説明

架橋澱粉を含有する毛髪固定剤

スタイリングムースおよびジェルなどの毛髪固定剤は、天然の再生可能な資源に由来する生物高分子物質を含んでいてもよい。生物高分子物質を架橋させて、毛髪固定剤に組み込み得る生物高分子ラテックスを形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月1日に出願された米国仮特許出願第61/309,145号(現在係属中)および2010年10月11日に出願された米国仮特許出願第61/391,858号(現在係属中)の優先権を主張するものであり、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本明細書に開示されている組成物および方法は、天然資源に由来する生物高分子物質を含有する毛髪固定剤に関する。
【背景技術】
【0003】
毛髪固定剤としては、ジェルまたはムースなどのスタイリング製品が挙げられ、そのような製品は、構造を与えて髪型をある形状に成形し、製品が乾燥するとその形状を保持することができる高分子物質を含有する傾向がある。公知の固定剤用高分子物質の大半は合成品である。しかし、パーソナルケア産業では、たとえ含まれていても僅かにしか合成材料を含有していない「天然」製品を使用する傾向にある。パーソナルケア産業で使用されているように、「天然」製品の閾値は、製品の95重量%以上が天然由来であるかという点にある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示されている組成物および方法は、天然資源に由来する生物高分子物質を含有する毛髪固定剤に関する。
一側面では、架橋生物高分子組成物から形成された生物高分子ラテックスと担体組成物とを含有する毛髪固定剤が提供される。該生物高分子物質は、再生可能な資源から得られる少なくとも1種の澱粉に由来している。
【0005】
別の側面では、生物高分子物質を水または希釈した炭酸ナトリウム溶液などの溶媒に分散させて生物高分子ラテックスを形成することと、該生物高分子ラテックスを担体組成物に組み込んで毛髪固定剤を形成することとを含む、毛髪固定剤の製造方法が提供される。該生物高分子物質を水に接触させる前に、本方法は、最初に該生物高分子物質を湿潤剤で湿らすことを必要としてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本技術の毛髪固定剤は、架橋生物高分子組成物を含む。「生物高分子物質」とは、澱粉および炭水化物、またはセルロース、ヘミセルロースおよびガムなどの他の多糖類、ならびにナノ粒子に形成することができるゼラチンまたは乳清タンパク質などのタンパク質などの生物高分子物質を意味する。生物高分子物質は、アシル化、リン酸化、ヒドロキシアルキル化および酸化などによって、例えばカチオン基またはカルボキシメチル基を用いて修飾されていてもよい。澱粉および少なくとも50%の澱粉を含有する他の(生物)高分子物質を含有する澱粉の混合物が好ましい。低アミロース澱粉などの高アミロペクチン澱粉、すなわち、少なくとも75%、特に少なくとも90%のワックス状澱粉などのアミロペクチン含有量を有する澱粉が特に好ましい。生物高分子物質は、処理を開始した際に、少なくとも50重量%、特に少なくとも60重量%の乾燥物質含有量を有することが好ましい。
【0007】
本技術の毛髪固定剤は、例えば、米国特許第6,677,386号および米国特許出願公開第20100143738号に記載されているような少なくとも1種の澱粉に由来する架橋生物高分子組成物を含むことが好ましく、それらの両開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。少なくとも1種の澱粉は、限定されるものではないが、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、米、タピオカまたはそれらの混合物などの様々な天然の再生可能な資源から得ることができる。いくつかの例では、澱粉は、アミロペクチンを多く含んでいてもよく、例えば、澱粉の少なくとも約75重量%のアミロペクチン、または澱粉の約75重量%超のアミロペクチン、好ましくは95%のアミロペクチンを含んでいてもよい。さらに、例えば、Kalamazoo Paper Chemicals製のEmslandカチオン性ジャガイモ澱粉などのカチオン修飾した澱粉などの化学修飾した澱粉を使用してもよい。
