説明

染料含有硬化性組成物、並びに、カラーフィルタおよびその製造方法

【課題】高感度という特性を有し、高染料濃度で薄膜化してもパターン形成性に優れ、染料の溶出がなく、また、生産性の高い染料含有硬化性組成物、並びに、これを使用したカラーフィルタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶剤可溶性染料(A)、硬化剤(C)、および感光性化合物(D)を含有する染料含有硬化性組成物であって、全固形成分に対する前記有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が45質量%以上であり、かつ、全固形成分に対する前記硬化剤(C)の含有量が20質量%以上55質量%以下であり、前記感光性化合物(D)が、光重合開始剤である2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオンであることを特徴とする染料含有硬化性組成物、並びに、これを用いたカラーフィルタおよびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子や固体撮像素子(CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタの着色画像を形成するのに好適なカラーフィルタ用の染料含有硬化性組成物、並びに、カラーフィルタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタを作製する方法としては、染色法、印刷法、電着法および顔料分散法が知られている。
【0003】
このうち顔料分散法は、顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色感放射線性組成物を用いてフォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法であり、顔料を使用しているために光や熱等に安定であるという利点を有している。またフォトリソ法によってパターニングするため、位置精度が高く、大画面、高精細カラーディスプレイ用カラーフィルタを作製するのに好適な方法として広く利用されてきた。
【0004】
前記顔料分散法によりカラーフィルタを作製するためには、ガラス基板上に感放射線性組成物をスピンコーターやロールコーター等により塗布し乾燥させ塗膜を形成し、該塗膜をパターン露光し、現像することにより着色した画素を形成し、更に、この操作を各色毎におこなうことで、カラーフィルタを作製することができる。
【0005】
前記顔料分散法として具体的には、特開平2−199403号公報、特開平4−76062号公報、特開平5−273411号公報、特開平6−184482号公報、特開平7−140654号公報にあるように、アルカリ可溶性樹脂に光重合性モノマーと光重合開始剤とを用いるネガ型硬化性組成物が従来から知られている。
【0006】
一方、近年、固体撮像素子用のカラーフィルタにおいては更なる高精細化が望まれている。しかしながら、従来の顔料分散系では解像度を更に向上させることは困難であり、顔料の粗大粒子により色ムラが発生する等の問題があるため、固体撮像素子のように微細パターンが要求される用途には適さなかった。
【0007】
かかる問題を解決すべく、従来から溶剤あるいは水に可溶性の染料を使用する例が特開2002−278056号公報等に知られている。しかしながら、染料を含有した硬化性組成物は、例えば、耐光性、耐熱性が一般的に顔料に比べて劣るという問題があった。
【0008】
特に、固体撮像素子用カラーフィルタ作製用途の場合には1.5μm以下の膜厚が要求されるため、硬化性組成物中に多量の色素を添加しなければならず、これにより感度が低下して基板との密着が不充分となったり、十分な硬化が得られなかったり、露光部でも染料が溶出して色が抜けてしまうなどと、パターン形成性が著しく困難であるといった問題も生じていた。
【0009】
上述の問題の為、高精細カラーフィルタ用の微細かつ薄膜の着色パターンに関する実用上の要求性能を満足することは困難であった。
このため、上述の問題を解決することのできる染料や硬化性組成物の開発の探索が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2−199403号公報
【特許文献2】特開平4−76062号公報
【特許文献3】特開平5−273411号公報
【特許文献4】特開平6−184482号公報
【特許文献5】特開平7−140654号公報
【特許文献6】特開2002−278056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は染料の使用に好適な染料含有硬化性組成物を提供することであり、具体的には、高感度という特性を有し、高染料濃度で薄膜化してもパターン形成性に優れ、染料の溶出がなく、また、生産性の高い染料含有硬化性組成物、並びに、これを使用したカラーフィルタおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 有機溶剤可溶性染料(A)、硬化剤(C)、および感光性化合物(D)を含有する染料含有硬化性組成物であって、全固形成分に対する前記有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が45質量%以上であり、かつ、全固形成分に対する前記硬化剤(C)の含有量が20質量%以上55質量%以下であり、前記感光性化合物(D)が、光重合開始剤である2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオンであることを特徴とする染料含有硬化性組成物である。
【0013】
<2> 全固形成分に対する前記有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が50質量%以上であることを特徴とする前記<1>の染料含有硬化性組成物である。
【0014】
<3> 全固形成分に対する前記有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が55質量%以上であることを特徴とする前記<1>の染料含有硬化性組成物である。
【0015】
<4> 全固形成分に対する前記有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が65質量%以上であることを特徴とする前記<1>の染料含有硬化性組成物である。
【0016】
<5> 全固形成分に対する前記硬化剤(C)の含有量が25質量%より大きく55質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0017】
<6> 全固形成分に対する前記硬化剤(C)の含有量が30質量%より大きく55質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0018】
<7> 更に、バインダー(B)を含有し、前記バインダー(B)と前記硬化剤(C)との質量比(C)/(B)が、2.0より大きいことを特徴とする前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0019】
<8> 更に、バインダー(B)を含有し、前記バインダー(B)と前記硬化剤(C)との質量比(C)/(B)が、3.0より大きいことを特徴とする前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0020】
<9> 更に、バインダー(B)を含有し、前記バインダー(B)と前記硬化剤(C)との質量比(C)/(B)が、5.0より大きいことを特徴とする前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0021】
<10> 前記有機溶剤可溶性染料(A)が、1種類以上の酸性染料を含むことを特徴とする前記<1>〜前記<9>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0022】
<11> 前記有機溶剤可溶性染料(A)が、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾメチン系、アゾ系、ベンジリデン系、オキソノール系、シアニン系、フェノチアジン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、メチン系、アジン系、オキサジン系、チアジン系、アンスラピリドン系から選ばれる染料であることを特徴とする前記<1>〜前記<10>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0023】
<12> 前記有機溶剤可溶性染料(A)が、色価が55を超える有機溶剤可溶性染料を含有することを特徴とする前記<1>〜前記<11>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0024】
<13> 前記有機溶剤可溶性染料(A)が、色価が60を超える有機溶剤可溶性染料を含有することを特徴とする前記<1>〜前記<11>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0025】
<14> 前記有機溶剤可溶性染料(A)として色価が70を超える有機溶剤可溶性染料を含有することを特徴とする前記<1>〜前記<11>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0026】
<15> 前記有機溶剤可溶性染料(A)が、色価が80を超える有機溶剤可溶性染料を含有することを特徴とする前記<1>〜前記<11>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0027】
<16> 硬化方法がネガ型であることを特徴とする前記<1>〜前記<15>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0028】
<17> 前記バインダー(B)が、アルカリ可溶性の重合性側鎖を有する(メタ)アクリル系樹脂を含むことを特徴とする前記<7>〜前記<16>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0029】
<18> 前記硬化剤(C)が、4官能以上の(メタ)アクリルエステル系モノマーを含むことを特徴とする前記<1>〜前記<17>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物である。
【0030】
<19> 前記<1>〜前記<18>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物を支持体上に塗布後、マスクを通して露光し、現像してパターンを形成させることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
この製造方法は、必要により前記パターンを加熱および/または露光によって硬化する工程を含んでいてもよいし、これらの工程を複数回繰り返すものであってもよい。
また染料を変更して、複数種類の色のフィルタを形成してもよい。
【0031】
<20> 前記<1>〜<18>のいずれか1つに記載の染料含有硬化性組成物を用いて、前記<19>に記載の方法により形成されたことを特徴とするカラーフィルタである。
【0032】
<21> 膜厚が1.2μm以下であることを特徴とする前記<20>のカラーフィルタである。
【0033】
<22> 膜厚が1.0μm以下であることを特徴とする前記<20>のカラーフィルタである。
【0034】
<23> 膜厚が0.8μm以下であることを特徴とする前記<20>のカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、高感度という特性を有し、高染料濃度で薄膜化してもパターン形成性に優れ、染料の溶出がなく、また、生産性の高い染料含有硬化性組成物、並びに、これを使用し、耐溶剤性に優れた薄膜のカラーフィルタおよび簡便でコストパフォーマンスの高いカラーフィルタの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の染料含有硬化性組成物、カラーフィルタおよびその製造方法について詳述する。
【0037】
《染料含有硬化性組成物》
本発明の染料含有硬化性組成物(以下、「本発明の組成物」という場合がある。)は、有機溶剤可溶性染料(A)および硬化剤(C)を含有する染料含有硬化性組成物であって、全固形成分に対する有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が45質量%以上であり、かつ、全固形成分に対する硬化剤(C)の含有量が20質量%以上55質量%以下であることを特徴とする。
【0038】
本発明の組成物は、有機溶剤可溶性染料(A)、および、硬化剤(C)を少なくとも含み、有機溶剤可溶性染料(A)および硬化剤(C)の全固形成分に対する含有量をそれぞれ前記で表される範囲とすることで、色濃度、感度、およびパターン形成性に優れた性質を示し、耐溶剤性に優れた薄膜のカラーフィルタを形成することができる。
また、本発明の組成物は、特に全固形成分に対する染料の含有量が45%以上と大きいため、優れた色濃度を保ちながらカラーフィルタの膜厚を低減することができる。さらに、本発明の組成物によれば、固形成分中における硬化剤(C)の含有量を20質量%以上55質量%以下と大きくすることで、高染料濃度でもパターン部の硬化性が高く残膜率を向上できるうえに、パターン部以外の現像性が向上させることができるため、良好なパターン形成性を発揮することができる。本発明の組成物は、製造プロセスにおいて、前記の諸性能の劣化の懸念がない為、生産性が高い。本発明の組成物は、更に、バインダー(B)、感光性化合物(D)、溶剤(E)を含有することが好ましく、その他必要に応じて種々の添加剤を含有することができる。
【0039】
<有機溶剤可溶性染料(A)>
本発明で使用できる有機溶剤可溶性染料は、有機溶剤に溶解する染料であれば特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に開示されている色素が使用できる。化学構造の観点からは、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾメチン系、アゾ系、ベンジリデン系、オキソノール系、シアニン系、フェノチアジン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、メチン系、アジン系、オキサジン系、チアジン系、アンスラピリドン系から選ばれる染料が挙げられる。トリアリルメタン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ピリドンアゾ系、ピラゾールアゾ系については特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報等に開示されている色素が使用できる。
【0040】
中でも、本発明における有機溶剤可溶性染料としては、トリアリルメタン系、アゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、アゾ系から選ばれる染料が好ましい。特に、下記一般式(I)、および、後述する一般式(II)、一般式(III)で表される染料を、有機溶剤可溶性染料として使用することが好ましい。
【0041】
【化1】


