説明

染色体プロファイリングのための方法と装置

間期染色体プロファイル生成のための方法及び装置。その方法は、プロファイリングのための染色体を有する細胞を含むサンプルの確保、DNAプローグが前記染色体上のほぼ等距離位置に少なくとも1つの染色をマーキング出来る種固有のDNAプローグ;サンプルのDNAプローブとのハイブリダイゼーション;サンプルの比色分析のための染色体上に区分比カラーバンドを生成するための複数酵素の使用;及び染色体プロフィールを決定するための視覚分析の使用、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は細胞遺伝学分野、特に染色体プロファイリングに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞遺伝学は細胞ライフサイクルの中期段階の間の染色体研究の分野である。染色体が縮合の最高点にあり、そして正常及び病気の状態の両方における研究に最も都合がよいのはこの段階である。現在細胞遺伝学分野(世界的に)において最も頻繁に使用される技術は短期(10日以内)又は長期(45日迄)のテスト用に提供される試料培養である。試料は末梢血、骨髄、羊水、固形組織、受胎産物、胸膜液等のような多くの変化タイプを含む。培養成功の後、色々なプロセスにより、テストされる個々の物が遺伝子異常を有すかを決定するため、中期染色体を一般的に確保し読み取る。このプロセスは全く複雑で、極めて多くの時間と専門知識は勿論のこと多くの化学物質と試薬の使用を必要とする。
【0003】
以下を含む色々な診断目的のために染色体研究は頻繁に必要とされる:
(1)出産診断
(2)末梢血(異常表現型特性、知能発育不全のある患者、原因が遺伝子かどうかを決定するための多くの流産問題は勿論のこと不妊症問題を有する夫婦のためのテスト;
(3)白血病/リンパ腫診断(薬手順の管理は勿論のこと正確な診断の両方に不可欠な);
(4)固形腫瘍診断と治療管理(膀胱、前立腺、腎臓、胸、肺等を含む癌のための)
【0004】
約15年間、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)と称する技術を使用して染色体/核型情報を得てきた。しかしこの技術は限られている。FISH技術を利用して、完全な核型情報を得ることはできない。著しい量のFISH試験が間期段階核に使用されてきたが、これでは色を更なる培養なく、通常の細胞遺伝学技術により見ることはできない。最近より完全な染色体分析又は核型情報が多重FISH(M−FISH)技術の使用で可能となった。この技術に関する問題は、テスト用染色体を得るためには、なお1つの培養を必要とすることであった。その時だけ新しい又は疑いのない変化の検知は勿論のこと、疑わしい異常をM‐FISHは証明することができた。
【0005】
ごく最近、多色バンド(MCG)、多色染色体バーコード技法、異種間カラーバンド技術(re−FISH),分光カラーバンド技術(SCAN)のような数種の多色分バンド技術が開発された。これら技術全ての中で、MCGのみ間期染色体に適用されてきた。
【0006】
殆どのFISHベースの技術は疾病固有のプローブを使用する。疾病固有のプローブが生成される場合、プローブセットは転座、欠失、反転、増幅又は他の既知染色体異常のような固有変性の現存知識に限定される。疑わしい遺伝子異常の予備知識なしに、細胞遺伝学は未知又は疑わしくない遺伝子の不調の診断を行うことが出来なかった。全染色体ペイントを利用することにより予め検知されない転座を認識することが可能になる。しかしこれは非常に退屈なプロセスであり、24の別々の染色体ペイントプローブセットの使用を必要とした。更にこのプロセスは遺伝子異常の単一タイプの情報のみ、即ち2つの異なる染色体間の転座の情報のみを生成する。疾病プロセスでは、しばしば遺伝子変性は、転座、欠失又は反転を含む多くの発現からなる。これらの他の変化、特に染色体間変化が現在の染色体ペイントプローブセットにより全て検出できるわけではない。代わりに、それらは又別のセットの又は多くのセットの疾病固有プローブを必要とし、これは普通の臨床細胞遺伝学研究所にとって法外な費用となる。
【0007】
中期染色体研究のための上記技術には、多くの付加的欠点が存在する。これらは以下を含む;個々の染色体認識のために得られた非常に複雑なカラーバンド・パターン;バンドパターンを翻訳するためのフィルタ、ダイクロニックミラー、CCDカメラ、高性能コンピュータソフトウェア、インフェロメータ及び他の特別な装置のような非常に高価な装置の使用を必要とする技術;完全核型情報、即ちロバートソン転座のようなあるタイプの異常検出を提供しない技術;蛍光は消え、結果としてのバンドパターンは永久ではない、蛍光色素ベースである各技術;コンピュータソフトウェアの使用により割り当てられた擬似色であり、簡単な人の観察では翻訳できない結果のバンドパターン;研究の場で有効な臨床細胞遺伝学研究所での通常使用には実用的でない技術;及び、マーカ染色体は診断と多くの臨床状況での予後の両方を有すので、特に重要である、構造的に変性し、一般にトレースできないマーカ染色体。
【0008】
1つの遺伝子異常は遺伝子診断で特に重要であり、この異常をロバートソン転座と称する。ロバートソン転座はそれらのセントロメアにより結合し、その結果核型では1つ少ないセントロメアになる末端動原体型染色体間の転座である。ロバートソン転座は特に出産診断において臨床的に重要である。片親ダイソミー(UPD)と呼ばれる病状は染色体13、14、15に存在する。出産診断で検知される胎児におけるUPDは重度の臨床的発現の一因となり、乳児死亡率を著しく向上させる。
【0009】
この開示で引用される文献や資料は説明した明らかな教示と矛盾しない程度まで、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【0010】
従って、染色体プロファイリングのための方法と装置の提供がこの発明の目的である。
【0011】
この発明の態様は以下を含む間期染色体プロファイリングを発生させるための方法を含む、即ち、プロファイリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;染色体上のほぼ等距離位置にある少なくとも1つの染色体のマーキングが可能な種固有DNAプローブの確保;サンプルとDNAプローブとのハイブリダイゼーション;サンプルの比色分析用染色体上に区分カラーバンドを生成させるための複数酵素の使用;比色分析に基づく染色体プロファイリングを決定するための視覚分析の使用;
【0012】
方法は更にin situハイブリダイゼーションを意図する。典型的実施形態でin situハイブリダイゼーションはスライド上で発生できる。このスライドは例えば、前記DNAプロファイルを受け、ハイブリダイズし、そして分析するための一連のウエルからなる。
【0013】
この発明の別の実施形態で、視覚分析手段は光学顕微鏡、又はCCDカメラを含む。
【0014】
本発明の態様は以下を意図する、即ち羊水からのテストサンプルを得ること;末梢血;胸膜液;骨髄;腫瘍組織;分析用染色体を有する細胞を含む受胎産物又は他の発生源。
【0015】
本発明の態様による方法は例えば転座又は特にロバートソン転座のような染色体異常の視覚検出を含む。
【0016】
本発明の態様による方法は例えば完全な核型を生成することを意図する。
【0017】
本発明は又以下のステップを含む比色in situハイブリダイゼーション法を含む、即ち、プロファイリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;染色体上のほぼ等距離位置に染色体をマーキングすることができる種固有DNAプローブの確保;DNAプローブとサンプルのin situハイブリダイゼーション;比色分析用染色体上に区分カラーバンドを生成するための複数酵素の使用;及び前記染色体のプロファイルを決定するため視覚分析の使用。
【0018】
この方法は更にスライド上のサンプルをin situハイブリダイゼーションするステップを含み、このスライドは前記DNAプロファイルを受け、ハイブリダイズしそして分析するため一連のウエルを含む。
【0019】
本発明は又以下のステップからなる染色体中のロバートソン転座を視覚検出する方法を含む。即ち
プロファイリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;
各染色体上のほぼ等距離位置に少なくとも2つの染色体をマーキングすることができるDNAプローブの確保;
前記DNAプローブとサンプルのハイブリダイゼーション;