【0008】
米国特許第6,677,386号は、400ナノメートル未満の平均粒径を特徴とする生物高分子澱粉ナノ粒子について記載している。ナノ粒子はマトリックス材料として使用することができ、該マトリックス材料は、薄膜形成材料、増粘剤、レオロジー改変剤、接着剤または粘着性添加剤(粘着付与剤)であってもよい。米国特許出願公開第20100143738号は、剪断力下で架橋剤と反応させた生物高分子物質と添加剤との複合体(剪断力下で生物高分子物質供給材料、少なくとも1種の性能向上添加剤および少なくとも1種の可塑剤を共押出しすることによって調製)を含むバイオラテックス複合体組成物について記載している。
【0009】
澱粉を任意の好適な方法で架橋して架橋生物高分子物質を形成してもよい。例えば、澱粉は架橋されていてもよい。そのような方法では、澱粉を押出機で架橋してもよく、押出機からの押出し物は、架橋生物高分子物質であってもよい。一般に、同時に行う機械的処理および架橋による架橋生物高分子物質の製造方法は、例えば、Giezenらに付与された米国特許第6,677,386号、Van Soestらに付与された米国特許第6,755,915号、およびBloembergenらに付与された米国特許第6,921,430号に記載されており、それらの各開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。架橋生物高分子物質を形成する際に同様の方法を使用してもよい。例えば、架橋生物高分子物質は、澱粉を水に分散させ、かつ水に分散させた澱粉を押出機の第1の領域に導入することによって製造することができる。
【0010】
少なくとも1種の架橋剤を、押出機の第2の領域に導入し、水に分散させた澱粉と一緒にしてもよい。好適な架橋剤としては、例えば、ヘミアセタールを可逆的に形成するジアルデヒドおよびポリアルデヒド、酸無水物および混合無水物(例えば、無水コハク酸および無水酢酸)およびそれらの混合物などが挙げられる。好適なジアルデヒドおよびポリアルデヒドとしては、グルタルアルデヒド、グリオキサール、過ヨウ素酸塩で酸化された炭水化物などが挙げられる。グリオキサールは好ましい架橋剤である。いくつかの例では、エピクロロヒドリンおよび他のエポキシド、トリメタリン酸三ナトリウムなどの三リン酸、ジビニルスルホン、ジアルデヒド、チオール試薬、塩化ホスホリル、または二塩基もしくは多塩基カルボキシル酸無水物などの架橋剤を使用してもよい。
【0011】
押出機での架橋反応中に、少なくとも1種の可塑剤が存在してもよい。好適な可塑剤としては、水、ポリオール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリコール、グリセリン、スクロース、マルトース、マルトデキストリン、およびソルビトールなどの糖アルコール)、尿素、乳酸ナトリウム、アミノ酸、クエン酸エステルおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤は、少なくとも1種の澱粉の乾燥重量に基づいて、約5重量%〜約40重量%の量で使用してもよい。可塑剤(すなわち、水およびさらなる可塑剤)の総量は、好ましくは、澱粉または澱粉および他の生物高分子物質の混合物の乾燥重量に基づいて約5重量%〜約50重量%の範囲である。
【0012】
架橋反応を押出機で行い、その反応を使用して押出し物として架橋生物高分子物質を形成する場合、押出機の外側で、架橋生物高分子物質を破砕または粉砕(例えば低温で粉砕する)して、生物高分子粒子を形成してもよい。いくつかの例では、生物高分子粒子は、限定されるものではないが、約0.1mm〜約5mmまたは約0.1mm〜約3mmを含む、約0.1mm〜約10mmの平均粒径を有していてもよい。
【0013】