〔一般式(I)中、Aは、アリール基あるいは5〜6員の芳香族ヘテロ環ジアゾ成分A−NHの残基を表す。BおよびBは、各々独立に、−CR=、−CR=、または窒素原子を表し、BおよびBが同時に窒素原子を表すことはない。RおよびRは、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、RとRとが同時に水素原子を表すことはない。G、R、およびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基で置換された置換アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、モノアルキルスルファモイル基、モノアリールスルファモイル基、スルホ基、メルカプト基、ヘテロ環チオ基、アミド基を表す。RとR、および/または、RとRは互いに結合して5員または6員環を形成してもよい。〕
【0042】
前記一般式(I)において、Aは、アリール基あるいは5〜6員の芳香族ヘテロ環ジアゾ成分であるA−NHの残基を表す。前記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜16のアリール基が更に好ましい。該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、該アリール基が置換基を有する場合には、後述のG、R、Rと同様の置換基を有していても良い。
また、前記A−NHのAを構成する5〜6員のヘテロ環のヘテロ原子の例としては、N、O、およびSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員ヘテロ環であり、ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよい。
【0043】
前記Aにおける好ましいヘテロ環の例には、ピリジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各ヘテロ環は更に置換基を有していてもよい。中でも、前記ヘテロ環としては、下記一般式(a)〜(g)で表される、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
【0044】
【化2】

【0045】
前記一般式(a)〜(g)のR〜R23は、後に説明するG、R、およびRと同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(a)〜(g)のうち、好ましいのは一般式(a)、(g)または(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)、(g)で表されるピラゾール環である。
【0046】
前記BおよびBは、各々独立に、−CR=、−CR=、または窒素原子を表し、BおよびBが同時に窒素原子を表すことはない。すなわち、BおよびBが同時に−CR=、または、−CR=を表すか、あるいはBおよびBのいずれか一方が窒素原子を、他方が−CR=または−CR=を表す。中でも、特に各々が−CR=、−CR=を表すものがより好ましい。
【0047】
前記RおよびRは、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、モノアルキルスルファモイル基またはモノアリールスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。前記R、Rで表される好ましい基としては、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が挙げられ、さらに好ましくは水素原子、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、ヘテロ環基である。これら好ましい各基が更に置換基を有する態様も好適である。ただし、RおよびRが同時に水素原子であることはない。
【0048】
前記G、R、およびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、「アルキル基、アリール基またはヘテロ環基で置換された置換アミノ基」、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、モノアルキルスルファモイル基、モノアリールスルファモイル基、スルホ基、メルカプト基またはヘテロ環チオ基、アミド基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
【0049】
前記Gで表される好ましい基としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、「アルキル基、アリール基またはヘテロ環基で置換された置換アミノ基」、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールチオ基、またはヘテロ環チオ基が挙げられ、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、「アルキル基、アリール基またはヘテロ環基で置換された置換アミノ基」、アシルアミノ基、アミド基である。中でも、水素原子、「アルキル基、アリール基またはヘテロ環基で置換された置換アミノ基」、アミド基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0050】
前記R、Rで表される好ましい基としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
また、RとR、および/または、RとRは、互いに結合して5員環若しくは6員環を形成してもよい。
【0051】
前記A、R、R、R、R、Gで表される各基が更に置換基を有する場合の置換基としては、前記のG、R、Rで挙げたものと同様の置換基を挙げることができる。
【0052】
なお、前記一般式(I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが上述の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記の好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0053】
以下、一般式(II)で表される染料について詳細に説明する。
【0054】
【化3】


〔式中、Ra1、Ra3およびRa4は各々独立に、へテロ原子を有する置換基、水素原子、炭素数1〜21のアルキル基、炭素数2〜21のアルケニル基、炭素数6〜21のアリール基、炭素数7〜21のアラルキル基を表す。また、Ra3およびRa4はこれらと結合している窒素原子と共にヘテロ環を形成してもよい。Ra2は炭素数1〜10のアルキル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基を表す。〕
【0055】
前記一般式(II)中、Ra1で表される基がヘテロ原子を有する置換基である場合、Ra1はピリドン環の合成に使用できるヘテロ原子を有するアミンに由来する基なら特に限定されない。Ra1は無置換でもよいし、また置換基を有していてもよく、総原子数3〜50程度の基が色価の観点で好ましく、総原子数3〜40の基がより好ましく、総原子数3〜30の基が特に好ましく、窒素原子および/または硫黄原子および/または酸素原子を有する総原子数3〜30の基が更に好ましい。
a1で表される置換基は、例えばシアノ酢酸エステルと1級アミンとの反応によって得られたアミド化合物をピリドン環に閉環することで導入されるため、Ra1で表される基がヘテロ原子を有する置換基である場合、Ra1としては、例えばアルドリッチ・ストラクチャー・インデックスに記載されているヘテロ原子を含有する1級アミンに由来する基を挙げることができる。
具体的には、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチル−エチル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、2−N−ピロリジニルエチル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、などが挙げられる。
【0056】
中でも、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチル−エチル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、2−N−ピロリジニルエチル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、等が好ましく、
【0057】
中でも、3−メトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチル−エチル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、等がより好ましく、
【0058】
中でも、3−メトキシプロピル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、等が特に好ましい。
【0059】
a3および/またはRa4がヘテロ原子を有する置換基を表す場合、Ra3および/またはRa4は例えば対応するスルホンアミドの合成に使用できるヘテロ原子を有するアミンに由来する基なら特に限定されない。
a3および/またはRa4は無置換でもよいし、また置換基を有していてもよく、総原子数3〜50程度の基が色価の観点で好ましく、総原子数3〜40の基がより好ましく、総原子数3〜30の基が特に好ましく、窒素原子および/または硫黄原子および/または酸素原子を有する総原子数3〜30の基が更に好ましい。
a3および/またはRa4で表される置換基は、例えば、ニトロベンゼンスルホニルクロライドと1級または2級アミンとの反応によって導入されるため、Ra3および/またはRa4で表される基がヘテロ原子を有する置換基である場合、Ra3および/またはRa4としては、例えばアルドリッチ・ストラクチャー・インデックスに記載されているヘテロ原子を含有する1級または2級アミンに由来する基やこれらの誘導体を挙げることができる。
【0060】
具体的には、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチル−エチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、2−N−ピロリジニルエチル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、ジエチルアミノエチル基、2,2−ジメトキシエチル基、1,3−ジオキソラン−2−イル−メチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メルカプトエチル基、などが挙げられる。
中でも、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチル−エチル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、2−N−ピロリジニルエチル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、ジエチルアミノエチル基、2,2−ジメトキシエチル基、1,3−ジオキソラン−2−イル−メチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メルカプトエチル基、等が好ましく、
【0061】
中でも、3−メトキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチル−エチル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、ジエチルアミノエチル基、2,2−ジメトキシエチル基、1,3−ジオキソラン−2−イル−メチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メルカプトエチル基、等がより好ましく、
【0062】
中でも、3−メトキシプロピル基、テトラヒドロフルフリル基、ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、3−N−モルホリノプロピル基、2−N−モルホリノエチル基、3−N−ピロリジノニルプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、2−(N−メチル−2−ピロリジニル)エチル基、2−N−ピペリジニルエチル基、3−(2−メチル−N−ピペリジニル)プロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、ジエチルアミノエチル基、2,2−ジメトキシエチル基、1,3−ジオキソラン−2−イル−メチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メルカプトエチル基、等が特に好ましい。
【0063】
a1、Ra3、Ra4がヘテロ原子を含まない置換基の場合、Ra1、Ra3、Ra4は各々独立に、水素原子、炭素数1〜21のアルキル基、炭素数2〜21のアルケニル基、炭素数6〜21のアリール基、炭素数7〜21のアラルキル基を表し、Ra3およびRa4はこれらと結合している窒素原子と共にヘテロ環を形成していてもよい。またRa1、Ra3、Ra4の基は置換基を有していてもよい。
【0064】
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される炭素数1〜21のアルキル基は、無置換でもよいし置換基を有していてもよく、炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される炭素数1〜21のアルキル基としては、直鎖、分岐、または環状のアルキル基のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコサニル基、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−アミル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−アミル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、
【0065】
2−エチルブチル基、2−エチル−2−メチルプロピル基、直鎖または分岐のヘプチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、t−オクチル基、分岐したノニル基、分岐したデシル基、分岐したウンデシル基、分岐したドデシル基、分岐したトリデシル基、分岐したテトラデシル基、分岐したペンタデシル基、分岐したヘキサデシル基、分岐したヘプタデシル基、分岐したオクタデシル基、直鎖または分岐のノナデシル基、直鎖または分岐のエイコサニル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、シス−ミルタニル基、イソピノカンフェニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、キヌクリジニル基、シクロペンチルエチル基、ビシクロオクチル基、等が好適に挙げられる。
【0066】
更に前記の基のうち、耐熱性向上の観点からは、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、およびi−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−アミル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−アミル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、2−エチル−2−メチルプロピル基、分岐したヘプチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、t−オクチル基、分岐したノニル基、分岐したデシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、シクロペンチルエチル基、ビシクロオクチル基等の分岐したアルキル基や環状のアルキル基、が特に好ましい。
【0067】
前記に例示されるアルキル基においては、特にフッ素で置換されたアルキル基も好適であり、該フッ素置換のアルキル基として、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナデカフルオロノニル基、ヘプタデカフルオロデシル基、パーフルオロデシル基が好適であり、この中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基がより好ましく、更にトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基が特に好ましい。
【0068】
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される炭素数2〜21のアルケニル基は、無置換でもよいし置換基を有していてもよく、炭素数2〜15のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましい。
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される炭素数2〜21のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−エチル−1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2,6−ジメチル−5−ヘプテニル基、9−デセニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、1,4−ジヒドロ−2−メチルフェニル基、オクテニル基、シトロネリル基、オレイル基、ゲラニル基、ファーネシル基、2−(1−シクロヘキセニル)エチル基、等が好適に挙げられる。
【0069】
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される炭素数6〜21のアリール基は、無置換でもよいし置換基を有していてもよく、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される炭素数6〜21のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、アンスラキノニル基、ピレニル基、等が好適に挙げられ、この中でも、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、アントラセニル基がより好ましく、更にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基が特に好ましい。
【0070】
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される炭素数7〜21のアラルキル基は、無置換でもよいし置換基を有していてもよく、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜10のアラルキル基がより好ましい。
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される炭素数7〜21のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、1,2−ジフェニルエチル基、フェニル−シクロペンチルメチル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、α−メチル−フェニルエチル基、β−メチル−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、3,3−ジフェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ナフチルメチル基、スチリル基、シンナミル基、フルオレニル基、1−ベンゾシクロブテニル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基、インダニル基、ピペロニル基、ピレンメチル基、等が好適に挙げられる。
【0071】
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される基は、エーテル基を含んでいてもよく、テトラヒドロフルフリル基、2,5−ジヒドロ−2,5−ジメトキシフルフリル基なども好ましい。
【0072】
前記Ra3およびRa4は、これらと結合している窒素原子と共にヘテロ環を形成していてもよく、かかる場合のヘテロ環の例としては、2−メチルアジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、3−ピロリン環、ピペリジン環、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン環、ヘキサメチレンイミン環、ピペラジン環、1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン環、デカヒドロキノリン環、オキサゾリジン環、モルホリン環、チアゾリジン環、チオモルホリン環、インドリン環、イソインドリン環、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール環、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン環、イミノジベンジル環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、等が好ましい。
【0073】
前記の中でも、ピロリジン環、3−ピロリン環、ピペリジン環、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン環、ヘキサメチレンイミン環、ピペラジン環、デカヒドロキノリン環、オキサゾリジン環、モルホリン環、チアゾリジン環、チオモルホリン環がより好ましく、更にピロリジン環、3−ピロリン環、ピペリジン環、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン環、ピペラジン環、デカヒドロキノリン環、オキサゾリジン環、モルホリン環、チアゾリジン環、チオモルホリン環が特に好ましい。
【0074】
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される基、並びにRa3およびRa4と窒素原子とで形成されるヘテロ環が置換基を有する場合の該置換基としては、アシル基、アシルアミノ基、アシルアミノカルボニルアミノ基、アラルキルアミノカルボニルアミノ基、アリールアミノカルボニルアミノ基、メタクリロイルアミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、ヒドロキシ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビニル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ビニルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニル基、−SOM基、−COOM基(Mは水素原子、金属原子または含窒素化合物からなるカチオンを表す)が好ましい。
【0075】
また、前記の置換基は前記同様の置換基でさらに複数回置換されていてもよい。
【0076】
また特に、置換基がヒドロキシ基、アミノ基等の活性水素を有する基である場合は、各種酸クロライド、酸無水物、ハロゲン化物または各種イソシアネートと反応させて、アセチル基、アシル基、(メタ)アクリロイル基、アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基(例えば、ブチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基等)、アルキル基、アラルキル基等の基で置換されていてもよい。
【0077】
前記Ra1、Ra3、Ra4で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基、並びに前記Ra3およびRa4と窒素原子とで形成されるヘテロ環は、さらに前記Ra1、Ra3、Ra4で表される各基で置換されていてもよい。
【0078】
前記Ra1、Ra3、Ra4で表される基、並びにRa3およびRa4と窒素原子とで形成されるヘテロ環が置換基を有する場合の該置換基として挙げられる−SOM基、−COOM基のMは、水素原子、金属原子のカチオン、含窒素化合物からなるカチオンを表す。含窒素化合物は後に説明する酸性染料と塩またはアミド結合を形成する含窒素化合物と同義であり、その好ましい態様も同様である。Mの中でも、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Ag、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al、Ni、Cu、Co、もしくはFeのカチオン、または含窒素化合物からなるカチオンが好ましく、H、Na、K、Rb、Cs、Ag、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al、Cu、もしくはFeのカチオン、または含窒素化合物からなるカチオンがより好ましく、H、Na、K、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Al、Cu、もしくはFeのカチオン、または後述する含窒素化合物からなるカチオンが特に好ましい。
【0079】
前記Ra2は炭素数1〜10のアルキル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基を表し、置換基を有していてもよい。
前記Ra2としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、が好ましく、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、がより好ましく、中でも、メチル基、イソプロピル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、が特に好ましい。
【0080】
a2の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基が好ましく、中でも塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−ブテニル基がより好ましく、中でも塩素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−ブテニル基が特に好ましい。
【0081】
以下、一般式(III)で表される染料について詳細に説明する。
【0082】
【化4】