比色分析用染色体上に区分カラーバンドを生成するための複数酵素の使用;及び
ロバートソン転座が前記染色体間に発生しているかどうかを決定するための視覚分析の使用。
【0020】
本発明によると、この方法は又前記DNAプロファイルを受け、ハイブリダイズしそして分析するための一連のウエルを含むスライド上でin situでサンプルをハイブリダイズすることを含む。この方法は又光学顕微鏡又はCCDカメラを利用する視覚分析を含む。
【0021】
この方法は又、サンプルの複製起点が;羊水;末梢血;胸膜液;骨髄;腫瘍組織;及び受胎産物;から構成されるグループから選択される、DNAサンプルを意図する。
【0022】
この発明の追加の実施形態で、マーカ染色体の検出方法は以下のステップを含む;
プロファイリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;
各染色体上のほぼ等距離位置に少なくとも2つの染色体をマーキングすることができるヒトDNAプローブの確保;
DNAプローブとサンプルのハイブリダイゼーション;および
染色体の比色分析用染色体上に区分カラーバンドを生成するための複数酵素の使用;
【0023】
マーカ染色体検出方法はDNAプロファイルを受け、ハイブリダイゼーション及び分析用の一連のウエルを含むスライド上サンプルのin situハイブリダイゼーションを含む。この検出は光学顕微鏡又はCCDカメラを利用する視覚分析により行うことができる。
【0024】
検出用DNAサンプルは以下の1つから作り出す;羊水;末梢血;胸膜液;骨髄;腫瘍組織;及び受胎産物。
【0025】
この発明の別の態様は以下のステップを含む染色体のラベリング法を意図する;ラベリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保、ほぼ等距離位置に染色体をラベリングできる種固有DNAプローブの確保、染色体がラベリングされるDNAとプローブ染色体のハイブリダイゼーション。
【0026】
この方法はスライド上での染色体のin situハイブリダイゼーションを含み、このスライドがDNAプロファイルを受け、ハイブリダイズしそして分析するための一連のウエルを含む。この方法は更に以下から構成されるグループから選択されるDNA複製起点を意図する;羊水;末梢血;胸膜液;骨髄;腫瘍組織;及び受胎産物。
【0027】
この発明の態様による典型的実施形態で、間期染色体プロファイリング用キットは、染色体上のほぼ等距離位置に少なくとも1つの染色体をマーキングできる複数種固有DNAプローブ、比色分析用染色体上に区分カラーバンドを生成するための複数の酵素、及び染色体をプローブセットとin situハイブリダイゼーションするための染色体上の区分カラーバンド生成のための複数酵素、を含む。
【0028】
このキットは更に例えば顕微鏡又はカメラのような1つの染色体の比色分析用視覚分析手段を含む。
【0029】
この発明の態様による別実施形態は、複数の種固有DNAプローブを含むプローブセットを含み、このDNAプローブは染色体上のほぼ等距離位置で少なくとも1つの染色体をマーキングするように設計される。プローブセットは更に前記染色体上にカラーバンドを生成するための複数酵素を含む。本発明の態様による更なる実施形態は、in situ間期染色体ハイブリダイゼーションが起こる複数のウエルを更に有するガラススライドを有する、in situ間期染色体用スライドを含む。
【0030】
付加的細胞培養の必要なく、完全な染色体と細胞/種タイプからの核型情報を得るため、間期染色体プロファイリング(ICP)を使用する染色体プロファイリングの確保方法を上で記述した。これは間期核上での専用DNAプローブセットとCISH技術を組み合わせることにより達成される。明細書で開示される方法を利用して、全染色体異常の約99%を検出することができ、そして結果は48時間より短い回転時間(TAT)で生成される。
【0031】
本発明は、複数スライド上のハイブリダイゼーションチャンバーで間期細胞中の個々のヒト染色体を観察することにより完全ヒト核型情報を確保するための方法と装置に関する。ICPは固有の又は疑いのある疾病の存在に関する予備知識を必要とせず、既知又は未知の遺伝子変化を検出し、そして単一テストで完全な核型を提供する。更にICPは細胞培養を必要とせず、そして間期核におけるほぼ全てのタイプの染色体変化のための検出メカニズムを提供する。
【0032】
この発明の更なる目的と利点は以下の本発明の詳細開示と同様の参照番号は同様の特性又は要素を意味する付属図面を参照することにより明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
さて図1に関して、各染色体はICPカラーバンド・イデオグラムにより表示される。セントロメア/ペリセントロメア領域は黒;短腕テロメアは青;及び長腕テメロアは赤である。末端動原体型染色体14、15、21に対し、ICPイデオグラムは2つの部分、左と右に分割される。左イデオグラムは染色体が第1に導入された場合のカラーバンドを表し、右イデオグラムは染色体が第2に導入された場合のカラーバンドを表す。第1と第2という言葉はスライド1上末端動原体型染色体組み合わせの夫々の染色体の順を意味する。染色体13と22に関し、それらが夫々常に第1と第2に導入されるので、ICPカラーバンドは1つだけしか存在しない。図2は400バンドレベルの伝統的Gバンドイデオグラムを示す。
【0034】
例えばヒト染色体のような各染色体は色々な染色体上に固有DNA配列のハイブリダイゼーションにより間期において確認することができる。これらの配列は染色体セントロメア又はテロメア又はセントロメアとテロメア間にある領域固有の領域上に配置することができる。染色体上の配列空間は染色体の短腕と長腕の全長に基づきほぼ等距離になるよう設計される。ほぼ等距離概念を使用して、ヒト染色体腕は全て3グループ:グループ1(小)、グループ2(中)、グループ3(大)の1つに分類できる。各グループ内では、個々のバンドは、ほぼ同一距離を隔て配置される。この間隔は開示の着色技術と共に各染色体に固有のカラーバンド・パターンを生成する。染色体はそれらの寸法に基づき数グループに分類され、そして各グループ内の染色体は確認を容易にするため同一色配列パターンを有する。
【0035】
各染色体腕は区分カラーバンド「署名」を有する。この署名からの少しの変化は遺伝子変化(即ち染色体異常)を示す。一般に、染色体のセントロメアは黒に着色され、そして1つはセントロメアから腕端へ進むので、カラーバンドは染色体端部(テロメア)バンドを強調するために使用される2つの主色の比率を変化させた混合物により生成される。例により、もし短腕テロメアが青に着色され、かつ長腕テロメアが赤に着色されておれば、セントロメアとテロメア間のカラーバンドは濃赤、濃青、薄青、紫及び赤褐色のような赤と青の混合度合いを変えることができる。この色区分で、染色体変化はFISHベースの検出器、フィルタ、ダイクロニックミラー、CCDカメラ、高性能コンピュータソフトウェア又は干渉分光装置の分野で現在使用されている方法により色処理を使わず、簡単な光学顕微鏡下で間期細胞中に容易に確認できる。
【0036】
別の実施形態で、染色体を区分色着色部位の間で染色体の短腕及び長腕に沿って付加的等距離位置で黒又は他の区分色に着色することができる。このような付加的着色は、使用者が確認できるような目標を提供することは勿論のこと、分解能を向上させることにより遺伝子異常の視覚検出をより容易にする。本明細書で使用されるように、色区分バンドは主バンドと称し、そして例えば黒バンドのような付加ソリッドバンドはミラーバンドと称する。
【0037】
染色体の短腕と長腕間の更なる区分を提供するため、短腕と長腕のミラーバンドを着色し夫々の染色体腕間で異なるバンド厚さを提供する。例えば短腕ミラーバンドを着色し染色体の長腕上のミラーバンドより薄い均一厚さを有するミラーバンドを提供することができる。この着色により単一染色体を含む異常の検出がより容易になる。
【0038】
FISHと異なり、この発明はハイブリダイゼーション配列の検出には比色in situハイブリダイゼーション(CISH)に依存する。この発明態様によると、特定比率でのDNAプローブと結合される特定酵素の混合により色々な色が生成される。これにより間期細胞における染色体の同一部位での順次又は同時酵素反応が可能となる。
【0039】