次いで、生物高分子粒子を溶媒に分散させて生物高分子ラテックスを形成することができる。溶媒としては、例えば、水または、例えば、溶液の約0.09重量%〜約0.15重量%の量で炭酸ナトリウムを含有する溶液などの希釈した炭酸ナトリウム溶液を挙げることができる。生物高分子粒子と溶媒を接触させる前に、最初に生物高分子粒子を湿潤剤で湿らせてもよい。水が溶媒である場合、生物高分子ラテックスは、約40nm〜約100nmの範囲の大きさを有する水で膨潤した生物高分子粒子からなる。生物高分子ラテックスを、生物高分子ラテックスの最大約50重量%の生物高分子物質含有量、好ましくは約30%の生物高分子物質含有量で調製してもよい。
【0014】
生物高分子ラテックスを形成する一例では、必須ではないが、水を約40℃〜約50℃の温度に加熱してもよく、約0.01重量%〜約0.09重量%の炭酸ナトリウムを加熱した水に溶解して、希釈した炭酸ナトリウム溶液を形成してもよい。希釈した炭酸ナトリウム溶液を分散機下に置き、次いで、生物高分子粒子を連続的に均質化しながらゆっくりと添加してもよい。分散機は、例えば、シルバーソンミキサーなどの回転子固定子型分散機であってもよい。別の例では、ボール盤に固定されたCowlesブレードを分散機として機能させてもよい。混合物を、限定されるものではないが最大約15分以上の時間などの生物高分子物質を完全に分散させるのに十分な時間にわたって均質化してもよい。また、機械的攪拌などの他の種類の混合を使用してもよい。ラテックスの約1重量%〜約50重量%の範囲の生物高分子物質含有量を有する生物高分子ラテックスをこのように製造することができる。
【0015】
あるいは、生物高分子粒子を水などの溶媒と一緒にし、かつ一緒にした混合物を生物高分子物質が水に溶解するのに十分な時間にわたって放置させることによって、生物高分子ラテックスを形成してもよい。そのような反応は、限定されるものではないが、約30℃〜約50℃および約43℃〜約47℃を含む、約20℃〜約70℃などの任意の好適な温度で行うことができる。場合によっては、約12時間〜約72時間が、任意のさらなる塩または機械的作用なしに生物高分子物質を水に分散させるのに十分な時間であるかもしれない。
【0016】
生物高分子粒子を溶媒に接触させる前に最初に湿潤剤で湿らせる例では、湿潤剤により溶媒との混合を促進してもよい。湿潤剤で生物高分子粒子を湿めらすこととしては、生物高分子粒子を、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、他の好適なポリヒドロキシ化合物およびそれらの組み合わせなどの湿潤剤に添加して最初に生物高分子物質を湿らすことが挙げられる。このさらなる工程により、粒子が溶媒に完全に分散するのに要する時間を短縮することができる。
【0017】
本技術の毛髪固定剤を形成するために、生物高分子ラテックスを任意の好適な担体に組み込んでもよい。好適な担体としては、ゲル組成物、泡、乳濁液および噴霧可能な液体が挙げられるが、これらに限定されない。噴霧可能な液体は、例えば、ポンプまたはエアロゾルによって噴霧可能であってもよい。好適なゲル組成物担体の一例は、水性ゲルである。そのようなゲルは、好適なゲル化剤を生物高分子ラテックスに添加することによって製造することができる。好適なゲル化剤としては、キサンタンガム、カラゲナンガム、架橋ポリアクリル酸、セルロース誘導体およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
毛髪固定剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび同様のポリオール類などの可塑剤および/または保湿剤、DMDMヒダントイン、フェノキシエタノール、パラヒドロキシ安息香酸塩エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウムまたは当該技術分野で知られている他の物質などの防腐剤、第四級アンモニウム化合物、ジメチコンコポリオール、カチオン性高分子物質およびそれらの組み合わせなどの条件調節剤などの、さらなる成分をさらに含んでもよい。
