説明

柔軟性糖質を有するポリマー

流体中の糖質被検体の検出または測定用のセンサーは、競合結合アッセイの成分を含み、該アッセイの読み出しは、被検体の拡散は可能にするが、アッセイ成分は拡散させない材料によって保存されている検出可能なまたは測定可能な光信号であり、アッセイ成分は、近接度に基づいた信号の発生/変調部分ペアの1つで標識化されている糖質結合分子と、糖質結合分子を結合するために、被検体と競合することができる糖質類縁体とを含み、該糖質類縁体は、モノマー単位の重合または共重合残基を含む柔軟性水溶性ポリマーであり、モノマー単位残基は、ペンダント糖質または糖質様部分と、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアのもう1つであるペンダント部分とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖質または糖質様部分を有するポリマー、そのようなポリマーを製造する方法、そのようなポリマーを含むセンサー、ならびにそのようなセンサーを製造する方法およびそのようなセンサーを使用する方法に関する。
【0002】
センサーは、光学技術を使用する、流体中の糖質、たとえば体液中のグルコースの測定またはモニタリングにおいて使用してもよい。
【0003】
特に、センサーは、グルコース濃度を厳密にモニターしなければならない状況および/または糖尿病の管理のように、グルコース測定を繰り返して行わなければならない状況における用途に適切である。
【背景技術】
【0004】
糖尿病の管理において、血中のグルコースの定期測定は、正確なインシュリン投与を確保するために、必要不可欠である。さらに、糖尿病患者の長期間の患者管理において、血糖値のより良い管理は、もし防止できなければ、網膜疾患、循環障害、およびしばしば糖尿病に伴う他の変性疾患の発症を遅らせる可能性があることが実証されている。したがって、糖尿病患者による血糖値の信頼のおける正確な自己モニタリングが必要である。
【0005】
糖尿病患者において起こるであろう濃度、すなわち0〜35mMまたはそれより幾分高い範囲の血糖を測定することが望ましい。
【0006】
現在、血糖は、糖尿病患者が、市販の比色定量試験片または電気化学的バイオセンサー(たとえば、酵素電極)を用いてモニターしているが、両方とも、ランセット型装置を常に使用し、測定のたびに適量の血液を取り出す必要がある。平均して、多数の糖尿病患者はそのような装置を使用して、1日に2回血糖の測定を行っている。しかし、米国立衛生研究所は、アメリカ糖尿病協会が支持する、血糖の試験は1日に少なくとも4回行うべきであるということを推奨してきた。血糖試験の回数の増加は、糖尿病患者に、特に指先から血液を取るために、ランセットを常用しなければならない長期間の糖尿病患者には、経済面でも、痛みおよび不快な面でも大きな負担をかけることになる。したがって、患者から採血しない、より優れた長期間のグルコースモニタリングシステムが明らかに必要である。
【0007】
患者から採取する血液を必要としないグルコース測定技術に関して、数多くの提案がある。
【0008】
皮下液中の被検体の濃度は、血液中の該被検体の濃度と相関することが観察されてきており、したがって、皮下位置に据えられる、グルコースモニタリングデバイスの使用がいくつか報告されている。遠隔的に問い合わせすることができるグルコース用競合結合アッセイの使用は、特に興味を引くものである。
【0009】
競合的結合をアッセイする方法は、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペア(米国特許第6232120号で検討されている)を使用し、これは、典型的には、エネルギー移動供与体受容体ペア(エネルギー供与体部分とエネルギー受容体部分とを含む)である。エネルギー供与体部分は、光輝性(通常は蛍光性)である。
【0010】
そのような方法において、エネルギー移動供与体−受容体ペアは、分析すべき試料(たとえば、皮下液)と接触させられる。次いで、該試料は照射され、得られた放射物を検出する。供与体−受容体ペアのエネルギー供与体部分またはエネルギー受容体部分のどちらかが、レセプター担体(たとえば糖質結合分子)に結合し、一方、供与体−受容体ペアのもう1つの部分(リガンド担体、たとえば糖質類縁体に結合されている)と、これと共に存在している任意の被検体(たとえば糖質)とが、レセプター担体上の部位への結合に関して競合する。供与体と受容体とが一緒にされた時、それらの間にエネルギー移動が起こり、これによって、エネルギー供与体部分の蛍光発光の検出可能な存続時間の変化(減少)が起こる。また、エネルギー供与体部分によって放出される一部の蛍光シグナルも消される。
【0011】
寿命変化は、被検体の競合的結合によって、減少または消去される。したがって、見かけの発光寿命を測定することによって、たとえば、位相変調蛍光光度法または時間分解蛍光光度法(Lakowicz, Principles of Fluorescence Spectroscopy, Plenum Press, 1983年,第3章参照)によって、サンプル中の被検体の量を決定することができる。
【0012】
エネルギー移動の効率は、供与体の量子収率、供与体の発光スペクトルと受容体の吸収スペクトルとの重なり、ならびに供与体と受容体との間の相対距離および配置に依存することも注意すべきである。
【0013】
欧州特許第0561653号には、先に記載した、受容体とリガンドとを問い合わせする方法が開示されている。
【0014】
供与体−受容体エネルギー移動の例として、蛍光共鳴エネルギー移動(フェルスター共鳴エネルギー移動、FRET)があり、これは、最初に励起された供与体(D)から受容体(A)への励起状態エネルギーの非放射性移行である。供与体は、典型的には、より短い波長で放射し、その発光スペクトルは、受容体の吸収スペクトルと重なり合う。エネルギー移動は、光子が出現することなく起こり、供与体と受容体との間の長距離双極子−双極子相互作用の結果である。
【0015】
FRETプロセスは光子の出現を伴わないので、用語共鳴エネルギー移動(RET)がより正確である。しかしFRETもRETも互換的に使用されることが多い。
【0016】
FRETの重要な特徴は、それが、生体高分子の寸法に匹敵する距離上で起こることである。フェルスター距離と呼ばれる、FRETが50%効率の時の距離は、典型的には、20〜60Åの範囲である。20〜90Åの範囲のフェルスター距離は、競合的結合の研究には都合がよい。
【0017】
供与体(D)による被検体結合部分のラベリングおよび受容体(A)による被検体類縁体のラベリング、またはその逆によって、供与体−受容体応答に基づく測定可能な応答を生み出すことができるアッセイが作り出される。したがって、D−「被検体結合部分」のA−「被検体類縁体」への結合によって、供与体の強度または寿命が減少する結果となる。サンプル中の被検体は、D−「被検体結合部分」上の被検体結合部分を獲得するために競合し、D−「被検体結合部分」を受容体(A)から放出する。したがって、供与体の強度減衰時間および位相角は、グルコース濃度が増えるに従って増加することが予測される。
【0018】
これらの原理は、エネルギー移動によるグルコース感知において使用されてきた。
【0019】
国際公開公報第91/09312号には、光学的手段によって遠隔的に問い合わせる、グルコースに基づく親和性アッセイ(エネルギー移動供与体−受容体ペアを組合わせた)を使用する、皮下方法およびデバイスが記載されている。国際公開公報第97/19188号、国際公開公報第00/02048号、国際公開公報第03/006992号および国際公開公報第02/30275号の各例には、エネルギー移動によるグルコース感知が記載され、これは、遠隔的に読み取ることができる光信号を提供している。
【0020】
当業者であれば、受容体が蛍光団になり得るであろうことは理解するであろう。エネルギー受容体部分の吸収スペクトル内の波長で、入射光のビームによる励起に続いてエネルギー受容体部分によって放射される任意の蛍光信号は、FRETプロセスに影響されない。したがって、内部参照信号として、エネルギー受容体部分によって、たとえばセンサーの連続キャリブレーションにおいて、放出される蛍光信号の強度を使用すること、またはセンサーが分解している範囲をモニターすることが可能であり、したがって、新しいセンサーを移植または注射する必要性を示す。許容しうるベースラインレベル未満のこの信号の下降は、新しいセンサーを移植または注射する必要性を示す。
【0021】
しかし、エネルギー受容体部分は、非蛍光性染料であってもよい。この場合では、蛍光消光能力を持つ化合物を、特定のエネルギー受容体部分の代わりに使用する。強力かつ非特異性の蛍光消光物質の例は、Tyagiら、Nature Biotechnology (1998) 18:第49頁にある。
【0022】
先に検討したシステムは、糖質結合分子として、植物レクチンコンカナバリンA(ConA)に依存している。本発明者らは、代わりにマンノース結合レクチン(MBL)のような動物レクチンを使用することができることを、国際特許出願第PCT/EP2005/013114号明細書(国際公開公報第06/061207号)(優先権主張の基礎出願)において示唆してきた。
【0023】
用語「レクチン」は、明らかに糖質代謝に関与せず、免疫グロブリンの主要ないかなるクラスにも属さない任意の糖質結合タンパク質を含む。レクチン類は、糖質認識ドメイン(CRD)を介して、糖質への選択的な結合を示す。
【0024】
本発明者らは、ある糖質結合分子(特にレクチン)に関する糖質類縁体の結合力に影響を与えるパラメータとして
−糖質(または糖質模倣)部分の数、
−糖質結合分子に関する糖質(または糖質模倣)部分の親和力
−カルシウム濃度(少なくともMBLに関する)
−糖質類縁体の柔軟性
が含まれることを認識している。
【0025】
生理的カルシウム濃度は制御できない。しかし、他のパラメータは選択し、糖質類縁体に適切な測定範囲を与えることができる。アッセイ性能への糖質類縁体柔軟性の影響は、予め同定または対処されない。
【0026】
最初の2つの変数の調整については、国際特許出願第PCT/EP2005/013114号明細書(国際公開公報第06/061207号)および国際特許出願PCT/EP2005/013115号明細書(国際公開公報第06/061208号)に検討されている。MBLおよび他のレクチン類への強い結合によって、数多くの部位での結合がもたらされる。各部位での結合は比較的弱い(低親和力)が、蓄積された効果は、強い結合(高結合力)である。したがって、結合部位が全て結合していない糖質類縁体は、結合部位を全て結合する糖質類縁体より、結合部位を全て結合する糖質被検体によって、容易に置き換わる。これは、MBLに対する親和力がグルコースが持つMBLに対する親和力より高いマンノースを含有する糖質類縁体が、グルコースによって置き換えられうる理由を説明している。
【0027】
先に開示したように、糖質類縁体(たとえば、米国特許第6232130号のもの)は、糖質と、エネルギー供与体部分またはエネルギー受容体部分とが複合した球状タンパク質を含む。そのような分子では、糖質と、エネルギー供与体部分またはエネルギー受容体部分とが位置を固定する。これは、複数の糖質部分がレクチンCRDに結合することを可能にする構造を、糖質類縁体が必ずしも採用できるとは限らないことを意味する。
【0028】
また、そのような糖質類縁体における、糖質とエネルギー供与体部分またはエネルギー受容体部分との相対的位置決めは、被検体類縁体と糖質結合部分とが結合した時、エネルギー供与体部分と受容体部分との間の最適相互作用を可能にしないかもしれない。これは、FRETに影響し、光信号を弱めるであろう。
【0029】
最後に、これらの被検体類縁体は、生理的カルシウム濃度(典型的には、1.15〜1.29mM)で、レクチンに結合しないことが多い。MBLに対するマンノース複合糖質の最適な結合に必要なカルシウム濃度は、約20mMであることがわかっている。
【0030】
糖質ポリマー(たとえば、場合によっては誘導化されたデキストランおよびマンナン)も、糖質類縁体として使用されてきた。国際特許出願第PCT/EP2005/013114号明細書(国際公開公報第06/061207号)では、過ヨウ素酸塩の開裂を使用して、生理的カルシウム濃度でデキストランをMBLに結合させることが開示されている。
【0031】
しかし、そのようなデキストラン誘導体の合成は複雑である(特に、エネルギー供与体または受容体を糖質類縁体に結合させるために、アミン基を導入することが必要であるため、これが望ましくない沈殿を起こす架橋を誘発することになりうる)。
【0032】
また、糖質部分が糖質ポリマーの骨格構造単位であるという事実は、糖質部分の数を容易に調整することができないことを意味する。あるデキストラン誘導体は、生理的グルコース濃度で、グルコースによって、容易に置き換わらず、したがって、アッセイ感度が低いことが本発明者らによって発見されている。
【0033】
最後に、生理的カルシウム濃度でのMBLへの結合は、まだ幾分弱い。
【特許文献1】欧州特許第0561653号
【特許文献2】国際公開公報第91/09312号
【特許文献3】国際公開公報第97/19188号
【特許文献4】国際公開公報第00/02048号
【特許文献5】国際公開公報第03/006992号
【特許文献6】国際公開公報第02/30275号
【特許文献7】国際公開公報第06/061207号
【特許文献8】国際公開公報第06/061208号
【特許文献9】米国特許第6232130号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明者らは、今、グルコースまたは他の糖質の新しいタイプの類縁体を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0035】
第一態様では、本発明は、流体中の糖質被検体の検出または測定用センサーであって、センサーは、競合結合アッセイの成分を含み、該アッセイの読み出しは、被検体の拡散は可能にするがアッセイ成分の拡散は可能にしない材料によって保持された検出可能または測定可能な光信号であり、アッセイ成分は、
近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアの1つで標識化された糖質結合分子と;
糖質結合分子に結合するための被検体と競合することができる糖質類縁体であって、糖質類縁体は柔軟性のある水溶性ポリマーであり、