現在、この分野のFISHベースの取り組みは、特定DNAプローブを利用して中期染色体又は間期核のいずれかを使用して既知の遺伝子異常を検出する。診断を確立するため、特定セットのプローブから始め、もしある結果が「正」であれば、テストを終了する。しかし臨床医師からの初期「実用的診断」は非常に頻繁に間違っており、研究者はDNAプローブセットを多数回、順に適用することを強いられる。これは単に時間がかかるだけでなく、非常に費用がかかる。最も悪いことは、核型を完成させそして適切な診断を提供するために必要な順次ハイブリダイゼーションを推進するのに利用できるテスト材料(即ち中期又は間期染色体)の量が不足することである。
【0040】
古典的細胞遺伝学分析は以下の理由で標準となっている。
それは疾病に関する予備知識が不要である。
既知だけでなく未知の遺伝子異常の検出が可能である。
1つの試験で完全な核型を生成する。
しかしこの方法は培養を必要とし、結果として長い回転時間がかかる。更に固形腫瘍や受胎産物のような組織タイプに対し、培養成功率は非常に低く、この結果関係する情報は殆ど又は全く得られない。更にマーカ染色体確認はしばしば困難で、標準Gバンド法では困難である。この発明は細胞培養を必要とせず、48時間以内に間期核における全タイプの染色体変化を高い信頼性で検出するメカニズムを提供することによりこれらの難問を克服する。
【0041】
ICPは試料の特定遺伝子異常に関する既知の予備知識なしに単一万能プローブセットの使用により殆ど全ての染色体異常の特性化を容易にする。この特性化は間期細胞でハイブリダイゼーションチャンバー(スライド)上の指定部位又はウエルにおいて一時に1染色体上に起こる。例によりハイブリダイゼーションチャンバーは各々が10個のウエルを含む3個のスライドのセットからなる。スライド1はロバートソン転座(末端動原体型染色体間の転座即ち、染色体13、14、15、21、22)を検出するため使用される。スライド2は染色体1〜10の特性化に使用される。スライド3は染色体11、12、16〜20、X、Yの特性化に使用される。本発明の一態様で、2個のウエルを更なるテストのため態と黒にして置くことができる。ICP技術は多くの異なるプローブセットとの不必要なハイブリダイゼーションを排除し、これにより28個のウエルからの結果を組み合わせることにより完全な核型情報の組み合わせを可能にする。
【0042】
本発明の一態様で、ICP技術は以下のステップにより進行する;
DNAプローブの生成
in situハイブリダイゼーション
DNAハイブリダイゼーションの比色検出、及び
顕微鏡分析
ステップ1はDNP、ビオチン、フルオレッセインなどのようなラベルでラベリングされた24個のヒト染色体からのDNAプローブの使用からなる。このプローブは、ハイブリダイゼーションを望む染色体の正確な部分を確保するため、染色体の微量切除又は技術的に既知の他の方法により特別に生成することができる。例えばプローブの生成を微量切除技術、プラスミド、コスミド、遺伝子情報からの計算による方法、合成等を利用して行うことができる。ステップ2では、各ウエルの間期細胞を検出されるべき染色体又は異常に特有の単一セットのDNAプローブで一晩ハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションはDNAプローブが核膜を貫通し、DNA変性が2本のDNAストランドを分離させることができるように、酵素による前処理のような標準in situハイブリダイゼーションを使用して行うことができる。ステップ3では、各特定ラベルを標準検出技術により検出する。この検出は順次又は同時である。個々の染色体長に沿って異なるバンドでの所定の色比率に基づき、例えば2つの酵素反応のような2色の混合が新しい検出可能色を生成する。染色体上のバンドの色々な色を予め決めることができ、図1に示すように、比較分析を容易にするためイデオグラム上で表示することができる。ステップ4によると、個々の染色体バンド上での色の進展を簡単な標準的光学顕微鏡を使用して肉眼で観察し理解することができる。
【0043】
出産診断TATは特に重要で、テストに関連する期待する両親により経験される著しい量の心配が存在する。決定と妊娠管理のためには、結果を得るための期限は妊娠期間24週以内である。通常状況では、標準染色体テストを妊娠16〜20週頃に実施し、その結果は10〜14日後に判明する。従って遅い羊水穿刺テストは一般に望ましくない。ある臨床状況では、染色体テストを妊娠の最後の2〜3週間以内に行うことが望ましい。状況によっては、結果は緊急に得る必要がある。早期の羊水穿刺テスト(即ち12週)では、結果は通常10〜14日よりかなり長い時間を必要とする。これは通常、テストに利用できる細胞の数が少ないためである。この各状況においては、古典的細胞遺伝学では一般にマーカ染色体の性質を確認することができない。その結果付加的な時間と費用のかかる特別な調査が必要となる。伝統的なFISHテストを48時間以内に行うことができるが、範囲は非常に限られ、片親ダイソミー(UPD)のような状況による死亡率を潜在的に増加させるロバートソン転座の検出を含む完全な染色体情報を生成することはできない。
【0044】
末梢血染色体テストを、遺伝子診断を達成するため、例えば、知能障害又は不妊組織又は多くの流産をした夫婦のような異常表現型特性を有する患者に行うことができる。一般に現在の手順を使用して、このようなテストのためのTATは通常5日であるが、しかし標準的な染色体調査ではマーカ染色体及び染色体のアンバランス再配列を確認できない。このような状況ではTATを増加させ、費用追加が必要な付加テストを必要とする。ある状況では通常テストでは見逃される異常には染色体末端(即ち微妙な再配列)が含まれる。現在これらの異常の検出には、如何なる診断組織が存在するかを解決するためには費用のかかるFISHテストが必要である。
【0045】
例えば突発性知能障害(ID)のような状況を有する患者において、約5〜9%は顕微鏡以下のサブテロメア再配列を有し、これは古典的細胞遺伝学では検出できない。更にID進行性障害を有する正常核型の全患者の約7%においては、サブテロメア再配列がある。ある場合は、付加細胞を標準テストで分析する必要があり、これには著しく費用がかかる。
【0046】
白血病/リンパ腫瘍癌テストで、染色体情報は正確な診断に不可欠なだけではなく、異なる投薬計画手順の管理に不可欠である。医師はしばしば結果が重要な治療決定を行うのを待つことができる。現在の手順で、TATは通常5日である。現在のテストの1つの主な欠点は標準的染色体調査では染色体のテロメアを含む先に述べた微妙な再配列は勿論のこと、マーカ及び誘導染色体の確認ができないことである。これらの状況は付加テストが必要となりTATと費用の増加となる。正常/異常結果となるある場合で、より多くの細胞を費用を又増加させる通常テストにより分析する必要がある。残念なことに、多くの場合染色体を有する付加的細胞はテストに簡単に利用できない。約5〜10%の場合は、培養不成功により染色体結果が全く利用できない。
【0047】
固形腫瘍と患者管理における染色体情報の重要性は急速に増加している。膀胱、前立腺、腎臓、胸、肺等のような固形組織の癌で、標準的な染色体調査は30日以上かかり、テストの70〜80%以上で結果が得られない。これは調査失敗になりやすい。上記の白血病やリンパ腫と同様に、マーカと誘導染色体確認は標準染色体テストではできない。
【0048】
染色体情報は遺伝子診断の達成のため、及び未来の妊娠決定のため患者に助言するため流産物質上で得ることができる。現在の手順を使用して、このような組織上での遺伝子テストのためのTATは30〜45日になる。より重要なことは、20〜40%の場合において、結果は欠陥サンプルにより標準染色体テストによって結果を得ることはできない。従って遺伝子異常を適切に診断し、そして患者に助言するためには、付加テストが一般に必要となる。このような付加テストは必要な費用と時間を結果として増加させる。
【0049】
ICPは、タイミングよくそしてコスト効率のよい方法で、臨床的細胞遺伝学及び医学界の満たされないニーズを提供することにより、現在の手順の限界により生成される隙間を埋める。
【0050】
以下は本発明を実施するための手順を示す例である。これらの例は明らかな変更を含むと解釈されるべきで、限定するものではない。
例1‐ハイブリダイゼーションチャンバーの使用
【0051】