【0019】
生物高分子ラテックスは、毛髪固定剤の約0.1重量%〜毛髪固定剤の約50重量%、好ましくは、毛髪固定剤の約0.5重量%〜毛髪固定剤の約15重量%、より好ましくは、毛髪固定剤の約5重量%〜毛髪固定剤の約10重量%の量で毛髪固定剤中に存在してもよい。一例では、毛髪固定剤は、水性ゲル担体中に約0.5重量%〜約50重量%の生物高分子ラテックスを含み、ここで、生物高分子ラテックスは、約30重量%の生物高分子物質を含有する。
【0020】
本技術に係る生物高分子ラテックスは、紙または皮などの極性基板上に溶液から流延された場合に薄膜を形成することができる。当業者であれば、これらの材料をスキンケアおよび有色化粧品製剤に使用し得ることを理解するであろう。例えば、そのような薄膜形成能は、日焼け止めなどのスキンケア製品に有用であり得、薄膜は、日焼け止め活性物質の拡散および保持を支援する。さらに、薄膜形成能は、薄膜により皮膚が水分を保持し、それにより水分喪失を減少させることができる肌保湿剤に有用であり得、それにより、肌保湿剤の経表皮水分喪失量(TEWL)を改善することができる。本技術の生物高分子ラテックスの薄膜形成特性を使用し得る応用分野の別の例は、マニキュア液などの有色化粧品である。本明細書に記載されている生物高分子ラテックスから形成される薄膜を、爪に対する接着および色素の分散のための担体を形成するために使用することができる。
【0021】
実施例1
試験用試料A(水性ゲル担体と、毛髪固定剤の約6重量%の量で生物高分子物質とを含有する本技術の整髪用ジェル)を、対照試料B(水性ゲル担体と、毛髪固定剤の約6重量%の量で合成高分子物質とを含有する毛髪固定剤)に対して美容室環境で試験した。
【0022】
製品処理手順:スタイリストは、製造業者の指示に従って、市販の浄化シャンプーを塗布し、泡立て、洗い流した。シャンプー処理後に、スタイリストは、被験者の湿った髪に市販の日常用コンディショナーを塗布し、末端まで均一に延ばし、髪に2分間放置した後、洗い流した。コンディショナーを洗い流し、髪をタオル乾燥した後、スタイリストは、被験者の髪を分けて、一方に試験試料Aを塗布し、他方に対照試料Bを塗布した。試験試料Aおよび対照試料Bの塗布は、被験者の頭部の左側と右側との間で無作為に行った。等量の試験試料Aおよび対照試料Bを各側に塗布した。ゲル処理済みの髪を、髪の種類に従ってスタイリングした。ストレートな髪の被験者に対しては、ヘアアイロンでスタイリングするか、ドライヤーで乾燥した後にカーラーでセットし、巻き毛/ウェーブのかかった髪の被験者に対しては、ドライヤー乾燥しながら手でスタイリングした。
【0023】
被験者の統計データ/スタイル型:合計12人の被験者がいた。すべての被験者の髪は毛染め処理済みであった。5人の被験者はストレートな髪であり、カーラーでセットされていた1人の被験者を除いてヘアアイロンでセットされており、4人の被験者の髪はウェーブしており(手でスタイリングされていた)、3人の被験者の髪は巻き毛であった(手でスタイリングされていた)。
【0024】
評価:被験者に試験製品を塗布した後、スタイリストは、いくつかの主観的な要素に関して1〜5のランク(1が最低の評価であり、5が最高の評価である)で製品について評価した。被験者も1〜5のランクで様々な主観的な要素に関して試験製品を評価し、最初の評価および約6〜8時間後の評価を行った。評価の結果を以下に記載する。
【0025】
スタイリストの評価−試験試料A対対照試料B:
各製品特質に関する試験試料Aおよび対照試料Bのスタイリスト平均評点を以下の表1に記載する。平均評点の差を、95%信頼区間(p<0.05)に基づいて統計的有意差に関して分析し、以下の結論を得た:
・対照試料Bは、固さ/皮膜形成力/保持力の点で試験試料Aよりも統計的に高いと評価された。
・対照試料Bは、柔らかさの点で試験試料Aよりも統計的に低いと評価された。
・対照試料Bおよび試験試料Aは、すべての他の特質(粘着性の喪失、カールの鮮明性/触感、カールの弾力性/跳ね、コーミングの容易性、剥離の喪失、縮毛の喪失、艶およびコシ/ボリューム)において統計的に同等であった。