〔式中、Rb1は水素原子または置換基を表し、Rb2〜Rb5は各々独立に、水素原子または置換基を表し、Rb6およびRb7は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、ZaおよびZbは各々独立に−N=、または−C(Rb8)=を表す。Rb8は水素原子または置換基を表す。Rb2とRb3、Rb3とRb6、Rb4とRb5、Rb5とRb7および/またはRb6とRb7とが互いに結合して、各々独立に5員、6員、または7員の環を形成してもよい。〕
【0083】
前記一般式(III)におけるRb1は水素原子または置換基を表し、Rb1の置換基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48の、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ノルボルニル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32オアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1から48のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、
【0084】
アシル基(好ましくは炭素数1から48のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−エチル−N−オクチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチルN−フェニルカルバモイル、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2−エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N−メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは、炭素数1〜32のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド、アダマンチルアミノ、2−エチルヘキサンアミド、但し、パーフロロアルキルカルボニルアミノ基は除く)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数10以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−ピラゾリルアゾ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、
【0085】
アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)を表わす。
【0086】
b1が置換可能な基である場合には、前記Rb1の置換基、スルホンアミド基、またはスルファモイルアミノ基を有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合にはそれらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0087】
一般式(III)におけるRb2〜Rb5は各々独立に水素原子または置換基を表し、Rb2〜Rb5の置換基としては、前記Rb1で説明した置換基、パーフロロアルキルカルボニルアミノ基、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、またはスルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ)等が挙げられる。
【0088】
一般式(III)のRb2〜Rb5が置換可能な基である場合には、前記Rb2〜Rb5の置換基で説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合にはそれらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0089】
一般式(III)におけるRb6およびRb7は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。Rb6およびRb7のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびヘテロ環基の好ましい範囲は、前記Rb1で説明したアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびヘテロ環基と同じ意味の基を表す。
一般式(III)のRb6およびRb7が更に置換可能な基である場合には、前記Rb2〜Rb5で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合にはそれらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0090】
一般式(III)におけるRb2とRb3、Rb3とRb6、Rb4とRb5、Rb5とRb7、および/またはRb6とRb7は互いに結合して5員、6員、または7員の環を形成してもよい。Rb2とRb3、Rb3とRb6、Rb4とRb5、Rb5とRb7、およびRb6とRb7とが結合して形成される5員、6員、または7員の環は、前記Rb2〜Rb5の置換基で説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合にはそれらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。前記5員、6員、または7員の環としては、例えば、5員環としては、シクロペンテン環、ピロール環、ピラゾール環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環が挙げられ、6員環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モリホリン環、シクロヘキセン環が挙げられ、7員環としては、ヘプタメチレンイミン環、ホモピペラジン環、シクロヘプテン環等が挙げられ、特に、ベンゼン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環が好ましい。
【0091】
一般式(III)におけるZaおよびZbは各々独立に、=N−または=C(Rb8)−を表し、Rb8は水素原子または置換基を表す。
b8の置換基は前記Rb2〜Rb5の置換基で説明した置換基と同じ意味の基を表し、Rb8の置換基が更に置換可能な基である場合には、前記Rb2〜Rb5で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合にはそれらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0092】
前記一般式(III)で表される有機溶剤可溶性染料の色価は55以上であることが好ましく、60以上がさらに好ましく、70以上がより好ましく、80以上が最も好ましい。
【0093】
以下、一般式に係る各基について詳細に説明する。尚、各一般式で例示されているものについてはそれらが優先する。
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。好ましいハロゲン原子としては塩素原子および臭素原子が挙げられる。特に好ましいハロゲン原子としては塩素原子が挙げられる。
【0094】
本明細書において、「脂肪族基」は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。前記脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。前記脂肪族基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。前記脂肪族基の例には、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。好ましい脂肪族基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基が挙げられる。特に好ましい脂肪族基としてはメチル基、エチル基、t−ブチル基が挙げられる。
【0095】
本明細書において、「芳香族基」は、アリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族基の炭素数は6〜20であることが好ましく、6〜16がさらに好ましい。芳香族基の例には、フェニル基、p−トリル基、1,3,5−トリメチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−カルボキシル−o−ニトロフェニル基、2,4−ジカルボキシルフェニル基およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。好ましい芳香族基としてはフェニル基、p−トリル基、1,3,5−トリメチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−カルボキシル−o−ニトロフェニル基および2,4−ジカルボキシルフェニル基が挙げられる。特に好ましい芳香族基としてはフェニル基、1,3,5−トリメチルフェニル基、p−カルボキシル−o−ニトロフェニル基および2,4−ジカルボキシルフェニル基が挙げられる。
【0096】
本明細書において、「ヘテロ環基」には、置換基を有するヘテロ環基および無置換のヘテロ環基が含まれる。ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよい。ヘテロ環基としては、5員環または6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。好ましい置換基としてはアシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、モノアルキルスルファモイル基およびモノアリールスルファモイル基が挙げられる。特に好ましい置換基としてはスルファモイル基、モノアルキルスルファモイル基およびモノアリールスルファモイル基が挙げられる。無置換のヘテロ環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−チアジアゾリル基および2−フリル基が含まれる。好ましいヘテロ環基としては2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−チアジアゾリル基が挙げられる。特に好ましいヘテロ環基としては2−ベンゾチアゾリル基、2−チアジアゾリル基が挙げられる。これらは置換基を含有しているほうが好ましい。
【0097】
「カルバモイル基」には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれ、具体例は前記の脂肪族基と同様である。カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。好ましいカルバモイル基としてはメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基が挙げられる。特に好ましいカルバモイル基としてはメチルカルバモイル基が挙げられる。
【0098】
「アルコキシカルボニル基」には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基およびブトキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が挙げられる。特に好ましいアルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基が挙げられる。
【0099】
「アリールオキシカルボニル基」には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基、p−メトキシフェノキシカルボニル基およびp−メチルフェノキシカルボニル基が含まれる。好ましいアリールオキシカルボニル基としてはフェノキシカルボニル基およびp−メチルフェノキシカルボニル基が挙げられる。特に好ましいアリールオキシカルボニル基としてはフェノキシカルボニル基が挙げられる。
【0100】
「アシル基」には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基、ベンゾイル基およびo−ヒドロキシベンゾイル基が含まれる。好ましいアシル基としてはアセチル基およびベンゾイル基が挙げられる。特に好ましいアシル基としてはアセチル基が挙げられる。
【0101】
「アルコキシ基」には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。好ましいアルコキシ基としてはメトキシ基、メトキシエトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が挙げられる。特に好ましいアルコキシ基としては2−ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が挙げられる。
【0102】
「アリールオキシ基」には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。好ましいアリールオキシ基としてはフェノキシ基およびp−メトキシフェノキシ基が挙げられる。特に好ましいアリールオキシ基としてはフェノキシ基が挙げられる。
【0103】
「アシルオキシ基」には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基およびo−ヒドロキシベンゾイル基が含まれる。好ましいアシルオキシ基としてはアセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が挙げられる。特に好ましいアシルオキシ基としてはアセトキシ基が挙げられる。
【0104】
「カルバモイルオキシ基」には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。カルバモイルオキシ基としては、炭素数が1〜6のカルバモイルオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基、N−エチルカルバモイルオキシ基およびN−n−ブチルカルバモイルオキシ基が含まれる。好ましいカルバモイルオキシ基としてはN−メチルカルバモイルオキシ基およびN−エチルカルバモイルオキシ基が挙げられる。特に好ましいカルバモイルオキシ基としてはN−メチルカルバモイルオキシ基が挙げられる。
【0105】
本明細書において、「ヘテロ環オキシ基」には、置換基を有するヘテロ環オキシ基および無置換のヘテロ環オキシ基が含まれる。ヘテロ環は、5員または6員のヘテロ環が好ましく、このヘテロ環には脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよく、置換基の例は既述のヘテロ環基と同様であり、好ましい態様も同様である。無置換のヘテロ環オキシ基の例には、3−イソオキサゾリルオキシ基、2−ベンゾチアゾリルオキシ基、2−ピリジルオキシ基等が含まれる。
【0106】
本明細書において、「アルコキシカルボニルオキシ基」には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、プロポキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。特に好ましいアルコキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0107】
本明細書において、「アリールオキシカルボニルオキシ基」には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素数6〜15のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−トリルフェノキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。特に好ましいアリールオキシカルボニルオキシ基としては、フェノキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0108】
「アルキル基、アリール基またはヘテロ環基で置換された置換アミノ基」の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。更に置換基を有するときの置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、ビス(カルボキシメチル)アミノ基、2−(1,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ基、2−(1,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピル)アミノ基、2−(ヒドロキシプロピル−2−メチル)アミノ基、2,3−ジヒドロキシプロピルアミノ基および2−ヒドロキシプロピルアミノ基が含まれる。好ましいアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、ビス(カルボキシメチル)アミノ基、2−(1,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ基、2,3−ジヒドロキシプロピルアミノ基および2−ヒドロキシプロピルアミノ基が挙げられる。特に好ましいアルキルアミノ基としては、ビス(カルボキシメチル)アミノ基、2−(1,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ基および2−ヒドロキシプロピルアミノ基が挙げられる。
【0109】
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。更に置換基を有するときの置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基、1,3,5−トリメチルアニリノ基、p−メトキシアニリノ基、2−クロロアニリノ基、m−カルボキシルアニリノ基および2,4−ジカルボキシルアニリノ基が含まれる。好ましいアリールアミノ基としてはアニリノ基、1,3,5−トリメチルアニリノ基、m−カルボキシルアニリノ基および2,4−ジカルボキシルアニリノ基が挙げられる。特に好ましいアリールアミノ基としては1,3,5−トリメチルアニリノ基および2,4−ジカルボキシルアニリノ基が挙げられる。
【0110】
本明細書において「アシルアミノ基」には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ基および3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。好ましいアシルアミノ基としてはアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基およびN−フェニルアセチルアミノ基が挙げられる。特に好ましいアシルアミノ基としてはアセチルアミノ基、およびベンゾイルアミノ基が挙げられる。
【0111】
本明細書において、「ウレイド基」には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。好ましいウレイド基としては、3−メチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が挙げられる。特に好ましいウレイド基としては、3−メチルウレイド基が挙げられる。
【0112】
本明細書において、「スルファモイルアミノ基」には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、スルファモイルアミノ基、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基およびN,N−ジプロピオン酸スルファモイルアミノ基が含まれる。好ましいスルファモイルアミノ基としてはスルファモイルアミノ基、1,3−ジヒドロキシプロピルスルファモイルアミノ基およびN,N−ジプロピオン酸スルファモイルアミノ基が挙げられる。特に好ましいスルファモイルアミノ基としては1,3−ジヒドロキシプロピルスルファモイルアミノ基およびN,N−ジプロピオン酸スルファモイルアミノ基が挙げられる。
【0113】
本明細書において、「アルコキシカルボニルアミノ基」には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基、プロポキシカルボニルアミノ基およびブチロキシカルボニルアミノ基が含まれる。好ましいアルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノ基、およびプロポキシカルボニルアミノ基が挙げられる。特に好ましいアルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0114】
本明細書において、「アリールオキシカルボニルアミノ基」には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基、p−メチルフェノキシカルボニルアミノ基およびo−ヒドロキシフェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。好ましいアリールオキシカルボニルアミノ基としては、フェノキシカルボニルアミノ基およびo−ヒドロキシフェノキシカルボニルアミノ基が挙げられる。特に好ましいアリールオキシカルボニルアミノ基としては、o−ヒドロキシフェノキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0115】
本明細書において、「アルキルスルホニルアミノ基」および「アリールスルホニルアミノ基」には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキルおよびアリールスルホニルアミノ基が含まれる。アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基としては、炭素数が1〜12のアルキルおよびアリールスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、および3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。好ましいアルキルおよびアリールスルホニルアミノ基としては、メタンスルホニルアミノ基および3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が挙げられる。特に好ましいアルキルおよびアリールスルホニルアミノ基としては、3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が挙げられる。
【0116】
本明細書において、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」および「ヘテロ環チオ基」には、置換基を有するアルキルチオ基、アリールチオ基およびヘテロ環チオ基と無置換のアルキルチオ基、アリールチオ基およびヘテロ環チオ基が含まれる。アルキルチオ基、アリールチオ基およびヘテロ環チオ基としては、炭素数が1〜12のものが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル、アリールまたはヘテロ環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0117】
本明細書において、「アルキルスルホニル基」および「アリールスルホニル基」の例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニルスルホニル基を挙げることができる。
本明細書において、「アルキルスルフィニル基」および「アリールスルフィニル基」の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0118】
本明細書において、「スルファモイル基」は、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基が含まれる。スルファモイル基の例には、無置換のスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、ビス−(カルボキシルメチル)スルファモイル基、ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基、2,4−ジカルボキシルフェニルスルファモイル基、2−(1,3−ジヒドロキシプロピル)−スルファモイル基、2−(ヒドロキシプロピル)スルファモイル基、2−(ヒドロキシ−2−メチルプロピル)スルファモイル基、2−(1,3−ジヒドロキシ−2−メチル−プロピル)スルファモイル基およびジプロピオン酸スルファモイル基が含まれる。好ましいスルファモイル基としては無置換のスルファモイル基、ビス−(カルボキシルメチル)スルファモイル基、ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基、2,4−ジカルボキシルフェニルスルファモイル基、2−(1,3−ジヒドロキシプロピル)−スルファモイル基およびジプロピオン酸スルファモイル基が挙げられる。特に好ましいスルファモイルアミノ基としてはビス−(カルボキシルメチル)スルファモイル基、ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基および2−(1,3−ジヒドロキシプロピル)−スルファモイル基が挙げられる。
【0119】
以下に、前記一般式(I)で表される染料(アゾ染料)の具体例(例示化合物1〜31)を示す。ただし、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0120】
【化5】

