードライし、その形態で電子を照射した(実施例1で既に記載した通り)。全照射量は99kGyであった。
【0064】
【表5】

【0065】
カップ固定具、ハロゲンランプ(H11)を備えた中央ランプホルダ、温度センサおよび変圧器からなる試験構成体を照射後の疲労温度試験に使用した。それぞれの場合において、ホルダ内のランプを通して透明カップが装着できるようにカップ底部を除去する必要があった。次いで、透明カップを試験構成体の前面(特に、プレート)と水平に固定して、カップの内部が閉じた空間を形成するようにした。この場合において、ハロゲンランプの光をカップの開いた底部を通してカップの内部に完全に投射した。カップはランプホルダに向かってだんだんと小さくなる断面を有していた。その発光効率およびカップ内部に作用する温度はランプ電圧を調節することによって調整することができた。本明細書に記載のこの試験において、変圧器の電圧は、4〜6時間にわたって規則正しく間隔を空けて、11.0ボルトの開始電圧から上昇を始め、それによって生じた温度上昇の結果、カップが最初に変形する電圧まで電圧を上昇した。この電圧は最大値が19.5ボルトであった。カップの孔(直径:3mm)を介してその内側にハロゲンランプと垂直に取り付けたセンサによって温度を記録した。所定の電圧間隔は、測定位置での125℃〜260℃の温度範囲に対応した。カップの最初の変形を観察することができた時点で、それぞれの場合において、試験を中断した。表5は、非架橋および架橋組成を有するカップのそれぞれの場合におけるそのときの温度の値を示す。
【0066】
実施例3〜6は、機械的に負荷をかけていない状態での耐熱成形性が架橋によって約30℃〜50℃上昇し得ることを明確に示す。
【0067】
本発明の透明ポリアミド成形配合物から作製した成形品は、その後、白濁、あるいは、いわゆる着色浴または機能浴およびその中に含まれる機能添加剤を利用して、着色またはドーピングすることができる。この目的にあわせて、使用する浸漬浴または機能浴の温度は、(コ)ポリアミドのガラス転移(すなわちガラスコンバージョン)温度(Tg)よりも低くても、高くてもよい。架橋の結果、成形品はその形状をTg値を超える温度であっても維持するので、後者が可能である。本発明の特定の実施態様に従って、成形品を白濁または着色する場合、着色は、均一着色またはぼかし着色として実施することができる。
【0068】
成形品あるいはこのような成形品を含む材料コンポジットでの均一な色素分布は、適切に組み合わせたグリコールを含む浸漬浴添加剤を使用して、本出願人の独国特許出願DE 102005017321.7号に記載の特別な浸漬方法によって得られる。この場合、10〜93%、好ましくは10〜80%、特に好ましくは10〜60%の光透過率を有する色深度で1%以下の低いヘイズ値(不透明度の値)を達成することができる。なお、それぞれの場合において、成形品において高光沢かつ欠陥のない表面が維持される。従って、適切な主要色を利用して、グレーを含む全てのシェードを得ることができる。
【0069】
着色した成形品または材料組成物は、色が浸出することなく、従来の浸漬浴中でプライマーまたはハードワニスでコーティングすることができる。これらは、熱によって、またはUV照射によって、硬化する。同様に、アンチリフレクション器具またはアンチコーティング器具のための層を付与することができる。これらの層の接着は悪影響を与えない。また、浸漬着色の後に偏光フィルムを接着して結合することができ、その後、これらをハードコートおよびアンチリフレクション層および/またはアンチコーティング層で仕上げる。また、例えば、フィルムまたはプレートなどの成形体において、この方法を機能添加剤でのドーピングに使用することもできる。これらの機能添加剤としては、UV添加剤、光互変性または熱変色性添加剤、コントラスト強調添加剤、および屈折率に影響を与える添加剤が挙げられる。
【0070】
有害なUV光の不透過性は、透明材料の屋外用途においてますます要求されている。これは、主に、430nm未満、特に400nm未満、さらに385nm未満の波長を有するUV光に関する。ポリアミド成形配合物に通常のUV吸収剤(特に、塩素活性化ベンゾトリアゾール類(例えば、Tinuvin 326、Tinuvin 327またはその誘導体など)の形態)で配合することによって、透明ポリアミド成形品において、このような不透過性を達成することができる。いわゆる「ヒンダードアミン光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizers)」(HALS)添加剤を含む混合物が有効であることが分かった。