【0026】
【表1】

【0027】
被験者の評価−美容室での評価:
各製品特質に関する試験試料Aおよび対照試料Bの被験者の最初の評価の被験者平均評点を以下の表2に記載する。平均評点の差を、95%信頼区間(p<0.05)に基づいて統計的有意差に関して分析し、以下の結論を得た:
・対照試料Bは、固さ/保持力の点で試験試料Aよりも統計的に高いと評価された。
・対照試料Bは、柔らかさの点で試験試料Aよりも統計的に低いと評価された。
・対照試料Bおよび試験試料Aは、コシ/ボリュームの点で統計的に同等であった。
【0028】
【表2】

【0029】
被験者の評価−6〜8時間後:
各製品特質に関する試験試料Aおよび対照試料Bの被験者の最後の評価の被験者平均評点を以下の表3に記載する。平均評点の差を、95%信頼区間(p<0.05)に基づいて統計的有意差に関して分析し、以下の結論を得た:
・対照試料Bは、固さ/保持力の点で試験試料Aよりも統計的に高いと評価された。
・対照試料Bは、柔らかさの点で試験試料Aよりも統計的に低いと評価された。
・対照試料Bおよび試験試料Aは、コシ/ボリュームの点で同等であると評価された。
【0030】
【表3】

【0031】
実施例2
試験用試料A(水性ゲル担体と、毛髪固定剤の約6重量%の量で生物高分子物質とを含有する本技術の整髪用ジェル)を、対照試料B(水性ゲル担体と、毛髪固定剤の約6重量%の量で合成高分子物質とを含有する毛髪固定剤)に対して、毛束で試験した。
【0032】
製品処理手順:製造業者の指示に従って、毛束を市販の浄化シャンプーで洗った。その後の製品塗布のために、毛束を洗い流し、タオルで拭いて乾燥した。次いで、以下の工程に従って、5つの毛束複製物を試験試料Aで処理し、5つの毛束複製物を対照試料Bで処理した:
1.各毛束を1ccのゲル製品で処理し、「オレンジ色」の凸状パーマロッド(約2cmの直径、6.3cmの円周)に巻きつける。
2.巻きつけた毛束を、完全に乾燥するまでフードドライヤーで2時間乾燥させる。
3.カールした毛束を、慎重に(薄膜を壊さないように)ロッドから取り外し、バインダークリップでロッドに取り付ける。
【0033】
評価:以下の工程に従って評価過程を行った:
1.毛束の頂部を0インチの記号の位置またはその前後に位置決めした状態で、取り付けた毛束と共にロッドを、90〜95%の相対湿度および華氏78〜82度に設定した平衡室内に置いた。
2.最初に、最大4時間、5時間、6時間、24時間および48時間まで30分間隔でカール長さの測定を行った。比較のためだけに各時点で写真を撮った(カメラは、実際の測定とは異なる有利な位置に位置合わせした)。
3.カール保持率を、以下の式を用いて計算した:
カール保持率(%)=(L−L)/(L−L)×100%
式中:
=完全に伸ばした毛束の長さ−5.8インチ
=各時間間隔での毛束の長さ
=開始時点での毛束の長さ
カール長さの測定値およびカール保持率を以下の表4および表5に示す。結果から分かるように、試験試料Aは、2時間以降の時点で、対照試料Bよりも良好な性能を有していた。
【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
実施例3:製剤
【0037】
【表6】

【0038】
上の実施例1および実施例2で試験した試料Aおよび対照試料Bを、3段階過程によって調製した。段階Aでは、カーボポール980を水に添加し、完全に分散するまで撹拌した。次いで、DMDMヒダントインを添加した。別の方法として、カーボポールを、約1000rpmなどの低いrpmで、高剪断ミキサーで分散させてもよい。段階Bでは、Asensa NFF 11分散系と水を穏やかに撹拌しながら添加し、完全に混合するまで撹拌した。段階Cでは、TEAおよび水を連続的に撹拌しながら添加し、ゲルが完全に形成されるまで、混合物を撹拌した。
【0039】
【表7】

【0040】