モノマー単位残基が、ペンダント糖質部分または糖質様部分と、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアのもう一方であるペンダント部分とを有する、モノマー単位の重合残基、および/または第一モノマー単位残基がペンダント糖質部分または糖質様部分を有し、第二モノマー単位残基が近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアのもう一方であるペンダント部分を有する、第一モノマー単位および第二モノマー単位の共重合化残基を含む糖質類縁体と
を含むセンサーに関する。
【0036】
第二態様では、本発明は、前記ポリマーを製造する方法であって、以下の工程の1つを含む方法に関する:
a)それぞれ、ペンダント糖質部分または糖質様部分と、ぶら下がっている近接度に基づいた信号発生/変調部分とを有するモノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを重合すること;
b)それぞれ糖質部分または糖質様部分を有する第一モノマー単位と、それぞれ、ぶら下がっている近接度に基づいた信号発生/変調部分を有する第二モノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを共重合すること;
c)それぞれ、ペンダント糖質部分または糖質様部分と、近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクするためのペンダント官能基とを有するモノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを重合し、次いで、モノマー単位残基を、近接度に基づいた信号発生/変調部分と反応させること;
d)それぞれペンダント糖質部分または糖質様部分を有する第一モノマー単位と、それぞれ、近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクするためのペンダント官能基を有する第二モノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを共重合し、次いで第二モノマー単位残基を近接度に基づいた信号発生/変調部分と反応させること;
e)それぞれ、糖質部分または糖質様部分にリンクするためのペンダント官能基と近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクするための異なるペンダント官能基とを有するモノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを重合し、次いでモノマー単位残基を糖質部分または糖質様部分および近接度に基づいた信号発生/変調部分と反応させること;または
f)それぞれ糖質部分または糖質様部分にリンクさせるためのペンダント官能基を有する第一モノマー単位と、それぞれ近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクするための異なるペンダント官能基を有する第二モノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを共重合し、次いで糖質または糖質様部分を持つ第一モノマー単位残基と、近接度に基づいた信号発生/変調部分を持つ第二モノマー単位残基とを反応させること。
【0037】
ポリマーを製造する類似の方法であって、重合前に近接度に基づいた信号発生/変調部分が単一または第二モノマー単位中に存在し、重合後に糖質または糖質様部分が導入される方法も本発明の範囲内であるが、これは好ましくはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
被検体は単糖類が好ましい。好ましい実施形態では、被検体はグルコースである。
【0039】
好ましくは、センサーは、体液、たとえば皮下液中のグルコースの検出または測定に適している。センサーとしては、インビボでの使用に適することが望ましく、このことは以下でさらに詳しく検討する。
【0040】
糖質類縁体は、生理的カルシウム濃度で、グルコースと競合できることが好ましい。
【0041】
糖質類縁体
【0042】
用語「糖質」は、糖類を含む。
【0043】
アッセイは、0〜35mMのグルコースの範囲の少なくとも一部、たとえば、0〜25mMのグルコースの範囲の濃度で、血糖値を測定することができるのが好ましい。IC50値は約15mMグルコースであるのが適切である。アッセイは、2〜10mMのグルコースの範囲のグルコース濃度を測定することができるのがより好ましい。この範囲内でできる限り直線に近い投与量−応答曲線が望ましい。
【0044】
タンパク質または多糖類の誘導体化より人工ポリマーの合成のほうが、アッセイ効率を向上させるために、ポリマーのパラメータ(たとえば、分子の柔軟性、水溶解性、分子量、糖質または糖質様部分の性質、糖質または糖質様部分の数、近接度に基づいた信号発生/変調部分の数)を簡単に調整させ、アッセイ効率を向上させる。多糖類と比較して、合成ポリマーは、糖質部分の数を、ポリマーの長さとは別個に調整することができるという利点がある。さらに、ポリマー中に2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)のような環を含有しないモノマー類を使用することで、デキストランと比べて、分子の回転的な柔軟性が増加する。
【0045】
この理論に縛られるものではないが、先に記載したように、本発明者らは、近接度に基づいた信号発生/変調部分が結合部分に接近し、強い信号を発生することが重要であると考える。球状のリガンドは、結合部分および近接度に基づいた信号発生/変調部分を、これらが近くなるよう、球面上に集める。直鎖状のデキストランでは、骨格は結合部分からなり、その結果、結合が近接度に基づいた信号発生/変調部分に近いかあるいは離れているかを調整することができない。合成ポリマーでは、これを、結合部分を近接度に基づいた信号発生/変調部分に配置することによって調整することができる。
【0046】
したがって、ポリマーは、非糖質骨格を有することが好ましい。
【0047】
用語「柔軟性のある」は、大きく単量体間回転し得るポリマーを含む。ポリマーは、ペンダント糖質部分や糖質様部分および近接度に基づいた信号発生/変調部分以外は、嵩高い基(たとえば、環構造、t−ブチル基または他の立体的に大きな基)は含まないのが好ましい。そのようなポリマーは、骨格構造中の二重結合が非常に少ない(たとえば、10%未満)ことが好ましい。そのようなポリマーは、球状三級構造を持たないのが適切であるが、そのような構造を持っていてもよい。
【0048】
ポリマーは、非分岐状であるのが好ましい。これによりポリマーの柔軟性が改良される。しかし、ポリマーは、ある程度分岐してもよく、また架橋してもよいが、ただし、これによってヒドロゲルが形成されないことが条件である。たとえば、全分子量が100kDaのポリマー中で、1〜5個の分岐が許容される。
【0049】
用語「水溶性」は、室温での水溶性が少なくとも4mg/ml、好ましくは少なくとも25mg/ml、より好ましくは少なくとも50mg/ml、たとえば少なくとも100mg/mlのポリマーを含む。溶解度は、体温でより高くなる。以下で検討するように、体内でセンサーを使用する時、ポリマーが組織流に溶解するように、ポリマーは水溶性であることが重要である。ポリマーは、MBLなどの糖質結合分子に結合した時であっても、水溶性であるべきである。
【0050】
ポリマーは、1以上5タイプまでのモノマー単位を含むのが好ましく、より好ましくは3以上のモノマー単位を含む。
【0051】
ポリマーとしては、ペンダント糖質部分または糖質様部分を有する第一モノマー単位残基と、ぶら下がっている、近接度に基づいた信号発生/変調部分を有する第二モノマー単位残基とを含むコポリマーが適切である。あるいは、またはそれに加えて、ペンダント糖質部分または糖質様部分およびぶら下がっている、近接度に基づいた信号発生/変調部分の両方を有する単一のモノマー単位残基を使用してもよい。第一および第二モノマー単位の使用が好ましい。そうすれば、糖質部分または糖質様部分と近接度に基づいた信号発生/変調部分との量を独立して制御することができる。
【0052】
単一のモノマー単位の残渣が存在する場合、該単位のそれぞれが、ペンダント糖質または糖質様部分と、ペンダント近接度に基づいた信号発生/変調部分との両方を有し、第一モノマー単位残基および第二モノマー単位残基が存在する場合、第一の単位のそれぞれがペンダント糖質または糖質様部分を有し、第二の単位のそれぞれがペンダント近接度に基づいた信号発生/変調部分を有するのが好ましい。
【0053】
第一モノマー単位残基および第二モノマー単位残基は、これらが先に説明した異なるペンダント基を有するのはもちろん、構造においても異なることが好ましい。
【0054】
コポリマーとしては、ランダムコポリマーが好ましい。しかし、交互コポリマーを使用してもよい。大きなブロックを持つブロックコポリマーの使用は好ましくない。しかし、低分子量(たとえば、1〜3kDa)のブロックコポリマーは使用してもよい。
【0055】
MBLを用いるアッセイにおいて糖質結合分子として使用する場合、該ポリマーは、0mMのグルコースで、アミノデキストランの少なくとも50%強くMBLに結合するのが好ましく、より好ましくは、少なくともアミノデキストランと同じくらい強く結合するが、より簡単に抑制される。ポリマーは、0〜35mMのグルコースの範囲で簡単に抑制される(全位相応答の大部分)が特に望ましく、とりわけ2〜15mMの範囲が望ましい。これによって、特に生理学的に関心のあるグルコース濃度にわたりアッセイが提供され、これはアミノデキストランをグルコース類縁体として使用する類似のアッセイより感度が高い。
【0056】
複数のタイプの糖質部分または糖質様部分を有するモノマー単位残基が存在してもよい。糖質部分または糖質様部分は異なってもよく、MBLに対し異なる親和性および類似のレクチンを有してもよい。
【0057】
同様に、近接度に基づいた信号発生/変調部分を有する複数の種類のモノマー単位残基を使用してもよい。近接度に基づいた信号発生/変調部分は異なってもよい。
【0058】
必ずしも、第一モノマー単位(または単一モノマー単位)が二重結合を含む必要はない。
【0059】
そのようなポリマーの使用における適切な糖質部分の例として、単糖類およびオリゴ糖類が挙げられる。
【0060】
糖質部分は、レクチン、特にMBLおよび他のヒトまたはヒト化レクチンおよび/または植物レクチンコンカナバリンAに対して高い親和力を持つことが好ましい。
【0061】
本発明者により、MBLに対する通常の糖質部分の親和力は、以下であることが発見されている。
【0062】
D−マンノース、N−アセチル−D−マンノースアミン、D−フルクトース、D−ロイクロース、エルロース、N−アセチル−D−グルコサミン、L−フコース>ミオイノシトール、D−グルコース、D−アラビノース、D−パラチノース、D−ツラノース、D−ソルビトール、D−リボース、D−タガトース>D−リキソース>ラクトース、L−アラビノース、D−ガラクトース。
【0063】
糖質部分は、MBLに関する親和力が低いガラクトースでないことが好ましい。
【0064】
コンカナバリンAに関する通常の糖部分の親和力は、以下の通りである。(Van Dammeら, Handbook of Plant Lectins: Properties and Biomedical Applications, Wiley & Sons,1998,p.142)
【0065】
マンノース>グルコース>N−アセチルグルコサミン。
【0066】
適切な単糖類としては、場合によっては誘導化されたテトロース類、ペントース類、ヘキソース類、ヘプトース類または高級同族アルドース類またはケトース類、たとえば、場合によっては誘導化されたD−グルコース、D−マンノース、N−アセチル−D−グルコースアミン、L−フコース、D−フルクトース、D−タガトースまたはD−ソルビトールである。
【0067】
適切なオリゴマーとして、たとえば2〜50個の糖質単位を含有する直鎖または分岐状のホモオリゴマーまたは混合オリゴマーであってもよい。
【0068】
糖質結合分子としてMBLと共にポリマーが使用される場合、1→3および1→4グリコシル化はMBL結合を妨害することが予想されるので、好ましいグリコシル化は、1→6または1→2である。たとえば、ノナ(1→6)−α−グルコース(デキストラン1500Da)は、1,3−β−D−グルコース類(たとえば、ラミナナリヘキサオース(laminanarihexaose))よりMBLに対し結合力が高いことが予測される。適切なオリゴ糖として、パンノース(pannose)、マルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、D−ロイクロース、エルロース、D−パラチノース、D−ツラノースまたは1〜250kDaのデキストラン(好ましくは、1〜40kDaのデキストラン、たとえば、1kDa、1.5kDa、5kDa、6kDa、10kDa、12kDa、20kDa、25kDaまたは40kDaのデキストラン)が挙げられる。
【0069】
糖質結合分子としてコンカナバリンAとともにポリマーが使用される場合、1→6グリコシル化は、C6−OH水酸基を介してコンカナバリンA結合を妨害することが予想される。この場合、好ましい糖質部分として、場合によっては誘導化されているマンノース、マルトース、イソマルトース、グルコースおよびソホロース(ガラクトースではない)、特にα−D−マンノピラノシド類(α−D−Manp)、α−D−グルコピラノシド類(α−D−Glup)およびα−D−N−アセチルグルコサミンピラノシド類(α−D−GluNAcp)が挙げられる。
【0070】
ポリマーとして、D−フルクトース、D−ロイクロース、N−アセチルグルコサミン、D−マンノース、L−フコース、N−アセチル−マンノースアミン、D−アラビノース、ミオイノシトール、D−タガトース、エルロース、D−グルコース、D−パラチノース、D−ツラノース、D−リボース、D−ソルビトールから選択される少なくとも1種の糖質部分を含むのが好ましい。
【0071】
該ポリマーとしては、少なくとも1種のグルコース部分および/または少なくとも1種のN−アセチルグルコサミン部分および/または少なくとも1種のマンノース部分を含むポリマーがより好ましく、これらの部分は、MBLおよび他の動物レクチンに対し高い親和力を有するからである。これらの部分は、C3およびC4水酸基を介してレクチンの結合部位に結合すると考えられる。
【0072】
合成分岐状糖類の例として、デンドリマーを構成するために使用されるデンドリマー「ウェッジ」(たとえば、以下に示す、アミンリンカーを持つTRIS誘導三糖類)がある。
【化1】