【0071】
光学ライトナーおよびUV吸収剤の組み合わせがポリアミド成形品の向上した外観をもたらす一方でそれと同時に有害なUV光に対して保護作用を有する。市場では様々なUV保護クラスが求められるので、成形品の製造直前に適切なマスターバッチによってUV保護を付与することが有利である。UVマスターバッチの量および種類に応じて、385nm、400nmまたはそれ以上の波長に対応する保護クラスに合わせて、光透過を直接調節することができる。
【0072】
本発明の架橋性ポリアミド成形配合物にさらなる添加剤を配合することができる。
【0073】
・他のポリマー(例えば、ポリマーフロー剤(例えば、EP 1 120 443 A2号参照)、ポリマー難燃剤または強化剤、可能な限り同じ屈折率を有するようにグラフト重合したコア−シェルポリマーなど)
【0074】
・フィラーまたは補強材(例えば、同じ屈折率を有する(アイソリフラクティブ)ガラスファイバーまたはガラスボール)ならびにナノスケール無機材料(例えば、最大平均粒径100nm、好ましくは最大で80nmを有する超微粒子チョーク、あるいは、最大平均粒径100nmを有する有機修飾層を有するシリケート(本出願人の欧州特許出願EP 1 416 010 A2号参照)ならびにナノスケール金属酸化物、特にナノスケールTiOなど)
【0075】
・顔料、他の着色剤、軟化剤、帯電防止剤、離型剤、フロー剤、難燃剤、など
【0076】
これらの成形品を例えば光学体の製造に使用する。光学体とは、光が透過するものであって、光を反射するか、または、光を吸収する。これは、光を反射したり、吸収したりすることができ、透過させることもでき、例えば、焦点調節するときに収束したり、発散したりすることができ、眼で知覚することができるか、または、成形品の出力側において眼で感知できる効果を提供することができる。例えば、このような成形品は、眼鏡(特に、サングラス)、カメラ、双眼鏡、拡大鏡、顕微鏡、電子光学測定および試験機器の光学レンズ、光学フィルタ、ヘッドランプレンズ(特に、自動車および他の乗り物のドライビングライトのカバーのレンズ)、ランプレンズ、プロジェクタおよびビデオプロジェクタのレンズ、ファインダーのぞき窓、のぞきガラス、保護ガラスおよびバイザー、ならびに建築および自動車分野でのサンルーフおよび窓ガラスであってもよい。さらに、様々な用途に応じて、透明な成形品、ファイバーまたはフィルムを製造することができる(例えば、食品、医療品および化粧品の包装、あるいは農業用または園芸用フィルム)。さらに、本発明に従って、透明ポリアミド成形配合物から、架橋した上記成形品のほとんどにおいて、例えば、積層またはインモールドデコレーションによって、保護層を作製することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドがアモルファスまたは微晶質ポリアミド、それらのコポリアミド、およびそれらの混合物、ならびにこれらのポリアミドと半結晶ポリアミドとの混合物からなる群から選択される、架橋性熱可塑性ポリアミド成形配合物であって、前記ポリアミド成形配合物が、高エネルギー照射の影響下で前記ポリアミド成形配合物から形成される架橋成形品の製造をもたらす架橋剤を含み、前記架橋成形品が、140℃を超えるTg値を有し、180℃以上の温度で90%の最小寸法安定性を有し、前記ポリアミドが実質的に直鎖構造を有し、そのモノマーがオレフィンC=C二重結合を含まないことを特徴とする、架橋性熱可塑性ポリアミド成形配合物。
【請求項2】
アモルファスまたは微晶質ポリアミドあるいはそれらのコポリアミドと、半結晶ポリアミドとの混合物が、40重量%以下の半結晶ポリアミド、特にPA12を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項3】
前記混合物が、PA MACM12および40重量%以下、特に20重量%以下のPA12を含むことを特徴とする、請求項2に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項4】
前記架橋剤が、前記モノマーの非オレフィンC=C二重結合とともに架橋化合物を形成し、式(I)、(II)、(III)および/または(IV):
【化1】