【0121】
【化6】

【0122】
【化7】

【0123】
【化8】

【0124】
以下、前記一般式(II)で表される染料(ピリドンアゾ染料)の具体例(例示化合物32〜63)を示す。ただし、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0125】
【化9】

【0126】
【化10】

【0127】
【化11】

【0128】
以下、前記一般式(III)で表される染料(アゾメチン染料)の具体例(例示化合物64〜74)を示す。ただし、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0129】
【化12】

【0130】
【化13】

【0131】
本発明の組成物においては、水またはアルカリ現像を行うレジスト系の場合、現像によりバインダーおよび/または染料を完全に除去するという観点では、酸性染料および/または、その誘導体が好適に使用できる場合がある。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、および/または、これらの誘導体等も有用に使用することが出来る。
【0132】
〜酸性染料〜
前記酸性染料について説明する。前記酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸やフェノール性水酸基等の酸性基を有する色素であれば特に限定されないが、有機溶剤や現像液に対する溶解性、塩基性化合物との塩形成性、吸光度、硬化性組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等の必要とされる性能の全てを考慮して選択される。
以下に前記酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。例えば、
Acid Alizarin violet N;
Acid Black 1,2,24,48;
Acid Blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40,42,45,51,62,70,74,80,83,86,87,90,92,96,103,112,113,120,129,138,147,150,158,171,182,192,210,242,243,256,259,267,278,280,285,290,296,315,324:1,335,340;
Acid Chrome violet K;
Acid Fuchsin;
Acid Green 1,3,5,9,16,25,27,50,58,63,65,80,104,105,106,109;
Acid Orange 6,7,8,10,12,26,50,51,52,56,62,63,64,74,75,94,95,107,108,169,173;
Acid Red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,182,183,198,206,211,215,216,217,227,228,249,252,257,258,260,261,266,268,270,274,277,280,281,195,308,312,315,316,339,341,345,346,349,382,383,394,401,412,417,418,422,426;
Acid Violet 6B,7,9,17,19;
Acid Yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,38,40,42,54,65,72,73,76,79,98,99;111,112,113,114,116,119,123,128,134,135,138,139,140,144,150,155,157,160,161,163,168,169,172,177,178,179,184,190,193,196,197,199,202,203,204,205,207,212,214,220,221,228,230,232,235,238,240,242,243,251;
【0133】
Direct Yellow 2,33,34,35,38,39,43,47,50,54,58,68,69,70,71,86,93,94,95,98,102,108,109,129,136,138,141;
Direct Orange 34,39,41,46,50,52,56,57,61,64,65,68,70,96,97,106,107;
Direct Red 79,82,83,84,91,92,96,97,98,99,105,106,107,172,173,176,177,179,181,182,184,204,207,211,213,218,220,221,222,232,233,234,241,243,246,250;
Direct Violet 47,52,54,59,60,65,66,79,80,81,82,84,89,90,93,95,96,103,104;
Direct Blue 57,77,80,81,84,85,86,90,93,94,95,97,98,99,100,101,106,107,108,109,113,114,115,117,119,137,149,150,153,155,156,158,159,160,161,162,163,164,166,167,170,171,172,173,188,189,190,192,193,194,196,198,199,200,207,209,210,212,213,214,222,228,229,237,238,242,243,244,245,247,248,250,251,252,256,257,259,260,268,274,275,293;
Direct Green 25,27,31,32,34,37,63,65,66,67,68,69,72,77,79,82;
Mordant Yellow 5,8,10,16,20,26,30,31,33,42,43,45,56,50,61,62,65;
Mordant Orange 3,4,5,8,12,13,14,20,21,23,24,28,29,32,34,35,36,37,42,43,47,48;
Mordant Red 1,2,3,4,9,11,12,14,17,18,19,22,23,24,25,26,30,32,33,36,37,38,39,41,43,45,46,48,53,56,63,71,74,85,86,88,90,94,95;
Mordant Violet 2,4,5,7,14,22,24,30,31,32,37,40,41,44,45,47,48,53,58;
Mordant Blue 2,3,7,8,9,12,13,15,16,19,20,21,22,23,24,26,30,31,32,39,40,41,43,44,48,49,53,61,74,77,83,84;
Mordant Green 1,3,4,5,10,15,19,26,29,33,34,35,41,43,53;
Food Yellow 3;
およびこれらの染料の誘導体が挙げられる。
【0134】
この中でも前記酸性染料としては、
Acid Black 24;
Acid Blue 23,25,29,62,80,86,87,92,138,158,182,243,324:1;
Acid Orange 8,51,56,74,63,74;
Acid Red 1,4,8,34,37,42,52,57,80,97,114,143,145,151,183,217,249;
Acid Violet 7;
Acid Yellow 17,25,29,34,42,72,76,99,111,112,114,116,134,155,169,172,184,220,228,230,232,243;
Acid Green 25;
等の染料およびこれらの染料の誘導体が好ましい。
【0135】
また、前記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44,38,C.I.Solvent Orange 45,Rhodamine B,Rhodamine 110、3−[(5−chloro−2−phenoxyphenyl)hydrazono]−3,4−dihydro−4−oxo−5−[(phenylsulfonyl)amino]−2,7−Naphthalenedisulfonic acid,等の酸性染料およびこれらの染料の誘導体も好ましく用いられる。
【0136】
前記酸性染料の誘導体としては、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料の無機塩、酸性染料と含窒素化合物との塩、酸性染料のスルホンアミド体等が使用でき、硬化性組成物溶液として溶解させることが出来るものであれば特に限定されないが、有機溶剤や現像液に対する溶解性、吸光度、硬化性組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等の必要とする性能の全てを考慮して選択される。
【0137】
酸性染料と含窒素化合物からなるカチオンとの塩について説明する。酸性染料と含窒素化合物からなるカチオンとを塩形成する方法は、酸性染料の溶解性改良(有機溶剤への溶解性付与)や耐熱性および耐光性改良に効果的な場合がある。
【0138】
前記酸性染料と塩を形成する含窒素化合物からなるカチオンおよび酸性染料とアミド結合を形成する含窒素化合物について説明する。含窒素化合物は、塩またはアミド化合物の有機溶剤や現像液に対する溶解性、塩形成性、染料の吸光度・色価、硬化性組成物中の他の成分との相互作用、着色剤としての耐熱性および耐光性等の全てを勘案して選択される。吸光度・色価の観点のみで選択すると、前記含窒素化合物はできるだけ分子量の低いものが好ましく、そのなかで、分子量300以下であることが好ましく、分子量280以下であることがより好ましく、分子量250以下であることが特に好ましい。
以下に上述の含窒素化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。また、ここでの「含窒素化合物からなるカチオン」は、下記含窒素化合物がプロトネーションされ、カチオンの状態となったものをさす。(下記化合物中、−NH−基を有さないものは、アミド結合を形成する含窒素化合物ではない。)
【0139】
【化14】