【0073】
用語「糖質模倣物」として、糖質を正常に結合する部位に結合する非糖質分子、たとえば、グルコースと競合しMBLに結合することができる非糖質分子が挙げられる。適切な糖質様部分として、N−アセチルグルコサミンを模倣するケラチンペプチド(SFGSGFGGGY)のようなペプチド類が挙げられる。ケラチンペプチドは、MBLを抑制できることが示されている(Mantactoら,2001、 J.Immunol. 166, 4148-4153)。
【0074】
第一モノマー単位(または単一モノマー単位)は、それぞれ、糖質部分または糖質様部分の二重結合含有誘導体であるのが適切である。しかし、第一モノマー単位(または単一モノマー単位)は、それぞれ、適切には重合後、糖質部分または糖質様部分がリンクし得る官能基を含む、二重結合含有分子であってもよい。
【0075】
糖質部分または糖質様部分の二重結合含有誘導体は、糖質部分または糖質様部分のアリルまたはビニル含有誘導体であるのが好ましい。糖質部分または糖質様部分の他の適切な二重結合含有誘導体として、アリル誘導体の相同体、たとえば、3−ブテニルまたは4−ペンテニル誘導体、または4位に糖質部分または糖質様部分を持つスチレン誘導体が挙げられる。糖質部分または糖質様部分のさらに適切な二重結合含有誘導体として、HEA、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)またはビニルアルコール(VA)系誘導体が挙げられる。
【0076】
糖質部分または糖質様部分は、第一モノマー単位(または単一モノマー単位)のアミン、酸、アルコールアルキン、アジドおよび/またはスルホン官能基とリンクしてもよい。たとえば、モノマー単位中のアルコール基および糖質部分または糖質様部分中のアミン基は、ジビニルスルホンを使用してリンクしてもよい。糖質がマンノースの場合、これらはMBLへの結合で重要なので、C3−OHまたはC4−OH基を介して結合を形成することは好ましくない。この場合、ジビニルスルホン結合は不適切である。
【0077】
アミノ誘導体化糖質部分は、二糖類の還元アミノ化によって製造することができる。これは糖質部分をそのアノマー位(C1)でリンクさせる。
【0078】
糖質部分または糖質様部分は、フィッシャーグリコシド化によってアルコール基(たとえば、HEA中)に結合することができる。
【0079】
好ましい実施形態では、第一モノマー単位は、それぞれ、1−アリル−α−D−マンノピラノシド、1−アリル−2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシドおよび/または1−アリル−α−D−グルコピラノシドである。
【0080】
第二モノマー単位(または単一モノマー単位)は、それぞれ、適切には重合後、近接度に基づいた信号発生/変調部分部分がリンクし得る官能基を含む、二重結合含有分子が適切である。適切な官能基として、酸、アルコールおよび/またはスルホンが挙げられる。重合後の結合は、高価な近接度に基づいた信号発生/変調部分の損失を最小にするのを助ける。
【0081】
しかし、第二モノマー単位(あるいは単一モノマー単位)は、近接度に基づいた信号発生/変調部分を含んでもよい。この場合、適切な重合性基および結合の上記の検討が適用される。
【0082】
好ましい実施形態では、第二モノマー単位は、それぞれ、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドまたはその誘導体である。
【0083】
好ましい実施形態では、単一モノマー単位は、それぞれ、リシンの誘導体を含む、二重結合含有糖質部分または糖質様部分である。例を以下に示す(多段反応スキーム):
【化2】