【化2】

[式中、R、RまたはRは、互いに独立して、水素、または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
を有する少なくとも1つの基を含むか、あるいは、以下の構造式(V)または(VI):
【化3】

[式中、R、RまたはRは、互いに独立して、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するヒドロキシルアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するカルボキシアルキル基、または1〜10個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基を示す]
を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項5】
前記架橋剤のフラクションが前記ポリアミド成形配合物の10重量%以下、好ましくは7重量%以下、特に好ましくは4重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項6】
前記架橋剤がトリアリルイソシアヌレート(TAIC)であり、そのフラクションが前記ポリアミド成形配合物の1〜5重量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項7】
脂環式ジアミンと、6〜36個の炭素(C)原子を有する脂肪族ジカルボン酸とから形成されるポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項8】
PACMおよび/またはMACMと、脂肪族ジカルボン酸とから形成されるポリアミドを含み、前記ジカルボン酸が、10、12、13、14および18個の炭素(C)原子を有する群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項9】
8〜18個の炭素(C)原子を有する芳香族ジカルボン酸と、脂肪族または脂環式ジアミンから形成されるポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項10】
芳香族ジカルボン酸がTPSまたはIPSであることを特徴とする、請求項9に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項11】
ラクタムおよび/またはアミノカルボン酸から形成されるポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項12】
芳香核を有するジアミンと、芳香族または脂肪族の構造を有するジカルボン酸から形成されるポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド成形配合物。
【請求項13】
熱可塑性ポリアミド成形配合物から製造される架橋ポリアミド成形品であって、ポリアミド成形配合物のポリアミドが、アモルファスまたは微晶質ポリアミド、それらのコポリアミド、およびそれらの混合物、ならびにこれらのポリアミドと半結晶ポリアミドとの混合物からなる群から選択され、ポリアミド成形品は架橋剤を含み、前記架橋剤が、前記ポリアミド成形配合物のエネルギー照射の結果として、前記ポリアミドと架橋し、前記ポリアミドが実質的に直鎖構造を有し、そのモノマーがオレフィンC=C二重結合を含まず、前記ポリアミド成形部品が、140℃を超えるTg値を有し、180℃以上の温度で90%の最小寸法安定性を有することを特徴とする、架橋ポリアミド成形品。
【請求項14】
アモルファスまたは微晶質ポリアミドあるいはそれらのコポリアミドと、半結晶ポリアミドとの混合物が、40重量%以下の半結晶ポリアミド、特にPA12を含むことを特徴とする、請求項13に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項15】
前記混合物が、PA MACM12および40重量%以下、特に20重量%以下のPA12を含むことを特徴とする、請求項14に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項16】
200℃を超える温度の作用にもかかわらず、95%の最小寸法安定性を有する、構造部品であることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項17】
260℃の温度にもかかわらず、透明性および90%の最小寸法安定性を有する光学部品であることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項18】
前記光学部品が70%よりも高い、好ましくは80%よりも高い、特に好ましくは85%よりも高い透過率を有することを特徴とする、請求項17に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項19】
260℃の一時的な温度負荷にもかかわらず、前記光学部品が、少なくとも1.50の屈折率、少なくとも40のアッベ数、1.1g/cm以下の密度を有することを特徴とする、請求項17または18に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項20】
前記部品が、LEDの無鉛ハンダ付の前にプリント回路基板に固定されるLED用の光学レンズであることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項21】
前記部品が、射出成形または押出成形によって製造されることを特徴とする、請求項13〜20のいずれか1項に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項22】
前記ポリアミド成形品のガラス転移温度(Tg)が140℃よりも高く、好ましくは150℃よりも高く、特に好ましくは170℃よりも高いことを特徴とする、請求項13〜21のいずれか1項に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項23】
前記部品が、乗り物用の光反射構造物であり、少なくとも180℃のガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする、請求項13〜15、21または22のいずれか1項に記載の架橋ポリアミド成形品。
【請求項24】
請求項13、好ましくは請求項14〜23のいずれか1項に記載の架橋ポリアミド成形品を製造するための請求項1、好ましくは請求項2〜11のいずれか1項に記載の架橋性ポリアミド成形配合物の使用であって、ポリアミドが、アモルファスまたは微晶質ポリアミド、それらのコポリアミド、およびそれらの混合物、ならびにこれらのポリアミドと半結晶ポリアミドとの混合物からなる群から選択され、前記ポリアミド成形配合物は架橋剤を含み、前記架橋剤を高エネルギー照射にさらして、架橋成形品を製造し、前記ポリアミドが実質的に直鎖構造を有し、そのモノマーがオレフィンC=C二重結合を含まず、前記ポリアミド成形品が140℃を超えるTg値を有し、180℃以上の温度で90%の最小寸法安定性を有することを特徴とする、前記架橋性ポリアミド成形配合物の使用。
【請求項25】
混合物が、アモルファスまたは微晶質ポリアミドあるいはそれらのコポリアミドと、半結晶ポリアミドとから製造され、40重量%以下の半結晶ポリアミド、特にPA12を含むことを特徴とする、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記混合物が、PA MACM12および40重量%以下、特に20重量%以下のPA12を含むことを特徴とする、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
架橋をβまたはγ照射によって誘発することを特徴とする、請求項24〜26のいずれか1項に記載の使用。
【請求項28】
架橋反応を促進する架橋剤であって、以下の式(I)、(II)、(III)および/または(IV):
【化4】

[式中、R、RまたはRは、互いに独立して、水素、または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
の少なくとも1つの基を含むか、あるいは、以下の構造式(V)または(VI):
【化5】

[式中、R、RまたはRは、互いに独立して、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するヒドロキシルアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するカルボキシアルキル基、または1〜10個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基を示す]
を有する架橋剤を使用することを特徴とする、請求項24〜27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
架橋剤としてトリアリルイソシアヌレートを使用し、使用するポリアミドの成形処理の前に添加することを特徴とする、請求項24〜28のいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2009−520853(P2009−520853A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546398(P2008−546398)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069771
【国際公開番号】WO2007/074086
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(502415180)エーエムエス−ヒェミー・アクチェンゲゼルシャフト (7)
【氏名又は名称原語表記】EMS−CHEMIE AG
【Fターム(参考)】