現在の手順では24個の異なる色を使用して中期染色体に基づき多色核種を確保する。中期染色体を生成するため、例えば末梢血、骨髄、羊水、固形塊等のような色々なタイプの試料からの材料を培養しなければならない。完全な核型情報を確保するため20個の細胞を調査することが一般に必要である。利用できる細胞の量はしばしば限定される。本発明迄、材料源を効果的に利用するために利用できる方法はなかったので、調査に提供される資料に存在する遺伝子変化の完全な特性化が達成できる。染色体の特定セットを調査できる技術的にいくつかの方法が存在するが、これらの方法は全く限定されている。上で論じたように、疑わしい遺伝子異常を事前に知らねばならず、そして限定された情報だけがこのようなテストにより得ることができる。試料に存在する特定の遺伝子変化の予備知識なく、単一万能プローブセットでこの発明を使用して、ほぼ全ての染色体変化を完全に特性化できる。これはハイブリダイゼーションチャンバー上の指定部位又はウエルで、間期細胞において一時に1つの染色体に実施することができる。
【0052】
本発明の一態様において、ハイブリダイゼーションチャンバーは1セットのスライドから構成され、そして図に示すように、各スライドはウエルを含むことができる。例によって、スライド1はロバートソン転座といわれる染色体再配列の特別タイプを検出するためのスライドである。ロバートソン転座はそれらのセントロメアにより結合する末端動原体型染色体間の転座であり、結果として核型で1つ少ないセントロメアになる。例えば、ロバートソン転座が染色体14と21の間でバランスした形で起こる場合、核型には1つの正常21、1つの正常14及び結合染色体14/21があり、これにより染色体の全数は46から45へ変化する。ヒトゲノム(染色体13、14、15、21、22)には5個の末端動原体型染色体があり、この5個のいずれの1つも、同一染色体、即ち21/21結合染色体となる染色体のコピー間の再配列を含むこのタイプの再配列に参加する。この再配列はバランスした又はアンバランスな核型となる。アンバランス型では、全染色体数は一般に46であるが、核型には末端動原体型染色体の1つの3つのコピーがあるようである。
【0053】
現在のFISH法を使用して、ダウン症を有する患者からの臨床サンプル上にダウン症固有領域、即ち21、q22の3個のコピーが一般に検出される。この結果は染色体21の3個のコピーを有するダウン症の自由形式には充分であり、そしてロバートソン転座は存在しない。しかし、ダウン症の同一臨床表現型は染色体21と1つの他の末端動原体型染色体を含むロバートソン再配列から発生する。これは技術的な現在の方法を使用しても検出できない。これは、再発危険値はダウン症の自由形式とロバートソン形式の間では全く異なるので、遺伝子助言と次の妊娠管理に対し重要な臨床的意味を有する。従って、価値ある情報は失われる。この限界をこの発明により克服することができる。
【0054】
染色体21以外の染色体を含むロバートソン転座は又妊娠診断において臨床的に重要である。片親ダイソミー(UPD)と呼ばれる病状は染色体が13、14、15に対し存在する。バランスしたロバートソン転座が末端動原体間に起こり、そして含まれる染色体が13、14、15の場合、担体はUPDに対する危険が増加する。妊娠診断で検出される胎児のUPDは重症の臨床的発現の一因となり、死亡率を著しく高める。この発明まで、ロバートソン転座を検出し、そして潜在的UPDを確認する唯一の方法は標準細胞遺伝学によっていた。ICPは間期細胞中の全ロバートソン転座を検出し、これにより出産診断で妊娠管理のための価値ある情報を提供することによりこれを克服する。
【0055】
スライド2は染色体1〜10用ウエルを備える。スライド3は染色体11、12、16、17、18、19、20、付加ウエルを更なるテストのためにわざと黒にしたX/Y、のためのウエルを備える。各ウエルに25〜30個の間期細胞を注意深く配置することにより、不必要なハイブリダイゼーションを除去できるので不良試料でも調査でき、ウエルからの結果を組み合わせることにより完全な核型情報を組み合わせることができる。
例2‐DNAプローブセット
【0056】
プローブセットは24の染色体の各々に対しDNAプローブの固有に設計された組み合わせから構成される。各ヒト染色体はセントロメアとセントロメアに取り付けられた短腕と長腕を含む。染色体は全て腕の端部に各染色体固有のテロメアと称する固有DNA配列を含む。末端動原体型染色体だけはセントロメアと長腕を有する。その短腕は変化し、遺伝子がない場合もあり、臨床的意味はない。このため、末端動原体型短腕を検出するようにプローブは設計されない。
【0057】
さて図1に関して、この発明に基づくカラーバンド・パターンを図示する。比較のため、標準Gバンド(即ちgold standard)を含む。イデオグラムは染色体上のバンド全ての図表示である。現在のG‐バンドイデオグラムに基づき、各ヒト染色体は個々の単位長が与えられる。例えば最大のヒト染色体である染色体1は、73の単位長を有し、その短腕は36の単位長、そして長腕は37である;染色体2は68の単位長を有し短腕と長腕は夫々27と41である。全染色体の単位長はイデオグラム上に描写される。
【0058】
現在の手順では、染色体分類は一般にG‐バンドパターンに基づき、そして染色体はA〜G及び性染色体に分類される。染色体1〜3はグループAに、3〜4はグループBに、6〜12とXはCに、13〜15はDに、16〜18はFに、そしてY染色体を含む19〜20はGに分類される。個々の染色体上のバンドは一般に化学的着色により生成され、染色体上の固定位置を有し変化させることはできない。従って2つの自然に接近して配置されるG‐バンド間に入る染色体変化の確認はしばしば困難である。この問題は、短腕と長腕の全体寸法に基づき互いにほぼ等距離位置に「バンド」を間隔をあけて並べることによりこの発明により克服できる。これは間期核における染色体変化の確認を容易にする。
【0059】
ほぼ等距離染色体ハイブリダイゼーションの概念を利用して、ヒト染色体腕を以下の3グループに分類することができる、即ち単位長4‐6のグループ1(小);単位長7〜19のグループ2(中);単位長20〜41のグループ3(大)。各グループ内では、個々のバンドをほぼ同一距離をあけて配置する。例によると、短腕は5本のバンドを有し、長腕も5本のバンドを有する。セントロメアバンドに関し、染色体1は全体で11(5+1+5)のカラーバンドを有する。従ってこのICP発明を使用して間期細胞におけるヒト染色体1を見ると、短腕の端部から始めて、それがセントロメアに達する迄カラーバンド、「無色」バンド、カラーバンド、無色バンド等が観察され、そしてこのパターンは、それがカラーバンドを備える長腕の端部に達する迄続くだろう。有色と無色の全バンドを計算して、正常な染色体1は合計21バンドを有する。このタイプの分解能は培養後しか確保できない中期染色体を必要とする標準G‐バンドパターンに等しいかこれよりよい。上記モデルに続く別の例によると、染色体18はグループ1の短腕とグループ2の長腕を有し、染色体Yはグループ1短腕とグループ1長腕を有する。
【0060】
染色体1に関する更なる例として、小バンドをカラーバンド間の中間位置に着色することができる。このような小バンド着色は、例えば8本の付加バンドを追加し、染色体上の全着色バンド数を19とする。
【0061】
図1に見るごとく、ヒト染色体に対応するカラーバンド・パターンで分類法を図示する。一般にそして図示だけの目的で、セントロメアバンドを黒に着色し、そしてセントロメアから短腕の端部へ進むにつれ、カラーバンドを染色体端部(テロメア)バンドを目立たせるために使用される2種の主色の比率を変化させた混合物により生成することができる。本発明の一態様で、短腕テロメアを青に着色し、長腕テロメアバンドを赤に着色する。本発明の別の態様では、染色体1、5、9、16、19に対し、ペリセントロメアバンド、即ちセントロメアに隣接するバンドをセントロメアの代わりに使用することができる。
【0062】
図示だけの目的で、例として染色体1を使用して、セントロメアを黒、短腕の次のバンドを濃赤色にする1青:9赤にする。次のバンドは薄青色にする7青:3赤にする。次のバンドは紫色にする5青:5赤にする。次のバンドは赤褐色にする3青:7赤にする。最後に、テロメアバンドはテロメアの端部を表示する100%青にする。セントロメアとテロメア間の3:7、5:5、7:3のこのバンド順は長腕の主色に関して反転させることができる。従って、セントロメアが黒で始まる染色体1の長腕は3赤:7青(赤褐色);5赤:5青(紫);7赤:3青(薄青)、そして最後にテロメアバンドは赤(100%)となる。短腕から長腕への全染色体を簡単に読み取ると、青、赤褐色、紫、薄青、濃赤、黒、赤褐色、紫、薄青及び赤である。この議論からみられるように、各腕はその区分カラーバンド「署名」を有し、この署名からの変化があればそれは遺伝子変化を示すことになる。
【0063】