【0140】
【化15】

【0141】
【化16】

【0142】
【化17】

【0143】
【化18】

【0144】
【化19】

【0145】
【化20】

【0146】
【化21】

【0147】
【化22】

【0148】
前記酸性染料と含窒素化合物からなるカチオンとの塩における含窒素化合物/酸性染料のモル比(以下nという。)について説明する。nは酸性染料分子と対イオンである含窒素化合物とのモル比率を決定する値であり、酸性染料−アミン化合物の塩形成条件によって自由に選択することができる。具体的には、酸性染料中の酸の官能基数の0<n≦5の間の数値が実用上多く用いられ、有機溶剤や現像液に対する溶解性、塩形成性、吸光度、硬化性組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等、必要とする性能の全てを考慮して選択される。吸光度のみの観点で選択すると、前記nは0<n≦4.5の間の数値をとることが好ましく、0<n≦4の間の数値をとることがさらに好ましく、0<n≦3.5の間の数値をとることが特に好ましい。
【0149】
次に有機溶剤可溶性染料の使用濃度について説明する。本発明の組成物中、全固形成分に対する有機溶剤可溶性染料の含有量は、薄層化しても十分な色濃度を得ることと硬化性との両立を図る観点から45質量%以上である。即ち、有機溶剤可溶性染料の含有量が45質量%未満であると、前記色濃度と硬化性との両立がはかれない。前記有機溶剤可溶性染料の含有量の上限は特にないが、後述する硬化剤(C)の含有量との兼ね合いから、80.0質量%未満が好ましい。更に、前記有機溶剤可溶性染料の含有量としては、50質量%以上が好ましく、55質量%以上が更に好ましく、65質量%以上が特に好ましい。また、具体的には、50.0質量%以上75.0質量%未満が更に好ましく、55.0質量%以上75.0質量%未満が特に好ましい。
【0150】
また、本発明の組成物は、前記有機溶剤可溶性染料として、上述の一般式(I)〜(III)で表される染料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の染料と、フタロシアニン系染料とを含有することが好ましい。このように有機溶剤可溶性染料を組み合わせることで、適した色濃度および適した色相を両立する緑色または青色の組成物とすることができる。
また、本発明の組成物は前記有機溶剤可溶性染料として、上述の一般式(I)で表される染料1種類と前記一般式(II)で表される染料1種類とを含有することが好ましい。このように有機溶剤可溶性染料を組み合わせることで、適した色濃度および適した色相を両立する赤色の組成物とすることができる。
【0151】
次に有機溶剤可溶性染料の色価について説明する。ここでいう「色価と」は、酢酸エチル中での概有機溶剤可溶性染料の吸光係数εを概有機溶剤可溶性染料の分子量Mで除した値ε/Mwである。この値が大きいほど、少量で大きな色濃度を与えることができる。
前記本発明の組成物は有機溶剤可溶性染料として高色価の染料を含有することが好ましい。中でも色価55を超える染料を含有することが好ましく、色価60を超える染料を含有することがさらに好ましく、色価70を超える染料を含有することが特に好ましく、色価80を超える染料を含有することが最も好ましい。本発明においては、上述のように高色価であり、且つ、上述の一般式(I)〜(III)で表される染料からなる群から選ばれる少なくとも一つの染料を用いることが好ましい。
【0152】
本発明の組成物は、硬化方法がポジ型であるポジ型硬化性組成物であってもよいし、硬化方法がネガ型であるネガ型硬化性組成物であってもよい。以下に、本発明の組成物がネガ型硬化性組成物である場合を中心に、バインダー(B)、硬化剤(C)、感光性化合物(D)、溶剤(E)その他添加剤について詳細に説明する。
【0153】
<ネガ型の染料含有硬化性組成物>
(バインダー(B))
本発明の組成物がネガ型の組成物である場合に含まれるバインダーについて説明する。本発明に使用するバインダーはアルカリ可溶性であれば、特に限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
アルカリ可溶性のバインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号明細書に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等があり、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。この他に水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等やポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。
【0154】
また、前記アルカリ可溶性のバインダーは、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよく、この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級および3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐または直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐または直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸、燐酸エステル、4級アンモニウム塩、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸およびその塩、モルホリノエチル基等を含んだモノマー等も有用である。
【0155】
また、本発明におけるバインダーは、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したポリマー等も有用である。これらの重合性基を含有するポリマーの例を以下に示すが、COOH基、OH基、アンモニウム基等のアルカリ可溶性基と炭素−炭素不飽和結合が含まれていればこれらに限定されない。
【0156】
前記ポリマーとしては、OH基を有する、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、COOH基を含有する例えばメタクリル酸と、およびこれらと共重合可能なアクリル系若しくはビニル系化合物等のモノマーとの共重合体に、OH基と反応性を有するエポキシ環と炭素−炭素不飽和結合基を有する化合物、例えばグリシジルアクリレートのような化合物を反応させて得られる化合物等が使用できる。また、OH基との反応ではエポキシ環の他に酸無水物、イソシアネート基を有し、アクリロイル基を有する化合物も使用できる。更に特開平6−102669号、特開平6−1938号に開示されるエポキシ環を有する化合物にアクリル酸のような不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物に、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる反応物も使用できる。
【0157】
また、COOH基のようなアルカリ可溶化基と炭素−炭素不飽和基を併せ持つ化合物としては、例えば、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(COOH基含有Polyurethane acrylic oligomer、Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業(株)製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)などが挙げられる。
【0158】
これらの各種バインダーのなかで、本発明に用いることのできるアルカリ可溶性のバインダーとしては、耐熱性の観点から、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂が更に好ましい。また、現像性制御の観点でアクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。前記アクリル系樹脂としてはベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体、重合性側鎖を有する(メタ)アクリル系樹脂、例えば、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業(株)製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、ビスコートR264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製)等が好ましい。
本発明におけるバインダーとしては、アルカリ可溶性の重合性側鎖を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
【0159】
また、前記バインダーとしては、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロンや、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0160】
また、本発明に用いるバインダーとしては、アルカリ可溶性フェノール樹脂を用いることができる。前記アルカリ可溶性フェノール樹脂は、本発明の組成物をポジ型の組成物とする場合に好適に用いることができる。アルカリ可溶性フェノール樹脂としては、例えばノボラック樹脂またはビニル重合体等が挙げられる。
前記ノボラック樹脂としては、例えばフェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させて得られるものが挙げられる。前記フェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトールまたはビスフェノールA等が挙げられる。前記フェノール類は単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドまたはベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0161】
前記ノボラック樹脂の具体例としては、例えば、メタクレゾール、パラクレゾールまたはこれらの混合物とホルマリンとの縮合生成物が挙げられる。前記ノボラック樹脂は分別等の手段を用いて分子量分布を調節してもよい。また、ビスフェノールCやビスフェノールA等のフェノール性水酸基を有する低分子量成分を前記ノボラック樹脂に混合してもよい。
【0162】
前記バインダーは、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体がさらに好ましく、3000〜5×10の重合体が特に好ましい。
【0163】
本発明の組成物中における全固形成分に対する前記バインダーの含有量は、後述する硬化剤(C)との関係で決定されるのが好ましい。
【0164】
(架橋剤)
次に架橋剤について説明する。本発明は、少なくとも有機溶剤可溶性染料(A)と、硬化剤(C)とを含み、前記有機溶剤可溶性染料と硬化剤との全固形成分に対する含有量を規定することで、薄膜化しても色濃度を高く保ったまま膜の硬化反応をより高度に進行させ、硬化性の良好な膜が得られることが発明の主旨であるが、補足的に、架橋剤を用いて更に高度に硬化させた膜を得ることも可能である。本発明に使用することのできる架橋剤は、架橋反応によって膜硬化を行えるものであれば特に限定されないが、例えば(i)エポキシ樹脂、(ii)メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基から選ばれた少なくとも一つの置換基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物またはウレア化合物、(iii)メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基から選ばれた少なくとも一つの置換基で置換されたフェノール化合物、ナフトール化合物またはヒドロキシアントラセン化合物が挙げられ、特に多官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0165】
(i)成分のエポキシ樹脂としては、エポキシ基を有し、かつ架橋性を有するものであれば特に限定はなく用いることができる。これらの化合物の例としては、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールフェノールトリグリシジルエーテル、TrisP−PAトリグリシジルエーテル等に代表される3価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラメチロールビスフェノール−A−テトラグリシジルエーテル等に代表される4価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の多価グリシジル基含有低分子化合物、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等に代表されるグリシジル基含有高分子化合物等が挙げられる。
【0166】
前記(ii)成分に含まれるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基が置換している数は、メラミン化合物の場合2〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は2〜4であるが、好ましくはメラミン化合物の場合5〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は3〜4である。
【0167】
これらのメチロール基含有化合物は、前記アルコキシメチル基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒存在下、加熱することにより得られる。アシロキシメチル基含有化合物はメチロール基含有化合物を塩基性触媒存在下、アシルクロリドと混合攪拌することにより得られる。
【0168】
以下、前記(ii)成分に含まれる置換基を有する化合物の具体例を挙げる。
前記メラミン化合物として、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がメトキシメチル化した化合物またはその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシメチル化した化合物またはその混合物などが挙げられる。
【0169】
前記グアナミン化合物として、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をアシロキシメチル化した化合物またはその混合物などが挙げられる。
【0170】
前記グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をアシロキシメチル化した化合物またはその混合物などが挙げられる。
【0171】
前記ウレア化合物としては、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。
【0172】
前記(iii)成分として含有されるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれた少なくとも一つの基で置換されたフェノール化合物、ナフトール化合物またはヒドロキシアントラセン化合物は、(ii)成分の場合と同様、熱架橋により上塗りフォトレジストとのインターミキシングを抑制するとともに、膜強度を更に高めるものである。
【0173】
(iii)成分に含まれるメチロール基、アシロキシメチル基またはアルコキシメチル基の数としては、一分子あたり最低2個置換されていることが好ましく、熱架橋性および保存安定性の観点からフェノール性化合物の2位、4位が全て置換されている化合物が更に好ましい。
また、骨格となるナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物も、OH基のオルト位、パラ位が全て置換されている化合物が好ましい。
骨格となるフェノール化合物の3位または5位は未置換であってもよいし、置換基を有していてもよい。骨格となるナフトール化合物においても、OH基のオルト位以外は未置換であってもよいし、置換基を有していてもよい。
【0174】
これらのメチロール基含有化合物は、フェノール性OH基のオルト位またはパラ位(2位または4位)が水素原子である化合物を原料に用い、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の、塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
また、アルコキシメチル基含有化合物は、前記メチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱する事により得られる。