段階Aのスラリーをビーカーで調製した。段階Bのすべての成分を別のビーカーの中に一緒にして、穏やかに撹拌した。次いで、段階Aの成分を、連続的に混合しながら段階Bの成分に添加した。得られた毛髪固定用製剤の特性は以下のとおりであった:
pH=7.09
粘度=6500Cps。Brookfield DV-II+ Pro、スピンドル#4、20rpm、20℃。
【0041】
【表8】

【0042】
段階Aのスラリーをビーカーで調製した。段階Bのすべての成分を別のビーカーの中に一緒にして、穏やかに撹拌した。次いで、段階Aの成分を、連続的に混合しながら、段階Bの成分に添加した。得られた毛髪固定用製剤の特性は、以下のとおりであった:
pH=7.18
粘度=5400Cps。Brookfield DV-II+ Pro、スピンドル#2、5rpm、20℃。
【0043】
【表9】

【0044】
段階Bのスラリーをビーカーで調製し、撹拌しながら段階Aに添加した。段階Cを別のビーカーで混合した後、撹拌しながら段階A/Bに添加した。最後に、段階Dを混合物に添加した。得られた毛髪固定用製剤の特性は、以下のとおりであった:
pH=8.4
粘度=38,700cps。Brookfield DV-II+ Pro、スピンドル#3、2.5rpm、20℃。
【0045】
例示目的のために具体的な例を本明細書に記載してきたが、本開示の趣旨または範囲から逸脱せずに様々な修正が可能であることが上記から分かるであろう。従って、上記詳細な説明は、限定的なものではなく例示としてみなされるものであり、特許請求される主題を特に指摘し、かつ明確に請求することが意図されているのは、すべての均等物を含む以下の特許請求の範囲であることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能な資源に由来する架橋生物高分子物質から形成された生物高分子ラテックスと、担体組成物と、を含む毛髪固定剤。
【請求項2】
該生物高分子物質が澱粉に由来する、請求項1に記載の毛髪固定剤。
【請求項3】
該生物高分子ラテックスが、該生物高分子ラテックスの約1重量%〜約50重量%の生物高分子物質含有量を有する、請求項1に記載の毛髪固定剤。
【請求項4】
該生物高分子物質が、該毛髪固定剤の約0.1重量%〜該毛髪固定剤の約50重量%の量で該毛髪固定剤中に存在する、請求項1に記載の毛髪固定剤。
【請求項5】
該担体組成物が、水性ゲル、噴霧可能な液体、泡および乳濁液からなる群から選択される、請求項1に記載の毛髪固定剤。
【請求項6】
ゲル化剤をさらに含む、請求項1に記載の毛髪固定剤。
【請求項7】
生物高分子ラテックスを形成する工程と、
該生物高分子ラテックスを担体組成物に組み込んで毛髪固定剤を形成する工程と、
を含む毛髪固定剤の製造方法。
【請求項8】
該形成する工程が、
炭酸ナトリウムを水に溶解して希釈した炭酸ナトリウム溶液を形成することと、
該希釈した炭酸ナトリウム溶液を生物高分子物質と混合して該生物高分子ラテックスを形成することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
該形成する工程が、
生物高分子物質と溶媒とを一緒にすることと、
該一緒にした生物高分子物質および溶媒を、該生物高分子物質を該水に分散させるのに十分な時間にわたって放置して、生物高分子ラテックスを形成すること、
とを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
該生物高分子物質および該溶媒を一緒にする前に、該方法が、最初に該生物高分子物質を湿潤剤で湿らせることをさらに含む、請求項7に記載の毛髪固定剤の製造方法。

【公表番号】特表2013−521292(P2013−521292A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556153(P2012−556153)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/026588
【国際公開番号】WO2011/109331
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】