この発明の態様によると、染色体変化のFISHに基づく検出に現在技術的に使用されるようなフィルタ、ダイクロイックミラー、CCDカメラ、高性能コンピュータソフトウエア、インフェロメータ等による色処理の必要なく、簡単な光学顕微鏡の下で間期細胞中に容易に変化を確認できる。この発明によるカラーバンドは、腕のサイズ、色配列のずれ、カラーバンドの喪失又は余分なカラーバンド、無色バンドの単位サイズの減少又は拡大に拘らず、互いにほぼ等距離にあるので、色配列のずれは染色体異常を示す。この方法をほぼ全てのヒト染色体の数及び構造的異常の両方を検出するのに使用できる。染色体異常、特にICPを使用したマーカ染色体確認の数例について以下に論ずる。現在の手順では、マーカ染色体は中期染色体でのみ確認することができる。この発明を利用して、マーカ染色体を間期核にて確認することができる。この結果は時間と費用の著しい節約となる。
例‐3 CISH法
【0064】
この発明は比色in situハイブリダイゼーション(CISH)を利用する。CISHの使用は多くの利点がある。最も重要な利点は細胞遺伝学研究所での利用可能装置の実用性及びFISHに基づく装置に関連する異常な費用の回避である。FISHに基づく取り組みは研究環境で十分である一方、CISHは日常の臨床細胞遺伝学及び他の病理学研究所にとって独特の位置にある。上記のように、染色体異常は、操作の必要なく、簡単な光学顕微鏡下で間期細胞に容易に確認できる。CISH法の利用では多色FISH法におけるような擬似色表示はない。更に視野に見えるものは一般にテストで生ずるもの、真の色表示である。上記の色は例えば、隣接する色を識別できる通常の「色覚異常」の人の目に対し設計される。これは、技術者のようなその分野によく精通している人でないような人に対してさえ、現在の細胞遺伝学分析に付加的機会を開く。従ってよく精通した技術者は費用がかかり、かつ見つけるのは困難なので、著しく経済的なかつ時間的な節約の機会を与える。
【0065】
現在のCISH手順は反応の場に固有の色を生成するため全酵素反応だけを利用する。異なる色を生成するため、明細書で述べたような特定比率でDNAプローブと対になった固有の酵素の混合物は開示していない。間期核における異なる部位での順次酵素反応についてはこの分野の専門家には知られていたが、この発明まで同一部位(即ち、間期核の任意の部位)における順次酵素反応は可能でなかった。FISHと比較したCISHの主な欠点は反応部位における信号の分解能(即ち輝度)であった。ここ数年、いくつかの進歩がCISH分野で行われ、反応部位での信号の増幅が望めば、今や可能となっている。更にDNAプローブ準備段階の間に、酵素が後に付着する多くのリガンドの組み込みで、カラーバンドの信号強度は向上した。
【0066】
CISH法は恒久的である利点を有する。生成される色反応は恒久的であり、後の使用に保存できる。他方、FISH信号は急速に消滅し、レトロスペクティブ分析には全く有効でない。新しい遺伝子変化が患者(即ち、治療の間)に発見されると、臨床相関を確立するため、以前のハイブリダイゼーションスライドを有することが比較のために使用するのに極めて有効である。
例4‐実施例
【0067】
現在の細胞遺伝学手順はこの領域の側面を守るプローブの設計に染色体における自然の切断点に依存している。例えば染色体9と22間の転座のような白血病固有の転座を検出するため、プローブはバンド9q34(abl遺伝子)とバンド22q11.2(bcr遺伝子)の染色体9上の切断点を検出するように設計される。22用の赤と9用の緑の2色を使用して、正常な間期反応は2つの赤点と2つの緑点として現れる一方、緑/赤融合により転座は1つの緑、1つの赤そして1つの黄に起こる。例によって、この発明を利用すると、同一転座は染色体9が2つの断片に、そして染色体22が2つの断片に転移するように現れる。夫々のスライド上の染色体9ウエルにおける結果のカラーバンド・パターンは;短腕テロメアから始めて青、赤褐色、黒、紫、1つの隣接ストレッチとしての薄青及びこのストレッチから離れた赤、即ち染色体9上にabl遺伝子が存在する薄青と赤の間の切断点を表示する赤の転移、を表す。同じウエルの非分離色配列は正常な染色体9を表す。同様に染色体22上のカラーバンド・パターンは紫から分離した赤、赤と紫間の切断を示す濃青ストレッチである。染色体22上のbcr遺伝子は2色のバンド赤と紫の間にある。再度、赤、紫、濃青の非分離色パターンは正常な染色体22を表す。染色体22のセントロメアは染色体14と異種ハイブリダイゼーションをするので、2つの付加の個々の赤信号が存在する。染色体14のハイブリダイゼーションウエルは又2つの別の赤と青点を有する。もしICPスライドの読み取りの進行で、これがその試料における唯一の遺伝子変化であれば、染色体22を含む全てのウエルは上記パターンを示し、染色体9を含むウエルは上記色パターンを有し、そして他の染色体は全て隣接カラーバンド・パターンの2つのストレッチを有するだろう。患者の性別によっては、XX又はXY染色体カラーパターンをXとY染色体プローブを含むウエルにおいて読み取られるだろう。この例から分かるように、病状の予備知識はICP法の使用には不要である。
【0068】
この発明の態様による実施形態で、9:22転座の上記例のような簡単な転座では、転座の確認は目視手段にて達成できる。全てのヒト染色体遺伝子における中間部黒小バンドを含む、各個々のカラーバンドは赤又は青バンドとしてキットで入手できる。先に述べたように、オプションそして/または確認テスト用にハイブリダイゼーションチャンバーに故意に空の溝又はウエルを置く。こうして染色体9上の切断点の両側で非セントロメア又は非テロメアの1つを選択し、そしてそれをハイブリダイゼーションチャンバーへ入れると、転座を抱く間期細胞は赤、赤、青、青、のカラーパターンを有する。青と赤の並列は転座を表示する。この色仕組みで転座を抱かない細胞は赤、赤、青、青、と読み取られるだろう。セントロメアバンドは導入されないので、染色体22の異種ハイブリダイゼーションは従って除かれるだろう。
【0069】
例により、この色仕組みは含まれる染色体バンドに関係なく、ほぼ全ての簡単な転座の証明に使用することができる。2つ以上の染色体を含む複雑な転座でも上記方法を使用した系統的付加ハイブリダイゼーションにより検出し、かつ診断できる。
例5‐マーカ染色体確認
【0070】
臨床細胞遺伝学の定義によるマーカ染色体は標準G‐バンド技術によりセントロメアの複製起点及びその染色体上の付加材料が確認できないことを意味する。しかしこれらのマーカ染色体は疾病の発生そして/又は進行において重要な役割を果たす。中期染色体と24色FISH技術を使用して、一般にはマーカ染色体の性質を確認できる。しかし間期核における確認は非常に難題で、現在の手順の使用では行うことができない。
【0071】
マーカ染色体の例を以下に記述する:
染色体3のセントロメアの所有;3の短腕の全て;染色体7長腕からの2つのバンド;及び染色体10からの長腕テロメア。これは非常に複雑なマーカで癌細胞遺伝子学、特に固形腫瘍細胞遺伝学において、通常このタイプの状況に出くわす。
【0072】
明細書に述べたようなこの発明の技術を利用して、ICPモデルにおいて、3個のスライド技術を利用してハイブリダイゼーションを完了し、以下に結果を記す;スライド1は平凡(即ち正常);スライド2は1〜2、4〜6、8〜9(即ち正常);スライド3は平凡(即ち正常)。スライド2上で染色体3用のハイブリダイゼーションウエルにおいて、異常カラーバンド・パターンを読み取る。2つの正常隣接カラーバンドに加え、もう1つのセントロメアと短腕バンドが存在するようである。2つの隣接カラーバンドに加え染色体7ウエルで2つの別の隣接するカラーバンドが存在するだろう。最後に、染色体10の長腕テロメア構成がバランスしているかどうかにより、染色体10ウエルで2つの隣接カラーバンドと別のテロメア分離バンド又はカラーバンドの1つの隣接ストレッチと第2色バンド配列からのテロメアバンドの転移のいずれかを観察できる。図6は3つの異なる間期細胞におけるマーカ染色体を示す。
【0073】
この発明の態様によると、ICPモデルでマーカ染色体を「再構築」できる。3から中心部断片をそして7と10から中心部外断片を採取し、それら全てを共に間期細胞でハイブリダイズすることにより、これら断片の全てが「疑わしい」マーカを形成したかどうかを確認することができる。もし隣接カラーバンド配列が見つかれば、結果は「正」のようである。更に正常染色体3、7、10上の対応するバンドも目立つようで、これによりマーカ染色体の性質を確認する。図7は明細書で論じた残りのカラーバンドを備える「再構築マーカ」を示す。
表A