アシロキシメチル基含有化合物は、前記メチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下アシルクロリドと反応させることにより得られる。
【0175】
骨格化合物としては、フェノール性OH基のオルト位またはパラ位が未置換のフェノール化合物、ナフトール、ヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ビスフェノール−Aなどのビスフェノール類、4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシアントラセン等が使用される。
【0176】
前記(iii)成分の具体例としては、例えば、トリメチロールフェノール、トリ(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、トリメチロール−3−クレゾール、トリ(メトキシメチル)−3−クレゾール、トリメチロール−3−クレゾールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、2,6−ジメチロール−4−クレゾール等のジメチロールクレゾール、テトラメチロールビスフェノール−A、テトラメトキシメチルビスフェノール−A、テトラメチロールビスフェノール−Aの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、テトラメチロール−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、テトラメトキシメチル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PAのヘキサメチロール体、Tris−PAのヘキサメトキシメチル体、TrisP−PAのヘキサメチロール体の1〜5個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、ビスヒドロキシメチルナフタレンジオール等がある。
【0177】
ヒドロキシアントラセン化合物としては、例えば、1,6−ジヒドロキシメチル−2,7−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
アシロキシメチル基含有化合物としては、例えば、前記メチロール基含有化合物のメチロール基を、一部または全部アシロキシメチル化した化合物が挙げられる。
【0178】
これらの化合物の中で好ましいものは、トリメチロールフェノール、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)のヘキサメチロール体またはそれらのメチロール基がアルコキシメチル基およびメチロール基とアルコキシメチル基の両方で置換されたフェノール化合物である。これらは単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。
【0179】
本発明の染料含有硬化性組成物中における(i)〜(iii)成分の含有量は素材により異なるが、全固形成分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましく、1〜7質量%が特に好ましい。
【0180】
(硬化剤(C))
次に本発明の組成物に含まれる硬化剤(以下、「モノマー」と称する。)について説明する。前記モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物が好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート、
【0181】
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートおよびこれらの混合物を挙げることができる。更に、前記モノマーとしては、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
前記硬化剤(モノマー)としては、(メタ)アクリルエステル系モノマーが好ましく、4官能以上の(メタ)アクリルエステル系モノマーが特に好ましい。
前記染料含有硬化性組成物は全固形成分に対するモノマーの含有量が高いほど、高染料濃度における硬化性が向上する。よって、本発明の組成物においては、全固形成分に対する硬化剤(モノマー)の含有量が20質量%以上55質量%以下である。前記硬化剤の含有量が20質量%未満であると、十分な硬化が得られず、露光部でも染料の溶出がおき、パターン形成が困難となり、55質量%を超えると、染料濃度が小さくなるため、十分な色濃度がえられないうえに露光部でも染料の溶出がおき、パターン形成が困難となる。前記硬化剤の含有量としては、25質量%より大きく55質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%より大きく55質量%以下であることが特に好ましい。
【0182】
また、前記硬化剤(C)とバインダー(B)との質量比(C)/(B)は大きい値であると高い硬化性の観点からより好ましく、中でも2.0より大きいことが好ましく、2.25より大きいことがさらに好ましく、2.5より大きいことがより好ましく、3.0より大きいことが特に好ましく、5.0をより大きいことが最も好ましい。
【0183】
(感光性化合物(D))
次に本発明の組成物がネガ型の組成物である場合に含まれることが好ましい感光性化合物について説明する。感光性化合物は上述の硬化剤(重合性を有するモノマー)を重合させられる感光性化合物であれば特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれることが好ましい。前記感光性化合物としては、光重合開始剤や光酸発生剤等が挙げられ、光重合開始剤が特に好ましい。
前記光重合開始剤としては、トリハロメチルトリアジン系化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物およびその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体およびその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物、等が挙げられ、α−アミノケトン化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、トリアリールイミダゾールダイマーからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましく、特にオキシム系化合物であることが好ましい。
【0184】
前記ハロメチルオキサジアゾール化合物等の活性ハロゲン化合物としては、特公昭57−6096号公報に記載の2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物等や、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
【0185】
前記トリハロメチル−s−トリアジン系化合物の光重合開始剤としては、特公昭59−1281号公報に記載のビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物および4−(p−アミノフェニル)−2,6−ジ−ハロメチル−s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0186】
その他の例としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−メトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−ブトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−5−メチル−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチ−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(5−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、
【0187】
2−(6−エトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,5−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(フェニル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルカルボニルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N−(p−メトキシフェニル)カルボニルアミノフェニル〕2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0188】
4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0189】
4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0190】
その他、みどり化学(株)製のTAZシリーズ(TAZ−107、TAZ−110、TAZ−104、TAZ−109、TAZ−140、TAZ−204、TAZ−113、TAZ−123)、PANCHIM社製のTシリーズ(T−OMS、T−BMP、T−R、T−B)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュアシリーズ(イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261)、ダロキュアシリーズ(ダロキュア1173);4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテル等も有用に用いられる。
【0191】
また、前記α−アミノケトン系化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュアシリーズ(イルガキュア907、イルガキュア369)、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
【0192】
前記オキシム系化合物としては、特に限定されないが、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(4−メチルスルファニル−フェニル)−ブタン−1,2−ブタン−2−オキシム−o−アセタート、1−(4−メチルスルファニル−フェニル)−ブタン−1−オンオキシム−o−アセタート、ヒドロキシイミノ−(4−メチルスルファニル−フェニル)−酢酸エチルエステル−o−アセタート、ヒドロキシイミノ−(4−メチルスルファニル−フェニル)−酢酸エチルエステル−o−ベンゾアート等が挙げられる。
なお、本発明の組成物においては、少なくとも2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオンが含まれる。
【0193】
また、他の開始剤に関しては、入手性および安定性の観点から、ベンジルジメチルケタール化合物としてはイルガキュア651等が、α−ヒドロキシケトン化合物としてはイルガキュア184、1173、500、1000、2959等が、α−アミノケトン化合物としてはイルガキュア907、369等が、フォスフィンオキサイド系化合物(ブレンド)としてはイルガキュア1700、149、1850、819、184等が、メタロセン化合物としてはイルガキュア784、261等(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)が好ましく、また、これらの類縁体/周辺化合物等も同様に好ましい。
【0194】
これら光重合開始剤には増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(またはミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や特公昭51−48516号公報記載のベンゾチアゾール系化合物等や、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
【0195】
本発明の組成物には、以上の光重合開始剤の他に他の公知の光重合開始剤を使用することができる。
具体的には、米国特許第2,367,660号明細書に開示されているビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号および第2,367,670号明細書に開示されているα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に開示されているアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に開示されているα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号および第2,951,758号明細書に開示されている多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に開示されているトリアリールイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に開示されているベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物等を挙げることができる。
【0196】
本発明の組成物中において、前記感光性化合物の含有量は、前記硬化剤(C)に対する質量比で決定されることが好ましい。前記硬化剤(C)と前記感光性化合物(D)との質量比(D)/(C)は、0.1以上0.4未満が好ましく、0.15以上0.4未満がより好ましく、0.2以上0.4未満が特に好ましい。前記質量比が0.1以上0.4未満の範囲内にあると、硬化度合いが低くなりすぎて膜強度が弱くなるのを防止することができる。
【0197】
本発明の組成物には以上の他に、更に、熱重合防止剤を加えてもよい。前記熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0198】
次に感光性化合物の例として光酸発生剤について説明する。前記光酸発生剤としては、公知のものを用いることができる。たとえばS.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Wattetal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivelloetal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、米国特許3,902,114 号,欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、
【0199】
J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivelloetal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier etal,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill etal,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis etal,J.PholymerSci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24),2205(1973)、D.H.R.Barton etal,J.Chem Soc.,3571(1965)、P.M.Collins etal,J.Chem.SoC.,PerkinI,1695(1975)、M. Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker etal J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、P.M.Collinsetal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayaseetal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、
【0200】
M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第4,618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平4−365048号等に記載のイミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。その他、下記一般式(IV)で示される化合物も好適に使用することができる。
【0201】
【化23】