【0084】
(1)グルコサミド
【0085】
この反応スキームにおける出発材料は、PolysSciences Europe (Eppelheim, Germany)を通じて入手可能なメタアクリロイル−L−リシンである。重合後、α−アミン基は、近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクすることができる。
【0086】
ポリマーは、さらに、ペンダント糖質部分、糖質様部分または近接度に基づいた信号発生/変調部分を有さない第三モノマー単位残基を含むのが好ましい。これは柔軟性を増やすのを助ける。
【0087】
第三モノマー単位残基は、構造が、単一モノマー単位残基、第一モノマー単位残基および/または第二モノマー単位残基と異なることが好ましい。(これらが先に説明した異なるペンダント基を有することは言うまでもない。)
【0088】
柔軟性は、HEAなどの立体障害のない第三モノマー単位を使用することによって増やす。また、柔軟性は、帯電していない第三モノマー単位を使用することによっても増やす。第三モノマー単位を含まないポリマーは、静電反発力のため、柔軟性の減少を最小限にするために不活性化する必要のある、プラスに帯電しているアンモニウム基を数多く持つ。
【0089】
複数のタイプの第三モノマーをポリマーに含ませることができる。
【0090】
第三モノマー単位は、それぞれ、たとえば水酸基などの親水性基を含む二重結合含有分子であるのが好ましい。第三モノマー単位として、スチレンなどの親油性二重結合含有分子であるのは好ましくない。
【0091】
好ましい実施形態では、第三モノマー単位は、それぞれ、HEA、ビニルピロリドン、MMA、HEMA、ビニルアルコールおよび/またはエチレングリコールである。しかし、当業者であれば、使用することのできる親水性基を含む他の多くの二重結合含有分子があることを理解するであろう。
【0092】
モノマー単位は付加重合によって反応するのが適切である。付加重合は、たとえば、過硫酸カリウム(PPS)または他の過酸化化合物を使用する、遊離基開始重合であってもよい。
【0093】
重合方法は、たとえばトルエンと水との混合物中での乳化重合(米国特許第4952656号に検討されている)であってもよい。界面活性剤は乳化重合反応混合物中に含有されるのが適切である。界面活性剤は、重合後に乳化除去および透析によって除去することができる。あるいは、重合は、単一相、たとえば水中で行ってもよい。
【0094】
乳化重合は、単一相の重合と比較して、より低い平均分子量およびより狭い分子量分布を有するポリマーを与えると考えられる。
【0095】
開始剤を加える前にモノマー単位を混合するのが適切である。
【0096】
重合反応は2日未満かかるのが好ましい。重合の長さは、コポリマー生成物の分子量を制御するために使用することができる。
【0097】
重合反応は、酸素がない条件、たとえば、窒素雰囲気下で行われるのが適切である。
【0098】
重合反応は、0℃と100℃との間の温度、たとえば、室温または60℃で行われるのが適切である。
【0099】
他の可能な重合として、縮合重合(たとえば、イオン縮合重合)、開環重合および原子移動ラジカル重合(ATRP)が挙げられる。当業者であれば、モノマー単位に性質が、重合の所望の方法に依存する(たとえば、二重結合含有モノマー単位は、縮合重合の必要はない)ことを理解するであろう。
【0100】
単一モノマー単位を使用しない場合、第一モノマー単位は、反応混合物中に20〜70モル%(あるいは20〜70重量%)の量、たとえば、30〜50モル%(あるいは30〜50重量%)の量で存在してもよい。しかし、第一モノマー単位は、反応混合物中に、好ましくは70モル%〜90モル%の量、より好ましくは75モル%〜85モル%の量、たとえば、80モル%存在する。そのような量の第一モノマー単位を使用することにより、ポリマー溶液の安定性が向上することが発見されている。発明者らが経験した安定性の問題は、溶解性に関連し、ポリマーの沈殿する傾向および乾燥後の溶解しない傾向に現れる。
【0101】
第二モノマー単位は、反応混合物中に5〜15モル%(あるいは5〜15重量%)の量で存在するのが好ましい。
【0102】
第三モノマー単位を使用する場合、それらは、反応混合物に、残りを構成する量、たとえば、0〜80モル%(あるいは0〜80重量%)の量で存在するのが好ましい。
【0103】
ポリマーの組成は、反応混合物中に存在するモノマー単位の量を正確に反映しないことは理解されるであろう。これは、他の要因(たとえば、立体障害および溶解性)の影響があるためである。
【0104】
ポリマー糖質の含有率は、10〜20重量%の範囲が適切である。しかし、ポリマー糖質含率は、40〜50重量%の範囲が好ましい。(これらの範囲は、特にマンノースに関して適切で、より高い糖質含率は、グルコースに適切である場合もある。)ポリマー糖質の含有率は、ある糖質類(マンノース、グルコース、ガラクトース、キシロース、フコースおよびガラクルトン酸を含む)に関しては、実施例A7に記載するように測定することができるが、他のもの(N−アセチルグルコサミンおよびN−アセチルノイラミン酸を含む)はこの方法では測定できない。
【0105】
また、糖質類縁体は、2以上の分離した実体(これらは一緒に糖質類縁体として作用する)から構成されてもよいことも留意すべきである。特に、糖質類縁体は、少なくとも2個の糖質類縁体部分を持つ第一実体と、レクチンなどの糖質結合分子である第二実体とで構成されていてもよい。たとえば、受容体標識化されたMBLおよび供与体標識化されたMBLを、標識化されていない合成ポリマーとともにテンプレートとして使用し、FRETが起こるように、互いの接近性において供与体標識化されたMBLおよび受容体標識化されたMBLをもたらすことができる。(コンAを使用する例が、Gestwickiら(2002)Chemistry and Biology 9,第l63頁にある)。(同様に、受容体標識化ポリマーおよび供与体標識化ポリマーも、標識されていない糖質結合分子とともに使用することができる。)
【0106】
糖質類縁体は、1種以上のエネルギー受容体部分(たとえば、以下で検討する、HMCV−1またはAlexa Fluor 594(商標))を含むことが好ましい。しかし、1種以上のエネルギー供与体部分を含んでもよい。
【0107】
近接度に基づいた信号発生/変調部分は、前記糖質または糖質様部分との関連で検討したように、糖質類縁体に結合されてもよい。
【0108】
好ましい実施形態では、活性化されたカルボン酸誘導体(たとえば、スクシンイミジルエステルのような活性エステル)であって、近接度に基づいた信号発生/変調部分に適切に結合されたカルボン酸誘導体は、モノマー単位またはポリマーに適切に結合された求核基(たとえばアミン)と反応する。そのような反応は、極性非プロトン溶剤(たとえばDMSO)中で行ってもよい。反応温度は、0℃〜100℃の範囲、たとえば、室温が適切である。
【0109】
近接度に基づいた信号発生/変調部分を結合する別の方法では、アジド基とアルキン基との間のフィスゲン1,3双極環状付加(B. Sharplessによって開発されたような)を使用する。
【0110】
糖質類縁体は、センサーからの逸脱を阻止するくらい高く、しかし糖質類縁体が糖質結合分子に結合した時、沈殿を起こさない程度に低い分子量を持つべきである。
【0111】
糖質類縁体の平均分子量は、25〜250kDaの範囲が好ましく、さらに好ましくは、100〜250kDa、たとえば、150kDaである。
【0112】
場合によっては、糖質類縁体および糖質結合分子は、互いに連結している。
【0113】
糖質結合分子
【0114】
糖質結合分子は、アッセイにおいて、少なくとも10日間、安定した信号を提供するのが好ましく、少なくとも14日間提供するのがさらに好ましい。センサーが人体内に挿入された時、安定した信号が提供されるのが、特に好ましい。
【0115】
糖質結合分子としては、レクチンが好ましく、動物レクチンがさらに好ましい。しかし、他の種類の糖質結合分子、たとえば抗体、またはコンカナバリンAのような植物レクチンであってもよい。
【0116】
好ましくは、前記レクチンは、C型(カルシウム依存性)レクチンである。
【0117】
動物レクチンは、脊椎動物レクチン、たとえば、哺乳動物レクチンが好ましく、ヒトまたはヒト化レクチンがさらに好ましい。しかし、代わりに、トリレクチン、ウオレクチンまたは昆虫レクチンなどの無脊椎動物レクチンであってもよい。
【0118】
レクチンは人体由来のヒトレクチンが適切である。代わりに、レクチンは組換え製造されたレクチンであってもよい。
【0119】
さらなる代替例として、レクチンは、ヒト化動物レクチン、たとえば、ヒト化ウシレクチンであってもよい。これは、対応するヒトレクチンがあるところに適用される。レクチンは、抗体に類似の方法でヒト化してもよい。
【0120】
レクチンは多量体形態であるのが適切である。多量体レクチンは、人体または動物体由来であってもよい。あるいは、レクチンは、単量体形態であってもよい。単量体レクチンは、組換え方法によって、または人体もしくは動物体由来の天然多量体レクチンにおけるサブユニット間の結合を破壊させることによって形成してもよい。この例は米国特許第6232130号に記載されている。
【0121】
レクチンは3個以上のCRDを有するのが好ましい。レクチンは6個以上のCRDを有するのがさらに好ましい。
【0122】
レクチンはコレクチン(コラーゲン様レクチン)であるのが好ましい。これらは、コラーゲン様配列(Gly−Xaa−Yaaトリプレット)を持つC−型動物レクチンである。MBLはC−型コレクチンであり、一方でコンカナバリンAはC−型レクチンである。単量体コレクチンCRDは、コラゲナーゼの作用によって製造することができる。
【0123】
レクチンは、マンノース結合レクチン、コングルチニンまたはコレクチン−43(たとえば、ウシCL−43)(全血清コレクチン)または肺界面活性タンパク質(肺コレクチン)が好ましい。
【0124】
レクチンは、実質的に三量体および/または四量体形態であるMBLが適切である。
【0125】
あるいは、レクチンは、SP−AおよびSP−Dから選択される肺界面活性タンパク質であってもよい。これらのタンパク質は、MBLに類似する。
【0126】
他の適切な動物レクチンを、以下のリストに挙げる。
・PC−レクチン(米国特許公開公報第20030216300号、米国特許公開公報第20040265898)
・CTL−I(米国特許第179528/10号)
・ケラチノサイト膜レクチン(Parfuemerie und Kosmetik74,164-80)
・CD94(Eur J Immunol 25, 2433-7)
・P35(同義語:ヒトL−フィコリン、レクチンのグループ)(Immunol Lett 67, 109-12)
・ERGIC−53(同義語:MR60)(MoI Biol Cell, 7, 483-93)
・HIP/PAP(Eur J Biochem 267, 1665-71)
・CLECSF8(Eur J Immunol 34, 210-20)
・DCL(レクチンのグループ)(米国特許出願第00231996/US号)
・GLUTファミリータンパク質、特に、GLUT1、GLUT4およびGLUT11(PNAS97,1125−30)
【0127】
さらに、適切な動物レクチンは、「Handbook of Animal Lectins: Properties and Biomedical Applications」, David C. Kilpatrick, Wiley 2000の付属書A、BおよびCに記載されている。
【0128】
糖質結合分子は、エネルギー供与体部分で標識化されているのが好ましい。
【0129】
検出
【0130】
適切な検出技術として、FRET、蛍光エネルギー移動、蛍光偏光、蛍光消光、リン光、ルミネセンス増強、ルミネセンス消光、回折またはプラズモン共鳴が挙げられる。
【0131】
光信号を発生する結合アッセイは、好ましくは、被検体の濃度変動の連続モニタリングが達成できるように、可逆的であるべきである。この可逆性は、アッセイの成分を消費しない、結合アッセイフォーマット使用の特別の利点である。
【0132】
検出可能なまたは測定可能な光信号は、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアを使用して発生させる。ペアの最初の構成要素が該ペアの第二の構成要素に接近した時、信号が発生しまたは変調される。
【0133】
近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアは、エネルギー供与体部分およびエネルギー受容体部分ペアであるのが好ましい。エネルギー供与体部分およびエネルギー受容体部分は、それぞれ、供与体発色団および受容体発色団とも言う。蛍光を放射しないエネルギー受容体は、消光部分と言う。
【0134】
この場合、糖質結合分子を、エネルギー供与体およびエネルギー受容体部分ペアの1つで標識化し、糖質類縁体を、エネルギー供与体およびエネルギー受容体部分ペアのもう1つで標識化する。
【0135】
本発明のセンサーの最も好ましい実施形態は、前述のFRETの技術を使用して光学読み出しを出すアッセイを組み込む。
【0136】
アッセイがインビボで使用される場合、供与体は550〜約700nmで蛍光を発し、受容体は約650nmで光を吸収するのが望ましい。これにより、低波長での供与体蛍光とインビボ自己蛍光との間のオーバーラップを回避する。
【0137】
Alexa Fluor 594(商標)(たとえば、スクシンイミジルエステルとして)は、インビボで使用するための、適切な発光スペクトルを持つエネルギー供与体部分である。この染料は、594nmで吸収し、620nmで蛍光を発する。
【0138】
国際公開公報第05/059037号に記載されているHMCV染料は、本発明の用途にとって、適切なエネルギー受容体部分である。これらの染料は、安定化されたカルベニウムイオンである。例として、ヘキサメトキシ−クリスタルバイオレットスクシンイミジルエステル(HMCV−I)がある。
【0139】
あるいは、QSY21(商標)を、エネルギー供与体部分としてのAlexa Fluor 594(商標)とともに、エネルギー受容体部分として使用してもよい。
【0140】
蛍光寿命または蛍光強度の測定を行ってもよい。蛍光寿命は、位相変調技術(以下に検討)によって測定してもよい。
【0141】
好ましい実施形態では、糖質結合分子をエネルギー供与体部分としてAlexa Fluor 594で標識化し、糖質類縁体をエネルギー受容体部分としてHMCV−Iで標識化し、蛍光寿命を位相変調技術によって測定する。
【0142】
アッセイ成分を保持する材料は、エネルギー供与体部分およびエネルギー受容体部分に十分な空間を提供し、互いに結合していない時は、エネルギー移動が中断できるように分離するのが好ましい。
【0143】
センサーの構造
【0144】
糖質結合分子のポリマーに対する比は、1〜15(μM糖質結合分子)/(mg/mlポリマー)が好ましく、10(μM糖質結合分子)/(mg/mlポリマー)が特に好ましい。
【0145】
MBLが糖質結合分子として使用される場合、比が10(μM、MBL)/(mg/mlポリマー)になるまで、この比が上がるにつれ、アッセイ感度が増すことが発見されている。
【0146】
また、糖質結合分子のポリマーに対する比が高いものを使用すると、ポリマーは、アッセイの全強度を落とすことなく、ポリマーに含有されるべき信号変調部分の数をより大きくできる(したがって、位相シフトを増大し、その結果アッセイ感度を上昇さえる)。
【0147】
アッセイの成分は、被検体の拡散は可能にするがアッセイ成分の拡散は可能にしない孔径を有する材料によって保持されているのが好ましい。しかし、この選択性は、他の方法、たとえば、帯電していない材料の拡散を可能にする材料を使用することによっても達成される。
【0148】
アッセイの成分は、シェルまたはマトリックス材料によって保持されるのが好ましい。糖質類縁体および/または糖質結合分子は、この材料にグラフトされてもよい。材料は、国際公開公報第00/02048号に記載のような生分解性であることはより好ましい。場合によっては、センサーは、国際公開公報第03/006992号に記載のような、生分解性材料のシェルによって保持された小粒子を含んでもよい。
【0149】
好ましい実施形態では、国際公開公報第2005/110207号に記載されるような、グルコースをアッセイ成分に接触させながら、アッセイの成分を、アッセイ成分を封入する生分解性材料のシェルによって保持し、該生分解性材料は、疎水性および親水性単位を有するコポリマーを含む。
【0150】
1個以上のアッセイ成分チャンバーがシェル内に存在してもよい。
【0151】
コポリマーはランダムコポリマーが好ましい。
【0152】