【0074】
表Aはこの発明の態様によるスライド1上の末端動原体型染色体組み合わせを示す。染色体が第1に導入されたか、第2に導入されたかにより、セントロメアは赤又は青色を呈し、残りの色配列はイデオグラム上に示すようになる。イデオグラム上の染色体の左への色配列は第1に表現され、右の配列は組み合わせで第2に表示される。染色体13と22については、それらは常に第1に又は第2のいずれかにのみ導入されるので1色のみが表示される。
【0075】
染色体13と21のセントロメアはウエル#3にて異種ハイブリダイゼーションされるので、全てのセントロメアは紫(赤+青)になる。これは、これら2つの染色体間の転座があるかどうかに関係なく正しい。バランス状態で転座があれば、このウエルの間期細胞に1つ少ないセントロメア(即ち、4の代わりに3)となる一方、アンバランス状態では、その数は4のままである。同じ一般ルールを染色体14と22にも同様に適用する。従ってウエル#7の間期細胞は同様に染色体13と21にも作用する。バランス及びアンバランス状態共にロバートソン転座の存在を表すセントロメアのない両染色体からのより大きい隣接色ストレッチが存在するようである。#3と#7用を除く全ウエルにおいて、2つ以上の異種ハイブリダイゼーションを表す別のセントロメアが存在するようである。この設計は遺伝子異常を相互参照する多くの機会を保障する。
例7‐細胞測定技術
【0076】
この発明の態様によると、ICPは、例えば末梢血、骨髄、吸引物、羊水、絨毛、胸膜液、リンパ節生検、固形腫瘍塊、受胎産物等のような全てのタイプの試料の調査を受け入れる。これらのタイプの試料の中で、血液、骨髄、羊水及び胸膜液のような「液体」資料は単一細胞を含む。残りの試料は結合された細胞集合体からなる組織である。ICPを実行するためには、単一の間期細胞を必要とする。こうして、この発明の別態様により、ハイブリダイゼーションチャンバースライド上の各ウエルに25〜30個の細胞を正確に加える又は乗せる方法を考察できる。
【0077】
現在の手順はコレギナーゼとトリプシンのような酵素を利用するそれらのような単一細胞懸濁液に固形組織を分解するために存在する。上で論じたように、液体試料は、単一細胞を得るためこのタイプの処理を必要としない。一旦単一細胞懸濁液がこの試料タイプから得られたら、各「ピペットの一滴」が25〜30個の細胞を含むように細胞濃度を調節する。例えば、1mlの試料が1000個の細胞を含み、そして各1mlが10ピペット滴を含む場合、各1滴は100個の細胞を含む。各ウエルは一般にICP用の1滴のみを受けるので、試料は適当に薄め、この場合は3.5〜4倍に薄め、これにより各1滴が所望の細胞濃度になる。もし最初の容量がピペット1滴あたり10個
の細胞であれば、試料を遠沈させ、余分な容量を除去して2.5〜3倍に濃縮し、これにより、各ピペットの1滴が所望の細胞濃度となる。
【0078】
この技術は小容量の「欠陥」試料をこの発明の下で完全に分析することができることを保証する一方、技術的な他の方法は完全な核型情報を補足できない。
例8‐低張処理
【0079】
殆どのFISH手順は現在、低張処理をしない試料からの塗布標本を使用するだけである。KCIやクエン酸ナトリウムのような低張処理の発見は最新細胞遺伝学分野を生んだ。中間細胞の適切な「膨張」はそれらが顕微鏡スライド上に落ちる時、中期染色体の分離を保証する。同様に、間期染色体の適切な分離は多色バンド配列の成功的描写には不可欠である。異なる濃度で異なる低張溶液で実験することにより、ハイブリダイゼーションウエルの顕微鏡スライド上にそれを固定する前に、間期を適切に「膨張させる」ことが可能なようである。
例9‐ICP手順
【0080】
ヒトDNAプローブの生成;
【0081】
1)各染色体上に、DNAプローブハイブリダイゼーションの部位を標準Gバンドイデオグラム上に示す。先に開示したように、染色体1は19のDNAプローブを有する:
1個のぺリセントロメア、4個の色付き短腕+5個の黒短腕+1個の短腕テロメア、3個の色付き長腕+4個の黒長腕+1個の長腕テロメア。
【0082】
2)各染色体バンドは例えば標準G‐バンド中期染色体調合液から技術的に知られる他の技術を使用して微量切除又は分離される。
【0083】
3)各微量切除染色体バンドをTelenius(1992)により一般に記述されるようなDOP‐PCR技術により増幅する。
【0084】
4)これらのプローブからの反復配列を、Craig(1997)により一般的に記述される、アビジン磁気ビードが続くビオチンラベルのCot‐1DNAを使用して除去できる。
【0085】
5)第1DOP‐PCRサイクルからの繰り返し自由なプローブをリールLiehr(2002)により記述される手順を使用して更なる増幅期間に曝する。
【0086】
6)標準的超音波処理技術を使用して、プローブ長を約200bp〜600bpの間に調整できる。又プローブのより小さい断片をVector labs Nickitキットのような、キットとしての標準技術を利用して生成することができる。
【0087】
7)VectorLabsFastTagのような標準ラベリング手法又は技術を使用して、DNA断片を例えばDNP、ビオチン、フルオレッセイン等のようなラベルでラベリングできる。
【0088】
8)ラベルは所定手順に応じて選択される。
【0089】
9)例えばFastTag技術は、ハイブリダイゼーションの部位におけるより高い感度を達成するため、DNAストランドによる多くの部位でラベルを組み込むことができる。
【0090】
10)24のヒト染色体からのDNAプローブは次にハイブリダイゼーションチャンバーのスライド上の間期細胞にin situハイブリダイゼーションの準備ができる。
【0091】
11)セントロメアとテロメアDNAプローブを生成し、又は経済的に入手可能なプローブを利用できる。プローブは、ラベルの必要のないそして上記のようなICP目的で確保でき、適切なラベルをDNAへ組み込むことができる。
【0092】
in situハイブリダイゼーション:
【0093】
1)単一細胞懸濁液を3個のハイブリダイゼーションチャンバーでスライド上の各ウエル上に配置する。懸濁液を低張溶液で処理し、3:1のメタノール:酢酸溶液で固定する。
【0094】
2)各ウエルの間期細胞を例えばDNAストランドを分離するDNA変性が行われる、DNAプローブが核膜を貫通できるように酵素の事前処理のような標準in situハイブリダイゼーション技術を使用してそのウエル固有の単一セットのDNAプローブでハイブリダイズすることができる。
【0095】
3)ハイブリダイゼーションは一晩で起こる。
【0096】
4)スライドからハイブリダイズされなかった余分なプローブを除去するためハイブリダイゼーション後洗浄を行うことができる。
【0097】
DNAハイブリダイゼーションの比色検出(CISH)
【0098】
1)ラベルビオチンは、ブドウ糖オキシダーゼ固有のTNB基質と反応後、ブドウ糖オキシダーゼ酵素に隣接するアビジン‐Dにより検出できる。これはDNAハイブリダイゼーションの部位(即ち、全染色体上の短腕および長腕上の中間部位置は勿論のこと、セントロメア及びペリセントロメアバンドで)で黒沈殿物を生成できる。
【0099】
2)ラベルフルオレッセインを、ペルオキシダーゼ固有の例えばNovaRedのような基質との反応後に、抗‐フルオレッセイン、抗体隣接ペロキシダーゼ酵素により検出することができる。これはDNAハイブリダイゼーションの部位即ち、長腕テロメアにそして全染色体上で染色体を通し、他のバンドで赤い沈殿物を生成する。
【0100】
3)ラベルDNPを例えばアルカリホスファターゼ固有のベクトル青のような基質と反応すると抗DNP抗体隣接アルカリホスフォターゼにより検出できる。これはDNAハイブリダイゼーションの部位、即ち短腕テロメアと全染色体上の染色体を通して他のバンドで青い沈殿物を生成する。
【0101】
4)その間で必要な阻止と洗浄ステップで3反応が順に実行される。市販の基質使用はVendor社の手順に従う。
【0102】
5)順序は以下である;ビオチン、フルオレッセインそしてDNP検出。
【0103】
6)別の方法では、酵素が異なり、基質はこれら夫々の酵素に固有であるため、3反応全てを同時に達成することが可能である。
【0104】
7)先に開示したように、末端動原体型染色体セントロメアは例えば青又は赤(黒は除き)のような着色ができる。同様の適応は、全染色体再配列の適切な確認を保障するため、末端動原体型長腕バンドは勿論のこと、染色体10、12とYの上のあるバンドに対し行うことができる。
【0105】
8)スライドを例えばメチルグリーン(VectorLabs)のような対比色で対比着色を行うことができ、メチルグリーンはそれが3主色(黒、青、赤)に対し特別な対比を提供するので使用する。
【0106】
9)個々の染色体の長さに沿った異なるバンドで既定比率の色に基づき2色(2つの酵素反応)の混合物が新しい検出可能色を生成する。全ヒト染色体上の全バンドのための色組み合わせ例を図1に示す。
【0107】
顕微鏡分析:
【0108】
1)個々の染色体バンドの色発現で、間期染色体を他の更なる助けもなく、簡単な標準的光学顕微鏡を使用して観察できる。CCDカメラを目の助けに使用できるが、しかし必要ではない。
【0109】
2)スライド1から始めて、各間期細胞における色パターンを記録できる。イデオグラムからの期待正常色パターンに基づき、夫々の末端動原型染色体の正常、または異常状態を決定できる。一般に、各ウエルから20個の間期細胞を記録することができる。
【0110】
3)スライド2と3上の残りの染色体に対し、同じ分析を繰り返し、即ち20の間期細胞を使用して各染色体の正常及び異常状態を記録し、この結果を組み合わせ、テストした個々の完全な核型プロファイルを得る。
【0111】
4)もし例えばモザイク正常及び異常細胞の疑い、簡単又は複雑な転座の証明、マーカ染色体等のような追加分析が指示されると、スライド#3上のような空のウエルを確認試験に使用できる。必要であれば、確認試験の設計に応じ完全に別のスライドを使用できる。
【0112】
5)染色体のバンドパターンはいずれも簡単なデジタル写真により記録することができる。
【0113】
6)簡単なモザイク現象は顕微鏡分析で容易に検出できる。複雑な明らかに同類クローンモザイクでさえ証明できる。以下の例はこの発明の態様による証明手順を示す。
例10‐核型分析
【0114】
例として、以下の結果を有する核型を分析する;+8/t(9;22)/t(9;22)、+8/正常。
【0115】
慢性顆粒球性白血病のこの場合、2つのクローン異常がある;上で論じたように、この疾病特有の変化であるt(9;22)。トリソミー8(+8)は進んだ疾病進行を示す。しかしトリソミー8は「無関係」クローンとして単独で存在できる。このように同一クローンがt(9;22)と+8の両方を有するかどうかを確立することは臨床的に非常に重要である。
【0116】
例によって、最初のICP通常反応で、t(9;22)備える10個の細胞;+8を備える5個の細胞;染色体8の正常な15個の細胞及び染色体9と22の正常な10個の細胞がある。各所で説明しているように、転座証明は赤:青実験により行われ、ここでは赤:青並列は転座を表示したが、別の赤と青は転座を示さない。この結果を染色体8セントロメア(黒)用プローブと組み合わせることにより、結果は以下のようになる;t(9;22)を有する5個の細胞;t(9;22)と+を有する5個の細胞;染色体8、9、22が正常な10個の細胞。これらの結果は、+8は疾病進行の一部であり、独立した事象ではないことを明確に示している。もしそれが独立事象であれば、組み合わせ結果を有する細胞を観察できないだろう。
【0117】
さて図14に関してこの発明の態様によるハイブリダイゼーションスライドを図示し、大体参照番号10により参照される。スライド10は本体20、複数ウエル22及び確認ラベル領域24からなる。本体20はその上でハイブリダイゼーションを行うのに十分なガラス又は他の半透明な材料からなる。ウエル22はその上でウエル22を分離するための印刷領域からなる。ウエル22は又サンプルを受け、そしてハイブリダイズするための研磨圧入、鋳型圧入等からなる。確認ラベル領域24はラベル又は他の確認手段を受けるための透明領域又はすりガラス領域からなる。
【0118】
以下の表は標準G‐バンドを利用した技術を明細書で開示した技術を利用して得た結果の比較のため使用者が簡単に参照することを提供する。
【0119】
以下の表は標準Gバンド法と比較した間期染色体プロファイル(ICP)を示す。参照を容易にするため、以下の省略を行う;Q=長腕;P=短腕;p=セントロメア近接;q=セントロメア遠位;Ter=テロメア;ma=主バンド;及びmi=小バンド
【0120】
表1−染色体1