(式中、Qは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Qは炭素数1〜3のアルキル基で置換されたフェニル基または炭素数1〜3のアルコキシル基で置換されたフェニル基を示す。)
【0202】
一般式(IV)において、Qとして示される炭素数1〜3のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基などが例示される。また、Qとして示される炭素数1〜3のアルキル基で置換されたフェニル基としてはo−イソプロピルフェニル基などが、炭素数1〜3のアルコキシル基で置換されたフェニル基としてはp−メトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−プロポキシフェニル基などがそれぞれ例示される。
【0203】
(溶剤(E))
本発明の組成物には溶剤を用いることができる。本発明の組成物に使用される溶剤は組成物の溶解性、塗布性を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に染料、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
本発明の組成物を調製する際に使用することのできる溶剤としては、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、
【0204】
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、
【0205】
ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、
【0206】
プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン等が好ましい。
【0207】
これらのうち、本発明に用いられる溶剤としては、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好ましい。
【0208】
本発明の組成物には、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、前記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することかできる。
【0209】
これらの添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;およびポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0210】
また、非パターン部のアルカリ溶解性を促進し、本発明の組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、本発明の組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加をおこなうことができる。具体的には、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0211】
<ポジ型の染料含有硬化性組成物>
次に本発明の組成物がポジ型の染料含有硬化性組成物である場合に好適なバインダー(B)、硬化剤(C)、感光性化合物(D)、溶剤(E)その他添加剤について詳細に説明する。尚、本発明の組成物がポジ型の染料含有硬化性組成物である場合でも、有機溶剤可溶性染料(A)および硬化剤(C)の全固形成分に対する含有量、並びに、硬化剤(C)に対するバインダー(B)または感光性化合物(D)の好ましい質量比については、同様の範囲である。
【0212】
(バインダー(B))
本発明の組成物がポジ型の組成物である場合に含むことのできるバインダーについて説明する。本発明に使用するバインダーはアルカリ可溶性であれば、特に限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。例えば、ノボラック樹脂、ビニルフェノール樹脂が挙げられる。その他、ネガ型硬化性組成物である場合に例示したと同様のバインダーを用いることができる。
【0213】
(硬化剤(C))
本発明の組成物がポジ型の組成物である場合に含まれる硬化剤について説明する。本発明の組成物がポジ型の場合、前記硬化剤としては、ネガ型の染料含有硬化性組成物である場合に架橋剤として例示したメラミン系化合物、メチロール基含有化合物等が好ましく用いられる。この場合であっても、本発明の組成物中における、全固形成分に対する硬化剤の含有量は、20質量%以上55質量%以下である。
【0214】
(感光性化合物(D))
本発明の組成物がポジ型の組成物である場合に含むことのできる感光性化合物について説明する。前記感光性化合物としては、ナフトキノンジアジド化合物が好ましい。ナフトキノンジアジド化合物としては、例えば、o−ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステルまたはo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが挙げられる。具体的には、例えば、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸アミド、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸アミド等が挙げられる。これらのエステルやアミド化合物は、例えば特開平2−84650号公報、特開平3−49437号公報に一般式(I)で記載されているフェノール化合物等を用いて公知の方法により製造することができる。
また、光酸発生剤を用いることもできる。前記光酸発生剤としては、露光により酸を発生する化合物であれば特に限定されないが、α−(4−トルエンスルフォニルオキシイミノ)フェニルアセテートニトリル(α−(4−toluenesulfonyloxyimino)phenylacetonitrile)等の各種オキシム系化合物、各種ヨードニウム化合物、各種スルフォニウム化合物、各種トリハロメチルトリアジン化合物等が挙げられる。その他、ネガ型硬化性組成物である場合に例示したと同様の光酸発生剤を用いることができる。
【0215】
(溶剤(E))
本発明の組成物がポジ型の組成物である場合に用いることのできる溶剤は用いられる有機溶剤可溶性染料、バインダー、硬化剤、感光性化合物、その他添加剤の溶解度、中でも有機溶剤可溶性染料の溶解度に応じて適宜選択されて用いられ、本発明の組成物がネガ型硬化性組成物である場合において例示したものと同様の溶剤を用いることができる。
【0216】
(添加剤)
本発明の組成物がポジ型の組成物の場合にも、ネガ型の組成物の場合と同様に、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、前記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することかできる。
【0217】
《カラーフィルタ》
本発明のカラーフィルタは、本発明の組成物を支持体上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して感放射線性組成物層を形成し、所定のマスクパターンを介して露光し、現像液で現像し、着色されたパターンを形成することで製造することができる。また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、必要により前記レジストパターンを加熱および/または露光により硬化する工程を含んでいてもよい。
この際に使用される放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0218】
前記支持体としては、例えば液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの支持体は、各画素を光学的に隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上に必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化の為に、下塗り層を設けてもよい。
【0219】
前記本発明のカラーフィルタの製造方法に用いる現像液としては、通常の硬化性組成物を用いてパターンを形成する場合と同様の現像液を用いることができる。具体的には種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
前記有機溶剤としては、本発明の組成物を調製する際に使用される前述の溶剤が挙げられる。
【0220】
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に、現像後、水で洗浄する。
【0221】
また、本発明のカラーフィルタは、膜厚が1.2μm以下であることが好ましく、1.0μmであることが更に好ましく、0.8μm以下であることが特に好ましい。本発明の組成物を用いて形成されたカラーフィルタは、画像濃度および硬化性に優れることから、膜厚が1.2μm以下のように薄い場合であっても十分にその効果を発揮することができる。
【0222】
また、本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS素子等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【0223】
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
【0224】
[実施例1]
1)レジスト溶液の調製
下記の組成を混合して溶解し、レジスト溶液を調製した。
〔レジスト溶液用組成〕
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・19.20部
(PGMEA)
・エチルラクテート・・・36.67部
・バインダー・・・30.51部
〔メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60:20:20)の41%PGMEA溶液〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート・・・12.20部
(硬化剤)
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール)・・・0.0061部
・フッ素系界面活性剤・・・0.83部
(商品名:F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・光重合開始剤・・・0.586部
(商品名:TAZ−107(トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤)、みどり化学(株)製)
【0225】
2)下塗り層付ガラス基板の作製
ガラス基板(商品名:コーニング1737、コーニング社製)を1%NaOH水で超音波洗浄した後、水洗、脱水ベーク(200℃/30分)を行った。
次いで、前記1)のレジスト溶液を、洗浄したガラス基板上に膜厚2μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、220℃で1時間加熱乾燥し、硬化膜を形成し、下塗り層付ガラス基板を得た。
【0226】
3)染料含有レジスト溶液の調製
以下の組成を混合して溶解し、染料含有レジスト溶液を調製した。
〔染料含有レジスト溶液の組成〕
・有機溶剤可溶性染料a(上述の例示化合物(7)):(A)・・・4.5部
・有機溶剤可溶性染料b(上述の例示化合物(32)):(A)・・・4.5部
・バインダー:(B)・・・3.0部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(モル比))
・硬化剤:(C)・・・6.0部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・感光性化合物(光重合開始剤):(D)・・・2.0部
(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン)
・溶剤:(E)・・・80部
(シクロヘキサノン)
・p−メトキシフェノール:(重合禁止剤)・・・0.01部
【0227】
4)染料含有レジストの露光・現像(画像形成)
前記3)で得られた染料レジスト溶液を前記2)で得られた下塗り層付ガラス基板の下塗り層の上に膜厚が1.0μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、120℃で120秒間プリベークした。
次いで、露光装置を使用して、塗布膜に365nmの波長で厚み20μmのマスクを通して800mJ/cmの露光量で照射した。露光後、現像液(商品名:CD−2000、60%、富士フイルム・アーチ(株)製)を使用して、26℃・60秒間の条件で現像した。その後、流水で20秒間リンスした後、スプレー乾燥し、画像を形成した。
【0228】
本実施例において、画像形成は光学顕微鏡およびSEM写真観察により通常の方法で確認した。
また、400nm〜550nmの範囲の平均透過率を、MCPD−1000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。400nm〜550nmの範囲の平均透過率は赤色のカラーフィルタでは小さいほうが、色濃度が高いことを示す。また、この範囲の平均透過率が7%以下である場合には、十分な色濃度を有すると認められる。
【0229】
また、「未露光部現像性」および「露光部残膜率」を色度計(商品名:MCPD−1000、大塚電子(株)製)を用いて測定した。
ここで、「未露光部現像性」とは、現像前後の膜の吸光度値の変化率を示し、ネガ型感光性組成物の場合には値が大きいほうがよい。さらに、「露光部残膜率」とは、現像前後の膜の吸光度値の維持率を示し、値が大きいほうがよい。
【0230】
また、前記未露光部現像性および前記露光部残膜率が共に高い値であるということは、パターン矩形性がよいということを意味する。係る観点から下記の基準に従ってパターン矩形性を評価した。結果を下記表1に示す。
○:膜べりがなく、矩形であった。
×:膜べりを起こす、または、ラウンドトップ(頭が丸い)形状であった。
【0231】
[実施例2〜8]
実施例1の3)染料含有レジスト溶液の調製において、有機溶剤可溶性染料を各々下記表1に示される化合物に変更し、有機溶剤可溶性染料(A)、バインダー(B)、硬化剤(C)(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)および感光性化合物(D)(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン)の含有量を、表1に示される含有量に変更し、更に、画像の膜厚を表1に示される膜厚に変更した以外は、実施例1と同様にして画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表1に示す。
表1における組成物の全固形成分に対する染料の含有量は全固形成分に対する染料aの含有量と全固形成分に対する染料bの含有量とを足し合わせた値である。
【0232】
[比較例1〜4]
実施例1の3)染料含有レジスト溶液の調製において、有機溶剤可溶性染料を各々下記表1に示される化合物に変更し、有機溶剤可溶性染料(A)、バインダー(B)、硬化剤(C)(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)および感光性化合物(D)(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン)の含有量を、表1に示される含有量に変更し、更に、画像の膜厚を表1に示される膜厚に変更した以外は、実施例1と同様にして画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表1に示す。
表1における組成物の全固形成分に対する染料の含有量は全固形成分に対する染料aの含有量と全固形成分に対する染料bの含有量とを足し合わせた値である。
【0233】
【表1】