コポリマーの透過性は、少なくとも5.0×10-10cm2/sであるのが好ましい。
【0153】
用語「透過性」は、実験的に測定することができる水和コポリマーによる、被検体(グルコース)の全透過性を言うために使用する。
【0154】
一度体内に移植されると、該コポリマーは1週間から1年の期間、たとえば30日間にわたって分解するのが好ましい。代表的なポリマー厚さである5μmに関して、これは0.17μm/日の分解速度に相当する。
【0155】
グルコースの移動性に関して、生分解性材料の分子量カットオフ限界は、25000Da以下が好ましい。より好ましくは、生分解性材料の分子量カットオフ限界は、10000Da以下である。
【0156】
疎水単位の重量分率は、コポリマーの10〜90%が好ましく、より好ましくは、コポリマーの10〜50%である。
【0157】
各親水性単位の分子量は、200〜10000Daが好ましく、より好ましくは400〜4000Daである。
【0158】
コポリマーの親水性単位は、それぞれ、ポリエチレングリコールと二価の酸とのエステルを含むのが好ましい。ポリエチレングリコールの代わりのものとして、エチレングリコールとプロピレングリコールとの混合ポリマーを使用してもよく、および/またはポリエーテル骨格は、疎水性基および/または親水性基で置換されてもよい。ポリエチレングリコールのさらなる代わりのものとして、ポリテトラヒドロフラン(ポリ−THF)を使用してもよい。
【0159】
親水性単位は、テレフタル酸および/またはコハク酸を二価の酸として含むことが好ましい。他の適切な二価の酸として、シュウ酸、酒石酸、フタル酸、アスパラギン酸、マロン酸、およびオリゴマーまたはポリマーの二価の酸、たとえば、ポリ(ダイマー酸−セバシン酸)がである。好ましい実施形態では、二価の酸はテレフタル酸のみである。代わりの好ましい実施形態において、テレフタル酸のコハク酸に対するモル比は、1:2〜2:1であり、1:1が適切である。
【0160】
あるいは、コポリマーの親水性単位は、オリゴマーを含んでもよい。適切なオリゴマーは、ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、糖質、エチレンオキサイドおよび/または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のオリゴマーである。親水性単位がHEMAを含む場合、生分解性結合(たとえば、テレフタレート結合などのエステル結合)がポリマー内にあり、生分解性が増す。
【0161】
各疎水性単位の分子量は、400〜5000Daが好ましい。
【0162】
コポリマーの疎水性単位は、ブタン−1,4−ジオールと二価の酸とのエステルを含むのが好ましい。ブタン−1,4−ジオールの代わりとして、ペンタン−1,5−ジオールまたはヘキサン−1,6−ジオールを使用してもよい。
【0163】
疎水性単位が、二価の酸としてテレフタル酸および/またはコハク酸を含むことが好ましい。好ましい実施形態では、テレフタル酸のコハク酸に対するモル比は、1:2〜2:であり、1:1が適切である。あるいは、疎水性単位は、二価の酸として、テレフタル酸のみを使用するのがよい。他の適切な二価の酸は先に記載されている。
【0164】
あるいはコポリマーの疎水性単位は、メチルメタアクリレート(MMA)、ポリウレタンおよび/またはアミド(たとえば、ナイロン−6、オリゴ−N−三級ブチルアクリルアミドまたはオリゴ−N−イソプロピルアクリルアミド)のオリゴマーを含み得る。疎水性単位がMMAを含む場合、生分解性結合(たとえば、テレフタレート結合などのエステル結合)は、ポリマー内に提供され、生分解性を増す。
【0165】
好ましいポリマーは、一般式:aPEG(T/S)bPB(T/S)c(式中、「a」は、PEG鎖の分子量を示し、「b」は、得られたポリマー中のPEG(T/S)(ポリエチレングリコールテレフタレート/サクシニレート)の重量分率を示し、「c」は、得られたポリマー中のPB(T/S)(ポリブチレンテレフタレート/サクシニレート)の重量分率を示す)で表される。このようなポリマーの例として、600PEGT80PBT20、1000PEGT80PBT20、2000PEGT80PBT20、4000PEGT80PBT20、1000PEGT50PBT50および1000PEG(T/S)60PB(T/S)40(T/S 50%)がある。ポリマーは、生分解性であり、高グルコース透過性を有し、その分子量カットオフ特性は、約25000Daである。
【0166】
これらのポリマーのいくつかが米国特許第6383220号明細書および欧州特許第1247522号に開示されている。
【0167】
コポリマーの外皮の厚さは1〜50μmであるのが好ましい。
【0168】
第三の態様では、本発明は、本明細書で記載したセンサーを製造する方法に関する。
【0169】
ポリマーマイクロカプセルの製造のための化学的方法として、相分離(コアセルベーション)、溶剤蒸発および/または抽出が挙げられる。
【0170】
ポリマーマイクロカプセルを製造する適切な物理的方法として、噴霧乾燥、スプレー被覆、スプレー冷却、回転円盤式アトマイゼーション、流動床被覆、共押出し(たとえば、固定ノズル共押出し、遠心性ヘッド共押出しまたは水中ノズル共押出し)およびパンコーティングが挙げられる。
【0171】
センサー用途
【0172】
第四の態様では、本発明は、本明細書で記載したセンサーを使用して、糖質被検体を検出する方法であって、センサーを哺乳動物の皮膚に移植すること、および外部光学的手段を使用して糖質被検体を検出または測定することを含む方法に関する。
【0173】
第五の態様では、本発明は、前記センサーを使用して糖質被検体を検出する方法であって、哺乳動物の皮膚内または下に存在するセンサーの照射による外部光学的手段を使用して、糖質被検体を検出または測定することを含む方法に関する。
【0174】
該方法は、さらにセンサー中で生分解性材料を分解することを含むのが好ましい。
【0175】
センサーは、注射によって、好ましくはシリンジを用いて、あるいは他の方法で、特に国際公開公報第00/02048号に記載されている任意の方法によって、皮膚内に導入してもよい。センサーは、患者への不快感を最小にするため、狭いゲージ針によって注射するのに適したサイズのものが好ましい。センサーの最高寸法は、20μm〜1mmが好ましい。しかし、大きな最高寸法を持つロッド型のセンサーを使用してもよい。
【0176】
センサーは、真皮の厚さ内あるいは皮下に導入してもよいし、表皮に導入してもよいが、後者の場合、もしかしたら、生分解性材料が分解する前に、表皮層の成長によって皮膚から排出される可能性がある。
【0177】
センサーは皮膚内に配置されるので、センサーにて発生する光信号は、経皮的に(すなわち、皮膚の上位層を通して)検出されるのが好ましく、したがって、センサーと感染をもたらし得る外部環境との間の任意の直接接触を未然に防ぐ必要がある。
【0178】
しかし、代わりに、皮膚を介して光を通すことなくセンサーが外部光学的手段によって照らされるのを可能にする、中空または透明手段(たとえば、針または光ファイバー)を介して検出を行ってもよい。
【0179】
一度センサーが皮膚の位置に置かれると、悪影響を起こすことなく必要な回数だけ被検体測定を行うことができる。もしグルコース測定がより頻繁に行われれば、厳密な制御を、血中のグルコースの濃度において維持することができ、不満足に調整された血糖に関連する状態を発症するリスク、たとえば、網膜疾患、腎臓疾患、神経障害、一般的な小血管および大血管損傷、および循環不良を減少させるであろうから、これは、長期間治療の糖尿病患者に対して特に有利である。
【0180】
本発明のセンサーは、それ自身は、アッセイの読み出しを問い合わせするために必要な光学成分のいかなるもの(これらは体とは別に備えられ、体の外に置かれるのが好ましい)も含まないので、センサーを、患者に対して最小の不快感で注射し得る形態で、簡単に備えることができる。
【0181】
FRETの技術を使用する、アッセイを導入するセンサーには、エネルギー供与体部分の吸収スペクトル内の波長で入射光を供給し、放射された蛍光の強度または励起状態の寿命を測定することによって、問い合わせすることができる。一般的に知られている方法は以下の通りである。
【0182】
1.定常状態の測定
2.タイムドメイン寿命の測定
a.信号光子の計測
b.ストリークカメラ
c.ゲート検出(パルスサンプリング)
d.アップコンバージョン
3.周波数ドメイン寿命の測定
a.位相変調蛍光光度法(ヘテロダイン検出)
b.位相敏感検波法(ホモダイン検出)
該原理の更なる説明は、Lakowicz, J.R.「Principles of Fluorescence Spectroscopy,第二編」,1999にある。
【0183】
アッセイを問い合わせするための好ましい方法は、位相変調蛍光光度法である。
【0184】
アッセイを問い合わせするための適切な光学セットアップ(図1)は、エネルギー供与体部分の発光スペクトル内で光を放射する、光放射ダイオード(LED)11で構成される。LEDは、好ましくは45°の範囲で、充分な位相シフトとなる周波数で、LEDを調整する、ドライバ回路13によって動作される。3nsの寿命を持つ蛍光団に関して、好ましい周波数は、50MHzである。LEDにより放射された光は、励起フィルター15によってフィルターをかけられ、ダイクロイックビームスプリッター17によってセンサー16に向けられ、レンズ19によって、注射されたセンサー16上のセンサー/皮膚に集束される。センサーによって放射された蛍光は、レンズ19によって集められる。光はダイクロイックビームスプリッターを通り、発光フィルター21によりフィルターをかけられる。フィルターをかけられた光は、レンズ23によって検出器25、この場合アバランシェフォトダイオード(APD)に集束される。APDは、APDバイアス供給27によって逆バイアスされ、これは、信号処理およびコントロールユニット29によって制御される。APDからの信号は、トランスインピーダンス増幅器31によって増幅され、バンドパスフィルター33によってフィルターをかけられ、第一アナログ−デジタル変換器(ADC)35によってサンプリングされる。対応して、LEDへの変調されたドライブ信号を、第二ADC37によってサンプリングする。第一ADC35上にサンプリングされた信号は、以下である。
【0185】
1(t)=A1*sin(2*π**t+φf1+φ1
【0186】
1は、アッセイから検出された信号の振幅であり、fは変調周波数であり、φf1は、供与体蛍光団によって導入された位相差であり、φ1は、電子的光学的セットアップによって導入された固定位相差である。
【0187】
第二ADC37上にサンプリングされた信号は以下の通りである。
【0188】
2(t)=A2*sin(2*π**t+φ2
【0189】
2は、LEDへの変調ドライブ信号の振幅であり、φ2は、電気的セットアップによって導入された固定位相差である。
【0190】
信号処理およびコントロールユニットは、2つのサンプリングされた信号を比較し、電子機器および工学機器によって導入された固定および公知の位相差を相殺することによって、エネルギー供与体部分によって導入された位相差φf1を導き出す。
【0191】
測定は、皮膚に近い蛍光光度計を保持することによって、およびセンサーを有するアラインメントにおいて行う。位相差は、相−被検体−校正関数、たとえば、
被検体濃度=A+Bx/(k+x)
(式中、Aは被検体不在時の相であり、Bは最大応答時の相であり、xは測定相であり、kは、受容体と被検体類縁体との間の解離定数である)を使用することによって、被検体濃度に変換する。
【0192】
代替測定技術は、蛍光強度の測定である。
【0193】
この場合、光学的手段は、エネルギー供与体部分の吸収スペクトル内での波長で入射光の第一ビームを、好ましくは、エネルギー受容体部分の吸収スペクトル内での波長で入射光の第二ビームを(これはエネルギー受容体部分も蛍光団であることに適用される)供給する必要がある。さらに、光学的手段は、好ましくは、センサー内で発生する光信号を、2つの異なる波長、すなわち、エネルギー供与体部分の発光スペクトル内で波長1(被検体の測定に関して発生する信号)およびエネルギー受容体部分(被検体信号、内部参照またはキャリブレーション信号であり得る)の発光スペクトル内では波長2で、測定することができる必要がある。
【0194】
蛍光光度計は、以下のパラメータを別々に測定する。
【0195】
波長1(エネルギー供与体部分)で
励起光強度、I(1,0)
周囲の光強度、I(1,1)
組合わせた蛍光の強度および周囲の光、I(1,2)
波長2(エネルギー受容体部分)で
励起光強度、I(2,0)
周囲の光強度、I(2,1)
組合わせた蛍光の強度および周囲の光、I(2,2)
再び、測定を、皮膚に近い蛍光光度計を保持することによって、およびセンサーを有するアラインメントにおいて行う。センサー内に発生した蛍光信号の経皮的測定を行う時は、皮膚による信号の吸収を考慮することが必要である。ヒト皮膚の吸収率は、実験によって、400nm〜900nmの範囲内で、最も低いことがわかっている。得られる最終出力は、2つの蛍光団からの蛍光強度の間の標準化された比であり、以下の関係(式1)によって規定される。
【0196】
最終出力=(I(1,2)−I(1,1))*I(2,0)/(I(2,2)−I(2,1))*I(1,0)
(1)
【0197】
前記式1によって与えられる、光学的手段(たとえば、蛍光光度計)からの最終出力は、好ましくは国際公開公報第00/02048号に規定されている原理に基づいて得ることができる、校正ダータを使用するコンピュータによって、被検体濃度に変換する。
【0198】
本発明のさらなる態様
【0199】
第六態様においては、本発明は、先に記載したポリマーに関する。
【0200】
本発明の任意の態様に関連して記載した特徴は、本発明の他の態様に適用することができる。
【0201】
本発明を、実施例および図面を用いてさらに説明する。
【0202】
[実施例]
一般説明
【0203】
以下の材料を使用した。
【0204】
過ヨウ酸ナトリウム、ビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミド、o−フェニレンジヒドロクロリド、ベンジルアミン、アンモニア、シアノホウ水素化ナトリウム(Sigma-Aldrich社)。
Nunc F96MaxiSorpプレート(Nunc, Denmark)
PD−10カラム、ストレプトアビジン−HRP(Amersham bioscience)
デキストラン(Pharmacosmos, Denmark)
マンナン結合レクチン(数社の供給源、たとえば、Statens Serum Institute社、Copenhagen, Denmarkから入手可能)。コンカナバリンAペルオキシダーゼ結合体(Sigma-Aldrich社,L6397)。
透析チューブSpectra/Por (Spectrum Laboratories社、California、 USA)。Float-A-Lyzer(商標)25.000MWCO再生セルロース透析チューブは、Spectrum Laboratories Europe (Breda, The Netherlands)から入手したものであった。
【0205】
ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標)80)、アゾジイソブチロジニトリル(AIBN)および2−ヒドロキシエチルアクリレートは、Sigma-Aldrichから入手した。N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩は、PolysSciences Europe (Eppelheim, Germany)から入手した。2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044)は、Wako GmbH (Neuss, Germany)から入手した。
【0206】
アリルα−D−グルコピラノシドおよびアリル2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシドは、Glycon Biochemicals社、 Germanyから入手したものであった。アリルα−D−ガラクトピラノシドは、Sigma−Aldrich社から入手したものであった。アリルα−D−マンノピラノシドは、実施例Clの方法によってここで生成した。
【0207】
他の記載がない限り、PBSは、20mMリン酸塩、150mMのNaCl、pH7.4であり、TBSは、20mMのTRIS、150mMのNaCl、1.25mMのCaCl2、pH7.4である。
【0208】
省略語:MBL、マンナン結合レクチン;PBS、リン酸緩衝食塩水;TBS、TRIS緩衝食塩水;ELLA、酵素結合レクチンアッセイ