【0121】
表2−染色体2

【0122】
表3−染色体3


【0123】
表4−染色体4

【0124】
表5−染色体5

【0125】
表6−染色体6

【0126】
表7−染色体7

【0127】
表8−染色体8

【0128】
表9−染色体9

【0129】
表10−染色体10

【0130】
表11−染色体11

【0131】
表12−染色体12

【0132】
表13−染色体13

【0133】
表14−染色体14

【0134】
表15−染色体15

【0135】
表16−染色体16

【0136】
表17−染色体17

【0137】
表18−染色体18

【0138】
表19−染色体19

【0139】
表20−染色体20

【0140】
表21−染色体21

【0141】
表22−染色体22

【0142】
表X−染色体X

【0143】
表Y−染色体Y

【0144】
先の開示は本発明を実施するための本発明により考察された最良モードを提示し、この技術に精通する人がそれを実施できることを意図するが、修正と変更を含む方法はこの技術に精通する人には明らかであろう。従ってそれは限定されると解釈されるべきで、このような前記の明らかな変更を含むべきで、以下の特許請求の精神及び範囲によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0145】
特許又は出願書類は少なくとも1枚の図面そして/又は色付き顕微鏡写真を含む。この特許又は色付き図面を備える特許出願公報のコピーは要求及び必要費用の支払いにより当局から提供されるだろう。
【図1a】この発明態様による典型的結果カラーバンドを示す間期染色体プロファイルイデオグラムである。
【図1b】この発明態様による典型的結果カラーバンドを示す間期染色体プロファイルイデオグラムである。
【図2a】a、bは、400バンドレベルの従来技術G‐バンドイデオグラムである。
【図3】a−dは、この発明態様による間期染色体プロファイル(ICP)とG‐バンドイデオグラムの並列比較である。
【図4】aとbは、この発明態様による夫々染色体9と22間の転座を示す顕微鏡視野の図である。
【図5】a、bは、この発明態様による証明目的のための夫々、転座、不転座を示す顕微鏡視野の図である。
【図6】a、b、cは、この発明態様による、夫々染色体3、7、10のマーカ染色体確認の図である。
【図7】この発明態様による染色体3、7、10を含むマーカ染色体確認からの結果としての顕微鏡視野の図である。
【図8】この発明態様による染色体13の中間部欠失を示す顕微鏡視野の図である。
【図9】この発明態様による染色体14と21のロバートソン転座を示す顕微鏡の図である。
【図10】この発明態様による染色体8の短腕の偏動原体逆位を示す顕微鏡視野の図である。
【図11】この発明態様による染色体16の動原体を挟まない逆位を示す顕微鏡視野の図である。
【0146】
【図12】a、bは、この発明態様による夫々染色体17と19を含む挿入転座を示す顕微鏡視野の図である。
【0147】
【図13】a、bは、従来技術の比色in situハイブリダイゼーションの顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0148】
10:スライド
20:本体
22:ウエル
24:確認ラベル領域