【0234】
表1に示すように、本発明における、全固形成分に対する有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が45質量%以上であり、かつ、全固形成分に対する硬化剤(C)の含有量が20質量%以上55質量%以下である染料含有硬化性組成物を使用することによって、色濃度に優れ、また、同時に、未露光部現像性および露光部の残膜率も向上させることができ、パターン矩形性に優れることがわかった。
これに対し、表1の結果から明白であるように、比較例の条件では表1の諸性能を同時に満足することは困難であった。具体的には、有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が少ない比較例1は色濃度が低下して露光部の残存率も低かった。また、硬化剤(C)の含有量が小さい比較例2〜4では、露光部の残膜率、パターン矩形性が著しく劣る性能を示し、実施例の優位性が明白となった。
【0235】
[実施例9]
実施例1の3)染料含有レジスト溶液の調製において、染料含有レジスト溶液の組成を以下のような組成比に変更した以外は、実施例1と同様にして緑色画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表2に示す。
・有機溶剤可溶性染料a(上述の例示化合物(13)):(A)・・・4.0部
・有機溶剤可溶性染料b(下記例示化合物(75)):(A)・・・5.0部
・バインダー:(B)・・・3.0部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(モル比))
・硬化剤:(C)・・・6.0部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・感光性化合物(光重合開始剤):(D)・・・2.0部
(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン)
・溶剤:(E)・・・80部
(シクロヘキサノン)
・p−メトキシフェノール:(重合禁止剤)・・・0.01部
【0236】
有機溶剤可溶性染料として使用した例示化合物(75)を以下に示す。
【0237】
【化24】

【0238】
400nm〜470nmおよび630nm〜700nmの範囲の平均透過率を、MCPD−1000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。400nm〜470nmおよび630nm〜700nmの範囲の平均透過率は、緑色のカラーフィルタでは小さいほうが、色濃度が高いことを示す。この範囲の平均透過率が7%以下である場合、十分な色濃度を有すると認められる。
【0239】
[実施例10〜12]
実施例9の有機溶剤可溶性染料を下記表2に示される化合物に変更し、有機溶剤可溶性染料(A)、バインダー(B)、硬化剤(C)(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)および感光性化合物(D)(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン)の含有量を、表2に示される含有量に変更し、更に、画像の膜厚を表2に示される膜厚に変更した以外は、実施例9と同様にして画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表2に示す。
表2における組成物の全固形成分に対する染料の含有量は全固形成分に対する染料aの含有量と全固形成分に対する染料bの含有量とを足し合わせた値である。
【0240】
[比較例5〜8]
実施例9の有機溶剤可溶性染料を下記表2に示される化合物に変更し、有機溶剤可溶性染料(A)、バインダー(B)、硬化剤(C)(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)および感光性化合物(D)(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン)の含有量を、表2に示される含有量に変更し、膜厚を表2に示される膜厚に変更した以外は、実施例9と同様にして画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表2に示す。表2における組成物の全固形成分に対する染料の含有量は全固形成分に対する染料aの含有量と全固形成分に対する染料bの含有量とを足し合わせた値である。
【0241】
【表2】

【0242】
表2からわかるように、比較例の条件では表2の諸性能を同時に満足することは困難であった。しかし、実施例9〜12では色濃度に優れ、同時に、未露光部現像性および露光部の残膜率も向上させることができ、パターン矩形性に優れることがわかった。したがって、本発明の優位性が明白となった。
【0243】
[実施例14]
実施例1の3)染料含有レジスト溶液の調製において、染料含有レジスト溶液の組成を以下のような組成比に変更し、更に、膜厚を表3に示される膜厚に変更した以外は、実施例1と同様にして青色画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表3に示す。
〔組成〕
・有機溶剤可溶性染料a(上述の例示化合物(66)):(A) ・・・ 4.0部
・有機溶剤可溶性染料b(上述の例示化合物(75)):(A) ・・・ 8.0部
・バインダー :(B) ・・・ 0.4部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(モル比))
・硬化剤 :(C) ・・・ 5.0部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・感光性化合物(光重合開始剤) :(D) ・・・ 2.6部
(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−
オクタンジオン)
・溶剤 :(E) ・・・ 80部
(シクロヘキサノン)
・p−メトキシフェノール:(重合禁止剤) ・・・ 0.01部
【0244】
550〜700の範囲の平均透過率を、MCPD−1000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。550nm〜700nmの範囲の平均透過率は、青色のカラーフィルタでは小さいほうが、色濃度が高いことを示す。この範囲の平均透過率が7%以下である場合、十分な色濃度を有すると認められる。
【0245】
[実施例15〜16]
実施例14の有機溶剤可溶性染料を下記表3に示される化合物に変更し、有機溶剤可溶性染料(A)、バインダー(B)、硬化剤(C)(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)および感光性化合物(D)(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン)の含有量を、表3に示される含有量に変更し、更に、膜厚を表3に示される膜厚に変更した以外は、実施例14と同様にして画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表3に示す。表3における組成物の全固形成分に対する染料の含有量は全固形成分に対する染料aの含有量と全固形成分に対する染料bの含有量とを足し合わせた値である。
【0246】
[比較例9〜12]
実施例14の有機溶剤可溶性染料含有レジスト溶液の調製において、有機溶剤可溶性染料を下記表3に示される化合物に変更し、有機溶剤可溶性染料(A)、バインダー(B)、硬化剤(C)(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)および感光性化合物(D)(2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン)の含有量を、表3に示される含有量に変更し、更に、膜厚を表3に示される膜厚に変更した以外は、実施例14と同様にして画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表3に示す。表3における組成物の全固形成分に対する染料の含有量は全固形成分に対する染料aの含有量と全固形成分に対する染料bの含有量とを足し合わせた値である。
【0247】
【表3】

【0248】
表3からわかるように、比較例の条件では表3の諸性能を同時に満足することは困難であった。しかし、実施例14〜16では色濃度に優れ、同時に、未露光部現像性および露光部の残膜率も向上させることができ、パターン矩形性に優れることがわかった。したがって、本発明の優位性が明白となった。
【0249】
[実施例17]
実施例1の3)染料含有レジスト溶液の調製において、染料含有レジスト溶液の代わりに下記により調製されたポジ型着色感光性樹脂組成物Aを用い、実施例1の4)の膜厚調整において膜厚を0.9μmとし、露光後120℃で90秒加熱(ポストベーク)した以外は実施例1と同様にして画像を形成し、同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0250】
〔ポジ型硬化性組成物Aの調製〕
・有機溶剤可溶性染料a(上述の例示化合物(7)):(A)・・・22.5部
・有機溶剤可溶性染料b(上述の例示化合物(32)):(A)・・・22.5部
・バインダー:(B)・・・0.1部
(p−クレゾールとホルムアルデヒドとを縮合したノボラック樹脂:ポリスチレン換算分子量5500)
・硬化剤:(C)・・・25.5部
(ヘキサメトキシメチロールメラミン)
・感光性化合物a:(D)・・・14.4部
(2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとo−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリドとのエステル化物;エステル化率:80mol%;キノンジアジド化合物)
・感光性化合物b:(D)・・・15.0部
([4−(7,8−ジヒドロキシ−2,4,4−トリメチル−2−クロマニル)ピロガロール]とo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル)
・溶剤a:(E)・・・100.0部
(エチルラクテート)
・溶剤b:(E)・・・110.0部
(シクロヘキサノン)
【0251】
[実施例18]
実施例17の有機溶剤可溶性染料を下記表2に示される化合物に変更し、有機溶剤可溶性染料(A)、バインダー(B)、硬化剤(C)および感光性化合物(D)の含有量を下記表4に示される含有量に変更し、膜厚を表4に示される膜厚に変更した以外は、実施例17と同様にして画像を形成し、同様の評価をおこなった。結果を下記表4に示す。表4における全固形成分に対する染料および感光性化合物の含有量は全固形成分に対する染料aまたは感光性化合物aの含有量と全固形成分に対する染料bまたは感光性化合物bの含有量とを足し合わせた値である。
【0252】
【表4】

【0253】
実施例17および18は、ポジ型感光性組成物であるので、露光部現像性および未露光部残膜率の値は小さい方が好ましい。表4からわかるように、実施例17および18においても、色濃度に優れたパターンを形成することができた。同時に、未露光部現像性および露光部の残膜率も向上させることができ、パターン矩形性に優れることがわかった。
【0254】
以上のように、本発明の染料含有硬化性組成物によれば、高感度、高解像力という特性を有し、高染料濃度で薄膜化してもパターン形成性に優れた硬化性組成物を提供することができる。特に、全固形成分に対する有機溶剤可溶性染料の含有量を大きくし、硬化剤の含有量を特殊な範囲に限定したことにより、硬化性に優れ、同時に、パターン部以外の現像性および、パターン部の残膜率が向上し、良好なパターン形成性を有する着色剤含有硬化性組成物を提供することができる。
同時に、製造プロセスにおいて、前記の諸性能の劣化の懸念がない為、生産性の高い着色剤含有硬化性組成物およびそれを使用した耐溶剤性に優れた薄膜のカラーフィルタを提供することが出来る。また本発明の染料含有硬化性組成物を用いることで、簡便でコストパフォーマンスの高い製造方法を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤可溶性染料(A)、硬化剤(C)、および感光性化合物(D)を含有する染料含有硬化性組成物であって、全固形成分に対する前記有機溶剤可溶性染料(A)の含有量が45質量%以上であり、かつ、全固形成分に対する前記硬化剤(C)の含有量が20質量%以上55質量%以下であり、前記感光性化合物(D)が、光重合開始剤である2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオンであることを特徴とする染料含有硬化性組成物。
【請求項2】
更に、バインダー(B)を含有し、前記バインダー(B)と前記硬化剤(C)との質量比(C)/(B)が、2.0より大きいことを特徴とする請求項1に記載の染料含有硬化性組成物。
【請求項3】
前記硬化剤(C)と前記感光性化合物(D)との質量比(D)/(C)が、0.1以上0.4未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の染料含有硬化性組成物。
【請求項4】
前記有機溶剤可溶性染料(A)が、色価が55を超える有機溶剤可溶性染料を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の染料含有硬化性組成物。
【請求項5】
硬化方法がネガ型であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の染料含有硬化性組成物。
【請求項6】
固体撮像素子用カラーフィルタの作製に用いられることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の染料含有硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の染料含有硬化性組成物を含むことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の染料含有硬化性組成物を支持体上に塗布した後、マスクを通して露光し、現像してパターンを形成させる工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。

【公開番号】特開2013−92784(P2013−92784A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268374(P2012−268374)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2007−511159(P2007−511159)の分割
【原出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】