[実施例A1]
【0209】
MBLの染色
ヒトMBLを、150mMのNaClおよび1.25mMのCa2+を含む10mMのNaHCO3緩衝液、pH8.7に緩衝液交換(透析法により)した。染色のために使用した染料は、Alexa Fluor(商標)594スクシンイミジルエステル(AF594−SE)(Molecular Probes, Eugene, Oregon, USA)であった。染料を乾燥DMSOに溶解し、炭酸水素緩衝液中のMBLにゆっくり(10分)加えた。反応を1時間行った。染色は、染料の15倍モル過剰(ポリペプチド単位に関して)で行った。精製を、10mMのトリス緩衝液pH7.4、150mMのNaClおよび1.25mMCa2+に対する透析法によって行った。得られた、染色されたタンパク質のモル基準標識化度を、MBLの1サブユニット当たり染料2.3として、UV分光法によって決定した(MBLのサブユニットの分子量として28kDaを使用して計算)。

[実施例A2]
【0210】
デキストランの生成
150kDaデキストラン(6.00g,0.4μmol)を250mMのK2HPO4、pH11.5(600mL)に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(3g,0.08mol)を加え、次いでジビニルスルホン(15ml,0.15mol)を加えた。反応混合物を室温で30分撹拌し、その後濃塩酸でpH7.2に中和した。30分撹拌した後、得られた混合物を水(3×25L)中で透析した(MWCO10−12kDa)。内容物をエルレンマイヤーフラスコに移し、24%アンモニア(200mL)を加えた。2時間後、pHを10.5に調整し、反応物を一晩撹拌した。過剰のアンモニアを水(8×25L)中で透析法(MWCO10−12k)により除去し、内容物全てを凍結乾燥し、アミノデキストラン5.75g(アミノデキストラン、MW:185kDaに対して78%)を白色綿毛状物質として得た。元素分析を使用して、分子量、アミン導入率および導入されたジビニルスルホンの量の簡易評価を行った。
【0211】
Found C39.86;H6.26;N0.16;S3.08% Dextran 150k,〜22DVS−NH2,〜160DVS−OH,and〜720H2O requires C39.55;H6.60;N0.16;S3.07%

[実施例A3]
【0212】
ヘキサ−メトキシ−クリスタルバイオレットスクシンイミジルエステル(HMCV−1)の生成
HMCV−1の合成:
【化3】

【0213】
スキーム1.I)4−(N−メチルアミノ)ブタン酸塩酸塩(1当量)ジイソプロピルエチルアミン、アセトニトリル中、20℃、20時間、IIジメチルアミン(過剰量)、III)TSTU、ジイソプロピルエチルアミン、iアセトニトリル、20℃、2時間
【0214】
4a (BF4-):4−(メチルアミノ)酪酸塩酸塩(1.36g;8.8mmol)、1(5.0g;8.3mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(5mL)をアセトニトリル(120mL)に溶解した。反応混合物を、乾燥窒素雰囲気中で、30〜35℃、22時間撹拌した。ジメチルアミン(40mLの40%溶液)水溶液を加え、反応混合物をさらに4日間撹拌した。溶剤および過剰のジメチルアミンを真空除去し、残った材料をクロロホルムに溶解した。クロロホルム溶液を食塩水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、その後、溶剤を蒸発させ、CH2Cl2/エーテルから生成物を再析出させた。収量:4.4g(70%)、暗青色の粉末
【0215】
MS(FAB+):m/z624(M+)
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.34(IH,bs),6.03(2H,s),5.83(4H,s),3.49(2H,m),3.46(6H,s),3.44(12H,s),3.12(3H,s(masked)),3.08(12H,s),1.94(2H,t),1.70(2H,m)
【0216】
HMCV−1(Cl-):TSTU(2−スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩;0.8g,2.6mmol)を、アセトニトリル(15mL)中の4a(0.9g,1.26mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.55g,4.5mmol)溶液に加えた。反応混合物を密閉したフラスコ内で2時間撹拌し、その後これを、HCl水溶液(4mL,2M)で酸性化した、氷冷したほぼ飽和NaCl溶液(約150mL)に注ぎ込んだ。水相をクロロホルム(2×150mL)で抽出した。組合わせたクロロホルム相を、食塩水(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶剤を蒸発させ、CH2Cl2/エーテルから再析出し、暗青色の粉末(0.80g,84%)を得た。
【0217】
MS(FAB+):m/z721(M+)
1H−MMR 1H−NMR br.(400MHz,DMSO−d6):δ5.88(2H,s),5.85(4H,s),3.60(2H,S),3.46(12H,s),3.45(6H,s),3.15(12H,s),3.12(3H,s),2.85(4H,s),2.80(2H,t),1.95(2H,m)

[実施例A4]
【0218】
40モル%マンノースポリマーの合成
40モル%マンノースポリマーを、以下のようにして生成した。アリルα−D−マンノピラノシド(1.77g,8.0mmol)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(1.36g,11.7mmol)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(89.6mg,0.5mmol)および2,2'−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−
2−イル)−プロパン]2塩酸塩(23.7mg,0.073mmol)を、50mlの丸底フラスコに加え、次いで水(28.8ml)を加えた。磁気攪拌下、室温で混合物を溶解した。5分間窒素でパージした後、混合物を60℃に加熱し、その温度で12時間重合した。冷却すると、僅かに黄色を帯びた粘稠な溶液を得た。この溶液を、一晩水に対して透析(25kのMWCO再生セルロース)し、凍結乾燥し、白色の綿毛状のポリマーを得た。
【0219】
このポリマーが乾燥し、空気に曝した後、ポリマーは、水に部分的にしか溶解しないものであった。

[実施例A4a]
【0220】
80モル%マンノースポリマーの合成
アリル−α−D−マンノピラノシドの量を3.54g(16mmol)とし、2−ヒドロキシエチルアクリレートの量を0.68g(5.85mmol)とした以外は実施例A4と同様にして、80モル%マンノースポリマーを生成した。
【0221】
このポリマーは、実施例A4で生成したポリマーより溶解性があった。また、このポリマーが乾燥し空気に曝した後も、水に対し溶解性があった。

[実施例A5]
【0222】
実施例A4の40モル%マンノースポリマーのHMCV−1による標識化
実施例A4のポリマー(20mg)を10mMのカーボネート緩衝液(500μl,pH8.6)に溶解し、実施例A3で生成したヘキサメトキシクリスタルバイオレット−スクシンイミジルエステル(HMCV−1,6.1mg)のDMSO(200μl)溶液を加えた。混合物を室温で3時間緩やかに攪拌し、次いで10mMのTBS緩衝液、pH7.4に対して透析し(10kのMWCO再生セルロース)、反応していない染料を除去した。0.085の重量基準の標識化度(「DOL」)の値を得た。
【0223】
「DOL」値は、以下の等式を使用して求めた。
「DOL」=[HMCV−1](mg/ml)/[ポリマー](mg/ml)
ここで、式中、HMCV−1の含有率は、吸光分光分析で求めた。
[HMCV−1](mg/ml)=[A(632nm)/(ε(HMCV−1,632nm)*1)]*M(HMCV−1)
ε(HMCV−1,632nm)=42000M-1*cm-1;M(HMCV−1)=660.2g/mol

[実施例A5a]
【0224】
実施例A4aの80モル%マンノースポリマーのHMCV−1による標識化
実施例A5の標識化方法を、実施例A4aの80モル%マンノースポリマーについて行った。

[実施例A6]
【0225】
実施例A4の40モル%マンノースポリマーに関するサイズ排除アッセイ
実施例A4のポリマーの分子量を、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して求めた。TSKゲルG4000PWXLカラム(7.8mm(内径)×30.0cm(長さ)、Tosoh Biosciences社)を、Agilent 1100HPLCシステム上で操作した。移動相(0.1%酢酸,50mMのNaCl,pH3.4)の定組成溶離(1.0ml/分で25分間)を使用した。分子量は、HMCV結合アミノデキストラン標準に基づき、次の関係式:

を用いた。結果を図2に示す。

[実施例A7]
【0226】
実施例A4のポリマーのマンノース含有率の測定
このアッセイは、マンノース(80%硫酸中)の対応する5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)への脱水反応に基づき、これは次に5%のフェノール溶液と反応し、加熱で色素原を生成する。この反応は、定量的であるので、マンノースの最初の濃度を、吸光分光分析で求めることができる。96ウェルマイクロプレートを使用することにより、試料の高処理能力が可能になる。使用した方法は、Masukoら(2005) Anal. Biochem., 339,69-72によって修正されたものである。
【0227】
96ウェルのマイクロプレートの1ウェル中の50μlの試料に150μlの濃硫酸をすばやく加え、最大混合を起こし、次いで直ちに30μlの5%フェノール水溶液を加えた。水浴中でマイクロプレートを、90℃で15分間注意深く浮遊させることによって培養した後、別の水浴でプレートを5分間冷却し、ふき取って乾かし、マイクロプレートリーダーを使用して吸収を(490nm)測定した。試料は、標準曲線を作成するための水(50μl/ウェル)中、マンノースの12種の異なる濃度(0.003、0.02、0.03、0.05、0.15、0.2、0.3、0.5、1.0、1.5、2.0、3.0mM)と、実施例A4のポリマー(50μl/ウェル)の3種の異なる濃度(0.5、1.0、2.0mg/ml)とで構成した。全測定を、1試料につき3回行った。
【0228】
結果を表1に示す。
【0229】
【表1】


[実施例A7a]
【0230】
実施例A4aのポリマーのマンノース含有率の測定
実施例A4aのポリマーを、実施例A7で記載した方法を使用して分析した。
【0231】
結果を表1aに示す。
【表1a】