参考文献
【0149】
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「臨床細胞遺伝学の原理」Gersen S & Keagle M,(編集).Human Press,Totowa,New Jersey 2004.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間期染色体プロファイリングを生成する方法であって、
・プロファイリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;
・前記染色体上の略等距離位置で少なくとも1つの染色体をマーキングできる種固有DNAプローブの確保;
・前記DNAプローブとの前記サンプルのハイブリダイゼーション;
・前記サンプルの比色分析用前記染色体上に区分主バンドを生成するための複数酵素の使用;
・前記染色体のプロファイルを決定するための視覚分析の使用;
からなる方法。
【請求項2】
追加区分着色を使用して前記染色体上の前記主バンド間に区分小バンドを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記追加区分着色は黒い色素からなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記主バンドと前記小バンドは1:1の比で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記染色体は長腕と短腕からなり、そして前記小バンドは夫々の染色体腕上に異なる小バンド厚さを提供するため着色される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ハイブリダイゼーションはin situハイブリダイゼーションである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記in situハイブリダイゼーションはスライド上で起こる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スライドは前記DNAプロファイルを受け、ハイブリダイズさせそして分析するための一連のウエルからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記視覚分析は光学顕微鏡からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記視覚分析はCCDカメラからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記DNAサンプルの複製起点は羊水、末梢血、胸膜液、骨髄、腫瘍組織、及び受胎産物から構成されるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記視覚分析は染色体異常を検出できる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記染色体異常は転座である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記転座はロバートソン転座からなる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記視覚分析は核型を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
比色in situハイブリダイゼーションの方法であって、
・プロファイリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;
・前記染色体上の略等距離位置で少なくとも1つの染色体をマーキングできる種固有DNAプローブの確保;
・前記DNAプローブとの前記サンプルのin situハイブリダイゼーション;
・前記サンプルの比色分析用前記染色体上に区分主バンドを生成するための複数酵素の使用;及び
・前記染色体のプロファイルを決定するための視覚分析の使用;
のステップからなる方法。
【請求項17】
追加区分着色を使用して前記染色体上の前記主バンド間に区分小バンドを生成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記追加区分着色は黒い色素からなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記主バンドと前記小バンドは1:1の比で存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記染色体は長腕と短腕からなり、そして前記小バンドは夫々の染色体腕上に異なる小バンド厚さを提供するため着色される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記in situハイブリダイゼーションはスライド上で起こる、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記スライドは前記DNAプロファイルを受け、ハイブリダイズさせそして分析するための一連のウエルからなる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
染色体のロバートソン転座を視覚的に検出する方法であって、
・プロファイリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;
・前記各染色体上の略等距離位置で少なくとも2つの染色体をマーキングできるヒトDNAプローブの確保;
・前記DNAプローブとの前記サンプルのハイブリダイゼーション;
・前記染色体の比色分析用前記染色体上に区分主バンドを生成するための複数酵素の使用;及び
・ロバートソン転座が前記染色体間に起こったかどうかを決定するための視覚分析の使用;
のステップからなる方法。
【請求項24】
追加区分着色を使用して前記染色体上の前記主バンド間に区分小バンドを生成する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記追加区分着色は黒い色素からなる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記主バンドと前記小バンドは1:1の比で存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記染色体は長腕と短腕からなり、そして前記小バンドは夫々の染色体腕上に異なる小バンド厚さを提供するため着色される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ハイブリダイゼーションはin situハイブリダイゼーションである、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記in situハイブリダイゼーションはスライド上で起こる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記スライドは前記DNAプロファイルを受け、ハイブリダイズさせそして分析するための一連のウエルからなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記視覚分析は光学顕微鏡の利用からなる、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記視覚分析はCCDカメラの利用からなる、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記DNAサンプルの複製起点は羊水、末梢血、胸膜液、骨髄、腫瘍組織、及び受胎産物から構成されるグループから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
マーカ染色体を検出する方法であって、
・プロファイリング用染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;
・前記各染色体上の略等距離位置で少なくとも2つの染色体をマーキングできるヒトDNAプローブの確保;
・前記DNAプローブとの前記サンプルのハイブリダイゼーション;及び
・前記染色体の比色分析用前記染色体上に区分主バンドを生成するための複数酵素の使用;
のステップからなる方法。
【請求項35】
追加区分着色を使用して前記染色体上の前記主バンド間に区分小バンドを生成する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記追加区分着色は黒い色素からなる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記主バンドと前記小バンドは1:1の比で存在する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記染色体は長腕と短腕からなり、そして前記小バンドは夫々の染色体腕上に異なる小バンド厚さを提供するため着色される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記ハイブリダイゼーションはin situハイブリダイゼーションである、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記in situハイブリダイゼーションはスライド上で起こる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記スライドは前記DNAプロファイルを受け、ハイブリダイズさせそして分析するための一連のウエルからなる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記視覚分析は光学顕微鏡の利用からなる、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記視覚分析はCCDカメラの利用からなる、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記DNAサンプルの複製起点は羊水、末梢血、胸膜液、骨髄、腫瘍組織、及び受胎産物から構成されるグループから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
染色体をラベリングする方法であって、
・ラベリング用の少なくとも1つの染色体を有する細胞を含むサンプルの確保;
・前記染色体上の略等距離位置で少なくとも1つの染色体をラベリングできる種固有DNAプローブの確保;
・前記染色体がラベリングされ、前記DNAプローブとの前記染色体のハイブリダイゼーション;
からなる方法。
【請求項46】
前記ラベリングは区分着色からなり、これにより区分主バンドを生成する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
追加区分着色を使用して前記染色体上の前記主バンド間に区分小バンドを生成する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記追加区分着色は黒い色素からなる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記主バンドと前記小バンドは1:1の比で存在する、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記染色体は長腕と短腕からなり、そして前記小バンドは夫々の染色体腕上に異なる小バンド厚さを提供するため着色される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記ハイブリダイゼーションはin situハイブリダイゼーションである、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記in situハイブリダイゼーションはスライド上で起こる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記スライドは前記DNAプロファイルを受け、ハイブリダイズさせそして分析するための一連のウエルからなる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記DNAサンプルの複製起点は羊水、末梢血、胸膜水、骨髄、腫瘍組織、及び受胎産物から構成されるグループから選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
間期染色体プロファイリング用キットであって、
・前記少なくとも1つの染色体上の略等距離位置で少なくとも1つの染色体をマーキングできる複数の種固有DNAプローブ;及び
・前記染色体の比色分析用前記染色体上に区分主バンドを生成するための複数酵素;
からなるキット。
【請求項56】
追加区分着色を使用して前記染色体上の前記主バンド間に区分小バンドを生成する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記追加区分着色は黒い色素からなる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記主バンドと前記小バンドは1:1の比で存在する、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記染色体は長腕と短腕からなり、そして前記小バンドは夫々の染色体腕上に異なる小バンド厚さを提供するため着色される、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記プローブセットと前記少なくとも1つの染色体をin situハイブリダイゼーションさせるための複数スライドから更になる、請求項55に記載のキット。
【請求項61】
前記少なくとも1つの染色体の比色分析用視覚分析手段から更になる、請求項55に記載のキット。
【請求項62】
前記視覚分析手段は顕微鏡からなる、請求項61に記載のキット。
【請求項63】
前記視覚分析手段はカメラからなる、請求項61に記載のキット。
【請求項64】
前記染色体上の略等距離位置に少なくとも1つの染色体をマーキングする様に設計された複数の種固有DNAプローブからなるプローブセット。
【請求項65】
前記染色体上に色付き主バンドを生成するための複数酵素から更になる、請求項64に記載のプローブセット。
【請求項66】
付加区分着色を使用して前記染色体上の前記主バンド間に区分小バンドを生成させる、請求項65に記載のプローブセット。
【請求項67】
前記付加区分着色は黒色素からなる、請求項66に記載のプローブセット。
【請求項68】
前記主バンドと前記小バンドは1:1の比で存在する、請求項66に記載のプローブセット。
【請求項69】
前記染色体は長腕と短腕からなり、そして前記小バンドは夫々の染色体腕上に異なる小バンド厚さを提供するように着色される、請求項66に記載のプローブセット。
【請求項70】
in situハイブリダイゼーション用複数ウエルから更になるガラススライドからなるin situ間期染色体ハイブリダイゼーションのためのスライド。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−526227(P2008−526227A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550393(P2007−550393)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046601
【国際公開番号】WO2006/076142
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(507213628)
【Fターム(参考)】