[実施例A8]
【0232】
実施例A4の40モル%マンノースポリマーに関するELLAアッセイ
ビオチン化MBLを、以下のように生成した。ビオチン−NHS(20μl,DMSO中7mg/ml,〜10〜15当量/MBLモノマー)を、MBL(3ml,0.53mg)のPBS(3mL)溶液に加えた。溶液を2時間緩やかに攪拌し、次いで透析チューブ(MWCO10−12K)に移し、TBS(2×1L)に対して24時間透析した。得られたTBS中のビオチン化MBL(0.2mg/ml)をさらに精製することなく使用した。
【0233】
以下に記載するMBL ELLAアッセイで使用した塗布濃度がマイクロプレートを飽和するのに十分であることを確認するために、標準ConA ELLAアッセイを次のように行った。ELLAアッセイにおいて使用したPBS緩衝液は、10mMのリン酸塩、150mMのNaCl、0.1mMのCaCl2、0.1mMのMnCl2で、pH7.4であった。
【0234】
96ウェルマイクロタイタープレートに、5℃で一晩、PBS中の抗体(実施例A4で得たポリマーおよびアミノデキストラン)(100μl,100μg/ml,2倍希釈)のそれぞれの2カラムを塗布した。残った結合部位を、PBS(150μl)中の0.5%(w/v)BSAの添加によってブロックした。次いで、ウェルを洗浄(2×200μlのPBS)した。PBS中のConA−HRP、1%(w/v)(100μl)を加え、1時間培養した。次いでプレートを空にし、洗浄(3×200μlのPBS)した。HRPの存在を、基質溶液(1mgのo−フェニレンジヒドロクロリド)の添加によって可視化し、2分後1NのH2SO4でクエンチした。490nmでの吸収を読むことによって発色を測定し、バックグラウンド除去は630nmで読んだ。
【0235】
96ウェルマイクロタイタープレートに、5℃で一晩、TBS中の抗体(実施例A4のポリマーおよびアミノデキストラン)(100μl,100μg/ml)のそれぞれの2カラムを塗布した。残った結合部位を、TBS(150μl)中の0.5%(w/v)BSAの添加によってブロックした。次いで、ウェルを洗浄(2×200μlのTBS)した。ビオチン化MBL(2μg/ml)によるグルコース(100mM〜0mM)の希釈液を加え、全容量を100μlとした。2時間の培養の後、プレートを空にし、洗浄(2×200μlのTBS)した。TBS中のストレプトアビジン−HRP、0.1%(v/v)(100μl)を加え、1時間培養した。次いで、プレートを空にし、洗浄(3×200μlのTBS)した。HRPの存在を、基質溶液(1mgのo−フェニレンジヒドロクロリド)の添加によって可視化し、2分後、1NのH2SO4でクエンチした。490nmでの吸収を読むことによって発色を測定し、バックグラウンド除去は630nmで読んだ。
【0236】
結果を図3に示す。

[実施例A8a]
【0237】
実施例A4aの80モル%マンノースポリマーに関するELLAアッセイ
実施例A4aのポリマーに関するELLAアッセイを、実施例A8で記載した方法を使用して行った。
【0238】
ELLAアッセイにより得られたIC50値は、実施例A8の値より非常に高かった。IC50は、グルコース16.8mM(A8)であるのと比べて、グルコース50〜80mMで変化した。

[実施例A9]
【0239】
実施例A5の40モル%マンノース標識化ポリマーに関するFRETアッセイ
測定を周波数領域法により行った。これらの測定に関しては、ISS社,Urbana,IL,USAのKOALA装置(KOALA自動化試料コンパートメント)を使用した。励起光源(図1中の11)は黄色LEDであった。励起光は540〜590nmバンドパスフィルター(図1中の15)でフィルターにかけ、発光は、610〜690nmバンドパスフィルター(図1中の21)を使用して単離した。両フィルターともOmega Optical社、Brattleboro, VT, USAのものであった。
【0240】
多指数関数崩壊モデルは、ベストモデルは、蛍光発光崩壊を記載する。しかし、グルコースセンシングは、多指数関数崩壊を分析する必要がない。単一変調周波数での位相または変調測定は、グルコース濃度を測定するのに適している(L.Tolosa, H. Szmcinski, G. RaoおよびJ.R. Lakowicz (1997) Analytical Chemistry 250, 102-108)。PreciSenseアッセイケミストリに関する最適変調−周波数は、61MHzであると考えられる。
【0241】
10μMの標識化MBLの50μlのアッセイケミストリ(実施例A1において生成されたものであるが、1MBLサブユニット当たり0.5個の染料の標識化度を有する)と、2mg/mlの標識化ポリマー(実施例A5)とを混合し、混合後、少なくとも1時間放置した。次いで、アッセイケミストリ(5μl)をシリンジでセルロースファイバに移し、該ファイバを特注設計されたファイバーホルダーに設置した。ファイバーホルダーを標準蛍光発光セル(10mm×10mm)中に挿入した。つまり、該測定のために修正なしで標準の市販の装置を使用した。
【0242】
溶液は全て水浴で34℃に予備加熱し、KOALA装置での測定は全て34℃で記録した。蛍光発光セルを持つファイバおよびファイバ−ホルダー組立体を、KOALAの試料ホルダー中に置き、グルコースを含有する緩衝液で蛍光発光セルを満たした。
【0243】
測定された位相は、少なくとも40個の位相角記録の平均であった。測定が完了した後、ピペットを使用して蛍光発光セルを空にし、次の濃度のグルコースを含有する緩衝液で再び満たした。アッセイケミストリが平衡状態に達するように、測定の間に20分間の遅延時間を置いた。
【0244】
グルコース用量反応曲線(図4)を作成するために、0、2.5、5、10、30、100および500mMグルコースで位相を測定した。500mMグルコースで位相角を測定した後、ファイバを60分かけて10mMのTRIS緩衝液で数回洗浄した。この時点で、0mMのグルコースで最初に得られた位相角と同じ位相角を得た。これにより、アッセイ(データは示さず)の可逆性が立証された。

[実施例A9a]
【0245】
実施例A5およびA5aの標識化ポリマーに関するFRETアッセイ
実施例A5およびA5aの標識化ポリマーを使用して、実施例A9に類似する方法を行った。ポリマーを、生分解性ポリマー中に封入し、小型化された時間分解蛍光光度計を用いて測定値を取った。グルコース濃度を、2日間の周期で2.5mM、5mM、15mMおよび30mMの間で変化させた。測定値を5分間隔で取り、最初の2.5mMのグルコース濃度で測定した位相の値を、次の位相の値から差し引くことによって、位相シフトを計算した。
【0246】
結果を図4aに示す。
【0247】
80%マンノース標識化ポリマー(実施例A5a)の位相シフトは、40%マンノース標識化ポリマー(実施例A5)より、約40%大きかった。40モル%マンノース標識化ポリマー(実施例A5)の沈殿が観察された。80%マンノース標識化ポリマー(実施例A5a)の沈殿は観察されなかった。これは、80モル%マンノース標識化ポリマーの応答が向上したことの関係があると考えられる。
【0248】
実施例A4〜A9の結果を、表2にまとめる。
【表2】

【0249】
実施例A4a〜A9aの結果を表2aにまとめる。
【表2a】


[実施例A10]
【0250】
センサーの形成と埋め込み
1000PEGT80PBT20ポリマー(80重量%の親水性セグメントと20重量%疎水性セグメントとの標的を用い、S.FakirovおよびT. Gogeva, Macromol. Chem. 191(1990) 603-614に記載のように生成)から、直径700μmのガラス棒を、15%w/wのポリマーのジクロロメタン(DCM)溶液に浸漬し、室温で乾燥させることによって、ファイバを製造した。これにより、外径900μm、内径700μmの中空ファイバを得た。該ファイバにアッセイケミストリ(実施例A9)を満たした。ポリマーを溶融しファイバを閉じるために、ポリマーを加熱した。試験および埋め込みの前に、溶融されたファイバの漏れをテストした。
【0251】
この種類のファイバは、針を使用することにより、皮膚の上側に配置することができる。適切なサイズ(湿ったファイバを含有するのに十分な大きさ)の針を、約1mmの深さで皮膚の表面に平行に置き、皮膚を通して影として見えるように針を置く。ファイバ(まだ湿っている)を針の内部に置き、針を取出す。
【0252】
通常、挿入が完了した後、挿入部位に出血は観察されない。ファイバが適所に置かれると、読み取り機をファイバの真上の位置に置き、測定を始めることができる。

[実施例B1]
【0253】
ポリマー合成
水溶性40%マンノースコポリマーを、以下のようにして、乳化重合で生成した。機械的撹拌器と窒素管とを備える、250mlの3つ首丸底フラスコに、Span80界面活性剤(5.7g;HLB[親水性−親油性バランス]4.3、トルエンに対して10%w/w)、AIBN(30mg)およびトルエン(57.3g)を加えた。該フラスコを密封し、窒素でパージし、重合の間中窒素雰囲気下に保った。アリルα−D−マンノピラノシド(3.52g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2.552g)およびN−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.356g)を水(12.7g)に溶解し、ろ過して、不溶物質を除去した。この混合物を、丸底フラスコ中で、ゴム膈膜を介して、激しく撹拌されている混合物に加えた。反応混合物を、室温で、安定な乳化物が形成されるまで(30分)、次いで60℃4時間、撹拌した。VA−044(1ml,60mg/ml)の溶液を、膈膜を通して注入し、重合を一晩(17時間)続けた。反応混合物を室温まで冷却し、乳化物をアセトンの添加によって分離した。これによってポリマーの析出が起こり、析出物を集め、水に再び溶解し、アセトンの添加によって析出させた。生成物を一晩、真空乾燥し、3.2g(50%)の粗薄黄色ポリマーを得た。粗ポリマーの一部(1.0g)を、水(10ml)に溶解し、水中で透析(MWCO[分子量カットオフ]25,000)し、低分子量物質を除去した。凍結乾燥によって、0.46g(46%)の綿毛状ポリマーを得た。

[実施例B2]
【0254】
実施例B1のポリマーの染色
一般的に、コポリマーの標識化は、Molecular Probes(製品情報MP00143,Rev.2001年6月)によって提供される記載に従う。
【0255】
ポリマー(実施例B1)(88.6mg)を、10mMのNaHCO3溶液(3ml;pH8.5)に溶解した。ポリマー溶液を3つのエッペンドルフバイアルに3等分した。HMCV−1(実施例A3)(19.6mg;26.1μmol)を乾燥DMSO(600μl)に溶解した。染料を、第一バイアルは合計で100μl、第二バイアルは200μl、第三バイアルは300μlとなるように、10μlのアリコート中のポリマー溶液に、30秒ごとに加えた。最後のアリコートの添加後、バイアルを1時間穏やかに撹拌し、数種の緩衝液変更のある10mMのTRIS緩衝液中で、透析法緩衝液に色が見えなくなる(通常、500mlおよび72時間の緩衝液変更を6〜8回)まで、該溶液を透析(MWCO、10−12,000)した。

[実施例B3]
【0256】
実施例B2のポリマーのFRETアッセイ
10mMのTRIS緩衝液(12.5μL)中の染色したコポリマー溶液(実施例B2)(4μL)および染色したMBL溶液(実施例A1)(8.5μL)を含むアッセイ化学検査物を混合し、混合後、少なくとも1時間放置した。次いで、アッセイ化学検査物を、シリンジを用いて、実施例A9で使用したファイバーに移した。ファイバーを特注設計したファイバーホルダーに載せ、標準蛍光セル(10mm×10mm)にフィットさせた。
【0257】
時間分解蛍光光度法(周波数領域法)を用いて、グルコース反応を測定した。

[実施例C1]
【0258】
アリルα−D−マンノピラノシドおよびアミノデキストラン150kの合成
アリルα−D−マンノピラノシドの合成を、基本的に、Pekariら(2004)J.Org.Chem,66(22),7432−7442に記載のように行った。
【0259】
D−マンノース(12.1g,67mmol)を、BF3−OEt2(0.58ml)の存在下、乾燥アリルアルコール(140ml)中で一晩還流した。翌日、反応混合物を、Et3N(1.8ml)で中和し、溶剤を蒸発させた。ドライカラムバキュームクロマトグラフィー(内径6cm;100ml画分;DCM中0〜45%MeOH(v/v)−11画分,5%増加+100%)により、生成物9.38g(63%)を無色シロップとして得た。TLC(DCM−MeOH,9:1)Rf0.3;1H−NMR(300MHz,128スキャン,700μlのD2O中4mg)δ3.27(s,2H,アリル),3.52−4.21(m,6H),4.84(bs,1H,αH),5.16−5.34(m,2H,アリル),5.82−5.98(m,1H,アリル)
【0260】
アミノデキストラン150kの合成は以下のように行った。デキストラン150k(6.00g,0.4μmol)を250mMのK2HPO4、pH11.5(600mL)に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(3g,0.08mol)、次いでジビニルスルホン(15ml,0.15mol)を加えた。反応物を室温で30分攪拌した後、濃HClでpH7.2の中性とした。30分間攪拌した後、得られた混合物を水中(3×25L)で透析(MWCO10〜12k)した。次いで、内容物を三角フラスコに移し、24%アンモニア(200mL)を加えた。2時間後、pHを10.5に調整し、反応物を一晩攪拌した。過剰のアンモニアを水(8×25L)中での透析(MWCO10−12k)により除去し、全内容物を凍結乾燥し、アミノデキストラン5.75g(78%,アミノデキストラン(185kのMW)に対して)を白色綿毛状物質として得た。元素分析を使用し、分子量、アミン導入および導入されたジビニルスルホンの量の概算を行った。(測定値:C39.86;H6.26;N0.16;S3.08%デキストラン150k,〜22DVS−NH2,〜160DVS−OHおよび〜720H2O 要求値:C39.55;H6.60;N0.16;S3.07%)

[実施例C2]
【0261】
ポリマーの合成
以下の例で、マンノース50モル%共重合体をどのように生成したかを説明する。他のポリマー生成は、表3にまとめる。使用した単糖類およびそれらの分量を表4にまとめる。
【0262】
アリル−サッカライド(AS)およびN−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(NAMH)の母液(100mg/ml)を、PBS(50mM,pH7.4)中で生成した。
【0263】
スクリューキャッププラスチックチューブ中で、過硫酸カリウム(PPS)(150mg)をPBS緩衝液(50mM,pH7.4;7.8ml)に溶解した。この溶液に、アリルα−D−マンノピラノシド(アリルサッカライド;AS)(2.20ml;220mg)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(110μl)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(NAMH)(89μl)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(100μl)をこの順番で加えた。混合物を、窒素で5分間パージし、溶解酸素を除去した。旋回シェーカー中で重合を室温で一晩行った。反応混合物をろ過し、メタノール(100ml)中に析出させた。ポリマーを遠心分離(4000rpm,3分)で集め、次いでメタノール(3×10ml)で洗浄した。最終的に得られたポリマーペレットをエクシケーターで一晩乾燥した。
【表3】

【表4】


[実施例C3]
【0264】
C2のポリマーに関するELLAアッセイ
ELLAアッセイで使用した緩衝液は、20mMのTRIS、150mMのNaCl、1.25mMのCaCl2(生理的カルシウム濃度を模倣)pH7.4であった。
【0265】
96ウェルマイクロタイタープレートに、5℃で一晩、TBS中の抗体(実施例C3のポリマー、実施例C1のアミノデキストラン)(100μl,100μg/ml)のそれぞれの2カラムを塗布した。残りの結合部位をTBS(150μl)中の0.5%(w/v)BSAの添加によりブロックした。次いで、ウェルを洗浄(2×200μlのTBS)した。ビオチン化MBL(2μg/ml)によるグルコース(100mM〜0mM)の希釈液を加え、全容量を100μlとした。2時間の培養の後、プレートを空にし、洗浄(2×200μlのTBS)した。
【0266】
TBS中のストレプトアビジン−HRP、0.1%(v/v)(100μl)を加え、1時間培養した。次いで、プレートを空にし、洗浄(3×200μlのTBS)した。HRPの存在を、基質溶液(1mgのo−フェニレンジヒドロクロリド)の添加によって可視化し、2分後、2Nの硫酸でクエンチした。490nmでの吸収を読むことによって発色を測定し、バックグラウンド除去は630nmで読んだ。結果を図1のグラフに示す。高い吸収は、MBLのリガンドに対する結合に対応する。ベースライン吸収は、MBLのリガンドに対する結合に対応する。
【0267】
図5、図5aに示すように、モノマーサッカライド単位は、MBLに対しグルコース(IC50〜18mM)より高い親和力を有することが必要であり、マンノース(IC50〜8mM)またはN−アセチルグルコサミン(IC5〜6mM)より高い親和力を有することが好ましい。ガラクトース(IC50〜36mM)のようなより低い親和力のサッカライドモノマー単位は、生理的カルシウム濃度でMBL結合をもたらさない。
【0268】
30%と50%との間のマンノースモノマー単位を持つ共重合体は、0〜10mMグルコースの範囲で最も容易に抑制(最急勾配)されるので、これらの共重合体を使用することにより最高の結果が達成された。したがって、最適ステップ(実施例C4)では、マンノースモノマー単位の含有率が30%〜50%の範囲であるマンノース共重合体を合成した。

[実施例C4]
【0269】
ポリマーの合成(最適化)
生成方法は、実施例C2の方法と同じであった。ポリマー生成を表5にまとめる。反応試薬を図6に示す。ポリマー生成物の例を図7に示す。
【表5】


[実施例C5]
【0270】
実施例C5のポリマーに関するELLAアッセイ(最適化)
ELLAアッセイを実施例C3に記載のように行った。
【0271】
結果を図8に示す。
【0272】
図8は、35モル%マンノース共重合体が最適化リガンドであることを示す。結合は、0mMのグルコースで、MBLに対するアミノデキストランと同じくらい強いが、アミノデキストランの結合より容易に抑制される。抑制曲線から、アミノデキストランおよび最適化リガンドのIC50値を計算することができる(表6)(IC50値は、この特定のアッセイに関してのみ有効である)。
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0273】
【図1】アッセイを問い合わせするための適切な光学セットアップを示す。
【図2】実施例A5で得たサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す。
【図3】実施例A8で得たELLAアッセイの結果を示す。
【図4】実施例A9で得たFRETアッセイの結果を示す。
【図4a】実施例A9aで得たFRETアッセイの結果を示す。
【図5】実施例C3で得たELLAアッセイの結果を示す。
【図5a】実施例C3で得たELLAアッセイの結果を示す。
【図6】実施例C4の反応原料を示す。
【図7】実施例C4のポリマー生成物の一例を示す。
【図8】実施例C5で得たELLAアッセイの結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中の糖質被検体の検出または測定用センサーであって、該センサーは、競合結合アッセイの成分を含み、該アッセイの読み出しは、被検体の拡散は可能にするが、アッセイ成分は拡散させない材料によって保持されている、検出可能または測定可能な光信号であり、前記アッセイ成分は、
近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアの1つで標識された糖質結合分子と;
該糖質結合分子と結合するために前記被検体と競合することができ、柔軟性水溶性ポリマーである糖質類縁体を含み、前記糖質類縁体は、
モノマー単位残基がペンダント糖質または糖質様部分と、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアの残りの1つであるペンダント部分とを有する、モノマー単位の重合残基および/または
第一モノマー単位残基がペンダント糖質または糖質様部分を有し、第二モノマー単位残基が近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアの残りの1つであるペンダント部分を有する、第一モノマー単位および第二モノマー単位の共重合残基を含む糖質類縁体とを含むセンサー。
【請求項2】
第一モノマー単位が、重合反応混合物中、20〜70モル%または70〜90モル%存在しおよび/または第二モノマー単位が、反応混合物中、5〜15モル%存在する請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
糖質部分が、場合によっては誘導化されたマンノース、マルトース、イソマルトース、グルコース、ソホロースおよび/または2−アセチルグルコサミンから選択される請求項1または2に記載のセンサー。
【請求項4】
近接度に基づいた信号発生/変調部分が、第二モノマー単位のアミン、酸、アルコール、アルキン、アジドおよび/またはスルホン官能基に結合する請求項1〜3のいずれかに記載のセンサー。
【請求項5】
近接度に基づいた信号発生/変調部分が、エネルギー供与体またはエネルギー受容体である請求項1〜4のいずれかに記載のセンサー。
【請求項6】
さらに、糖質または糖質様部分も近接度に基づいた信号発生/変調部分も有しない第三モノマー単位の重合残基を含む請求項1〜5のいずれかに記載のセンサー。
【請求項7】
第三モノマー単位が、反応混合物中、0〜80モル%存在する請求項6に記載のセンサー。
【請求項8】
第三モノマー単位が、親水性基を含有する請求項6または7に記載のセンサー。
【請求項9】
第三モノマー単位が、2−ヒドロキシエチルアセテート、ビニルピロリドン、MMA、HEMA、ビニルアルコールおよび/またはエチレングリコールを含む請求項8に記載のセンサー。
【請求項10】
重合体平均分子量が、20〜250kDaの範囲内である請求項1〜9のいずれかに記載のセンサー。
【請求項11】
糖質被検体がグルコースであり、ポリマーが、生理的カルシウム濃度で、グルコースと競合することができる請求項1〜10のいずれかに記載のセンサー。
【請求項12】
アッセイが、0〜35mMのグルコースの範囲の少なくとも一部の濃度で血糖値を測定することができる請求項11に記載のセンサー。
【請求項13】
糖質結合分子がレクチンである請求項1〜12のいずれかに記載のセンサー。
【請求項14】
糖質結合分子が、マンノース結合レクチンまたはコンカナバリンAである請求項13に記載のセンサー。
【請求項15】
アッセイの成分が、シェル材料またはマトリックス材料によって保持されている請求項1〜14のいずれかに記載のセンサー。
【請求項16】
保持材料が生分解性である請求項15に記載のセンサー。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載のセンサーを製造する方法であって、相分離(コアセルベーション)、溶剤蒸発、抽出、噴霧乾燥、スプレー被覆、スプレー冷却、回転円盤式アトマイゼーション、流動床被覆、共押出しおよびパンコーティングの少なくとも1つを含む方法。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれかに記載のセンサーを使用して糖質被検体を検出する方法であって、該センサーを動物の皮膚に埋め込むステップと、外部の光学的手段を用い、糖質被検体の経皮的検出または測定を行うステップとを含む方法。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれかに記載のセンサーを使用して糖質被検体を検出する方法であって、外部の光学的手段を使用し、哺乳類の皮膚の中または下に存在する前記センサーの照射により、糖質被検体の経皮的検出または測定を行うステップを含む方法。
【請求項20】
第一モノマー単位残基がペンダント糖質または糖質様部分と、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアの残りの1つであるペンダント部分とを有する、第一モノマー単位の重合残基および/または第一モノマー単位残基がペンダント糖質または糖質様部分を有し、第二モノマー単位残基が近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアの残りの1つであるペンダント部分を有する、第一モノマー単位および第二モノマー単位の共重合残基を含む柔軟性水溶性ポリマーを合成する方法であって、以下の手順の1つを含む方法:
a)それぞれ、ペンダント糖質部分または糖質様部分と、ぶら下がっている近接度に基づいた信号発生/変調部分とを有するモノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを重合すること;
b)それぞれ糖質部分または糖質様部分を有する第一モノマー単位と、それぞれ、ぶら下がっている近接度に基づいた信号発生/変調部分を有する第二モノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを共重合すること;
c)それぞれ、ペンダント糖質部分または糖質様部分と、近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクするためのペンダント官能基とを有するモノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを重合し、次いで、モノマー単位残基を、近接度に基づいた信号発生/変調部分と反応させること;
d)それぞれペンダント糖質部分または糖質様部分を有する第一モノマー単位と、それぞれ、近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクするためのペンダント官能基を有する第二モノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを共重合し、次いで第二モノマー単位残基を近接度に基づいた信号発生/変調部分と反応させること;
e)それぞれ、糖質部分または糖質様部分にリンクするためのペンダント官能基と近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクするための異なるペンダント官能基とを有するモノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを重合し、次いでモノマー単位残基を糖質部分または糖質様部分および近接度に基づいた信号発生/変調部分と反応させること;または
f)それぞれ糖質部分または糖質様部分にリンクさせるためのペンダント官能基を有する第一モノマー単位と、それぞれ近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクするための異なるペンダント官能基を有する第二モノマー単位と、場合によっては第三モノマー単位とを共重合し、次いで糖質または糖質様部分を持つ第一モノマー単位残基と、近接度に基づいた信号発生/変調部分を持つ第二モノマー単位残基とを反応させること。
【請求項21】
モノマー単位を付加重合によって反応する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
モノマー単位および/または第一モノマー単位が、アリルまたはビニルを含有する糖質または糖質様部分の誘導体である請求項20または21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
モノマー単位および/または第二モノマー単位が、アミン官能基を含有する二重結合含有分子である請求項20〜22のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図5】
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【図5a】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−518635(P2009−518635A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543719(P2008−543719)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011708
【国際公開番号】WO2007/065653
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(503136048)
【氏名又は名称原語表記】PRECISENSE A/S
【Fターム(参考)】